(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20230421BHJP
A47L 15/18 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A47L15/42 B
A47L15/42 A
A47L15/42 C
A47L15/18
(21)【出願番号】P 2019175973
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-046299(JP,A)
【文献】特開2008-000448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00 - 15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方が開放された筐体開口部を有する筐体と、
前記筐体内に固定され、前記筐体の後面側から前記筐体開口部に向かう引き出し方向に延びる案内レールと、
前記引き出し方向にスライド可能に前記案内レールに支持された可動部と、
前記可動部が固定され、前記筐体内に収容された収容位置と、前記筐体内から前記引き出し方向に移動して前記筐体開口部を介して前記筐体の外部に露出する引き出し位置との間で移動可能であり、上方が開放された開口を有して食器を収容可能な洗浄槽と、を備えた食器洗浄機であって、
前記筐体が載置される載置面に締結されるとともに、前記案内レールが前記引き出し位置に移動した前記洗浄槽を前記可動部を経由して支持するときに、前記案内レールの上向きの移動を規制する規制部材をさらに備えていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記規制部材は、前記案内レールにおける上向きに移動しようとする部分の一部である特定部分に上から当接するように構成されている請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記特定部分は、前記案内レールにおける前記筐体の前記後面側に位置する端部に設けられている請求項1又は2記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記可動部は、少なくとも1段の引き出しレールである請求項1乃至3のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記規制部材は、前記筐体に係合して前記筐体の前記後面側が上向きに移動することを規制するように構成されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。この食器洗浄機は、筐体、案内レール、可動部及び洗浄槽を備えている。
【0003】
筐体は、前方が開放された筐体開口部を有している。案内レールは、筐体内に固定されている。案内レールは、筐体の後面側から筐体開口部に向かう引き出し方向に延びている。可動部は、可動レール及び中間レールからなる引き出しレールである。可動部は、引き出し方向にスライド可能に案内レールに支持されている。つまり、案内レール及び可動部は、3段引きスライドレールを構成している。
【0004】
洗浄槽には、可動部の可動レールが固定されている。洗浄槽は、筐体内に収容された収容位置と、筐体内から引き出し方向に移動して筐体開口部を介して筐体の外部に露出する引き出し位置との間で移動可能である。洗浄槽は、上方が開放された開口を有して食器を収容可能である。
【0005】
この食器洗浄機は、筐体が置き台の上面や床面等である載置面に載置された状態で使用される。そして、この食器洗浄機では、載置面に固定金具が締結され、その固定金具が筐体の後面側に係合している。これにより、この食器洗浄機では、案内レールが引き出し位置に移動した洗浄槽を可動部を経由して支持し、さらに筐体がその案内レールを支持するときに、筐体の転倒を抑制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の食器洗浄機では、案内レールが引き出し位置に移動した洗浄槽を可動部を経由して支持するときに、引き出し方向にスライドした可動部によって案内レールにおける筐体開口部側に位置する部分が下向きに押され、それに伴って、案内レールにおける他の部分、例えば、筐体の後面側に位置する部分等が上向きに移動して、案内レールが引き出し方向に下り傾斜する状態になり易い。
【0008】
そして、このように案内レールが引き出し方向に下り傾斜する状態で洗浄槽を引き出し位置から収容位置に移動させる場合、ユーザが洗浄槽を押す力が案内レールの下り傾斜によって分散され易いため、ユーザが洗浄槽を大きな力で押す必要がある。その結果、この食器洗浄機では、洗浄槽を収容位置に移動させるときの操作性を向上させることが難しいという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、洗浄槽を収容位置に移動させるときの操作性の向上を実現できる食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の食器洗浄機は、前方が開放された筐体開口部を有する筐体と、
前記筐体内に固定され、前記筐体の後面側から前記筐体開口部に向かう引き出し方向に延びる案内レールと、
前記引き出し方向にスライド可能に前記案内レールに支持された可動部と、
前記可動部が固定され、前記筐体内に収容された収容位置と、前記筐体内から前記引き出し方向に移動して前記筐体開口部を介して前記筐体の外部に露出する引き出し位置との間で移動可能であり、上方が開放された開口を有して食器を収容可能な洗浄槽と、を備えた食器洗浄機であって、
前記筐体が載置される載置面に締結されるとともに、前記案内レールが前記引き出し位置に移動した前記洗浄槽を前記可動部を経由して支持するときに、前記案内レールの上向きの移動を規制する規制部材をさらに備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の食器洗浄機では、案内レールが引き出し位置に移動した洗浄槽を可動部を経由して支持するときに、引き出し方向にスライドした可動部によって案内レールにおける筐体開口部側に位置する部分が下向きに押され、それに伴って、案内レールにおける他の部分、例えば、筐体の後面側に位置する部分等が上向きに移動しようとし、案内レールが引き出し方向に下り傾斜する状態になろうとする。
【0012】
ここで、この食器洗浄機では、筐体が載置される載置面に締結される規制部材が案内レールの上向きの移動を規制するので、案内レールが引き出し方向に下り傾斜する状態になることを抑制できる。その結果、この食器洗浄機では、ユーザが洗浄槽を押す力が案内レールによって分散され難いため、洗浄槽を引き出し位置から収容位置に移動させるためにユーザが洗浄槽を押す力を小さくできる。
【0013】
したがって、本発明の食器洗浄機では、洗浄槽を収容位置に移動させるときの操作性の向上を実現できる。
【0014】
規制部材は、案内レールにおける上向きに移動しようとする部分の一部である特定部分に上から当接するように構成されていることが望ましい。特定部分は、案内レールにおける筐体の後面側に位置する端部や、その端部に近い部分であってもよい。また、特定部分は、上向きに移動しようとする部分であれば、案内レールの中間部分であってもよいし、案内レールにおける中間部分よりも筐体開口部側に位置する部分であってもよい。また、特定部分は、案内レールの上面の一部であってもよいし、案内レールの下面側に形成された係合部であってもよい。そして、この食器洗浄機では、規制部材が案内レールの特定部分に上から当接する簡素な構成により、製造コストの低廉化と、据付作業の簡素化とを実現できる。
【0015】
特定部分は、案内レールにおける筐体の後面側に位置する端部に設けられていることが望ましい。案内レールにおける筐体の後面側に位置する端部は、案内レールが引き出し位置に移動した洗浄槽を可動部を経由して支持するときに、最も上向きに移動しようとする部分である。このため、この食器洗浄機では、案内レールにおける最も上向きに移動しようとする部分を特定部分として、規制部材がその特定部分に上から当接することにより、案内レールが引き出し方向に下り傾斜する状態になることを確実性高く抑制できる。その結果、この食器洗浄機では、洗浄槽を収容位置に移動させるときの操作性の向上を一層実現できる。
【0016】
可動部は、少なくとも1段の引き出しレールであることが望ましい。この場合、案内レール及び可動部は、複数段引きのスライドレールを構成する。そして、スライドレールは、安価な汎用部品として市場に供給されている。これにより、この食器洗浄機では、製造コストの低廉化を実現しつつ、洗浄槽を収容位置に移動させるときの操作性の向上を実現できる。
【0017】
規制部材は、筐体に係合して筐体の後面側が上向きに移動することを規制するように構成されていることが望ましい。この場合、規制部材が筐体の転倒の抑制も兼ねるので、製造コストの低廉化を実現できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の食器洗浄機によれば、洗浄槽を収容位置に移動させるときの操作性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、実施例の食器洗浄機の模式断面図であって、洗浄槽が収容位置にある状態を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1と同様の模式断面図であって、洗浄槽が引き出し位置にある状態を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例の食器洗浄機の模式断面図であって、洗浄槽が収容位置にある状態における案内レール、中間レール、可動レール及び規制部材等を示す図である。
【
図4】
図4は、
図3と同様の模式断面図であって、洗浄槽が引き出し位置にある状態における案内レール、中間レール、可動レール及び規制部材等を示す図である。
【
図6】
図6は、筐体の後壁、案内レールの後端部及び規制部材を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0021】
(実施例)
図1~
図4に示すように、実施例の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下側に設置された前面引き出し式のものである。
【0022】
<筐体、洗浄槽、スライドレール及び蓋体>
食器洗浄機1は、
図1~
図5に示す筐体9及び洗浄槽7と、
図3~
図5に示すスライドレール10と、
図1及び
図2に示す蓋体8とを備えている。
【0023】
本実施例では、略箱状体である筐体9におけるシステムキッチンを利用するユーザと対向する前面側、すなわち
図1~
図4の紙面左側を前方と規定し、筐体9の後面側である
図1~
図4の紙面右側を後方と規定する。
【0024】
図1に示すように、筐体9は、鋼板等の金属板材によって構成された略箱状体である。システムキッチンは、図示しない床面に固定される置き台FB1を有している。筐体9は、載置面FB1Aに載置された状態で、その上面側が天板CT1に覆われている。
【0025】
図2に示すように、筐体9は、前方が開放された筐体開口部9Hを有している。筐体開口部9Hは、筐体9の前面側の上端部から下端部までの広い範囲にわたって開放され、筐体9内と外部とを連通させている。
【0026】
筐体9における
図3の紙面手前側の内壁面は、
図5に示す筐体9の側壁9Sの内壁面である。筐体9の側壁9Sの内壁面には、レール支持部材90が組み付けられている。
【0027】
図示は省略するが、筐体9における
図3の紙面奥側の内壁面にも、レール支持部材90が組み付けられている。それら2つのレール支持部材90は、勝手違いの同一構成である。このため、
図5に示すレール支持部材90について詳しく説明し、
図3の紙面奥側に位置するレール支持部材90については説明を省略する。
【0028】
図5に示すように、レール支持部材90は、鋼板等の金属板材によって構成された断面略U字形状の部材である。レール支持部材90は、固定板91、支持板92、接続板93及び複数の切り起こし片94を含んでいる。
【0029】
固定板91は、筐体9の側壁9Sの内壁面に隣接する状態で前後方向及び上下方向に平板状に延びている。固定板91は、複数のねじ91Jによって、
図5の紙面手前側から奥側に向かう方向、すなわち前後方向において複数箇所で、筐体9の側壁9Sに締結されている。
【0030】
支持板92は、固定板91に対して筐体9の内部に向かって離間する位置で、前後方向及び上下方向に平板状に延びている。
【0031】
接続板93は、固定板91の下端と支持板92の下端とを接続するとともに、筐体9の底壁9Bに上から当接している。
【0032】
各切り起こし片94は、
図5の紙面手前側から奥側に向かう方向において複数箇所で、支持板92における下端側の一部が筐体9の内部に向かって切り起こされてなる突出片である。各切り起こし片94は、ねじ94Jによって筐体9の底壁9Bに締結されている。
【0033】
図1に示すように、洗浄槽7は、主に耐熱性樹脂等によって構成された略箱状体である。洗浄槽7は、上方が開放された開口7Hを有して食器TW1を収容可能である。洗浄槽7の前面側の上端部には、取っ手部7Gが設けられている。
【0034】
洗浄槽7は、この後に詳しく説明するスライドレール10により、
図1及び
図3に示す収容位置と、
図2及び
図4に示す引き出し位置との間で移動可能である。
【0035】
洗浄槽7は、収容位置において、筐体9内に収容される。その一方、洗浄槽7は、引き出し位置において、筐体9内から引き出し方向に移動して筐体開口部9Hを介して筐体9の外部に露出する。引き出し方向は、筐体9の後面側から筐体開口部9Hに向かう前向きの方向である。
【0036】
スライドレール10は、筐体9における
図3の紙面手前側の側面、すなわち、
図5に示す筐体9の側壁9Sの内壁面と、洗浄槽7における
図3の紙面手前側の側面、すなわち、
図5に示す洗浄槽7の側壁7Sの側面との間に設けられている。
【0037】
図示は省略するが、筐体9における
図3の紙面奥側の内壁面と、洗浄槽7における
図3の紙面奥側の側面との間にも、スライドレール10が設けられている。それら2つのスライドレール10は、勝手違いの同一構成である。このため、
図3の紙面手前側に位置するスライドレール10について詳しく説明し、
図3の紙面奥側に位置するスライドレール10については説明を省略する。
【0038】
図3及び
図5に示すように、スライドレール10は、案内レール11、中間レール12及び可動レール13を有する3段引きスライドレールであり、安価な汎用部品として市場に供給されている。中間レール12及び可動レール13は、本発明の「可動部」及び「引き出しレール」の一例である。
【0039】
また、スライドレール10は、
図5に示すように、ボールリテーナ16Hに保持された複数のボール16と、ボールリテーナ17Hに保持された複数のボール17とを有している。
【0040】
案内レール11は、鋼板等の金属板材によって構成された断面略C字形状の部材である。案内レール11は、基板11A及びボール案内部11B、11Cを含んでいる。
【0041】
基板11Aは、前後方向及び上下方向に平板状に延びている。基板11Aは、複数のねじ11Jによって、
図5の紙面手前側から奥側に向かう方向において複数箇所で、レール支持部材90の支持板92に締結されている。これにより、案内レール11は、レール支持部材90を介在させた状態で筐体9内に固定されている。
【0042】
上側のボール案内部11Bは、基板11Aの上端から屈曲して筐体9の内部に向って延びる部分に形成されている。下側のボール案内部11Cは、基板11Aの下端から屈曲して筐体9の内部に向って延びる部分に形成されている。
【0043】
図3に示すように、案内レール11は、筐体9の後面に近い位置から筐体開口部9Hに近い位置まで引き出し方向に水平に延びている。
図3及び
図4に示す基準線SL1は、案内レール11における上下方向の中央を通過して引き出し方向に水平に延びる直線である。
【0044】
図5に示すように、中間レール12は、鋼板等の金属板材によって構成された断面略W字形状の部材である。中間レール12の上部分には、ボール案内部12B、12Dが形成されている。中間レール12の下部分には、ボール案内部12C、12Eが形成されている。
【0045】
案内レール11のボール案内部11B、11Cと中間レール12のボール案内部12B、12Cとは、各ボール16を転動可能に挟持している。
【0046】
図3及び
図4に示すように、中間レール12は、少なくとも一部が案内レール11に収容された状態で、引き出し方向に水平に延びている。
【0047】
可動レール13は、鋼板等の金属板材によって構成された断面略C字形状の部材である。可動レール13は、基板13A及びボール案内部13D、13Eを含んでいる。
【0048】
基板13Aは、前後方向及び上下方向に平板状に延びている。基板13Aは、複数のねじ13Jによって、
図5の紙面手前側から奥側に向かう方向において複数箇所で、洗浄槽7の側壁7Sに締結されている。これにより、可動レール13は、洗浄槽7の側壁7Sに固定されている。
【0049】
基板13Aには、複数の切り起こし片13Gが形成されている。各切り起こし片13Gは、
図5の紙面手前側から奥側に向かう方向において複数箇所で、基板13Aの一部が筐体9の内部に向かって切り起こされてなる突出片である。各切り起こし片13Gは、洗浄槽7における側壁7Sの下端を含む角部に下から当接している。
【0050】
上側のボール案内部13Dは、基板13Aの上端から屈曲して筐体9の側壁9Sに向って延びる部分に形成されている。下側のボール案内部13Eは、基板13Aの下端から屈曲して筐体9の側壁9Sに向って延びる部分に形成されている。
【0051】
中間レール12のボール案内部12D、12Eと可動レール13のボール案内部13D、13Eとは、各ボール17を転動可能に挟持している。
【0052】
図3及び
図4に示すように、可動レール13は、少なくとも一部が中間レール12に収容された状態で、引き出し方向に水平に延びている。
【0053】
このような構成により、中間レール12及び可動レール13は、引き出し方向にスライド可能に案内レール11に支持されている。
【0054】
ユーザが取っ手部7Gを把持して手動操作で洗浄槽7を出し入れすることにより、
図3及び
図4に示すように、洗浄槽7を収容位置と引き出し位置との間で移動させることができる。
【0055】
蓋体8は、筐体9内の上側に配置されており、洗浄槽7の開口7Hを閉塞及び開放可能である。蓋体8は、図示しない連動機構によって、洗浄槽7の出し入れに連動して、
図1に示す位置と、
図2に示す位置との間で上下動するようになっている。
【0056】
図1に示すように、洗浄槽7は、収容位置にある状態で、筐体開口部9Hを閉塞するとともに、開口7Hが蓋体8によって閉塞される。
【0057】
図2に示すように、洗浄槽7は、引き出し位置にある状態で、筐体9内に残る蓋体8によって、筐体9の外部に露出する開口7Hが開放される。これにより、ユーザは、開口7Hを介して、食器TW1を洗浄槽7に収容したり、食器TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0058】
<規制部材>
図3、
図4及び
図6に示すように、食器洗浄機1は、規制部材80をさらに備えている。規制部材80は、
図3の紙面手前側に位置するスライドレール10における案内レール11の後端側に配置されている。
【0059】
図示は省略するが、
図3の紙面奥側に位置するスライドレール10における案内レール11の後端側にも、規制部材80が配置されている。それら2つの規制部材80は、勝手違いの同一構成である。このため、
図3の紙面手前側に位置する規制部材80について詳しく説明し、
図3の紙面奥側に位置する規制部材80については説明を省略する。
【0060】
規制部材80は、第1壁81、第2壁82及び第3壁83を有している。
図6に示すように、第1壁81は、複数のねじ穴が上下方向に貫通するように形成された略矩形平板である。第2壁82は、第1壁81の後端縁に接続し、上向きに平板状に延びている。第2壁82の上部分の横幅は、第2壁82の下部分の横幅よりも狭くなっている。第3壁83は、第2壁82の上端縁に接続し、前向きに緩やかに上り傾斜しながら平板状に延びている。
【0061】
図3に示すように、規制部材80は、複数のねじ80Jが第1壁81を通過して、置き台FB1の載置面FB1Aにねじ込まれることにより、載置面FB1Aに締結されている。
【0062】
図3及び
図6に示すように、筐体9の後壁9Rの下端縁側の角部には、略矩形状の係合穴9Uが前後方向に貫通するように形成されている。係合穴9Uは、案内レール11の後端に対して後方に位置している。
【0063】
第2壁82は、筐体9の後壁9Rに後から隣接している。第3壁83は、後壁9Rの係合穴9Uを前向きに通過している。規制部材80は、第3壁83の根元側が係合穴9Uの下端縁に上から当接することにより、筐体9の後壁9Rに係合している。これにより、規制部材80は、筐体9の後面側が上向きに移動することを規制する。
【0064】
案内レール11における筐体9の後面側に位置する後端部には、前向きに凹む切り欠き11Tが形成されている。そして、案内レール11の後端部における切り欠き11Tよりも下方には、特定部分11Sが設けられている。
【0065】
規制部材80において、第3壁83の先端部の下面には、ゴム、エラストマ又は発砲体等によって構成されるブロック形状の弾性体83Aが貼り付けられている。第3壁83の先端部は、弾性体83Aを介在させた状態で案内レール11の特定部分11Sに上から当接している。
【0066】
図4に示すように、案内レール11が引き出し位置に移動した洗浄槽7を可動レール13及び中間レール12を経由して支持するときに、引き出し方向にスライドした可動レール13及び中間レール12は、洗浄槽7の荷重や食器TW1の荷重により、引き出し方向に下り傾斜する状態になる。なお、
図4は、基準線SL1に対する可動レール13及び中間レール12の変位量を誇張して図示している。
【0067】
これにより、案内レール11における筐体開口部9H側に位置する部分は、可動レール13及び中間レール12における案内レール11に収容された部分によって下向きに押される。それに伴って、
図4に案内レール11の一部を二点鎖線で示すように、案内レール11における他の部分、例えば、筐体9の後面側に位置する部分等が上向きに移動しようとし、案内レール11が引き出し方向に下り傾斜する状態になろうとする。
【0068】
このとき、載置面FB1Aに締結された規制部材80は、第3壁83の先端部が特定部分11Sに上から当接することにより、案内レール11の上向きの移動を規制する。その結果、案内レール11は、
図4に二点鎖線で示されたような引き出し方向に下り傾斜する状態になることが抑制される。
【0069】
また、このとき、弾性体83Aは、それぞれ金属製である規制部材80の第3壁83と案内レール11の特定部分11Sとが直に当接することによる異音の発生を抑制するようになっている。
【0070】
<給水管、給水電磁弁、排水管及び貯水部>
図1に示すように、筐体9内には、給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2が設けられている。
【0071】
給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7に水を供給する。給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0072】
図2に示すように、給水管P1及び排水管P2は、洗浄槽7の引き出し位置への移動を阻害しないように、洗浄槽7の引き出し距離に応じて長くされている。
図1に示すように、給水管P1及び排水管P2は、洗浄槽7が収容位置に移動するときに、逆U字形状に湾曲して洗浄槽7と筐体9の後面側との間の狭い空間に収まるようになっている。
【0073】
洗浄槽7内の底部には、洗浄水を貯める貯水部71が設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご70が配置されている。食器かご70には、食器TW1が載置される。食器TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。
【0074】
<ノズル及びポンプ>
図1及び
図2に示すように、食器洗浄機1は、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部71の下側に組み付けられている。ノズル61及びポンプ62は、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0075】
ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射する。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご70を洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0076】
ポンプ62は、正転作動時、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水をノズル61に供給して噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部71に貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。また、ポンプ62は、逆転作動時、洗浄槽7内の洗浄水を残菜フィルタ67及び排水管P2を介して食器洗浄機1の外部に排出する。
【0077】
<ヒータ、温度センサ、乾燥ファン及び水位センサ>
図1及び
図2に示すように、食器洗浄機1は、ヒータ63、温度センサ33、乾燥ファン68及び水位センサ31をさらに備えている。ヒータ63、温度センサ33、乾燥ファン68及び水位センサ31は、洗浄槽7に組み付けられており、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0078】
図1に示すように、ヒータ63は、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。温度センサ33は、洗浄槽7の温度を検知する。
【0079】
乾燥ファン68は、ヒータ63を作動させた状態で回転作動することにより、加熱された空気を洗浄槽7内に送り込んで食器TW1を乾燥させる。乾燥ファン68により洗浄槽7内に送り込まれた空気は、洗浄槽7の前面に形成された通気口7Eから食器洗浄機1の外部に排気される。
【0080】
水位センサ31は、洗浄槽7の貯水部71の隣に配置された水位検知槽30内に設けられたフロート式センサである。水位検知槽30は、連通管P3を介して洗浄槽7の貯水部71と接続されている。水位センサ31は、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する。
【0081】
<制御部及び入出力部>
食器洗浄機1は、制御部C1及び入出力部40をさらに備えている。制御部C1は、洗浄槽7の前面側における取っ手部7Gによりも下方に配置されている。入出力部40は、洗浄槽7の前面側の上端部に配置されている。制御部C1及び入出力部40は、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0082】
制御部C1は、図示しないCPUと、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されたメモリと、制御対象との間で信号の送受信を行うインターフェース回路と、制御対象への給電を制御する給電回路と、を含んで構成された電子回路ユニットである。メモリは、食器洗浄機1を動作させるためのプログラム及び設定情報等を記憶している。
【0083】
制御部C1は、ポンプ62、ヒータ63及び乾燥ファン68等を制御して作動させるとともに、温度センサ33及び水位センサ31から検知信号を受信する。また、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検知する位置センサや、洗浄槽7が収容位置でロックされたか否かを検知するロックセンサから検知信号を受信する。
【0084】
入出力部40は、ユーザが入力操作を行うための図示しない複数のボタン等を有している。また、入出力部40は、ランプや、ユーザに各種の情報を伝達するために数字や文字等を表示可能な表示素子等を有している。入出力部40は、ユーザの入力操作を制御部C1に伝達するとともに、制御部C1から伝達された情報を表示する。
【0085】
図1に示すように、洗浄槽7が収容位置にある状態では、入出力部40の全体がシステムキッチンの天板CT1によって隠蔽されている。このため、ユーザは、入出力部40を操作及び視認できないようになっている。
【0086】
その一方、洗浄槽7が
図1に示す収容位置から、
図2に示すように引き出されることにより、入出力部40の全体がシステムキッチンの天板CT1よりも前方に移動する。このため、ユーザは、入出力部40を操作及び視認できるようになる。
【0087】
<洗浄動作>
上記構成である食器洗浄機1では、以下の手順で、洗浄動作が実行される。すなわち、入出力部40が上記のように配置されていることから、洗浄槽7が
図2に示すように引き出された状態で、ユーザが入出力部40を操作して洗浄動作の開始を指示した後に、洗浄槽7を
図1に示す収容位置まで押し込む。これにより、制御部C1は、図示しない位置センサによって洗浄槽7が収容位置にあることが検知され、かつ図示しないロックセンサによって洗浄槽7が収容位置でロックされたことが検知されたことを条件として、ポンプ62を作動させ、ノズル61から洗浄槽7内に洗浄水を噴射する洗浄動作を実行する。つまり、制御部C1は、洗浄槽7の開口7Hが蓋体8によって閉塞される状態を確認した上で、ポンプ62を作動させて洗浄動作を実行する。そして、制御部C1は、洗浄動作の進行に応じて、ヒータ63及び乾燥ファン68を適宜作動させて、洗浄槽7内の食器TW1を綺麗に洗浄した後、その食器TW1を乾燥させて、洗浄動作を終了する。
【0088】
<作用効果>
実施例の食器洗浄機1では、
図4に示すように、案内レール11が引き出し位置に移動した洗浄槽7を可動レール13及び中間レール12を経由して支持するときに、引き出し方向にスライドした可動レール13及び中間レール12は、洗浄槽7の荷重や食器TW1の荷重により、引き出し方向に下り傾斜する状態になる。
【0089】
これにより、案内レール11における筐体開口部9H側に位置する部分は、可動レール13及び中間レール12における案内レール11に収容された部分によって下向きに押される。それに伴って、
図4に案内レール11の一部を二点鎖線で示すように、案内レール11における他の部分、例えば、筐体9の後面側に位置する部分等が上向きに移動しようとし、案内レール11が引き出し方向に下り傾斜する状態になろうとする。
【0090】
このとき、載置面FB1Aに締結された規制部材80は、第3壁83の先端部が特定部分11Sに上から当接することにより、案内レール11の上向きの移動を規制するので、案内レール11が
図4に二点鎖線で示されたような引き出し方向に下り傾斜する状態になることを抑制できる。
【0091】
その結果、この食器洗浄機1では、ユーザが洗浄槽7を押す力が案内レール11によって分散され難いため、洗浄槽7を引き出し位置から収容位置に移動させるためにユーザが洗浄槽7を押す力を小さくできる。
【0092】
したがって、実施例の食器洗浄機1では、洗浄槽7を収容位置に移動させるときの操作性の向上を実現できる。
【0093】
また、この食器洗浄機1では、規制部材80の第3壁83が案内レール11の特定部分11Sに上から当接する簡素な構成により、第3壁83を特定部分11Sに締結するための締結部品や締結作業等が不要となるので、製造コストの低廉化と、据付作業の簡素化とを実現できる。
【0094】
さらに、この食器洗浄機1では、案内レール11における筐体9の後面側に位置する後端部は、案内レール11が引き出し位置に移動した洗浄槽7を可動レール13及び中間レール12を経由して支持するときに、最も上向きに移動しようとする部分である。このため、この食器洗浄機1では、案内レール11における最も上向きに移動しようとする部分を特定部分11Sとして、規制部材80の第3壁83がその特定部分11Sに上から当接することにより、案内レール11が引き出し方向に下り傾斜する状態になることを確実性高く抑制できる。その結果、この食器洗浄機1では、洗浄槽7を収容位置に移動させるときの操作性の向上を一層実現できる。
【0095】
また、この食器洗浄機1では、
図3~
図5に示すように、可動レール13及び中間レール12は、2段の引き出しレールであり、案内レール11、中間レール12及び可動レール13は、3段引きのスライドレール10を構成している。そして、スライドレール10は、安価な汎用部品として市場に供給されている。これにより、この食器洗浄機1では、製造コストの低廉化を実現しつつ、洗浄槽7を収容位置に移動させるときの操作性の向上を実現できる。
【0096】
さらに、この食器洗浄機1では、
図3、
図4及び
図6に示すように、規制部材80は、第3壁83の根元側が筐体9の後壁9Rの係合穴9Uに上から当接することにより、筐体9の後壁9Rに係合している。これにより、規制部材80は、筐体9の後面側が上向きに移動することを規制する。特に、
図4に示すように、案内レール11が引き出し位置に移動した洗浄槽7を可動レール13及び中間レール12を経由して支持し、さらに筐体9がその案内レール11を支持するときに、洗浄槽7の荷重や食器TW1の荷重によって、筐体9の後面側を上向きに大きく移動させようとするが、このような場合でも、規制部材80は、筐体9の後面側が上向きに移動することを確実に規制できる。こうして、この食器洗浄機1では、規制部材80が筐体9の転倒の抑制も兼ねるので、製造コストの低廉化を実現できる。
【0097】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0098】
例えば、実施例では、可動部は、可動レール13と中間レール12とからなる2段の引き出しレールであり、案内レール11と共に3段引きのスライドレール10を構成しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、可動部は、中間レールの無い1段の引き出しレールであってもよい。また、可動部は、案内レールに案内されながら転動する複数のローラや、転動不能な摺動部材であってもよい。
【0099】
実施例では、特定部分11Sが案内レール11における筐体9の後面側に位置する後端部に設けられているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、特定部分は、案内レール11の下側のボール案内部11Cの下面に接続し、下向きに突出して規制部材と係合する係合フックであってもよい。また、特定部分は、上向きに移動しようとする部分であれば、案内レール11の中間部分であってもよいし、案内レール11における中間部分よりも筐体開口部9H側に位置する部分であってもよい。また、特定部分は、案内レール11の上面を構成する上側のボール案内部11Bの一部であってもよい。
【0100】
実施例では、筐体9が載置される置き台90の載置面FB1Aに規制部材80が締結されているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、筐体が載置される載置面が床面であり、規制部材がその床面に締結される構成も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は例えば、食器洗浄機又は厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0102】
1…食器洗浄機
9H…筐体開口部
9…筐体
11…案内レール
12、13…可動部(引き出しレール(12…中間レール、13…可動レール))
7H…開口
TW1…食器
7…洗浄槽
FB1A…載置面
80…規制部材
11S…特定部分