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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】棒材を剪断するための方法および設備
(51)【国際特許分類】
   B23D 33/10 20060101AFI20230421BHJP
   B21F 11/00 20060101ALI20230421BHJP
   B23D 23/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B23D33/10 A
B23D33/10 B
B21F11/00 B
B23D23/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019502625
(86)(22)【出願日】2017-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2017068095
(87)【国際公開番号】W WO2018015370
(87)【国際公開日】2018-01-25
【審査請求日】2020-01-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】00923/16
(32)【優先日】2016-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】593029411
【氏名又は名称】ハテブル ウムフオルマシネン アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ミハイ・ヴルカン
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】田々井 正吾
【審判官】鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-042487(JP,A)
【文献】実開昭62-072744(JP,U)
【文献】特開平08-150511(JP,A)
【文献】特開平11-254228(JP,A)
【文献】特開昭61-279320(JP,A)
【文献】スイス国特許発明第702984(CH,B5)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 33/00 - 33/12
B23D 23/00 - 23/04
B21F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒材(R)から端部(R)を剪断するための方法であって、
前記方法は前記棒材の縦方向に対して横方向に固定刃(10)に対して移動可能な切断刃(30)によって行われ、
前記剪断すべき端部(R)はその端面が縦方向停止部(50)に接触され、
剪断動作中に、前記剪断すべき端部(R)は、前記縦方向停止部(50)を介して、前記棒材(R)の前記縦方向にある押圧力(F)の作用を受け、
前記剪断動作中に前記端部(R)における前記押圧力(F)の作用は、前記縦方向停止部(50)の位置制御された縦方向位置で発生すると共に、
前記縦方向停止部(50)の前記縦方向位置は前記剪断動作中に定数値に制御されている、方法。
【請求項2】
前記剪断動作中に前記端部(R)において前記縦方向停止部(50)によって加えられた前記押圧力(F)の推移が測定された、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記端部(R)の剪断面の品質を査定するために、前記測定された押圧力(F)の前記推移が評価される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記端部(R)の前記剪断面の品質が不十分である場合、前記剪断動作中の端部(R )に対する前記押圧力(F )の作用が、前記縦方向停止部(50)の前記縦方向位置が制御された状態で行われる動作モードから、前記剪断すべき端部(R)における前記押圧力(F)の作用、力制御された手段によって行われる動作モードに変更され、前記剪断すべき端部(R)において前記縦方向停止部(50)によって加えられた前記押圧力(F)は、所定の力制御変数(F)に基づいて制御され、
a)前記測定された押圧力(F)の前記推移が前記剪断動作の終了前に落下を有し、前記剪断動作において、前記押圧力の前記推移は、最小値に降下してから再び上昇する場合、
b)前記測定された押圧力(F)の前記推移が剪断動作の終了前に落下(dip)を有し、落下を有する剪断動作において、押圧力の推移は、最小値に降下してから前記最小値から差分(ΔF)で上昇し、当該差分は前記測定された押圧力(F)の最大値(Fmax)の少なくとも10%である場合、又は、
c)前記測定された押圧力(F)の前記推移が前記剪断動作の終了前に、0以下の値に降下する場合、
上記a)、b)、又は、c)の場合に、前記剪断面の品質が不十分であると査定される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の棒材(R)から端部(R)を剪断するための方法を実行するための設備であって、固定刃(10)と、前記棒材(R)の縦方向に対して横方向に固定刃(10)に対して移動可能に駆動される切断刃(30)と、前記棒材(R)の前記剪断すべき端部(R)に対して前記縦方向に移動可能な縦方向停止部(50)と、前記縦方向停止部(50)を移動し、剪断動作中に、前記縦方向停止部(50)を介して、押圧力(F)を用いて前記棒材(R)の前記縦方向に前記端部(R)に作用する液圧システム(81-84、86-89)と、を備え、前記設備は、前記縦方向停止部(50)の縦方向位置を検出するための位置測定装置(70)と、前記位置測定装置(70)によって検出された前記縦方向停止部(50)の前記縦方向位置に基づいて前記液圧システム(81-84、86-89)を制御するために設計された制御器(90)とを備え、前記位置測定装置(70)の前記縦方向位置は前記液圧システムを介して前記制御器(90)によって制御可能であり、前記液圧システムは、所定の位置制御変数(X)に基づいて前記制御器(90)によって制御可能であって、
前記制御器(90)は、前記剪断動作中に前記縦方向停止部(50)の前記縦方向位置を定数値に制御するために設計されている、設備。
【請求項6】
前記液圧システム(81-84、86-89)は、前記制御器(90)によって継続的に設定可能なサーボ弁(84)を有する、請求項5に記載の設備。
【請求項7】
前記設備は、前記剪断すべき端部(R)において前記縦方向停止部(50)によって加えられた前記押圧力(F)を測定するための測定システム(92、93、94)を有する、請求項5又は6に記載の設備。
【請求項8】
前記設備は停止部ピストン(62)を備え、当該停止部ピストン(62)は、前記縦方向停止部(50)と運動学的に接続しており、前記液圧システム(81-84、86-89)および液圧媒体の作用によって駆動可能であり、前記測定システム(92、93、94)は、前記停止部ピストン(62)の両側にある前記液圧媒体の圧力を検出するための圧力センサ(92、93)を有する、請求項7に記載の設備。
【請求項9】
前記制御器(90)は、所定の力制御変数(F)に基づいて前記液圧システム(81-84、86-89)を介して、前記剪断すべき端部(R)において前記縦方向停止部(50)によって加えられた前記押圧力(Fを制御するために追加的に設計されている、請求項5又は6に記載の設備。
【請求項10】
前記設備は2つの動作モードの間で切り替え可能であるように設計されており、1つの動作モードにおいて、前記剪断すべき端部(R)における押圧力の作用は前記縦方向停止部(50)の位置制御された縦方向位置で発生し、もう1つの動作モードにおいて、前記剪断すべき端部(R)における押圧力の作用は力制御された手段によって発生する、請求項9に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブル部分に基づいて棒材から端部を剪断するための方法、および、請求項9のプリアンブル部分に基づいてこの方法を実行する設備に関する。
【背景技術】
【0002】
一般タイプの剪断方法および対応する設備は、例えば、特許文献1から一般的に知られており、金属材料によって作られる成形部品の製造に利用される。このような方法において、通常、金属の棒材は、固定された固定刃と固定刃に相対移動可能な切断刃との間へ導入され、剪断すべき棒材の端部は、固定刃および切断刃によって定義された剪断平面から縦方向に突出する。続いて、切断刃は、棒材に対する横方向に固定刃に対してガイドされることによって、棒材から端部を剪断する。
【0003】
本説明において、「棒材」とは、すなわち縦方向の延伸、および、縦方向の延伸にわたって一致する任意断面を有するいかなる形式の素材を意味すると理解される。特に、いかなる寸法の金属のバー、棒、およびワイヤともこの定義を満たしている。円形の断面は最も一般的であるが、本発明はこれに限らない。「棒状」という用語も同様な方式で理解される。「端部」という用語は棒材の先端の部分を意味すると理解され、当該棒材は、加工されていないまたは加工されたものであり、例えば、成形されたものである。
【0004】
剪断の結果として、変形(deformation、「収縮(retraction)」とも呼ばれている)が剪断部または棒の残余部分に起こる。変形の範囲は、棒材を作る材料の変形性によって決まる。鋼材の変形性は、他の要素よりも、温度および応力状態に基づくものである。温度または圧縮応力状態が高いほど、変形性が高くなる。成形技術の観点から見ると、材料流(material flow)は冷間剪断中にも熱間剪断中にも発生する。
【0005】
棒の剪断について、剪断された部分の剪断面は通常には複数の部分から構成される。剪断面は、切断面とも呼ばれていて低表面粗さを有する滑らかで平坦な平面と、一方、表面粗さが異なる領域を有する破断面と、からなる(図4)。粗くて脆弱な面(破断面)は「ブレークアウト」とも呼ばれており、材料の変形性が消耗し切ったときに生じる。与えられた材料に対する剪断面の品質は、剪断動作中の応力状態および分離区域の温度によって決まる。
【0006】
比較的高い変形性を原因とする塑性変形によって起こされた収縮の発展によって、2つの刃(一般的には固定刃および移動可能な刃)の間の剪断区域から、材料の変位が生じる。特に熱間剪断の場合、棒は通常には、剪断面が互いに対して角度を形成することを避けるために、縦方向停止部において支持される。縦方向停止部によって、剪断区域からの材料の変形は収縮力を伴い、当該収縮力は剪断区域または分離区域における圧縮応力の増加を生じる。刃の動きが小さいほど、この応力状態が高くなる。したがって、閉じた形状、特に移動可能な切断刃の閉じた形状は、開口形状(ハーフシェル)より有利である。
【0007】
既知の剪断設備において、熱間剪断中に縦方向停止部は2つの機能を果たす。一方、縦方向停止部は剪断部の長さを決め、当該長さは、例えば、工具摩耗による量の補償を達成するために、機器が運転しているときに任意に設定されてもよい。他方、縦方向停止部は、適切な信号を機器制御器に発信する力センサによって剪断部の長さを「認識」し、当該力センサは、成形機器における更なる処理のために、または、その信号の強度が不十分若しくは信号が存在していない(「剪断部が短い過ぎる」)場合の除去のために、適切な信号を発信する。
【0008】
特許文献1から知られた剪断設備において、例えば、棒材の剪断すべき端部は、力制御された押圧力(pressure force)によって処理される。すなわち、停止部が端部に加える押圧力は、剪断ストローク中に所定の時間-力の推移(力制御変数)に従う液圧システムによって設定される。このような時間-力の推移の代表例は、剪断ストローク中の大半に一致した力によるもの(四角型パターン)、または、剪断ストローク中に急上昇して比較的遅く降下する力によるもの(三角形パターン)である。
【0009】
一般的に、端部における剪断面の高剪断品質を達成するために、力制御された圧力(pressure)の作用によって運転するこれらの既知の剪断設備において、端部に加えられた押圧力は比較的大きい。これは、剪断設備の設計に対する高い需要を喚起し、剪断設備の機械部品、特に縦方向停止部の駆動部品の摩耗の増加を起こす。また、剪断すべき端部が高い圧力作用によって縦方向に圧縮されるリスクがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】スイス特許第702984号明細書
【発明の概要】
【0011】
したがって、本発明の目的は最初に言及した種類の方法および設備を改善することであり、よって、剪断品質の損失を受けずに端部に加える好ましく比較的低い押圧力を管理することが可能となる。
【0012】
この目的は、独立請求項1および請求項9にそれぞれに規定されている本発明に基づく方法および本発明に基づく装置によって達成される。本発明の特に有利な改良点および実施例は各従属項によってもたらされる。
【0013】
方法について、本発明の本質は以下の通りである。棒材から端部を剪断するための方法において、方法は棒材の縦方向に対して横方向に固定刃に対して移動可能な切断刃によって行われ、剪断すべき端部はその端面が縦方向停止部に接触され、剪断動作中に、縦方向停止部を介して、棒材の縦方向にある押圧力を用いて、剪断すべき端部は縦方向停止部に作用する。剪断動作中に端部における押圧力の作用は、縦方向停止部の位置制御された縦方向位置で発生する。
【0014】
縦方向停止部の縦方向位置は剪断動作中に定数値に制御されている。
【0015】
端部における押圧力の位置制御された作用によって、従来の力制御された圧力作用と比べると、端部における分離面の切断品質を損なわずに、比較的低い圧力を用いることが可能となる。したがって、剪断設備における機器応力および摩耗が減少する。
【0016】
有利なことに、剪断動作中に端部において縦方向停止部によって加えられた押圧力の推移が測定される。これよって、剪断面の品質の査定が可能となる。したがって、本方法の1つの有利な実施例に基づいて、端部の剪断面の品質を査定するために、測定された押圧力の推移が評価される。「剪断動作中の押圧力の推移」とは、時間推移および/または剪断経路の推移と意味することが理解される。
【0017】
本方法の1つの有利な実施例に基づいて、好ましくは測定された押圧力の推移に基づいて、端部の剪断面の品質が不十分と判断されるとき、動作モードが変更され、当該動作モードにおいて、剪断すべき端部における押圧力の作用は、力制御された手段によって発生し、剪断すべき端部において縦方向停止部によって加えられた押圧力は、所定の力制御変数に基づいて制御される。そうすれば、押圧の位置制御された作用が望ましい剪断品質をもたらさなくとも端部は剪断されうる。
【0018】
有利なことに、測定された押圧力の推移が剪断動作の終了前に落下(dip)を有するとき、剪断面の品質が不十分であると査定され、落下を有する剪断動作において、押圧力の推移は、制御関連変動に関わらず、最小値に降下してから再び上昇する。
【0019】
測定された押圧力の推移が最小値から差分で上昇するとき、剪断面の品質が不十分であると査定され、当該差分は測定された押圧力の最大値の少なくとも10%であり、好ましくは最大値の15%から最大値の30%である。
【0020】
測定された押圧力の推移における降下およびそれに続く上昇は、ブレークアウトの指標である。
【0021】
また、測定された押圧力の推移が剪断動作の終了前に、0以下の値に降下するとき、剪断面の品質も不十分であると査定されうる。
【0022】
棒材から端部を剪断するための方法を実行することに適した設備は、固定刃と、棒材の縦方向に対して横方向に固定刃に対して移動可能に駆動される切断刃と、棒材の剪断すべき端部に対して縦方向に移動可能な縦方向停止部と、縦方向停止部を移動し、剪断動作中に、縦方向停止部を介して、押圧力を用いて棒材の縦方向に端部に作用する液圧システムと、を備える。設備は、縦方向停止部の縦方向位置を検出するための位置測定装置と、位置測定装置によって検出された縦方向停止部の縦方向位置に基づいて液圧システムを制御するために設計された制御器とを備え、位置測定装置の縦方向位置は液圧システムを介して制御器によって制御可能であり、液圧システムは、所定の位置制御変数に基づいて制御器によって制御可能である。
【0023】
位置測定装置と制御器と液圧システムとによって、縦方向位置が位置制御された縦方向停止部を用いて押圧力によって作用される端部が可能となり、実際の剪断動作の前後に位置制御された縦方向停止部の移動も可能となる。
【0024】
有利なことに、制御器は、剪断動作中に縦方向停止部の縦方向位置を定数値に制御するために設計されている。
【0025】
有利なことに、液圧システムは、制御器によって継続的に設定可能なサーボ弁を有する。このようなサーボ弁を用いれば、特に精密かつ快速な制御は可能となる。
【0026】
有利なことに、設備は、剪断すべき端部において縦方向停止部によって加えられた押圧力を測定するための測定システムを有する。よって、起こる可能性のある押圧力の制御が可能であり、一方、測定された押圧力は他の目的に利用されてもよく、特に達成した剪断品質を査定するために利用されてもよい。
【0027】
有利なことに、設備は停止部ピストンを備え、当該停止部ピストンは、縦方向停止部と運動学的に接続しており、液圧システムおよび液圧媒体の作用によって駆動可能であり、測定システムは、停止部ピストンの両側にある液圧媒体の圧力を検出するための圧力センサを有する。よって、縦方向停止部に作用する押圧力の時間推移は簡単に検出される。
【0028】
本方法の1つの有利な実施例に基づいて、制御器は、所定の力制御変数に基づいて液圧システムを介して、剪断すべき端部において縦方向停止部によって加えられた押圧力を制御するために設計されている。よって、端部における押圧力の作用も力制御された手段で行うことができ、当該手段は通常は、押圧力の位置制御された作用が望ましい剪断品質をもたらすときに特に有意義である。
【0029】
有利なことに、設備は2つの動作モードの間で切り替え可能であるように設計されており、1つの動作モードにおいて、剪断すべき端部における押圧力の作用は縦方向停止部の位置制御された縦方向位置で発生し、もう1つの動作モードにおいて、剪断すべき端部における押圧力の作用は力制御された手段によって発生する。よって、設備はさらに汎用的に利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に基づく設備の1つの例示的な実施例の斜視全体図
図2図1に基づく設備の重要部分の縦方向断面図
図3】剪断動作中に図2からの設備の一部の拡大図
図4】剪断表面の拡大上面図
図5】設備の異なる変化例の図
図6】設備の異なる変化例の図
図7】設備の異なる変化例の図
図8】設備の異なる変化例の図
図9】剪断動作中に、本発明に基づく方法の推移の代表的な変化例を説明するための図
図10】剪断動作中に、本発明に基づく方法の推移の代表的な変化例を説明するための図
図11】剪断動作中に、本発明に基づく方法の推移の代表的な変化例を説明するための図
図12】剪断動作中に、本発明に基づく方法の推移の代表的な変化例を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明に基づく方法および本発明に基づく設備は、以下、例示的な実施例に基づいて添付図面を参照しながらさらに詳細に説明される。
【0032】
下記の注意事項は以下の説明について適用される。参照番号が図面の明確性のために図面に含まれるものの説明の直接的に関わる部分に言及されていない場合、前後の説明におけるこれらの参照番号の解釈を参照すべきである。一方、図面が過度に複雑になることを回避するために、即座の理解に関わりが少ない参照番号は全ての図面に含まれるのではない。このような場合には他の図面を参照すべきである。
【0033】
図1から図3に示された設備は、基本的には、固定された固定刃10と、挟持装置20と、移動可能に駆動される切断刃30と、縦方向停止部50とを備える。固定刃10と挟持装置20とも略半円の断面を有する。固定刃10と挟持装置20とがその間にある通路を形成し、金属棒材Rが当該通路を通って挿入され、棒材Rの前端のその端面側が縦方向停止部50に接触するまで縦方向A(図2)に貫通する。
【0034】
固定刃10と移動可能な切断刃30とは縦方向に僅かにずれており、剪断面Sが固定刃10と切断刃30との間に定義されている。剪断面Sは正常には棒材Rの縦方向Aに直交している。棒材Rにおいて固定刃10および剪断面Sの後方から縦方向停止部50に当たるまで突出している部分は端部Rを成形し、端部Rは設備によって棒材Rの残余部分から剪断される。
【0035】
移動可能な切断刃30は既知の駆動手段によって駆動され、当該駆動手段は矢印35によって図面に標記されている。剪断移動は固定刃10に向かう方向に行われる。よって、及ぶ実際の剪断経路は、切断刃30が棒材Rへの係合と端部Rが棒材Rからの完全なる剪断との間の切断刃30のルートとして定義され、よって、実際の剪断経路は、切断刃30の移動方向に棒材Rの横方向の寸法に基本的に対応する。
【0036】
棒材Rを挿入または供給するために、図面に矢印1だけによって標記される既知の供給手段が提供される。当該供給手段においては、例えば、開放可能かつ閉合可能な待避装置を含んでもよく、当該待避装置は、棒材Rの外周に係合し、縦方向に前後に移動可能なように駆動可能である。
【0037】
棒材Rは、剪断動作中に挟持装置20によって縦方向に保持されてもよい。この目的のために、挟持装置20は棒材Rに対して押圧可能である。この目的に必要な既知の駆動手段は図面に矢印25によって標記されている。
【0038】
図2にさらに示されているように、縦方向停止部50は、アンビルのように広がった停止部ヘッド51と、棒材Rの縦方向に平行に延びた停止部シャンク52とを有する。剪断動作中、棒材Rおよびその端部Rは端面側で停止部ヘッド51の前面または端面51aと接触している。当該前面または端面51aは、棒材Rの縦方向(縦軸)に対して、垂直に延び、または、好ましくは90°から88°までの角度で傾斜する。
【0039】
停止部シャンク52は同軸ピストン棒61に螺合されていることよって、同軸ピストン棒61と縦方向に運動学的に連結している。ピストン棒61は、特に一体化部品の設計で、続いて停止部ピストン62と運動学的に接続している。停止部ピストン62およびそのピストン棒61は、固定ピストンハウジング60のピストンチャンバ63において軸方向に移動可能に指示されている。液圧媒体のための接続導管65、66は、軸方向または縦方向にピストン62の前及び後において、ピストンチャンバ63に開口する。停止部ピストン62は、および停止部ピストン62によって間接的に縦方向停止部50も、接続導管65を介して棒材Rの端部Rに向かう方向に圧力によって作用されうる。この圧力の作用によって生じた押圧力は図3において参照番号Fによって示されている。停止部ピストン62は、および停止部ピストン62によって間接的に縦方向停止部50も、接続導管66を介して反対方向に移動されうる。
【0040】
ピストン棒61および停止部ピストン62は軸方向のボーリング孔64を有し、位置測定装置70の棒状の位置測定プローブ71はボーリング孔64の中に延びている。位置測定プローブ71は固定されている。停止部ピストン62にあるのは位置磁石72であり、当該位置磁石72は、位置測定プローブ71を環状に囲み、停止部ピストン62とともに移動可能である。位置測定装置70は磁歪原理(magnetostrictive principle)に基づいて動作する。強磁性測定要素(導波路)は位置測定プローブ71の中に固定されていることによって保護されている。移動された位置磁石は導波路において縦方向の磁場を生成する。現在のパルスが位置測定プローブ71を通るとき、縦方向の磁場の周りに径方向に延びた第2磁場が生じる。測定点における2つの磁場の交差は導波路における角運動量を誘発する。この角運動量はねじれ(torsional)の躯体伝播(structure-borne)の音波として超音速で測定点から位置測定プローブ71のヘッド部におけるセンサ電子システム73へ走る。センサ電子システム73は高精度で躯体伝播音波を検出し、躯体伝播音波を変位に比例する位置信号に転換し、当該位置信号に基づいて、停止部ピストン62の軸方向位置および縦方向停止部50の軸方向位置が検出可能である。位置測定装置70は好ましくは1μm範囲で非常に高い精度を有する。
【0041】
図5は液圧システムの第1変化例を概略的に示し、当該液圧システムによって、縦方向停止部50、および剪断すべき棒材Rの端部Rにおける圧力の作用は、ピストンハウジング60における停止部ピストン62を介して間接的に実施される。
【0042】
液圧システムは、液圧供給部81と、液圧収納部82と、液圧タンク83と、連続的に制御可能なサーボ弁84と、を含む。サーボ弁84は、位置測定装置70と協働する制御器90によって制御される。液圧収納部82はサーボ弁84を介して(サーボ弁84の位置に基づいて)ピストンハウジング60における接続導管65、66と連通している。液圧タンク83はサーボ弁84と接続している。液圧媒体を案内する対応する導管は参照番号86、87、88、89によって示されている。実務上、図1から表れているように、サーボ弁84は直接的にピストンハウジング60に装着されていることによって、2つの導管88、89が相当に短くてもよい。
【0043】
液圧システムの基本の動作原則は以下の通りである。
【0044】
制御器90の制御によるサーボ弁84の開放の結果として、加圧された液圧媒体は液圧収納部82から、導管88を介して、ピストンハウジング60に流れ、停止部ピストン62において作用して停止部ピストン62を移動させる。導管89は導管87と接続されていることによって、移された液圧媒体は液圧タンク82に流れる。ピストンハウジングにおいて制御された圧力増大は、切断刃30の移動のタイミングに制御器90を介してサーボ弁84の適した制御によって行われる。
【0045】
圧力を低減するために、サーボ弁84は、導管88が導管87に接続して液圧媒体が液圧タンク82に流れられるように調整される。
【0046】
停止部ピストン62をリセットするために、サーボ弁84は、液圧媒体が液圧収納部82から導管89を介してピストンハウジング60に流れてピストンの他側から作用できるように設定される。導管88は導管87と接続していることによって、移された液圧媒体は液圧タンク82に流れる。代替的に、適切に設けられたスプリング機構などは停止部ピストン62をリセットするために提供されうる。棒材Rの供給移動によって停止部ピストン62がリセットされることもありえる。
【0047】
本発明に基づく方法の機能の動作原則は以下の通りである。
【0048】
方法のサイクルの開始において、棒材Rは、固定刃10と移動可能な切断刃30との間に縦方向Aに移動され、切断刃30は図1の開始位置に示されている。棒材Rは、その先端がその端面とともに縦方向停止部50の停止部ヘッド51の端面51aに当たるまで移動され、すなわち、棒材Rはその剪断すべき端部Rが縦方向停止部50に接触するまで移動される。
【0049】
方法の次のステップにおいて、棒材Rは、挟持装置20によって固定刃10に対して押圧されていることによって、縦方向の変位に対して固定されている(図3)。
【0050】
続いて剪断動作が開始する。この目的のために、移動可能な切断刃30は、棒材Rの縦方向に対して横方向に、固定刃10の方向に、移動される。移動可能な切断刃30が棒材Rに係合してくると、棒材は固定刃10に対して押圧され、よって、固定刃10とその剪断縁12aとともにも棒材Rに係合してくる。
【0051】
その直後または僅かな遅れで、縦方向停止部50は停止部ピストン62を介して棒材Rの端部Rに対して押圧され、よって、端部Rは押圧力Fによって端部の縦方向に作用される。この時点に、固定刃10の剪断縁12aは既に棒材Rに係合していて棒材を支持し、そのため、棒材は押圧力Fによって戻れない。挟持装置20が存在する場合、この縦方向の支持は挟持装置20によって持続する。
【0052】
棒材Rの端部Rにおいて作用する押圧力Fは、剪断応力および引張応力に加えられた端部Rにおける圧縮応力の状態を生じ、クラック形成および他の望ましくない結果を回避する。
【0053】
このとき、移動可能な切断刃30は押圧力Fの適用を用いて、端部Rが完全に剪断されるまで、棒材Rに対して横方向にさらに移動される。端部Rにおける押圧力Fの作用は、(端部Rが完全に剪断されるとき、)剪断経路の直前に終了し、または剪断経路の最後まで持続する。
【0054】
このとき、剪断された端部Rが除去され、移動可能な切断刃30および縦方向停止部50は、任意に挟持装置20も、それぞれの開始位置に戻される。方法の新たなサイクルが開始しうる。
【0055】
液圧システムおよび位置測定装置70の特定の設計を除き、本発明に基づく設備および本発明に基づく方法は、特に最初に言及した特許文献1に詳細に説明された既知の技術に対応する。よって、これらの技術についてさらに詳細に説明されることが必要ではない。
【0056】
図4は、剪断された端部Rの剪断面の、大幅に簡略化された図である。剪断面は、切断面101とも呼ばれていて低表面粗さを有する滑らかで平坦な平面と、表面粗さが異なる領域を有する破断面102と、からなる(図4)。粗くて脆弱な破断面、またはブレークアウト12は、材料の変形性が消耗し切ったときに生じる。
【0057】
棒材を剪断している間に、縦方向停止部50において軸方向に作用する力は剪断力の略4分の1である。剪断すべき棒の寸法が大きいほど剪断力を大きくし、または、加熱温度が低いほど剪断力を小さくする。その結果、縦方向停止部の駆動を行ってから縦方向に一定の偏位をもたらす可能性がある相対的に大きい力は避けられる。10分の1ミリメートルの範囲で生じるこの偏位は、剪断区域において応力状態に著しく影響することによって、材料の変形性および破断行為にも著しく影響する。
【0058】
剪断部の剪断面の望ましい剪断品質に達成するために、剪断面全体における破断面またはブレークアウトの割合は、剪断プロセスまたは剪断設備のための処理工法および技術的測定によって、できるだけ低くしなければならない。以下の詳細な説明のように、これは、縦方向停止部50によって端部における応力状態に対する積極的な貢献を介して行われる。
【0059】
本発明の1つの重要な実施態様に基づいて、この応力状態に対する積極的な貢献は、縦方向停止部50の位置制御された縦方向位置を用いて端部Rにおける押圧力の作用を介して行われる。縦方向停止部50が端部Rに接触している限りに、剪断動作中の縦方向停止部50の縦方向位置(軸方向位置)は定数値に制御されることが理解される。前述した縦方向停止部50の偏位は、縦方向停止部50の位置の制御によって解消され、当該制御において、液圧は停止部ピストン62を介して縦方向停止部50に作用しており、よって、端部Rにおいて作用する力Fは適切に制御される。これは制御器90によって行われ、制御器90はサーボ弁84を制御し、減算器91によって形成された位置偏差dxが入力変数として制御器90に提供される。位置偏差は、位置測定装置70によって測定された縦方向停止部50の実際の位置xと、設備に記憶された所定の位置制御変数(設定点位置)Xとの差分から生じる。実際の剪断動作中に位置制御変数は定数値である。位置偏差dxに基づいて、制御器90は、サーボ弁84を介して、位置偏差dxを最小化するように、理想的には完全に消すように、ピストンチャンバ63にある液圧を制御する。制御変数XFによって規定された縦方向停止部50の位置を仮定または維持するように、制御器90も縦方向停止部50を制御する。一方、端部Rにおける位置制御された力の作用によって、端部Rは過度の軸方向の力の作用による望ましくない高さに圧縮されることが回避される。
【0060】
剪断すべき端部Rの目標長さも、縦方向停止部50の縦方向位置の位置制御によって設定されうる。この目的のために、実際の剪断動作の開始前、設備に記憶された制御変数Xに基づいて、縦方向停止部50は所望の端部Rの目標長さに対応する位置に移動される。
【0061】
図6は設備の変化例を示しており、図5に基づく変化例と比べると、剪断すべき端部Rにおいて縦方向停止部50によって加えられた押圧力Fを測定するための測定システムが追加的に提供される。測定システムは2つの圧力センサ(圧力-電圧変換器)92、93と減算器94とを含む。2つの圧力センサ92、93は導管88、89内の圧力を測定し、すなわち、停止部ピストン62の両側の圧力を測定する。減算器94が差分Fを形成する。ピストン表面を考慮し、当該差分Fは端部Rにおいて縦方向停止部50によって加えられた押圧力Fの測定値であり、その逆も同様である。差分信号Fは剪断部長さの監視に利用されてもよく、例えば、デフォルト値に対して低すぎる数値は、剪断すべき端部が短すぎるまたは完全にないことを指す。また、差分信号Fは、剪断プロセス中に達成された剪断面の品質(ブレークアウトの形成)を遠隔に監視または診断することに利用されうる。これについては以下にさらに詳細に説明される。
【0062】
図7は、設備に記憶された力制御変数Fに基づいて、端部Rに作用する押圧力Fを制御する設備(力制御)の変形例を示している。2つの圧力センサ(圧力-電圧変換器)92、93は導管88、89内の圧力を測定し、すなわち、停止部ピストン62の両側の圧力を測定する。減算器94が差分F1を形成し、当該差分F1は端部Rにおける押圧力Fの測定値(実際値)である。もう1つの減算器95は、圧力差分Fと圧力制御変数Fとの間の差分dFを形成する。サーボ弁84を介して、制御器90は、差分dFに基づいて、端部Rに作用する押圧力Fを圧力制御変数Fに従わせるように、ピストンチャンバにおいて停止部ピストン62の両側の圧力を制御する。特定の棒寸法、材料、および加熱温度のための力重ね合わせ関数(force superposition function)、例えば、四角形または三角形は力制御変数Fの形式の数式として機器制御器に記憶される。他の点において、液圧システムは図5図6に示されたものと同様な設計を有する。図7の液圧システムは、剪断すべき端部Rにおいて力制御された押圧力の作用のために利用される。
【0063】
概略的に図8に示された、本発明に係る設備1つの特に有利な例示的実施例に基づいて、設備は前述した3つの変化例の特徴を組み合わせるように設計されている。この設備において、位置制御された、かつ、力制御された、端部Rにおける押圧力の作用が可能である。ユーザの制御によって、各場合において、2つの制御ストラテジ(位置制御/力制御)のうちの1つが利用される(図8においては切り替え要素96によって標記されている)。こうすれば、応用(剪断すべき部分の材料、寸法、温度)に基づいて、各場合において最も有利な制御ストラテジが選択されうる。これについては以下にさらに詳細に説明される。
【0064】
有利なことに、図5から図8において破線で囲まれた部品はソフトウェアによって実施され、各場合において、便宜上、それは剪断設備のための全体の制御システムに統合されており、または剪断設備に搭載された装置、代表的には成形装置に統合されている。
【0065】
図9から図12は剪断動作中における停止力(stop force)の代表的な推移を示し、この実施例において剪断動作は32mmの直径を有する棒材に対するものである。この状況において、停止力とは、剪断すべき棒材Rの端部Rによって縦方向停止部50に作用する力と意味することが理解され、この力は、例えば、図6とともに説明されたように測定されうる。停止力は端部において縦方向停止部50によって加えられた押圧力Fに対応し、すべての作用に対する原理に基づいて、同量で逆方向の反作用がある。したがって、「押圧力F」および「停止力」という用語は以下の説明に同義に用いられる。
【0066】
剪断刃の剪断経路または剪断ストロークは図9図11図12において横軸に描画されているため、図9図11図12は力-変位図である。設備の機械角(machine angle)の角度(angular degree)で表現された時間tは図10において横軸に描画されているため、図10は力-時間図である。実際の剪断動作は、ここは例示的に、約135°から170°の機械角範囲において行われる。推移のセッションは時間的に前後の力条件を表現し、すなわち、棒が停止部に接触する(ピークが約95°にある)とき、およびそれに続く休止フェーズ中に、または実際の剪断動作の完成後の力条件を表現する。これらの特徴は本発明への理解と関係がないため、更なる詳細は説明されない。
【0067】
図9の曲線f1は本発明に基づく位置制御された縦方向停止部50に対する剪断ストロークの関数として停止力の推移を表現する。それに比べて、曲線f2は縦方向停止部の位置制御が有効でないときの停止力の推移を示す。約9mmのところで曲線f2は非常に際立った落下を示しており、この落下は形成しているブレークアウトを指す。縦方向停止部の位置制御が有効であるとき(曲線f1)、このような落下は存在しておらず、停止力は剪断動作の終了まで実施的均一に減少する。図9の曲線f1と同様な、最大値から連続に降下している停止力の推移は十分の剪断品質を達成するのに必要であることが示されている。
【0068】
縦方向停止部50の縦方向位置pは図9において右の縦軸に描画されている。曲線f3は位置制御が有効であるときの縦方向停止部の位置推移を剪断ストロークの関数として示し、曲線f4は位置制御が有効でないときの位置推移を示す。位置制御が有効であるとき、位置推移(最小限の制御変動を除き)はほぼ一定であるが、剪断動作中に位置制御が有効でないとき、著しく(一定の)設定点推移から逸れている。
【0069】
図10は停止力の推移および縦方向停止部の縦方向位置を、角度で表現された時間tの関数として示す。曲線f11、f13は有効な位置制御中における推移を表現し、曲線f12、f14は位置制御が有効でないときの推移を表現する。よって、推移が剪断ストロークsの関数ではなく時間tの関数で表現されていることを除き、図10は実質的に図9に対応する。
【0070】
図11は曲線f5を用いて剪断力の(分析的に計算された)推移を剪断ストロークsの関数として示す。曲線f6は停止力の(分析的に計算された)推移を剪断ストロークsの関数として示す。最後に、曲線f7は、縦方向停止部の有効な位置制御を用いて、実際に測定された推移を剪断ストロークsの関数として示す。剪断ストロークにおける小さい波動を除き、停止力の実際に測定された推移(曲線f7)は約24mmのところで非常に際立った落下を有することが明らかであり、すなわち、測定された停止力はまず最小値に降下し、そして剪断ストロークにおいて再び急上昇する。この実施例において、停止力の推移の最小値または最小の数値は0より小さい。このような落下は(剪断部端面における滑らかな断面部分の終了箇所に)形成しているブレークアウトを指す。このような停止力の推移を有する剪断プロセスは一般的には十分な剪断品質をもたらさない。よって、剪断面の品質は測定された停止力の推移に基づいて確認されうる。
【0071】
位置制御された縦方向停止部の縦方向位置を利用し、剪断すべき端部における押圧力の作用を用いる、上に説明された本発明に基づく剪断方法は、機械負荷の著しい減少かつ剪断面の高品質をもたらす同時に、望ましくない端部の圧縮のリスクを回避する。ただし、棒材の材質、寸法、および温度によれば、この位置制御された押圧力の作用を用いても望ましい剪断品質を達成していない可能性がある。この場合において、本発明のもう1つの重要な実施態様に基づいて、力制御された押圧力の作用への変更が行われる(図7)。当該力制御された押圧力の作用は、例えば、原則、前述した特許文献1から知られている。この制御ストラテジ(位置制御/力制御)の変更に関する決定は、剪断設備の操作員が、剪断時間または剪断ストロークの関数とする測定された停止力F(図6)の推移に基づいて行ってもよい。図11を参照しながら前に説明したように、落下は停止力の推移においてブレークアウトの開始時に生じる。この落下が極端に際立ったときは、制御ストラテジが変更すべきであること、すなわち、端部において力制御された押圧力の作用に切り替えるべきであることを指す。推移パターンにおける小さい波動は停止力の推移の分析に考慮されない。停止力の推移における落下は、測定された停止力がまず最小値に降下し、そして剪断ストロークにおいて再び急上昇するときに表れ、よって、推移における制御関連の小さい変動または波動は無視される。特に、測定された押圧力Fの推移が最小値から差分ΔFで増加するとき、落下が認識され、当該差分は測定された押圧力Fの最大値Fmaxの少なくとも10%であり、好ましくは最大値Fmaxの15%から最大値Fmaxの30%である(図12を参照)。測定された停止力の推移の最小値も0以下の数値を有してもよい。
【0072】
図12において、図11の曲線f7と同様に、曲線f8は、縦方向停止部の有効な位置制御を用いて、測定された停止力の推移を表現する。曲線f8は剪断ストロークにおいて約24mmのところで際立った落下を有し、その結果、剪断品質は不十分である。したがって、剪断設備の操作員は設備を、剪断すべき端部において力制御された押圧力の作用を用いる制御ストラテジに切り替え、よって、縦方向停止部の位置制御は自然に無効化される。例えば、有効な力制御を用いて、2つの測定された停止力の推移は図12に示されている。曲線9は、四角形の圧力重ね合わせ(pressure superposition)によって、剪断すべき端部において力制御された押圧力の作用を用いる停止力を示し、曲線10は三角形の圧力重ね合わせによるものを示す。圧力重ね合わせとは、力制御変数F図7)によって規定された、剪断ストロークの力推移を意味することと理解される。
【0073】
前述した設備および方法の更なる変形例は実施されうる。特に、剪断品質の査定のための、停止力の推移の評価はコンピュータ制御によって自動的に行われてもよく、制御ストラテジ(位置制御/力制御)の選択もコンピュータ制御によって自動的に行われてもよい。
【0074】
本発明に基づく剪断方法および本発明に基づく剪断設備は、熱間成形の全温度範囲から、下がった温度で成形する全ての冷間成形までの成形プロセスとともに利用可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12