IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 国立大学法人九州大学の特許一覧

特許7266516表面保護剤組成物および端子付き被覆電線
<>
  • 特許-表面保護剤組成物および端子付き被覆電線 図1
  • 特許-表面保護剤組成物および端子付き被覆電線 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】表面保護剤組成物および端子付き被覆電線
(51)【国際特許分類】
   C23F 11/00 20060101AFI20230421BHJP
   C10M 169/04 20060101ALI20230421BHJP
   C10M 125/10 20060101ALI20230421BHJP
   C10M 133/04 20060101ALI20230421BHJP
   C10M 145/14 20060101ALI20230421BHJP
   C10M 137/04 20060101ALI20230421BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230421BHJP
   C09D 5/08 20060101ALI20230421BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20230421BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230421BHJP
   C09D 191/00 20060101ALI20230421BHJP
   C10N 10/02 20060101ALN20230421BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20230421BHJP
   C10N 10/06 20060101ALN20230421BHJP
   C10N 10/08 20060101ALN20230421BHJP
   C10N 30/12 20060101ALN20230421BHJP
【FI】
C23F11/00 E
C10M169/04
C10M125/10
C10M133/04
C10M145/14
C10M137/04
H01B7/00 306
C09D5/08
C09D4/02
C09D7/63
C09D191/00
C10N10:02
C10N10:04
C10N10:06
C10N10:08
C10N30:12
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019225372
(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公開番号】P2021095586
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 奈保
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕
(72)【発明者】
【氏名】鴛海 直之
(72)【発明者】
【氏名】溝口 誠
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-157209(JP,A)
【文献】国際公開第2016/067891(WO,A1)
【文献】特表2003-530442(JP,A)
【文献】特開2015-181322(JP,A)
【文献】特開2009-173712(JP,A)
【文献】特表2008-544070(JP,A)
【文献】特開平8-134383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 11/00-11/18
C10M 101/00-177/00
H01B 7/00
C09D 4/00-7/80,191/00-191/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)で表されるリン化合物、
(b-1)含金属化合物または(b-2)アミン化合物、
(c)炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレート、
(d-1)アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、
(d-2)α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、
が含まれ、
前記(d-1)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、
前記(d-2)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、
前記(d-1)および前記(d-2)の合計が、組成物全量基準で、5.0質量%未満である、表面保護剤組成物。
【化1】
上記一般式(1)において、Rは水素原子を示し、Rは炭素数4以上30以下の炭化水素基を示し、Rは水素原子または炭素数4以上30以下の炭化水素基を示す。
【請求項2】
前記(a)の含有量が、組成物全量基準で、リン元素換算量として0.1質量%以上10質量%以下であり、
前記(b-1)の含有量が、組成物全量基準で、金属元素換算量として0.1質量%以上10質量%以下、または、前記(b-2)の含有量が、組成物全量基準で、窒素元素換算量として0.1質量%以上5.0質量%以下であり、
前記(c)の含有量が、組成物全量基準で、1.0質量%以上70質量%以下である、請求項1に記載の表面保護剤組成物。
【請求項3】
前記(c)が、2以上の炭素-炭素二重結合を有する、請求項1または請求項2に記載の表面保護剤組成物。
【請求項4】
前記(b-1)の金属が、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛から選択される少なくとも1種である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表面保護剤組成物。
【請求項5】
前記(a)の炭素数4以上30以下の炭化水素基の少なくとも1つが、1以上の分岐鎖または1以上の炭素-炭素二重結合を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表面保護剤組成物。
【請求項6】
さらに、(e)潤滑油基油が、組成物全量基準で、10質量%以上90質量%以下含まれる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表面保護剤組成物。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表面保護剤組成物の硬化物により端子金具と電線導体との電気接続部が覆われている、端子付き被覆電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表面保護剤組成物および端子付き被覆電線に関し、さらに詳しくは、金属腐食を防止する防食性能に優れる表面保護剤組成物およびこれを用いて防食性能に優れる端子付き被覆電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属機器や金属部品において、潤滑目的や防食目的などで、グリースなどが用いられている。例えば特許文献1には、パーフルオロエーテル基油、増稠剤、硫酸バリウムまたは酸化アンチモンが含まれるグリースが機械部品に用いられることが記載されている。また、例えば特許文献2には、金属表面を保護するための組成物として、潤滑油基油にゲル化剤が添加されたものが用いられることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2007/052522号
【文献】特開平06-33272号公報
【文献】国際公開2017/018546号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2の組成物は、金属吸着成分が含まれていないため、金属表面への吸着力に劣り、金属表面に塗布された場合において、金属腐食を防止する防食性能に劣る。
【0005】
また、塗布される組成物の粘度が低いと、金属表面の組成物は薄膜になることがある。薄膜の組成物は、ラジカル反応によって硬化する場合に、酸素阻害を受けやすく、硬化不足が生じるおそれがある。さらに、保存時などにおいて、組成物から成分が析出すると、析出した成分の機能が低下する。
【0006】
本開示の解決しようとする課題は、金属腐食を防止する防食性能に優れるとともに、薄膜にされたときにも硬化性に優れ、さらに、成分の析出が抑えられる表面保護剤組成物およびこれを用いた端子付き被覆電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る表面保護剤組成物は、(a)下記一般式(1)で表されるリン化合物、(b-1)含金属化合物または(b-2)アミン化合物、(c)炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレート、(d-1)アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、(d-2)α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、が含まれ、前記(d-1)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-2)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-1)および前記(d-2)の合計が、組成物全量基準で、5.0質量%未満である。
【化1】
上記一般式(1)において、Rは水素原子を示し、Rは炭素数4以上30以下の炭化水素基を示し、Rは水素原子または炭素数4以上30以下の炭化水素基を示す。
【0008】
そして、本開示に係る端子付き被覆電線は、本開示に係る表面保護剤組成物の硬化物により端子金具と電線導体との電気接続部が覆われているものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る表面保護剤組成物によれば、金属腐食を防止する防食性能に優れるとともに、薄膜にされたときにも硬化性に優れ、さらに、成分の析出が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る端子付き被覆電線の斜視図である。
図2図2は、図1におけるA-A線縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0012】
(1)本開示に係る表面保護剤組成物は、(a)下記一般式(1)で表されるリン化合物、(b-1)含金属化合物または(b-2)アミン化合物、(c)炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレート、(d-1)アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、(d-2)α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、が含まれ、前記(d-1)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-2)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-1)および前記(d-2)の合計が、組成物全量基準で、5.0質量%未満である。
【化2】
上記一般式(1)において、Rは水素原子を示し、Rは炭素数4以上30以下の炭化水素基を示し、Rは水素原子または炭素数4以上30以下の炭化水素基を示す。
【0013】
本開示に係る表面保護剤組成物は、(a)上記一般式(1)で表されるリン化合物、(b-1)含金属化合物または(b-2)アミン化合物、(c)炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレート、(d-1)アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、(d-2)α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、が含まれ、前記(d-1)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-2)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-1)および前記(d-2)の合計が、組成物全量基準で、5.0質量%未満であることで、金属腐食を防止する防食性能に優れるとともに、薄膜にされたときにも硬化性に優れ、さらに、成分の析出が抑えられる。
【0014】
(2)前記表面保護剤組成物において、前記(a)の含有量は、組成物全量基準で、リン元素換算量として0.1質量%以上10質量%以下であるとよい。前記表面保護剤組成物の金属表面への吸着力に優れるとともに、相対的に前記(c)の量が確保され硬化時に融点の高いゲルが形成され前記表面保護剤組成物の硬化物が耐熱性に優れるからである。また、前記(b-1)の含有量は、組成物全量基準で、金属元素換算量として0.1質量%以上10質量%以下、または、前記(b-2)の含有量は、組成物全量基準で、窒素元素換算量として0.1質量%以上5.0質量%以下であるとよい。前記表面保護剤組成物の金属表面への吸着力に優れるとともに、余剰の(b-1)または(b-2)の影響による表面保護効果の低下が抑えられるからである。そして、前記(c)の含有量は、組成物全量基準で、1.0質量%以上70質量%以下であるとよい。硬化時に融点の高いゲルが形成され前記表面保護剤組成物が耐熱性に優れるとともに、相対的に前記(a)の量が確保され前記表面保護剤組成物の金属表面への吸着力に優れるからである。
【0015】
(3)前記(c)は、2以上の炭素-炭素二重結合を有するとよい。光重合により前記(c)が3次元構造の重合物となり、前記表面保護剤組成物が高温下で融解しにくいものとなるからである。
【0016】
(4)前記(b-1)の金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛から選択される少なくとも1種であるとよい。(a)のリン化合物が金属表面に強く吸着することができるからである。
【0017】
(5)前記(a)の炭素数4以上30以下の炭化水素基の少なくとも1つは、1以上の分岐鎖または1以上の炭素-炭素二重結合を有するとよい。(a)の炭化水素基同士の配向が抑えられ、(a)の結晶性が低下するので、(c)との相溶性が向上するからである。
【0018】
(6)前記表面保護剤組成物は、さらに(e)潤滑油基油が、組成物全量基準で、10質量%以上90質量%以下含まれるとよい。前記表面保護剤組成物の常温での塗布性が向上するからである。
【0019】
(7)そして、本開示の端子付き被覆電線は、本開示の表面保護剤組成物の硬化物により端子金具と電線導体との電気接続部が覆われているものである。本開示の端子付き被覆電線は、端子金具と電線導体との電気接続部に本開示の表面保護剤組成物が用いられているため、金属腐食を防止する防食性能に優れる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の表面保護剤組成物および本開示の端子付き被覆電線の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではない。
【0021】
本開示に係る表面保護剤組成物(以下、本保護剤組成物ということがある。)は、(a)下記一般式(1)で表されるリン化合物、(b-1)含金属化合物または(b-2)アミン化合物、(c)炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレート、(d-1)アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、(d-2)α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、が含まれ、前記(d-1)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-2)の含有量が、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下であり、前記(d-1)および前記(d-2)の合計が、組成物全量基準で、5.0質量%未満である。本保護剤組成物は、さらに(e)潤滑油基油、が含まれるものであってもよい。
【0022】
(a)は、下記一般式(1)で表されるリン化合物である。下記一般式(1)で表されるリン化合物は、炭化水素基からなる極性の低い部分(親油性部分)と、リン酸基を含む極性の高い部分を有している。
【化3】
上記一般式(1)において、Rは水素原子を示し、Rは炭素数4以上30以下の炭化水素基を示し、Rは水素原子または炭素数4以上30以下の炭化水素基を示す。
【0023】
(a)は、炭素数4以上30以下の炭化水素基を有することで、炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(c)との相溶性に優れる。また、本保護剤組成物が(e)潤滑油基油を含む場合において、(a)と(e)の相溶性が向上する。この炭化水素基の炭素数が4未満であると、(a)が結晶化しやすくなり、(c)や(e)との相溶性が低下する。一方、この炭化水素基の炭素数が30超であると、(a)の粘性が高くなりすぎて、(c)や(e)が配合されても表面保護剤組成物の塗布性が低下する。そして、(c)や(e)との相溶性の観点から、上記炭化水素基の炭素数は、より好ましくは5以上、さらに好ましくは6以上である。また、本保護剤組成物の塗布性の観点から、上記炭化水素基の炭素数は、より好ましくは26以下、さらに好ましくは22以下である。
【0024】
上記一般式(1)において、Rは、Rと同じ炭化水素基であってもよいし、同じ炭化水素基でなくてもよい。Rは、水素原子またはRと同じ炭化水素基であることが好ましい。
【0025】
上記一般式(1)における炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキル置換アリール基、アリールアルキル基などが挙げられる。これらのうちでは、脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基であるアルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、アルケニル基が好ましい。(a)の炭化水素基が脂肪族炭化水素基または脂環族炭化水素基であると、本保護剤組成物が(e)潤滑油基油を含む場合において、(a)と(e)潤滑油基油の相溶性が向上する。
【0026】
アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルキル基としては、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基(ステアリル基)、イソステアリル基、ブチルオクチル基、ミリスチル基、イソミリスチル基、イソセチル基、ヘキシルデシル基、オクチルデシル基、オクチルドデシル基、ベヘニル基、イソベヘニル基などが挙げられる。
【0027】
シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基などが挙げられる。アルキル置換シクロアルキル基としては、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロへプチル基、ジメチルシクロへプチル基、メチルエチルシクロへプチル基、ジエチルシクロへプチル基などが挙げられる。アルキル置換シクロアルキル基の置換位置は、特に限定されない。
【0028】
アルケニル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アルケニル基としては、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基などが挙げられる。
【0029】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。アルキル置換アリール基としては、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、へプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基などが挙げられる。アルキル置換アリール基の置換位置は、特に限定されない。アルキル置換アリール基のアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。アリールアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基などが挙げられる。アリールアルキル基のアルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
【0030】
(a)において、炭素数4以上30以下の炭化水素基の少なくとも1つは、炭素数8以上30以下の炭化水素基であることが好ましい。また、(a)において、炭素数4以上30以下の炭化水素基の少なくとも1つは、1以上の分岐鎖または1以上の炭素-炭素二重結合を有することが好ましい。(a)の炭化水素基が分岐鎖または炭素-炭素二重結合を有すると、(a)の炭化水素基同士の配向が抑えられ、(a)の結晶性が低下し、炭化水素鎖を有する(c)と(a)の相溶性が向上する。また、本保護剤組成物が(e)潤滑油基油を含む場合において、(a)と(e)潤滑油基油の相溶性が向上する。
【0031】
上記一般式(1)で表される具体的なリン化合物としては、ブチルオクチルアシッドホスフェイト、イソミリスチルアシッドホスフェイト、イソセチルアシッドホスフェイト、ヘキシルデシルアシッドホスフェイト、イソステアリルアシッドホスフェイト、イソベヘニルアシッドホスフェイト、オクチルデシルアシッドホスフェイト、オクチルドデシルアシッドホスフェイト、イソブチルアシッドホスフェイト、2-エチルヘキシルアシッドホスフェイト、イソデシルアシッドホスフェイト、ラウリルアシッドホスフェイト、トリデシルアシッドホスフェイト、ステアリルアシッドホスフェイト、オレイルアシッドホスフェイト、ミリスチルアシッドホスフェイト、パルミチルアシッドホスフェイト、ジ-ブチルオクチルアシッドホスフェイト、ジ-イソミリスチルアシッドホスフェイト、ジ-イソセチルアシッドホスフェイト、ジ-ヘキシルデシルアシッドホスフェイト、ジ-イソステアリルアシッドホスフェイト、ジ-イソベヘニルアシッドホスフェイト、ジ-オクチルデシルアシッドホスフェイト、ジ-オクチルドデシルアシッドホスフェイト、ジ-イソブチルアシッドホスフェイト、ジ-2-エチルヘキシルアシッドホスフェイト、ジ-イソデシルアシッドホスフェイト、ジ-トリデシルアシッドホスフェイト、ジ-オレイルアシッドホスフェイト、ジ-ミリスチルアシッドホスフェイト、ジ-パルミチルアシッドホスフェイトなどが挙げられる。
【0032】
(a)は、組成物全量基準で、リン元素換算量として0.1質量%以上10質量%以下含まれるとよい。組成物全量基準で、(a)の量がリン元素換算量として0.1質量%以上であると、本保護剤組成物の金属表面への吸着力に優れ、金属表面の腐食を抑える効果に優れる。組成物全量基準で、(a)の量がリン元素換算量として10質量%以下であると、相対的に(c)の量が確保され、硬化時に融点の高いゲルが形成され、本保護剤組成物の硬化物が耐熱性に優れる。また、金属表面への吸着力の観点から、(a)は、組成物全量基準で、リン元素換算量として、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、耐熱性の観点から、(a)は、組成物全量基準で、リン元素換算量として、より好ましくは8.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下である。
【0033】
(b-1)は、含金属化合物である。(b-2)は、アミン化合物である。本保護剤組成物において、(b-1)と(b-2)のいずれか一方のみを含んでいてもよいし、(b-1)と(b-2)の両方を含んでいてもよい。本保護剤組成物が塗布された金属表面において、(b-1)や(b-2)により金属表面の金属のイオン化が促進され、(a)のリン化合物が金属表面に吸着することができる。これにより、本保護剤組成物が金属表面に吸着することができる。
【0034】
含金属化合物としては、金属水酸化物、金属酸化物などが挙げられる。含金属化合物の金属としては、Li,Na,Kなどのアルカリ金属、Mg,Caなどのアルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛などが挙げられる。(b-1)は、これらのいずれか1種の金属からなる含金属化合物の1種のみで構成されていてもよいし、2種以上で構成されていてもよい。これらの金属は、イオン化傾向が比較的高いため、本保護剤組成物において共存することにより金属表面の金属のイオン化が促進され、(a)のリン化合物が金属表面に強く吸着することができる。
【0035】
含金属化合物の金属としては、親水性の観点から、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛などの価数が2価以上のものが好ましい。また、耐水性などの観点から、Ca,Mgがより好ましい。
【0036】
(b-1)は、組成物全量基準で、金属元素換算量として0.1質量%以上10質量%以下含まれるとよい。組成物全量基準で、(b-1)の量が金属元素換算量として0.1質量%以上であると、(a)のリン化合物が金属表面にイオン結合を形成し金属表面に吸着する吸着力が強く、本保護剤組成物による金属表面の腐食を抑える効果に優れる。また、組成物全量基準で、(b-1)の量が金属元素換算量として10質量%以下であると、余剰の含金属化合物の影響による表面保護効果の低下が抑えられる。また、(a)のリン化合物の吸着力の観点から、(b-1)は、組成物全量基準で、金属元素換算量として、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、(b-1)は、組成物全量基準で、金属元素換算量として、より好ましくは8.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下である。
【0037】
アミン化合物としては、炭素数2以上100以下の炭化水素基を有する有機アミン化合物が挙げられる。好ましくは、炭素数2以上22以下の炭化水素基を有する有機アミン化合物である。また、酸化安定性などの観点から炭素数8以上の炭化水素を有するものがより好ましい。アミン化合物は、1級~3級のいずれであっても良い。
【0038】
アミン化合物としては、より具体的にはオクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアミン、オレイルアミン、牛脂アルキルアミン、硬化牛脂アルキルアミン、アニリン、ベンジルアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、ジベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチル牛脂アルキルアミン、ジメチル硬化牛脂アルキルアミン、ジメチルオレイルアミンなどが挙げられる。これらは(b-2)として単独で用いられてもよいし、2種以上組み合わされて用いられてもよい。これらのうちでは、オクチルアミン、ステアリルアミンが好ましい。
【0039】
(b-2)は、組成物全量基準で、窒素元素換算量として0.1質量%以上5.0質量%以下含まれるとよい。組成物全量基準で、(b-2)の量が窒素元素換算量として0.1質量%以上であると、(a)のリン化合物が金属表面にイオン結合を形成し金属表面に吸着する吸着力が強く、表面保護剤組成物による金属表面の腐食を抑える効果に優れる。また、組成物全量基準で、(b-2)の量が窒素元素換算量として5.0質量%以下であると、余剰のアミン化合物の影響による表面保護効果の低下が抑えられる。また、(a)のリン化合物の吸着力の観点から、(b-2)は、組成物全量基準で、窒素元素換算量として、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。また、(b-2)は、組成物全量基準で、窒素元素換算量として、より好ましくは3.0質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
【0040】
(c)は、炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリレートは、常温で液状のものが多い。(c)は、炭素数4以上の炭化水素鎖を有することで、炭素数4以上の炭化水素基を有する(a)との相溶性に優れる。このため、本保護剤組成物は、常温下でも均一に塗布しやすく、塗布性に優れるものとなる。
【0041】
(c)において、炭素数4以上の炭化水素鎖は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。また、1以上の炭素-炭素二重結合を含んでいてもよい。炭素数4以上の炭化水素鎖は、好ましくは炭素数8以上の炭化水素鎖である。また、好ましくは炭素数30以下の炭化水素鎖である。より好ましくは炭素数22以下の炭化水素鎖である。炭素数4以上の炭化水素鎖としては、アルキル鎖、シクロアルキル鎖、アルキル置換シクロアルキル鎖、アルケニル鎖、アリール鎖、アルキル置換アリール鎖、アリールアルキル鎖などが挙げられる。これらのうちでは、脂肪族炭化水素鎖、脂環族炭化水素鎖であるアルキル鎖、シクロアルキル鎖、アルキル置換シクロアルキル鎖、アルケニル鎖が好ましい。
【0042】
(c)は、2以上の炭素-炭素二重結合を有し炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレートであってもよいし、1つの炭素-炭素二重結合を有し炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレートであってもよい。また、2以上の炭素-炭素二重結合を有し炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレートと、1つの炭素-炭素二重結合を有し炭素数4以上の炭化水素鎖を有する(メタ)アクリレートの組み合わせであってもよい。(c)は、2以上の炭素-炭素二重結合を有することで、光重合により3次元構造の重合物となり、高温下で融解しにくいものとなる。(a)は(c)と相溶性に優れるため、(a)は(c)の重合物中に保持される。これにより、(a)は高温下で流出しにくくなるため、本保護剤組成物の硬化物は高温下で融解しにくく、耐熱性に優れる。ここで、高温下とは、155℃の温度下をいう。
【0043】
炭素-炭素二重結合には、(メタ)アクリロイル基に含まれる炭素-炭素二重結合やアルケニル基に含まれる炭素-炭素二重結合が含まれる。2以上の炭素-炭素二重結合を有する(メタ)アクリレートは、アルケニル基を有するものであれば単官能(メタ)アクリレートであってもよいし、アルケニル基を有するか否かにかかわらず2官能以上の多官能(メタ)アクリレートであってもよい。(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートのいずれか一方または両方を含むものである。
【0044】
(c)の(メタ)アクリレートとしては、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートや、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物又はPO付加物のポリオールのジ(メタ)アクリレート、ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは、(c)として1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
(c)は、組成物全量基準で、1.0以上70質量%以下含まれるとよい。組成物全量基準で、(c)の量が1.0質量%以上であると、本保護剤組成物の硬化物を高温下で融解しにくくする効果が高い。また、組成物全量基準で、(c)の量が70質量%以下であると、相対的に(a)の量が確保され、表面保護剤組成物の金属表面への吸着力が強く、金属表面の腐食を抑える効果が高い。また、高温下で融解しにくくする観点から、(c)は、組成物全量基準で、より好ましくは5.0質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。また、金属表面への吸着力の観点から、(c)は、組成物全量基準で、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0046】
また、(c)の配合量は、(a)、(b-1)および(b-2)との関係で、(a)、(b-1)および(b-2)の合計と、(c)の質量比が、((a)+(b-1)+(b-2)):(c)=98:2~10:90の範囲内であることが好ましい。(a)、(b-1)、(b-2)、(c)の合計に対する(c)の配合量が2.0質量%以上であると、あるいは、(a)、(b-1)、(b-2)、(c)の合計に対する(a)+(b-1)+(b-2)の配合量が98質量%以下であると、本保護剤組成物の硬化物を高温下で融解しにくくする効果が高い。また、この観点から、(a)、(b-1)、(b-2)、(c)の合計に対する(c)の配合量は、より好ましくは5.0質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、20質量%以上である。また、(a)、(b-1)、(b-2)、(c)の合計に対する(c)の配合量が70質量%以下であると、あるいは、(a)、(b-1)、(b-2)、(c)の合計に対する(a)+(b-1)+(b-2)の配合量が30質量%以上であると、本保護剤組成物の金属表面への吸着力が強く、金属表面の腐食を抑える効果が高い。また、この観点から、(a)、(b-1)、(b-2)、(c)の合計に対する(c)の配合量は、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
【0047】
(d-1)は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤である。(d-1)は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤であれば、特に限定されるものではない。(d-1)としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。(d-1)は、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤のうちの1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、Omnirad TPOシリーズ、Ominirad 819シリーズ(IGM Resins B.V.の商品名)などが挙げられる。
【0048】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤は、励起波長が360nm以上410nm以下にある。なお、励起波長は、360nm付近からブロードに立ち上がり、410nm付近でブロードに収束することを意味する。このため、光照射の際は、中心波長が365nm以上395nm以下にある光源を用いるとよい。このような光源としては、LEDランプなどが挙げられる。
【0049】
(d-1)は、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下含まれるとよい。組成物全量基準で、(d-1)の量が0.1質量%以上であると、本保護剤組成物が光照射されたときの硬化が十分で、金属表面の腐食を抑える効果が高い。また、組成物全量基準で、(d-1)の量が3.0質量%以下であると、硬化物が均一となり、金属表面の腐食を抑える効果が高い。また、硬化物の硬化性により優れるなどの観点から、(d-1)は、組成物全量基準で、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、硬化物の均一性により優れるなどの観点から、(d-1)は、組成物全量基準で、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
【0050】
(d-2)は、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤である。(d-2)は、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤であれば、特に限定されるものではない。(d-2)としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1,2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。(d-2)は、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤のうちの1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、IGM Resins B.V.製のOmnirad907、Omnirad369、Omnirad379などが挙げられる。
【0051】
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤は、アミノ基を有する。このアミノ基が酸素と結合する性質を利用することで、本保護剤組成物は、薄膜硬化時における酸素阻害が抑えられ、薄膜硬化性に優れるものとなる。アミノ基としては、第3級アミノ基が特によい。また、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤は、アミノ基に加え、光重合開始剤としての構造も有する。このため、本保護剤組成物の薄膜硬化性に優れる効果が得られる。
【0052】
(d-2)は、組成物全量基準で、0.1質量%以上3.0質量%以下含まれるとよい。組成物全量基準で、(d-2)の量が0.1質量%以上であると、本保護剤組成物の薄膜硬化性に優れる効果が高い。また、組成物全量基準で、(d-2)の量が3.0質量%以下であると、硬化物が均一となり、金属表面の腐食を抑える効果が高い。また、薄膜硬化性により優れるなどの観点から、(d-2)は、組成物全量基準で、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1.0質量%以上である。また、硬化物の均一性により優れるなどの観点から、(d-2)は、組成物全量基準で、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
【0053】
(d-1)および(d-2)の合計は、組成物全量基準で、5.0質量%未満であるとよい。組成物全量基準で、(d-1)および(d-2)の合計が5.0質量%未満であると、例えば本保護剤組成物の保存時などにおいて、(d-1)や(d-2)の析出が抑えられ、商品価値の低下や機能低下が抑えられる。また、(d-1)や(d-2)の析出を抑えるなどの観点から、(d-1)および(d-2)の合計は、組成物全量基準で、より好ましくは4.5質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以下である。
【0054】
(e)は、潤滑油基油である。本保護剤組成物が(e)を含むと、本保護剤組成物の常温での塗布性が向上する。(e)は、組成物全量基準で、10質量%以上90質量%以下含むとよい。より好ましくは30質量%以上70質量%以下である。
【0055】
潤滑油基油としては、通常の潤滑油の基油として用いられる任意の鉱油、ワックス異性化油、合成油の1種または2種以上の混合物を使用することができる。鉱油としては、具体的には、例えば、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱瀝、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱蝋、接触脱蝋、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用できる。
【0056】
ワックス異性化油としては、炭化水素油を溶剤脱ろうして得られる石油スラックワックスなどの天然ワックス、あるいは一酸化炭素と水素との混合物を高温高圧で適用な合成触媒と接触させる、いわゆるFischer Tropsch合成方法で生成される合成ワックスなどのワックス原料を水素異性化処理することにより調製されたものが使用できる。ワックス原料としてスラックワックスを使用する場合、スラックワックスは硫黄と窒素を大量に含有しており、これらは潤滑油基油には不要であるため、必要に応じて水素化処理し、硫黄分、窒素分を削減したワックスを原料として用いることが望ましい。
【0057】
合成油としては、特に制限はないが、1-オクテンオリゴマー、1-デセンオリゴマー、エチレン-プロピレンオリゴマー等のポリα-オレフィンまたはその水素化物、イソブテンオリゴマーまたはその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール-2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。
【0058】
潤滑油基油の動粘度は、特に限定されるものではないが、通常、100℃において1mm/s以上150mm/s以下の範囲内であることが好ましい。また、揮発性および製造時の扱いやすさに優れることから、100℃における動粘度が2mm/s以上130mm/s以下の範囲内であることがより好ましい。動粘度は、JIS K2283に準拠して測定される。
【0059】
本保護剤組成物においては、本開示の機能を損なわない範囲において、安定化剤、腐食防止剤、色素、増粘剤、フィラーなどが配合されてもよい。
【0060】
本保護剤組成物は、(a)、(b-1)または(b-2)、(c)、(d-1)、(d-2)がまとめて混合されることにより調製されてもよいし、(a)と(b-1)または(b-2)が混合された後、(c)、(d-1)、(d-2)がさらに加えられて混合されることにより調製されてもよい。本保護剤組成物が(e)や添加剤を含む場合には、(a)、(b-1)または(b-2)、(c)、(d-1)、(d-2)、(e)および添加剤がまとめて混合されることにより調製されてもよいし、(a)と(b-1)または(b-2)が混合された後、(c)、(d-1)、(d-2)、(e)および添加剤がさらに加えられて混合されることにより調製されてもよい。
【0061】
被塗布材の表面に本保護剤組成物が塗布されるか、本保護剤組成物中に被塗布材が浸漬されることにより、被塗布材の表面に本保護剤組成物がコーティングされる。被塗布材としては、金属材が挙げられる。金属材の金属種としては、Cu、Cu合金、Al、Al合金、これらに各種めっきが施された金属材など、端子金具や電線導体などにおいて好適に用いられる金属が挙げられる。本保護剤組成物は、被塗布材の表面にコーティングされた後、紫外線などの光が照射されることで、硬化することができる。これにより、被塗布材の表面が本保護剤組成物の硬化物に覆われる。本保護剤組成物の硬化物の膜厚は、特に限定されるものではなく、0.5μm以上100μm以下程度に調整されればよい。
【0062】
以上の構成の本保護剤組成物によれば、(a)のリン化合物と、(b-1)の含金属化合物または(b-2)のアミン化合物と、が含まれることで、塗布した金属表面に吸着することができる。また、(c)の(メタ)アクリレートおよび(d-1)の光重合開始剤が含まれることで、ラジカル反応によって硬化することができる。そして、(d-1)の光重合開始剤がアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤であり、(d-1)とともにα-アミノアセトフェノン系光重合開始剤である(d-2)の光重合開始剤が含まれることで、薄膜にされたときにも硬化性に優れる。これにより、金属腐食を防止する防食性能に優れるとともに、薄膜にされたときにも硬化性に優れる。そして、(d-1)と(d-2)の合計量が特定範囲に抑えられることで、(d-1)や(d-2)の析出が抑えられ、商品価値の低下や機能低下が抑えられる。
【0063】
本保護剤組成物は、(c)の(メタ)アクリレートが含まれる。また、(e)の潤滑油基油が含まれることがある。これにより、常温下で低粘度の液体となることができ、常温下での塗布で本保護剤組成物の薄膜を形成することができる。薄膜とは、数μm~10μm程度の厚みの膜をいう。薄膜のラジカル硬化性組成物は、酸素阻害を受けやすく、硬化不足となりやすい。これにより、金属腐食を防止する防食性能が低下する。本保護剤組成物によれば、薄膜にされたときにも硬化性に優れるため、薄膜にされたときにも金属腐食を防止する防食性能を維持することができる。そして、薄膜硬化性に優れることで、本保護剤組成物は複雑な構造体表面においても安定な硬化物の膜にすることができる。
【0064】
本保護剤組成物は、防食用途などに用いることができる。例えば、表面保護対象の金属部材の表面に密着させて該金属表面を覆って金属腐食を防止する防食用として用いることができる。また、防食用途としては、例えば端子付き被覆電線の防食剤などとして用いることができる。
【0065】
次に、本開示に係る端子付き被覆電線について説明する。
【0066】
本開示に係る端子付き被覆電線は、絶縁電線の導体端末に端子金具が接続されたものにおいて、本保護剤組成物の硬化物により端子金具と電線導体の電気接続部が覆われたものからなる。これにより、電気接続部での腐食が防止される。
【0067】
図1は、本開示の一実施形態に係る端子付き被覆電線の斜視図であり、図2図1におけるA-A線縦断面図である。図1図2に示すように、端子付き被覆電線1は、電線導体3が絶縁被覆(絶縁体)4により被覆された被覆電線2の電線導体3と端子金具5が電気接続部6により電気的に接続されている。
【0068】
端子金具5は、相手側端子と接続される細長い平板からなるタブ状の接続部51と、接続部51の端部に延設形成されているワイヤバレル52とインシュレーションバレル53からなる電線固定部54を有する。端子金具5は、金属製の板材をプレス加工することにより所定の形状に成形(加工)することができる。
【0069】
電気接続部6では、被覆電線2の端末の絶縁被覆4を皮剥ぎして、電線導体3を露出させ、この露出させた電線導体3が端子金具5の片面側に圧着されて、被覆電線2と端子金具5が接続される。端子金具5のワイヤバレル52を被覆電線2の電線導体3の上から加締め、電線導体3と端子金具5が電気的に接続される。又、端子金具5のインシュレーションバレル53を、被覆電線2の絶縁被覆4の上から加締める。
【0070】
端子付き被覆電線1において、一点鎖線で示した範囲が、本保護剤組成物の硬化物7により覆われる。具体的には、電線導体3の絶縁被覆4から露出する部分のうち先端より先の端子金具5の表面から、電線導体3の絶縁被覆4から露出する部分のうち後端より後の絶縁被覆4の表面までの範囲が、硬化物7により覆われる。つまり、被覆電線2の先端2a側は、電線導体3の先端から端子金具5の接続部51側に少しはみ出すように硬化物7で覆われる。端子金具5の先端5a側は、インシュレーションバレル53の端部から被覆電線2の絶縁被覆4側に少しはみ出すように硬化物7で覆われる。そして、図2に示すように、端子金具5の側面5bも硬化物7で覆われる。なお、端子金具5の裏面5cは硬化物7で覆われなくてもよいし、覆われていてもよい。硬化物7の周端は、端子金具5の表面に接触する部分と、電線導体3の表面に接触する部分と、絶縁被覆4の表面に接触する部分と、で構成される。
【0071】
こうして、端子金具5と被覆電線2の外側周囲の形状に沿って、電気接続部6が硬化物7により所定の厚さで覆われる。これにより、被覆電線2の電線導体3の露出した部分は硬化物7により完全に覆われて、外部に露出しないようになる。したがって、電気接続部6は硬化物7により完全に覆われる。硬化物7は、電線導体3、絶縁被覆4、端子金具5のいずれとも密着性に優れるので、硬化物7により、電線導体3および電気接続部6に外部から水分等が侵入して金属部分が腐食するのを防止する。また、密着性に優れるため、例えばワイヤーハーネスの製造から車両に取り付けるまでの過程において、電線が曲げられた場合にも、硬化物7の周端で硬化物7と、電線導体3、絶縁被覆4、端子金具5のいずれとの間にも隙間ができにくく、防水性や防食機能が維持される。
【0072】
硬化物7を形成する本保護剤組成物は、所定の範囲に塗布される。硬化物7を形成する本保護剤組成物の塗布は、滴下法、塗布法等の公知の手段を用いることができる。
【0073】
硬化物7は、所定の厚みで所定の範囲に形成される。その厚みは、0.1mm以下が好ましい。硬化物7が厚くなりすぎると、端子金具5をコネクタへ挿入しにくくなる。
【0074】
被覆電線2の電線導体3は、複数の素線3aが撚り合わされてなる撚線よりなる。この場合、撚線は、1種の金属素線より構成されていても良いし、2種以上の金属素線より構成されていても良い。また、撚線は、金属素線以外に、有機繊維よりなる素線などを含んでいても良い。なお、1種の金属素線より構成されるとは、撚線を構成する全ての金属素線が同じ金属材料よりなることをいい、2種以上の金属素線より構成されるとは、撚線中に互いに異なる金属材料よりなる金属素線を含んでいることをいう。撚線中には、被覆電線2を補強するための補強線(テンションメンバ)等が含まれていても良い。
【0075】
電線導体3を構成する金属素線の材料としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料などを例示することができる。また、補強線としての金属素線の材料としては、銅合金、チタン、タングステン、ステンレスなどを例示することができる。また、補強線としての有機繊維としては、ケブラーなどを挙げることができる。電線導体3を構成する金属素線としては、軽量化の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金、もしくはこれらの材料に各種めっきが施された材料が好ましい。
【0076】
絶縁被覆4の材料としては、例えば、ゴム、ポリオレフィン、PVC、熱可塑性エラストマーなどを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上混合して用いても良い。絶縁被覆4の材料中には、適宜、各種添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、難燃剤、充填剤、着色剤等を挙げることができる。
【0077】
端子金具5の材料(母材の材料)としては、一般的に用いられる黄銅の他、各種銅合金、銅などを挙げることができる。端子金具5の表面の一部(例えば接点)もしくは全体には、錫、ニッケル、金などの各種金属によりめっきが施されていても良い。
【0078】
なお、図1に示す端子付き被覆電線1では、電線導体の端末に端子金具が圧着接続されているが、圧着接続に代えて溶接などの他の公知の電気接続方法であってもよい。
【実施例
【0079】
以下、実施例により本開示を説明するが、本開示は、実施例により限定されるものではない。
【0080】
<表面保護剤組成物の調製>
(試料1)
オレイルアシッドホスフェイトのメタノール溶液に水酸化カルシウムを加え、室温で攪拌後、メタノールを留去し、次いで、イソボルニルアクリレートと、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤(IGM Resins B.V.製「Omnirad TPO H」)、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤(IGM Resins B.V.製「Omnirad369」)および潤滑油基油(鉱物系基油)を配合し、表面保護剤組成物を調製した。配合組成(質量%)は表1の通りである。
・オレイルアシッドホスフェイト:炭素-炭素二重結合を有する炭素数18の炭化水素基を有するリン化合物
・イソボルニルアクリレート:炭素数10の環状の炭化水素鎖を有するアクリレート
【0081】
(試料2~18)
表1に記載の配合組成(質量%)で、試料1と同様にして、表面保護剤組成物を調製した。試料9および試料11は、潤滑油基油を配合していない。試料4は、含金属化合物に代えてアミン化合物を用いている。
・2-エチルヘキシルアシッドホスフェイト:分岐鎖を有する炭素数8の炭化水素基を有するリン化合物
・オクチルアミン:炭素数8の脂肪族1級アミン
・ノナンジオールジアクリレート:炭素数9の直鎖の炭化水素鎖を有するジアクリレート
・ネオペンチルグリコールジアクリレート:炭素数5の分岐の炭化水素鎖を有するジアクリレート
・Omnirad 819:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤
・Omnirad 907:α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤
【0082】
(試料21)
(a)、(b-1)、(b-2)のいずれも配合しなかった以外は、試料1と同様にして、表面保護剤組成物を調製した。
【0083】
(試料22)
(c)を配合しなかった以外は、試料1と同様にして、表面保護剤組成物を調製した。
【0084】
(試料23、試料25)
(d-2)を配合しなかった以外は、試料1と同様にして、表面保護剤組成物を調製した。
【0085】
(試料24、試料26)
(d-1)を配合しなかった以外は、試料1と同様にして、表面保護剤組成物を調製した。
【0086】
(試料27)
(d-1)と(d-2)の合計量を多くした以外は、試料1と同様にして、表面保護剤組成物を調製した。
【0087】
<評価>
(薄膜硬化率の測定)
調製した各表面保護剤組成物を2cm×2cmの銅板上で♯2のバーコーターにて薄膜(膜厚4.6μm)とし、薄膜の表面にUVランプ(SEN特殊光源社製100mW/cm)で20秒間照射を行って硬化させ、直ちにポリテトラフルオロエチレン製のヘラで薄膜を全量かきとり、薄膜硬化率の測定用試料とした。フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用い、測定用試料の赤外スペクトル(4000~400cm-1)を測定し、測定用試料中に含まれるアクリレートの不飽和二重結合に基づく811cm-1の赤外吸収ピーク面積Aaと、アクリレートのエステル結合に基づく1735cm-1の赤外吸収ピーク面積Abをそれぞれ算出し、その比率Aa/Abを求めた。硬化率0%(硬化させていない)の同じ組成物について測定した比率Aa/Abおよび硬化率100%(完全硬化)の同じ組成物について測定した比率Aa100/Abを基準にし、薄膜硬化率を求めた。完全硬化したものにおいては、アクリレートの不飽和二重結合に基づく811cm-1の赤外吸収ピークは消失しており、Aa100/Ab=0となっている。この測定方法で薄膜硬化率が90%以上であると、薄膜硬化性が高いといえる。
【0088】
(腐食電流)
調製した各表面保護剤組成物に常温で1cm×5cmの短冊状銅板を一方端から2cm浸漬し、取り出した後、♯2のバーコーターにて薄膜(膜厚4.6μm)とし、薄膜の表面にUVランプ(SEN特殊光源社製100mW/cm)で30秒間照射を行って薄膜を硬化させた。これを測定用試験片とした。測定用試験片の薄膜で覆われた部分をカソード電極とし、別途準備したAl板をアノード電極とし、5%NaCl水溶液中に電極を浸し、電位差(腐食電流)を測定した。電位差が小さいほど、短冊状銅板上に薄膜が均一に存在し、かつ、短冊状銅板の表面に対する薄膜の吸着力が強いといえる。一方、電位差が大きいほど、短冊状銅板上の薄膜が不均一であるか、あるいは、短冊状銅板の表面に対する薄膜の吸着力が弱いといえる。なお、表面保護剤組成物に浸漬していない未処理の短冊状銅板をカソード電極とした場合、腐食電流値は80μAであり、これとの比較で、電流値がこの値の1/5未満であると、表面保護性(腐食防止性)の効果が高いと判断できる。
【0089】
(析出)
調製した各表面保護剤組成物を常温および冷蔵で2週間静置し、表面保護剤組成物の成分の析出があるか目視にて確認した。常温および冷蔵のいずれの条件においても成分の析出が見られなかったものを「A」、常温および冷蔵のいずれかの条件で成分の析出が見られたものを「C」とした。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
試料1~18の表面保護剤組成物は、(a)、(b-1)または(b-2)、(c)、(d-1)、(d-2)を含む。このため、金属腐食を防止する防食性能に優れるとともに、薄膜硬化性に優れる。また、(d-1)、(d-2)を特定割合で含む。このため、(d-1)、(d-2)の析出が抑えられる。
【0093】
試料21の表面保護剤組成物は、(a)、(b-1)、(b-2)のいずれも配合されていないため、UV照射後に硬化物となるものの、金属表面に吸着しておらず、腐食電流が高く、金属腐食を防止する防食性能に劣っている。試料22の表面保護剤組成物は、(c)が配合されていないため、UV照射されても硬化せず、腐食電流が高く、金属腐食を防止する防食性能に劣っている。そして、試料23、試料24、試料25、試料26の表面保護剤組成物は、(d-1)または(d-2)が配合されていない。これらは、いずれも薄膜硬化性に劣る結果となっている。また、硬化不良により、腐食電流が高く、金属腐食を防止する防食性能に劣っている。そして、試料27は、(d-1)と(d-2)の合計量が多い。このため、(d-1)、(d-2)の析出が抑えられない。
【0094】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本開示は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 端子付き被覆電線
2 被覆電線
2a 被覆電線の先端
3 電線導体
3a 素線
4 絶縁被覆(絶縁体)
5 端子金具
5a 端子金具の先端
5b 端子金具の側面
5c 端子金具の裏面
51 接続部
52 ワイヤバレル
53 インシュレーションバレル
54 電線固定部
6 電気接続部
7 硬化物
図1
図2