(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ホイストの荷重測定用の測定装置
(51)【国際特許分類】
B66C 13/16 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
B66C13/16 H
(21)【出願番号】P 2020531762
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2018085956
(87)【国際公開番号】W WO2019121990
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】102017130792.3
(32)【優先日】2017-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597120075
【氏名又は名称】リープヘル-ヴェルク エーインゲン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Liebherr-Werk EhingenGmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーアシュテット ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウインドバッヒャー ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ルオース オリバー
(72)【発明者】
【氏名】フロメルト ウヴェ
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-081264(JP,A)
【文献】実開昭59-064889(JP,U)
【文献】特開昭52-018657(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02523690(DE,A)
【文献】米国特許第06022002(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイストロープベースのリフト装置、特にクレーンにおける荷重測定用の測定装置であて、
前記リフト装置の前記ホイストロープを偏向させる少なくとも1つの偏向プーリーと、
その端部で前記偏向プーリーがプーリー軸を中心に回転可能に支持される固定手段と、
前記偏向プーリーに入力される力を検出する少なくとも1つの測定手段と、を有し、
前記測定手段は、少なくとも1つの接続手段、特にロッカーアームによって、前記固定手段、特にループボディと接続されている測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置において、
前記固定手段は、ループボディ、好ましくはロープループ、理想的にはプラスチックロープであることを特徴とする測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の測定装置において、
前記測定手段は、吊りスケール、プラグゲージ、測定リングの少なくとも1つを備えるか、またはこれらの要素の1つによって形成されていることを特徴とする測定装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1つに記載の測定装置において、
少なくとも1つの位置センサ、特に角度発信器を更に有することを特徴とする測定装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1つに記載の測定装置において、
前記測定手段が有線通信及び無線通信の少なくとも1つが可能となるように、受信部に測定データを送信する少なくとも1つの通信モジュールを更に有することを特徴とする測定装置。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1つに記載の測定装置を有するリフト装置。
【請求項7】
請求項
6に記載のリフト装置において、
前記測定装置は、前記リフト装置における少なくとも1つのプーリーに、前記固定手段、特にループ
ボディにより吊されており、
前記リフト装置の前記ホイストロープは、前記測定装置の前記少なくとも1つの偏向プーリーにより偏向されることを特徴とするリフト装置。
【請求項8】
請求項
7に記載のリフト装置において、
前記測定装置は、ブームシステムのプーリーヘッドの少なくとも1つの偏向プーリーで前記ループ
ボディによって吊り下げられ、
中央に配置された偏向プーリーは、プーリーヘッドの場合に前記測定装置を吊り下げていることを特徴とするリフト装置。
【請求項9】
請求項
6~8のいずれか1つに記載のリフト装置において、
少なくとも1つの更なる負荷測定装置が配置されていることを特徴とするリフト装置。
【請求項10】
請求項
9に記載のリフト装置において、
第2測定装置は、前記ホイストロープにおける第1測定装置とは異なる領域に固定されており、
前記測定装置の1つは、特に好ましくは、プーリーヘッドの複数回巻きの開始位置に配置される一方、他の測定装置は、複数回巻きの終端位置に設置されることを特徴とするリフト装置。
【請求項11】
請求項
9に記載のリフト装置において、
少なくとも2つのホイストロープを備え、
少なくとも1つの、請求項1~6のいずれか1つに記載の測定装置が、前記ホイストロープ毎に設けられていることを特徴とするリフト装置。
【請求項12】
請求項
6~11のいずれか1つに記載のリフト装置において、
前記測定装置は、有線通信を介してリフト装置の制御装置に接続され、及び/又は、リフト装置の電源を介して、電線により電気エネルギーが供給されることを特徴とするリフト装置。
【請求項13】
請求項
6又は7に記載のリフト装置において、
前記測定装置は、ホイストブロックに配置されていることを特徴とするリフト装置。
【請求項14】
請求項
6~13のいずれか1つに記載のリフト装置において、
制御装置は、前記測定装置によって測定された力を利用して、複数のリービングを有するロープラインの数を考慮しながら、負荷の重量を計算可能であることを特徴とするリフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイストロープベースのリフト装置において、荷重を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リフト装置、特にますます複雑になるクレーン制御を有するクレーンの自動化が進んでいることにより、荷重を正確に測定することがますます重要になっている。測定方法がより正確になれば、可能なペイロードの範囲をより有効に利用できるため、ペイロードを増やすことができる。
【0003】
ラチスマストクレーンを使用した荷重測定は、これまでは、テンションロードセルを用いた支持力の測定によって行われていた。このとき、荷重は、ブームの形状を考慮しながら、これらの力を用いてクレーン制御部で計算されている。伸縮式クレーンでは、ラッフィングラム内の油圧が検出され、クレーンの形状を用いて荷重が計算される。
【0004】
例えば、ホイストロープのアンカーポイントに取り付けられた測定手段により、リービング作業を介して荷重を計算するといった、ホイストロープの最後のロープラインのロープの引っ張りを測定するシステムも同様に存在する。最後のロープラインは、最後のローププーリーからホイストロープのアンカーポイントまで伸びている。システムはまた、最初のロープラインのロープの引っ張りを測定するものとして知られている。この観測におけるホイストロープの最初のラインは、ホイストウインチからブームシステムのブームヘッドトップシーブを通って、プーリーヘッドのローププーリーを経由して、フックブロックのローププーリーに到達している。
【0005】
最終的に、市場では、測定システムが既にリフティングフックに統合されたシステムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
複数のリービングを有するホイストロープシステムでは、荷重測定の精度がホイストロープにおける測定装置の位置に依存する可能性があるという点で、先行技術による従来の解決策には大きな問題がある。しかしながら、ホイストロープにおける測定装置の最適位置は、例えば、荷物が上昇しているのか又は下降しているのかなど、荷物の移動に依存する。
【0007】
図1a及び
図1bは、複数のリービングにおける力の分散についての問題を簡潔に示したものである。静止状態において、荷物の重力は、全てのラインに均等に分かれる。しかしながら、上昇動作の間は、第1ラインに最大の力がかかり、ロープの番号が増えるにつれて力が減少する(
図1a参照)。この状況は、荷物を下降させるときには完全に逆転する。すなわち、最大の力は最後のラインに存在するようになる(
図1bを参照)。これは、荷物を上昇させる間又は下降させる間のローププーリーの摩擦が原因である。上昇動作の場合には、ロープライン1~4は、ローププーリーの摩擦により余分に引っ張られる。一方で、下降動作の場合には、ロープライン1~4は、ローププーリーの摩擦により軽減される。
【0008】
本発明の目的は、前述の問題を考慮しながら、リフト装置における荷重測定を出来る限り正確に測定できる改良された測定装置を発見することにある。さらなる目的は、既存の機器を対応する測定装置で簡単かつ安価に改造することができるという要望を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、請求項1の特徴を有する測定装置により達成される。測定装置の有品実施形態は、従属項の主題である。
【0010】
ホイストロープベースのリフト装置における荷重検出用の測定装置が提案される。リフト装置としては、特にクレーンが挙げられる。しかしながら、ロープシステムによって対応する荷物が移動される他の作業機械又は建設機械でも測定装置を使用することが、一般に考えられる。
【0011】
本発明において、測定装置は、荷重測定中にリフト装置のホイストロープに偏向を生じさせる働きをする偏向プーリーを含む。更に、その端部に偏向プーリーがプーリー軸周りに回転可能に支持される固定手段が設けられている。測定装置は、固定手段により既存の機械構造に簡単に取り付け、特に簡単に吊り下げられ得る。これにより、本発明に係る測定装置を有する既存のリフト装置を簡単に改良することができる。加えて、例えば、荷物の動きの種類に応じてそれぞれの最適な位置を利用できるようにするために、リフト装置における測定装置の正確な位置を特に簡単かつ迅速に変更することができる。
【0012】
リフト装置の既存の構造に測定装置を設置するために、ホイストロープの偏向プーリーを乗り越えるようにホイストロープの範囲のみを変更する必要がある。偏向プーリーは、リフト装置の既存のプーリーを置き換えてもよいし、ホイストロープの範囲に追加の偏向プーリーとして配置してもよい。
【0013】
偏向プーリーに入力される力を検出して、これを基に荷重を測定可能な少なくとも1つの測定手段が更に設けられている。
【0014】
ループボディは、固定手段として特に有利であることが実証されており、ロープループの形態が理想的である。これにより、測定装置の設置が大幅に簡素化されるだけでなく、リフト装置の構造に対応する補足的な接続手段が必要ではないため、非常に柔軟であることが判明する。
【0015】
より好ましい実施形態によると、測定装置は、既存のプーリーに吊り下げられている。特に、測定装置は、ループボディによりホイスト装置の偏向プーリーに吊り下げられている。すなわち、ループボディは、既存のプーリーの走行面の周りに配置されている。したがって、測定装置は、プーリーに吊り下げられて取り付けられる。これには、常に荷重の方向にそれ自体を調整することができるという利点がある。
【0016】
理想的にはプラスチックロープで形成されたロープループが、特に適合可能である。プラスチックロープの柔軟性としなやかさにより、設置プロセスが容易になるだけでなく、リフトの高さの損失も出来る限り低く抑えることができる。これにより、測定装置の総重量も低減することができる。
【0017】
種々の測定センサを測定手段として利用することができる。ここでは、例として、吊りスケール、プラグゲージ、測定リングのうちの少なくとも1つを参照する。測定手段は、これらの要素の1つにより完全に形成されていてもよいし、これらの要素の1つを含むものでもよい。
【0018】
測定手段は、測定装置の偏向プーリーの少なくとも1つの接続手段又は固定手段の接続手段、特に測定装置のループボディの接続手段により固定される。ここでは、測定手段が測定装置のループボディに固定されるロッカーアームの使用が考えられる。
【0019】
ループボディによりリフト装置の既存の偏向プーリーに測定装置を吊すことにより、測定装置を荷重の方向に自動的に調整することができるという利点が生じる。特定のクレーン用途やリフト作業では、垂直方向に対して荷重が偏向する場合がある。ここでは、2つの吊りフック又はウインチを巻き上げるリフト操作が例に挙げられる。この場合、追加のポジションセンサ、特に角度発信器を有する測定装置を備えることが考えられる。これにより、垂直方向に対する測定装置の向きが、測定の際及び測定信号の評価の際に考慮される。
【0020】
例えば、リフト装置に入力されるトルクは、測定データを用いて検出及び補正され得る。
【0021】
測定装置が、測定データを外部の受信ユニットに送信するための少なくとも1つの通信モジュールを備えていることは、測定データの提供のために適切に提供される。ここでは、リフト装置の機械制御部に測定データを送ることが考えられる。通信モジュールは、有線のデータ送信でも無線のデータ送信でもよい。通信モジュールは、両方の送信機構を備えていてもよい。
【0022】
有線通信の場合、測定装置には、ハードワイヤの通信線の接続のために1つ又は複数の接続点が設けられる。無線通信の場合には、通信モジュールは、1つ又は複数の送信規格に基づくデータ送信のための1つ又は複数のアンテナを備える。
【0023】
さらに、測定装置には、供給ラインに接続するためのエネルギー供給のための対応するインターフェースが設けられている。測定装置に、充電式バッテリーや交換可能なエネルギー源などの、少なくとも1つの内部エネルギー源を組み込むことも考えられる。
【0024】
本発明に係る測定装置に加えて、本発明に係る測定装置を少なくとも1つ有するリフト装置、特にクレーンが要求される。本発明に係るリフト装置は、該リフト装置を参照して既に前述したものと同じ利点及び特性によって特徴付けられる。このため、再度の説明は省略する。
【0025】
さらに、測定装置が、該測定装置の少なくとも1つの偏向プーリーにより偏向される、リフト装置のホイストロープを用いて、固定手段、特にループボディによって、リフト装置の少なくとも1つのプーリーに吊り下げられるということが提案される。前述したように、ここでは、測定装置の偏向プーリーはリフト装置の既存の偏向プーリーと置き換えるたり、ロープの範囲に追加で取り付けたりすることができる。測定装置がリフト装置のプーリーヘッドの偏向プーリーに配置されているときには、特に有利である。ホイストロープのロープの範囲における複数のリービングの場合には、測定装置がリービングの中央偏向プーリーに吊り下げられていると特に好ましい。この場合、計算による作用の程度の除去は不要である。
【0026】
リフト装置が複数の荷重測定装置を有し、これらの荷重測定装置の少なくとも1つが本発明に係る測定装置により構成されている場合も同様に有利である。
【0027】
複数のロープリービングの場合には、1つの測定装置がリービングの前側に配置されていて、少なくとも1つの第2の測定装置がリービングの端部に取り付けられていると、特に有利である。これにより、導入部で説明した作用の程度の問題が解消される。
【0028】
有利には、少なくとも2つの測定装置が本発明に係る測定装置のように設計されている。しかしながら、設置された測定装置の少なくとも1つは、従来のロードセル又は引張ロードセルの形式でロープに柔軟に取り付けられている。
【0029】
代わりの実施形態として、本発明に係るリフト装置は、平行ホイストロープ操作で機能する。すなわち、リフト装置は、複数のホイストロープを含み、オプションでそれぞれが別個のホイストウインチを有する。全てのホイストロープが少なくとも1つの測定装置を有する設計であるとき、特に、本発明に係る測定装置のような測定装置を有する設計であるときに、これが考えられる。
【0030】
測定装置が、有線又は無線の通信を介してリフト装置の機械制御部と通信するときには、以下のデータ評価又は正確な荷重測定装置に好ましい。有利な実施形態によると、測定データの最終評価は、機械制御部で実行されるのみである。すなわち、正確な荷重計算は、機械制御部により実行される。しかしながら、この代わりに、荷重計算を測定装置自体に置き換えることもあり得る。
【0031】
測定装置に、対応する供給ラインを介してリフト装置のエネルギー源により電気エネルギーが供給されることが、さらに考えられる。エネルギーの供給は、測定装置を機械構造のすぐ近くに配置しているので、リフト装置のプーリーヘッドの領域における測定装置の配置で特に簡単である。有線の通信接続の問題無しに使用できるため、リフト装置と測定装置との間の通信にも同じことが当てはまる。無線通信は、特に、板金を含んでいたり、鋼構造を備えたりするリフト装置の干渉を受けやすいことがあり得る。
【0032】
プーリーヘッド又はリフト装置の構造に直接に測定装置を配置することが特に好ましい。しかしながら、フックブロックのリービングにおいて、本発明に係る測定装置を展開する可能性も同様に存在する。しかしながら、これに関連して、機械制御部との通信のために十分なパフォーマンスレベルと代替エネルギー供給を見つける必要がある。
【0033】
リフト装置の機械制御部は、有利には、測定装置によって測定された力を使用して、ホイストロープの範囲を考慮しながら、取り上げられた荷重の大きさを決定するのに適している。オプションとして、リフト装置の構造パラメータを計算に入れ込むことができる。特にロープラインの数は、複数のリービングを有するロープの範囲を考慮する際に考慮される。
【0034】
測定装置が、位置センサ、特に角度センサをオプションで備えるときには、これらの測定量もまた、機械制御部による荷重計算に利用される。
【0035】
本発明の更なる利点や特性は、図面により詳細に示される実施形態を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1a】上昇プロセスの間における個々のロープラインでの力分布を示す概略図である。
【
図1b】下降プロセスの間における個々のロープラインでの力分布を示す概略図である。
【
図3】測定装置が搭載された本発明に係るクレーンの、フライブーム無しのプーリーヘッドを示す図である。
【
図4】測定装置が搭載された本発明に係るクレーンのロープ範囲を示す概略図である。
【
図5】測定装置が搭載された本発明に係るクレーンの、フライブーム無しのブームチップを示す拡大図である。
【
図6】本発明に係るクレーンの更なる実施形態であって、左側に斜めの引きが無く、右側に斜めの引きがある吊り上げフックを2つ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明に係る測定装置100は、
図2に詳細に示されている。測定装置100は、本発明に係るクレーン(
図3)のプーリーヘッド102に取り付けられた偏向プーリーの代わりに、クレーンのホイストロープ4を偏向させるように適合された偏向プーリー101を有する。これにより、あらゆるリービングの位置で測定装置を使用することができる。
【0038】
測定装置100を有するホイストロープ4の概略的なロープ範囲は、
図4から容易に認識することができる。ここでホイストロープ4は、ホイストウインチからブーム先端まで延びて、そこでブームヘッドのトップシーブ2上からプーリーヘッド102へと導かれている。ホイストロープ4の複数のリービングは、プーリーヘッド102とフックブロックとの間に存在していて、プーリーヘッド102及びフックブロックの領域に、それぞれ4つの偏向プーリーを提供している。
図4に示す実施形態において、プーリーヘッド102の最後から2番目の偏向プーリーは、例えば、ロープ範囲から取り出され、代わりに本発明に係る測定装置100の吊り手段として機能する。ホイストロープ4は、代わりに、測定装置100に取り付けられた偏向プーリー101を経由してフックブロックまで戻るように延びている。ブーム先端の詳細な表示は
図3及び
図5で見ることができる。
【0039】
測定装置100は、プーリーヘッド102の偏向プーリーの周りに配置されたロープループ104によりプーリーヘッド102の偏向プーリーに固定されている。ロープループは、好ましくはプラスチックロープで形成されている。2つのループ端部は、ロッカーアーム106を介して測定装置100と接続されている。ロープループ104により測定装置100が柔軟に吊り下げられることで、測定装置が荷重を受ける方向に自動的に調整されることが確保される。
【0040】
偏向プーリー101及び関連するプーリー支持部は、測定手段105を介してロッカーアームに接続されており、これにより、ホイストロープ4により偏向プーリー101に入力される力は、測定手段105により検出される。測定手段105は、例えば、吊りスケール、プラグゲージ、又は測定リングであってもよい。図示した実施形態においては、プラグゲージが用いられている。
【0041】
所謂作動の度合いの問題を取り除くために、
図3~
図5に示すように、測定装置100に加えて、プーリーヘッド102に同様に導入される第2の測定装置を使用することができる。この場合、1つの測定装置100をリービングにおける出来る限り前方に取り付け、さらなる測定装置100をリービングにおける出来る限り後方に取り付けることは意味がある。第2の測定装置は、従来の測定装置の形態、例えば、単純なロードセルやロープのアンカーポイント9の領域のプラグゲージで設計されていてもよい。
【0042】
測定データは、有線通信を介してクレーン制御部に転送される。測定装置のエネルギー供給は、供給ラインを介して、クレーンの中央エネルギー源から実行される。少なくとも1つの測定装置100は、そのデータをクレーン制御部に送る。オプションとして、追加の従来のテンションロードセルは、そのデータをクレーン制御部に送る。クレーン制御部は、プーリーヘッド102とフックブロック103との間のロープの数及び測定された力を用いて荷重の大きさを計算する。最も単純な場合は、線形関係が仮定され得る。
【0043】
図5は、2つの吊りフックと2つのウインチ(2つのフック動作)を有するクレーンの実施形態を示す。クレーンタワーの上部にある水平の上下動可能なブームの切換点にあるホイストロープ4が1つだけ示されている。複数のホイストロープの併行操作により、吊りフックが、垂直に位置合わせされた場所から、それに対して旋回した位置に移動することが起こり得る。しかしながら、これに関連して、吊りフックの特定の配置が、荷重の計算で考慮されることが必要である。角度発信器110が測定装置100に追加で取り付けられていれば、この場合に対応できる。すなわち、垂直方向に対する荷重の傾きが決定されて、クレーン制御部に送信される。これにより、クレーンに入力されているトルクが、これらのデータにより検出されかつ補正される。本発明に係る測定装置100又は本発明に係るクレーンの利点は、以下に簡潔に要約することができる。
【0044】
本発明に係る測定装置100の形態の解決策は、クレーン又はリフト装置の既存のローププーリーに特に簡単に取り付けることができるため、既存のクレーン又はリフト装置を特に簡単に改造することを可能にする。本発明において、フックの荷重の測定は、ホイストロープ4のロープの引っ張りを介して実行される。ライン数により、比較的小さな力に対して必要な測定要素105は1つだけであり、リービングでのスケーリングは自動的に行われる。本発明に係る解決策は、有利には、2つのホイストロープ及び2つのウインチを有する操作機構にも使用され得る。ここでは、各測定装置100は、両方のホイストロープのラインに存在する。すなわち、各ホイストロープのそれぞれの力は既知であり、制御部は、ウインチの駆動を補正することにより、両方の巻上ロープで力をほぼ同じに維持することが可能である。これにより、ボトムのフックブロックの不適切な傾斜が防止される。
【0045】
本発明の更なる利点は、測定装置100の取り付け時に同じままであるロープのたわみの数を含み、これによりホイストロープ4はそれ以上の摩耗を受けない。ラジオなどの長距離の信号の送信は、ロープのアンカーポイントがボトムのフックブロックにあるときでさえ、測定装置1000は常にブームヘッド102に取り付けられているため不要である。力が比較的小さいため、標準の測定手段105を使用することができ、それにより測定ユニットを非常に安価にできる。ボトムのフックブロック103及び追加の重量を含む、プーリーヘッド10に吊り下げられる合計重量は、測定装置100により検出することができる。