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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】鋼板冷却装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/26 20060101AFI20230421BHJP
   C23C 2/40 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
C23C2/26
C23C2/40
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021529027
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 KR2019007027
(87)【国際公開番号】W WO2020116734
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-21
(31)【優先権主張番号】10-2018-0157002
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、 ヘ-クォン
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ジェ-ファ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、 ウォン-スク
(72)【発明者】
【氏名】ジュ、 キョ-ハ
(72)【発明者】
【氏名】イ、 サン-ウォン
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2866518(CN,Y)
【文献】米国特許出願公開第2011/0042041(US,A1)
【文献】国際公開第2018/026086(WO,A1)
【文献】特開昭49-002727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 2/26
C23C 2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の移送経路において、前記鋼板と離隔するように設けられる装置本体と、
前記装置本体に設けられて冷却流体を供給する冷却ユニットと、を含み、
前記装置本体は、
前記鋼板の一側端から前記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第1エッジ部に対面する第1エッジ本体と、
前記鋼板の他側端から前記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第2エッジ部に対面する第2エッジ本体と、を含み、
前記第1、2エッジ本体はそれぞれが、
前記鋼板の厚さ方向における前記鋼板の表面までの最短距離が、前記第1、2エッジ本体それぞれの表面において前記鋼板の幅方向に変わるように提供され、
前記第1、2エッジ本体はそれぞれが、
前記第1エッジ本体と前記第2エッジ本体が接する対称点の前記鋼板の幅方向への延長線と第1傾斜角を形成し、前記鋼板から離れる方向に傾斜した領域である第1傾斜区間と、
前記第1傾斜区間に続いて、前記鋼板の厚さ方向に前記鋼板までの最短距離が、前記鋼板の幅方向に一定に設けられる非傾斜区間と、
前記非傾斜区間に続いて、前記鋼板に近づく方向に傾斜した領域である第2傾斜区間と、を含む鋼板冷却装置。
【請求項2】
前記装置本体は、
前記対称点の前記鋼板の幅方向への延長線と前記第1、2エッジ本体がそれぞれ形成する複数個の第1傾斜角の絶対値は1°以上10°以下であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼板冷却装置。
【請求項3】
前記第1、2エッジ本体はそれぞれが、
前記非傾斜区間の前記鋼板の幅方向への延長線と前記第2傾斜区間において第2傾斜角を形成するように設けられ、且つ
前記第2傾斜角の絶対値は少なくとも3°であることを特徴とする、請求項1に記載の鋼板冷却装置。
【請求項4】
前記第1傾斜区間の前記鋼板の幅方向の長さは少なくとも900mmであり、
前記非傾斜区間の前記鋼板の幅方向の長さは少なくとも50mmであり、
前記第2傾斜区間の前記鋼板の幅方向の長さは少なくとも50mmであることを特徴とする、請求項3に記載の鋼板冷却装置。
【請求項5】
前記装置本体は、
前記鋼板と対面する面において、前記鋼板の反対方向に凹んで形成された少なくとも一つのディンプル領域を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の鋼板冷却装置。
【請求項6】
前記第1エッジ本体及び前記第2エッジ本体は、
前記鋼板の幅方向に前記鋼板の外周の外側に延長されたことを特徴とする、請求項5に記載の鋼板冷却装置。
【請求項7】
前記第1、2エッジ本体は、
前記第1エッジ本体と前記第2エッジ本体が接する対称点を基準に、前記鋼板の幅方向に相互に対称であることを特徴とする、請求項6に記載の鋼板冷却装置。
【請求項8】
前記ディンプル領域は、
直径が0mm超過15mm以下の値であり、
深さが0mm超過0.5mm以下の値であり、
ピッチの最大値は25mmであることを特徴とする、請求項7に記載の鋼板冷却装置。
【請求項9】
記冷却ユニットは、
前記装置本体において、前記鋼板の移送方向に相互に離隔した複数個の冷却手段を含み、
前記冷却手段は、
前記鋼板と対面して冷却流体を供給する複数個の冷却ノズルと、
前記冷却ノズルを収容するスロットと、
前記冷却ノズルに連結されて冷却流体を一定の圧力で供給する供給手段と、を含むことを特徴とする、請求項8に記載の鋼板冷却装置。
【請求項10】
前記装置本体は、
前記鋼板の幅方向の中心に対面し、前記第1エッジ本体及び前記第2エッジ本体の間に存在するセンター本体をさらに含み、
前記センター本体は、
前記鋼板の厚さ方向に前記鋼板までの最短距離が、前記鋼板の幅方向に一定に設けられることを特徴とする、請求項2に記載の鋼板冷却装置。
【請求項11】
鋼板の移送経路において、前記鋼板と離隔するように設けられる装置本体と、
前記装置本体に設けられて冷却流体を供給する冷却ユニットと、を含み、
前記装置本体は、
前記鋼板の一側端から前記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第1エッジ部に対面する第1エッジ本体と、
前記鋼板の他側端から前記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第2エッジ部に対面する第2エッジ本体と、を含み、
前記第1、2エッジ本体はそれぞれが、
前記鋼板の厚さ方向における前記鋼板の表面までの最短距離が、前記第1、2エッジ本体それぞれの表面において前記鋼板の幅方向に変わるように提供され、
前記装置本体は、
前記鋼板の幅方向の中心に対面し、前記第1エッジ本体及び前記第2エッジ本体の間に存在するセンター本体をさらに含み、
前記センター本体は、
前記鋼板の厚さ方向に前記鋼板までの最短距離が、前記鋼板の幅方向に一定に設けられ、
前記第1エッジ本体及び前記第2エッジ本体はそれぞれが、
前記鋼板のエッジ部に対面し、外周が前記鋼板の表面から離れる方向に傾斜して設けられて形成される第1傾斜区間と、
前記第1傾斜区間に続いて、外周が非傾斜して設けられて形成される非傾斜区間と、
前記非傾斜区間に続いて、外周が前記鋼板の表面に近づく方向に傾斜して設けられて形成される第2傾斜区間と、
を含む鋼板冷却装置。
【請求項12】
前記非傾斜区間の前記鋼板の幅方向の長さは、
0を超えながら、前記センター本体の前記鋼板の幅方向の全体長さの1/5以下のいずれか一つの値であることを特徴とする、請求項11に記載の鋼板冷却装置。
【請求項13】
前記第1、2傾斜区間は、
線形的に傾斜して設けられたことを特徴とする、請求項1又は11に記載の鋼板冷却装置。
【請求項14】
前記装置本体は、
前記装置本体の内部において、前記鋼板の幅方向に相互に離隔するように配置される複数個の隔壁を含み、
複数個の前記隔壁の離隔距離は、
前記センター本体の前記鋼板の幅方向への長さと少なくとも同じ値であることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれか一項に記載の鋼板冷却装置。
【請求項15】
前記センター本体の延長線と前記第1傾斜区間が形成する第3傾斜角の絶対値は、1°以上5°以下のいずれか一つの値であることを特徴とする、請求項11に記載の鋼板冷却装置。
【請求項16】
前記第2傾斜区間の前記鋼板の幅方向への長さは、
0を超えながら、前記非傾斜区間の前記鋼板の幅方向への長さ以下の範囲のうちいずれか一つの値であることを特徴とする、請求項12に記載の鋼板冷却装置。
【請求項17】
前記非傾斜区間の前記鋼板の幅方向への延長線と前記第2傾斜区間が形成する第2傾斜角の絶対値は、
0°を超えながら、前記第1傾斜区間の傾斜角の絶対値以下の値であることを特徴とする、請求項16に記載の鋼板冷却装置。
【請求項18】
前記装置本体は、
前記鋼板と対面する面において、前記鋼板の反対方向に凹んで形成された複数個のディンプル領域を含み、
複数個の前記ディンプル領域は、
前記鋼板の幅方向に沿って配置されたことを特徴とする、請求項17に記載の鋼板冷却装置。
【請求項19】
前記冷却ユニットは、
前記装置本体において、前記鋼板の移送方向に相互に離隔した複数個の冷却手段を含み、
前記冷却手段は、
前記鋼板と対面して冷却流体を供給する複数個の冷却ノズルと、
前記冷却ノズルを収容するスロットと、
前記冷却ノズルに連結されて冷却流体を一定の圧力で供給する供給手段と、を含み、
複数個の前記冷却ノズルは、
前記装置本体において、前記鋼板の幅方向に複数個が設けられ、且つ前記装置本体の外周よりも前記鋼板に近い位置で冷却流体を供給するように前記装置本体に設けられたことを特徴とする、請求項9に記載の鋼板冷却装置。
【請求項20】
複数個の前記冷却ノズルは、
前記鋼板の厚さ方向に相互に同じ間隔だけ前記鋼板から離隔したことを特徴とする、請求項19に記載の鋼板冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミニウムまたは鋼からなる鋼板の表面を亜鉛または亜鉛合金でめっきすると、鋼板の表面のめっき層を凝固させる冷却工程が行われる。
通常、鋼板が後工程に移送される過程または後工程中に、この冷却作業が行われることができるが、この冷却作業が行われる区間は極めて限定的であると言える。
【0003】
したがって、許容された冷却作業区間内で鋼板に水または空気(以下、「冷却流体」という)を供給することで、強力な冷却を行うことになるが、この過程で大量の冷却流体が使用される。
【0004】
鋼板の表面に衝突した冷却流体は、鋼板の幅方向の縁に沿って排出されるため、冷却流体の流量は、鋼板の縁に行くほど増加する傾向があり、鋼板の縁に行くほど増加する冷却流体の流量により、鋼板の縁にブローイングマーク(Blowing mark)のような表面欠陥が発生するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、鋼板の冷却効率性を向上させ、鋼板の表面に欠陥が発生することを抑制することを一つの目的とする。
また、鋼板の生産効率性を向上させることを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は鋼板冷却装置に関するものである。
本発明の一実施例による鋼板冷却装置は、鋼板の移送経路において、上記鋼板と離隔するように設けられる装置本体と、上記装置本体に設けられて冷却流体を供給する冷却ユニットと、を含み、上記装置本体は、上記鋼板の一側端から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第1エッジ部に対面する第1エッジ本体と、上記鋼板の他側端から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第2エッジ部に対面する第2エッジ本体と、を含み、上記第1、2エッジ本体は、上記鋼板の移送方向に垂直な方向の断面が段差を有するように設けられてよい。
【0007】
また、上記第1、2エッジ本体は、上記鋼板の移送方向に垂直な方向の断面が上記鋼板の幅方向に段差を有するように設けられ、その表面において、上記鋼板の厚さ方向に上記鋼板の表面までの最短距離が、上記鋼板の幅方向に変わるように提供されることができる。
【0008】
また、一実施例において、鋼板の移送経路において、上記鋼板と離隔するように設けられる装置本体と、上記装置本体に設けられて冷却流体を供給する冷却ユニットと、を含み、上記装置本体は、上記鋼板の一側端から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第1エッジ部に対面する第1エッジ本体と、上記鋼板の他側端から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第2エッジ部に対面する第2エッジ本体と、を含み、上記第1、2エッジ本体は、上記鋼板の移送方向に垂直な方向の断面が線形的に傾斜して設けられ、且つその端部が上記鋼板の厚さ方向に上記鋼板から最も遠く存在するように、その端部が上記鋼板に対して離れる方向に傾斜して設けられてよい。
【0009】
また、上記第1、2エッジ本体が上記鋼板の移送方向に垂直な方向の断面が上記鋼板の幅方向に段差を有するように設けられた場合、上記装置本体は、上記第1エッジ本体と上記第2エッジ本体が接する対称点の上記鋼板の幅方向への延長線と上記第1、2エッジ本体がそれぞれ形成する複数個の第1傾斜角の絶対値は、1°以上10°以下であってもよい。
【0010】
また、上記第1、2エッジ本体は、上記対称点と上記第1傾斜角を形成し、上記鋼板から離れる方向に傾斜した領域である第1傾斜区間と、上記第1傾斜区間に続いて、上記鋼板の厚さ方向に上記鋼板までの最短距離が上記鋼板の幅方向に一定に設けられる非傾斜区間と、上記非傾斜区間に続いて、上記鋼板に近づく方向に傾斜した領域である第2傾斜区間と、を含むことができる。
【0011】
また、上記第1、2エッジ本体は、上記非傾斜区間の上記鋼板の幅方向への延長線と上記第2傾斜区間において第2傾斜角を形成するように設けられ、且つ上記第2傾斜角の絶対値は少なくとも3°であってもよい。
【0012】
また、上記第1傾斜区間の上記鋼板の幅方向の長さは少なくとも900mmであり、上記非傾斜区間の上記鋼板の幅方向の長さは少なくとも50mmであり、上記第2傾斜区間の上記鋼板の幅方向の長さは少なくとも50mmであることができる。
【0013】
また、上記装置本体は、上記鋼板と対面する面において、上記鋼板の反対方向に凹んで形成された少なくとも一つのディンプル領域を含むことができる。
【0014】
また、上記第1エッジ本体及び上記第2エッジ本体は、上記鋼板の幅方向に上記鋼板の外周の外側に延長されることができる。
【0015】
また、上記第1、2エッジ本体は、上記第1エッジ本体と上記第2エッジ本体が接する対称点を基準に、上記鋼板の幅方向に相互に対称であることができる。
【0016】
また、上記ディンプル領域は、直径が0mm超過15mm以下の値であり、深さが0mm超過0.5mm以下の値であり、ピッチの最大値は25mmであることができる。
【0017】
また、上記冷却ユニットは、上記装置本体において、上記鋼板の移送方向に相互に離隔した複数個の冷却手段を含み、上記冷却手段は、上記鋼板と対面して冷却流体を供給する複数個の冷却ノズルと、上記冷却ノズルを収容するスロットと、上記冷却ノズルに連結されて冷却流体を一定の圧力で供給する供給手段と、を含むことができる。
【0018】
また、上記装置本体は、上記鋼板の幅方向の中心に対面し、上記第1エッジ本体及び上記第2エッジ本体の間に存在するセンター本体をさらに含み、上記センター本体は、上記鋼板の厚さ方向に上記鋼板までの最短距離が上記鋼板の幅方向に一定に設けられてよい。
【0019】
また、上記第1エッジ本体及び上記第2エッジ本体は、上記鋼板のエッジ部に対面し、外周が上記鋼板の表面から離れる方向に傾斜して設けられて形成される第1傾斜区間と、上記第1傾斜区間に続いて、外周が非傾斜して設けられて形成される非傾斜区間と、上記非傾斜区間に続いて、外周が上記鋼板の表面に近づく方向に傾斜して設けられて形成される第2傾斜区間と、を含むことができる。
【0020】
また、上記非傾斜区間の上記鋼板の幅方向の長さは0を超えながら、上記センター本体の上記鋼板の幅方向の全体長さの1/5以下のいずれか一つの値であってもよい。
また、上記第1、2傾斜区間は、線形的に傾斜して設けられてよい。
【0021】
また、上記装置本体は、上記装置本体の内部において、上記鋼板の幅方向に相互に離隔して配置される複数個の隔壁を含み、複数個の上記隔壁の離隔距離は、上記センター本体の上記鋼板の幅方向の長さと少なくとも同じ値であってもよい。
【0022】
また、上記センター本体の延長線と上記第1傾斜区間が形成する第3傾斜角の絶対値は1°以上5°以下のいずれか一つの値であってもよい。
【0023】
また、上記第2傾斜区間の上記鋼板の幅方向の長さは、0を超えながら、上記非傾斜区間の上記鋼板の幅方向の長さ以下の範囲のうちいずれか一つの値であってもよい。
【0024】
また、上記非傾斜区間の上記鋼板の幅方向の延長線と上記第2傾斜区間が形成する第2傾斜角の絶対値は、0°を超えながら、上記第1傾斜区間の傾斜角の絶対値以下の値であってもよい。
【0025】
また、上記装置本体は、上記鋼板と対面する面において、上記鋼板の反対方向に凹んで形成された複数個のディンプル領域を含み、複数個の上記ディンプル領域は、上記鋼板の幅方向に沿って配置されることができる。
【0026】
また、上記冷却ユニットは、上記装置本体において、上記鋼板の移送方向に相互に離隔した複数個の冷却手段を含み、上記冷却手段は、上記鋼板と対面して冷却流体を供給する複数個の冷却ノズルと、上記冷却ノズルを収容するスロットと、上記冷却ノズルに連結されて冷却流体を一定の圧力で供給する供給手段と、を含み、複数個の上記冷却ノズルは、上記装置本体において、上記鋼板の幅方向に複数個が設けられ、且つ上記装置本体の外周よりも上記鋼板に近い位置で冷却流体を供給するように上記装置本体に設けられてよい。
【0027】
また、複数個の上記冷却ノズルは、上記鋼板の厚さ方向に相互に同じ間隔だけ上記鋼板から離隔することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、鋼板の冷却効率が向上し、鋼板の表面品質が向上する。
また、鋼板の生産効率性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明による鋼板冷却装置が適用されためっき設備を概略的に示したものである。
図2】鋼板の冷却流量を概略的に示したものである。
図3】本発明の一実施例による鋼板冷却装置を概略的に示したものである。
図4】本発明のさらに他の一実施例による鋼板冷却装置を概略的に示したものである。
図5】第1エッジ本体の断面を示したものである。
図6】第2エッジ本体の断面を示したものである。
図7】ディンプル領域が適用された第2エッジ本体の断面を示したものである。
図8】ディンプル領域を概略的に示したものである。
図9】ディンプル領域を概略的に示したものである。
図10】さらに他の実施例の第2エッジ本体の断面を示したものである。
図11】本発明のさらに他の一実施例による鋼板冷却装置を概略的に示したものである。
図12】装置本体の断面の一部を示したものである
図13】第2エッジ本体の断面を示したものである。
図14】装置本体の断面を概略的に示したものである。
図15】ディンプル領域が適用された装置本体の一部の断面を示したものである。
図16】本発明のさらに他の一実施例によるディンプル領域が適用された装置本体の一部の断面を示したものである。
図17】装置本体の一部を示したものである。
図18図17の装置本体の規格をケース別に示したものである。
図19図18による冷却流体の排出空間の面積を示したものである。
図20図18による装置本体の表面と鋼板の表面との間に形成される空間の体積を示したものである。
図21図18による冷却流量を示したものである。
図22図18による冷却流体の排出方向への鋼板の最大せん断応力を示したものである。
図23】ケース6及びケース7の冷却流体供給圧力による冷却流体の排出方向への鋼板の表面における最大せん断応力を示したものである。
図24】冷却流体供給圧力による冷却流体の排出方向への鋼板の表面における最大せん断応力をケース6、ケース7及びケース7にディンプル領域を共に適用した場合別に、それぞれ示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施例に関する説明の理解を助けるために、添付の図面に同一の符号で記載された要素は同じ要素であり、各実施例において、同じ作用をする構成要素のうち関連する構成要素は、同一または延長線上の数字で表した。
【0031】
また、本発明の要旨を明確にするために、従来の技術によって既に周知された要素及び技術に対する説明は省略し、以下では、添付の図面を参考にして、本発明について詳細に説明する。
【0032】
但し、本発明の思想は、提示される実施例に制限されず、当業者によって、特定の構成要素が追加、変更、削除された他の形態としても提案されることができるが、これも本発明と同じ思想の範囲内に含まれることを明らかにしておく。
【0033】
また、添付の図面に記載されているX軸は鋼板の厚さ方向、Y軸は鋼板の幅方向、Z軸鋼板の長さ方向を意味する。
【0034】
なお、以下で説明する冷却流体は、水、空気、及び窒素のうち少なくともいずれか一つであってもよく、水、空気、及び窒素を適切に混合して使用してもよいが、冷却流体の種類は、鋼板の特性、めっき工程の特性などによって適切に選択されて適用されてもよい。
【0035】
以下で説明する鋼板は、亜鉛めっき鋼板であるか、またはマグネシウムが1%以上含まれた亜鉛合金めっき鋼板であってもよい。
【0036】
また、上記鋼板は、熱間圧延または冷間圧延された鋼板であり、上記鋼板の幅は700mm~1800mmであってもよい。
【0037】
また、冷却流体を供給する冷却ノズルの噴射口から上記鋼板の表面までの最短距離は80mm~150mmであり、上記冷却ノズルは、鋼板の幅方向及び長さ方向に複数個が設けられてよく、この場合、上記冷却ノズルは上記鋼板の幅方向に少なくとも200mm離隔されてよい。
【0038】
また、上記冷却ノズルは、ストレートスリット(Straight slit)、ラウンド(Round)など様々なタイプに適用されてよい。
なお、以下で説明する角度の単位は「°」である。
【0039】
図1に示すように、熱処理された鋼板1は、焼鈍炉のスナウト10を介してめっき浴槽20に流入されてシンクロール21によって方向が転換され、案内ロール22によって垂直に案内されてエアナイフ14に送られる。
【0040】
エアナイフ14は、高速で流体を供給して鋼板の表面のめっき層の厚さを制御し、エアナイフ14を通過した鋼板1は、本発明による鋼板冷却装置100に供給される。
【0041】
鋼板冷却装置100を通過しながら、めっき層が冷却、凝固及び硬化された鋼板1は、次いで、上部ロール24によって方向が転換されながら後工程に移送されるようになる。
【0042】
上記のような鋼板のめっき設備に配置された本発明による鋼板冷却装置100は、上記鋼板に対面する装置本体110を含み、上記装置本体110は、上記鋼板1の一側表面と対面する第1装置本体110a及び上記鋼板1の他側表面と対面して上記第1装置本体110aと離隔した第2装置本体110bを含むことができる。
【0043】
そして、上記第1装置本体110a及び上記第2装置本体110bには、冷却流体供給線101aが連結され、上記冷却流体供給線101aを介して上記第1装置本体及び上記第2装置本体に冷却流体が持続的に供給されてよい。
【0044】
但し、上記第1装置本体及び上記第2装置本体には、供給された冷却流体を吸入することができるように、一定の吸入圧力を提供する吸入手段(図示せず)が連結されることもできるが、これは、必ずしも本発明によって限定されるものではなく、当業者によって適切に選択されて適用できる事項である。
【0045】
図2に示すように、装置本体110において、鋼板1に対向する面には、上記冷却流体を鋼板1に供給する冷却手段120が設けられてよい。
上記冷却手段は、複数個の冷却ノズル121を含むことができ、複数個の上記冷却ノズル121は、鋼板の幅方向に離隔するように上記装置本体に設けられてよい。
【0046】
上記冷却ノズル121は、スリット型、ラウンドパイプ型などで適用されてよいが、冷却ノズルの種類は必ずしも本発明によって限定されるものではない。
【0047】
一方、鋼板1の縁に行くほど、鋼板1付近を通る冷却流体の流速が増加するが、これは、冷却ノズル121から噴射された冷却流体の累積により鋼板付近を通る冷却流体の量が増加するためである。
【0048】
このように増加した流速は、鋼板の一側縁である第1エッジ部1aにおいてブローイングマーク(Blowing mark)のような表面欠陥を引き起こす主な原因となり、このような表面欠陥は鋼板の他側縁においても同様に発生する。
【0049】
そこで、図3に示すように、本発明による鋼板冷却装置は、上記鋼板の一側端から鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第1エッジ部1aに対面する第1エッジ本体111及び上記鋼板の他側端から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第2エッジ部1bに対面する第2エッジ本体112を含む。
【0050】
そして、上記第1、2エッジ本体111、112は、Z軸方向、すなわち、鋼板1の移送方向に垂直な方向の断面が線形的に傾斜して設けられ、且つ第1エッジ本体111の端部111a及び第2エッジ本体112の端部112aがX軸方向、すなわち、上記鋼板の厚さ方向に上記鋼板から最も遠く存在するように、それぞれの端部111a、112aが上記鋼板に対して離れる方向に傾斜して設けられる。
【0051】
これによると、上記第1エッジ本体111及び第2エッジ本体112が鋼板1と相互に離隔する間隔が次第に離れるため、その分、冷却流体が排出できる空間が広くなる。
【0052】
したがって、冷却流体が鋼板の第1エッジ部1a及び第2エッジ部1bに滞留する時間が減り、鋼板の第1エッジ部1a及び第2エッジ部1bに滞留する冷却流体の量も少なくなり、冷却流体の流量の増加による鋼板の表面欠陥を防止することができる効果がある。
【0053】
また、第1エッジ本体111及び第2エッジ本体112が鋼板1の幅方向に長くならなくても冷却流体が排出できる空間を広めることができるため、設備を大型化せずとも鋼板の表面品質を向上させることができる効果がある。このような効果は、以下で説明する本発明のさらに他の実施例における装置本体110にも同様に適用することができる。
【0054】
一方、上記第1、2エッジ本体111、112は、上記第1エッジ本体111と上記第2エッジ本体112が接する対称点Cを基準に、上記鋼板の幅方向、すなわち、Y軸方向に相互に対称であることができる。
【0055】
そして、上記第1、2エッジ本体111、112の表面には、冷却手段120が設けられ、上記冷却手段120は、装置本体110の表面に沿ってY軸方向に配置された複数個の冷却ノズル121及びその内部に上記冷却ノズル121を収容し、上記鋼板1方向に開放されたスロット122を含むことができる。
【0056】
冷却ノズル121から供給された冷却流体は、スロット122に沿って流動されて鋼板の表面に到達するようになり、このようなスロット122は、冷却流体の供給圧力を上昇させる役割を果たして冷却ノズル121から供給された冷却流体が鋼板に供給されることを有用にし、冷却流体の損失量を減らす役割を果たす。
【0057】
このような冷却手段120は、上記装置本体110において鋼板の移送方向、すなわち、Z軸方向に複数個が設けられ、上記装置本体110上で冷却ユニット120aを成すことできる。
【0058】
このとき、複数個の上記冷却手段120は、鋼板の移送方向、すなわち、Z軸方向に相互に一定距離離隔することができる。
さらに、上記冷却ノズル121は、上記装置本体110の表面に形成されたスロット(開放された穴)であってもよい。冷却ノズル121の種類及び形状は必ずしも本発明によって限定されるものではない。
【0059】
また、図4に示すように、さらに他の実施例の鋼板冷却装置は、上記鋼板1の一側端から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第1エッジ部1aに対面する第1エッジ本体111及び上記鋼板の他側端から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第2エッジ部1bに対面する第2エッジ本体112を含む。
【0060】
そして、上記第1エッジ本体111及び上記第2エッジ本体112の断面、すなわち、Z軸方向に垂直な方向であるX-Y平面における断面は段差を有するように設けられてよい。
【0061】
上記第1エッジ本体111及び上記第2エッジ本体112のX-Y平面における断面が段差を有するように設けられるとは、上記第1エッジ本体111及び上記第2エッジ本体112が上記鋼板1に対向する面がY軸方向に非線形であってもよいという意味である。
【0062】
このように、上記第1エッジ本体111及び上記第2エッジ本体112にY軸方向に非線形である面が設けられることによって、上記装置本体においてY軸方向に非線形である面が上記鋼板に対向するようになる。
【0063】
このような装置本体110の非線形の表面には冷却手段120が設けられ、上記冷却手段は、装置本体の非線形である表面に沿ってY軸方向に配置された複数個の冷却ノズル121及びその内部に上記冷却ノズル121を収容し、上記鋼板1の方向に開放されたスロット122を含むことができる。
【0064】
冷却ノズル121から供給された冷却流体は、スロット122に沿って流動されて鋼板の表面に到達するようになり、このようなスロット122は、冷却流体の供給圧力を上昇させる役割を果たして冷却ノズル121から供給された冷却流体が鋼板に供給されることを有用にし、冷却流体の損失量を減らす役割を果たす。
【0065】
このような冷却手段120は、上記装置本体110において鋼板の移送方向、すなわち、Z軸方向に複数個が設けられ、上記装置本体110上で冷却ユニット120aを成すことができる。
【0066】
このとき、複数個の上記冷却手段120は、鋼板の移送方向、すなわち、Z軸方向に相互に一定距離離隔することができる。
【0067】
さらに、上記冷却ノズル121は、上記装置本体110の表面に形成されたスロット(開放された穴)であってもよい。但し、冷却ノズル121の種類及び形状は必ずしも本発明によって限定されるものではない。
【0068】
図5に示すように、第1エッジ本体111は対称点Cを基準に、第2エッジ本体(図4の112)と対称の形態を有することができる。
【0069】
そして、上記第1エッジ本体111は、上記鋼板の移送方向に垂直な方向であるX-Y平面における断面が、上記鋼板の幅方向、すなわち、Y軸方向に段差を有するように設けられ、Y軸方向においてその厚さが一定でないように設けられる。
【0070】
すなわち、上記第1エッジ本体111は、上記第1エッジ本体111の表面において、X軸方向に上記鋼板の表面までの最短距離がY軸に沿って変わるように段差を有して設けられる。
【0071】
そこで、上記第1エッジ本体111の厚さは、Y軸方向に一定ではなく、その厚さが変わるようになる。
【0072】
第1エッジ本体111において、上記鋼板1に対向する面が、上記対称点Cの延長線と形成する角度は、第1傾斜角θであり、第1傾斜角の絶対値は、1°以上10°以下のいずれか一つの値であってもよい。
【0073】
第1エッジ本体111は、その外周が上記対称点と第1傾斜角を形成することにより設けられる第1傾斜区間113と、上記第1エッジ本体111の外周が上記第1傾斜区間に続きながら、上記対称点から上記鋼板の幅方向に上記第1傾斜区間113より遠く存在する非傾斜区間114及び上記第1エッジ本体111の外周が上記非傾斜区間114に続きながら、上記対称点から上記鋼板の幅方向に上記非傾斜区間114より遠く存在する第2傾斜区間115を含むことができる。
【0074】
すなわち、上記第1傾斜区間113、非傾斜区間114及び上記第2傾斜区間115は、上記第1エッジ本体111の外周が屈曲することで形成される領域と言える。これは、第2エッジ本体(図4の112)の場合にも同様に適用される。
【0075】
第1傾斜区間113は、鋼板の第1エッジ部1aに対向する面であり、鋼板の端部の外側まで連続される。
【0076】
そして、上記非傾斜区間114は、上記鋼板の表面と平行な面であって、Y軸方向に第1エッジ部1aの外側に存在し、上記非傾斜区間114のX軸方向への厚さはY軸方向に行くほど変わることなく一定である。
【0077】
そして、上記非傾斜区間114に続いて、上記第1エッジ本体111の端部を含む第2傾斜区間115は上記鋼板の表面に近づく方向に傾斜して設けられる。
【0078】
上記第2傾斜区間115は、上記鋼板の表面に近づく方向に傾斜した区間であって、X軸方向に上記第2傾斜区間115の厚さは、上記非傾斜区間114のX軸方向の厚さと同じか、それ以上である。
【0079】
このとき、上記第2傾斜区間115のX軸方向への厚さはY軸方向に線形的に変化され、上記非傾斜区間114のY軸方向への延長線と上記第2傾斜区間115が形成する角度は、第2傾斜角θであり、上記第2傾斜角θの絶対値は少なくとも3°である。
【0080】
第2傾斜角θは、第1エッジ本体111の縁領域に存在し、第2傾斜区間115が第2傾斜角θだけ傾斜して設けられると、冷却流体が第1エッジ本体111の外部に排出される直前に、冷却流体の流速は増加させ、圧力は減少させるため、第1エッジ本体111の冷却流体の排出口の直前で冷却流体の迅速な排出を図ることができる。
これは、第2エッジ本体(図8の112)に形成された第2傾斜角θにも同様に適用される事項である。
【0081】
そして、本発明の一実施例において、上記第1傾斜区間113の上記鋼板の幅方向、すなわち、Y軸方向の直線長さは少なくとも900mmであり、上記非傾斜区間114のY軸方向の直線長さは少なくとも50mmであり、上記第2傾斜区間115の上記鋼板のY軸方向の直線長さは少なくとも50mmであることができる。
【0082】
但し、上記第1傾斜角θと上記第2傾斜角θの絶対値をそれぞれ上記の範囲内とするために、第1エッジ本体111のX軸方向への厚さを適切に調節することができる。これは、後述する第3傾斜角(図12のθ)の場合にも同様に適用できる事項である。
【0083】
そして、上記冷却ノズル121は、第1エッジ本体111の第1傾斜区間113に該当する領域に設けられてよいが、鋼板の第1エッジ部には対面しない第1傾斜区間113の領域に設けられ、上記鋼板に冷却流体を供給することができる。
【0084】
このとき、上記第1エッジ本体111にスロット122を設けて、冷却ノズル121を収容すると、冷却流体の供給圧力を増加させて、冷却流体の過剰使用を防止することができる。
【0085】
一方、図6で示すように、上記第2エッジ本体112は、対称点Cを基準に、上記第1エッジ本体(図5の111)と鋼板1の幅方向に対称である。
したがって、第1傾斜角θの絶対値も1°以上10°以下のいずれか一つの値であり、上記第2傾斜角θの絶対値は少なくとも3°である。
【0086】
また、冷却ノズル121は、鋼板の第2エッジ部には対面しない第1傾斜区間113の領域に設けられ、上記鋼板に冷却流体を供給することができる。
【0087】
以上で説明した第1エッジ本体(図5の111)及び第2エッジ本体112によると、鋼板の端部から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第1エッジ部(図5の1a)及び鋼板のまた他の端部から上記鋼板の中心方向に一定距離だけ延びる第2エッジ部に該当する領域に行くほど、第1エッジ本体(図5の111)及び第2エッジ本体112が鋼板1と相互に離隔する間隔が次第に離れるため、その分、冷却流体が排出できる空間が広くなる。
【0088】
したがって、冷却流体が鋼板の第1エッジ部(図5の1a)及び第2エッジ部に滞留する時間が減り、鋼板の第1エッジ部(図5の1a)及び第2エッジ部に滞留する冷却流体の量も少なくなり、冷却流体の流量の増加による鋼板の表面欠陥を防止することができる効果がある。
【0089】
一方、図7に示すように、本発明の一実施例において、上記第2エッジ本体112は、上記鋼板の反対方向に凹んで形成された溝の形態であるディンプル領域116を含むことができる。
【0090】
これは、第1エッジ本体(図5の111)にも形成されることができ、第1エッジ本体(図5の111)及び上記第2エッジ本体112においてY軸方向に沿って複数個が形成されることができる。
【0091】
また、上記第1エッジ本体(図5の111)及び上記第2エッジ本体112の端部は、上記鋼板1の外周の外側に延長されるため、ディンプル領域116も、上記鋼板の端部の外側まで存在するように上記第1エッジ本体(図5の111)及び上記第2エッジ本体112に形成されることができる。
【0092】
このようなディンプル領域116は、鋼板の表面に形成される最大せん断応力を減少させる役割を果たして鋼板の第1エッジ部(図5の1a)及び第2エッジ部における冷却流体の量を減少させ、鋼板の第1エッジ部(図5の1a)及び第2エッジ部における表面欠陥を防止することができる効果がある。
【0093】
また、上記ディンプル領域116は、第1エッジ本体(図5の111)及び第2エッジ本体112の表面に乱流境界層が形成されることを促進する役割を果たす。
【0094】
第1エッジ本体(図5の111)及び第2エッジ本体112の表面において鋼板の幅方向に配置されたディンプル領域116は、上記第1エッジ本体(図5の111)及び第2エッジ本体112の表面と冷却流体との間に形成されるせん断応力を減少させる。これにより、冷却流体の流速を増加させ、冷却流体がスムーズに排出できるようにする役割を果たす。
【0095】
したがって、冷却流体が鋼板の第1エッジ部(図5の1a)及び第2エッジ部方向にスムーズに、且つ、速やかに排出できるようになる。
【0096】
このような現象は、鋼板の表面に欠陥の一種であるブローイングマーク(Blowing mark)などが形成されることを抑制する役割を果たす。
【0097】
図8及び図9に示すように、第2エッジ本体(図9の112)に形成された上記ディンプル領域116は、直径Dが0mm超過15mm以下のいずれか一つの値であり、深さ(図9のE)が0mm超過0.5mm以下のいずれか一つの値であり、ピッチPの最大値は25mmであることができるが、このような規格は、第2エッジ本体(図9の112)だけでなく、第1エッジ本体(図5の111)にも同様に適用できる事項である。
【0098】
一方、図10に示すように、本発明の一実施例による冷却手段120は、上記鋼板と対面して上記鋼板の表面に冷却流体を供給する複数個の冷却ノズル121、その内部に上記冷却ノズルを収容する上記スロット122及び上記冷却ノズル121に連結されて冷却流体を一定の圧力で供給する供給手段123を含むことができる。
【0099】
供給手段123は、それぞれの冷却ノズル121に連結されて一定の供給圧力を提供する供給ポンプなどが適用できるが、供給手段の種類は必ずしも本発明によって限定されるものではない。
【0100】
一方、図11には、本発明のさらに他の一実施例による鋼板冷却装置が示されている。
本発明のさらに他の一実施例によると、装置本体は、鋼板の幅方向の中心に対面し、上記第1エッジ本体111及び上記第2エッジ本体112の間に存在するセンター本体117をさらに含むことができる。
【0101】
上記センター本体117は、X軸方向、すなわち、上記鋼板の厚さ方向に上記鋼板までの最短距離が、上記鋼板の幅方向に一定に設けられ、センター本体117が上記鋼板に対向する面は、上記鋼板の表面と平行に置かれる。
【0102】
そして、上記センター本体117は、鋼板の第1エッジ部1a及び第2エッジ部1bに対向せず、上記鋼板の第1エッジ部1aは、第1エッジ本体111に対向し、上記鋼板の第2エッジ部1bは、第2エッジ本体112に対向する。
【0103】
そして、上記鋼板の移送方向、すなわち、Z軸方向に相互に離隔した複数個の冷却手段120が設けられ、上記装置本体上に冷却ユニット120aを形成する。
【0104】
冷却手段120は、装置本体にY軸方向に形成された複数個の冷却ノズル121及び上記冷却ノズル121をその内部に収容するスロット122を含むことができる。
【0105】
図12は、上記装置本体110の半分を示したものであり、上記装置本体110は、図12のX軸方向の中心線を基準に、左右対称構造である。
【0106】
そのため、図12には、センター本体117の半分と上記センター本体117の一側に続く第2エッジ本体112のX-Y平面における断面が示されていることが分かり、以下で説明する第2エッジ本体112に関する事項は、第1エッジ本体(図11の111)にも同様に適用できる事項である。
【0107】
まず、センター本体117は、鋼板の中心から一定距離まで鋼板の第2エッジ部1bの方向を向く。そして、上記第2エッジ部は鋼板の第2エッジ部に対向するように設けられる。
このとき、センター本体117にのみ冷却ノズル121が設けられて、上記鋼板に冷却流体を供給することができる。
【0108】
一方、図13及び図14に示すように、上記第2エッジ本体112は、第2エッジ部1bに対面し、外周が上記鋼板の表面から離れる方向に傾斜して設けられて形成される第1傾斜区間113、上記第1傾斜区間113に続いて、外周がY軸方向に非傾斜して設けられて上記第2エッジ部1bと平行に設けられる非傾斜区間114及び上記非傾斜区間114に続いて、外周が上記鋼板の表面に近づく方向に傾斜して設けられて形成される第2傾斜区間115を含むことができる。
【0109】
このとき、上記非傾斜区間114のY軸方向の長さは0を超えながら、上記センター本体(図11の117)の上記鋼板の幅方向の全体長さの1/5以下のいずれか一つの値であってもよい。
【0110】
本発明の一実施例において、上記センター本体(図11の117)の上記鋼板の幅方向の長さは少なくとも450mmであり、上記第1傾斜区間113の鋼板の幅方向の長さは少なくとも450mmであり、上記非傾斜区間114の上記鋼板の幅方向の長さは少なくとも50mmであり、上記第2傾斜区間115の上記鋼板の幅方向の長さは少なくとも50mmであることができる。
【0111】
また、上記第1傾斜区間113及び上記第2傾斜区間115は、線形的に傾斜して設けられてよい。
【0112】
そして、上記第1傾斜区間113は、第2エッジ本体112の外周が上記センター本体(図11の117)のY軸方向への延長線と第3傾斜角θを形成するように上記第2エッジ部から離れる方向に傾斜することで、形成されることができる。
【0113】
上記非傾斜区間114は、上記第1傾斜区間113の端部から続き、第2傾斜区間115は、上記第2エッジ本体112の外周が上記非傾斜区間114から再び第2エッジ部に近づく方向に傾斜することで、形成されることができる。
【0114】
以上の内容は、第1エッジ本体(図11の111)が第2エッジ本体112と対称であることを反映して、上記第1エッジ本体(図11の111)にも同じ原理で適用することができる。
【0115】
このとき、上記第3傾斜角θの絶対値は、1°以上5°以下のいずれか一つの値であってもよい。
すなわち、本発明のさらに他の一実施例において、上記装置本体110には、第1傾斜角(図8のθ)が存在しない。
【0116】
そして、上記装置本体110の内部には、センター本体117と第2エッジ本体112とを分離する一つの隔壁118、及び上記センター本体117と第1エッジ本体111とを分離するさらに他の隔壁118が設けられてよい。
【0117】
したがって、上記装置本体(図11の110)の内部には、Y軸方向に一対の隔壁118が存在するようになり、この隔壁118間の間隔は、センター本体117のY軸方向への全体長さと同一になる。
【0118】
これは、冷却ノズル121に冷却流体の噴射圧力を提供する際に、噴射圧力が装置本体(図11の111)内で不要に分散されることを防止する役割を果たすことができる。
【0119】
また、上記第2傾斜区間115のY軸方向の長さは0を超えながら、上記非傾斜区間114のY軸方向の長さ以下の範囲のうちいずれか一つの値であってもよい。
したがって、第2傾斜区間115のY軸方向の長さは、非傾斜区間114のY軸方向の長さと同じか、それより短くてよい。
【0120】
また、図15に示すように、上記センター本体117及び上記第2エッジ本体112にも上記ディンプル領域116が形成されることができる。
上記ディンプル領域116は、Y軸方向に上記装置本体(図14の110)に複数個が設けられることができ、その詳細な事項は、前述したディンプル領域116に関する内容と同様に適用することができる。
【0121】
また、図16に示すように、上記センター本体117に設けられた冷却ノズル121にも供給手段123が連結されてよい。
供給手段は、冷却流体の供給圧力を提供する供給ポンプなどで設けられてよいが、これは必ずしも本発明によって限定されるものではない。
【0122】
そして、上記冷却ノズル121は、X軸方向に上記センター本体117の外周よりも上記鋼板1の表面にさらに近く配置された状態で、上記鋼板に冷却流体を供給することができる。
【0123】
このような場合、その内部に冷却ノズル121を収容するスロット122の開放された供給穴が上記鋼板の表面に上記冷却ノズル121よりもX軸方向に近く配置される。
これにより、冷却流体の供給圧力が損なわられる現象及び冷却流体の損失量を減らすことができる。
【0124】
そして、複数個の上記冷却ノズル121は、上記鋼板の表面からX軸方向に同じ間隔だけ離隔して冷却流体を均一に供給するように提供されることができる。
【0125】
一方、図17に示された装置本体110は、センター線Cを基準に、左右対称構造であり、図17では、便宜のために、装置本体110の右側領域のみを示したものである。
【0126】
以下では、装置本体110の半分をY軸方向に分割し、第1区間Lc、第2区間Li、第3区間Le及び第4区間Leiとして説明する。
【0127】
このとき、第1区間Lc及び第2区間Liの境界は、隔壁(図15の118)となり、第1区間Lcは、センター本体(図15の117)に該当する領域となることができる。
【0128】
図18は、図17に示された第1区間Lc、第2区間Li、第3区間Le、第4区間Leiの値及び第1、2、3傾斜角(θ、θ、θ)を合計8つのケース(case)として適用したものである。
【0129】
図19は、図18の8つのケースのうち、7つのケース(case)を実施例Aとして、それぞれのケースごとに装置本体(図16の110)の冷却流体排出空間の面積Bを示したものである。
【0130】
また、図19は、図17の7つのケース(case)を実施例Aとして、それぞれのケースごとに装置本体(図17の110)の表面と鋼板(図17の1)の表面との間に形成される空間の体積Cを示したものであり、図21は、図18の7つのケース(case)を実施例Aとし、それぞれのケースごとに冷却流量Fを示したものであり、図22は、図18の7つのケース(case)を実施例Aとして、それぞれのケースごとに冷却流体の排出方向に鋼板の表面における最大せん断応力Gを示したものであり、図23は、図18のケース6及びケース7を適用した場合、そのような装置本体(図17の110)において冷却流体を一定の圧力で供給する供給手段(図10の123及び図16の123)の出力H、つまり、冷却流体を供給する供給圧力に応じた冷却流体の排出方向に鋼板の表面における最大せん断応力Gを示したものである。
【0131】
図19の結果から、ケース1~5及びケース7では、ケース6に比べて約150%程度、冷却流体排出空間の面積Bが広くなったことが分かり、
図20の結果から、ケース1~5及びケース7では、ケース6に比べて装置本体(図17の110)の表面と鋼板(図17の1)の表面との間に形成される空間の体積Cが約25%大きくなったことが分かり、
図21の結果から、ケース1~5及びケース7では、ケース6に比べて冷却流量Fが約23%程度増加し、冷却効率が向上したことが分かり、
図22の結果から、ケース1~5及びケース7では、ケース6に比べて冷却流体の排出方向に鋼板の表面における最大せん断応力Gが約26%程度小さくなったことが分かる。
【0132】
また、図23を参照すると、冷却流体を供給する供給手段(図10の123及び図16の123)の出力Hは、ケース6に比べて増加したケース7の場合にも、鋼板の表面における最大せん断応力Gがケース6に比べて増加していないことが分かる。これにより、ケース7の場合には、冷却流体の流量が増加しても、鋼板の表面の最大せん断応力Gは増加せず、鋼板の冷却効率は向上しながらも鋼板の表面に欠陥が発生することは抑制される。
【0133】
また、図24に示すように、冷却流体の排出方向に鋼板の表面における最大せん断応力Gにおいても、ケース7の実施例Aがケース6の実施例Aに比べて26%程度減少し、ケース7の実施例にディンプル領域(α、図8の116)を加えた実施例(case7+α)の場合には、ケース7の実施例Aに比べて、冷却流体の排出方向に鋼板の表面における最大せん断応力Gが5.5%程度さらに減少することが分かる。
【0134】
したがって、このような数値を活用して、それぞれの鋼板の特性及び工程の特性に合わせて鋼板冷却装置の装置本体(図17の110)の規格を選択することができる。
【0135】
上述の本発明による鋼板冷却装置は、耐食性に優れたマグネシウム-アルミニウム合金溶融めっき鋼板及びアルミニウム溶融めっき鋼板の製造時に鋼板の表面欠陥を著しく低減することができる。
【0136】
以上で説明した事項は、本発明の一実施例について説明したものであり、本発明の権利範囲はこれに限定されるものではない。特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるは、当該技術分野における通常の知識を有する者には自明である。
図1
図2
図3
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図12
図13
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