(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】サイクルクランクアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B62M 3/00 20060101AFI20230421BHJP
B62M 1/10 20100101ALI20230421BHJP
【FI】
B62M3/00 A
B62M1/10 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019077785
(22)【出願日】2019-04-16
【審査請求日】2022-03-11
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519139642
【氏名又は名称】ヒューロン サイクリング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ウィレム デン ボーア
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー イー.ブラマー
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-189694(JP,A)
【文献】実開昭57-147183(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 3/00
B62M 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクルクランクアセンブリであって、
クランクスピンドルと、
前記クランクスピンドルの回転を車輪の回転に変換するように構成されたドライブトレインコネクタと、
サイクルのペダルのペダルスピンドルを受容するように構成されたペダルインターフェイスを含むクランクアームと、
前記クランクアームが前記クランクスピンドルを中心に回転できるようにするよう構成された滑り接続部と、
弾性変形部材であって、該弾性変形部材は、その一端が前記クランクスピンドル内で固定され、他端が前記ペダルインターフェイスに近接して前記クランクアーム内で固定されるように前記クランクスピンドル及び前記クランクアームに接続さ
れ、該弾性変形部材は前記クランクアームの回転を前記クランクスピンドルの回転に変換し、該弾性変形部材は負荷を受けている場合に変形して運転者が前記サイクルのペダルに提供するペダルエネルギーを蓄積し、前記回転の方向に負荷を受けていない場合はペダルエネルギーの少なくとも一部を戻す、弾性変形部材と、
を含むサイクルクランクアセンブリ。
【請求項2】
前記滑り接続部はスリーブ軸受を含む、請求項1に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項3】
前記弾性変形部材は、前記クランクアーム内に定義される中空部内に配置される、請求項1に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項4】
前記クランクアーム内に定義される前記中空部は、前記弾性変形部材が負荷を受けている場合に変形できるように前記中空部の長さの少なくとも一部に沿って前記弾性変形部材よりもサイズが大きい、請求項3に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項5】
前記クランクアーム内で定義される前記中空部は、前記クランクアームのペダルインターフェイスに近接するように狭くなっている、請求項4に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項6】
前記クランクアームは、前記弾性変形部材を前記クランクアーム内に定義された前記中空部内の定位置に固定するように構成された1つ以上の内部固定具を含む、請求項3に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項7】
前記滑り接続部及び前記クランクスピンドルは、前記弾性変形部材を収容するサイズ及び形状の切り欠きをそれぞれ定義する、請求項3に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項8】
前記クランクアーム内に定義される前記中空部は、前記滑り接続部及び前記クランクスピンドルの切り欠きと整合する
開口部で終結し、前記弾性変形部材は前記中空部を占有するように前記クランクアームの
開口部並びに前記滑り接続部及び前記クランクスピンドルの切り欠きを
介して挿入可能である、請求項7に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項9】
前記クランクアームの窓に取り外し可能に取り付けられる保護キャップをさらに含む、請求項8に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項10】
前記弾性変形部材は板バネである、請求項1に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項11】
前記板バネの厚さは6~10mmである、請求項10に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項12】
前記弾性変形部材は繊維ガラス複合材料で構成される、請求項1に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項13】
前記ドライブトレインコネクタ
はスパイダー
部、鎖輪及びサイクルチェーンを含む、請求項1に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項14】
前記サイクルは前記車輪を含む2つの車輪を有する自転車である、請求項1に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項15】
前記車輪は後輪であり、前記ドライブトレインコネクタは前記クランクスピンドルの回転を前記自転車の該後輪の回転に変換する、請求項14に記載のサイクルクランクアセンブリ。
【請求項16】
自転車クランクアセンブリであって、
クランクスピンドルと、
回転方向における前記クランクスピンドルの回転を自転車の後輪の回転に変換するように構成されたドライブトレインコネクタと、
自転車のペダルのペダルスピンドルを受容するように構成されたペダルインターフェイスを含むクランクアームと、
前記クランクアームが前記クランクスピンドルを中心に回転できるようにするよう構成された滑り接続部と、
弾性変形部材であって、該弾性変形部材は、その一端が前記クランクスピンドル内で固定され、他端が前記ペダルインターフェイスに近接して前記クランクアーム内で固定されるように前記クランクスピンドル及び前記クランクアームに接続さ
れ、該弾性変形部材は前記クランクアームの回転を前記クランクスピンドルの回転に変換し、該弾性変形部材は負荷を受けている場合に変形して運転者が前記自転車のペダルに提供するペダルエネルギーを蓄積し、前記回転の方向に負荷を受けていない場合はペダルエネルギーの少なくとも一部を戻す、弾性変形部材と、
を含む自転車クランクアセンブリ。
【請求項17】
前記滑り接続部はスリーブ軸受を含む、請求項16に記載の自転車クランクアセンブリ。
【請求項18】
前記弾性変形部材は前記クランクアーム内に定義される中空部内に配置される、請求項16に記載の自転車クランクアセンブリ。
【請求項19】
前記弾性変形部材はガラス繊維複合材料の板バネである、請求項16に記載の自転車クランクアセンブリ。
【請求項20】
サイクルクランクアセンブリであって、
クランクスピンドルと、
回転方向における前記クランクスピンドルの回転を車輪の回転に変換するように構成されたドライブトレインコネクタと、
滑り接続部を通じて前記クランクスピンドルの両端にそれぞれ結合する2つのクランクアームであって、該滑り接続部は該クランクアームが前記クランクスピンドルを中心に回転できるように構成され、該クランクアームのそれぞれはサイクルペダルのペダルスピンドルを受容するように構成されたペダルインターフェイスを含み、該クランクアームのそれぞれは内部中空部を定義する、2つのクランクアームと、
2つの板バネであって、
該2つの板バネは、それぞれの板バネの一端が前記クランクスピンドル内で固定され、他端が前記ペダルインターフェイスに近接して対応するクランクアームのその内部中空部内で固定されるように前記クランクスピンドル
及び前記2つのクランクアームに接続され、対応するクランクアームの回転を前記クランクスピンドルの回転に変換し、該板バネは負荷を受けている場合に変形して運転者によって前記サイクルペダルに提供されるペダルエネルギーを蓄積し、前記回転の方向に負荷を受けていない場合はペダルエネルギーの少なくとも一部を戻す、2つの板バネと、
を含むサイクルクランクアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年4月17日出願の米国特許出願第62/659070号の優先権を主張する、2019年3月28日出願の米国特許出願第16/367784号の優先権を主張する。これらの各出願の内容全体は、全ての目的のために参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明はサイクルクランクアセンブリに関する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図2】
図2は、例示の自転車クランクアセンブリの一部を示す。
【
図3A】
図3Aは、別の例示の自転車クランクアセンブリの一部を示す。
【
図3B】
図3Bは、別の例示の自転車クランクアセンブリの一部を示す。
【
図4A】
図4Aは、自転車クランクアセンブリの弾性変形部材の変形を概略的に示す。
【
図4B】
図4Bは、自転車クランクアセンブリの弾性変形部材の変形を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
二輪車、一輪車、三輪車等の人力で動く自転車は、クランクアームの動きを車輪の回転に変換するように構成されたドライブトレインを通常含む。
図1は、クランクアセンブリ102を含むドライブトレインを含む例示の自転車100を概略的に示す。クランクアセンブリ102は2つのクランクアーム(例えば右側クランクアーム104)を含み、クランクアームの端部にはペダルが(例えば右側ペダル106)が取り付けられている。2つのクランクアームはそれぞれクランクスピンドル108に取り付けられ、180°離れて搭載されている。
【0005】
クランクスピンドルは、クランクアームの動きを自転車の後輪の動きに変換するように構成された後輪ドライブトレインコネクタに取り付けられ得る。自転車100の場合、スピンドル108は鎖輪110に取り付けられ得る。スピンドル108はサイクルスパイダー(cycle spider)(図示せず)又は別の好適なコネクタを通じて鎖輪110に取り付けられ得る。鎖輪110はスピンドル108と共に回転し、この回転が自転車のチェーンを通じて後輪112に適用される。そのため、(例えばペダルに力を加えることによってもたらされる)クランクスピンドルの動きによって自転車の後輪の回転がもたらされ、それによって自転車が動く。
【0006】
本願で説明する自転車クランクアセンブリを主に二輪車、即ち、2つの車輪を有する人力によって動く自転車との関連で説明する。しかしながら、同様のクランクアセンブリは任意の好適な数の車輪を有する自転車に組み込まれ得る。クランクアセンブリ102は任意の好適な後輪ドライブトレインコネクタと共に使用され得る。例えば、自転車100はサイクルスパイダー、鎖輪及びサイクルチェーンを用いて力を後輪112に伝達する。他の実施例では、例えばベルト駆動の自転車のためのベルトスプロケット又はシャフト駆動の自転車のためのかさ歯車等の他の好適な後輪ドライブトレインコネクタが用いられ得る。
【0007】
図2は、サイクルクランクアセンブリ102の一部の別の図を示す。この図では、クランクアセンブリ102が自転車100から取り外され、ペダル106及び鎖輪110がクランクアセンブリから取り外されている。図示のように、クランクアーム104は、
図1に示すペダル106のペダルスピンドルを受け入れるように構成されたペダルインターフェイス105を含む。さらに、
図2は、クランクアーム104とクランクスピンドル108との間の取り付けをより詳細に示す。一般に、クランクスピンドル108は1つ以上のベアリングと共に自転車100の底部ブラケット内に位置しており、それによりクランクスピンドルが自由に回転できるようにしつつもクランクスピンドルが安定して取り付けられるようにする。
【0008】
一般に、クランクアームをクランクスピンドルに取り付ける方法は様々なものがある。より従来的な自転車のドライブトレインの場合、クランクアームとクランクスピンドルとの間の取り付けは、一方が他方に対して滑るのを防止するように構成されている。すなわち、クランクアームに取り付けられたクランクスピンドルを同じだけ回転させることなくクランクアームを回転させることは一般的に不可能である。むしろ、ドライブトレインは実質的に剛性であり、クランクアームから回転輪への力の伝達は実質的に即座に起こり、ドライブトレインの構成要素に沿って変化することはない。
【0009】
これとは対照的に、サイクルクランクアセンブリ102はクランクアームとクランクスピンドルとの滑り接続(slip connection)を含む。従来のクランクアセンブリとは異なり、クランクアームはクランクスピンドルを中心に回転できる。すなわち、ペダルのストロークの一部では、その全体にわたってクランクアームの回転はクランクスピンドルの回転よりも多くなり、ペダルのストロークの別の部では、その全体にわたってクランクアームの回転はクランクスピンドルの回転よりも少なくなる。
【0010】
図3A及び
図3Bはクランクアセンブリ102の別の部分図を示す。
図3Aは組み立てられた状態のクランクアセンブリを示す一方、
図3Bは分解図を示す。さらに、
図3Aでは、クランクアーム104を部分的に透明に示す。
【0011】
図3A及び
図3Bに示すように、クランクアセンブリ102はさらに弾性変形部材114及び滑り接続部116をさらに含む。それらは
図3Aでは透明なクランクアームを通して見えており、
図3Bでは分解部品として示している。
図3A及び
図3Bは、弾性変形部材及び滑り接続部を有する右側のクランクアーム104のみを示しているが、左側のクランクアームも弾性変形部材及び滑り接続部を含み得る。弾性変形部材114がクランクアーム104に取り付けられているため、クランクアームの回転に対応して弾性変形部材が回転し、その回転がクランクスピンドル108に伝達される。しかしながら、(例えばペダルを上から下に動かす(downstroke)間に)クランクアームに負荷がかけられると、弾性変形部材114がある程度変形する。そのため、係る負荷に対応して、クランクアーム104が回転し、弾性変形部材114が変形(すなわち屈曲)して、負荷によって伝達されたエネルギーの一部を蓄積する。この時、クランクアームはクランクスピンドル108に対して若干「滑る(slip)」。これはクランクアームがクランクスピンドルを中心に回転することを意味する。1つの実施例では、負荷がかかっている場合、クランクアームはスピンドルの周りを最大で1~4°回転し得る。
【0012】
「滑り」の量と、それに対応するエネルギー蓄積量は、ペダルに加えられる力に比例する。力が大きいほど滑りが比較的大きくなり、エネルギー蓄積も比較的多くなる。そのため、すべりとそれに対応するエネルギー蓄積量とが最も大きくなるのは、一般にペダルが約90°にあり、ペダル力120が(
図4Aに示すように)回転方向で最も高い場合にペダルを上から下に動かすときに起こる。そのため、ペダルを上から下に動かすとクランクスピンドル108よりもクランクアーム104を多く回転させ得るが、回転差の少なくとも一部はバネエネルギーとして弾性変形部材114内に蓄積され得る。この蓄積されたバネエネルギーは、ペダルに対する回転方向の相対力(すなわちペダル力120)が減少した場合に戻され得る。
【0013】
ペダルにかかる回転方向における力の量は、ペダルが(
図4Bに示すように)約180°にある場合のペダルデッドストローク(pedal dead stroke)の間に最も小さくなる。そのため、ペダルデッドストロークの間に相対的なペダル力及び実効トルクが減少すると、弾性変形部材114はその元の形状に戻り、蓄積されたエネルギーが弾性変形部材114から戻り得る。放出されたエネルギーはクランクアーム104よりもクランクスピンドル108を速く回転させ、放出されたエネルギーは後輪ドライブトレインコネクタに移される。本質的に、弾性変形部材は運転者のペダルストロークの最も力が大きい部分からエネルギーの一部を蓄積し、運転者のペダルストロークの最も力が小さい部分の間に蓄積したエネルギーを戻すことにより自転車の運転者の出力を滑らかにする
予備的な実験に基づくと、本願で開示のサイクルクランクアセンブリは回転輪に伝達される力の効率を少なくとも4%改善することができると考えられる。実験の構成はコンピュータ制御のトレーニングスタンドに取り付けられた自転車を含む。トレーニングスタンドのデザインによれば、自転車の後輪は取り外され、自転車のドライブトレインはトレーニングスタンド内に組み込まれた円盤に取り付けられ、自転車のドライブトレインに提供される力により円盤が回転するように構成されていた。円盤に取り付けられたセンサによって力に加えて、同等の対地速度及び距離の測定が可能であった。各ペダルに対して運転者により提供された力及び全エネルギーはペダルベースのパワーメーターを用いて測定した。
【0014】
実験は従来のクランクアセンブリを用いたセッション4回と、本願で説明する変更されたクランクアセンブリを用いたセッション4回を含む、30分のセッションを8回行って実施した。トレーニングスタンドで測定した平均の速度ターゲットは、実験の間のフリーホイール及び慣行を防止するために3%の傾斜で19.3km/hであった。4回のセッションのそれぞれの結果を平均した場合、従来のクランクアセンブリでは平均の出力(average power)は197.2Wであり、平均の全エネルギー消費量(average total energy expenditure)は355KJであった(双方ペダルで測定したもの)。本願で説明する変更したクランクアセンブリの場合、平均の出力は187.8Wであり、平均の全エネルギー消費量は337.75kJであった。出力及びエネルギーの測定値が異なっていたにも関わらず、トレーニングスタンドで測定した各クランクアセンブリの平均速度(19.3km/h)、律動(cadence)(71rpm)、同等距離(9.66km)は、各クランクアセンブリの4回のセッションに渡って平均した場合同じであった。
【0015】
すなわち、本願で説明する変更したクランクアセンブリでは、ペダルに対して運転者が提供する力及びエネルギーが平均して全体的に少なかったにもかかわらず、同じ平均速度及び同等の対地距離が得られた。これは、従来のクランクアセンブリに比べてサイクリング効率が約4%高くなったことを示す。この改善は、ペダルを上から下に動かす間に運転者によって供給される力が弾性変形部材によって蓄積され、ペダルのデッドストロークの間に放出されるため、全体的なトルクプロファイルがより滑らかになったことに起因すると考えられる。自転車のフレーム及び他の構成要素の屈曲が低減されることを通じてエネルギーの節約量も潜在的に高まり得る。
【0016】
サイクルクランクアセンブリの構成例に関するさらなる詳細を
図3Aを参照しながら説明する。
図3Aは、クランクアーム104の中空部内に配置された状態の弾性変形部材114を示す。中空部は、弾性変形部材が負荷を受けている間に弾性変形部材が変形できるようにするために、中空部の長さの少なくとも一部に沿って弾性変形部材よりもサイズが通常大きい。しかしながら、中空部は任意の好適なサイズ及び形状を有していてもよい。いくつかの実施例では、中空部は、ペダルインターフェイスに近接する弾性変形部材と実質的に同じサイズ及び形状を有するために狭くてもよい。これにより、弾性変形部材は中空部内でぴったり固定される。あるいは又はそれに加えて、中空部は弾性変形部材を定位置で固定するように構成されたクリップ、ブラケット、磁石及び/又は他の固定具を含んでいてもよい。例えば、
図3Aは、弾性変形部材114のペダル遠位端をクランクスピンドル108の中空部内に固定するように構成された部材ホルダー118を示す。
【0017】
図3Aに示すように、滑り接続部116及びクランクスピンドル108は、弾性変形部材を収容するサイズ及び形状の切り欠きをそれぞれ含む。さらに、クランクアームはそれらの切り欠きと整合する窓を有し得る。したがって、弾性変形部材は弾性変形部材のペダル近位端がペダルインターフェイスの近くに固定配置されるまで、窓、滑り接続部の切り欠き及びクランクスピンドルの切り欠きを通って弾性変形部材のペダル近位端をスライドさせることにより設置され得る。この時点で、弾性変形部材のペダル遠位端は
図3Aに示すようにクランクスピンドル108の中空部内にある。設置後に弾性変形部材のペダル遠位端を覆って保護するために、任意で保護カバー又はキャップを設置してもよい。
【0018】
他の実施例では、弾性変形部材は任意の好適な方法で設置してもよい。さらに、弾性変形部材はクランクアーム内に位置している必要はなく、クランクアームの外に位置していてもよい。
【0019】
弾性変形部材は任意の好適なサイズ及び形状を有し得る。いくつかの実施例では、弾性変形部材は任意の好適なバネ定数を有する板バネとして実施され得る。板バネの厚さは、例えば6~10mmである。板バネは、100ポンドの負荷で0.1~0.5インチ変形し、200ポンドの負荷で0.2~1.0インチ変形するようなバネ定数を有し得る。他の実施例では、弾性変形部材は別の好適なバネ定数、構造及び/又は組成を有し得る。好ましい板バネの材料はガラス繊維複合材料である。
【0020】
クランクアセンブリ102の構成要素は任意の好適な材料で作られ得る。いくつかの実施例では、クランクアーム104、クランクスピンドル108、弾性変形部材114等はある種類の金属(例えば鉄又はアルミ)から作られ得る。他の実施例では、これらの構成要素が高耐久性プラスチック、カーボン繊維、ガラス繊維複合材料等の比較的軽量の部品で構成されることが有益であり得る。さらに、サイクルクランクアセンブリ102の構成要素は個々の構成要素のそれぞれにとって何が最適か又は望ましいかに応じて複数の材料から構成されてもよい。
【0021】
上述したように、滑り接続部116はクランクスピンドル108を中心とするクランクアーム104の回転を可能にする。滑り接続部116は任意の好適な形態を有し得る。
図3A及び
図3Bの例では、滑り接続部116は、弾性変形部材114が通るための2つの切り欠きを有するスリーブ軸受を含み得る。クランクスピンドル108は、上述したように弾性変形部材114が部材ホルダー118により定位置で保持されるクランクスピンドルの中空部を弾性変形部材114が通ることができるように同様の切り欠きを有する。しかしながら、他の実施例では、滑り接続部は別の好適な形態を有し、それを設けることによりクランクスピンドルを中心としたクランクアームの回転を可能にする。一般に、
図3A及び
図3Bに示す構成要素の形状及び構成は一例として提示したものであり、数多くの変更がなされ得る。
【0022】
クランクアセンブリ102はペダルを踏む際の(pedaling)効率を改善することに加えて、数多くの利点を提供し得る。一実施例では、運転者が角を曲がったところで加速する場合、クランクアームに対して運転者により加えられる最大トルクが弾性変形部材により低減され、回転輪に即座に伝達されない。これは、回転輪がとりわけ濡れた路面で滑る危険性を低減する。さらに、弾性変形部材は(例えば粗い路面を走行している場合に)自転車への衝撃を吸収する役割を果たし、運転者にとって走行がより滑らかなものとなる。弾性変形部材による力の吸収は自転車のフレームに対する応力及び衝撃も吸収できる。
【0023】
本願で説明した構成及び/又はアプローチは本質的に例示のためのものであり、これらの具体的な実施形態又は実施例は様々な変更が可能であるため限定的に解釈すべきでない。
【0024】
本開示の主題は、様々なシステム及び構成並びに本願で説明した他の特徴、機能、作用及び/又は特性に加えてそれらの全ての同等物の新規で非自明な組み合わせ及びサブコンビネーションの全てを含む。
【符号の説明】
【0025】
100 自転車
102 クランクアセンブリ
104 クランクアーム
106 ペダル
108 クランクスピンドル
110 鎖輪
112 後輪
114 弾性変形部材
116 滑り接続部