特許 7266624 冷蔵庫

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2023-04-20

(45)【発行日】2023-04-28

(54)【発明の名称】冷蔵庫

(51)【国際特許分類】

   F25D 25/00 20060101AFI20230421BHJP

【ＦＩ】

F25D25/00 E

【請求項の数】 7

(21)【出願番号】P 2021032362

(22)【出願日】2021-03-02

(62)【分割の表示】P 2019190395の分割

【原出願日】2015-07-21

(65)【公開番号】P2021099217

(43)【公開日】2021-07-01

【審査請求日】2021-03-02

(73)【特許権者】

【識別番号】503376518

【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110003395

【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】磯野 啓博

【審査官】嶋田 研司

(56)【参考文献】

【文献】特開２００１－２２７８６０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－０８３３６５（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２００７／０１２６３２５（ＵＳ，Ａ１）

【文献】特開２０００－１８００４２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０００－２９２０５４（ＪＰ，Ａ）

【文献】韓国公開特許第１０－２００４－００８２６９４（ＫＲ，Ａ）

【文献】特開平１０－００２６６３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１０－０７１４８６（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１４／０２５２９３８（ＵＳ，Ａ１）

【文献】特開２００５－０６９６０１（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ２５Ｄ １／００ ー ３１／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

断熱箱体内に設けられた貯蔵室と、
前記貯蔵室内に設けられた収納空間と、
前記収納空間の上面を区画する天井板と、
前記収納空間に前方へ引き出し可能に設けられた上面に開口する上容器と、
前記上容器の下方に重ねて配され前方へ引き出し可能に設けられた上面に開口する下容器と、
前記上容器を前記収納空間に収納したときに前記上容器と前記天井板との間に形成される領域を閉塞し、前記上容器を引き出す動作に伴って前記領域を開放する蓋と、
を備え、
前記蓋は前記天井板の前端より後方に配置されたヒンジ軸によって回動支持され、
前記蓋の前面が前記天井板の前端を前方から覆っている冷蔵庫であって、
前記下容器の底面から下方に突出し前記貯蔵室の底面に設けられた前後方向に延びる溝内を移動する移動突部と、前記移動突部の下面から下方へ突出する複数の突起とを備え、
前記上容器の底面前端部に前記下容器と連通する流通孔が設けられている、冷蔵庫。

【請求項2】

前記下容器の底面後端部に前記収納空間と連通する排気孔が設けられている、請求項１に記載の冷蔵庫。

【請求項3】

前記下容器は、前記下容器の前面を区画する前面板が、前記下容器の底面と前記上容器の底面との間を閉塞する請求項１又は２に記載の冷蔵庫。

【請求項4】

前記上容器の前部に設けられた下方に開口する上手掛け部と、前記下容器の前部に設けられた上方に開口する下手掛け部とを備える請求項１～３のいずれか１項に記載の冷蔵庫。

【請求項5】

前記上容器及び前記下容器を前記収納空間に収納したときに、前記上手掛け部に設けられた開口と、前記下手掛け部に設けられた開口が上下に対向する請求項４に記載の冷蔵庫。

【請求項6】

前記上手掛け部の前面を区画する上手掛け板と、前記上手掛け板の下端から上方に向けて設けられた上切欠き部と、前記下手掛け部の前面を区画する下手掛け板と、前記下手掛け板の上端から下方に向けて設けられた下切欠き部とを備え、
正面視において前記上切欠き部と前記下切欠き部の幅方向両端が上下に重なる請求項４又は５に記載の冷蔵庫。

【請求項7】

前記上容器及び前記下容器を前記収納空間に収納したときに、前記上手掛け板の下端が、前記下手掛け板の上端より前方に位置する請求項６に記載の冷蔵庫。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明の実施形態は、冷蔵庫に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、冷蔵庫の冷蔵室には、肉や魚などの収納を行うためのチルド室が設けられ、このチルド室には容器が引き出し自在に配されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２００１－３３０３６１号公報

【文献】特開２００３－３２９３６２号公報

【文献】特開２００９－４７３８４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記のような引き出し式の容器において、容器を収納した状態から前方へ引き出す状態において、容器を安定して引き出すことが難しという問題点があった。

【0005】

そこで本発明の実施形態は上記問題点に鑑み、引き出し式の容器を安定して引き出すことができる冷蔵庫を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

断熱箱体内に設けられた貯蔵室と、前記貯蔵室内に設けられた収納空間と、前記収納空間の上面を区画する天井板と、前記収納空間に前方へ引き出し可能に設けられた上面に開口する上容器と、前記上容器の下方に重ねて配され前方へ引き出し可能に設けられた上面に開口する下容器と、前記上容器を前記収納空間に収納したときに前記上容器と前記天井板との間に形成される領域を閉塞し、前記上容器を引き出す動作に伴って前記領域を開放する蓋と、を備え、前記蓋は前記天井板の前端より後方に配置されたヒンジ軸によって回動支持され、前記蓋の前面が前記天井板の前端を前方から覆っている冷蔵庫であって、
前記下容器の底面から下方に突出し前記貯蔵室の底面に設けられた前後方向に延びる溝内を移動する移動突部と、前記移動突部の下面から下方へ突出する複数の突起とを備え、前記上容器の底面前端部に前記下容器と連通する流通孔が設けられている冷蔵庫である。

【図面の簡単な説明】

【0007】

【図1】本発明の一実施形態を示す冷蔵庫の正面図。

【図2】冷蔵庫の縦断面図。

【図3】チルド室の側方から見た縦断面図であって、上容器と下容器を収納した状態の図。

【図4】チルド室の側方から見た縦断面図であって、下容器を引き出した状態の図。

【図5】チルド室の正面図。

【図6】チルド室の正面から見た縦断面図。

【図7】下容器の底面図。

【図8】下容器の平面図。

【図9】移動突部と移動脚部と突起の拡大縦断面図。

【図10】上容器と下容器とを収納した状態の要部拡大縦断面図。

【図11】上容器を引き出した状態の要部拡大縦断面。

【図12】下容器を引き出した状態の要部拡大縦断面。

【図13】変更例の下容器の底面図。

【図14】変更例の下容器の一部拡大縦断面図。

【発明を実施するための形態】

【0008】

以下、一実施形態の冷蔵庫１０について図１～図１２に基づいて説明する。

【0009】

（１）冷蔵庫１０の構造
冷蔵庫１０の構造について図１と図２に基づいて説明する。図１は冷蔵庫１０の正面図、図２は冷蔵庫１０の側面から見た縦断面図である。

【0010】

冷蔵庫１０のキャビネット１２は断熱箱体であって、内箱と外箱とより形成され、その間に断熱材が充填されている。このキャビネット１２内は、上から順番に冷蔵室１４、野菜室１６、小型冷凍室１８及び冷凍室２０を有し、小型冷凍室１８の横には製氷室２１が設けられている。野菜室１６と小型冷凍室１８及び製氷室２２の間には水平な断熱仕切体３６が設けられている。冷蔵室１４と野菜室１６とは水平な仕切体３８によって仕切られている。冷蔵室１４の前面には、観音開き式の扉１４ａ，１４ｂが設けられ、野菜室１６、小型冷凍室１８、冷凍室２０及び製氷室２１にはそれぞれ引出し式の扉１６ａ，１８ａ，２０ａ，２１ａが設けられている。

【0011】

冷蔵室１４内には、複数の棚４０が水平に設けられ、下部にはチルド室４２が設けられている。このチルド室４２は低温室であって、上下二段の上容器６０と下容器６２に肉や魚を収納する。チルド室４２については、後から詳しく説明する。冷蔵室１４の扉１４ａの背面には複数のドアポケット４４が設けられている。野菜室１６には、引出し式の野菜容器４６、４８が設けられている。

【0012】

冷蔵室１４の背面下部から野菜室１６の背面において、冷蔵用蒸発器（以下、「Ｒエバ」という）２８が設けられ、その下方には冷蔵用送風機（以下、「Ｒファン」という）３０が設けられている。Ｒエバ２８とＲファン３０とは、エバカバー１５で囲まれた冷却室であるＲエバ室１７に配されている。また、Ｒエバ１７の前方であって、冷蔵室１４の仕切り板３８の後部からＲファン３０に向かって、チルド室４２からの冷気のリターンダクト１５が設けられている。

【0013】

小型冷凍室１８、製氷室２１の背面から冷凍室２０の背面にかけてのＦエバ室２９には、冷凍用蒸発器（以下、「Ｆエバ」という）３２が設けられ、その上方には冷凍用送風機（以下、「Ｆファン」という）３４が設けられている。Ｆエバ３２の下方には、不図示の除霜ヒータが設けられている。

【0014】

図２に示すようにＲエバ２８で冷却された冷気は、Ｒファン３０によって冷蔵室１４、チルド室４２及び野菜室１６に送風される。チルド室４２から排出された冷気は、リターンダクト１５内に流れ、Ｒファン３０によってＲエバ２８に循環する。Ｆエバ３２で冷却された冷気は、Ｆファン３４によって小型冷凍室１８、製氷室２１、冷凍室２０に送風される。

【0015】

キャビネット１２の背面底部には、機械室２２が設けられ、冷凍サイクル６２を構成する圧縮機２４などが載置されている。この機械室２２の背面上部には、制御板２６が設けられている。

【0016】

（２）仕切体３８の構造
図１と図２に示すように、仕切体３８は、キャビネット１２の内部に水平方向に差し込まれて固定されている。この仕切体３８の前端部は全幅に沿って上方に膨出し、膨出部３８１が形成されている。この膨出部３８１の前面は縦方向に真っ直ぐに形成され、前面の上端部から後方に水平に延び、さらに下方に傾斜しつつ延び、仕切板３８の水平な上面３８２に至る。

【0017】

膨出部３８１の前面裏側には、観音開き式の扉１４ａ，１４ｂのガスケットを吸着する
ための磁石３８５、野菜室１６の扉１６ａのガスケットを吸着するための磁石３８６が設けられている。また、膨出部３８１の内部には、ドアスイッチ、温度センサ、湿度センサが一体となったセンサ基板３８８が設けられ、また膨出部３８１の内部上方には、下容器６２を引き出したときに検出する容器センサ３８９が設けられている。

【0018】

仕切板３８の上面３８２の中央部よりやや右側は、図６に示すように凹み、リターン冷気が流れるための流通路３８３が形成されている。この流通路３８３は、膨出部３８１の後端部から仕切板３８の後端部まで連続して前後方向に設けられている。

【0019】

流通路３８３の左右両側には前後方向に延びた溝３８４，３８４が設けられている。この溝３８４の前端部は膨出部３８１の後端部に位置し、溝３８４の後端部は仕切板３８の後部に位置している。

【0020】

（３）チルド室４２の構造
チルド室４２の構造について図３～図９に基づいて説明する。図３に示すように、冷蔵室１４の仕切り体３８の上に設けられたチルド室４２は、冷蔵室１４の向かって右側に設けられ、左側にはタンク５０が配されている。タンク５０は、製氷室２１に設けられている製氷装置の製氷皿に水を供給するために着脱自在に配されている。

【0021】

チルド室４２は、図３と図５に示すように天井板５２と、タンク５０との境界に設けられた左板５４と、冷蔵室１４の右側面を構成している右板５６と、冷蔵室１４の背面を構成している背板５８と、冷蔵室１４の底面を構成している仕切体３８により囲まれ、チルド室４２内部には引き出し式の上容器６０と下容器６２が上下２段に配されている。また、天井板５２の前端部から上容器６０の前端部の間には、ヒンジ結合によって回動自在の蓋６４が吊り下げられている。

【0022】

チルド室４２の背板５８の上部には、図３と図６に示すように、Ｒエバ１７からチルド室４２に冷気を吹き出すための吹き出し口６６が複数開口している。一方、図３に示すように、チルド室４２の背板５８から底面の仕切り板３８にかけて複数の吸い込み口６３４が開口している。これら吸い込み口８０は、リターンダクト１５に通じている。

【0023】

上容器６０は、前面板６００、左右一対の側面板６０２、背面板６０３、底面板６０４から構成され、上面が開口している。前面板６００、左右一対の側面板６０２，６０２、背面板６０３は、合成樹脂製であり、底面板６０４が金属製である。また、前面板６００の後部には区画板６０１が設けられ、前面板６００と区画板６０１との間に上手掛け部６０５が形成されている。前面板６００から上手掛け部６０５の間は下部が開口し、上部が閉塞し、前面板６００の下端部中央には上切欠き部６０６が四角状に切り欠かれている。すなわち、上容器６０の前面板６００の後部に上手掛け部６０５を上から被さるように設けられ、前面板６００と上手掛け部６０５の間に手が挿入できる挿入空間６１５が形成される。また、区画板６０１の下部は段部６０８が形成されている。この段部６０８は、上手掛け部６０５の下方から指をより挿入しやすくするためである（図１１参照）。前面板６００の前面は階段状に形成され光散乱面６０７が形成されている。区画板６０１と底面板６０４の合わさっている角部には、図１０に示すように、複数のスリット状の上流通孔６０９が幅方向に所定間隔毎に開口している。上容器６０の左右一対の側面板６０２は、前部から中央部に行くほど上方に膨らむ膨らみ部６１４が形成されている。この膨らみ部６１４は、蓋６４を押し上げる。図３、図６に示すように、上容器６０の左右一対の側面板６０２，６０２の外側には前後方向に左右一対の突条のレール６１０，６１０がそれぞれ突出している。図６に示すように、左右一対のレール６１０，６１０に対応して、左板５４と右板５６にはレール受け６１２が前後方向にそれぞれ形成されている。

【0024】

下容器６２は、合成樹脂製であって、仕切体３８の上面３８２に引き出し自在に配され、前面板６２５、左右一対の側面板６２２，６２２、背面板６２３、底面板６２４より構成され、上面が開口している。図３と図４に示すように、下容器６２の前面板６２５は背面板６２３よりも長さが短く、前面板６２５の下端から底面板６２４の前端部にかけて凹部６２７が幅方向に形成されている。この凹部６２７の凹み形状は、膨出部３８１の膨出形状に対応している。前面板６２５の下端から水平に延びた中底面６２８が、凹部６２７の上端部と連続している。中底面６２８の後端部から幅方向に沿って区画板６２１が立設されている。前面板６２５の中央部上端部には四角形状に切り欠かれた下切欠き部６２６が形成されている。前面板６２５の下切欠き部６２６と、中底面６２８と、区画板６２１によって囲まれた空間が下手掛け部６３０を形成している。また、下手掛け部６３０の中底面６２８には、チューブ状の食品容器などを寝かして収納できる。

【0025】

下容器６２の左右一対の側面板６２２，６２２の後部から支持突部６２９，６２９が外方に突出している。チルド室４２の左板５４と右板５６には前後方向に延びたレール７８，７８が設けられている。左右一対のレール７８，７８は、左右一対の支持突部６２９，６２９よりやや上方に設けられ、レール７８の下面に沿って支持突部６２９が移動する。

【0026】

下容器６２の底面板６２４の左右両側部には、図３、図４、図７に示すように、前後方向に延びた移動突条６３２，６３２が形成されている。この移動突条６３２の後端部の下面からは移動突部６３４が突出している。左右一対の移動突部６３４は、仕切板３８に設けられた左右一対の溝３８４に挿入されて移動する。移動突条６３２の幅方向の寸法は、溝３８４の幅よりも小さく形成されている。図７に示すように、移動突条６３２の前端部には移動脚部６３５が形成されている。この移動脚部６３５は、溝３８４の幅方向の寸法よりも広く、かつ、下容器６２の中心に向かうように膨らんで形成され、その前端部は曲面状に形成されている。図９に示すように、移動突部６３４の下面には複数の突起６３３が突出し、これら突起６３３が溝３８４の上面に載置されて前後方向に摺動する。下容器６２を仕切板３８に載置した場合に、図３と図４に示すように、移動脚部６３５が上面３８２に載置され、移動突部６３４の突起６３３が溝３８４に載置され、下容器６２が水平に支持される。

【0027】

下容器６２の背面板６２３には、図３と図６に示すように複数の下排気孔６３６が開口している。下排気孔６３６に対向したチルド室４２の背板５８から仕切り板３８にかけて、吸い込み口８０が開口している。冷蔵室１４を流れたリターン冷気は、下容器６２の底面板６２４と仕切板３８の流通路３８３の間を前から後に通過し、吸い込み口６３４に吸い込まれる。

【0028】

蓋６４は、図３に示すように、チルド室４２の天井板５２の前端部から回動自在に、かつ、垂れ下がるように取り付けられている。蓋６４は、前面の断面形状が円弧状であり、蓋６４の上端部から後方に向かって左右一対のヒンジ片７０が突出している。また、天井板５２の前端部から左右一対のヒンジ支持片７２が突出している。図１０に示すように、ヒンジ支持片７２とヒンジ片７０とが、ヒンジ軸７４を介して回動自在にヒンジ結合している。蓋６４の下端は、後方に折り返されフランジ部７６が形成されている。蓋６４の円弧状の前面の上下方向の寸法は、天井板５２の前端部から上容器６０の上前端部までの寸法に相当し、蓋６４のフランジ部７６は、上容器６０の前面板６００の上面より若干上方に位置している。蓋６４の左端部には、押圧片６８が形成されている。これにより、蓋６４は、図１１に示すように、上容器６０を前方に引き出すと、側面板６０２の前端部と膨らみ部６１４によって押圧片６８が押圧されて、ヒンジ軸７４を中心に上方に回転して蓋６４が開き、上容器６２の引き出しの障害とならない。

【0029】

（４）上容器６０と下容器６２の引き出し状態
上容器６０と下容器６２の引き出し状態について説明する。図３に示すように、上容器６０と下容器６２がチルド室４２に収納された状態では、チルド室４２は、天井板５２、左板５４、右板５６、背板５８、上容器６０の前面板６００、下容器６２の前面板６２５、蓋６４によって閉塞された空間となっており、Ｒエバ２８によって冷却されて吹き出し口６６から吹き出された冷気は、チルド室４２の外には漏れない。

【0030】

そして、吹き出し口６６からチルド室４２内に吹き出された冷気は、上容器６０に侵入し、上容器６０内の肉や魚を冷却する。図３と図１０に示すように、上容器６０を冷却した冷気は、上容器６０の前面下部にある複数の上流通孔６０９を通って下容器６２に流れ込む。上容器６０から流れ込んだ冷気は、下容器６２内の肉や魚を冷却し、下容器６２の背面板６２３に開口した下排気孔６３６から外部に排出され、その後に吸い込み口６３４からリターンダクト１５に流れる。リターンダクト１５内に流れた冷気は、Ｒエバ室１７のＲファン３０によってＲエバ２８に循環し、再び冷却される。

【0031】

ユーザは、上容器６０を引き出すときは、図１１に示すように下方が開口した上手掛け部６０５の上切欠き部６０６に下方から手を入れて前方に引き出すと、上容器６０のレール６１０はレール受け６１２に沿って移動し、上容器６０を簡単に引き出すことができる。また、左右一対の側面板６０２の前端部と膨らみ部６１４が蓋６４を押し上げる。

【0032】

ユーザは、下容器６２を引き出すときは、図４、図１２に示すように、上方が開口した下手掛け部６３０の下切欠き部６２６に上方から手を入れて前方に引き出す。すると、下容器６２の移動突部６３２が溝３８４に沿って移動し、この場合に移動脚部６３５も上面３８２に沿って移動するため水平を維持しつつ移動できる。そして、凹部６２７が、仕切板３８の膨出部３８１の上に被さる位置まで引き出すことができる。

【0033】

（５）効果
本実施形態の冷蔵庫１０であると、下容器６２を引き出した場合に、下容器６２の前部にある凹部６２７が膨出部３８１に被さる位置まで引き出すことができるため引き出し量が最大となり、下容器６２に収納されている食品などを取り出しやすくなる。

【0034】

また、膨出部３８１を大きく膨出させても、下容器６２をその膨出部３８１の上方まで引き出すことができる。また、膨出部３８１内部を大きくできるため、磁石３８５，３８６、センサ基板３８８、容器センサ３８９などの電気部品を収納できる。また、膨出部３８１内部に電気部品を収納するため、他の空間にこれら電気部品を収納する必要がなく、冷蔵庫１０の収納容積を拡大できる。

【0035】

また、下容器６２は、移動突部６３２と移動脚部６３５によって前後方向において水平に支持され、チルド室４２に収納した状態及び引き出した状態でも水平に維持できる。

【0036】

また、移動脚部６３５は、溝３８４よりも広くかつ中心に向かって膨らんでいるため、下容器６２を安定して水平に維持でき、また移動脚部６３５が溝３８４に落下しない。

【0037】

また、移動脚部６３５の前端部は曲面形状であるため、前方に引き出したときに膨出部３８１に当たっても膨出部３８１に傷がつかない。

【0038】

また、移動突部６３４の下面に複数の突起６３３が複数突出し、これら突起６３３の下端が溝３８４と接触しているため、摩擦係数が小さくなり移動しやすい。

【0039】

また、下容器６２の中底面６２８には、チューブ状の食品容器などを寝かして収納できる。この場合に区画板６２１があるため、チューブ状の容器などが下容器６２の底面板６
２４まで落下しない。

【0040】

また、下容器６２の底面に移動突条６３２が設けられているため、移動突条６３２が補強リブとなって、下容器６２の底面板６２４が湾曲しない。

【0041】

また、下容器６２の左右両側に設けられた支持突部６２９がレール７８に沿って移動し引き出した状態でもレール７８の下方に位置しているため、下容器６２の後部が上方に跳ねない。

【0042】

また、仕切板３８の上面には凹みによって流通路３８３が形成されているため、冷蔵室１４からリターンする冷気が流通路３８３を通って吸い込み口６３７に確実に吸い込ませることができる。

【0043】

（６）変更例１
変更例１について、図１３と図１４に基づいて説明する。例えば、図１３と図１４に示すように、下容器６２の底面板６２４の下面に左右一対の溝６３８を前後方向に設け、仕切板３８の上面３８２に左右一対の突条３９０を前後方向に設け、左右一対の溝６３８，６３８の間に移動脚部６９０を設けてもよい。この場合に、移動脚部６３９は下容器６２を水平に維持するために、底面板６２４のできるだけ前端部に設ける。

【0044】

（７）変更例２
上記実施形態では、移動脚部６３９を移動突部６３４と幅方向において同じ位置に設けたが、これに限らず移動脚部６２９を移動突部６３４と幅方向において異なる位置に設けてもよい。

【0045】

（８）変更例３
上記実施形態では、仕切板３８の前端部に設けた膨出部３８１は全幅に渡って設けたが、これに限らず仕切板３８の前端部の一部だけに設け、この膨出部３８１に対応した部分のみ下容器６２の前端部に凹部６２７を設けてもよい。例えば、左右一対の観音開き式の扉１４ａ，１４ｂが合わさる部分のみ膨出部３８１を設け、この膨出部３８１内部にドアスイッチなどを設けてもよい。また、左右一対の観音開き式の扉１４ａ，１４ｂのヒンジ軸が設けられている仕切り板３８の両側部にのみ膨出部３８１を設け、この部分にヒンジ軸を設ければ、より強度を高めてヒンジ軸を固定できる。

【0046】

（９）その他の変更例
上記実施形態では、貯蔵室として冷蔵室１４を例示し、その内部にあるチルド室４２に収納されている下容器６２で説明したが、これ以外の貯蔵室（例えば、野菜室）に収納されている容器に本実施形態を適用してもよい。

【0047】

また、上記実施形態では、チルド室４２に上容器６０とした容器６２を上下２段に配したが、これに限らず１段の容器であってもよい。

【0048】

上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。

【符号の説明】

【0049】

１０・・・冷蔵庫、１４・・・冷蔵室、３８・・・仕切体、４２・・・チルド室、６０・
・・上容器、６２・・・下容器、３８１・・・膨出部、３８２・・・上面、３８３・・・流通路、３８４・・・溝、３８５・・・磁石、３８６・・・磁石、３８８・・・センサ基板、６２１・・・区画板、６２４・・・底面板、６２５・・・前面板、６２７・・・凹部、６２８・・・中底面、６３０・・・下手掛け部、６３２・・・移動突条、６３３・・・突起、６３４・・・移動突部、６３５・・・移動脚部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】