(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】層間剥離された層状ゼオライト前駆体、および超音波処理なしでのその調製方法
(51)【国際特許分類】
C01B 39/12 20060101AFI20230421BHJP
B01J 29/86 20060101ALI20230421BHJP
C07C 2/66 20060101ALI20230421BHJP
C07C 15/02 20060101ALI20230421BHJP
C07D 301/19 20060101ALI20230421BHJP
C07D 303/04 20060101ALI20230421BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20230421BHJP
【FI】
C01B39/12
B01J29/86 Z
C07C2/66
C07C15/02
C07D301/19
C07D303/04
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020543383
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019018032
(87)【国際公開番号】W WO2019161071
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-13
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カッツ、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】オクラット、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】アイグナー、マルティナ
(72)【発明者】
【氏名】オウヤン、シャオイン
(72)【発明者】
【氏名】ゾーンズ、ステイシー、イアン
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0067692(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0356280(US,A1)
【文献】特表2016-507466(JP,A)
【文献】特表2014-500224(JP,A)
【文献】X Ouyang et al.,Novel surfactunt-free route to delaminated all-silica and titanosilicate zeolites derived from a layered borosilicate MWW precursor,Dalton Transactions,英国,The Royal Society of Chemistry,2014年03月19日,vol.43,no.27,pp.10417-10429
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/12
B01J 21/00 - 38/00
JSTPlus(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体を層間剥離する方法であって、前記ゼオライト前駆体を、亜鉛塩およびフッ化物塩の両方を含有する溶液中で超音波処理なしに接触させることを含み、前記ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体は、B-SSZ-70であ
り、前記フッ化物塩はフッ化アンモニウムを含み、前記亜鉛塩は硝酸亜鉛を含む、方法。
【請求項2】
前記フッ化物塩は、フッ化テトラブチルアンモニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記層間剥離は、100~170℃の範囲内の温度にて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記温度は、125~145℃の範囲内である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
有機供給物を、
請求項1に記載の方法から生じるゼオライトを含む触媒と接触させることを含む、ルイス酸触媒反応方法。
【請求項6】
前記反応は、オレフィンエポキシ化である、
請求項5に記載の触媒反応方法。
【請求項7】
炭化水素供給物を、
請求項1に記載の方法から生じるゼオライトを含む触媒と接触させることを含み、前記触媒はさらに、Ti、Sn、V、La、Zr、Hf、Nb、もしくはTa原子、またはそれらの混合物の群から選択される金属を含む、反応方法。
【請求項8】
ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体を超音波処理なしに層間剥離する方法であって、前記ゼオライト前駆体を、亜鉛塩およびフッ化物塩の両方を含有する溶液中で接触させることを含み、前記ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体は、B-ERB-1であ
り、前記フッ化物塩はフッ化アンモニウムを含み、前記亜鉛塩は硝酸亜鉛を含む、方法。
【請求項9】
前記フッ化物塩は、フッ化テトラブチルアンモニウムを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記層間剥離は、125~145℃の範囲内の温度にて行われる、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
炭化水素供給物を、
請求項8に記載の方法から生じるゼオライトを含む触媒と接触させることを含み、前記触媒はさらに、Ti、Sn、V、La、Zr、Hf、Nb、もしくはTa原子、またはそれらの混合物の群から選択される金属を含む、反応方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間剥離された(デラミネーションを受けた)SSZ-70を調製する新規な方法に関する。より詳細には、提供されるのは、B-SSZ-70層状ゼオライト前駆体を層間剥離する、界面活性剤フリーの簡単なワンステップ合成である。
なお、本発明は、全米科学財団によって授与された1542974の下での米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は、本発明に関して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
微孔性ゼオライト骨格に固有の拡散制限(diffusional limitation)を克服することによって、そしてより大きな分子に、外表面カップ内に存在するゼオライト触媒部位へのアクセスを授けることによって、高外表面積ゼオライトの合成が動機付けされる。例えば、M.E.Davis,Chem.-Eur.J.,1997,3,1745-1750;J.Jiang,J.Yu and A.Corma,Angew.Chemie-Int.Ed.,2010,49,3120-3145;A.Corma,V.Fornes,S.B.Pergher,T.L.M.Maesen and J.G.Buglass,Nature,1998,396,353-356;S.Maheshwari,E.Jordan,S.Kumar,F.S.Bates,R.L.Penn,D.F.Shantz and M.Tsapatsis,J.Am.Chem.Soc.,2008,130,1507-1516;W.J.Roth and J.Cejka,Catal.Sci.Technol.,2011,1,43;N.D.Hould,S.Kumar,M.Tsapatsis,V.Nikolakis and R.F.Lobo,Langmuir,2010,26,1260-1270;C.Anand,Y.Yamaguchi,Z.Liu,S.Ibe,S.P.Elangovan,T.Ishii,T.Ishikawa,A.Endo,T.Okubo and T.Wakihara,Sci.Rep.,2016,6,29210参照。層状ゼオライト前駆体の層間剥離が、そのような経済的な一合成方法となることを目指しているが、その合成において、層状ゼオライト前駆体を通過する構造に限定されている。ゼオライト層間剥離における最近の進歩は、過酷な層間剥離処理中の起こり得るアモルファス化等の、ゼオライト骨格への損傷を回避するゼオライト剥離技術を生み出すことに焦点を当ててきた。R.Schenkel,J.O.Barth,J.Kornatowski and J.A.Lercher,Stud.Surf.Sci.Catal.,2002,142,69-76;I.Ogino,M.M.Nigra,S.J.Hwang,J.M.Ha,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,J.Am.Chem.Soc.,2011,133,3288-3291;S.Maheshwari,C.Martinez,M.Teresa Portilla,F.J.Llopis,A.Corma and M.Tsapatsis,J.Catal.,2010,272,298-308;X.Ouyang,Y.-J.Wanglee,S.-J.Hwang,D.Xie,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,Dalton Trans.,2014,43,10417-29;X.Ouyang,S.J.Hwang,R.C.Runnebaum,D.Xie,Y.J.Wanglee,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,J.Am.Chem.Soc.,2014,136,1449-1461;X.Ouyang,S.I.Zones and A.S.Katz参照。最近の主要な進歩は、層間剥離材料の合成において、費用のかかる界面活性剤膨潤ステップ、およびスケール化が困難な超音波処理ステップを不要にすることに焦点を当ててきた。最近、これが、どのようにしてZn処理に続くか焼およびZnO除去を介して達成されて、ゼオライトの層間剥離に影響を及ぼし得るかが示された。X.Ouyang,Y.-J.Wanglee,S.-J.Hwang,D.Xie,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,Dalton Trans.,2014,43,10417-29参照。しかしながら、これまで、ゼオライトSSZ-70では、Zn処理を介した層間剥離ゼオライトの超音波処理なしの合成は、実行不可能であった。X.Ouyang,Y.-J.Wanglee,S.-J.Hwang,D.Xie,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,Dalton Trans.,2014,43,10417-29参照。これは、これまで、超音波処理なしのゼオライト層間剥離が、水酸化ジイソブチルイミダゾリウム等のSSZ-70に必要とされるカチオン構造指向剤と比較される、ERB-1合成用のピペリジン等の中性の構造指向剤によるゼオライトに限定されてきたという事実によって合理化されてきた。X.Ouyang,Y.-J.Wanglee,S.-J.Hwang,D.Xie,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,Dalton Trans.,2014,43,10417-29参照。特に、ゼオライトSSZ-70層状ゼオライト前駆体の超音波処理なしの利用可能な層間剥離がないことで、触媒作用の優れた性能にも拘らず、この層状前駆体から生じる層間剥離ゼオライトの実際の応用が、大幅に制限されている。最近の研究では、Al-SSZ-70の層間剥離形態、UCB-3は、アルキル化ブレンステッド酸触媒として、高い活性を示した。R.C.Runnebaum,X.Ouyang,J.a Edsinga,T.Rea,I.Arslan,S.Hwang,S.I.Zones and A.Katz,ACS Catal.,2014,4,2364-2368参照.最近では、B-SSZ-70の、UCB-4への層間剥離により、SSZ-70層間剥離ゼオライト骨格中への、Ti(X.Ouyang,S.J.Hwang,D.Xie,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,ACS Catal.,2015,5,3108-3119)が挙げられる種々の金属ヘテロ原子の組込みが容易となり(X.Ouyang,Y.-J.Wanglee,S.-J.Hwang,D.Xie,T.Rea,S.I.Zones and A.Katz,Dalton Trans.,2014,43,10417-29)、これは、酸化剤としての有機ヒドロペルオキシドによる高度にロバストかつ活性なオレフィンエポキシ化触媒作用を示してきた。Ti-UCB-4の合成は、プロピレン等の、末端オレフィンエポキシ化用のよりロバストな(すなわち、あまり失活しない)触媒の開発に向けられてきた(M.Aigner,N.A.Grosso-Giordano,A.Okrut,S.I.Zones and A.Katz,React.Chem.Eng.,DOI:10.1039/C7RE00076F)。ニーズが、特に工業用エポキシ化フローリアクターのテールエンドでの極端な環境下での、アモルファスシリカにグラフト化されたTiからなる現在の工業用触媒の失活によって、動機付けされてきた。M.Aigner,N.A.Grosso-Giordano,A.Okrut,S.I.Zones and A.Katz,React.Chem.Eng.,DOI:10.1039/C7RE00076F参照。しかし、これまで、B-SSZ-70の層間剥離を成功させるためのアプローチは全て、界面活性剤の膨潤および超音波処理の組合せを必要としており、前述の触媒のスケーラブルな合成が困難であった。
【0003】
先で考察した理由により、超音波処理ステップを必要とせずにSSZ-70を層間剥離する方法は、業界に大きな利益をもたらすであろう。
【発明の概要】
【0004】
提供されるのは、層間剥離SSZ-70の、界面活性剤フリーの、超音波処理のないシングルステップ合成である。当該方法は、硝酸亜鉛、Zn(NO3)2等の亜鉛源、およびフッ化物源を含む溶液中で、B-SSZ-70層状ゼオライト前駆体を接触させるステップを含む。一実施形態において、フッ化物源は、フッ化テトラブチルアンモニウム等のフッ化アンモニウムである。一実施形態において、接触は、溶液を、100~170℃の範囲内の温度に加熱することを含む。
【0005】
より詳細には、提供されるのは、超音波処理も長鎖界面活性剤も必要としない、SSZ-70-骨格ゼオライトのスケーラブルな層間剥離であり、これは、ゼオライト合成に必要とされるイミダゾリウム構造指向剤の帯電性質によって、以前は困難であった。当該アプローチは、亜鉛塩、好ましくは硝酸亜鉛等の亜鉛源、およびフッ化物源を含有する溶液中で、B-SSZ-70ゼオライト前駆体を接触させることに依存する。一実施形態において、本方法は、Zn(NO3)2およびフッ化テトラブチルアンモニウムを含有する水溶液中で、層状ゼオライト前駆体B-SSZ-70を穏やかに加熱することを含む。
【0006】
本方法は、簡単であり、効果的であり、かつ安全である。粉末X線回折データは、z方向に沿った長距離秩序の損失と一致する一方、29Si MAS NMR分光法と組み合わせて、層間剥離の結果としてのゼオライト骨格のアモルファス化または破壊の欠如を実証する。DZ-2と名付けた、結果として生じた層間剥離材料は、77KでのN2物理吸着データに基づいて、非層間剥離3次元ゼオライトB-SSZ-70と比較して、外部表面積データが1.4倍高い。
【0007】
DZ-2は、種々のヘテロ原子、例えばTiおよびAlのヘテロ原子により官能化されて、ホウ素交換を介して、Ti-DZ-2およびAl-DZ-2のそれぞれを合成することができる。双方の材料は、UV-VisおよびAl-NMR分光法によって示されるように、骨格内に単一部位としてヘテロ原子を含有する。
【0008】
Ti-DZ-2は、多くの反応用の触媒として効果的に用いることができる。例えば、オレフィンのエポキシ化、例えば、アモルファスシリカ担体をベースとした触媒について高度に失活することが知られている過酷なテールエンド条件下での、酸化剤としてのエチルベンゼンヒドロペルオキシドによる1-オクテンのエポキシ化。そのような条件下で、Ti-DZ-2は、これまでに調査された全ての触媒(Ti-DZ-2に類似の外部表面積を有するが、合成には超音波処理および長鎖界面活性剤が必要である、以前に報告された層間剥離ゼオライトTi-UCB-4が挙げられる)の中で、1-オクテンエポキシ化についてTi部位あたり最高の活性、選択性、および安定性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】ゼオライト層間剥離のための従来の界面活性剤媒介法の概略図である。この従来のアプローチは、層状ゼオライト前駆体の、層間剥離ゼオライトUCB-4への剥離をもたらす。
【0010】
【
図2A】ゼオライト層間剥離のための界面活性剤フリーの本アプローチの概略図である。この新しいアプローチは、層状ゼオライト前駆体の、脱ホウ素化の結果として、高密度のシラノールネストを含む層間剥離ゼオライトDZ-2への剥離をもたらす。
【
図2B】ゼオライト層間剥離のための界面活性剤フリーの本アプローチの概略図である。この新しいアプローチは、層状ゼオライト前駆体の、脱ホウ素化の結果として、高密度のシラノールネストを含む層間剥離ゼオライトDZ-3への剥離をもたらす。
【0011】
【
図2C】シラノールネストを有する脱ホウ素化ゼオライトの、Alが挿入されたT位置を有するAlゼオライトおよびTiが挿入されたT位置を有するTiゼオライトへの転化を示す図である。
【0012】
【
図3A】従来の層間剥離ゼオライトUCB-4と比較した、か焼成された材料B-SSZ-70、DZ-2の粉末XRDパターンを示す図である。
【
図3B】か焼されたERB-1およびDZ-3の粉末XRDパターンを示す図である。
【0013】
【
図4A】B-SSZ-70、DZ-2、およびUCB-4のか焼された材料のN
2物理吸着プロットを示すグラフである。
【
図4B】ERB-1およびDZ-3のか焼された材料のN
2物理吸着プロットを示すグラフである。
【0014】
【
図5A】選択された材料のMAS
29Si NMRスペクトルを示す図である。
【
図5B】選択された材料のCP MAS
29Si NMRスペクトルを示す図である。
【0015】
【
図6A】Ti-DZ-2のか焼された材料のUV-Visスペクトルを示す図である。
【
図6B】Ti-DZ-3のか焼された材料のUV-Visスペクトルを示す図である。
【
図6C】Ti-UCB-4のか焼された材料のUV-Visスペクトルを示す図である。
【
図6D】Ti-ERB-1のか焼された材料のUV-Visスペクトルを示す図である。
【
図6E】Ti-SSZ-70のか焼された材料のUV-Visスペクトルを示す図である。
【0016】
【
図7A】フローリアクター内でのTi-DZ-2の1-オクテンエポキシ化性能を示す図であり、(●)はEBHP転化を示し、(▲)は1-オクテンについてのEBHPの選択性を示す。
【
図7B】フローリアクター内でのTi-DZ-3の1-オクテンエポキシ化性能を示す図であり、(●)はEBHP転化を示し、(▲)は1-オクテンについてのEBHPの選択性を示す。
【
図7C】フローリアクター内でのTi-UCB-4の1-オクテンエポキシ化性能を示す図であり、(●)はEBHP転化を示し、(▲)は1-オクテンについてのEBHPの選択性を示す。
【
図7D】フローリアクター内でのTi-ERB-1の1-オクテンエポキシ化性能を示す図であり、(●)はEBHP転化を示し、(▲)は1-オクテンについてのEBHPの選択性を示す。
【
図7E】フローリアクター内でのTi-SSZ-70の1-オクテンエポキシ化性能を示す図であり、(●)はEBHP転化を示し、(▲)は1-オクテンについてのEBHPの選択性を示す。
【0017】
【
図8】(a)Al-DZ-2および(b)Al-UCB-4の
27Al MAS NMRスペクトルを示す図である。
【0018】
【
図9A】333Kでの真空処理下で得られた、Al-DZ-2に結合したピリジンのFTIRスペクトルを示す図である。
【
図9B】473Kでの真空処理で得られた、Al-UCB-4に結合したピリジンのFTIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
提供されるのは、B-SSZ-70の層間剥離のための、超音波処理のないアプローチ(界面活性剤による膨潤の必要もない)であり、これは、骨格Bによって以前に占められていた空孔欠陥からなるシラノールネスト部位を含む脱ホウ素化層間剥離ゼオライト中間体DZ-2の合成をもたらす。本方法は、B-SSZ-70の層間剥離の成功、ならびにDZ-2上へのカチオングラフティングを介した、これらのシラノールネスト中へのAlおよびTi双方の組込みにより実証される。後者の2つの材料は、界面活性剤の膨潤ステップおよび超音波処理ステップを必要とする従来の層間剥離経路を介して合成される、以前に報告されたAl-UCB-4およびTi-UCB-4と比較され、また、Ti-DZ-2を合成するのに使用されるのと同様の手順を介して層状ゼオライト前駆体ERB-1から調製された、層間剥離ゼオライトTi-DZ-3と比較されて、他の層状ゼオライト前駆体への、超音波処理なしの新規の本アプローチの応用が実証される。ここでの触媒比較には、Al含有層間剥離材料についての、プロピレンによるトルエンアルキル化、および、Ti含有層間剥離材料についての、有機ヒドロペルオキシド(エチルベンゼンヒドロペルオキシドによる1-オクテンエポキシ化からなる)による末端オレフィンエポキシ化の触媒作用が含まれる。後者について、本発明者らは、高度に失活した条件下で触媒を試験するのに以前に行ったように、エポキシ化リアクターのテールエンドでの条件に焦点を当てる。
【0020】
B-SSZ-70の層間剥離についてアプローチは、ERB-1(B-MWW層状ゼオライト前駆体材料)層間剥離についての前述のアプローチを、超音波処理なしで活用する。このアプローチでは、Zn(NO
3)
2の水溶液を使用して、ERB-1を剥離する。しかしながら、同処理は、B-SSZ-70の層間剥離については不十分であることが実証された。本方法において、重大な進歩は、穏やかな条件下での、フッ化物鉱化剤、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)等のフッ化アンモニウムの、Zn(NO
3)
2等の亜鉛源と協働させた組合せを使用して、B-SSZ-70層間剥離を超音波処理なしで促進することであった。この以前の文脈内で、TBAFは、以前に、テトラブチルアンモニウムクロリド(TBACl)、およびB-SSZ-70を膨潤させる長鎖界面活性剤、ならびにB-SSZ-70の層間剥離に影響を及ぼす超音波処理と組み合わせて使用された(
図1に示す)。しかしながら、本方法は、TBAF等のフッ化物をZn(NO
3)
2処理と組み合わせて効果的に使用して、層状ゼオライト前駆体B-SSZ-70およびERB-1について、超音波処理を必要とせずに層間剥離を成功させる(前者の層状ゼオライト前駆体に対して、Zn処理だけでは達成することができなかったもの)。
図2Aおよび
図2B参照。
【0021】
当該方法は、亜鉛塩、好ましくは硝酸亜鉛、Zn(NO3)2等の亜鉛源、およびフッ化物源を含む溶液中で、B-SSZ-70層状ゼオライト前駆体を接触させるステップを含む。また、層状ゼオライト前駆体は、B-ERB-1であってもよい。というのも、当該方法は、層間剥離について、B-ERB-1でも機能するからである。接触は、層間剥離が起こるまで続く。
【0022】
層間剥離とは、材料の層間領域内の微孔性を、層間のはるかに大きな間隔と置き換えることによる、層状ゼオライト前駆体における層の剥離を指す。層間剥離は、多くの場合、典型的には1.1~10倍の範囲、好ましくは約2~4倍の範囲の、材料の外部表面積の増大を伴う。本発明の好ましい実施形態において、層間剥離は、ゼオライト骨格のアモルファス化を伴わない;したがって、表面積の増大は、主に、アモルファス相等の他の相からの寄与ではなく、露出した外部表面積の増大に起因する。
【0023】
接触中、層状ゼオライト前駆体における層間水素結合が、Alに対するBの代用によって誘導される格子歪みを介して、永久的に破壊される(すなわち、550℃でのか焼後ですら持続する)。別の単回ステップの剥離の例は、約1のpHの温かいZn(NO3)2水溶液中のホウケイ酸塩ゼオライト前駆体の処理中に、層状ゼオライト前駆体における層間水素結合が永久的に破壊され、かつ骨格からのBの除去によって誘導されるシラノールネストの形成を伴うものである。この文脈内で、シラノールネストとは、Bによって占められるように使用される、テンプレート内に配置された複数のシラノールを指す。剥離ゼオライトの高表面積およびシラノールネストは、550℃でのか焼後ですら存続する。
【0024】
本方法では、ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体が層間剥離される。ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体は、式SiO
2およびB
2O
3の酸化物を含む酸化物材料であり、Si対Bの原子比は概して200未満である。ホウケイ酸塩ゼオライト層状前駆体は、有機テンプレートを含有する。ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体において、B原子がT位置を占める。用語T位置は、ゼオライト骨格内に四面体配位位置を有するあらゆる原子を指す。ゼオライトは、その骨格内に少なくとも1つのタイプのT位置を有し得る。あらゆるゼオライト内のT位置にて最も豊富なタイプの原子は、通常、Siである。ヘテロ原子(例えば、Al、B、Ga、およびFe)が、特定のT位置に導入されてもよく、生じたゼオライトは、酸触媒作用を促進することができるブレンステッド酸性度を示す場合がある。酸触媒作用とは、酸によって触媒される化学反応を指す。一方、ヘテロ原子(例えば、Ti、Sn、Zr、Mn、Hf、Nb、Ta、La、およびV)が、特定のT位置に導入されてもよく、生じたゼオライトは、酸化触媒作用を促進することができる場合がある。
図2C参照。酸化触媒作用として、原子の酸化状態が変化する全ての化学反応が挙げられる。酸化剤および還元剤が、酸化触媒作用に包含されなければならない。酸化剤は、酸化触媒作用において、別の種から電子を受け取る元素または化合物である。
【0025】
しかしながら、本方法は、これまで不可能であることが見出されていた、層間剥離SSZ-70を超音波処理なしで成功裏に調製する特定の応用性を見出した。詳細には、Zn(NO3)2をフッ化物と接触溶液内で組み合わせることによって、B-SSZ-70が、超音波処理なしで成功裏に層間剥離され得る。Zn(NO3)2が使用されなければならない。というのも、他の塩では、超音波処理なしでSSZ-70を層間剥離するよう機能しないためである。また、フッ化物が、Zn(NO3)2入りの接触溶液中に存在しなければならない。というのも、他のハロゲン源では機能しないためである。驚くべきことに、超音波処理なしでB-SSZ-70の層間剥離を可能にすることが発見されたのが、この特定の組合せである。
【0026】
フッ化物源は、フッ化物アニオンを提供する適切なあらゆるフッ化物塩であってよい。フッ化アンモニウムが有用であることが見出された。
【0027】
接触はまた、好ましくは、穏やかな加熱条件下、例えば、100~170℃の温度範囲内で行われる。一実施形態において、温度は、125~145℃の範囲内であり、135℃であり得る。
【0028】
脱アミノ化後に生じた材料は、製造されたままの状態で有用である。当該材料は概して、Zn(NO3)2由来の亜鉛原子を含有する。当該材料を部分的に脱金属すると、さらに活性な触媒を得ることができる。部分的な脱金属とは、触媒内の亜鉛ヘテロ原子の部分、典型的にはより弱く結合している部分の除去を指す。
【0029】
また、生じた層間剥離ゼオライト、とりわけSSZ-70は、c軸に沿って薄いシートが無秩序に積み重なっている点で、ユニークである。また、ゼオライトは、外表面上に高密度の強酸部位を有する。層間剥離ゼオライトは、炭化水素との酸触媒反応用の触媒として、特に有効である。反応は、適切な反応条件下で、炭化水素供給物を触媒と接触させることを含むであろう。層間剥離ゼオライトは、異性化、アルキル化、アシル化、クラッキング、または加水分解等の反応に適している。層間剥離ゼオライト触媒は、かさ高い炭化水素分子が関与する反応に特に有用であろう。
【0030】
以下の例は、本発明をよりよく例示するために提供されている。例は、限定的であることを意味するものではなく、単なる例証である。
【実施例】
【0031】
材料
使用した試薬は全て、試薬グレードの品質であり、特に明記しない限り、受け取ったままの状態で使用した。材料B-SSZ-70、ERB-1、およびUCB-4の合成を、前述のように実行した。
【0032】
DZ-2前駆体およびDZ-3前駆体の合成
0.5gの層状ゼオライト前駆体(DZ-2合成の場合にはB-SSZ-70、そしてDZ-3合成の場合にはERB-1からなる)、0.85gのフッ化テトラブチルアンモニウム、および2gのZn(NO3)2・6H2Oを、20mLの脱イオン水に加えた。反応混合液を135℃にて16時間、激しく撹拌した。固体生成物をフィルタ上に収集して、脱イオン水に続いてアセトンで徹底的に洗浄してから、風乾した。
【0033】
DZ-2前駆体およびDZ-3前駆体のか焼
DZ-2前駆体およびDZ-3前駆体を、空気中550℃にて5時間か焼した。昇温速度は1℃/分であった。
【0034】
DZ-2およびDZ-3の合成
0.5gのか焼した前駆体を、50mLの2N HNO3に加えた。スラリーを135℃にて一晩、激しく撹拌した。固体生成物をフィルタ上に収集して、脱イオン水に続いてアセトンで徹底的に洗浄してから、風乾した。
【0035】
Ti-DZ-2、Ti-DZ-3、Ti-UCB-4、Ti-ERB-1、およびTi-SSZ-70の合成
1gのゼオライトを、15.0mLの高圧フラスコ内で120℃にて少なくとも3時間、乾燥させた。アルゴン気流下で、10.0mLの無水1-ブタノールおよび1mLのチタン(IV)-n-ブトキシドを添加した。混合液を135℃にて1時間撹拌した。室温に冷却した後に、懸濁液を濾過して、1-ブタノールで洗浄した。120℃にて乾燥後、白色の粉末生成物を乳棒で粉砕して、550℃にて10時間か焼した。
【0036】
Al-DZ-2およびAl-UCB-4の合成
1gの層間剥離ゼオライトを、100mLの0.4mol/L Al(NO3)2溶液に添加した。混合液を100℃にて2日間撹拌した。固形生成物をフィルタ上に収集して、pH2のHCl水溶液、脱イオン水に続いてアセトンで徹底的に洗浄してから、風乾した。風乾したサンプルを、空気中で550℃にて5時間、か焼した。
【0037】
特性評価方法
粉末X線回折(PXRD)パターンを、Cu Kα放射を用いて、Bruker GADDS D-8回折計で収集した。データを、3°から30°の2θ範囲内で収集した。ステップサイズは0.02°、そして滞留時間は2秒であった。窒素の物理吸着等温線を、Micromeritics ASAP2020機器で77Kにて測定した。測定前に、サンプルを、350℃にて4時間排気した。アクリジン(Sigma Aldrich、97%)をエタノール中で2回再結晶化して、500μmolのアクリジン/n-オクタンgストック液を調製するのに用いた。外部酸部位の滴定のために、2mLのアクリジンストック液を、約3.00mgのゼオライトに室温にて加えた(ゼオライトサンプル中に存在する推定酸部位の3倍過剰に相当する)。滴定した溶液を1時間後に収集して、0.2μmのシリンジフィルタに通した。ストック液および滴定溶液のUV-Vis吸光度の差異を、Varian Cary 400 UV-Vis分光計を用いて記録して、3反復実験の後に、5%以内の正確な外部酸部位密度が得られることが見出された。ピリジン(Sigma Aldrich、分光グレード)化学吸着実験を、熱重量分析(TA Instruments TGA 2950)によって実行した。約30mgのサンプルを、100mL/分の乾燥N2フロー内で823Kに加熱して、この温度にて3時間維持した。423Kに冷却した後に、約50μLのピリジンを、シリンジを介して入口ラインに注入して、安定した質量が得られるまで、系を423Kにて少なくとも3000分間維持した。自立(self-supported)ゼオライトペレットの赤外スペクトルを、Nicolet 6700 FTIR分光計により記録した。ゼオライトペレットを空気中で823Kにて6時間か焼してから、573Kにて1時間真空処理した後に、室温に冷却した。バックグラウンドスペクトルの収集後、ゼオライトペレットを60℃にて約5分間、ピリジン蒸気に曝してから、423Kにて1時間排気した。
【0038】
オレフィンエポキシ化
ゼオライト触媒を、180μm~250μmの粒子サイズにペレット化した。25mgのか焼触媒を、ガラスウールの層の間のステンレス鋼リアクター(l=41mm、直径=6mm)中に充填した。触媒層の前後のガラスビーズの層を用いて、リアクターの中央の触媒床を安定化させ、そして反応溶液の完全な混合を可能にした。反応溶液は、1029.0mmol(115.5g)の1-オクテン、32.1mmol(4.4g)のEBHP、62.4mmol(8.7g)のエチルベンゼン、188.4mmol(24.2g)の1,2-エポキシオクタン、2.7mmol(1.5g)のアセトフェノン、186.6mmol(22.8g)の1-フェニルエタノール、および内部標準としての11.9mmol(1.5g)のn-ノナンからなっていた。充填したリアクターを、140℃にて少なくとも4時間、真空下で加熱した。室温に冷却した後に、リアクターを1-オクテンでフラッシュして、反応溶液を含有するシリンジに連結した。必要な流量を、シリンジポンプを用いて制御した。リアクターを、110℃の温度に保持した油浴内に沈めた。サンプルを、操作中の様々な期間にわたって、1時間収集した。系を平衡化させるために、サンプル収集を、実験を開始してから少なくとも2時間後に開始した。サンプルを、n-ノナンを内部標準として用いるガスクロマトグラフィによって分析した。液体サンプルを、ガスクロマトグラフィ(Agilent 6890、HP-1メチルシリコーンキャピラリカラム)によって、反応物および生成物について分析して、これらを用いて触媒反応速度および選択性を算出した。
【0039】
芳香族アルキル化
触媒反応を、以下の条件下で、貫流式充填床プラグ流リアクター内で実行した:Heを流しながら573Kにて触媒を前処理して物理吸着水を除去した後に、液体トルエン(Sigma-Aldrich、99.9%)を流動ガス流中に気化して、不活性非多孔質γ-Al2O3で希釈した5mg~20mgの触媒質量の床の上に、423K~523Kのリアクター温度、そして140kPaの圧力にて通過させた。必要な転化を得るのに要求される触媒質量を変えることによって、実験を様々な転化条件下で行った。トルエンの流量は0.244 mol h-1であり、プロピレンの流量は0.0295mol h-1であった(Praxair、20%C3H6、5%Ar、残りはHe)。生成ガス流を403Kに加熱して、サンプルを、ガスクロマトグラフィによって周期的に分析して、イソプロピルトルエン異性体および2,4-ジイソプロピルトルエンについて形成速度および選択性を定量化するのに用いた。
【0040】
例1
層間剥離ゼオライトDZ-2およびDZ-3の合成および特性評価
粉末X線回折(PXRD)を用いて、層間剥離前後の層間剥離ゼオライトサンプルの結晶化度および構造完全性を調査した。
図3Aは、層間剥離に超音波処理が必要である従来の層間剥離ゼオライトUCB-4、ならびに、DZ-2およびUCB-4の双方が由来するか焼された層状ゼオライト前駆体を表す3次元ゼオライトB-SSZ-70と比較した、DZ-2からなるか焼された材料のPXRDパターンを示す。
図3Bは、親の3次元ゼオライトERB-1と比較した、か焼された材料DZ-3の粉末回折パターンを示す。7.2°、7.9°、および9.9°2シータでのDZ-2およびUCB-4の特徴的なピーク位置は、B-SSZ-70のものと一致し、そして7.2°、8.1°、および10.1°2シータでのDZ-3の特徴的なピーク位置は、ERB-1のものと一致する。これは、所定のゼオライト層内で結晶化度を保持する全てのサンプルと一致しており、そして層間剥離は、DZ-2、DZ-3、またはUCB-4について、ゼオライト骨格をアモルファス化しなかった。DZ-2、UCB-4、およびDZ-3からなる2次元ゼオライト層ビルディングブロック内の構造および秩序度は、母材B-SSZ-70およびERB-1の場合と同様に保持されている。[011]および[012]等の、z方向内の秩序に対応する、
図3Aおよび
図3BのPXRDパターンのピークは、DZ-2およびUCB-4について、7.9°([011])および9.9°([012])2シータにて、そしてDZ-3およびERB-1について、8.1°([011])および10.1°([012])2シータにて位置決めされている。これらのピークは全て、母材B-SSZ-70およびERB-1と比較した場合、材料DZ-2、UCB-4、およびDZ-3における層間剥離後の深刻な広がり(ブロード化)および強度損失を示す。そのような広がりおよび強度損失は、DZ-2、UCB-4、およびDZ-3の層間剥離と一致した、ゼオライト層に垂直な結晶z軸に沿った長距離秩序の損失を示す。
【0041】
DZ-2、UCB-4、およびB-SSZ-70についてのN
2物理吸着データを
図4Aに示し、そしてDZ-3およびERB-1についてのデータを
図4Bに示す。以下の表1は、か焼された全ての材料の物理化学的特性を要約しており、これは、マイクロポアおよびメソポアの双方の存在を示す、特徴的なタイプI/IV混合等温線を示している。層間剥離ゼオライトDZ-2、UCB-4、およびDZ-3は、親の3DゼオライトB-SSZ-70およびERB-1とそれぞれ比較して、P/P
0=0とP/P
0=0.1間のマイクロポア領域でのN
2取込みがより少ないことを示している。これは、層間剥離した場合に、3次元ゼオライトB-SSZ-70およびERB-1において、さもなくばゼオライト層の間に位置決めされるマイクロポアの損失と一致する。
図4Aおよび
図4Bにおいて、P/P
0=0.2とP/P
0=0.7間の線形領域の勾配を比較すると、層間剥離中の外部表面積の増大が明らかである。DZ-2、UCB-4、およびDZ-3は、B-SSZ-70およびERB-1よりも急な勾配を示し、このことは、層間剥離材料の外部表面積がより大きいことを示しており、これを、表1において、tプロット法を介して定量化している。P/P
0=0.7とP/P
0=1間のメソポア領域は、3次元材料B-SSZ-70およびERB-1と比較して、DZ-2、UCB-4、およびDZ-3について、より高いN
2取込みを示す。これは、層間剥離の結果としてのゼオライトシート間のより大きなメソポアの合成によって説明することができる。か焼された3次元B-SSZ-70およびERB-1材料においてそのようなメソポアが存在しないと、この領域におけるN
2の取込みがより低下する。全体的に、物理吸着データは、DZ-2、DZ-3、およびUCB-4の合成中の層間剥離の成功と一致している。
【表1】
【0042】
DZ-2を形成するようなB-SSZ-70の層間剥離を、
29Si MAS NMRおよび
29Si CP/MAS NMR分光法によって特徴付けた。同じ手法を用いて、従来通り層間剥離された触媒Ti-UCB-4と比較して、Ti-DZ-2からなる金属置換触媒を特徴付けた。これらのデータを、
図5Aおよび
図5B、ならびに以下の表2に示す。全ての材料は、-93~-123ppmの領域内のQ
4およびQ
3ケイ素部位からなり、さもなくば-90ppmのダウンフィールドの領域内で見られたであろうQ
2部位の証拠はなかった。Q
2共振の欠如は、全ての層間剥離材料におけるシリカート骨格のアモルファス化の欠如と一致する。ゆえに、ゼオライト層間剥離および金属ヘテロ原子挿入(Zn処理に基づく新しいアプローチを含む)に影響を与えるために採用した方法は、骨格の加水分解/アモルファス化を引き起こさない点で、ゼオライト骨格に対して穏やかである。これは、先で考察した
図3Aおよび
図3BのPXRDデータにおける層間剥離後の結晶化度の保持と一致する。この結論は、ゼオライト骨格をアモルファス化しない穏やかな性質も有した、ERB-1についての以前のZnベースの層間剥離戦略に類似する
11。表2における、製造されたままの状態のB-SSZ-70およびDZ-2についての類似のQ
3/Q
4比は、ゼオライト骨格をアモルファス化しない層間剥離の穏やかな性質とも一致する。か成後に、Ti-DZ-2のQ
3/Q
4比のほぼ50%の低下が観察された。これは、高温処理中の、恐らく層間剥離ゼオライト層間の、外部シラノール凝縮に起因する。比較すると、か焼されたTi-UCB-4は、Ti-DZ-2と比較して、表2における僅かに大きなQ
3/Q
4比からなる。製造されたままの状態のB-SSZ-70およびDZ-2の
11B NMR分光法は、Zn処理を介した層間剥離中に、骨格ホウ素の約50%の損失を示す。ゆえに、製造されたままの状態のB-SSZ-70内の元々のB部位の高い割合は、今や、DZ-2において、Zn処理を介した層間剥離後に、シラノールネストからなる。当該ネストの一部は、DZ-2のか焼後に失われることが予想されるが、最後の酸洗浄中に再投入(repopulated)されることとなり、これによって、残っているBが全て、そしていかなる残留Znも、除去される。か焼され、かつ酸洗浄されたDZ-2(およびUCB-4)内の残留Bの不在は、
11B NMRスペクトルにおいてシグナル強度がないことで、明らかである。これらの材料(すなわち、DZ-2およびUCB-4)は双方とも、完全に脱ホウ素化されていた。
【表2】
【0043】
Ti-DZ-2、Ti-DZ-3、Ti-UCB-4、Ti-ERB-1、およびTi-SSZ-70をそれぞれ合成するための、層間剥離ゼオライトDZ-2、UCB-4、およびDZ-3中への、そして3DゼオライトB-SSZ-70およびERB-1中へのTi骨格ヘテロ原子の組込みの成功が、
図6A~
図6Eに示すように、UV-Vis分光法によって確認された。全てのスペクトルは、209nm~229nmの範囲における吸収強度の最大値(Kubelka Munk単位)からなる。これらのバンドを、骨格位置内の孤立したTi部位に割り当てることができる。全てのスペクトルは、260nm周囲で僅かなショルダーを示しており、これは、外部表面の孤立したシラノール上にグラフト化されたもの等の、非骨格位置内の一部分のチタン部位と一致する。
【0044】
例2
オレフィンエポキシ化触媒
ルイス酸性度および触媒作用関与グラフト化Ti部位に及ぼす層間剥離法の影響を評価するために、Ti-DZ-2、Ti-UCB-4、およびTi-DZ-3、そして対応する非層間剥離触媒Ti-SSZ-70およびTi-ERB-1からなる層間剥離材料について、関連するプローブ反応として、酸化剤としてのエチルベンゼンヒドロペルオキシド(EBHP)による末端オレフィン1-オクテンのエポキシ化を行った。この反応を、グラフト化されたTiケイ素系触媒(Ti siliceous catalyst)の特性評価に以前に用いたような、工業的に関連するテールエンド条件(すなわち、リアクターへの供給物は、1,2-エポキシオクタンに対して99.9%の選択率にて80%EBHP転化をシミュレートする、生成物および副産物からなる)下のフローリアクター内で行った。Ti-DZ-2、Ti-DZ-3、およびTi-UCB-4の長期(1週)の触媒安定性および選択性を、
図7A~
図7Eにおいて比較した。これは、3つ全ての材料についてのタイム・オン・ストリーム(time-on-stream:経時)データを示す。触媒Ti-DZ-2、Ti-UCB-4、およびTi-DZ-3を用いた場合のEBHP転化(率)は、タイム・オン・ストリームの約70時間後に定常状態に達した後、ほぼ一定のままであり、そしてこれらの触媒についての定常状態選択性(すなわち、1,2-エポキシオクタンの合成に入る、転化されるEBHPの割合)は、それぞれ81%、73%、73%である。Ti-DZ-2の定常状態の選択性は、Ti-UCB-4についてよりも高いことが観察されている一方、全ての材料の性能は、タイム・オン・ストリームで安定している。この安定性、および失活の欠如により、3つの層間剥離ゼオライトは全て、類似の条件下で失活する(結果として、タイム・オン・ストリームの増加に伴って、EBHP転化が低下する)ことが以前に示されたアモルファスシリカ担体に基づいて、グラフト化されたTi触媒により差別化される。非層間剥離親ゼオライトTi-SSZ-70およびTi-ERB-1を対照触媒として用いた場合に、EBHPによる1-オクテンエポキシ化について、類似の傾向が観察される。結晶性サンプルTi-SSZ-70およびTi-ERB-1の定常状態の転化は、70時間~160時間のタイム・オン・ストリーム期間の全体を通して、ほぼ一定のままであり、そして3次元ゼオライトは、1-オクテンのエポキシ化を、74%(Ti-SSZ-70)および72%(Ti-ERB-1)の選択率にて触媒する。これらの選択性は、対応する層間剥離ゼオライトに類似する。
【0045】
以下の表3は、各触媒についての触媒質量およびTiベース(理想的なプラグフローリアクターを想定)に基づいて算出した疑似1次速度定数を示す。Tiベースの算出では、Ti-DZ-2が最も活性な触媒であり、速度定数kが22.3×103mL/h・gであり、Ti-UCB-4およびTi-DZ-3が続き、速度定数kがそれぞれ17.8×103mL/h・gおよび15.7×103mL/h・gである。これらの傾向をさらに調査し、そして特に、層間剥離ゼオライト触媒の触媒活性の差異への骨格タイプの寄与を解明するために、非層間剥離触媒Ti-SSZ-70およびTi-ERB-1についてのTiベースの速度定数を算出した。触媒は双方とも、Ti-SSZ-70およびTi-ERB-1について、それぞれ13.3×103mL/(h・g cat)および15.7×103mL/(h・g cat)の匹敵する速度定数kを示す。これらのデータは、骨格タイプ単独では、上述の層間剥離ゼオライト触媒の観察された差異を説明しないことを示している。層間剥離の方法は、ルイス酸触媒性能に影響を与えるのに重要である。しかし、上述のTi-DZ-2およびTi-DZ-3について、エポキシ化速度定数kを比較する際に、比較することとなる2つのサンプルにおいて層間剥離法を同じに保った場合でも、層間剥離後に、骨格も重要な効果を発揮し得ることがわかる。結論は、重要なのが、骨格と結合された層間剥離アプローチの組合せであるということである。
【0046】
層間剥離ゼオライトについての質量ベースの触媒速度定数k’は、Tiベースあたりの反応速度定数と類似の傾向を示す。Ti-DZ-2が最も活性な触媒であり、速度定数が94mL/h・gであり、Ti-UCB-4およびTi-DZ-3が続き、速度定数k’がそれぞれ72mL/h・gおよび64mL/h・gである。この傾向は、上記のように、Ti部位あたりの異なる活性に起因する。というのも、3つの層間剥離ゼオライトは全て、表3に示すように、Ti含有量および外部表面積が類似するためである。非層間剥離ゼオライトTi-SSZ-70およびTi-ERB-1についての質量ベースの触媒速度定数k’は、それぞれ29mL/h・gおよび21mL/h・gであり、そしてその差は、表3に示すように、Ti-SSZ-70のより高い外部表面積、および結果として生じるより高いTi含有量により説明することができる。
【表3】
【0047】
例3
層間剥離ゼオライトAl-DZ-2の合成および特性評価
超音波処理なしの新しいアプローチで合成した脱ホウ素化層間剥離ゼオライトへの合成後ヘテロ原子組込みの普遍性を実証するために、AlをDZ-2およびUCB-4の骨格中に組み込んで、Al-DZ-2およびAl-UCB-4をそれぞれ合成した。後者のAl含有材料を双方とも、
27Al MAS NMR分光法を介して特徴付けした。データを
図8に示す。Al-DZ-2およびAl-UCB-4の双方について、2つの共鳴が55ppmおよび0ppmにて観察され、それぞれ、四面体配位Al部位、および八面体配位Al部位に割り当てられる。双方のスペクトルは、Al部位の大部分が、四面体環境にあることを示しており、ここではAlは、骨格Oに配位されて、ブレンステッド酸性度を生じさせるはずの電荷平衡化H
+を伴うと予想される。
【0048】
骨格Al部位を塩基としてのアクリジンで滴定することによって、層間剥離された材料DZ-2およびUCB-4の酸性Al部位を定量化し、これにより、外部表面に近いカップ内のAl骨格部位によって表される、外部酸部位含有量が得られる。道理は、(i)10員環のマイクロポアを通り抜けることができない水和Al錯体を溶液中に形成する、Al(NO3)3を用いたAl部位の挿入が、以前に観察されたように、外部骨格部位のみを合成するはずであること;そして(ii)立体的にかさ高い塩基のアクリジンが、内部部位にアクセスすることができないので、かさ高い基質の触媒転化に関連する、孤立した外部Al部位のみと反応することとなることである。アクリジン滴定実験に従えば、Al-DZ-2は、外部表面上に129μmol/gのAl部位を有するが、Al-UCB-4は、179μmol/gのAl部位を有する。
【0049】
Al-DZ-2およびAl-UCB-4内のAl部位が、ブレンステッドの性質またはルイスの性質のものであるかを判定するために、双方のサンプル内の酸部位に結合したピリジンのFTIR分光法を行った(
図9Aおよび
図9B)。ピリジンで処理したAl-DZ-2のFTIRスペクトル(
図9A)は、60℃にて真空下で処理した場合に、1444cm
-1にてバンドを示し、より高い温度にて処理すると、バンドが消えた(データは示さず)。これらのバンドは、ゼオライト内の酸性部位について通常見られる温度にてピリジンを保持することができない非常に弱いルイス酸部位に結合したピリジンに割り当てることができる。バンドは、1542cm
-1にて予想されるブレンステッド酸性度の存在を示さなかったため、この材料の弱い酸性度が確認された。対照的に、Al-UCB-4は、1542cm
-1にてFTIRバンドを示し(
図9B)、これは、1444cm
-1および1490cm
-1での2つのバンドに加えて、ブレンステッド酸部位に吸着したピリジンに割り当てることができる。前者は、ブレンステッドとルイスの酸性度の組合せに割り当てられ、後者は、ルイス酸性度に割り当てられる。Al-UCB-4に吸着されたピリジンは、(スペクトルを得た)200℃での真空処理下ですら保持され、これは、Al-DZ-2と比較して、著しく強い酸強度を示している。Al-UCB-4における1444cm
-1でのルイス酸バンドの強度は、1542cm
-1でのブレンステッド酸バンドの強度のほぼ2倍であり、これは、Al-UCB-4におけるAl部位の大部分がルイス酸部位であることを示している。また、部位数を定量化するために、熱重量分析によるピリジン滴定実験を150℃にて行った。Al-DZ-2は、150℃にて測定可能なピリジン取込みを示さず(表4)、そしてA1-UCB-4は、79μmolピリジン/サンプルgの少量の取込みを示し、そのうち51%しか、サンプルを250℃に加熱した後に保持されない。全体的に、これらのデータは、Al-DZ-2内ではブレンステッド部位の、そしてAl-UCB-4内では弱いブレンステッド酸部位の不在を示すが、ルイス酸部位が、Al-DZ-2およびAl-UCB-4の双方において、主要なタイプの酸部位として存在する。
【0050】
例4
トルエンアルキル化触媒
プロトタイプの試験反応としてプロピレンによるトルエンアルキル化を用いた、ブレンステッド酸触媒としてのAl-DZ-2およびAl-UCB-4の触媒活性、ならびに触媒実験の結果を、以下の表4に示す。触媒は双方とも、トルエンアルキル化について低い活性を示し、3つの考えられるシメン異性体について、類似のTOFおよびほぼ同じ選択性を示す。Al-DZ-2は、Al-UCB-4と比較して、Al部位ベースの活性が40%低いことが観察される。これは、Al-DZ-2内にブレンステッド酸部位が完全に存在しないことを示した、上述のピリジン吸着結果と一致する。229h
-1のTOFによって表される、523KにてAl-UCB-4について観察されたトルエンアルキル化活性の絶対レベルは、ゼオライト合成中にAlが直接組み込まれたAl-SSZ-70、およびその層間剥離変異体UCB-3について観測された約680h
-1の以前のTOFよりも、大幅に低い。これらのデータは全て、Al-UCB-4およびAl-DZ-2におけるブレンステッド酸性度の減弱(後者はより一層減弱している)を示しており、これは、強過ぎる酸性部位が不所望の副反応(例えばコークス化)を引き起こす状況において、潜在的に有利な場合がある。
【表4】
【0051】
結論
SSZ-70トポロジー層状ゼオライト前駆体について初めて、超音波処理および長鎖界面活性剤を必要としない層間剥離アプローチを用いて、層間剥離ゼオライトDZ-2およびDZ-3を、B-SSZ-70およびERB-1からそれぞれ合成する。物理化学的特性を、3次元のB-SSZ-70およびERB-1の物理化学的特性と、そしてDZ-2の場合には、その合成に界面活性剤の膨潤および超音波処理を必要とするB-SSZ-70の層間剥離変異体、UCB-4の物理化学的特性と比較することによって、層間剥離の成功を確認した。DZ-2およびDZ-3を、TiおよびAlのヘテロ原子によって、ルイス酸性度を導入するように官能化することができ、これは、材料Ti-DZ-2、Ti-DZ-3、およびAl-DZ-2によって実証された。UV-VISおよびAl-NMR分光法に従えば、全ての材料は、骨格部位としてヘテロ原子を含有する。Al-DZ-2およびAl-UCB-4のルイス酸特性を、アクリジン滴定によって、そして、プロピレンによるトルエンアルキル化についての触媒としての低い活性によって確認し、ここで、Al-UCB-4について観察されたAl部位ベースの僅かに高い活性は、少量のブレンステッド酸性度に起因していた。Ti-DZ-2およびTi-DZ-3のルイス酸性度は、EBHPによる1-オクテンエポキシ化を触媒する能力によって実証された。DZ-2骨格およびDZ-3骨格、ならびにそれらの触媒活性骨格部位の安定性は、長期的フロー触媒作用によって実証され、これは、関連するテールエンド条件下で、Ti-UCB-4に匹敵する速度を示した。SSZ-70トポロジーゼオライトについて、層間剥離ゼオライト触媒は、過酷なテールエンド条件下で、Ti-SSZ-70と比較して、有機酸化剤としてのEBHPによる1-オクテンのエポキシ化において、Ti部位あたりのより高い活性を示すが、同じ反応および条件について、MWWベースのゼオライトTi-DZ-3、および非層間剥離Ti-ERB-1は、Ti部位あたりの活性が同じである。非層間剥離対応物と比較した、全ての層間剥離ゼオライトの類似の選択性は、グラフト化されたTi部位を取り囲む無傷の結晶骨格と一致する。後者は、29Si MAS NMRおよび29Si CP/MAS NMR分光法により、DZ-2について特徴付けられた。
【0052】
本明細書で参照される全ての特許および刊行物は、本開示と矛盾しない範囲で、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。上述の実施形態の上述の構造、機能、および操作のいくつかは、本発明を実施するのに必須ではなく、単に例示的な実施形態の完全性のための説明に含まれるだけであることが理解されよう。さらに、上記の参照される特許および刊行物に記載されている特定の構造、機能、および操作は、本発明と併せて実施することができるが、その実施に必須ではないことが理解されよう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の本質および範囲から実際に逸脱することなく、具体的に説明される以外の方法で実施されてもよいことが理解されるべきである。
本発明に包含され得る諸態様は、以下のとおり要約される。
[態様1]
ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体を層間剥離する方法であって、前記ゼオライト前駆体を、亜鉛源およびフッ化物源を含有する溶液中で接触させることを含み、前記ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体は、B-SSZ-70である、方法。
[態様2]
前記フッ化物源は、フッ化アンモニウムを含む、上記態様1に記載の方法。
[態様3]
前記フッ化物源は、フッ化テトラブチルアンモニウムを含む、上記態様1に記載の方法。
[態様4]
前記亜鉛源は、硝酸亜鉛を含む、上記態様1に記載の方法。
[態様5]
前記層間剥離は、100~170℃の範囲内の温度にて行われる、上記態様1に記載の方法。
[態様6]
前記温度は、125~145℃の範囲内である、上記態様5に記載の方法。
[態様7]
上記態様1に記載の方法から生じる層間剥離ゼオライト。
[態様8]
有機供給物を、上記態様7に記載のゼオライトを含む触媒と接触させることを含む、ルイス酸触媒反応方法。
[態様9]
前記反応は、オレフィンエポキシ化である、上記態様8に記載の触媒反応方法。
[態様10]
炭化水素供給物を、上記態様7に記載のゼオライトを含む触媒と接触させることを含み、前記触媒はさらに、Ti、Sn、V、La、Zr、Hf、Nb、もしくはTa原子、またはそれらの混合物の群から選択される金属を含む、反応方法。
[態様11]
ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体を層間剥離する方法であって、前記ゼオライト前駆体を、亜鉛源およびフッ化物源を含有する溶液中で接触させることを含み、前記ホウケイ酸塩層状ゼオライト前駆体は、B-ERB-1である、方法。
[態様12]
前記フッ化物源は、フッ化アンモニウムを含む、上記態様11に記載の方法。
[態様13]
前記フッ化物源は、フッ化テトラブチルアンモニウムを含む、上記態様11に記載の方法。
[態様14]
前記亜鉛源は、硝酸亜鉛を含む、上記態様11に記載の方法。
[態様15]
前記層間剥離は、125~145℃の範囲内の温度にて行われる、上記態様11に記載の方法。
[態様16]
上記態様11に記載の方法から生じる層間剥離ゼオライト。
[態様17]
炭化水素供給物を、上記態様16に記載のゼオライトを含む触媒と接触させることを含み、前記触媒はさらに、Ti、Sn、V、La、Zr、Hf、Nb、もしくはTa原子、またはそれらの混合物の群から選択される金属を含む、反応方法。