(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ポリカーボネート組成物、それから製造される成形品、およびその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 69/00 20060101AFI20230421BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230421BHJP
C08K 3/017 20180101ALI20230421BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20230421BHJP
C08K 5/101 20060101ALI20230421BHJP
C08K 5/49 20060101ALI20230421BHJP
C08L 25/12 20060101ALI20230421BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
C08L69/00
C08K3/013
C08K3/017
C08K3/34
C08K5/101
C08K5/49
C08L25/12
C08L27/12
(21)【出願番号】P 2020555177
(86)(22)【出願日】2018-04-09
(86)【国際出願番号】 CN2018082306
(87)【国際公開番号】W WO2019195979
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-04-07
(73)【特許権者】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ショウチュン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、チェンユ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオシャン
【審査官】谷合 正光
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-164105(JP,A)
【文献】特開2011-236288(JP,A)
【文献】特開2010-144129(JP,A)
【文献】特開2003-183490(JP,A)
【文献】国際公開第2014/034012(WO,A1)
【文献】特開平07-126510(JP,A)
【文献】特開平07-228764(JP,A)
【文献】特開2008-088041(JP,A)
【文献】特開2004-323565(JP,A)
【文献】特表2018-505292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 69/00
C08K 3/013
C08K 3/017
C08K 3/34
C08K 5/101
C08K 5/49
C08L 25/12
C08L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネート組成物であって、
(A)ポリカーボネートと;
(B)成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して0~15重量%の量のアクリロニトリル-スチレン共重合体と;
(C)成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して19~33重量%の量の無機フィラーと、ここで、成分(A)~(D)の合計量100重量%に対してタルクが13~33重量%の量で含まれ;
(D)成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して2.5重量%超7.5重量%未満の量で存在する有機リン化合物系難燃剤と;
(E)フッ素含有滴下防止剤と;
(F)UV吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、染料、顔料、及びIR吸収剤からなる群より選択される少なくとも一種の更なる成分と;
のみからなり、
前記タルクが、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T.法で測定して、4~15m
2/gの比表面積を有し、かつ前記タルクが、レーザー回折法で測定して、3~18μmのメディアン粒子径D
50を有するポリカーボネート組成物。
【請求項2】
前記成分(B)が、前記成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して0.1~15重量%の量で存在する、請求項1に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項3】
前記タルク以外の1つまたは複数の無機フィラーが、前記ポリカーボネート組成物中に8重量%以下の量で存在する、請求項1
又は2に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項4】
前記成分(A)が、前記成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して50~77重量%の量で存在し、前記成分(E)が、前記成分(A)~(D)の合計量100重量部に対して0.02~2重量部の量で存在する、請求項1
又は2に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項5】
前記ポリカーボネート組成物が、UV安定剤、酸化防止剤もしくは熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、顔料および染料、IR吸収剤ならびに衝撃調整剤からなる群より選択される1つまたは複数である追加成分を、前記ポリカーボネート組成物の合計重量に対して最大で5重量%さらに含んでなる、請求項1
又は2に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項6】
少なくとも離型剤が追加成分として含まれ、前記離型剤が脂肪酸エステルであり、前記脂肪酸エステルを構成する脂肪酸が、飽和脂肪族C
10-C
24モノカルボン酸および任意選択でヒドロキシルモノカルボン酸である、請求項
5に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項7】
前記脂肪酸が、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、およびヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される、請求項
6に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項8】
前記無機フィラー(C)が、前記成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して20~33重量%の量で含まれ、前記成分(D)が、前記成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して3.25~7重量%の量で含まれる、請求項1
又は2に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項9】
タルクが、前記成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して少なくとも17重量%の量で含まれる、請求項
8に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項10】
前記フッ素含有滴下防止剤が、前記成分(A)~(D)の合計量100重量部に対して0.2~1重量部の量で含まれる、請求項
9に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項11】
前記タルクが、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T.法で測定して、8~14m
2/gの比表面積を有する、請求項1
、2または
8に記載のポリカーボネート組成物。
【請求項12】
請求項1~1
1のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物から形成される成形品。
【請求項13】
電気、電子および情報技術用途に有用な部品のシャシーおよびフレームの製造における、請求項1~
10のいずれか1項に記載のポリカーボネート組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカーボネート組成物、ポリカーボネート組成物から製造される成形品、ならびに電気、電子および情報技術用途に有用な部品のシャシーまたはフレームの製造におけるポリカーボネート組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シャシーまたはフレームなどの電気、電子および情報技術用途における成形品は、良好な流動性、高い剛性、良好な難燃性および耐熱性を必要とする。製造コストを下げつつ、より良い製品特性を得ることを目的として、シャシーまたはフレーム用の樹脂組成物に使用するためのさまざまな解決策が提案されてきた。例えば、良好な流動性、高い剛性、良好な難燃性および耐熱性を兼ね備える樹脂組成物を提供することが、先行技術において常に追求される目標である。一方、製品金型のコストを確実に下げることが望まれる。
【0003】
米国特許出願公開第2004/0178383A1号には、(1)芳香族ポリカーボネート、(2)アクリロニトリル-スチレン共重合体、(3)無機フィラーとしての、特定の粒子径を有する、雲母、ならびにタルクおよび/または珪灰石、(4)難燃剤としての有機リン化合物、ならびに(5)滴下防止剤としてのフッ素含有化合物を含んでなる樹脂組成物が開示されている。
【0004】
現在でも、良好な流動性、高い剛性、良好な難燃性、耐熱性および低い硬度を兼ね備えたポリカーボネート組成物を開発することが望まれている。好ましくは、剪断粘度(ISO11443:2014-04に従って、260℃、1000s-1で測定)が340Pa・s以下であり、曲げ弾性率(試験試料のサイズ:長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm、ISO178:2010に従って、2mm/分で測定)が6000MPa以上、より好ましくは6200以上であり、HDT(試験試料のサイズ:長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm、ISO75-2:2013に従って、1.8MPaの荷重下で測定)が105以上であり、1.5mmでV1、より好ましくはV0 UL94に合格する。さらにより好ましくは、それに加えて、上記組成物から作られる物品のロックウェル硬度が69以下である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様によれば、ポリカーボネート組成物であって、
(A)ポリカーボネートと;
(B)成分(A)~(D)の合計重量に対して0~15重量%の量のアクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)と;
(C)成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して19~33重量%、好ましくは20~31重量%、より好ましくは22~30重量%の量の無機フィラーと、ここで、成分(A)~(D)の合計量100重量%に対してタルクが13~33重量%、好ましくは15~33重量%、より好ましくは17~33重量%の量で含まれ;
(D)成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して2.5重量%超7.5重量%未満、好ましくは3.0~7.2重量%、より好ましくは3.25~7重量%、特に好ましくは3.5~6.5重量%、最も好ましくは4~6重量%の量で存在する有機リン化合物系難燃剤と;
(E)フッ素含有滴下防止剤と;
を含んでなり、
上記タルクが、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T.法で測定して、4~18m2/g、好ましくは8~15m2/g、より好ましくは10~14m2/gの比表面積を有し、かつ上記タルクが、レーザー回折法で測定して、3~18μm、好ましくは3.1~10μm、より好ましくは3.2~8μmのメディアン粒子径D50を有する
ポリカーボネート組成物が提供される。
【0006】
さらに本発明は、上記ポリカーボネート組成物から製造される成形品を提供する。
【0007】
さらに本発明は、プリンターや複写機などの、電気、電子および情報技術用途に有用な部品のシャシーまたはフレームの製造における上記ポリカーボネート組成物の使用を提供する。
【0008】
所定の比表面積、粒子径および硬度を有するタルク、ならびに特定の成分を使用してポリカーボネート組成物を調製することによって、本発明は、比較的低い硬度を有し、それによって金型の摩耗を減らし、また良好な流動性、高い剛性、優れた難燃性および耐熱性を有する組成物を製造することを可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明での意味のポリカーボネート組成物とは、原料を混合することによって得られる混合物を意味し、好ましくは溶融、押出および造粒された固体顆粒である。組成物の剛性、難燃性、耐熱性および硬度は、溶融、押出および造粒された固体顆粒の射出成形後に決定される。流動性は、高温かつ特定の剪断速度での剪断粘度を測定することによって決定される。簡単にするために、これらの物理的特性を、本発明の組成物の特性と単に言う。それぞれの特性が言及されるどこにでも適用可能な決定方法は、実施例の項に記載されている。
【0010】
別段の指定がない限り、本発明における操作はすべて、常温および常圧で行われる。
【0011】
別段の指定がない限り、本発明における組成物または混合物の全ての含有率は重量比であり、組成物中の成分(A)~(D)の含有率の合計は100重量%である。他の含有比は、重量部(pbw)であり、(A)~(D)の組成物に加えられる追加成分に用いられる。追加成分のpwbは、成分(A)~(D)に対して述べられる。
【0012】
本発明のポリカーボネート組成物は、
(A)ポリカーボネートと;
(B)成分(A)~(D)の合計重量に対して0~15重量%の量のアクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂)と、
(C)成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して19~33重量%、好ましくは20~31重量%、より好ましくは22~30重量%の量の無機フィラーと、ここで、成分(A)~(D)の合計量100重量%に対してタルクが13~33重量%、好ましくは15~33重量%、より好ましくは17~33重量%の量で含まれ;
(D)成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して2.5重量%超7.5重量%未満、好ましくは3.0~7.2重量%、より好ましくは3.25~7重量%、特に好ましくは3.5~6.5重量%、最も好ましくは4~6重量%の量で存在する有機リン化合物系難燃剤と;
(E)フッ素含有滴下防止剤と;
を含んでなり、
上記タルクが、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T法で測定して、4~18m2/g、好ましくは8~15m2/g、より好ましくは10~14m2/gの比表面積を有し、かつ上記タルクが、レーザー回折法で測定して、3~18μm、好ましくは3.1~10μm、より好ましくは3.2~8μmのメディアン粒子径D50を有する。
【0013】
成分Cの含有量が19重量%未満であると、曲げ弾性率が6000Pa・s未満となり、その結果、得られるポリカーボネート組成物の剛性は上記要件を満たさない。成分Cの含有量が高すぎる(33重量%超)と、燃焼試験(UL94、1.5mm)に合格することが困難になるであろう。
【0014】
本明細書で使用される場合、ポリカーボネート組成物は、出発材料を混合することによって得られる混合物を指し、好ましくは、溶融、押出および造粒後に得られる固体顆粒の形態である。
【0015】
本発明の一実施形態では、タルク以外の無機フィラーが、ポリカーボネート組成物中に8重量%以下の量、好ましくは5重量%以下の量で存在する。本発明の特に好ましい実施形態では、ポリカーボネート組成物は、タルク以外の無機フィラーを含まない。「タルク以外の無機フィラーを含まないポリカーボネート組成物」という表現は、雲母や珪灰石などの無機フィラーとして使用できる、タルク以外の材料が、本発明の組成物中にいかなる形でも存在しないことを意味する。
【0016】
本発明の芳香族ポリカーボネート組成物から作られた物品は、ISO2039-2:1987に従って、60~69、好ましくは61~68.5、より好ましくは62~68のロックウェル硬度(HRMスケール)を有する。
【0017】
好ましくは、ポリカーボネート組成物中の各成分の含有量は、以下の通りである。
成分(A)の含有量は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して50~77重量%、より好ましくは53~75重量%、よりさらに好ましくは55~65重量%であり、
成分(B)の含有量は、成分(A)~(D)の合計重量に対して0~15重量%、より好ましくは3~13重量%、よりさらに好ましくは6~12重量%であり、
成分(C)の含有量は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して19~33重量%、より好ましくは20~31重量%、よりさらに好ましくは22~30重量%であり、
成分(D)の含有量は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して2.5重量%超7.5重量%未満、好ましくは3.0~7.2重量%、より好ましくは3.25~7重量%、特に好ましくは3.5~6.5重量%、最も好ましくは4~6重量%であり、かつ
成分(E)の含有量は、成分(A)~(D)の合計量100重量部に対して0.02~2重量部、より好ましくは0.1~1.5重量部、さらにより好ましくは0.2~1重量部、最も好ましくは0.3~0.5重量部である。
【0018】
本発明の特に好ましい実施形態では、ポリカーボネート組成物中の各成分の含有量は以下の通りである。
成分(A)の含有量は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して55~65重量%であり、
成分(B)の含有量は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して6~12重量%であり、
成分(C)の含有量は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して22~30重量%であり、
成分(D)の含有量は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して4~6重量%であり、かつ
成分(E)の含有量は、成分(A)~(D)の合計量100重量部に対して0.2~1重量部である。
【0019】
本発明をさらに説明するために、本発明における成分を以下により詳細に記載する。
【0020】
成分(A) ポリカーボネート
本発明におけるポリカーボネートは、ビスフェノールA系ポリカーボネート標準品、希釈剤としてジクロロメタンを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した、20,000~32,000g/mol、好ましくは23,000~28,000g/mol、より好ましくは24,000~26,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0021】
好ましくは、ポリカーボネートは線状熱可塑性芳香族ポリカーボネートである。
【0022】
より好ましくは、線状熱可塑性芳香族ポリカーボネートは、20,000~32,000g/mol、好ましくは23,000~28,000g/mol、より好ましくは24,000~26,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0023】
好ましい実施形態では、ポリカーボネートは、既知の方法で、ジヒドロキシアリール化合物、炭酸誘導体および必要に応じて連鎖停止剤から製造される。
【0024】
ポリカーボネートの調製に適したジヒドロキシアリール化合物は、式(2)のものである。
HO-Z-OH (2)
式(2)中、Zは、6~30個の炭素原子を有する、1つまたは複数の芳香環を含んでいてもよい芳香族基であり、置換されていてもよく、脂肪族基もしくは脂環式基もしくはアルキルアリールまたは架橋構成要素としてヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0025】
好ましくは、式(2)中のZは、式(3)の基である。
【0026】
【0027】
式(3)中、
R6およびR7は、それぞれ独立して、H、C1~C18-アルキル、C1~C18-アルコキシ、ClやBrなどのハロゲン、または各々の場合に任意選択で置換されるアリールもしくはアラルキルであり、好ましくはHまたはC1~C12-アルキルであり、より好ましくはHまたはC1~C8-アルキルであり、最も好ましくはHまたはメチルであり、
Xは、単結合、-SO2-、-CO-、-O-、-S-、C1~C6-アルキレン、C2~C5-アルキリデン、またはC1~C6-アルキルにより、好ましくはメチルもしくはエチルにより置換されていてもよいC5~C6-シクロアルキリデン、あるいは任意選択で更なるヘテロ原子を含む芳香環に縮合していてもよいC6~C12-アリーレンである。
【0028】
好ましくは、Xは、単結合、C1~C5-アルキレン、C2~C5-アルキリデン、C5~C6-シクロアルキリデン、-O-、-SO-、-CO-、-S-、-SO2-、または式(3a)の基である。
【0029】
【0030】
ジヒドロキシアリール化合物(ジフェノール)の例は、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)アリール、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、1,1’-ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、ならびにそれらの環アルキル化および環ハロゲン化化合物である。
【0031】
本発明において使用されるポリカーボネートおよびコポリカーボネートの調製に適したジフェノールの例としては、ヒドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、α,α’-ビス(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン、ならびにそれらのアルキル化、環アルキル化および環ハロゲン化化合物が挙げられる。コポリカーボネートは、Siコポリカーボネートと呼ばれるものが得られるように、Si含有テレケリックを用いて調製することもできる。
【0032】
好ましいジフェノールは、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルプロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルブタン、1,3-ビス[2-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼンおよび1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、およびビスフェノール(I)~(III)である。
【0033】
【0034】
式(I)~(III)中、R’は各々の場合において、C1~C4-アルキル基、アラルキル基またはアリール基であり、好ましくはメチル基またはフェニル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0035】
特に好ましいジフェノールは、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンならびに1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、ならびに式(I)、(II)および/または(III)のジフェノールである。
【0036】
これらのジフェノールおよび更に適したジフェノールは、例えば、米国特許出願公開第2999835A号、同第3148172A号、同第2991273A号、同第3271367A号、同第4982014A号および同第2999846A号、独国公開明細書第1570703A号、同第2063050A号、同第2036052A号、同第2211956A号、および同第3832396A号、仏国特許明細書第1561518A1号、研究論文「H.Schnell,Chemistry and Physics of Polycarbonates,Interscience Publishers,New York 1964,p.28 ff.;p.102 ff.」、ならびに「D.G.Legrand,J.T.Bendler,Handbook of Polycarbonate Science and Technology,Marcel Dekker New York 2000,p.72ff.」に記載されている。
【0037】
ホモポリカーボネートの場合には、ジフェノールは1種類のみ使用され、コポリカーボネートの場合には、2種以上のジフェノールが使用される。
【0038】
特に好ましいポリカーボネートは、ビスフェノールAをベースとするホモポリカーボネート、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンをベースとするホモポリカーボネート、ならびに2つのモノマー、ビスフェノールAと1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンとをベースとする、または2つのモノマー、ビスフェノールAと4,4’-ジヒドロキシジフェニルとをベースとするコポリカーボネート、ならびにとりわけビスフェノールAを伴う式(I)、(II)および/または(III)のジフェノールに由来するホモまたはコポリカーボネートである。
【0039】
【0040】
式(I)~(III)中、R’は各々の場合において、C1~C4-アルキル、アラルキルまたはアリールであり、好ましくはメチルまたはフェニルであり、最も好ましくはメチルである。
【0041】
ホモポリカーボネートの場合には、ジヒドロキシアリール化合物は1種類のみ使用される。使用されるジヒドロキシアリール化合物ならびに合成に加えられる他のすべての助剤および化学物質は、それら自身の合成、加工および保存からの不純物で汚染されうる。しかしながら、極めて純粋な原料で操作することが望ましい。
【0042】
分子量を調節するのに必要な単官能性の連鎖停止剤としては、フェノール類またはアルキルフェノール類、特にフェノール、p-tert-ブチルフェノール、イソオクチルフェノール、クミルフェノール、それらのクロロカーボネート、またはモノカルボン酸のアシルクロリド、および/またはこれらの連鎖停止剤の混合物が有用である。
【0043】
本発明に使用されるポリカーボネートを製造する好ましい手段は、既知の界面法および既知の溶融エステル交換法(例えば、国際公開第2004/063249A1号、国際公開第2001/05866A1号、国際公開第2000/105867号、米国特許出願公開第5,340,905A号、米国特許出願公開第5,097,002A号、米国特許出願公開第5,717,057A号を参照)である。第1の場合において、酸誘導体は、好ましくはホスゲン、および任意選択でジカルボン酸ジクロリドであり、ポリカーボネートの製造に用いられる触媒、溶媒、後処理、反応条件などは広く記載されており、周知である。ポリカーボネートは、既知の方法で後処理でき、例えば、押出または射出成形法によって任意の所望のタイプの成形品に加工することができる。
【0044】
ポリカーボネートは、既知の方法によって調製することができ、または例えばCovestro製のマクロロン(登録商標)2408として市販されている。
【0045】
本発明では、成分(A)は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して50~77重量%、好ましくは53~75重量%、より好ましくは55~65重量%の量で存在する。
【0046】
成分(B) アクリロニトリル-スチレン共重合体
本発明では、アクリロニトリル-スチレン共重合体を、一般にAS樹脂と言う。アクリロニトリルの割合は、アクリロニトリル-スチレン共重合体全体100重量%に対して5~50重量%、好ましくは15~35重量%であり、スチレンの割合は、95~50重量%、好ましくは85~65重量%である。アクリロニトリル-スチレン共重合体は、バルク重合、溶液重合、懸濁重合および乳化重合からなる群より選択される任意の方法によって、好ましくはバルク重合または懸濁重合によって調製することができる。さらに、共重合法は、一段階共重合または多段階共重合であることができる。アクリロニトリル-スチレン共重合体は、成分(B)の標準ポリスチレンに換算してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定して、40,000~200,000g/mol、好ましくは50,000~160,000g/mol、より好ましくは70,000~150,000g/molの重量平均分子量を有する。
【0047】
アクリロニトリル-スチレン共重合体は、既知の方法によって調製することができ、または例えばINEOS Styrolution GmbH製のラストラン(登録商標)SAN DN50として市販されている。
【0048】
本発明では、成分(B)は、成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して0~15重量%、好ましくは0.1~15重量%、より好ましくは3~13重量%、さらにより好ましくは6~12重量%の量で存在する。
【0049】
成分(C) 無機フィラー
成分(C)は、無機フィラーであり、成分(A)~(D)の合計量100重量%に対して19~33重量%、好ましくは20~31重量%、より好ましくは22~30重量%の量で存在し、ここで成分(A)~(D)の合計量100重量%に対してタルクが13~33重量%、好ましくは15~33重量%、より好ましくは17~33重量%の量で含まれる。
【0050】
本発明における成分(C)の1つとして使用されるタルクは、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T.法で測定して、4~18m2/g、好ましくは8~15m2/g、より好ましくは10~14m2/gの比表面積を有する。
【0051】
本発明におけるタルクは、レーザー回折法で測定して、3~18μm、好ましくは3.1~10μm、より好ましくは3.2~8μmのメディアン粒子径D50を有する。「メディアン粒子径D50」とは、試料の累積粒度分布百分率の50%に相当する粒子径を意味する。
【0052】
タルクは、DIN EN15771:2010-07:1に従うモース硬度が1である。
【0053】
「モース硬度」とは、共通の10種類の鉱物を基準として使用して、それらを互いに引っ掻いて、どの鉱物がより硬いか、またはより軟らかいかを決める硬度スケールを指す。モース硬度鉱物は次の10の等級に分類される。1)タルク、2)石こう、3)方解石、4)蛍石、5)燐灰石、6)正長石、7)石英、8)トパーズ、9)コランダム、および10)ダイヤモンド。
【0054】
モース硬度計で測定した相対硬度を数1~10で表す。例えば、鉱物試料が方解石を引っ掻くことができるが、蛍石を引っ掻くことができない場合、そのモース硬度は3~4である。試料のモース硬度の値または範囲は、実際の測定に応じて、それぞれ、ある硬度等級に等しい、それよりも大きい、またはそれよりも小さいと表すことができる。
【0055】
好ましくは、ポリカーボネート組成物中のタルク以外の更なる無機フィラーは、8重量%以下、好ましくは5重量%以下の量で存在する。
【0056】
より好ましくは、ポリカーボネート組成物は、タルク以外の更なる無機フィラーを含まない。
【0057】
成分(C)の含有量は、所望の物理的特性を得るために、上記の特定の範囲内でなければならない。
【0058】
驚くべきことに、本発明で提供される、比表面積をもつタルクと他の成分の組合せが、流動性、剛性、難燃性および耐熱性に大きく影響することが本発明者らによって見出された。言い換えれば、流動性、剛性、難燃性および耐熱性の間の良好なバランスを本発明によって達成することができる。
【0059】
本発明は、タルクの比表面積が16m2/gを超えると、ポリカーボネート組成物が燃焼試験(UL94、1.5mm)に不合格になることを示す。
【0060】
成分(D) 有機リン化合物系難燃剤
本発明では、有機リン化合物系難燃剤は、好ましくは、モノおよびオリゴ型のホスフェートおよびホスホネートならびにホスホネートアミンからなる群、またはこれらの1つまたは複数の混合物から選択される。他のハロゲンを含まないリン化合物は、単独で、または他のハロゲンを含まないリン化合物との任意の所望の組合せで使用することもできる。
【0061】
好ましいモノおよびオリゴ型のホスフェートまたはホスホネートは、一般式(I)のリン化合物である。
【0062】
【0063】
式(I)中、R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、個々に任意選択でハロゲン化されたC1~C8アルキル、または、個々に任意選択でアルキル、好ましくはC1~C4アルキルおよび/またはハロゲン、好ましくは塩素または臭素で置換された、C5~C6シクロアルキル、C6~C20アリール、もしくはC7~C12アラルキルである。
【0064】
好ましくは、R1、R2、R3およびR4は、互いに独立して、C1~C4アルキル、フェニル、ナフチルまたはフェニル-C1~C4アルキルである。芳香族基R1、R2、R3およびR4は、ハロゲン基および/またはアルキルによって、好ましくは塩素、臭素および/またはC1~C4アルキルによって置換されている置換基を有することができる。特に好ましい芳香族部分は、トリル、フェニル、キシリル、プロピルフェニルおよびブチルフェニルならびにそれらの対応する臭素化および塩素化誘導体である。
【0065】
最も好ましくは、式(Va)によるビスフェノールA系オリゴマーホスフェートが成分Dとして使用される。
【0066】
【0067】
式(Va)中、Nは1.0~3.0、好ましくは1.05~2.0、より好ましくは1.05~1.6、さらにより好ましくは1.0~1.2であり、特にNは1.1である。
【0068】
成分Dによるリン化合物は、公知であり(例えば欧州特許出願公開第0363608A1号、欧州特許出願公開第0640655A2号を参照)、または既知の方法に従って類似的に調製することができる(例えば、Ullmanns Enzyklopaedie der technischen Chemie[Ullmannの工業化学百科事典],vol.18,p.301 ff.1979;Houben-Weyl,Methoden der organischen Chemie[有機化学の作法],vol.12/1,p.43;Beilstein vol.6,p.177)。
【0069】
また、本発明における成分Dとして、異なる化学構造を有する、および/または同じ化学構造と異なる分子量とを有するホスフェートの混合物を用いることも可能である。
【0070】
N値が平均N値である、同じ構造を有し、かつ異なる鎖長を有する混合物を使用することが好ましい。平均N値は、アセトニトリルと水との混合物(50:50)中の40℃における高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用してリン化合物の組成(分子量分布)を決定することによってNの平均値を計算することによって求められる。
【0071】
また、難燃剤として、国際公開第2000/00541A1号および国際公開第2001/18105A1号に記載のホスホネートアミンを使用することも可能である。
【0072】
成分(D)の難燃剤は、単独で、または互いに任意の所望の混合物で、または他の難燃剤との混合物で使用することができる。
【0073】
本発明では、成分(D)は、(A)~(D)の合計量100重量%に対して2.5重量%超7.5重量%未満、好ましくは3.0~7.2重量%、より好ましくは3.25~7重量%、特に好ましくは3.5~6.5重量%、最も好ましい4~6重量%の量で存在する。
【0074】
流動性、難燃性および耐熱性の良好なバランスは、特定量の有機リン化合物系難燃剤と本発明における他の成分との組合せを使用することによって達成することができる。
【0075】
成分(D)の含有量が2.5重量%以下の場合、UL94(1.5mm)試験に不合格となる。成分Dの含有量が高すぎる(7.5重量%以上)場合、熱変形温度(HDT)が低すぎて(104℃以下)、実用に適し得ないことになる。
【0076】
成分(E) フッ素含有滴下防止剤
本発明の組成物は、成分(E)としてフッ素含有滴下防止剤を、成分(A)~(D)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.02~2重量部、より好ましくは0.1~1.5重量部、よりさらに好ましくは0.2~1重量部の量で含む。
【0077】
フッ素含有滴下防止剤の存在により造形品の物理的特性を損なうことなく、良好な難燃性を得ることができる。本発明におけるフッ素含有滴下防止剤は、繊維形成能をもつフッ素含有ポリマーである。ポリマーの例は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系コポリマー(例えばテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体など)、米国特許出願公開第4,379,910A号に開示の部分的にフッ素化されたポリマー、フッ素化されたビフェノールから作られたポリカーボネート樹脂などである。それらのなかでも、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと言う)が好ましい。
【0078】
本発明の組成物は、UV吸収剤、酸化防止剤または熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、染料および顔料、IR吸収剤ならびに衝撃調整剤からなる群の1つまたは複数から選択される更なる成分を、A)~D)の合計重量に対して、好ましくは最大で5pbw、より好ましくは0.01~3pbw、さらに含むことができる。
【0079】
好適な酸化防止剤または熱安定剤の例は、アルキル化モノフェノール、アルキルチオメチルフェノール、ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン、トコフェロール、水酸化チオジフェニルエーテル、アルキリデンビスフェノール、O-、N-およびS-ベンジル化合物、ヒドロキシベンジル化マロン酸エステル、芳香族ヒドロキシベンジル化合物、トリアジン化合物、アシルアミノフェノール、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸のエステル、β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のエステル、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸のエステル、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、好適なチオ相乗剤(thiosynergist)、二次酸化防止剤、ホスファイト、ホスホナイト、ベンゾフラノンならびにインドリノンである。
【0080】
好ましくは、有機ホスファイト、例えばトリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンまたは2,4,6-トリ-tert-ブチルフェニル-2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジイルホスファイト、ホスホネートおよび水素化リン化合物であり、最も好ましくは、有機部分が完全にまたはある程度、任意選択で置換された芳香族部分からなるものである。
【0081】
非常に特に好適な添加剤は、イルガノックス1076(登録商標)およびトリフェニルホスフィン(TPP)である。
【0082】
ベンゾトリアゾール由来の好適なUV吸収剤の例は、チヌビン(登録商標)171(2-[2-ヒドロキシ-3-ドデシル-5-メチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール(CAS番号125304-04-3))、チヌビン(登録商標)234(2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(1,1-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール(CAS番号70321-86-7))、チヌビン(登録商標)328(2-2[ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(CAS番号25973-55-1))である。
【0083】
N,N’-ジフェニルオキサラミド由来の好適なUV吸収剤の例は、サンズボル(登録商標)3206(N-(2-エトキシフェニル)オキサラミド(CAS番号:82493-14-9))およびClariant製のN-(2-エトキシフェニル)-N’-(4-ドデシルフェニル)オキサミド(CAS番号79102-63-9)である。
【0084】
ヒドロキシルベンゾフェノン由来の好適なUV吸収剤の例は、キマソーブ(登録商標)81(BASF SE製2-ベンゾイル-5-オクチルオキシフェノール(CAS番号1843-05-6))、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン(CAS番号131-56-6)、2-ヒドロキシ-4-(n-オクチルオキシ)ベンゾフェノン(CAS番号1843-05-6)、および2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン(CAS番号2985-59-3)である。
【0085】
トリアジン由来の好適なUV吸収剤の例は、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシル)オキシ]フェニル-4,6-ジ(4-フェニル)フェニル-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル-4,6-ジ(4-フェニル)フェニル-1,3,5-トリアジン、チヌビン(登録商標)405(BASF SE)としても知られる2-[2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン(CAS番号137658-79-8)、チヌビン(登録商標)1577(BASF SE)として入手可能な2,4-ジフェニル-6-[2-ヒドロキシ-4-(ヘキシルオキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジン(CAS番号147315-50-2)である。化合物2-[2-ヒドロキシ-4-(2-エチルヘキシル)オキシ]フェニル-4,6-ビス(4-フェニル)フェニル-1,3,5-トリアジンはCAS番号204848-45-3を有し、BASF SEからチヌビン(登録商標)479として入手可能である。化合物2-[2-ヒドロキシ-4-[(オクチルオキシカルボニル)エチリデンオキシ]フェニル-4,6-ビス(4-フェニル)フェニル-1,3,5-トリアジル(triazile)はCAS番号204583-39-1を有し、BASF SEからCGX-UVA006またはチヌビン(登録商標)1600として入手可能である。
【0086】
使用可能な染料または顔料の例は、有機もしくは無機顔料または有機染料などである。好ましい実施形態では、カーボンブラックは着色剤成分として使用される。
【0087】
本発明の組成物は、高級脂肪酸の一価または多価アルコールエステルを離型剤として含むことができる。結果として、良好な寸法安定性をもつ造形品が提供される。
【0088】
本発明における離型剤を構成するのに適したアルコールとしては、一価から六価のアルコールのエステルまたは部分エステル、特にグリセロール、ペンタエリスリトールまたはゲルベットアルコールである。
【0089】
一価アルコールの例は、ステアリルアルコール、パルミチルアルコールおよびゲルベットアルコールであり、グリコールの例はエチレングリコールであり、三価アルコールの例はグリセロールであり、四価アルコールの例はペンタエリスリトールおよびメソエリスリトールであり、五価アルコールの例はアラビトール、リビトールおよびキシリトールであり、六価アルコールの例は、マンニトール、ソルビトール(ソルボール)およびガラクチトールである。
【0090】
本発明における脂肪酸エステルは、好ましくはモノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、ペンタエステルおよびヘキサエステルまたはそれらの混合物、特にランダム混合物である。本発明における脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、飽和脂肪族C10~C24モノカルボン酸および任意選択でヒドロキシモノカルボン酸であり、好ましくは飽和脂肪族C10~C20モノカルボン酸および任意選択でヒドロキシモノカルボン酸、より好ましくは飽和脂肪族C14~C18モノカルボン酸および任意選択でヒドロキシモノカルボン酸である。
【0091】
市販の脂肪酸エステル、特にペンタエリスリトールおよびグリセロールの脂肪酸エステルは、製造プロセスによって生成するさまざまな部分エステルを60重量%未満含みうる。
【0092】
好ましい実施形態では、脂肪酸は、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびヒドロキシステアリン酸からなる群より選択される。
【0093】
単独でまたは上記のものに加えて使用できる他の離型剤の例としては、以下を列挙することができる:オレフィン系ワックス、シリコーン油、フルオロカーボン油、オルガノポリシロキサン、パラフィンおよび蜜蝋、ならびに無水マレイン酸変性エチレンプロピレンコポリマー。
【0094】
本発明の難燃性樹脂組成物は、衝撃調整剤として、成分(A)~(D)の合計量に対して5重量部未満の少量のゴム状ポリマーを含むことができる。
【0095】
より具体的なゴム状ポリマーとしては、以下を列挙することができる:SB(スチレン-ブタジエン)ポリマー、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)ポリマー、MBS(メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン)ポリマー、MABS(メタクリル酸メチル-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)ポリマー、MB(メタクリル酸メチル-ブタジエン)ポリマー、ASA(アクリロニトリル-スチレン-アクリルゴム)ポリマー、AES(アクリロニトリル-エチレンプロピレンゴム-スチレン)ポリマー、MA(メタクリル酸メチル-アクリルゴム)ポリマー、MAS(メタクリル酸メチル-アクリルゴム-スチレンポリマー)、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブタジエンゴム共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル-ブタジエンゴム-スチレン共重合体、メタクリル酸メチル(アクリルシロキサン相互侵入網目構造(IPN)ゴム)ポリマーなど。これらのポリマーのなかでも、上記モノマーのみからなるポリマー鎖がいずれかのゴム成分のみからなるポリマーのコアに結合したコアシェル型グラフト共重合体が好ましい。
【0096】
さらに、本発明におけるゴム状ポリマーは、他の成分に含まれる形態であることもできる。前記形態のゴム状ポリマーの例として、例えばABS共重合体はABS樹脂に含まれる。
【0097】
本発明のポリカーボネート組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、例えば、スクリューを備えた押出機(例えば二軸押出機)、ニーダーまたはバンバリーミキサーなどの従来の装置において上記成分を混合し、均質化し、次いで押出すことによって調製することができる。二軸押出機で溶融および押出されることが好ましい。また、個々の成分を予め混合し、次いで残りの原料を個々におよび/または混合物の形態で添加することも可能である。
【0098】
本発明のポリカーボネート組成物は、以下の物理的特性を有する。
(i)良好な流動性:ISO11443:2014に従って、1000s-1の剪断速度で260℃にて、340Pa・s以下、好ましくは300Pa・s以下、より好ましくは200~300Pa・sの剪断粘度
(ii)高い剛性:ISO178:2010に従って、2mm/分で、6000MPa以上、好ましくは6200MPa以上、より好ましくは6200MPa~8500MPaの曲げ弾性率
(iii)高い耐熱性:ISO75-2:2013に従って、1.8MPaで、105℃以上、好ましくは108℃以上、より好ましくは108~115℃の熱変形温度(HDT)
(iv)優れた難燃性:UL94:2015に従う、1.5mmにおけるUL94燃焼試験におけるV0またはV1に合格
(v)低い硬度:本発明における芳香族ポリカーボネートは、ISO2039-2:1987に従うロックウェル硬度(HRMスケール)が60~69、好ましくは61~68.5、より好ましくは62~68である。
【0099】
成形品は、好ましくは、射出成形、熱成形、押出、積層、成形、成形同時加飾、インモールドコーティングおよび急速熱サイクル成形によって製造される。
【0100】
本発明のポリカーボネート組成物は、電気および電子分野で使用するためのさまざまな物品、好ましくは電気、電子および情報技術用途(特にプリンターまたは複写機)の部品のためのシャシーまたはフレームとして使用することができる。
【0101】
ポリカーボネート組成物を含んでなる物品は、例えば、携帯電話、ラップトップ、アダプター、充電器、ソケット、スイッチなどのためのプラスチック物品でもある。
【0102】
本発明の物品の製造方法は、1つまたは複数の次の工程:成形、押出、造形など、を含む。
【実施例】
【0103】
以下の実施例を参照して、本発明をさらに明示する。以下の実施例は、本発明を限定するものと解釈されることなく、本発明をさらに説明するためにのみ使用される。
【0104】
別段の指定がない限り、本発明における全ての百分率割合は重量%である。別段の指定がない限り、上記の重量平均分子量(MW)は、線状のビスフェノールA系ポリカーボネート標準品、希釈剤としてジクロロメタンを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定する。
【0105】
原料の供給元および特徴
成分A
PC:芳香族ポリカーボネート樹脂(約24,000g/molの重量平均分子量を有し、ビスフェノールAおよびホスゲンから従来の方法によって製造された芳香族ポリカーボネート樹脂ペレット、Covestro,Ltd.製マクロロン(登録商標)2408)。
【0106】
成分B
AS樹脂:アクリロニトリル-スチレン共重合体、上記ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量:100,000g/mol、アクリロニトリル含有量:24重量%、スチレン含有量:76重量%、INEOS Styrolution GmbH製のラストラン(登録商標)SAN DN50。
【0107】
成分C
タルク-1:タルク。HTPultra5C、IMI FABI S.p.A.から入手可能、レーザー回折法で測定したメディアン粒子径D50:3.2μm、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T法で測定した比表面積:13.5m2/g。
【0108】
タルク-2:タルク。HM4、IMI FABI S.p.A.から入手可能、レーザー回折法で測定したメディアン粒子径D50:18μm、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T法で測定した比表面積:4m2/g。
【0109】
タルク-3:タルク。HTPultra1C、IMIFabi SpAから入手可能、レーザー回折法で測定したメディアン粒子径D50:7μm、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T法で測定した比表面積:10m2/g。
【0110】
タルク-4:タルク。HVTultraC、IMIFabi SpAから入手可能、レーザー回折法で測定したメディアン粒子径D50:3.3μm、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T法で測定した比表面積:14m2/g。
【0111】
タルク-5:タルク。HVTextra、IMIFabi SpAから入手可能、レーザー回折法で測定したメディアン粒子径D50:15μm、DIN ISO9277:2014-01に従ってB.E.T法で測定した比表面積:20m2/g。
【0112】
雲母:レーザー回折法で測定したメディアン粒子径D50が約34μmの白雲母。白雲母粉末、Imerysから入手可能、DIN EN15771:2010-07によるモース硬度:2.5。
【0113】
成分D
FR-1:ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)、ADK Stab FP-700、中国、ADEKA(Shanghai)Co.、Ltd.から入手可能。
【0114】
成分E
PTFE:ポリテトラフルオロエチレン、POLYB FS-200、Han Nanotech Co.,Ltdから入手可能。
【0115】
追加成分
PETS:ペンタエリトリトールテトラステアラート(Faci L349、Shanghai Coke Import China)から入手可能。
【0116】
CB:カーボンブラック、Black Pearls(登録商標)800、Cabotから入手可能。
【0117】
本発明による実施例1~14および比較例1~9(表1~4を参照)
芳香族ポリカーボネート樹脂(成分A)、AS樹脂(成分B)、成分C、および有機リン化合物系難燃剤(成分D)を除く、表1~4に示した成分のうちの成分Eおよび追加成分を、高速ラボミキサー(LMX10-VS、Henschelから入手可能)で予め混合して、混合物を形成した。この混合物をスクリュー直径が26mmの二軸押出機(ZSK26(Coperionから入手可能))のドロップシュート(drop chute)に供給した。ドロップシュートは主押出機の入口となった。本発明による実施例1~14では、特定量の芳香族ポリカーボネート樹脂(成分A)およびAS樹脂(成分B)を、固体粒子供給システムを通してドロップシュートに供給した。特定量の成分Dを、60~80℃の範囲の温度に加熱し、次いで液体供給システムを通して主押出機に添加した。特定量の成分(C)を、固体粉末供給システムを通してサイド押出機に供給し、それを通して成分(C)を主押出機の中間位置に加えた。また、必要があれば、成分(C)の全部または一部を、固体粉末供給システムを通してドロップシュートに供給することも可能であり、ドロップシュートは主押出機への入口となった。材料を主押出機で約240~265℃の溶融温度で溶融および混合し、次いでペレット化した。得られたペレットを熱風循環式乾燥機(LUXOR50(Motanから入手可能))によって90℃で4時間乾燥した。評価用試験片は、射出成形機(Arburg370、Arburg GmbHから入手可能)を使用することによって、260℃の溶融温度および80℃の金型温度で作製した。評価は以下の方法または評価項目を用いて行った。
【0118】
試験方法
実施例による組成物を、以下の方法によって物理的特性について試験した。
(i)流動性:剪断粘度をISO11443:2014-04に従って剪断速度1000s-1で260℃にて測定した。
(ii)剛性:曲げ弾性率(試験試料サイズ:長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)をISO178:2010に従って2mm/分で測定した。
(iii)耐熱性:熱変形温度(HDT)(試験試料サイズ:長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)をISO75-2:2013に従って1.8MPaの荷重下で測定した。
(iv)難燃性:燃焼試験をUL94:2015に従って1.5mmで実施した。「UL94:2015に従って1.5mmで燃焼試験を実施」の実験方法は次の通りである。
特定の試験条件下で熱と炎に対する標準サイズ(長さ127mm×幅12.7mm)の試料ストリップの応答を試験することによって、材料の難燃性を判定した。使用機器はATLAS燃焼チャンバーHVUL2であった。難燃性等級の判定を下表に示す。
【0119】
【0120】
(v)ロックウェル硬度:ロックウェル硬度は、単位のない機械的特性の無次元指標である。熱可塑性樹脂(試験試料サイズ:長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)の硬度は、ISO2039-2:1987に従って、6.350mmの圧子直径で東洋精機モデルDRH-M機器を使用して98.07ニュートンの初期試験力と980.7ニュートンの全試験力でHRMスケールにて測定した。
(vi)モース硬度:共通の10種類の鉱物を基準として使用して、それらを互いに引っ掻いて、どの鉱物がより硬いか、またはより軟らかいかを決める硬度スケール。DIN EN15771:2010-07:1による決定。
モース硬度鉱物は、次の10の等級に分類される。1)タルク、2)石こう、3)方解石、4)蛍石、5)燐灰石、6)正長石、7)石英、8)トパーズ、9)コランダム、および10)ダイヤモンド。
【0121】
モース硬度計で測定した相対硬度を数1~10で表す。例えば、鉱物試料が方解石を引っ掻くことができるが、蛍石を引っ掻くことができない場合、そのモース硬度は3~4である。試料のモース硬度の値または範囲は、実際の測定に応じて、それぞれ、ある硬度等級に等しい、それよりも大きい、またはそれよりも小さいと表すことができる。
【0122】
【0123】
表1に示すように、成分D(FR-1)の含有量は、流動性、難燃性および耐熱性の良好なバランスを達成するために、本発明による実施例1~6に例示の特定の範囲、好ましくは3.25重量%~7重量%になければならない。比較例1のように成分Dの含有量が2.5重量%以下であると、その組成物は(1.5mmにおける)UL94試験に合格せず、比較例2のように成分Dの含有量が7.5重量%以上であると、熱変形温度(HDT)が低すぎ(104℃以下)、その結果、組成物は実用に適さないことになる。
【0124】
【0125】
表2に示すように、成分(C)(無機フィラー)の含有量は、所望の物理的特性を得るためには、19~33重量%という特定の範囲(本発明による実施例2および7~10を参照)になければならない。成分Cの含有量が19重量%未満である(例えば比較例3のように18重量%である)と、曲げ弾性率が6000Pa・s未満となり、その結果、得られるポリカーボネート組成物の剛性は上記要件を満たすことができないことになり、成分Cの含有量が多すぎる(すなわち33重量%を超える、例えば比較例4のように34重量%である)と、組成物が燃焼試験(1.5mmにおけるUL94)に合格することが困難になるであろう。
【0126】
【0127】
表3に示すように、タルクの比表面積は、流動性、剛性、難燃性および耐熱性に大きな影響を有する。流動性、剛性、難燃性および耐熱性の良好なバランスは、比表面積が4~18m2/gの範囲のタルクを使用することによって達成することができる(本発明による実施例2および11~13を参照)。しかしながら、タルクの比表面積が16m2/gを超える(例えば比較例5のように20m2/gである)と、ポリカーボネート組成物は燃焼試験(1.5mmにおけるUL94)に不合格となるであろう。
【0128】
【0129】
表4から、タルクの割合の減少と雲母の割合の増加が、組成物のロックウェル硬度に対して著しい影響を見せることが明らかである。
【0130】
表4に示すように、組成物のロックウェル硬度は、フィラー中の雲母含有量が増加するにつれて上がる。金型摩耗を低減するためには、得られた組成物が60~90、好ましくは61~68.5、より好ましくは62~68の範囲のロックウェル硬度を有することが必要である。雲母含有量が8重量%以下、好ましくは5重量%以下の場合のみ、得られた組成物のロックウェル硬度は上記要件を満たすことができる。15重量%の雲母とともに7重量%のタルクを使用することによって得られた、または22重量%の雲母のみを使用することによって得られた組成物のロックウェル硬度は上記要件を満たさない。22重量%のタルクを使用することによって得られた組成物のロックウェル硬度は上記要件を満たす。17重量%のタルクとともに5重量%の雲母を使用することによって得られた組成物のロックウェル硬度は上記要件を満たす。表4から明らかなのは、本発明において、上記要件を満たすロックウェル硬度をもつ組成物を得るためには、本発明の組成物中の雲母含有量は8%以下であるべきであり、好ましくは本発明の組成物中の雲母の含有量は5%以下であるべきであり、最も好ましくは、本発明の組成物はタルク以外のいかなる追加のフィラーを含まないことである。
【0131】
まとめると、得られた組成物は、より低い硬度を有し、その結果金型摩耗を低減でき、同時に、特定の比表面積、特定の粒子径および低い硬度を有するタルク、ならびに本発明の特定の組成物の使用に起因して、物理的特性(流動性、剛性、難燃性および耐熱性)は、2種類のフィラー(雲母およびタルク)を使用した比較例6と同等か、比較例6よりも良好でさえあった。すなわち、本発明は、組成物の良好な流動性、高い剛性、良好な難燃性および耐熱性ならびに低い硬度の総合的な最適化を達成した。さらに、本発明の組成物は、原料および製造のコストを大幅に削減する。