(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】無人航空機の発射方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
B64U 50/19 20230101AFI20230421BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20230421BHJP
B64D 27/24 20060101ALI20230421BHJP
B64U 10/25 20230101ALI20230421BHJP
B64F 1/04 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
B64U50/19
B64C39/02
B64D27/24
B64U10/25
B64F1/04
(21)【出願番号】P 2020537541
(86)(22)【出願日】2019-01-08
(86)【国際出願番号】 CN2019070909
(87)【国際公開番号】W WO2019134713
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517416237
【氏名又は名称】經緯航太科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GEOSAT Aerospace & Technology Inc.
【住所又は居所原語表記】12F., No.253, Sec. 3, Dongmen Rd., East Dist., Tainan City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100125450
【氏名又は名称】河野 広明
(72)【発明者】
【氏名】シ、 ルンシュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 フーカイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 イーフェン
(72)【発明者】
【氏名】フー、 チャオウェン
(72)【発明者】
【氏名】シェン、 メンヤン
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0197731(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0057635(US,A1)
【文献】特開2017-065467(JP,A)
【文献】特開2016-043927(JP,A)
【文献】特開2005-067398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/04
B64C 39/02
B64D 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機(UAV)を発射する方法であって、前記方法が、
発射モードに入ることを前記UAVに通知するように構成された信号を取得することと、
前記発射モードでの前記UAVの加速度を検出することと、
前記UAVの前記加速度が前記発射モードの閾値以上であるかどうかを決定することと、
前記UAVの前記加速度が前記発射モードの前記閾値以上であるという決定に応答して前記UAVのモータをオンにすることと、を含
み、
前記閾値加速度は、重力加速度の4倍である、
方法。
【請求項2】
前記UAVの前記モータをオンにした後、前記UAVの姿勢を安定させることをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
無人航空機(UAV)を発射するためのシステムであって、前記システムが、
発射モードでの前記UAVの加速度を検出するように構成された検出器と、
命令を記憶するメモリと、
前記発射モードに入ることを前記UAVに通知するように構成された信号を取得し、前記UAVの前記加速度が前記発射モードの閾値加速度に対応する条件を満たすかどうかを決定し、前記UAVの前記加速度が前記条件を満たしているという決定に応答して前記UAVのモータをオンにすることを前記システムに行わせる前記命令を実行するように構成されたプロセッサと、を含
み、
前記閾値加速度は、重力加速度の4倍である、
システム。
【請求項4】
前記条件は、前記UAVの前記加速度が前記閾値加速度以上であるときに満たされる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記システムに前記UAVの前記モータをフルスロットルでオンにさせるために、前記命令を実行するように構成されている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記システムが前記UAVの前記モータをオンにした後に前記UAVの姿勢を安定させるように、前記命令を実行するようにさらに構成されている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記UAVの姿勢を安定させるために、前記システムに前記UAVの仰角を制御させるように前記命令を実行するように構成されている、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記仰角が30度以上である、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記UAVの姿勢を安定させるために、前記システムに前記UAVの2つの補助翼を調整させるように前記命令を実行するように構成されている、
請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記UAVがロック解除角度を超えて上に傾けられているかどうかを検出し、前記UAVが前記ロック解除角度を超えて上に傾けられているという決定に応答して、前記発射モードに入ること、または、地上制御システムから前記発射モードに入る信号を受信して、前記発射モードに入ることによって前記発射モードに入ることを前記UAVに通知するように構成された信号を前記システムに取得させるために、前記命令を実行するように構成されている、
請求項3に記載のシステム。
【請求項11】
無人航空機(UAV)を発射する方法を装置に行わせるために、前記装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、
前記方法が、
発射モードに入ることを前記UAVに通知するように構成された信号を取得することと、
前記発射モードでの前記UAVの加速度を検出することと、
前記UAVの前記加速度が前記発射モードの閾値加速度に対応する条件を満たすかどうかを決定することと、
前記UAVの前記加速度が前記条件を満たしているという決定に応答して前記UAVのモータをオンにすることと、を含
み、
前記閾値加速度は、重力加速度の4倍である、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項12】
前記条件は、前記UAVの前記加速度が前記閾値加速度以上であるときに満たされる、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項13】
前記UAVの前記モータをオンにすることが、フルスロットルで前記UAVの前記モータをオンにすること、を含む、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記方法が、
前記UAVの前記モータをオンにした後に前記UAVの姿勢を安定させることをさらに含む、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記UAVの姿勢を安定させることが、前記UAVの仰角を制御すること、を含む、
請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記仰角が30度以上である、
請求項15に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記UAVの姿勢を安定させることが、前記UAVの2つの補助翼を調整すること、を含む、
請求項14に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記発射モードに入ることを前記UAVに通知するように構成された前記信号を取得することが、
前記UAVがロック解除角度を超えて上に傾けられているかどうかを検出し、前記UAVが前記ロック解除角度を超えて上に傾けられているという決定に応答して前記発射モードに入ること、または
地上制御システムから前記発射モードに入る信号を受信し、前記発射モードに入ること、を含む、
請求項11に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年1月8日に提出された米国仮出願第62/614925号の優先権の利益を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、無人航空機(UAV)に関し、より詳細には、UAVを発射するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のUAVでは、UAVを発射する前にUAVのモータをオンにする必要があり得る。モータは離陸のためにプロペラを特定の速度まで回転させることができる。しかしながら、ユーザがUAVを発射するときに、回転するプロペラはユーザにとって危険であり得る。例えば、ユーザがUAVを手で発射する場合、回転するプロペラがユーザを傷つける可能性がある。安全な方法でUAVを発射するための新しい方法とシステムが望まれる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、UAVを発射するための改善された方法およびシステムを提供する。
【0005】
少なくとも一実施形態では、UAVを発射するためのシステムは、発射モードでのUAVの加速度を検出するように構成された検出器を含む。例示的なシステムはまた、命令を記憶するメモリと、発射モードに入ることをUAVに通知するように構成された信号を取得し、UAVの加速度が発射モードの閾値加速度に対応する条件を満たすかどうかを決定し、UAVの加速度が条件を満たしているという決定に応答してUAVのモータをオンにすることをシステムに行わせる命令を実行するように構成されたプロセッサとを含む。
【0006】
本開示に一致する実施形態は、UAVを発射する方法を装置に行わせるために装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。例示的な方法の少なくとも1つは、発射モードに入ることをUAVに通知するように構成された信号を取得するステップと、発射モードでのUAVの加速度を検出するステップと、UAVの加速度が発射モードの閾値加速度に対応する条件を満たすかどうかを決定するステップと、UAVの加速度が条件を満たしているという決定に応答してUAVのモータをオンにするステップとを含む。
【0007】
本明細書では、無人航空機(UAV)を発射する方法も開示されている。例示的な方法は、発射モードに入ることをUAVに通知するように構成された信号を取得することと、発射モードでのUAVの加速度を検出することと、UAVの加速度が発射モードの閾値以上であるかどうかを決定することと、UAVの加速度が発射モードの閾値以上であるという決定に応答してUAVのモータをオンにすることとを含む。
【0008】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、例示および説明のみを目的としており、特許請求される本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
次に、本明細書で開示される本発明の例示的な実施形態を示す添付の図面を参照する。図面において、
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、UAVをロック解除
して発射モードに入るための例示的な方法の概略図を示す。
【0011】
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、発射ラックからUAVを
発射するための例示的な方法の概略図
である。
【0012】
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、UAVを手で発射するための例示的な方法の概略図である。
【0013】
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、
例示的なUAV、例示的な地上制御システム(GCS)、およびUAVを
制御するための例示的な
リモートコントローラの概略図である。
【0014】
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、例示的なUAVの概略図である。
【0015】
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、
UAVを制御するための例示的な
飛行制御システム(FCS)の概略図である。
【0016】
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、
例示的なGCSの概略図である。
【0017】
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、
UAVを発射するための例示的な
方法の
概略図である。
【0018】
【
図9】
図9A~図9C 本開示のいくつかの実施形態による、
スロットル状態、UAVの加速度、ならびに発射モードおよび仰角モードを通じてUAVを発射するための
ピッチコマンドを示す例示的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、例示的な実施形態を詳細に参照し、それらの例は添付の図面に示されている。以下の説明では添付の図面を参照し、異なる図面の同じ番号は、別段の記載がない限り、同じまたは類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載されている実装は、本発明に一致するすべての実装を表すものではない。代わりに、それらは添付の特許請求の範囲に記載されている本発明に関連する態様に一致する装置および方法の単なる例である。
【0020】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による、UAV100をロック解除して発射モードに入るための例示的な方法の概略図を示す。ユーザは、離陸モード、すなわち発射モードでUAV100を起動するために、φ度を超えてUAV100を上に傾けることにより、UAV100のモータをロック解除してもよい。すなわち、ユーザがφ度を超えてUAV100を上に傾けると、UAV100は、発射モードに入ることをUAV100に通知するように構成された信号を受信するとこの操作を検出する。あるいは、ユーザは、UAV100のモータをそれに通信可能に接続しているGCSシステムからロック解除して、UAV100を離陸モードで起動することができる。例えば、ユーザは、離陸の準備をするためにGCSに命令を入力してもよい。GCSは、離陸のための信号をUAV100に送信して、離陸モードでUAV100を起動してもよい。離陸のための信号は、発射モードに入ることをUAV100に通知するように構成されている。
【0021】
図7に示すように、UAV100を発射するためのシステムは、命令を記憶するメモリと、発射モードに入ることをUAVに通知するように構成された信号をシステムに取得させる命令を実行するように構成されたプロセッサとを含む。例えば、システムのプロセッサは、ロック解除角度を超えてUAV100が上に傾けられているかどうか、すなわち、UAV100がφ度を超えて上に傾けられているかどうかをシステムに検出させる命令を実行するように構成することができる。UAV100がロック解除角度を超えて上に傾けられているという決定に応答して、システムのプロセッサは、発射モードに入ることをUAV100に通知するように構成された信号を受信するとシステムが発射モードに入る命令を実行するように構成される。
【0022】
あるいは、システムのプロセッサは、GCSシステムからの離陸のための信号をシステムに受信させる命令を実行するように構成され、信号は、発射モードに入ることをUAV100に通知するように構成されている。したがって、システムのプロセッサは、システムを発射モードに入らせる命令を実行するように構成されている。
【0023】
φ度は、例えば、50~90度であり得る。φ度は、ユーザがUAVを容易にロック解除できるように、複数の候補の中でより低く設定することができる。例えば、φ度は50度に設定することができる。あるいは、φ度は、UAV100をロック解除する偶発的な操作を避けるために、複数の候補の間でより大きく設定することができる。例えば、φ度は90度に設定することができる。
【0024】
対照的に、ユーザは、別の角度を超えてUAV100を下に傾けることによってUAV100のモータをロックして、UAV100の離陸モード(すなわち、発射モード)を無効にしてもよい。角度は、例えば、50~90度であり得る。UAV100が離陸モードでも発射モードでもない場合、UAV100は発射できない。
【0025】
UAV100が離陸モード(すなわち、発射モード)のとき、UAV100は発射の準備ができている。発射モードのUAV100は、手で、または発射ラックからの射出によって発射することができる。ユーザの安全のため、UAV100は、UAV100のプロペラを回転させるUAV100のモータをオンにすることはできない。したがって、ユーザは、UAV100の回転するプロペラについて心配する必要はなく、安全な方法で、手で、または発射ラックからUAV100を発射する準備をすることができる。
【0026】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による、発射ラック200からUAV100を発射するための例示的な方法の概略図である。図2に示すように、ユーザは、発射ラック200によってUAV100を発射する準備をする。ユーザは、UAV100をある度数、例えば30度を超えて上に傾けることにより、UAV100のモータをロック解除して、UAV100を発射モードで起動することができる。ユーザは、UAV100を発射ラック200に載せ、発射ラック200からUAV100を発射する準備をすることができる。発射モードのUAV100は発射の準備ができている。ユーザの安全のために、UAV100はこの時点では、UAV100のプロペラを回転させるUAV100のモータをオンにしないように構成されてもよい。したがって、ユーザは、UAV100の回転するプロペラについて心配する必要がなく、安全な方法で発射ラック200からUAV100を発射する準備をすることができる。
【0027】
あるいは、ユーザは、GCSシステムからUAV100のモータをロック解除して、発射モードでUAV100を起動することができる。例えば、ユーザは最初にUAV100を発射ラック200に載せ、発射ラック200からUAV100を発射する準備をすることができる。次に、ユーザはGCSに命令を入力して、離陸の準備をする。GCSは、離陸のための信号をUAV100に送信して、発射モードに入ることをUAV100に通知するように構成される。
【0028】
いくつかの実施形態では、ユーザはまた、リモートコントローラによってGCSシステムからUAV100のモータをロック解除することができる。例えば、ユーザは、リモートコントローラに命令を入力してもよく、リモートコントローラは、離陸のための信号をUAV100に送信して、発射モードでUAV100を起動してもよい。UAV100が発射モードに入った後、UAV100を発射ラック200から発射することができる。ユーザの安全のため、UAV100は、UAV100のプロペラを回転させるUAV100のモータをオンにすることはできない。
【0029】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による、UAVを手で発射するための例示的な方法の概略図である。例えば、ユーザ300は、UAV100のモータをロック解除した後、UAV100を手で発射してもよい。図3に示すように、ユーザ300は、UAV100を発射するためにUAV100を上空に投げる。UAV100を発射するためのシステムは、発射モードでのUAV100の加速度を検出するように構成された検出器を含み得る。例えば、ユーザ300がUAV100を上空に投げると、システムの検出器は、x、y、およびz軸におけるUAV100の加速度を検出するように構成される。UAV100の加速度は、Acc={(a
x
)
2
+(a
y
)
2
+(a
z
)
2
}
1/2
によって計算することができ、式中、Accはx、y、z軸におけるUAV100の加速度の合計であり、a
x
、a
y
、a
z
はそれぞれx、y、z軸におけるUAV100の加速度である。システムの検出器は、例えば、異なる軸または方向の加速度を測定する複数の加速度計を含み得る。
【0030】
システムのプロセッサは、UAV100の加速度が発射モードにおける閾値加速度に対応する条件を満たすかどうかをシステムに決定させる命令を実行するように構成され得る。例えば、UAV100の加速度が閾値加速度以上である場合、システムは、条件が満たされていると決定するように構成される。閾値加速度は、例えば、重力加速度(g)の4倍、5倍、または6倍であり得る。Acc≧5gである場合、システムのプロセッサは、UAV100の加速度が発射モードの条件を満たしているとシステムに決定させる命令を実行するように構成される。
【0031】
UAV100の加速度が条件を満たしているという決定に応答して、システムのプロセッサは、システムにUAV100のモータをオンにさせる命令を実行するように構成される。次に、UAV100のモータがUAV100のプロペラを回転させて離陸する。システムのプロセッサは、システムにUAV100のモータをフルスロットルでオンにして離陸させる命令を実行するように構成され得る。あるいは、システムのプロセッサは、UAV100が軽いペイロードを担持する場合に、システムにUAV100のモータを80%スロットルでオンにして離陸させる命令を実行するように構成されてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、システムのプロセッサはさらに、システムがUAVのモータをオンにした後にUAV100の姿勢を安定させるように、命令を実行するように構成される。例えば、システムのプロセッサは、システムにUAV100の2つの補助翼を調整させて、上向きに上昇するための仰角でバランスをとるようにUAV100の姿勢を安定させる命令を実行するように構成される。仰角は、例えば、30~45度であり得る。言い換えれば、離陸のための仰角は、例えば30度以上であってもよい。
【0033】
システムのプロセッサは、UAV100のバランスをとるために同じ量の伸長で、またUAV100の仰角を増減するために伸長の量を増減してUAV100の2つの補助翼をシステムに調整させるために、命令を実行するように構成することができる。
【0034】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なUAV100、例示的な地上制御システム(GCS)700、およびUAV100を制御するための例示的なリモートコントローラ731の概略図である。UAV100が正常に発射された後、ユーザ300はGCS700またはリモートコントローラ731を介してUAV100を制御してもよい。GCS700は、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、タブレット、またはスマートフォンで実行できる。ユーザ300は、GCS700に命令を入力して、UAV100のパラメータを制御または設定できる。GCS700は、命令を受信した後、アンテナ746を介してUAV100に信号を送信してもよい。
【0035】
あるいは、ユーザ300は、リモートコントローラ731を使用して、UAV100を手動で制御することができる。例えば、ユーザ300は、リモートコントローラ731に命令を入力して、UAV100上のパラメータを制御または設定してもよい。リモートコントローラ731は、命令を受信した後、アンテナ746を介してUAV100に信号を送る。リモートコントローラ731は、GCS700と相互作用し、かつそれに応じてUAV100を制御するための直接的で応答性の高い入力方法をユーザ300に提供する。
【0036】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的なUAV100の概略図である。UAV100は、UAV本体アセンブリ110、飛行制御システム(FCS)120、ペイロード140、左翼171および右翼172、左補助翼173および右補助翼174、左小翼161および右小翼162、左補助翼コントローラ101および右補助翼コントローラ102、モータ150、ならびにプロペラ130を含む。ペイロード140は、カメラ、マルチスペクトルカメラ、熱赤外線カメラ、または同様の機能を有する他のカメラを含み得る。FCS120は、UAV本体アセンブリ110に結合されている。モータ150は、一端でUAV本体アセンブリ110に結合され、他端でプロペラ130に結合されている。FCS120は、モータ150に通信可能に接続されている。FCS120は、左補助翼コントローラ101および右補助翼コントローラ102にそれぞれ接続されたサーボモータによって、左補助翼173および右補助翼174を制御するように構成され得る。
【0037】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、UAV100を制御するための例示的なFCS120の概略図である。図6に示すように、本開示のいくつかの実施形態によれば、FCS120は、UAV100を制御するための飛行制御コンピュータ(FCC)122、姿勢および方位基準システム(AHRS)124、通信ユニット126、ならびにアンテナ125を含む。AHRS125は、検出器123を含む。
【0038】
FCC122は、プロセッサ122-1と、命令を記憶するメモリ122-2とを含み得る。FCC122は、発射のためにUAV100を制御するように構成される。例えば、FCC122のプロセッサ122-1は、UAV100の発射に関して図1~図4について上記で説明したシステムまたはUAV100のプロセッサであり得る。メモリ122-2は、UAV100の発射について上記図1および図3で説明したシステムのメモリとして構成することもできる。
【0039】
さらに、FCC122は、UAV100を加速または減速するためにモータ150を制御するように構成され得る。例えば、プロセッサ122-1は、メモリ122-2に記憶された命令を実行して、FCC122にフルスロットルまたはスピードアップでモータ150を制御させるように構成される。別の例として、プロセッサ122-1は、メモリ122-2に記憶された命令を実行して、FCC122に補助翼173および174を制御させて、UAV100をピッチ、ロール、またはヨーにするように構成することができる。
【0040】
AHRS124は、ロール、ピッチ、およびヨーを含むUAV100の姿勢情報を提供する3軸上の検出器またはセンサを含む。図6に示すように、AHRS124の検出器123は、UAV100の姿勢情報を提供する1つまたは複数のセンサを含み得る。これらのセンサは、磁気、角速度および重力(MARG)センサと呼ばれることがあり、固体または微小電子機械システム(MEMS)ジャイロスコープ、加速度計、および磁力計のいずれかを含む。
【0041】
例えば、検出器123は、図3について上述したように、x、y、およびz軸でのUAV100の加速度a
x
、a
y
、a
z
を測定する1つまたは複数の加速度計を含むことができる。検出器123は、測定された加速度a
x
、a
y
、a
z
をFCC122に送信するように構成され得る。プロセッサ122-1は、Acc≧5gであるかどうかを決定するための命令を実行するように構成される。Acc≧5gである場合、プロセッサ122-1は、UAV100の加速度が発射モードの条件を満たすことをFCC122に決定させる命令を実行するように構成される。次に、プロセッサ122-1は、FCC122に離陸のためにフルスロットルでモータ150をオンにさせる命令を実行するように構成される。
【0042】
AHRS124はまた、姿勢および方位情報を提供する搭載処理システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、AHRS124は、UAV100の姿勢決定を提供し、UAV100の慣性航法システムの一部を形成してもよい。
【0043】
通信ユニット126は、アンテナ125を介して無線周波数信号を送受信し、かつGCS700と通信するためのモデムを含み得る。通信ユニット126は、例えば、IEEE802.11、第5世代(5G)無線システム、ロングタームエボリューション(LTE)、高速パケットアクセス(HSPA)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、および/または汎ヨーロッパデジタル移動通信システム(GSM:Global
System for Mobile Communication)通信モジュールを含む、1つまたは複数のセルラ通信モジュールを含み得る。UAV100は、通信ユニット126およびアンテナ125を介してGCS700と通信するように構成することができる。通信ユニット126はまた、全地球測位システム(GPS)受信機を含み得る。したがって、UAV100は、通信ユニット126のGPS受信機を介して測位情報を受信することができる。
【0044】
通信ユニット126は、集積回路およびフィールドプログラマブルゲートアレイなどの任意の適切なタイプのハードウェア、あるいは命令セット、サブルーチン、またはプロセッサもしくはコントローラ上で実行可能な機能(すなわち機能プログラム)などのソフトウェアを含み、以下の通信動作を実行してもよい。通信ユニット126は、データ送受信のために電気信号または無線信号を変調および復調する変調および復調サブユニット(すなわちモデム)を含む。例えば、通信ユニット126は、Wi-Fiダイレクト技術を介してGCS700との間でデータを送受信するWi-Fiモデムを含み得る。別の例として、通信ユニット126は、LTEデバイスツーデバイス技術を介してGCS700との間でデータを送受信するロングタームエボリューション(LTE)モデムを含む。特定の用途では、通信ユニット126は、赤外線技術を使用することがある。
【0045】
図
7は、本開示のいくつかの実施形態による、例示的な
GCS700の概略図である。
GCS700は、
メモリ710、プロセッサ720、I/Oインターフェース730、および
飛行制御モジュール740を含む。
図7に示すように、飛行制御モジュール740は、コントローラ742、通信ユニット744、およびアンテナ746を含むが、これは単なる例示的な一実施形態である。コントローラ742、通信ユニット744、およびアンテナ746のうちの1つまたは
複数は、GCS700に存在してもよいが、飛行制御モジュール740の一部ではない。これらのユニットは、データを転送し、相互間で命令を送受信するように構成され得る。
【0046】
プロセッサ720は、任意の適切なタイプの汎用または専用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、またはマイクロコントローラを含む。プロセッサ
720は、コンピュータ内のプロセッサの1つであり得る。メモリ
710は、プロセッサ
720が処理する必要があり得る任意のタイプの情報を記憶
するために
提供される任意の適切なタイプのストレージを含み得る。メモリ
710は、揮発性または不揮発性、磁気、半導体、テープ、光学式、取外し可能、取外し不能、または他のタイプのストレージデバイスまたは有形(例えば、非一時的)コンピュータ可読媒体であってもよく、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAMを含むがこれらに限定されない。本明細書で開示されるように、メモリ
710は、UAV100を制御するためにプロセッサ
720によって実行される1つまたは複数のプログラム
または命令を記憶するように構成され得る
。プロセッサ720は、図1~図4について上述したGCSとしてGCS700を行わせるように構成することができる。
【0047】
メモリ710は、プロセッサ720によって使用される情報およびデータを記憶するようにさらに構成され得る。例えば、メモリ710は、ホームポイント、着陸ポイント、以前の経路、以前の任務、写真、および写真に関連する位置情報を記憶するように構成され得る。
【0048】
I/Oインターフェース730は、他の装置と通信するように構成され得る。例えば、I/Oインターフェース730は、GCS700用のシステム構成を含む別の装置(例えば、コンピュータ)から信号を受信してもよい。I/Oインターフェース730はまた、飛行経路および写真のデータを出力してもよい。
【0049】
コントローラ742は、任意の適切なタイプの汎用または専用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、またはマイクロコントローラを含む。コントローラ742は、飛行制御モジュール740に通信ユニット744およびアンテナ746を介してFCS120と通信させる命令を実行するように構成される。
【0050】
通信ユニット744は、例えば、IEEE802.11、第5世代(5G)無線システム、ロングタームエボリューション(LTE)、高速パケットアクセス(HSPA)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、および/または汎ヨーロッパデジタル移動通信システム(GSM)通信モジュールを含む、1つまたは複数のセルラ通信モジュールを含み得る。GCS700は、通信ユニット744およびアンテナ746を介してUAV100と通信することができる。通信ユニット744は、全地球測位システム(GPS)受信機も含み得る。したがって、GCS700は、通信ユニット744のGPS受信機を介して測位情報を受信することができる。
【0051】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、UAV100を発射するための例示的な方法800の概略図である。方法800は、例えば、UAV100のFCC122によって行われ得る。FCC122のプロセッサ122-1は、以下に示すように、方法800を行うための命令を実行するように構成され得る。方法800は、発射モードに入ることをUAVに通知するように構成された信号を取得すること(ステップ820)と、発射モードでのUAVの加速度を検出すること(ステップ840)と、UAVの加速度が発射モードの閾値以上であるかどうかを決定すること(ステップ850)と、UAVの加速度が閾値以上であるという決定に応答してUAV100のモータをオンにすること(ステップ860)とを含む。方法800はまた、発射のためにUAV100のモータをオンにした後に、UAVの姿勢を安定させることを含んでもよい(ステップ880)。
【0052】
ステップ820は、発射モードに入ることをUAVに通知するように構成された信号を取得することを含む。例えば、図1および図2に示され、それらの説明に示されるように、ユーザは、UAV100のモータをロック解除して、角度φを超えて上に傾けるか、またはGCSから離陸のための信号を送信することにより、UAV100を発射モード(すなわち離陸モード)で起動してもよい。この信号は、発射モードに入ることをUAV100に通知するように構成されている。
【0053】
ステップ840は、発射モードにおけるUAVの加速度を検出することを含む。例えば、ユーザは、ユーザがUAV100を空中に投げる前に、UAV100のモータ150をロック解除してもよい。UAV100が空中に投げ込まれた後、AHRS124の検出器123は、UAV100の加速度を検出または測定し、図5について上述したように、UAV100の検出された加速度をFCC122に送信するように構成される。
【0054】
ステップ850は、UAVの加速度が発射モードにおいて閾値以上であるかどうかを決定することを含む。例えば、FCC122は、AHRS124からUAV100の検出された加速度を受信し、UAV100の受信された加速度が、重力加速度(g)の3、4、5倍などの閾値以上であるかどうかを決定するように構成され得る。一例として、閾値が5倍の重力加速度(すなわち5g)として設定され、FCC122がAHRS124の検出器123から6倍の重力加速度(すなわち6g)を受信する場合、FCC122は、UAV100の加速度が閾値を超えていることを決定するように構成される。
【0055】
対照的に、閾値が重力加速度の5倍(すなわち5g)として設定され、FCC122がAHRS124の検出器123から重力加速度の3倍(すなわち3g)を受信する場合、FCC122は、UAV100の加速度が閾値以上ではないことを決定するように構成される。
【0056】
ステップ860は、UAVの加速度が閾値以上であるという決定に応答して、UAVのモータをオンにすることを含む。例えば、FCC122がUAV100の加速度が閾値を超えていると決定する場合、FCC122は、UAV100のモータ150をオンにしてプロペラ130を回転させるように構成される。回転するプロペラ130は、UAV100が飛行するための推力を生み出すことができる。いくつかの実施形態では、FCC122は、UAV100のモータ150をオンにして、プロペラ130をフルスロットルで回転させるように構成される。例えば、UAV100が発射されると、FCC122は、UAV100のモータ150をオンにして、プロペラ130をフルスロットルで回転させるように構成される。
【0057】
ステップ880は、UAVの姿勢を安定させることを含む。例えば、FCC122は、発射のためにUAV100のモータ150をオンにした後、UAV100の姿勢を安定させるように構成される。FCC122は、UAV100の仰角を、例えば30度の角度で制御して、空のより高い位置まで上昇するように構成することができる。FCC122はまた、図3について上述したように、UAV100の2つの補助翼173および174を調整することにより、UAV100の仰角を制御するように構成することができる。いくつかの実施形態では、FCC122は、図3について上述したように、UAV100の2つの補助翼173および174を調整することによってUAV100のバランスをとるように構成される。
【0058】
一部の実施形態では、方法800は、他のステップをさらに含むことができる。
【0059】
図9A、図9Bおよび図9Cは、本開示のいくつかの実施形態による、スロットル状態、例示的なUAV100の加速度、ならびに発射モードおよび仰角モードを通じてUAV100を発射するためのピッチコマンドを示す例示的な図である。図9Aは、UAV100が発射されたときのスロットルの変化を示す。図9Aに示すように、UAV100を発射するためのシステムが閾値以上のUAV100の加速度を検出すると、システムは、フルスロットル、すなわち図9Aに示す「1」でモータ150を制御するように構成される。その後、UAV100は仰角モードに入るように構成され、モータ150はまだ離陸のためにフルスロットルにある。
【0060】
図9Bは、UAV100の
検出された加速度
Accを示す。例えば、ユーザ300がUAV100
を上空に投げると、検出器123は、図9Bに示すようにUAVの加速度を検出する
。UAV100
を発射するための
システムが、加速度が閾値を超えていると決定する
と、システムは、図9Aに示すように、モータ150をフルスロットルで直ちに制御するように構成される。図9Cは、発射モードおよび仰角モードにわたって30度の仰角でUAV100
に命令するためにピッチコマンドが維持されることを示す。
【0061】
図9Bに示すように、UAV100はt=0で発射モードに設定される。UAV100の検出器123が起動してUAV100の加速度を検出する。図3に示すようにユーザ300がUAV100を投げるか、またはUAV100が発射ラック200から射出されると、UAV100の加速度は短時間で非常に増加する。t=t1で、UAV100の加速度はピーク値に達する。ピーク値が所定の閾値以上である場合、UAV100を発射するためのシステムは、モータ150を始動するように構成される。図9Aに示すように、t=t2のとき、モータ150はフルスロットルにある。
【0062】
図9Aおよび図9Bに示すように、t1<t<t2の間、手または発射
ラック200からの力はもはやUAV100
に及ばないため、UAV100の
加速度は減少する。t=t2のとき、モータ150はフルスロットルにあり、UAV100の
最大推力を生み出す。したがって、UAV100の
加速度は、0<t<t1の間よりも高いレベルまで増加する。t≧t2のとき、UAV100
は仰角
モードに入る。仰角モードでは、図9Cに示すように
、UAV100を発射するシステムによって仰角
が30度に
維持される。
【0063】
本開示は、UAVを発射するためのシステムも対象とする。例えば、
例示的なシステムは、FCC122、AHRS124、通信ユニット
126、およびアンテナ
125を含む。AHRS124の検出器123は、UAVの加速度を検出するように構成
される。システムはまた、命令を記憶するメモリを含み得る。例えば、FCC122のメモリ
122-2は、方法
800に従って命令を記憶するように構成
される。システムは
また、UAVの加速度が閾値以上であるかどうかを決定し、かつUAVの加速度が閾値以上であるという決定に応答してUAVのモータをオンにするための命令を実行するように構成されたプロセッサをさらに含
むことができる。例えば、FCC122
のプロセッサ122-1は、UAV100の加速度が
発射モードの閾値以上であるかどうかを決定するための命令を実行し、
かつUAV100の加速度が
発射モードの閾値以上であるという決定に応答してUAV100のモータ150をオンにするように構成
される。いくつかの実施形態では、システムは、図
8に示され、その説明に示されるように、方法
800のステップの1つまたは複数
を実行するように構成
される。あるいは、システムは、図1~図4で上述した1つまたは複数の動作を実行するように構成することもできる。
【0064】
本開示の別の態様は、上述のように、UAVを発射する方法を装置に行わせるために装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行可能である命令のセットを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を対象とする。コンピュータ可読媒体は、揮発性または不揮発性、磁気、半導体、テープ、光学、取外し可能、取外し不能、または他のタイプのコンピュータ可読媒体またはコンピュータ可読記憶デバイスを含んでもよい。例えば、コンピュータ可読媒体は、開示されているように、コンピュータ命令が記憶されているストレージデバイスまたはメモリモジュールであってもよい。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ命令が記憶されているディスクまたはフラッシュドライブであってもよい。
【0065】
本開示は、上記で説明され、かつ添付の図面に示された正確な構成に限定されず、その範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行うことができることが理解されよう。本出願の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであることが意図されている。