(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/157 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
B23Q3/157 C
B23Q3/157 Y
(21)【出願番号】P 2021186289
(22)【出願日】2021-11-16
【審査請求日】2021-11-17
(32)【優先日】2020-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519025655
【氏名又は名称】臻賞工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】孫穎
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00901878(EP,A1)
【文献】特開昭53-080875(JP,A)
【文献】特開昭60-228045(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111113115(CN,A)
【文献】特開平01-121144(JP,A)
【文献】特開2014-008712(JP,A)
【文献】特開2001-198760(JP,A)
【文献】特開平05-318256(JP,A)
【文献】特開昭58-037384(JP,A)
【文献】実開昭52-143069(JP,U)
【文献】実開昭51-017280(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/157
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジンであって、これにより前記マシニングセンターは少なくとも1個の主軸により加工ツールのツールホルダーを直接取り出しでき、
駆動部材、回転フレームを有し、
前記回転フレームは、中心に回転軸を設置し、円形を呈する周辺側を有し、複数のベースを有し、
前記複数のベースは、前記周辺側に沿って環状排列を呈し、間隔を開けて設置され、
前記駆動部材は、前記回転フレームに連結しかつ連動し、前記回転軸の両端には、前記マシニングセンターを結合する固定台をそれぞれ設置し、
前記回転フレームは、円形で、外径が同じ2個のツールディスクを有し、
前記2個のツールディスクは、前記回転軸を固定して接続し、前記2個のツールディスクの周囲は
、軸方向に沿ってつながる範囲を前記周辺側とし、前記2個のツールディスクは、前記回転軸上で、前記回転軸両端の固定台にそれぞれ接近し、
前記各ベースは、細長い形状を呈し、前記2個のツールディスクを跨いで接続しかつ固定され、
複数のツールクランプは、前記回転軸の軸方向に沿ってパラレル排列され、各前記ベースに設置され、前記ツールホルダーを把持して設置し、
各前記ツールクランプは、2個の挟持体及びピン部材を有し、
各前記挟持体は、それぞれ連接部及び爪部を有し、前記2個の連接部は重なりかつ軸部材により貫通するように設置され、所在のベースにおいてピボット動するように連接され、前記2個の爪部は、前記2個の連接部に従い、相対してピボット動し開閉し、
前記ピン部材は前記軸部材と平行で、前記ピン部材は、所在のベースに設置され、前記ピン部材は、前記軸部材の位置と異なり、前記2個の連接部に通して設置され、前記ピン部材は、軸方向に沿って移動し、所在のベースに相対し、ロック解除ポジション或いはロッキングポジションに位置し、
前記2個の挟持体は、前記ピン部材が前記ロック解除ポジションにある時には、相対してピボット動でき、前記ツールホルダーは前記2個の爪部を開き、取り出され、或いは戻され、前記2個の挟持体は、前記ピン部材が前記ロッキングポジションにある時には、制限されて、相対してピボット動をせず、前記ツールホルダーは、前記2個の爪部に挟持され固定され、
同一のベースの各前記ツールクランプは、ツール把持方向が同一のツールクランプ口を有し、各前記ツールクランプ口は、前記周辺側の接線方向に平行で、所在のツールクランプを貫通し、
各前記ツールクランプに設置されるツールホルダーの加工ツールはすべて所在位置において前記回転フレームの周辺側に寄って伏せた状態を呈することを特徴とする、
多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項2】
前記2個のツールディスクは、第一ツールディスクと第二ツールディスクを有し、前記第一ツールディスクは、複数の軸受を有し、
前記複数の軸受けは、前記回転軸を中心として、等距離に環状排列し、前記駆動部材は、モーターを有し、
前記モーターは、ガイド部材に連結し、各前記軸受は、前記第一ツールディスクに従い回転し、それぞれ前記ガイド部材に接続し、前記モーターは、前記ガイド部材の旋回を連動し、接続する各前記軸
受を導引し、前記第一ツールディスクを駆動し、前記回転軸と前記第二ツールディスクの同期回転を連動することを特徴とする、請求項1に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項3】
前記2個の連接部は共に、ピン孔を有し、前記2個のピン孔の孔径は相等で、かつ前記2個の連接部が重なると正対応し、前記ピン部材により通して設置され、前記ピン部材は、大径セクションと小径セクションを有し、前記大径セクションは、前記2個のピン孔と凡そ等しい径の幅を備え、前記小径セクションの幅は、前記2個のピン孔より小さく、前記ピン部材が前記ロッキングポジションにある時、前記大径セクションにより、2個のピン孔中で2個の挟持体を制限し、相対してピボット動せず、前記ピン部材が前記ロック解除ポジションにある時には、前記小径セクションは、少なくとも1個の前記ピン孔中にありかつ間隙を備え、前記間隙により、前記2個の挟持体は相対してピボット動できることを特徴とする、請求項
1に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項4】
前記各ベースは、ピン槽を有し、
前記ピン槽は、前記ピン部材を収容して設置し、前記ピン部材は、前記ピン槽中において復位弾性部材を接続し、前記ピン部材は、前記復位弾性部材に常態的に押し上げられ、前記ロッキングポジションに位置し、前記ピン部材が前記ロック解除ポジションへと移動すると、前記復位弾性部材は圧縮されて予備力を産生し、前記予備力をピン部材に提供し、ロッキングポジションへと復位させることを特徴とする、請求項
3に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項5】
前記多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジンは、定位台をさらに有し、
前記定位台は、前記2個の連接部上に重ねて設置
され、前記ベースに固定して接続し、前記定位台は、穿孔を有し、
前記穿孔は、前記2個のピン孔に正対応し、前記穿孔と前記小径セクションの幅は等しく、前記ピン部材が前記ロッキングポジションにある時、前記大径セクションは、前記2個のピン孔中に位置し、前記小径セクションは、前記穿孔に位置し、露出セクションを伸ばし、前記露出セクションが前記穿孔に押し入れられると、前記ピン部材は、前記ロッキングポジションより、前記ロック解除ポジションへと移動することを特徴とする、請求項
4に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項6】
前記ピン部材は、開槽を有し、
前記開槽は、前記露出セクションに位置し、ローラーは、前記開槽中で、回転するように露出セクションに設置され、前記ローラーが押されることで、前記露出セクションが前記穿孔中に押し入れられることを特徴とする、請求項
5に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項7】
前記ピン部材は、前記露出セクションの頂端においてガイド角を有し、前記ガイド角は、前記開槽の片側に偏向し、かつ弧状曲線を呈し、前記ローラーは、前記ピン部材の頂端において、前記ガイド角の片側に露出することを特徴とする、請求項
6に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項8】
前記ピン部材は、前記大径セクションの片側において、軸方向に沿って陥没しフラット面を形成し、定位部材は前記ピン槽において、前記ベースの横に設置され、前記フラット面に密着して揃い、これにより前記定位部材により前記ピン部材を制限し、前記ベースに相対して軸方向に沿って移動しても、偏向しないことを特徴とする、請求項
4に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項9】
前記各挟持体は、復位弾性部材を有し、
前記復位弾性部材は、その外側に接続し、少なくとも1個の前記挟持体が、外へとピボット動すると、それが接続する復位弾性部材を圧縮し、かつそれが接続する復位弾性部材の戻りに従い、復位することを特徴とする、請求項
1に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【請求項10】
前記復位弾性部材は、任意の2個の前記ツールクランプの間に設置し、両端は、隣り合う2個のツールクランプの挟持体間にそれぞれ接続し、前記復位弾性部材の一端は、2個の内の1個のツールクランプの挟持体に接続し、反対端は、前記ベース上に設置する停止ブロックに接続することを特徴とする、請求項
9に記載の多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はツールマガジンに関し、特に多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジンに関する。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンターに対応し、加工過程でスムーズにツールを交換するため、通常は対応するツールマガジンを脇に設置する。
常用されるのはカルーセル式、ディスク式、チェーン式、タレット式など形態のツールマガジンで、各加工ツールの収容と設置、及び製造工程計画に対応する。
ツールマガジンは、異なる加工タイプの加工ツールをセットすることで、マシニングセンターが、加工物件の加工過程において、ツールを交換して使用できるため、マシニングセンターにとってなくてはならない重要な装置となっている。
そして、ツールマガジンの設計及び刷新の趨勢は、マシニングセンターそのものを凌ぐ勢いを見せている。
【0003】
従来のツールマガジンとして、特許文献1に開示する「ガントリー型マシニングセンターのツールマガジン旋回ユニット」がある。
特許文献1が開示するのは、ディスク式ツールマガジンであり、ツールディスク上には、周辺側に沿って、環状に排列するツールクランプ部があり、ここにツールを設置することができる。
ツールとツールディスクの軸方向が平行であるため、設置しようとするツールの数が多く、さらにツールの取り出し時に相互に干渉しないことを考慮すれば、ツールディスクは、必然的により大きな直径を必要とし、これによりツールマガジンの体積は増大し、より大きなスペースを占拠することとなる。
【0004】
特許文献2は「ツールポット(登録商標)移出式同期モーション開門ツールマガジン」を開示する。
特許文献2が開示するのは、チェーン式ツールマガジンであり、駆動装置により、チェーンプレートにより構成されるツールチェーンの回転を連動することでツールポットの移動を連動する。
ツールポットと駆動装置の軸方向が平行であるため、ツールポットの数はチェーンプレートが構成するツールチェーンの大きさにより決まる。
そのため、さらに多くのツールポットを設置しようとすれば、ツールチェーンの長さを拡大せざるを得ず、これにより体積も増大し、より大きなスペースを占拠することとなる。
【0005】
従来のツールマガジンには、上述の問題の他に、さらなる問題がある。
特許文献1は、単一主軸のマシニングセンターにおける加工ツールのツール交換にしか適用できず、マシニングセンターが多軸マシニングセンターである時には、2個以上の主軸に同時にツール交換を行わせることができない。
さらに、特許文献2は、2個以上の主軸に同時にツール交換を行わせることができないほか、ツール交換アームを含むツール交換機構がなければ、ツール交換を行うことができず、また直接主軸によってツール交換を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】台湾特許第I658896号明細書
【文献】台湾特許第M534056号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記の先行技術には、多数のツールを設置すればツールマガジンの体積が増大し、また単一主軸のマシニングセンターにおける加工ツールのツール交換にしか適用できないという欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はツールマガジンがドラム式を呈する構造で、加工ツールに設置するツールホルダーをセットでき、さらにマシニングセンターの主軸によりツールを取り出す、或いはツールを戻す動作を行う多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジンに関する。
【0009】
本発明による多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジンにより、マシニングセンターは少なくとも1個の主軸により加工ツールのツールホルダーを直接取り出しでき、駆動部材、回転フレーム、複数のツールクランプを有する。
該回転フレームは中心に回転軸を設置し、さらに円形を呈する周辺側を有し、また複数のベースを有し周辺側に沿って環状排列を呈し、さらに間隔を開けて設置し、駆動部材は回転フレームに連結し、回転を連動する。
該複数のツールクランプは、回転軸の軸方向に沿ってパラレル排列され、各ベースに設置され、ツールホルダーを把持して設置し、同一のベースの各ツールクランプは、ツール把持方向が同一のツールクランプ口を有し、さらに各ツールクランプ口は、該周辺側の接線方向に平行で、所在のツールクランプを貫通し、使各ツールクランプに設置されるツールホルダーの加工ツールはすべて所在位置において該回転フレームの周辺側に寄って伏せた状態を呈する。
【0010】
以上により、本発明のツールマガジンは、複数のベースが円形周辺側の回転フレームにおいて環状排列を呈し、さらに各ベースは複数のツールクランプを有しパラレル排列で設置される。よって回転フレームの周辺側すべてがツールクランプで、さらにツールクランプのツールクランプ口は、回転フレーム周辺側の接線方向に平行に貫通し、これにより設置されるツールホルダーの加工ツールはすべて回転フレームに寄る。この構造によって、回転フレームは長さ或いは直径をいくらか拡大するだけで、回転フレームの周辺側にもっとたくさんのツールクランプを設置でき、空間を有効活用でき、より多数のツールホルダーを収容でき、把持して設置するツールホルダーの数が多くても、ツールマガジンが占拠するスペースを相対的に節減する効果を達成できる。
また、同一のベースの各ツールクランプは、パラレル排列で、さらにツールクランプ口が、同様のツール把持方向を有するため、本発明のツールマガジンに設置するマシニングセンターが多軸マシニングセンターで、ツール交換アームによらずにツール交換できるなら、2個以上の主軸は、同時にかつ直接、同一のベース上にパラレル排列されるツールクランプに設置されるツールホルダーに対して、ツールを取り出す或いはツールを戻す動作を行うことができ、単一主軸、或いはツール交換アームを用いなければツール交換が行えない従来のマシニングセンターに比べ、加工過程において、ツール交換時間を大幅に短縮でき、これにより製造工程の効率を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明実施形態のツールマガジンをマシニングセンターに取り付けた立体模式図で、図中のマシニングセンターは主軸が2個の多軸式マシニングセンターである。
【
図2】本発明実施形態のツールマガジンをマシニングセンターに取り付けた正視模式図である。
【
図3】本発明実施形態のツールマガジンをマシニングセンターに取り付けた側視模式図で、図中の駆動部材は回転フレームの正回転或いは逆回転を連動することができる。
【
図4】本発明実施形態のツールクランプがベースに従いツールマガジンに設置される様子を示す模式図である。
【
図5】本発明実施形態のツールクランプのベース上における分解配置図である。
【
図8】本発明実施形態中のマシニングセンターの2個の主軸が横方向に移動し定位される様子を示す模式図で、この時すでに回転フレームは駆動部材に連動されてツールホルダーを取り出そうとする位置まで旋回している。
【
図9】本発明実施形態中のマシニングセンターの主軸が続いて横に移動しツールを取り、縦方向に下へ移動する様子を示す模式図である。
【
図10】本発明実施形態中の2個の主軸が同時に同一のベース上の2個のツールクランプのツールホルダーに正対応する時の模式図である。
【
図11】本発明実施形態中の主軸がツールクランプへ伸び、ツールホルダーに接合する様子を示す模式図である。
【
図12】本発明実施形態中の主軸がツールホルダーに接合する時、プレス部材を通してピン部材を押して押さえ、ロック解除ポジションにある様子を示す模式図である。
【
図13】本発明実施形態中の主軸がツールホルダーに接合する時、プレス部材を通してピン部材を押して押さえ、ロック解除ポジションにある様子を示す別の角度からの模式図である。
【
図14】本発明実施形態中のマシニングセンターの主軸がツールホルダーを連動しツールクランプへ向かいツールを戻す様子を示す模式図で、この時プレス部材はガイド角に従い、ロック解除ポジションへとピン部材を押して押さえる。
【
図15】本発明実施形態中の主軸がさらに同時に同一のベース上の別の2個のツールクランプのツールホルダーに正対応する時の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(一実施形態)
上述の発明内容において開示した中心思想について説明するため、以下では具体的実施形態を用いる。
実施形態中の各種物件は、説明に適した比率、大きさ、変形量或いは移動量で表示し、実際の部品の比率に基づいた表示でないことを、ここに明記する。
【0013】
図1~
図15に示す通り、本発明による多軸マシニングセンターに適用されるドラム式ツールマガジン100において、ツールマガジン100は、駆動部材10、回転フレーム20、複数のツールクランプ30を有する。
【0014】
回転フレーム20の中心には、回転軸21を設置し、回転軸21は軸方向Xを有し、さらに回転フレーム20は、円形を呈する周辺側22を有する。
回転フレーム20は、複数のベース23を有し、複数のベース23は、周辺側22に沿って環状排列を呈し、さらにベース23の間は、周辺側22において、間隔を開けて設置される。
駆動部材10により回転フレーム20を連結し、駆動部材10により回転フレーム20の回転を連動する。
ここで言う回転の方向とは、正回転と逆回転を含む。
【0015】
本実施形態中において、回転フレーム20は、回転軸21の両端に、それぞれ固定台24を設置する。
回転軸21は、両端の固定台24に対して回転でき、回転フレーム20は、固定台24により、マシニングセンター200の頂部に結合される。
本実施形態の回転フレーム20は、2個のツールディスクを有し、共に円形を呈する第一ツールディスク25と第二ツールディスク26を有する。
さらに、第一ツールディスク25と第二ツールディスク26の外径は同じで、回転軸21に固定して接続する。
第一ツールディスク25と第二ツールディスク26は、回転軸21上で、回転軸21両端の固定台24にそれぞれ接近する。
周辺側22は、本実施形態中では、第一ツールディスク25と第二ツールディスク26の周囲の軸方向Xに沿ってつなげた範囲であるが、本発明はこれに限定するものではない。
周辺側22は、第一ツールディスク25と第二ツールディスク26が占める長さの円筒の周囲、或いは3個以上のツールディスクの周囲により構成することとすることもできる。
【0016】
駆動部材10は、本実施形態中では、モーター11を有し、ガイド部材12に連結する(
図3参照)。
本実施形態の第一ツールディスク25は、複数の軸受27を有し、回転軸21を中心として、等距離に環状排列する(
図3、
図4参照)。
各軸受27は、第一ツールディスク25に従い回転し、それぞれガイド部材12に接続する。
モーター11は、ガイド部材12の旋回を連動し、接続する各軸受27
を導引し、第一ツールディスク25を駆動し、回転軸21と第二ツールディスク26の同期回転を連動する。
好ましくは、本実施形態の軸受27は、ハンドルベアリングで、ガイド部材12は、カム或いはワームにより接続し、さらに各軸受27を導引する。
この他、本実施形態のモーター11とガイド部材12は、複数の内の一つの固定台24に設置される。
【0017】
複数のツールクランプ30は、回転軸21の軸方向Xに沿ってパラレル排列され、各ベース23に設置され、ツールホルダー300を把持して設置する。
同一のベース23の各ツールクランプ30は、ツール把持方向が同一のツールクランプ口31を有し、各ツールクランプ口31は、周辺側22の接線方向Yに平行に、所在のツールクランプ30を貫通する。
各ツールクランプ30に設置されるツールホルダー300の加工ツール301はすべて所在位置において回転フレーム20の周辺側22に寄って伏せた状態を呈する。
詳細に言えば、ツールクランプ口31は、貫通方向Y
,により、所在のツールクランプ30において貫通し、貫通方向Y
,は接線方向Yに平行である(
図9参照)。
ツールホルダー300に加工ツール301があり、ツールクランプ口31において、ツールクランプ30により把持して設置されると、ツールホルダー300の軸方向は、貫通方向Y
,と同じで、また接線方向Yに平行であり、軸方向Xに平行でない。
即ち、本案のツールマガジン100は従来のツールマガジンとは明確に異なる。
【0018】
本実施形態中において、回転フレーム20の周辺側22には、計8個のベース23を設置する(
図9参照)。
各ベース23は、細長い形状を呈し、第一ツールディスク25と第二ツールディスク26を跨いで接続し、さらに固定される。
さらに、各ベース23は本実施形態中では6個のツールクランプ30を有し、パラレル排列で設置されるため、本実施形態のツールマガジン100は、計48個のツールクランプ30を有し、48個のツールホルダー300を把持して設置することができる。
【0019】
図5~
図7に示す通り、各ツールクランプ30は、2個の挟持体40及びピン部材50を有する。
2個の挟持体40は、同様の構造を備え、それぞれ連接部41及び爪部42を有する。
2個の連接部41は重なり、さらに軸部材43により貫通するように設置され、ピボット動するようにベース23に連接される。
2個の爪部42は2個の連接部41に従い相対してピボット動し開閉し、連接部41は、挟持体40の、厚さが薄い方の側板に相対する。
本実施形態の2個の挟持体40は、反対に設置され、2個の連接部41により重なり、こうして2個の爪部42の位置は対称となる。
本実施形態中において、2個の連接部41は共に、ピン孔411を有し、2個のピン孔411の孔径は相等で、2個のピン孔411は、2個の連接部41が重なると正対応する。
【0020】
ピン部材50はベース23に設置され、軸部材43と平行で、さらにピン部材50の、ベース23における所在位置は、軸部材43の位置とは異なる。
ピン部材50は、重なって正対応するピン孔411に通して設置され、ピン部材50は、軸方向に沿って移動し、ベース23に相対し、ロック解除ポジションP1(
図12、
図13参照)、或いはロッキングポジションP2に位置する(
図6、
図7参照)。
【0021】
上記のように、2個の挟持体40が、ピン部材50において、ロック解除ポジションP1にある時、2個の挟持体40は相対してピボット動できる。
ツールホルダー300が主軸201、202に接合し、これに従い移動すると、2個の爪部42に対して外力を加え、2個の爪部42を開かせる。これによりツールホルダー300は、ツールクランプ30上から離され、或いはツールホルダー300をツールクランプ30へ戻すことができる。
また、2個の挟持体40は、ピン部材50がロッキングポジションP2にある時、2個の挟持体40は、ピン部材50により制限され、相対してピボット動せず、ツールホルダー300はこの時、2個の爪部42に挟持され固定される。
2個の挟持体40は、相対してピボット動できる。2個の挟持体40は2個ともピボット動でき、或いは1個の挟持体40は不動で、もう1個の挟持体40はそれに相対してピボット動する。いずれも、本発明が開示する2個の挟持体40が相対してピボット動する形態である。
【0022】
ピン部材50は、大径セクション51と小径セクション52を有し、大径セクション51は、2個のピン孔411と凡そ等しい径の幅を備え、小径セクション52の幅は、2個のピン孔411より小さい。
ピン部材50がロッキングポジションP2にある時、大径セクション51により、2個のピン孔411中で2個の挟持体40を制限し、相対してピボット動しない。
ピン部材50がロック解除ポジションP1にある時、小径セクション52は、少なくとも1個のピン孔411中にあり、さらに間隙Gを備え(
図12、
図13参照)、間隙Gにより、2個の挟持体40に、相対してピボット動する空間を提供する。
【0023】
好ましくは、本実施形態は定位台60をさらに有し、ベース23に固定され、さらに定位台60は2個の連接部41上に重ねて設置される。
定位台60とベース23間には、2個の挟持体40が動けるピボット動の空間を保留する。
定位台60は、穿孔61を有し、穿孔61が定位台60において、ベース23に固定される時、2個のピン孔411に正対応し、穿孔61と小径セクション52の幅は等しい。
ピン部材50がロッキングポジションP2にある時、大径セクション51は2個のピン孔411中に位置し、小径セクション2は穿孔61中に位置し、小径セクション52は露出セクション521を穿孔61外に伸ばす。
露出セクション521が穿孔61に押し入れられると、ピン部材50は、ロッキングポジションP2からロック解除ポジションP1へと移動する。
【0024】
本実施形態中において、ベース23は、ピン槽231を有し、ピン部材50を収容して設置する。さらにピン槽231内に、復位弾性部材53を設置し、本実施形態中では、圧縮バネである。
ピン部材50は、ピン槽231中で、復位弾性部材53により、大径セクション51に接続する。
ピン部材50は、復位弾性部材53により常態的に押し上げられ、ロッキングポジションP2に位置し、ピン部材50がロック解除ポジションP1まで移動すると、復位弾性部材53は圧縮されて予備力を産生し、復位弾性部材53の被圧縮の力が消えると、予備力をピン部材50に提供し、ロッキングポジションP2へと復位させる。
【0025】
本実施形態中において、ピン部材50は、大径セクション51の片側に、フラット面54を有し、このフラット面54は、ピン部材50の軸方向に沿って、大径セクション51で陥没して形成される。定位部材70は、ピン槽231において、ベース23の横に設置され、フラット面54に密着して揃う。
ここで言う定位部材70とは、本実施形態中では円柱ある。さらにベース23は、溝部232を有し、これに定位部材70を収容して定位する。
ピン部材50が、ベース23に相対して、軸方向に沿って移動すると、定位部材70によりピン部材50を制限し偏向させない。
【0026】
上記のように、ピン部材50がロック解除ポジションP1にある時、小径セクション52は相対的に上にある挟持体40のピン孔411中において、間隙Gを有し、相対的に上にある挟持体40のピボット動の幅は、相対的に下にある挟持体40より大きい。しかし、本発明はこれに限定されない。
小径セクション52は、2個の挟持体40のピン孔411中において、共に間隙Gを有し(図示なし)、これにより、2個の挟持体40は、同様のピボット動の幅を備えることもできる。
【0027】
本実施形態中において、ピン部材50は、開槽522を有し、この開槽522は、露出セクション521に位置する。
ローラー55は、開槽522中で回転するように設置され、露出セクション521に位置する。ピン部材50は、本実施形態在では、露出セクション521の頂端に、ガイド角523を有する。
このガイド角523は、開槽522の片側に偏向し、弧状曲線を呈する。
ローラー55は、ピン部材50の頂端の、ガイド角523を有する片側に露出し、ローラー55が押されると、露出セクション521は穿孔61中に押し入れられる。
【0028】
図5に示す通り、本実施形態の各挟持体40は、復位弾性部材80を有し、その外側に接続し、この復位弾性部材80は、本実施形態では圧縮バネである。
2個の挟持体40が、相対してピボット動すると、外へとピボット動する挟持体40は、それが接続する復位弾性部材80を圧縮し、さらにそれが接続する復位弾性部材80の戻りに従い復位する。
この復位弾性部材80は、任意の2個のツールクランプ30の間に設置され、両端は、隣り合う2個のツールクランプ30の挟持体40間にそれぞれ接続する。
復位弾性部材80の一端は、2個の内の1個のツールクランプ30の挟持体40に接続し、反対端は、ベース23上に設置する停止ブロック233に接続する。
ここで言う停止ブロック233とは、本実施形態中では、ベース23上に3個あり、その内の2個は、ベース23の最も両端のツールクランプ30の外側に設置し、ベース23の中央にも、1個の停止ブロック233を設置する。
本実施形態の復位弾性部材80は、停止ブロック233により、ツールクランプ30の挟持体40はピボット動後に復位できる。
【0029】
本実施形態において、ツールマガジン100に組み合わせて使用するマシニングセンター200は、二列型マシニングセンターで、このマシニングセンター200は、本実施形態では、2個の主軸201、202を有する。
この2個の主軸201、202は、マシニングセンター200上で、縦方向移動及び横方向移動し、さらにツール交換アーム不使用の状況下で、加工ツール301を有するツールホルダー300を直接取り出しできる。
2個の主軸201、202にツールがない状態で、用いようとするツールホルダー300を、ツールクランプ30上から取り出す時、ツールマガジン100の回転フレーム20回転(
図3参照)、及び2個の主軸201、202の、マシニングセンター200での移動を通して、2個の主軸201、202は取り出そうとする加工ツール301のツールホルダー300に正対応し、向かって移動する(
図8~
図10参照)。
2個の主軸201、202はさらに、プレス部材203を通して、露出セクション521に接触し、ローラー55上を押し、これにより露出セクション521は穿孔61中に押し入れられ、ピン部材50は、ロック解除ポジションP1に位置する。
この時、小径セクション52とピン孔411中に留保された間隙Gにより、挟持体40はピボット動し(
図12、
図13参照)、2個の爪部42は、これにより開き、各ツールホルダー300は、2個の主軸201、202に従い移動し、ツールクランプ30から離れる。
【0030】
2個の主軸201、202が加工を完了後、新しい加工ツール301を取ろうとする時、ツールホルダー300は元のツールクランプ30に戻る。
この時、プレス部材203は、ガイド角523に従い露出セクション521に接触し、ローラー55上を押し(
図14参照)、同様に露出セクション521を穿孔61中に押し入れ、ピン部材50は、ロック解除ポジションP1に位置する。
2個の爪部42もこれにより開き、ツールホルダー300は再び主軸201、202に従い移動し、ツールクランプ30に戻る。
新しい加工ツール301も同一のベース23にあるなら、回転フレーム20は回転する必要はなく、2個の主軸201、202を横方向に新しい加工ツール301の所在位置まで移動させる(
図15参照)。
こうして、前述のツールを取り出す動作を繰り返せば、新しい加工ツール301をツールクランプ30から取り出すことができる。
但し、新しい加工ツール301と元の加工ツール301が同一のベース23にない時には、回転フレーム20を回転させて、2個の主軸201、202を新しい加工ツール301のツールホルダー300に新たに正対応させ、前述のツールを取り出す動作を繰り返し、新しい加工ツール301をツールクランプ30から取り出す必要がある。
【0031】
上記のように、ツールクランプ30がツールホルダー300において戻り、或いは離された後、ピン部材50復位弾性部材53により常態的に押し上げられロッキングポジションP2に位置し、大径セクション51により、その幅と凡そ等しい径の2個のピン孔411中において、2個の挟持体40を制限し、相対したピボット動を行わせない。
よって、ツールクランプ30上に、ツールホルダー300を設置するなら、ツールホルダー300は2個の爪部42に挟持され固定され、ピン部材50が再びロック解除ポジションP1へと移動しない限り、ツールホルダー300は、2個の爪部42により取り出されず、こうしてツールホルダー300の、ツールクランプ30上での定位を確保する。
【0032】
上述の説明により明らかな本発明の特徴は以下の通りである。
1.本発明のツールマガジン100は、複数のベース23が回転フレーム20の円形の周辺側22において環状排列を呈し、さらに複数のツールクランプ30は、各ベース23において、パラレル排列で設置される。よって回転フレーム20の周辺側22の空間はツールクランプ30で、ツールホルダー300を設置でき、さらにツールクランプ30のツールクランプ口31は、平行回転フレーム20の周辺側22の接線方向Yを貫通する。これにより設置されるツールホルダー300の加工ツール301はすべて回転フレーム20に寄り、加工ツール301が回転フレーム20から離れスペースを占拠することを回避できる。回転フレーム20の周辺側22に、より多くのツールクランプ30を設置し、ツールホルダー300を固定しようとする場合、回転フレーム20は、長さ或いは直径をいくらか拡大するだけでよい。本発明のツールマガジン100の構造は、空間を有効活用でき、より多数のツールホルダー300を収容でき、把持して設置するツールホルダー300の数が多くても、ツールマガジン100が占拠するスペースを相対的に節減する効果を達成できる。
2.本発明のツールマガジン100は、同一のベース23の各ツールクランプ30はパラレル排列で、さらにツールクランプ口31は、同様のツール把持方向を有するため、本発明のツールマガジン100に設置するマシニングセンター200は多軸マシニングセンター(即ち主軸が2個以上)で、ツール交換アームによらずにツール交換できる。このため、2個以上の主軸201、202は、同時にかつ直接、同一のベース23上にパラレル排列されるツールクランプ30に設置されるツールホルダー300に対して、ツールを取り出す或いはツールを戻すことができ、単一主軸、或いはツール交換アームを用いなければツール交換が行えない従来のマシニングセンターに比べ、加工過程において、ツール交換時間を大幅に短縮でき、これにより製造工程の効率を効果的に高めることができる。
3.本発明のツールクランプ30は、安全ツールロックメカニズムをさらに提供するため、2個の挟持体40が、ピン部材50において、ロック解除ポジションP1にある時でなければ、ツールホルダー300が2個の爪部42を開くことはなく、ツールホルダー300を、ツールクランプ30上から取り出し、或いはツールホルダー300をツールクランプ30に戻すことはできない。ピン部材50がロッキングポジションP2にある時、2個の挟持体40は制限されて、相対したピボット動ができず、つまり2個の挟持体40は、ピン部材50により制限され、2個の爪部42は開かれない。よって、ツールホルダー300に対して力を加えても、ツールホルダー300を、ツールクランプ30から離すことはできないため、ツールホルダー300が外力を受け、ツールクランプ30から離脱し落下する問題の発生を回避できる。
【0033】
前述した本発明の実施形態は本発明を限定するものではなく、本発明により保護される範囲は後述される特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0034】
100 ツールマガジン
200 マシニングセンター
201 主軸
202 主軸
203 プレス部材
300 ツールホルダー
301 加工ツール
10 駆動部材
11 モーター
12 ガイド部材
20 回転フレーム
21 回転軸
22 周辺側
23 ベース
231 ピン槽
232 溝部
233 停止ブロック
24 固定台
25 第一ツールディスク
26 第二ツールディスク
27 軸受
30 ツールクランプ
31 ツールクランプ口
40 挟持体
41 連接部
411 ピン孔
42 爪部
43 軸部材
50 ピン部材
51 大径セクション
52 小径セクション
521 露出セクション
522 開槽
523 ガイド角
53 復位弾性部材
54 フラット面
55 ローラー
60 定位台
61 穿孔
70 定位部材
80 復位弾性部材
G 間隙
P1 ロック解除ポジション
P2 ロッキングポジション
X 軸方向
Y 接線方向
Y, 貫通方向