(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】換気マスク
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20230421BHJP
A61M 16/01 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
A61M16/06 A
A61M16/01 Z
(21)【出願番号】P 2021032508
(22)【出願日】2021-03-02
(62)【分割の表示】P 2017564038の分割
【原出願日】2016-06-10
【審査請求日】2021-03-02
(32)【優先日】2015-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515089769
【氏名又は名称】レボリューショナリー メディカル デバイシーズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】ペドロ,マイケル,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】カタルド,スティーヴン,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ケイン,デイヴィッド,エム.
(72)【発明者】
【氏名】ライリー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】レッドフォード,ライアン,ジー.
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0113955(US,A1)
【文献】米国特許第06263874(US,B1)
【文献】特開2014-068961(JP,A)
【文献】特開2004-000570(JP,A)
【文献】特開2001-037881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを送達するための換気マスクであって、
患者の口を覆わない状態で、患者の鼻を覆うように構成された鼻腔を形成する本体であって、前記鼻腔は、
(i)該鼻腔内の温度、麻酔または酸素濃度、湿度レベルを調整する装置に流体的に連結するように構成された換気ポート、および
(ii)吸引源と流体的に結合され
、患者の鼻から排出されたCO
2
ガスを排出するように構成されたCO
2ポートを有する前記本体と、
口腔チャンバを形成する呼気スクープであって、前記CO
2ポートは、前記口腔チャンバに流体的に結合され、その結果、患者の呼気が、前記口腔チャンバから前記CO
2ポートを通って前記吸引源に移動する前記呼気スクープと、で構成されることを特徴とする換気マスク。
【請求項2】
前記呼気スクープは前記本体から伸びていることを特徴とする請求項1に記載の換気マスク。
【請求項3】
前記呼気スクープは前記本体に比べて柔軟であることを特徴とする請求項1に記載の換気マスク。
【請求項4】
前記呼気スクープは、機械的および/または接着手段のいずれかによって少なくとも部分的に前記本体に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の換気マスク。
【請求項5】
前記呼気スクープは、患者の口腔へのアクセスまたは視覚化が妨げられないように構成されていることを特徴としている請求項1に記載の換気マスク。
【請求項6】
前記本体は、傾斜した側壁によって唇領域に接続された鼻梁領域を形成する頂点を有するほぼ三角形の形状を含み、該本体は、周囲シールおよび鼻梁シールを含み、前記鼻梁シールは、前記鼻梁領域および前記周囲シールを橋渡しする弾性膜から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の換気マスク。
【請求項7】
前記鼻梁シールの前記弾性膜は、前記周囲シールの内側の端で終端していることを特徴とする請求項6に記載の換気マスク。
【請求項8】
鼻センサーおよび口センサーを有する機能的付属品をさらに含み、前記鼻センサーは、前記鼻腔の内面に隣接するガスの温度およびガス流量のいずれかを監視するように構成されており、前記口センサーは、患者の鼻および/または口から放出されたガスを監視できるように、前記鼻腔の外面に隣接するガスの温度およびガス流量のいずれかを監視するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の換気マスク。
【請求項9】
ガスを供給するための呼吸回路であって、
前記呼吸回路は、フレッシュガスラインと、吸引源チューブと、換気マスクと、を備え、
前記換気マスクは、
患者の口を覆わない状態で、患者の鼻を覆うように構成された鼻腔を形成する本体であって、前記鼻腔は、
(i)該鼻腔内の温度、麻酔または酸素濃度、湿度レベルを調整する装置に流体的に連結するように構成された換気ポート、および
(ii)前記吸引源チューブと流体的に結合され
、患者の鼻から排出されたCO
2
ガスを排出するように構成されたCO
2ポートを有する前記本体と、
口腔チャンバを形成する呼気スクープであって、前記CO
2ポートは、前記口腔チャンバに流体的に結合され、その結果、患者の呼気が、前記口腔チャンバから前記CO
2ポートを通って前記吸引源チューブに移動する前記呼気スクープと、で構成されることを特徴とする前記呼吸回路。
【請求項10】
前記吸引源チューブは、前記CO
2ポートと結合し、吸引源としての呼気終末CO
2モニターに接続するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の呼吸回路。
【請求項11】
前記吸引源チューブはバクテリアフィルターを備えていることを特徴とする請求項9に記載の呼吸回路。
【請求項12】
前記呼気スクープは前記本体から伸びていることを特徴とする請求項9に記載の呼吸回路。
【請求項13】
前記呼気スクープは前記本体に比べて柔軟であることを特徴とする請求項9に記載の呼吸回路。
【請求項14】
前記呼気スクープは、機械的および/または接着手段のいずれかによって少なくとも部分的に前記本体に固定されていることを特徴とする請求項9に記載の呼吸回路。
【請求項15】
前記呼気スクープは、患者の口腔へのアクセスまたは視覚化が妨げられないように構成されていることを特徴としている請求項9に記載の呼吸回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麻酔用マスクと換気マスクの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術の間、患者は通常麻酔をかけられる。最も一般的な送達システムは、麻酔ガスと酸素を含むキャニスタと、ガス流と患者の呼吸を調整するシステムと、呼吸、酸素供給、及び麻酔ガスの混合物の送達のために患者の気道の有効性を確保するための装置とを含む。換気マスクは、患者が、外科手術用に麻酔をかけられる前、患者が手術中もしくは処置中に落ち着いている間、患者が麻酔から覚醒する間、患者が麻酔から覚醒した後、及び患者が何らかの理由で追加の酸素を必要としている間などを非限定的に含む、緊急事態及び/または選択的な気道管理中のいずれかに患者に酸素を提供するために使用される。しかし、従来の換気マスクは理想的とはいえない。
【0003】
さらに、外科手術中、患者が急に挿管を必要とする場合もある。フルフェイスマスク、即ち、患者の鼻も口も覆うマスクは、緊急の状態の時には問題がある。なぜなら、挿管のために患者の口からマスクを取り外す必要があるからである。しかし、マスクを取り外すことは、酸素の補給も取り除くことになる。
【0004】
本発明者らの同時係属中の国際出願第PCT/US2014/44934号、国際出願第PCT/US2015/034277号及び国際出願第PCT/US2015/044341号(以下、’934、’277及び’341PCT出願と称する)では、一態様において、それぞれが鼻用チャンバまたは口用チャンバを画定する鼻部またはマスク、及び口部またはマスクを備え、お互いに着脱可能に接続したコンビネーションマスクであって、鼻用マスクは個体でもまた口用マスクに接続して鼻/口マスクとしても使用できるコンビネーションマスクを提供することによって、従来技術における前述及びその他の問題を克服する改良された換気/麻酔用マスクを提供している。また、本発明者らは、1つ以上のポートを有する鼻用マスク及びそのマスクを患者の顔に保持するための多様なストラップシステムも提供している。このような鼻/口用コンビネーションマスクは、アリゾナ州ツーソンのレボリューショナリー・メディカル・デバイス社からSuperNO2VA(登録商標)の名で市販されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様では、着用したときに患者の上唇に隣接して重なるように位置する1つ以上の取り付けポートを有する鼻換気マスクを提供する。好ましくは、取り付けポートは、自己閉鎖バルブ、好ましくはダックビルバルブ、フランジブル膜、プラグ、またはキャップによって密閉可能であり、機能的アクセサリをサポートするように構成されている。好ましい実施形態では、機能的アクセサリは、CO2濃度、O2濃度、窒素濃度、麻酔ガス濃度、圧力、相対湿度、温度、及びガス流量の群から選択されたパラメータのうち1つ以上を監視するように構成されたセンサ、着用者の鼻及び/または口から呼気終末CO2を監視するように構成された呼気終末CO2アダプタ、またはセンサ、CO2捕捉剤、ガス収集器または呼気スクープ、鼻カニューレ、及び/または機能的装置、好ましくは喉頭鏡、ビデオ喉頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、剛性気管支鏡、消化器病学スコープ及び/または吸引チューブを収容するよう構成された口用マスクを含む。
【0006】
本発明の別の態様では、弾性ヒンジまたはブリッジで連結された上下部及び/または左右部を有する換気マスクを提供する。このような態様では、マスクはフルフェイスマスクでもよく、口用マスク、鼻用マスクまたは互いに接続した鼻/口用コンビネーションマスクでもよい。このような態様では、弾性ヒンジまたはブリッジは、x及び/またはy及び/またはz方向周りに回転できる。特に好ましい実施形態では、マスクは、マスクの鼻部とマスクの口部が互いに分離することができる鼻/口用コンビネーションマスクを備える。
【0007】
本発明の別の態様では、マスク着用時、マスクの下部に隣接して患者の上唇に重なる位置に設けられた呼気スクープを備える鼻用マスクを提供し、呼気スクープは、呼気スクープに捉えられた呼気を鼻用マスクに分流させる取り付けポート及び吸引源に接続するためのポートを介して鼻用マスクに取り付けられる。
【0008】
本発明の別の態様では、患者が装着すると、患者の顔に密着するように構成された鼻用マスクと、その下側に隣接し、患者がマスクを装着すると患者の上唇に重なるマスクに取り付けた呼気スカベンジャとを備えた麻酔用マスクを提供する。このような態様において、呼気スクープまたは呼気スカベンジャは、好ましくは機械的または接着アタッチメントまたはブラケットによりマスクに固定される。
【0009】
本発明は、また、唇領域まで延びる傾斜した側壁が接続する鼻梁領域を形成する頂点とを備える概ね三角形状のフレームを備えた鼻用マスクであって、鼻梁領域に架かる弾性膜で形成された鼻梁シールと側壁を含み、側壁の隣接部を含み、任意で、様々な寸法及び形状の患者の唇を収容する、下唇領域に架かる弾性膜で形成された下唇シール、あるいは、その代替として、唇領域に架かる弾性膜と側壁から形成された唇シールのみを含む鼻用マスクを提供する。
【0010】
また別の態様では、酸素及び/または麻酔ガスをマスクを通して患者に送達するための呼吸回路であって、マスクへ直接、または非呼吸回路ポートを通ってマスクへ間接的に接続された新鮮ガス供給ラインと、前記非呼吸回路ポートと可撓性リザーババッグの間に接続された呼気収集チューブとを備え、前記マスクは、鼻換気マスクと、バルブ付きコネクタまたは膜シールを備えたフルフェイスマスク、または口用マスクが取り外し可能な鼻/口用コンビネーションマスクを備える、呼吸回路を提供する。このような態様では、新鮮ガスラインの第1の端部は、好ましくは、マスクに直接または間接的に接続される一方、第2の端部は、新鮮ガス供給に接続される。また、好ましくは、可撓性リザーババッグは、第1の方向のガスの流れの通路を形成し、前記バッグは、ガス用出口及び入口を有し、バッグ出口は、第1と第2の方向にガスが流れる通路を画定する呼気収集チューブと連通しており、バッグの壁の少なくとも一部は好ましくは呼気収集チューブの側部を超えて延在し、ガス流の第1と第2の方向は、略平行であるとともに横方向に互いにオフセットしており、さらに/または呼気収集チューブは、リザーババッグの外表面に取り付けられる。
【0011】
また、本発明は、酸素及び/または麻酔ガスをマスクを通して患者に送達するための呼吸回路であって、前記マスクが、陽圧を維持すると同時に機能的ツールの通路を患者の口内に通すためのバルブ付きコネクタまたは膜シールを含むフルフェイスマスクを備えた呼吸回路を提供する。このような実施形態では、機能的ツールは、例えば、咽頭鏡、ビデオ喉頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、剛性気管支鏡、消化器内視鏡、及び/または吸引チューブを備えていてもよい。任意で、患者を一つの場所から別の場所に移動させるための、あるいは、手術室で使用する補助的な壁酸素に接続された、またはGIスイート、心臓カテーテル検査室、MRI及び気管支鏡スイートのような処置室で使用する、携帯用酸素タンクを備えていてもよい。
【0012】
本発明の別の態様では、酸素及び/または麻酔ガスをマスクを通して患者に送達するための呼吸回路であって、新鮮ガスラインが呼気収集チューブに接続され、呼気収集チューブが、口用チャンバと鼻用チャンバとを含む2チャンバ換気フェイスマスクに接続され、口用チャンバを取り外して鼻用チャンバを患者に残し、鼻のCPAPと鼻のNIPPVを提供すると共に、同時に外科医が患者の口にアクセスして処置を施すことができるように構成された呼吸回路を提供する。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、酸素及び/または麻酔ガスをマスクを通して患者に送達するための呼吸回路であって、新鮮ガスラインが呼気収集チューブに接続され、呼気収集チューブが、鼻用CPAPと鼻用NIPPVで使用するための鼻用マスクに接続され、前記再呼吸防止呼吸回路が、さらに、一方向バルブ付きコネクタまたは機能的ツールが通過できる膜シールを含む1つ以上のポートを有する別体の口用マスクを備える呼吸回路を提供する。
【0014】
このような態様において、機能的ツールは、好ましくはビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、及び/または気管内チューブ付き光ファイバ気管支鏡または吸引ツールを含み、口用マスクは、任意で好ましくはガスを掃気するためのポートを含み、呼気収集チューブは、任意で好ましくは呼気終末CO2モニタに接続された呼気終末CO2ポートを備え、呼気収集チューブは、任意で好ましくは細菌ろ過器を含む。
【0015】
本発明のさらに別の態様において、任意で大気に開放される排気孔を有する使い捨てCPAPマスクであって、前記マスクが、鼻用CPAPマスクからフルフェイスマスクCPAPマスクへ、そしてその逆へ変換可能である使い捨てCPAPマスクを提供する。このような態様において、鼻用CPAPマスクは、好ましくは、回路ポートと排気ポート、1つ以上のアタッチメントバルブと、PEEPバルブを接続するアダプタと、マスクへの補給酸素を有する鼻用マスクと、任意で着脱可能な口用マスクとを備え、1つ以上のアタッチメントバルブは、好ましくは、鼻用チャンバに取り付けたときに口用チャンバのプロボーシスに係合されるダックビルバルブを備える。
【0016】
本発明のさらなる特徴と利点は、添付の図面に基づく下記の詳細な説明により明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一態様による鼻用マスクの側面図である。
【
図3A】本発明の好ましい実施形態によるYシールの詳細を示す、線3A-3Aに沿って切った断面図である。
【
図4】本発明の実施形態によるヒンジ付き鼻/口用コンビネーションマスクの上面図である。
【
図5】本発明の実施形態によるヒンジ付き鼻/口用コンビネーションマスクの側面図である。
【
図6】本発明の別の実施形態による鼻用マスクとセンサシステムの模式図である。
【
図7】本発明による、口用チャンバにセンサを有する鼻/口用コンビネーションマスクの一実施形態の内側の図である。
【
図8】本発明の実施形態によるCO
2収集器及びガススカベンジャアクセサリを有する鼻用マスクの模式図である。
【
図9】本発明によるCO
2スカベンジャアクセサリの別の実施形態の側面図である。
【
図10】本発明によるさらに別の実施形態の前面図である。
【
図11】本発明によるさらに別の実施形態の側面図である。
【
図12】本発明のさらに別の実施形態を示す、
図8に類似した図である。
【
図13】本発明のさらに別の実施形態の分解斜視図である。
【
図14】
図14Aは、呼気終末CO
2収集器が鼻用チャンバの一部として一体化された本発明のさらに別の実施形態の正面図である。
図14Bは、呼気終末CO
2収集器が鼻用チャンバの一部として一体化された本発明の同実施形態の線A-Aに沿った断面図である。
図14Cは、呼気終末CO
2収集器が鼻用チャンバの一部として一体化された本発明の同実施形態の線B-Bに沿った断面図である。
【
図15】
図15Aは、呼気終末CO
2収集器とガススカベンジャが鼻用チャンバの一部として一体化されている本発明のさらに別の実施形態を示す
図14Aに類似した図である。
図15Bは、呼気終末CO
2収集器とガススカベンジャが鼻用チャンバの一部として一体化されている本発明の同実施形態を示す
図14Cに類似した図である。
【
図16A】呼気終末CO
2収集器とガススカベンジャが鼻用チャンバの一部として一体化された本発明のさらに別の実施形態の正面図である。
【
図16B】呼気終末CO
2収集器とガススカベンジャが鼻用チャンバの一部として一体化された本発明の同実施形態の側面図である。
【
図16C】呼気終末CO
2収集器とガススカベンジャが別々に形成され鼻用チャンバに取り付けられた本発明の同実施形態の側面図である。
【
図16D】呼気終末CO
2収集器とガススカベンジャが別々に形成され鼻用チャンバに取り付けられた本発明の同実施形態の分解図である。
【
図16E】呼気終末CO
2収集器とガススカベンジャが別々に形成され鼻用チャンバに取り付けられた本発明の同実施形態の背面図である。
【
図17】鼻カニューレアクセサリがダックビルバルブ内に挿通され、追加の酸素流を提供する本発明のさらに別の実施形態を示す分解側面図である。
【
図18】ビデオ喉頭鏡ブレードが口用チャンバを通って挿通された本発明の別の実施形態を示す斜視図である。
【
図19】ビデオ喉頭鏡ブレードと気管内チューブが口用チャンバを通って挿通された本発明の別の実施形態を示す斜視図である。
【
図20】呼吸鼻用マスクと呼吸回路アセンブリを含む本発明のさらに別の実施形態を示す模式図である。
【
図21】呼吸チューブ室(口用及び鼻用)フルフェイスマスクと呼吸回路アセンブリを含む本発明のさらに別の実施形態を示す模式図である。
【
図22】別体の鼻用及び口用マスクを、口用マスクを通して呼吸回路アセンブリと一体化した本発明のさらに別の実施形態を示す模式図である。
【
図23】本発明のさらに別の実施形態による、新鮮ガス肢及び呼吸回路アセンブリに直接接続した呼吸鼻用マスクを示す模式図である。
【
図24】本発明の別の実施形態による2ピースフルフェイスマスク及び呼吸回路アセンブリを示す模式図である。
【
図25】本発明によるさらに別の実施形態の、PEEPバルブアダプタを有する鼻用マスクを示す斜視図である。
【
図26】PEEPバルブアダプタを組み込んだ2ピース(鼻用と口用)マスクを示す
図25に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一態様は、鼻部または鼻/口用コンビネーションマスクのマスクが本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願で説明したように、鼻の換気のための鼻用マスクとして別に使用できるだけではなく、他のデバイス、アタッチメント、及びアクセサリを、例えば、下記に説明するように、喉頭鏡、気管支鏡、CO2スカベンジャ、及びアダプタ、及び、例えば、O2や窒素の濃度、麻酔ガス濃度、呼気終末CO2などの測定用のセンサなどを収容するための他のタイプの口用チャンバを含む鼻用マスクに接続するためのプラットフォームとして機能し、実現することに基づく。
【0019】
しかし、他のデバイス、アタッチメント、及びアクセサリを説明する前に、本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願で説明したような鼻用マスクと鼻/口用コンビネーションマスクに対しての多様な構造的改良について説明する。
【0020】
図1~
図3を参照すると、本発明による鼻用マスクは、透明なポリマー材料の比較的剛性体部60を有する概ね三角形状のシェルを備える。マルチローブ、好ましくはY字形状のシール62は、剛性体60に70で固定されている。シール62は、三角形状の本体60の「頂点」領域に隣接して設けられた鼻梁領域64を含む。シール62は、ショアAのデュロメータ硬さが、好ましくは2~10、さらに好ましくは3~7、最も好ましくは、約5の、弾性変形可能な材料で形成されている。梁の高さや形状が異なる患者に対し、よりよい密閉度を提供するため、弾性膜状シール構造100の形態の鼻梁シールをマスクの右側112から左側114に亘り、シール120の内側まで設ける。好ましくはシール62と一体形成されるシール100は、厚み0.04~9.7mm、好ましくは1~5mm、さらに好ましくは約2mmの薄さである。非常に薄く、そして弾性変形可能な材料で形成されているので、シール100は、変形しやすく、伸張して患者の鼻を遮断するとともに適合できる。よって、
図1に示すような梁の頂点に隙間130がある場合には、医療従事者は(弾性膜100よりかなり剛性が高い)鼻用チャンバの本体60をわずかに変形させることにより、弾性膜状鼻梁シールを変形させ、点線118で示された鼻梁シール100の縁部が患者の鼻の下部を遮断する。シール100が鼻用チャンバの外周シール120に取り付けられているため、鼻用チャンバ116は患者の鼻をよりよく密閉することができる。
【0021】
同様にして、下側リップシール140は、下部外周シール120に亘る薄い弾性膜の形態で提供してもよい。異なる寸法や形状の唇を有する患者を収容し、隙間があっても鼻用チャンバを密閉する同様の効果を有する。様々な実施形態において、鼻梁シール100、下唇シール140または鼻梁及び下唇シール100、140の両者を提供している。
【0022】
本発明は本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願で説明したような鼻口用マスクの鼻部と組み合わせて使用することによる特定の有用性を有しているが、鼻梁シール100及び/または下唇シール140は従来の鼻用マスクあるいはフルフェイスマスクと組み合わせて有利に使用できる。
【0023】
本発明の別の態様では、上部鼻用チャンバと下部口または口用チャンバの間の相対移動/位置決めが可能であり、患者の顔により適合するヒンジを設けることによって本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願に説明したような鼻口用コンビネーションマスクを改良している。
【0024】
これにより、
図4及び
図5に示すように異なる寸法/形状の顔を収容するため、鼻用チャンバ200と口用チャンバ210を上下部で分離している。上下部は、シールを維持し、
図4及び
図5に示すように、鼻用チャンバ200と口用チャンバ210をX軸を中心としていずれかの方向に回転させる弾性ヒンジ220またはブリッジまたは拡張ジョイントによって接続される。この回転により、外周のシールが患者の鼻梁及び/または下唇とよりしっかりと嵌まるようになる。また、点線222で示す縦方向に延びる、すなわち、マスクの左224と右226側を接続する弾性ブリッジまたはヒンジまたは拡張を、マスクの鼻及び口部を接続する弾性ヒンジまたはブリッジの代わりに、またはそれに加えて採用してもよい。
【0025】
本発明者らの発明は、前記’934、’277、及び’341PCT出願で説明したような鼻/口用コンビネーションマスクとの接続に特に有用であり、本発明は、また、フルフェイス及び鼻用マスクを含む従来のマスクとともに有利に採用することができる。
【0026】
上記したように、鼻部もしくはマスクは、多様な機能的アタッチメント及びアクセサリを支持するためのプラットフォームも提供する。このような機能的アクセサリを
図6に示すが、プロボーシス231上に設けた、換気マスク232の内表面及び/または外表面内または隣接して、例えば、O
2濃度、CO
2濃度、N
2濃度、麻酔ガス濃度、圧力、相対湿度、温度、及び/またはガス流量などのようなガスの識別と濃度レベルを検知するための1つ以上のセンサ231を含む一体化した回路/コントローラ234に接続された、マスク232内もしくは隣接箇所のガスなどを監視するための統合センサシステム230を備える。好ましくは、マスクは、本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願で説明するようにダックビルバルブのようなバルブ付きポート235を有する鼻用マスクを含む。しかし、他のタイプのバルブ機構または着脱式のプラグもしくは破れやすい膜を有する開放ポートをダックビルバルブの代わりに使用してもよい。マスク232内の統合センサシステムにより、マスクの内部の環境を検知することができるようになる。アクセサリは、回路/コントローラ236とアナログからデジタル/デジタルからアナログコンバータを含むローカル増幅器238に接続するコネクタ240との形態で通信機能を有するのが好ましい。センサシステムからの信号は、回路/コントローラ234へ転送され、開閉ループコマンドを出し、それが麻酔器、ベンチレータまたは他の呼吸デバイス244に送信されて圧力及び他の多様なガス特性、例えば温度、麻酔または酸素濃度、湿度レベルなどを調整する。統合センサシステムは、また、ローカルのハウスキーピング、較正、及び制御機能などを提供するローカルコントローラ237を有していてもよい。
【0027】
図7を参照してマルチセンサ250、252をマスクの内面の内側またはそこに隣接して、患者の鼻の下の、鼻用チャンバのダックビルバルブ260と口用チャンバ260のプロボーシスとのインターフェース、または他のロケーションに載置してチャンバ内の環境を監視してもよい。前と同様に、ハウスキーピング、較正、または、他の機能のためのコントローラ254は、チャンバの中に置くことができる。センサ電力、データ、及びまたは制御インターフェースはすべてコネクタ240を介するものとしてもよい。
【0028】
上記、そして他のパラメータを測定するための各種の他のセンサを含んでいてもよい。センサは、(1)上記の如く鼻口コンビネーションマスクの鼻用チャンバ及び/または口用チャンバの内部にあっても、(2)鼻用チャンバの内側と外側にあっても、(3)鼻用マスクのポートに差し込むセンサアセンブリとして提供しても、及び/または(4)鼻用と口用のマスク部の間の接続を介した交換に影響することなく、鼻口用コンビネーションマスクの口用マスク部の中にあってもよい。
【0029】
また、1つ以上の上記のセンサからのセンサ信号をコントローラに送達するために増幅するローカル増幅器を有する換気マスクモニタと、濾過電力をセンサやローカルプロセッサに送るための電力コントローラを有するガスセンサを含む換気マスクモニタと、アナログ-デジタル、そしてデジタル-アナログ信号変換器を含む換気マスクガス監視システムと、センサ信号を監視し、上記のパラメータの1つ以上に対する気道に関連付けられたハードウェアに信号を送ることによってループを閉じるコントローラとを備える。
【0030】
CO2または他のガスモニタを含むセンサアセンブリを換気マスクの内面の内に直接、またはそれに隣接して載置することによる本発明の特徴及び利点は、換気マスクの内側チャンバ環境をリアルタイムで監視できることである。
【0031】
図8には、好ましい実施形態において、本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願で説明したような鼻用マスク312のバルブ付きポート310に挿入するセンサアセンブリ314を組み込んだ鼻口用コンビネーションマスクの鼻部である鼻用マスクを示す。
図9を参照すると、センサアセンブリ314は、マスク312のバルブ付きポート310と係合する寸法及び形状を有するプロボーシスの対316を含む。センサアセンブリ314はCO
2や、他のガスレベル、例えば、O
2、窒素、麻酔ガス濃度、湿度などを監視するための複数のセンサ素子315を含む。また、希望であれば、追加のセンサ素子315Aは、センサアセンブリ314の外側の、患者の上唇のすぐ上に載置し、呼気終末CO
2を含む口呼吸機能を監視することができる。
【0032】
センサアセンブリ314は、鼻用マスク312のバルブ付きポート310を介して係合し、鼻用チャンバの内側領域にアクセスするとともに
図8に示すように患者の上唇上に着座する。このようにして係合すると、センサアセンブリ314は鼻用チャンバ環境内部のプロボーシスの対316の上部領域と直接接触する。通信及び電力ライン320はセンサアセンブリ314とインターフェースをとる。センサ素子は電力、データ及び制御用としてすべて相互接続される。内部のセンサ素子からキャリヤとプロボーシスの外部、及びセンサ素子315Aの場合には部分的に外部までの説明を下記の表1に示す。
【0033】
センサアセンブリは、ベンチレータ、麻酔器、CPAP器、高流量酸素及び加湿源を含む、呼吸システムの開閉ループ制御を行う。
【0034】
鼻用及び口用チャンバを含むコンビネーションマスクで構成されたフルフェイスマスクが希望の場合には、代替構成として、説明したようなコンビネーションマスクの口用チャンバに一体化したセンサアセンブリに類似したセンサアセンブリを有するものでもよい。上記のようなセンサアセンブリは、従来のフルフェイスマスクと繋げて使用することができることが有利である。
【0035】
図9に示す本発明のさらに別の態様では、本発明者らの’934、’277及び’341PCT出願に記載されているダックビルバルブのようなバルブ付きポートを有する鼻用マスクに取り付けられた呼気終末CO
2のサンプルラインアダプタ350の形態の機能的アクセサリを提供する。サンプルラインアダプタ350は、鼻と口の両方からの呼気終末CO
2の監視を同時に可能にする。好ましくは、サンプルラインアダプタ350は、1つ以上の開口部358を有する1つ以上のプロングまたはプロボーシス354,356を有する分岐チューブ352を備える。分岐チューブ352は、呼気終末CO
2のサンプルライン366に接続して呼気終末CO
2を監視する標準ルアーロック364を介して接続するルアーロック362を備えたライン360を有する。分岐チューブ352の遠位端は、2つのプロングまたはプロボーシス354,356を有する2つの端部を有し、一方のプロング356は中実の近位端370を有し、鼻用マスクの開放可能なバルブ付きポートを通って挿入され、例えば、鼻からのCO
2のサンプリングができる。分岐した全体的にY字形のチューブ360の他端は、固体の遠位端372と、患者の口から排出されたCO
2をサンプリングするために口の近くで鼻用マスクの外側に位置し、開口側またはスリット374とを有する。
【0036】
本発明は、患者の鼻及び口からの呼気終末CO2の監視を可能にし、陽圧換気を行い、口及び/または患者の気道に対する視界のいずれをも妨げることがないという点で有利である。これは、EGD、TEE、及び喉頭鏡検査のような多くの処置において、臨床医が患者の口にアクセスする必要があることから重要である。好ましくは、アダプタ350は薄く、処置または医師の視界を妨げないように、口の真上に位置する。本発明はまた、呼気終末CO2の監視に影響を及ぼさずに陽圧換気を可能にする。
【0037】
本発明の別の実施形態を
図10~
図11に示す。
図10~
図11を参照し、患者の呼気から呼気終末CO
2試料をより良好に収集するために、鼻用チャンバアダプタ402の一部である呼気スクープ400の形態の機能的アクセサリが鼻用チャンバ404に追加されている。一実施形態では、鼻用チャンバ404は、本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願に記載されているような鼻口用コンビネーションマスクのチャンバ部分である。アダプタ402は、鼻用チャンバ404内のバルブ付きポートと係合し、患者の唇に隣接する呼気スクープ400を介してプロボーシス及び口呼気を通った鼻呼気を収集することを可能にするプロボーシス対406を有する。呼気スクープ400は、吸引源(図示せず)に接続されると、呼気をCO
2ポートの吸引要素410に向けさせる。呼気スクープ400は、好ましくは、患者の下唇によって生成された平面にほぼ垂直であるが、鼻用チャンバ404に向けて患者の呼吸を転向させるように湾曲していてもよい。
【0038】
図11に示すように、より多くの口からの呼気ガスを捕捉するために、両方の唇を越える長さを有する拡張呼気スクープ406も望ましい。
【0039】
さらに、吐き出されたガスをより良く掃気するため、あるいは、患者の呼気から吐き出されたガスと呼気終末CO
2を掃気するため、呼気スクープ412を鼻用チャンバの一体部分として形成してもよい(
図11参照)。
【0040】
呼気スクープ400、406は、ユーザの口へアクセス可能とするため、剛性でも、あるいは多少可撓性であってもよい。
【0041】
図12~
図13を参照する。口用掃気アダプタ502の形態の別の機能的アクセサリが示されており、鼻用マスク500は、1つ以上の取り付け部位504を有しており、そこに口用掃気アダプタ502がポート506を介して接続される。好ましくは、鼻用マスクは、本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願に記載のように鼻口結合コンビネーションマスクの鼻用マスク部を備え、取り付け部位504はバルブ付きポートである。しかし、口用掃気アダプタ502は、他のより一般的な鼻用マスクと組み合わせて有利に使用され、また、マスクと一体的に形成されてもよく、あるいは接着剤または機械的締結具、フック及びループなどによってマスクに固定してもよい。好ましい実施形態では、口用掃気アダプタ502は、底部に開口部520を有する中空部材と、口用掃気アダプタ502を吸引または真空源514に接続する吸引管516とからなる。
【0042】
特に
図13を参照すると、好ましい実施形態では、鼻用マスク500は、アリゾナ州ツーソンのレボリューショナリー・メディカル・デバイス社から入手可能なSuperNO
2VA(登録商標)マスクの鼻用マスク部を備え、ダックビルバルブを含む一対の雌ポート506を含むポートを備え、口用掃気アダプタ502は1つ、そして好ましくは鼻用マスク500のダックビルバルブ内に挿入できる寸法及び形状の2つの閉じたプロボーシス508を有する。患者の口から漏れるであろう麻酔ガス及びCO
2を吸引するために、下側口用掃気アダプタ502には開口部またはポート512が設けられている。吸引コネクタ514は吸引チューブ516に接続され、吸引チューブ516は壁の吸引に接続し、麻酔ガスを能動的に掃気する。
【0043】
特に好ましい実施形態では、口用掃気アダプタ502は、鼻用マスク500内、口用掃気アダプタ502、またはその両方からのET-CO2を監視するための呼気終末二酸化炭素モニタ(ET-CO2モニタ)も含む。
【0044】
前と同様に、上記のように口用スカベンジャは、SuperNO2VA(登録商標)マスクの鼻用マスク部と共に使用することができるが、口用スカベンジャーアダプタも、例えば、機械的ファスナ、フックアンドループファスナ、接着剤などを使用して従来の鼻用マスクに固定してもよいし、あるいは口用スカベンジャーアダプタを従来の鼻用マスクの一部として一体的に形成してもよい。これにより、医療従事者が、適用している鼻用CPAPが有効であるかどうかを判断するのを助けることができる。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態を
図14A~
図14Cに示す。鼻用マスク610は、鼻用チャンバ610及び1つもしくは2つの取り付けポート612、614の一体部分として形成されたCO
2ポート618を含む。ポート612、614は、鼻用チャンバ610の中の圧力環境P
NCを、患者の唇が位置する大気圧環境P
Ambから分離するバリア616を有する。これにより、シールが提供され、鼻用チャンバの内部が大気より高いレベルで加圧されるようになる。CO
2ポート618は、バリア616でポート612と交差する。CO
2ポート618のバリア616における交差は、鼻用チャンバ環境の内部への開口を設けた領域A
Nasalと口領域の周囲環境への開口を設けた領域A
Oralが、吸引源の陰圧Pssに基づいて、鼻から口への流量レベルをゼロ流量からフル流量まで、よって(P
ss<P
Amb<P
NC)に調整することができるようにすることができる。CO
2ポート618の端部がCO
2モニタ622のような吸引及びサンプリングデバイスに取り付けられると、流れが発生する。CO
2ポート618の開口端部は、チューブまたはパイプ624によって吸引源に接続される。この構成により、鼻用チャンバは適度な陽圧に維持され、一方では鼻から、そして唇の間で吐出された呼気終末CO
2のサンプリングができるようになる。さらに、この構成により、麻酔ガスが口から放出されたら、CO
2モニタ622のような吸引源に接続されたときにこれらガスの一部または全体を口用ポートを通って掃気することができるという利点をもたらす。
【0046】
図15A及び
図15Bに示す代替の構成では、機能的アクセサリとして、麻酔ガスを掃気するのに使用する吸引源628に取り付ける統合ガススカベンジャまたはコレクタ626を追加する。ガススカベンジャ626のみを有する構成も可能である。ガススカベンジャ626は、
図15Aの断面B-Bに示すような口用ポート632と交差するスカベンジャポート630から構成される。この構成では、A
oralと呼ばれる周囲の口腔環境のみが吸引源に露出され、結果、吸引源によって口から放出されたガスが収集される。鼻用チャンバは吸引源からは遮断される。スカベンジャポート630の開放端は、チューブまたは管によって吸引源628に接続されている。
【0047】
CO2コレクタを鼻用マスクの一部として一体化することは、いくつかの利点がある。一つは、CO2コレクタまたはスカベンジャポートは患者の口腔へのアクセスまたは可視化を妨げない。また、CO2コレクタは、口から吐出された麻酔ガスを掃気するために使用できるという二次的な利点を有する。
【0048】
また、呼気スクープのようなCO
2コレクタを鼻用マスクの一体部分として形成して患者の呼気からの呼気終末CO
2をサンプリングすることができる。
図16A及び
図16Bは、それぞれ例示の呼気スクープ640の正面図及び側面図である。呼気スクープ640は、マスクのダックビルバルブに挿入できる寸法及び形状を有する1つそして好ましくは2つの閉鎖プロボーシス642を有している。好ましくは、プロボーシス642は、ダックビルバルブと係合できるよう、比較的剛性の材料で形成され、一方、呼気スクープの本体644は、比較的軟質の柔軟な材料から形成され、患者の唇や歯に向けて押圧されても、患者を傷つけたりイラつかせたりすることはない。呼気スクープは、前のマスクの口用ポートの下側表面から延在して、患者の呼気をCO
2ポート650の吸引要素に向かわせる。呼気スクープ640は、患者の口から吐き出されたガスの流れを、吸引源に接続されると、CO
2ポートによって提供された収集吸引に向かわせるガス不透過性障壁となるべきである。別の実施形態では、1つまたは両方のプロボーシス642は中空であるため、呼気スクープ640が収集した呼気を鼻用マスクと、鼻用マスク上のポートとに送達して吸引源に接続することができる。呼気スクープ640は、名目上、患者の下唇によって生成された平面に対して垂直に位置してもよいが、呼気を鼻用チャンバに向けて方向を変えるように湾曲しているのが好ましい。
【0049】
あるいは、
図16C~
図16Eに示すように、呼気スクープ660を閉鎖したプロボーシス662とは別に鼻用マスク666のダックビルバルブ664の中に挿入できる寸法及び形状に形成してもよい。好ましくは、プロボーシス662と、吸気スクープ660の本体668は比較的剛性の材料で形成される一方、呼気スクープ660の先端部は、比較的軟質で柔軟な材料で形成されているので、患者の唇や歯に向けて押圧されても患者を傷つけたりイラつかせたりすることはない。呼気スクープ660は、吸引源に接続可能なCO
2ポート672を有する。別の実施形態では、1つまたは両方のプロボーシス662は中空であるため、呼気スクープ660が収集した呼気を鼻用マスクと、鼻用マスク上のポートとに送達して吸引源に収集することができる。
【0050】
さらに別の態様において、本発明は、鼻用マスクを高流量鼻用カニューレシステムに変換またはそれで補うためのアダプタの形態の機能的アクセサリを提供する。本発明の一実施形態では、
図17に示すように、高流量鼻用カニューレアタッチメントピース700(鼻用チャンバから鼻用カニューレインターフェースまで)を設ける。雄端702と雌端704を有し、雌端704は、従来の高流量鼻用カニューレシステム706(Fisher&Paykel HealthcareのOptiFlow(登録商標)鼻用カニューレまたはVapotherm,Inc.のVapoThermに接続し、他端702は鼻用マスク上のポート720に取り付ける。患者の柔らかい鼻孔を傷つけないような比較的軟質の従来の高流量カニューレとは異なり、高流量鼻用カニューレ700アタッチメントの雄端702は、先端が十分な剛性または堅さを有し、マスクの鼻用チャンバ712のポート720の中のダックバルブを貫通しやすく形成されており、バルブの開存性を維持している。鼻用カニューレの雄端702は、患者の鼻孔に届くよう、十分な長さに形成しておかなければならない。アタッチメントピース700は、シールで鼻用マスクに接続し、回路ポートを開放した状態にすることによってオープンシステムとして、あるいは、シールでその回路コネクタをベンチレータ、蘇生用バッグ、CPAP機またはPEEPバルブのいずれかに接続してマスクまたはフルフェイスマスク内部の陽圧を生成し、陽圧換気をできるように鼻用マスクに接続したクローズドシステムとして使用することができる。
【0051】
また、陽圧は、上気道の障害を解放するとともにマスクの換気を確立することができる。この構成によれば、ガス流は現在の高流量鼻用カニューレシステムの能力を超えることができるとともに、例えばマスク入口ポート720を通って毎分100リットルを超えることができる。
【0052】
本発明のさらに別の実施形態を
図18~
図19に示すが、気管内チューブまたはビデオ喉頭鏡用の機能的アダプタを有する本発明を示している。気管内挿管は、患者が酸素を取り入れることなく、または換気されることなく行われるため危険な処置と考えられている。気管内に載置するのにかかる時間は、長すぎると患者の酸素の飽和レベルが生命を脅かすレベルにまで低下するため、非常に重要である。また、気管内チューブを載置する試みを何度も行うことにより、患者の酸素の飽和レベルが生命を脅かすレベル(非飽和)にまで低下する可能性がある。緊急で挿管する必要がある呼吸不全にある患者、または保存した酸素をすぐに使いきってしまうような病的に肥満の患者は、最後の呼吸をしてから、その酸素飽和レベルが生命を脅かすレベルにまで低下するまで、または心臓が致命的な不整脈を起こすまで数秒しかない。
【0053】
本発明は、麻酔鼻用マスク800及び口用マスク802を有し、それぞれが鼻用チャンバと口用チャンバを画定するガス換気マスクを提供する。鼻用チャンバはガス供給部(機械的ベンチレータ、麻酔器、酸素供給源)に接続され、酸素供給及び換気に使用され、口用チャンバは、患者の口の周りを密閉してガスの漏れを防ぎ、喉頭鏡や下記に説明するような他の機器を収容する。
【0054】
鼻用マスク部は従来の鼻用マスク、または特に、前述の’934、’277及び’341PCT出願で説明したような鼻用マスクでもよい。
【0055】
口用マスク部は、鼻用マスク用に上記したダックビルバルブと類似したダックビルバルブ(図示せず)のような一方向バルブ、例えば、ビデオ喉頭鏡が通過できるようなキャップ付きポートまたは膜810、ハンドル、気管内チューブ、及び/または気管内チューブを取り付けた光ファイバ気管支鏡812を含む1つ以上のポート804、806を有し、ビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、及び/または気管内チューブ付き光ファイバ気管支鏡812を密閉してその回りにガスが漏れないように防いでいる。
【0056】
使用中は鼻用マスク814は患者の鼻の上に載置し、患者の頭にストラップ808で固定することにより、鼻の周りを密閉してガスの漏れを防ぐ。1つの鼻用マスクポート820はガス供給部に接続され、そこで、ガス供給部が加圧されて、酸素を送達し、患者を換気するために使用することができる。他の実施形態では、第2のポート822を使ってガス供給部に接続することができる。
【0057】
上記のように、口用マスクは、1つ以上のポート804、806を有し、各ポートは、例えば、ビデオ喉頭鏡ブレード812及び/またはハンドル、そして気管内チューブ及び/または気管内チューブを取り付けた光ファイバ気管支鏡が1つ以上のポートを通って通過できる一方向バルブまたは膜であり、ビデオ喉頭鏡/喉頭鏡ブレード及び/またはハンドル並びに気管内チューブ及び/または気管内チューブを取り付けた光ファイバ気管支鏡を密閉する。口用マスクは、口を覆って密閉し、口用チャンバストラップ810で定位置に保持され、ガスの漏れを防ぐ。
【0058】
一実施形態では、口用マスクは2つのポートを有しており、1つのポート804はビデオ喉頭鏡が通過できるとともにその周囲を密閉し、第2のポート806は、気管内チューブ及び/または気管内チューブを取り付けた光ファイバ気管支鏡が通過できるとともに、その周囲を密閉してガスの漏れを防ぐ。さらに別の実施形態では、第3のポート820を設け、ガス供給部と接続されて口用マスクが加圧され、酸素供給及び陽圧換気ができるようにする。
【0059】
一実施形態では、口用チャンバはビデオ喉頭鏡/喉頭鏡を取り付け、密閉するように構成されている。さらなる実施形態では、口用チャンバはビデオ喉頭鏡/喉頭鏡上に支持できる。
【0060】
さらに別の実施形態では、口用チャンバは1本または2本の延長部を備え、患者の鼻孔の一方または両方に挿入して鼻孔を密閉でき、ガスの漏れを防ぎ、上記した、また、
図17に示した密閉した鼻用チャンバを不要とすることができる。別の実施形態では、1つ以上のポートを有する、閉鎖し加圧されたシステムにより、酸素の陽圧換気の送達及び上記のように呼気終末二酸化炭素の監視などができるようになる。また、希望であれば、上記したように口用チャンバ、鼻用チャンバのいずれか、または両方のチャンバ内で呼気終末二酸化炭素を1つ以上のポートからサンプリング及び監視してもよい。また、自発呼吸をしている(すなわち自分で呼吸している)患者については、鼻用チャンバを使って持続的気道陽圧法(CPAP)を適用して患者の気道を開存した状態に保ち、一方で、口用チャンバはいかなるガスも口から漏れることがないように防ぐと共に、患者の気道内部の圧力を維持する。
【0061】
さらなる実施形態では、口用チャンバが患者の鼻孔を閉塞して加圧ガス供給部に接続されている場合、患者が自発的に呼吸をしていれば、CPAPを使って患者の気道を開存(開放)した状態に保つ。
【0062】
口用マスクの別の態様は、気管内チューブが通過でき、気管内チューブを気管まで通すときのガイドとして機能し、気管内挿管を容易とするポートを含む。別の実施形態では、口用チャンバは消化器内視鏡と剛性の気管支鏡を、周囲の密閉を保ちながら通過させることができる1つ以上のポートを有する。
【0063】
さらに別の態様では、ビデオ咽頭鏡/咽頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、剛性の気管支鏡、消化器内視鏡、及び気管内チューブ付き吸引チューブを挿通できるマルチポートガス換気マスクシステムであって、それぞれが鼻用チャンバと口用チャンバを画定する鼻用マスクと口用マスクを有し、望ましい実施形態では、マスクは、口の頂点に隣接する箇所の接触部を密閉して、鼻用マスクと口用マスクを別々に使用し、鼻用マスクでは、酸素供給と換気を行い、口用マスクは、密閉を保ってクローズドシステムを提供するようにしたマルチポートガス換気マスクシステムを提供する。また、フェイスマスクを患者の上に保持するためのマスクアンカーも提供する。患者の後頭部に嵌めるヘッドサポートと、マスクを患者の顔に取り付けるときにマスクに直接または間接的に取り付ける患者の頭部の後から患者の頭部に接触して延びる前頭部のストラップとを備え、ストラップを締め付けることによってシールを形成し、陽圧換気を行うことも、緩めておいて、補足の酸素を提供するようにしてもよい。また、伸張可能な第1の伸張可能ストラップ部と、第1の伸張可能ストラップ部の端部に固定された第2と第3の非伸張ストラップ部と、第2と第3の非伸張ストラップ部を引っ張って、伸張可能ストラップ部に張力を与えると、ストラップシステムの長さを固定する接着部とを備える麻酔マスクストラップシステムも提供する。
【0064】
また、口用換気マスクは、喉頭鏡と気管内チューブを収容し、その周りを密閉するためのポートを有する可撓性の膜を有するように示しているが、膜は、臨床医が喉頭鏡または気管内チューブを導入するために穿刺でき、喉頭鏡または気管内チューブの周りを自己密閉する、可撓性自己密閉材料で形成してもよい。
【0065】
他の変更も可能である。例えば、フルフェイスマスクまたは口専用マスクを密閉膜と共に設け、喉頭鏡または他の機器を導入できるようにしてもよい。
【0066】
本発明のさらに別の態様では、呼吸鼻用及び/またはフルフェイスマスクと呼吸回路アセンブリを改良している。この10年間で中程度、及び強度の鎮静処置の数が劇的に増えている(年間数百万回行われている)。鎮静の場合は、患者の肉体的及び心理的な苦痛の経験を制限するために鎮静薬を使用する。しかし、これらの鎮静薬は筋肉を弛緩させ、気道を開いた状態に保つ(すなわち上気道閉塞)ため、気道が塞がれ、患者が呼吸できなくなる可能性がある。また、鎮静薬の量が予想より多かった場合には、呼吸困難に繋がる可能性もある。
【0067】
現在のプラクティスでは、患者の血中酸素レベルを酸素飽和レベル、またはそれに近いレベルに維持するため、補給酸素マスクと二酸化炭素(CO2)モニタを使用することを推奨している。しかし、これらの装置では、患者は、酸素飽和度の低下(血中酸素レベルの低下)などのような生命を脅かす合併症を発症する可能性がある。
【0068】
一般的に、臨床医は、患者の鼻と口の上に持続的気道陽圧法(CPAP)マスクを置いて可能な上気道閉塞を解放するか、換気マスクを患者の口と鼻の上において患者がいくつかの再呼吸防止呼吸回路(Mapleson、Bain、Magill及びLack、Jacson Reesなど)のうちの1つを使ってバッグマスク換気を行う。しかし、内視鏡検査、経食道心エコー検査(TEE)、及び気管支鏡検査法などのような多くの処置では、外科医が患者の口にアクセスしなければならず、これにより、臨床医がこの救命技術を使うことができなくなる。よって、現在の再呼吸防止呼吸回路の主な欠点の1つは、患者の鼻と口を覆う、換気式フルフェイスマスクと共に使用しなければならないということである。
【0069】
本発明は、前記の再呼吸防止呼吸回路と他の従来技術の呼吸回路を改良し、上気道閉塞を解放する鼻のCPAPあるいは、加圧された呼吸回路を介して補給酸素に接続して鼻または鼻/口バッグマスク換気を行う鼻のNIPPVのいずれかを提供することによって、中程度及び強度の鎮静処置中に、患者が不飽和化し、無呼吸になる問題の解決を助けるものである。
【0070】
さらに詳しくは、本発明は、非限定的に、部分的再呼吸麻酔回路と再呼吸防止麻酔回路を制御可能な再呼吸防止呼吸回路を含む改良された呼吸回路を提供する。呼気収集チューブに直接接続された、あるいは、呼気収集チューブとは完全に別体の新鮮ガス供給ラインを備え、呼気収集チューブの一端が鼻用換気マスク、2つのチャンバ(着脱式口用チャンバを有する鼻用チャンバ)換気式フルフェイスマスク、または口用シール/スカベンジャを有する鼻用換気マスクのいずれかに接続され、他端がバッグ壁を有する可撓性リザーバに接続された非呼吸呼吸回路を提供する。新鮮ガスラインの一端は、呼気収集チューブに直接接続するか、あるいは鼻用マスクまたはフルフェイスマスクに別々に接続し、他端を新鮮ガス供給部に接続することができる。バッグは第1の方向のガス流の通路を画定する。バッグは、ガス出口と入口を有し、出口は、第2の方向にガスが流れる通路を画定する呼気収集チューブと連通している。バッグの壁の少なくとも一部は収集管の側部を超えて延在し、ガス流の第1と第2の方向は、略平行であるとともに横方向に互いにオフセットしている。あるいは、呼気収集チューブは、リザーババッグの外表面に取り付けられる。本発明は、陽圧を維持するためのシールを形成するのに使用することができる再利用可能、あるいは使い捨て再呼吸防止呼吸回路を鼻用マスク、フルフェイスマスク、あるいは鼻/口用マスク構成のいずれかに接続可能であり、同時にビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、剛性の気管支鏡、消化器内視鏡、あるいは吸引チューブのようなツールを挿通させることができる。
【0071】
よって、本発明の別の態様は、ブローバイフローの持続的気道陽圧法(CPAP)または非侵襲的間欠的陽圧換気療法(NIPPV)を使ってガスを患者に鼻または鼻と口の両方を介して送達し、患者が排出したCO2を含むガスと麻酔ガスを、呼気収集チューブを介して取り除くことができる呼吸システムを提供する。回路を、患者を一つの場所から別の場所に移動させるための、あるいは、手術室で使用する補助的な壁酸素に接続された、またはGIスイート、心臓カテーテル検査室、MRIもしくは気管支鏡スイートのような処置室で使用する、酸素タンクとともに使用してもよい。可撓性リザーババッグは、第1の方向のガス流の通路を画定し、バッグはガス出口と入口を有し、バッグ出口は、第1と第2の方向にガスが流れる通路を画定する呼気収集チューブと連通している。本発明の一実施形態では、バッグの壁の少なくとも一部は呼気収集チューブの側部を超えて延在し、ガス流の第1と第2の方向は、略平行であるとともに横方向に互いにオフセットしている。
【0072】
また、本発明は、マスクを通して患者に酸素を送達させる再利用可能または使い捨てのいずれかが可能であり、鼻用マスク、フルフェイスマスク、あるいは口用マスクと鼻用マスクが別体で構成された鼻用マスクと口用マスクのセットのいずれかと接続する再呼吸防止呼吸回路であって、フルフェイスマスクまたは口用マスクは、陽圧を維持する一方、同時にビデオ咽頭鏡/咽頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、剛性気管支鏡、消化器内視鏡、及び/またはガスを掃気する吸引チューブなどのツールを通すことができるバルブ付きコネクタまたは膜シールを含む、再呼吸防止呼吸回路を提供する。
【0073】
また、本発明は、マスクを通して患者に酸素を送達する再呼吸防止呼吸回路であって、ブローバイフローの持続的気道陽圧法(CPAP)または非侵襲的間欠的陽圧換気療法(NIPPV)を使ってガスを患者に患者の鼻または患者の鼻と口を介して送達し、患者が排出したガスを口用スカベンジャまたは圧力解放バルブを介して取り除くことができる再呼吸防止呼吸回路も提供する。
【0074】
上記の再呼吸防止呼吸回路を、患者を一つの場所から別の場所に移動させるための、あるいは、手術室で使用する補助的な壁酸素に接続された、またはGIスイート、心臓カテーテル検査室、MRI及び気管支鏡スイートのような処置室で使用する、携帯用酸素タンクと組み合わせて使用してもよい。このような実施形態では、好ましくは、新鮮ガスラインと、呼気収集チューブは、フルフェイスの2つのチャンバを結合した鼻口用フェイスマスクの鼻用チャンバ部に接続し、口用チャンバは着脱式であり、鼻用チャンバを患者に残し、鼻用CPAP及び鼻用NIPPVに使用でき、同時に、外科医が患者の口にアクセスして処置を行うことができる。
【0075】
また、本発明は、マスクを通して酸素を患者に送達するための再呼吸防止呼吸回路システムであって、新鮮ガスラインと呼気収集チューブラインが鼻用CPAP及び鼻用NIPPVで使用する鼻用マスクに接続され、前記システムは、さらに、別体の口用マスクを備え、口用マスクは、ビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、気管内チューブ付きの光ファイバ気管支鏡、及び/または吸引チューブのようなツールを挿通させることができるバルブ付きコネクタまたは膜シールを有する再呼吸防止呼吸回路システムを提供する。
【0076】
本発明のさらに別の実施形態では、マスクを通して酸素を患者に送達させるための再呼吸防止呼吸回路であって、新鮮ガスラインと呼気収集チューブが、鼻用マスクに、あるいはビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、気管内チューブ及び/または吸引チューブを有する光ファイバ気管支鏡、口用マスクが鼻用マスクから離脱可能な鼻用/口用コンビネーションマスク、または口用マスクと鼻用マスクが別体である口用マスクと口用マスクのセットなどのようなツールなどのようなツールが挿通できるバルブ付きコネクタまたは膜シールを有するフルフェイスマスクに直接接続されており、口用マスクは、ビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、気管内チューブ付き光ファイバ気管支鏡などのようなツールを挿通できるバルブ付きコネクタまたは膜シールを有する再呼吸防止呼吸回路を提供する。
【0077】
上記の多様な実施形態において、マスクは、ガスを掃気するためのポート及び/または呼気終末CO2モニタに接続するための呼気終末CO2ポートを含む呼気収集チューブ及び/またはCO2を吸収するためのフィルタを含んでいてもよい。
【0078】
図20を参照すると、再呼吸防止呼吸回路を示しており、新鮮ガスライン912が鼻換気マスク920の呼気ポート914に接続されている。呼気収集チューブ916も一端が呼気ポート914に接続され、他端がリザーババッグ918に接続されている。このような構成により、再呼吸防止呼吸回路は、鼻用CPAPと鼻用NIPPVが可能となり、一方、同時に外科医が患者の口922にアクセスして処置を行うことができるようになり、すなわち、ビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、剛性気管支鏡、消化器内視鏡、または吸引チューブなどのようなツールを挿通させることができるようになる。
【0079】
本発明の別の実施形態を
図21に示すが、新鮮ガスライン912が鼻用マスク928の呼気ポート914に接続され、その鼻用マスクは本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願による着脱式の口用換気マスク930に接続される。このような構成により、口用換気マスク930は取り外すことができ、鼻用マスク928を患者に残して鼻用CPAPや鼻用NIPPVに使用し、一方同時に外科医が患者の口にアクセスして所望の処置、例えば、内視鏡検査法などを行うことができる。また、この実施形態では、呼気終末CO
2サンプリングライン932を鼻用マスク928の呼気ポート914に接続する。
【0080】
本発明のさらに別の実施形態を
図22に示すが、別体の鼻用マスク928と口用マスク940を備えている。新鮮ガスライン912は
図20の場合のように呼気ポート916に接続されて、鼻用マスク920に接続される。図示では、口用マスク940は、内視鏡や、ビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、または吸引チューブなどのような他のツールの挿通を収容し、一方向バルブ付きコネクタまたは膜シールのいずれかを含む1つ以上のポート942を備え、同時にツールを密閉してツールの周辺のガスの漏れを防ぐ。口用マスク720も呼気ガスを掃気するのに使用することができる。
【0081】
図23に示す本発明のさらに別の実施形態は、
図21に示す鼻/口用コンビネーションマスクの鼻用マスク部に類似している。本発明のさらに別の実施形態を
図24に示す。
図24の実施形態では、マスクは、鼻用マスク950と口用マスク960を含む2ピースフェイスマスクを備え、非呼吸回路ポート952と酸素ポート954を含み、
図21に示す口用換気マスク930に類似した口用換気マスク960を支持する1つまたは取り付けポート956を含む。あるいは、口用換気マスク960は
図18に示す口用換気マスク802に類似して、ビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、気管内チューブ付き光ファイバ気管支鏡、吸引ツールなどのようなツールの挿通を可能にして、ツールを密閉し、その周囲のガスの漏れを防ぐ膜シールを備えていてもよい。
【0082】
必要に応じて、別体の呼気終末CO2サンプリングライン958及び/またはガススカベンジャを設け、非再呼吸回路ポート収集チューブ916に接続してもよい。
【0083】
本発明の特徴及び利点は、新鮮ガスライン912が完全に呼気ラインから別体となっていることである。これにより、ポート952を介して呼気終末CO2監視が可能となり、また、新鮮ガスラインが呼気収集チューブに一体化されなくてもよいため、製造が容易にもなる。
【0084】
本発明を再呼吸防止呼吸回路に関連して説明してきたが、本発明は、有利に制御可能な部分再呼吸回路と、再呼吸防止麻酔回路と共に使用してもよい。本発明は、陽圧を維持するためのシールを形成するのに使用することができる再利用可能、あるいは使い捨ての再呼吸防止呼吸回路を鼻用マスク、フルフェイスマスク、あるいは鼻/口用マスク構成のいずれかに接続可能であり、同時にビデオ喉頭鏡/喉頭鏡、気管内チューブ、光ファイバ気管支鏡、剛性の気管支鏡、消化器内視鏡、あるいは吸引チューブのようなツールを挿通させることができる。
【0085】
他の実施形態では、マスクを圧力調整または低流量CPAPと共に使用し、フルフェイスマスクを(1)アタッチメント、(2)マスク内への組み込み、または(3)ベンチレータまたは麻酔器として、圧力を損失することなく鼻用マスクに接続できるようにしてもよい。
【0086】
さらに別の実施形態も可能である。例えば、バクテリアまたはCO2フィルタをマスクコネクタに組み込んでもよい。また、圧力レリーフを有するポップオフバルブをO2ポートに設けてもよい。また、必要に応じて噴霧またはエアロゾル化薬剤をO2ポートを介して射出してもよい。また、O2ポートに一方向バルブを、呼吸を提供する人のために設けてもよい。
【0087】
本発明は、補給O2タンクに接続できるCPAPに対する鼻用マスクに変換できる唯一のフルフェイスマスクであり、O2ポストと換気ポストを最低限の漏れで同時に使用できる高流量O2機能を提供する唯一の陽圧換気マスクである。
【0088】
最後に、本発明は、使い捨て可能な持続的気道陽圧法(CPAP)システムのための新しい構成である。使い捨て可能な持続的気道陽圧法(CPAP)システムは、連続的ガス流(すなわち酸素)を、圧力をマスク内で構築できる、閉鎖され調整されたシステム(すなわちマスク)に与えることによって機能する。そしてこの圧力は、患者の気道に伝達され、持続的気道陽圧法を適用するのに使用できる。これは、典型的には閉塞性睡眠時無呼吸や鎮静からの上気道閉塞のいずれかを有する患者に使用される。
【0089】
本発明は、持続的に全時間マスク内の圧力を維持しつつ、鼻用CPAPマスクからフルフェイスマスクCPAPマスクへ、またはその逆に変換可能であるという点が特徴的である。また、鼻用マスクの補給酸素ポートも、排出ポートとして使用して二酸化炭素の再呼吸を防止することができる点でもユニークである。
【0090】
好ましい実施形態において、鼻用CPAPマスクは、回路ポートと排出ポート、1つ以上の取り付けポートと、PEEPバルブを接続するアダプタと、マスクへの補給酸素を有する鼻用マスクを備える。
【0091】
別の好ましい実施形態では、1つ以上の取り付けポートは、鼻用チャンバに取り付けたときに口用チャンバのプロボーシスに係合されるダックビルバルブのようなクロージャを備える。
【0092】
本発明はまた、上記のような鼻用マスクと着脱式口用マスクを備える使い捨てCPAPシステムを提供する。
【0093】
図25に示すのは、使い捨て可能な持続的気道陽圧法(CPAP)システムと手動蘇生システムを組み合わせた構成である。この構成は、下記を備える。2つのポート、回路ポート1012と排気ポート1014とを有し、ダックビルバルブを含み得る1つ以上の取り付けポート1016を有する鼻用チャンバまたは鼻用マスク1010と、呼気圧(PEEP)バルブ1020の陽圧側端部に接続し、補給酸素源をチューブ1024を通して接続する補給酸素ポート1022を有するPEEPバルブアダプタ1018である。回路ポート1012は、アダプタ1018に取り付けられ、それが今度は陽圧端呼気圧(PEEP)バルブ1020に取り付けられて、ある範囲の背圧をかけてステントが閉塞した気道を開く手助けをし、肺胞を開放した状態とし、持続的気道陽圧法(CPAP)のソースとして作用する。鼻用マスク1020内の排気ポート1014は大気に開放され、窒息を防止するよう機能する。排気ポート1014が大気に開放されているため、患者はそこから息を吸ったり吐いたりできる。また、これは二酸化炭素(CO
2)の再呼吸を防ぐ。この構成を手動蘇生装置として使用して間歇的に排気ポート1014を覆い、装置の中で圧力が構築され、排気ポートのカバーを取り外し、息を吐き出すことができるようになる。
【0094】
鼻用マスク1010のポート116内のダックビルバルブは3つの機能を有している。その第1の機能は、患者に大きな抵抗なく呼吸ができるようにするための吸入バルブとしてである。その第2の機能は、息を吐いた時に密閉することであり、これにより、過度な漏れを防ぎ、陽圧を維持することができる。その第3の機能は、異なるアクセサリの取り付けができるようにすることである。例えば、
図26に示すように、口用チャンバ1021はダックビルバルブ1016に取り付けることができる。口用チャンバ1026の内部にはプロボーシス(図示せず)が設けられており、それらをダックビルバルブ1016に挿入すると、ダックビルバルブは開く、すなわち、本発明者らの前述の’934、’277、及び’341PCT出願に記載のとおりである。これにより、鼻と口両方を通る流れを可能とし、使い捨ての鼻用CPAPから使い捨てのフルフェイスマスクCPAPに変換することができる。
【0095】
PEEPバルブアダプタ1018は2つの機能を有する。第1の機能は、酸素補給ポート1022を内部に有することである。酸素補給ポートは、酸素補給チューブを介して酸素を補給源に接続するためのものである。これは、酸素(すなわちガス流)を鼻用マスクに供給し、マスク内で圧力が構築できるようにするものである。アダプタの第2の機能は、PEEPバルブ1020を接続することである。PEEPバルブ1020は、患者がそれに抗して息を吐かなくてはならない抵抗である。PEEPバルブ820は、例えば、0cmH2Oから30cmH2Oまで調整可能である。
【0096】
図26には、本発明による使い捨てCPAPシステムがフルフェイスマスクCPAPシステムに変換された状態を示す。口用チャンバ1026は2本のプロボーシスを内部に有する。口用チャンバのプロボーシスが、鼻用チャンバのダックビルバルブ1016の中に挿入されると、ダックビルバルブ1016は、開放され、患者の鼻と口の両方を通る流れを許容するので、鼻用CPAPマスクからフルフェイスマスクCPAPに変換される。利点は、マスクの内部の圧力を、マスクを取り外したり、フルフェイスマスクに交換したりすることなく維持することができるという点である。
【0097】
本発明のその精神と範囲にもとることなく様々な変更を行うことができる。一例として、本発明者らの’973、’277、及び’341PCT出願で説明するように、また、上記のSuperNO2VA(登録商標)マスクとして市販されているように、鼻/口用コンビネーションマスクの鼻用マスク部は、取り付けポートダックビルバルブを含み、アクセサリとアタッチメントを受容するのに有効である一方、他のバルブも鼻用マスクに組み込むことができる。また、取り付けポートは自動的に閉じるバルブを含む必要がない。実際、単純な着脱式プラグまたは破れやすい膜をバルブの代わりに採用することができる。よって、患者の上唇上に位置する1つ以上の密閉可能なポートを有する鼻用マスクであれば、上記のような各種のアタッチメント及びアクセサリを支持するのに有利に適用可能である。また、呼気終末CO2測定の場合には呼気スクープは、従来の下部鼻用マスクに直接固定または一体に形成して患者の上唇に隣接して位置させることができる。本発明の精神と範囲から逸脱することなく、さらに他の変更も可能である。
【符号の説明】
【0098】
662 プロボーシス
666 鼻用マスク
672 CO2ポート