(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】センサチップ用コネクタ、センサ
(51)【国際特許分類】
G01K 7/00 20060101AFI20230421BHJP
H01R 4/2455 20180101ALI20230421BHJP
【FI】
G01K7/00 A
H01R4/2455
(21)【出願番号】P 2019159486
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】598107323
【氏名又は名称】ティー・エス・ビー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【氏名又は名称】並木 敏章
(72)【発明者】
【氏名】林 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊芸 涼子
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-075566(JP,A)
【文献】実開昭50-033240(JP,U)
【文献】実開平05-036330(JP,U)
【文献】特開2008-026199(JP,A)
【文献】特開平07-320849(JP,A)
【文献】特開昭55-096601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01C 7/02- 7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏に電極を有する板状のセンサチップと、2本の電線と、を接続するセンサチップ用コネクタであって、
電線と電気的に接続される電線接続部と、前記センサチップと電気的に接続されるセンサチップ接続部と、を有し、導電性を有する一対のコンタクトと、
前記一対のコンタクトを、前記センサチップ接続部同士が所定間隔を有して対向するように保持する絶縁性を有するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられて、一対の前記センサチップ接続部を前記センサチップ接続部同士の対向方向と直交する方向に覆うカバーと、を有し、
前記センサチップが
一対の前記センサチップ接続部
により挟持されて、前記センサチップ接続部がそれぞれ前記センサチップの表又は裏の電極と当接して電気的に接続されるように構成され
ており、
前記ハウジングに形成された第1受容部と、前記カバーに形成されて前記第1受容部と前記直交する方向に対向する第2受容部とにより前記センサチップを受容可能なチップ受容部が形成され、
一対の前記センサチップ接続部は、前記チップ受容部内において前記対向方向に突出して配置され、
前記チップ受容部は、前記ハウジングおよび前記カバーの外方に開放された開口部を有し、
前記センサチップが前記開口部から挿入されて前記チップ受容部に受容されたときに、前記センサチップが一対の前記センサチップ接続部に挟持され、当該一対の前記センサチップ接続部に挟持された状態の前記センサチップが前記開口部から視認可能となるように構成されていることを特徴とするセンサチップ用コネクタ。
【請求項2】
前記電線は、芯線の周囲を絶縁被覆により取り囲んで形成され、
前記電線接続部は、前記電線を圧接可能に形成されて
おり、
前記ハウジングは、前記電線接続部を保持する保持部を有し、
前記電線接続部は、スリット状の第1圧接溝部が形成された第1圧接部と、スリット状の第2圧接溝部が形成された第2圧接部と、前記第1圧接部と前記第2圧接部とを繋ぐブリッジ部とを備え、
前記ブリッジ部は、第1圧接部および第2圧接部に繋がり所定の方向に沿って平行に延びる二つの棒状部と、前記二つの棒状部同士の間に形成されて前記電線を受容可能な電線受容溝部とを備え、
前記電線受容溝部は、前記第1圧接溝部および前記第2圧接溝部に連続的に繋がって形成されており、
前記電線を前記電線受容溝部を通して前記第1圧接溝部および前記第2圧接溝部に圧入することで、前記第1圧接部および前記第2圧接部が前記絶縁被覆に食い込んで前記芯線に接触して、前記電線と前記コンタクトとが電気的に接続することを特徴とする請求項1に記載のセンサチップ用コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のセンサチップ用コネクタを使用したセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップ用コネクタ及びそれを用いたセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンや冷蔵庫等に使用される温度センサ等のセンサは、2本の平行電線と、その平行電線に電気的に接続されたセンサチップとから構成される。センサチップは、矩形平板状のセンサであり、表裏の電極に電線が接続される。従来、この2本の平行電線とセンサチップを電気的に接続する際には、はんだ付けによって接続している(例えば、特許文献1を参照)。はんだ付けの方法は各種あるが、例えば、まず、2本の平行電線の芯線を露出させ、はんだ槽に浸漬する。はんだ付けした2本の芯線の先端を互いに対向する向きに折り曲げ、端面同士を対向させる。そこにセンサチップを挟み込む。その状態で、再びはんだ槽に浸漬する。そうするとセンサチップが芯線にはんだ付けされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このはんだ付けした2本の芯線の先端を互いに対向する向きに折り曲げて端面同士を対向させる作業や、対向する芯線の先端同士の間にセンサチップを挟み込む作業は難しいという問題があった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、作業性のよいセンサチップ用コネクタ及びそれを用いたセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るセンサチップ用コネクタは、表裏に電極を有する板状のセンサチップ(例えば、実施形態におけるセンサチップ200)と、2本の電線(例えば、実施形態における電線100)と、を接続するセンサチップ用コネクタ(例えば、実施形態におけるセンサチップ用コネクタ1)であって、電線と電気的に接続される電線接続部(例えば、実施形態における第一圧接部21、第二圧接部22)と、前記センサチップと電気的に接続されるセンサチップ接続部(例えば、実施形態におけるセンサチップ接続部25)と、を有し、導電性を有する一対のコンタクト(例えば、実施形態におけるコンタクト2)と、前記一対のコンタクトを、前記センサチップ接続部同士が所定間隔を有して対向するように保持する絶縁性を有するハウジング(例えば、実施形態におけるハウジング3)と、前記ハウジングに取り付けられて、一対の前記センサチップ接続部を前記センサチップ接続部同士の対向方向と直交する方向に覆うカバー(例えば、実施形態におけるカバー部4)と、を有し、前記センサチップが一対の前記センサチップ接続部により挟持されて、前記センサチップ接続部がそれぞれ前記センサチップの表又は裏の電極と当接して電気的に接続されるように構成されており、前記ハウジングに形成された第1受容部と、前記カバーに形成されて前記第1受容部と前記直交する方向に対向する第2受容部とにより前記センサチップを受容可能なチップ受容部が形成され、一対の前記センサチップ接続部は、前記チップ受容部内において前記対向方向に突出して配置され、前記チップ受容部は、前記ハウジングおよび前記カバーの外方に開放された開口部を有し、前記センサチップが前記開口部から挿入されて前記チップ受容部に受容されたときに、前記センサチップが一対の前記センサチップ接続部に挟持され、当該一対の前記センサチップ接続部に挟持された状態の前記センサチップが前記開口部から視認可能となるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
上記構成のセンサチップ用コネクタにおいて、前記電線は、芯線の周囲を絶縁被覆により取り囲んで形成され、前記電線接続部は、前記電線を圧接可能に形成されており、前記ハウジングは、前記電線接続部を保持する保持部を有し、前記電線接続部は、スリット状の第1圧接溝部が形成された第1圧接部と、スリット状の第2圧接溝部が形成された第2圧接部と、前記第1圧接部と前記第2圧接部とを繋ぐブリッジ部とを備え、前記ブリッジ部は、第1圧接部および第2圧接部に繋がり所定の方向に沿って平行に延びる二つの棒状部と、前記二つの棒状部同士の間に形成されて前記電線を受容可能な電線受容溝部とを備え、前記電線受容溝部は、前記第1圧接溝部および前記第2圧接溝部に連続的に繋がって形成されており、前記電線を前記電線受容溝部を通して前記第1圧接溝部および前記第2圧接溝部に圧入することで、前記第1圧接部および前記第2圧接部が前記絶縁被覆に食い込んで前記芯線に接触して、前記電線と前記コンタクトとが電気的に接続することが好ましい。
【0011】
本発明に係るセンサは、上述のセンサチップ用コネクタを使用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のように構成された本発明に係るセンサチップ用コネクタによれば、ハウジングにコンタクトを保持させ、コンタクトに電線及びセンサチップを接続させるので、ハウジングを基準に位置決めし易く、作業性を向上することができる。
【0013】
また、上記センサチップ用コネクタにおいて、電線接続部が電線を圧接可能に形成されているので、従来の電線の被覆を剥く工程を省略でき、センサの製造工程を簡略化できる。
【0014】
また、上記センサチップ用コネクタにおいて、ハウジングにセンサチップを受容する受容部があるので、更に位置決めし易く、作業性を向上することができる。
【0017】
上記のように構成された本発明に係るセンサによれば、上述のセンサチップ用コネクタを使用しているので、製造作業が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るセンサチップ用コネクタの斜視図である。
【
図2】上記センサチップ用コネクタを後ろ側から見た斜視図である。
【
図3】上記センサチップ用コネクタに使用されるコンタクトを示す斜視図である。
【
図4】上記センサチップ用コネクタに使用されるハウジングを示す斜視図である。
【
図5】上記ハウジングにコンタクトを設置した状態を示す斜視図である。
【
図6】上記ハウジングの端子装着部を示す断面図である。
【
図7】上記センサチップ用コネクタのカバー部を示す斜視図である。
【
図8】上記カバー部の後部を後ろ側からみた状態を示す断面図である。
【
図9】上記センサチップ用コネクタに電線を接続した際の第二圧接部を示す正面図である。
【
図10】上記センサチップ用コネクタに電線を接続した斜視図である。
【
図11】上記センサチップ用コネクタにセンサチップを挿入した際のセンサチップの状態を示す正面図である。
【
図12】上記センサチップ用コネクタに電線とセンサチップとを接続した状態を示す斜視図である。
【
図13】上記センサチップ用コネクタを使用したセンサを示す斜視図である。
【
図14】上記センサチップ用コネクタに使用されるコンタクトの変形例を示す斜視図である。
【
図15】上記コンタクトの変形例を後ろ側からみた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。本発明の一実施形態に係るセンサチップ用コネクタ1は、
図1、
図2に示すように、電線100及びセンサチップ200に接続される導電性の一対のコンタクト2と、このコンタクト2を左右に並べて収容する絶縁性のハウジング3と、ハウジング3に挿入されるカバー部4と、を備えている。
【0020】
コンタクト2は、金属等の導電性材料の薄平板にプレス加工(打ち抜き加工及び曲げ加工)を施して
図3等に示す所定形状に形成されている。コンタクト2は、その表面に金(Au)などの薄膜を被覆する所要の表面処理(めっき処理)が施されている。コンタクト2は、上下に延在し、板面を前後に向けて配設される矩形板状の第一圧接部21(電線接続部)と、第一圧接部21の前方に配設され、第一圧接部21と板面を対向させるように配置されて上下に延在する矩形板状の第二圧接部22(電線接続部)と、第一圧接部21と第二圧接部22の上部同士を繋ぐブリッジ部23と、第二圧接部22の下部から前方に延在する腕部24と、腕部24の先端から左右方向に突出するセンサチップ接続部25と、を有している。
【0021】
第一圧接部21及び第二圧接部22は、電線100が圧接される部分であり、上端から下部にかけて、上部及び、前後が開口した上下に延在する溝状の圧接溝部21a,22aを有する。圧接溝部21a,22aには、電線100が挿入され圧接される。圧接溝部21a,22aは、上部の左右方向の幅が電線100の直径よりも大きく形成され、下部の左右方向の幅が電線100の芯線100a(銅線の集合体)の直径よりも小さく形成されている。圧接溝部21a,22aは、上部から下部にかけて徐々に左右方向の幅が小さくなるように形成されている。第一圧接部21及び第二圧接部22の下部の左右両端部には、後述する圧入溝33bに圧入される圧入突起21b,22bが左右方向外側に突出するように形成されている。圧入突起21b,22bは、断面略三角形状に形成され、上面が反り返っている。
【0022】
ブリッジ部23は、二本の長板状の棒状部23aからなり、第一圧接部21と第二圧接部22の圧接溝部21a,22aの左右を構成する部分の上部同士を繋いでいる。ブリッジ部23の2本の棒状部23aは、左右に間隔をあけて配設されており間を電線100が通るようになっている。ブリッジ部23は、板面が上下方向を向いている。
【0023】
腕部24は、前後方向に長い板状に形成されている。腕部24は、その板面が上下方向を向いている。一対の腕部24は互いに対向するように配置されているが、腕部24の基端部には、外側(互いに対向する側とは反対側)に膨らむ膨出部24aと、膨出部24aの左右方向反対側(互いに対向する側)にあり、互いに対向する側とは反対側に凹む凹部24bと、が形成されている。センサチップ接続部25は、腕部24と同じ板厚である。
【0024】
一対のコンタクト2は、ハウジング3内に左右に並べられるが、その一対のコンタクト
2の内、左側のコンタクト2のセンサチップ接続部25は、腕部24の先端部から右方向に突出する平面視半円形状に形成されている。右側のコンタクト2のセンサチップ接続部25は、腕部24の先端部から左方向に突出する平面視半円形状に形成されている。左側のコンタクト2のセンサチップ接続部25と、右側のコンタクト2のセンサチップ接続部25は、左右方向において所定間隔をあけて対向するように配置され、所定間隔内(センサチップ接続部25間)にセンサチップ200が挟持されてセンサチップ200と電気的に接続されるように構成されている。センサチップ接続部25同士の間隔は、センサチップ200の厚みよりも小さい。センサチップ200は矩形平板状に形成され、表裏に電極が形成されており、このセンサチップ200の表裏にセンサチップ接続部25を当接させてセンサチップ200を挟持し、電気的に接続する。
【0025】
ハウジング3は、合成樹脂等の電気絶縁性の材料を用いて成形されており、剛性を有し、
図4、
図5に示すように、センサチップ200の下側が収容されるセンサチップ下収容部31(受容部)と、コンタクト2の腕部24が前後に延在する腕延在部32と、電線100が圧接される端子装着部33と、を有している。ハウジング3は、左右一対の矩形板状の壁部3aと、壁部3aの下部間に延在する矩形板状の底部3bと、を有している。壁部3aは、前後に延在し、板面を左右方向に向けて配設されている。壁部3aと底部3bとの前部が、腕延在部32と、なっている。腕延在部32を構成する底部3bの前部上に腕部24が延在している。
【0026】
腕延在部32において、腕部24は、第二圧接部22の下部を起点として先端が左右方向に拡開可能である。腕延在部32の左右の壁部3aの間には、カバー部4が挿入される。腕延在部32の左右の壁部3aには、左右の壁部3aの内側と外側と下側に開口し、後述するカバー部4の嵌合突部44が嵌合される嵌合溝32aが形成されている。嵌合溝32aは、上下に延在している。腕延在部32の前部の左右中央、底部3bの先端部分には、センサチップ下収容部31が形成されている。
【0027】
センサチップ下収容部31は、前面と上面が開口した凹部であり、直方体状のセンサチップ200の下部が収容(嵌合)されるように構成されている。センサチップ下収容部31の内面の前部31aは、テーパ状に形成され、前面に向けて開口が広がるように形成されている。センサチップ下収容部31の上側には、
図5に示すように、コンタクト2のセンサチップ接続部25が配設されている。センサチップ接続部25は、センサチップ下収容部31の側面より内側に突出し、センサチップ下収容部31にセンサチップ200の下部が収容された際に、左右のコンタクト2のセンサチップ接続部25でセンサチップ200を挟持可能に配設されている。底部3bの前側の下面には、センサチップ下収容部31に対応する位置に、下方に向けて突出する下突出部31bが形成されている。下突出部31bは、直方体状に形成され、前面が底部3bの他の部分の前面と同じ面となっている。
【0028】
端子装着部33は、ハウジング3の後部に形成されている。端子装着部33には、2つのコンタクト2の第一圧接部21、第二圧接部22及びブリッジ部23が収容されている。端子装着部33は、左右の壁部3aの間の中央に前後に延在し、板面を左右に向けた中央壁部33aと、左右の壁部3aと中央壁部33aとに上下に延在する圧入溝33bと、左右の壁部3aと中央壁部33aの対向する面側に前後に延在するように形成されたブリッジ載置部33cと、左右の壁部3aと中央壁部33aとの間に前後に延在する電線載置部33dと、を有している。左右の壁部3aの後部も端子装着部33となっている。
【0029】
中央壁部33aは、ハウジング3の後端から前後方向中央部まで形成されている。圧入溝33bは、端子装着部33の壁部3aと中央壁部33aとの前部及び後部に形成されている。圧入溝33bは、壁部3aと中央壁部33aとの互いに対向する面に形成され、壁部3aに形成された圧入溝33bと、中央壁部33aに形成された圧入溝33bは互いに
対向している。前側の圧入溝33bと後ろ側の圧入溝33bにコンタクト2の圧入突起21b,22bがそれぞれ圧入され、コンタクト2の第一圧接部21と第二圧接部22が、壁部3aと中央壁部33aの間に挟持されている。端子装着部33の前側に第二圧接部22が設置され、後側に第一圧接部21が設置される。コンタクト2は、圧入溝33bに圧入突起21b,22bが圧入されて、第一圧接部21と第二圧接部22が、壁部3aと中央壁部33aの間に挟持されることにより、ハウジング3内に設置されている。
【0030】
ブリッジ載置部33cは、ハウジング3の底面と平行な上面を有し、その上面にコンタクト2のブリッジ部23が載置されている。ブリッジ載置部33cは、左右の壁部3aの内側と、中央壁部33aの左右両側に形成されている。電線載置部33dは、前後に延在する溝状に形成されている。電線載置部33dは、
図6に示すように、中央壁部33aと壁部3aの間に形成されており、端子装着部33内の左右に2か所形成されている。電線載置部33dの深さは、コンタクト2を端子装着部33に設置した際にコンタクト2の圧接溝部21a,22aよりも深くなるように形成されている。電線載置部33dの溝内に電線100が載置される。
【0031】
図7、
図8に示すカバー部4は、ハウジング3の腕延在部32に嵌合される。カバー部4は、略直方体状に形成されている。カバー部4は、下面に凹部状に形成された腕収容部41(受容部)と、腕収容部41内に凹部状に形成されたセンサチップ上収容部42(受容部)と、上面から前面にかけて凹部状に形成された把持部43と、左右両側面から突出するように形成された嵌合突部44と、後面から下面にかけて凹状に形成された電線収容部45と、を有している。
【0032】
腕収容部41は、前面と下面と後面とが開口している。腕収容部41には、コンタクト2の腕部24が収容される。センサチップ上収容部42は、前面と下面が開口した凹部である。センサチップ上収容部42には、直方体状のセンサチップ200の上部が収容(嵌合)される。センサチップ上収容部42の内面の前部42aは、テーパ状に形成され、前面に向けて開口が広がるように形成されている。センサチップ上収容部42は、カバー部4がハウジング3に取り付けられた際に、センサチップ下収容部31と前後左右の位置が同じとなる。
【0033】
把持部43の底面には、上方に突出する上突出部43aが形成されている。上突出部43aは、略直方体状に形成され、前面がカバー部4の他の部分の前面と同一平面である。嵌合突部44は、カバー部4の左右側面中央部において、外向きに突出するように形成されている。嵌合突部44は、腕延在部32の左右の壁部3aに形成されている嵌合溝32aに嵌合する。嵌合突部44は、上面44aがカバー部4の底面と平行となっている。嵌合突部44の下面44bは、左右方向外側から内向きにかけて上から下にかけて傾斜する傾斜面となっている。嵌合突部44の前面44c及び後面44dはカバー部4の前面と後面と平行となっている。電線収容部45には、電線100をコンタクト2に接続した際に、電線100の先端が第二圧接部22より前方に突出する部分が収容される。
【0034】
このように構成されるセンサチップ用コネクタ1を用いた温度センサであるセンサ300の製造方法について説明する。先ず、センサチップ用コネクタ1のコンタクト2に電線100を圧接する。その際には、
図5に示すように、電線100をコンタクト2のブリッジ部23間に上から挿入するとともに、電線100をコンタクト2の第一圧接部21と第二圧接部22の圧接溝部21a,22aの下部まで挿入する。このとき、圧接溝部21a,22aの下部は、左右方向の幅が、電線100の芯線100aの直径よりも小さく形成されているので、圧接溝部21a,22aに挿入された電線100の被覆100bが削られ、芯線100aが露出し、
図9に示すように、芯線100aが圧接溝部21a,22aに接触した状態となる(
図9は第二圧接部22についての図であるが、第一圧接部につい
ても同様である)。このようにして、電線100とコンタクト2が電気的に接触する。ブリッジ部23間に挿入された電線100は、電線載置部33dに載置される。このようにして、2つの電線100が、それぞれ左右のコンタクト2の第一圧接部21と第二圧接部22とに電気的に接続される。
【0035】
次に、カバー部4を腕延在部32に腕延在部32の上方から嵌合する。その際には、カバー部4は、嵌合突部44の下面44bである傾斜面にガイドされて、好適に、腕延在部32に挿入される。カバー部4の左右両側面に形成された嵌合突部44の突出端面同士の間隔は、ハウジング3の左右の壁部3a間の間隔より大きいので、カバー部4を腕延在部32に嵌合する際には、壁部3aが拡開する。嵌合突部44が嵌合溝32aに嵌合すると、壁部3aの拡開が元に戻り、カバー部4が腕延在部32に嵌合される。
【0036】
続いて、
図10に示すように、センサチップ用コネクタ1の前方からセンサチップ200をセンサチップ用コネクタ1に装着し、センサチップ200をコンタクト2に電気的に接続する。その際には、
図11に示すように、センサチップ200の上部をセンサチップ上収容部42に挿入し、センサチップ200の下部をセンサチップ下収容部31に挿入し、センサチップ200の表裏の電極部分の中央部を左右のコンタクト2のセンサチップ接続部25に当接させてセンサチップ200を挟持させて、センサチップ200とセンサチップ接続部25とを電気的に接続するとともにセンサチップ200を保持させる。この際には、センサチップ200は、センサチップ上収容部42とセンサチップ下収容部31の内面の前部31a,42aのテーパ状に形成された部分に案内されて好適にセンサチップ上収容部42、センサチップ下収容部31及びセンサチップ接続部25間に挿入される。
【0037】
また、左右のコンタクト2のセンサチップ接続部25間の間隔は、センサチップ200の厚みよりも小さく形成されているが、センサチップ200を挿入していくと、左右のコンタクト2の腕部24が互いに離れる方向に拡開し、センサチップ200がセンサチップ接続部25間に挟持されるようになる。その際には、腕部24の基端部である第二圧接部22はハウジング3に対して固定されているので、腕部24は、先端が拡開されると、先端を閉じる方向、即ち、センサチップ接続部25がセンサチップ200を挟持する方向に、センサチップ接続部25を付勢することとなる。センサチップ200は、センサチップ上収容部42及びセンサチップ下収容部31に収容されて、ハウジング3の前部から突出しないようになっている。
【0038】
このようにして、センサチップ200とコンタクト2と電線100が電気的に接続される。その後に、
図12に示すようにセンサチップ用コネクタ1に電線100とセンサチップ200を配設した状態のセンサチップ用コネクタ1にエポキシ樹脂をポッティングする。エポキシ樹脂をポッティングした後に、カバー301でセンサチップ用コネクタ1を覆う。このようにして、
図13に示す、センサ300が完成する。
【0039】
センサチップ用コネクタ1の左右のコンタクト2のセンサチップ接続部25間は、センサチップ200の厚みよりも小さく、センサチップ接続部25間にセンサチップ200を挿入すると、腕部24が拡開され、腕部24がセンサチップ接続部25をセンサチップ200を挟持する方向に付勢するので、センサチップ接続部25はセンサチップ用コネクタ1を振っても落ちない程度の力でセンサチップ200を挟持することができる。腕部24は、板状に形成され、板面が上下方向を向いているので、左右方向に弾性変形し難く、腕部24が拡開された際の付勢力が大きい。また、腕部24の基端部には、膨出部24aが形成されているので、これも腕部24の付勢力を大きくする一因となっている。また、コンタクト2は、導電性を有すればよいので、電線100よりも付勢力の大きい素材を使用することができる。このように、コンタクト2の腕部24は、電線100よりも付勢力を強くすることができるので、従来よりも大きな力で、センサチップ200を挟持すること
ができ、センサチップ用コネクタ1からセンサチップ200が抜け落ちにくい。
【0040】
センサチップ用コネクタ1を用いて、センサチップ200と電線100とを電気的に接続すると、センサチップ200は、電線100ではなくセンサチップ用コネクタ1のコンタクト2に接続すればよく、センサチップ200をコンタクト2に接続する際には、ハウジング3やカバー部4を利用して位置決め(例えば、ハウジング3の前面及び側面、下突出部31bや、カバー部4の把持部43等を利用して)ができるので、作業性がよい。また、治具を利用しやすく、効率的に作業を行うことができる。また、センサチップ接続部25とセンサチップ200との接続位置もずれを少なくすることができる。その結果、センサ300の不良品を少なくすることができる。センサチップ用コネクタ1は、センサチップ200を収容するセンサチップ下収容部31と、センサチップ上収容部42と、を有するので、センサチップ200を容易に位置決めすることができる。更に、センサチップ上収容部42とセンサチップ下収容部31の内面の前部31a,42aにテーパ状に形成された部分があるので、それらがセンサチップ200を案内するので、センサチップ200を容易に位置決めすることができる。
【0041】
センサ300の製造工程においては、電線100の被覆100bを剥く工程、電線100の被覆100bを剥いた芯線100aにはんだを付ける工程、はんだを付けた芯線100aの先端同士を対向させるように曲げる工程、芯線100aでチップを挟んだ部分にはんだを付ける工程を削減できる。従って、センサ300の製造コストを低減できる。また、電線100をセンサチップ用コネクタ1に圧接する際も、センサチップ200をセンサチップ用コネクタ1に取り付ける際にも、ハウジング3を使用して位置決めすればよいので、センサ300の製造工程を自動化し易い。従って、センサ300の製造コストを低減し易い。
【0042】
本実施形態では、センサチップ下収容部31と腕収容部41とセンサチップ上収容部42とで、センサチップ200を受容可能な受容部を構成している。受容部にセンサチップ200を受容させたときに、センサチップ200がセンサチップ接続部25間に挟持される。特許請求の範囲に記載したハウジングは、本実施形態のハウジング3のみからなる場合と、ハウジング3とカバー部4とをあわせた場合とを含む。本実施形態のセンサチップ上収容部42とセンサチップ下収容部31との上下左右の寸法は、センサチップ200が挿入されて嵌合される寸法となっているが、センサチップ200の寸法よりも少々大きくてもよい。本実施形態のセンサ300は、温度センサであるが、加速度センサでもよいし、種々のセンサに適用できる。
【0043】
本実施形態では、第一圧接部21と第二圧接部22との2つの圧接部を有したコンタクト2を使用しているが、
図14、
図15に示すように、圧接部を第二圧接部22のみ有するコンタクト2aを使用してもよい。この場合、センサチップ用コネクタの小型化が図れる。本実施形態においては、電線接続部は、電線100を圧接するように形成されているが、はんだ付け可能に形成しても、圧着可能に形成しても、ピアッシング(突き刺し)可能に形成してもよい。本実施形態のセンサ300の製造方法においては、電線100はコンタクト2に圧接したが、はんだ付けしても、圧着しても、ピアッシング(突き刺し)してもよい。本実施形態では、コンタクト2は、ハウジング3に固定されているが、保持されていればよい。
【0044】
本実施形態では、センサチップ用コネクタ1は、ハウジング3とカバー部4とを有しているが、カバー部4を有しなくてもよい。この場合、受容部は、センサチップ下収容部31のみからなる。本実施形態のハウジング3は、壁部3aが底部3bの左右全体に形成されているが、コンタクト2の腕部24の左右にあたる壁部3aの部分は、なくてもよい。この場合、カバー部4は設けなくてもよい。本実施形態では、ハウジング3とカバー部4
とに、センサチップ下収容部31と腕収容部41とセンサチップ上収容部42とから構成される受容部を設けたが、受容部を設けず、コンタクト2の腕部24の先端をハウジング3の前面から突設させ、ハウジング3の前面から突出したセンサチップ接続部25でセンサチップ200を挟持するようにしてもよい。この場合であっても、センサチップ用コネクタ1にセンサチップ200を取り付ける際に、ハウジング3を利用して位置決め(例えば、ハウジング3の前面、側面、上面、下面等を利用して)でき、作業性がよい。
【符号の説明】
【0045】
1 センサチップ用コネクタ
2 コンタクト
3 ハウジング
21 第一圧接部(電線接続部)
22 第二圧接部(電線接続部)
24 腕部(弾性部)
25 センサチップ接続部