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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】レセプタクルコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20230421BHJP
   H01R 12/77 20110101ALI20230421BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R12/77
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019206300
(22)【出願日】2019-11-14
(65)【公開番号】P2021082390
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100150898
【弁理士】
【氏名又は名称】祐成 篤哉
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 聡一
(72)【発明者】
【氏名】山田 清孝
【審査官】山下 寿信
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-152190(JP,A)
【文献】特開2016-025021(JP,A)
【文献】特開2016-012553(JP,A)
【文献】特開2017-130321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
H01R 12/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の基板に実装されるレセプタクルコネクタと、他方の基板に実装されるプラグコネクタとを嵌合することで両基板間の電気的な接続を行う基板対基板コネクタにおけるレセプタクルコネクタであって、
基板実装面の反対側に開口し前記プラグコネクタを受容する凹部が形成されたハウジングと、
前記ハウジングに配列されて保持される所要数のコンタクトと、
前記ハウジングの配列ピッチ方向の両端部にそれぞれ配置される固定具と、を備えるレセプタクルコネクタにおいて、
前記ハウジングの前記凹部は、配列ピッチ方向に延在するとともに対向する2つの側壁と、前記2つの側壁を連結する、基板実装面側に位置する底壁及び配列ピッチ方向の両端部に位置する2つの連結壁とで構成され、
前記コンタクトは、信号用コンタクトと、電源用コンタクトとを有し、
前記信号用コンタクトは、一方の自由端側近傍に形成される前記プラグコネクタと接触する第1接触部と、他方の自由端側に形成される前記基板に実装される接続部と、前記第1接触部から延設される凹であって前記ハウジングの前記凹部に沿う形状の凹に連設された第2接触部と、前記第2接触部と前記接続部との間に形成される少なくとも1回以上湾曲する弾性部とを有し、
前記信号用コンタクトの前記接続部は、前記ハウジングの2つの前記側壁のいずれか一方側に配置され、
前記電源用コンタクトは、前記固定具とは別体であり、電源構造を有し、かつ、前記信号用コンタクトと比べて幅広であるとともに幅以外は実質的に同一構造であることを特徴とするレセプタクルコネクタ。
【請求項2】
前記電源用コンタクトの接続部は、前記信号用コンタクトの前記接続部が配置される前記側壁とは反対側の前記側壁に配置されることを特徴とする請求項1に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項3】
前記電源用コンタクトの幅は、前記信号用コンタクトの幅の1.9~2.1倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載のレセプタクルコネクタ。
【請求項4】
前記固定具は、前記ハウジングにインサート成形されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のレセプタクルコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の基板に実装されるレセプタクルコネクタと、他方の基板に実装されるプラグコネクタとを嵌合することで両基板間の電気的な接続を行う基板対基板コネクタにおけるレセプタクルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の傾向として、電気・電子機器や通信機器(例えば、スマホやスマートウォッチ)の小型化に伴い、コネクタも小型化及び低背化が進んでいる。同時に小型化及び低背化も維持しつつ、コネクタの嵌合時における保持力(嵌合力)を向上することが要求されている。下記特許文献1及び2は、本出願人が本願の出願前に特許出願したものである。特許文献1及び2に記載のコネクタは、いずれも、基板へのコネクタの固定用の固定具に電源構造を有する部分(電源構造部分)を一体に構成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-175189号公報
【文献】特開2018-118613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタを安定して嵌合させるために、嵌合時における保持力(嵌合力)を向上させる場合に、前述の技術のように、電源構造部分を固定具と一体に構成すると、固定具の大きさに制約されて、電源構造部分の幅広化には限度があった。つまり、電源構造部分を固定具と一体に構成すると、保持力(嵌合力)の向上には繋がらないといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、基板へのコネクタの固定用の固定具を有していても、小型化及び低背化も維持しつつ、保持力(嵌合力)を向上させやすい、基板対基板コネクタにおけるレセプタクルコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、一方の基板に実装されるレセプタクルコネクタと、他方の基板に実装されるプラグコネクタとを嵌合することで両基板間の電気的な接続を行う基板対基板コネクタにおけるレセプタクルコネクタであって、基板実装面の反対側に開口し前記プラグコネクタを受容する凹部が形成されたハウジングと、前記ハウジングに配列されて保持される所要数のコンタクトと、前記ハウジングの配列ピッチ方向の両端部にそれぞれ配置される固定具と、を備えるレセプタクルコネクタにおいて、前記ハウジングの前記凹部は、配列ピッチ方向に延在するとともに対向する2つの側壁と、前記2つの側壁を連結する、基板実装面側に位置する底壁及び配列ピッチ方向の両端部に位置する2つの連結壁とで構成され、前記コンタクトは、信号用コンタクトと、電源用コンタクトとを有し、前記信号用コンタクトは、一方の自由端側近傍に形成される前記プラグコネクタと接触する第1接触部と、他方の自由端側に形成される前記基板に実装される接続部と、前記第1接触部から延設される凹であって前記ハウジングの前記凹部に沿う形状の凹に連設された第2接触部と、前記第2接触部と前記接続部との間に形成される少なくとも1回以上湾曲する弾性部とを有し、前記信号用コンタクトの前記接続部は、前記ハウジングの2つの前記側壁のいずれか一方側に配置され、前記電源用コンタクトは、前記固定具とは別体であり、電源構造を有し、かつ、前記信号用コンタクトと比べて幅広であるとともに幅以外は実質的に同一構造であることを特徴とするレセプタクルコネクタである。
【0007】
(2)前記電源用コンタクトの接続部は、前記信号用コンタクトの前記接続部が配置される前記側壁とは反対側の前記側壁に配置されてもよい。
【0008】
(3)前記電源用コンタクトの幅は、前記信号用コンタクトの幅の1.9~2.1倍であってもよい。
【0009】
(4)前記固定具は、前記ハウジングにインサート成形されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、基板へのコネクタの固定用の固定具を有していても、小型化及び低背化も維持しつつ、保持力(嵌合力)を向上させやすい、基板対基板コネクタにおけるレセプタクルコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本発明の一実施形態のレセプタクルコネクタの相手方コネクタであるプラグコネクタを示す斜視図である。
図1B】本発明の一実施形態のレセプタクルコネクタを示す斜視図である。
図2A】プラグコネクタを、図1Aとは異なる方向から視た斜視図である。
図2B】レセプタクルコネクタを、図1Bとは異なる方向から視た斜視図である。
図3】レセプタクルコネクタとプラグコネクタとを嵌合させた状態の基板対基板コネクタの斜視図である。
図4A】レセプタクルコネクタの平面図である。
図4B】レセプタクルコネクタの底面図である。
図5A図4A中のA-A断面図である。
図5B図4A中のB-B断面図である。
図5C図4A中のC-C断面図である。
図5D図4A中のD-D断面図である。
図6A】信号用コンタクトの斜視図である。
図6B】信号用コンタクトの斜視図である。
図7A】電源用コンタクトの斜視図である。
図7B】電源用コンタクトの斜視図である。
図8A】レセプタクルコネクタのハウジングの斜視図である。
図8B】レセプタクルコネクタのハウジングを、図8Aとは異なる方向から視た斜視図である。
図9】レセプタクルコネクタのハウジングの平面図である。
図10A図9中のA-A断面図である。
図10B図9中のB-B断面図である。
図10C図9中のC-C断面図である。
図10D図9中のD-D断面図である。
図11A】レセプタクルコネクタの固定具の斜視図である。
図11B】レセプタクルコネクタの固定具の斜視図である。
図12図3に示す基板対基板コネクタの平面図である。
図13A図12中のA-A断面図である。
図13B図12中のB-B断面図である。
図13C図12中のC-C断面図である。
図13D図12中のD-D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のレセプタクルコネクタの実施形態を図面に基づき詳細に説明する。実施形態のレセプタクルコネクタは、相手方コネクタであるプラグコネクタと協働して基板対基板コネクタを構成する。基板対基板コネクタは、一方の基板に実装されるレセプタクルコネクタと、他方の基板に実装されるプラグコネクタとを嵌合させることで両基板間の電気的な接続を行う電気コネクタである。基板は、レセプタクルコネクタ又はプラグコネクタを実装可能であれば、その種類や形態に特に制限は無く、例えば、リジッド基板、フレキシブル基板(FPC)、リジッドフレキシブル基板(リジッドFPC基板)等であってよい。以下の説明において、レセプタクルコネクタ及びプラグコネクタの底面又は下面とは、それぞれ基板に実装される側の面を指し、上面とは、底面又は下面の反対側の面を指すものとする。また、実装方式は、基板表面に半田付けする表面実装式に限らず、例えば、基板のスルーホールに挿入して半田付けするディップ式や圧入によるプレスフィットでもよい。
【0013】
説明の便宜上、XYZ座標系を次のように定義する。X-Y平面は、基板実装面と略平行な面である。Y方向は、所要数のコンタクトの配列ピッチ方向(並列方向)であり、横方向(幅方向)ともいう。X方向は、Y方向と直交する方向である。X1方向は、信号用コンタクト220Sにおいて接続部221の側である。X2方向は、電源用コンタクト220Pにおいて接続部221の側である。Y1方向は、X1方向を下に向け、X2方向を上に向けた場合の左側である。Y2方向は、同じく右側である。Z方向は、X-Y平面に直交する方向であり、高さ方向ともいう。レセプタクルコネクタ20を基準として、Z1側は基板実装面側であり、Z2側は基板実装面から離れる側である。なお、このXYZ座標系は、実施形態の説明の便宜上のために用いられるものであり、本発明の趣旨に反しない限り、厳格には解釈されない。
【0014】
図1A図2Bには、基板対基板コネクタ10を構成するレセプタクルコネクタ20又はプラグコネクタ30が示されている。図3には、レセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30との嵌合状態が示されている。レセプタクルコネクタ20とプラグコネクタ30とは、Z方向に接近又は離間させることにより、相互に着脱自在である。なお、図1Aに示すレセプタクルコネクタ20と図1Bに示すプラグコネクタ30とを接近させると、嵌合することができる。同様に、図2Aに示すレセプタクルコネクタ20と図2Bに示すプラグコネクタ30とを接近させると、嵌合することができる。
【0015】
本発明の一実施形態のレセプタクルコネクタ20を説明する前に、相手コネクタであるプラグコネクタ30について説明する。
図1A図2A図3に示すように、プラグコネクタ30は、略直方体形状を有しており、主として電気絶縁性の合成樹脂からなるプラグブロック300と、プラグブロック300に保持された所要数のプラグコンタクト320と、プラグブロック300の長手方向(Y方向)の両端部に設けられたプラグ固定具330とを備える。
【0016】
プラグブロック300の材料としては、例えば液晶ポリマー(LCP)やポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)等が挙げられるが、これらに限定されない。プラグブロック300の材料は、無機フィラーや補強繊維等を含有していてもよい。プラグブロック300は、ハウジング200の凹部203(後述)に適合する形状を有する。
【0017】
プラグコンタクト320は、幅の狭い信号用プラグコンタクト320Sと、幅の広い電源用プラグコンタクト320Pとを含む。しかし、全てのプラグコンタクト320が信号用プラグコンタクト320Sであってもよい。信号用プラグコンタクト320Sと電源用プラグコンタクト320Pの両方を設ける場合、両者は同じ形状及び寸法でもよい。プラグコンタクト320は導電性金属、例えば銅又は銅合金からなる。
【0018】
各プラグコンタクト320は、図12図13に示すように、基板に実装される2つの接続部321と、2つの接続部321それぞれからプラグブロック300の高さ方向に起立しコンタクト220の第1接触部225又は第2接触部224とそれぞれ接触する2つの接触部325と、2つの接触部325を連結する連結部326とを有する。プラグコンタクト320は、レセプタクルコネクタ20のコンタクト220と接触できればよく、その構造は図示例に限定されない。
【0019】
プラグコンタクト320及びプラグ固定具330は、プラグブロック300に一体成形により固定されている。
プラグコンタクト320及びプラグ固定具330には、相手物であるレセプタクルコネクタ20の信号用コンタクト220Sの接続部221又は電源用コンタクト220Pの接続部221が入る窪みが形成されている。窪みは、信号用コンタクト220Sの接続部221又は電源用コンタクト220Pの接続部221が入るように、適宜設計されている。プラグコンタクト320の接続部及びプラグ固定具330の接続部は、表面実装タイプである。
【0020】
プラグ固定具330は、プラグブロック300の射出成形時に一体化される。すなわち、プラグ固定具330をインサート体として図示しない金型に保持(セット)し、プラグブロック300の肉厚を形成する空間にプラグブロック300の合成樹脂材料を射出(充填)することで、プラグ固定具330はプラグブロック300に固定(保持)される。なお、これに代えて、プラグ固定具330はプラグブロック300の形成後にプラグブロック300に挿入(圧入)及び/又は接着により固定してもよい。
【0021】
次に、レセプタクルコネクタ20について説明する。図1B図2B図13に示すように、レセプタクルコネクタ20は、主として、ハウジング200と、所要数のコンタクト220と、固定具230とを備える。
【0022】
ハウジング200は、電気絶縁性の合成樹脂を材料として射出成形等によって製造される。合成樹脂材料としては、寸法安定性や加工性やコスト等を考慮して適宜選択され、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)やこれらの合成材料が挙げられるが、これらに限定されない。ハウジング200の材料は、無機フィラーや補強繊維等を含有していてもよい。
【0023】
ハウジング200は、偏平な略直方体状の外形を有する。ハウジング200には、プラグコネクタ30が入る大きさを有する凹部203が形成されている。詳述すると、ハウジング200は、底壁201と底壁201の周縁から起立する周壁202とを有する。底壁201及び周壁202は、凹部203を区画する。凹部203は、基板実装面の反対側に(Z2方向に)開口し、プラグコネクタ30を受容する。凹部203の大きさは、プラグコネクタ30が入ればよく、接続性や加工性等を考慮して適宜設計される。凹部203は、配列ピッチ方向Yに延在するとともに対向する2つの側壁202a,202aと、2つの側壁202aを連結する、基板実装面側に(Z1側に)位置する底壁201及び配列ピッチ方向Yの両端部に位置する2つの連結壁(端壁)202b,202bとで構成されている。
【0024】
周壁202は、コンタクト220の並列方向Yに沿って延在し互いに対向する側壁202aと、横方向Xに沿って延在し互いに対向する連結壁202bとを有する。側壁202aの内面には、図10A及び図10Bに示すように、各コンタクト220の第1接触部225近傍の部分又は第2接触部224近傍の部分を収容する平面視略T字形状の収容溝204が形成されている。収容溝204は、ハウジング200を高さ方向(厚み方向)Zに貫通している。収容溝204内にコンタクト220が挿入により組み付けられる場合、収容溝204はコンタクトに圧接する寸法を有することが好ましい。これに代えて、コンタクト220はハウジング200の射出成形時に一体化することもできる。すなわち、各コンタクト220をインサート体として図示しない金型に保持(セット)させ、ハウジング200の肉厚を形成する空間にハウジング200を形成する電気絶縁性の合成樹脂材料を射出(充填)することで、コンタクト220をハウジング200に固定(保持)してもよい。保持態様は、コンタクト220を保持できれば、いかなる態様であってもよく、引っ掛けや溶着や溶接や一体成形であってもよい。保持態様は、接続安定性や保持強度や加工性等を考慮して、適宜設計される。
【0025】
所要数のコンタクト220は、ハウジング200に配列されて保持される。コンタクト220の配列方向を配列ピッチ方向Y、並列方向Yともいう。コンタクト220は、導電性金属からなり、バネ性の観点から好ましくは銅又は銅合金(黄銅やベリリウム銅やリン青銅やコルソン銅合金等)からなり、公知技術のプレス加工によって製作される。コンタクト220は、図6A及び図6Bに示す、幅の狭い信号用コンタクト220Sと、図7A及び図7Bに示す、幅の広い電源用コンタクト220Pとを含む。
【0026】
図4A図7Bに示すように、各コンタクト220(220S,220P)は、基板に実装される接続部221と、X方向内側へ向けて(第1接触部225へ向けて)凸に湾曲する第2接触部224と、第2接触部224と対向しX方向内側へ向けて(第2接触部224へ向けて)凸に湾曲する第1接触部225と、断面U字形状を有し第2接触部224と第1接触部225とを連結する連結部226と、第2接触部224と接続部221との間に設けられ、少なくとも1回以上湾曲する弾性部223と、を有する。詳述すると、信号用コンタクト220Sは、一方の自由端側近傍に形成されるプラグコネクタ30と接触する第1接触部225と、他方の自由端側に形成される基板に実装される接続部221と、第1接触部225から延設される凹227であってハウジング200の凹部203に沿う形状の凹207に連設された第2接触部224と、第2接触部224と接続部221との間に形成される少なくとも1回以上湾曲する弾性部223とを有する。なお、コンタクト220は、プラグコネクタ30のプラグコンタクト320と接触できればよく、その構造は図示例に限定されない。
【0027】
第1接触部225は、プラグコネクタ30のプラグコンタクト320と接触し易いように湾曲形状にするとともに、その幅方向両側に面取りをしている。本実施形態では、接続部221は表面実装タイプ(SMT)である。実装態様は、基板に実装できれば制限されず、L型ディップ式やプレスフィットであってもよい。実装態様は、基板の仕様や基板実装密度等を考慮して、適宜設計される。
【0028】
コンタクト220には、第1接触部225から延設されるハウジング200の凹部203に沿う形状の凹227が形成されている。凹227は、ハウジング200の凹部203と同様に略直方体形状を有するプラグコネクタ30が入る部分である。凹227の大きさは、プラグコネクタ30が入れば(嵌合できれば)制限されない。プラグコネクタ30が入るように、凹227は、接続安定性や保持力や加工性を考慮して、適宜設計される。
【0029】
第2接触部224は、凹227に連設されている。第2接触部224を設けることで、第1接触部225と第2接触部224とで、プラグコネクタ30を挟持することができ、これにより、安定した接続が得られるようにしている。第1接触部225と第2接触部224は、プラグコネクタ30のプラグコンタクト320の前記窪みに入る。第2接触部224も、第1接触部225と同様に、プラグコネクタ30のプラグコンタクト320と接触し易いように湾曲形状にするとともに、その幅方向両側に面取りをしている。
【0030】
弾性部223は、第2接触部224と接続部221との間に設けられ、少なくとも1回以上湾曲する形状をなしている。弾性部223を設けることで、安定した接続が得られるようにしている。
【0031】
信号用コンタクト220Sの接続部221は、ハウジング200の2つの側壁202a,202aのいずれか一方側に配置される。本実施形態においては、図2B図4Bに示すように、信号用コンタクト220Sの接続部221は、X1側のみに配置される。
【0032】
電源用コンタクト220Pは、固定具230とは別体であり、電源構造を有し、かつ、信号用コンタクト220Sと比べて幅広であるとともに幅以外は実質的に同一構造である。「幅以外は実質的に同一構造である」は、広く解釈され、幅以外同じ構造と見做せる場合を広く含める。例えば、配列ピッチ方向Yに視たときの形状が、電源用コンタクト220Pと信号用コンタクト220Sとで同じ場合である。
【0033】
電源用コンタクト220Pの幅は、信号用コンタクト220Sの幅よりも、例えば0.05~0.15mm程度幅広になっている。また、電源用コンタクト220Pの幅は、信号用コンタクト220Sの幅の例えば1.9~2.1倍になっている。
【0034】
電源用コンタクト220Pの接続部221は、ハウジング200の2つの側壁202a,202aの他方側に配置される。本実施形態においては、図2B図4Bに示すように、電源用コンタクト220Pの接続部221は、X2側のみに配置される。つまり、電源用コンタクト220Pの接続部221は、信号用コンタクト220Sの接続部221が配置される側壁202a(X1側の側壁202a)とは反対側の側壁202a(X2側の側壁202a)に配置される。
【0035】
電源用コンタクト220Pの場合、金めっき厚を0.5μm以上にすることが要求されることがあるため、複雑な構造を採用できず(複雑な構造だと金めっきができない)、電源用コンタクト220Pを信号用コンタクト220Sと幅以外は実質的に同一構造にし、金めっき厚の確保の要求にも対応している。
【0036】
次に固定具について説明する。固定具230は、ハウジング200の配列ピッチ方向Yの両端部にそれぞれ配置される。固定具230は、導電性金属からなり、バネ性の観点から好ましくは銅又は銅合金(黄銅やベリリウム銅やリン青銅やコルソン銅合金等)からなり、公知技術のプレス加工によって製作される。固定具230は、図1B図2B等に示すように、ハウジング200の長手方向Yの両端部を部分的に覆っている。これによりハウジング200の長手方向Yの両端部は補強されている。固定具230は、ハウジング200を基板に固定する固定金具(固定タブ)としても機能する。
【0037】
図11A及び図11Bに固定具230を単体で示す。固定具230は、基板の反対側より見ると(Z1方向に見ると)、略U字形状をなしている。ハウジング200に固定された状態において、横方向X(短手方向)の両側には、それぞれ基板側に(Z1方向に)突出した2つの接続部235が形成されている。本実施形態では、表面実装タイプ(SMT)である。接続部235は、実装できれば制限されず、ディップ式であっても、プレスフィットであってもよい。
【0038】
固定具230は、ハウジング200の射出成形時にハウジング200と一体化される。つまり、固定具230は、ハウジング200にインサート成形されている。詳細には、固定具230をインサート体として図示しない金型に保持(セット)し、ハウジング200の肉厚を形成する空間にハウジング200の合成樹脂材料を射出(充填)することで、固定具230はハウジング200に固定(保持)される。これに代えて、固定具230はハウジング200の形成後にハウジング200に挿入(圧入)及び/又は接着により固定してもよい。
【0039】
固定具230について更に詳述する。固定具230は、主として、頂壁231と、ハウジング200の短手方向Xに対向する一対の垂下側壁232と、垂下端壁233と、垂下片234とを備え、金属製板材から例えばスタンピング加工により所定形状、寸法にカットした中間片を曲げ加工することで形成される。前記接続部235は、垂下側壁232の下端部の一部から構成される。
【0040】
頂壁231は、ハウジング200の長手方向Yの端部において、周壁202の側壁202aの上面及び連結壁202bの上面(基板実装面の反対側の面)に沿って延在する平面視略C字形状をなしている。
【0041】
垂下側壁232は、頂壁231の外側側縁から周壁202の側壁202aの外面に沿って垂下し、その下端部の接続部235において基板に実装され、固定される。垂下端壁233は、頂壁231のX方向外側の端縁から周壁202の連結壁202bの外面に沿って垂下している。垂下側壁232及び垂下端壁233は、周壁202の外面と面一となる。
【0042】
垂下片234は、頂壁231のX方向内側の端縁から周壁202の連結壁202bの内面に沿って垂下し、垂下端壁233との間に連結壁202bを挟持する。垂下片234は、周壁202の内面と面一となる。
【0043】
ハウジング200に固定された状態において、垂下端壁233及び垂下片234は、ハウジング200に一体成形により保持された場合の固定強度を増すことができる。
【0044】
次に、嵌合状態について説明する。図3図12図13Dに示すように、プラグコネクタ30が、レセプタクルコネクタ20のハウジング200の凹部203に入ることで、嵌合状態が形成される。嵌合状態において、プラグコンタクト320がレセプタクルコネクタ20のコンタクト220と接触し、プラグコネクタ30のプラグ固定具330がレセプタクルコネクタ20の電源用コンタクト220Pの第1接触部225及び第2接触部224の2カ所で接触する。
【0045】
〔実施形態の効果〕
(1)実施形態のレセプタクルコネクタ20においては、ハウジング200の凹部203は、配列ピッチ方向Yに延在するとともに対向する2つの側壁202a,202aと、2つの側壁202a,202aを連結する、基板実装面側(Z1側)に位置する底壁201及び配列ピッチ方向Yの両端部に位置する2つの連結壁202b,202bとで構成され、コンタクト220は、信号用コンタクト220Sと、電源用コンタクト220Pとを有し、信号用コンタクト220Sは、一方の自由端側近傍に形成されるプラグコネクタ30と接触する第1接触部225と、他方の自由端側に形成される基板に実装される接続部221と、第1接触部225から延設される凹227であってハウジング200の凹部203に沿う形状の凹227に連設された第2接触部224と、第2接触部224と接続部221との間に形成される少なくとも1回以上湾曲する弾性部223とを有し、信号用コンタクト220Sの接続部221は、ハウジング200の2つの側壁202a,202aのいずれか一方側に配置され、電源用コンタクト220Pは、固定具230とは別体であり、電源構造を有し、かつ、信号用コンタクト220Sと比べて幅広であるとともに幅以外は実質的に同一構造である。
【0046】
そのため、実施形態のレセプタクルコネクタ20によれば、固定具230と、電源構造を有する電源用コンタクト220Pとは、別体である。また、電源用コンタクト220Pは、信号用コンタクト220Sと比べて幅広であるとともに幅以外は実質的に同一構造である。そのため、固定具230の大きさに制約されることなく、電源用コンタクト220Pの幅広化が可能である。これにより、基板へのコネクタの固定用の固定具230を有していても、小型化及び低背化も維持しつつ、保持力(嵌合力)を向上させやすい。
【0047】
(2)実施形態のレセプタクルコネクタ20においては、電源用コンタクト220Pの接続部221は、信号用コンタクト220Sの接続部221が配置される側壁202aとは反対側の側壁202aに配置される。そのため、両方の側壁202aのうちの一方及び他方に、信号用コンタクト220Sと電源用コンタクト220Pとは分かれて配置される。そのため、コンタクトによる実装強度のバランスをより均等にさせやすい。
【0048】
(3)実施形態のレセプタクルコネクタ20においては、電源用コンタクト220Pの幅は、信号用コンタクト220Sの幅の1.9~2.1倍である。そのため、電源用コンタクト220Pとして十分な大きな導電性を確保できる。そして、電源用コンタクト220Pの幅が過剰に広いことで、レセプタクルコネクタ20の全体の配列ピッチ方向Yの大きさが大きくなることを、抑制することができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に制限されず、適宜変更が可能である。電源用コンタクト220Pの接続部221と信号用コンタクト220Sの接続部221とが同じ側の側壁202aに配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 基板対基板コネクタ
20 レセプタクルコネクタ
200 ハウジング
201 底壁
202 周壁
202a 側壁
202b 連結壁
203 凹部
204 収容溝
220 コンタクト
220P 電源用コンタクト
220S 信号用コンタクト
221 接続部
223 弾性部
224 第2接触部
225 第1接触部
226 連結部
227 凹
230 固定具
231 頂壁
232 垂下側壁
233 垂下端壁
234 垂下片
235 接続部
30 プラグコネクタ
300 プラグブロック
320 フラグコンタクト
320P 電源用プラグコンタクト
320S 信号用プラグコンタクト
321 接続部
325 接触部
326 連結部
330 固定具
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D