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特許7266593非平坦面を有する支持体上にフィルムを製造するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】非平坦面を有する支持体上にフィルムを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20230421BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20230421BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20230421BHJP
   B32B 1/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H01L27/12 B
H01L21/02 B
H01L21/265 Q
B32B1/00 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020524058
(86)(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-14
(86)【国際出願番号】 EP2018079797
(87)【国際公開番号】W WO2019086504
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】1760270
(32)【優先日】2017-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500361216
【氏名又は名称】ソワテク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ、ギスレン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マルク、ベトゥー
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-502593(JP,A)
【文献】特表2003-518737(JP,A)
【文献】特開平11-145481(JP,A)
【文献】特表2006-527480(JP,A)
【文献】特開2012-178548(JP,A)
【文献】特開平07-249679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/265
H01L 27/12
B32B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非平坦面を有する支持体(20)上にフィルム(12)を製造するための方法であって、
非平坦面を有するドナー基板(10)を供給すること、
ドナー基板(10)内に脆化区域(11)を形成し、転写すべきフィルム(12)の範囲を定めること、ここで、転写すべきフィルム(12)の非平坦面は、脆化区域(11)の形成前に得られる、
転写すべきフィルム(12)の非平坦面における成膜により、支持体(20)を形成すること、ここで、支持体(20)が、金属、ガラスおよびセラミックスから選択された材料からなる、
ドナー基板(10)を脆化区域(11)に沿って分離し、フィルム(12)を支持体(20)上に転写すること
を含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項2】
支持体(20)の成膜前に、前記非平坦面上に中間層(21)を成膜することをさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脆化区域(11)の形成が、ドナー基板(10)内へのイオン種の添加により行われる、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
添加されるイオン種が、水素および/またはヘリウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ドナー基板(10)の分離が、熱処理により生じる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
支持体(20)の成膜が、分離熱処理のサーマルバジェットよりも小さいサーマルバジェットで実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
転写されるフィルム(12)が、半導体材料、圧電材料、磁性材料および機能性酸化物から選択された材料からなる、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
転写されるフィルム(12)が単結晶である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
転写されるフィルム(12)の厚さが100nm~10μm、好ましくは100nm~1μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
支持体(20)が、1~50μmの厚さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
支持体(20)の材料が、転写されるフィルム(12)の材料との熱係数の差が絶対値で5×10-6-1未満となるように選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
支持体(20)の成膜が、以下の技術:
物理蒸着、化学蒸着、電気化学蒸着、スピンコーティング、ラッカー吹付および噴霧
のうち1つにより実施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
転写すべきフィルム(12)の表面が、少なくとも1つの曲面部分を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
転写すべきフィルム(12)の表面が、少なくとも1つの凹型パターンまたはレリーフパターン(100)を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
転写すべきフィルム(12)の表面が、1nm rmsより大きい粗さにより特徴付けられるテクスチャーを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
分離終了時のドナー基板の残部(10’)が、支持体(20)上に非平坦面を有する新しいフィルム(12)を製造するためにリサイクルされ、リサイクル前に、ドナー基板の残部に、実質的にゼロであるか、または、残部(10’)のトポロジーに応じた材料の除去を含む、その表面の再生操作が施される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
支持体(20)の成膜が、少なくとも2層の異なる材料の連続的成膜を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ドナー基板の分離後に、転写されたフィルム(12)の、支持体(20)とは反対側の面に付加的フィルム(13)を成膜することをさらに含んでなる、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ドナー基板が、ウエハー(1000)の表面に配置された複数のパッド(1001)を含んでなり、各パッド(1001)が、転写すべき個々のフィルムの範囲を定める脆化区域(1011)を含んでなり、かつ、支持体(20)が、パッド(1001)の全体の表面に成膜される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非平坦面を有する支持体上にフィルムを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
支持体上でのフィルム、特に単結晶の生産は、フィルムと支持体との界面が平坦でない、すなわち、支持体の表面が少なくとも1つの曲率および/または凹型パターンもしくはレリーフパターンを含んでなる場合には容易なものではない。
【0003】
この特定のトポロジーはそれ自体、接合法および積層法にあまり適しているとはいえず、トレンドは、支持体上での成膜によるフィルムの形成からなる技術へと向かっている。
【0004】
しかしながら、支持体に対するフィルムの良好な機械強度の他、フィルムの十分に良好な結晶品質を確保する必要がある。フィルムの結晶品質は、成膜が実施される支持体、特にその表面に強く依存する。このことはエピタキキシーによって形成される単結晶フィルムを考える場合にはなおさらそうである。この場合、成膜が意図されるフィルムに適した適当な結晶構造および格子パラメーターを有する必要性から、支持体のまさしく本質が特に重要である。支持体の役割を果たし得る候補の一覧は、ある特定の場合においては、解決策が見出せないほどにごく限られたものとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、本発明の1つの目的は、フィルムの良好な結晶品質と、支持体の性質に関してかなり広い選択とを確保しつつ、非平坦面を有する支持体上にフィルムを製造するための方法を考案することである。
【0006】
このために、本発明は、非平坦面を有する支持体上にフィルムを製造するための方法であって、非平坦面を有するドナー基板を供給すること、ドナー基板内に脆化区域を形成し、転写すべきフィルムの範囲を定める(delimit)こと、転写すべきフィルムの非平坦面における成膜により、支持体を形成すること、ドナー基板を脆化区域に沿って分離し(detach)、フィルムを支持体上に転写する(transfer)ことを含んでなることを特徴とする方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態によれば、本発明の方法は、支持体の成膜前に、前記非平坦面上に中間層を成膜することをさらに含んでなる。
【0008】
脆化区域の形成は、有利には、ドナー基板内へのイオン種の添加(implantation)により行われる。
【0009】
添加されるイオン種は、水素および/またはヘリウムであり得る。
【0010】
一実施形態によれば、ドナー基板の分離は、熱処理により行われる。
【0011】
この場合、支持体の成膜は、有利には、分離熱処理のサーマルバジェットよりも小さいサーマルバジェットで実施される。
【0012】
転写されるフィルムは、半導体材料、圧電材料、磁性材料および機能性酸化物から選択された材料からなってもよい。
【0013】
特に有利な様式では、転写されるフィルムは単結晶である。
【0014】
転写されるフィルムの厚さは一般に、100nm~10μm、好ましくは100nm~1μmである。
【0015】
支持体は、金属、ガラスおよびセラミックスから選択された材料からなってもよい。
【0016】
支持体は一般に、1~50μmの厚さを有する。
【0017】
好ましくは、支持体の材料は、転写されるフィルムの材料との熱係数の差が絶対値で5×10-6-1未満となるように選択される。
【0018】
支持体の成膜は、下記の技術:
物理蒸着、化学蒸着、電気化学蒸着、スピンコーティング、ラッカー吹付および噴霧
のうち1つにより実施され得る。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、転写すべきフィルムの表面は、少なくとも1つの曲面部分を有する。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、転写すべきフィルムの表面は、少なくとも1つの凹型パターンまたはレリーフパターンを有する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、転写すべきフィルムの表面は、1nm rmsより大きい粗さにより特徴付けられるテクスチャーを有する。
【0022】
一実施形態によれば、転写すべきフィルムの非平坦面は、脆化区域の形成後に得られる(例えば、ドナー基板のエッチングにより得られる)。
【0023】
一実施形態によれば、転写すべきフィルムの非平坦面は、脆化区域の形成前に得られる(例えば、ドナー基板のエッチングにより得られる)。
【0024】
分離終了時のドナー基板の残部は、支持体上に非平坦面を有する新しいフィルムを製造するためにリサイクルされてよく、リサイクル前に、ドナー基板の残部に、実質的にゼロであるか、または、該残部のトポロジーに応じた材料の除去を含む、その表面の再生操作が施される。
【0025】
一実施形態によれば、ドナー基板は、ウエハーの表面に配置された複数のパッドを含んでなり、各パッドは、転写すべき個々のフィルムの範囲を定める脆化区域を含んでなり、かつ、支持体は、パッドの全体の表面に成膜される。
【0026】
特定の実施形態によれば、支持体の成膜は、少なくとも2層の異なる材料の連続的成膜を含む。
【0027】
一実施形態によれば、本発明の方法は、ドナー基板の分離後に、転写されたフィルムの、支持体とは反対側の面に付加的フィルムを成膜することを含んでなる。
【0028】
もう一つの目的は、ドナー基板上での支持体の成膜後に得られる中間構造に関する。該構造は、
表層フィルムの範囲を定める脆化区域を含むドナー基板と、
フィルムを覆う支持体と、
を含んでなり、フィルムと支持体の間の界面は平坦でない。
【0029】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A図1Aは、凹型パターンを有する表面を含んでなるドナー基板の概略断面図である。
図1B-1C】図1Bおよび1Cは、図1Aのドナー基板内に形成された脆化区域の2つの別法を概略的に示す。
図1D図1Dは、図1Bのドナー基板上に成膜された支持体を概略的に示す。
図1E】構造1Eは、ドナー基板と支持体の間に中間層が成膜されている図1Dの別法を示す。
図1F図1Fは、図1Eのドナー基板が脆化区域に沿って分離することにより得られる構造を概略的に示す。
図1G図1Gは、転写されたフィルム上に付加的フィルムを成膜した後の図1Fの構造を概略的に示す。
図2A-2B】図2Aおよび2Bは、関連工程の逆の順序に相当する図1A~1Bの別法を示す。
図3A図3Aは、曲面を含んでなるドナー基板の概略断面図である。
図3B図3Bは、図2Aのドナー基板内での脆化区域の形成を概略的に示す。
図3C図3Cは、図3Bのドナー基板上での支持体の成膜を概略的に示す。
図3D図3Dは、ドナー基板が脆化区域に沿って分離することにより得られる構造を概略的に示す。
図4A図4Aは、テクスチャー処理を施した表面を含んでなるドナー基板の概略断面図である。
図4B図4Bは、図4Aのドナー基板内での脆化区域の形成を概略的に示す。
図4C図4Cは、図4Bのドナー基板上での支持体の成膜を概略的に示す。
図4D図4Dは、ドナー基板が脆化区域に沿って分離することにより得られる構造を概略的に示す。
図5A-5E】図5A~5Eは、本発明の一実施形態により実施される方法の工程を概略的に示す。
図6A-6D】図6A~6Dは、本発明の他の実施形態による方法の工程を概略的に示す。
図7A-7G】図7A~7Gは、本発明の他の実施形態による方法の工程を概略的に示す。
図8A-8C】図8A~8Cは、本発明の別の実施形態による方法の工程を概略的に示す。
【0031】
図面を見やすくするために、異なる要素は必ずしも尺度に応じて表されていない。
【発明を実施するための形態】
【0032】
概して、本発明は、薄膜フィルムの範囲を定めるために予め脆化された非平坦ドナー基板上での成膜による支持体の形成を提供する。次に、薄膜フィルムは、ドナー基板の分離により支持体上に転写される。支持体は、単一の材料またはドナー基板上に連続的に成膜された少なくとも2種類の異なる材料の積層からなり得る。
【0033】
ドナー基板の表面の非平面は、故意であるかどうかに関わらず、該表面の少なくとも一部の曲率(凹もしくは凸)、および/または該表面から延伸する少なくとも1つの凹型パターンまたはレリーフパターンの存在、および/またはそうでなければ表面のテクスチャー処理によるものであり得る。
【0034】
図1Aは、薄膜フィルムを形成しようとする材料からなる少なくとも1つの表層部分を含んでなるドナー基板10を示す。該ドナー基板は、一体の基板の形態で表されるが、異なる材料の積層体の形態であってもよく、その表層は薄膜フィルムを形成しようとする材料からなる。特に、薄膜フィルムは、エピタキシーにより生成されるこの積層体の一層に相当し得る。
【0035】
ドナー基板10の表面10aは、基準面に対してある特定の数の凹型パターン100(またはレリーフパターン-ここでは図示せず)を含んでなる。
【0036】
これらのパターンは、有利には、ドナー基板のリソグラフィーおよびエッチングにより形成され得る。それらはまた、例えば、マスクを用いた成膜により得てもよい。
【0037】
有利には、薄膜フィルムを形成しようとする材料は、半導体材料(例えば、ケイ素、炭化ケイ素、ゲルマニウム、III-V化合物(例えば、AsGa、InP、GaN)、II-IV化合物(例えば、CdTe、ZnO)、圧電材料(例えば、LiNbO、LiTaO、PZT、PMN-PT)、磁性材料および機能性酸化物(例えば、ZrO、SrTiO、YSZ、GaO)から選択される。これらの例に限定されない。
【0038】
好ましくは、薄膜フィルムを形成することが意図される材料は、単結晶である。これは多結晶であってもよく、この場合には、例えば、結晶粒の特定の密度および大きさ、ならびに/またはそうでなければ優先的結晶配向、および/もしくは最適な粗さを得るために、その形成条件を最適化することに重点が置かれることが多い。
【0039】
転写しようとする表層フィルム12の範囲を定める脆化区域11がドナー基板10内に形成される。ここで、脆化区域の形成は、パターンの形成後に行われることが想定されるが、パターンの形成前に行うこともできる。
【0040】
転写されるフィルムの厚さは、ドナー基板10内の脆化区域11の深さによって規定される。有利には、この深さは、100nm~10μm、優先的には100nm~1μmである。
【0041】
ドナー基板10内の脆化区域12の形成は、基板の表面10aからのイオン種の添加によって行われ得る(図1Bの矢印により模式的に示す)。有利には、添加種は、水素イオンおよび/またはヘリウムイオンである。添加エネルギーは、添加区域11の深さを規定することを可能とする。好適な処理の適用後にフィルム12の分離を可能とするために添加量が選択される。添加量は、添加工程において気泡の形成を招かないように十分に低く選択する。イオン種、エネルギーおよび添加量は、ドナー基板10の材料に応じて選択される。これらの条件は、多くの刊行物の主題であり、当業者に知られている。
【0042】
凹型パターンおよび/またはレリーフパターンをすでに有する表面から添加が行われる場合には、脆化区域は、これらのパターンと実質的に同じ輪廓をなぞり、表面と脆化区域との間の材料の厚さは、実質的に一定を保つ。
【0043】
フィルムの連続性および隣接するパターン間の移行域近傍のその品質は、特に、フィルムの厚さとレリーフの振幅の間の厚さの比に依存し得る。図1Bに表されるように、厚いフィルム(例えば、2μm)および低い段差(例えば、0.05μm)の場合、フィルム12は、実質的に連続していると見える。逆に、薄いフィルム(例えば、0.05μm)および高い段差(例えば、2μm)の場合、フィルム12は不連続性を持つ可能性があり(図1C参照)、これはさらに、目的とする適用によってかならずしも不利になることではない。ある場合では、この現象は考慮に入れることができ、好ましくは、パターンの表面と基準面の表面との間の角度が45°以下であることが保証され得る。
【0044】
あるいは(図2A参照)、最初は平坦なドナー基板10の表面10aから添加が行われ、添加後にこの表面から凹型パターンおよび/またはレリーフパターンが形成される場合では、脆化区域は実質的に平坦である。その後、パターン100のエッチングは、フィルム12の不連続性が望まれない場合には、エッチングの深さが脆化区域11の深さよりも浅くなるように行われなければならない(図2B参照)。
【0045】
脆化面に対していくつかのトポロジーレベルが利用され得ることを考慮に入れるために、脆化区域が一箇所でなく、複数および/または広範である配置が想定できる。添加による脆化の場合、これは添加エネルギーの複数または広範な選択肢により用意に行うことができる。
【0046】
図1Dを参照すると、支持体20は、フィルム12の表面に形成され、この段階では、フィルム12はまだドナー基板10の一部をなしている。
【0047】
接合技術とは対照的に、支持体は既存のものではなく、ドナー基板上で直接形成される。支持体の形成のためには次の成膜技術が実施可能である:物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、電着または電気成形、電気めっきまたは電気化学蒸着(ECD)による成膜、スピンコーティング、ラッカー吹付および噴霧。これらの技術はそれ自体公知であり、ここでさらに詳しく説明しないが、当業者ならば最適な技術を成膜する支持体の材料に応じて選択することができる。ドナー基板の早期分離が始まらないように、比較的低温での成膜技術が好ましい。
【0048】
選択される成膜技術によって、成膜はコンフォーマル(conformal)であり得る。すなわち、支持体の自由表面は、これらのパターンと実質的に同じ輪廓をなぞり、支持体の表面とドナー基板の表面との間の材料の厚さは実質的に一定を保つ。
【0049】
しかしながら、トポロジーのサイズ(例えば、段差0.5μm)に対して成膜される厚さが重要である場合(例えば、50μm以上)、成膜される厚さは一定と見え、結果として、支持体の自由表面は平坦と見える。
【0050】
他の実施形態によれば、成膜は、ドナー基板の表面に存在する凹部を満たす効果を持ち得、実質的に平坦な支持体の自由表面が得られる。この場合、支持体は、変動する厚さを有する。
【0051】
支持体は有利には、金属(例えば、Ni、Cu、Cr、Ag、Fe、Co、Zn、Al、Mo、Wおよびそれらの合金)、ガラスおよびセラミックス(例えば、シリカ(SiO)、アルミナ(Al)、多結晶AlN、多結晶ケイ素、多結晶SiC)から選択された材料からなる。これらの例に限定されない。
【0052】
支持体の厚さは一般に、1~50μmである(この厚さは支持体がシートと同化し得るように十分に低い)が、もっと大きくてもよい。
【0053】
さらに、ドナー基板への支持体の接着がフィルム転写法の際に支持体が分離しないように十分であるか注意する。この接着は、支持体の成膜前にドナー基板上に接着層を成膜することによって改善され得る。例えば、接着層は、下記の材料のうち1つからなってもよい:Ti、Cr、Pt、Ta、TiW、Si、TiN、CrCu。
【0054】
より一般には、中間層21は、支持体20の成膜前にフィルム12上に成膜してもよい(最終構造は図1Eに示す)。潜在的接着とは別に、このような層は特に、支持体20の成膜中にフィルム12への化学種の拡散を防ぐ機能、および/またはフィルム12上に電気的接触を形成するための機能、および/または光学指数ジャンプを形成する機能、および/またはそうでなければ音響インピーダンスの不連続性を最小化する機能を持ち得る。当然のことながら、当業者ならば、この中間層の機械的、電気的、光学的、熱的、音響的または化学的機能に応じて好適な材料およびそれらの厚さを選択することができる。
【0055】
中間層21の厚さは、この基準が重要である場合、この層の剛性が支持体の柔軟性に不利にならないように十分に薄い。
【0056】
支持体の熱膨張係数とフィルムの熱膨張係数との間に重大な差(一般に5×10-6-1より大きい差)が存在する場合には、支持体の材料は、転写されるフィルムが転写法の際に損傷(例えば、亀裂型の)を受けないために十分な延性を示すように選択される。十分な延性とは、支持体の弾性限界がフィルムの弾性限界とフィルムと支持体の間の厚さの比との積より小さいことを意味すると理解される。
【0057】
図1Fを参照して、次に、ドナー基板10を脆化区域11に沿って分離し、フィルム12を支持体20上に転写する。この分離の終了時には、ドナー基板の残部10’は残存し、もう一度使用するためにリサイクルされる可能性がある。
【0058】
この分離は、ドナー基板10上の支持体20の積層体の処理により生じる。該処理は、例えば、熱的、機械的またはこれらの2種の処理の組合せであり得る。この種の処理は、特にSmart Cut(商標)法に関して周知であり、従って、ここでは詳細に説明しない。熱処理の場合、この処理のサーマルバジェットは一般に、支持体の成膜のサーマルバジェットよりも大きい。
【0059】
フィルム12は、付加的フィルム13の成膜のシードとして役立つ可能性がある(図1G参照)。
【0060】
支持体20およびフィルム12(および存在し得る付加的フィルム)から形成される構造は、特にマイクロエレクトロニクス、光通信学または光学において適用を有する装置を形成するために使用され得る。このような構造はまた、センサーもしくはトランスデューサー、または燃料電池の膜の製造に関わり得る。
【0061】
図3A~3Dは、ドナー基板の表面が少なくとも1つの曲率、凹または凸を有する、転写法の別の実施形態を概略的に示す。
【0062】
図1A~2Bに共通の参照符号は同じ要素を示すので再度詳細に説明しない。加えて、図1A~2Bに関して記載される材料および方法は図3A~3Dの実施形態にも適用可能であり、従って、再度詳細に説明しない。
【0063】
図3Aに関して、ドナー基板10の表面10aは、凹型である。
【0064】
図3Bに関して、表面10aからの原子種の添加は、ドナー基板10内に脆化区域11を形成する効果を有する。脆化区域は一般に、ドナー基板10の表面と実質的に平行の曲率を有し、転写すべきフィルム12の厚さは実質的に一定である。従前に示したように、ドナー基板の表面は、脆化区域の形成後に凹または凸とすることができ、その後、一般に平坦とされる。
【0065】
図3Cを参照すると、支持体20は、フィルム12の表面への成膜により形成され、この段階では、まだドナー基板10の一部をなしている。従前に示したように、支持体の成膜の前に、中間層(図示せず)の成膜が行われてよい。
【0066】
選択される成膜技術によって、成膜は共形であり得、すなわち、支持体の自由表面はドナー基板と実質的に同じ曲率を有し、支持体の表面とドナー基板の表面との間の材料の厚さは実質的に一定を保つ。
【0067】
図3Dを参照すると、次に、ドナー基板10を脆化区域11に沿って分離し、フィルム12を支持体20上に転写する。この分離の終了時には、ドナー基板の残部10’は残存し、もう一度使用するためにリサイクルされる可能性がある。
【0068】
図3A~3Dの方法は、特に曲面部分の形成に関して着目される。それらは例えば、発散レンズもしくは収束レンズまたはそうでなければ放物型ミラーなどの光学部品のコーティングであり得る。それらはまた、例えば、眼鏡もしくは拡張現実眼鏡用の光学ガラス、または曲面スクリーン、またはそうでなければ風防もしくはコックピット要素であり得る。
【0069】
図4A~4Dは、ドナー基板の表面がテクスチャー処理を施したトポロジーを有する、転写法の別の実施形態を概略的に示す。該トポロジーは、特に、故意にまたは故意でなく得られたドナー基板の表面の粗さに相当し得る。
【0070】
図1A~3Dに共通の参照符号は同じ要素を示すので、再度詳細に説明しない。加えて、図1A~2Bを参照して説明される材料および方法は図4A~4Dの実施形態にも適用可能であり、従って、再度詳細に説明しない。
【0071】
図4Aを参照すると、ドナー基板10の表面10aはある特定の、例えば、1nm rms以上の粗さを有する。
【0072】
図4Bを参照すると、表面10aからの原子種の添加は、ドナー基板10内に脆化区域11を形成する効果を有する。従前に示したように、ドナー基板の表面は、脆化区域の形成後にテクスチャー処理を施される可能性がある。
【0073】
図4Cを参照すると、支持体20は、フィルム12の表面への成膜により形成され、この段階では、まだドナー基板10の一部をなしている。従前に示したように、支持体の成膜の前に、中間層(図示せず)の成膜が行われてよい。
【0074】
選択される成膜技術によって、成膜はコンフォーマルであり得る。すなわち、支持体の自由表面は、ドナー基板と実質的に同じテクスチャーを有し、支持体の表面とドナー基板の表面との間の材料の厚さは実質的に一定を保つ。
【0075】
図4Dを参照すると、次に、ドナー基板10を脆化区域11に沿って分離し、フィルム12を支持体20上に転写する。この分離の終了時には、ドナー基板の残部10’は残存し、もう一度使用するためにリサイクルされる可能性がある。
【0076】
図4A~4Dの方法は、特に、例えば、高周波(RF)フィルターなどの音波構造に関して、特に、考慮する基板およびまたは層の後面で寄生波の反射を避ける目的で着目される。
【0077】
以下に本発明による方法の適用のいくつかの(非限定)例を説明する。
【0078】
実施例1:銅シート上でのニオブ酸リチウムフィルムの形成
ニオブ酸リチウム(LiNbO)は、高温までその圧電を保持することで顕著な圧電/焦電材料である。他の多くの材料が100~250℃程度の温度範囲ではそれらの特性を失うところ、ニオブ酸リチウムのキュリー温度は1140℃である。
【0079】
従って、ニオブ酸リチウムは、これらの温度範囲で圧電性および/または焦電性を用いるシステムについて注目される材料である。例えば、それらのシステムは、250℃を超える温度範囲の有害環境で作動する機械システムの振動およびその他の変形のエネルギーの回収によりエネルギーを回収するためのシステムであり得る。それらのシステムはまた、温度、圧力の測定に、またはガスの検知に専用の圧電または焦電センサーでもあり得る。
【0080】
この材料は単結晶であり、インゴットを引き出した後に厚さ数百μmのバルクウエハーに切断することによって生産する場合に良好な品質である。薄膜フィルムでは、それらが蒸着により生産される場合には、一般には多結晶、よくても準単結晶であるが、欠陥が著しい。
【0081】
多くの目的構造は、例えば、構造化されたフローティングビームまたはそうでなければ基板の表面の平均水準に対して転移もしくはセットバックしたフローティングプラットフォームのトポロジーなどのある特定のトポロジーに従わなければならない。
【0082】
LiNbO基板10を準備する。未来の浮遊膜の輪郭を定めるために基板10内にエッチングによって溝100を設ける(図1A参照)。一般に、これらの溝の幅は数十μmであり、それらの深さは0.1~0.5μmに含まれる。
【0083】
脆化区域11を形成し、薄膜LiNbOフィルム12の範囲を定めるために、基板10にヘリウムイオンを添加する(図1B参照)。フィルム12の厚さは、0.3μm程度である。
【0084】
Cr/Cu合金からなる接着層21は、PVD技術によってフィルム12上で成膜される。次に、電気化学蒸着技術によって、接着層21上に銅シート20が成膜される(図1E参照)。該シートの厚さは、20μm程度である。
【0085】
次に、ドナー基板10を脆化区域11に沿って分離させるために300℃の温度でアニーリングが施される。
【0086】
実施例2:ニッケルシート上でのイットリウム安定化ジルコニアフィルムの形成
イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)は一般に多結晶セラミックの形態であり、まれではあるが、単結晶基板の形態でもある。
【0087】
この材料の1つの用途は、イオン伝導特性に基づくものである。従って、この材料は、SOFC(固体酸化物形燃料電池)システムにおいて電解質の役割を果たすために固相膜として機能する。このようなシステムでは、それらが小型化されなければならない場合(従って、これはマイクロSOFCとして知られる)、一方では、一般に数μmより小さい厚さの膜に向けて、他方では単結晶に向けて発展させることに着目される。このようなシステムは高温(一般に、550~700℃)で作動し、強い熱機械的負荷を受ける。膜の耐性を高くするためには、波型を与え、それにより蛇腹型のトポロジーを持つことが有利であり、この形状はスプリング効果によってより良好に変形を吸収することを可能とする。このような形状は、さらに、所望の電気化学反応に利用可能な露出面を最大化する有益な効果も持ち得る。
【0088】
単結晶YSZ基板10(図7A参照)が供給される。溝100のネットワークは、電解質膜の未来の蛇腹の輪郭を定めるために基板10においてエッチングを行うことにより設けられる(図7B参照)。一般に、溝100の幅は数十μmであり、それらの深さは2μm程度である。蛇腹の高い区域と低い区域の間の遷移を規定する溝の側面100aは、表面10aに対して45°を超え垂直まで傾斜するように制御されることが有利である。これらの溝は、所望の波形を形成するように互いに数十μm離して配置される。
【0089】
脆化区域11を形成し、薄膜YSZフィルム12の範囲を定めるために、基板10に水素イオンを添加する(図7C参照)。フィルム12の厚さは、1μm程度である。
【0090】
Cr/Cu合金からなる接着層21は、PVD技術によってフィルム12上で成膜される(図7D参照)。次に、電気化学蒸着技術によって、接着層21上にニッケルシート20が成膜される(図7E参照)。該シートの厚さは、20μm程度である。
【0091】
次に、ドナー基板10を脆化区域11に沿って分離させるために300℃の温度でアニーリングが施される(図7F参照)。
【0092】
次に、支持体20は、最終的な蛇腹形状を得るためにエッチングされてよい(図7G参照)。
【0093】
実施例3:曲面ガラスシート上での単結晶ケイ素フィルムの形成
スクリーンまたはその他の光学部品(レンズ、ミラーなど)の生産分野では、非平坦または曲面部品の生産は、ケイ素などの単結晶材料の薄膜フィルムの使用を困難とする。本実施例は、ある特定の曲率を有するガラスシート上に薄膜ケイ素フィルムを得られるようにすることを目的とする。このケイ素フィルムは、特に、例えば、高精細度超コンパクト曲面スクリーンを生産するための高性能トランジスタを製造するために役立ち得る。
【0094】
バルク単結晶ケイ素基板10が提供される。
【0095】
従おうとする曲面形状は、このケイ素基板へのエッチングによって生成される。図5Aに示される実施形態では、選択される形状は、エッジ上により顕著な隆起を有する凹形である。放物線、楕円、波形などの他のいずれの輪廓も可能である。この形状は機械加工によるエッチングで生成され得る。当業者ならば、所望の形状および寸法に最も適合したエッチング技術をどのように採用すればいいかを知っている。
【0096】
厚さ0.2μmのSiO層14を生じるように基板10に熱酸化を施す(図5B参照)。
【0097】
次に、脆化区域11を形成し、単結晶ケイ素の薄膜フィルム12の範囲を定めるために、酸化物層14から基板10に水素イオンを添加する(図5C参照)。フィルム12の厚さは、0.5μm程度である。
【0098】
シリカ(ガラス)製のシート20は、脆化区域に沿って早期分離が起こらないように低温、一般に、200℃未満での成膜技術によってフィルム12上に成膜される(図5D参照)。該シートの厚さは、20μm程度である。例えばリンイオンまたはホウ素イオンを用いたシリカのドーピングは、高い熱機械的応力が見られるとすれば、ケイ素の熱膨張に対するガラスの熱膨張の係数をよりよく調節することを可能とする。当業者ならば、ドーピングレベルならびに特に温度および所望の最終厚さに関して最適な条件および成膜技術をどのように選択すればいいかを知っている。
【0099】
次に、ドナー基板10を脆化区域11に沿って分離させるために500℃の温度でアニーリングが施される(図5E参照)。
【0100】
実施例4:ガラスシート上でのタンタル酸リチウムフィルムの形成
この実施例は、例えば高周波(RF)フィルターなどの音波構造を対象とする。ある特定のRF構造では、考慮する基板およびまたは層の後面で寄生波の反射を避けることが求められる。1つの手段は、特に任意のテクスチャー処理または他のタイプの粗さを導入することによって幾何学的に不完全な界面および後面を作製することからなる。例えばLiTaOなどの単結晶材料のある種の薄膜フィルムの使用が想定される場合には、この制約を満たすのは困難であるかまたは不可能ですらあり、これは付加的な中間層の複合積層体の導入に頼ることなくそうである。
【0101】
バルク単結晶LiTaO基板10が供給される。
【0102】
脆化区域11を形成し、単結晶LiTaOの薄膜フィルム12の範囲を定めるために、水素イオンが表面10aから基板10に添加される(図6A参照)。フィルム12の厚さは、1.5μm程度である。
【0103】
表面10aのテクスチャー処理は、フォトリソエッチングによって作出される(図6B参照)。本実施例では、図4A~4Dに示される実施形態と同様に、この添加は、テクスチャー処理工程の前に行うが、後に行うこともできる。
【0104】
当業者ならば、そのテクスチャーに望ましい形状および寸法に最適な技術をどのように採用すればいいかを知っている。例えば、0.05μm程度の深さで特徴的なミクロンよりやや小さい横寸法のパターンを規定するためにナノインプリントリソグラフィー技術の選択が可能であろう。一つの別法では、このテクスチャー処理は、陰極スパッタリング効果による粗面化によって得られる。もう1つの別法によれば、好ましくは添加工程の前に行われ、このテクスチャー処理は基板10の表面のサンディングによって得てもよい。
【0105】
シリカ製のシート20は、脆化区域に沿って早期分離が起こらないように低温での成膜技術により、一般に100℃未満でフィルム12上に成膜される(図6C参照)。該シートの厚さは、10μm程度である。当業者ならば、これらの条件において、特に温度および所望の最終厚さに関して最適な成膜技術をどのように選択すればいいかを知っている。別法として、シート20は、シリカ製ではなく金属製であってもよい。
【0106】
次に、ドナー基板10を脆化区域11に沿って分離させるために200℃程度の温度でアニーリングが施される(図6D参照)。
【0107】
実施例5:複数のパッドを含んでなるドナー基板の場合
本発明の一実施形態によれば、ドナー基板の非平坦トポロジーは、ウエハー1000の表面に配置された複数のパッド1001の形成から得られる(図8A参照)。
【0108】
パッドは有利には、半導体材料、圧電材料、磁性材料および機能性酸化物から選択される材料から形成される。パッドは有利には単結晶である。各パッドは、個々にまたはまとめて接合させることによってウエハー上の所定の位置に置くことができる。
【0109】
パッドは、目的とする適用に応じていずれの適当な大きさおよび形状を有してもよい。パッドは、例えば一種の格子パターンを形成するために、ウエハー上に規則的に配置されてよい。
【0110】
各パッド1001の主表面は、ウエハー1000の主表面に平行である。しかしながら、各パッドの厚さが十分な精度で制御されない限りにおいて、あるパッドと次のパッドに厚さの若干の(例えば、厚さ1または2μm程度の)差が存在することがある。結果として、パッドの全表面から構成される表面は、一般に段階的に高さに差がある(これらの変動の大きさは図8Aでは任意に誇張されている)。よって、これらの段階的な差は、ウエハーの表面の非平坦トポロジーを形成する。
【0111】
一般に、例えば、特許文献FR3041364およびUS6,562,127に記載されるように、パッドは、最終的な支持体(a support final)上への表層単結晶フィルムの転写のために意図される。このために、脆化区域1011は、例えば、上記のように添加による転写のために個々のフィルム1012の範囲を定めるために、各パッドにおいて、それがウエハー上の所定の位置に配置される前または配置された後に形成される。
【0112】
最終的な支持体上での各パッドの主表面の接合を含む、上述の特許文献に記載されている方法とは異なり、本発明は、ウエハーの表面に配置されたパッドの全てで支持体20を成膜することを提案する(図8B参照)。従って、異なるパッドの高さの違いに関連するアセンブリの問題が無くなる。
【0113】
次に、対応するフィルム1012を支持体20上へ転写するために、各パッドをそれぞれの脆化区域1011に沿って分離する(図8C参照)。
【0114】
考慮する実施形態はいずれも、ドナー基板の分離の終了時に残部10’が残る。
【0115】
ドナー基板のリサイクルが想定される場合、特に、分離の際に損傷を受けていたかもしれないドナー基板の表面を再生する目的で、修繕工程を実施することが可能である。これらの操作は、特に、クリーニング、エッチング、アニーリング、例えば研磨による平滑化および平坦化の工程を含んでなり得る。
【0116】
ドナー基板のトポロジーの形成が脆化工程の前に行われた場合、ドナー基板の残部は、ドナー基板の最初のトポロジーと同一のトポロジーを有する。各リサイクルの後にそれを体系的に再び形成しなければならないことを避ける目的で、ドナー基板に最初に作出されたこのトポロジー(曲率、および/または凹型パターンおよび/またはテクスチャー処理)を保存することがコストの問題で有利であると思われる。この場合、平坦化法は避け、厚さが一致する材料を除去するか、またはさらには、例えば、プラズマエッチングもしくは平滑化アニーリングなど、実質的に材料を除去しない(すなわち、30nm未満)方法が有利である。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8A
図8B
図8C