(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】クーラーボックス
(51)【国際特許分類】
A01K 97/20 20060101AFI20230421BHJP
F25D 3/08 20060101ALI20230421BHJP
B65D 43/02 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A01K97/20 501
F25D3/08 B
B65D43/02 100
(21)【出願番号】P 2019148407
(22)【出願日】2019-08-13
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田中 綾一
(72)【発明者】
【氏名】早川 俊
(72)【発明者】
【氏名】山根 卓朗
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118309(JP,A)
【文献】実開平02-105383(JP,U)
【文献】特開平09-058755(JP,A)
【文献】実開平07-022675(JP,U)
【文献】特開平11-137420(JP,A)
【文献】特開平10-236496(JP,A)
【文献】特開平09-278049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/00 - 99/00
F25D 1/00 - 9/00
B65D 35/00 - 35/54
39/00 - 55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有し収納物を内部に収納できる本体部と、前記本体部に対して移動して前記開口部を開閉する蓋部と、を備え、
前記本体部または前記蓋部の一方は被係合部を備え、
前記本体部または前記蓋部の他方は、前記被係合部に対して移動可能であって、前記被係合部に係合することで、前記蓋部を閉じ状態で保持する係合部と、
前記係合部を前記被係合部に対して係合されたロック状態と前記係合が解除されたフリー状態との間で移動させるよう操作する主操作部と、
前記主操作部の、前記フリー状態に対応した状態から前記ロック状態に対応した状態となる操作を規制する副操作部と、を備えるクーラーボックス。
【請求項2】
前記本体部は上方に開口した前記開口部を有し、
前記蓋部は前記係合部を備え、
前記係合部は下方に延びており、前記被係合部に対する移動範囲の一方側を向き、前記被係合部に係合することで前記蓋部が上方に移動することを規制する移動規制部を有し、
前記係合部は、前記ロック状態及び前記フリー状態に加えて、逃げ状態となるように移動し、
前記フリー状態は、前記係合部が、前記被係合部に対して前記移動規制部が向き合うようにして離れた状態であり、
前記逃げ状態は、前記係合部が、前記被係合部に対して前記移動規制部が背を向けて離れた状態である、請求項1に記載のクーラーボックス。
【請求項3】
前記被係合部は前記本体部に固定的に設けられており、
前記係合部は、前記蓋部における本体に対して回動し、回動範囲が前記被係合部を基準に手前側から前記被係合部を通り越して奥側までわたるように設定された、請求項2に記載のクーラーボックス。
【請求項4】
前記主操作部が、前記蓋部に対して上下方向に移動するように設けられており、
前記副操作部が、前記主操作部の上方に、前記主操作部に対して上下方向に移動するように設けられており、
前記蓋部が前記閉じ状態である場合に、前記副操作部を上方から下方に移動させると、それと共に前記主操作部も上方から下方に移動し、これに伴い前記係合部が前記ロック状態となる、請求項2または3に記載のクーラーボックス。
【請求項5】
前記蓋部が開き状態であり、かつ、前記副操作部
につき前記ロック状態とするための移動
をさせた状態で前記蓋部を閉じると、前記係合部が前記逃げ状態となって、前記本体部に対して前記蓋部が移動することを許容する状態が保たれる、請求項2または3に記載のクーラーボックス。
【請求項6】
前記主操作部の移動方向と前記副操作部の移動方向とが同じ方向である、請求項2または3に記載のクーラーボックス。
【請求項7】
前記主操作部の移動方向と前記副操作部の移動方向とが異なる方向である、請求項2または3に記載のクーラーボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クーラーボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
魚等を収容するために用いられるクーラーボックスとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。このクーラーボックス(特許文献1では「保冷箱」)は、箱本体と開閉のための蓋とを備えており、蓋を閉じた状態で保つためのロック装置(特許文献1では「開閉装置」)を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなクーラーボックスでは、ユーザーが意図していないのにロック装置が働いてロックが掛かり、蓋が開放できない状態になることがあったため、使い勝手の点で改良の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、ロック装置に関して使い勝手を向上したクーラーボックスを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、開口部を有し収納物を内部に収納できる本体部と、前記本体部に対して移動して前記開口部を開閉する蓋部と、を備え、前記本体部または前記蓋部の一方は被係合部を備え、前記本体部または前記蓋部の他方は、前記被係合部に対して移動可能であって、前記被係合部に係合することで、前記蓋部を閉じ状態で保持する係合部と、前記係合部を前記被係合部に対して係合されたロック状態と前記係合が解除されたフリー状態との間で移動させるよう操作する主操作部と、前記主操作部の、前記フリー状態に対応した状態から前記ロック状態に対応した状態となる操作を規制する副操作部と、を備えるクーラーボックスである。
【0007】
この構成によれば、副操作部が、主操作部のフリー状態に対応した状態からロック状態に対応した状態となる操作を規制する。このため、ユーザーが意図していないのに係合部がロック状態になることを防止できる。
【0008】
そして、前記本体部は上方に開口した前記開口部を有し、前記蓋部は前記係合部を備え、前記係合部は下方に延びており、前記被係合部に対する移動範囲の一方側を向き、前記被係合部に係合することで前記蓋部が上方に移動することを規制する移動規制部を有し、前記係合部は、前記ロック状態及び前記フリー状態に加えて、逃げ状態となるように移動し、前記フリー状態は、前記係合部が、前記被係合部に対して前記移動規制部が向き合うようにして離れた状態であり、前記逃げ状態は、前記係合部が、前記被係合部に対して前記移動規制部が背を向けて離れた状態とできる。
【0009】
この構成によれば、蓋部を閉じる前にユーザーが誤って副操作部を操作すると、係合部が逃げ状態となって、被係合部に対して移動規制部が係合しない。このため、その状態で蓋部を閉じたとしても、係合部がロック状態にならない。
【0010】
そして、前記被係合部は前記本体部に固定的に設けられており、前記係合部は、前記蓋部における本体に対して回動し、回動範囲が前記被係合部を基準に手前側から前記被係合部を通り越して奥側までわたるように設定されることができる。
【0011】
この構成によれば、固定的に設けられた被係合部に対し、係合部の回動範囲を設定することでロック状態、フリー状態、逃げ状態を設定できる。このため、ユーザーが意図しないロック状態の防止を簡単な構成で実現できる。
【0012】
そして、前記主操作部が、前記蓋部に対して上下方向に移動するように設けられており、前記副操作部が、前記主操作部の上方に、前記主操作部に対して上下方向に移動するように設けられており、前記蓋部が前記閉じ状態である場合に、前記副操作部を上方から下方に移動させると、それと共に前記主操作部も上方から下方に移動し、これに伴い前記係合部が前記ロック状態となるものとできる。
【0013】
この構成によれば、副操作部を上方から下方に移動させると、それと共に主操作部も上方から下方に移動する。このため、蓋部を閉じ状態で保持させる操作を一動作で行うことができる。
【0014】
そして、前記主操作部が、前記蓋部に対して水平方向に移動するように設けられており、前記蓋部が開き状態であり、かつ、前記副操作部を移動させた状態で前記蓋部を閉じると、前記係合部が前記逃げ状態となって、前記本体部に対して前記蓋部が移動することを許容する状態が保たれるものとできる。
【0015】
この構成によれば、副操作部を移動させた状態で蓋部を閉じても、係合部が蓋部を閉じ状態で保持することがない。このため、ユーザーが誤操作した際でもロック状態となることを防止できる。
【0016】
そして、前記主操作部の移動方向と前記副操作部の移動方向とが同じ方向であるものとできる。
【0017】
この構成によれば、移動方向が同じであるため、操作の仕方がわかりやすいのでユーザーの操作性が良い。
【0018】
そして、前記主操作部の移動方向と前記副操作部の移動方向とが異なる方向であるものとできる。
【0019】
この構成によれば、例えば蓋部を勢いよく閉じた場合に、副操作部が自己の重量による慣性により移動してしまっても、主操作部の移動方向が副操作部と異なるため、主操作部自体が自己の重量による慣性により移動してしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、ユーザーが意図していないのに係合部がロック状態になることを防止できる。このため、ユーザーが操作した場合にのみロック装置が働くので使い勝手が良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るクーラーボックスを示し、レバーユニットがフリー状態である場合の斜視図である(ただし、本体部は二点鎖線で輪郭のみ表示)。
【
図2】同クーラーボックスの操作部周りを示し、レバーユニットがロック状態に対応した状態を示す要部拡大斜視図である。
【
図3】同クーラーボックスの操作部周りを示し、レバーユニットが逃げ状態に対応した状態を示す要部拡大斜視図である。
【
図4】同クーラーボックスにおけるロック部材(係合部)の固定軸(被係合部)に対する状態であり、(a)は蓋部の閉じ状態でのフリー状態、(b)は蓋部の閉じ状態でのロック状態、(c)は蓋部の開き状態での逃げ状態を示す。
【
図5】同クーラーボックスの操作部を示す縦断面図であって、レバーユニットのフリー状態に対応し、主操作部(メインレバー)が押し込み不能である状態を示す。
【
図6】同クーラーボックスの操作部を示す縦断面図であって、副操作部(サブレバー)を押し込んだことによって主操作部(メインレバー)の押し込み可能となった状態を示す。
【
図7】同クーラーボックスの操作部を示す縦断面図であって、主操作部(メインレバー)を押し込んだ状態を示す。
【
図8】同クーラーボックスの操作状態を示す一覧表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明につき、一実施形態を取り上げて説明を行う。本実施形態のクーラーボックス1の形状を
図1に示す。ただし、
図1において本体部の外観は二点鎖線で輪郭のみ表示している。
【0023】
本実施形態のクーラーボックス1は、従来のものと同様、上方に開口した開口部21を有していて収納物を内部に収納できる本体部2と、本体部2に対して移動して開口部21を開閉する蓋部3と、を備える。そして、
図4(a)~(c)に示すように、本体部2と蓋部3とにわたって、蓋部3を閉じ状態で保持するためのロック装置Lが設けられている。クーラーボックス1は平面視で長方形である。本実施形態の蓋部3は「両開き」とされており、蓋部3の本体部2に対する移動は、本実施形態では、例えば開口部21の上方に略平行状態で移動し、蓋部3の全体が本体部2から離反するような移動とできる。また、平面視形状における平行な二つの長辺のうち一つをヒンジとして機能させ、他の一つの長辺側において蓋部3が持ち上がって蓋部3が回動するような移動ともできる。この移動により、蓋部3は、閉じ状態と開き状態とにできる。
【0024】
本体部2は、
図4(a)(b)に縦断面形状を示すように、被係合部としての固定軸22を備える。固定軸22は本体部2に固定的に設けられている。本実施形態では、図示していないが、固定軸22が、本体部2の開口部21における二つの長辺にそれぞれ沿って設けられている。各長辺において固定軸22が、長手方向中央に対して対称の位置に2本設けられている。
【0025】
蓋部3は、ユーザーが操作するレバーユニットLUとして、メインレバー(主操作部)31及びサブレバー(副操作部)32を備える。
図1に示すように、メインレバー31及びサブレバー32は、蓋部3の長辺を有する両端部における長手方向中央である同位置に設けられている。
【0026】
また蓋部3は、
図4(a)~(c)に縦断面形状を示すように、本体部2が備える固定軸22に対して移動可能であって、固定軸22に係合する係合部としてのロック部材33を備える。ロック部材33は、固定軸22と協働することで、蓋部3を閉じ状態で保持する。つまりロック装置Lは、本体部2に設けられた固定軸22と、蓋部3に設けられたロック部材33とを有している。ロック部材33は、蓋部3における本体3Aに対して回動する。ロック部材33の回動範囲は、本体部2の固定軸22を基準とした場合に手前側から固定軸22を通り越して奥側までわたるように設定されている。ロック部材33は、ロック部材33の回動中心である回動軸331を基準として、図示のように、蓋部3を水平とした場合で下方に延びている。
【0027】
ロック部材33は、移動規制部としての爪部332を有する。爪部332は、固定軸22に対する回動範囲の一方側を向いている。爪部332は、例えば
図4(a)~(c)に示すような、図示で左側を向いた形状とされており、固定軸22に係合することで蓋部3が上方に移動することを規制する。つまり、爪部332が固定軸22に係合している際には、ユーザーが蓋部3を持ち上げようとしても、持ち上げによる人力だけでは係合が解除されないため、蓋部3を持ち上げることができない。
【0028】
ロック部材33は、
図4(b)に示すように、固定軸22に対して係合されたロック状態と、
図4(a)に示すように、係合が解除されたフリー状態との間で回動する。フリー状態は、ロック部材33が前記回動範囲で固定軸22基準の手前側にある状態である。つまり、ロック部材33における爪部332が、固定軸22に対して向き合うようにして離れた状態である。
図4(a)に示す状態では、固定軸22が左側に、爪部332が右側にある。このため、ロック部材33の固定軸22に対する係合が解除されている。ロック状態は、ロック部材33が前記回動範囲で固定軸22基準の手前側(図示左側)にあり、かつ、固定軸22に係合した状態である。ロック部材33は、ロック状態とフリー状態との他に、
図4(c)に示すように逃げ状態ともなる。逃げ状態は、ロック部材33が前記回動範囲で固定軸22(
図4(c)には不図示)を通り越して、固定軸22基準の奥側(図示左側)にある状態である。つまり、ロック部材33における爪部332が、固定軸22に対して背を向けて離れた状態である。
図4(c)に示す状態では、蓋部3の閉じ状態で固定軸22の存在する位置(蓋部3の開き状態を図示しているため、固定軸22自体は図示されていない)が右側に、爪部332が左側にある。本実施形態では、固定的に設けられた固定軸22に対し、ロック部材33の回動範囲を設定することでロック状態、フリー状態、逃げ状態を設定できる。このため、ユーザーが意図しないロック状態の防止を簡単な構成で実現できる。
【0029】
メインレバー31は、
図1~
図3、
図5~
図7に示すように、蓋部3に対して上下方向に移動するように設けられている。より詳しくは、メインレバー31のうちユーザーが操作する部分であるメインレバー操作部311が上下方向に移動する。メインレバー操作部311が操作されると、メインレバー31は蓋部3における本体3Aに対し、メインレバー回動軸312を中心として、全体として回動する。メインレバー31とロック部材33とは棒状体等によって物理的に連結されていて、メインレバー31の操作によって一体に移動(回動)する。このため、メインレバー31を移動させるとロック部材33が連動する。なお、メインレバー31とロック部材33とが一体の部材であってもよい。メインレバー31は、ユーザーに操作されることで、蓋部3の閉じ状態では、ロック部材33をロック状態とフリー状態との間で移動させる。また、蓋部3の開き状態では、ロック部材33を逃げ状態とフリー状態との間で移動させる。
【0030】
サブレバー32は、メインレバー31の上方に、メインレバー31に対して上下方向に移動するように設けられている。より詳しくは、サブレバー32のうちユーザーが操作する部分であるサブレバー操作部321が上下方向に移動する。サブレバー32はメインレバー31に対し、サブレバー回動軸322を中心として、全体として回動する。なお、サブレバー32はメインレバー31に対して上方にばね付勢されており(ばねは図示しない)、ユーザーにより押し下げられた場合を除いて、回動範囲の上端に位置する。サブレバー操作部321はメインレバー操作部311の上方を覆うように設けられている。このため、メインレバー操作部311は、上方への移動時にはユーザーによって直接的に操作されるが、下方への移動時にはサブレバー操作部321を介して間接的に操作される。メインレバー31とサブレバー32(より詳しくは各レバー操作部311,321)の移動方向は同じ方向である。移動方向が同じであるため、操作の仕方がわかりやすいのでユーザーの操作性が良い。サブレバー32は、メインレバー31の、フリー状態に対応した状態からロック状態に対応した状態となる操作を規制する。この規制により、ユーザーが意図していないのにロック部材33がロック状態になることを防止できる。この規制は、メインレバー31を下方に移動できないようになされる。メインレバー31が移動することを規制するため、サブレバー32には、下方に突出した突出部323を一体的に備えている。また、これに対応し、蓋部3における本体3Aにはサブレバー当接部34が設けられている。
【0031】
図5に示すように、サブレバー32における、蓋部3の短辺に沿う方向での端部寄り部分(図示左方部分)が上方にある状態では、突出部323の下端面がサブレバー当接部34の上端面に当接する。このため、ユーザーがメインレバー31を下方に押しても、メインレバー31は動かない。
【0032】
次に、
図6に示すように、ユーザーがサブレバー32を下方に押し、サブレバー32における、蓋部3の短辺に沿う方向での端部寄り部分(図示左方部分)が下方に移動した状態では、サブレバー回動軸322の反対側にある突出部323の下端面がサブレバー当接部34の上端面から離れる。これにより、ユーザーがメインレバー31を下方に押すと、
図7に示すように、メインレバー31は、メインレバー回動軸312を中心に回動して、メインレバー31における、蓋部3の短辺に沿う方向での中央部寄り部分(図示右方部分)が下方に移動する。
【0033】
図5~
図7に示すメインレバー31及びサブレバー32の動作は、蓋部3が閉じ状態とされていても、開き状態とされていても同じである。
【0034】
蓋部3が閉じ状態である場合に、サブレバー32を上方から下方に移動させると、それと共にメインレバー31も上方から下方に移動し、レバーユニットLUは
図1に示す状態から
図2に示す状態となる。両レバー31,32を共に上方から下方に移動させられるため、ユーザーは、ロック装置Lの操作を一動作で行うことができる。これに伴いロック部材33が回動して固定軸22に当たり、爪部332が固定軸22に係合する。このため、
図4(b)に示すように、ロック部材33はロック状態となる。このように、ユーザーはサブレバー32を押すだけでロック状態にできる。逆に、ロック状態を解除して蓋部3を開き状態とする際、ユーザーはメインレバー31を引き上げる(下方から上方に移動させる)だけでよい。
【0035】
一方、蓋部3が開き状態である場合に、サブレバー32を上方から下方に移動させると、それと共にメインレバー31も上方から下方に移動する。ここまでは閉じ状態と同じである。ところが、蓋部3が開き状態では、ロック部材33は固定軸22に当たらないから、ロック状態となる位置を通り越して更に回動する。このため、
図4(c)に示すように、ロック部材33は逃げ状態となる。レバーユニットLUは
図3に示す状態となる。
【0036】
図8に、ユーザーによる動作に対する、蓋部3の状態(略図で図示)とロック部材33の状態をまとめて示す。上段にまとめたものは通常の動作である。蓋部3を閉じても、ロック部材33はフリー状態である。サブレバー32を押すと(三角形で図示)、ロック部材33はロック状態となる。
【0037】
一方、下段にまとめたものは、不測の動作である。蓋部3が開いた状態でユーザーが誤ってサブレバー32を押すと、ロック部材33は逃げ状態となる。このとき蓋部3を閉じても、ロック部材33は逃げ状態のままである。つまり、ロック状態にはならず、ロック部材33が固定軸22から離れた状態のままである。このため蓋部3を閉じる際に、固定軸22にロック部材33が衝突して破損することがない。そして、ユーザーが再度メインレバー31を持って蓋部3を持ち上げると、持ち上げに伴ってメインレバー31が引き上げられるため、ロック部材33はフリー状態に戻る。その後は通常の動作と同じで、蓋部3を閉じても、ロック部材33はフリー状態のままである。そして、サブレバー32を押すと、ロック部材33はロック状態となる。
【0038】
以上のように構成された、本実施形態のクーラーボックス1では、ユーザーが操作した場合にのみロック装置Lが働く。このため、例えば、蓋部3を下方に移動させて本体部2に一致させただけではロック状態になることがないから、蓋部3を頻繁に開閉しなければならない場合であっても、ロック部材33をフリー状態としたまま蓋部3を閉じることで本体部2の内部の冷気は外部に逃げにくく、しかも、メインレバー31にユーザーが毎回手を伸ばさなくても、蓋部3の端等の任意の部分に指を掛けて持ち上げるだけで蓋部3を開放できる。よって、使い勝手が良い。
【0039】
以上、本発明の一実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
例えば、前記実施形態の蓋部3は「両開き」であったが、蓋部3において、平面視形状における平行な二つの長辺のうち一つにつき、本体部2から分離不能なヒンジが設けられたことによる「片開き」とすることもできる。
【0041】
また、ロック装置Lに関し、前記実施形態のロック装置Lは、本体部2に設けられた固定軸22と、蓋部3に設けられたロック部材33とを有していたが、これとは逆に、本体部2がロック部材を有し、蓋部3が固定軸を有していてもよい。
【0042】
また、前記実施形態では、係合部はロック部材33とされ、被係合部は固定軸22とされていた。また、被係合部(固定軸22)に係合することで蓋部3が上方に移動することを規制する移動規制部は、ロック部材33に設けられた爪部332であった。しかしこれら各部の形状や係合態様は、前記実施形態のものに限定されず、種々に変更して実施できる。
【0043】
また、メインレバー31の移動方向とサブレバー32の移動方向とは、前記実施形態では同じ方向であったが、これとは逆に、異なる方向であってもよい。このように構成した場合、例えば蓋部3を勢いよく閉じた場合に、サブレバー32が自己の重量による慣性により移動してしまっても、メインレバー31の移動方向が異なるため、メインレバー31自体が自己の重量による慣性により移動してしまうことを抑制できる点で有利である。
【0044】
また、前記実施形態では、サブレバー32が、メインレバー31の、フリー状態に対応した状態からロック状態に対応した状態となる操作を規制するため、サブレバー32に突出部323を一体的に備えていた。つまり、突出部323はサブレバー32の一部であった。しかし、メインレバー31を規制するための手段はこれに限定されない。例えば、サブレバー32とは別体であって、サブレバー32の操作に伴い、蓋部3における本体3Aに対して突出する等の移動をすることで、メインレバー31がロック状態に対応した状態に移動することを阻止するように形成されていてもよく、種々の構成とできる。
【符号の説明】
【0045】
1 クーラーボックス
2 本体部
21 開口部
22 被係合部、固定軸
3 蓋部
3A 蓋部の本体
31 主操作部、メインレバー
311 メインレバー操作部
312 メインレバー回動軸
32 副操作部、サブレバー
321 サブレバー操作部
322 サブレバー回動軸
323 突出部
33 係合部、ロック部材
331 回動軸
332 移動規制部、爪部
34 サブレバー当接部
L ロック装置
LU レバーユニット