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特許7266519時間分解蛍光分光法のためのシステム、デバイス、および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】時間分解蛍光分光法のためのシステム、デバイス、および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20230421BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20230421BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20230421BHJP
   A61B 18/02 20060101ALI20230421BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20230421BHJP
   A61B 18/22 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G01N21/64 B
A61B10/00 E
A61B18/14
A61B18/02
A61B17/32 510
A61B18/22
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019502534
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2017025451
(87)【国際公開番号】W WO2017173315
(87)【国際公開日】2017-10-05
【審査請求日】2020-03-30
(31)【優先権主張番号】62/317,443
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,459
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,456
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/351,615
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,452
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,449
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,460
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,453
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,455
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/317,451
(32)【優先日】2016-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518346258
【氏名又は名称】ブラック ライト サージカル, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】398062149
【氏名又は名称】セダーズ-シナイ メディカル センター
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ビュート, ピラモド
(72)【発明者】
【氏名】ブラック, キース
(72)【発明者】
【氏名】カバノー, ジャック
(72)【発明者】
【氏名】ボルトニック, バルトシュ
(72)【発明者】
【氏名】ニエ, ジャオジュン
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-062348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0016533(US,A1)
【文献】特開平07-222712(JP,A)
【文献】特開2013-027392(JP,A)
【文献】特開2011-196852(JP,A)
【文献】特表平09-503866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0069720(US,A1)
【文献】米国特許第05749830(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0029213(US,A1)
【文献】国際公開第2001/094528(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/62 - G01N 21/74
A61B 1/00 - A61B 1/32
A61B 10/00
G02B 19/00 - G02B 21/00
G02B 21/06 - G02B 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の分類または特徴付けのためのシステムであって、
試料に応答の光信号を生成させるために、前記試料を、所定の波長の少なくとも1つの光パルスを用いて照射するための手段と、
前記試料から前記応答の光信号を収集するための手段と、
複数のスペクトルフィルタを備えているフィルタホイールを用いて前記応答の光信号を所定の波長範囲で分割し、前記複数のスペクトルフィルタに対応する複数の時間的に異なるスペクトル帯を取得するための手段であって、ここで前記複数の時間的に分割されたスペクトル帯が、単一ピクセル収集要素によって収集される手段と、
時間分解された蛍光分光を使用して、前記複数の時間的に異なるスペクトル帯に基づいて前記試料をリアルタイムで特徴付けるための手段と
を備え、時間的に異なるスペクトル帯の各々についての蛍光減衰データが、前記試料を特徴付けるために使用されることを特徴とする、システム。
【請求項2】
前記時間的に異なるスペクトル帯のそれぞれが、互いに対して時間遅延を与えられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記応答の光信号が、蛍光スペクトルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記単一ピクセル収集要素が光電子増倍管を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記試料の特徴付けが、前記複数の時間的に異なるスペクトル帯に基づいて前記試料中の分子の濃度または分布の1つまたは複数を決定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記分子が、外因性の蛍光分子または内因性の蛍光分子を含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記試料が、約100ミリ秒またはそれ未満にリアルタイムで特徴付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記スペクトルフィルタの1つまたは複数を使用して、前記時間的に異なるスペクトル帯の1つまたは複数に識別子を符号化するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記試料の所定の部分にわたって前記少なくとも1つの光パルスを走査するための手段をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記試料からの前記応答の光信号の収集が、前記応答の光信号を、0.22またはそれ超の開口数を有する1つまたは複数の光学構成要素を備える光学アセンブリを通過させることを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記光学アセンブリが、光を伝える前記光学アセンブリの位置で、0.22の開口数(NA)を有する直径200μmの12本の光ファイバを備える、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,443号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,449号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,451号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,452号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,453号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,455号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,456号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,459号、2016年4月1日に出願された米国仮出願番号第62/317,460号、および2016年6月17日に出願された米国仮出願番号第62/351,615号の利益を主張しており、これら仮出願は、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
レーザ誘起蛍光分光法(LIFS)は、有機試料の化学的組成または生化学的組成に関する質的情報と量的情報の両方を明らかにする能力を有する。LIFSは、生物システムに関するin vivoの情報を非侵襲的にもたらすために、診断化学および医療の分野において適用されてきた。LIFSは、有機物の蛍光体を選択的かつ効率的に励起することができ、蛍光の選択性および検知性を大幅に改善することができるという点で、他のいくつかの光学的技術に対して利点を有する。LIFSのさらなる利点は、波長の堅固さ、狭い帯域幅励起、指向性、および短パルス励起を含む。生体試料のLIFS検知および分類のための初期の方法は、レーザ光源を用いた励起の後に試料から収集された光の、蛍光強度、スペクトル分布、および偏光の分析に基づくものであった。しかしながら、少なくともいくつかの事例では、そのような検知方法には、類似した発光スペクトルを有する蛍光体を識別することができない可能性、および時間的分解能が十分でない可能性がある。時間分解されたLIFS(TR-LIFS)技術は、生体試料をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで分析して特徴付ける能力を付加することによる早期のLIFS方法の特徴付けの能力に基礎を置くものである。TR-LIFSは、試料発光のリアルタイム発生を直接記録することを可能にするために、(ナノ秒台の)短パルスレーザ技術および(ピコ秒台の)超短パルスレーザ技術ならびに高速電子回路を利用する。
【0003】
TR-LIFSの方法は、試料を特徴付けるために、励起された生体試料の蛍光寿命または蛍光減衰を監視するステップを包含し得る。光の放射プロセスが光パルスによる励起の後に非常に急速に生じる(蛍光減衰はナノ秒台である)ため、時間分解測定は、試料の分子種およびタンパク質構造に関する情報をもたらし得る。多くの分子が類似した励起スペクトルおよび発光スペクトルを有し得、類似した蛍光強度を有し得るが、減衰プロファイルは、分子の構造に依拠して別個または固有のものであり得る。したがって、TR-LIFSによる蛍光減衰の分析は、従来のLIFSでは分離できない分子を識別し得るものである。TR-LIFS技術は、試料における、励起に続く、「早期の」プロセス(代表的には短命の状態の直接励起または非常に急速な後続反応)と、「遅い」プロセス(代表的には、持続性の電子集団または本来の直接励起に続く反応による、遅延励起の長命の状態からのもの)を識別するのにも適合され得る。
【0004】
蛍光減衰データは、複雑な試料を分析するためのスペクトル情報(たとえば蛍光強度)によって補足され得る。蛍光減衰データと蛍光強度データの両方を記録するのに使用されている技術は、広帯域の試料発光信号から1つずつ波長を選択して、フィルタリングされた信号を検知用の光検知器に向けるのに、走査モノクロメータを使用するものである。しかしながら、発光信号から別の波長を分解するためには、信号を再放射するために試料を再び励起しなければならず、走査モノクロメータを新規の波長に再調整しなければならない。そのような反復測定は、特にユーザが試料の発光信号を複数のスペクトル成分に分解することを望む場合には、波長間のスイッチングがリアルタイム測定を生成する際の律速因子になり得るので、かなり時間がかかる可能性がある。したがって、生体試料を特徴付けるために、(ほぼ)リアルタイムで時間分解され、かつ波長分解される分析を提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
本明細書で説明される主題は、一般に生体試料の特徴付けに関し、詳細には、時間分解された蛍光分光の方法、システム、およびデバイスに関するものである。
【0006】
第1の態様では、生体試料を分類または特徴付けるためのデバイスが提供される。このデバイスは、遠位部分と、近位部分と、近位部分に配設されて光源に結合された励起信号伝送要素と、近位部分に配設された少なくとも1つの信号収集要素と、遠位部分に配設された遠位信号伝送要素と、光学アセンブリとを備え得る。遠位部分は、近位部分から取外し可能であり得る。光源は、生体試料に応答の光信号を生成させるように構成された所定の波長の光パルスを発生するように構成され得る。励起信号伝送要素は、光パルスを通して伝えるように構成され得る。遠位部分と近位部分が互いに結合されるとき、遠位の信号伝送要素は、励起信号伝送要素および信号収集要素に結合されてよい。光学アセンブリは、少なくとも1つの信号収集要素および光学的遅延要素に対して光学的に結合されてよい。遠位の信号伝送要素は、光パルスを励起信号伝送要素から生体試料へ導くように構成され得る。遠位の信号伝送要素は、生体試料から応答の光信号を収集して、応答の光信号を少なくとも1つの信号収集要素へ導くように構成され得る。光学アセンブリは、応答の光信号を所定の波長範囲で分割して複数のスペクトル帯を取得するように構成され得る。生体試料は、スペクトル帯に応答して特徴付けられ得る。
【0007】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは光遅延要素およびデマルチプレクサを備える。デマルチプレクサは、応答の光信号をスペクトル帯に分割するように構成された波長分割ファイバを備え得る。光遅延要素は、スペクトル帯に対して1つまたは複数の時間遅延をもたらすように構成され得る。生体試料は、スペクトル帯に対して光遅延要素によってもたらされた1つまたは複数の遅延に応答して特徴付けられ得る。たとえば、1つまたは複数の時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。
【0008】
波長分割フィルタは、中性濃度フィルタ、帯域通過フィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、ダイクロイックフィルタ、ノッチフィルタ、ミラー、吸収フィルタ、赤外フィルタ、紫外フィルタ、単色フィルタ、ダイクロイックミラー、またはプリズムのうち1つまたは複数を備え得る。
【0009】
光遅延要素は、少なくとも第1の光ファイバおよび第2の光ファイバを備えてよく、第1の光ファイバは第2の光ファイバよりも長い。第1の光ファイバは、第2の光ファイバよりも、たとえば30フィート、35フィート、40フィート、45フィート、50フィート、100フィート、150フィート、200フィート、または250フィート長くてよい。第1の光ファイバは第1の複数の光ファイバを備えてよく、第2の光ファイバは第2の複数の光ファイバを備えてよく、第1の複数の光ファイバおよび第2の複数の光ファイバの各々のファイバは異なる長さである。
【0010】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは、複数のスペクトルフィルタが備わっているフィルタホイールを備える。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。フィルタホイールは複数のエンコーダを備えてよく、それぞれのスペクトルフィルタは少なくとも1つのエンコーダに関連付けられている。フィルタホイールは、回転するフィルタホイールを備える。光学アセンブリは、応答の光信号をフィルタホイールの少なくとも1つのスペクトルフィルタに対して選択的に合焦するための反照検流計をさらに備え得る。
【0011】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。
【0012】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、紫外スペクトル、可視スペクトル、近赤外スペクトル、または赤外スペクトルにあり得る。
【0013】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、励起信号伝送要素は、光ファイバ、複数の光ファイバ、ファイバ束、レンズシステム、ラスタ走査機構、またはダイクロイックミラーデバイスのうち1つまたは複数を備え得る。
【0014】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、信号収集要素は、光ファイバ、複数の光ファイバ、ファイバ束、減衰器、可変電圧ゲート減衰器、レンズシステム、ラスタ走査機構、ビームスプリッタ、またはダイクロイックミラーデバイスのうち1つまたは複数を備え得る。
【0015】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0016】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光源は、パルスレーザ、連続波レーザ、変調レーザ、可変波長レーザ、またはLEDを備え得る。
【0017】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスはレーザパルスを含み得る。
【0018】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0019】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0020】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0021】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0022】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位部分は、使い捨てであって交換可能でよい。
【0023】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位の信号伝送要素は、励起信号伝送要素からの光パルスを生体試料へ導くための中央のファイバと、生体試料からの応答の光信号を収集するための少なくとも1つの周辺のファイバとを備える。遠位の信号伝送要素は、中央のファイバと周辺のファイバの間の空間の汚染を低減するためのサファイア窓などの前向きの窓を備え得る。少なくとも1つの周辺のファイバは、複数の収集ファイバ束など複数のファイバを備え得る。光学アセンブリは複数のファイバを備えてよく、複数のファイバは、応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割するための1つまたは複数のフィルタを備える。
【0024】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位部分は手持ち式のプローブを備える。遠位部分は吸込みカニューレを備え得る。遠位部分は、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えて標的組織をアブレーションするように構成され得るアブレーション要素を備えてよい。アブレーション要素は、レーザまたは光エネルギーを与えて標的組織をアブレーションするように構成されてよく、遠位の信号伝送要素を備え得る。すなわち、アブレーションレーザまたは光エネルギーは、励起信号として、同一の伝送要素を介して与えられ得る。
【0025】
別の態様では、生体試料を分類または特徴付けるためのプローブシステムが提供される。プローブシステムは、遠位部分と、遠位部分に対して取外し可能に結合された近位部分と、光励起信号を伝えるように構成されて近位部分に配設された近位の伝送要素と、遠位部分に配設されて近位の伝送要素に結合された遠位の伝送要素と、近位部分に配設されて遠位の伝送要素に結合された信号収集要素と、光学アセンブリとを備え得る。遠位の伝送要素は、近位の伝送要素から光励起信号を受け取って、光励起信号を生体試料に伝えるように構成され得る。生体試料は、光励起信号に応答して応答の光信号を発生し得る。応答の光信号は、遠位の伝送要素によって受け取られてよい。信号収集要素は、遠位の伝送要素から応答の光信号を受け取るように構成され得る。光学アセンブリは、信号収集要素から応答の光信号を受け取って、応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割するように構成され得る。生体試料は、スペクトル帯に応答して特徴付けられ得る。
【0026】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは光遅延要素およびデマルチプレクサを備える。デマルチプレクサは、応答の光信号をスペクトル帯に分割するように構成された波長分割ファイバを備え得る。光遅延要素は、スペクトル帯に対して1つまたは複数の時間遅延をもたらすように構成され得る。生体試料は、スペクトル帯に対して光遅延要素によってもたらされた1つまたは複数の遅延に応答して特徴付けられ得る。時間遅延要素は、長さの異なる2つまたはそれより多くの光ファイバを備え得る。2つまたはそれより多くの光ファイバは、第1の光ファイバおよび第2の光ファイバを備え得る。第1の光ファイバは、第2の光ファイバよりも、30フィート、35フィート、40フィート、45フィート、50フィート、100フィート、150フィート、200フィート、または250フィート長くてよい。少なくとも1つの時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。
【0027】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは、複数のスペクトルフィルタが備わっているフィルタホイールを備える。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。フィルタホイールは複数のエンコーダを備えてよく、それぞれのスペクトルフィルタは少なくとも1つのエンコーダに関連付けられてよい。フィルタホイールは、回転するフィルタホイールを備え得る。光学アセンブリは、応答の光信号をフィルタホイールの少なくとも1つのスペクトルフィルタに対して選択的に合焦するための反照検流計をさらに備え得る。
【0028】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。
【0029】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位の伝送要素は、光ファイバ、屈折率分布型レンズ、ボールレンズ、ダイクロイックフィルタ、ミラー、または吸収フィルタのうち1つまたは複数を備え得る。
【0030】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0031】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0032】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0033】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0034】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0035】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位の信号伝送要素は、励起信号伝送要素からの光パルスを生体試料へ導くための中央のファイバと、生体試料からの応答の光信号を収集するための少なくとも1つの周辺のファイバとを備える。遠位の信号伝送要素は、中央のファイバと周辺のファイバの間の空間の汚染を低減するためのサファイア窓などの前向きの窓を備え得る。少なくとも1つの周辺のファイバが、複数のファイバを備え得る。複数のファイバは、複数の収集ファイバ束を備え得る。光学アセンブリは複数のファイバを備えてよく、複数のファイバは、応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割するための1つまたは複数のフィルタを備え得る。
【0036】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位部分は、使い捨てであって交換可能である。遠位部分は手持ち式プローブを備え得る。遠位部分は吸込みカニューレを備え得る。遠位部分は、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えて標的組織をアブレーションするように構成され得るアブレーション要素を備えてよい。アブレーション要素は、レーザまたは光エネルギーを与えて標的組織をアブレーションするように構成されてよく、遠位の信号伝送要素を備え得る。すなわち、アブレーションレーザまたは光エネルギーは、励起信号として、同一の伝送要素を介して与えられ得る。
【0037】
別の態様では、生体試料を分類または特徴付けるためのプローブが提供される。プローブは、遠位部分と、遠位部分に配設された遠位の伝送要素とを備え得る。遠位部分は、近位部分に対して取外し可能に結合され得る。近位部分は、光励起信号を伝えるように構成されて近位部分に配設された近位の伝送要素を備え得る。近位の伝送要素に対して遠位の伝送要素が結合され得る。遠位の伝送要素は、近位の伝送要素から光励起信号を受け取って、光励起信号を生体試料に伝えるように構成され得る。生体試料は、光励起信号に応答して応答の光信号を発生し得る。応答の光信号は、遠位の伝送要素によって受け取られてよい。近位部分に配設された信号収集要素は、遠位の伝送要素に結合されてよく、遠位の伝送要素から応答の光信号を受け取り得る。光学アセンブリは、信号収集要素から応答の光信号を受け取ってよく、応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割し得る。生体試料は、スペクトル帯に応答して特徴付けられ得る。
【0038】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは光遅延要素およびデマルチプレクサを備える。デマルチプレクサは、応答の光信号をスペクトル帯に分割するように構成された波長分割ファイバを備え得る。光遅延要素は、スペクトル帯に対して1つまたは複数の時間遅延をもたらすように構成され得る。生体試料は、スペクトル帯に対して光遅延要素によってもたらされた1つまたは複数の遅延に応答して特徴付けられ得る。時間遅延要素は、長さの異なる2つまたはそれより多くの光ファイバを備え得る。2つまたはそれより多くの光ファイバは、第1の光ファイバおよび第2の光ファイバを備えてよく、第1の光ファイバは、第2の光ファイバよりも、30フィート、35フィート、40フィート、45フィート、50フィート、100フィート、150フィート、200フィート、または250フィート長くてよい。少なくとも1つの時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。
【0039】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは、複数のスペクトルフィルタが備わっているフィルタホイールを備える。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。フィルタホイールは複数のエンコーダを備えてよく、それぞれのスペクトルフィルタは少なくとも1つのエンコーダに関連付けられている。フィルタホイールは、回転するフィルタホイールを備え得る。光学アセンブリは、応答の光信号をフィルタホイールの少なくとも1つのスペクトルフィルタに対して選択的に合焦するための反照検流計をさらに備え得る。
【0040】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。
【0041】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位の伝送要素は、光ファイバ、屈折率分布型レンズ、ボールレンズ、ダイクロイックフィルタ、ミラー、または吸収フィルタのうち1つまたは複数を備え得る。
【0042】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、近位部分または遠位部分のうち1つまたは複数が、近位の伝送要素および信号収集要素に対して遠位の伝送要素を結合する結合要素を備え得る。
【0043】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0044】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0045】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0046】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0047】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0048】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位の伝送要素は、近位の伝送要素からの光パルスを生体試料へ導くための中央のファイバと、生体試料からの応答の光信号を収集するための少なくとも1つの周辺のファイバとを備える。遠位の伝送要素は、中央のファイバと周辺のファイバの間の空間の汚染を低減するためのサファイア窓などの前向きの窓を備え得る。少なくとも1つの周辺のファイバが、複数のファイバを備え得る。複数のファイバは、複数の収集ファイバ束を備え得る。光学アセンブリは複数のファイバを備えてよく、複数のファイバは、応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割するための1つまたは複数のフィルタを備え得る。
【0049】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、遠位部分は手持ち式に構成されている。遠位部分は吸込みカニューレを備え得る。遠位部分は使い捨てでよい。遠位部分は、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えて標的組織をアブレーションするように構成され得るアブレーション要素を備えてよい。アブレーション要素は、レーザまたは光エネルギーを与えて標的組織をアブレーションするように構成されてよく、遠位の信号伝送要素を備え得る。すなわち、アブレーションレーザまたは光エネルギーは、励起信号として、同一の伝送要素を介して与えられ得る。
【0050】
別の態様では、生体試料を分類または特徴付けるためのシステムが提供される。このシステムは、励起信号伝送要素と、生体試料に応答の光信号を生成させるように構成された所定の波長の光パルスを発生するように構成されて励起信号伝送要素に結合された光源と、少なくとも1つの信号収集要素と、少なくとも1つの収集要素に結合された光学アセンブリとを備え得る。光パルスは、励起信号伝送要素によって光源から生体試料へ伝えられ得る。応答の光信号は、第1のスペクトルと第2のスペクトルとを含み得、第1のスペクトルは蛍光スペクトルを含む。少なくとも1つの信号収集要素は、生体試料からの応答の光信号を収集するように適合されてよい。光学アセンブリは、少なくとも1つの信号収集要素からの応答の光信号を受け取るように構成され得る。光学アセンブリは、応答の光信号の第1のスペクトルを所定の波長で分割してスペクトル帯を取得するように構成され得る。生体試料は、スペクトル帯および第2のスペクトルに応答して特徴付けられ得る。
【0051】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは光遅延要素およびデマルチプレクサを備える。デマルチプレクサは、応答の光信号の第1のスペクトルをスペクトル帯の第1の組に分割するように構成された波長分割ファイバを備え得る。光遅延要素は、スペクトル帯の第1の組に対して1つまたは複数の時間遅延をもたらすように構成され得る。デマルチプレクサは、第2のスペクトルを分割してスペクトル帯の第2の組を取得してよく、生体試料は、スペクトル帯の時間遅延を与えられた第1の組およびスペクトル帯の第2の組に応答して特徴付けられる。
【0052】
いくつかの実施形態では、光学アセンブリは第2のデマルチプレクサを備え得る。第2のデマルチプレクサは、第2のスペクトルを分割してスペクトル帯の第2の組を取得してよく、生体試料は、スペクトル帯の時間遅延を与えられた第1の組および第2の組に応答して特徴付けられる。第2のデマルチプレクサは、ビームスプリッタ、吸収フィルタ、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、ノッチフィルタ、またはミラーのうち1つまたは複数を備え得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、生体試料は、光遅延要素によってスペクトル帯の第1の組にもたらされた1つまたは複数の遅延に応答して特徴付けられる。1つまたは複数の時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。
【0054】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、第2のスペクトルは、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。
【0055】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、紫外スペクトル、可視スペクトル、近赤外スペクトル、または赤外スペクトルにあり得る。
【0056】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0057】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0058】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、光源は、パルスレーザ、連続波レーザ、変調レーザ、可変波長レーザ、またはLEDを備え得る。
【0060】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスはレーザパルスを含み得る。
【0061】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスは連続光波を含み得る。
【0062】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0063】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0064】
別の態様では、生体試料を分類または特徴付けるための方法が提供される。生体試料は、生体試料に応答の蛍光信号を生成させるために、所定の波長の光パルスで照射され得る。生体試料から応答の蛍光信号が収集され得る。応答の蛍光信号は、スペクトル帯を取得するために、所定の波長範囲で分割されてよい。生体試料は、スペクトル帯に応答して特徴付けられ得る。光パルスは、生体試料に応答の蛍光信号を生成させるために、パルスの2つの光子が生体試料を同時に照射し、かつ結合するように、複数のパルスを含み得る。
【0065】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、時間遅延機構を用いて、少なくとも1つの時間遅延がスペクトル帯に与えられる。少なくとも1つの時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の時間遅延を含み得る。時間遅延機構は、複数の光ファイバまたは光ファイバ束を備えてよく、それぞれのファイバまたはファイバ束が異なる長さを有して、スペクトル帯の移動時間に少なくとも1つの遅延をもたらす。
【0066】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の蛍光信号は、デマルチプレクサを用いて、かつ/またはフィルタホイールを通されることにより、分割され得る。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。
【0067】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、近赤外スペクトル、または赤外スペクトルにあり得る。
【0068】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は光検知器を用いて検知され得る。
【0069】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の蛍光信号は、1つまたは複数の波長フィルタを適用されることによって所定の波長範囲で分割され得る。
【0070】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0071】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0072】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスはレーザパルスを含み得る。
【0073】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0074】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光源は、パルスレーザ、連続波レーザ、変調レーザ、可変波長レーザ、またはLEDを備え得る。
【0075】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0076】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0077】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料に含まれる標的組織が、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えられることなどによってアブレーションされる。標的組織は、生体試料の特徴付けに応答してアブレーションされてよい。標的組織はプローブを用いてアブレーションされてよく、プローブは、生体試料を光パルスで照射して応答の蛍光信号を収集するようにも構成され得る。
【0078】
別の態様では、画像誘導手術のための方法が提供される。標的組織は、標的組織に応答の蛍光信号を生成させるように構成された所定の波長の光パルスで照射され得る。生体試料から応答の蛍光信号が収集され得る。応答の蛍光信号は、スペクトル帯を取得するために所定の波長で分割されてよい。標的組織は、スペクトル帯に応答して特徴付けられ得る。生体試料の画像を生成するために、標的組織は撮像デバイスを用いて撮像されてよい。標的組織の分光情報を発生させるために、標的組織の特徴付けが画像とともに登録され得る。標的組織の分光情報が表示され得る。
【0079】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、撮像デバイスを用いて標的組織を撮像するステップは、標的組織の手術前の画像または手術中の画像のうち1つまたは複数を発生するステップを含む。手術前の画像または手術中の画像上に分光情報が表示されてよい。
【0080】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、MRI画像、超音波画像、CT画像、OCT画像、NMR画像、PET画像、またはEIT画像を発生することによって所定の位置が撮像されてよい。画像は、MRIスキャナ、CTスキャナ、PETスキャナ、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)デバイス、超音波トランスデューサ、NMR撮像装置、または電気インピーダンストモグラフィ(EIT)デバイスのうち1つまたは複数を使用して発生され得る。
【0081】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0082】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0083】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、プローブの位置が追跡される。標的組織の特徴付けを画像とともに登録して標的組織の分光情報を発生するために、プローブの追跡された位置および画像とともに標的組織の特徴付けが登録されてよく、追跡された位置における標的組織の分光情報を発生する。
【0084】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスはレーザパルスを含み得る。
【0085】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0086】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光源は、パルスレーザ、連続波レーザ、変調レーザ、可変波長レーザ、またはLEDを備え得る。
【0087】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0088】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0089】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の蛍光信号は、デマルチプレクサおよび/またはフィルタ要素を用いて応答の蛍光信号を分割することによって分割され得る。
【0090】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、標的組織は、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えられることなどによってアブレーションされる。標的組織は、標的組織の特徴付けに応答してアブレーションされてよい。標的組織はプローブを用いてアブレーションされてよく、プローブは、標的組織を光パルスで照射して応答の蛍光信号を収集するようにも構成され得る。
【0091】
別の態様では、外因性蛍光分子を検知するための方法が提供される。外因性蛍光分子を照射して外因性蛍光分子に応答の蛍光信号を生成させるために、外因性蛍光分子を含む生体試料が所定の波長の光パルスで照射されてよい。生体試料から応答の蛍光信号が収集され得る。応答の蛍光信号は、スペクトル帯を取得するために所定の波長で分割されてよい。生体試料における外因性蛍光分子の濃度は、スペクトル帯に応答して判定され得る。
【0092】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、少なくとも1つの時間遅延がスペクトル帯に与えられる。少なくとも1つの時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。少なくとも1つの時間遅延は時間遅延機構を用いて与えられ得、時間遅延機構は、複数の光ファイバまたは光ファイバ束を備えてよく、それぞれのファイバまたはファイバ束が異なる長さを有して、スペクトル帯の移動時間に少なくとも1つの遅延をもたらす。
【0093】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の蛍光信号は、デマルチプレクサを用いて、かつ/またはフィルタホイールを通されることにより、分割される。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。
【0094】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、紫外スペクトル、可視スペクトル、近赤外スペクトル、または赤外スペクトルにあり得る。
【0095】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0096】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0097】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスはレーザパルスを含み得る。
【0098】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、外因性蛍光分子は、蛍光標識薬、蛍光染料、または蛍光標識組織マーカを含み得る。外因性蛍光分子は、ICG標識クロロトキシン、ICG標識ノッチン、Cy5標識ノッチン、Cy7標識ノッチン、蛍光性を結合された腫瘍標的抗体、または蛍光標識腫瘍標的部分のうち1つまたは複数を含み得る。
【0099】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、この方法は、生体試料の外因性蛍光分子の分布を判定するステップをさらに含み得る。
【0100】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、外因性蛍光分子の濃度を判定するステップは、スペクトル帯を、既知の濃度の外因性蛍光分子のスペクトル帯から発生されたデータと比較するステップを含み得る。
【0101】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、外因性蛍光分子の判定された濃度に応答して特徴付けられる。生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしている組織として特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0102】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料に含まれる標的組織が、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えられることなどによってアブレーションされる。標的組織は、生体試料の外因性蛍光分子の判定された濃度に応答してアブレーションされ得る。標的組織はプローブを用いてアブレーションされてよく、プローブは、生体試料を光パルスで照射して応答の蛍光信号を収集するようにも構成され得る。
【0103】
別の態様では、生体試料を分類または特徴付けるためのデバイスが提供される。このデバイスは、光源に結合された励起信号伝送要素と、励起信号伝送要素に結合された信号修正要素と、少なくとも1つの信号収集要素と、光学アセンブリとを備える。光源は、生体試料に応答の光信号を生成させるように構成された所定の波長の光パルスを発生するように構成されている。励起信号伝送要素は、光パルスを信号修正要素に伝えるように構成されている。信号修正要素は、励起信号伝送要素から光パルスを受け取って、光パルスを生体試料へ導くように構成されている。少なくとも1つの信号収集要素は、生体試料からの応答の光信号を受け取るように構成されている。光学アセンブリは、少なくとも1つの信号収集要素から応答の光信号を受け取って、応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割するように構成されている。生体試料は、スペクトル帯に応答して特徴付けられる。
【0104】
任意選択で、信号修正要素は、1つまたは複数の所定のパターンを用いて光パルスを成形するように構成され得る。信号修正要素は、デジタルマイクロミラーデバイスを備え得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、信号修正要素は、生体試料の所定の部分にわたって光パルスを走査するように構成され得る。信号修正要素はラスタ走査機構を備え得る。
【0106】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学アセンブリは時間遅延要素およびデマルチプレクサを備える。デマルチプレクサは、応答の光信号をスペクトル帯に分割するように構成され得る。時間遅延要素は、スペクトル帯に対して1つまたは複数の時間遅延をもたらすように構成され得る。時間遅延要素は、長さの異なる2つまたはそれより多くの光ファイバを備え得る。時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。
【0107】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光学的処理要素は、応答の光信号をスペクトル帯に分割するように構成されたフィルタホイールを備える。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。
【0108】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。
【0109】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0110】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0111】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0112】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0113】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0114】
別の態様では、生体試料を分類または特徴付けるための方法が提供される。生体試料は、生体試料に応答の光信号を生成させるために、所定の波長において、第1のパターン化された光パルスで照射され得る。生体試料から応答の光信号が収集され得る。応答の光信号は、スペクトル帯を取得するために所定の波長範囲で分割されてよい。生体試料は、スペクトル帯に応答して特徴付けられ得る。
【0115】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、生体試料に第2の応答の光信号を生成させるために、所定の波長において、第2のパターン化された光パルスで照射され得る。生体試料から、第2の応答の光信号が収集され得る。第2の応答の光信号は、スペクトル帯の第2の組を取得するために、所定の波長範囲で分割されてよい。生体試料は、スペクトル帯の第1の組およびスペクトル帯の第2の組に応答して特徴付けられ得る。スペクトル帯の第1の組およびスペクトル帯の第2の組から画像が発生され得る。
【0116】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。
【0117】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、時間遅延機構を用いて、少なくとも1つの時間遅延がスペクトル帯に与えられる。時間遅延機構は、複数の光ファイバまたは光ファイバ束を備えてよく、それぞれのファイバまたはファイバ束が異なる長さを有して、スペクトル帯の移動時間に遅延をもたらす。時間遅延機構は、長さの異なる2つまたはそれより多くの光ファイバを備え得る。少なくとも1つの時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。
【0118】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号は、デマルチプレクサおよび/またはフィルタホイールを用いて分割され得る。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。
【0119】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0120】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0121】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0122】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、パターン化された光パルスはパターン化されたレーザパルスを含み得る。
【0123】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、パターン化された光パルスは光学マスクを使用してパターン化されてよい。
【0124】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、パターン化された光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。パターン化された光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0125】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0126】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料に含まれる標的組織が、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えられることなどによってアブレーションされる。標的組織は、生体試料の外因性蛍光分子の判定された濃度に応答してアブレーションされ得る。標的組織はプローブを用いてアブレーションされてよく、プローブは、生体試料を光パルスで照射して応答の蛍光信号を収集するようにも構成され得る。
【0127】
別の態様では、生体試料を特徴付けるための方法が提供される。生体試料は、生体試料に応答の光信号を生成させるために、所定のパターンで所定の波長の光パルスを用いて照射され得る。生体試料から応答の光信号が収集され得る。応答の光信号は、スペクトル帯を取得するために所定の波長範囲で分割されてよい。生体試料は、スペクトル帯に応答して特徴付けられ得る。
【0128】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、少なくとも第1の位置および第2の位置において所定のパターンで照射され得る。第1の光信号は第1の位置から収集されてよく、第2の光信号は第2の位置から収集されてよい。第1の光信号は、スペクトル帯の第1の組を取得するために分割されてよく、第2の光信号は、スペクトル帯の第2の組を取得するために分割されてよい。生体試料は、スペクトル帯の第1の組およびスペクトル帯の第2の組に応答して特徴付けられ得る。スペクトル帯の第1の組およびスペクトル帯の第2の組から画像が発生され得る。
【0129】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、時間遅延機構を用いて、少なくとも1つの時間遅延がスペクトル帯に与えられる。少なくとも1つの時間遅延は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延を含み得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、時間遅延機構は、複数の光ファイバまたは光ファイバ束を備えてよく、それぞれのファイバまたはファイバ束が異なる長さを有して、スペクトル帯の移動時間に遅延をもたらす。
【0131】
いくつかの実施形態では、時間遅延機構は、長さの異なる2つまたはそれより多くの光ファイバを備え得る。
【0132】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号を分割するステップは、デマルチプレクサおよび/またはフィルタホイールを用いて応答の光信号を分割するステップを含み得る。応答の光信号を、フィルタホイールのスペクトルフィルタに順次に通してスペクトル帯を発生すると、異なるスペクトルフィルタによって発生されたスペクトル帯の間に所定の時間遅延を与え得る。
【0133】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含む。
【0134】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い特異性で特徴付けられ得る。
【0135】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は約95パーセントまたはそれよりも高い感度で特徴付けられ得る。
【0136】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料は、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられ得る。生体試料は脳組織を含み得、これは、正常な皮質組織、白質組織、または膠芽腫組織として特徴付けられ得る。
【0137】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスは、走査機構を使用して所定のパターンで照射され得る。
【0138】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、光パルスの所定の波長は、約300nm~約1100nmの範囲にあり得る。光パルスの所定の波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。
【0139】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、スペクトル帯は約370nm~約900nmの範囲にあり得る。スペクトル帯は、約365nmまたはそれ未満、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。
【0140】
さらなる実施形態または追加の実施形態では、生体試料に含まれる標的組織が、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えられることなどによってアブレーションされる。標的組織は、生体試料の外因性蛍光分子の判定された濃度に応答してアブレーションされ得る。標的組織はプローブを用いてアブレーションされてよく、プローブは、生体試料を光パルスで照射して応答の蛍光信号を収集するようにも構成され得る。
【0141】
これらおよび他の実施形態は、添付図面図に関連付けられた以下の説明においてより詳細に説明される。
参照による組込み
【0142】
本明細書で言及されたすべての公刊資料、特許、および特許出願は、個々の公刊資料、特許、または特許出願が、あたかも具体的に個々に参照によって組み込まれると示されるかのように、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0143】
本開示の新規な特徴が、添付の特許請求の範囲における特殊性とともに明らかにされる。本開示の原理が利用されている例示の実施形態を明らかにする以下の詳細な説明および添付図面を参照することにより、本開示の特徴および利点のより優れた理解が得られるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0144】
図1図1は、実施形態による時間分解蛍光分光(TRFS)システムの概略図である。
【0145】
図2図2は、実施形態によるデマルチプレクサの概略図である。
【0146】
図3A図3A図3Bは、実施形態による種々の例示的分子の蛍光放射スペクトルのチャートである。
図3B図3A図3Bは、実施形態による種々の例示的分子の蛍光放射スペクトルのチャートである。
【0147】
図4図4は、実施形態による、種々の例示的分子の蛍光放射スペクトルの、デマルチプレクサによって分割した後のチャートである。
【0148】
図5図5は、実施形態による、トリガ同期機構の概略図である。
【0149】
図6図6は、実施形態による、時間分解分光用プローブの概略図である。
【0150】
図7図7は、実施形態による、時間分解分光用ツーピースプローブの概略図である。
【0151】
図8図8は、実施形態による、別の時間分解蛍光分光(TRFS)システムの概略図である。
【0152】
図9A図9Aは、実施形態による、TRFSシステムとともに使用する高速フィルタホイールの概略図である。
【0153】
図9B図9Bは、実施形態による、TRFSシステムとともに使用するビームコリメータの概略図である。
【0154】
図10図10は、実施形態による、測定器の応答関数(IRF)を測定するために使用され得るTRFSシステムとともに使用するフィルタホイールの概略図である。
【0155】
図11図11は、実施形態による、TRFSシステムとともに使用する、エンコーダを組み込まれたフィルタホイールの概略図である。
【0156】
図12図12は、実施形態による、TRFSシステムとともに使用する、デッドスペースを縮小したフィルタホイールの概略図である。
【0157】
図13図13は、実施形態による、TRFSシステムとともに使用する、合焦する反照検流計およびスペクトルフィルタを備える光学アセンブリの概略図である。
【0158】
図14A図14Aは、実施形態による時間分解分光用プローブの概略図である。
【0159】
図14B図14Bは、実施形態による図14Aのプローブの先端の拡大端面図である。
【0160】
図14C図14Cは、実施形態による図14Aのプローブの先端の拡大断面図である。
【0161】
図15図15は、実施形態による、低蛍光性エポキシを含む時間分解分光用プローブの先端の概略図である。
【0162】
図16A図16Aは、実施形態による、励起要素に結合されたショートパスフィルタを備える時間分解分光用プローブの先端の概略図である。
【0163】
図16B図16Bは、実施形態による、ショートパスフィルタを備えるサファイア窓を有する時間分解分光用プローブの先端の概略図である。
【0164】
図17図17は、実施形態による時間分解蛍光分光システムの概略図である。
【0165】
図18A図18Aは、実施形態による、ex vivoの脳試料におけるNADHの連続監視に使用される時間分解分光システムの概略図である。
【0166】
図18B図18Bは、実施形態による、ex vivoの脳試料におけるNADHの連続監視を伴う実験の結果を示す図である。
【0167】
図19A図19Aは、実施形態による、NADHレベルに関して測定され、卒中後の細胞の生存可能性に関して特徴付けられる、ex vivoの脳における試料位置の画像の斜視図である。
【0168】
図19B図19Bは、実施形態による、図19Aと、TTCを用いた処置の後の脳の明視野画像とを重ね合わせた画像の斜視図である。
【0169】
図19C図19Cは、実施形態による、図19Aにおいて測定されたそれぞれの試料位置に関する相対的な蛍光強度のチャートである。
【0170】
図20A図20Aは、実施形態による、20分間露光した後の、さまざまなMTXの濃度の、蛍光強度のチャートである。
【0171】
図20B図20Bは、実施形態による、20分の露光期間にわたる、さまざまなMTXの濃度の、蛍光強度の経時的なチャートである。
【0172】
図20C図20Cは、実施形態による、20分の露光期間にわたる、さまざまなMTXの濃度の、蛍光強度の経時的なチャートである。
【0173】
図21A図21Aは、実施形態による、K4-204の蛍光放射スペクトルのチャートである。
【0174】
図21B図21Bは、実施形態による、K4-503の蛍光放射スペクトルのチャートである。
【0175】
図21C図21Cは、実施形態による、K4-503と混合したK4-204のさまざまな濃度の、蛍光減衰プロファイルのチャートである。
【0176】
図22A-1】図22Aは、実施形態による、6チャネルの時間分解蛍光分光法を使用した、正常な皮質組織、白質組織、および膠芽腫(GBM)組織の蛍光減衰プロファイルのチャートである。
図22A-2】図22Aは、実施形態による、6チャネルの時間分解蛍光分光法を使用した、正常な皮質組織、白質組織、および膠芽腫(GBM)組織の蛍光減衰プロファイルのチャートである。
【0177】
図22B図22Bは、実施形態による、蛍光減衰プロファイルからのパラメータ抽出のチャートである。
【0178】
図22C図22Cは、実施形態による、組織試料の分類の組の蛍光減衰プロファイルから抽出されたパラメータのチャートである。
【0179】
図22D図22Dは、実施形態による、試料の訓練コーホートにおける組織の特徴付けのチャートである。
【0180】
図23図23は、実施形態による、第1の脳腫瘍の実験における組織の特徴付けの結果のチャートである。
【0181】
図24図24は、実施形態による、第2の脳腫瘍の実験における組織の特徴付けの結果のチャートである。
【0182】
図25図25は、実施形態による、第3の脳腫瘍の実験における組織の特徴付けの結果のチャートである。
【0183】
図26図26は、実施形態による、第4の脳腫瘍の実験における組織の特徴付けの結果のチャートである。
【0184】
図27図27A図27Fは、実施形態による、脳腫瘍の組織性状診断に使用される異なる組織クラスの代表的な組織画像である。
【0185】
図28図28は、実施形態による、組織試料の分類の組の蛍光減衰プロファイルから抽出されたパラメータのチャートである。
【0186】
図29A図29Aは、実施形態による、正常な皮質組織の分類結果のチャートである。
【0187】
図29B図29Bは、実施形態による、白質組織の分類結果のチャートである。
【0188】
図29C図29Cは、実施形態による、脳腫瘍組織の分類結果のチャートである。
【0189】
図30図30は、実施形態による、脳組織分類の確率のボックスプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0190】
詳細な説明
以下の詳細な説明では、本明細書の一部分を形成する添付図が参照される。図では、文脈が別様に指示しなければ、類似の記号は一般的には類似の構成要素を識別する。詳細な説明において説明される例示の実施形態、図、および特許請求の範囲は、限定することを意味するわけではない。他の実施形態が利用されてよく、本明細書で提示された主題の範囲から逸脱することなく他の変更形態が作製され得る。本開示の態様は、本明細書で全体的に説明されて図にも示されるように、多種多様な異なる構成に配置され、置換され、組み合わされ、分離され、かつ設計され得、それらのすべてが本明細書で明確に企図されていることが容易に理解されよう。
【0191】
以下で特定の実施形態および例が開示されるが、独創的な主題は、具体的に開示された実施形態を超えて、他の代替実施形態および/または使用法ならびに修正形態およびその等価物に及ぶ。したがって、本明細書に添付される特許請求の範囲は、以下で説明される特定の実施形態のいかなるものによっても限定されない。たとえば、本明細書で開示される何らかの方法または処理では、方法または処理の行為または動作は任意の適切な順序で遂行されてよく、何らかの特定の開示された順序に必ずしも限定されるわけではない。しかしながら、種々の動作は、特定の実施形態を理解するのに役立ち得るようなやり方で、複数の別個の動作として順に説明され得るが、説明の順番は、これらの動作が順番に依拠することを意味するように解釈されるべきではない。加えて、本明細書で説明される構造、システム、および/またはデバイスは、組み込まれた構成要素または個別の構成要素として具現されてよい。
【0192】
種々の実施形態を比較するために、これらの実施形態の特定の態様および利点が説明される。そのような態様または利点は、必ずしもすべてが任意の特定の実施形態によって達成されるわけではない。したがって、たとえば、種々の実施形態が、本明細書で教示されるような1つの利点またはグループの利点を達成するかまたは最適化するようなやり方で、本明細書で教示されるかまたは示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも達成することなく、実行され得る。
【0193】
脳組織を悪性または非悪性として特徴付けることが特に参照されるが、本明細書で開示される方法、システム、およびデバイスは、化学信号が検知され得る血液、血漿、尿、組織、微生物、寄生生物、唾液、痰、吐物、脳脊髄液、または何らかの他の生体試料を含む多くのタイプの生体試料に対して使用され得る。生体試料は、固体、半固体、または液体の生体試料でよい。生体試料は、少し例を挙げれば、前立腺、肺、腎臓、脳、粘膜、皮膚、肝臓、結腸、膀胱、筋肉、胸、目、口、筋肉、リンパ節、尿管、尿道、食道、気管、胃、胆嚢、膵臓、腸、心臓、脾臓、胸腺、甲状腺、卵巣、子宮、肺、虫垂、血管、骨、直腸、睾丸、または頚部からの組織を含み得る。生体試料は、非外科的技術または外科技術によって入手可能な任意の組織または器官でよい。生体試料は、患者から収集されてex vivoで特徴付けられ得る。たとえば、生体試料は、免疫組織の化学的分析に先立って予備的診断を提供するために、手術中に手術室または病理検査室で分析される生検でよい。代替として、生体試料はin vivoで特徴付けられてもよい。たとえば、本明細書で開示される実施形態は、たとえば外科的切除に先立って癌組織と非癌組織を識別するために、脳、胸、または皮膚の組織を特徴付けるのに使用され得る。
【0194】
本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法は、生体試料を特徴付けるのに使用され得る。生体試料は、たとえば、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしている、または同種のものとして特徴付けられ得る。本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法は、傷害後の組織生存可能性の評価、腫瘍周縁の判定、細胞代謝の監視、血漿中の治療薬濃度の監視、または同種のものに使用され得る。本明細書で開示されるシステム、デバイス、および方法は、アッセイされる目的の生体試料および分子に依拠して、いろいろな用途および使用法に適合され得る。
【0195】
放射された蛍光スペクトルを使用して生体試料を特徴付けることが特に参照されるが、本明細書で開示されるシステム、方法、およびデバイスは、多くのタイプの光学スペクトルを有する組織を特徴付けるのに使用され得ることが理解されよう。たとえば、生体試料によって、光パルスを用いる励起に応答して放射される信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、赤外スペクトル、またはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0196】
図1は、時間分解蛍光分光システムの概略図を示す。このシステムは、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの時間分解蛍光分光法を使用して生体試料を特徴付けるのに使用され得るものである。このシステムは、励起信号伝送要素103、光源100、少なくとも1つの信号収集要素108、デマルチプレクサ104(図2で詳細に説明されている)などの光学アセンブリ、および光学的遅延デバイスまたは要素105を備え得る。このシステムは、検知器106、デジタイザ107、光ダイオード109、検知器ゲート110、またはトリガ同期機構102(図5で詳細に説明されている)のうち1つまたは複数をさらに備え得る。このシステムは、データを処理し得るコンピュータまたはプロセッサ113をさらに備え得る。
【0197】
光源100は、所定の励起波長において光パルスまたは連続光のビームを発生するように構成され得る。光パルスは、たとえば光ファイバといった励起信号伝送要素103によって、たとえば患者の脳といった生体試料101へ導かれ得る。生体試料101は、光パルスによって励起されると応答の光信号を生成し得、これが1つまたは複数の信号収集要素108によって収集され得る。次いで、応答の光信号は、応答の光信号を所定の波長の少なくとも2つのスペクトル帯111a~111g(すなわち、スペクトル帯111a、111b、111c、111d、111e、111f、および111g)に分割するために、信号収集要素108によってデマルチプレクサ104へ導かれ得る。次いで、スペクトル帯111a~111gは、記録される前にスペクトル帯111a~111gを時間的に分割するために、スペクトル帯111a~111gに対して少なくとも1つの時間遅延を与える光学的遅延デバイス105へ導かれ得る。次いで、時間遅延を与えられたスペクトル帯112a~112g(すなわち、スペクトル帯111a、111b、111c、111d、111e、111f、および111gにそれぞれ対応する、時間遅延を与えられたスペクトル帯112a、112b、112D、112d、112e、112f、112g)は、検知器106へ導かれ、ひとつずつ検知され得る。それぞれのスペクトル帯112a~112gについて、検知器106は、次のスペクトル帯が検知器106に到達する前にスペクトル帯の蛍光減衰および蛍光強度を記録し得る。このようにして、応答の光信号から、時間分解された(蛍光減衰)情報と波長分解された(蛍光強度)情報の両方をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで集めるのに、単一の励起光パルスが使用され得る。
【0198】
光源100は、少し例を挙げれば、パルスレーザ、連続波レーザ、変調レーザ、可変波長レーザ、またはLEDなどの任意数の光源を備え得る。光源100の所定の励起波長は、紫外スペクトル、可視スペクトル、近赤外スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数にあり、たとえば約300nm~約1100nmの範囲内にある。光源100の所定の励起波長は、約330nm~約360nm、約420nm~約450nm、約660nm~約720nm、または約750nm~約780nmの範囲にあり得る。たとえば、光源100は、図1に示されるように約355nmの光パルスを放射し得る。代替として、または組合せで、光源100は約700nmまたは約710nmの光パルスを放射し得る。光源100の波長は、生体試料101が光パルスで励起されたとき応答の光信号を生成するように、選択されてよい。光源100の波長は、生体試料101が光パルスによって損傷することなく応答の光信号を生成するように、選択されてよい。たとえば、生体試料内の広範な蛍光体を励起するために紫外線が選択されてよく、複数の蛍光体を同時に励起するように使用され得る。しかしながら、少なくともいくつかの事例では、紫外線への長期露光が細胞傷害を引き起こすことがある。したがって、紫外線への露光が関係する場合には、近赤外線または赤外線が、より安全な選択肢であり得る。赤外線光源100は、2光子(または多光子)技術を使用することにより、蛍光体の、紫外線と類似の範囲を励起するように構成され得る。たとえば、赤外線光源100は、光パルスの2つの光子が生体試料101を同時に照射するように、複数の光パルスを非常に迅速に連続して放射するように構成され得る。2つまたはそれより多くの光子が生体試料101を同時に照射するとき、それらのエネルギーは互いに加算され得、試料は、紫外線を用いた放射に応答して生成され得る光信号に類似した応答の光信号を生成し得るが、可能性のある安全性リスクは低下する。
【0199】
光源100は、光源100によるそれぞれの光パルス出力に対して高精度のタイミングをもたらし得る内部または外部のパルスコントローラデバイスまたはトリガデバイス102によって制御され得る。それぞれの光パルスのタイミングは、光ダイオード109を使用して検査されてよく、たとえば図5に示されるようなNI PCIe-2320といったアナログデジタルコンバータデバイス102を使用して更新され得る。検知器106のタイミングに関するフィードバックをもたらすために、デジタイザ107に対してトリガデバイス102が動作可能に結合され得る。検知器106は、本明細書で説明されるように、ゲート110が開いて検知器106が作動するのと光パルスのタイミングを結合する検知器ゲート110によって任意選択で制御され得る。
【0200】
光パルスは、光源100から励起信号伝送要素103に合焦され得る。励起信号伝送要素103は、光パルスを、所定の位置または生体試料101上の標的組織へと導き得る。励起信号伝送要素103は、たとえば光ファイバ、複数の光ファイバ、ファイバ束、レンズシステム、ラスタ走査機構、ダイクロイックミラーデバイス、もしくは同種のもの、またはこれらの任意の組合せを備え得る。
【0201】
光パルスは、生体試料101を照射して、生体試料101に応答の光信号を放射させ得る。応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。応答の光信号は、多くの波長を含む広いスペクトルを有し得る。応答の光信号は、たとえば応答の蛍光信号でよい。応答の光信号は蛍光スペクトルを含み得る。応答の光信号は、蛍光スペクトルと、たとえばラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルといった1つまたは複数の追加のスペクトルとを含み得る。本明細書で説明されるシステム、デバイス、および方法は、蛍光スペクトルおよび/または1つもしくは複数の追加のスペクトルに基づいて生体試料101を特徴付けるのに使用され得る。
【0202】
生体試料101によって放射された応答の光信号は、1つまたは複数の信号収集要素108によって収集され得る。信号収集要素108は、たとえば光ファイバ、複数の光ファイバ、ファイバ束、減衰器、可変電圧依存性減衰器、レンズシステム、ラスタ走査機構、ダイクロイックミラーデバイス、もしくは同種のもの、またはこれらの任意の組合せを備え得る。信号収集要素108は、たとえばマルチモードファイバの束または対物レンズを備え得る。信号収集要素108は、ステップ型マルチモードファイバの束を備え得る。信号収集要素108は、屈折率分布型マルチモードファイバの束を備え得る。ファイバまたはファイバの束は、可撓性でよく、または剛体でもよい。信号収集要素108が備え得る複数のファイバは、信号収集要素108に入る光の円錐角と、信号収集要素108を出てファイバコリメータを通過する光の発散角の間のバランスをとるように選択された開口数(「NA」)を有する。NAが小さければ、発散角が縮小することにより、遅延ファイバへの光結合の効率が向上し得、NAが大きければ、円錐角が拡大することにより、収集され得る信号の量が増加し得る。
【0203】
応答の光信号は、光学アセンブリ、またはたとえば本明細書で説明されたようなデマルチプレクサもしくはフィルタホイールといった応答の光信号をスペクトル帯に分割する波長分割デバイス上へ導かれ得る。たとえば、広帯域の応答の光信号を、それぞれが別個の中心波長を有する複数の狭いスペクトル帯へ分解するために、応答の光信号は、デマルチプレクサ104において一連の波長分割処理を受けてよい。デマルチプレクサ104は、応答の光信号を、所望の数に依拠して任意数のスペクトル帯に分割するように構成され得る。たとえば、デマルチプレクサ104は、6つの蛍光性分子を含む生体試料の蛍光性の減衰を特徴付けるために、応答の光信号を7つのスペクトル帯111a~111gに分割するように構成され得、第7のスペクトル帯は反射された励起光を含む。
【0204】
代替として、または組合せで、応答の光信号は、本明細書で説明されたように応答の光信号をスペクトル帯に分割するフィルタホイール上へ導かれてよい。フィルタホイールは複数のスペクトルフィルタを備え得る。フィルタホイールは、任意選択で複数のエンコーダを備え得る。それぞれのスペクトルフィルタが、少なくとも1つのエンコーダに関連付けられ得る。フィルタホイールは、回転するフィルタホイールを備え得る。フィルタホイールは、連続的に、またはステップ状に回転し得る。フィルタホイールのそれぞれの回転が、波長分解された1組のスペクトル帯を発生し得る。フィルタホイールのそれぞれの後続の回転が、スペクトル帯の他の組とは互いに時間的に異なるスペクトル帯の後続の組を発生し得る。応答の光信号から、時間分解され、波長分解されたデータを発生するために、一連のスペクトル帯の組が収集されてよい。フィルタホイールは静止していてよく、その場合、応答の光信号は反照検流計によってスペクトルフィルタ上へ順に導かれ得る。静止しているフィルタホイールおよび反照検流計を使用すると、回転するフィルタホイールと比較してシステムの取得速度が向上し得る。時間分解され、スペクトル的に分解されたデータを発生するために、反照検流計は、スペクトルフィルタのその取得シーケンスを繰り返してよい。
【0205】
波長分解されたスペクトル帯が、光遅延要素105によってデマルチプレクサ104から検知器106へ導かれ得る。各スペクトル帯が時間的に分割されて、時間遅延を与えられたスペクトル帯の各々が別々の時間に検知器106へ到達し得るように、光学的遅延デバイス105は、スペクトル帯に対して1つまたは複数の時間遅延を与えてよい。光学的遅延デバイス105は、約5ナノ秒~約700ナノ秒の範囲内の遅延をもたらし得る。たとえば、光学的遅延デバイス105は、約7.5±3ナノ秒、75±10ナノ秒、150±10ナノ秒、225±10ナノ秒、300±10ナノ秒、375±10ナノ秒、450±10ナノ秒、525±10ナノ秒、600±10ナノ秒の遅延のうち1つもしくは複数、またはこれらの組合せをもたらし得る。光学的遅延デバイス105は、任意の遅延または所望の遅延の組合せをもたらすように構成され得る。光学的遅延デバイス105は、任意数の遅延デバイスを備え得る。光学的遅延デバイス105は、それぞれのスペクトル帯が異なる距離を移動し、したがって、光ファイバに沿って、異なる時間をかけて検知器106に到達するように、それぞれのスペクトル帯について1つの、異なる長さの複数の光ファイバを備え得る。たとえば、光学的遅延デバイス105は、第1のスペクトル帯が第2のスペクトル帯よりも早く検知器106に到達するように、第1の光ファイバと、それよりも長い第2の光ファイバの、2本の光ファイバを備え得る。代替として、または組合せで、光遅延要素105によって与えられる時間遅延を制御するために、光ファイバの、長さとは別の物理的性質が変化されてよい。たとえば、ファイバの屈折率が変化されてよい。そのような物理的性質は、所望の遅延を達成するのに必要なファイバの長さを決定するのにも有用であり得る。ファイバの長さは、所望の遅延に基づいて選択されてよい。ファイバは、各ファイバの長さが、最初のものから最後のものまで、たとえば約30フィート、約35フィート、約40フィート、約45フィート、または約50フィートの増分で増加するように構成されてよい。光学的遅延デバイス105の各ファイバの間の増分は同一でよく、またはファイバ間で変化してもよい。スペクトル帯に対して所望の時間遅延を与えるために、任意数のファイバおよび任意の長さのファイバが選択され得ることが、当業者には明らかであろう。たとえば、スペクトル帯111a~111gは、約5フィート、55フィート、105フィート、155フィート、205フィート、255フィート、および305フィートの長さのファイバによって検知器106へ導かれてよく、時間遅延を与えられたスペクトル帯112a~112gが異なる時間において検知器106に到達するように、異なる光ファイバに沿って動くそれぞれのスペクトル帯が、スペクトル帯111a~111gに対してさまざまな時間遅延を与える。それぞれのスペクトル帯が特定の時間にわたって持続する(たとえば数十ナノ秒台の)減衰プロファイルを有し得るとすれば、それぞれのスペクトル帯に与えられる時間遅延は、それぞれの減衰プロファイルを時間的に分割して、検知器が、生体試料101の単一の励起の後に、複数の時間遅延を与えられたスペクトル帯を検知することを可能にするように、十分に長く構成され得る。
【0206】
光学的遅延デバイスの複数の光ファイバは、ステップ型マルチモードファイバの束を備え得る。光学的遅延デバイスの複数の光ファイバは、屈折率分布型マルチモードファイバの束を備え得る。いくつかの事例では、屈折率分布型ファイバは、本明細書で説明された光学的遅延デバイスにおけるように長いファイバが使用されたとき、一般に、増加したファイバ長に対して帯域幅の損失がより小さく、したがってより強い、またはより優れた品質の信号を生成することができるので、ステップ型ファイバ以上に好まれ得る。ファイバまたはファイバの束は、可撓性でよく、または剛体でもよい。
【0207】
いくつかの事例では、応答の光信号は、光学アセンブリ(たとえばデマルチプレクサまたはフィルタホイール)に入る前に時間遅延を与えられてよい。いくつかの事例では、光遅延要素は、時間遅延を与えられた応答の光信号をスペクトル帯に分割するように構成された光学アセンブリを備え得る。たとえば、応答の光信号は光遅延要素上へ導かれてよい。応答の光信号は、検知器106に到達する前に時間的に分割されるように、光遅延要素によって1つまたは複数の時間遅延を与えられてよく、時間遅延を与えられた光信号は、1つまたは複数のスペクトルフィルタを通過して、時間遅延を与えられたスペクトル帯に分割される(たとえば図17を参照されたい)。光遅延要素は、本明細書で説明されたような複数の光ファイバを備えてよく、これらの光ファイバは、時間遅延を与えられた複数のスペクトル帯を発生するように構成された複数の(たとえば1本の光ファイバにつき1つの)スペクトルフィルタをさらに備える。時間遅延を与えられたスペクトル帯の各々が、異なる時間において検知器106に到達し得る。
【0208】
いくつかの事例では、スペクトル帯は、検知器106に到達する前に時間遅延を与えられなくてもよく、システムは、たとえば光学アセンブリが本明細書で説明されたようなフィルタホイールを備えるときには、光遅延要素105を備えなくてよい。
【0209】
検知器106は、光学的遅延デバイス105から、時間遅延を与えられたスペクトル帯を受け取って、それぞれの時間遅延を与えられたスペクトル帯を個々に記録するように構成され得る。検知器106は、たとえば高速応答光電子増倍管(PMT)、多重チャネルプレート光電子増倍管(MCP-PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)、シリコンPMT、または当技術分野で公知の何らかの他の光検知器を備え得る。検知器は、たとえばPhotek 210といった高利得(たとえば10)、低ノイズ、高速の立上り時間(たとえば約80ピコ秒)の光検知器でよい。検知器106の利得は自動的に制御されてよい。検知器106の電圧は、検知された応答の光信号の強度に基づいて動的に変化され得る。検知器106の電圧は、検知されたスペクトル帯の強度を分析した後、信号を記録する前に変化され得る。記録されたデータは、高速デジタイザ107により、コンピュータまたは他のデジタルデバイス上に表示するようにデジタル化されてよい。デジタイザ107は、記録されたデータを、たとえば約6.4Gサンプル/秒のレートでデジタル化し得る。デジタイザ107は、たとえば108ADQ Tigerでよい。データは、たとえばコンピュータプロセッサといったプロセッサ113によって任意選択で分析されてよい。プロセッサ113は、デジタイザ107からのデータを収集して、本明細書で説明された分析のための方法のうち任意のものを遂行するように、命令を用いて構成され得る。代替として、または組合せで、記録されたデータはオシロスコープを使用して表示されてよい。任意選択の前置増幅器が、記録されたデータに対して、表示する前にさらなる利得をもたらし得る。検知器106が動作可能に結合され得る検知器ゲート110は、検知器ゲート110が開いていて検知器106がアクティブのとき、検知器106を、狭い検知窓の期間中、信号に応答するように制御する。
【0210】
生体試料からの応答の光信号は、励起されている目的の分子に依拠して変化する可能性がある。応答の光信号は、たとえば生体試料中の高応答の分子または蛍光性の高い分子については非常に大きいことがあり、生体試料中の低応答の分子または蛍光性の低い分子については非常に小さいことがある。蛍光体は、たとえば、量子効率および/または蛍光体を励起するのに使用された励起光の吸収に基づく強度で、蛍光スペクトルを放射する。蛍光体の強度は、蛍光体が存在する状態に依拠して異なり得る。たとえば、組織試料中の蛍光体は、血液サンプル中の同一の蛍光体とは異なる強度を有し得、あるいは、隔離されている同一の蛍光体とは、その環境における差のために、異なる強度を有し得る。検知器の利得は、蛍光スペクトルを適切に記録するために、大きい蛍光放射によって信号が飽和することのないように、また、低蛍光性の発光でも信号対雑音比が低下しないように、調節されてよい。これは、たとえばPMTといった検知器106の電圧を、以前に記録されたデータに基づいて急速に変化させることによって達成され得る。たとえば、生体試料は2つの光パルスで励起されてよく、記録されたデータは、生体試料からの信号が大きすぎる/小さすぎることがないかどうか判定するために、平均化され、かつ分析されてよい。次いで、検知器106の利得を変化させるために、判定に基づいて電圧が調節されてよい。そのような調節は手動で行われてよく、またはたとえばプロセッサによって自動的に行われてもよい。そのような調節は、所望の信号対雑音比に到達するまで反復して行われ得る。一旦所望の信号対雑音比に到達すると、データが記録され得る。
【0211】
時間遅延を与えられたスペクトル帯が含み得る蛍光強度の減衰データは、本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法によって測定され得る。測定された蛍光強度の減衰データ(FID(t,λ))は、1つまたは複数の生体分子からの蛍光減衰成分、ならびに測定器の応答関数(IRF(t,λ))として公知の構成要素の光学的伝達関数および電子的伝達関数から成り得るものである。数学的には、FID(t,λ)は、蛍光のインパルス応答関数(fIRF(t,λ))のIRF(t,λ)との畳み込みである。試料の純粋なfIRF(t,λ)を推定するために、IRF(t,λ)は、測定された蛍光パルスから逆畳み込みされてよい。IRF(t,λ)は、蛍光光子が経験する光路および波長システムの特性の影響を記述するものであり、標準的な色素から非常に高速の蛍光減衰を記録することによって測定され得る。測定された高速の減衰は、目的の生体試料からの蛍光減衰よりも1桁分高速であるとき、真のIRF(t,λ)の近似として採用され得る(たとえば目的の試料が脳組織であるとき、70ピコ秒未満なら十分に高速である)。fIRF(t,λ)を決定するために「カーネルのラゲール展開」が使用され得る。ラゲール法は、離散時間ラゲール関数の標準化直交系の展開に基づくものである。ラゲールパラメータα(0<α<1)は、離散ラゲール関数の指数関数的(漸近)減少の率を決定する。パラメータαの選択は、正確なfIRF(t,λ)推定を達成するのに重要である。正確な蛍光減衰を回復するための最適なαを決定するために、反復プロセスが使用され得る。αを推定し、測定された蛍光減衰に対してラゲールカーネルを当てはめる前に、以前に記録されたIRFと蛍光減衰が時間的に調整されてよい。調整は、IRF(t,λ)と測定FID(t,λ)の両方のスーパーサンプルを得ることによって達成され得る。
【0212】
図2は、デマルチプレクサの概略図を示す。デマルチプレクサ104は、応答の光信号を所定の波長範囲で分割して複数のスペクトル帯を取得するように構成された1つまたは複数の波長分割フィルタを備え得る。波長分割フィルタは、中性濃度フィルタ、帯域通過フィルタ、ロングパスフィルタ、ショートパスフィルタ、ダイクロイックフィルタ、ノッチフィルタ、ミラー、吸収フィルタ、赤外フィルタ、紫外フィルタ、単色フィルタ、ダイクロイックミラー、プリズム、または同種のもののうち1つまたは複数を備え得る。広帯域の応答の光信号を、それぞれが別個の中心波長を有する複数の狭いスペクトル帯へ分解するために、応答の光信号は、デマルチプレクサ104において一連の波長分割処理を受けてよい。スペクトル帯は、約370nm~約900nmの範囲にあり得る。
【0213】
デマルチプレクサ104は、たとえば、内因性の蛍光体からの発光スペクトルを含んでいる、生物組織試料からの応答の光信号を、分割するように構成され得る。蛍光体は、少し例を挙げれば、たとえばフラビンモノヌクレオチド(FMN)リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)リボフラビン、リポピグメント、内因性ポルフィリン、遊離ニコチンアミドアデノシンジヌクレオチド(NADH)、結合NADH、またはリン酸ピリドキサールグルタミン酸デカルボキシラーゼ(PLP-GAD)を含み得る。図3Aは、これらの例示的分子が355nmのレーザで励起されたときの蛍光放射スペクトルを示す。紫外線またはレーザ源によって励起された生体試料の応答の光信号は、垂直の破線の間の範囲にわたるスペクトル帯に分割され得る。デマルチプレクサ104は、励起された応答の光信号を、約365nm未満(反射された励起光を含む)、約365nm~約410nm、約410nm~約450nm、約450nm~約480nm、約500nm~約560nm、約560nm~約600nm、および約600nmまたはそれよりも長い波長のスペクトル帯に分割するように構成され得る。図3Bには、UVレーザで刺激された種々の他の内因性の蛍光体の蛍光放射スペクトルが示されており、これらは、種々の波長におけるそれらの蛍光体に特有の蛍光減衰寿命とともに評価され得るものである。デマルチプレクサは、励起された応答の光信号を、蛍光体のうち1つまたは複数が励起されたピーク波長のうちの1つまたは複数に対応するスペクトル帯に分割するように構成され得る。たとえば、デマルチプレクサは、NADH、FAD、FMN、リポフスチン、PpIX、ピリドキシン(purodaxine)、レチノール、リボフラビン、またはこれらの任意の組合せを検知するように構成され得る。本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、生体試料中の蛍光体の発光スペクトルおよび/または蛍光性の減衰特性に基づいて、任意数の蛍光体または蛍光体の組合せを検知するように構成され得るものである。
【0214】
図2に示されるように、応答の光信号は、たとえばコリメーティングレンズといったFiberPortコリメータ120または同種のものにおいてデマルチプレクサ104に入り得る。コリメーティングレンズは、たとえば屈折率分布型(GRIN)レンズ、非球面レンズ、または同種のものを備え得る。応答の光信号は、応答の光信号を約495nmよりも長い波長を有する光を含む第1のスペクトル成分113aと約495nm未満の波長を有する光を含む第2のスペクトル成分113bとに分割する第1の波長分割フィルタ122上へ導かれ得る。次いで、第1のスペクトル成分113aは、第2の波長分割フィルタ126に到達する前に、60mmの焦点距離の両凹面レンズまたは色消しダブレット124を使用して任意選択で合焦されてよい。第2の波長分割フィルタ126は、第1のスペクトル成分113aを、約500nm~約560nmの範囲の波長を有する光を含む第1のスペクトル帯111eと、約560nmよりも長い波長を有する光を含む第3のスペクトル成分113cとに分割し得る。第1のスペクトル帯111eは第1のフィルタ125を通過し得る。次いで、第3のスペクトル成分113cは、第3の波長分割フィルタ128によって、約560nm~約600nmの範囲の波長を有する光を含む第2のスペクトル帯111fと、約600nmを上回る波長を有する光を含む第3のスペクトル帯111gとに分割され得る。第2のスペクトル帯111fは第2のフィルタ127を通過し得る。第3のスペクトル帯111gは第3のフィルタ129を通過し得る。第2のスペクトル成分113bは、第4の波長分割フィルタ132に到達する前に、60mmの焦点距離の両凹面レンズまたは色消しダブレット130を使用して任意選択で合焦されてよい。第4の波長分割フィルタ132は、第2のスペクトル成分113bを、約415nm~約495nmの範囲の波長を有する光を含む第4のスペクトル成分113dと、約415nmよりも短い範囲の波長を有する光を含む第5のスペクトル成分113eとに分割し得る。第4のスペクトル成分113dは、第5の波長分割フィルタ134によって、約415nm~約450nmの範囲の波長を含む第4のスペクトル帯111cと、約450nm~約495nmの範囲の波長を含む第5のスペクトル帯111dとに分割され得る。第4のスペクトル帯111cは第4のフィルタ135を通過し得る。第5のスペクトル帯111dは第5のフィルタ137を通過し得る。第5のスペクトル成分113eは、第6の波長分割フィルタ136によって、約365nm~約410nmの範囲の波長を含む第6のスペクトル帯111bと、約365nmよりも短い波長(たとえば励起光)を含む第7のスペクトル帯111aへと分割され得る。第6のスペクトル帯111bは第6のフィルタ133を通過し得る。応答のスペクトル帯111b~111gの正確な逆畳み込みを保証するために、励起光を含む第7のスペクトル帯111aが記録されてよい。
【0215】
図4は、デマルチプレクサ104による分割の後の、種々の例示的分子の蛍光放射スペクトルを示す。本明細書で説明されたように、それぞれのスペクトル帯111a~111gに対して時間遅延が与えられた後の、355nmの励起波長を上回る波長を有する6つのスペクトル帯111b~111g(それぞれ図4においてch1~ch6と標識付けされている)を検知するために、検知器106が使用された。デマルチプレクサ104は、PLP-GADまたはプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)(チャネル1)、結合NADH(チャネル2)、遊離NADH(チャネル3)、FMN/FAD/リボフラビン(チャネル4)、リポピグメント(チャネル5)、および内因性のポルフィリン(チャネル6)を表すスペクトル帯を分離した。示されたデータを正規化するために、励起波長またはほぼ励起波長に等しい波長を有するスペクトル帯111aが使用された。
【0216】
デマルチプレクサ104は、必要に応じて、応答の光信号を、より多数の/より少数のスペクトル帯に分割するように構成され得る。別の例では、デマルチプレクサ104は、遊離NADHおよび結合NADHならびにPLP-GADを含む生体試料からの応答の光信号を分割するように構成され得る。本明細書で説明されたように、生体試料は、約355nmの紫外線パルスによって励起されてよい。スペクトル帯は、約400nmまたはそれ未満、約415nm~約450nm、約455nm~約480nm、および約500nmまたはそれよりも長い波長の範囲にあり得る。応答の光信号は、信号収集要素から、応答の光信号を約400nmよりも長い波長を含む第1のスペクトル成分と約400nmよりも短い波長(たとえば励起光)を含む第1のスペクトル帯とに分割する第1の波長分割フィルタへ、導かれてよい。第1のスペクトル成分は、第2の波長分割フィルタによって、約400nm~約500nmの範囲の波長を含む第2のスペクトル成分と、約500nmよりも長い波長を含む第2のスペクトル帯とに分割され得る。第2のスペクトル成分は、第3の波長分割フィルタによって、たとえば約415nm~約450nmといった約400nm~約450nmの範囲の波長を含む第3のスペクトル帯と、たとえば約455nm~約480nmといった約450nm~約500nmの範囲の波長を含む第4のスペクトル帯とに分割され得る。
【0217】
別の例では、生体試料を励起するのに440nmの光源が使用されてよく、デマルチプレクサは、応答の光信号を、FAD、FMN、およびポルフィリンを特徴付けるためのスペクトル帯に分割するように構成され得る。
【0218】
スペクトル帯は、生体試料を特徴付けるために、任意の所望の範囲にあってよく、デマルチプレクサ104の波長分割フィルタは、前記スペクトル帯を発生するように構成され得ることが、当業者には理解されよう。
【0219】
本明細書では紫外線パルスが説明されているが、光源および光パルスは任意の所望の波長でよく、デマルチプレクサ104は、励起光の任意の波長に適応するように構成され得ることが、当業者には理解されよう。たとえば、赤外線光源が選択されたときには、デマルチプレクサ104は、応答の光信号を、生体試料の特徴を示すスペクトル帯と、反射された赤外線を含むスペクトル帯とに分割するように構成されてよい。
【0220】
本明細書で説明されたデバイス、システム、および方法は、2つの別個のスペクトルを含む応答の光信号から生体試料を特徴付けるのに使用され得る。応答の光信号は、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含み得る。たとえば、応答の光信号は蛍光スペクトルおよびラマンスペクトルを含み得る。2つのスペクトルが生体試料に関する相補的であり得る別個の情報をもたらし得るとき、光パルスで照射された生体試料を特徴付けるために、蛍光スペクトルとラマンスペクトルが、別個に、または組み合わせて使用され得る。生体試料は、本明細書で説明されたような光パルスよって励起されてよく、蛍光スペクトルおよびラマンスペクトルを含む応答の光信号が信号収集要素によって収集され得る。信号収集要素は、本明細書で説明されたような複数の光ファイバを備え得る。信号収集要素は、本明細書で説明されたような光ファイバの束を備え得る。応答の光信号は、光ファイバの第1の束によって収集されてよい。応答の光信号は、ファイバの第1の束によって第1のデマルチプレクサへ導かれ得る。第1のデマルチプレクサは、蛍光スペクトルを、本明細書で説明されたように分割するように構成され得る。第1のデマルチプレクサは、ラマンスペクトルを、蛍光スペクトルと類似のやり方で分割するように構成され得る。ラマンスペクトルは、第2のデマルチプレクサによってスペクトル帯に分割され得る。次いで、蛍光スペクトルからのスペクトル帯およびラマンスペクトルからのスペクトル帯は、検知器へ導かれて、本明細書で説明されたように生体試料を特徴付けるのに使用され得る。代替として、または組合せで、応答の光信号はファイバの第1の束ならびにファイバの第2の束へ導かれてよい。応答の光信号は、ファイバの第1の束によって第1のデマルチプレクサへ導かれ得、ファイバの第2の束によって検知器の方へ導かれ得る。応答の光信号は、ファイバの第1の束によって第1のデマルチプレクサへ導かれ得、ファイバの第2の束によって第2のデマルチプレクサへ導かれ得る。第1のデマルチプレクサは、蛍光スペクトルを所定の波長で分割してスペクトル帯の第1の組を取得するために応答の光信号を分割するように構成され得る。第2のデマルチプレクサは、ラマンスペクトルを所定の波長で分割してスペクトル帯の第2の組を取得するために応答の光信号を分割するように構成され得る。スペクトル帯の2つの組は、時間遅延機構を通って検知器へ導かれ、本明細書で説明されたように生体試料を特徴付けるのに使用され得る。第2のデマルチプレクサは、第1のデマルチプレクサに実質的に類似してよく、所望のラマンスペクトル情報に依拠して、所定のスペクトル帯範囲の変動を許容するものである。第2のデマルチプレクサは、たとえば、ビームスプリッタ、吸収フィルタ、低域通過フィルタ、高域通過フィルタ、ノッチフィルタ、またはミラーのうち1つまたは複数を備え得る。検知に先立って、スペクトル帯の第1の組、スペクトル帯の第2の組、またはその両方に、時間遅延が与えられてよく、与えられなくてもよい。
【0221】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、生体試料上の複数の隣接した位置を特徴付けて、生体試料に関する分光情報を包含した高解像度画像を生成するために使用され得る。信号修正要素は、励起信号伝送要素から光パルスを受け取って生体試料へ光パルスを導くように構成されてよく、励起信号伝送要素に結合され得る。応答の光信号は、本明細書で説明されたように、収集され、スペクトル的に分離され、かつ時間的に分離されてよい。たとえばラスタ走査機構といった信号修正要素は、生体試料の所定の部分にわたって光パルスを走査するように構成され得る。本明細書で説明されたように、光パルスが生体試料上の第1の位置へ導かれてよく、その位置における応答の光信号から、時間遅延を与えられたスペクトル帯が収集され得る。ラスタ走査機構は、時間遅延を与えられたスペクトル帯を第2の位置から収集するように、第2の光パルスを生体試料上の第2の位置へ導くのに使用され得る。生体試料の所定の部分の画像が作成され得るように、所定のパターンが走査されてよく、それぞれの新規の位置に対して、時間遅延を与えられたスペクトル帯の新規の組が照射される。第1の位置および第2の位置ならびに目的の何らかの他の位置からの時間遅延を与えられたスペクトル帯に応答して、生体試料が特徴付けられ得る。代替として、または組合せで、たとえばデジタルマイクロミラーデバイスといった信号修正要素は、1つまたは複数の所定のパターンを用いて光パルスを成形して、パターン化された光パルスを生体試料の所定の部分にわたって導くように構成され得る。時間遅延を与えられたスペクトル帯の第1の組を発生するために、生体試料の一部分が、第1の所定のパターンを用いて修正された光パルスで励起され得る。時間遅延を与えられたスペクトル帯の第2の組を発生するために、生体試料の一部分が、第2の所定のパターンを用いて修正された第2の光パルスで励起され得る。パターンは、生体試料のその部分を励起するために所定数のパターンまたはマスクが使用され得るように構成されてよく、ラスタ走査法を用いるよりも可能性としてより少ない反復または試料励起を使用して生体試料の所定の部分の画像を再現するように、圧縮感知法を使用して組み合わされてよい。生体試料は、時間遅延を与えられたスペクトル帯の第1の組と、時間遅延を与えられたスペクトル帯の第2の組と、何らかの他の目的のさらなるマスクを使用して取得されたものとに応答して、特徴付けられ得る。そのような励起の方法により、比較的短期間で、試料エリアの所望のエリアにわたって、目的の複数の(たとえば3つ、4つ、5つ、6つまたはそれよりも多くの)蛍光性分子を検知することが可能になり得る。
【0222】
図5はトリガ同期機構の概略図を示す。検知器106は、検知器ゲート110が開いている定義された検知窓の期間中、応答の光信号に応答するように、任意選択で、ゲート制御回路によってゲート制御されて制御され得る。単一の検知窓の期間中、応答の光信号が検知器106によって記録され得るように、ゲート制御回路と光パルス制御が同期されてよい。光源100は、外部から起動された後、光パルスを発生するのに固有の遅延を有し得る。たとえば、光パルスを発生する際の遅延(本明細書ではトリガ遅延とも称される)は、約85マイクロ秒までであり得る。トリガ遅延は、約85マイクロ秒を超えることもある。固定遅延設定(左側の概略図)では、t0において光源100が起動され得、デジタル遅延デバイス102により、約84マイクロ秒後のt1において検知器106が起動され得る。約90ナノ秒後のt2において検知器ゲート(たとえばPMTゲート)110が開いてよく、約85マイクロ秒後のt3において光パルスが発生され得、したがって、光パルスは、検知器ゲート110が開いている検知窓の期間中に検知器(たとえばPMT)106に到達することができる。固定遅延設定は、本明細書で説明されたような光ダイオード109およびデジタイザ107を備え得る。動的遅延設定(右側の概略図)では、検知器ゲートを開くタイミングは、光パルス制御による光パルスの起動と、以前の光パルスの記録された遅延に基づいて検知器ゲートを開くことの間の遅延を加減することによって、光パルスと同期され得る。トリガ遅延は、レーザ100のそれぞれの光パルスの間で変化する可能性があり、遅延機構にはフィードバック機構が組み込まれてよい。光パルスを、検知器ゲート110が開くのと同期させるために、システムに、任意選択で第2の光ダイオード109aが追加されてよい。第2の光ダイオード109aは、光パルスのタイミングを検知してそのタイミングを外部トリガと比較し、光パルスの検知されたタイミングに基づいて、後続のトリガのタイミングを修正し得る。このフィードバック機構は、光源100が起動するときt0、光パルスが輝くときt1(たとえば約84マイクロ秒後)、検知器ゲート110が起動されるときt2(固定ではなく以前のトリガ遅延に関して調節される)、検知器ゲート110が開かれるときt4、および光ダイオードで記録された遅延t3の測定を含み得る。t2は、応答の光信号が検知用の検知器106に到達するとき、検知器106の電圧利得が「オン」であることを保証するように、動的に設定されてよい。光パルスが非活動状態のときに収集されるデータ量を低減するために、デジタイザを起動するのに、第1の光ダイオード109が任意選択で追加されてよい。
【0223】
図6は、時間分解分光用プローブの概略図を示す。プローブ600は、本明細書で説明されたように生体試料を特徴付けるために使用され得る。プローブ600は、たとえば、励起信号伝送要素103、光源100、信号収集要素108、デマルチプレクサ104(または本明細書で説明されたような他の光学アセンブリ)、光学的遅延デバイスまたは要素105、検知器106、デジタイザ107、光ダイオード109、検知器ゲート110、またはトリガ同期機構102のうち1つまたは複数を備え得る。プローブ600は、たとえば励起信号伝送要素103および複数の信号収集要素108を備え得る。プローブ600は、その近位端602において、光パルスを放射する光源(図示せず)に対して動作可能に結合され得る。光パルスは、(近位端602の左側の矢印の方向に)励起信号伝送要素103上へ導かれてよく、それに沿ってプローブ600の遠位端604および生体試料へ導かれ得る。励起信号伝送要素103は、光源が紫外線源またはレーザ源であるときには、たとえば0.11の開口数(NA)およびUV等級シリカコアファイバを有する直径600μmの光ファイバといった光ファイバを備え得る。試料を照射して応答の光信号を生成するために、光パルスが、プローブ600の遠位端604から生体試料上へ導かれ得る。応答の光信号は、複数の信号収集要素108によって収集され得る。複数の信号収集要素108が、6本の光ファイバを備え得る(たとえば図15を参照されたい)。複数の信号収集要素108は、たとえば、0.22のNAおよびUV等級シリカコアファイバを有する直径200μmの12本の光ファイバといった12本の光ファイバを備え得る。プローブ600が細いプロファイルを有するように、励起信号伝送ファイバ103のまわりに信号収集ファイバ108が配置されてよい。信号収集ファイバ108は、マルチモード結合器606を使用して、プローブ600の近位端602の近くで単一のファイバに束ねられてよく、応答の光信号は、(近位端604の右側の矢印の方向に)本明細書で説明されたようにスペクトル帯に分割するためのデマルチプレクサ(図示せず)または他の光学アセンブリ、あるいは本明細書で説明されたようなシステムの他の構成要素(光学的遅延デバイスまたは要素など)へ導かれてよい。信号収集ファイバ108は複数のファイバに束ねられ得る。デマルチプレクサまたは他の光学アセンブリは、プローブ600の一部をなしてよく、または外部にあってもよい。次いで、スペクトル帯は、検知器によって検知される前に、光遅延要素によって1つまたは複数の時間遅延を与えられてよい。光遅延要素は、プローブ600の一部をなしてよく、または外部にあってもよい。検知器はプローブ600の外部にあってよい。プローブ600の構成要素は、本明細書で説明されたものと実質的に類似してよい。プローブ600は手持ち式に構成されてよい。プローブ600は手持ち式プローブを備え得る。プローブ600は、たとえば市販のロボット外科手術システムを用いて、ロボットで制御され得る。プローブ600は、たとえば(ほぼ)リアルタイムの分光誘導の外科的切除を可能にするために、吸込みカニューレを組み込まれてよい。
【0224】
図7は、時間分解分光用のツーピースプローブの概略図を示す。少なくともいくつかの事例では、遠位部分702および近位部分704といった2つの部分を備える、生体試料を特徴付けるためのプローブ700を提供することは有益であり得る。ツーピースプローブ700の近位部分704は、図6で説明されたプローブ600に実質的に類似してよい。ツーピースプローブ700の遠位部分702は遠位の信号伝送要素706を備え得る。遠位の信号伝送要素706は、光ファイバ、屈折率分布型レンズ、ボールレンズ、ダイクロイックフィルタ、ミラー、または吸収フィルタを備え得る。遠位の信号伝送要素706は、光源が紫外線源またはレーザ源であるときには、たとえば0.11の開口数(NA)およびUV等級シリカコアファイバを有する直径600μmの光ファイバといった光ファイバを備え得る。遠位の信号伝送要素706は、近位の励起信号伝送要素103および近位の信号収集要素108に対して動作可能に結合され得る。近位部分704および/または遠位部分702は、遠位の伝送要素706を近位の励起信号伝送要素103および近位の信号収集要素108に結合する結合要素を備え得る。光源によって発生された光パルスは、近位の励起信号伝送要素103から遠位の信号伝送要素706へ導かれ得る。遠位の信号伝送要素706は、光パルスを生体試料上へ導き、次いで、生体試料からの応答の光信号を収集し得る。遠位の信号伝送要素706は、応答の光信号を近位の信号収集要素108へ導き得る。近位の信号収集要素108は、応答の光信号を、デマルチプレクサまたは本明細書で説明されたようなスペクトルのバンディング、時間的分解、および/または検知のための他の光学アセンブリへ導き得る。遠位部分702は、近位部分704から取外し可能であり得る。遠位部分702は使い捨てでよい。遠位部分702は交換可能でよい。遠位部分702は手持ち式に構成されてよい。遠位部分702は手持ち式プローブを備え得る。プローブ700は、たとえば(ほぼ)リアルタイムの分光誘導の外科的切除を可能にするために、吸込みカニューレを組み込まれてよい。プローブ700は、たとえば市販のロボット外科手術システムを用いて、ロボットで制御され得る。遠位部分702は、たとえば市販のロボット外科手術システムを用いて、ロボットで制御され得る。
【0225】
図8は、時間分解蛍光分光システムの概略図を示す。このシステムは、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの時間分解蛍光分光法を使用して生体試料を特徴付けるのに使用され得るものである。このシステムは、励起信号伝送要素103、光源100、少なくとも1つの信号収集要素108、および1つまたは複数のスペクトルフィルタ802が備わっているフィルタホイール800などの光学アセンブリを備え得る。光学アセンブリは、本明細書で説明されたフィルタホイールのうち任意のものを備え得る。このシステムは、光学的遅延デバイスまたは要素、検知器106、デジタイザ107、光ダイオード109、励起光パルスの一部分を光ダイオード109へ導くためのビームスプリッタ804、検知器ゲート、または本明細書で説明されたようなトリガ同期機構のうち1つまたは複数をさらに備え得る。励起信号伝送要素103、光源100、少なくとも1つの信号収集要素108、検知器106、デジタイザ107、光ダイオード109、検知器ゲート、光学的遅延デバイスまたは要素、およびトリガ同期機構は、本明細書で説明されたものに実質的に類似してよい。
【0226】
光源100は、所定の励起波長において光パルスまたは連続光のビームを発生するように構成され得る。光パルスは、たとえば光ファイバといった励起信号伝送要素103によって、たとえば患者の脳といった生体試料101へ導かれ得る。生体試料101は、光パルスによって励起されると応答の光信号を生成し得、これが1つまたは複数の信号収集要素108によって収集され得る。次いで、応答の光信号を所定の波長における少なくとも2つのスペクトル帯に分割するために、応答の光信号は、信号収集要素108によってフィルタホイール800へ導かれ得る。応答の光信号を視準してフィルタホイール800の1つまたは複数のフィルタ802上へ導くために、応答の光信号は、任意選択で、1つまたは複数の信号収集要素108によって、たとえば図9Bに示されるようなビームコリメータを通されてよい。ビームコリメータを使用すると、検知器106の収集窓上の照明エリアが拡大し得る。次いで、スペクトル帯は、記録される前にスペクトル帯を時間的に分離するために、スペクトル帯に対して少なくとも1つの時間遅延を与える光学的遅延デバイスへ導かれ得る。代替として、または組合せで、フィルタホイール800は、スペクトル帯を時間的に分離するように働き得る。いくつかの事例では、スペクトル帯にさらなる時間遅延は与えられなくてよい。次いで、スペクトル帯(時間遅延を与えられたもの、または与えられていないもの)は、検知器106へ導かれて1つずつ検知され得る。それぞれのスペクトル帯について、検知器106は、次のスペクトル帯が検知器106に到達する前にスペクトル帯の蛍光減衰および蛍光強度を記録し得る。このようにして、応答の光信号から、時間分解された(蛍光減衰)情報と波長分解された(蛍光強度)情報の両方をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで集めるのに、単一の励起光パルスが使用され得る。
【0227】
図9Aは、高速フィルタホイールの概略図を示す。応答の光信号900は、光学アセンブリ、またはたとえばフィルタホイール800といった応答の光信号900をスペクトル帯に分割する波長分割デバイス上へ導かれ得る。応答の光信号900は、フィルタホイール800を通過し得る。フィルタホイール800は、スペクトル帯を発生するための複数のスペクトルフィルタ802を備え得る。応答の光信号900は、複数のスペクトルフィルタ802を通過してスペクトル帯を発生し得る。フィルタホイール800は、回転するフィルタホイールを備え得る。回転するフィルタホイール800は、検知器106が、時間分解された蛍光減衰情報と波長分解された蛍光強度情報の両方をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで集めることを可能にするように、スペクトル帯を急速に発生するための超高速のフィルタホイールでよい。回転するフィルタホイール800は流動性フィルタホイールでよく、または電動式でもよい。回転するフィルタホイール800は、連続的に、または段階的に回転するように構成され得る。回転するフィルタホイール800が備え得る1つまたは複数のエンコーダは、検知器106によって検知されるように構成され、(たとえば第2のスペクトル帯から第1のスペクトル帯を識別するように)スペクトル帯の独自性を符号化するように使用され得る。
【0228】
広帯域の応答の光信号を、それぞれが別個の中心波長を有する複数の狭いスペクトル帯に分解するために、応答の光信号900は、たとえばフィルタホイール800のスペクトルフィルタ802によって分割されてよい。フィルタホイール800は、スペクトルフィルタ802とともに、応答の光信号900を、所望の数に依拠して任意数のスペクトル帯に分割するように構成され得る。たとえば、フィルタホイール800は、6つの蛍光性の分子を含む生体試料の蛍光性の減衰を特徴付けるために、6つのスペクトルフィルタ802を用いて、応答の光信号900を、6つのスペクトル帯へ、繰り返し、急速に、分割するように構成され得る。フィルタホイール800は、応答の光信号900が6つのスペクトルフィルタ802の各々を立て続けに通過することにより、波長分解されたスペクトル帯の第1の組を発生するように、回転し得る。フィルタホイール800の追加の回転が、波長分解されたスペクトル帯の追加の組を発生し得、それぞれの組が、以前の組と比較して時間的に遅れる。波長分解されたスペクトル帯および/またはスペクトル帯の組を識別するのを支援するために、システム(たとえば本明細書で説明されたようなコンピュータプロセッサ)が、スペクトル帯を時間的に調整して、応答の光信号900から、時間分解されかつ波長分解された情報を発生することを可能にするように、本明細書で説明されたようなホイールには、1つまたは複数のエンコーダが与えられ得る。波長分解されたスペクトル帯は、フィルタホイール800によって、フィルタホイール800から検知器106へ導かれ得る。
【0229】
図9Bは、ビームコリメータの概略図を示す。応答の光信号900は、本明細書で説明されたようなフィルタホイール(図示せず)を通過する前に応答の光信号900が視準されるように、1つまたは複数の信号収集要素108により、ビームコリメータ910へ配送されて、一連の光学的合焦要素910~914を通過し得る。直径5mmの視準された応答の光信号ビーム900を発生するために、光学的合焦要素910は、1つまたは複数の信号収集要素108から約14.98mm離れて配置され得る。光学的合焦要素911は、光学的合焦要素910から、約60mm~約80mmの範囲内で、たとえば約80mm離れてよい。光学的合焦要素911は、要素912から約47mm離れて配置され得る。光学的合焦要素912は、光学的合焦要素913から約25mm離れてよい。光学的合焦要素913は、光学的合焦要素914から約38.1mm離れてよい。光学的合焦要素914は、フィルタホイール(図示せず)から約20mm離れてよい。光学的合焦要素910~914は、フィルタホイール上に直径5mmの視準ビーム900を発生させるために、示されるように、ビーム通路(示されるように直線状でよく、または角度を含んでもよい)に沿って、別個の間隔で空間的に分離されてよい。代替として、または組合せで、要素910~914は、1つまたは複数の信号収集要素108から異なる距離にある視準ビーム900および/または異なるビーム径を有する視準ビーム900を発生するために、当業者により、希望通りに、要素の間に異なる距離を伴って構成され得る。
【0230】
図10は、測定器の応答関数(IRF)を測定するために使用され得るフィルタホイールの概略図を示す。フィルタホイール1000は、本明細書で説明されたフィルタホイールの任意のものに実質的に類似してよい。本明細書で説明されたフィルタホイールの特徴のいかなるものも、希望通りに組み合わされ得ることが、当業者には理解されよう。システムの計測器(光学アセンブリ、光源、検知器、デジタイザなどを含む)が、組織の蛍光信号(または応答の光信号)に影響を及ぼす可能性がある。この影響はIRFと称される。ほとんどの場合、多くの構成要素のIRFに対する寄与は、経時的にはあまり変化せず、したがって、組織からの信号を測定するのに先立ってあらかじめ測定され得、連続的に監視する必要性なくコンピュータに記憶され得る。記憶されたIRFは、「真の」減衰信号を判定するために、収集された試料蛍光減衰に対して逆畳み込みを遂行するのに使用され得る。しかしながら、たとえばレーザといった光源は、レーザ温度の変動、使用期間、ドリフトなどのために、パルス特性(たとえば信号強度など)が経時的に変化する可能性がある。いくつかの事例では、フィルタホイール800の各サイクル中にIRFを収集して、新しく収集されたIRFを、そのサイクル中に収集されたスペクトル帯の組の逆畳み込みに使用することにより、レーザパルスの品質の変動を補償するようにシステムを構成するのが望ましいことであり得る。フィルタホイール1000は、たとえば示されるような6つのスペクトルフィルタ1002b~1002gといった1つまたは複数のスペクトルフィルタを備えてよく、これらは、本明細書で説明されたように応答の光信号をスペクトル帯に分割するものである。フィルタホイール1000は、たとえば低域通過フィルタといった第7のフィルタ1002aをさらに備えてよく、これは、システムのIRFに関する情報をもたらし得るものである。第7のスペクトルフィルタ1002aは、フィルタホイール800の各サイクルに関するIRFを判定するために、レーザ自体に関する情報を収集するための低域通過フィルタおよび中性濃度フィルタ(一般的にはレーザ強度が応答の光信号の強度よりも数桁大きいので、信号強度を低下させるためのもの)を備え得る。
【0231】
図11は、エンコーダを組み込まれたフィルタホイールの概略図を示す。フィルタホイール1100は、本明細書で説明されたフィルタホイールの任意のものに実質的に類似してよい。本明細書で説明されたフィルタホイールの特徴のいかなるものも、希望通りに組み合わされ得ることが、当業者には理解されよう。場合によっては、フィルタホイール1100は、フィルタ1102の正確な位置決めを保証し、どのスペクトル帯がどのスペクトルフィルタ1102に対応するかということをシステム(たとえばコンピュータプロセッサ)に通知するためにステッパ電動機を使用するステップフィルタでよい。しかしながら、場合によっては、フィルタホイール1100を連続的に回転させるために連続的なモータが使用されてもよい。連続的なモータを使用すると、信号取得速度の増加および取得時間の短縮が可能になり得る。検知器によって信号が取得されるとき、特定のスペクトルフィルタ1102に対応するものとしてそれぞれのスペクトル帯に「フラグを立てる」ために、フィルタホイール1100には1つまたは複数のエンコーダ1104が組み込まれ得る。たとえば、それぞれのスペクトル帯を、フィルタホイール1100によって発生されたものとして識別するために、それぞれのフィルタ1102の間にエンコーダ1104があってよい。それぞれのスペクトル帯について、第1のエンコーダ1104aが、第1のスペクトル帯を発生し得る第1のフィルタ1102aを識別してよく、第2のエンコーダ1104bが、第2のスペクトル帯を発生し得る第2のフィルタ1102bを識別してよい、といった具合である。エンコーダ1104は、データ捕獲を始動し、かつスペクトル帯の波長(単数または複数単数または複数)を識別するために、デジタイザによるデータ取得を起動するのにも使用され得る。
【0232】
図12は、デッドスペースが縮小されたフィルタホイールの概略図を示す。フィルタホイール1200は、本明細書で説明されたフィルタホイールの任意のものに実質的に類似してよい。本明細書で説明されたフィルタホイールの特徴のいかなるものも、希望通りに組み合わされ得ることが、当業者には理解されよう。左側に示されているフィルタホイール800は、保持具8022を有するフィルタホイール800に取り付けられた1つまたは複数のスペクトルフィルタ802を備え得る。それぞれのスペクトルフィルタ802と、その隣接フィルタとの間に、いくらかのデッドスペース1204がある。このデッドスペース1204は、たとえばフィルタホイール800が隣接したフィルタ802の間で回転していて、信号がフィルタ802上に合焦されていないとき、応答の光信号の伝送を妨害する可能性がある。たとえばいくつかの事例では、取得時間を増加するため、および/またはデータが確実に捕捉されることを保証するために、フィルタホイール800上のデッドスペース1204を縮小するのが有益であり得る。多くの場合、フィルタホイール800上にデッドスペース1204があると、フィルタホイール800がフィルタ802の間を動くとき、レーザのパルシングを一時的に停止する必要性が生じ得る。レーザをたとえ1マイクロ秒でも一時的に停止すると、フィルタ802が検知器の前にもう一度適切に位置決めされるとき、浪費されたレーザパルスをもたらし得る、再始動後に安定させるための時間(たとえば100μsのパルス)を必要とする可能性がある。代替として、または組合せで、デッドスペース1204は、信号の欠落と、システムがデータを取得していない時間とをもたらす(したがって連続的にデータを取得する場合よりも効率が悪い)ことがある。右側には、フィルタホイール1200のデッドスペースを縮小するように構成されたフィルタホイール1200が示されている。フィルタホイール1200は、複数の隣接したスペクトル区域1202を発生するように、間のデッドスペースなしでコーティングされた被覆ガラスを備え得る。デッドスペースがなければ、フィルタホイール1200が各スペクトルフィルタ1202を通過して回転するとき、光源が連続的に起動され得て信号が連続的に取得され得るので、システムの効率が向上し得る。フィルタホイール1200が任意選択で備え得るIRFフィルタ領域1206は、本明細書で説明されたようなフィルタホイール1200の各サイクルについてIRFに関する情報を収集するように、ショートパスフィルタおよび任意選択で中性濃度フィルタを備え得る。
【0233】
図13は、合焦反照検流計およびスペクトルフィルタを備える光学アセンブリの概略図を示す。検知器106と1つまたは複数の信号収集要素108の間に、静止したフィルタホイール1300が設けられてよく、信号収集要素108からの応答の光信号900を、静止したフィルタホイール1300のスペクトルフィルタ1302を通して検知器106へ導くのに、合焦反照検流計1304が使用され得る。応答の光信号は、反照検流計1304によって、スペクトルフィルタ1302上へ順に導かれ得る。反照検流計1304は、応答の光信号900を、小さいエリアを有するフィルタホイール1300の各フィルタ1302上へ所定のシーケンスで合焦するために、x方向およびy方向に離れてよい。フィルタホイールは、本明細書で説明されたフィルタホイールの構成の任意のものおよびフィルタ1302のタイプ(たとえば挿入またはコーティング)に実質的に類似してよい。反照検流計1304は、信号900を単一のフィルタ1302上に同時に合焦するために、応答の光信号900を急速に動かし得る。静止したフィルタホイール1300および反照検流計1304を使用すると、回転するフィルタホイールと比較してシステムの取得速度が向上し得る。時間分解され、スペクトル的に分解されたデータを発生するために、反照検流計1304は、スペクトルフィルタ1302のその取得シーケンスを繰り返してよい。フィルタホイール1300が任意選択で備え得るIRFフィルタ領域1306は、本明細書で説明されたような反照検流計1304の各シーケンスについてIRFに関する情報を収集するように、ショートパスフィルタおよび任意選択で中性濃度フィルタを備え得る。
【0234】
図14Aは、時間分解分光用プローブの概略図を示す。図14Cは、図14Aのプローブの先端の拡大端面図を示す。図14Cは、図14Aのプローブの先端の拡大図を示す。プローブ1400は、本明細書で説明されたプローブの任意のものに実質的に類似してよい。プローブ1400は、たとえば、励起信号伝送要素103、光源、信号収集要素108、光学アセンブリ、光学的遅延デバイスまたは要素、検知器、デジタイザ、光ダイオード、検知器ゲート、またはトリガ同期機構102のうち1つまたは複数を備え得る。プローブ1400は、たとえば、励起伝送要素103と、たとえば6つといった1つまたは複数の信号収集要素108とを備え得る。励起伝送要素103および1つまたは複数の信号収集要素108は、本明細書で説明されたものに実質的に類似してよい。励起伝送要素103および6つの信号収集要素108は、たとえば、励起伝送ファイバ103が中心に位置決めされそのまわりに6つの信号収集要素108が配置された光ファイバ(たとえば600μm、NAが0.27)を備え得る。プローブ1400は、その近位端において、光パルスを放射する光源(図示せず)に対して動作可能に結合され得る。光パルスは、励起信号伝送要素103上へ導かれてよく、それに沿ってプローブ1400の遠位端1402および生体試料へ導かれ得る。試料を照射して応答の光信号を生成するために、光パルスが、プローブ1400の遠位端1402から生体試料上へ導かれ得る。プローブ1400の遠位端1402または本明細書で説明された任意のプローブは、前向きの窓1404(たとえばサファイア窓)を備え得る。窓1404は、励起伝送要素103、1つまたは複数の信号収集要素108、および/またはプローブ1400の本体の間の、空間の汚染を低減するように構成され得る。代替として、または組合せで、窓1404は、試料に到達して標的組織のより大きなエリアを照光する/照射するエネルギービームまたはパルスのサイズを拡大するために、励起伝送要素103の遠位端と試料の間に小さい距離をもたらすように構成され得る。応答の光信号は、複数の信号収集要素108によって収集され得る。応答の光信号は、本明細書で説明されたようなスペクトル帯に分割するための光学アセンブリ(図示せず)へ導かれ得る。信号収集ファイバ108は複数のファイバに束ねられ得る。デマルチプレクサまたは他の光学アセンブリは、プローブ1400の一部をなしてよく、または外部にあってもよい。次いで、スペクトル帯は、検知器によって検知される前に、光遅延要素によって1つまたは複数の時間遅延を与えられてよい。光遅延要素は、プローブ1400の一部をなしてよく、または外部にあってもよい。検知器はプローブ1400の外部にあってよい。プローブ1400の構成要素は、本明細書で説明されたものと実質的に類似してよい。プローブ1400は手持ち式に構成されてよい。プローブ1400は手持ち式プローブを備え得る。プローブ1400は、たとえば市販のロボット外科手術システムを用いて、ロボットで制御され得る。プローブ1400は、たとえば(ほぼ)リアルタイムの分光誘導の外科的切除を可能にするために、吸込みカニューレを組み込まれてよい。
【0235】
図15は、低蛍光性エポキシを含む時間分解分光用プローブの先端の概略図を示す。プローブ1500は、本明細書で説明されたプローブの任意のものに実質的に類似してよい。本明細書で説明されたプローブの特徴のいかなるものも、希望通りに組み合わされ得ることが、当業者には理解されよう。プローブ1500の遠位端1502が強調されている。プローブ1500は、励起伝送要素103と、たとえば6つといった1つまたは複数の信号収集要素108とを備え得る。励起伝送要素103および1つまたは複数の信号収集要素108は、本明細書で説明されたものに実質的に類似してよい。いくつかの事例では、本明細書で説明されたプローブのうち任意のものなどの光学プローブを作製するために使用される材料は、光がプローブを通過するとき、材料自体の自己蛍光を低減するように選択され得る。励起伝送要素103と信号収集要素108とを結合するのに使用され得るエポキシ1504は、入射光の波長に依拠して強い蛍光信号を生成し得る。プローブ内部のエポキシの蛍光は、光応答信号の収集および分析を不明瞭にするかまたは混乱させる恐れがある。場合によっては、ファイバ103と108を結合するのに使用されるエポキシ1504が発生する自己蛍光の量を低減するのが有益であり得る。たとえば、エポキシ1504は、ファイバを結合するために使用される前にカーボンブラックまたはすすと混合されてよい。エポキシ1504中のカーボンブラックまたはすすは、エポキシに到達する光を吸収し得、それによってエポキシ1504からの蛍光性ノイズを低減する。
【0236】
図16Aは、励起要素に結合されたショートパスフィルタを備える時間分解分光用プローブの先端の概略図を示す。プローブ1600aは、本明細書で説明されたプローブの任意のものに実質的に類似してよい。本明細書で説明されたプローブの特徴のいかなるものも、希望通りに組み合わされ得ることが、当業者には理解されよう。プローブ1600aの遠位端1602aが強調されている。プローブ1600aは、励起伝送要素103と、たとえば6つといった1つまたは複数の信号収集要素108とを備え得る。励起伝送要素103および1つまたは複数の信号収集要素108は、本明細書で説明されたものに実質的に類似してよい。いくつかの事例では、本明細書で説明されたプローブのうち任意のものなどの光学プローブを作製するために使用される材料は、光がプローブを通過するとき、材料自体の自己蛍光を低減するように選択され得る。たとえば、励起伝送要素103は、それに沿って励起光パルスが移動するとき、自己蛍光発光する可能性がある。励起伝送要素103の蛍光は、光応答信号と併せて信号収集要素108によって収集され得、それによって光応答信号を不明瞭にするかまたは混乱させ、システムにおけるノイズの量が増加する。場合によっては、励起伝送要素103の自己蛍光が組織から収集された応答の光信号に影響を及ぼすのを防止するために、ショートパスフィルタ1603で励起伝送要素103をコーティングするのが有益であり得る。
【0237】
図16Bは、ショートパスフィルタを備えるサファイア窓を有する時間分解分光用プローブの先端の概略図である。プローブ1600bは、本明細書で説明されたプローブの任意のものに実質的に類似してよい。本明細書で説明されたプローブの特徴のいかなるものも、希望通りに組み合わされ得ることが、当業者には理解されよう。プローブ1600bの遠位端1602bが強調されている。プローブ1600bは、励起伝送要素103と、たとえば6つといった1つまたは複数の信号収集要素108とを備え得る。励起伝送要素103および1つまたは複数の信号収集要素108は、本明細書で説明されたものに実質的に類似してよい。図16Aで説明されたように励起伝送要素103をコーティングすることの代替として、またはそれと組み合わせて、励起伝送要素103の自己蛍光が組織から収集された応答の光信号に影響を及ぼすのを防止するために、試料と励起伝送要素103の間にショートパスフィルタ1606を設けるのが有益であり得る。たとえば、プローブ1600bの遠位端1602bにおいて、励起伝送要素103と試料の間に、ショートパスフィルタ1606を有するサファイア窓1604が設けられてよい。
【0238】
図17は、時間分解蛍光分光システムの概略図を示す。このシステムは、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの時間分解蛍光分光法を使用して生体試料を特徴付けるのに使用され得るものである。このシステムは、励起信号伝送要素103、光源100、少なくとも1つの信号収集要素108、および1つまたは複数のスペクトルフィルタ1702などの光学アセンブリを備え得る。本明細書で説明されたプローブの任意のものに実質的に類似してよいプローブ1700において、励起信号伝送要素103と少なくとも1つの信号収集要素108が互いに結合され得る。プローブ1700は、たとえば(ほぼ)リアルタイムの分光誘導の外科的切除を可能にするために、吸込みカニューレ1701を組み込まれてよい。このシステムは、光学的遅延デバイスまたは要素1705、検知器106、コンピュータまたはプロセッサ113、デジタイザ、光ダイオード、検知器ゲート、または本明細書で説明されたようなトリガ同期機構のうち1つまたは複数を備え得る。このシステムは、電位依存性の減衰器1706および/または前置増幅器1707をさらに備え得る。励起信号伝送要素103、光源100、少なくとも1つの信号収集要素108、検知器106、デジタイザ、光ダイオード、検知器ゲート、およびトリガ同期機構は、本明細書で説明されたものに実質的に類似してよい。光学的遅延デバイス1705は、本明細書で説明されたものに実質的に類似してよく、たとえば、それぞれのスペクトル帯に対して時間遅延を導入するための異なる長さの複数のファイバまたはファイバ束を備える。
【0239】
光源100は、所定の励起波長において光パルスまたは連続光のビームを発生するように構成され得る。光パルスは、たとえば光ファイバといった励起信号伝送要素103によって、たとえば患者の脳といった生体試料へ導かれ得る。生体試料101は、光パルスによって励起されると応答の光信号を生成し得、これが1つまたは複数の信号収集要素108によって収集され得る。たとえば、36本の信号収集要素108が、応答の光信号を収集するために互いに束ねられてよい。励起信号伝送要素103は、示されるように、36本の収集ファイバ108の束の内部の中央ファイバでよい。36本のファイバの束の内部のファイバの各々を、3つある12本のファイバの束における対応するファイバに対して結合するのに、コネクタ1703が使用され得る。次いで、3つある12本のファイバの束は、光学的遅延デバイス1705へ送る収集ファイバ束結合器1704によって、6つある6本のファイバの束に分割されてよい。応答の光信号は、6つある6本のファイバの束の各々によって収集された応答の光信号に時間遅延を与えるために、信号収集要素108によって試料から光学的遅延デバイス1705へ導かれ得る。本明細書で説明されたような時間遅延を発生するために、6つある6本のファイバの束の各々が、たとえば、他の6本のファイバの束の各々とは異なる長さを有し得る。遅延ファイバは、ファイバ長さにわたって応答の光信号の帯域幅を維持するように、屈折率分布型ファイバでよい。次いで、時間遅延を与えられた応答の光信号は、光学的遅延デバイス1705によって、時間遅延を与えられた応答の光信号を、時間遅延を与えられたスペクトル帯に分割するように構成された光学アセンブリへ導かれ得る。たとえば、時間遅延を与えられた応答の光信号は、デマルチプレクサまたは本明細書で説明されたようなフィルタホイール上へ導かれてよい。代替として、または組合せで、光学的遅延デバイス1705の遅延ファイバは光学アセンブリを備え得る。たとえば、6つある6本のファイバの束の各々の近位端は、それぞれの6つのファイバの束が、時間遅延を与えられかつ波長分解されたスペクトル帯を検知器106へ導くように、スペクトルフィルタを備え得る。代替として、または組合せで、6つある6本のファイバの束の各々の近位端は、時間遅延を与えられたスペクトル帯を発生するようにカラーリングでコーティングされてよい。次いで、時間遅延を与えられたスペクトル帯は、検知器106へ導かれて1つずつ検知され得る。それぞれのスペクトル帯について、検知器106は、次のスペクトル帯が検知器106に到達する前にスペクトル帯の蛍光減衰および蛍光強度を記録し得る。このようにして、応答の光信号から、時間分解された(蛍光減衰)情報と波長分解された(蛍光強度)情報の両方をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで集めるのに、単一の励起光パルスが使用され得る。
【0240】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、またはプローブの任意のものが、標的組織をアブレーションするためのアブレーション要素をさらに備え得る。標的組織は、本明細書で説明されたように、標的組織の特徴付けに応答してアブレーションされてよい。アブレーション要素は、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えて標的組織をアブレーションするように構成され得る。アブレーション要素は、レーザまたは光エネルギーを与えて標的組織をアブレーションするように構成され得る。アブレーション要素は、励起信号伝送要素を備え得る。アブレーション要素は、本明細書で説明されたプローブのうち任意のものを備え得る。2つの部分のプローブ設計では、アブレーション要素は、近位の励起信号伝送要素および/または遠位の信号伝送要素を備え得る。アブレーションと時間分解された蛍光分光の組合せは、アブレーションに先立ってどの組織をアブレーションするべきか判定するため、アブレーションが生じるときそれを監視するため、および/またはアブレーションの終了後に適切な組織がアブレーションされたことを確認するために使用され得る。いくつかの事例では、市販のアブレーションプローブは、本明細書で説明されたような組織からの蛍光信号を収集するように変更されてよく、本明細書で説明されたような時間分解された蛍光分光データを発生するように使用されてよい。
【0241】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、より優れた情報を外科医に提供するために、画像誘導手術の技術と組み合わせて、生体試料を(ほぼ)リアルタイムで特徴付けるように使用され得る。たとえば、生体試料は、正常組織、良性の組織、または悪性の組織として特徴付けられ得、特徴付けは、外科的裁定を導くための位置のあたりのスペクトル情報をもたらすために、同一の位置における生体試料の画像とともに登録され得る。本明細書で説明された時間分解分光法のプローブの位置は、使用中に追跡され得る。標的組織の特徴付けは、プローブの位置、および追跡された位置における生体試料の画像とともに登録され得る。標的組織の撮像は、手術前、手術中、および/または手術後に生じてよい。分光情報は、手術前、手術中、および/または手術後の画像(単数または複数)と、別個に、並んで、または重ね合わせて、表示され得る。生体試料上の標的組織位置の画像を生成するために使用される撮像デバイスは、MRIスキャナ、CTスキャナ、PETスキャナ、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)デバイス、超音波トランスデューサ、NMR撮像装置、または電気インピーダンストモグラフィ(EIT)デバイスを備え得る。画像は、MRI画像、超音波画像、CT画像、OCT画像、NMR画像、PET画像、またはEIT画像を含み得る。組み合わされた撮像-スペクトルの特徴付けは、たとえば腫瘍周縁を突きとめるために、少なくとも生体試料の一部分のより大きな画像を作成するように、生体試料上の複数の位置において繰り返されてよく、または本明細書で説明されたように複数の位置にわたって走査されてよい。たとえば、本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法によって取得された分光情報は、より深い撮像(ニューロナビゲーション)を伴う表面情報(分光法)を提供するとともに、より優れた手術裁定を通知するために、脳外科手術中にニューロナビゲーションが発生した画像とともに登録され得る。
【0242】
本明細書で説明された、時間分解された蛍光分光のシステム、デバイス、および方法は、手術中の位置確認のために、ニューロナビゲーションと能動的または受動的に一体化され得る。プローブの位置を追跡するために、たとえばアイルランドのダブリンのMedtronic plc.から入手可能なMedtronic SureTrak(登録商標)システムなど市販のニューロナビゲーションシステムが、本明細書で説明されたプローブのうち1つに結合されてよい。プローブの受動的な一体化は、2つのシステム間で映像信号自体以外の追加のデータを交換することなく時間分解されたデータを表示するために、SureTrak(登録商標)表示器の一部分を利用することを必然的に伴い得る。プローブの能動的な一体化は、組み合わせされたデータを発生するために、ニューロナビゲーションと時間分解された蛍光分光システムを組み合わせることを必然的に伴い得る。たとえば、本明細書で説明された時間分解された蛍光分光システムは、データをニューロナビゲーションシステムに送信してよく、次いで、ニューロナビゲーションシステムは、「SureTrak」座標において手術前のMRI画像(単数または複数)上にデータを表示する(またはプロットする)ことができる。代替として、または組合せで、ニューロナビゲーションシステムは、「SureTrak」座標を本明細書で説明されたシステムに送信してよく、同システムは、本来のソフトウェアの座標データを、手術前のMRI画像(単数または複数)に関連して別個にプロットするように構成されたものでよい。
【0243】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、他の組織検知技術または診断技術と組み合わせて、生体試料を特徴付けるのに使用され得る。たとえば、生体試料は、組織学的診断と組み合わせて特徴付けられ得る。生体試料は、電気インピーダンス分析と組み合わせて特徴付けられ得る。たとえば、生体試料は、時間分解分光法の特徴付けと組み合わせて、特定の組織タイプの特徴を示す電気インピーダンスの変化に関して評価されてよい。組織の電気インピーダンスの変化は、たとえばin vivoまたはex vivoで、組織試料中の、時間分解分光法の浸透度よりも深い可能性がある腫瘍細胞の存在を検知するのに使用され得る。本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、生体試料を特徴付けるために、何らかの他の組織検知法または診断法と組み合わせて使用され得る。
【0244】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、傷害の後の組織生存可能性を判定するのに使用され得る。組織試料の応答の光信号における変質は、評価されている分子に依拠して、健常者と比較しての増加または減少のどちらかが組織生存可能性を表し得る。たとえば、生存可能な組織試料と生存不能な組織試料の間でNADHレドックス状態は異なり得、損傷した組織試料のNADH蛍光の増加は、NADH蓄積および低い組織生存可能性を表し得る。生体試料の内部のより多くの分子のうち1つを分析すると、たとえば壊死組織、低酸素組織、または瘢痕組織といった複数の組織タイプを識別し得る。
【0245】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、生体試料の細胞代謝を監視するのに使用され得る。試料の細胞代謝は、所望の期間にわたって周期的または連続的に特徴付けられ得る。細胞代謝は、たとえばNADHレドックス状態により特徴付けられ得る。細胞代謝を連続的に監視すると、虚血状態の細胞生存可能性および細胞の脆弱性を評価することが可能になり得る。細胞代謝を連続的に監視すると、薬剤の治療濃度域を最適化するために治療の効果を評価することが可能になり得る。pHレベルおよび/または酸素レベルを監視するとともに、細胞代謝を連続的に監視することが、細胞または組織試料の代謝状態を判定するために使用され得る。
【0246】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、腫瘍を検知するため、および/または腫瘍の悪性を判定するために使用され得る。所与の腫瘍タイプの、その正常組織相当物と比較した波長減衰特性が、判定されて、未知の組織タイプの特徴付けを通知するために使用されてよい。所与の腫瘍群の特有のスペクトル応答は、その腫瘍タイプに特異的であり得、生物組織の癌または非癌としての特徴付けばかりでなく、腫瘍のタイプおよび/または段階(たとえば重症度)の可能性のある判定も可能にするものである。本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、少し例を挙げれば、クロロトキシン(CTX)、5-アミノレブリン酸(5-ALA)、またはフルオレセインナトリウムなど公知の脳腫瘍を標的とする分子を検知するのに使用され得る。公知の分子による特定の蛍光に基づくのではなく、組織の全体にわたる自己蛍光から選択されたパラメータに基づいて、組織を特徴付けることが可能になり得る。
【0247】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、外因性蛍光分子を含む生体試料を特徴付けるのに使用され得る。本明細書で説明されたシステム、方法、およびデバイスは、生体試料の外因性蛍光分子の濃度または分布の一方または両方を判定するのに使用され得る。少なくともいくつかの事例では、患者を処置するとき、蛍光性に標識付けされて注入された分子の分布および/または濃度に関心があり得る。たとえば、身体の特定部分に注入された治療剤の位置または濃度を判定し得ることは、診断または処置の裁定に有益なことがある。別の例では、外科的切除に先立って、外科的切除中に、または外科的切除の後に、腫瘍の周縁がどこか判定するために、蛍光性に標識付けされた腫瘍標的分子を注入することには関心があり得る。外因性蛍光分子の濃度は、時間遅延を与えられたスペクトル帯を、既知の濃度の外因性蛍光分子のスペクトル帯から発生されたデータと比較することにより、時間遅延を与えられたスペクトル帯から判定され得る。生体試料内部の外因性蛍光分子の分布は、生体試料上の1つまたは複数の位置において取得された、時間遅延を与えられたスペクトル帯を、外因性蛍光分子によって放射されたスペクトルの有無に関して評価することにより、判定され得る。外因性蛍光分子は、蛍光標識薬、蛍光染料、または蛍光標識組織マーカのうち1つまたは複数を含み得る。外因性蛍光分子は、任意の公知の薬剤、色素、組織マーカもしくは同種のものに結合された任意の公知の蛍光性の部分、またはこれらの任意の組合せを含み得る。生体試料を特徴付けるために使用される外因性蛍光分子の選択は、目的の生体試料に依拠し得るものであることが理解されよう。外因性蛍光分子は、生体試料が正常脳、良性腫瘍、または悪性腫瘍であるとして特徴付けられる脳であるときには、たとえばICG標識CTX、ICG標識ノッチン、Cy5標識ノッチン、Cy7標識ノッチン、蛍光性を結合された腫瘍標的抗体、または蛍光標識腫瘍標的部分のうち1つまたは複数を含み得る。本明細書で説明されたシステムおよびデバイスは、目的の特定の蛍光体を検知するように構成され得る。たとえば、光源は、注入された蛍光標識腫瘍マーカを励起するように調整され得る。デマルチプレクサは、応答の光信号を、蛍光標識(たとえば蛍光体)の発光を最良に捕捉する波長範囲および/または組織の自己蛍光を除去する波長範囲に分割するように構成され得る。本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、生体試料において目的の任意の外因性の蛍光体を、最適に励起するかまたは検知するように構成され得る。
【0248】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、生体試料を高度な特異性で特徴付けるのに使用され得る。生体試料は、約80パーセント~約100パーセントの特異性で特徴付けられ得る。生体試料は、約85パーセント~約100パーセントの特異性で特徴付けられ得る。生体試料は、約90パーセント~約100パーセントの特異性で特徴付けられ得る。生体試料は、約95パーセント~約100パーセントの特異性で特徴付けられ得る。生体試料は、約80パーセント~約95パーセントの特異性で特徴付けられ得る。生体試料は、約85パーセント~約90パーセントの特異性で特徴付けられ得る。
【0249】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、生体試料を高い感度で特徴付けるのに使用され得る。生体試料は、約80パーセント~約100パーセントの感度で特徴付けられ得る。生体試料は、約85パーセント~約100パーセントの感度で特徴付けられ得る。生体試料は、約90パーセント~約100パーセントの感度で特徴付けられ得る。生体試料は、約95パーセント~約100パーセントの感度で特徴付けられ得る。生体試料は、約80パーセント~約95パーセントの感度で特徴付けられ得る。生体試料は、約85パーセント~約90パーセントの感度で特徴付けられ得る。
【0250】
本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、光パルスで励起されるのに応答して検知可能な光学スペクトル(たとえば放射された光学スペクトルまたは吸収された光学スペクトル)を有する任意の分子を検知するのに使用され得る。本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、たとえば、それだけではないが、治療剤、抗体、毒素、内毒素、菌体外毒素、腫瘍マーカ、またはこれらの組合せを含む、蛍光性に標識付けされているかまたは標識付けされていない、任意の分子を検知するために使用され得る。本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、たとえば標識付けされていない分子(たとえば自己蛍光の分子)の内在蛍光を検知するのに使用され得る。
【0251】
治療剤は化学療法剤を含み得る。化学療法剤の例は、それだけではないが、アルブミン結合パクリタキセル(ナノ粒子アルブミン結合パクリタキセル)、アクチノマイシン、アリトレチノイン、オールトランス型レチノイン酸、アザシチジン、アザチオプリン、ベバシズマブ、ベキサロテン(Bexatotene)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、セツキシマブ、シスプラチン、クロラムブチル、シクロホスファミド、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エルロチニブ、エトポシド、フルオロウラシル、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イピリムマブ、イリノテカン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキセート、ミトキサントロン、オクレリズマブ、オファツムマブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パニツムマブ(Panitumab)、ペメトレキセド、リツキシマブ、タフルポシド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、トレチノイン、バルルビシン、ベムラフェニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、ボリノスタット、ロミデプシン、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、クラドリビン、クロファラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ペントスタチン、マイトマイシン、イクサベピロン、エストラムスチン、またはこれらの組合せを含む。
【0252】
化学療法剤は標識付けされてよく、または(たとえば化学療法剤が内在蛍光を有する場合には)標識付けされなくてもよい。標識は、たとえば蛍光標識でよい。治療剤に標識付けするために、本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法とともに使用され得る蛍光標識の例は、それだけではないが、インドシアニングリーン(ICG)、クルクミン、ローダミン(ローダミンB、ローダミン123、ローダミン6Gまたはこれらの変種など)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェリン、フルオレセイン、量子ドット、またはこれらの組合せを含む。
【0253】
治療抗体を含む抗体は、それだけではないが、3F8、8H9、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アクトクスマブ、アダリムマブ、アデカツムマブ、アデュカヌマブ、アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブペゴル、ALD518、アレムツズマブ、アリロクマブ、アルツモマブペンテテート、アマツキシマブ、アナツモマブマフェナトクス、アニフロルマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アセリズマブ、アチヌマブ、アトリズマブ、アトロリムマブ、バピネオズマブ、バシリキシマブ、バビツキシマブ、ベクツモマブ、ベリムマブ、ベンラリズマブ、ベルチリムマブ、ベシレソマブ、ベバシズマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、ビマグルマブ、ビバツズマブメルタンシン、ブリナツモマブ、ブロソズマブ、ブレンツキシマブベドチン、ブリアキヌマブ、ブロダルマブ、カナキヌマブ、カンツズマブメルタンシン、カンツズマブラブタンシン、カプラシズマブ、カプロマブペンデチド、カルルマブ、カツマキソマブ、cBR96-ドキソルビシン免疫複合体、セデリズマブ、セルトリズマブペゴル、セツキシマブ、シタツズマブボガトクス、シクスツムマブ、クラザキズマブ、クレノリキシマブ、クリバツズマブテトラキセタン、コナツムマブ、コンシズマブ、クレネズマブ、ダセツズマブ、ダクリズマブ、ダロツズマブ、ダラツムマブ、デムシズマブ、デノスマブ、デツモマブ、ドルリモマブアリトクス、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュピルマブ、ドゥシギツマブ、エクロメキシマブ、エクリズマブ、エドバコマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エファングマブ、エルデルマブ、エロツズマブ、エルシリモマブ、エナバツズマブ、エンリモマブペゴル、エノキズマブ、エノチクマブ、エンシツキシマブ、エピツモマブシツキセタン、エプラツズマブ、エルリズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、エトロリズマブ、エボロクマブ、エクスビビルマブ、ファノレソマブ、ファラリモマブ、ファルレツズマブ、ファシヌマブ、FBTA05、フェルビズマブ、フェザキヌマブ、フィクラツズマブ、フィジツムマブ、フランボツマブ、フォントリズマブ、フォラルマブ、フォラビルマブ、フレソリムマブ、フルラヌマブ、フツキシマブ、ガリキシマブ、ガニツマブ、ガンテネルマブ、ガビリモマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲボキズマブ、ギレンツキシマブ、グレムバツムマブベドチン、ゴリムマブ、ゴミリキシマブ、グセルクマブ、イバリズマブ、イブリツモマブチウキセタン、イクルクマブ、イゴボマブ、IMAB362、イムシロマブ、イムガツズマブ、インクラクマブ、インダツキシマブラブタンシン、インフリキシマブ、イノリモマブ、イノツズマブ・オゾガマイシン、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、イトリズマブ、イキセキズマブ、ケリキシマブ、ラムブロリズマブ、ラムパリズマブ、レブリキズマブ、レマレソマブ、ラベツズマブ、レルデリムマブ、レキサツムマブ、リビビルマブ、リゲリズマブ、リンツズマブ、リリルマブ、ロデルシズマブ、ロルボツズマブメルタンシン、ルカツムマブ、ルミリキシマブ、マパツムマブ、マージツキシマブ、マスリモマブ、マツズマブ、マブリリムマブ、メポリズマブ、メテリムマブ、ミラツズマブ、ミンレツモマブ、ミツモマブ、モガムリズマブ、モロリムマブ、モタビズマブ、モキセツモマブパスドトクス、ムロモナブ-CD3、ナコロマブタフェナトクス、ナミルマブ、ナプツモマブエスタフェナトクス、ナルナツマブ(Namatumab)、ナタリズマブ、ネバクマブ、ネシツムマブ、ネレリモマブ、ネスバクマブ、ニモツズマブ、ニボルマブ、ノフェツモマブメルペンタン、オカラツズマブ、オクレリズマブ、オデュリモマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オロキズマブ、オマリズマブ、オナルツズマブ、オンツキシズマブ、オポルツズマブモナトクス、オレゴボマブ、オルチクマブ、オテリキシズマブ、オトレルツズマブ、オキセルマブ、オザネズマブ、オゾラリズマブ、パジバキシマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、パンコマブ、パノバクマブ、パルサツズマブ、パスコリズマブ、パテクリズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペラキズマブ、ペルツズマブ、ペキセリズマブ、ピジリズマブ、ピナツズマブベドチン、ピンツモマブ、プラクルマブ、ポラツズマブベドチン、ポネズマブ、プリリキシマブ、プリトキサキシマブ、プリツムマブ、PRO 140、クイリズマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、ラァフィビルマブ、ラムシルマブ、ラニビズマブ、ラキシバクマブ、レガビルマブ、レスリズマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、ロレデュマブ、ロモソズマブ、ロンタリズマブ、ロベリズマブ、ルプリズマブ、サマリズマブ、サリルマブ、サツモマブペンデチデ、セクキヌマブ、セリバンツマブ、セトキサキシマブ、セビルマブ、SGN-CD19A、SGN-CD33A、シブロツズマブ、シファリムマブ、シルツキシマブ、シムツズマブ、シプリズマブ、シルクマブ、ソラネズマブ、ソリトマブ、ソネプシズマブ、ソンツズマブ、スタムルマブ、スレソマブ、スビズマブ、タバルマブ、タカツズマブテトラキセタン、タドシズマブ、タリズマブ、タネズマブ、タプリツモマブパプトクス、テフィバズマブ、テリモマブアリトクス、テナツモマブ、テネリキシマブ、テプリズマブ、テプロツムマブ、TGN 1412、チシリムマブ(トレメリムマブ)、チガツズマブ、チルドラキズマブ、TNX-650、トシリズマブ(アトリズマブ)、トラリズマブ、トシツモマブ、トベツマブ、トラロキヌマブ、トラスツズマブ、TRBS07、トレガリズマブ、トレメリムマブ、ツコツズマブセルモロイキン、ツビルマブ、ウブリツキシマブ、ウレルマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、バンチクツマブ、バパリキシマブ、バテリズマブ、ベドリズマブ、ベルツズマブ、ベパリモマブ、ベセンクマブ、ビシリズマブ、ボロシキシマブ、ボルセツズマブマフォドチン、ボツムマブ、ザルツムマブ、ザノリムマブ、ザツキシマブ、ジラリムマブ、ゾリモマブ・アリトクス、またはこれらの組合せを含み得る。
【0254】
抗体は標識付けされてよく、または標識付けされなくてもよい。標識は、たとえば蛍光標識でよい。治療剤に標識付けするために、本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法とともに使用され得る蛍光標識の例は、それだけではないが、ICG、クルクミン、ローダミン(ローダミンB、ローダミン123、ローダミン6Gまたはこれらの変種など)、GFP、ルシフェリン、フルオレセイン、量子ドット、またはこれらの組合せを含む。
【0255】
毒素は、それだけではないが、α毒素、炭疽毒素、細菌毒素、ジフテリア毒素、菌体外毒素、百日咳毒素、志賀毒素、志賀様毒素、耐熱性エンテロトキシン、チャネル形成毒素、マイコトキシン、コレラ毒素、サソリ毒、クロロトキシン、破傷風毒素、またはこれらの組合せを含む。
【0256】
毒素は標識付けされてよく、または標識付けされなくてもよい。標識は、たとえば蛍光標識でよい。治療剤に標識付けするために、本明細書で説明されたシステム、装置、および方法とともに使用され得る蛍光標識の例は、それだけではないが、ICG、クルクミン、ローダミン(ローダミンB、ローダミン123、ローダミン6Gまたはこれらの変種など)、GFP、ルシフェリン、フルオレセイン、量子ドット、またはこれらの組合せを含む。
【0257】
たとえば細胞表面タンパク質といったタンパク質は、本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法を使用して検知され得る。タンパク質は、細胞表面マーカに結合する抗体(たとえば標識抗体または非標識抗体)を使用して検知され得る。タンパク質は、目的のタンパク質に結合するsiRNA(たとえば標識siRNAまたは非標識siRNA)を使用して検知され得る。本明細書で説明されたシステム、方法、およびデバイスを使用して検知され得るタンパク質の例は、それだけではないが、4-1BB、5T4、腺癌抗原、アルファ-フェトプロテイン、アネキシン(たとえばアネキシンA1、A2、A5)、BAFF、B-リンパ腫細胞、C242抗原、CA-125、カルボニックアンヒドラーゼ9(CA-IX)、C-MET、CCR4、CD152、CD19、CD20、CD200、CD22、CD221、CD23(IgE受容体)、CD28、CD30(TNFRSF8)、CD33、CD4、CD40、CD44v6、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CEA、CNTO888、CTLA-4、DR5、EGFR、EpCAM、CD3、FAP、フィブロネクチンエクストラドメイン-B、葉酸受容体1、GD2、GD3ガングリオシド、グリコプロテイン75、GPNMB、HER2/neu、HGF、ヒト散乱因子受容体キナーゼ、IGF-1受容体、IGF-1、IgG1、L1-CAM、IL-13、IL-6、インスリン様成長因子I受容体、インテグリンα5βI、インテグリンαvβ3、MORAb-009、MS4A1、MUC1、ムチンCanAg、N-グリコリルノイラミン酸、NPC-1C、PDGF-Rα、PDL192、ホスファチジルセリン、前立腺癌細胞、RANKL、RON、ROR1、SCH900105、SDC1、SLAMF7、TAG-72、テネイシンC、TGFベータ2、TGF-β、TRAIL-R1、TRAIL-R2、腫瘍抗原CTAA16.88、VEGF-A、VEGFR-1、VEGFR-2、ビメンチン、またはこれらの組合せを含む。さらなる例は、それだけではないが、AOC3(VAP-1)、CAM-3001、CCL11(エオタキシン-1)、CD125、CD147(ベイシジン)、CD154(CD40L)、CD2、CD20、CD23(IgE受容体)、CD25(IL-2受容体のα鎖)、CD3、CD4、CD5、IFN-α、IFN-γ、IgE、IgE Fe領域、IL-1、IL-12、IL-23、IL-13、IL-17、IL-17A、IL-22、IL-4、IL-5、IL-5、IL-6、IL-6受容体、インテグリンα4、インテグリンα4β7、ラマ(Lama glama)、LFA-1(CD11a)、MEDI-528、ミオスタチン、OX-40、rhuMAbβ7、スクレロスチン(scleroscin)、SOST、TGFベータ1、TNF-α、VEGF-A、ベータアミロイド、MABT5102A、L-1β、CD3、C5、心筋ミオシン、CD41(インテグリンα-IIb)、フィブリンII、ベータ鎖、ITGB2(CD18)、スフィンゴシン-1-リン酸、炭疽毒素、CCR5、CD4、クランピング因子A、サイトメガロウイルス、サイトメガロウイルスグリコプロテインB、内毒素、Escherichia coliタンパク質、B型肝炎表面抗原、B型肝炎ウイルス、HIV-1、Hsp90、インフルエンザA血球凝集素、リポタイコ酸、Pseudomonas aeruginosa、狂犬病ウイルスグリコプロテイン、呼吸器合胞体ウイルス、TNF-α、ルイスYおよびCEA抗原、Tag72、葉酸結合タンパク質、またはこれらの組合せを含む。
【0258】
タンパク質は標識付けされてよく、または標識付けされなくてもよい。標識は、たとえば蛍光標識でよい。治療剤に標識付けするために、本明細書で説明されたシステム、装置、および方法とともに使用され得る蛍光標識の例は、それだけではないが、ICG、クルクミン、ローダミン(ローダミンB、ローダミン123、ローダミン6Gまたはこれらの変種など)、GFP、ルシフェリン、フルオレセイン、量子ドット、またはこれらの組合せを含む。
実験的な例
【0259】
図18Aは、ex vivoの脳試料におけるNADHの連続監視に使用される時間分解分光システムの概略図を示す。NADHレベルの変化は、酸素欠乏、神経保護剤による刺激、および他の刺激に応答して脳試料の代謝状態における変化を判定するために評価された。好気的呼吸状態におけるATP産生の間中、NADHはNAD+に酸化される。たとえば低酸素状態では、卒中後の低酸素または虚血のエリアでは、細胞にNADHが蓄積し、持続的な酸素欠乏が細胞死およびNADHの分解をもたらすことがある。異なるNADHの状態およびレベルは、虚血の環境における細胞の生存可能性および脆弱性の評価を可能にし得る。NADHおよびNAD+からの蛍光放射を測定することにより、NADHレベルの変動が評価されており、NADHとNAD+は、どちらもUVにおいてスペクトルを強く吸収するが、異なる蛍光特性を有する。NADHは、シトクロムに結合されているかどうかということに依拠して、約440nmおよび約460nmのあたりで強く蛍光を発する。NAD+は非蛍光性である。このシステムは、脳試料内部の結合NADH母集団対遊離NADH母集団をそれぞれ監視するために、約452nm未満のスペクトル帯および約452nmを超えるスペクトル帯を検知するように構成されていた。
【0260】
このシステムが備えるQスイッチND:YaGレーザ(Teem Photonics PNVM02510)1804は、1kHzで動作し、約350nmの波長で約400ピコ秒の全幅半値(FWHM)のパルス幅のレーザパルスを放射した。1つのレーザパルス当たり総エネルギーは、光退色からの試料のNADHを防止するために、5μJを超えなかった。励起光は、特注の三叉光学プローブ1800を使用して組織1801に配送された。プローブ1800は、励起光を配送するための中央の600μmのファイバ1805と、それを取り囲む、応答の蛍光信号を収集するための12本の200μmのファイバとを備えるものであった。12本の収集ファイバは1つおきに束ねられ、したがって、それぞれ6本のファイバの束を2つ(1806a、1806b)形成した。一方の収集ファイバ束1806aは、蛍光スペクトルを100ミリ秒ごとに監視する分光計(Ocean Optics、Maya)に結合された。他方の収集ファイバ束1806bは、コリメータレンズ1813を介してデマルチプレクサ1808に結合された。デマルチプレクサ1808は、約370nm未満の光を除去するためのロングパスフィルタ1809を備えていた。次いで、フィルタリングされた光は、約452nm未満のスペクトル帯1811a(たとえば結合NADH)および約452nmを超えるスペクトル帯1811b(たとえば遊離NADH)を発生するために、ビームスプリッタ1810によって約452nmの波長において分割された。次いで、スペクトル帯1811a、1811bは、本明細書で説明されたような時間遅延を与えられたスペクトル帯を発生するために、1つのスペクトル帯につき1つある1組のコリメータ1812によって収集され、異なる長さの光学的遅延ファイバに供給された。時間遅延を与えられたスペクトル帯は、MCP-PMTと分光計の両方によって記録された。
【0261】
ウサギの脳を収集し、低温の、酸素を豊富に含むクレブス-リンガー溶液(Kreb-Ringer solution)1802の中で試験室に輸送した。皮質1801を分離し、クレブス-リンガー溶液1802に入れ、組織生存可能性を保つために95%のOおよび5%のCOの1803で連続的にバブリングさせた。本明細書で説明した方法を使用して蛍光信号を記録するために、プローブ1800を組織1801上で調節した。組織試料1801からの蛍光が、平衡を保ち、頭打ちになって、定常状態に達するまで、結合NADHおよび遊離NADHのベースライン信号を記録した。およそ30分後に、1820で、クレブス-リンガー槽に、計量された用量の50nMのロテノンを追加した。ロテノンは、ミトコンドリア中のシトクロムにNADHが結合するのを阻止する。その10分後の1822でロテノンを1μM追加投与し、その後10分後の1824でロテノンを50μM追加投与した。
【0262】
図18Bは、ex vivoの脳試料におけるNADHの連続監視を伴う実験の結果を示す。約2時間にわたり、追加の刺激に応答して、遊離NADHと結合NADHの両方の濃度をほぼリアルタイムで(約100ミリ秒ごとに)マッピングした。1820で50nMのロテノンを追加したところ、NADHの消費を阻止してNADHが蓄積したため、NADHレベルが予想通りに増加した。1822、1824でロテノンの濃度を増加したところ、同様に、検知される蛍光がさらに増加した。約65分の1826でガスを止めたところ、約20分後の1828でガスが再開されるまで、低酸素に応答してNADHレベルが上昇した。
【0263】
図19Aは、NADHレベルに関して測定され、卒中後の細胞生存可能性に関して特徴付けられたex vivoの脳における試料位置を示す。本明細書のシステム、デバイスおよび方法は、NADHのレベル変化および代謝状態をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで監視することに加えて、虚血性傷害の後に組織を生存可能または生存不能として特徴付けるのにも使用され得る。NADHレベルは、虚血性脳卒中後の脳組織の変化によって変化する可能性があり、組織の領域にわたってNADHを評価すると、アポトーシスの不足によるショックを受けている可能性があるが、まだアポトーシスを受けていない生存細胞の数を評価することが可能になり得る。そのような細胞は救出され得、組織にわたる損傷の程度の知識が、処置を通知するのに使用され得る。虚血性脳卒中を被った脳組織には、一般的には壊死組織であるコア虚血区域、および虚血性であるが依然として生存している組織を包含している虚血半影といった、傷害の2つの大きな区域がある。処置の目標の1つは、できるだけ多くのニューロンを救出するとともに半影のサイズを縮小することであり得る。半影領域の全体にわたってNADHを監視すると、種々の治療的介入の有効性を評価することが可能になり得る。そのような監視は、本明細書で説明されたシステム、方法、またはデバイスを使用して、半影領域全体にわたって行われ得る。代替として、または組合せで、そのような監視は、図18Aで説明されたシステムを使用して、図19Aの1~6で示された半影領域において、目的の別個の位置で行われ得る。
【0264】
事前に大脳動脈に凝血塊を注入することによって脳に卒中が引き起こされたウサギ脳卒中モデルを使用した。ウサギは、神経系の損傷に関して試験され、損傷の確認後に屠殺された。ウサギの脳を収集し、低温の、酸素を豊富に含むクレブス-リンガー溶液の中で試験室に輸送した。梗塞を起こした皮質1900を分離し、クレブス-リンガー溶液に入れ、組織生存可能性を保つために95%のOおよび5%のCOで連続的にバブリングさせた。本明細書で説明した方法を使用してNADH蛍光信号を記録するために、プローブを組織上で調節した。皮質の縁部の位置1901において蛍光強度の第1の読取り値が得られ、次いで、プローブは、表面の上を動き、位置1902において第2の読取り値を得、最後に位置1906において第6の読取り値を得た。次いで、生存細胞が赤くなったとき、組織をTTC(2、3、5-トリフェニルテトラゾリウム)の溶液に浸した。TTCは、細胞の生存可能性を試験するための代表的な判断基準であり、蛍光強度に基づく生存可能性の特徴付けを確認するために使用された。図19Bは、図19Aと、TTCを用いた処置の後の皮質1900の明視野画像の重ね書きを示す。図19Cは、測定されたそれぞれの試料位置1901~1906に関する相対的な蛍光強度を示す。TTCの吸収は、生存可能組織と生存不能組織の間の急激な変化を示したが、蛍光強度データは、健全な組織(位置1901)から死んでいる組織(位置1906)へ、NADH自己蛍光の滑らかな勾配を示し、TTCなら死んでいると判定していたはずのところで生存細胞の存在を示した。したがって、蛍光強度データは、TTCが見落とした不健全な組織において生存細胞を検知することができた。そのような高感度の測定は、生存細胞を救出することに関心があるとき、現行手法よりも、より優れた処置裁定を通知するように使用され得る。
【0265】
図20A図20Cは、20分間露光した後のさまざまな濃度のMTXの蛍光強度を示す。多くの抗癌剤には、最も効果的な治療濃度域(たとえば組織または血漿濃度の範囲)がある。その範囲の外で、薬剤は、高濃度で健全な組織に有毒なことがあり、かつ/または低濃度で効能を失う可能性がある。血漿、腫瘍組織、または健全な組織における薬剤濃度は、患者間の身長、体重、代謝、および民族性における変動のために、所与の投与量に対して変化する可能性がある。薬剤濃度の変動に対するこれら公知の原因にもかかわらず、薬剤用量は、現在、患者の体重および薬剤の規格化された薬物動態プロファイルに基づいて計算されている。本明細書で説明されたシステム、デバイス、および方法は、患者に対して一人ひとりの用量を最適化することを可能にするために、目的の血漿および/または組織における薬剤のレベルすなわち濃度を、迅速に、低コストで判定するのに使用され得るものである。濃度を判定することに加えて、薬剤が組織に具合よく到達しているかどうかを判定するために、目的の組織における薬剤の分布が評価され得る。薬剤は、光学的励起に対して蛍光性でよく、そうでなければ光学的励起に応答するものでもよい。薬剤は、本明細書で説明された方法、システム、およびデバイスを使用する特徴付けを容易にするために、蛍光性に標識付けされ得る。
【0266】
メトトレキセート(MTX)は、たとえば紫外線で刺激されたとき蛍光性の形態に転換する抗癌剤である。寒天中に25μgから25ngまでのMTXの連続希釈を用意し、紫外線に20分間露光した。低蛍光性のMTX型から蛍光性のMTX型への転換は、飽和レベルに達するまで(約20分)起こり得た。蛍光強度に関して寒天ゲルが監視され、図18Aのデバイスを使用して、蛍光性MTXの蓄積を露光時間にわたって測定した。図20Aは、20分後の、250μg/ml、50μg/ml、25μg/ml、5μg/ml、および2.5μg/mlのMTX濃度に関する最終的な強度範囲を示す。図20Bは、2.5mg/ml、0.5mg/ml、250μg/ml、50μg/ml、および25μg/mlのMTXの蛍光強度の20分間にわたる時間的経過を示す。図20Cは、5μg/ml、2.5μg/ml、0.5μg/ml、250ng/ml、および25ng/mlのMTXの蛍光強度の20分間にわたる時間的経過を示す。紫外線に20分露光した後のMTXの蛍光強度は、寒天ゲルにおけるMTXの濃度の優れた指標であった。
【0267】
図21A図21Cは、生体試料の蛍光減衰が、公知の蛍光体の濃度を判定するのに使用され得ることを例証するチャートを示す。図21Aおよび図21Bは、紫外線によって励起されたときの、K4-201およびK4-503の波長の範囲にわたる吸光係数(破線)および蛍光(実線)をそれぞれ示す。図21Aおよび図21Bに示されるように、K4-204およびK4-503は、それぞれ紫外線によって励起されたとき非常によく似た蛍光放射スペクトルを有する。図18Aで説明された実験システムを使用して、さまざまな濃度のK4-204およびK4-503の溶液を紫外線で励起し、応答の蛍光減衰信号を記録した。分析した濃度を表1に示す。
【0268】
表1は、評価されたK4-204とK4-503の混合物の濃度を示す。
【表1】
【0269】
図21Cは、K4-204とK4-503の混合物において、K4-204が100%の状態からK4-503が100%の状態へと破線の矢印の方向に濃度が変化した蛍光減衰プロファイルのチャートを示す。蛍光減衰プロファイルは、種々の混合濃度の各々について異なっていた。したがって、これらのデータは、K4-204とK4-503の未知の混合の濃度を判定するための基準として使用され得る。たとえば複雑な生体試料の特徴付けを支援するために、目的の他の蛍光体混合物の蛍光プロファイルを判定するのに、類似の投薬実験または混合実験が使用され得る。
【0270】
図22A図22Dは、脳腫瘍を検知するための時間分解分光システムの分類訓練からの結果のチャートを示す。多くの脳腫瘍に見られる代謝状態の変化は、とりわけ、チロシンおよびトリプトファンのようなアミノ酸、コラーゲンおよびエラスチンのような構造タンパク質、ならびに/またはNADHおよびFADのような酵素補助因子を含む内因性蛍光分子の蛍光放射における変化を引き起こし得る。脳における最も一般的な蛍光体のいくつかは、NADH、FAD、リポピグメント、およびポルフィリンを含む。ほとんどの内因性蛍光体は、約280nm~約450nmの範囲の光によって励起される。UV照射を用いる脳組織の励起は、組織を腫瘍または正常と特徴付けるため、また、可能性としては、組織タイプの、異なるスペクトル減衰特性および分光強度特性に基づき、段階および重症度によって腫瘍をさらに特徴付けるために、使用され得る。一般に、腫瘍は、紫外線で励起されたとき、正常組織と比較して蛍光放射が低い。
【0271】
図22Aは、6チャネルの時間分解された蛍光分光を使用した、正常皮質(NC)組織、白質(WM)組織、および膠芽腫(GBM)組織の蛍光減衰プロファイルを示す。それぞれのチャネルが図4に示されたようなスペクトル帯を含み、このスペクトル帯は、本明細書で説明されたように、図2のものに実質的に類似のデマルチプレクサを備えるシステムを使用して応答の光信号から分割されたものである。それぞれのチャネルについて、全体の蛍光減衰プロファイルならびに減衰の一部分を引き伸ばした挿入図が示されている。脳組織試料を約355nmの紫外線で励起し、組織の応答の自己蛍光信号の減衰を記録した。6つのスペクトル帯を収集するように構成された時間分解分光システムを使用して実験を行った。このシステムが備えるQスイッチND:YaGレーザ(Teem Photonics PNVM02510)は、1kHzで動作し、約350nmの波長で約400ピコ秒のFWHMのパルス幅のレーザパルスを放射した。光パルスのエネルギー出力は5μJに調節した。励起光は、特注の消毒可能な三叉光学プローブを使用して組織に配送された。このプローブは、7cmの遠位部分を除けばその全長(約3メートル)を通じて可撓性であり、遠位部分は、剛体のステンレス鋼管製で、プローブの据え付けおよび微視的な操作を容易にするものであった。光収集を改善するとともにプローブを安定させるために、プローブが、組織から約3mmの所定距離を保つ一方で、組織に接触することもできるように、プローブの遠位端の前に、両側に1つずつスリットがあるスペーサが追加された。空間における双対のスリットによって、外科医は、吸込管を適用するとともに明瞭な視野を保つことが可能になった。プローブは、励起光を配送するための中央の600μmの励起ファイバと、それを取り囲む、応答の蛍光信号を収集するための12本の200μmの収集ファイバとを備えるものであった。レーザ光は、標準的なSMAコネクタを用いてプローブの励起ファイバに結合された。12本の収集ファイバは、互いに束ねられて単一の600μmのファイバへと組み合わされた。励起ファイバと収集ファイバの間の中心間の分離は480μmであった。収集ファイバの遠位端は、デマルチプレクサへの結合を容易にするために直線に形成された。組織とプローブの間の短い距離に対して励起と収集の間のオーバラップを増加するために、収集ファイバは10°傾けられた。収集ファイバは、本明細書で説明されたように応答の光信号を7つのスペクトル帯(発光波長を含んでいる周波数帯を含む)へと分割するデマルチプレクサに結合された。次いで、スペクトル帯は、本明細書で説明されたような時間遅延を与えられたスペクトル帯を発生するために、1つのスペクトル帯につき1つある1組のコリメータによって収集され、異なる長さの光学的遅延ファイバに供給された。光学的遅延ファイバは、第1のファイバの約5フィートから始まって50フィートの増分の長さを有するように構成された。時間遅延を与えられたスペクトル帯は、MCP-PMT(Photek model 210、立上り時間80ピコ秒)によって記録された。記録されたデータは、高速前置増幅器(Photek model PA200-10、2GHz)によって増幅されてから、デジタイザ(SPDevices ADQ-108、8ギガサンプル/秒)でデジタル化されてコンピュータプロセッサへ伝送された。このシステムは、本明細書で説明されたようなタイミングおよび同期の回路を使用して制御された。このシステムは、標準サイズの内視鏡検査のカートに包含されるように構成された。これらのシステム構成要素は、小さい電子ノイズを保証するために、医療グレード絶縁トランス(Toroid(登録商標) ISB-170A)を使用して主電源からシールドされた。このシステムの全体的な時間分解能は、およそ150ピコ秒であった。
【0272】
このシステムは、既知の病状の一連の分類訓練試料(組織学によって判定されたもの)に従って、未知の試料を、正常皮質、白質、またはGBMのいずれかとして分類するように訓練された。訓練試料は、GBMの外科的切除を受けている9人の患者から得られた。図6で説明されたプローブに実質的に類似した特注の光ファイバプローブを使用して、腫瘍部位に紫外線が配送された。プローブは、目的のエリアの上に位置決めされ、脳組織は分光的に応答指令信号を送られた。現場において生体組織検査が遂行され、診断を確認するとともに分類結果を確認するために、組織病理学の分析が遂行された。訓練試料は、10の正常皮質試料、12の白質試料、および13のGBM試料を含んでいた。図22Aは、それぞれの試料タイプの平均的な蛍光減衰曲線を示す。
【0273】
未知の試料を特徴付けるとき、異なる測定波長で計算された蛍光減衰関数は異なる蛍光成分を含み得る。それぞれの成分は、単一指数関数的減衰関数、双指数関数的減衰関数、または多次指数関数的減衰関数を有し得る。複合組織を腫瘍または正常なものとして分類するために、通常の蛍光寿命スカラ値は不十分なことがある。これに対処するために、異なる波長範囲(すなわち異なるスペクトル帯)の減衰関数が、m×nの次数を有する2次元のSpecto-Lifetime Matrix(SLM)に変換され得、mは測定において使用されるスペクトル帯の数であり、nは使用される減衰点の数である。たとえば、6つのスペクトル帯が評価されるときにはmは6でよく、異なる減衰点が高速の減衰応答、平均的な速度の減衰応答、低速の減衰応答をカバーする場合にはnは3でよい。SLMは、それぞれの応答の光信号について抽出され、分類アルゴリズムへの入力として使用され得る。
【0274】
訓練試料に対して、それぞれの検知チャネルについて検知されたスペクトル帯の減衰データから一連のパラメータτ(0.1)~τ(0.7)が決定された。図22Bは、代表的な蛍光減衰プロファイルからのパラメータ抽出の概略図を示す。減衰は、ラゲールの逆畳み込みを使用してそれぞれのスペクトル帯について評価された。それぞれの試料のそれぞれのスペクトル帯についてパラメータτ(0.1)~τ(0.7)が決定され、蛍光減衰の高速の成分、通常の成分、および低速の成分を正確に定義するために、完全な蛍光減衰曲線を特徴付けに使用する代わりに使用された。3つの寿命値τ(0.2)、τ(0.4)、およびτ(0.6)は、0.2、0.4、および0.6の強度レベルにおいて正規化されたfIRFと交差することによって減衰点からそれぞれ抽出されたものであり、それぞれ低速の減衰、通常の減衰、高速の減衰を表す分類アルゴリズムへの入力として使用された。図22Cは、それぞれのチャネルにおいて訓練試料から抽出された寿命パラメータを示す。エラーバーは、6つのスペクトル帯における寿命値の平均および標準偏差を包含している。正常な皮質は、白質またはGBMのどちらよりも高速の減衰を示した。
【0275】
図22Dは、分類アルゴリズムを作成するために訓練試料の組織タイプを識別するのに抽出パラメータが使用された様子を示す。このシステムは、マシン学習アルゴリズムによって組織分類のための識別特性として使用される組織試料の分光寿命(減衰)情報を発生した。訓練グループ間の統計的有意性における差を最大化するように収集された6つのスペクトル帯における蛍光減衰を分析するのに、3つのグループの分類子セットを用いる線形判別分析(LDA)が使用され、出力は訓練グループのいずれかへ送信された。NC分類子は、たとえば「非NC」グループにおけるWMおよびGBMの測定値をグループ化した。「非WM」がNCおよびGBMを含み、「非GBM」がWMおよびNCを含む同一の処理が、WMのグループおよびGBMのグループに対してそれぞれ採用された。これらのサブ分類子が訓練グループの間を区別し、訓練試料を、正常な皮質、白質、またはGBMとして分類することができた。
【0276】
表2は、訓練試料の分類の精度を示す。5人の患者からの46の組織試料が、時間分解分光法を使用して組織病理学によって確認され、NC(n=25)、WM(n=12)、またはGBM(n=9)として分類された。この分類は、偽陰性がたった1件で、ほぼすべての試料に関して正確であった。
【表2】
【0277】
図23図26は、予備のin vivoの組織特徴付けおよび診断実験の結果を示す。実験は、図22A図22Dにおいて訓練されたような時間分解分光システムを使用して行った。それぞれの実験的な位置について、外科医は初期診断を求められた。次いで、患者の露出した脳組織の3mm上の実験的な位置に光ファイバプローブを位置決めして、本明細書で説明されたような時間分解分光分析データを収集した。組織を特徴付けるために、訓練セットによって発生された分類係数(たとえば分類子)を使用して、試料データを、図22A図22Dと同様に、WM/非WM、NC/非NC、またはGM/非GBMとして分類した。次いで、組織特徴付けを視覚化するために、試料の分類データを訓練セットの隣りにプロットした。試料データは、訓練データの点と識別するために、まわりに破線の円を付けて示す。分光分析の後、その実験で組織の生検を実施し、組織病理学的に分析した。このシステムを使用して、図22A図22Dで決定された訓練分類子に基づき、組織をNC、WM、またはGBMであると特徴付けた。
【0278】
図23は、脳腫瘍実験1における組織特徴付けの結果を示す。外科医は、当初は組織位置を腫瘍と診断した。生検を実施された試料位置の組織学的分析により、そのエリアが正常な皮質組織であることが明らかになった。患者は以前に説明されたように分光的に評価され、その位置は、時間分解された分類により、非常に高い確信度で正常な白質(WM)であるとして特徴付けられた。
【0279】
図24は、脳腫瘍実験2における組織特徴付けの結果を示す。外科医は、当初は組織位置を腫瘍と診断した。ニューロナビゲーションも、その位置が腫瘍であると示した。生検を実施された試料位置の組織学的分析により、そのエリアが正常な白質であることが明らかになった。その位置は、分光分析および時間分解された分類により、非常に高い確信度で正常なWMであるとして特徴付けられた。
【0280】
図25は、脳腫瘍実験3における組織特徴付けの結果を示す。外科医は、当初は、組織位置を、神経膠症の変化および壊死がいくつか識別される、完全に正常だとは限らないがGBM以外の何かであると診断した。生検を実施された試料位置の組織学的分析により、そのエリアがGBMであることが明らかになった。その位置は、分光分析および時間分解された分類により、非常に高い確信度でGBMであるとして特徴付けられた。
【0281】
図26は、脳腫瘍実験4における組織特徴付けの結果を示す。外科医は、当初は組織位置を腫瘍と診断した。ニューロナビゲーションも、そのエリアがGBMであると示した。生検を実施された試料位置の組織学的分析により、そのエリアがGBMであることが明らかになった。その位置は、分光分析および時間分解された分類により、非常に高い確信度でGBMであるとして特徴付けられた。
【0282】
図27図30は、5つのサブ分類子を使用した分類訓練の結果を示す。10人の患者が複数の位置において評価され、合計75の組織試料がアッセイされた。6つのスペクトル帯を収集するように構成された時間分解分光システムを使用して実験を行った。このシステムは、本明細書で説明されたin vivoの測定システムに実質的に類似のものであった。このシステムが備えるQスイッチND:YaGレーザ(Teem Photonics PNVM02510)は、1kHzで動作し、約355nmの波長で約350ピコ秒のFWHMのパルス幅のレーザパルスを放射した。光パルスのエネルギー出力は5μJに調節した。励起光は、特注の消毒可能な三叉光学プローブを使用して組織に配送された。このプローブは、7cmの遠位部分を除けばその全長(約3メートル)を通じて可撓性であり、遠位部分は、剛体のステンレス鋼管製で、プローブの据え付けおよび微視的な操作を容易にするものであった。光収集を改善するとともにプローブを安定させるために、プローブが、組織から約3mmの所定距離を保つ一方で、組織に接触することもできるように、プローブの遠位端の前に、両側に1つずつスリットがあるスペーサが追加された。空間における双対のスリットによって、外科医は、吸込管を適用するとともに明瞭な視野を保つことが可能になった。プローブは、励起光を配送するための中央の600μmの励起ファイバと、それを取り囲む、応答の蛍光信号を収集するための12本の200μmの収集ファイバとを備えるものであった。レーザ光は、標準的なSMAコネクタを用いてプローブの励起ファイバに結合された。12本の収集ファイバは、互いに束ねられて単一の600μmのファイバへと組み合わされた。励起ファイバと収集ファイバの間の中心間の分離は480μmであった。収集ファイバの遠位端は、デマルチプレクサへの結合を容易にするために直線に形成された。組織とプローブの間の短い距離に対して励起と収集の間のオーバラップを増加するために、収集ファイバは10°傾けられた。収集ファイバは、本明細書で説明されるように応答の光信号を7つのスペクトル帯(発光波長を含んでいる周波数帯を含む)へと分割するデマルチプレクサに結合された。次いで、スペクトル帯は、本明細書で説明されたような時間遅延を与えられたスペクトル帯を発生するために、1つのスペクトル帯につき1つある1組のコリメータによって収集され、異なる長さの光学的遅延ファイバに供給された。光学的遅延ファイバは、第1のファイバの約5フィートから始まって50フィートの増分の長さを有するように構成された。時間遅延を与えられたスペクトル帯は、MCP-PMT(Photek model 210、立上り時間80ピコ秒)によって記録された。記録されたデータは、高速前置増幅器(Photek model PA200-10、2GHz)によって増幅されてから、デジタイザ(SPDevices ADQ-108、7ギガサンプル/秒、8ビットの分解能)でデジタル化されてコンピュータプロセッサへ伝送された。このシステムは、本明細書で説明されたようなタイミングおよび同期の回路を使用して制御された。このシステムは、標準サイズの内視鏡検査のカートに包含されるように構成された。これらのシステム構成要素は、小さい電子ノイズを保証するために、医療グレード絶縁トランス(Toroid(登録商標) ISB-170A)を使用して主電源からシールドされた。このシステムの全体的な時間分解能は、およそ150ピコ秒であった。それぞれの試料の蛍光を記録する時間は約1秒であり、その後、直ちに特定の腫瘍分類が判定された。
【0283】
当初は、組織の分析は、本明細書で説明されたようなNC、WM、およびGBMの3つの組織タイプを分類するように確立された。しかしながら、75の組織試料の組織の蛍光放射データに基づき、白質(WM1およびWM2)および膠芽腫(GBM1およびGBM2)の各々について、2つの別個のサブクラスが識別された。したがって、3つの組織タイプは、分類アルゴリズムを訓練するための5つの分類子を表した。このシステムは、マシン学習アルゴリズムによって組織分類のための識別特性として使用される組織試料の分光寿命(減衰)情報を発生した。訓練グループ間の統計的有意性における差を最大化するように収集された6つのスペクトル帯における蛍光減衰を分析するのに、5つのグループの分類子セットを用いる線形判別分析(LDA)が使用され、出力は訓練グループのいずれかへ送信された。NC分類子は、たとえば「非NC」グループにおけるWM1、WM2、GBM1、およびGBM2の測定値をグループ化した。WM1、WM2、GBM1、およびGBM2グループに対して同一の処理を採用した。たとえば、「非WM1」は、NC、WM2、GBM1、およびGBM2を含むものであった。これらのサブ分類子は、訓練グループの間を区別して、訓練試料を、正常な皮質、WM1、WM2、GBM1、またはGBM2として分類することができた。
【0284】
図27A図27Fは、WM1対WM2およびGBM1対GBM2を特徴付ける特徴の代表的な組織画像を表す。スライドは20倍で撮像した。WM1試料(図27Aを参照されたい)には、細胞性が低い浮腫は示されていない。神経単位は核小体を有するのが見られ、細胞質は青みがかっている。これらの正常細胞2701は、「ぼかされた」外観を有する腫瘍細胞2702よりもわずかに大きい。WM1(図27Bを参照されたい)の別の例は、希少異型核2703を示す。クラスタになった核2703は異常と見なされ、軽度の神経膠腫の特徴を示す。WM2(図27Cを参照されたい)は、浮腫2704(スライド上のホワイトホールを特徴とする)の証明を示す。GBM1(図27Dを参照されたい)は、血管2705中のヘモグロビンを表すレッドステインも包含している生存可能な神経膠腫を示す。GBM1試料は、有糸分裂像および細胞質も示す。GBM2(図27Eを参照されたい)は、通常、壊死2706を包含しており、いくらかは、より生存可能なフィールドの領域を伴うが、大多数が壊死である。場合によっては、GBM2は浮腫と壊死の両方を有する(図27Fを参照されたい)。試料の左半分は、より生存可能であるが、試料の右半分は壊死である。中央の近くの凝塊した血管2707は生存可能であり得る。
【0285】
分類アルゴリズムの予測精度を判定するために、一個抜きのクロス確認方法を使用した。アルゴリズムに関する管理された分類子として、線形判別分析(LDA)を使用した。LDAは、グループ間のデータにおける最大の分散を示す判別関数ラインを見いだす一方で、同一の組のメンバー間の分散を最小化する。一個抜きの分類子は、6つのスペクトル帯によって表される、それらの寿命成分を含む、75のスペクトル測定を使用した。データの組から1つの組織試料が取り出され、残りの74の測定は「訓練セット」を含むものであった。訓練セットのデータがLDAモデルに入力され、次いで、LDAモデルは、結果から判別関数ラインを計算された。取り出された組織試料からのデータがLDAアルゴリズムに入力されて、組織タイプ予測が達成された。この処理を、それぞれの組織試料を順にひとつずつ外して繰り返した。組織タイプを区別するアルゴリズムの能力を評価するために、分類アルゴリズムの予測を、組織試料位置(GBMはn=19、白質はn=22、正常な皮質はn=3)から得られた生体組織検査の病理学の応答指令信号から取得された診断、またはニューロナビゲーションシステムによって登録された前MRIの3D画像(正常な皮質はn=30)による診断と比較した。ニューロナビゲーションによって確認された正常な皮質の訓練データは、腫瘍から遠い位置において取得した。精度、感度、特異性、陽性的中率、および陰性的中率のすべてを試験して分析した。
【0286】
それぞれの未知の試料を分類するために、それぞれの組織グループに対応する5つの確率値(PV)を取得した。たとえば、NC(PVNC)の確率値は、線形判別モデル(たとえばNC対WM1、NC対WM2、NC対GBM1、およびNC対GBM2)を使用する、2進数の組の4つのサブ分類子を使用して取得されたものであり、未知のデータを特定の組織グループに分類して、それぞれのクラスに属する事後確率(P)を予測した。4つのサブ分類子の各々が、特定の組織グループに対応する独立したPをもたらした。NCの4つの事後確率(たとえばP(x=NC/vs.WM1)、P(x=NC/vs.WM2)、P(x=NC/vs.GBM1)、P(x=NC/vs.GBM2))を平均化して、PVNCを取得した。同一の方法を適用して、残りの組織クラスのPV(PVWM1、PVWM2、PVGBM1、PVGBM2)を計算した。
【0287】
3つの寿命値τ(0.2)、τ(0.4)、およびτ(0.6)は、0.2、0.4、および0.6の強度レベルにおいて正規化されたfIRFと交差することによって減衰点からそれぞれ抽出されたものであり、本明細書で説明されたように、それぞれ低速の減衰、通常の減衰、高速の減衰を表す分類アルゴリズムへの入力として使用された。図28は、それぞれのチャネルにおいて訓練試料から抽出された寿命パラメータを示す。エラーバーは、6つのスペクトル帯における寿命値の平均および標準偏差を包含している。正常な皮質は、白質またはGBMのどちらよりも高速の減衰を示した。白質寿命と膠芽腫寿命の両方が、正常な皮質値よりも大きい標準偏差(standard variation)を示した。したがってWMおよびGBMの各々を、2つの個別のサブセットに集めた。より短い寿命を有する大多数の白質試料(たとえばWM1)は、図27Aに示されるような浮腫のない白質または増加した細胞性を有する白質を包含していたが、より長い寿命を有する第2のグループ(たとえばWM2)は、図27Cに示されるように浮腫を有する白質から成るものであった。病理学により、より長い寿命を有する膠芽腫グループ(たとえばGBM2)は膠芽腫細胞と壊死細胞の混合物から生じたものであり、一方、より短い減衰を有する膠芽腫グループ(たとえばGBM1)がより少ない壊死を示すことも確認された。
【0288】
図29A図29Cは、75の組織試料の各々について、in vivoで収集されたヒト脳データの分類結果のチャート(たとえば確率棒グラフ)を示す。分類結果は、分類アルゴリズムの予測精度を比較するために、病理学診断によってグループ化された。図29Aは正常な皮質組織の結果を示し、図29Bは白質組織の結果を示し、図29CはGBM組織の結果を示す。病理学によって識別された34の正常な皮質試料、14のWM1試料、8つのWM2試料、13のGBM1試料、および6つのGBM2試料があった。それぞれの棒は、特定の組織クラスの、他の4つの組織タイプのクラスと比較した確率からの平均値を表す。分類アルゴリズムは、すべての組織クラスについて、本明細書で説明されたような計算されたPVの比較に基づいて、それぞれの未知の試料を対応付けた。未知の試料は、他の組織グループの値と比較して、対応する組織クラスのPVが最高値を有するとき、確定的な組織クラスに対応付けられた。2つまたはそれより多くの組織タイプの確率が互いに類似しているとき(または差が5%以内であるとき)、組織は「浸潤」として分類された。測定されたNC試料のすべてが、本明細書で説明された一個抜きの方法を使用して、すべての場合においてNCの確率がほぼ1で、2番目に高い確率が多くとも0.75であったため、確定的なNCとして分類された。WMとGBMの間の区別は、WMエリアにおいて増加するGBMの有病率のために、より複雑であった。たとえば、WM1試料5および6(図29Bに示されている)は、WM1である確率とGBM1である確率がほぼ等しく、したがって、それらの分類子出力はWMとGBMの浸潤であった。
【0289】
図30は、図29A図29Cの脳組織分類試料の確率ボックスプロットを示す。それぞれの組織タイプについて、それぞれの分類子(NC、WM1、WM2、GBM1、およびGBM2)に関する組み合わされた試料の平均確率をプロットした。組織タイプの各々について、正常な皮質試料、WM2試料、およびGBM2試料はほぼ1の確率値で示されている(破線の楕円形によって示されている)ので、非常に高い確率および小さい変動で分類された。WM1試料およびGBM1試料はより大きい試料間の変動を示したが、それにもかかわらず、分光分析によりほぼすべての事例において正確に特徴付けることができた。時間分解分光システムは、100%の感度、96%の特異性、90%の陽性的中率、および100%の陰性的中率で動作した。
【0290】
表3は、脳腫瘍実験5における組織特徴付けの結果を示す。
【表3】
【0291】
1人の患者について6つの位置が評価された。外科医は、時間分解された分類および生体組織検査に先立って組織位置を診断した。比較のための確定的な診断として、生検を実施された試料位置の組織学的分析を使用した。時間分解分光システム(TRFS)による組織特徴付けと、生体組織検査時の外科医の診断予測と、それぞれの生体組織検査の病理学診断とを比較した。TRFS予測は、そのときの組織の100%を正確に識別したが、外科医は、腫瘍と腫瘍が浸潤した白質とを識別することができなかった。
【0292】
表4は、脳腫瘍実験6における組織特徴付けの結果を示す。
【表4】
【0293】
1人の患者について17の位置が評価された。外科医は、時間分解された分類および生体組織検査に先立って組織位置を診断した。比較のための確定的な診断として、生検を実施された試料位置の組織学的分析を使用した。時間分解分光システム(TRFS)による組織特徴付けと、生体組織検査時の外科医の診断予測と、それぞれの生体組織検査の病理学診断とを比較した。TRFS予測は、12/15の試料において組織を正確に特徴付けたが、外科医が診断を正確に予測したのは試料の6/14であった。2つの試料(生体組織検査4および17)は解釈するのが困難であった。
【0294】
表5は、実験6についての、TRFSシステムと外科医の、真陽性、真陰性、偽陽性、および偽陰性の数を示す。
【表5】
【0295】
表6は、実験6についての、TRFSシステムと外科医の、感度、特異性、陽性的中率、および陰性的中率を示す。
【表6】
【0296】
TRFSシステムは、外科医よりも、より高い特異性、陽性的中率、および陰性的中率を有していた。外科医は、この実験において、TRFSシステムよりもわずかに高い感度を有していた。これは、システムが純粋な試料の分類子のみを認識するように訓練されており、したがって、目的の組織試料が混合型であるとき予測不能になるという事実によるものであり得る。分類アルゴリズムをさらに訓練すると、組織特徴付けを改善し得る。
【0297】
別の例では、本明細書で説明されたプローブおよび/またはシステムは、患者からの生体組織検査、切除、または抽出の後に、生体試料を特徴付けるために使用される。たとえば、組織試料は、脳外科手術を受けている患者から切り取られる。ユーザは、プローブを、切り取られた組織試料の1つまたは複数の目的の位置において、その上に、または隣接して、位置決めする。次いで、組織試料が癌もしくは非癌であること、および/または病変の重症度(たとえば臨床の段階、悪性または良性)を特徴付けるために、組織試料は、本明細書で説明された6チャネルプローブシステムを使用して励起される。組織の特徴付けは、外科医によるさらなる外科的介入をリアルタイムで通知するため、および将来の処置の裁定に関連する情報を提供するために、使用される。別の例では、組織は、切り取られて、病理組織学的試験のために準備される(たとえば冷凍される、固定される、かつ/または包埋剤に埋め込まれる)。組織は、病理組織学的診断のために染色する前に、または染色した後に、迅速な初期評価としての時間分解分光法を使用して特徴付けられ、これは、病理組織学的分析が継続している間に外科医に伝えられる。別の例では、血液または脳脊髄液などの体液が患者から収集され、蛍光性に標識付けされた治療化合物または癌細胞などの目的のマーカの有無について評価される。時間分解分光システムは、蛍光標識からの放射光を、優先的に、または最適に、高い信号対雑音比で収集するように構成されている。蛍光性に標識付けされた治療化合物の濃度または蛍光性に標識付けされた癌細胞の数は、時間分解分光、蛍光強度、またはその組合せから判定される。
【0298】
別の例では、本明細書で説明されたプローブおよび/またはシステムは、皮膚の下の生体試料(たとえば血液、筋肉)を、非侵襲的に、または最小限の侵襲で特徴付けるのに使用される。時間分解分光システムは、皮膚の下に入り込む光を放射し、皮膚を通して放射される光を検知するように構成されている。このシステムは、任意選択で、皮膚によって引き起こされた散乱を明らかにするように、または望ましくない自己蛍光の記録を最小化するように構成されている。ユーザは、プローブを、目的の位置の近くの皮膚上に位置決めする。プローブは、皮膚に入り込む波長の光(たとえば目的の試料の励起/発光特性および皮膚の下の試料の深さに依拠して、紫外線、可視光、または赤外線)を放射して、試料を励起する。放射光は、収集されて、生体試料を特徴付けるのに使用される。たとえば、蛍光性に標識付けされた治療剤が静脈注射され、蛍光標識を検知するように構成されたプローブシステムを使用して、血漿濃度が(連続的に、または注射後の1つまたは複数の所定の時点において)非侵襲的に測定される。別の例では、組織穿通を評価して将来の投薬管理に通知するために、蛍光性に標識付けされた治療剤が静脈注射されて、皮下の目的の領域への治療剤の分布が(連続的に、または注射後の1つまたは複数の所定の時点において)非侵襲的に監視される。
【0299】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態が示され、かつ説明されてきたが、そのような実施形態は例としてのみ提供されたものであることが当業者には明白であろう。このとき、当業者なら、本発明から逸脱することなく、多くの変形形態、変更形態、および置換を考えつくはずである。本発明を実施するのに、本明細書で説明された本発明の実施形態の種々の代替形態が採用され得ることを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義することにより、これらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物を対象として含むことが意図されている。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
生体試料を分類または特徴付けるためのプローブシステムであって、
遠位部分と、
前記遠位部分に対して取外し可能に結合された近位部分と、
光励起信号を伝えるように構成されて前記近位部分に配設された近位の伝送要素と、
前記遠位部分に配設されて前記近位の伝送要素に結合された遠位の伝送要素であって、前記近位の伝送要素から前記光励起信号を受け取って、前記光励起信号を前記生体試料に伝えるように構成されており、前記生体試料が、前記光励起信号に応答して応答の光信号を発生し、前記応答の光信号が前記遠位の伝送要素によって受け取られる遠位の伝送要素と、
前記近位部分に配設されて前記遠位の伝送要素に結合された信号収集要素であって、前記遠位の伝送要素から前記応答の光信号を受け取るように構成されている信号収集要素と、
前記信号収集要素から前記応答の光信号を受け取って、前記応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割するように構成された光学アセンブリであって、前記生体試料が前記スペクトル帯に応答して特徴付けられる光学アセンブリとを備える、システム。
(項目2)
前記光学アセンブリが、光遅延要素およびデマルチプレクサを備え、前記デマルチプレクサが、前記応答の光信号を前記スペクトル帯に分割するように構成された波長分割ファイバを備え、前記光遅延要素が、前記スペクトル帯に対して1つまたは複数の時間遅延をもたらすように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記光学アセンブリが、複数のスペクトルフィルタを備えているフィルタホイールを備える、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記遠位部分が使い捨てであって交換可能である、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記遠位部分が手持ち式プローブを備える、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記遠位部分がアブレーション要素を備える、項目1に記載のシステム。
(項目7)
生体試料を分類または特徴付けるためのプローブであって、
近位部分に対して取外し可能に結合された遠位部分であって、前記近位部分が、光励起信号を伝えるように構成されて前記近位部分に配設された近位の伝送要素を備える、遠位部分と、
前記遠位部分に配設されて前記近位の伝送要素に結合された遠位の伝送要素であって、前記近位の伝送要素から前記光励起信号を受け取って、前記光励起信号を前記生体試料に伝えるように構成されており、前記生体試料が、前記光励起信号に応答して応答の光信号を発生し、前記応答の光信号が前記遠位の伝送要素によって受け取られる遠位の伝送要素とを備え、
前記近位部分に配設された信号収集要素が、前記遠位の伝送要素に結合されて、前記遠位の伝送要素から前記応答の光信号を受け取り、
光学アセンブリが、前記信号収集要素から前記応答の光信号を受け取って、前記応答の光信号を複数のスペクトル帯に分割し、
前記生体試料が前記スペクトル帯に応答して特徴付けられる、プローブ。
(項目8)
前記光学アセンブリが、光遅延要素およびデマルチプレクサを備え、前記デマルチプレクサが、前記応答の光信号を前記スペクトル帯に分割するように構成された波長分割ファイバを備え、前記光遅延要素が、前記スペクトル帯に対して1つまたは複数の時間遅延をもたらすように構成されている、項目7に記載のプローブ。
(項目9)
前記光学アセンブリが、複数のスペクトルフィルタを備えているフィルタホイールを備える、項目7に記載のプローブ。
(項目10)
前記近位部分または前記遠位部分のうち1つまたは複数が、前記近位の伝送要素および前記信号収集要素に対して前記遠位の伝送要素を結合する結合要素を備える、項目7に記載のプローブ。
(項目11)
前記遠位の伝送要素が、前記近位の伝送要素からの光パルスを前記生体試料へ導くための中央のファイバと、前記生体試料からの前記応答の光信号を収集するための少なくとも1つの周辺のファイバとを備える、項目7に記載のプローブ。
(項目12)
前記遠位の伝送要素が、前記中央のファイバと前記周辺のファイバの間の空間の汚染を低減するための前向きの窓を備える、項目11に記載のプローブ。
(項目13)
前記少なくとも1つの周辺のファイバが複数のファイバを備える、項目7に記載のプローブ。
(項目14)
前記遠位部分が手持ち式に構成されている、項目7に記載のプローブ。
(項目15)
前記遠位部分が吸込みカニューレを備える、項目7に記載のプローブ。
(項目16)
前記遠位部分が使い捨てである、項目7に記載のプローブ。
(項目17)
前記遠位部分がアブレーション要素を備える、項目7に記載のプローブ。
(項目18)
前記アブレーション要素が、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えて標的組織をアブレーションするように構成されている、項目17に記載のプローブ。
(項目19)
前記アブレーション要素が、レーザまたは光エネルギーを与えて前記標的組織をアブレーションするように構成されており、そして前記遠位の信号伝送要素を備える、項目18に記載のプローブ。
(項目20)
生体試料の分類または特徴付けのための方法であって、
前記生体試料に応答の光信号を生成させるために、生体試料を、所定の波長の光パルスを用いて所定のパターンで照射するステップと、
前記生体試料から前記応答の光信号を収集するステップと、
スペクトル帯を取得するために、前記応答の光信号を所定の波長範囲で分割するステップとを含み、
前記生体試料が前記スペクトル帯に応答して特徴付けられる、方法。
(項目21)
時間遅延機構を用いて前記スペクトル帯に対して少なくとも1つの時間遅延を与えるステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記応答の光信号を分割するステップが、デマルチプレクサを用いて前記応答の光信号を分割することを含む、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記応答の光信号を分割するステップが、フィルタホイールを用いて前記応答の光信号を分割することを含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
前記応答の光信号が、蛍光スペクトル、ラマンスペクトル、紫外可視スペクトル、または赤外スペクトルのうち1つまたは複数を含む、項目20に記載の方法。
(項目25)
前記生体試料が、正常、良性、悪性、瘢痕組織、壊死、低酸素、生存可能、生存不能または炎症を起こしているとして特徴付けられる、項目20に記載の方法。
(項目26)
前記生体試料が脳組織を含む、項目20に記載の方法。
(項目27)
前記生体試料が標的組織を含む方法であって、前記標的組織をアブレーションするステップをさらに含む、項目20に記載の方法。
(項目28)
前記標的組織が、前記生体試料の前記特徴付けに応答してアブレーションされる、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記標的組織をアブレーションするステップが、前記標的組織に、高周波(RF)エネルギー、熱エネルギー、低温エネルギー、超音波エネルギー、X線エネルギー、レーザエネルギー、または光エネルギーのうち1つまたは複数を与えることを含む、項目27に記載の方法。
(項目30)
前記標的組織がプローブを用いてアブレーションされ、前記プローブが、前記生体試料を前記光パルスで照射して応答の蛍光信号を収集するように構成されている、項目27に記載の方法。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
図21C
図22A-1】
図22A-2】
図22B
図22C
図22D
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B
図27C
図27D
図27E
図27F
図28
図29A
図29B
図29C
図30