(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】電気的相互接続構造、電子装置及びその作製方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/768 20060101AFI20230421BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20230421BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20230421BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20230421BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H01L21/90 B
B81C1/00
B81B7/02
H01L21/285 C
(21)【出願番号】P 2021118981
(22)【出願日】2021-07-19
【審査請求日】2021-07-19
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522071603
【氏名又は名称】エーエーシー テクノロジーズ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】シュロティ エス.エヌ.バラドワジャ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー クロスウェル メイリング
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-332421(JP,A)
【文献】特開2015-185792(JP,A)
【文献】特開2007-042741(JP,A)
【文献】特開平04-293256(JP,A)
【文献】特開2000-091428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/768
B81C 1/00
B81B 7/02
H01L 21/285
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的相互接続構造であって、
結合金属と、
前記結合金属の一方側に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層の前記結合金属から離間する側に位置する第2誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1誘電体層を貫通する第1貫通孔を含み、前記第1貫通孔には、前記結合金属が露出し、前記第1貫通孔には、前記結合金属に電気的に接続される第1導電材が充填され、
前記第2誘電体層は、第2貫通孔を含み、
前記第2貫通孔には、前記第1導電材に電気的に接続される第2導電材が充填され、前記第2貫通孔に充填される前記第2導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影を覆
い、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との高さの和は、9μm以上であり、
前記第1貫通孔のアスペクト比は、3:1~4:1であることを特徴とする電気的相互接続構造。
【請求項2】
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔は、いずれもテーパ状の貫通孔であり、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の側壁と前記電気的相互接続構造の厚さ方向との夾角は、0°~20°であることを特徴とする請求項1に記載の電気的相互接続構造。
【請求項3】
前記第1導電材は、タングステン又は銅を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気的相互接続構造。
【請求項4】
前記第1誘電体層の厚さは、3.5μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気的相互接続構造。
【請求項5】
前記第2誘電体層の厚さは、5.7μm~5.8μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気的相互接続構造。
【請求項6】
前記第2誘電体層は、積層設置される第1サブ誘電体層及び第2サブ誘電体層を含み、前記第1サブ誘電体層は、前記第2サブ誘電体層と前記第1誘電体層との間に位置し、
前記第1サブ誘電体層の厚さは、0.2μm~0.3μmであることを特徴とする請求項
5に記載の電気的相互接続構造。
【請求項7】
前記第2サブ誘電体層の厚さは、5.5μmであることを特徴とする請求項
6に記載の電気的相互接続構造。
【請求項8】
電子装置であって、
電子デバイスと、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の電気的相互接続構造と、を含み、
前記電気的相互接続構造は、前記電子デバイスに電気的に接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
前記電子デバイスは、MEMSデバイスを含み、
前記電子装置は、基板をさらに含み、前記MEMSデバイスは、前記基板の一方側のキャビティ中に位置し、
前記電気的相互接続構造は、前記キャビティの前記基板から離間する側に位置することを特徴とする請求項
8に記載の電子装置。
【請求項10】
前記第2誘電体層は、積層設置される第1サブ誘電体層及び第2サブ誘電体層を含み、前記第1サブ誘電体層は、前記第2サブ誘電体層と前記第1誘電体層との間に位置し、
前記第1誘電体層及び前記第1サブ誘電体層は、通風孔を含み、
前記第2サブ誘電体層は、前記通風孔に充填され、
前記通風孔に充填される前記第2サブ誘電体層の前記基板の所在する平面での正投影は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記基板の所在する平面での正投影とは、重ならないことを特徴とする請求項
9に記載の電子装置。
【請求項11】
電気的相互接続構造の作製方法であって、
結合金属を形成することと、
前記結合金属の一方側に第1誘電体層を形成することと、
前記第1誘電体層を貫通する第1貫通孔であって、前記結合金属が露出する第1貫通孔を前記第1誘電体層に形成することと、
前記第1貫通孔を充填する第1導電材であって、前記結合金属に電気的に接続される第1導電材を形成することと、
前記第1誘電体層の前記結合金属から離間する側に第2誘電体層を形成することと、
前記第2誘電体層に前記第2誘電体層を貫通する第2貫通孔を形成することと、
前記第2貫通孔を充填する第2導電材を形成することと、を含み、
前記第2貫通孔に充填される前記第2導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影を覆い、前記第2導電材は、前記第1導電材に電気的に接続され
、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との高さの和は、9μm以上であり、
前記第1貫通孔のアスペクト比は、3:1~4:1であることを特徴とする電気的相互接続構造の作製方法。
【請求項12】
前記第1導電材は、タングステン又は銅を含むことを特徴とする請求項
11に記載の電気的相互接続構造の作製方法。
【請求項13】
前記第1導電材は、タングステンを含み、前記第1貫通孔を充填する前記第1導電材を形成する方法は、化学気相成長により六フッ化タングステンを堆積して前記第1導電材を形成することを含むことを特徴とする請求項
12に記載の電気的相互接続構造の作製方法。
【請求項14】
電子装置の作製方法であって、
電子デバイスを作製することと、
請求項
11~
13のいずれか1項に記載の電気的相互接続構造の作製方法を用いて前記電気的相互接続構造を形成することと、を含み、
前記電気的相互接続構造は、前記電子デバイスに電気的に接続されていることを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項15】
前記電子デバイスは、MEMSデバイスを含み、前記第2誘電体層は、積層設置される第1サブ誘電体層及び第2サブ誘電体層を含み、前記第1サブ誘電体層は、前記第2サブ誘電体層と前記第1誘電体層との間に位置し、
前記電子デバイスを作製し、且つ前記電気的相互接続構造を形成する方法は、
基板の一方側に犠牲層及びMEMSデバイスを形成することと、
前記犠牲層の前記基板から離間する側に結合金属を形成することと、
前記結合金属の前記基板から離間する側に第1誘電体層を形成することと、
前記第1誘電体層を貫通する第1貫通孔であって、前記結合金属が露出する第1貫通孔を前記第1誘電体層に形成することと、
前記第1貫通孔を充填する第1導電材を形成することと、
前記第1誘電体層のMEMSデバイスから離間する側に第1サブ誘電体層を形成することと、
前記第1サブ誘電体層及び前記第1誘電体層を貫通する通風孔を形成することと、
前記通風孔により前記犠牲層を除去することで、前記MEMSデバイスを取り囲むキャビティを形成することと、
前記第1サブ誘電体層の前記基板から離間する側に、前記通風孔に充填される第2サブ誘電体層を形成することと、
前記第1サブ誘電体層及び前記第2サブ誘電体層を貫通する第2貫通孔を形成することと、
前記第2貫通孔に充填される第2導電材を形成することと、を含み、
前記第2貫通孔に充填される前記第2導電材の前記基板の所在する平面での正投影は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記基板の所在する平面での正投影を覆い、前記第2導電材は、前記第1導電材に電気的に接続されていることを特徴とする請求項
14に記載の電子装置の作製方法。
【請求項16】
XeF
2、SF
6、炭素フッ素化合物、アッシング酸素又はアッシングオゾン、或いはHFとCH
3OHとの混合物のいずれか1つ又は複数を用いて前記犠牲層を除去することを特徴とする請求項
15に記載の電子装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスの技術分野に関し、特に電気的相互接続構造、電子装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(Micro Electro―Mechanical Systems、以下、MEMSと略称)デバイス、例えば、ジャイロスコープ、加速度計、圧力センサ、ガスセンサなどは、益々広く注目されている。MEMSデバイスを駆動し、また、MEMSデバイスの出力信号を伝送するために、通常、MEMS装置の絶縁層に導電材が充填された貫通孔を設けることで、導電構造の相互接続を図る。しかし、貫通孔の設置プロセスをMEMSデバイスの作製プロセスに統合するには、大きなリスクが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記事情に鑑みて、本発明の実施例は、電気的相互接続構造、電子装置及びその作製方法を提供し、MEMSデバイスを封止カプセル化するとともに、MEMS装置と外付け回路との確実な電気相互接続構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明の実施例は、電気的相互接続構造を提供し、当該電気的相互接続構造は、
結合金属と、
前記結合金属の一方側に位置する第1誘電体層と、
前記第1誘電体層の前記結合金属から離間する側に位置する第2誘電体層と、を含み、
前記第1誘電体層は、前記第1誘電体層を貫通する第1貫通孔を含み、前記第1貫通孔には、前記結合金属が露出し、前記第1貫通孔には、前記結合金属に電気的に接続される第1導電材が充填され、
前記第2誘電体層は、第2貫通孔を含み、
前記第2貫通孔には、前記第1導電材に電気的に接続される第2導電材が充填され、前記第2貫通孔に充填される前記第2導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影を覆う。
【0005】
一つの可能な実施形態では、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との高さの和は、9μm以上である。
【0006】
一つの可能な実施形態では、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔は、いずれもテーパ状の貫通孔であり、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の側壁と前記電気的相互接続構造の厚さ方向との夾角は、0°~20°である。
【0007】
一つの可能な実施形態では、前記第1導電材は、タングステン又は銅を含む。
【0008】
一つの可能な実施形態では、前記第1貫通孔のアスペクト比は、3:1~4:1である。
【0009】
一つの可能な実施形態では、前記第1誘電体層の厚さは、3.5μmである。
【0010】
一つの可能な実施形態では、前記第2誘電体層の厚さは、5.7μm~5.8μmである。
【0011】
前記第2誘電体層は、積層設置される第1サブ誘電体層及び第2サブ誘電体層を含み、前記第1サブ誘電体層は、前記第2サブ誘電体層と前記第1誘電体層との間に位置し、前記第1サブ誘電体層の厚さは、0.2μm~0.3μmである。
【0012】
一つの可能な実施形態では、前記第2サブ誘電体層の厚さは、5.5μmである。
【0013】
一方で、本発明の実施例は、電子装置を提供し、当該電子装置は、電子デバイスと、上記電気的相互接続構造と、を含み、前記電気的相互接続構造は、前記電子デバイスに電気的に接続されている。
【0014】
一つの可能な実施形態では、前記電子デバイスは、MEMSデバイスを含み、前記電子装置は、基板をさらに含み、前記MEMSデバイスは、前記基板の一方側のキャビティ中に位置し、前記電気的相互接続構造は、前記キャビティの前記基板から離間する側に位置する。
【0015】
一つの可能な実施形態では、前記第2誘電体層は、積層設置される第1サブ誘電体層及び第2サブ誘電体層を含み、前記第1サブ誘電体層は、前記第2サブ誘電体層と前記第1誘電体層との間に位置し、前記第1誘電体層及び前記第1サブ誘電体層は、通風孔を含み、前記第2サブ誘電体層は、前記通風孔に充填され、前記通風孔に充填される前記第2サブ誘電体層は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記基板の所在する平面での正投影とは、重ならない。
【0016】
さらに、一方で、本発明の実施例は、電気的相互接続構造の作製方法を提供し、当該電気的相互接続構造の作製方法は、結合金属を形成することと、前記結合金属の一方側に第1誘電体層を形成することと、前記第1誘電体層を貫通する第1貫通孔であって、前記結合金属が露出する第1貫通孔を前記第1誘電体層に形成することと、前記第1貫通孔を充填する第1導電材であって、前記結合金属に電気的に接続される第1導電材を形成することと、前記第1誘電体層の前記結合金属から離間する側に第2誘電体層を形成することと、前記第2誘電体層に前記第2誘電体層を貫通する第2貫通孔を形成することと、前記第2貫通孔を充填する第2導電材を形成することと、を含み、前記第2貫通孔に充填される前記第2導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記結合金属の所在する平面での正投影を覆い、前記第2導電材は、前記第1導電材に電気的に接続されている。
【0017】
一つの可能な実施形態では、前記第1導電材は、タングステン又は銅を含む。
【0018】
一つの可能な実施形態では、前記第1導電材は、タングステンを含み、前記第1貫通孔を充填する前記第1導電材を形成する方法は、化学気相成長により六フッ化タングステンを堆積して前記第1導電材を形成することを含む。
【0019】
さらに、一方では、本発明の実施例は、電子装置の作製方法をさらに提供し、当該電子装置の作製方法は、電子デバイスを作製することと、上記電気的相互接続構造の作製方法を用いて前記電気的相互接続構造を形成することと、を含み、前記電気的相互接続構造は、前記電子デバイスに電気的に接続されている。
【0020】
一つの可能な実施形態では、前記電子デバイスは、MEMSデバイスを含み、前記第2誘電体層は、積層設置される第1サブ誘電体層及び第2サブ誘電体層を含み、前記第1サブ誘電体層は、前記第2サブ誘電体層と前記第1誘電体層との間に位置し、前記電子デバイスを作製し、且つ前記電気的相互接続構造を形成する方法は、基板の一方側に犠牲層及びMEMSデバイスを形成することと、前記犠牲層の前記基板から離間する側に結合金属を形成することと、前記結合金属の前記基板から離間する側に第1誘電体層を形成することと、前記第1誘電体層を貫通する第1貫通孔であって、前記結合金属が露出する第1貫通孔を前記第1誘電体層に形成することと、前記第1貫通孔を充填する第1導電材を形成することと、前記第1誘電体層のMEMSデバイスから離間する側に第1サブ誘電体層を形成することと、前記第1サブ誘電体層及び前記第1誘電体層を貫通する通風孔を形成することと、前記通風孔により前記犠牲層を除去することで、前記MEMSデバイスを取り囲むキャビティを形成することと、前記第1サブ誘電体層の前記基板から離間する側に、前記通風孔に充填される第2サブ誘電体層を形成することと、前記第1サブ誘電体層及び前記第2サブ誘電体層を貫通する第2貫通孔を形成することと、前記第2貫通孔に充填される第2導電材を形成することと、を含み、前記第2貫通孔に充填される前記第2導電材の前記基板の所在する平面での正投影は、前記第1貫通孔に充填される前記第1導電材の前記基板の所在する平面での正投影を覆い、前記第2導電材は、前記第1導電材に電気的に接続されている。
【0021】
一つの可能な実施形態では、XeF2、SF6、炭素フッ素化合物、アッシング酸素又はアッシングオゾン、或いはHFとCH3OHとの混合物のいずれか1つ又は複数を用いて前記犠牲層を除去する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例に係る電気的相互接続構造、電子装置及びその作製方法は、積層設置される第1貫通孔及び第2貫通孔を設けることで、第1貫通孔及び第2貫通孔の高さを調整して両者で形成される貫通孔の総高さを調整し、両者で形成される貫通孔の総高さが一定の高さの要求を満たすようにし、例えば、両者の総高さを少なくとも9μmにし、金属面積とプルアップ電極の厚さの比を増加させる。また、貫通孔の高さを増加させることに加え、本発明の実施例は、貫通孔に対して充填を行うことができ、第1貫通孔及び/又は第2貫通孔に対して充填を行うとき、第1貫通孔及び/又は第2貫通孔のアスペクト比に応じて、第1貫通孔及び/又は第2貫通孔に充填される第1導電材及び/又は第2導電材は、隙間なく充填されていてもよいし、隙間充填されていてもよい。第1導電材及び/又は第2導電材に隙間を形成する時、第1導電材及び/又は第2導電材の内部に隙間が埋められ、当該電気的相互接続構造と外部の再分布層との電気的相互接続に影響することを回避する。このようにすることで、第1導電材及び第2導電材を含む材料が貫通孔内部で局所的に堆積することを回避することができる。さらに、本発明の実施例は、このようにすることで、下方寄りに配置される第1導電材及び結合金属をエッチングによる影響から保護することができる。これに加え、本発明の実施例は、このようにすることで、複数の第1貫通孔を設け、そして複数の第2貫通孔を設けることができる。即ち、第1貫通孔及び第2貫通孔を含む貫通孔の密度を変えることができる。MEMS装置は、優れるRF性能を有し、MEMS装置の歩留まりを向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態の技術的解決策をより明確に説明するために、以下に実施形態に必要な図面を簡単に紹介するが、以下の説明の図面は本発明のいくつかの実施形態にすぎないことは明らかである。 当業者であれば、創造的な労力をかけずに、これらの図面から他の図面を得ることができる。
【0024】
【
図1】関連技術におけるMEMS装置の製造過程での断面の模式図である。
【
図2】第1マスク板の一部領域の平面模式図である。
【
図3】第2マスク板の一部領域の平面模式図である。
【
図4】関連技術におけるMEMS装置の製造過程での別の断面の模式図である。
【
図5】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図6】第3マスク板の一部領域の平面模式図である。
【
図7】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図8】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図9】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図10】第4マスク板の一部領域の平面模式図である。
【
図11】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図12】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図13】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図14】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図15】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図16】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図17】関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図18】本発明の実施例に係るMEMS装置の断面の模式図である。
【
図19】本発明の実施例に係る別のMEMS装置の断面の模式図である。
【
図20】本発明の実施例に係るさらに別のMEMS装置の断面の模式図である。
【
図21】本発明の実施例に係るMEMS装置の製造過程での断面の模式図である。
【
図22】本発明の実施例に係るMEMS装置の製造過程での別の断面の模式図である。
【
図23】本発明の実施例に係るMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図24】本発明の実施例に係るMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。
【
図25】本発明の実施例に係るMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面模式図である。
【
図26】本発明の実施例に係るMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面模式図である。
【
図27】本発明の実施例に係るMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面模式図である。
【0025】
なお、これらの図面及び文字記述は、本発明の構想の範囲を何ら限定するものではなく、特定の実施例を参考にして当業者にとっては本発明の概念を説明するものである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の技術的解決手段をよりよく理解するために,以下に図面を参照しながら本発明の実施例を詳細に説明する。
【0027】
説明した実施形態は、すべての実施形態ではなく、本発明の実施形態の一部にすぎないことは明らかである。本発明の実施形態に基づいて、創造的な労力なしに当業者によって得られる他のすべての実施形態は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0028】
本発明の実施形態で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図しない。本発明の実施形態および添付の特許請求の範囲で使用される単数形の「1種」、「前記」及び「当該」は、文脈が他の意味を明確に示さない限り、複数形を含むことも意図される。
【0029】
なお、本明細書において使用される「および/または」とは、関連対象の関連付けを説明するためのものに過ぎず、例えば、Aおよび/またはBは、Aが単独で存在し、AおよびBが混在し、Bが単独で存在するという3つの場合を表すことができる。なお、ここで符号「/」とは、一般に、前後関連オブジェクトが「または」の関係であることを意味する。
【0030】
なお、本願の実施例で説明した「上」、「下」、「左」、「右」等の方位語は、図面に示す角度で記述されたものであり、本発明の実施例を限定するものと理解すべきではない。また、文脈において、一方の要素が他方の要素の「上」または「下」に接続されていると記述される場合には、他方の要素の「上」または「下」だけでなく、中間要素を介して他方の要素の「上」または「下」に間接的に接続されていてもよい。
【0031】
なお、本発明の実施例では、第1、第2等の用語を用いて貫通孔を説明しているが、これらの貫通孔はこれらの用語に限定されるものではない。これらの用語は位置の異なる貫通孔を互いに区別するために用いられる。例えば、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、第1貫通孔を第2貫通孔と称し、同様に、第2貫通孔を第1貫通孔と称してもよい。
【0032】
本発明の実施例を実現する過程では、発明者らは、研究することで、現在、MEMSデバイスに電気的に相互接続するための貫通孔を設ける方法としては、以下のいくつかのものがあるとわかる。
【0033】
第1種の方法
図1に示すように、
図1は、関連技術におけるMEMS装置の製造過程での断面模式図であり、まず、基板1’の一方側に順に第1犠牲層21’、MEMSデバイス3’及び第2犠牲層22’を形成する。そして、第2犠牲層22’の第1犠牲層21’から離間する側に第1結合金属41’を形成する。そして、第1結合金属41’の第2犠牲層22’から離間する側に蓋酸化物層5’を形成する。
【0034】
蓋酸化物層5’の製造が完了後、蓋酸化物層5’をパターニングする。パターニングのプロセスでは、選定されたマスク板の形状は、
図2及び
図3に示す通りである。ここで、
図2に示す第1マスク板61’は、面積が小さい複数の開口を含み(
図2に白い点で示すように)、
図3に示す第2マスク板62’は、面積が大きい開口620’を含む。
【0035】
図1~
図4に示すように、
図4は、関連技術におけるMEMS装置の製造過程での別の断面模式図であり、蓋酸化物層5’が形成された後、
図2に示す第1マスク板61’を、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’に対応して設け、第2マスク板62’を、第1結合金属41’に対応して設ける。第1マスク板61’が有する面積の小さい開口で蓋酸化物層5’に蓋酸化物層5’を貫通する通風孔51’を形成する。通風孔51’は、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’をエッチングするために用いられて、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’のある位置にキャビティ7’を形成し、MEMSデバイス3’を解放する。第2マスク板62’が有する面積の大きい開口で蓋酸化物層5’に蓋酸化物層5’を貫通し、且つ第1結合金属41’を露出させる貫通孔52’を形成する。
【0036】
第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’を除去してキャビティ7’を形成した後、
図5を参照すると、
図5は、関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面の模式図である。蓋酸化物層5’の上方に封止層8’が形成されている。例示的に、蓋酸化物層5’における通風孔51’を封止するために、封止層8’は、酸化物又は窒化物によって形成されてもよい。
図5に示すように、封止層8’は、製造完了後、上記貫通孔52’を充填する。例示的に、封止層8’の製造は、保形プロセスを採用してもよく、即ち、在封止層8’の製造完了後、封止層8’の表面は、蓋酸化物層5’の表面形状と類似する形状に形成される。
図5に示すように、封止層8’は、貫通孔52’に対応する位置に、凹み構造80’を有する。
【0037】
封止層8’の製造完了後、
図6に示す第3マスク板63’を用いて、封止層8’をパターニングして、第1結合金属41’を露出させる。選択可能に、第3マスク板63’の開口630’の面積は、第2マスク板62’の開口620’の面積よりもやや小さくてもよく、これによって、封止層8’に形成される貫通孔81’の面積を凹み構造80’の表面積よりも小さくして、MEMS装置に
図7に示す階段状を有する貫通孔を形成する。この過程では、第1結合金属41’の表面にTiNがある場合、TiNを除去するエッチングステップを追加してTiNを除去してもよく、上記エッチングステップの時間が長い場合、TiNを除去するエッチングステップを省略してもよい。
【0038】
それに続いて、貫通孔81’に導電材を充填し、再分布層(Redistribution Layer、以下RDLと略称する)の作製を継続して、第1結合金属41’及びRDLを接続し、このMEMS装置を外付け回路に接続することで、MEMSデバイスを駆動し、MEMSデバイスが出力する信号を伝送する。
【0039】
選択可能に、
図7に示すように、凹み構造80’及び貫通孔81’は、基板にほぼ垂直な側壁を有してもよい。
【0040】
例示的に、
図2に示す第1マスク板61’及び
図3に示す第2マスク板62’は、一体に統合されてもよい。蓋酸化物層5’に通風孔51’及び貫通孔52’を形成するとき、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching、以下、RIEと略称する)の方式を採用してもよく、RIEを用いる場合、RIEヒステリシス係数を選択することにより、異なる所望のエッチング深さを決定してもよい。例えば、蓋酸化物層5’における小さい寸法に対応する通風孔51’のある領域のエッチング速度を、大きい寸法に対応する貫通孔52’のある領域のエッチング速度よりも小さくすることができる。即ち、通風孔51’のある領域のエッチング一定のヒステリシスを有するようにする。貫通孔52’が、第1結合金属41’に接触し、又はその近傍に位置する際に蓋酸化物層5’に対するエッチングが終了するまで、貫通孔52’のある領域のエッチングは、ヒステリシスをかけない。
【0041】
この方法を用いて、エッチング蓋酸化物層5’に通風孔51’及び貫通孔52’を形成するとき、第1結合金属41’が過剰にエッチングされるおそれがある。
【0042】
第2種の方法
依然として
図1に示すように、第1犠牲層21’、MEMSデバイス3’、第2犠牲層22’、第1結合金属41’及び蓋酸化物層5’を製造する。
【0043】
蓋酸化物層5’の製造完了後、
図2及び
図8に示すように、
図7は、関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面模式図であり、
図2に示す第1マスク板61’を、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’に対応して設け、第1マスク板61’が有する面積の小さい開口で蓋酸化物層5’に、蓋酸化物層5’を貫通する通風孔51’を形成する。通風孔51’は、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’をエッチングするために用いられ、これによって、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’のある位置にキャビティ7’を形成し、MEMSデバイス3’を解放する。
【0044】
第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’を除去してキャビティ7’を形成した後、
図9を参照すると、
図9は、関連技術におけるMEMS装置の製造過程でのさらに別の断面模式図であり、蓋酸化物層5’の上方に封止層8’が形成されてる。例示的に、封止層8’は、酸化物又は窒化物によって形成されてもよく、これによって、蓋酸化物層5’における通風孔51’を封止する。
【0045】
封止層8’の製造完了後、
図10に示す第4マスク板64’を用いて、封止層8’及び蓋酸化物層5’をパターニングして、
図11に示す封止層8’及び蓋酸化物層5’を貫通し、且つ第1結合金属41’を露出させる、テーパ状の形状を有する貫通孔82’を形成する。選択可能に、第4マスク板64’は、フルサイズの結合金属をパターニングする。貫通孔82’の上部開口面積は、下部開口面積よりも大きく、貫通孔82’の側壁とMEMS装置の厚さ方向との夾角は、5°~10°である。
【0046】
封止層8’及び蓋酸化物層5’のエッチングの過程では、第1結合金属41’の表面にTiNがある場合、TiNを除去するエッチングステップを追加してTiNを除去してもよく、上記エッチングステップの時間が長い場合、TiNを除去するエッチングステップを省略してもよい。
【0047】
これからわかるように、この方法を用いて第1結合金属41’が露出する貫通孔を形成することは、1つのエッチングステップにより行うことができる。しかし、この方法を用いると、貫通孔82’の深さを大きく設計することができない。例えば、9μm以上の貫通孔の深さを満たそうとすれば、この方法では実現することができない。
【0048】
第3種の方法
依然として
図1に示すように、第1犠牲層21’、MEMSデバイス3’、第2犠牲層22’、第1結合金属41’及び蓋酸化物層5’を製造する。
【0049】
蓋酸化物層5’の製造完了後、第2種の方法と同じように、
図2及び
図8に示すように、
図2に示す第1マスク板61’を、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’に対応して設け、第1マスク板61’が有する面積の小さい開口で蓋酸化物層5’に蓋酸化物層5’を貫通する通風孔51’を形成する。通風孔51’は、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’をエッチングするために用いられ、これによって、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’のある位置にキャビティ7’を形成し、MEMSデバイス3’を解放する。
【0050】
第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’を除去してキャビティ7’を形成した後、
図9を参照すると、蓋酸化物層5’の上方に封止層8’が形成されている。例示的に、封止層8’は、酸化物又は窒化物によって形成されてもよく、これによって、蓋酸化物層5’における通風孔51’を封止する。
【0051】
封止層8’の製造完了後、第5マスク板(図示せず)を用いて封止層8’及び蓋酸化物層5’をパターニングして、
図12に示す封止層8’及び蓋酸化物層5’を貫通し、且つ第1結合金属41’を露出させる面積の小さい貫通孔83’を形成する。
【0052】
貫通孔83’の作製完了後、
図13を参照すると、封止層8’の基板1’から離間する側に引き続き第2結合金属42’を作製し、第2結合金属42’は、貫通孔83’と重なり、且つ、第2結合金属42’は、貫通孔83’により、第1結合金属41’に電気的に接続される。
【0053】
第2結合金属42’の作製完了後、
図14を参照すると、第2結合金属42’の基板1’から離間する側に順に酸化物層91’、パッシベーション層92’及び感光性ポリイミド(Photosensitive Polyimide、以下、PSPIと略称する)層93’を作製する。そして、第5マスク板を用いて酸化物層91’、パッシベーション層92’及びPSPI層93’をエッチングして第2結合金属42’が露出する貫通孔90’を形成する。それに続き、継続してRDLを形成して、第2結合金属42’により第1結合金属41’に電気的に接続され、このMEMS装置を外付け回路に接続することで、MEMSデバイスを駆動し、MEMSデバイスが出力する信号を伝送する。
【0054】
選択可能に、PSPIは、バンプめっきのためにウェハ上に残されてもよい。
【0055】
この方法を用いる場合、第2結合金属42’と第1結合金属41’との間の垂直距離が9μm程度であれば、幅1.25μm程度の貫通孔83’を形成することは難しい。
【0056】
第4種の方法
図15に示すように、まず、基板1’の一方側に順に第1犠牲層21’、MEMSデバイス3’及び第2犠牲層22’を形成する。この間に、MEMSデバイス3’及び第2犠牲層22’を形成する間に第3結合金属43’を形成し、ここで、第3結合金属43’は、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’を避けて形成される。そして、第2犠牲層22’の基板1’から離間する側に蓋酸化物層5’を形成する。
【0057】
蓋酸化物層5’の製造完了後、蓋酸化物層5’をパターニングする。パターニングのプロセスでは、選定されたマスク板の形状は、
図2及び
図3に示す通りである。ここで、
図2に示す第1マスク板61’は、面積の小さい複数の開口を含み(
図2において黒色のパターンに充填されていない位置に示すように)、
図3に示す第2マスク板62’は、面積の大きい開口620’を含む。
【0058】
引き続き
図15を参照すると、蓋酸化物層5’の形成後、
図2に示す第1マスク板61’を、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’に対応して設け、第2マスク板62’を、第1結合金属41’に対応して設ける。第1マスク板61’が有する面積の小さい開口で蓋酸化物層5’に蓋酸化物層5’を貫通する通風孔51’を形成する。通風孔51’は、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’をエッチングするために用いられ、これによって、第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’のある位置にキャビティ7’を形成し、MEMSデバイス3’を解放する。第2マスク板62’が有する面積の大きい開口で蓋酸化物層5’に蓋酸化物層5’を貫通し、且つ第3結合金属43’が露出する貫通孔53’を形成する。
【0059】
第1犠牲層21’及び第2犠牲層22’を除去してキャビティ7’を形成した後、
図16を参照すると、蓋酸化物層5’の上方に封止層8’が形成されている。例示的に、封止層8’は、酸化物又は窒化物によって形成されてもよく、これによって、蓋酸化物層5’における通風孔を封止する。
図16に示すように、封止層8’の製造完了後、上記貫通孔53’を充填する。例示的に、封止層8’の製造は、保形プロセスを採用してもよく、即ち、封止層8’の製造完了後、封止層8’の表面は、蓋酸化物層5’の表面形状と類似する形状に形成される。
図16に示すように、封止層8’は、貫通孔52’に対応する位置に、凹み構造801’を有する。
【0060】
封止層8’の製造完了後、第6マスク板(図示せず)を用いて、封止層8’をパターニングして、MEMS装置に
図17に示す階段状を有する貫通孔を形成し、第3結合金属43’を露出させる。この過程では、第3結合金属43’の表面にTiNがある場合、TiNを除去するエッチングステップを追加してTiNを除去してもよく、上記エッチングステップの時間が長い場合、TiNを除去するエッチングステップを省略してもよい。しかし、この方法は、リスクもある。
【0061】
これに鑑みて、本発明の実施例は、電気的相互接続構造及び電子装置を提供し、
図18に示すように、
図18は、本発明の実施例に係る電気的相互接続構造を含むMEMS装置の断面模式図であり、ここで、MEMS装置は、基板1と、基板1の一方側に位置するキャビティ8とを含み、キャビティ8内には、MEMSデバイス3が設けられている。
【0062】
電気的相互接続構造は、結合金属4、第1誘電体層5及び第2誘電体層を含む。第2誘電体層は、第1サブ誘電体層7と第2サブ誘電体層9とを含む。結合金属4は、キャビティ8の基板から離間する側に位置し、第1誘電体層5は、結合金属4の基板から離間する側に位置する。第1誘電体層5は、第1誘電体層5を貫通する第1貫通孔50を含み、第1貫通孔50には、結合金属4が露出する。第1貫通孔50には、結合金属4に電気的に接続される第1導電材61が充填されている。
【0063】
第1サブ誘電体層7は、第1誘電体層5のMEMSデバイス3から離間する側に位置する。第1サブ誘電体層7及び第1誘電体層5は、通風孔51を含み、通風孔51をエッチングするエッチング剤の基板1の所在する平面での正投影と、第1貫通孔50に充填される第1導電材61の基板1の所在する平面での正投影とは、重ならない。これにより、エッチング剤により形成される通風孔51の基板1の所在する平面での正投影と、第1貫通孔50に充填される第1導電材61の基板1の所在する平面での正投影とは、重ならない。このMEMS装置を製造する過程では、当該通風孔51は、犠牲材をエッチングするために用いることができる。これにより、犠牲材のある位置にキャビティ8を形成し、MEMSデバイス3を解放する。例示的に、XeF2、SF6、炭素フッ素化合物、アッシング酸素又はアッシングオゾン、或いはHFとCH3OHとの混合物のいずれか1つを選択してエッチング剤として用いることで、犠牲材をエッチングすることができる。但し、エッチング剤は、犠牲層の材料に応じて選択することができ、例えば、犠牲層がポリマーである場合、酸素アッシング法やオゾンアッシング法を用いることができる。
【0064】
第2サブ誘電体層9は、第1サブ誘電体層7の第1誘電体層5から離間する側に位置し、第2サブ誘電体層9は、上記通風孔51を充填し、通風孔51を封止するために用いられる。通風孔51に充填される第2サブ誘電体層9の基板1の所在する平面での正投影と、第1貫通孔50に充填される第1導電材61の基板1の所在する平面での正投影とは、重ならない。第2サブ誘電体層9及び第1サブ誘電体層7は、第2貫通孔90を含む。第2貫通孔90の面積は、第1貫通孔50の面積よりも大きい。第2貫通孔90には、第1導電材61に電気的に接続される第2導電材62が充填されている。第2貫通孔90に充填される第2導電材62の基板1の所在する平面での正投影は、第1貫通孔50に充填される第1導電材61の基板1の所在する平面での正投影を覆う。例示的に、酸化材料を選択して用いることで、第1誘電体層5及び第1サブ誘電体層7を形成することができる。
【0065】
第2導電材62の製造完了後、MEMSデバイスと外付け回路を接続するために、第2導電材62の上方に再分布層を製造することができる。
【0066】
本発明の実施例に係る電気的相互接続構造及びMEMS装置は、積層設置される第1貫通孔50及び第2貫通孔90を設けることにより、第1貫通孔50及び第2貫通孔90の高さを調整することで、両者によって形成される貫通孔の総高さを調整することができ、両者によって形成される貫通孔の総高さが一定の高さの要求を満たすようにし、例えば、両者の総高さを少なくとも9μmとし、金属面積とプルアップ電極の厚さの比を増加させる。また、貫通孔の高さを増加させたうえで、本発明の実施例は、貫通孔に対して充填を行うことができ、第1貫通孔50及び/又は第2貫通孔90に対して充填を行うとき、第1貫通孔50及び/又は第2貫通孔90のアスペクト比に応じて、第1貫通孔50及び/又は第2貫通孔90に充填される第1導電材61及び/又は第2導電材62は、
図18に示すように隙間なく充填されていてもよいし、
図19及び
図20に示すように隙間充填されていてもよい。第1導電材及び/又は第2導電材に隙間を形成する時、第1導電材及び/又は第2導電材の内部に隙間が埋められ、当該電気的相互接続構造と外部の再分布層との電気的相互接続に影響することを回避する。このようにすることで、第1導電材及び第2導電材を含む材料が貫通孔の内部で局所的に堆積することを回避することができる。さらに、本発明の実施例は、このようにすることで、下方寄りに設けられる第1導電材61及び結合金属4をエッチングによる影響から保護することができる。また、これに加え、本発明の実施例は、このようにすることで、複数の第1貫通孔を設け、そして複数の第2貫通孔を設けることができる。即ち、第1貫通孔及び第2貫通孔を含む貫通孔の密度を変えることができる、MEMS装置は、優れるRF性能を有し、MEMSデバイスの歩留まりを向上させる。
【0067】
選択可能に、上記第1貫通孔50及び第2貫通孔90は、いずれもテーパ状の貫通孔であってもよく、即ち、第1貫通孔50及び第2貫通孔90の側壁は、MEMS装置の厚さ方向と一定の夾角をなし、例示的に、この夾角は、0°~20°であってもよい。この角度は、保形性を有する範囲で、後に導電材によって充填されることが可能である。或いは、第1貫通孔50及び第2貫通孔90の側壁を基板に対して垂直に設けてもよい。
【0068】
選択可能に、上記第1導電材61は、タングステン又は銅を含む。
【0069】
例示的に、タングステンを含む材料を第1導電材61として選択して用いるとき、六フッ化タングステンWF6を化学気相成長(Chemical Vapor Deposited、以下、CVDと略称する)する方法により作製することができる。後続の第2導電材62の製造が便利になり、第1導電材61と第2導電材62の接触性能を向上させるために、気相成長が完了後、W―研磨(CPW)の方式を用いて、その表面を平坦化してもよい。
【0070】
選択可能に、上記第1貫通孔50に充填される第1導電材の基板1の所在する平面での正投影及び第2貫通孔90に充填される第2導電材の基板1の所在する平面での正投影の形状は、円形であってもよいし、多角形であってもよく、本発明の実施例は、これに限定されない。例えば、エッチングして第1貫通孔50及び第2貫通孔90を形成するとき、円形の形状に近い六角形の開口を有するマスク板を用いることができ、第1貫通孔50に充填される第1導電材の基板1の所在する平面での正投影及び第2貫通孔90に充填される第2導電材の基板1の位置する平面での正投影の形状を六角形として、後でそれを充填するのに必要な導電材の質量を最小化する。
【0071】
選択可能に、異なる応用シーンに応じて第1貫通孔50のアスペクト比を調整してもよく、例えば、第1貫通孔50のアスペクト比を3:1又は4:1にしてもよい。これにより、導電材で第1貫通孔50を完全に充填し、第1貫通孔50のアスペクト比が大きくなりすぎることによって第1導電材に隙間が生じることを回避する。ここで、第1貫通孔50の高さは、第1誘電体層5の厚さとなる。例示的に、第1誘電体層5の厚さは、異なる応用シーンに応じて調整してもよい。例示的に、第1誘電体層5の厚さを3μm~5μmとしてもよく、例えば、第1誘電体層5の厚さを3.5μmとしてもよい。
【0072】
例示的に、犠牲層の解放エッチングプロセスでは、第1サブ誘電体層7の厚さを調節することで、解放エッチングプロセスに必要なエッチング速度を補償する。例えば、第1サブ誘電体層7の厚さを0.2μm~0.3μmとしてもよい。第1サブ誘電体層7を設けることで、タングステンをXeF2などのエッチング剤によるエッチングステップでの影響から保護することができる。また、W―研磨(CPW)プロセスを行う間に、第1誘電体層5に損失が生じる場合、第1サブ誘電体層7を設けることで、第1誘電体層5の損失を補うことができる。
【0073】
選択可能に、第2サブ誘電体層9の厚さは、電子装置に必要な機械的完全性及び強度に応じて設定してもく、例えば、第2サブ誘電体層9の厚さを5.5μmとしてもよい。
【0074】
選択可能に、異なる電子装置に応じて、第1貫通孔と前記第2貫通孔との高さの和を調整してもよく、例えば、第1貫通孔と前記第2貫通孔との高さの和を9μm以上としてもよい。
【0075】
図18に示すMEMS装置を作製するとき、
図21~
図27に示すように、本発明の実施例は、電気的相互接続構造の作製方法を提供し、当該作製方法は、以下のステップを含む。
【0076】
ステップS1であって、
図21に示すように、まず、基板1の一方側に犠牲層及び電子デバイスを形成する。例示的に、犠牲層は、複数の層を含んでもよい。電子デバイスは、MEMSデバイスであってもよい。具体的に、
図19に示すように、基板1の一方側に順に第1犠牲層21、MEMSデバイス3及び第2犠牲層22を形成する。そして、第2犠牲層22の第1犠牲層21から離間する側に結合金属4を形成する。そして、結合金属4の第2犠牲層22から離間する側に第1誘電体層5を形成する。ここで、第1犠牲層21及び第2犠牲層22の材料として、アモルファスシリコン(aSi)、アモルファスゲルマニウム(aGe)、或いはPVDF、PETなどのポリマーを選択することができる。
【0077】
ステップS2であって、第1誘電体層5の製造完了後、第1誘電体層5をパターニングする。
図22に示すように、第1誘電体層5において第1誘電体層5を貫通する第1貫通孔50を形成し、第1貫通孔50には、結合金属4が露出する。例示的に、エッチングの方法を用いて第1貫通孔50を形成してもよい。
【0078】
ステップS3であって、
図23に示すように、第1貫通孔50を充填する第1導電材61を作製する。選択可能に、CVDを用いて第1貫通孔50を充填するWF
6を形成してもよい。
【0079】
ステップS4であって、
図24に示すように、第1誘電体層5のMEMSデバイス3から離間する側に第1サブ誘電体層7を作製する。選択可能に、第1サブ誘電体層7の厚さは、0.2μm~0.3μmであってもよい。
【0080】
ステップS5であって、
図25に示すように、第1サブ誘電体層7及び第1誘電体層5を貫通する通風孔51を形成する。ここで、通風孔51をエッチングするエッチング剤の基板1の位置する平面での正投影と、第1貫通孔50に充填される第1導電材の基板1の位置する平面での正投影とは、重ならない。通風孔51の作製完了後、通風孔51により、第1犠牲層21及び第2犠牲層22を除去して、MEMSデバイス3を取り囲むキャビティ8を形成する。例示的に、エッチング剤として、XeF
2、アッシング酸素又はアッシングオゾン、或いはSF
6又は炭素フッ素化合物又はHFとCH
3OHとの混合物のいずれか1つを選択してもよい。ここで、犠牲層の材料に応じてエッチング剤を選択しもよい。例えば、犠牲層がポリマーである場合、酸素アッシング法やオゾンアッシング法を用いることができる。第1犠牲層21の材料が、第2犠牲層22の材料と異なれば、順序的又は混合的解放プロセスを用いてもよい。例えば、化学、物理、蒸気系等方性エッチング試薬を用いてエッチングしてもよい。
【0081】
ステップ6であって、
図26に示すように、キャビティ8が形成後、第1サブ誘電体層7の基板1から離間する側に第2サブ誘電体層9を形成する。第2サブ誘電体層9は、上記通風孔51を充填する。選択可能に、第2サブ誘電体層9の厚さは、5.5μmとしてもよい。
【0082】
ステップ7であって、
図27に示すように、第2サブ誘電体層9及び第1サブ誘電体層7を貫通する第2貫通孔90を形成し、第2貫通孔90の面積は、第1貫通孔50の面積よりも大きい。
【0083】
ステップS8であって、
図18に示すように、第2貫通孔90を充填する第2導電材62を形成し、第2導電材62は、第1導電材61に電気的に接続される。第2貫通孔90に充填される第2導電材62の基板1の所在する平面での正投影は、第1貫通孔50に充填される第1導電材51の基板1の所在する平面での正投影を覆う。
【0084】
第2導電材62の製造完了後、第2導電材62の上方に再分布層を製造してもよく、これによって、MEMSデバイスを外付け回路に接続する。
【0085】
本発明の実施例に係るMEMS装置の作製方法は、積層設置される第1貫通孔50及び第2貫通孔90を設けることで、第1貫通孔50及び第2貫通孔90の高さを調整して両者によって形成される貫通孔の総高さを調整することで、両者によって形成される貫通孔の総高さが一定の高さの要求を満たすようにし、例えば、両者の総高さを少なくとも9μmにし、金属面積とプルアップ電極の厚さの比を増加させる。また、貫通孔の高さを増加させることに加え、本発明の実施例は、貫通孔に対して充填を行うことができる。第1貫通孔50及び/又は第2貫通孔90に対して充填を行うとき、第1貫通孔50及び/又は第2貫通孔90のアスペクト比に応じて、第1貫通孔50及び/又は第2貫通孔90に充填される第1導電材61及び/又は第2導電材62は、
図18に示すように隙間なく充填されていてもよいし、
図19及び
図20に示すように隙間充填されていてもよい。第1導電材及び/又は第2導電材に隙間を形成する時、第1導電材及び/又は第2導電材の内部に隙間が埋められ、当該電気的相互接続構造と外部の再分布層との電気的相互接続に影響することを回避する。このようにすることで、第1導電材及び第2導電材を含む材料が貫通孔内部で局所的に堆積することを回避することができる。さらに、本発明の実施例は、このようにすることで、下方に配置される第1導電材61及び結合金属4をエッチングによる影響から保護することができる。これに加え、本発明の実施例は、このようにすることで、複数の第1貫通孔50を設け、そして複数の第2貫通孔90を設けることができる。即ち、第1貫通孔及び第2貫通孔を含む貫通孔の密度を変えることができる、MEMS装置は、優れるRF性能を有し、MEMSデバイスの歩留まりを向上させる。
【0086】
例示的に、当該MEMSデバイス3は、コンデンサであってもよい。
【0087】
選択可能に、本発明の実施例では、MEMSデバイス3は、運動センサ(例えば、ジャイロスコープ又は加速度計)、RF MEMSデバイス(例えば、RFスイッチ、共振器又はフィルタ)、MEMS磁力計、光学MEMSデバイス(例えば、MEMSマイクロ反射鏡)、MEMS発振器、MEMSマイク、圧電素子、熱位相スイッチ、磁性MEMSおよび/または任意の他のMEMSタイプのデバイスであってもよいが、本発明の実施例は、これについて限定しない。
【0088】
上述したのは、本発明の好適な実施の形態に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の修正、均等置換、改良等は、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。