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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】折畳式昇降天板の操作レバー
(51)【国際特許分類】
   A47B 3/08 20060101AFI20230421BHJP
   A47B 9/10 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A47B3/08 C
A47B9/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019003339
(22)【出願日】2019-01-11
(65)【公開番号】P2020110349
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2021-12-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)公開日 :平成30年11月27日~11月30日 公開場所 :株式会社イトーキ月島オフィス (東京都中央区月島4丁目16番13号) 公開者 :株式会社イトーキ(2)公開日 :平成30年12月3日 刊行物 :イトーキ総合カタログ 568~569頁 公開者 :株式会社イトーキ(3)公開日 :平成30年12月3日 ウェブサイト イトーキ総合カタログ2019(デジタルカタログ) 977頁 公開者 :株式会社イトーキ(4)公開日 :平成30年12月3日~12月7日 公開場所 :株式会社イトーキ東京本社オフィス (東京都中央区日本橋2-5-1) 公開者 :株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】宮前 太一
(72)【発明者】
【氏名】前川 尚幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健吾
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特許第4651449(JP,B2)
【文献】特開平07-265134(JP,A)
【文献】特開昭52-132958(JP,A)
【文献】特開平10-262740(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0182488(US,A1)
【文献】特開2005-152065(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/08
A47B 9/10
A47B 27/16
A47B 91/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を昇降させるためのガススプリングを備えた脚支柱と、この脚支柱の上端部において前記ガススプリングの昇降する部分に結合されて当該脚支柱に支持された前記天板とが、前記脚支柱の上端部と前記天板の下面側の間に当該天板の昇降機構と折畳機構とを備え、前記昇降機構と折畳み機構は、当該昇降機構と折畳み機構を覆う機構カバーを備え、前記機構カバーは、その一部を、前記昇降機構の操作レバー(以下、昇降機構の操作レバーを「昇降レバー」という。)として機能するように形成したことを特徴とする折畳式昇降天板の操作レバー。
【請求項2】
前記昇降レバーと前記折畳機構の操作レバー(以下、折畳機構の操作レバーを「折畳レバー」という。)は、前記天板が水平姿勢にあるときの前記機構カバーにおいて、前記脚支柱に関し折畳まれて起立する前記天板が接近する側面とは反対側の側面近傍に位置する前記機構カバーに配置した請求項1の折畳式昇降天板の操作レバー。
【請求項3】
前記昇降レバーは、前記脚支柱に設ける脚側ベースに支持させて、前記天板の起立の有無に拘わらず当該昇降レバーの姿勢が変化しないように設け、前記ガススプリングの制御ノブとの位置関係を一定に保持する請求項1又は2の折畳式昇降天板の操作レバー。
【請求項4】
前記昇降レバーは、天板を起立状態でネスティングする後続天板に接触しない長さ整えた請求項1~3のいずれかの折畳式昇降天板の操作レバー。
【請求項5】
前記昇降レバーは、その外面を軟質被覆材で被覆した請求項1~4のいずれかの折畳式昇降天板の操作レバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机やテーブルの天板と該天板を支える脚等の支柱(以下、「脚支柱」という)の間に配置された折畳機構と昇降機構(以下、これら2つの機構を、単に「機構」又は「機構部」ということもある。)における前記機構のカバーを兼ねた操作レバーに関する。
【背景技術】
【0002】
水平な天板を備えるテーブル等を、水平方向でスタッキング(ネスティング)したり、ホワイトボード等の他の用途に変換する等の目的を達成するため、前記水平な天板を垂直姿勢や適宜角度の縦向きに折畳むようにしたテーブル等が従来から広く知られている(特許文献1~3参照)。
【0003】
またテーブル等において、その天板の高さを自在に変更できるようにしたテーブル等もまた公知である(特許文献4、5参照)。
【0004】
天板を昇降でき、かつ水平な天板を縦向き(垂直方向)に折畳むことができるようにしたテーブル等も公知である(特許文献6、7参照)。
【0005】
天板の昇降と折畳みを可能にしたテーブルでは、その天板を下から支える脚支柱の上端部と当該天板の下面との間に、折畳機構と昇降機能が配置される。2つの機構が同じ場所(部位)に設けられると、2つの機構の構成部材が互いに干渉しないように工夫する必要がある。
【0006】
そのような工夫の下で構成配置される2つの機構は、機構部が全体として大きくなりがちであり、また大き目の機構が露出した状態では見栄えが好ましくないのみならず、指挟みなどの問題がある。このため機構全体を覆ってしまうフルカバー仕様が採用されている。上記の問題点は、1本の脚支柱で天板を支える折畳式昇降天板を備えるテーブル等で顕著である。
【0007】
ところで昇降駆動源にガススプリングを用いた折畳式の昇降天板では、通常、天板の昇降はその天板が水平姿勢のときに行われ、天板の折畳み(起立)はテーブルのネスティングのために行われる。ここで前記ガススプリングの操作レバーが、天板を折畳んだ際には当該天板の裏面と脚支柱の前面に挟まれる位置に設けられていると、当該操作レバーは事実上操作できないか、極めて操作しづらい。しかし、従来は天板を折畳んだ後はネスティングするだけで天板を昇降させることは無いから、前記操作レバーの操作性は問題にならなかった。
【0008】
しかしながら、天板を折畳んで起立させて例えばホワイトボードとして使用するようにしたテーブルでは、天板の高さ(ホワイトボードの高さ)を変更したい場合、前記のように折畳んだ天板裏面と脚支柱の間に操作レバーが位置付けられると、ホワイトボードの高さ変更がし難いという問題になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2002-17481号公報
【文献】特許4757627号公報
【文献】特許5010888号公報
【文献】特許3391285号公報
【文献】特許3687023号公報
【文献】特許4651449号公報
【文献】特許5102085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、昇降機能と折畳機能を備えたテーブルの天板において、天板を起立させた折畳状態においても天板の昇降を容易に行うことができる操作レバーを提供することを課題の一つとする。また、本発明は、天板の昇降機構と折畳機構を覆う機構カバーの一部に前記操作レバーを形成することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明操作レバーの構成は、天板を昇降させるためのガススプリングを備えた脚支柱と、この脚支柱の上端部において前記ガススプリングの昇降する部分に結合されて当該脚支柱に支持された天板とが、前記脚支柱の上端部と前記天板の下面側の間に備えられた天板の昇降機構と折畳機構の操作レバーにおいて、前記昇降機構と折畳機構を覆う機構カバーの一部を、前記昇降機構の操作レバー(以下、昇降機構の操作レバーを「昇降レバー」という)として機能するように形成したことを特徴とする。
【0012】
前記昇降レバーと前記折畳機構の操作レバー(以下、折畳機構の操作レバーを「折畳レバー」という)とは、脚支柱に関し、天板が折畳まれて起立する側とは反対側に配置する。
また前記昇降レバーは、脚支柱に支持させて天板の起立の有無に拘わらず当該昇降レバーの姿勢が変化しないように設け、前記ガススプリングの制御ノブとの位置関係を一定に保持するようにした。
【0013】
さらに前記昇降レバーはその長さが、天板を起立状態でネスティングするとき、後続する天板の表面に略当接する長さに整えられている。即ち、昇降レバーの長さは、ネスティング時の後続天板の位置を決める長さに整えられている。加えてこの昇降レバーはその外面を軟質被覆材で覆い、後続天板が当接してもその天板の表面の傷付きを防止している。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、折畳機構の操作レバー(折畳レバー)と昇降機構の操作レバー(昇降レバー)とを、脚支柱に関し天板が折畳み時に起立させられて位置する側の反対側に位置付けたから、天板が起立した状態でも、前記折畳レバーと昇降レバーの操作に支障を来さない。
【0015】
しかも、昇降レバーは、その構成の一部が機構カバーの一部をなす形態で配置されるから、当該昇降レバーを備える機構カバーを見栄えの優れたデザインにできる。
【0016】
さらに、昇降レバーは、天板を起立させた状態で2台以上のテーブルをネスティング(水平スタッキング)するとき、後続テーブルの天板の位置を基準にして長さ(突出量)が整えられており、従って、後続天板に押されて昇降レバーが動作することもない。なお、昇降レバーの外面は、プラスチック系など軟質被覆材で覆うことにより、仮にも後続天板が衝突的に昇降レバーに当たることがあっても後続天板に傷が付かないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明を適用するテーブルの一例の斜視図。
図2図1のテーブルの蛙観斜視図。
図3図1のテーブルの天板を直立(90度)させた状態の側面図。
図4図3のテーブルを右側方向から見た斜視図。
図5図1図4のテーブルの天板の下面に設けられている昇降機構と折畳機構(以下、「機構部」という)のカバーを外した状態の蛙観斜視図。
図6図5の機構部の底面図。
図7図5の機構部の側面図。
図8図6の機構部のA-A矢視断面図。
図9図5の機構部が直立(天板が直立)した状態の斜視図。
図10図9の機構部の背面図。
図11図9の機構部の側面図。
図12図10の機構部のA-A矢視断面図。
図13図1図4に示したテーブルのネスティング状態の一例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に図により本発明の実施形態例について説明する。図13はネスティング状態にした2台のテーブルT1とT2を側面から見た状態を表している。図13においては、テーブルT1はその天板1を一例として72度の傾斜で立て、テーブルT2がその天板1を垂直(90度)に立てて前記テーブルT1にネスティング(水平スタッキング)されている。2台のテーブルT1、T2は同一仕様の同一構造を備えているから、以下、テーブルT1について説明する。
【0019】
テーブルT1は、天板1と1本の脚支柱2とを備えると共に、前記脚支柱2が、その下半側の外周上に、平面から見て略X状をなし、正面から見て先端側に下り勾配で傾いた4本の放射状の足3を備えている。4本の足3の先端には、一例としてストッパ付のキャスタ4が設けられている。前記4本の足3は、図13では脚支柱2の右側に位置する2本の足3の脚支柱2との付け根位置が低位に設定され、脚支柱2の左側に位置する2本の足3の脚支柱2との付け根位置が高位に設定されている。脚支柱2に関する左右の2本の足3の付け根位置の高さの違いによって、前方のテーブルT1の後方の足3とこのテーブルT1にネスティングされる後続テーブルT2前方の足3がネスティング時に干渉せずネスティング密度を高める(かさ張りを抑える)ようにしている。
【0020】
脚支柱2は、一例として円形断面の外筒2aと、この外筒2aの内部に回転不能かつ上下動自在に支持された内筒2bとから成り、内筒2bの内部には、天板1の昇降駆動源として作用するガススプリング(図に表われず)がこの内筒2bと一体になるように結合して配置されている。
【0021】
前記内筒2bとガススプリングの上端部には、鋼板等により形成された平板部を有する断面略U字状の脚側ベース50が設けられている。
【0022】
前記脚支柱2に対応した天板1の裏面の略中央部位には、前記脚側ベース50に対向するように平板状の天板裏金10が取付けられ、この天板裏金10に、前記脚側ベース50に対向する断面略逆U状をなす天板側ベース60が設けられている。
【0023】
前記脚支柱2の上端部の脚側ベース50と天板側ベース60との間には、図5図12に示す折畳レバーFLと昇降レバーLLを備えた折畳機構FMと昇降機構LMとが配置されている。
【0024】
前記脚側ベース50と天板側ベース60は、両ベース50と60の重なった左右の側壁50aと60aにおいて水平な連結軸70によって連結されていることにより、天板裏金10(即ち天板1)が、脚支柱2の上端部において前記連結軸70に関して回転可能に結合されている。
【0025】
連結軸70によって結合された脚側ベース50と天板側ベース60は、脚支柱2の上端部において、天板側ベース60の水平部、即ち天板裏金10(天板1)を水平に保持する機能と、この水平保持を解いて、図5の反時計回り方向への回転を許容すると共に、特定の起立角度、例えば72度や90度に保持する機能が付与された折畳機構FMを備えている。
【0026】
折畳機構FMにおいて、天板1(天板裏金10と天板側ベース60の水平部)を水平に保持するための構造は、天板側ベース60の左右の側壁60aの前部寄りに長穴60bに架装した天板姿勢の保持軸60cが、脚側ベース50の左右の側壁50aの前部側の凹状の上縁部50bと、側壁50aの下縁部に形成した軸保持用の2個の凹部50c又は50dに嵌まって保持されるように形成されている。
【0027】
なお、前記保持軸60cを、前記凹状の上縁部50bと保持用の凹部50c、50dに強制的に保持する機能は、前記保持軸60cを後方へ引張る(凹部50c又は50dの内部へ軸60cを強制的に引込む)バネ60dを保持軸60cと連結軸70との間に架設することにより達成している。前記凹部50cが天板1の72度起立用、凹部50dが天板1の90度起立用として機能する。
【0028】
前記保持軸60cは、2本のバネ60dによって長穴60bの後端方向へ引張られている。これによりこの保持軸60cは、脚側ベース50の左右の側壁50aの上縁部から前端部を越えて下縁部側に移動することができない。これが天板1の水平保持機能である。
【0029】
天板1の保持されている水平姿勢を変えるには、前記保持軸60cを長穴60bの前端に移動させる(脚側ベース50の左右の側壁50aの前端部を越えさせる)必要がある(天板1の水平姿勢の解除)。
【0030】
保持軸60cを長穴60bの前端へ移動させて天板1を折畳む(起立させる)ため、折畳レバーFLがその作動機構を次のように構成して配置されている。即ち、天板側ベース60の内部の天井側の水平面に沿ってスライドする略扁平逆U状の作動プレート60eを配設し、この作動プレート60eの先端部に前記保持軸60cを前方へ押出す駒部60fを設ける一方、作動プレート60eの後端側を略逆L状に曲げて形成したブラケット部60gに、断面を略クランク状に形成した折畳レバーFLを次の形態で連結している。
【0031】
即ち、折畳レバーFLは、その先端部が天板裏金10に設けたブラケット10aに軸10cで枢着され、この折畳レバーFLの中間部が作動プレート60eの後端のブラケット部60gに軸10cで枢着されている。これにより、折畳レバーFLを軸10bを中心に、上方から時計回り方向に押すと、作動プレート60eの先端の駒部60fが、バネ60dの引張力に抗して保持軸60cを長穴60bの前方へ押出す。保持軸60cが長穴60bの前端部(図5図8の左方端)に到ると、保持軸60cが脚側ベース50の左右の側壁50aの前端部を越えて下縁部側へ至ることが可能になる。
【0032】
折畳レバーFLを押下げたままで前記保持軸60cが前記側壁50aの前端を越えられる状態(保持軸60cが長穴60bの前端に位置する)にすると、天板1(天板裏金10)を連結軸70を中心にして人力で起立させることができる。よって天板1を起立加減(保持軸60cに前記側壁50aの前端を越えさせた状態)にして折畳レバーFLから手を放すと、保持軸60cは、バネ60dの引張力によって自ずから前記側壁50aに形成した凹部50cに入る。保持軸60cを凹部50dに入れるには、折畳レバーFLを押下げたままで天板1をさらに回転させ、保持軸60cに凹部50cを通過させて凹部50dに入れればよい。このようにして起立させた天板1を起立状態から水平状態に戻すには、折畳レバーFLを押下げて、保持軸60cを、前記凹部50c又は凹部50dから脱出させ、天板1を連結軸70を中心に時計回り方向に回転させて水平に倒せばよい。
【0033】
以上が天板1の水平姿勢と起立姿勢を自由に選択できる折畳機構FMと折畳レバーFLの実施態様の一例である。
【0034】
次に、天板1を昇降させる本発明の実施態様における昇降レバーLLを有する昇降機構LMについて説明する。
図8図12において、出没式の制御ノブ80を有するガススプリング(図に表われず)は、脚支柱2の外筒2aに回転不能で上下スライドのみ可能に内装された内筒2bに対し、一例として図示しないシリンダの上端部が当該内筒2bの上端部に結合されてこの内筒2bに収められていると共に、ピストンロッドの下端部が外筒2aの底に結合され、前記シリンダ内のピストンに設けたオリフィスに流量制御のための作用をする制御ノブ80を脚側ベース50の上面に僅かに突出させて配置されている。
【0035】
脚側ベース50の左右の側壁50aの前端部寄り(連結軸70よりも前方)には、支持軸50eが設けられ、この支持軸50eに、前記制御ノブ80を押し下げる押下部90aを中間部位に有する作動部材90が、先端部において支持されている。作動部材90の後端部には大略90度の角度で垂下した浅い曲率の円弧状の第1カバー部材100が設けられ、この第1カバー部材100の下端部に略水平向きの昇降レバーLLが設けられている。
【0036】
前記昇降レバーLLが一体に設けられた第1カバー部材100と、この第1カバー部材100と一体で制御ノブ80の押下部90aを有する作動部材90と、作動部材90の支持軸50eによって、天板1の昇降機構LMと昇降レバーLLを形成する。
前記昇降レバーLLを押し下げると、作動部材90の押下部90aが制御ノブ80を押し下げてガススプリングのピストンのオリフィスの流量を大きくし、シリンダと一体の内筒2bを流体圧で上昇させる。内筒2bが上昇すると、脚側ベース50に支持された天板側ベース60が上昇し、これと一体に天板1も上昇する。昇降レバーLLの押下げを解除すれば(昇降レバーLLから手を放す)、上昇動作がストップする。天板1を降下させるには天板1を通して内筒2bに下向きの力を手で加えれば天板1は降下し、力を抜けば流体圧と天板1の自重が平衡し降下は止まる。以上が昇降レバーLLを使用した昇降機構LMの動作態様の実施形態の一例である。
【0037】
上記昇降レバーLLは、2つの機構部の後半側を被覆する機構カバーMCの一部をなす前記作動部材90と一体の第1カバー部材100に一体に設けられている。そして前記第1カバー部材100は、当該第1カバー部材100の上に被さる第2カバー部材101と、この第2カバー部材101に被さる第3カバー部材102とを備え、これらと協働して、弯曲した重ね可動壁状の機構カバーMCを形成する。なお、第2カバー部材101と第3カバー部材102は、脚側ベース50に設けた連結軸70にその先端部を枢着して支持されている。また枢着部の後方に第2カバー部材101と第3カバー部材102の回転動作を案内、規制する構造が、ガイド円弧窓103とガイド軸104によって形成されている(図7参照)。
【0038】
前記第3カバー部材102は、その上端に設けた係止片102aが天板1の下面に固定された固定カバーFCに設けた下面開口fc1に係止されている。これによって水平な天板1が起立方向に回転させられると、この第3カバー部材102は、天板1の回転と一体に回転する固定カバーFCに従動して天板1と同じ方向に回転する。第3カバー部材102の下端部102bは、第2カバー部材101の上端部101aを係止している。従って前記第3カバー部材102の回転は、第2カバー部材101を第3カバー部材102が上方へ引っ張るように伝わる。これにより第2カバー部材101と第3カバー部材102は、天板1の起立方向の回転に従動する形で一緒に回転し、カバー形態を変更する。このように天板1の姿勢変更に伴ってカバー形態を変更する機構カバーMCは、天板1が水平状態(図8参照)から起立状態(図12参照)までの間で、機構部の後半側をフレキシブルなカバー状態でカバーすることができる。
【0039】
折畳レバーFLを操作して起立した天板1を水平方向に倒すと、前記機構カバーMCは、天板1と一体の固定カバーFCの回転によって第3カバー部材102が降下側に回転し(図12参照)、第3カバー部材102の降下側への回転に従動して第2カバー部材101も回転して第1カバー部材10の上に重なり、機構部のカバー状態が図8の状態に戻る。
【0040】
なお、図5図13において、LL2の符号を付けた部材は、折畳レバーFLの脚支柱2に関し反対側において天板1の裏面側に配置された第2昇降レバーである。第2昇降レバーLL2は、ロッド状部材の先端に制御ノブ80の操作部を備え、この操作部よりも手前の位置を支持軸50eに支持させ、天板1が水平姿勢にあるときは先端の操作部が制御ノブ80を押し下げることが出来るように形成されている。この第2昇降レバーLL2は、ロッド状部材の後端部の操作ハンドルが天板1の外周縁の下面に位置するから、天板1の水平姿勢時に当該天板1を昇降させる操作性が向上する。
【0041】
本発明は以上の通りであって、天板の昇降機構と折畳機構を覆う機構カバーを脚側ベースに支持させて設け、天板の昇降レバーを前記機構カバーの一部によって形成したから、天板を起立させても前記昇降レバーの姿勢は変化しない。よって天板の起立時にも容易に天板を昇降させることができるから、天板を起立させてホワイトボードとして使うとき、その高さを任意に変更できる利点がある。
【0042】
昇降レバーは、機構カバーの一部によって当該機構カバーの一部と一体に形成したから、昇降レバーを機構カバーと別体で設ける場合に比べ、機構カバーのデザインの自由度が損なわれない。また前記昇降レバーは、長さ(突出量)をネスティングされる後続天板の位置を基準に整えて後続の天板との衝突を回避し、柔軟カバーを付けて後続天板が万一衝突してもその天板を傷付けないようにできる。
【符号の説明】
【0043】
T1,T2 テーブル
1 天板
2 脚支柱
3 足
4 キャスタ
10 天板裏金
50 脚側ベース
60 天板側ベース
70 連結軸
80 ガスシリンダの制御ノブ
90 制御ノブ80の作動部材
100 第1カバー部材
LM 昇降機構
LL 昇降レバー
FM 折畳機構
FL 折畳レバー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13