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特許7266661コンクリート又はモルタル吹付システムにおける混合材料圧送装置
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  • 特許-コンクリート又はモルタル吹付システムにおける混合材料圧送装置 図1
  • 特許-コンクリート又はモルタル吹付システムにおける混合材料圧送装置 図2
  • 特許-コンクリート又はモルタル吹付システムにおける混合材料圧送装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】コンクリート又はモルタル吹付システムにおける混合材料圧送装置
(51)【国際特許分類】
   E02D 17/20 20060101AFI20230421BHJP
   E04G 21/02 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
E02D17/20 104B
E04G21/02 103B
E04G21/02 102
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021189913
(22)【出願日】2021-11-24
【審査請求日】2022-04-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521513627
【氏名又は名称】吉永 招平
(73)【特許権者】
【識別番号】521513638
【氏名又は名称】吉永 順
(73)【特許権者】
【識別番号】521514864
【氏名又は名称】吉永 勉
(73)【特許権者】
【識別番号】521514875
【氏名又は名称】佐藤 正洋
(73)【特許権者】
【識別番号】000177483
【氏名又は名称】三和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073287
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 聞一
(72)【発明者】
【氏名】吉永 招平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 正洋
(72)【発明者】
【氏名】和田 恵男
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-516871(JP,A)
【文献】特開昭61-155558(JP,A)
【文献】特開平02-200967(JP,A)
【文献】特開2021-173070(JP,A)
【文献】特開2008-019556(JP,A)
【文献】特開2007-222759(JP,A)
【文献】特開2013-014477(JP,A)
【文献】特表2013-517164(JP,A)
【文献】特開2000-104258(JP,A)
【文献】特開2007-327329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/20
E04G 21/02
J-STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材及びセメント材を含む混合材料を乾式圧送する混合材料圧送装置と、水の圧送装置と、前記混合材料圧送装置と前記水圧送装置とを接続して、前記混合材料を破砕・撹拌させて前記水を加える機能を有する接続装置と、該接続装置に接続され、合流後の前記混合材料と前記水とが互いに混ざり合いながら通過するコンクリート又はモルタルの圧送ホースと、該コンクリート又はモルタル圧送ホースに接続されモルタル又はコンクリートを吐出させる吹付ノズルとを備えるモルタル又はコンクリート吹付システムにおいて、
前記混合材料圧送装置は、前記混合材料のミキシングタンクと、該ミキシングタンクへの前記混合材料の投入装置と、前記ミキシングタンクの吐出口に装着する横長L字形の接続管と、該接続管における圧縮空気導入口にエアホースを介して接続するエアコンプレッサーと、前記接続管における前記混合材料の吐出端に基端側を、前記接続装置に先端側を接続する前記混合材料の圧送路とを有し、前記接続管における少なくとも屈曲部位に、当該部位の内面を高温化可能なヒーター部を設けたことを特徴とするコンクリート又はモルタル吹付システムにおける混合材料圧送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨材及びセメント材(粉状セメント材又は造粒セメント材)の混合材料と水を別々に吹付ノズル側に送り該吹付ノズル側で混合した後に吐出させるコンクリート又はモルタルの吹付システムにおいて、混合材料を吹付ノズル側へ圧送する混合材料圧送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かかるコンクリート又はモルタルの吹付システムにあっては、骨材及びセメント材を含む混合材料の圧送装置と、水の圧送装置と、前記混合材料圧送装置と前記水圧送装置とを接続して、前記混合材料を破砕・撹拌させ前記水を加える機能を有する接続装置と、該接続装置に接続され、合流後の前記混合材料と前記水とが互いに混ざり合いながら通過するコンクリート又はモルタルの圧送ホースと、該圧送ホースに接続され、モルタル又はコンクリートを吐出させる吹付ノズルとを備えたものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このコンクリート又はモルタル吹付システムは、粉状セメントと骨材の混合材料を乾式圧送する場合、粉状セメントの配合比が高くなると、粉状セメントが骨材と容易に分離し、骨材に付着した水分と反応し固化等して圧送することが出来なくなることが頻繁に発生したことから開発されており、造粒セメント材の粒径を、従来の粉状セメントよりも大きくすることで、骨材と分離し難くなり均一に混合した状態で圧送することが出来る様になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-157564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、現状では、シルト成分が多く付着・含有されていることで含有水分が多い安価な骨材(特に細骨材)を使用するケースが顕著で、この様な骨材を上記従来技術に使用すると、混合材料圧送装置におけるミキシングタンクの吐出口への接続管が直角に曲がっていることから、混合材料が骨材の含有水分により接続管内面の屈曲部位にくっついてしまうため、圧送時の抵抗が大きくなり、而も不規則な脈動が発生し易くなって、最終的に閉塞してしまって、吹付作業効率が著しく低下するなど、解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記従来技術に基づく、含有水分が多い骨材の使用により吹付作業効率が低下してしまう課題に鑑み、骨材及びセメント材を含む混合材料を乾式圧送する混合材料圧送装置と、水の圧送装置と、前記混合材料圧送装置と前記水圧送装置とを接続して、前記混合材料を破砕・撹拌させて前記水を加える機能を有する接続装置と、該接続装置に接続され、合流後の前記混合材料と前記水とが互いに混ざり合いながら通過するコンクリート又はモルタルの圧送ホースと、該コンクリート又はモルタル圧送ホースに接続されモルタル又はコンクリートを吐出させる吹付ノズルとを備えるモルタル又はコンクリート吹付システムにおいて、混合材料圧送装置におけるミキシングタンクの吐出口に装着し、エアコンプレッサー及び混合材料圧送路を接続して、ミキシングタンクから吐出された混合材料を圧縮空気により混合材料圧送路側へ送り出す横長L字形の接続管における少なくとも屈曲部位に、当該部位の内面を高温化可能なヒーター部を設けたことによって、混合材料が骨材の含有水分により接続管の内面の屈曲部位に付着しない、即ちライデンフロスト現象(ある液体を、その沸点に比べてはるかに高温に熱せられた固体表面に滴らせた時、液体が瞬時に蒸発せずに固体表面上で浮いている様に見える現象)と思われる現象により弾かれる様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
要するに本発明は、骨材及びセメント材を含む混合材料を乾式圧送する混合材料圧送装置と、水の圧送装置と、前記混合材料圧送装置と前記水圧送装置とを接続して、前記混合材料を破砕・撹拌させて前記水を加える機能を有する接続装置と、該接続装置に接続され、合流後の前記混合材料と前記水とが互いに混ざり合いながら通過するコンクリート又はモルタルの圧送ホースと、該コンクリート又はモルタル圧送ホースに接続されモルタル又はコンクリートを吐出させる吹付ノズルとを備えるモルタル又はコンクリート吹付システムにおいて、モルタル又はコンクリート吹付システムにおける混合材料圧送装置を、前記混合材料のミキシングタンクと、該ミキシングタンクへの前記混合材料の投入装置と、前記ミキシングタンクの吐出口に装着する横長L字形の接続管と、該接続管における圧縮空気導入口にエアホースを介して接続するエアコンプレッサーと、前記接続管における前記混合材料の吐出端に基端側を、前記接続装置に先端側を接続する前記混合材料の圧送路とを有し、前記接続管における少なくとも屈曲部位に、当該部位の内面を高温化可能なヒーター部を設けたので、ライデンフロスト現象と思われる現象により接続管の内面に衝突した混合材料が弾かれて、接続管の内面にくっつかないため、接続管内の混合材料による狭窄、延いては閉塞を防止することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る混合材料圧送装置を使用したモルタル又はコンクリート吹付システムの概略図である。
図2】本発明に係る混合材料圧送装置の正面図である。
図3】冷却手段を講じた混合材料圧送装置の要部拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
骨材及びセメント材の混合材料と水を別々に吹付ノズル側に送り該吹付ノズル側で混合した後に吐出させるコンクリート又はモルタルの吹付システムにあっては、図1に示す様に、骨材及びセメント材材を含む混合材料を乾式圧送する混合材料圧送装置1と、水の圧送装置2と、混合材料圧送装置1と水圧送装置2とを接続して、混合材料を破砕・撹拌させ水を加える機能を有する接続装置3と、該接続装置3に接続され、合流後の混合材料と水とが互いに混ざり合いながら通過するコンクリート又はモルタルの圧送ホース4と、該圧送ホース4に接続され、モルタル又はコンクリートを吐出させる吹付ノズル5とを備えている。
【0010】
図2は、本発明に係る混合材料圧送装置の正面図であり、この混合材料圧送装置1は、セメント材材と骨材を撹拌・混合し均一化するミキシングタンク6と、該ミキシングタンク6への混合材料の投入装置であるスクリュコンベア7と、ミキシングタンク6の吐出口に装着する横長L字形の接続管9と、該接続管9における圧縮空気導入口10にエアホース11を介して接続するエアコンプレッサー12と、接続管9における混合材料の吐出端に基端側を、接続装置3に先端側を接続する混合材料の圧送路14とで構成され、接続管9の屈曲部位に、当該部位の内面を高温化可能なヒーター部15を設けている。
【0011】
接続管9は、ミキシングタンク6の吐出口に接続する縦管部位16及び混合材料圧送路14を接続する横管部位17とを有すると共に、屈曲部位における横管部位17の反対側に圧縮空気導入口10を形成している。
【0012】
横管部位17の先端にヒーター管20を着脱自在に装着し、該ヒーター管20の外周部に補助ヒーター部18を設けたり、スクリュコンベア7のケーシングの外周部に補助ヒーター部18設けている。
【0013】
混合材料圧送路14は、接続管9に接続されたフレキシブルメタルホース21と、接続装置3に接続された耐圧ホース22とを有しており、フレキシブルメタルホース21に冷却手段23を講じ、該冷却手段23は、図3に示す様に、冷却水を張った水槽としているが、要するにフレキシブルメタルホース21内の高温状態の混合材料を適正温度に低下させる機能を有するものであれば何でも良い。
【0014】
ヒーター部15や補助ヒーター部18は、例えばジャケットヒーターの様な、接続管9やスクリュコンベア7のケーシングの外周部に巻き付けて設置する、断熱機能を有することで作業者が接触しても安全なものが望ましいが、要するにヒーター部15は接続管9の内面温度を高温化したり、補助ヒーター部18は接続管9内やスクリュコンベア7内を高温状態とすることが可能なものであれば何でも良く、特にヒーター部15は接続管9の内面温度をを500~700度程度に加熱可能なものが好ましく、接続管9の全体を覆うように設置しても良い。
【0015】
エアホース11は、圧縮空気導入口10に接続された圧力調整弁24に接続されており、該圧力調整弁24により、吹付作業員が吹付ノズル5を保持可能な範囲で可能な限り大きい圧力に調整可能としている。
【0016】
又、補助ヒーター部18は混合材料を加熱し含有水分を少しでも除去することを期待して設置するもので、図面上、スクリュコンベア7と接続管9の両方に設置されているが、どちらか一方に設置したり、両方に設置しなくても良い。
【0017】
又、接続管9の出入口に温度センサーを設け、測定値に基づきヒーター部15を調節可能とすることで、ヒーター部15を最適条件下で稼働させることを可能としても良い。
【符号の説明】
【0018】
1 混合材料圧送装置
2 水圧送装置
3 接続装置
4 コンクリート又はモルタル圧送ホース
5 吹付ノズル
6 ミキシングタンク
9 接続管
10 圧縮空気導入口
11 エアホース
12 エアコンプレッサー
14 混合材料圧送路
15 ヒーター部
【要約】
【課題】含有水分が多い骨材の使用により吹付作業効率が低下してしまう。
【解決手段】ミキシングタンク6の吐出口に装着し、エアコンプレッサー12及び混合材料圧送路14を接続して、ミキシングタンク6から吐出された混合材料を圧縮空気により混合材料圧送路14側へ送り出す横長L字形の接続管9における少なくとも折曲部位に、当該部位の内面を高温化可能なヒーター部15を設けることによって、含有水分が多い骨材を含む混合材料が上記内面に付着せずに弾かれて、接続管9内の混合材料による狭窄・閉塞を防止可能とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3