(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】排ガス浄化用触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 23/50 20060101AFI20230421BHJP
B01J 37/02 20060101ALI20230421BHJP
B01J 37/03 20060101ALI20230421BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20230421BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20230421BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20230421BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B01J23/50 A ZAB
B01J37/02 301C
B01J37/03 B
B01J37/08
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/10 A
F01N3/28 301P
(21)【出願番号】P 2019190810
(22)【出願日】2019-10-18
【審査請求日】2022-09-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】堀 恵悟
(72)【発明者】
【氏名】小林 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 巧
(72)【発明者】
【氏名】服部 秀哉
【審査官】若土 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-131829(JP,A)
【文献】特開2003-286835(JP,A)
【文献】特開2000-210563(JP,A)
【文献】特開2001-096138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 23/50
B01J 37/02-37/04
B01J 37/08
B01D 53/94
F01N 3/10
F01N 3/28
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気経路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒であって、
基材と、前記基材に配置される触媒層と、を備え、
前記触媒層は、銀と、アルミニウム元素とチタン元素とを含むAlTi含有酸化物と、を含有し、
前記AlTi含有酸化物の全体を100質量%としたときに、前記チタン元素の酸化物換算の割合が、
0.1質量%以上5質量%以下であり、
前記AlTi含有酸化物をX線回折法で測定したときに、前記チタン元素に由来する回折ピークが検出されず、
前記AlTi含有酸化物を透過電子顕微鏡(観察倍率200万倍)で観察し、エネルギー分散型X線分析で元素マッピングを行ったときに、前記チタン元素が検出され、かつ、前記アルミニウム元素と前記チタン元素との合計面積(S
Al,Ti)に対する前記アルミニウム元素の面積(S
Al)の比(S
Al/S
Al,Ti)が、0.85以上
0.99以下である、排ガス浄化用触媒。
【請求項2】
前記比(S
Al/S
Al,Ti)が、0.9以上である、
請求項1に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項3】
前記触媒層の全体を100質量%としたときに、前記チタン元素の酸化物換算の含有割合が、0.1質量%以上5質量%以下である、
請求項1
または2に記載の排ガス浄化用触媒。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒と、
前記排ガス浄化用触媒よりも排ガス流動方向の上流側で前記排ガスに対して炭化水素を供給する供給機構と、
を備えた、排ガス浄化システム。
【請求項5】
前記内燃機関が、ディーゼルエンジンである、
請求項
4に記載の排ガス浄化システム。
【請求項6】
内燃機関の排気経路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒であって、基材と、前記基材に配置される触媒層と、を備え、前記触媒層は、銀と、アルミニウム元素とチタン元素とを含むAlTi含有酸化物と、を含有し、前記AlTi含有酸化物の全体を100質量%としたときに、前記チタン元素の酸化物換算の割合が、
0.1質量%以上5質量%以下であり、前記AlTi含有酸化物をX線回折法で測定したときに、前記チタン元素に由来する回折ピークが検出されず、前記AlTi含有酸化物を透過電子顕微鏡(観察倍率200万倍)で観察し、エネルギー分散型X線分析で元素マッピングを行ったときに、前記チタン元素が検出され、かつ、前記アルミニウム元素と前記チタン元素との合計面積(S
Al,Ti)に対する前記アルミニウム元素の面積(S
Al)の比(S
Al/S
Al,Ti)が、0.85以上
0.99以下である、排ガス浄化用触媒の製造方法であって、
アルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドとを加水分解するアルコキシド法によって製造されたAlTi含有化合物を用意すること、および、
銀元素源と、前記AlTi含有化合物とを、基材に付与して焼成すること、
を包含する、排ガス浄化用触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化用触媒に関する。詳しくは、内燃機関の排気経路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
車両などの内燃機関から排出される排ガスには、窒素酸化物(NOx)、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)などの有害成分が含まれる。これら有害成分を排ガス中から効率よく反応・除去するために、従来から排ガス浄化用触媒が利用されている。排ガス浄化に関連する従来技術文献として、特許文献1~3が挙げられる。
【0003】
例えば特許文献1には、NOxの浄化に有効なSCR触媒(Selective Catalytic Reduction:選択式触媒還元)を備えた排ガス浄化システムが開示されている。特許文献1に開示される排ガス浄化システムは、SCR触媒と、SCR触媒よりも排ガス流動方向の上流側に設けられ、排ガスに対して霧状の燃料(HC)を噴霧する燃料添加装置と、を備えている。特許文献1の排ガス浄化システムでは、燃料添加装置で噴霧された燃料からHCの部分酸化物(例えばHCO)が生成する。生成した部分酸化物は、NOxを浄化する還元剤として機能する。すなわち、部分酸化物がSCR触媒上で排ガス中のNOxと反応することにより、NOxが窒素と水とに転換され、排ガスが浄化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-17495号公報
【文献】特開2007-7607号公報
【文献】特開2005-28271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにSCR触媒では、HCの部分酸化物を還元剤として利用する。しかしながら、高温環境下(例えば400℃以上、特には450℃以上の環境下)では、完全に酸化される燃料が増加する。その結果、部分酸化物の生成量が減少して、SCR触媒が還元剤不足に陥ることがある。これによってSCR触媒の活性が低下すると、例えば特許文献1の試験例からもわかるように、高温環境下でNOxの浄化性能が悪化する課題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温環境下におけるNOx浄化性能が向上した排ガス浄化用触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明により、内燃機関の排気経路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒が提供される。上記排ガス浄化用触媒は、基材と、上記基材に配置される触媒層と、を備える。上記触媒層は、銀と、アルミニウム元素とチタン元素とを含むAlTi含有酸化物と、を含有する。上記AlTi含有酸化物を透過電子顕微鏡(観察倍率200万倍)で観察し、エネルギー分散型X線分析で元素マッピングを行ったときに、上記チタン元素が検出され、かつ、上記アルミニウム元素と上記チタン元素との合計面積(SAl,Ti)に対する上記アルミニウム元素の面積(SAl)の比(SAl/SAl,Ti)が、0.85以上である。
【0008】
上記比(SAl/SAl,Ti)は、0~1の範囲をとる変数であり、Ti元素の分布状態を表す1つの指標である。上記比(SAl/SAl,Ti)は、値が1から遠ざかる(小さくなる)ほど、Ti元素がAl元素とは異なる位置にある(別個に存在している)ことを示している。また、値が1に近づくほど、Ti元素が高確率でAl元素と同じ位置にある(重なって存在している)ことを示している。上記比(SAl/SAl,Ti)を所定値以上とすることで、Ti元素を含むことの効果をいかんなく発揮することができる。その結果、高温環境下(例えば400℃以上、特には450℃以上の環境下)におけるNOx浄化性能を向上することができる。
【0009】
好ましい一態様では、上記比(SAl/SAl,Ti)が、0.9以上である。これにより、高温環境下におけるNOx浄化性能をさらに向上することができる。
【0010】
好ましい一態様では、上記AlTi含有酸化物の全体を100質量%としたときに、上記チタン元素の酸化物換算の割合が、0.1質量%以上である。これにより、上記比(SAl/SAl,Ti)を0.9以上に調整しやすくなり、高温環境下におけるNOx浄化性能をさらに向上することができる。
【0011】
好ましい一態様では、上記AlTi含有酸化物の全体を100質量%としたときに、上記チタン元素の酸化物換算の割合が、5質量%以下である。これにより、高温環境下におけるNOx浄化性能をさらに向上することができる。
【0012】
好ましい一態様では、上記AlTi含有酸化物をX線回折法で測定したときに、上記チタン元素に由来する回折ピークが検出されない。これにより、高温環境下におけるNOx浄化性能をさらに向上することができる。
【0013】
好ましい一態様では、上記触媒層の全体を100質量%としたときに、上記チタン元素の酸化物換算の含有割合が、0.1質量%以上5質量%以下である。これにより、高温環境下で部分酸化物の生成量を効率良く増加させて、NOx浄化性能をさらに向上することができる。
【0014】
また、本発明により、上記排ガス浄化用触媒と、上記排ガス浄化用触媒よりも排ガス流動方向の上流側で上記排ガスに対して炭化水素を供給する供給機構と、を備えた、排ガス浄化システムが提供される。上記内燃機関は、ディーゼルエンジンでありうる。この排ガス浄化システムは、耐熱性や耐硫黄性に優れる。したがって、高温環境下においても優れたNOxの浄化性能を発揮することができる。また、硫黄成分を含む排ガスに曝されても、長期にわたって触媒活性を維持することができる。
【0015】
また、本発明により、内燃機関の排気経路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒の製造方法が提供される。上記製造方法は、アルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドとを加水分解するアルコキシド法によって製造されたAlTi含有化合物を用意すること、および、銀元素源と、上記AlTi含有化合物とを、基材に付与して焼成すること、を包含する。この方法よれば、高温環境下におけるNOx浄化性能に優れた排ガス浄化用触媒を好適に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る排ガス浄化システムの模式図である。
【
図3】第2触媒を筒軸方向に切断した部分断面図である。
【
図4】(A)は、比較例1および例2、例3のXRDチャートであり、(B)は、2θ=20~30°の範囲の拡大図である。
【
図6】(A)は、比較例4のTEM-EDS画像であり、(B)は、RGB分離で得られた赤色の分離画像であり、(C)は、Al元素の面積S
Al算出時の2値画像であり、(D)は、モノクロ画像化で得られたモノクロ画像であり、(E)は、Al元素,Ti元素の合計面積S
Al,Ti算出時の2値画像である。
【
図7】TiO
2の含有割合とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
【
図8】Al-Ti分布係数とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
【
図9】耐久時間とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
【
図10】100時間耐久後の硫黄堆積量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化することがある。各図における寸法関係(長さ、幅、厚みなど)は、実際の寸法関係を必ずしも反映するものではない。また、本明細書において範囲を示す「A~B」(A,Bは任意の数値)の表記は、A以上B以下の意と共に、「好ましくはAより大きい」および「好ましくはBより小さい」の意を包含する。
【0018】
≪排ガス浄化システム≫
図1は、排ガス浄化システム1の模式図である。排ガス浄化システム1は、排ガス浄化システム1は、内燃機関(エンジン)2と、排ガス浄化装置3と、エンジンコントロールユニット(Engine Control Unit:ECU)4と、を備えている。排ガス浄化システム1は、内燃機関2から排出される排ガスに含まれる有害成分、例えばNOx、HC、COなどを、排ガス浄化装置3で浄化するように構成されている。排ガス浄化システム1は、主に、HC(炭化水素)-SCR(選択式触媒還元)方式によって、排ガス中のNOxを浄化するように構成されている。本実施形態の排ガス浄化システム1は、尿素SCR方式とは異なり、例えばアンモニアや尿素水などの還元剤を貯留するタンクを有していない。そのため、コンパクトで架装性や搭載性に優れている。なお、
図1の矢印は、排ガスの流動方向を示している。また、以下の説明では、排ガスの流れに沿って、内燃機関2に近い側を上流側、内燃機関2から遠ざかる側を下流側という。
【0019】
本実施形態の内燃機関2は、車両のディーゼルエンジンを主体として構成されている。ただし、内燃機関2は、ディーゼルエンジン以外のエンジン、例えば車両のガソリンエンジンやハイブリッド車に搭載されるエンジンなど)であってもよい。内燃機関2は、複数の燃焼室(図示せず)を備えている。各々の燃焼室は、燃料タンク(図示せず)に接続されている。本実施形態の燃料タンクには、ディーゼル燃料(軽油)が貯留されている。ただし、燃料タンクに貯留される燃料は、ガソリンなどであってもよい。燃焼室では、燃料タンクから供給された燃料ガスが燃焼される。燃焼室は、排気ポート2aに連通している。排気ポート2aは、排ガス浄化装置3に連通している。燃焼された燃料ガスは、排ガスとなって排ガス浄化装置3に排出される。
【0020】
排ガス浄化装置3は、内燃機関2と連通する排気経路5と、燃料供給機構6と、圧力センサ8と、第1触媒9と、第2触媒10と、を備えている。排気経路5は、排ガスが流通する排ガス流路である。本実施形態の排気経路5は、エキゾーストマニホールド5aと排気管5bとを備えている。エキゾーストマニホールド5aの上流側の端部は、内燃機関2の排気ポート2aに連結されている。エキゾーストマニホールド5a下流側の端部は、排気管5bに連結されている。排気管5bの途中には、上流側から順に、第1触媒9と第2触媒10とが配置されている。
【0021】
第1触媒9については従来と同様でよく、特に限定されない。第1触媒9は、例えば、排ガスに含まれるPMを除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter);排ガスに含まれるHCやCOを浄化するディーゼル酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst);排ガスに含まれるNOx、HC、COを同時に浄化する3元触媒;通常運転時に(リーン条件下の時に)NOxを吸蔵し、燃料を多めに噴射した時に(リッチ条件の時に)HC、COを還元剤としてNOxを浄化するNOx吸着還元(NSR:NOx Storage-Reduction)触媒;などであってもよい。第1触媒9は、例えば第2触媒10に流入する排ガスの温度を上昇させる機能を有していてもよい。なお、第1触媒9は必須の構成ではなく、省略することもできる。
【0022】
第2触媒10は、SCR触媒である。第2触媒10は、ここに開示される排ガス浄化用触媒の一例である。第2触媒10の構成については、後に詳述する。なお、第1触媒9と第2触媒10との配置は任意に可変であってよい。また、第1触媒9と第2触媒10との個数は特に限定されず、それぞれ複数個が設けられてもよい。例えば、第1触媒9として、上流側から順に、DOCとDPFとを備えていてもよい。また、第2触媒10の下流側には、さらに図示しない第3触媒が配置されていてもよい。
【0023】
燃料供給機構6は、排ガスに対してディーゼル燃料を直接噴射する機構である。燃料供給機構6は、加圧部6aと流路6bと吐出部6cとを備えている。加圧部6aは、ディーゼル燃料を加圧して、吐出部6cに供給する。加圧部6aは、例えば加圧ポンプである。加圧部6aは内燃機関2で用いられるディーゼル燃料の燃料タンク(図示せず)に連結されている。加圧部6aは、ECU4に電気的に接続されている。流路6bは、ディーゼル燃料のタンクと吐出部6cとを連通する。流路6bは、例えば変形容易なチューブである。吐出部6cは、第2触媒10よりも上流側に設けられている。吐出部6cは、ECU4に電気的に接続されている。吐出部6cは、加圧部6aで加圧したディーゼル燃料を霧状に噴射する。これによって、排ガスにディーゼル燃料が混合される。排気経路の吐出部6cよりも下流側に位置する第2触媒10には、ディーゼル燃料の混合した排ガスが流通される。
【0024】
ECU4は、内燃機関2と排ガス浄化装置3とを制御する。ECU4は、内燃機関2と排ガス浄化装置3とに電気的に接続されている。ECU4は、例えば、燃料供給機構6の加圧部6aおよび吐出部6cと、排ガス浄化装置3の各部位に設置されているセンサ(例えば、圧力センサ8)とに、電気的に接続されている。ECU4の構成については従来と同様でよく、特に限定されない。ECU4は、例えば、プロセッサや集積回路である。ECU4は、入力ポート(図示せず)と出力ポート(図示せず)とを備えている。ECU4は、例えば、車両の運転状態、内燃機関2から排出される排ガスの量や、排ガスの温度、排ガスの圧力等の情報を、入力ポートを介して受信する。ECU4は、センサで検知された情報(例えば、圧力センサ8で計測された圧力)を、入力ポートを介して受信する。
【0025】
ECU4は、例えば受信した情報に基づいて、出力ポートを介して制御信号を送信する。ECU4は、例えば内燃機関2の燃料噴射制御や点火制御、吸入空気量調節制御などの運転を制御する。ECU4は、例えば内燃機関2の運転状態に基づいて、排ガス浄化装置3の駆動と停止とを制御する。ECU4は、例えば内燃機関2から排出される排ガスの量などの情報に基づいて、加圧部6aおよび吐出部6cを制御し、ディーゼル燃料の吐出、例えば吐出量や吐出のタイミングを調整する。例えば、内燃機関2から排出される排ガスが第1の排ガス量のときに、第1の吐出量のディーゼル燃料が吐出部6cから吐出されるように加圧部6aを制御し、内燃機関2から排出される排ガスが第1の排ガス量よりも多い第2の排ガス量のときに、第1の吐出量よりも多い第2の吐出量のディーゼル燃料が吐出部6cから吐出されるように加圧部6aを制御する。
【0026】
図2は、第2触媒10を模式的に示す斜視図である。なお、
図2の矢印は、排ガスの流れを示している。すなわち、
図2では、左側が相対的に内燃機関2に近い排気経路5の上流側であり、右側が相対的に内燃機関2から遠い排気経路の下流側である。また、
図2において、符号Xは、第2触媒10の筒軸方向を表している。第2触媒10は、筒軸方向Xが排ガスの流動方向に沿うように排気経路5に設置されている。以下では、筒軸方向Xのうち、一の方向X1を上流側(排ガス流入側、フロント側ともいう。)といい、他の方向X2を下流側(排ガス流出側、リア側ともいう。)ということがある。ただし、これは説明の便宜上の方向に過ぎず、第2触媒10の設置形態を何ら限定するものではない。
【0027】
第2触媒10は、排ガス中のNOxを浄化する機能を有する。第2触媒10は、ストレートフロー構造の基材11と、触媒層20(
図3参照)と、を備えている。第2触媒10の一の方向X1の端部は排ガスの流入口10aであり、他の方向X2の端部は排ガスの流出口10bである。本実施形態の第2触媒10の外形は、円筒形状である。ただし、第2触媒10の外形は特に限定されず、例えば、楕円筒形状、多角筒形状、パイプ状、フォーム状、ペレット形状、繊維状などであってもよい。
【0028】
基材11は、第2触媒10の骨組みを構成するものである。基材11としては特に限定されず、従来のこの種の用途に用いられる種々の素材および形態のものが使用可能である。基材11は、例えば、コージェライト、チタン酸アルミニウム、炭化ケイ素などのセラミックスで構成されるセラミックス担体であってもよいし、ステンレス鋼(SUS)、Fe-Cr-Al系合金、Ni-Cr-Al系合金などで構成されるメタル担体であってもよい。
図2に示すように、本実施形態の基材11は、ハニカム構造を有している。基材11は、筒軸方向Xに規則的に配列された複数のセル(空洞)12と、複数のセル12を仕切る隔壁(リブ)14と、を備えている。特に限定されるものではないが、基材11の容積(セル12の容積を含んだ見掛けの体積)は、概ね0.1~10L、例えば1~5Lであってもよい。また、基材11の筒軸方向Xに沿う長さ(全長)は、概ね10~500mm、例えば50~300mmであってもよい。
【0029】
セル12は、排ガスの流路となる。セル12は、筒軸方向Xに延びている。セル12は、基材11を筒軸方向Xに貫通する貫通孔である。セル12の形状、大きさ、数などは、例えば、第2触媒10に供給される排ガスの流量や成分などを考慮して設計すればよい。セル12の筒軸方向Xに直交する断面の形状は特に制限されない。セル12の断面形状は、例えば、正方形、平行四辺形、長方形、台形などの矩形や、その他の多角形(例えば、三角形、六角形、八角形)、波形、円形など種々の幾何学形状であってよい。隔壁14は、セル12に面し、隣り合うセル12の間を区切っている。特に限定されるものではないが、隔壁14の厚み(表面に直交する方向の寸法。以下同じ。)は、機械的強度を向上したり圧損を低減したりする観点などから、概ね10~500μm、例えば20~100μmであってもよい。
【0030】
図3は、第2触媒10を筒軸方向Xに沿って切断した断面の一部を模式的に示す部分断面図である。本実施形態の触媒層20は、基材11の表面、具体的には隔壁14の上に設けられている。ただし、触媒層20は、その一部または全部が、触媒層20の内部に浸透していてもよい。本実施形態の触媒層20は、単層構造である。触媒層20は、連通した多数の空隙を有する多孔質体である。触媒層20は、排ガスを浄化する場である。第2触媒10に流入した排ガスは、第2触媒10の流路内(セル12)を流動している間に触媒層20と接触する。これによって、排ガス中のNOxが浄化される。例えば、吐出部6cから噴射された燃料から、HCの部分酸化物(例えばHCO)が生成される。この部分酸化物が、触媒層20上で排ガス中のNOxと反応することにより、NOxが還元され、窒素に転換される。
【0031】
触媒層20は、排ガス中のNOxを浄化する反応場である。本実施形態の触媒層20は、銀(Ag)と、AlTi含有酸化物と、を含有している。銀は、排ガス中のNOxを浄化するための触媒金属である。銀は、典型的にはAlTi含有酸化物の表面に担持されている。銀は、典型的には粒子状である。銀は、排ガスや還元剤との接触面積を高める観点から、平均粒子径(透過電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)観察で求められる粒径の個数基準の平均値。)が、概ね1~15nm、例えば10nm以下、さらには5nm以下であるとよい。
【0032】
AlTi含有酸化物は、必須元素として、アルミニウム(Al)元素と、チタン(Ti)元素と、酸素元素(O)と、を含んでいる。AlTi含有酸化物は、銀を担持する担持材料として機能しうる。AlTi含有酸化物は、典型的には粒子状である。AlTi含有酸化物は、比表面積が大きい無機多孔質体であるとよい。AlTi含有酸化物は、Al元素、Ti元素、酸素元素、で構成されていてもよく、それ以外の元素をさらに含んでもよい。一例として、AlTi含有酸化物は、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属元素、鉄(Fe)などの遷移金属元素、ランタン(La)などの希土類金属元素、ケイ素(Si)などを含んでもよい。
【0033】
AlTi含有酸化物は、酸化物換算で、Al元素を主体(質量比で最も多くの割合を占める成分、好ましくは50質量%以上を占める成分。以下同じ。)として構成されるTi含有アルミナであってもよい。特に限定されるものではないが、AlTi含有酸化物の全体を100質量%としたときに、Al元素の酸化物換算の割合は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上であって、概ね99.99質量%以下、典型的には99.95質量%以下、例えば99.9質量%以下であるとよい。また、AlTi含有酸化物の全体を100質量%としたときに、Ti元素の酸化物換算の割合(例えば、TiO2としての割合)は、概ね0.01質量%以上、典型的には0.05質量%以上、例えば0.1質量%以上、0.2質量%以上であって、概ね20質量%以下、典型的には10質量%以下、7質量%以下、例えば5質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下であるとよい。
【0034】
AlTi含有酸化物は、酸化アルミニウム(アルミナ)を構成する一部のAl元素が、少なくともTi元素で置換された結晶構造を有しうる。しかしながら、後述のようにTi元素がAlTi含有酸化物中に高分散されている場合、さらには、加えてTi元素の割合が、概ね10質量%以下、例えば5質量%以下と小さい場合、X線回折装置(XRD:X‐ray diffraction)では、Ti元素に由来する回折ピーク、例えば単体のTiや、TiO2、Al2TiO5などのTi含有酸化物の回折ピークを検出することが困難である。このため、AlTi含有酸化物をXRDで分析しても、例えばアルミナの回折ピークのみが検出されて、Ti元素が検出下限以下となりうる。
【0035】
AlTi含有酸化物は、その表面を透過電子顕微鏡(TEM、観察倍率200万倍)で観察し、エネルギー分散型X線分析(EDS:Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)で元素マッピングを行って得られるTEM-EDS画像を解析したときに、次の条件:(1)Ti元素が検出される。すなわち、TEM-EDS画像では、Ti元素が検出下限を上回る。;(2)SAl/SAl,Ti(ただし、SAlはAl元素の面積であり、SAl,TiはAl元素とTi元素との合計面積である。)で表されるAl-Ti分布係数が、0.85以上である;をいずれも満たしている。なお、Al-Ti分布係数の詳しい求め方については、試験例Iの項で後述する。Al-Ti分布係数としては、触媒層20の複数地点(例えばN=5以上)でTEM-EDS画像の取得および解析を行い、それらの算術平均値を採用することが好ましい。
【0036】
Al-Ti分布係数は、Al元素に対するTi元素の分布状態を表す1つの指標である。Al-Ti分布係数は、値が1に近づくほど、Ti元素が高確率でAl元素と同じ位置にある(重なって存在している)ことを示し、値が1から遠ざかる(小さくなる)ほど、Ti元素がAl元素とは異なる位置にある(別個に存在している)ことを表している。詳細なメカニズムは明らかとなっていないが、上記比(SAl/SAl,Ti)を所定値以上とすること、言い換えればTi元素が所定以上の確率でAl元素と同じ位置に存在することで、触媒層20の触媒活性が向上して、高温環境下において優れたNOx浄化性能を実現することができる。高温環境下におけるNOx浄化性能をより良く高める観点からは、Al-Ti分布係数が、好ましくは0.9以上、より好ましくは0.93以上、例えば0.95以上であるとよい。また、Al-Ti分布係数は、1未満、例えば0.999以下、0.995以下、0.99以下であってもよい。
【0037】
特に限定されるものではないが、触媒層20の全体を100質量%としたときに、Agの含有割合(担持率)は、概ね0.1質量%以上、典型的には0.5質量%以上、例えば1質量%以上、2質量%以上であって、概ね10質量%以下、典型的には7質量%以下、例えば6質量%以下、5質量%以下であるとよい。また、触媒層20の全体を100質量%としたときに、AlTi含有酸化物の含有割合は、概ね80質量%以上、典型的には90質量%以上、例えば95質量%以上であって、概ね99.9質量%以下、典型的には99.5質量%以下、例えば99質量%以下、98質量%以下であるとよい。
【0038】
また、触媒層20の全体を100質量%としたときに、Ti元素の酸化物換算の含有割合(例えば、TiO2としての含有割合)は、概ね0.01質量%以上、典型的には0.05質量%以上、例えば0.1質量%以上、0.2質量%以上であって、概ね20質量%以下、典型的には10質量%以下、7質量%以下、例えば5質量%以下、1質量%以下、0.5質量%以下、0.4質量%以下であるとよい。Ti元素の酸化物換算の含有割合は、典型的には上記したAgの含有割合よりも小さい。ただし、Ti元素の酸化物換算の含有割合は、Agの含有割合よりも大きくてもよい。Agの含有割合に対するTi元素の含有割合の比(Ti/Ag)は、概ね0.05以上、典型的には0.01以上、例えば0.015以上、0.03以上であって、概ね1.5以下、典型的には1.0以下、例えば0.75以下、さらには0.5以下、0.05以下であってもよい。
【0039】
触媒層20は、銀とAlTi含有酸化物とで構成されていてもよく、例えば用途などによって、銀とAlTi含有酸化物とに加えて、他の任意成分を含んでいてもよい。触媒層20は、AlTi含有酸化物を主体として構成されていてもよい。触媒層20は、排ガスの浄化にあたって酸化触媒および/または還元触媒として機能し得ることが知られている銀以外の触媒金属を含んでもよい。一例として、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)などの白金族金属、Ti、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)などの遷移金属、が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0040】
また、他の一例として、触媒層20は、例えば触媒金属を担持する担持材料として、あるいは触媒金属が担持されていない非担持材料として、AlTi含有酸化物以外の金属酸化物やその固溶体をさらに含んでもよい。一例として、Ti元素を含まないアルミナ、酸化チタン(チタニア)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化ケイ素(シリカ)、酸化セリウム(セリア)などの希土類金属酸化物、酸化マグネシウム(MgO、マグネシア)などのアルカリ土類金属酸化物、および、これらの固溶体、例えば、セリアとジルコニアとを含むCeO2-ZrO2系複合酸化物、などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
また、他の一例として、触媒層20は、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)などのアルカリ土類金属元素、イットリウム(Y)、ランタン(La)、ネオジウム(Nd)などの希土類金属元素、NOx吸蔵能を有するNOx吸着材などを含んでもよい。いくつかの実施形態において、触媒層20は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)などのアルカリ金属元素を含まないことが好ましい。これにより、酸化銀の生成を抑制することができる。
【0042】
特に限定されるものではないが、触媒層20のコート量(成形量)は、第2触媒10の体積(基材11の容積)1Lあたり、概ね50g以上、好ましくは100g以上、例えば200g以上であって、概ね500g以下、好ましくは300g以下、例えば250g以下であってもよい。上記範囲を満たすことにより、高温環境下におけるNOx浄化性能の向上と圧損の低減とを高いレベルで兼ね備えることができる。なお、本明細書において「コート量」とは、単位体積あたりに含まれる固形分の質量をいう。
【0043】
触媒層20の厚みや長さは、例えば、基材11のセル12の大きさや第2触媒10に供給される排ガスの流量などを考慮して設計すればよい。いくつかの態様において、触媒層20の厚みは、概ね1~500μm、例えば5~200μm、10~100μmである。また、触媒層20は、基材11の筒軸方向Xの全長にわたって設けられていてもよいし、筒軸方向Xにおいて、連続的にあるいは断続的に、基材11の全長の概ね20%以上、例えば50%以上、好ましくは80%以上に当たる部分に設けられていてもよい。これにより、ここに開示される技術の効果をより高いレベルで発揮することができる。
【0044】
第2触媒10は、組成や性状の異なる複数の(2層以上の)触媒層を備えていてもよい。この場合、そのうちの少なくとも1層が上記した触媒層20の構成を満たせばよい。第2触媒10は、触媒層20以外の触媒層や、触媒層ではない層、例えば触媒金属を含まない層などを備えていてもよい。また、
図3の触媒層20は単層構造であるが、第2触媒10は、触媒層20の上または下に、触媒層20とは異なる他の触媒層を備える2層以上の構造であってもよい。また、第2触媒10は、例えば筒軸方向Xに触媒層20とは異なる他の触媒層を備えていてもよい。いくつかの態様において、第2触媒10は、基材11の部分ごと、例えば筒軸方向Xの上流側X1と下流側X2とに異なる組成の触媒層が設けられていてもよい。その場合、触媒層20はいずれの部分にあってもよい。触媒層20は、例えば、排ガスの流入口10aから筒軸方向Xに沿って設けられていてもよいし、排ガスの流出口10bから筒軸方向Xに沿って設けられていてもよい。
【0045】
≪排ガス浄化用触媒の製造方法≫
特に限定されるものではないが、第2触媒10は、次の工程:(ステップS1)AlTi含有化合物を用意する用意工程;(ステップS2)基材11に触媒層20を形成する触媒層形成工程;をこの順に包含する方法によって製造することができる。一例では、(ステップS1)用意工程において、例えばアルコキシド法によって製造されたAlTi含有水酸化物を用意する。AlTi含有水酸化物は、アルコキシド法によって製造されたものであれば、市販品を購入してもよい。あるいは、次の工程:(ステップS1A)アルコキシド用意工程;(ステップS1B)加水分解工程;をこの順に包含する方法で自ら作製してもよい。以下、各工程について順に説明する。
【0046】
(ステップS1A)アルコキシド用意工程では、出発原料として、アルミニウムアルコキシドと、チタンアルコキシドと、を用意する。アルミニウムアルコキシドとしては、例えば、次の式:Al(OR)3(ただし、Rは、アルキル基である。);で示される化合物やその誘導体を用いることができる。一例として、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリn-プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリn-ブトキシド、アルミニウムトリイソブトキシド、などが挙げられる。チタンアルコキシドとしては、例えば、次の式:Ti(OR)4(ただし、Rは、アルキル基である。);で示される化合物やその誘導体を用いることができる。一例として、チタニウムテトラエトキシド、チタニウムテトラn-プロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラn-ブトキシド、などが挙げられる。
【0047】
次に、アルミニウムアルコキシドとチタンアルコキシドとを、所定の比率で混合して、アルコキシドの混合物を調製する。アルミニウムアルコキシドに対するチタンアルコキシドの混合割合は、モル比が、概ね0.001~1、例えば0.01~0.5の範囲で、AlTi含有酸化物が上記したような質量割合となるように適宜調整するとよい。例えば、Al元素とTi元素のモル比が、概ね99.99~0.01~80:20、例えば99.95:0.05~90:10となるように調整してもよい。
【0048】
(ステップS1B)加水分解工程では、まず、疎水性溶媒を用意する。疎水性溶媒としては、例えば、ベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、などを用いることができる。次に、典型的には常温~溶媒の沸点以下の温度環境下において、溶媒中に、ステップS1Aで用意したアルコキシドの混合物と、水とをそれぞれ連続供給しながら撹拌する。溶媒中では、アルコキシドと水とが反応し、アルコキシドが加水分解される。これにより、加水分解生成物として、例えばTi含有ベーマイト(アルミナ1水和物、AlOOH)のような、AlTi水酸化物を溶媒中に析出させる。AlTi水酸化物は、アモルファス(非晶質)状のナノ粒子でありうる。AlTi水酸化物は、典型的には粒子状である。そして、析出したAlTi水酸化物を溶媒中から分離し、乾燥することで、AlTi含有化合物としてのAlTi水酸化物を得ることができる。
【0049】
(ステップS2)触媒層形成工程では、まず基材11と、触媒層20を形成するための触媒層形成用スラリーと、を用意する。触媒層形成用スラリーは銀元素源(例えば、銀イオンを含む溶液)と、AlTi含有化合物(例えば、ステップS1Bで得られたAlTi水酸化物)と、を必須成分として含み、その他の任意成分、例えば、バインダ、各種添加剤などを、分散媒に分散させて調製するとよい。触媒層20の形成は、従来使用されている方法、例えば含浸法やウォッシュコート法などで行うことができる。一例では、調製した触媒層形成用スラリーを基材11の端部からセル12に流入させ、筒軸方向Xに沿って所定の長さまで供給する。
【0050】
次に、スラリーを供給した基材11を、所定の温度で乾燥、焼成する。焼成温度は、概ね450~1000℃、例えば500~700℃とするとよい。焼成は、酸素含有雰囲気下(例えば大気中)で行うとよい。焼成温度を450℃以上とすることで、AlTi含有化合物(例えば、AlTi水酸化物)は脱水熱変化し、例えばγ-アルミナ、θ-アルミナ、α-アルミナなどの結晶構造を有するTi含有アルミナが生成されうる。このようにして、各成分が隔壁14上に焼結され、銀とAlTi含有酸化物とを含む触媒層20が形成される。以上のようにして、第2触媒10を得ることができる。
【0051】
アルコキシド法を経て得られたAlTi含有酸化物では、Al元素とTi元素とが元素レベルで混ざり合い、両者が高度に分散されている。このことにより、触媒層20のAlTi含有酸化物では、比(SAl/SAl,Ti)で表されるAl-Ti分布係数の値が大きくなって(1に近くなって)いる。すなわち、高確率でTi元素がAl元素と同じ位置に重なって存在している。このことにより、触媒層20の触媒活性が向上して、高温環境下において優れたNOx浄化性能を実現することができる。この理由について、詳細なメカニズムは明らかとなっていないが、本発明者らは次のように考察している。
【0052】
すなわち、アルミナは、酸素元素の充填方法が6方密充填と立方密充填の2通りで、かつ、Al元素の配位方式も2通りある。そのため、アルミナの構造は多様になる。本発明者らの推察によれば、Al-Ti分布係数の大きなAlTi含有酸化物では、Ti元素がアルミナの結晶構造に混在し、アルミナを構成する一部のAl元素に対して、Ti元素が酸素元素を介して結合していると考えられる。このとき、Ti元素が6配位をとることで、Al元素が固体酸性の高い4配位をとりやすくなる。また、アルミナの結晶構造に歪みが生じうる。その結果、AlTi含有酸化物は、固体酸性が向上して、所謂、ルイス酸として機能しやすくなる。これにより、第2触媒10では、高温環境下における燃料の酸化が抑制されて、部分酸化物の生成が促進されると考えられる。以上のような作用で、第2触媒10では、触媒活性が高められ、高温環境下において優れたNOx浄化性能を実現することができると考えられる。
【0053】
また一般に、第2触媒10がSO2などの硫黄(S)成分を含む排ガスに長期間曝されると、触媒層20に硫黄成分が付着し、さらに触媒金属としてのAgが被毒して、触媒活性が低下する傾向にある。しかしながら、AlTi含有酸化物に含まれるTi元素は、それ自体が固体酸性を有する元素であると共に、耐硫黄性を向上するためにも機能しうる。例えば、AlTi含有酸化物にTi元素を含むことで、触媒層20への硫黄の付着を効果的に抑制することができる。また、Agの粒成長を抑制して、Agの大きさ(分散性)を維持することができる。その結果、硫黄被毒による触媒活性の低下を抑制することができる。すなわち、耐硫黄性(耐S性)を向上し、長期にわたり十分に高い触媒活性を維持することができる。
【0054】
なお、特許文献1には、アルミナと、単体のチタンまたは酸化チタンと、を含む触媒層を備えた排ガス浄化用触媒が記載されている。しかしながら、後述する試験例Iにも示すように、触媒層の形成工程で(言い換えればアルミナの結晶構造が決定された後に)アルミナとチタンとを混合しても、Al-Ti分布係数を0.85以上に高めることはできない。0.85以上のAl-Ti分布係数は、ここに開示される技術のように、Al元素とTi元素とをAlTi含有酸化物の生成前に混合することによって初めて実現されるものである。すなわち、従来の排ガス浄化用触媒では、ここに開示される技術の効果を得ることができない。
【0055】
第2触媒10は、自動車やトラックなどの車両や、自動二輪車や原動機付き自転車をはじめとして、船舶、タンカー、水上バイク、パーソナルウォータークラフト、船外機などのマリン用製品、草刈機、チェーンソー、トリマーなどのガーデニング用製品、ゴルフカート、四輪バギーなどのレジャー用製品、コージェネレーションシステムなどの発電設備、ゴミ焼却炉などの内燃機関から排出される排ガスの浄化に好適に用いることができる。なかでも、小型~中型のトラックに対して好適に用いることができる。
【0056】
以下、本発明に関する試験例を説明するが、本発明を以下の試験例に示すものに限定することを意図したものではない。
【0057】
≪試験例I≫
(比較例1)チタン無添加
まず、硝酸銀(Agとして9.6g)と、ベーマイト(γ-アルミナとして230g)と、を混合して、スラリーを調製した。このスラリーを、基材としてのモノリスハニカム担体の端部からセル内に導入して、隔壁の全長と同じ長さで、基材の表面にコートした。そして、スラリーをコートした基材を、250℃で1時間乾燥させた後、500℃で1時間焼成することによって触媒層を形成し、比較例1のSCR触媒を得た。比較例1の触媒層のコート量は239.6g(このうち、Agは9.6g)であり、比較例1の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、その他がアルミナである。
【0058】
(比較例2)チタニアゾル使用(TiO2:0.1質量%)
硝酸銀(Agとして9.6g)と、ベーマイト(γ-アルミナとして230g)と、チタニアゾル(アナターゼ型、TiO2として0.24g)と、を混合して、スラリーを調製したこと以外は上記比較例1と同様にして、比較例2のSCR触媒を得た。比較例2の触媒層のコート量は239.84g(このうち、Agは9.6g、TiO2は0.24g)であり、比較例2の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、TiO2が0.1質量%、その他がアルミナである。
【0059】
(比較例3)チタニアゾル使用(TiO2:0.2質量%)
チタニアゾルを2倍量(TiO2として0.48g)としたこと以外は上記比較例2と同様にして、比較例3のSCR触媒を得た。比較例3の触媒層のコート量は240.08g(このうち、Agは9.6g、TiO2は0.48g)であり、比較例3の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、TiO2が0.2質量%、その他がアルミナである。
【0060】
(比較例4)チタニアゾル使用(TiO2:0.4質量%)
チタニアゾルを4倍量(TiO2として0.96g)としたこと以外は上記比較例2と同様にして、比較例4のSCR触媒を得た。比較例4の触媒層のコート量は240.56g(このうち、Agは9.6g、TiO2は0.96g)であり、比較例4の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、TiO2が0.4質量%、その他がアルミナである。
【0061】
(例1)Ti含有ベーマイト使用(TiO2:0.1質量%)
まず、アルコキシド法で製造されたTi含有ベーマイト(TiO2が0.1質量%)を用意した。次に、硝酸銀(Agとして9.6g)と、Ti含有ベーマイト(γ-アルミナとして230g)と、を混合して、スラリーを調製したこと以外は上記比較例1と同様にして、例1のSCR触媒を得た。例1の触媒層のコート量は239.6g(このうち、Agは9.6g、TiO2は0.24g)であり、例1の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、TiO2が0.1質量%、その他がアルミナである。
【0062】
(例2)Ti含有ベーマイト使用(TiO2:0.2質量%)
Ti含有ベーマイト(TiO2が0.2質量%)を用意したこと以外は上記例1と同様にして、例2のSCR触媒を得た。例2の触媒層のコート量は240.08g(このうち、Agは9.6g、Tiは0.48g)であり、例2の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、TiO2が0.2質量%、その他がアルミナである。
【0063】
(例3)Ti含有ベーマイト使用(TiO2:0.4質量%)
Ti含有ベーマイト(TiO2が0.4質量%)を用意したこと以外は上記例1と同様にして、例3のSCR触媒を得た。例3の触媒層のコート量は240.56g(このうち、Agは9.6g、TiO2は0.96g)であり、例3の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、TiO2が0.4質量%、その他がアルミナである。
【0064】
(例4)Ti含有ベーマイト使用(TiO2:5質量%)
Ti含有ベーマイト(TiO2が5質量%)を用意したこと以外は上記例1と同様にして、実施例4のSCR触媒を得た。実施例4の触媒層のコート量は240.8g(このうち、Agは9.6g、TiO2は1.2g)であり、実施例4の触媒層の最終的な組成比は、Agが4質量%、TiO2が5.0質量%、その他がアルミナである。
【0065】
〔XRDを用いたTiの検出〕
まず、上記比較例2~4において、触媒層の形成段階でチタニアゾルを添加して焼成することによって得られたγ-アルミナと、上記例1~4において、Ti含有ベーマイトを焼成することによって得られたγ-アルミナとを、測定試料とした。次に、株式会社リガク製のX線回折装置(XRD)、型式「RINT-2500」を用いて、下記条件で測定試料のX線回折パターンを測定した。一例として、
図4(A)には、比較例1および例2、例3のXRDチャートを示している。また、
図4(B)には、
図4(A)の2θ=20~30°の範囲の拡大図を示している。そして、XRDチャートにおけるTi由来の回折ピーク(ここでは、TiO
2の2θ=25.280°の回折ピーク)の有無を確認した。結果を表1に示す。なお、表1において、「N.D」は上記ピークの強度が検出下限以下だったことを示し、「検出」は上記ピークの強度が検出下限を超えていたことを示す。
管球(X線):CuKα線、管電圧;40kV、管電流;250mA
発散スリット;1deg、散乱スリット;1deg、受光スリット;3deg
測定角度8~65°
【0066】
〔TEM-EDSを用いたAl元素、Ti元素の検出〕
まず、上記比較例2~4において、触媒層の形成段階でチタニアゾルを添加して焼成することによって得られたγ-アルミナと、上記例1~4において、Ti含有ベーマイトを焼成することによって得られたγ-アルミナとを、観察試料とした。次に、日本電子株式会社製の透過電子顕微鏡(TEM)、型式「JEM-ARM200F」を用いて、下記条件で上記γ-アルミナの粉末を観察し、TEM観察画像(観察倍率200万倍)を得た。
加速電圧:200kV
ビーム照射:スポットサイズ1C、アパーチャー径40μm
【0067】
次に、日本電子株式会社製のエネルギー分散形X線分析装置(EDS)、型式「JED-2300T」を用いて、「ドライSD100GV」(検出面積100mm
2)の検出器でTEM観察画像を解析し、Al元素とTi元素とを別々の色でマッピングした。なお、ここでは、Al元素を赤色、Ti元素を緑色でマッピングした。また、積算回数は30回とした。一例として、
図5には、例2のTEM-EDS画像を示している。そして、TEM-EDS画像から、Ti元素の有無を確認した。結果を表1に示す。なお、表1において、「N.D」はTi元素が検出下限以下だったことを示し、「検出」は上記ピークの強度が検出下限を超えていたことを示す。
【0068】
〔TEM-EDS画像の解析〕
まず、TEM-EDS画像を二次元画像解析ソフトWinroof(登録商標)に取り込み、処理範囲を触媒層に設定して、下記の手順で、Al元素の面積SAl、および、Al元素,Ti元素の合計面積SAl,Tiを算出した。また、Al元素,Ti元素の合計面積SAl,Tiに対するAl元素の面積SAlの比(Al-Ti分布係数、SAl/SAl,Ti)を求めた。結果を表1に示す。
・Al元素の面積SAlの算出
(手順A1)画像表示でRGB分離を行い、赤色の分離画像を抽出した。
(手順A2)赤色の分離画像をモード法で自動2値化し、2値画像を得た。
(手順A3)2値画像の黒色の個所をAl元素とみなし、Al元素の面積SAl(nm2)を算出した。
・Al元素,Ti元素の合計面積SAl,Tiの算出
(手順B1)画像表示でモノクロ画像化を行い、モノクロ画像を得た。
(手順B2)モノクロ画像をモード法で自動2値化し、2値画像を得た。
(手順B3)2値画像の黒色の個所をAl元素とTi元素との合計とみなし、Al元素,Ti元素の合計面積SAl,Ti(nm2)を算出した。
【0069】
なお、一例として、
図6には、比較例4の解析結果を示している。すなわち、
図6(A)は、比較例4のTEM-EDS画像である。
図6(B)は、Al元素の面積S
Alの算出にあたり、
図6(A)のTEM-EDS画像をRGB分離して(手順A1で)得られた赤色の分離画像である。
図6(C)は、
図6(B)の分離画像を自動2値化して(手順A2で)得られた2値画像である。
図6(D)は、Al元素,Ti元素の合計面積S
Al,Tiの算出にあたり、
図6(A)のTEM-EDS画像をモノクロ画像化して(手順B1で)得られたモノクロ画像である。
図6(E)は、
図6(D)のモノクロ画像を自動2値化して(手順B2で)得られた2値画像である。
【0070】
〔モデルガスを用いたNOx浄化性能の測定〕
まず、内燃機関としてディーゼルエンジンを使用した試験用の排ガス発生装置を用意し、ディーゼルエンジンの排気経路に上記作製したSCR触媒を接続し、リーン相当のモデルガス(硫黄なし)を供給した。また、SCR触媒よりも上流側で、還元剤として、気化させたモデルガスを4000ppmCの濃度で噴霧した。そして、SCR触媒の温度が450℃の高温条件で、SCR触媒の出側におけるモデルガスのNOx濃度を測定し、NOx浄化率を算出した。結果を表1および
図7、
図8に示す。
【0071】
【0072】
〔XRDおよびTEM-EDSを用いたTiの検出について〕
表1および
図4(A)、(B)に示すように、Ti含有ベーマイトを用いた例1~4は、XRDでTiO
2の回折ピークが不検出(検出下限以下)であった。また、チタニアゾルを用いた比較例2~4も、XRDでTiO
2の回折ピークが不検出であった。これは、Tiの割合が5質量%以下と少なかったためと考えられる。一方、TEM-EDS画像では、例1~4および比較例2~4について、それぞれTi元素の存在を確認することができた。
【0073】
〔Al-Ti分布係数について〕
表1に示すように、チタニアゾルとしてTiを添加した比較例2~4では、Al-Ti分布係数が相対的に低く、最大でも比較例2の0.81(Ti元素の酸化物換算の(TiO2としての)含有割合0.1質量%)だった。これに対し、Ti含有ベーマイトを用いた例1~4では、相対的にAl-Ti分布係数が高かった。また、チタニアゾルを用いた場合、Ti含有ベーマイトを用いた場合のそれぞれについて、TiO2の含有割合が高くなるほどAl-Ti分布係数は低下する傾向にあった。これは、TiO2の含有割合が高くなるほどTiが別個に存在する割合が多くなるためと考えられる。また、Ti含有ベーマイトを用いた場合は、Ti元素の含有割合が高くなると、アルミナの結晶構造にTi元素が収容されにくくなり、Tiが別個に存在する割合が高まったことが考えられる。
【0074】
なお、表中には記載していないが、チタン無添加の比較例1について、上記の方法でAl元素の面積SAlとAl元素,Ti元素の合計面積SAl,Tiとを算出し、Al-Ti分布係数を求めると、0.99を超えていた(略1だった)。このため、上記解析方法は精度の高い解析と判断できる。
【0075】
〔NOx浄化性能について〕
図7は、TiO
2の含有割合とNOx浄化率との関係を示すグラフである。表1および
図7に示すように、チタニアゾルとしてTiを添加した比較例2~4では、チタン無添加の比較例1よりも高温(450℃)環境下のNOx浄化性能が低かった。すなわち、チタニアゾルを添加することで、NOx浄化性能が低下していた。特に、SCR触媒におけるTiO
2の含有割合が高くなるにつれ、高温(450℃)でのNOx浄化率が低下する傾向にあった。この理由としては、チタンの添加によって高温環境下で完全に酸化される燃料が増加し、還元剤として機能する部分酸化物の生成量が減少したために、触媒活性が低下したことが考えられる。
【0076】
図8は、Al-Ti分布係数とNOx浄化率との関係を示すグラフである。表1および
図8に示すように、Al-Ti分布係数とNOx浄化率との間には、相関係数(R
2)が0.7以上の正の相関がみられた。Al-Ti分布係数が高い例1~4は、比較例2~4に比べて、相対的にNOx浄化率が高かった。この理由としては、Al-Ti分布係数の増加に伴って触媒の固体酸性が向上したために、高温環境下における燃料の完全酸化が抑制され、還元剤として機能する部分酸化物の生成が促進されたことが考えられる。
【0077】
≪試験例II≫
上記試験例Iの比較例1と例3のSCR触媒を用いて、さらに耐硫黄性を評価した。具体的には、まず、実機車両のディーゼルエンジン(排気量4L)の排気経路に、SCR触媒を設置し、軽油燃料(硫黄濃度5ppm)を供給した。また、SCR触媒よりも上流側で、還元剤として、気化させた軽油燃料を2000ppmCの濃度で噴霧した。そして、エンジン回転数を900~3000rpmとし、触媒の入口側の排気ガスの温度を450℃とし、SCR触媒の出側におけるNOx濃度を測定し、NOx浄化率を算出した。なお、測定は、耐久時間の合計が100時間となるまで、20時間ごとに行った。結果を
図9に示す。
【0078】
また、100時間の耐久試験を行ったSCR触媒に対して、軽油燃料に含まれる硫黄(S)がどの程度付着しているかを測定した。具体的には、LECO社製の炭素・硫黄分析装置、型式「CS744」を用いて、硫黄堆積量を測定した。結果を
図10に示す。
【0079】
図9は、耐久時間とNOx浄化率との関係を示すグラフである。
図10は、100時間耐久後の硫黄堆積量を示すグラフである。
図9に示すように、チタンを含む例3は、チタン無添加の比較例1に比べて、NOx浄化性能の低下が小さく抑えられていた。すなわち、耐久後も高いNOx浄化性能を維持していた。この理由としては、Ti元素を含むことで、
図10に示すように硫黄の付着が抑制され、硫黄被毒による触媒活性の低下が抑えられたことが考えられる。
【0080】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、上記実施形態は一例に過ぎない。本発明は、他にも種々の形態にて実施することができる。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。請求の範囲に記載の技術には、上記に例示した実施形態を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記した実施形態の一部を、他の変形態様に置き換えることも可能であり、上記した実施形態に他の変形態様を追加することも可能である。また、その技術的特徴が必須なものとして説明されていなければ、適宜削除することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
1 排ガス浄化システム
2 内燃機関
3 排ガス浄化装置
6 燃料供給機構
10 第2触媒(排ガス浄化用触媒)
11 基材
12 セル
14 隔壁
20 触媒層