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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】磁気装着フランジ
(51)【国際特許分類】
   F03D 80/00 20160101AFI20230421BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20230421BHJP
   B29C 70/46 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
F03D80/00
F03D1/06
B29C70/46
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020550848
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 US2018045804
(87)【国際公開番号】W WO2019182635
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/646,194
(32)【優先日】2018-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520005303
【氏名又は名称】ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハナン,ジム
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,アンドリュー
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-010926(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02783840(EP,A1)
【文献】米国特許第04836765(US,A)
【文献】中国実用新案第206383534(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/00
F03D 1/06
B29C 70/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前縁及び後縁を有し、風力タービン翼を形成するための型であって、
内部に開口部を有するフランジ部分を含む第1の型表面と、
内部に形成された開口部を有するフランジ部分を含む第2の型表面と、
互いの間に角度を画定する横方向に延在する部分と上方に延在する部分とを有する、取り外し可能なフランジと、
前記第1の型表面の前記開口部内に配設される第1の磁石と、
前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分の開口部内に配設される第2の磁石と、
前記第2の型表面の横方向に延在する部分の前記開口部内に配設される第3の磁石と、
を備え、
前記第1及び第2の型表面が、開位置から閉位置への、型間の相対運動のために構成され、
前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分は、内部に形成された前記開口部を有し、前記第1の型表面の前記フランジ部分の上側に隣接して配設され、前記第1の型表面のフランジ部分より小さい距離だけ延在し、前記横方向に延在する部分と前記上方に延在する部分の間の前記角度の頂点が前記前縁に配設されており、
前記取り外し可能なフランジの前記上方に延在する部分は、第1の端部と第2の端部とを有し、前記第1の端部が前記前縁に配設され、前記第2の端部が前記前縁から離間して配設されており、
前記第1のフランジ部分の前記開口部が、前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分の前記開口部の下方に整列される、型。
【請求項2】
前記第1及び第2の磁石が、レアアース磁石である、請求項1に記載の型。
【請求項3】
前記第1の磁石が、前記第1のフランジ部分の幅の少なくとも半分よりも大きい幅を有する、請求項1に記載の型。
【請求項4】
前記第2の磁石が、前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分の幅の少なくとも半分よりも大きい幅を有する、請求項1に記載の型。
【請求項5】
少なくとも一つの磁石が、およそ3mmの厚さを有する、請求項1に記載の型。
【請求項6】
前記第1のフランジの前記開口部の深さが、前記第1のフランジの厚さよりも小さい距離だけ延在する、請求項1に記載の型。
【請求項7】
前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分の前記開口部の深さが、前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分の厚さよりも小さい距離だけ延在する、請求項1に記載の型。
【請求項8】
前記第1の磁石の上表面が、前記第1のフランジ部分の上表面と同一面内である、請求項1に記載の型。
【請求項9】
前記第2の磁石の上表面が、前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分の上表面と同一面内である、請求項1に記載の型。
【請求項10】
前記型が閉位置にあるとき、複合材料の少なくとも一つの薄板が、前記第1のフランジと前記取り外し可能なフランジの前記横方向に延在する部分との間に配設される、請求項1に記載の型。
【請求項11】
前記第1のフランジ部分及び前記第2のフランジ部分が、等しい幅を有する、請求項1に記載の型。
【請求項12】
請求項1に記載の型を用いて、風力タービン翼を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法の下、2018年3月21日出願の米国仮出願第62/646,194号の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示された主題は、成形複合材料を造型するためのシステムに関する。特に、ここに開示される主題は、例えば、風力タービン翼などの型、並びに、これに対応する、炭素及び/又はガラス繊維を含む複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
風力タービン翼を形成及び成形するための様々な方法及びシステムが知られている。従来の型及び技術の例は、以下の刊行物に提供され、それらの各々は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第9,463,583号明細書、同第8,108,982号明細書、同第8,899,546号明細書、同第4,105,184号明細書、同第5,260,014号明細書、同第5,358,211号明細書、同第5,437,547号明細書、同第6,264,877号明細書、同第6,040,362号明細書、同第8,202,458号明細書、同第8,337,192号明細書、同第8,877,116号明細書、並びに、米国特許出願公開第2006/0027314号明細書、同第2006/0249872号明細書、同第2007/0102837号明細書、同第2011/0221093号明細書、同第2013/0113141号明細書、同第2014/0333009号明細書、同第2014/0345789号明細書、同第2016/0158970号明細書、同第2016/0185092号明細書、及び、同第2016/0193752号明細書。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような従来の方法及びシステムは、一般的に、それらの意図した目的を満たすと考えられてきた。しかしながら、近年、圧力下での樹脂材料の望ましくない漏出を許すねじ結合を必要としないフランジ部分を含むことができる型が必要とされている。
【0005】
ここに開示された主題は、複合材料、例えば風力タービン翼、のフランジを形成する型のために新規で革新的なソリューションを提供し、この取り外し可能なフランジ部分は、型の主フランジへの結合を促進するために磁石を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示された主題の目的及び利点は、以下の説明に明記され、またこれから明らかであるものとし、並びに、開示された主題の実践によって学習されるものとする。開示された主題の追加の利点は、本明細書及びその特許請求の範囲において特に指摘される方法及びシステムによって、並びに添付の図面から、実現及び達成されるものとする。
【0007】
これらの利点及び他の利点を達成するため、並びに開示された主題の目的によると、具現化され広く説明される際、開示された主題は、風力タービン翼を形成するための型であって、内部に開口部を有するフランジ部分を含む第1及び第2の型表面を備え、第1及び第2の型表面が、開位置から閉位置への、型間の相対運動のために構成され、閉位置にあるとき、第1のフランジ部分の開口部が、第2のフランジ部分の開口部と整列される。型は、第1の型表面の開口部内に配設される第1の磁石と、第2の型表面の開口部内に配設される第2の磁石とを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の磁石は、レアアース磁石であり、第1の磁石は、第1のフランジ部分の幅の少なくとも半分よりも大きい幅を有し、第2の磁石は、第2のフランジ部分の幅の少なくとも半分よりも大きい幅を有し、及び/又は、少なくとも一つの磁石は、およそ3mmの厚さを有する。
【0009】
いくつかの実施形態において、第1のフランジ表面内の開口部の深さは、第1のフランジ表面の厚さよりも小さい距離だけ延在し、第2のフランジ表面内の開口部の深さは、第2のフランジ表面の厚さよりも小さい距離だけ延在する。追加的に、第1の磁石の上表面は、第1のフランジ部分の上表面と同一面内に配置され得、第2の磁石の上表面は、第2のフランジ部分の上表面と同一面内に配置され得る。
【0010】
型表面のうちの少なくとも一つは、第1のフランジ部分及び第2のフランジ部分が等しい幅を有した状態で、取り外し可能であり得、複合材料の少なくとも一つの薄板(lamina)は、第1のフランジ表面と第2のフランジ表面との間に配設される。
【0011】
別の態様によると、本開示は、風力タービン翼を形成する方法であって、少なくとも一つの磁石材料が配設される内部に開口部を有するフランジ部分を含む第1及び第2の型表面を供給するステップと、第1の型表面及び第2の型表面のうちの少なくとも一方を動かして、第1のフランジ部分の開口部を第2のフランジ内の開口部と整列させるステップと、第1のフランジ部分を第2のフランジ部分に磁気的に結合するステップと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1のフランジ表面と前記第2のフランジ表面との間に複合材料の少なくとも一つの薄板を供給するステップをさらに含む。
【0013】
追加的に、磁石結合は、レアアース磁石によってもたらされ得、磁石の上表面がフランジ部分の表面と同一面内にある状態で、第1の磁石は、第1の型表面の開口部内に配設され、第2の磁石は、第2の型表面の開口部内に配設される。本方法は、第1のフランジ又は前記第2のフランジのうちの少なくとも一方を取り外すステップをさらに含み得る。
【0014】
先述の一般的説明及び以下の詳細な説明は両方とも例示的であり、特許請求される開示された主題のさらなる説明を提供することを意図するということを理解されたい。
【0015】
本明細書に組み込まれ、本明細書の部分を構成する添付の図面は、開示された主題の方法及びシステムのさらなる理解を例証及び提供するために含まれる。説明と共に、図面は、開示された主題の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本明細書に説明される主題の様々な態様、特徴、及び実施形態の詳細な説明は、以下に簡単に説明される添付の図面を参照して提供される。図面は、例証的であり、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、いくつかの構成要素及び特徴は、明白性のために強調されている。図面は、本主題の様々な態様及び特徴を例証するものであり、本主題の一つ以上の実施形態又は例を全体的又は部分的に例証し得る。
【0017】
図1】風力タービン翼のフランジを形成するための従来の型の概略断面図。
図2】開示された主題に従う、フランジ部分内に磁石を有する型の概略図。
図3】開示された主題に従う、磁石が中に埋め込まれているフランジの図。
図4】開示された主題に従う、取り外し可能なフランジを有する型の概略断面図。
図5】開示された主題に従う、取り外し可能なフランジを有する型の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
これより、開示された主題の例示的な実施形態について詳細に言及し、その例が、添付の図面に例証される。開示された主題の方法及び対応するステップは、システムの詳細な説明と合わせて説明される。
【0019】
本明細書に提示される方法及びシステムは、成形複合材料を造型するために使用され得る。開示された主題は、炭素及び/又はガラス繊維を含む複合材料、例えば、風力タービン翼、を製造するのに特に好適である。
【0020】
複合材料を製造するために用いられる型は、複合材料を成形するための様々な輪郭を含み、所望の幾何形状を確保し、特に複合材料に含まれる母材(matrix formers)を硬化するために、複合材料を同時に処理する。例えば、繊維材料は、繊維複合体を構築する領域において型に追加され、続いて、例えば、真空注入プロセスにおいて、樹脂を含浸され、熱暴露を通じて硬化される。含浸を伴う製造ステップはまた、予め含浸された材料(プリプレグ)を使用することによって促進され得る。
【0021】
本開示によると、翼は、二つの部分を有する型の使用により形成され、二つのうちの第1の部分は、第2の部分の上に位置付けられるように設計される。第1の型部分は、クラムシェル形式で旋回/回転されて第2の部分と係合状態になり得るか、又は代替的に、操作手段、例えば、支持ストラップ付のクレーンにより、下降されて係合状態になり得る。
【0022】
二つの型部分を結合する前、この二つの型部分は、プラスチック材料の繊維又は糸の混合物、及び補強糸又は繊維、好ましくは繊維ガラスからできた糸を有する可撓性布地の一つ以上の層が、各型部分の内側に設置され得るように、内壁が露出している(すなわち、上方に向く)開いた位置にある。そのような布地は、ポリプロピレン繊維又は糸及びガラス繊維又は糸の混合物からできた糸によって構成され得、撚った糸のシートの形態及び/又は多層形態にあり得る。
【0023】
本開示の態様によると、本明細書に開示されるシステムは、真空補助樹脂トランスファ成形中に用いられ得る。そのようなプロセスにおいて、液状高分子、又は樹脂は、繊維材料が以前に沈着されている型穴内に充填される。第2の型部は、型穴を規定するために、第1の型部との密閉を形成するような位置にされる。次に、真空力が、液状高分子樹脂を繊維材料内へ、及びそれ全体にわたって引き込むために、型穴内に印加される。
【0024】
図1は、複合構造体の型の例示的な実施形態を描写し、参照文字1000によって全体的に表される。同様の参照番号(先頭の数字によって差別化される)は、機能的に対応することを示すために本明細書に提示される様々な図に提供され得るが、必ずしも同一の構造ではない。
【0025】
図1に示されるように、システム1000は、一般的に、示されるように、各々が概してL字状のフランジを形成する相補的な部分110、210を伴う上方の型半体100及び下方の型半体200を有する風力タービン翼のフランジを形成するための型を含む。示される例示的な実施形態において、フランジ部分110、210は、水平ベース部分110、210から垂直方向に概して垂直に延在する部分100、200と一体的に形成される。制限ではなく例証の目的のため、例示的な実施形態は、幅およそ4インチの等しいサイズの(すなわち、アスペクト比=1)フランジ部分100、110を有するフランジを含む。他の実施形態において、フランジ110、210は、第1のサイズ(例えば、4インチ)で形成され得る一方、垂直部分100、200は、より大きいサイズ(例えば、6インチ)を有する。現在の開示は、任意の特定の寸法に限定されないこと、及びフランジの幾何形状は、任意の所望の翼構成を受け入れるために所望の通りに調節され得ることを理解されたい。
【0026】
フランジは、二つのフランジの互いに対する場所を見当合わせする位置指示機序を含み得る。図1に示される実施形態において、位置決めピン214は、下方の型フランジ210内に含まれ、これが上方の型のフランジ110によって受容され得る。挿入部112、212は、位置決めピン214を収容及び受容するための上方及び下方フランジ110、210に含まれ得る。図1に示される実施形態において、位置決めピン214は、下方の型フランジ210において構成されるが、位置決めピン214が、上方の型フランジ110内にも位置し得ることを理解されたい。二つの型半体が閉構成にされるとき、位置決めピン214が作動されて、ハウジング挿入部112によって形成されるスロット内へ上方に突出し得る。位置決めピン214が上方フランジ110の孔内に位置付けられると、型半体間の相対運動は制限され得る。
【0027】
位置決めピン214は、手動で、又はプログラムされた作動により、動作され得る。例えば、位置決めピン214は、電磁弁に類似した様式で動作され得、電流が挿入部212に印加されて、磁場を誘起し、これにより、ピン214を上方の型の挿入部112内へ上方に強制的に延在又は展開させる。
【0028】
本開示の態様によると、繊維ガラス300の層は、上方及び下方の型半体の間に位置付けられ得、示されるように、フランジ110、210の間に挟まれるように横方向に外向きに延在し得る。いくつかの実施形態において、繊維ガラス層300は、作動又は延在位置にあるとき、位置決めピン214の上に延在する。そのような実施形態において、繊維ガラス層300は、挿入部112の孔内にくさび止めされ得る。他の実施形態において、繊維ガラス層300は、場所が位置決めピン214の位置に対応する孔と共に構成され得る。作動の際、位置決めピンは、繊維ガラス層300を通って上へ突出する。さらに他の実施形態において、繊維ガラス層は、位置決めピン214によって、ピンの作動の際に貫通される連続したシートであり得る。
【0029】
本明細書に開示される例示的な位置決めピン214など、型半体の間の機械的な位置指示手段の使用は、型半体を適切に見当合わせし、相対的な横の動きを防ぐ一方、そのような機械的構造体の使用は、型構成要素間に空隙及び裂け目を生み出し得る。これらの空隙は、製作中に樹脂の望ましくない流れをもたらし得、これにより、造型された生成品の完全性を損ない、過剰なクリーンアップを必要とし得る。
【0030】
したがって、本開示の別の態様によると、位置指示手段は、型構成要素間の磁気接合として構成され得る。図2図3に示される例示的な実施形態において、磁石1140は、上方の型のフランジ1100内に含まれ、磁気的に伝導性の素子2140は、下方の型のフランジ2100内に位置付けられる。追加的又は代替的に、磁気的に伝導性の素子2140は、磁石として構成され得る。いくつかの実施形態において、磁石1140、2140は、フランジ内の開口部内に配設される、又は、埋め込まれるレアアース磁石として構成され得る。他の実施形態において、磁力は、所望の通りに磁力を循環させるためにオン/オフにされ得る電磁石として提供され得る。例示的な目的のみで、開示されたシステム及び方法での使用に好適ないくつかの代表的なレアアース磁石は、およそ50~150lbsの磁力を呈する。いくつかの実施形態において、磁気結合は、手動の引張力の印加によって、克服又は切断され得る。
【0031】
磁石は、フランジの所望の長さに沿って延在する単一の素子として構成され得るか、又は、予め定められたレイアウトに従って離間される複数の別個の磁石を含み得る。例えば、磁石の密度/周波数は、所望される場合には、翼の根元部の近位で増大し得る。いくつかの実施形態において、磁石は、フランジ長に沿って均一に離間される。図2に示される例示的な実施形態において、磁石1140、2140は、フランジ1100、2100の幅の少なくとも半分よりも大きい幅「W」を有する。追加的に、磁石は、およそ3mmの厚さを有する。いくつかの実施形態において、フランジ1100、2100内の開口部は、第1のフランジ表面の厚さよりも小さい距離だけ延在するフランジ内の深さを有する凹所(完全な孔ではなく)として形成される。いくつかの実施形態において、外表面(すなわち、磁石2140の上表面、磁石1140の下表面)は、それぞれのフランジ部分2100、1100の表面と同一表面内である。
【0032】
したがって、フランジの磁気装着又は結合は、裂け目又は空隙が実質的にない型の連続した表面を提供する。この均一かつ連続した構造体は、樹脂が露出される表面積を最小限にし、機械的な結合機序と関連付けられる裂け目/空隙内への樹脂の望ましくない漏出又はクリープを防止する。さらには、磁気結合されたフランジの実質的に平面の表面は、機械的に結合されたフランジによく見られる、フランジ間の複合材料300の層の損傷(例えば、引裂、貫通)の可能性を低減する。
【0033】
従って、本明細書に開示される磁気結合されたフランジシステムは、繊維強化された高分子材料を備える風力タービン翼を製造する方法であって、a)風力タービン翼の外表面の少なくとも一部を規定する輪郭を有する第1の成形面を有する第1の型部を供給することと、b)第1の型部内に繊維材料を配置することと、c)型のフランジを磁気結合することと、d)樹脂及び繊維材料が成形面に対して保持されるよう型内に樹脂を導入することと、e)風力タービン翼を形成するために樹脂を硬化することと、を含む、方法を提供する。
【0034】
動作中、型は、下方の型100と上方の型200との間の相対運動を付与することによって開閉され得る。言い換えると、下方の型100が固定されて、上方の型200が取り外し可能であり得るか、又は、下方の型100が取り外し可能であり得る一方で、上方の型200が固定されたままである。追加的に、又は代替的に、下方の型100及び上方の型200の両方は、同時に動かされ得る。さらに、フランジ1100、2100は、等しい幅及び長さを有するように構成され得る。
【0035】
いくつかの実施形態において、上方の型のフランジ110、又はその少なくとも部分は、下方の型のフランジ210と直接接触状態にされる。そのような構成は、型半体間の密閉接合を向上させることができ、それにより、樹脂漏出を抑制又は防止し、サイクル時間を低減する。
【0036】
本開示の別の態様によると、磁石フランジは、風力タービン翼の上部(すなわち、吸い込み側)及び下部(すなわち、加圧側)を形成する主型に取り外し可能に装着され得る。図4に示されるように、下方の型半体(例えば、翼の加圧側)は、翼の肌を形成する型表面500を有して提供される(翼の吸い込み側を形成するための相補的な第2の型半体も提供され、この第2の型半体は、下方の型の上で閉じられ、その後に繊維レイアップセグメントにわたって樹脂が引き込まれる)。図5に示されるように、各型半体は、型の常置部である主フランジ(例えば、530)を含む。図4の拡大箇所にさらに詳細に示されるように、下方の型は、取り外し可能なフランジ540と協力して動作するように構成される実質的に平面のフランジ530を有する。取り外し可能なフランジ540(及び/又は主フランジ530)は、上に説明されるように、埋め込み型磁石を含む。磁石は、型を閉じる際に二つの磁石特徴部が整列されるように、主フランジ530内の磁気的に伝導性の材料を対応させた状態で、取り外し可能なフランジの横方向に延在する部分542内に組み込まれ得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、主フランジ530は、図4に示されるように、取り外し可能なフランジ540の概して横方向に延在する部分542よりも大きい距離だけ延在し得る。追加的に、上方に延在する部分544は、示されるように、横部分542に対して、90°以外の角度、例えば、およそ105°で形成され得る。そのような実施形態において、フランジ部分544は、タービン翼の接合フランジの形成を促進し、タービン翼は他方の翼半体上には相補的なフランジが形成され、これら二つの形成されたフランジは、最終接合及び翼組立体を提供するために、二つの型半体を閉じる際に係合状態にされる。
【0038】
動作中、取り外し可能なフランジ540が、主フランジ530と係合状態にされると同時に、複合材料構造体が、所望の繊維(例えば、ガラス、炭素など)及び樹脂により型内に形成される。一旦形成されると、取り外し可能なフランジ540は、形成されたフランジが妨げられることなく、他方の型半体に形成される相補的なフランジとの係合のために構成された状態のまま、取り外される。
【0039】
いくつかの実施形態において、取り外し可能なフランジは、造型部が型内に閉じ込められるようにする幾何形状を形成する。したがって、フランジは、型からその部分を取り除くために取り外されなければならない。取り外しのため、オペレータは、位置決めピンのフランジ540を手動で取り出すことができる。そのような実施形態において、磁石の力は、造型中にフランジを適所に保持するのに十分に強いが、オペレータがこの磁力を手で克服するのに十分に弱くなければならない。追加的又は代替的に、いくつかの場合において、くさびが、最初にフランジ540を、下にある主フランジ530から切り離すために使用され得る。
【0040】
本開示によると、複数の取り外し可能なフランジが、最終的に翼組立体を形成するために互いに接合される相補的なフランジを形成するため、上方の(翼の吸い込み側の)型及び下方の(翼の加圧側の)型の両方に組み込まれ得る。
【0041】
本開示は、両方の手動樹脂供給、樹脂トランスファ成形(RTM)、真空補助樹脂トランスファ成形(VARTM)、並びに、非中空及び中空の型の製造に適用可能である。
【0042】
制限ではなく例証の目的のため、本開示は、風力タービン翼の構成要素を製造するための本明細書内のシステム及び方法の動作を描写するが、本開示は、他の大型な複合構造体にも等しく適用可能であるということを理解されたい。
【0043】
開示された主題は、特定の好ましい実施形態に関して本明細書では説明されるが、当業者は、様々な修正及び改善が、開示された主題に対してその範囲から逸脱することなく行われ得るということを理解するものとする。さらには、開示された主題の一つの実施形態の個々の特徴は、本明細書内で論じられ得る、又は一つの実施形態の図面において示され得、他の実施形態においては示されないが、一つの実施形態の個々の特徴が、別の実施形態の一つ以上の特徴又は複数の実施形態からの特徴と組み合わされ得るということが明らかである。
【0044】
以下に特許請求される特定の実施形態に加えて、開示された主題は、以下に特許請求される従属的な特徴及び上に開示されるものの任意の他の潜在的な組み合わせを有する他の実施形態も対象とする。そのようなものとして、従属請求項に提示され、上に開示される特定の特徴は、開示された主題の範囲内の他の様式で互いと組み合わされ得、その結果として、開示された主題は、任意の他の潜在的な組み合わせを有する他の実施形態を特に対象とするものとして認識されるべきである。したがって、開示された主題の特定の実施形態の先述の説明は、例証及び説明の目的で提示されている。徹底的であること、又は開示された主題をそれらの開示された実施形態に制限することは意図されない。
【0045】
様々な修正及び変動が、開示された主題の趣旨又は範囲から逸脱することなく、開示された主題の方法及びシステムにおいて行われ得るということは当業者にとっては明白であるものとする。したがって、開示された主題は、添付の特許請求項及びそれらの均等物の範囲内である修正及び変動を含むことが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5