(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】グルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/28 20060101AFI20230421BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20230421BHJP
A61N 5/10 20060101ALI20230421BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A61K31/28
A61K41/00
A61N5/10 Z
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2018534480
(86)(22)【出願日】2016-09-20
(86)【国際出願番号】 US2016052603
(87)【国際公開番号】W WO2017053268
(87)【国際公開日】2017-03-30
【審査請求日】2019-09-17
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-20
(32)【優先日】2015-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518095644
【氏名又は名称】セラノ-オヘダ ペドロ アナスタシオ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セラノ-オヘダ ペドロ アナスタシオ
【合議体】
【審判長】原田 隆興
【審判官】前田 佳与子
【審判官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0054019(US,A1)
【文献】特表2015-521198(JP,A)
【文献】特表2014-524419(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0177523(US,A1)
【文献】薬学雑誌,2015年,Vol.135,No.4,p.551-556
【文献】Nanomedicine:Nanotechnology,Biology,and Medicine,Vol.5,2009,p.136-142
【文献】The Journal of Nutrition,2001,Vol.131,p.2539S-2542S
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/00-33/44
CAplus/MEDLINE/REGISTRY/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍化細胞を高エネルギ放射線と組み合わせて治療するためのグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤であって、
前記グルタミン-付着-高Z元素化合物は、少なくとも22の原子番号Zの元素を有し、式IA、IB、IIA、IIB、IIIA、IIIB、IVA、IVB、VAおよびVBを有する化合物の群から選択され:
【化1】
式IA
X=O,S,NH
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
【化2】
式IB
X=O,S,NH
リンカ=(CH
2)
n-X,[(CH
2CH
2)
mX]
n
n=1~50
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
【化3】
式IIA
X=O,S,NH
リンカは、C=O-CH
2-X
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
【化4】
式IIB
X=O,S,NH
リンカは、(CH
2)
n-X,[(CH
2CH
2)
mX]
n,CH
2CH
2X-CH
2CH
2
n=1~50
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
【化5】
式IIIA
X=O,S,NH
リンカ=(CH
2)
n-X,[(CH
2CH
2)
mX]
n
n=1~50
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
【化6】
式IIIB
X=O,S,NH
リンカは、(CH
2)
n,[(CH
2CH
2)
m]
n
n=1~50
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
【化7】
式IVA
X=O,S,NH
リンカ=(CH
2)
n-X,[(CH
2CH
2)
mX]
n
n=1~50
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
【化8】
式IVB
リンカは、X-(CH
2)
n,X-[(CH
2CH
2)
mX]
n
n=1~50
Z=高Z元素
、または高Z元素を有する基
【化9】
式VA
X=O,S,NH
リンカは、-X(CH
2)
n,[(CH
2CH
2)
mX]
n
n=1~50
Z=高Z元素
、または高Z元素を有する基
【化10】
式VB
X=O,S,NH
リンカは、(CH
2)
n-X,[(CH
2CH
2)
mX]
n
n=1~50
Z=
高Z元素、または高Z元素を有する基
mは、1~50の整数である、グルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項2】
前記高エネルギ放射線は、X線、γ線、マイクロ波、α粒子、プロトン、および中性子の群から選択される、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項3】
前記高Z元素は、バナジウム(Z=23)、鉄(Z=26)、コバルト(Z=27)、銅(Z=29)、モリブデン(Z=42)、パラジウム(Z=46)、銀(Z=47)、スズ(Z=50)、タンタル(Z=73)、ガドリニウム(Z=64)、ジスプロシウム(Z=66)、ホルミウム(Z=67)、ハフニウム(Z=72)、タングステン(Z=74)、レニウム(Z=75)、オスミウム(Z=76)、イリジウム(Z=77)、金(Z=79)、タリウム(Z=81)、鉛(Z=82)、ビスマス(Z=83)、およびウラン(Z=92)の群から選択される、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項4】
前記グルタミン-付着-高Z元素化合物は、式IAおよびIBである、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項5】
前記グルタミン-付着-高Z元素化合物は、式IIAおよびIIBである、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項6】
前記グルタミン-付着-高Z元素化合物は、式IIIAおよびIIIBである、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項7】
前記グルタミン-付着-高Z元素化合物は、式IVAおよびIVBである、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項8】
前記グルタミン-付着-高Z元素化合物は、式VAおよびVBである、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項9】
前記高Z元素は、金またはヨウ素である、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【請求項10】
前記治療は、細胞ミトコンドリアを標的にすることにより行われ、
前記治療は、前記腫瘍化細胞を前記放射線増感剤で処置し、かつ、前記腫瘍化細胞を高エネルギ放射線で処置する工程を含み、
前記グルタミン-付着-高Z元素化合物は、前記細胞ミトコンドリアに曝露され、前記細胞のミトコンドリアに到達し、その後、前記細胞のミトコンドリアが前記高エネルギ放射線に照射される、請求項1に記載のグルタミン-付着-高Z元素化合物を含む放射線増感剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタミン-高Z元素化合物の投与およびその後の、そのような組織または細胞の高エネルギ放射線、例えば、限定はされないが、X線、γ線、マイクロ波、α粒子、プロトン、および中性子への曝露による標的組織または細胞の切除のための方法を記載する。より特定的には、本発明は、破壊のための前記組織または細胞のミトコンドリアを標的にし、よって、そのような細胞が増殖するのに必要とするエネルギを欠乏させるための方法を記載する。
【背景技術】
【0002】
放射線療法は通常、癌細胞を死滅させ、腫瘍を縮小させるためのX線、γ線、中性子、プロトン、および他の起源からの高エネルギ放射線の使用として規定される。放射線は体外の機械に由来してもよく(体外照射療法とも呼ばれる)、または、体内に癌細胞の近くで配置された放射性材料に由来してもよい(内照射療法とも呼ばれる)。
【0003】
しかしながら、放射線療法には限界がある。望まれない組織を切除するために使用される電離放射線は、周囲の健康な組織にダメージを引き起こす可能性があり、標的細胞を放射線抵抗性にする低酸素などの状態のため、または細胞がそのような放射線の効果に感受性でなくなる分裂周期の一部にあるため、標的組織に対して有効とならない可能性もある。放射線療法の有効性を増強させるため、および健康な、非標的組織へのダメージを制限するための化合物および技術を開発しようとして、多くの研究および努力が費やされてきた。
【0004】
放射線増感剤は、腫瘍化細胞を放射線の効果に対してより感受性にすることにより、放射線療法の有効性を増強させるように作製された薬物である。ハロゲン化ピリミジンとして知られている1つのクラスの放射線増感剤は、直接、DNAを放射線からのダメージに対してより感受性にすることにより、この増強効果を達成する。このクラスの放射線増感剤は直接DNA鎖に、チミジンの代わりにハロゲン化ピリミジンを組み込むことにより作用する。この置換はDNA鎖を弱め、細胞を放射線および紫外線に対してより感受性にする。別のクラスの放射線増感剤は高速電離/脱励起プロセスおよび二次電子の強い放出により機能する。低酸素細胞増感剤として知られている、さらに別のクラスの放射線増感剤は、分子酸素が不足した腫瘍化細胞の放射線感受性を増加させる。
【0005】
これらの薬物の放射線増感作用は、修復可能でなく、よってアポトーシスを引き起こす鎖切断の生成において、核DNAにダメージを与える後者の能力を増大させることにより、電離放射線を助けると考えられる。放射線増感特性を有することが知られている薬物シスプラチン、化学療法薬は、ミトコンドリア構造にダメージを与え得ることもまた理論立てされている。
【0006】
さらに、細胞呼吸は、栄養分由来の生化学エネルギがアデノシン三リン酸(「ATP」)の形態のエネルギに変換される代謝過程の組である。正常好気性細胞呼吸中、1分子のグルコース(哺乳類血清中の最も豊富な栄養分)が、2分子のピルビン酸および2つの正味の分子のATPに変換される。このプロセスは解糖として知られている。ピルビン酸はその後さらに分解され、36-38分子の理論収率のATPが放出される。
【0007】
ミトコンドリアは好気性細胞呼吸プロセスにおいて重要な役割を果たし、ほとんど全ての真核生物細胞の細胞質中にある球状または細長い小器官であり、遺伝子材料および細胞代謝に重要な多くの酵素(食物の使用可能エネルギへの変換の責任を負うものを含む)を含有する。ミトコンドリアは、細胞が移動し、分裂し、分泌産物を生成し、収縮するために必要とするエネルギを提供し--要するに、それらは細胞のパワーセンタである。それらはおよそ細菌のサイズであるが、細胞型によって異なる形状を有し得る。
【0008】
ミトコンドリアは膜結合型小器官であり、核のように、二重膜を有する。外膜はかなり滑らかであり、内膜は大きく回旋し、クリステと呼ばれるひだを形成する。クリステは非常に内膜の表面積を増加させ、ミトコンドリア電子伝達が起こるのはここである。
【0009】
ミトコンドリアの精巧な構造は小器官の機能に非常に重要である。2つの特殊な膜は細胞内に存在する各ミトコンドリアを取り囲み、小器官を狭い膜間腔とずっと大きな内部マトリクスとに分割し、その各々が非常に特殊なタンパク質を含む。ミトコンドリアの外膜は、タンパク質ポリンにより形成される多くのチャネルを含み、篩のように作用し、大きすぎる分子を濾過して除去する。同様に、大きく回旋し、よって、クリステと呼ばれる多数の陥入が形成される内膜もまた、ある一定の分子のみを通過させ、外膜よりもずっと選択的である。マトリクスにとって必須である材料のみがその中に入れることを確実なものにするために、内膜は的確な分子のみを輸送する一群の輸送タンパク質を使用する。同時に、ミトコンドリアの様々な区画は調和して作用し、複雑な多段階プロセスでATPを生成させることができる。
【0010】
ミトコンドリアは大部分の他の小器官とは異なっており、というのも、それは、それ独自の環状DNA(原核生物のDNAと類似)を有し、それが見出される細胞とは独立して複製するからであり、内共生の明らかな場合となっている。ミトコンドリアDNAはマトリクスに限局され、これは、多くの酵素、ならびにタンパク質合成のためのリボソームを含む。細胞呼吸の重大な代謝工程の多くはミトコンドリアマトリクスを通って拡散することができる酵素により触媒される。呼吸に関与する他のタンパク質、例えばATPを生成させる酵素は、ミトコンドリア内膜内に埋め込まれている。クリステの陥入は、細胞呼吸に関与する酵素を受け入れるために使用可能な表面積を劇的に増加させる。
【0011】
ヒトミトコンドリアは、5から10の同一の、環状DNA分子を含む。各分子は37の遺伝子をコードする16,569塩基対を含み、リボソームRNA(rRNA)、トランスファーRNA(tRNA)、および13のポリペプチドが含まれる。13のタンパク質は、ミトコンドリア内膜中のタンパク質複合体の重要な一部であり、複合体I、III、IV、およびVの一部を形成する。これらのタンパク質複合体はまた、核DNAによりコードされるタンパク質(サイトゾルで合成され、ミトコンドリア内に移入される)に依存する。
【0012】
酸素非存在下で、低酸素細胞は依然として、解糖によりエネルギを生成させ、2つの正味のATP分子を生成させることができる。しかしながら、そのような低酸素条件下では、得られたピルビン酸は、さらなる処理のためにミトコンドリア内に輸送されず、むしろ、細胞質内にとどまり、そこで、これが、乳酸発酵により乳酸に変換され、細胞から排出される。このプロセスは、嫌気性呼吸として知られている。
【0013】
興味深いことに、しばらくの間、酸素の存在下であっても、腫瘍化細胞を迅速に増殖させるには、非効率的嫌気性呼吸が好まれ、よって、異常に高い量のグルコースが使用されることが観察された。これは、好気性解糖、またはオットー・ハインリッヒ・ワールブルク(Otto Heinrich Warburg)(1926に発見した)にちなんでワールブルク効果として知られている。この効果を説明するために様々な説が出されており、その中で、グルコース分解は細胞に様々な生合成経路で使用される中間体を提供する。そのため、腫瘍細胞は、そのような中間体の迅速な供給を維持するために、頑強な解糖を維持することが理論化されている。
【0014】
しかしながら、グルコースは、癌細胞を増殖させることにより非常に高いレベルで消費される唯一の化合物ではない。これらの細胞はまた、非腫瘍形成性細胞と比べ、大量のグルタミンを使用する。グルタミンは身体全体に豊富に存在する非必須アミノ酸であり、多くの代謝過程に関与する。これは、グルタミン酸とアンモニアから合成される。これは体内の窒素の主要な運搬体であり、多くの細胞のための重要なエネルギ源となる。
【0015】
癌細胞では、TCAサイクルは打ち切られる。というのも、そのような細胞は、生合成目的のためにサイクル由来の炭素を使用するからである。そのため、クエン酸はずっとサイクルして戻り、オキサロ酢酸(「OAA」)を再生する可能性は少ない。腫瘍は、大量のアミノ酸グルタミンを酸化させ、これを打ち切られたTCAサイクルに組み入れることにより、OAAを再生する必要性の問題を解決し、また、それらが増殖するのに必要とするエネルギの多くを生成させる。腫瘍化細胞では、打ち切られたTCAサイクルは、グルコースのリン酸化により供給される、グルタミンおよびピルビン酸を組み入れ、エネルギを生成させ、生合成経路の前駆体を生成させる。
【0016】
腫瘍化細胞における著しく増加したグルタミン利用の現象は、治療的抗癌剤がこれにより作用し得る可能性のある経路として以前研究されている。グルタミン類似体L-[αS,5S]-α-アミノ-3-クロロ-4,5-ジヒドロ-5-イソキサゾール酢酸(アシビシン)および6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン(DON)は、多種多様の腫瘍に対して細胞傷害性活性を有することが知られている。これらの薬物は、ミトコンドリア酵素活性を阻害することにより機能すると考えられる。しかしながら、ヒトのための療法としてのそれらの有益性は、それらの高い毒性のために制限されてきた。
【0017】
今日まで、破壊のために腫瘍化組織および細胞のミトコンドリアを標的にする、放射線増感剤として特定的に設計された薬物は存在していない。
【0018】
[高Z材料および荷電粒子増幅の物理的側面]
下記は、荷電粒子およびγ-またはX線光子のフルエンスに曝露させた時の異なる材料の個々の相互作用率を比較することにより、原子スケール(ピコメートル、または1E-12メートル)での高Z材料の効果を説明する。さらに、治療放射線との関連で、正中電圧および超高電圧エネルギ範囲について、本明細書で提供されるエネルギ付与モデルは2E5~1.8E7eV、または3.2E-14~2.88E-12Jである。
【0019】
治療照射では、組織は、電子または光子の較正ビームに曝露される。光子は、コヒーレント、光電、コンプトン、または対生成衝突により、間接的に物質と相互作用する。コヒーレント散乱ではエネルギ付与は得られず、さらに検討しない。残りの衝突では、電子の放出または排出が得られる。散乱電子は、衝突または照射型事象では付近の原子と直接相互作用し、潜在的に追加の電子(δ線)を放出することにより、さらにエネルギを付与する。非照射型プロセスにおいて光子およびδ(デルタ)線から失われる運動エネルギの総量/単位質量は衝突カーマ、またはKcと呼ばれる。単位は典型的には、J/kg、またはGyで与えられる。荷電粒子平衡の存在下では、吸収される線量の総量は衝突カーマに等しい。周囲の物質において、線量付与プロセスにより、自由電子およびイオンが生成し、これはDNAまたは他の細胞構造、本発明の場合、ミトコンドリアにダメージを与える可能性がある。衝突カーマは各相互作用の衝突確率(または断面積)から、
図1の式を使用して直接計算することができ、ここで、Ψ(プサイ)はJ/cm
2で表される入射光子エネルギフルエンスを示し、Pはg/cm
3で表される材料密度であり、gは、照射プロセスに対して失われる二次電子エネルギの平均割合である。値T
tr、σ
tr、およびK
trは、それぞれ、光電、コンプトン、および対生成相互作用について、cm
-1で表されたエネルギ移動断面積を示す。
【0020】
ほとんど全ての材料についての0.5から5MeVの入射光子エネルギでは、コンプトン断面積が上記式を支配する、すなわち、σ
tr>T
tr、K
tr。コンプトン相互作用についての断面積は、
図2に示されるように、クラインおよび仁科(Evans、1955)により厳密にモデル化されており、彼等はσ
trについて下記陳述を規定し、ここで、r
0は、古典電子半径e
2/m
0c
2=2.818×10
-13cmを示し、NA=6.022×10
23mole-1はアボガドロ定数であり、Zは、原子あたりの電子の数であり、A
wは、グラムで表した原子量であり、
h=6.626×10
-34はJ-sで表したプランク定数であり、vはcm-1で表した入射放射線の振動数であり、m
0=0.91095×10
-30kgは電子の静止質量であり、ならびにc=2.9979×10
10cm/secは光の速さである。
【0021】
エネルギT(Jで表す)を有する入射電子では、直線距離x(cmで表す)を通る衝突事象によるエネルギ損失率に対する予想値は、材料の衝突阻止能、または(dT/dx)
cにより説明することができる。
図3は、偏光効果および殻補正について調整した電子に対する衝突阻止能を規定し、ここで、1はJで表された材料の平均電離/励起電位であり(Berger&Seltzer、1983)、δは偏光補正パラメータであり(Stermheimer、1952)、cは殻補正パラメータである(Bichsel、1968)。
【0022】
同様に、照射事象、すなわち制動放射によるエネルギ損失についての予想値は、放射阻止能(dT/dX)rにより記載され、
図4に示される。Br値はベーテおよびハイトラー(Evans、1955)により規定され、ZおよびTにわずかに依存する。
【0023】
そのため、放射線収率は単純に、各電子がエネルギを失うのに伴い、全初期電子エネルギに対する、総エネルギ損失率と比較した照射プロセスに対するエネルギ損失の平均比率である。
図5は放射線収率式を示し、ここで、T
maxは、最大初期電子エネルギを示す。
【0024】
外部電離放射線からの処方学的効果の増加を達成するために、生物学的標的の周りに配置される標的分子は、1つ以上の高Z元素を含む適切な類似体と置き換えることができる。この効果についての重要な数量詞は、元の分子のものを超える高Z類似体により生成される荷電粒子フルエンスの予想値の相対増加として規定することができる。この値(本明細書では荷電粒子増幅量Aと呼ばれる)は、
図6に示される。
【0025】
以上で規定されるように、Aの値は、高Z導入のために使用される分子の型に依存する。さらに、各高Z原子上での分子結合の効果は、相互作用率を規定する上記式をわずかに改変させるであろう。とは言え、Aのための数値は、上記式を用いて分子において実施される各個々の高Z元素置換について推定し、定量化することができる。光子相互作用では、荷電粒子フルエンスの増加は単純に、エネルギ移動相互作用確率の比率である(添字aはcm
2/原子の単位でこれらの確率を示すために使用される)。同様に、フルエンスの低減は、照射プロセスに対して失われるエネルギの比率を比較することにより、電子相互作用について推定され得る。
図7は、これらの結果が競合し、Aを定式化する式を提示し、ここで、上付き文字zは、高Z材料についての相互作用断面積を示し、一方、cは、置換された元素を示す(炭素原子と考えられる)。
【0026】
Aについての値が原子番号Z=1から90について
図8においてプロットされており、ここで、炭素(Z=6)が基準として使用され、公表されたエネルギ吸収断面積(Seltzer、1993)が使用されている。3つの入射光子エネルギについてのデータが与えられている:単一エネルギ500keV理論ビーム、ならびに最新治療用直線加速器で典型的に見出される多エネルギ6MVおよび18MVビーム。一例として、3つの金原子(Z=79)は、6MV光子ビームでは、同じ分子中に存在する3つの炭素原子よりも17×3=51:1の因子高いフルエンス率を与えるであろう。同じ置き換えで、それぞれ、500keV光子および18MVビームについて、136:1および82:1の因子を与えることができるであろう。この値を分子全体に適用するために、Aは化合物中に存在する原子番号Z
1、Z
2、などを有する各元素の原子分率f
1、f
2を含むように拡張することができる。加えて、
図9に示されるように、平均イオン化ポテンシャルおよび偏光補正を推定するために、ブラッグ規則を適用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明は、放射線増感グルタミン-高Z元素化合物を提供することにより、上記で開示される放射線療法の限界を克服することを助ける。
【課題を解決するための手段】
【0028】
これらの化合物は、X線または、γ線、α粒子、プロトン、中性子、または高速イオンなどの他の電離もしくは高エネルギ放射線に曝露されると、標的組織および細胞のミトコンドリア構造および他の構造の破壊を引き起こす。
【0029】
これらの化合物はミトコンドリアを破壊するために使用することができ、これにより、癌細胞の増殖に必要なエネルギおよび基質が効果的に与えられない。
【0030】
本発明の別の目的は、標的細胞のミトコンドリア構造を破壊し、これにより、ミトコンドリアを非機能にし、および細胞のその生存に必要なエネルギおよび基質を欠乏させることである。
【0031】
本発明の別の目的は、DNAの代わりにミトコンドリアと相互作用することである。放射線療法は伝統的に破壊のために核DNAを標的にする。しかしながら、増殖細胞においては、そのような細胞が有糸分裂を受けているところではない限り、nDNAの二重らせん鎖は染色体に凝縮されず、よって、細胞が有糸分裂期にある場合と同じ回復不能ダメージを受けやすくない。標的組織のnDNAダメージが起こる可能性があり、それは望ましいが、現発明は核DNAを破壊することを主として追求していない。
【0032】
本発明のさらに別の目的は、グルタミンがリンカ(linker)を介してそれに付着された1つ以上の高Z元素を有する放射線増感化合物を提供することである。
【0033】
リンカは好ましくは(CH2)n-X、または[(CH2CH2)mX]nであり、ここで、X=O、S、またはNHであり、mおよびnは整数である。
【0034】
実施形態に関係なく、本発明は任意の標準方法、例えば、限定はされないが、静脈内、動脈内、経口的、またはインビボもしくはインビトロでの標的組織中への直接注入により投与され得る。
【0035】
発明に含めるのに好適な高Z元素は、少なくとも22のZ値を有するものであり、白金(Z=78)、バナジウム(Z=23)、鉄(Z=26)、コバルト(Z=27)、銅(Z=29)、モリブデン(Z=42)、パラジウム(Z=46)、銀(Z=47)、スズ(Z=50)、タンタル(Z=73)、ガドリニウム(Z=64)、ジスプロシウム(Z=66)、ホルミウム(Z=67)、ハフニウム(Z=72)、タングステン(Z=74)、レニウム(Z=75)、オスミウム(Z=76)、イリジウム(Z=77)、金(Z=79)、タリウム(Z=81)、鉛(Z=82)、ビスマス(Z=83)、およびウラン(Z=92)が挙げられるが、それらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図7】高Z-原子が結合された時の、荷電粒子増幅式の相対量を示す。
【
図8】異なる値のZについての
図7式のプロットされた値を示す。
【
図9】イオン化ポテンシャルおよび偏光補正の平均を推定するための式を示す。
【
図10】グルタミン、化学式C
5H
10N
2O
3の構造を示す。
【
図11a】単一置き換えを有する本発明の構造類似体を示す。
【
図11b】単一置き換えを有する本発明の構造類似体を示す。
【
図12a】2炭素置き換えを有する本発明の構造類似体を示す。
【
図12b】2炭素置き換えを有する本発明の構造類似体を示す。
【
図13a】3炭素置き換えを有する本発明の構造類似体を示す。
【
図13b】3炭素置き換えを有する本発明の構造類似体を示す。
【
図14b】高Z元素を有する基がリンカにより付着され得るグルタミンの修飾(A、B、C、DまたはE)の部位を表す。
【
図15a】グルタミン、リンカおよびリンカによりグルタミンに付着された高Z元素を示す、式I、II、III、IVおよびVを示す。
【
図15b】グルタミン、リンカおよびリンカによりグルタミンに付着された高Z元素を示す、式I、II、III、IVおよびVを示す。
【
図15c】グルタミン、リンカおよびリンカによりグルタミンに付着された高Z元素を示す、式I、II、III、IVおよびVを示す。
【
図15d】グルタミン、リンカおよびリンカによりグルタミンに付着された高Z元素を示す、式I、II、III、IVおよびVを示す。
【
図15e】グルタミン、リンカおよびリンカによりグルタミンに付着された高Z元素を示す、式I、II、III、IVおよびVを示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明は、グルタミン-高Z元素化合物に関し、ここで、化合物はミトコンドリア、より特定的には健康でない細胞、例えば、限定はされないが癌細胞のミトコンドリアに曝露され、これに入るように設計される。その後、健康でない細胞は標的となり、ここで、前記標的細胞は電離放射線に曝露される。電離放射線に曝露されると、金属粒子を有する本組成物は、ミトコンドリア(ならびに他の)下部構造、例えばmtDNA、外膜、内膜、クリステ、リボソーム、などにダメージを与え、そのようなミトコンドリアの有効な破壊を引き起こすように反応する。ミトコンドリアの破壊は、ミトコンドリアがないと、腫瘍化細胞はそれらが生存し、複製するのに必要とするエネルギを生成させることができず、効果的にミトコンドリアダメージを受けた細胞のエネルギが欠乏させられ、それらの破壊が引き起こされるという理由で、腫瘍化細胞のプログラム細胞死を開始する。
【0038】
本発明は、腫瘍化細胞を高エネルギ放射線と組み合わせて処置するためのグルタミン-高Z元素化合物を提供する。グルタミン高Z元素化合物は、式I、II、III、IVおよびV(
図15において提供される)を有する化合物の群から選択される。この分子は発明者により、「癌飢餓分子(Cancer Starvation Molecule)」と呼ばれており、およびこれらの化合物を(高エネルギ放射線と共に)使用する癌治療療法が「癌飢餓療法」と呼ばれている。
【0039】
癌飢餓分子は、単純な事実の観察の収束から変化し、頭頸部患者に対する放射線毒性、腫瘍微小環境および従来の療法に対する抵抗性の単純な観察から始めて、より入念な考えに至った。今日まで、全ての新規癌アプローチは、腫瘍代謝経路に向けられた治療は、我々が癌との闘いに勝利するのを助けることができる次の工程であるという考えを強化させることを助けてきた。
【0040】
事実、放射線療法は主に、DNAにダメージを与えることにより作用し、DNAは、最も短い、特定的にはG2および有糸分裂である、癌細胞周期の部分でより脆弱となる。
図21を参照されたい。このハンディキャップでさえ、科学者が癌との闘いにおいて大きく前進することを阻止せず、従来の療法が弱いとされた癌細胞周期の残りにおいて可能性が全体に広く広がっている。大きな可能性の広がりの中で、治療可能比(患者に対する可能性のあるダメージをより少なくして、癌死滅能力を増加させる)は、癌飢餓分子(CSM)および癌飢餓療法(CST)により指数関数的に改善し得る。
【0041】
癌飢餓分子は自然に存在せず、血液脳関門を通過することができる有機金属分子である。これは、低酸素濃度を有する組織(低酸素組織)に好発する癌細胞ミトコンドリアの内側に入り、物理反応または放射線により活性化されるように設計された。よって、これは、化学療法および放射線療法が悪名高くも、失敗することが知られている癌細胞周期の部分で働くように設計される。
【0042】
CSMおよびCSTは、多形神経膠芽腫(GBM)のような腫瘍培養細胞を治療するのに好適であると考えられる。GBMは、印象的な成長速度および高死亡率により特徴付けられる、グリア細胞または脳支持細胞から生じる腫瘍である。GBMを耐性疾患として規定する目印はこの腫瘍微小環境は低酸素濃度または低酸素症と大きく関連し、腫瘍は現在のところ使用可能な診断技術により視認可能であるものを超えて延在しているという事実にある。
【0043】
低酸素環境にある腫瘍はそれらの代謝を好気性から嫌気性に変化させて生き延び、それらは、乳酸の存在の増加およびグルタミンの消費の増加により関連付けられる。CSMは、癌細胞ミトコンドリア内部での散乱放射線を増加させるための源使用となる、重金属の選択輸送のためのグルタミンからなる有機金属である。低酸素微小環境は厳しい環境であり、癌幹細胞または癌不死細胞の形成を誘導する原因でもある。これらの癌幹細胞は、悪名高くも従来の療法に抵抗性の環境において急速分裂細胞となるという事実がこれをCSTの完全な標的としている。
【0044】
過去には、療法は、定位放射線照射(SRS)、中性子治療および陽子線治療を用いて、よりよく規定された標的への放射線量を増加させることにより、力ずくでGBMとの闘いに打ち勝つように試みられた。これらのアプローチは、全て失敗した。というのも、それらは使用可能な放射線技術により見ることができないものを治療できないからである。GBMは、X線撮影で視認可能な疾患であるものを超えて、2-3cmで存在することがよく知られており、力ずくの療法の使用は、より多くの疾患を死滅させることができるが、患者も殺してしまう。CSTは、癌細胞によりミトコンドリア、または細胞動力室でトラップされ、従来の放射線療法により活性化されるトロイの木馬として設計される。癌細胞ミトコンドリアに、選択的にダメージを与える、またはさらにはこれを破壊することにより、我々は、従来の療法により引き起こされる亜致死性ダメージを治癒する癌細胞能力を損なわせ、腫瘍自体により制御される空間で、力ずくの技術と同様のダメージに至らしめる。
【0045】
癌飢餓療法で利益を得ることができる他の癌としては、肺癌、頭頸部癌、メラノーマ、直腸癌、膵臓癌、食道癌、子宮頸癌および膀胱癌など多数が挙げられる。
【0046】
腫瘍学という土俵では、肺癌は先進国では死因第1位である。腫瘍管理は、疾患体積、疾患位置、患者の全身状態および放射線治療線量により制限される。局所療法の失敗は、失敗の主なパターンであり、癌飢餓分子は腺または上皮起源の癌間で識別しないが、正常細胞と異常細胞の間では容易に識別することができ、わずかな転移または少数転移を有する患者の治療に潜在的に使用することができる。このアプローチは、癌を慢性疾患にすることに我々を近づけることができる。
【0047】
頭頸部癌を有する患者では、局部破壊は永久的外科的離断につながる。あなたやあなたが愛する誰かがその舌を失い、今や、彼等は彼等の思いを言葉に表すことができず、食物を嚥下することができないこと、または喉頭を失い、今や、入浴さえ非常に危険な活動となることを想像してほしい。
【0048】
メラノーマは放射線に対して高い抵抗性を有することが知られている。というのも、メラノーマ癌細胞は高レベルの抗酸化物質を含むことが知られているからである。CSTを用いると、メラノーマはその適合性を満たすだけではなく、非常に重要なことには、メラノーマ医療のコストの劇的な引き上げを低減させることもできる。新規メラノーマ薬物療法は、1年あたり$300,000と高額であるが、それにもかかわらず、それらは依然として対症的アプローチにすぎない。我々の経済的に崩壊している医療システムは、この戯言を黙って許すことができない。CSTは癌幹細胞を死滅させるものであり、アブスコパル効果を達成することに近づくものである。
【0049】
何年かの間、直腸癌を化学放射線治療で治療し、そうして、局部破壊のエビデンスがあるまで確定的な外科手術を遅らせる傾向があった。直腸癌患者のパーセンテージを分析したところ、外科手術は根治的アプローチから外れる可能性があり、そうして、大体同じパーセンテージの参加した患者が手術前化学放射線治療により完全な病理学的応答を達成することが容易に実感される。永久的人工肛門造設は、患者の生活の質に有害であり、疾患の局所進行は転移および死につながる。CSTは、手術前化学放射線治療により治療された患者に対する病理学的完全奏功を容易に2倍または3倍にすることができ、外科手術の利用の減少、医療コストの減少、ならびに、患者により多くの社会および心理的に権限を与えられること、進んで労働力に戻ること、ならびに進んで、目的を持って生きることが得られる。
【0050】
膵臓癌診断を受けることは死刑宣告と非常に一致している。成功した外科手術後の局所および局部再発は90%と高くなることを想像してほしい。多くの他の悪性腫瘍は以上で記載される原理を使用して治療することができる。
【0051】
図14aは、グルタミンを表す。本発明のグルタミン-高Z元素化合物(癌飢餓分子)は、リンカを介してグルタミン分子に付着された高Z元素を有するグルタミン分子を提供する。リンカは(CH
2)n-X、または[(CH
2CH
2)
mX]
nとすることができ、ここで、X=O、S、またはNHであり、mおよびnは整数であり、独立して1-50、1-15または1-10の範囲である。例えば、
図14bは、高Z元素を有する基を付着させることができるグルタミンの修飾部位(A、B、C、DまたはE)を表す。
【0052】
図15は、Z元素を有する構造を付着させることができる修飾部位の各々の一般式を示す。
図15(c)では、「Z」は、高Z元素である、またはこれを含む基を表す。同じ図において、「X」基はO、SまたはNHとすることができ、これに、「Z」を直接または「リンカ」を介して付着させることができる。「リンカ」は、O、S、またはNH基を組み込むことができるCH2基の鎖からなる短いコネクタとして理解されるべきである。
【0053】
図16-20は、A、B、C、DまたはE部位の各々における可能な修飾の具体例の構造を表す。
図16-20の構造は限定しない例として考えるべきである。
【0054】
図16は、高Z元素を有する基が、グルタミンのカルボン酸基に付着された化合物を示す。
【0055】
図17は、高Z元素を有する基が、グルタミンのアミノ基に連結された化合物を示す。
【0056】
図18は、高Z元素を有する基が、グルタミンの一級アミド基に連結された化合物を示す。
【0057】
図19は、グルタミンの3つの官能基(A、BおよびC)が維持され、高Z元素が、側鎖β-炭素に連結された化合物を示す。
【0058】
図20は、グルタミンの3つの官能基(A、BおよびC)が維持され、高Z元素が、それぞれ、側鎖γ-炭素に連結される化合物を示す。
【0059】
すでに述べたように、本化合物はミトコンドリアに到達するように設計され、ここで、本発明の化合物を直接取り巻く領域での相互作用からの推定荷電粒子密度は、置換されるグルタミンに比べて劇的に増加する。例えば、前述したように、6MV光子ビームでは、そのような類似体中の3つの金原子(Z=79)はそれらにより置き換えられる3つの炭素原子よりも17×3=51:1の因子高いフルエンス率を与えるであろう。同じ置き換えにより、500keV光子および18MVビームについて、それぞれ、136:1および82:1の因子を与えるであろう。
【0060】
本発明を好ましい設計を有するものとして記載してきたが、しかしながら、対象発明の多くの変更、改変、変形ならびに他の用途および適用が、この明細書を添付の図面と共に考慮した後、この発明の新規教示および利点から実質的に逸脱せずに、当業者に明らかになるであろうことが理解される。したがって、本発明の精神および範囲から逸脱しない全てのそのような変更、改変、変形ならびに他の用途および適用は、下記特許請求の範囲およびそれらの法的等価物により規定されるこの発明により包含されると判断される。特許請求の範囲では、ミーンズ・プラス・ファンクション節は、もしあれば、列挙された機能を実施するものとして本明細書で記載される構造、ならびに構造等価物だけでなく、等価な構造を包含することが意図される。
【0061】
本明細書、およびこれに添付された宣言書(あれば)において列挙される特許、特許出願、および刊行物の全てが、これにより、本明細書でそれらの全体が明記されているかのように、参照により組み込まれる。そのような特許において開示される全て、または実質的に全ての構成要素は本発明の実施形態、ならびにその等価物において使用され得る。参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、および刊行物における詳細は、出願人の選択で、任意の補正された特許請求の範囲を任意の適用された先行技術に対して特許性があるとするために、特許請求の範囲におけるさらなる制限として出願手続き中に特許請求の範囲に組み込むことができると考えることができる。
【実施例】
【0062】
多形神経膠芽腫(GBM)組織培養細胞を、グルタミン-リンカ-高Z元素化合物を用いて試験する。様々な対照としては下記が挙げられる:処置を受けず、CSTに曝露されない対照GBM培養細胞、処置を受けないが、CSTに曝露される対照GBM培養細胞、薬物療法への曝露なしで放射線を受ける対照GBM培養細胞、および放射線を受け、薬物療法に曝露されるGBM培養細胞。次の工程は、GBMを有する動物モデルに移動し、上記プロトコルを用いて処置し、同時に正常組織毒性を測定するものである。許容されるなら、そうすると、次の工程は、GBMを有する患者のための人道的パイロット研究を開始し、そこからより正式な研究に前進するものである。