(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】マウス操作装置及び遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20230421BHJP
G06F 3/038 20130101ALI20230421BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20230421BHJP
G06F 3/039 20130101ALI20230421BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20230421BHJP
H04M 11/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
G06F3/038 310C
G06F3/0354 443
G06F3/039
G06F1/16 312K
H04M11/00 301
(21)【出願番号】P 2019234939
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107478
【氏名又は名称】橋本 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100117972
【氏名又は名称】河崎 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100190713
【氏名又は名称】津村 祐子
(72)【発明者】
【氏名】宮川 幸治
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-183936(JP,A)
【文献】米国特許第05528265(US,A)
【文献】特開平05-094259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G06F 3/038
G06F 3/0354
G06F 3/039
G06F 1/16
H04M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポインティングデバイスであるマウスを遠隔操作するためのマウス操作装置であって、
前記マウスを位置決めして固定する固定機構と、
前記固定機構により位置決め固定された状態で、前記マウスに組み込まれた移動検知機構を作動させる疑似移動機構と、
前記固定機構により位置決め固定された状態で、前記マウスに組み込まれたスイッチを作動させるスイッチ作動機構と、
前記疑似移動機構と前記スイッチ作動機構を駆動制御する操作制御部と、
外部装置から前記操作制御部に制御指令を入力する通信インタフェースと、
を備えているマウス操作装置。
【請求項2】
前記固定機構により位置決め固定された状態で、前記マウスに組み込まれたホイールを回転作動させる回転作動機構を備え、
前記操作制御部は前記通信インタフェースを介して前記外部装置から入力された制御指令に基づいて前記回転作動機構を制御する請求項1記載のマウス操作装置。
【請求項3】
前記疑似移動機構がボールを回転作動させることで前記移動検知機構を作動させる請求項1または2記載のマウス操作装置。
【請求項4】
演算部と入力装置と表示装置とを備え所定の機器を制御するローカルコンピュータシステムを遠隔で監視して操作する遠隔監視システムであって、
前記ローカルコンピュータシステムを遠隔監視する遠隔監視サーバと、
前記ローカルコンピュータシステムの表示装置に表示されたモニタ画像を前記遠隔監視サーバにアップロードするカメラ装置と、
前記遠隔監視サーバからの制御指令に基づいて作動する請求項
1から3の何れかに記載のマウス操作装置と、
演算部と入力装置と表示装置とを備えるとともに前記遠隔監視サーバと通信可能に接続され、前記ローカルコンピュータシステムを遠隔で操作する遠隔操作用コンピュータと、
を備えて構成され、
前記モニタ画像が前記遠隔監視サーバから前記遠隔操作用コンピュータにダウンロードされ、前記遠隔操作用コンピュータの表示装置に表示される前記モニタ画像に基づいて、遠隔操作者によって前記遠隔操作用コンピュータの入力装置に入力された制御指令が前記遠隔監視サーバにアップロードされると、
前記制御指令が前記遠隔監視サーバから前記マウス操作装置に出力されて、前記ローカルコンピュータシステムが遠隔操作される遠隔操作モードを備えている遠隔監視システム。
【請求項5】
前記マウス操作装置の前記固定機構に前記マウスが位置決め固定されると、前記遠隔操作モードが起動する請求項4記載の遠隔監視システム。
【請求項6】
前記遠隔監視サーバに、前記遠隔監視サーバから前記マウス操作装置に出力される制御指令にタイムスタンプが付された遠隔操作履歴を記憶する遠隔操作履歴記憶部を備え、前記ローカルコンピュータシステムに記録される操作履歴情報と照合可能に構成されている請求項4または5記載の遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マウス操作装置及び遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラントや処理施設ではコンピュータシステムを活用した維持管理が広く行なわれている。例えば、浄水場に備えたコンピュータシステムは、沈砂池からの取水、凝集剤注入、フロック形成、沈殿ろ過、消毒、配水などの一連の工程を実行するためのポンプや各種のアクチュエータといった所定の機器を制御するとともに、水質や水量などをモニタする各種のセンサを介してその状態を監視するため、各種の演算処理を実行する演算部と、その結果を表示する液晶表示素子などで構成される表示装置と、表示装置に表示された情報に基づいて各種の機器を制御する入力装置などを備えている。
【0003】
入力装置としてポインティングデバイスであるマウスの他にキーボードなどを備え、表示装置には浄水場の状態を表示する状態表示画像の他に、各種の機器を制御するためのアイコンなどの特定の機能を実行させる操作スイッチを表す画像が表示される。操作者は、表示装置に表示された画面を目視して施設の状態を把握し、必要に応じてマウスを介して各種のアイコンを選択操作するように構成されている。
【0004】
しかし、近年の人口減少の影響で、施設を維持管理する熟練作業者の高齢化に伴って新たな人員を補充することが困難な状況にある。また、新たな人員を確保しても施設を維持管理するための教育を個々に施すのは非常に困難な状況でもある。そのため、未熟な作業者が担当している施設で発生する様々な事象に電話等による指示に基づいて適切に対応するのは非常に困難な状況であった。
【0005】
一方、施設に設置されたコンピュータシステムは施設の管理に特化したシステムであるため、ウィンドウズのような汎用のOSに備えているようなリモートアクセス機能を実現することが困難な場合も多く、また現状はリモートアクセスが可能な新たなコンピュータシステムを開発するために多大なコストをかけることができる状況でもない(ウィンドウズは登録商標)。
【0006】
特許文献1には、システムを大幅に改変することなく、制御所の無人化を容易に実現可能とする遠隔操作システムが提案されている。当該遠隔操作システムは、遠隔の制御所内に配置される計算機のインタフェースとしての第1ディスプレイ装置とその画面を撮影可能な撮像手段と、この撮像手段の画像を表示する監視用の第2ディスプレイと、第2ディスプレイ上に映し出される第1ディスプレイの映像を見ながら、第1ディスプレイのカーソルの遠隔操作を行なうカーソル操作手段とを設けたことを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した遠隔操作システムでは、第2ディスプレイ上に映し出される第1ディスプレイの映像の座標と、実際の第1ディスプレイに表示される映像の座標との相対関係を把握したうえで、遠隔の制御所内に配置される計算機を操作するマウスに代えて変換器を用いて画面の選択操作などを行なっているため、撮像手段のパン角度やチルト角度、さらにはズーム倍率に応じてその都度相対関係を求めることが必要となる。そのために第1ディスプレイに対する撮像手段の相対的な位置関係を把握する必要があり、撮像手段のパン角度やチルト角度、さらにはズーム倍率の変化に対応するのは、非常に煩雑でコストが嵩むという問題があった。また、遠隔の制御所の其々に個別に監視用の第2ディスプレイを備えた計算機システムを構築する必要があり、任意の地から遠隔制御できるような自由度のある汎用システムでもなかった。
【0009】
本発明の目的は、上述した従来技術に鑑み、簡単な構成で自由度の高いマウス操作装置及び遠隔監視システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明によるマウス操作装置の第一の特徴構成は、ポインティングデバイスであるマウスを遠隔操作するためのマウス操作装置であって、前記マウスを位置決めして固定する固定機構と、前記固定機構により位置決め固定された状態で、前記マウスに組み込まれた移動検知機構を作動させる疑似移動機構と、前記固定機構により位置決め固定された状態で、前記マウスに組み込まれたスイッチを作動させるスイッチ作動機構と、前記疑似移動機構と前記スイッチ作動機構を駆動制御する操作制御部と、外部装置から前記操作制御部に制御指令を入力する通信インタフェースと、を備えている点にある。
【0011】
固定機構により位置決め固定されたマウスに対して、疑似移動機構を動作させることによりマウスの移動検知機構が作動して、表示画面に表示されるカーソルが移動し、スイッチ作動機構を動作させることによりマウスの左右のクリック用のスイッチが作動する。そのような疑似移動機構及びスイッチ作動機構は、通信インタフェースを介して外部装置から入力される制御指令に基づいて動作する操作制御部によって制御される。実際のマウスが制御されるため、正確に所望の操作が実現できる。
【0012】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記固定機構により位置決め固定された状態で、前記マウスに組み込まれたホイールを回転作動させる回転作動機構を備え、前記操作制御部は前記通信インタフェースを介して前記外部装置から入力された制御指令に基づいて前記回転作動機構を制御する点にある。
【0013】
固定機構により位置決め固定されたマウスに対して、回転作動機構を動作させることによりマウスのホイールが回転し、表示画面をスクロールさせることができる。
【0014】
同第三の特徴構成は、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記疑似移動機構がボールを回転作動させることで前記移動検知機構を作動させる点にある。
【0015】
固定機構により位置決め固定されたマウスに対して、疑似移動機構によりボールが回転作動されると、それに伴ってマウスの移動検知機構が作動する。
【0016】
本発明による遠隔監視システムの第一の特徴構成は、演算部と入力装置と表示装置とを備え所定の機器を制御するローカルコンピュータシステムを遠隔で監視して操作する遠隔監視システムであって、前記ローカルコンピュータシステムを遠隔監視する遠隔監視サーバと、前記ローカルコンピュータシステムの表示装置に表示されたモニタ画像を前記遠隔監視サーバにアップロードするカメラ装置と、前記遠隔監視サーバからの制御指令に基づいて作動する上述した第一から第三の何れかの特徴構成を備えたマウス操作装置と、演算部と入力装置と表示装置とを備えるとともに前記遠隔監視サーバと通信可能に接続され、前記ローカルコンピュータシステムを遠隔で操作する遠隔操作用コンピュータと、を備えて構成され、前記モニタ画像が前記遠隔監視サーバから前記遠隔操作用コンピュータにダウンロードされ、前記遠隔操作用コンピュータの表示装置に表示される前記モニタ画像に基づいて、遠隔操作者によって前記遠隔操作用コンピュータの入力装置に入力された制御指令が前記遠隔監視サーバにアップロードされると、前記制御指令が前記遠隔監視サーバから前記マウス操作装置に出力されて、前記ローカルコンピュータシステムが遠隔操作される遠隔操作モードを備えている点にある。
【0017】
遠隔操作用コンピュータの表示装置に表示されるローカルコンピュータシステムのモニタ画像に基づいて、遠隔操作者が遠隔操作用コンピュータの入力装置に制御指令を入力すると、当該制御指令が遠隔監視サーバからマウス操作装置に出力されて、ローカルコンピュータシステムが遠隔操作される。遠隔操作用コンピュータの設置場所を問わずに何れのロケーションであってもローカルコンピュータシステムを遠隔操作できるようになる。
【0018】
同第二の特徴構成は、上述の第一の特徴構成に加えて、前記マウス操作装置の前記固定機構に前記マウスが位置決め固定されると、前記遠隔操作モードが起動する点にある。
【0019】
ローカルコンピュータシステムに備えたマウスが固定機構に位置決め固定されることにより遠隔操作モードが起動するので、ローカルコンピュータシステムを現場で制御するのか、遠隔制御するのかを切替操作する必要が無くなり、切替忘れといった人為的ミスを事前防止できる。
【0020】
同第三の特徴構成は、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記遠隔監視サーバに、前記遠隔監視サーバから前記マウス操作装置に出力される制御指令にタイムスタンプが付された遠隔操作履歴を記憶する遠隔操作履歴記憶部を備え、前記ローカルコンピュータシステムに記録される操作履歴情報と照合可能に構成されている点にある。
【0021】
遠隔制御されたときの操作履歴情報とローカルコンピュータシステムに記録される操作履歴情報とが照合可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明した通り、本発明によれば、簡単な構成で自由度の高いマウス操作装置及び遠隔監視システムを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】(a)はマウス操作装置を俯瞰した説明図、(b)はマウス操作装置の切欠き側面図、(c)はマウス操作装置の切欠き平面図
【
図2】(a)はマウス操作装置に備えたスイッチ作動機構及び回転作動機構を説明する切欠き平面図、(b),(c)はマウス操作装置に備えたスイッチ作動機構及び疑似移動機構を説明する切欠き側面図
【
図3】(a)から(c)は疑似移動機構の説明図、(d)はマウス操作装置に対する操作アイコンの説明図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明によるマウス操作装置及び遠隔監視システムを説明する。
図1、
図2及び
図3にはマウスM及びマウス操作装置1が示されている。
【0025】
マウスMはコンピュータに対するポインティングデバイスの一つとして用いられる入力装置であり、マウスケースの下面に移動検知機構を構成するトラックボールM1を備え、マウスケースの上面にホイールM2、左右の押圧操作部M3,M4などを備えている。マウスケースの内部にはトラックボールM1に連動して直交する二方向の回転を検知するエンコーダと、ホイールM2の回転を検知するエンコーダと、左右の押圧操作部M3,M4に伴って作動する左右のスイッチと、信号処理部などを備えている。
【0026】
信号処理部は各エンコーダ及びスイッチの状態に基づいてマウスMの操作情報を生成する電子回路であり、生成した操作情報をコンピュータに伝達する通信インタフェースを備えている。コンピュータに接続された表示装置の画面にマウスの位置を示すマウスポインタが表示され、トラックボールM1の動きに連動してマウスポインタが移動する。また、左の押圧操作部M3を押圧操作してスイッチが作動すると左クリック、右の押圧操作部M4を押圧操作してスイッチが作動すると右クリックとなり、ホイールを回転走査するエンコーダが作動して回転速度に応じて画面がスクロールする。画面に表示されたアイコンをマウスMでクリックすることにより、各アイコンに割り付けた処理が実行される。
【0027】
マウス操作装置1は、ポインティングデバイスであるマウスMを遠隔操作するための装置である。マウス操作装置1は、マウスMを収容する略直方体形状の容器2と、容器2に備えた複数のアクチュエータ3a,3b,3c,3dを備えている。
【0028】
容器2には、内部空間を上下に仕切る仕切り板21が設けられ、仕切り板21の上部空間がマウスMの収容空間となる。上部空間にはマウスMを位置決めして固定する固定機構22として機能する複数の弾性部材が容器2の内壁に固定されている。固定機構22でマウスMが固定された状態で、仕切り板21に形成された開口21hにマウスMのトラックボールM1が位置するように位置決めされる。弾性部材としてモルトプレーンや合成ゴム製の板状部材が用いられる。
【0029】
アクチュエータ3aが、固定機構22により位置決め固定された状態で、マウスMに組み込まれた移動検知機構であるトラックボールM1を作動させる疑似移動機構となる。
【0030】
図3(a)に示すように、アクチュエータ3aは、回転自在に支持された球体であるボール30と、ボール30を二次元平面上で互いに直交するX軸およびY軸方向に回転駆動する駆動機構31,32を備えている。駆動機構31,32はエンコーダ内蔵モータ31a,32aと当該モータ31a,32aの出力軸に取付けられ、周面がボール30と接触するように配置された円柱状の摩擦伝動体31b,32bを備えている。
【0031】
図3(b)に示すように、摩擦伝動体31bがX軸周りに回転すると、ボール30がX軸と平行な軸芯周りに回転し、
図3(c)に示すように、摩擦伝動体32bがY軸周りに回転すると、ボール30がY軸と平行な軸芯周りに回転する。ボール30が回転すると、ボール30に摩擦接触しているマウスMのトラックボールM1が連動して回転する。
【0032】
アクチュエータ3c,3dが、固定機構22により位置決め固定された状態で、マウスMの左右の押圧操作部M3,M4に連動し、マウスMに組み込まれたスイッチを作動させるスイッチ作動機構となる。また、アクチュエータ3bが、マウスMに組み込まれたホイールM2を作動させる回転作動機構となる。
【0033】
図2(a)に示すように、アクチュエータ3bは、エンコーダ内蔵モータ33aと当該モータ33aの出力軸に取付けられ、周面がホイールM2と接触するように配置された円柱状の摩擦伝動体33bで構成され、モータ33aが回転することにより摩擦伝動体33bを介してホイールM2が回転する。
【0034】
アクチュエータ3c,3dは、エンコーダ内蔵モータ34aと当該モータ34aの出力軸に取付けられ、周面が押圧操作部M3,M4の近傍に位置するカム板34bで構成され、モータ34aが回転することにより回転するカム板34bにより押圧操作部M3,M4が押圧操作されてスイッチが作動する。カム板34bが1回転すると1クリック、カム板34bが2回転するとダブルクリックとなる。
【0035】
さらに、仕切り板21の下部空間には、上述した疑似移動機構がスイッチ作動機構を駆動制御する操作制御部35と、外部装置から操作制御部35に制御指令を入力する通信インタフェース36とを備えている。
【0036】
固定機構22により位置決め固定されたマウスMに対して、疑似移動機構(アクチュエータ3a)を動作させることによりマウスMの移動検知機構が作動して、コンピュータに接続された表示装置の画面に表示されるマウスカーソルが移動し、スイッチ作動機構を動作させることによりマウスMの左右のクリック用のスイッチが作動する。そのような疑似移動機構及びスイッチ作動機構は、通信インタフェース36を介して外部装置から入力される制御指令に基づいて動作する操作制御部35によって制御される。実際のマウスMが制御されるため、正確に所望の操作が実現できる。
【0037】
図4には、上述したマウス操作装置1が組み込まれた遠隔監視システムが示されている。遠隔監視システム10は、ローカルコンピュータシステムLCSと、遠隔監視サーバ40と、遠隔操作用コンピュータ50とを備えている。
【0038】
当該遠隔監視システム10は、例えば浄水場に設置され、浄水用の設備機器を制御するローカルコンピュータシステムLCSを遠隔で監視して操作する遠隔監視システムである。当該ローカルコンピュータシステムLCSは、CPUボードを備えた演算部11と、液晶表示装置13と、入力装置12が設けられ、入力装置12としてマウスMとキーボードを備えている。そして、マウスMは上述したマウス操作装置1に収容されている。
【0039】
ローカルコンピュータシステムLCSには、さらに表示装置13に表示されたモニタ画像を撮像するカメラ装置14と、上述のマウス操作装置1に操作指令を出力する制御装置15と、カメラ装置14の映像を、インターネットを介して遠隔監視サーバ40に送信するとともに、遠隔操作用コンピュータ50からの操作指令を受信して制御装置15に出力する通信インタフェース16を備えている。通信インタフェース16としてWi-Fiなどの無線通信インタフェースが好適に用いられる。
【0040】
遠隔監視サーバ40は、ローカルコンピュータシステムLCSを遠隔監視するクラウド型のサーバで、カメラ装置14により撮影されたローカルコンピュータシステムLCSの表示装置13に表示されたモニタ画像が通信インタフェース16を介してアップロードされる。
【0041】
遠隔操作用コンピュータ50は、表示装置51とマウス52などの入力装置を備えている。遠隔操作用コンピュータ50は、遠隔監視サーバ40とインターネットを介して接続され、遠隔監視サーバ40からダウンロードされたモニタ画像が遠隔操作用コンピュータ50の表示装置に表示される。
【0042】
遠隔操作者は、遠隔操作用コンピュータ50の表示装置51に表示されたモニタ画像を目視して、遠隔操作用コンピュータ50のマウス52を操作することにより、ローカルコンピュータシステムLCSのマウス操作装置1を遠隔制御することが可能になるように構成されている。
【0043】
遠隔監視サーバ40には、複数の施設に設置されたローカルコンピュータシステムLCSの其々からモニタ画像がアップロードされ、遠隔監視サーバ40に接続された複数の遠隔操作用コンピュータ50から必要なモニタ画像をダウンロードして監視可能に構成されている。遠隔監視サーバ40に遠隔操作用コンピュータ50を接続する際には、IDやパスワードなどの使用者情報を入力してログインする必要があり、各使用者と、各使用者が操作するローカルコンピュータシステムLCSとの関連付け情報が操作ログ情報として遠隔監視サーバ40に記録される。
【0044】
遠隔操作用コンピュータ50の表示装置51には、ローカルコンピュータシステムLCSの表示装置13に表示されたモニタ画像に加えて、マウス操作用の案内画像60が同時に表示され、当該案内画像60をマウス操作することにより、ローカルコンピュータシステムLCSに備えたマウス操作装置1に対する操作指令が生成される。なお、遠隔操作用コンピュータ50として、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ以外にタブレット型コンピュータやスマートフォンのような携帯型情報端末を用いることもできる。
【0045】
図3(d)には、案内画像60が示されている。上下左右の「実線矢印」と「二重線矢印」に加えて「左」「右」「ダブル」といったアイコン画像が表示されている。「実線矢印」または「二重線矢印」をクリックすることにより、マウス操作装置1に位置決め固定されたマウスMのトラックボールがアクチュエータ3aを介して回転駆動され、矢印方向にマウスカーソルが移動する。その結果がモニタ画像に反映される。「実線矢印」または「二重線矢印」の違いはマウスMのカーソル移動ピッチの違いにあり、「実線矢印」のクリックによるマウスMのカーソル移動ピッチより「二重線矢印」のクリックによるマウスMのカーソル移動ピッチが大きくなるように設定されている。
【0046】
「左」をクリックすると左クリックに対応する操作指令が生成されてマウス操作装置1に送信され、「右」をクリックすると右クリックに対応する操作指令が生成されてマウス操作装置1に送信され、「ダブル」をクリックするとダブルクリックに対応する操作指令が生成されてマウス操作装置1に送信される。
図3(d)の「設定」アイコンは、「実線矢印」または「二重線矢印」のクリックに対するマウスの移動ピッチを設定するためのアイコンで、「設定」を押すとピッチの設定画面が表示され、ピッチを数値入力した後に「実線矢印」または「二重線矢印」をクリックすることによりクリックされた「実線矢印」または「二重線矢印」の移動ピッチが更新される。
【0047】
案内画像60の右上にはホイールM2に対する回転方向を示すアイコン画像が示されている。下段の矢印をクリックすると、ホイールM2が手前側に所定角度回転し、それに伴って画面が上方に僅かにスクロールする。上段の矢印をクリックすると、ホイールM2が前方に所定角度回転し、それに伴って画面が下方に僅かにスクロールする。下段の矢印をドラッグすると、その間は所定速度でホイールM2が手前側に回転し、それに伴って画面が上方に連続的にスクロールする。上段の矢印をドラッグすると、その間は所定速度でホイールM2が前方に回転し、それに伴って画面が下方に連続的にスクロールする。
【0048】
なお、マウス操作装置1に対する操作指令は、遠隔監視サーバ40を介してローカルコンピュータシステムLCSのマウス操作装置1に送信されるように構成され、各操作履歴がタイムスタンプとともに遠隔監視サーバ40の記憶装置に記憶される。
【0049】
上述したローカルコンピュータシステムLCSは本来そのシステムが設置された施設の操作者により操作されるものであるが、ローカルコンピュータシステムLCSの操作モードを遠隔操作モードに切り替えることにより、上述した遠隔操作モードに切り替わる。
【0050】
上述したマウス操作装置1の固定機構22にマウスMが位置決め固定されたことを検知するスイッチを備え、当該スイッチが作動すると、遠隔操作モードに切り替わって遠隔操作モードが起動するよう構成することが好ましい。
【0051】
ローカルコンピュータシステムに備えたマウスが固定機構に位置決め固定されることにより遠隔操作モードが起動するので、ローカルコンピュータシステムを現場で制御するのか、遠隔制御するのかを意図的に切替操作する必要が無くなり、切替忘れといった人為的ミスを事前防止できる。
【0052】
また、遠隔監視サーバ40に、遠隔監視サーバ40からマウス操作装置1に出力される制御指令にタイムスタンプが付された遠隔操作履歴を記憶する遠隔操作履歴記憶部を備えていれば、ローカルコンピュータシステムLCSに記録される操作履歴情報と照合可能になり、様々な事後的検証が可能になる。右クリックで実行操作を行なった際には、同時に画面キャプチャで画像を記録させておくと、実際に実行した操作を視覚的に照合することができ、好ましい。
【0053】
上述した実施形態では、マウスに備えた移動検知機構がトラックボールM1を備えて構成されたものを説明したが、移動検知機構はボール式に限らず、光学式、レーザー式、ブルーLED式、IRセンサ式などの他の方式を採用するものであってもよい。この場合、光源からボール30表面に照射される検出光がボール30の表面からマウスに向けて反射することによりボール30の回転が検出されるようになる。
【0054】
上述した実施形態は何れも本発明の一例であり、該記載により本発明の技術的範囲が限定されるものではなく、本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0055】
1:マウス操作装置
2:容器
3a:疑似移動機構(アクチュエータ)
3b:回転作動機構(アクチュエータ)
3c,3d:スイッチ作動機構(アクチュエータ)
22:固定機構
10:遠隔監視システム
35:操作制御部
36:通信インタフェース
40:遠隔監視サーバ
50:遠隔操作用コンピュータ
60:案内画像
M:マウス
M1:トラックボール
M2:ホイール
M3,M4:押圧操作部