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特許7266585非接触式ツールセッティング装置のビームプロファイルを評価するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】非接触式ツールセッティング装置のビームプロファイルを評価するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20230421BHJP
   G01M 11/02 20060101ALI20230421BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20230421BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20230421BHJP
   G01B 11/08 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G01J1/02 L
G01M11/02 Z
B23Q17/24 B
G01B11/02 Z
G01B11/08 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020513602
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 GB2018052474
(87)【国際公開番号】W WO2019048834
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-08-31
(31)【優先権主張番号】17189509.7
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アラン ジェームズ ホロウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン ジェイソン メリフィールド
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ベンジャミン エッグルストーン
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第11229983(US,B2)
【文献】欧州特許第3679335(EP,B1)
【文献】特表2006-510495(JP,A)
【文献】特表2009-527756(JP,A)
【文献】特表2015-535596(JP,A)
【文献】特開平7-113686(JP,A)
【文献】米国特許第5267012(US,A)
【文献】特開2004-294239(JP,A)
【文献】特表2003-509681(JP,A)
【文献】実開平1-70144(JP,U)
【文献】特開昭63-154934(JP,A)
【文献】特開2000-346614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-G01J 1/60
G01J 11/00
G01M 11/00-G01M 11/08
B23Q 5/00-B23Q 5/58
B23Q 17/00-B23Q 23/00
G01B 11/00-G01B 11/30
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触ツールセッティング装置の光ビームのビームプロファイルを評価する方法であって、前記非接触ツールセッティング装置は、前記光ビームを放射するトランスミッターと、前記光ビームを受信するためのレシーバーとを含み、前記レシーバーは、受け取られた光の強度を記述するビーム強度信号を生成し、前記非接触ツールセッティング装置は、前記非接触ツールセッティング装置に対して移動可能なスピンドルを有する工作機械に取り付けられ、前記方法は
(i)エッジを有する物体を前記工作機械の前記スピンドルにロードするステップと、
(ii)前記工作機械を使用して前記非接触ツールセッティング装置に対して前記スピンドルを移動して前記物体のエッジが前記光ビームを通過するようにするステップと、
(iii)前記光ビームを通して前記物体の前記エッジを移動するステップ(ii)の間に複数の位置で生成される前記ビーム強度信号を使用して前記光ビームの前記ビームプロファイルを決定するステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
ステップ(iii)で決定された前記ビームプロファイルが、ビーム幅を示す値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(iii)は、ステップ(ii)の間に前記非接触ツールセッティング装置に対する前記スピンドルの複数の位置における前記ビーム強度信号を記述する複数のビーム強度値を記録することを含む、請求項1乃至2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
数学的関数を前記複数のビーム強度値にフィッティングすることにより前記ビームプロファイルを決定する前記ステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記数学的関数は線形関数であり、また、前記線形関数は特定のビーム強度範囲内のビーム強度値にフィッティングされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記線形関数を前記ビーム強度値にフィッティングすることによって得られた線が外挿または補間されて、ビームクリア強度の異なる割合に対応する物体の第1の位置および第2の位置を決定し、前記第1の位置および前記第2の位置の空間的分離は前記ビームプロファイルを提供する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記数学的関数は、2次以上の多項式関数である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(iii)は、前記ビーム強度信号が複数の異なる強度閾値を横切るときの前記物体に対する前記スピンドルの複数の位置を決定することを含み、前記ビームプロファイルは前記複数の位置から決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(ii)が、実質的に一定の速度で前記非接触ツールセッティング装置に対して前記スピンドルを移動することを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(ii)が、既知の速度で前記非接触ツールセッティング装置に対してスピンドルを移動することを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記光ビームが実質的に円形の断面を有する、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ビームプロファイルが複数の方向に沿ってサンプリングされることを可能にするために、前記物体が異なる方向にビームを通って移動されることをともなって前記ステップ(ii)および(iii)が繰り返される、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記光ビームの長さに沿った複数の点で前記光ビームのプロファイルを測定するために、ステップ(ii)および(iii)が繰り返される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(iii)で決定された前記ビームプロファイルが、以前に決定されたビームプロファイルと比較される、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触ツールセッティング装置に関する。特に、本発明は、非接触ツールセッティング装置の光ビームのビーム幅などのビームプロファイルを評価するための改善された技術に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械で使用するためのブレイクビームツールセッティング装置は知られている(たとえば特許文献1を参照)。このタイプのツールセッティング装置は、検出器に送られる光のビームを生成する光源を含む。ツールセッティング動作中、工作機械は、光ビームの中へおよび光ビームから外へツールを移動させるように動作させられる。
【0003】
ツールによる光ビームの中断が検出され、装置は、光ビームが特定の量だけ遮られるたびに、いわゆるトリガー信号を生成する。
【0004】
これにより、ツールの一部の位置を確立され得る。ツールの一部(たとえば、ツールの先端やエッジ)の位置を確立することに加えて、また、ツールセッティング装置はツールの長さおよび/または直径を測定したり、ツールの破損や摩耗を監視したりすることにも使用され得る。
【0005】
非接触ツールセッティング装置が取り付けられている工作機械の作業ボリュームは、典型的に、非常に汚れた環境である。通常、レーザービームを部分的に遮る、さもなれればレーザービームの品質に影響を与えるクーラント、切りくず、およびその他の汚染物質が存在し、これにより測定精度が低下する。これにより、ツールセッティング装置を清掃するための定期的な予防保守の必要性を持ち込む可能性があるが、装置の頻繁な清掃は、工作機械のダウンタイムの量が増加するという欠点がある。本発明者らは、様々な変化(例えば、熱成長、レーザー波長の変化など)が、ツールセッティングデバイスから放出されるレーザービームの幅に影響を及ぼし得ることを発見した。これは、実際には、ツールセッティング装置のビーム幅が使用中に変化する可能性があり、それによりツール測定の信頼性と精度が低下することを意味する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第6496273号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、非接触ツールセッティング装置の光ビームのビームプロファイルを評価する方法が提供され、非接触ツールセッティング装置は、光ビームを放射するトランスミッターと光ビームを受信するためのレシーバーとを含み、レシーバーは、受信光の強度を表すビーム強度信号を生成し、非接触ツールセッティング装置は、非接触ツールセッティング装置に対して移動可能なスピンドルを有する工作機械に取り付けられ、方法は
(i)エッジを有する物体を工作機械のスピンドルにロードするステップと、
(ii)工作機械を使用して非接触ツールセッティング装置に対してスピンドルを移動して物体のエッジが光ビームを通過するようにするステップと、
(iii)光ビームを通して物体のエッジを移動するステップ(ii)の間に複数の位置で生成されるビーム強度信号を使用して光ビームのビームプロファイルを決定するステップを含むことを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明の第1の態様は、工作機械に取り付けられたときの非接触ツールセッティング装置のビームプロファイル(例えば、ビーム幅)を測定する方法に関する。非接触ツールセッティング装置は、トランスミッターから(例えば、トランスミッターのレーザーダイオードによって)放射された光ビーム(例えば、レーザービーム)がレシーバーに向かって自由空間の領域を通過するブレイクビーム型のツール検出システムを含む。トランスミッターによって生成された光ビームは、特定のビームプロファイルを有する、たとえば、円形断面ビームの場合、特定のビーム直径と強度分布を有する。レシーバーは受信した光を(例えばフォトダイオードを使用して)検出し、受信した光の強度を表すビーム強度信号を生成する。
【0009】
この方法は、エッジを有する物体を工作機械のスピンドルにロードするステップ(i)を含む。物体は、アーティファクト(たとえば、キャリブレーションピン)、ツール、または明確に定義されたエッジを有するその他のアイテムであり得る。ステップ(ii)は、工作機械を使用して、非接触ツールセッティング装置に対してスピンドル(すなわち、物体を保持するスピンドル)を動かし、物体のエッジが光ビームを通過するようにすることを含む。言い換えれば、物体を保持する工作機械は、光ビームに対して物体のエッジを光ビームの内にまたは光ビームの外に駆動するようにプログラムされている。光ビームを通るこの動きは、物体によって遮られる光ビームの量が物体の動きによって変化するため、レシーバーによって生成されるビーム強度信号の変化を引き起こす。測定プロセスには、ビーム内に移動する物体(いわゆる「明暗」測定)またはビーム外に移動する物体(いわゆる「暗明」測定)を含め得ることが留意されるべきである。
【0010】
本発明は、光ビームを通して物体のエッジを移動するステップ(ii)中に複数の位置で生成されたビーム強度信号を使用して光ビームのビームプロファイルを決定するステップ(iii)によって特徴付けられる。言い換えれば、物体の単一のエッジが光ビーム内の異なる位置にあるときに発生する異なるビーム強度信号はビームプロファイルを決定するのに使用される。ビームプロファイルを決定する方法は、ビームプロファイルを完全に特性化すること(たとえば、エッジが複数の方向から光ビームを通って移動する高解像度プロファイリング手順を実行することによって)、または、ビームプロファイルの特定の特性(たとえば、ビーム径、対称性、形状など)のみを決定することを含み得ることが留意されるべきである。光ビームが対称的であるなど、ビームプロファイルを決定する際にさまざまな仮定を立てることもできる。すなわち、本明細書で使用されるビームプロファイルという用語は、ビームプロファイルの任意の1つまたは複数の特性(ビーム幅またはビーム幅を示す推定横ビーム範囲など)を含むと理解されるべきである。以下で説明するように、ビームプロファイルは、複数の物体の位置でビーム強度信号をキャプチャすることにより、またはビーム強度信号が複数の異なる閾値のそれぞれに到達するタイミングを評価することにより評価され得る。
【0011】
すなわち、本発明は、ビーム幅を決定するためにエッジ(例えば直線エッジ)を有する任意の物体(例えばツール)のビーム強度値を使用することができる。ビーム幅は、(必要に応じて物体の異なるエッジを使用して)複数の方向で測定され得、および/または以前に測定された値と比較され得る。これにより、ビーム幅を定期的(たとえば、各測定の前に)および素早くチェックすることができる(つまり、特定のキャリブレーションピンを工作機械のスピンドルにロードする必要がない)。これは、生産プロセスの中断が最小限であることを意味する。
【0012】
有利には、ステップ(iii)で決定されたビームプロファイルはビーム幅を含む。ステップ(iii)で見つかったビームプロファイルは、ビーム対称性を含み得る。
【0013】
ビームプロファイルの直接測定が決定され得る(例えば、ミリメートル単位のビーム幅)。好適には、ビームプロファイルの間接測定が決定される。例えば、ビーム幅に関連する因子または値などの、ビームプロファイルの値または相対測定が決定され得る。言い換えれば、ステップ(iii)で決定されたビームプロファイルは、キャリブレーションされたビームプロファイル測定であっても、測定されているビームプロファイル(ビームプロファイルの特性など)に関連する因子であってもよい。
【0014】
有利には、ステップ(iii)は、ステップ(ii)中に非接触ツールセッティング装置に対してスピンドルの複数の位置でビーム強度信号を記述する複数のビーム強度値を記録することを含む。言い換えれば、ビーム強度信号の値は、光ビームを通る物体のエッジの移動中に周期的に(すなわち、複数の位置で)記録される。好適には、物体は一定の送り速度で(すなわち一定の速度で)光ビームに対して移動する。それにより、光ビームに対する物体のエッジの位置の関数としてのビーム強度値のセットが収集される。言い換えれば、光ビームに対する物体のエッジの位置の関数としてビーム強度信号を記述する複数のビーム強度値を含むビーム強度データセットが収集される。次いで、これらのビーム強度値はビームプロファイル(ビーム幅など)情報を抽出するために分析され得る。
【0015】
有利には、ビームプロファイルを決定するステップは、数学的関数を複数のビーム強度値にフィッティングさせることを含む。言い換えれば、ビーム強度値は数学的関数によって記述され得る。数学的関数は、予想される(たとえばS字型の)ビーム強度プロファイルを記述し得る。例えば、数学的関数は、多項式関数(例えば、二次、三次、またはより高次の多項式関数)になり得る。一実施形態では、数学的関数は線形関数である。数学的関数は、収集されたビーム強度値のサブセットのみにフィットさせ得る。たとえば、線形関数を特定のビーム強度範囲内のビーム強度値にフィットさせ得る(たとえば、S字型プロファイルのほぼ線形の中央セクションのビーム強度値)。一実施形態では、ビームクリア強度の10%から90%の範囲内のビーム強度値のみが、数学的な(たとえば、線形)関数にフィットされる。当業者は、使用される数学的関数が、ビームプロファイルが決定される精度に影響を与え、したがって、それに応じて数学的関数を選択することを理解するであろう。
【0016】
上述のように、線形関数はビーム強度値の少なくとも一部にフィットさせ得る。有利には、線形関数をビーム強度値にフィットさせることにより得られる線は、異なる(例えば、上部および下部)ビーム信号強度に対応する物体の複数の位置を決定するために外挿または補間される。次いで、複数の位置間の差は、ビーム幅を示す値を提供し得る。便利には、線形関数は、ビームクリア強度の異なる割合(10%と90%など)に対応する物体の最初と2番目の位置を決定するために外挿または補間される。次いで、第1および第2の位置の空間的分離は、ビーム幅に関連する因子または値を提供し得る。
【0017】
複数のビーム強度値を記録する代わりに、ビーム強度信号は複数の異なる強度閾値と比較され得る(例えば、90%および10%強度閾値が使用され得る)。好適には、ステップ(iii)は、ビーム強度信号が複数の異なる強度閾値を超えるとき、物体に対するスピンドルの複数の位置を決定することを含む。次いで、ビームプロファイル(例えば、ビーム幅)は、複数の位置から決定され得る。異なる強度閾値の交差に関する情報は、ビームプロファイルがコントローラーによって決定されることを可能にするために工作機械の数値コントローラーに伝達され得る(例えば、適切なトリガー信号を発行することにより)。あるいは、ビームプロファイルは計算され得、および、非接触ツールセッティング装置内に保存され得る。次いで、ビームプロファイル情報がツールセッター内に保存されている場合、その後、そのような情報は装置がツールの測定に使用されるときに使用され得る。例えば、測定精度を低下させる可能性のあるビームプロファイル(ビーム幅など)の変動を補正する。
【0018】
有利には、ステップ(ii)は、非接触ツールセッティング装置に対してスピンドルを実質的に一定の速度(すなわち送り速度)で動かすことを含む。スピンドルが非接触ツールセッティング装置に対して移動する速度は既知であり得る。速度が既知の場合、物体の位置は、ビーム強度信号が生成された時間から推測され得る。スピンドルは、直線経路に沿って非接触ツールセッティング装置に対して移動され得る。
【0019】
前述のように、物体のエッジをビームを遮るために光ビームに移動し得る。すなわち、ステップ(ii)は、光ビームの外側からエッジを光ビームに移動させることを含み得る。この段取りは、「明暗」測定と呼ばれる。物体が光ビームを完全に覆い隠して測定を開始し、物体のエッジを光ビームから離れるように移動することも可能である。この段取りは「暗明」測定と呼ばれる。
【0020】
光ビームは任意のプロファイルを有し得る。例えば、光ビームはガウス分布を有し得る。すなわち、光ビームは、実質的に円形または楕円形の断面を有し得る。この場合、ビーム幅はビーム直径とも呼ばれる。上述のように、本方法を使用して得られるビーム幅またはビーム直径は、ビーム幅または直径の指標を提供する任意の値または尺度であり得る。また、ビームプロファイルについて特定の仮定を立てることも可能である(たとえば、円形または楕円形)。有利には、ビーム幅は、ツール測定目的のためにツールがその後ビームに移動する方向に沿って測定される。
【0021】
ビームプロファイルの測定は1回以上繰り返され得る。繰り返される測定は、複数の異なる方向に(例えば、異なるツール経路に沿って)ビームを通して物体を移動させることを含み得る。このようにして、ビームプロファイルは異なる方向で測定(サンプリング)され得る。言い換えれば、好適には、ステップ(ii)および(iii)は、ビームプロファイルが複数の方向に沿って決定されることを可能にするために、物体が異なる方向にビームを通って移動されることをともなって繰り返される。このようにして、光ビームの真円度を確認することが可能である(例えば、垂直および水平方向に沿ってビーム幅を測定することにより)。当業者は、彼らの要件に基づいて行われる測定の数と方向を選択するだろう。多くの場合、ビーム幅を1回測定するだけで十分である(たとえば、ビームプロファイルが円形であることが適切な近似であると推定できる場合)。他の極端な場合、ビームプロファイルの複数の(例えば、5以上、10以上、または50以上)測定は、物体を多くの異なる方向(例えば、多くの異なる角度から)でビームを通すよう移動することにより行われ得る。これらの測定は、詳細なビームプロファイルを構築するために使用され得る、たとえば、高空間分解能のビームプロファイリングを提供するため(トモグラフィーによる)。
【0022】
また、本方法は光ビームのプロファイルがその長さに沿った複数の点で測定されることを可能にするために繰り返され得る。言い換えれば、ステップ(ii)および(iii)は、光ビームの長さに沿った複数の点で光ビームのプロファイル(たとえば幅)を測定するために繰り返され得る。これにより、集束ビームのプロファイルが測定されることを可能にし得る。例えば、ビームの焦点を見つけるため。有利には、光ビームは、実質的にコリメートされた光ビームを含む。コリメートされたビームのプロファイル(たとえば幅)は、必要なコリメーション量が存在することを確認するために、その長さに沿った複数のポイントで測定され得る。
【0023】
好適には、ステップ(iii)で決定されたビームプロファイルは、以前に決定されたビームプロファイルと比較される。ビームプロファイルの著しい変化(たとえば、ビーム幅の一定の割合の変化)は、装置がユーザーの注意を必要とすることを示し得る(たとえば、クリーニングまたは再キャリブレーションのため)。このようなビーム幅の変化が発生した場合、または工作機械がエラーモードに入り、さらなる加工動作を停止するようプログラムされ得る場合、ユーザーに警告が提供され得る。ビームプロファイルの許容できないレベルの変化は、非接触ツールセッティング装置の測定仕様を考慮することにより定義され得る。たとえば、ビーム幅が変化して測定精度が許容レベルを下回ったことを意味する場合、警告が発行され得る。
【0024】
本発明の第2の態様によれば、工作機械で非接触ツール測定を実行するための装置であって、ビーム幅を有する光ビームを放射するトランスミッター、および光ビームを受信するレシーバーであって、当該レシーバーで受信された光の強度を表すビーム強度信号を生成するレシーバーを含み、装置は物体のエッジが光ビームを通って移動するときに生じるビーム強度信号を分析するためのビームプロファイル(例えば、ビーム幅)測定モジュールを含み、ビームプロファイルは、物体のエッジが光ビームを通して移動する間に複数の位置で発生するビーム強度信号から決定されることを特徴とする装置が提供される。
【0025】
装置は公称ツール直径を有するツールが光ビームを通って移動するときに生じるビーム強度信号の変動を分析するためのトリガーユニットを含み得、トリガーユニットは、ビーム強度信号がトリガー閾値を超えるとトリガー信号を生成する。トリガー信号は、ツールサイズを決定するために工作機械によって使用され得る。ツール幅を決定する際に、ビーム幅が考慮され得る。装置はまた、類似の方法の文脈において上記で説明された任意の1つまたは複数の特徴を含み得る。
【0026】
また、本明細書には、非接触ツールセッティング装置の光ビームのビームプロファイルを評価する方法が記載されており、非接触ツールセッティング装置は、光ビームを放射するトランスミッターと、光ビームを受信するレシーバーとを含み、レシーバーは受信した光の強度を記述するビーム強度信号を生成し、非接触ツールセッティング装置は、非接触ツールセッティング装置に対して移動可能なスピンドルを有する機械に取り付けられ、方法は、(i)機械のスピンドルに物体を装填するステップと、(ii)機械を使用して非接触ツールセッティング装置に対してスピンドルを動かし、物体が光ビームを通過するようにするステップと、(iii)光ビームを通して物体を移動させるステップ(ii)の間に複数の位置で生成されたビーム強度信号を使用して光ビームのビームプロファイルを決定するステップと、を含む方法である。物体は、既知のサイズのアーティファクトであり得る。アーティファクトは、既知のサイズのキャリブレーションピンであり得る。キャリブレーションピンは、光ビームの幅よりも小さてもよい。アーティファクトは光学要素を含み得る。たとえば、透過なキャリア上のスリットまたはクロム線。小さな開口または不透明な領域(たとえば、ピンホール)を有するアーティファクトも使用され得る。物体は、ビームを完全に通過し得る(たとえば、一方から他方へ)。物体のエッジのみがビームの中に(または、外に)移動し得、または、両方のエッジがビームと通して移動し得る。ビームプロファイルはビーム幅であり得る。機械は、座標位置決め装置(例えば、ロボット、座標測定機など)であり得る。機械は工作機械であり得る。この方法は、本明細書で説明される様々な特徴のいずれか1つまたは複数を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
ここで、本発明が、添付の図面を参照して、単なる例として説明される。
図1】本発明の非接触ツールセッティング装置を示す図である。
図2】物体がツールセッティング装置の光ビームを通過するときに受信ユニットの検出器によって生成される信号を示す図である。
図3】レーザービームの幅を示す図である。
図4】直線にフィットしたビーム強度データを示す図である。
図5】ビーム幅の計算に使用される2つのトリガー閾値の測定値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1を参照すると、本発明のツールセッティング装置が図示されている。装置は、光ビーム12を生成するトランスミッター10を含む。トランスミッター10は、光ビーム12を生成するためのレーザーダイオードおよび適切な光学系(図示せず)を含む。光ビーム12を受信するためのレシーバー14も図示されている。レシーバーは、光ビーム12を検出するためのフォトダイオード(図示せず)を含む。
【0029】
トランスミッター10とレシーバー14は両方とも柱18により共通のベース20に固定されている。この配置は、トランスミッター10とレシーバー14が互いに対して一定の間隔と方向を維持することを確実にする。次いで、ベース20は、工作機械のベッド、または実際には任意の適切な部品に直接取り付けられ得る。また、トランスミッターとレシーバーを取り付けるためのさまざまな代替構造を使用できることが留意されるべきである。例えば、トランスミッターとレシーバーに共通のハウジングを提供され得、また、別個のトランスミッターとレシーバーユニットを工作機械に別々に取り付け得る。
【0030】
また、装置は、電気ケーブル17を介してトランスミッター10およびレシーバー14に接続されたインターフェース15も含む。インターフェース15は、トランスミッター10およびレシーバー14に電力を提供し、レシーバー14のフォトダイオード検出器からビーム強度信号も受信する。インターフェース15は、また、レシーバー14から受信するビーム強度信号を監視し、ビーム強度信号がトリガー閾値を超えると、関連する工作機械30にトリガー信号を発行するトリガー回路22も含む。
【0031】
ツール測定操作で使用する前に、例えば、セットアップまたは設置プロセス中に、トランスミッター10とレシーバー14は、レシーバー14のフォトダイオードに当たる光の強度を最大にするように互いに対してまっすぐ並べられる。次いで、レシーバーに関連付けられた可変ゲイン増幅器は、ビームの妨害がない場合(つまり、いわゆる「ビームクリア」状態の装置の場合)、ビーム強度信号が5vの値をとるよう調整される。すなわち、この5Vビーム強度信号は、参照ビーム強度レベルとして設定される。次に、トリガー閾値は2.5v(つまり、参照ビーム強度レベルの50%)に設定される。物体を光ビーム12に通すことは、ビーム強度信号が2.5vを下回るとトリガー信号が発行される結果をもたらす。すなわち、このトリガー信号は物体(たとえばツール)が光ビーム12に対して特定の位置に到達したことを示すことに使用され得る。
【0032】
図2は、直径8mmのソリッド(キャリブレーション)ピンを光ビームに通すことでビーム強度信号が減少する様子を示す。特に、図2のグラフは、キャリブレーションピンが光ビームの軸に垂直な方向に沿って光ビームを横切らせられたとき工作機械によって測定されたピンの位置の関数(x軸にプロット)としてのビーム強度信号(y軸にプロット)の変化を示す。光ビームが遮断されていない場合(いわゆる「ビームクリア」条件)、ビーム強度信号は約5vの値を取り、s字曲線50に従ってビームが完全にブロックされると0vに減少する。2.5v(50%)トリガー閾値を使用すると、12.117mmのピンのトリガー位置が得られる。
【0033】
図3は、図1を参照して説明される光ビーム12のプロファイルを示している。ビームの強度分布は、ビーム直径が 1/ e2のガウス分布を有する。図2に示されているs字曲線50は、図3に示されているガウス型ビームにキャリブレーションピンを通したときに得られる。たとえば、汚染物質や光学部品の位置ずれなどによってビームのプロファイルが変化した場合、キャリブレーションピンの挿入は受信光強度に異なる影響を及ぼす。たとえば、図2に示す曲線52は、ピンを異なるビームプロファイルに挿入したときに得られ得る。これにより、測定されたピンのトリガー位置にエラーEが生じる。ユーザーは典型的に、このようなエラーが発生したことを知らず、エラーにより不正確なサイズのツールが工作機械で使用される。
【0034】
本発明は、工作機械に取り付けられたときに非接触ツールセッティング装置を使用してビーム幅(および/またはビームプロファイルの別の特性)を迅速に測定することを可能にする技術を提供する。これは、工作機械のスピンドルに物体(たとえば、キャリブレーションピン、アーティファクト、ツール、または他の物体)をロードし、物体のエッジを光ビーム12に移動することによって行われる。したがって、ビーム強度信号は、光ビームを遮るようにエッジが移動するにつれて、ビームクリア値からゼロになる。物体が光ビームに移動する間、ビーム強度信号が記録される。特に、エッジの動作中にビーム強度値のセットが収集される。
【0035】
図4は、物体の位置の関数としてプロットされたビーム強度値80のそのようなセットを示している。ビームに対する物体のエッジの実際の位置は知られる必要がないことは留意される。また、物体が一定の既知の速度でビームに移動される場合、工作機械からスピンドル位置データを抽出する必要はない。代わりに、物体の位置は、ビーム強度値が記録された時間から簡単に推測され得る。
【0036】
図4のビーム強度値は、上記のS字曲線に従う。ビーム幅を測定するために、S字曲線の実質的に線形部分にあるビーム強度値80のサブセットが分析される。特に、線形関数がビーム強度値80にフィッティングされる。次いで、フィッティングした直線82は、10%および90%(0.5Vおよび4.5V)のビーム強度レベルに外挿される。次いで、ビーム幅「d」(すなわち、円形ビームのビーム直径値)は、直線82が10%および90%の強度レベルを横切る位置P1およびP2の差から得られる。ビーム幅は直接測定され得(たとえば、幅はミリメートルなどで確立され得る)、またはビーム幅測定は間接的であり、それによってビーム幅に関連する要因を含み得る(たとえば、ビーム幅に関連して変化する値)。この例では線形関数が使用されているが、多項式関数(たとえば、2次または3次の多項式)も使用され得る。
【0037】
この手法は実装が簡単で、特別なキャリブレーションツールを使用する必要がない(つまり、エッジを有する任意の物体が使用され得る)。また、物体を複数の異なる方向からビームに移動して、光ビームの異なる幅を見つけることが可能である(たとえば、垂直方向と水平方向のビーム幅が測定され得る)。ビーム幅の測定値は、ビームサイズが変化したかどうかを確認するために(たとえば、熱成長やレーザー劣化などによる)、同じビーム幅の以前の測定値と比較され得る。この比較は、装置のクリーニングまたはメンテナンスが必要であることを示すために使用され得る。
【0038】
図5は、代替実施形態を示す。多くのビーム強度データ値を収集する代わりに、装置は、ビーム強度信号が2つの異なる強度閾値を横切るとき(およびしたがって横切るところ)を記録するように構成され得る。これは、上限トリガーしきい値T1(たとえば80%または4V)と下限トリガーしきい値T2(たとえば20%または1V)を有することに似ていると考えることができる。T1とT2の閾値を超えたときの推定位置は、ビーム幅を決定するために使用され得る。必要に応じて、追加の閾値(T3、T4など)が提供されることができる。
【0039】
上記の例では、エッジがビーム内に移動する「明暗」測定について説明しているが、物体のエッジが最初にビームをブロックしていて、ビーム外へ移動する「暗明」測定を使用してこの方法を実装することも可能であることは留意されるべきである。上記の例では、ビーム幅の測定について説明しているが、ビームプロファイルの他の特徴(たとえば、ビーム対称性など)を評価することも可能である。当業者はまた、可能な方法の変形を知っているだろう。
図1
図2
図3
図4
図5