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特許7266396車両管理サーバおよびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】車両管理サーバおよびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20230421BHJP
   G06Q 30/0645 20230101ALI20230421BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0645
G08G1/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018224418
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020087229
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】表原 徹
(72)【発明者】
【氏名】三枝 直樹
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-194805(JP,A)
【文献】特開2013-040814(JP,A)
【文献】特開2003-076762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両共有サービスに係るサービス対象車両の返却に寄与する情報を利用者へ提供するための車両管理サーバであって、
サービス対象車両の現在位置データを受信して時刻データと紐付けて取得する現在位置データ受信手段と、
サービス対象車両の返却地および返却予定時刻を含むデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の現在位置データから前記の返却地までの距離、現在時刻と実際に返却された返却完了時刻との差分である実際返却時間、および前記の返却予定時刻までに実際の返却が間に合ったか否か返却結果データについて蓄積された返却実績データを蓄積する実績データベースと、
時刻データを含んだ前記の現在位置データ、前記の返却地、前記の返却予定時刻、および前記の返却実績データを用いて返却可能エリアデータを演算する返却可能エリア演算手段と、
前記の現在位置データを送信してきたサービス対象車両へ前記の返却可能エリアデータを送信する返却可能エリア出力手段と、
を備えた車両管理サーバ。
【請求項2】
前記の返却可能エリアデータは、サービス対象車両におけるカーナビゲーション装置において、現在位置データおよび返却可能エリアを地図データ上に一画面で表現したものとした
請求項1に記載の車両管理サーバ。
【請求項3】
前記の現在位置データ受信手段が取得した時刻データに紐付けられた現在位置データと、前記の車両管理データベースに蓄積された返却地および返却予定時刻データとを用いて、新たな実績データを作成する実績データ作成手段を備え、
その実績データ作成手段が作成した新たな実績データは、前記の実績データベースに蓄積することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載の車両管理サーバ。
【請求項4】
リアルタイムな渋滞情報を提供する渋滞情報サーバから渋滞データを受信する渋滞データ受信手段を備え、
前記の返却可能エリア出力手段は、前記の渋滞データ受信手段が受信した渋滞データをもサービス対象車両へ送信することとした
請求項1から請求項3のいずれかに記載の車両管理サーバ。
【請求項5】
前記の車両管理データベースには、サービス対象車両ごとの予約データが蓄積されており、
前記の実績データベースにおける返却実績データを用いて返却予定時刻には明らかに返却困難であるサービス対象車両を特定する返却困難車両判断手段と、
その返却困難車両判断手段が返却困難と判断したサービス対象車両に係る予約データを前記の車両管理データベースから抽出して予約振り替えが必要か否かを判断する予約振り替え判断手段と、
その予約振り替え判断手段が予約振り替えを必要と判断した場合に、前記の車両管理データベースから予約の空いている車両に関するデータを取得して予約振り替えを演算し、演算した振り替えデータを前記の車両管理データベースへ蓄積させる振り替え演算手段と、を備えた
請求項1から請求項4のいずれかに記載の車両管理サーバ。
【請求項6】
車両共有サービスに係るサービス対象車両の返却に寄与する情報を利用者へ提供するための車両管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記の車両管理サーバは、サービス対象車両の返却地および返却予定時刻を含むデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の現在位置データから前記の返却地までの距離、現在時刻と実際に返却された返却完了時刻との差分である実際返却時間、および前記の返却予定時刻までに実際の返却が間に合ったか否か返却結果データについて蓄積された返却実績データを蓄積する実績データベースと、を備えており、
前記のコンピュータプログラムは、
サービス対象車両の現在位置データを受信して時刻データと紐付けて取得する現在位置データ受信手順と、
時刻データを含んだ前記の現在位置データ、前記の返却地、前記の返却予定時刻、および前記の返却実績データを用いて返却可能エリアデータを演算する返却可能エリア演算手順と、
前記の現在位置データを送信してきたサービス対象車両へ前記の返却可能エリアデータを送信する返却可能エリア出力手順と
を車両管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記の返却可能エリアデータは、サービス対象車両におけるカーナビゲーション装置において、現在位置データおよび返却可能エリアを地図データ上に一画面で表現可能であるようなデータとした請求項6 に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記の現在位置データ受信手順にて取得した時刻データに紐付けられた現在位置データと、前記の車両管理データベースに蓄積された返却地および返却予定時刻データとを用いて、新たな実績データを作成する実績データ作成手順と、
その実績データ作成手順が作成した新たな実績データを前記の実績データベースに蓄積する実績データ蓄積手順と、を前記の車両管理サーバに実行させることとした
請求項6または請求項7のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
リアルタイムな渋滞情報を提供する渋滞情報サーバから渋滞データを受信する渋滞データ受信手順と、
その渋滞データ受信手順にて受信した渋滞データを当該サービス対象車両へ送信する渋滞データ出力手順と、を前記の車両管理サーバに実行させることとした
請求項6から請求項8のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記の車両管理データベースには、サービス対象車両ごとの予約データが蓄積されていることとし、
前記の実績データベースにおける返却実績データを用いて返却予定時刻には明らかに返却困難であるサービス対象車両を特定する返却困難車両判断手順と、
その返却困難車両判断手順にて返却困難と判断したサービス対象車両に係る予約データを前記の車両管理データベースから抽出して予約振り替えが必要か否かを判断する予約振り替え判断手順と、
その予約振り替え判断手順にて予約振り替えを必要と判断した場合に、前記の車両管理データベースから予約の空いている車両に関するデータを取得して予約振り替えを演算する予約振り替え演算手順と、
その予約振り替え演算手順にて演算した予約振り替えに係る振り替えデータを前記の車両管理データベースへ蓄積させる振り替えデータ蓄積手順と、を前記の車両管理サーバに実行させることとした
請求項6から請求項9のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーシェアリングサービスまたはレンタカーサービス(以下、「車両共有サービス」と略記)に係るサービス対象車両を返却する際に、返却を円滑に実行するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のユーザが共同で多数のサービス対象車両(以下、「シェアカー」とする)を使用するサービスとしては、レンタカーサービスやカーシェアリングサービスがある。いずれのサービスも、返却予定時刻をサービス提供者へサービス利用者が申告し、その返却予定時刻までに所定の返却場所へ借りたシェアカーをサービス利用者が返却する。なお、カーシェアリングサービスにおいては、サービス利用者となるためには会員登録を前提としていることがほとんどである。
【0003】
特許文献1には、カーシェアリングサービスの利用者に対して、利用時間を延長する手続きを、運転の妨げとならないように実行可能な技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、カーシェアリングの利用開始または利用終了メッセージを、適切なタイミングで車両(シェアカー)に搭載されたナビゲーション装置に表示させることができる技術が開示されている。
【0005】
さて、カーシェアリングサービスに用いられるサービス対象車両(シェアカー)は、サービス運営者に係る管理サーバにおいて、シェアカーに搭載された車載機を介して双方向通信を適宜実行している。例えば、利用者が運転中のシェアカーがどこにあるのか、という位置データについてはシェアカーから管理サーバへ、所定のタイミングで送信している。また、利用者に対して知らせたい情報がある場合には、当該利用者に係るシェアカーの車載機へ管理サーバから送信し、シェアカーに搭載された多機能カーナビゲーション装置から出力させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-159072号公報
【文献】特開2011-253321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サービス利用者は、利用開始前にサービス提供者へ届け出ている「返却時刻」までに、シェアカーを返却するため、シェアカーに搭載されている多機能カーナビゲーション装置のナビゲーション機能を用い、返却地へのルート検索、ルート案内を活用することが多い。
【0008】
特許文献2に開示された技術では、車両(シェアカー)に搭載されたナビゲーション装置に、適切なタイミングで利用終了メッセージを表示させるに過ぎず、「返却時刻」までに返却地へ返却するためのタイムマネジメントまでは、カーナビゲーション装置では行えない。
【0009】
カーシェアリング運営者に係る管理サーバ(カーシェアリング管理サーバ)では、それぞれのシェアカーの返却予定時刻や返却地などのデータを蓄積しており、加えて、シェアカーの現在位置を定期的に取得している。したがって、それぞれのシェアカーに対して、「返却時刻」までに返却地へ返却させるためのタイムマネジメントを実行することは、理論上は可能と推測される。
【0010】
しかし、シェアカーの現在位置を頻繁に取得しつつ、返却地までのルート演算や返却地までに係る時間を推定する演算を、多数のシェアカーに対して実行するには、カーシェアリング管理サーバに負荷が掛かりすぎる。加えて、通信量(それに伴う通信料金)も膨大になってしまう。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、車両共有サービスに係るシェアカーを返却する際に、利用者が返却を円滑に実行することに寄与する情報を提供するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決するため、車両管理サーバにおいては、実績データとして蓄積された過去のデータを活用し、返却可能エリアを演算してシェアカーへ提供することとした。
【0013】
(第一の発明)
第一の発明は、車両共有サービスに係るサービス対象車両の返却に寄与する情報を利用者へ提供するための車両管理サーバに係る。
すなわち、サービス対象車両の現在位置データを受信して時刻データと紐付けて取得する現在位置データ受信手段と、
サービス対象車両の返却地および返却予定時刻を含むデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の現在位置データから前記の返却地までの距離、現在時刻と実際に返却された返却完了時刻との差分である実際返却時間、および前記の返却予定時刻までに実際の返却が間に合ったか否か返却結果データについて蓄積された返却実績データを蓄積する実績データベースと、
時刻データを含んだ前記の現在位置データ、前記の返却地、前記の返却予定時刻、および前記の返却実績データを用いて返却可能エリアデータを演算する返却可能エリア演算手段と、
前記の現在位置データを送信してきたサービス対象車両へ前記の返却可能エリアデータを送信する返却可能エリア出力手段と、
を備えた車両管理サーバである(図3参照)。
【0014】
(用語説明)
「車両共有サービス」とは、カーシェアリングを管理運営するサービス、およびカーレンタルサービスの両方を指すものとする。
「サービス対象車両」とは、カーシェアリングであれば「シェアカー」、カーレンタルサービスであれば「レンタルされる車両(レンタカー)」を指すものとする。
サービス車両の利用を希望する者は、カーシェアリングの場合には、予め会員登録をした会員ユーザとなって「利用者」の資格を得るのが一般的である。
【0015】
「現在位置データ」と「時刻データ」との紐付けは、サービス対象車両において実行する場合、車両管理サーバにおいて実行する場合、両方において実行する場合、の3パターンがあり得る。なお、図3中、時計およびそこから取得する現在時刻を破線で示しているのは、前記の3パターンがあり得ることを意図している。
【0016】
(作用)
車両管理データベースにおいては、サービス対象車両の返却地および返却予定時刻を含むデータを予め蓄積している。また、実績データベースにおいては、現在位置データから返却地までの距離、現在時刻と実際に返却された返却完了時刻との差分である実際返却時間、および返却予定時刻までに実際の返却が間に合ったか否か返却結果データについて蓄積された返却実績データを予め蓄積している。
所定のサービス対象車両から現在位置データが送信されてきた場合、その現在位置データを現在位置データ受信手段が受信し、時刻データと紐付けて取得する。返却可能エリア演算手段は、現在位置データに係るサービス対象車両の返却地および返却予定時刻を車両管理データベースから引き出し、返却地に関わる返却実績データを実績データベースから引き出し、返却可能エリアデータを演算する。演算結果としての返却可能エリアデータは、返却可能エリア出力手段が現在位置データを送信してきたサービス対象車両へ送信する。
【0017】
返却可能エリアデータを受信したサービス対象車両は、搭載されているカーナビゲーション装置に出力させることで、サービス対象車両の利用者が返却に関わる運転の参考に用いることができる。
車両管理サーバとしては、現在位置データを受信し、返却地に伴う過去の関連データを使って返却可能エリアを演算するので、受信した現在位置データに基づいて、その日時における返却可能エリアを推定する演算を実行することに比べ、演算の負担が小さくて済む。
【0018】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、前記の返却可能エリアデータは、サービス対象車両におけるカーナビゲーション装置において、現在位置データおよび返却可能エリアを地図データ上に一画面で表現したものとする(図3図6参照)。
【0019】
「現在位置データおよび返却可能エリアを地図データ上に一画面で表現する」とは、たとえば、地図上に返却地を中心として返却可能エリアを囲んで表現する表現法である(図3参照)。また、返却地、返却可能エリアを所定四方のメッシュとして、色分けをする表現法もある(図11参照)。
前記の返却可能エリア演算手段が演算する返却可能エリアデータに地図データを含むこととしてもよいが(図5参照)、含まないこととする(サービス対象車両におけるカーナビゲーション装置において地図データと組み合わせて出力させる)のが望ましい(図6参照)。サービス対象車両へ送信するデータ量を抑制できるからである。
【0020】
(作用)
サービス対象車両におけるカーナビゲーション装置では、現在位置データおよび返却可能エリアを地図データ上に一画面で表現されるので、利用者は運転しながら、返却可能エリアと現在位置との関係を、直感的に把握できる。
【0021】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、前記の現在位置データ受信手段が取得した時刻データに紐付けられた現在位置データと、前記の車両管理データベースに蓄積された返却地および返却予定時刻データとを用いて、新たな実績データを作成する実績データ作成手段を備え、
その実績データ作成手段が作成した新たな実績データは、前記の実績データベースに蓄積することとするのである(図7参照)。
【0022】
(作用)
前記の現在位置データ受信手段が取得した時刻データに紐付けられた現在位置データと、前記の車両管理データベースに蓄積された返却地および返却予定時刻データとを用いて、新たな実績データを実績データ作成手段が作成する。作成された新たな実績データは、前記の実績データベースに蓄積する。
実績データが増えることによって、演算される返却可能エリアの精度向上が期待できる。
【0023】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、リアルタイムな渋滞情報を提供する渋滞情報サーバから渋滞データを受信する渋滞データ受信手段を備え、
前記の返却可能エリア出力手段は、前記の渋滞データ受信手段が受信した渋滞データをもサービス対象車両へ送信することとしてもよい(図8参照)。
【0024】
(用語説明)
「渋滞情報サーバ」とは、公益社団法人や民間企業が提供する情報サービス提供者に係るサーバである。
【0025】
(作用)
リアルタイムな渋滞情報を提供する渋滞情報サーバから渋滞データ受信手段が渋滞データを受信する。そして、返却可能エリア出力手段は、受信した渋滞データを返却可能エリアデータとともにサービス対象車両へ送信する。サービス対象車両には、返却実績データに基づいた返却可能エリアデータに加え、リアルタイムな情報としての渋滞データも提供されることとなる。
【0026】
(第一の発明のバリエーション4 )
第一の発明は、以下のようにすることもできる。
すなわち、 前記の車両管理データベースには、サービス対象車両ごとの予約データが蓄積されており、前記の実績データベースにおける返却実績データを用いて返却予定時刻には明らかに返却困難であるサービス対象車両を特定する返却困難車両判断手段と、
その返却困難車両判断手段が返却困難と判断したサービス対象車両に係る予約データを前記の車両管理データベースから抽出して予約振り替えが必要か否かを判断する予約振り替え判断手段と、
その予約振り替え判断手段が予約振り替えを必要と判断した場合に、前記の車両管理データベースから予約の空いている車両に関するデータを取得して予約振り替えを演算し、演算した振り替えデータを前記の車両管理データベースへ蓄積させる振り替え演算手段と、を備えるのである( 図9 参照) 。
【0027】
(用語説明)
「返却実績データを用いて返却予定時刻には明らかに返却困難」と判断するのは、たとえば、返却予定時刻から現在時刻を差し引きした残り時間よりも30分長くても返却された例が存在しないような場合である。実績データの蓄積に応じて、返却困難と判断するアルゴリズムは適宜変更する。
【0028】
(作用)
実績データベースにおける返却実績データを用いて、返却予定時刻には明らかに返却困難であるサービス対象車両を返却困難車両判断手段が特定する。返却困難と判断したサービス対象車両に係る予約データを前記の車両管理データベースから抽出し、予約振り替えが必要か否かを予約振り替え判断手段が判断する。
予約振り替えを必要と判断した場合には、振り替え演算手段が車両管理データベースから予約の空いている車両に関するデータを取得して予約振り替えを演算する。そして、演算した振り替えデータを前記の車両仮データベースへ蓄積させる。
【0029】
返却困難と判断されたサービス対象車両を、次に予約しているユーザがいる場合に、そのユーザに係る予約の振り替えを演算し、車両管理データベースを改定する。
なお、振り替えた予約に係るユーザに対しては、別途の通信手段に基づいて、当該ユーザへ振り返られた車両を特定するための情報を送信することとなる。
【0030】
(第二の発明)
第二の発明は、車両共有サービスに係るサービス対象車両の返却に寄与する情報を利用者へ提供するための車両管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムに係る。
前記の車両管理サーバは、サービス対象車両の返却地および返却予定時刻を含むデータを蓄積している車両管理データベースと、
前記の現在位置データから前記の返却地までの距離、現在時刻と実際に返却された返却完了時刻との差分である実際返却時間、および前記の返却予定時刻までに実際の返却が間に合ったか否か返却結果データについて蓄積された返却実績データを蓄積する実績データベースと、を備えている。
前記のコンピュータプログラムは、
サービス対象車両の現在位置データを受信して時刻データと紐付けて取得する現在位置データ受信手順と、
時刻データを含んだ前記の現在位置データ、前記の返却地、前記の返却予定時刻、および前記の返却実績データを用いて返却可能エリアデータを演算する返却可能エリア演算手順と、
前記の現在位置データを送信してきたサービス対象車両へ前記の返却可能エリアデータを送信する返却可能エリア出力手順と
を車両管理サーバに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0031】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、返却可能エリアデータは、サービス対象車両におけるカーナビゲーション装置において、現在位置データおよび返却可能エリアを地図データ上に一画面で表現可能であるようなデータとすると、より好ましい。
【0032】
( 第二の発明のバリエーション2 )
第二の発明は、以下のようにしても良い。
すなわち、前記の現在位置データ受信手順にて取得した時刻データに紐付けられた現在位置データと、前記の車両管理データベースに蓄積された返却地および返却予定時刻データとを用いて、新たな実績データを作成する実績データ作成手順と、
その実績データ作成手順が作成した新たな実績データを前記の実績データベースに蓄積する実績データ蓄積手順と、
を前記の車両管理サーバに実行させることするのである。
【0033】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明は、以下のようにしても良い。
すなわち、 リアルタイムな渋滞情報を提供する渋滞情報サーバから渋滞データを受信する渋滞データ受信手順と、
その渋滞データ受信手順にて受信した渋滞データを当該サービス対象車両へ送信する渋滞データ出力手順と、
を前記の車両管理サーバに実行させることしてもよい。
【0034】
(第二の発明のバリエーション4 )
第二の発明は、以下のようにしても良い。
すなわち、 前記の車両管理データベースには、サービス対象車両ごとの予約データが蓄積されていることとし、
前記の実績データベースにおける返却実績データを用いて返却予定時刻には明らかに返却困難であるサービス対象車両を特定する返却困難車両判断手順と、
その返却困難車両判断手順にて返却困難と判断したサービス対象車両に係る予約データを前記の車両管理データベースから抽出して予約振り替えが必要か否かを判断する予約振り替え判断手順と、
その予約振り替え判断手順にて予約振り替えを必要と判断した場合に、前記の車両管理データベースから予約の空いている車両に関するデータを取得して予約振り替えを演算する予約振り替え演算手順と、
その予約振り替え演算手順にて演算した予約振り替えに係る振り替えデータを前記の車両仮データベースへ蓄積させる振り替えデータ蓄積手順と、を前記の車両管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0035】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-R、CD-RW、MO(光磁気ディスク)、DVD-R、DVD-RW、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0036】
第一および第二の発明によれば、車両管理サーバに過度な負荷を掛けることなく、カーシェアリングやレンタルカーのサービスを利用する利用者に対して、返却可能エリアデータを提供可能な車両管理サーバを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第一の実施形態のハードウェア構成の概略図である。
図2】車両管理サーバにおけるサービス対象車両の把握、サービス対象車両におけるカーナビゲーション装置の表示を概念的に示したものである。
図3】第一の実施形態の概要を示すブロック図である。
図4】第一の実施形態に係る実績データベースのデータ構造を示す概念図である。
図5】第一の実施形態における主要部を示す概念図である。
図6】第二の実施形態の概要を示すブロック図である。
図7】実績データの作成手順の概要を示すブロック図である。
図8】第三の実施形態の概要を示すブロック図である。
図9】第四の実施形態の概要を示すブロック図である。
図10】第四の実施形態に基づく多機能カーナビゲーション装置の出力画面の例示である。
図11】返却可能エリアを表示する表現方法としてのバリエーションを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。ここで使用する図面は、図1から図11である。
以下の実施形態では、カーシェアリングサービスを主に説明する。ただし、カーシェアリングサービスは、レンタカーサービスと置き換えることができる。
以下、カーシェアリングサービスに用いる自動車(サービス対象車両)を「シェアカー」と表記する。
なお、多機能カーナビゲーション装置へ出力表示は、デザインなどが適宜変更されることがある。
【0039】
本実施形態において説明するカーシェアリングを利用するには、管理および運営上の都合から、まず会員登録を済まさなければならないこととしている。すなわち、以下の実施形態に示すサービスを受けることができる「車両利用希望者」や「利用者」は、全て会員登録を済ませていることとなる。
【0040】
会員登録は、氏名や住所の他、利用料金の支払い口座などの会員データを予め登録する。その登録データは、会員データベースへ蓄積されるとともに、会員であることを認証するためのIDカードが発行される。このIDカードには、そのユーザが会員であることを認証するために必要なデータがICチップへ格納されたICカードであり、シェアカーに搭載されたカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことでそのデータが読み取れるようになっている。施錠されているシェアカーの解錠も、前記の登録済みカードにて行う。
なお、ICカードに代わってスマートフォンを用いることもできる。すなわち、非接触通信が可能な会員ユーザに係るスマートフォンへ所定のデータを読み込ませ、ICカードの代用とするのである。
【0041】
シェアカーの返却時には、利用者は、以下のように動作する。
すなわち、シェアカーを、カーシェアリングの基地となっている駐車スペースへ停車させ、シェアカーのシフトレバーをパーキングモードにする。エンジンキーを抜き、グローブボックスをあける。グローブボックスの中には、エンジンキーを収納しておくキーボックスが設けられている。そのキーボックスへエンジンキーを挿入し、返却ポジションへ回す。登録済みカードをカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことで、シェアカーを施錠する。
【0042】
図1
図1は、車両管理サーバと、サービス対象車両(シェアカー)に搭載されたデータ処理装置と、の関係を示している。シェアカーを利用する会員に係る携帯通信端末(スマートフォンを含む携帯電話、タブレット型PCなど)と車両管理サーバとの間でも、予約などの際に通信があるが、その点は省略している。
【0043】
サービス対象車両には、車両管理サーバとの無線通信を実行する車載機、カードリーダとしての車両解錠センサ、およびカーナビゲーションのみならずカーシェアリングに関する各種の案内や会員ユーザからの連絡事項などを入出力する多機能カーナビゲーション装置が、データ処理装置として搭載されている。
【0044】
車両管理サーバは、前述したように、会員の利用状況、予約などの管理、サービス対象車両の車両管理などを実行する。
車載機は、車両管理サーバとの無線通信のほか、車両解錠センサおよび多機能カーナビゲーション装置とのシリアル通信を行う。
【0045】
多機能カーナビゲーション装置は、タッチパネルを備えており、車載機を介して送り込まれた各種のデータを用いての会員ユーザへのメッセージ表示や、会員の意思表示をタッチパネルによる入力の受付(サービス用ボタン表示)、その入力内容を車載機への送信、などを行う。
カーナビゲーション機能を担保するため、GPS(Global Position System)を利用して現在位置データを取得している。そしてその現在位置データは、車載機を介して車両管理サーバへ送信する。
【0046】
シェアカーを利用する会員に係る携帯通信端末は、車両管理サーバとの無線通信が可能であるように、予め専用のアプリケーションをインストールしてある。そのアプリケーションは、シェアカーの予約などに用いる。
ただし、専用のアプリケーションが必須であるとする必要はなく、車両管理サーバが予め把握しているメールアドレスにて、車両管理サーバからの連絡や電子クーポンの受信が可能である、としてもよい。
【0047】
図2
図2(a)は、シェアカーからの現在位置データを受信した車両管理サーバにおいて、当該シェアカーがどこにあるか、返却場所がどこか、ということを認識している状態を概念的に示したものである。
【0048】
図2(b)は、現在位置データを車両管理サーバへ送信した状態でのシェアカー(サービス対象車両)における多機能カーナビゲーション装置に表示されている画面を示したものである。多機能カーナビゲーション装置の画面には、現在位置とルート表示とがなされる。
【0049】
図3
図3では、サービス対象車両から現在位置データ(時刻データを含む)を受信し、返却加納エリアデータを返信するまでの機能を発揮する車両管理サーバの構成を示している。
すなわち、サービス対象車両から現在位置データを受信する現在位置データ受信手段と、当該サービス対象車両の返却地および返却予定時刻を蓄積している車両管理データベースと、返却の可否に関する過去データを蓄積している実績データベースと、返却可能エリアを演算する返却可能エリア演算手段と、演算した返却可能エリアデータをサービス対象車両へ送信する返却可能エリア出力手段と、を備えている。
【0050】
車両管理データベースには、シェアカーの利用状況、予約状況などのデータを格納している。また、図示は省略するが、前述の会員に関する属性情報や、利用料金に関するデータなどを格納している会員データベース、各種の電子クーポンに関する内容(発行条件やクーポンによる特典の内容など)や、ポイント特典(発行条件やポイント量など)を格納したクーポンデータベースも、車両管理サーバには存在する。
【0051】
実績データベースに格納された返却実績データの構造については、図4に基づいて説明する。また、返却可能エリア演算手段が、どのように演算するのかについては、図5に基づいて説明する。
【0052】
なお、車両管理サーバにおいて、現在位置データ受信手段に対して、時計が現在時刻を提供している様子を破線で示している。これは、サービス対象車両から受信した現在位置データに伴った時刻データとの照合をする(必要に応じてズレを修正したり差分との間を採用したりする)、といった使い方をするためである。
【0053】
図4
図4は、実績データの構造についての例示である。実績データとは、返却地までの直線距離と返却までの残り時間との関係で、返却予定時刻までに返却が完了した場合に「○」、返却予定時刻までに返却が完了できなかったばあいには「X」という結果データを整理してある。
【0054】
図4では、返却場所ごと(品川区、足立区、成田市といった行政区画ごと)に、結果データを備えていることとして示している。これは、例示であり、例えば駐車場毎に結果データを収録しておいても良い。
【0055】
返却場所ごとの結果データは、更に、曜日および午前/午後の別で、データテーブルを備えている様子を図示している。これもまた例示であり、休日か平日かの区別、月末か否かのくべつなどで、別テーブルを用意していても良い。
【0056】
図5
図5は、返却可能エリア演算手段が、どのようなデータに基づいて返却可能エリアを算出しているかを示している。
まず、所定のサービス対象車両から送信されてきた現在位置データは、「千葉県市川市(付近)」であるとし、それの時刻は、月曜日の13時55分であったとする。
【0057】
サービス対象車両を特定するデータに基づいて、そのサービス対象車両の返却地と返却予定時刻を車両管理データベースから取得する。返却地は「東京都千代田区」にある駐車場であり、返却予定時刻は月曜日の15時であったとする。
【0058】
実績データベースの中から、前述のデータに該当するデータテーブルを抽出する。すなわち、返却場所が東京都千代田区、該当日時が月曜日の午後、というデータテーブルである。
また、返却予定時刻から現在時刻を差し引いた時間、すなわち返却までの残り時間は65分なので、抽出したデータテーブルの中から「60分」(図中の表においてハッチングを施した部位)を読み込む。そして、返却地までの直線距離において、返却できた距離と返却できなかった距離とのボーダーを把握する。
【0059】
返却可能エリアデータとしては、返却地を中心として、前述の把握したボーダーを半径とした返却可能エリアを地図上に円弧で描いたものとなる。
返却可能エリア演算手段が演算した返却可能エリアデータは、返却可能エリア出力手段にて、サービス対象車両の車載機へ送信される。
【0060】
図6
図6に示すのは、前述した「返却可能エリアデータ」の代わりに、「返却可能エリア表示用データ」を返却可能エリア演算手段が演算する、という場合を図示したものである。
すなわち、地図データを含まない「返却可能エリア表示用データ」を返却可能エリア演算手段が演算し、サービス対象車両へ送信された「返却可能エリア表示用データ」には、多機能カーナビゲーション装置が地図データと組み合わせて出力させることとしている。
【0061】
図6のように、返却可能エリア演算手段が演算し、返却可能エリア出力手段が送信するデータが、地図データを含まない「返却可能エリア表示用データ」とすることで、車両管理サーバにおける演算量、送信量を抑制することができる。
【0062】
サービス対象車両の運転者(カーシェアリングサービスの会員ユーザ)は、返却可能エリアが現在位置との関係で地図に表示されるので、返却予定時刻までに返却可能な場所に現在いるのか否かを直感的に把握できる。
車両管理サーバの運営者(カーシェアリングの事業者)としては、返却可能エリアに関する情報を提供することで、利用者が返却予定時刻を超過する事態を未然に防ぐことに寄与する。
【0063】
なお、この実施形態におけるサービス対象車両は、渋滞情報サーバへもアクセスし、渋滞データを受信して、多機能カーナビゲーション装置に取り込むこととしている。多機能カーナビゲーション装置は、返却可能エリアデータの表示とともに、渋滞データを表示させることとすれば、返却場所へのルート選択の参考とするなどして、返却予定時刻までの返却の確度を上げる。
【0064】
図示は省略するが、図6に示したような、サービス対象車両が独自で渋滞データを取得した後に、運転者(ユーザ)が車両管理サーバへ、より精度の高い返却可能エリアデータを求める、といった手順の後に、図8で示したような手順を踏むこととしても良い。
【0065】
図7
図7は、実績データの新たな作成手順を示している。
サービス対象車両は、利用者による走行中、現在位置データを複数回、車両管理サーバへ送信している。現在位置データ受信手段は、送信されてきた現在位置データを受信する。受信した現在位置データには、受信時刻を含むこととする。
【0066】
時刻データを伴った現在位置データと、サービス対象車両に係る返却地および返却予定時刻とを実績データ作成手段が一旦蓄積する。そして、返却完了時の現在位置データおよびその返却時刻を得たら、返却予定時刻に間に合ったか否かの結果データを加え、新たに作成した実績データとして実績データベースへ蓄積するのである。
【0067】
なお、受信した現在位置データの経時変化を捉えることで返却地から遠ざかっていることが推測される場合、返却のために運転しているのではないと考えられる。この場合、実績データの作成のための基礎データからは外す。受信した現在位置データの経時変化を捉えることで返却地へ向かっていることが推測できるデータを実績データの作成に用いるのである。
【0068】
現在位置データが返却地から20キロメートルの位置にあり、その時点の時刻が13時だったとする。その後、返却された時刻が返却予定時刻よりも30分早く、13時30分に返却が完了したとすれば、返却地から20キロメートルの位置で30分の所要時間に「○」として、実績データベースへ蓄積する。
【0069】
実績データの蓄積が進むことで、実績データの精度が向上する。それは、返却可能エリアの精度を高め、カーシェアリングにおけるサービスの質向上に寄与することとなる。
【0070】
図8
図8に示すのは、現在位置データに伴う時刻データは、サービス対象車両から受信した時刻データをそのまま使う場合を示したものである。
サービス対象車両の車載機が現在位置データを取得した時刻と、車両管理サーバがそのデータを受信した時刻とは厳密にはズレが発生する。しかし、最終的なアウトプットとしての返却可能エリアが厳密であることの意義は小さいので、サービス対象車両の負担軽減のため、図3などに示した時計機能を省略した実施形態とした。
【0071】
この実施形態においては、車両管理サーバが渋滞情報サーバから渋滞データを取得し、返却可能エリア出力手段とともにサービス対象車両へ提供することとしている。図6に示した実施形態では、サービス対象車両が独自に渋滞情報サーバへアクセスして独自に渋滞データを取得していた。
返却可能エリアに関する情報提供は、返却実績データに基づいているが、車両管理サーバが一括して渋滞データを扱うことで、リアルタイムな情報提供をも伴わせて実行できることとなる。
【0072】
図9
図9に示すのは、返却実績データから見て返却予定時刻までの返却が困難な車両が出現した場合に、その車両に係る次の予約に関する調整などを実行する実施形態である。
すなわち、実績データベースにおける返却実績データを用いて返却予定時刻には明らかに返却困難であるサービス対象車両を特定する返却困難車両判断手段と、 その返却困難車両判断手段が返却困難と判断したサービス対象車両に係る予約データを前記の車両管理データベースから抽出して予約振り替えが必要か否かを判断する予約振り替え判断手段と、 その予約振り替え判断手段が予約振り替えを必要と判断した場合に、前記の車両管理データベースから予約の空いている車両に関するデータなどを取得して予約振り替えを演算し、演算した振り替えデータを前記の車両管理データベースへ蓄積させる振り替え演算手段と、を備えている。
【0073】
また、予約振り替え判断手段が振り替え不要と判断した場合、サービス対象車両の多機能カーナビゲーション装置に対して、返却時刻を延長するための延長申請画面を出力させる延長申請画面出力命令手段も備えている。
【0074】
返却困難と判断されたサービス対象車両を、次に予約しているユーザがいる場合に、そのユーザに係る予約の振り替えを演算し、車両管理データベースを改定する。次のユーザが困らないように、早めに代車を確保するためである。
図示は省略しているが、振り替えた予約に係るユーザに対しては、別途の通信手段に基づいて、当該ユーザへ振り返られた車両を特定するための情報を送信する。
【0075】
図10
図10に示すのは、延長申請画面出力命令手段が命令信号を発信したサービス対象車両に係る多機能カーナビゲーション装置の画面例である。
地図画面および車両の位置が表示されている右側へ、延長申し込みボタンを表示させる。
なお、次の予約に係るユーザとの関係で、120分の延長ができない場合には、30分および60分の延長ボタンしか表示しない、または120分延長ボタンは機能しない、とする。
【0076】
図11
図11に示すのは、返却可能エリアを表示する表現方法としてのバリエーションである。返却地のある場所、返却可能エリア、返却不能範囲のそれぞれを所定四方のメッシュとして、色分けして(図では色を使えないのでハッチングの種類を異ならせることで)示している。
【0077】
運転者としてのユーザは、自らが運転する自動車の位置(座標)を、メッシュ情報と比較するだけで、返却が可能か否かを大凡の判断が可能となる。
また、実績データベースとしては、全エリアのデータを保有しなくても、境界となるエリアがどこになるかを保有していればよいので、データサイズを削減できる。同様に、返却可能エリア表示用データも小さくなるので、通信量を抑えられる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、カーシェアリングまたはレンタカーを管理運営するサービス業、カーシェアリングまたはレンタカーを実現するためのサポートをする情報通信サービス業、カーシェアリングまたはレンタカーの運営のためのコンピュータソフトウェアを作成するソフトウェア産業、ドライブ情報などを提供する情報サービス業などにおいて利用可能性を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11