(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール、及び太陽電池システム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/042 20140101AFI20230421BHJP
H01L 31/044 20140101ALI20230421BHJP
【FI】
H01L31/04 500
H01L31/04 520
(21)【出願番号】P 2019068091
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2022-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】難波 伸
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第208189599(CN,U)
【文献】特開2013-135030(JP,A)
【文献】特開2014-033147(JP,A)
【文献】特表2016-527857(JP,A)
【文献】特表2012-527786(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された2つの第1太陽電池ストリングを含み、
各前記第1太陽電池ストリングが直列に接続された複数の太陽電池セルを有する第1太陽電池サブグループと、
直列に接続された2つの第2太陽電池ストリングを含み、
各前記第2太陽電池ストリングが直列に接続された複数の太陽電池セルを有する第2太陽電池サブグループと、
前記第1太陽電池サブグループと並列に接続され、一つ又は直列に接続された複数の第1バイパスダイオードで構成される第1バイパスダイオード部と、
前記第2太陽電池サブグループと並列に接続され、一つ又は直列に接続された複数の第2バイパスダイオードで構成される第2バイパスダイオード部と、
外部に電力を供給するのに用いられる一対の第1外部配線と、
外部に電力を供給するのに用いられる一対の第2外部配線と、を備え、
前記2つの第1太陽電池ストリングのうちで低電位となる第1低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第1箇所と、前記2つの第2太陽電池ストリングのうちで低電位となる第2低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第2箇所とが電気的に接続され
、
前記第1箇所と、前記第2箇所とを電気的に接続する第1配線と、
前記2つの第1太陽電池ストリングのうちで高電位となる第1高電位側太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第3箇所と、前記2つの第2太陽電池ストリングのうちで高電位となる第2高電位側太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第4箇所とを電気的に接続する第2配線と、
前記第1配線と、前記第2配線とを電気的に接続する第3配線と、を備え、
前記第3配線の断面積は、前記第1太陽電池ストリングにおいて隣り合う前記太陽電池セルの間を電気的に接続する配線材の断面積よりも大きくなっている、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記第1バイパスダイオード部と並列に接続されると共に、直列に接続された2つの第3太陽電池ストリングと、
前記第2バイパスダイオード部と並列に接続されると共に、直列に接続された2つの第4太陽電池ストリングと、を備える、請求項
1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記第1バイパスダイオード部が、直列に接続された2つの前記第1バイパスダイオードで構成されると共に、前記第2バイパスダイオード部が、直列に接続された2つの前記第2バイパスダイオードで構成され、
前記2つの第1太陽電池ストリングを電気的に接続している第1ストリング接続配線と、前記2つの第1バイパスダイオードを電気的に接続している第1ダイオード接続配線とを電気的に接続する第1分断配線と、
前記2つの第2太陽電池ストリングを電気的に接続している第2ストリング接続配線と、前記2つの第2バイパスダイオードを電気的に接続している第2ダイオード接続配線とを電気的に接続する第2分断配線と、
前記2つの第3太陽電池ストリングを電気的に接続している第3ストリング接続配線と、前記第1ダイオード接続配線とを電気的に接続する第3分断配線と、
前記2つの第4太陽電池ストリングを電気的に接続している第4ストリング接続配線と、前記第2ダイオード接続配線とを電気的に接続する第4分断配線と、
を備える、請求項
2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
直列に接続された2つの第1太陽電池ストリングを含み、各前記第1太陽電池ストリングが直列に接続された複数の太陽電池セルを有する第1太陽電池サブグループと、
直列に接続された2つの第2太陽電池ストリングを含み、各前記第2太陽電池ストリングが直列に接続された複数の太陽電池セルを有する第2太陽電池サブグループと、
前記第1太陽電池サブグループと並列に接続され、一つ又は直列に接続された複数の第1バイパスダイオードで構成される第1バイパスダイオード部と、
前記第2太陽電池サブグループと並列に接続され、一つ又は直列に接続された複数の第2バイパスダイオードで構成される第2バイパスダイオード部と、
外部に電力を供給するのに用いられる一対の第1外部配線と、
外部に電力を供給するのに用いられる一対の第2外部配線と、を備え、
前記2つの第1太陽電池ストリングのうちで低電位となる第1低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第1箇所と、前記2つの第2太陽電池ストリングのうちで低電位となる第2低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第2箇所とが電気的に接続され、
前記第1バイパスダイオード部が、直列に接続された2つの前記第1バイパスダイオードで構成され、
前記2つの第1バイパスダイオードを電気的に接続する第1ダイオード接続配線と、
前記2つの第1太陽電池ストリングを電気的に接続する第1ストリング接続配線と、
前記第1ダイオード接続配線と、前記第1ストリング接続配線とを電気的に接続する第1分割配線と、
最も高電位の第5箇所が、前記2つの第1太陽電池ストリングのうちで低電位となる第1低電位側太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第6箇所に電気的に接続された第3太陽電池ストリングと、
最も低電位の第7箇所が、前記2つの第1太陽電池ストリングのうちで高電位となる第1高電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第8箇所に電気的に接続された第4太陽電池ストリングと、
前記第3太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第9箇所に低電位側が電気的に接続される一方、前記2つの第1バイパスダイオードのうちで低電位となる第1低電位側バイパスダイオードの低電位側の第10箇所に高電位側が電気的に接続される第3バイパスダイオードと、
前記第4太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第11箇所に高電位側が電気的に接続される一方、前記2つの第1バイパスダイオードのうちで高電位となる第1高電位側バイパスダイオードの高電位側の第12箇所に低電位側が電気的に接続される第4バイパスダイオードと、
前記第2バイパスダイオード部が、直列に接続された2つの前記第2バイパスダイオードで構成され、
前記2つの第2バイパスダイオードを電気的に接続する第2ダイオード接続配線と、
前記2つの第2太陽電池ストリングを電気的に接続する第2ストリング接続配線と、
前記第2ダイオード接続配線と、前記第2ストリング接続配線とを電気的に接続する第2分割配線と、
最も高電位の第13箇所が、前記2つの第2太陽電池ストリングのうちで低電位となる第2低電位側太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第14箇所に電気的に接続された第5太陽電池ストリングと、
最も低電位の第15箇所が、前記2つの第2太陽電池ストリングのうちで高電位となる第2高電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第16箇所に電気的に接続された第6太陽電池ストリングと、
前記第5太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第17箇所に低電位側が電気的に接続される一方、前記2つの第2バイパスダイオードのうちで低電位となる第2低電位側バイパスダイオードの低電位側の第18箇所に高電位側が電気的に接続される第5バイパスダイオードと、
前記第6太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第19箇所に高電位側が電気的に接続される一方、前記2つの第2バイパスダイオードのうちで高電位となる第2高電位側バイパスダイオードの高電位側の第20箇所に低電位側が電気的に接続される第6バイパスダイオードと、
を備える
、太陽電池モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか1つに記載の
太陽電池モジュールである第1太陽電池モジュールと、
請求項1乃至
4のいずれか1つに記載の
太陽電池モジュールである第2太陽電池モジュールと、を備え、
前記第1太陽電池モジュールにおける前記一対の第1外部配線のうちの高電位側の第1高電位側外部配線と、前記第1太陽電池モジュールにおける前記一対の第2外部配線のうちの高電位側の第2高電位側外部配線とが電気的に接続され、
前記第2太陽電池モジュールにおける前記一対の第1外部配線のうちの低電位側の第1低電位側外部配線と、前記第2太陽電池モジュールにおける前記一対の第2外部配線のうちの低電位側の第2低電位側外部配線とが電気的に接続され、
前記第1太陽電池モジュールの前記第1高電位側外部配線と、前記第2太陽電池モジュールの前記第1低電位側外部配線とが電気的に接続されている、太陽電池システム。
【請求項6】
請求項1乃至
4のいずれか1つに記載の
太陽電池モジュールである第1太陽電池モジュールと、
請求項1乃至
4のいずれか1つに記載の
太陽電池モジュールである第2太陽電池モジュールと、を備え、
前記第1太陽電池モジュールにおける前記一対の第1外部配線のうちの高電位側の第1高電位側外部配線と、前記第2太陽電池モジュールにおける前記一対の第1外部配線のうちの低電位側の第1低電位側外部配線とが電気的に接続され、
前記第1太陽電池モジュールにおける前記一対の第2外部配線のうちの高電位側の第2高電位側外部配線と、前記第2太陽電池モジュールにおける前記一対の第2外部配線のうちの低電位側の第2低電位側外部配線とが電気的に接続されている、太陽電池システム。
【請求項7】
太陽電池モジュールであって、
2つの第1太陽電池ストリングを電気的に直列に接続した第1太陽電池サブグループと、
2つの第2太陽電池ストリングを電気的に直列に接続した第2太陽電池サブグループと、
前記第1太陽電池サブグループに電気的に並列に接続される一つ以上の第1バイパスダイオードで構成される第1バイパスダイオード部と、
前記第2太陽電池サブグループに電気的に並列に接続される一つ以上の第2バイパスダイオードで構成される第2バイパスダイオード部と、を備え、
前記2つの第1太陽電池ストリングのうち
で低電位となる第1低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第1箇所と、前記2つの第2太陽電池ストリングのうちで低電位となる第2低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第2箇所とが電気的に接続され、
前記第1箇所と、前記第2箇所とを電気的に接続する第1配線と、
前記2つの第1太陽電池ストリングのうちで高電位となる第1高電位側太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第3箇所と、前記2つの第2太陽電池ストリングのうちで高電位となる第2高電位側太陽電池ストリングにおいて最も低電位になる第4箇所とを電気的に接続する第2配線と、
前記第1配線と、前記第2配線とを電気的に接続する第3配線と、を備え、
前記第3配線の断面積は、前記第1太陽電池ストリングにおいて隣り合う太陽電池セルの間を電気的に接続する配線材の断面積よりも大きくなっている、太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽電池モジュールに関する。また、本開示は、電気的に接続された複数の太陽電池モジュールを備える太陽電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池モジュールとしては、特許文献1に記載されているものがある。この太陽電池モジュールは、直列に接続された2つの太陽電池ストリングと、その直列に接続された2つの太陽電池ストリングに並列に接続されたバイパスダイオードを備え、各太陽電池ストリングは、直列に接続された複数の太陽電池セルを含む。落ち葉等の遮光物が2つの太陽電池ストリングに含まれる特定の太陽電池セルを覆うと、その太陽電池セルの発電量が低下して発熱する虞がある。バイパスダイオードを設けることで、発電量が低下した太陽電池セルを含んだ上記2つの太陽電池ストリングが、バイパスダイオードによって短絡される。よって、当該2つの太陽電池ストリングに電流が略流れなくなり、発熱による太陽電池セルや太陽電池モジュールの損傷を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バイパスダイオードを太陽電池モジュール内に多数配置すると、発熱による太陽電池セルや太陽電池モジュールの損傷を抑制できるだけでなく、遮光物が特定の太陽電池を覆った場合でも、出力の低下を抑制でき、高出力を維持し易い。しかし、バイパスダイオードを多数配置すると、太陽電池が大型化し易く、製造コストも高くなる。
【0005】
そこで、本開示の目的は、簡易な構成で、高出力を維持し易い太陽電池モジュール、及び太陽電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示の太陽電池モジュールは、直列に接続された2つの第1太陽電池ストリングを含み、各第1太陽電池ストリングが直列に接続された複数の太陽電池セルを有する第1太陽電池サブグループと、直列に接続された2つの第2太陽電池ストリングを含み、各第2太陽電池ストリングが直列に接続された複数の太陽電池セルを有する第2太陽電池サブグループと、第1太陽電池サブグループと並列に接続され、一つ又は直列に接続された複数の第1バイパスダイオードで構成される第1バイパスダイオード部と、第2太陽電池サブグループと並列に接続され、一つ又は直列に接続された複数の第2バイパスダイオードで構成される第2バイパスダイオード部と、外部に電力を供給するのに用いられる一対の第1外部配線と、外部に電力を供給するのに用いられる一対の第2外部配線と、を備え、2つの第1太陽電池ストリングのうちで低電位となる第1低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第1箇所と、2つの第2太陽電池ストリングのうちで低電位となる第2低電位側太陽電池ストリングにおいて最も高電位になる第2箇所とが電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る太陽電池モジュール及びシステムによれば、簡易な構成で、高出力を維持し易い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態の太陽電池モジュールを受光側から見たときの平面図である。
【
図2】上記太陽電池モジュールを裏側から見たときの平面図である。
【
図4】多数の太陽電池セルを有する本開示の現実の太陽電池モジュールを受光側から見たときの平面図である。
【
図5】太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した
図1の等価回路である。
【
図6】(a)は、簡略図が表す構造を説明する図であり、(b)は、バイパスダイオードを示す図である。
【
図7】公知のスクエアセル型の太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図8】公知のハーフセル型の太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図9】
図10、
図11、
図12に結果を示すシミュレーションを行った3種類の太陽電池モジュールの構造について説明する図である。
【
図10】
図9に示す3種類の太陽電池モジュールの夫々に関して、モジュール出力のシミュレーションを行ったときの結果を示すグラフである。
【
図11】
図9に示す3種類の太陽電池モジュールの夫々に関して、遮蔽物に覆われたと仮定した太陽電池モジュールに流れる電流値のシミュレーションを行ったときの結果を示すグラフである。
【
図12】
図9に示す3つの太陽電池モジュールの夫々に関して、バイパスダイオードに流れる電流値のシミュレーションを行ったときの結果を示すグラフである。
【
図13】変形例の太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図14】
図9(c)において外部配線を結線していない太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図15】他の変形例の太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図16】別の変形例の太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図17】更なる変形例の太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図18】公知のストリップ型の太陽電池モジュールを、簡略図を用いて表現した図である。
【
図19】4つの端子ボックスを有する変形例の太陽モジュールにおける
図2に対応する平面図である。
【
図20】本開示の太陽電池モジュールにおいて採用可能な端子ボックスの設置位置について説明する模式図である。
【
図21】本開示の太陽電池モジュールにおいて採用可能な他の端子ボックスの設置位置について説明する模式図である。
【
図22】本開示の太陽電池システムの構造を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下の実施例では、図面において同一構成に同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、複数の図面には、模式図が含まれ、異なる図間において、各部材における、縦、横、高さ等の寸法比は、必ずしも一致しない。また、以下で説明される構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素であり、必須の構成要素ではない。また、本開示の太陽電池モジュールは、曲板形状でもよいが、以下では、太陽電池モジュールが平板形状を有する場合を例に説明を行う。
【0010】
また、以下の説明では、太陽電池モジュールにおいて、太陽光が主に入射(50%超過~100%)する側を受光側(表側)とし、表側とは反対側を裏側とする。また、以下の説明及び図面の記載において、X方向は、以下で説明するストリングの延在方向であり、Y方向は、複例に配設されたストリングの並び方向である。また、Z方向は、太陽電池モジュールの厚さ方向である。X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する。また、本開示の太陽電池モジュールは、同一の2つの構造(同一の2つのサブ太陽電池モジュール)を電気的に接続することで構成されてもよく、各構造(各サブ太陽電池モジュール)から、高電位外部配線とその高電位外部配線よりも電位が低い低電位外部配線とで構成される一対の外部配線が突出してもよい。
【0011】
図1は、本開示の一実施形態の太陽電池モジュール1を受光側から見たときの平面図であり、
図2は、太陽電池モジュール1を裏側から見たときの平面図である。
図2は、太陽電池モジュール1を裏側から見たときの内部構造を含む図である。また、
図3は、
図1におけるA-A線断面図である。なお、太陽電池モジュールは、実際には、受光側から見たときの平面図である
図4に示すように、多数の太陽電池セル2を含むことが多い。しかし、本開示技術の本質を分かり易く説明し、かつ、図面を見易くするために、全ての実施形態及び変形例では、太陽電池セル2の数が比較的少ない太陽電池モジュール1,301,401,501,601,801,901で説明を行う。
【0012】
図1に示すように、太陽電池モジュール1は、平面視が略矩形の平板構造を有し、
図2に示すように、矩形形状の長手方向(X方向)の一方側かつ裏側に第1端子ボックス60を備えると共に、X方向の他方側かつ裏側に第2端子ボックス61を備える。また、
図3に示すように、太陽電池モジュール1は、複数の太陽電池セル2、表側基材3、裏側基材4、配線材5、封止材6、及びフレーム7を備える。
【0013】
太陽電池セル2は、例えば、単結晶シリコンや多結晶シリコン等で構成される結晶系半導体からなる。太陽電池セル2は、例えば、n型領域とp型領域を有し、n型領域とp型領域の界面部分には、キャリア分離用の電界を生成するための接合部が設けられる。太陽電池セル2の上面は、例えば、略正方形の形状を有するが、これに限らない。太陽電池セル2として、公知の如何なる構造のものを用いてもよく、如何なる形状のものを用いてもよい。
【0014】
表側基材3は、複数の太陽電池セル2に対して光が主に入射する受光側に設けられ、太陽電池モジュール1の表側を保護する。表側基材3は、透光性を有する材料で構成され、例えば、透光性プラスチックや透光性を有するガラスで構成される。表側基材3は、透光性の樹脂基材でもよく、好ましくは透明樹脂で構成されてもよいが、この場合、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)から選択される少なくとも1種で構成されてもよい。ポリカーボネートは、耐衝撃性および透光性に優れる。よって、表側基材3は、特に、ポリカーボネートを主成分とする樹脂基材であって、例えば、ポリカーボネートの含有率が90重量%以上、又は95重量%~100重量%の基材であると好ましい。
【0015】
裏側基材4は、透光性を有する材料で構成されもよく、不透明な材料で構成されてもよい。透光性を有する材料で構成される場合、例えば、ガラスで構成されてもよく、透光性の樹脂基材で構成されてもよい。裏面側からの受光を想定しない場合、不透明な樹脂基材で構成されてもよい。裏側基材4は、例えば、環状ポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)から選択される少なくとも1種で構成されてもよい。又は、裏側基材4は、繊維強化プラスチック(FRP)で構成されていてもよく、特に、耐衝撃性および軽量性が要求される用途では、FRPを用いると好ましい。好適なFRPとしては、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、アラミド繊維強化プラスチック(AFRP)などを採用できる。また、FRPを構成する樹脂成分としては、ポリエステル、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等を例示できる。
【0016】
配線材5は、X方向に隣り合う2つの太陽電池セル2を電気的に直列に接続する。
図1に示す例では、配線材5は、X方向に隣り合う2つの太陽電池セル2における一方の太陽電池セル2の受光面側の電極と、他方の太陽電池セル2の裏面側の電極とを電気的に接続する。配線材5は、各電極に接着剤等で取り付けられる。配線材5は、例えば、薄板状の銅箔と、銅箔の表面にメッキされた半田とで好適に構成されるが、それ以外の如何なる導体で構成されてもよい。
【0017】
封止材6は、表側基材3と裏側基材4との間に充填され、複数の太陽電池セル2を表側基材3と裏側基材4との間に封止する。封止材6は、表充填材6aと、裏充填材6bとを含み、表充填材6aが表側基材3と太陽電池セル2との間に配置されるのに対し、裏充填材6bは太陽電池セル2と裏側基材4との間に配置される。表充填材6aは、透光性に優れる材質で構成され、裏充填材6bは、透明または着色された充填材で構成される。表充填材6aが、透明の充填材で構成され、裏充填材6bが、光を効率的に反射する白色の充填材で構成されてもよい。また、封止材6が、透光性に優れる表充填材6aと、光を反射する性質に優れる裏充填材6bとを含むようにして、光の利用効率を向上させてもよい。
【0018】
表充填材6aと裏充填材6bは、例えば、100~200℃程度の温度で実行されるラミネート加工で貼り合わされて積層される。例えば、表側基材3に表充填材6aを積層し、その後、太陽電池セル2および配線材5を載置し、その上に裏充填材6b、裏側基材4を積層し、その状態で加熱しながら加圧して、一体化する。なお、裏側基材4上に、裏充填材6b、太陽電池セル2および配線材5、表充填材6a、表側基材3を積層して、加熱しながら加圧してもよい。裏充填材6bは、例えば、ラミネート加工が実行される温度で、表充填材6aよりも高い硬度を有することと、表充填材6aよりも低い流動性を有することとのうちの少なくとも一方を満たす材質からなる。表充填材6aは、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリオレフィンで好適に構成されるが、これに限らない。また、裏充填材6bは、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体やポリオレフィンで好適に構成されるが、これに限らない。表充填材6aと、裏充填材6bは、同一の材料で構成されてもよい。また、フレーム7は、硬い樹脂材等で構成され、平面視において封止材6の周囲を取り囲むように配置される。フレーム7は、アルミニウムなどの金属材料で構成されてもよい。
【0019】
再度、
図1を参照して、太陽電池モジュール1は、第1太陽電池部10と、第2太陽電池部20を備える。第1太陽電池部10と、第2太陽電池部20は、同一の構造を有し、X方向を二等分するように太陽電池モジュール1を垂直に二等分する平面に対して略面対称に配置される。第1太陽電池部10と、第2太陽電池部20は、同一の構造を有するので、以下では、第2太陽電池部20の説明については、第1太陽電池部10の構造の説明をもって省略する。
【0020】
図1に示す例では、第1太陽電池部10は、4つの太陽電池ストリング11を有し、各太陽電池ストリング11は、X方向に沿って同一の直線上に配置された複数の太陽電池セル2と、複数の配線材5を含む。換言すると、当該複数の太陽電池セル2と、その複数の太陽電池セル2を直列に接続する複数の配線材5とが、太陽電池ストリング11を構成する。
図1に示す例では、第1太陽電池部10に関して、Y方向に隣り合う2つの太陽電池ストリング11においてX方向片側の端にある太陽電池セル2同士が中継配線40で直列に接続され、第1太陽電池部10に含まれる全ての太陽電池セル2が直列に接続される。その結果、例えば、
図1の紙面において、X方向の上側かつY方向の右側に配設される太陽電池セル2aが最も高電位側に配設され、X方向の上側かつY方向の左側に配設される太陽電池セル2bが最も低電位側に配設される。
【0021】
図2を再度参照して、第1端子ボックス60から突出する一対の第1外部配線71,72のうちで高電位の第1高電位側外部配線71は、太陽電池セル2aの高電位側に電気的に接続されている。また、第1端子ボックス60から突出する一対の第1外部配線71,72のうちで低電位の第1低電位側外部配線72は、太陽電池セル2bの低電位側に電気的に接続されている。また、第1端子ボックス60には、2つの第1バイパスダイオードが収容されている。一方の第1バイパスダイオードは、最も高電位の太陽電池セル2aの高電位側のノードと、
図2において左から2番目に位置する太陽電池ストリング11bにおいて最も低電位の太陽電池セル2cの低電位側のノードとの間に接続されている。また、他方の第1バイパスダイオードは、最も低電位の太陽電池セル2bの低電位側のノードと、
図2において左から3番目に位置する太陽電池ストリング11cにおいて最も高電位の太陽電池セル2dの高電位側のノードとの間に接続されている。
【0022】
更には、本開示の太陽電池モジュール1では、第1太陽電池部10と第2太陽電池部20とが電気的に接続される。詳しくは、再度、
図1を参照して、第1太陽電池部10において最も高電位となる太陽電池ストリング11aにおいて最も低電位の箇所14と、第2太陽電池部20において最も高電位となる太陽電池ストリング21aにおいて最も低電位の箇所24が電気的に接続されている。また、第1太陽電池部10において最も低電位となる太陽電池ストリング11dにおいて最も高電位の箇所15と、第2太陽電池部20において最も低電位となる太陽電池ストリング21dにおいて最も高電位の箇所25も電気的に接続されている。
【0023】
本実施の形態の太陽電池モジュール1は、第1太陽電池部10と第2太陽電池部20を有する。第1太陽電池部10は、一つ以上の第1太陽電池サブグループを有する。第1太陽電池部10が二つ以上の第1太陽電池サブグループを有する場合、二つ以上の第1太陽電池サブグループは電気的に直列に接続される。かかる場合、隣り合う二つの第1太陽電池サブグループは、第1サブグループ間配線材によって電気的に直列に接続される。第1太陽電池サブグループは、電気的に直列に接続された2つの太陽電池ストリング11を有する。第2太陽電池部20は、一つ以上の第2太陽電池サブグループを有する。第2太陽電池部20が二つ以上の第2太陽電池サブグループを有する場合、二つ以上の第2太陽電池サブグループは電気的に直列に接続される。かかる場合、隣り合う二つの第2太陽電池サブグループは、第2サブグループ間配線材によって電気的に直列に接続される。第2太陽電池サブグループは、電気的に直列に接続された2つの太陽電池ストリング11を有する。
【0024】
ここで、第1太陽電池部10の正極端と第2太陽電池部20の正極端は、太陽電池モジュール1内で、正極端側配線材によって電気的に接続されてもよい。また、第1太陽電池部10の負極端と第2太陽電池部20の負極端は、太陽電池モジュール内で、負極端側配線材によって電気的に接続されてもよい。かかる場合、太陽電池モジュール1の外部に出力を供給する一対の外部配線のうち一の外部配線は正極端側配線材に電気的に接続され、一対の外部配線のうち他の外部配線は負極側配線材に接続される。
【0025】
太陽電池ストリング11は、電気的に直列に接続された複数の太陽電池セル2を有する。太陽電池ストリング11は、例えば、複数の配線材5によって電気的に直列に接続された複数の太陽電池セル2を有する。
図1に示す例では、配線材5は、太陽電池ストリング11を構成する隣り合う2つの太陽電池セル2において、一方の太陽電池セル2の受光面側の電極と他方の太陽電池セル2の裏面側の電極とを電気的に接続する。
【0026】
第1太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の正極端と、第1太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の負極端と、第2太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の正極端と、第2太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の負極端とは、電気的に接続される。
【0027】
図1に示す例では、第1太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の正極端側の太陽電池セル2の受光面側の電極と、第2太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の正極端側の太陽電池セル2の受光面側の電極は、一の接続配線材によって電気的に接続される。また、第1太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の負極端側の太陽電池セル2の裏面側の電極と、第2太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の負極端側の太陽電池セル2の裏面側の電極は、他の接続配線材によって電気的に接続される。さらに、一の接続配線材と他の接続配線材は、第3配線52によって電気的に接続される。後述するとおり、第3配線52の断面積は、配線材5の断面積より大きいことが好ましい。第3配線52の断面積は、第1および第2サブグループ間配線材の断面積より大きいことが好ましい。また、第3配線52の断面積は、正極端側配線材および負極端側配線材の断面積より大きいことが好ましい。
【0028】
第1太陽電池サブグループは、一つ又は直列に接続された複数のバイパスダイオードと並列に接続される。第2太陽電池サブグループは、一つ又は直列に接続された複数のバイパスダイオードと並列に接続される。例えば、第1太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の負極端と第1太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の正極端とは、一つ又は直列に接続された複数のバイパスダイオードを介して接続される。第2太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の負極端と第1太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の正極端とは、一つ又は直列に接続された複数のバイパスダイオードを介して接続される。
【0029】
図1に示す例では、第1太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の負極端側の太陽電池セル2の裏面側の電極と、第1太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の正極端側の太陽電池セル2の受光面側の電極とは、一つ又は直列に接続された複数のバイパスダイオードを介して接続される。第2太陽電池サブグループを構成する一の太陽電池ストリング11の負極端側の太陽電池セル2の裏面側の電極と、第2太陽電池サブグループを構成する他の太陽電池ストリング11の正極端側の太陽電池セル2の受光面側の電極とは、一つ又は直列に接続された複数のバイパスダイオードを介して接続される。
【0030】
本実施の形態の太陽電池モジュール1は、2つの第1太陽電池ストリングを電気的に直列に接続した第1太陽電池サブグループと、2つの第2太陽電池ストリングを電気的に直列に接続した第2太陽電池サブグループと、第1太陽電池サブグループに電気的に並列に接続される一つ以上の第1バイパスダイオードで構成される第1バイパスダイオード部と、第2太陽電池サブグループに電気的に並列に接続される一つ以上の第2バイパスダイオードで構成される第2バイパスダイオード部と、を備え、2つの第1太陽電池ストリングのうち一の第1太陽電池ストリングの正極端と2つの第1太陽電池ストリングのうち他の第1太陽電池ストリングの負極端と2つの第2太陽電池ストリングのうち一の第2太陽電池ストリングの正極端と2つの第2太陽電池ストリングのうち他の第2太陽電池ストリングの負極端とは電気的に接続される。
【0031】
次に、第1太陽電池部10と第2太陽電池部20との電気的な接続についてより詳しく説明する。
図5は、太陽電池モジュール1を簡略図を用いて表現した
図1の等価回路である。なお、
図5において、
図6(a)に示す、矩形内に矢印が書かれた簡略図は、太陽電池ストリングを示し、矢印の向きは、高電位方向を示す。また、
図6(b)に示すダイオードは、バイパスダイオードである。なお、
図5と
図1とが等価回路になるためには、
図6(a)に示す簡略図が、一列の太陽電池ストリングである必要があるが、本開示の技術では、
図6(a)に示す簡略図は、複数の太陽電池ストリングが並列に接続された構造を示すものでもよい。
【0032】
図5に示すように、太陽電池モジュール1は、
図7に示す公知のスクエアセル型の太陽電池モジュール101を2つ用意して、2つの太陽電池モジュール101を上下対称に配置し、更に、一方の太陽電池モジュール101と、他方の太陽電池モジュール101とを電気的に接続した構造を有する。
【0033】
詳しくは、第1太陽電池部10が、直列に接続された2つの第1太陽電池ストリング11a,11bを含む第1太陽電池サブグループ17を有し、各第1太陽電池ストリング11a,11bが直列に接続された複数の太陽電池セル2(
図1参照)を有する。また、第2太陽電池部20が、直列に接続された2つの第2太陽電池ストリング21a,21bを含む第2太陽電池サブグループ27を有し、各第2太陽電池ストリング21a,21bが直列に接続された複数の太陽電池セル2を有する。
【0034】
また、第1太陽電池部10が、第1太陽電池サブグループ17と並列に接続された第1バイパスダイオード30を有し、第2太陽電池部20が、第2太陽電池サブグループ27と並列に接続された第2バイパスダイオード35を有する。第1バイパスダイオード30は、第1バイパスダイオード部を構成し、第2バイパスダイオード35は、第2バイパスダイオード部を構成する。また、第1太陽電池部10が、第1太陽電池サブグループ17に電気的に接続されて外部に電力を供給する一対の第1外部配線71,72を有し、第2太陽電池部20が、第2太陽電池サブグループ27に電気的に接続されて外部に電力を供給する一対の第2外部配線73,74を有する。
【0035】
そして、
図5に点線で囲まれた領域R1に示すように、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bのうちで低電位となる第1低電位側太陽電池ストリング11bにおいて最も高電位になる第1箇所80と、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bのうちで低電位となる第2低電位側太陽電池ストリング21bにおいて最も高電位になる第2箇所81とが電気的に接続されている。なお、
図5において右側に位置する一点鎖線で囲まれた領域R2内の構造について説明したが、
図5において左側に位置する二点鎖線で囲まれた領域R3内の構造についても、一点鎖線で囲まれた領域R2内の構造と同一の構造を有している。
【0036】
従来の太陽電池モジュールでは、
図7に示すスクエアセル型の太陽電池モジュール101を2つ用いる場合でも、互いに独立に配置され、その2つの太陽電池モジュール101は、電気的に接続されることはない。本開示の太陽電池モジュール1は、領域R1内の構造で、第1太陽電池部10と第2太陽電池部20とが電気的に接続されている点が、従来技術と全く異なる。
【0037】
領域R1内の構造について更に詳細に説明すると、太陽電池モジュール1は、第1箇所80と、第2箇所81とを電気的に接続する第1配線50を備える。また、太陽電池モジュール1は、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bのうちで高電位となる第1高電位側太陽電池ストリング11aにおいて最も低電位になる第3箇所82と、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bのうちで高電位となる第2高電位側太陽電池ストリング21aにおいて最も低電位になる第4箇所83とを電気的に接続する第2配線51を備える。また、太陽電池モジュール1は、第1配線50と、第2配線51とを電気的に接続する第3配線52を備える。
【0038】
図3に示すように、第3配線52の断面積は、第1太陽電池ストリング11a,11bにおいて隣り合う太陽電池セル2の間を電気的に接続する配線材5の断面積よりも大きくなっている。
図5に示すように、第1太陽電池部10と第2太陽電池部20は、同一の構造を有し、第1太陽電池部10と第2太陽電池部20は、X方向の上下方向で対称な配置となっている。したがって、第3配線52には、第1太陽電池部10で生成された電流と、第2太陽電池部20で生成された電流とを合わせた電流が流れる。よって、第3配線52では、電流をIとし抵抗をRとするときI
2Rに比例するジュール熱が大きくなって、エネルギー損失が大きくなり易い。第3配線52の断面積を、配線材5の断面積よりも大きくし、特に、配線材5の断面積の4倍以上とすることで、第3配線52で発生するジュール熱を、配線材5で発生するジュール熱程度に抑制することができ、エネルギー損失を低減できる。なお、第3配線52の断面積を、第1配線50及び第2配線51のいずれの断面積よりも大きくすると好ましい。
【0039】
次に、本開示の太陽電池モジュールの作用効果について、シミュレーションの結果を参照しながら説明する。
【0040】
本発明者は、
図9に示す3つの太陽電池モジュールの夫々に関して、モジュール出力と、特定の太陽電池ストリングに光が当たりにくくなっている状態において当該太陽電池ストリングに流れる電流と、バイパスダイオードに流れる電流とをシミュレーションにより算出した。
【0041】
詳しくは、1つ目の従来1の太陽電池モジュールとして、
図9(a)に示すスクエアセル型の太陽電池モジュールを用いた。また、2つ目の従来2の太陽電池モジュールとして、
図9(b)に示すハーフセル型の太陽電池モジュールを用いた。また、3つ目の本開示の太陽電池モジュールとして、
図9(c)に示す、2つのハーフセル型の太陽電池モジュールをX方向に対称配置し、一方の太陽電池モジュールと他方の太陽電池モジュールにおいて、互いに向きあって互いに対応する4つの太陽電池ストリングを、
図5における領域R1内の電気的な接続構造と同一の接続構造で電気的に接続したものを用いた。
【0042】
なお、
図9(c)に示す本開示の太陽電池モジュールは、2つの第1バイパスダイオード90a,90bと、2つの第2バイパスダイオード91a,91bとを有するが、一方の第1バイパスダイオード90aの低電位側は、他方の第1バイパスダイオード90bの高電位側に電気的に接続されている。また、一方の第2バイパスダイオード91aの低電位側も、他方の第2バイパスダイオード91bの高電位側に電気的に接続されている。また、本開示の太陽電池モジュールでは、
図5における領域R1内の電気的な接続構造が2か所で行われている。また、
図9(c)に示す本開示の太陽電池モジュールにおいては、高電位側の2つの外部配線を電気的に接続して高電位側外部配線を一つのみにすると共に、低電位側の2つの外部配線を電気的に接続して低電位側外部配線を一つのみにしている。
【0043】
また、シミュレーションは、次のような条件で行った。すなわち、
図9に示す各太陽電池モジュールにおいて斜線が引かれた太陽電池ストリングの夫々に関し、少なくとも一部が落ち葉等の遮光物で覆われた条件を想定した。そして、斜線が引かれた太陽電池ストリングに流れる電流が、遮光物がなくて最大電流が流れるときの光の照度を6とし、当たる光の照度(I_photo)が6から減少したときの、モジュール出力(Output)、斜線が引かれた太陽電池ストリングに流れる電流(Current)、斜線が引かれた太陽電池ストリングを含む太陽電池サブグループと並列に接続されるバイパスダイオードに流れる電流(Current)を調査した。なお、斜線が引かれた太陽電池ストリングではない太陽電池ストリングに当たる光の照度は6で固定している。
【0044】
図10は、そのシミュレーションによるモジュール出力(Output)を示すグラフである。従来1の太陽電池モジュールの出力は、
図9(a)に示す太陽電池モジュールの出力結果を4倍にしたものである。従来2の太陽電池モジュールの出力は、
図9(b)に示す太陽電池モジュールの出力結果を2倍にしたものである。本開示の太陽電池モジュールの出力は、
図9(c)に示す太陽電池モジュールの出力結果そのものである。これらは、
図9に示す各太陽電池モジュールの出力を比較するにあたり、各条件が有する太陽電池ストリングの数を合せるための措置である。
図11は、そのシミュレーションによる斜線が引かれた太陽電池ストリングに流れる電流(Current)を示すグラフである。ここで、図(c)に示す本開示の太陽電池モジュールにおいて、斜線が引かれた太陽電池ストリングのうち内側にある太陽電池ストリング(1)に流れる電流を黒丸で示し、斜線が引かれた太陽電池ストリングのうち外側にある太陽電池ストリング(2)に流れる電流を白丸で示す。
また、
図12は、そのシミュレーションによる斜線が引かれた太陽電池ストリングを含む太陽電池サブグループと並列に接続されるバイパスダイオードに流れる電流(Current)を示すグラフである。
【0045】
図10に示すシミュレーション結果によれば、特に光の照度が2から4の場合で、本開示の太陽電池モジュールの出力が、従来1及び従来2の太陽電池モジュールの出力よりも高くなっている。本開示の太陽電池モジュールの出力は、光の照度が5のとき、従来1の太陽電池モジュールの出力より2%高い、また、従来2の太陽電池モジュールの出力より1%高い結果が得られた。本開示の太陽電池モジュールの出力は、光の照度が4のとき、従来1の太陽電池モジュールの出力より8%高い、また、従来2の太陽電池モジュールの出力より7%高い結果が得られた。本開示の太陽電池モジュールの出力は、光の照度が3のとき、従来1の太陽電池モジュールの出力より20%高い、また、従来2の太陽電池モジュールの出力より18%高い結果が得られた。本開示の太陽電池モジュールの出力は、光の照度が2のとき、従来1の太陽電池モジュールの出力より17%高い、また、従来2の太陽電池モジュールの出力より17%高い結果が得られた。したがって、本開示の太陽電池モジュールを使用すれば、それに含まれる太陽電池ストリングが遮光物で覆われても、高出力を維持し易い。
【0046】
更には、
図9(c)に示す本開示の太陽電池モジュールのバイパスダイオードの数は、4個である。
図9(b)に示す従来2の太陽電池モジュールのバイパスダイオードの数は2個である。図(a)に示す従来1の太陽電池モジュールのバイパスダイオードの数は2個である。各条件が有する太陽電池ストリングの数を合せるための措置を考量すると、従来2の太陽電池モジュールの条件のバイパスダイオードの数は4個であり、従来3の太陽電池モジュールの条件のバイパスダイオードの数は8個である。よって、本開示によれば、バイパスダイオードの数を増やすことなく、簡易な構成、低コストで、高出力を維持し易い太陽電池モジュールを実現できる。
【0047】
更には、
図11に示すシミュレーション結果によれば、光の照度が2の場合、従来1及び従来2の太陽電池モジュールにおいて斜線が引かれた太陽電池ストリングに流れる電流が、本開示の太陽電池モジュールにおいて斜線が引かれた太陽電池ストリングに流れる電流よりも格段に大きくなっている。すなわち、従来1及び従来2の太陽電池モジュールでは、光が当たりにくくなって生成する電流が小さくなる筈の状況において、斜線が引かれた太陽電池ストリングに過大な電流が流れている。
【0048】
これは、周囲からの電流の流れ込みが大きいことを意味する。遮光物に覆われて電流が流れにくくなっている太陽電池ストリングに過大な電流が流れた場合、その太陽電池ストリングで過大な熱が発生し過大なエネルギー損失が生じる。更には、そのような状況が生じると、当該太陽モジュール内の太陽電池セルが熱損傷し易く、太陽電池モジュールも損傷し得る。したがって、本開示の太陽電池モジュールによれば、遮光物の影響によりいずれかの太陽電池ストリングに光が当たりにくくなった状態において、エネルギー損失を抑制でき、太陽電池セルや太陽電池モジュールの熱損傷も抑制できる。
【0049】
また、
図12に示すシミュレーション結果によれば、光の照度が2のときにおいて、本開示の太陽電池モジュールのみ、バイパスダイオードに電流が流れていない。電流は、太陽電池セルの損傷等の不都合な状況を回避する際にバイパスダイオードを流れるようになっている。よって、本開示の太陽電池モジュールによれば、不都合な状況の発生を抑制し易い。
【0050】
本発明者は、本開示の太陽電池モジュールが、
図10~
図12に示すシミュレーション結果で優れた作用効果を獲得できた理由について次のように推察している。すなわち、
図9に示す状況となって、複数の太陽電池ストリングのうち太陽電池ストリングに光が当たりにくくなった際、従来1、従来2の太陽電池モジュールでは、電流がバイパスダイオードに流れずに外部配線間を流れる場合、必ず斜線が引かれた太陽電池ストリングを流れる必要がある。これに対し、本願の太陽電池モジュールの場合、領域R1内に電気的な接続構造が存在する。したがって、電流がバイパスダイオードに流れずに外部配線間を流れる場合、太線で示した経路αを流れることで、斜線が引かれた太陽電池ストリングを経由せずに電流が外部配線間を流れることができる。よって、電流の迂回が可能になるため、
図10~
図12に示す顕著な作用効果を獲得できたものである。
【0051】
同様の作用効果は、
図9(c)に示す本開示の太陽電池モジュールの構成だけではなく、例えば
図5に点線で囲まれた領域R1に示すような、第1太陽電池サブグループと第2サブグループとの間に特徴的な接続構造を有する本開示の太陽電池モジュールも奏することができる。本開示の太陽電池モジュールは、一部の太陽電池ストリングに光が当たりにくくなった際、従来の太陽電池モジュールと比較して、この特徴的な接続構造により電流の迂回が可能となり、簡易な構成、低コストで、高出力を維持し易い太陽電池モジュールを実現できる。また、この特徴的な接続構造により電流の迂回が可能となることから、従来の太陽電池モジュールと比較して、エネルギー損失を抑制でき、太陽電池セルや太陽電池モジュールの熱損傷を抑制できる。
【0052】
図13は、変形例の太陽電池モジュール301を、
図6(a)に示す簡略図を用いて表現した図である。太陽電池モジュール301では、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bを含む第1太陽電池サブグループ17と並列に接続される第1バイパスダイオード部345を、直列に接続された2つの第1バイパスダイオード30,30で構成している。また、太陽電池モジュール301が、第1バイパスダイオード部345と並列に接続されると共に直列に接続された2つの第3太陽電池ストリング319a,319bを備える。また、太陽電池モジュール301が、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bを電気的に接続している第1ストリング接続配線321と、2つの第1バイパスダイオード30,30を電気的に接続している第1ダイオード接続配線322とを電気的に接続する第1分断配線323を備える。また、太陽電池モジュール301が、2つの第3太陽電池ストリング319a,319bを電気的に接続している第3ストリング接続配線331、第1ダイオード接続配線322とを電気的に接続する第3分断配線333を備える。
【0053】
また、太陽電池モジュール301では、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bを含む第2太陽電池サブグループ27と並列に接続される第2バイパスダイオード部365を、直列に接続された2つの第2バイパスダイオード35,35で構成している。また、太陽電池モジュール301が、第2バイパスダイオード部365と並列に接続されると共に直列に接続された2つの第4太陽電池ストリング329a,329bを備える。また、太陽電池モジュール301が、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bを電気的に接続している第2ストリング接続配線341と、2つの第2バイパスダイオード35,35を電気的に接続している第2ダイオード接続配線342とを電気的に接続する第2分断配線343を備える。第1ストリング接続配線321は、第2ストリング接続配線341に一致する。また、太陽電池モジュール301が、2つの第4太陽電池ストリング329a,329bを電気的に接続している第4ストリング接続配線351と、第2ダイオード接続配線342とを電気的に接続する第4分断配線353を備える。
【0054】
この太陽電池モジュール301は、
図14に示す
図9(c)において外部配線を結線していない太陽電池モジュール401との比較で、バイパスダイオードの数を増大させている。よって、遮光物の影響で低下する供給電力を小さくすることができる。
【0055】
図15は、他の変形例の太陽電池モジュール501を、
図6(a)に示す簡略図を用いて表現した図である。この太陽電池モジュール501のように、
図13に示す太陽電池モジュール301との比較で、第3太陽電池ストリング319a,319bと、第4太陽電池ストリング329a,329bとを省略してもよい。また、
図16に示す太陽電池モジュール601のように、
図14に示す太陽電池モジュール401との比較で、同一のサブ構造βが2回繰り返されるハーフセル構造(
図8参照)おいて、一方のサブ構造βにおいて直列に接続された2つの太陽電池ストリングを電気的に接続している一方のストリング接続配線861と、他方のサブ構造βにおいて直列に接続された2つの太陽電池ストリングを電気的に接続している他方のストリング接続配線862とを、バイパスダイオード880で電気的に接続した点のみが異なるようにしてもよい。
【0056】
また、
図17に示すように、
図18に示す公知のストリップ型の太陽電池モジュール701に本開示の技術的思想を適用してもよい。詳しくは、
図17に示す太陽電池モジュール801では、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bを含む第1太陽電池サブグループ17と並列に接続される第1バイパスダイオード部845を、直列に接続された2つの第1バイパスダイオード30a,30bで構成している。また、太陽電池モジュール801は、2つの第1バイパスダイオード30a,30bを電気的に接続する第1ダイオード接続配線822と、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bを電気的に接続する第1ストリング接続配線821と、第1ダイオード接続配線822と第1ストリング接続配線821とを電気的に接続する第1分割配線823を備える。
【0057】
また、太陽電池モジュール801は、最も高電位の第5箇所861が、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bのうちで低電位となる第1低電位側太陽電池ストリング11bにおいて最も低電位になる第6箇所862に電気的に接続された第3太陽電池ストリング891を備える。また、太陽電池モジュール801は、最も低電位の第7箇所863が、2つの第1太陽電池ストリング11a,11bのうちで高電位となる第1高電位側太陽電池ストリング11aにおいて最も高電位になる第8箇所864に電気的に接続された第4太陽電池ストリング892を備える。また、太陽電池モジュール801は、第3太陽電池ストリング891において最も低電位になる第9箇所865に低電位側が電気的に接続される一方、2つの第1バイパスダイオード30a,30bのうちで低電位となる第1低電位側バイパスダイオード30bの低電位側の第10箇所866に高電位側が電気的に接続される第3バイパスダイオード850を備える。
【0058】
また、太陽電池モジュール801は、第4太陽電池ストリング892において最も高電位になる第11箇所867に高電位側が電気的に接続される一方、2つの第1バイパスダイオード30a,30bのうちで高電位となる第1高電位側バイパスダイオード30aの高電位側の第12箇所868に低電位側が電気的に接続される第4バイパスダイオード851を備える。
【0059】
また、太陽電池モジュール801では、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bを含む第2太陽電池サブグループ27と並列に接続される第2バイパスダイオード部865を、直列に接続された2つの第2バイパスダイオード35a,35bで構成している。また、太陽電池モジュール801は、2つの第2バイパスダイオード35a,35bを電気的に接続する第2ダイオード接続配線842と、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bを電気的に接続する第2ストリング接続配線841と、第2ダイオード接続配線842と第2ストリング接続配線841とを電気的に接続する第2分割配線843を備える。第1ストリング接続配線821は、第2ストリング接続配線841に一致する。
【0060】
また、太陽電池モジュール801は、最も高電位の第13箇所871が、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bのうちで低電位となる第2低電位側太陽電池ストリング21bにおいて最も低電位になる第14箇所872に電気的に接続された第5太陽電池ストリング893を備える。また、太陽電池モジュール801は、最も低電位の第15箇所873が、2つの第2太陽電池ストリング21a,21bのうちで高電位となる第2高電位側太陽電池ストリング21aにおいて最も高電位になる第16箇所874に電気的に接続された第6太陽電池ストリング894を備える。
【0061】
また、太陽電池モジュール801は、第5太陽電池ストリング893において最も低電位になる第17箇所875に低電位側が電気的に接続される一方、2つの第2バイパスダイオード35a,35bのうちで低電位となる第2低電位側バイパスダイオード35bの低電位側の第18箇所876に高電位側が電気的に接続される第5バイパスダイオード852を備える。また、太陽電池モジュール801は、第6太陽電池ストリング894において最も高電位になる第19箇所877に高電位側が電気的に接続される一方、2つの第2バイパスダイオード35a,35bのうちで高電位となる第2高電位側バイパスダイオード35aの高電位側の第20箇所878に低電位側が電気的に接続される第6バイパスダイオード853を備える。この太陽電池モジュール801は、
図13に示す太陽電池モジュール301との比較で、バイパスダイオード30a,30b,35a,35b,850,851,852,853の数を増大させている。よって、遮光物の影響で低下する供給電力を更に小さくすることができる。
【0062】
なお、
図2に示すように、太陽電池モジュール1が、2つの端子ボックス60,61を有して、各端子ボックス60,61から一対の外部配線71,72,81,82が突出する場合について説明した。しかし、
図19、すなわち、別の変形例の太陽電池モジュール901における
図2に対応する図に示すように、太陽電池モジュール901が、4つの端子ボックス961,962,963,964を有してもよい。そして、一対の端子ボックス961,962を、X方向一方側におけるY方向の両端部に配置すると共に、別の一対の端子ボックス963,964を、X方向他方側におけるY方向の両端部に配置してもよい。そして、各端子ボックス961,962,963,964から1つのみの外部配線971,972,973,974が突出するようにしてもよい。なお、太陽電池モジュール901では、外部配線971及び外部配線973が、高電位側の外部配線となり、外部配線972及び外部配線974が、低電位側の外部配線となる。
【0063】
また、これに関連して、
図20に示すように、端子ボックス1050,1051は、太陽電池モジュール1001の裏側基材の裏面1005におけるX方向の端に設置されてもよい。又は、
図21に示すように、端子ボックス1150,1151は、太陽電池モジュール1101においてY方向に延在する側面1105,1106に設置されてもよい。これらの太陽電池モジュール1001,1101では、端子ボックス1050,1051,1150,1151がX方向の端に配置されているので、端子ボックスをX方向の中央に設置する場合よりも、太陽電池モジュール1001,1101の意匠性を高くでき、太陽電池モジュール1001,1101の美観を優れたものにすることができる。更には、端子ボックス1050,1051,1150,1151を端に配置する場合、端子ボックスをX方向の中央に設置する場合よりも、端子ボックス1050,1051,1150,1151を隠し易くなる。したがって、
図20や
図21に示す形態の太陽電池モジュール1001,1101は、屋根に設置されてもよいが、フェンス等の人の目に触れやすい箇所に設置されると好ましい。
【0064】
次に、本開示の太陽電池モジュールを複数備える太陽電池システムについて説明する。本開示の太陽電池モジュールは、外部配線を一対しか有さない従来の太陽電池モジュールとは異なり、電力を取り出すための2つの一対の外部配線を有する。よって、外部配線の接続の自由度が大きくなる。
【0065】
例えば、
図22(a)に示す太陽電池システム1210のように、太陽電池システム1210は、第1太陽電池モジュール1201と、第2太陽電池モジュール1202を備える。また、第1太陽電池モジュール1201における一対の第1外部配線1251,1252のうちの高電位側の第1高電位側外部配線1251と、第1太陽電池モジュール1201における一対の第2外部配線1261,1262のうちの高電位側の第2高電位側外部配線1261とを電気的に接続してもよい。また、第2太陽電池モジュール1202における一対の第1外部配線1271,1272のうちの低電位側の第1低電位側外部配線1272と、第2太陽電池モジュール1202における一対の第2外部配線1281,1282のうちの低電位側の第2低電位側外部配線1282とを電気的に接続してもよい。そして、第1太陽電池モジュール1201の第1高電位側外部配線1251と、第2太陽電池モジュール1202の第1低電位側外部配線1272とを電気的に接続してもよい。
【0066】
又は、
図22(b)に示す太陽電池システム1310のように、太陽電池システム1310は、第1太陽電池モジュール1301と、第2太陽電池モジュール1302を備える。また、第1太陽電池モジュール1301における一対の第1外部配線1351,1352のうちの高電位側の第1高電位側外部配線1351と、第2太陽電池モジュール1302における一対の第1外部配線1371,1372のうちの低電位側の第1低電位側外部配線1372とを電気的に接続してもよい。また、第1太陽電池モジュール1301における一対の第2外部配線1361,1362のうちの高電位側の第2高電位側外部配線1361と、第2太陽電池モジュール1302における一対の第2外部配線1381,1382のうちの低電位側の第2低電位側外部配線1382とを電気的に接続してもよい。
【0067】
なお、本開示の太陽電池モジュールを如何なる方法で製造してもよいが、例えば、次の手順で製造することができる。すなわち、先ず、一列に電気的に接続されたX方向に延在する2種類の第1及び第2ストリングを製造する。ここで、第1ストリングは、端の太陽電池セルの表側電極と、それに隣り合う太陽電池セルの裏側電極とを配線材で電気的に接続し、この接続を交互に繰り返す。但し、中央の配線材だけは、表側電極と表側電極か、又は裏側電極と裏側電極を電気的に接続するようにする。
【0068】
また、第2ストリングは、端の太陽電池セルの裏側電極と、それに隣り合う太陽電池セルの表側電極とを配線材で電気的に接続し、この接続を交互に繰り返す。但し、中央の配線材だけは、裏側電極と裏側電極か、又は表側電極と表側電極を電気的に接続する。
【0069】
その後、X方向に延在する第1ストリングと、X方向に延在する第2ストリングを、Y方向に交互に配置した上で、第1ストリングと第2ストリングとを、Y方向に延在する渡り配線材で電気的に接続する。このとき、第1ストリングにおいて同じ極同士を電気的に接続した配線材と、第2ストリングにおいて同じ極同士を電気的に接続した配線材もY方向に延在する渡り配線材で電気的に接続する。この方法で、太陽電池モジュールを製造すると、太陽電池モジュールを効率的かつ低コストで製造することができる。
【符号の説明】
【0070】
1,101,201,301,401,501,601,701,801,901,1001,1101 太陽電池モジュール、 2,2a,2b,2c,2d 太陽電池セル、 5 配線材、 11a 第1高電位側太陽電池ストリング、 11b 第1低電位側太陽電池ストリング、 11c,11d 太陽電池ストリング、 17 第1太陽電池サブグループ、 21a 第2高電位側太陽電池ストリング、 21b 第2低電位側太陽電池ストリング、 27 第2太陽電池サブグループ、 30,90a,90b 第1バイパスダイオード、 30a 第1高電位側バイパスダイオード、 30b 第1低電位側バイパスダイオード、 35,91a,91b 第2バイパスダイオード、 35a 第2高電位側バイパスダイオード、 35b 第2低電位側バイパスダイオード、 50 第1配線、 51 第2配線、 52 第3配線、 71,1251,1351 第1高電位側外部配線、 72,1272,1372 第1低電位側外部配線、 319a,891 第3太陽電池ストリング、 321 第1ストリング接続配線、 322 第1ダイオード接続配線、 323,823 第1分断配線、 329a,892 第4太陽電池ストリング、 331 第3ストリング接続配線、 333 第3分断配線、 341,841 第2ストリング接続配線、 342,842 第2ダイオード接続配線、 343,843 第2分断配線、 345,845 第1バイパスダイオード部、 351 第4ストリング接続配線、 353 第4分断配線、 365,865 第2バイパスダイオード部、 821 第1ストリング接続配線、 822 第1ダイオード接続配線、 850 第3バイパスダイオード、 851 第4バイパスダイオード、 852 第5バイパスダイオード、 853 第6バイパスダイオード、 893 第5太陽電池ストリング、 894 第6太陽電池ストリング、 971,972,973,974 外部配線、 1201,1301 第1太陽電池モジュール、 1202,1302 第2太陽電池モジュール、 1210,1310 太陽電池システム、 1261,1361 第2高電位側外部配線、 1282,1382 第2低電位側外部配線、 1371 第1外部配線、 1381 第2外部配線。