(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】不均一な体積を有する仕切りを用いたデジタル分析を使用する試料中の標的のバルク濃度の決定
(51)【国際特許分類】
G01N 1/40 20060101AFI20230421BHJP
G01N 33/18 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
G01N1/40
G01N33/18 A
(21)【出願番号】P 2021529411
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(86)【国際出願番号】 US2019062367
(87)【国際公開番号】W WO2020112456
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515116467
【氏名又は名称】トキタエ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,サマンサ エー.
(72)【発明者】
【氏名】フイン,トアン
(72)【発明者】
【氏名】ニコルス,ケヴィン ポール フラッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイグル,ベルンハルト ハンス
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/157369(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0175174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0302792(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0106359(US,A1)
【文献】国際公開第2012/100198(WO,A2)
【文献】特開2018-046819(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03299470(EP,A1)
【文献】特表2015-504305(JP,A)
【文献】国際公開第2013/072069(WO,A1)
【文献】特表2017-519484(JP,A)
【文献】特開2017-062250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/40 - 1/44
G01N 35/00 -37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の仕切りを生成するように構成されているデバイスであって、前記仕切りの内の少なくとも一つが、各々の少なくとも別の一つの仕切りのそれぞれの体積とは異なるそれぞれの体積を有する、デバイス、
各々が標的の数について設定された閾値よりも大きい数の前記標的を有する、前記仕切りの数を決定するように構成されている検出器、及び
前記仕切りの前記決定された数に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度をデジタル可変体積(DVV)アルゴリズムにより決定するように構成されている電子回路、
を含むシステム。
【請求項2】
前記デバイスは、容器の移動に応じて、障壁相中の前記試料の前記仕切りを生成するように構成されている前記容器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デバイスは、容器の振とうに応じて、液体中の前記試料の前記仕切りを生成するように構成されている容器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記デバイスは、容器の振とうに応じて、油中の前記試料の液滴としての前記試料の前記仕切りを生成するように構成されている容器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記デバイスは、容器の振とうに応じて、障壁相中の前記試料の液滴としての前記試料の前記仕切りを生成するように構成されている容器を含み、それぞれの前記液滴が粘度を有し、前記液滴の前記粘度よりも大きい粘度を有する前記障壁相である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記検出器は、前記数の前記仕切りの各々が発光する電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記仕切りの、前記数を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記検出器は、前記数の前記仕切りの各々が吸収する電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記仕切りの、前記数を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記検出器は、前記数の前記仕切りの各々が通過する電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記仕切りの、前記数を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記検出器は、前記数の前記仕切りの各々がブロックする電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記仕切りの、前記数を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記電子回路は、前記数の仕切りの各々の測定された各体積に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記電子回路は、前記仕切りの各々の測定された各体積の合計に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記電子回路は、前記仕切りの数に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記電子回路は、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の仕切りの数に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記電子回路は、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の各仕切りの測定された各体積に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記電子回路は、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の仕切りの数及び前記標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の仕切りの各々の測定されたそれぞれの体積に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記電子回路は、仕切り体積の確率密度関数に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度を決定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
障壁相液体、
前記障壁相液体を受け取り、標的を含んでいる試料を受け取り、容器の振とうに応じて、前記障壁相液体中に懸濁された前記試料の仕切りを生成するように構成されており、少なくとも一つの仕切りは、少なくとも一つの別の仕切りのそれぞれの体積とは異なる体積を有する、容器、及び
前記標的の数について設定された閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記各仕切りの数を決定するように構成されている検出器、
を含み、
命令を格納するコンピュータ読み取り可能媒体を更に備え、計算回路によって実行されるとき、前記計算回路に、各々が前記標的の数について設定された閾値よりも大きい数の前記標的を有する、前記仕切りの前記数に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度をデジタル可変体積(DVV)アルゴリズムにより決定させる、システム。
【請求項18】
前記障壁相液体は、油を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記容器は、透明な管を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記検出器は、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切りの数を決定するように構成された電子回路及び光学センサを含む電子検出器を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
前記検出器は、前記仕切りの数を決定するために構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記標的を含んでいるソースから前記試料を得るように構成されている装置を更に含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも別の一つの各仕切りの各体積とは異なる各体積を有する仕切りの内の少なくとも一つである、試料の仕切りを生成するステップ、
各々
が標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する前記仕切りの数を決定するステップ、及び
前記仕切りの前記数に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度をデジタル可変体積(DVV)アルゴリズムにより決定するステップ、
を含む、方法。
【請求項24】
前記仕切りを生成するステップは、前記試料及び障壁相を含む容器を振とうすることによって、前記障壁相中に懸濁された前記仕切りを生成するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記仕切りを生成するステップは、前記試料及び液体を含む容器を振とうすることによって、前記液体中に懸濁された液滴を生成するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する仕切りの前記数を決定するステップは、前記数の前記仕切りの各々が発光する電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの前記数を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記仕切りの前記数を決定するステップは、前記数の前記仕切りの各々が吸収する電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの前記数を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記仕切りの前記数を決定するステップは、前記数の前記仕切りの各々が通過する電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの前記数を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
各々が前記標的の数について設定された前記閾値よりも大きい数の前記標的を有する前記仕切りの前記数を決定するステップは、前記数の前記仕切りの各々が遮断する電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの前記数を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記試料のソース中の前記標的の前記バルク濃度を決定するステップは、前記数の仕切りの各々の、測定されたそれぞれの体積に応じて、前記バルク濃度を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
前記試料のソース中の前記標的の前記バルク濃度を決定するステップは、各々の前記仕切りの測定されたそれぞれの体積の合計に応じて、前記バルク濃度を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記試料のソース中の前記標的の前記バルク濃度を決定するステップは、前記仕切りの数に応じて、前記バルク濃度を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記試料のソース中の前記標的の前記バルク濃度を決定するステップは、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の仕切りの数に応じて、前記バルク濃度を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記試料のソース中の前記標的の前記バルク濃度を決定するステップは、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の仕切りの各々の測定されたそれぞれの体積に応じて、前記バルク濃度を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
前記試料のソース中の前記標的の前記バルク濃度を決定するステップは、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の仕切りの数及び前記標的の数について設定された閾値よりも大きい数の標的を有する仕切り以外の仕切りの各々の測定されたそれぞれの体積に応じて、前記バルク濃度を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項36】
前記試料の前記ソース中の前記標的の前記バルク濃度を決定するステップは、仕切りの体積の確率密度関数に応じて、前記バルク濃度を決定するステップを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項37】
計算回路によって実行されるとき、前記計算回路に、
各々が、標的の数について設定された閾値よりも大きい数の前記標的を有する試料の仕切りの数を決定させ、各々の前記仕切りの少なくとも別の一つのそれぞれの体積と異なる、それぞれの体積を有する前記仕切りの少なくとも一つであり、
仕切りの前記決定した数に応じて、前記試料のソース中の前記標的のバルク濃度をデジタル可変体積(DVV)アルゴリズムにより決定させる、
命令を格納する実体のある非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔概要〕
一つ以上の実施形態の例、及び一つ以上の実施形態によって解決される問題の例は、液体中に懸濁された異なる体積の試料の液滴を参照して記載されるが、一つ以上の実施形態は概して、障壁相中に形成された異なる体積の仕切りを含むデジタル分析から、ソース中の標的のバルク濃度を決定するための技術に関する。
【0002】
ソース中の標的のバルク濃度を決定することが望ましい状況がある。例えば、多数の人々の安全性を確保するために、政府機関は、都市の水供給における病原体(例えば、炭疽菌又は他の感染性病原体、ウイルス、又は寄生虫)、毒素(例えば、ボツリヌス)、又は他の毒素(例えば、鉛及び水銀のような重金属、又は神経薬剤のような化学薬剤)のバルク濃度を決定することを望む場合があり、又は大気中の刺激物(例えば、花粉又はスモッグ)のバルク濃度を決定することを望む場合がある。バルク濃度は、典型的には単位体積当たりの標的の「部分」(例えば、粒子、分子、細胞、原子)の数の比として、又は体積の基準単位数(例えば、百万分率)に対する標的が占める体積の単位数の正規化比として表される。
【0003】
図1は、ソース12中の標的10のバルク濃度λ
Tを決定するためのアナログ技術を例示する図である。例えば、標的10は、ポリオウイルス又は細菌(例えば、大腸菌又は他の大腸菌型細菌)であってもよく、ソース12は、都市の水供給であってもよい。
【0004】
図1を参照すると、一つ以上の試料14は、ソース12から採取される。例えば、ソース12が都市の水供給である場合、試料14は、戦略的に選択された位置16(例えば、水塊の中央、又は水が水処理施設に引き込まれる入力ポートの近く)からの約10ミリリットル(mL)の水であり得る。
【0005】
次に、各試料14は、試料中の標的10の濃度に関連するそれぞれのレベルを有する一つ以上の各現象を試料に示させる試薬などの物質で処理される。例えば、試料14に添加された試薬は、標的10の分子と結合することができ、試料中の標的の濃度に関連する強度、飽和度、色相、又は濃淡を有する色を試料に示させることができ、色は、結合した試薬が一つ以上の波長の光を吸収すること、一つ以上の波長の光を発光すること、又は一つ以上の第1の波長の光を吸収すること、及び一つ以上の第2の波長の光を発光することによって引き起こすことができる。
【0006】
次に、技術者(
図1には図示せず)は、試薬を活性化して色を呈するように設計された光ソースを用いて試料を照射する。
【0007】
次に、人間の技術者(
図1には図示せず)は、一つ以上の試料14の一つ以上の現象を考慮し、ソース12における標的10の実際のバルク濃度λ
Tの推定
【0008】
【0009】
を行う。例えば、試料14がより薄い緑色の濃淡(濃淡
図16の左端)を示す場合、技術者は、試料12中の標的10のバルク濃度λ
Tを「低」と推定し、逆に、試料がより暗い緑色の濃淡(濃淡図の右端)を示す場合、技術者は試料14中の標的10のバルク濃度λ
Tを「高」と推定する。技術者は、一つ以上の各追加試料14のそれぞれの緑色の濃淡を考慮し、緑色の濃淡の彼/彼女の認識に基づいて、バルク濃度λ
Tの最終的な推定値に到達すると考えられる全ての試料について、緑色の濃淡を効果的に平均化する。例えば、技術者は、バルク濃度λ
Tを「高」、「中」、「低」、「危険」、又は「安全」として特徴付けることができる。
【0010】
しかし、このアナログ技術の課題は、技術者がソース12中の標的10のバルク濃度λTの彼/彼女の推定値
【0011】
【0012】
を、いかなる精度でも定量化することができないことである。つまり、このアナログ技術を使用すると、技術者はバルク濃度λTの粗い、又は「おおまか」な推定
【0013】
【0014】
しか提供できない。
【0015】
残念ながら、いくつかのアプリケーションのためには、バルク濃度λTの「おおまか」な推定
【0016】
【0017】
は、不十分である。
【0018】
別のアナログ技術において、技術者(
図1には図示せず)は、一つ以上の試料14によって示される一つ以上の各現象を、それぞれの現象のレベルに関連するソース12中の標的10のバルク濃度λ
Tを定量化するそれぞれのチャートと比較し、一つ以上のチャートに応じて、バルク濃度λ
Tの推定
【0019】
【0020】
を行う。例えば、チャート16は、各々がバルク濃度λ
Tの対応する値λ
T_1-λ
T_4に関連する四つの緑色の色調を含み、ここで、標的10のバルク濃度λ
Tの既知の値を有する一つ以上の試験ソースを使用して、緑色の色調と対応する値λ
T_nとの間の関連が事前に決定された。技術者は、各試料14の色調をチャート16の四つの緑色の色調と比較する。
図1に示す例によれば、試料14の色調がチャート16の二つの色調の間にある場合(ここでは試料は、二つの左端の色調の間にある)、技術者は試料の色調が二つの各色調にどれだけ「近い」かという彼/彼女の知覚に基づいて、チャートの二つの各色調に関連する値λ
T_1とλ
T_2との間にある推定値
【0021】
【0022】
を有するものとして、バルク濃度λTを補間する(この色の色調の補間は、スイミングプール又はスパの水のpH及びアルカリ度レベルを決定するために実行される色の色調の補間と同様である)。技術者は、一つ以上の追加の各試料14の緑色のそれぞれの色調をグラフ16と比較し、全ての比較された試料から得られたバルク濃度の補間された値を平均して、標的10のバルク濃度λTの最終推定値
【0023】
【0024】
に到達することができる。
【0025】
後者のアナログ技術は、ソース12中の標的10のバルク濃度λTのより正確な推定
【0026】
【0027】
を提供することができるが、この技術は依然として、色の色調、又は一つ以上の他の現象のレベルにおける、時には微妙な差異を識別する人間の技術者の能力に依存する。
【0028】
図2は、ソース12中の標的10のバルク濃度λ
Tの決定のためのデジタル技術を示す図である。
【0029】
デジタル分析20は、試料を仕切り(仕切りが液体である場合は液滴とも呼ばれる)22に分割することによって形成され、その各々は、いくつかの仕切りが標的10を含み、いくつかの仕切りが標的を含まないように、十分に小さい(例えば、≦~100ピコリットル(pL))。デジタル分析20における仕切り22の数は、用途及び所望の精度の量に応じて、数十から数千の範囲であり得る。
【0030】
本技術は、仕切り22が少なくとも一つの標的10(「オン」仕切り)を含む、又は少なくとも一つの標的(「オフ」仕切り)を含まない、が考慮されるため、デジタル技術である。例えば、
図1に関連して上述したように、試薬が各仕切り22に添加され、仕切り内の標的10の任意の分子(この例において、「少なくとも一つの標的」は、標的の少なくとも一つの分子を意味し、又は、換言すると少なくとも一つの標的分子を意味する)に結合する。仕切り22が任意の色調の緑色に変わる(すなわち、仕切りが少なくとも一つの標的を含む)場合、仕切りは「オン」仕切りであり、逆に、仕切りが緑色に変わらない(すなわち、仕切りが任意の標的を欠く)場合、仕切りは「オフ」仕切りである。
【0031】
デジタル分析によって示される特性、「オン」仕切り22の数、「オフ」仕切りの数、及び仕切りの総体積を含む特性に応じて、ソース12中の標的10のバルク濃度λTの推定
【0032】
【0033】
を生成するためのアルゴリズムが存在する。
【0034】
仕切り22の体積は比較的小さく、低コストであるため、携帯装置は、しばしば著しく異なる体積を有する仕切りを生成し、ここで、デジタル分析20における最大の仕切り体積は例えば、最小仕切り体積の約10倍以上である。このような異なる体積を有する仕切りを有するデジタル分析は、「多分散デジタル分析」と呼ばれる。
【0035】
残念ながら、仕切り体積の均一性が減少すると、既存のアルゴリズムの精度は、劇的に低下する。換言すると、仕切り体積間の不均衡が増加するにつれて、既存のアルゴリズムによって決定される推定バルク濃度
【0036】
【0037】
の精度は、低下する。
【0038】
その結果、多くの用途のために、低コストの装置によって生成される仕切り22の体積の差が非常に大きいため、既存のアルゴリズムは、
【0039】
【0040】
の十分に正確な値を得ることができない。
【0041】
更に
図2を参照すると、既存のアルゴリズムの精度を高めるための特殊化された装置は、より均一な体積の仕切りを有するデジタル分析を生成するために、開発されている。
【0042】
例えば、デジタル分析30は、ほぼ等しい体積の仕切り32を有し、このようなデジタル分析は、「単分散デジタル分析」と呼ばれる。
【0043】
しかし、デジタル分析30のような単分散デジタル分析は、既存のアルゴリズムがソース12中の標的10のバルク濃度λTを推定することができる精度を著しく増加させるが、単分散デジタル分析の生成は、多くの問題によってしばしば左右される。
【0044】
例えば、デジタル分析30のような単分散デジタル分析を生成するための装置は、高価であり、かさばり、そして遅くなり得る。このような装置は、150,000米ドル以上の費用がかかり得るため、このような設備はしばしば、限られた資金を有するチャリティ可能な組織及び他の組織によって達することができない。その結果、そのような組織は、それらの試料を分析のためにラボに送信し、バルク濃度λTの推定
【0045】
【0046】
のために、かなりの期間(例えば、数週間から数カ月)を、一般的に待つ。更に、そのような装置は、6フィート×6フィート×2フィートのオーダーであり得、したがって、現場での適用(例えば、リザーバのバンク、飲料水のための井戸)にはしばしば不適切である。その結果、たとえ組織がそのような装置を所有しているか、又はそのような装置にアクセスすることができたとしても、試料をソースから装置に輸送することは、バルク濃度λTの推定
【0047】
【0048】
を得るための時間及び費用を増加させる。その上、そのような装置は、単分散デジタル分析の各仕切りを生成するために、比較的長い時間、例えば1分程度のオーダー、を要し得る。その結果、単分散デジタル分析は、数十、数百、又は数千もの仕切りを含み得るため、そのような装置の処理能力は制限され、したがって、バルク濃度λTの推定
【0049】
【0050】
を得るための時間及び費用を増加させる。
【0051】
従って、既存の装置よりも小型で安価で高速でありながら、少なくとも既存のシステムと同等の精度を有するシステムに対するニーズが生じている。
【0052】
一実施形態において、そのようなシステムは、仕切り生成デバイス、仕切り検出器、及び電気計算回路を含む。デバイスは、デジタル分析の仕切りを生成するために構成され、少なくとも一つの別の各仕切りの各体積とは異なる各体積を有する仕切りの少なくとも一つである。検出器は、それぞれが閾値濃度よりも大きいそれぞれの濃度の標的を有する仕切りの数を決定するように構成されている。そして、電子回路は、その数に応じて、試料のソースの標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0053】
単分散デジタル分析を生成するための装置と比較して、そのようなシステムは、携帯可能、低コスト、及びより高速であり得、さらに、同様の精度を生じ得る。一実施形態において、これらの改善は、多分散デジタル分析からのソース中の標的のバルク濃度λTを正確に推定することを可能にするアルゴリズムを実装するように構成されているシステムから流れ出る。
【0054】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、ソース中の標的のバルク濃度を決定するためのアナログ技術を示す図である。
【0055】
図2は、ソース中の標的のバルク濃度を決定するための二つのデジタル技術を示す図である。
【0056】
図3は、一実施形態による、ソース中の標的のバルク濃度を決定するためのデジタル技術を示す図である。
【0057】
図4は、一実施形態による、
図3に示すデジタル技術を実装するように構成されたシステムの図である。
【0058】
図5は、一実施形態による、
図3によって示され、
図4のシステムによって実装されるデジタル技術のフローチャートである。
【0059】
図6は、別の実施形態による、
図3によって示され、
図4のシステムによって実装されるデジタル技術のフローチャートである。
【0060】
図7は、一実施形態による、
図3~4の多分散デジタル分析を特徴付けるための技術のフローチャートである。
【0061】
図8は、更に別の実施形態による、
図3によって示され、
図4によって実装されるデジタル技術のフローチャートである。
【0062】
図9は、一実施形態による、多分散デジタル分析及び残留した障壁相の図である。
【0063】
図10は、一実施形態による、
図3によって示されるデジタル技術を使用して、ソース中の標的のバルク濃度の決定するためのポータブルキットの図である。
【0064】
図11は、一実施形態による、
図4のコンピュータの図である。
【0065】
〔詳細な説明〕
「おおよそ」、「実質的に」、「約」、及び類似の単語及び句は、量がその量について与えられた値の±10%の範囲にあり得ること、及び二つ以上の量が正確に等しくなり得るか、又は互いに±10%以内であり得ることを示すために以下で使用される。更に、範囲b~cを記述するために、そのような単語を使用することは、「b-10%・|c-b|」から「c+10%・|c-b|」の範囲を示す。
【0066】
図3は、一実施形態による、ソース12中の標的10のバルク濃度λ
Tを決定するためのデジタル技術を示す図である。例えば、デジタル技術を使用して、バルク濃度λ
Tの正確な推定
【0067】
【0068】
を得ることができる。
【0069】
ガラス又はプラスチックの透明な試験管といった容器40は、暗い仕切りが「オン」であり、明るい仕切りが「オフ」である実施形態によれば、障壁相46に懸濁された仕切り44の多分散デジタル分析42を保持する。記載された例において、各仕切り44は、水などの液体のそれぞれの液滴であり、障壁相46は、油などの別の液体であり、その中に液滴が懸濁される。液滴44と液体の障壁相46との組み合わせは、エマルジョンである。
【0070】
図4は、一実施形態による、容器40、容器内の多分散デジタル分析42及び障壁相46、並びに多分散デジタル分析の液滴44の少なくともいくつかに応じて、ソース12(
図3)中の標的10(
図3)のバルク濃度λ
Tを決定するように構成されたシステム50の図である。
【0071】
システム50は、液滴分析器52及び計算デバイス54を含む。液滴分析器52及び計算デバイス54の両方は、それぞれの機能を実行し、以下で説明するように動作するように、組み込みであるか、又はソフトウェア若しくはファームウェアによって構成されている電子回路を含む。
【0072】
液滴分析器52は、「オン」液滴検出器及びカウンタ56、液滴カウンタ58、及び液滴体積決定器60を含む。「オン」液滴検出器及びカウンタ56は、多分散デジタル分析42内の「オン」液滴44の数を検出し、決定するように構成された電子回路及び一つ以上の光学センサを含む。液滴カウンタ58は、多分散デジタル分析42内の「オン」及び「オフ」液滴44の総数を決定するように構成された電子回路、及び(一つ以上がオン液滴検出器及びカウンタ56に共有されてもよい)一つ以上の光学センサを含む。液滴体積検出器60は、各液滴44のそれぞれの体積を測定するか、又は決定するように構成された電子回路及び(一つ以上が「オン」液滴検出器及びカウンタ56又は液滴カウンタ58と共有されてもよい)一つ以上の光学センサを含む。
【0073】
計算デバイス54は、一つ以上のマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを含むラップトップ、タブレット、又はスマートフォンといった任意の適切なコンピュータとすることができる。
【0074】
図5は、一実施形態による、ソース12中の標的10のバルク濃度λ
Tを決定するためのアルゴリズムのフローチャート70である。
【0075】
図3~5を参照すると、フローチャート70によって表現されるアルゴリズム、及びアルゴリズムを実装するシステム50の動作は、仕切り44及び障壁相46の両方が液体であり、仕切り44が液体の障壁相中に懸濁している液滴である、実施形態に従って説明されている。
【0076】
第一に、ステップ72において、技術者(
図3~5には図示せず)がソース12の試料から異なる体積(例えば、約1pL~数100pLの範囲)の液滴44を生成し、多分散デジタル分析42を形成する。例えば、技術者は、指示された容量の、油といった、障壁相液体46を容器40に加え、容器内の障壁相液体に指示された試料容量のソース10を加え、容器の上部を塞ぎ、容器を振とうして障壁相液体中に懸濁された液滴44のエマルジョンを形成する。更に、実施例において、容器40は、添加されるべき障壁相液体の体積を示すための測定ライン(
図3~5には図示せず)を含み、技術者は、「目(eye)」ドロッパーといった測定デバイスを使用し、試料の体積を取得し、測定する。あるいは、容器40は、障壁相の液体が添加された後に添加されるべき試料の体積を示すために、障壁相の測定線よりも容器上で高い別の測定線(
図3~5には図示せず)を含んでもよい。更に、実施例において、技術者は、容器40に加え、技術者が振とうする前に、
図1~
図2と併せて上述したように、標的担持液滴44を発光させるための試薬を加える。この「振とう及びベーク」技術を使用すると、技術者は、数秒~数十秒以内に、システム50をセットアップし、試料を得る時間が含まれていても、数分間以内に多分散デジタル分析42を生成することができる。
【0077】
次に、ステップ74において、「オン」液滴検出器及びカウンタ56は、多分散デジタル分析42における「オン」液滴44の数aを決定する。例えば、カウンタ56は、技術者が容器40の近く、又は立てかけて保持する、光源及び小型カメラのような組み合わせ照明デバイス及び画像キャプチャデバイスを含むことができる。照明デバイスは、標的を含む液滴が液滴中の標的の濃度にそれぞれ対応する濃淡を有する色を発光するように、液滴44を照明する。次に、技術者は装置上のボタン、又はコンピュータ54によって表示された仮想ボタンを押し、標的を含む液滴が発光している間、容器内の液滴44の画像をキャプチャする。従来の画像処理技法を使用すると、コンピュータ54は、画像を分析し、液滴44を検出し、各検出された液滴44が「オン」であるか、又は「オフ」であるかを、各液滴について、液滴内の標的の数(又は別の方法では、標的の数)が閾値数(例えば、1個の標的分子、5個の標的分子、10個の標的分子)を超えるかどうかを決定することによって決定する。例えば、標的が発光する光信号は、液滴44内の標的の数を示す特性(例えば、強度、色、色の色調)を有し、コンピュータ54は、標的に関連した光信号の特性が信号特性閾値を超える(又は下回る)かどうかを決定することによって、液滴内の標的の数が閾値数を超えるかどうかを決定する。更に、一例において、コンピュータ54は、液滴44の色調(例えば、緑)又は不透明度を閾値の色調又は不透明度と比較し、色調又は不透明度のレベルが閾値以上である場合に液滴が「オン」であると決定し、色調又は不透明度のレベルが閾値未満である場合に液滴が「オフ」であると決定する。あるいは技術者は、「オン」液滴検出器及びカウンタ56を使用し、容器40に関連する異なる方向から液滴44の複数の画像をキャプチャし、単一の画像内の他の液滴によって覆い隠される可能性がある液滴をコンピュータ54が検出できるようにする。
【0078】
次に、ステップ76において、コンピュータ54は、容器40内の「オン」液滴44の数aに応じて、ソース12中の標的10のバルク濃度λTの推定
【0079】
【0080】
を生成する。例えば、
図6に関連して以下に説明するように、コンピュータ54は、一つ以上の式を実行して、aに応じて、
【0081】
【0082】
を解く。
【0083】
システム50、及びシステムが実装するアルゴリズムは、ソース中の標的のバルク濃度を測定するための既存のシステム及び技術に対して一つ以上の利点を提供する。例えば、容器40及び障壁相46は、安価で、現場で、高速なデジタル分析42を生成するように構成されている。更に、システム50は、異なる体積の仕切り44を有する多分散デジタル分析42に応じても、ソース12中の標的10のバルク濃度λTの安価で、現場で、かつ高速な推定を提供するように構成されている。
【0084】
更に
図3~
図5を参照すると、システム50及び上述したアルゴリズムの代替の実施形態が企図されている。例えば、一つ以上のステップは、アルゴリズムに追加することができ、一つ以上の上述したステップは、アルゴリズムから省略することができる。更に、一つ以上の構成要素をシステム50に追加することができ、一つ以上の上述した構成要素をシステムから省略することができる。更に、例えば、標的が試薬なしで発光する場合、又はシステム50が試薬の使用を伴わない手順において、標的に関連するシグナルの特性(例えば、色、色の色調)がシグナル特性閾値を超えるかどうかを決定することによって、仕切り44中の標的の数が閾値数を超えるかどうかを決定し得る場合、試薬の使用は省略され得る。その上、コンピュータ54は、液滴分析器52に帰属する一つ以上の機能及び動作を実行することができ、液滴分析器は、コンピュータに帰属する一つ以上の機能及び動作を実行することができる。更に、クラウドサーバは、コンピュータ54を補完するか、又は置き換えてもよい。更に、システム50及び上述したアルゴリズムは、単分散デジタル分析について同様の結果及び利点をもたらす。その上、
図6~
図10に関連して以下に記載される実施形態は、システム50及び上述したアルゴリズムに適用可能であり得る。
【0085】
図6は、一実施形態による、ソース12(
図3)内の標的10(
図3)のバルク濃度λ
Tを決定するためのデジタル可変体積(DVV)アルゴリズムのフローチャート80である。DVVアルゴリズムは、システム50が液滴体積決定器60を含む状況、又は「オン」液滴44のそれぞれの体積、及び全ての液滴の総体積を決定することができる状況に適している。
【0086】
図3~4及び6を参照すると、フローチャート80によって表現されるDVVアルゴリズム、及びアルゴリズムを実装しているシステム50の動作は、仕切り44及び障壁相46の両方が液体であり、仕切り44が障壁相中における懸濁されてエマルジョンを形成した液滴である、実施形態に従って説明される。
【0087】
第一に、ステップ82において、技術者(
図3~4及び6には図示せず)は、ソース12の試料から異なる体積(例えば、約1pL~数100pLの範囲)の液滴44を生成し、多分散デジタル分析42を形成する。例えば、技術者は、
図5のステップ72に関連して上述した「振とう及びベーク」方法と同じか、又は同様の方法を使用し、多分散デジタル分析42を形成することができる。
【0088】
次に、ステップ84において、「オン」液滴検出器及びカウンタ56は、多分散デジタル分析42における「オン」液滴44の数aを決定する。例えば、「オン」液滴検出器及びカウンタ56は、
図5のステップ74に関連して上述した方法と同じか、又は同様の方法を使用して、数aを決定し得る。
【0089】
次いで、ステップ86において、液滴-体積決定器60は、検出された各「オン」液滴44の体積Viを決定し、必要に応じて、検出された「オン」液滴及び「オフ」液滴44の各々の体積Viを合計することによって、液滴44の総体積VTotalを決定する。例えば、各「オン」液滴44のaのそれぞれの体積Viを決定するために、決定器60は、従来の液滴体積決定アルゴリズムを使用して、ステップ84においてシステム50がキャプチャした一つ以上の画像を分析する。総体積VTotalを決定するために、決定器60は同様に、「オフ」液滴44の体積Viを決定し、「オフ」液滴の体積と「オン」液滴の体積Viとを合計し、決定された合計に等しいVTotalをセットする。代わりに、液滴体積決定器60は、上述したように動作するように構成されているが、液滴分析器52の代わりにコンピュータ54の一部分であるか、またはそうでないものに含まれている。更に別の代替案において、試料の凝集体体積が液滴44の凝集体体積VTotalと同じであり、ステップ82ごとに試料の体積が分かっているため、技術者は、コンピュータ54に試料の体積を入力し、コンピュータは、入力された試料体積と等しいVTotalをセットする。
【0090】
次に、ステップ88において、コンピュータ54は、次式に従って、ソース12中の標的10の推定バルク濃度
【0091】
【0092】
を解く:
【0093】
【0094】
式(1)の導出及び説明を以下に含む。
【0095】
理想的な実施例において、各「オン」液滴44が一つ、及び標的の内の一つのみを含み、その結果、コンピュータ54は、「オン」液滴44の数aを試料14の体積VTotalで割ったものから推定されるバルク濃度
【0096】
【0097】
を決定することができ、ここで、aはまた、試料中の標的の数に等しい。
【0098】
しかし、実際の非理想的な例において、各「オン」液滴44が標的10の2つ以上を含むことがあるため、a/VTotalから推定バルク濃度
【0099】
【0100】
を決定することは、試料14中の標的の数の過小計数によって引き起こされるエラーにつながることがある。
【0101】
試料14「オン」液滴44の内の一つ以上における標的のそれぞれの数が未知である場合、このような過小計数誤差を低減又は排除するため、コンピュータ54は、式(1)を使用し、ソース12における標的のバルク濃度λTを推定するように構成されている。
【0102】
各「オン」液滴44について、式(1)は、液滴が標的の少なくとも一つを含む確率について、それぞれの式に含み、確率は、液滴のそれぞれの体積に依存し、したがって、それぞれの式は、液滴のそれぞれの体積を含む。
【0103】
その結果、式(1)は、一つ以上の「オン」液滴44の各々が一つ以上の標的10を含む可能性を、効果的に説明するだけでなく、式(1)は、より大きな「オン」液滴44がより小さな「オン」液滴よりも二つ以上の標的を含む可能性が高いことを効果的に説明する。
【0104】
システム50、及びシステム50が実装するように構成されているDVVアルゴリズムは、既存のシステム及び技術を超える一つ以上の利点を提供する。例えば、容器40及び二相46は、安価で、現場で、高速なデジタル分析42の生成を提供する。更に、システム50は、異なる体積の液滴44を有する多分散デジタル分析42に応じてさえ、ソース12中の標的10のバルク濃度λTの安価で、現場で、高速で、正確な推定を提供する。
【0105】
更に
図3~4及び6を参照すると、システム50及びDVVアルゴリズムの代替の実施形態が企図されている。例えば、「オン」液滴検出器及びカウンタ56が「オン」液滴44の数aを決定する代わりに、技術者は、「オン」液滴の数aをかぞえ、数aをコンピュータ54に入力することができる。更に、液滴体積決定器60が「オン」液滴44の体積
Viを決定する代わりに、技術者は、定規又は顕微鏡などのデバイスを使用し、体積
Viを推定し、次いで、これらの体積をコンピュータ54に入力することができる。更に、システム50及び上述したアルゴリズムは、単分散デジタル分析について同様の結果及び利点をもたらす。更に、
図3~5に関連して上述し、
図7~11に関連して以下に説明する代替の実施形態は、システム50及びDVVアルゴリズムに適用することができる。
【0106】
図7は、一実施形態による、
図4の容器40及び障壁相46を用いて生成された仕切り(例えば、液滴)44の体積を特徴付けるためのアルゴリズムのフローチャート100である。
【0107】
図8は、一実施形態による、ソース12(
図3)内の標的10(
図3)のバルク濃度を測定するためのデジタル可変体積近似(DVVA)アルゴリズムのフローチャート110である。DVVAアルゴリズムは、システム50が液滴体積決定器60を欠く状況、又は「オン」液滴44のそれぞれの体積、及び全ての液滴の総体積が未知である状況に適している。
【0108】
図3~4及び7を参照すると、仕切り44が液滴である実施形態による、仕切り-体積特徴付けアルゴリズムが記載されている。
【0109】
ステップ102において、技術者(
図3~4又は7には示されていない)は、
図3のソース12の試料に類似する試験試料から、異なる体積(例えば、約1pL~100pLの範囲)の試験液滴のセットを生成し、試験の多分散デジタル分析を形成し;例えば、意図されるソース12が水の塊である場合、技術者は、水の試料を使用し得る。技術者は、指示された容量の、油といった、障壁相液体46を容器40に添加し、指示された容量の試験試料を容器内の障壁相液体に添加し、容器の頂部を塞ぎ、容器を振とうし、障壁相液体中に懸濁された試験液滴のエマルジョンを形成する。容器40は、添加される障壁相液体の体積を示すための測定ライン(
図3~4又は7には図示せず)を含んでもよく、技術者は「目(eye)」ドロッパーといった、測定デバイスを使用し、指示された体積の試験試料を添加してもよい。あるいは、容器は、障壁相液体が添加された後に添加されるべき試験試料の体積を示すために、障壁相測定ラインよりも容器上で高い別の測定ライン(
図3~4又は7には示されていない)を含んでもよい。
【0110】
次に、ステップ104において、液滴カウンタ58又は同様のカウンタは、試験液滴の数mを決定し、ステップ106において、液滴体積決定器60又は同様の決定器が、m個の各試験液滴のためにそれぞれの体積Vi_characterizedを決定する。
【0111】
次いで、ステップ108において、コンピュータ54は、試験液滴の数mを記憶し、試験液滴の体積
Vi_characterizedをメモリ(
図3には示されていない)に記憶する。あるいは、数mと対応する体積
Vi_characterizedは、コンピュータ54がmと
Vi_characterizedの数値をダウンロードするように構成されている、別のメモリに記憶することもできる。
【0112】
特徴づけられた数m及び特徴づけられた体積
Vi_characterizedを生成する背後の理論は、類似の容器、試料物質、及び障壁相がm及び
Vi_characterizedに対して類似の値を生成し、m及び
Vi_characterizedの値は、実際の液滴44の体積
Viが決定できないか、又は他の点では不明である場合に、試料12(
図3)における標的10(
図3)のバルク濃度λ
Tを決定できるように使用されることである。すなわち、実際の液滴体積
Viと特徴づけられた液滴体積
Vi_characterizedとの間の統計的依存性は、以下に述べるように、実際の液滴44の体積
Viが不明である場合、試験液滴の数mと体積
Vi_characterizedを用いて、ソース12における標的10の実際の体積濃度λ
Tを決定することができるように、十分に高い。
【0113】
更に
図7を参照すると、液滴-特徴付けアルゴリズムの代替の実施形態が企図されている。例えば、ステップ102~106は、m及び
Vi_characterizedのための試験値のセットを生成するために任意の適当な回数繰り返すことができ、コンピュータ54、又は類似のコンピュータは、m及び
Vi_characterizedの最終値を、試験値のセットの一つ以上からの値を補間することによって計算することができる。
【0114】
図3~4及び8を参照すると、フローチャート110によって表されるDVVAアルゴリズム、及びDVVAアルゴリズムを実装しているシステム50の動作は、仕切り44及び障壁相46の両方が液体であり、仕切り44が障壁相中に懸濁された液滴であり、エマルジョンを形成する、実施形態に従って説明される。
【0115】
第一に、ステップ112において、技術者(
図3~4及び8には図示せず)がソース12の試料から異なる体積(例えば、約1pL~100pLの範囲)の液滴44を生成し、多分散デジタル分析42を形成する。例えば、技術者は、
図5のステップ72に関連して上述した「振とう及びベーク」方法と同じか又は同様の方法を用いて、多分散デジタル分析42を形成してもよい。
【0116】
次に、ステップ114において、「オン」液滴検出器及びカウンタ56は、多分散デジタル分析42における「オン」液滴44の数aを決定する。例えば、オン-液滴検出器及びカウンタ56は、
図5のステップ74に関連して上述した方法と同一又は類似の方法を使用し、数aを決定してもよい。
【0117】
次いで、ステップ116において、液滴カウンタ58は、容器40内の多分散デジタル分析42内の全ての液滴44の数n(すなわち、「オン」及び「オフ」液滴の合計)を決定する。例えば、全ての液滴44の数nを決定するために、液滴カウンタ58は、従来の液滴-計数アルゴリズムを用い、ステップ114においてシステム50がキャプチャした一つ以上の画像を分析する。あるいは、液滴カウンタ58が「オフ」液滴44の数bのみを計数し、この数を「オン」液滴の数aに加えて、n=a+bを生成する。あるいは、液滴カウンタ58は、同様の方法で動作するが、液滴分析器52の一部であるか、又はそれに含まれる代わりに、コンピュータ54の一部であるか、又はそれに含まれる。
【0118】
次に、ステップ118において、コンピュータ54は、次式に従って、ソース12中の標的10の推定バルク濃度
【0119】
【0120】
を解く:
【0121】
【0122】
ここで、mは、液滴の特徴付けられた数であり、各
Vi_characterizedは、
図7に関連して上述したように、m個の液滴のそれぞれ一つの特徴付けられた体積である。
【0123】
式(2)の導出及び説明を以下に含める。
【0124】
システム50、及びシステムが実装するように構成されているDVVAアルゴリズムは、既存のシステム及び技術に対して一つ以上の利点を提供する。例えば、容器40及び障壁相46は、安価で、現場で、高速なデジタル分析42の生成を提供する。更に、システム50は、未知の異なる体積の液滴44を有する多分散デジタル分析42に応じてさえ、ソース12中の標的10のバルク濃度λTの安価で、現場で、高速な推定を提供する。
【0125】
更に
図3~4及び8を参照すると、システム50及びDVVAアルゴリズムの代替の実施形態が企図される。例えば、
図7に関連して上述した試験液滴の数m及び体積
Vi_characterizedから、試験液滴の体積の確率密度関数f(v)を決定し、以下の式に従って、ソース12における標的10の推定体積濃度
【0126】
【0127】
を解くことができる:
【0128】
【0129】
更に、
図3~7に関連して上述され、
図9~11に関連して以下に説明される代替の実施形態は、システム50及びDVVAアルゴリズムに適用可能であり得る。
【0130】
図9は、別の実施形態による、容器40内の多分散デジタル分析42の図である。
【0131】
障壁相46、例えば油が液滴44よりも高い密度を有する場合、液滴は、
図9に示されるように液滴がない障壁相の残留領域120上に「浮遊(float)」し得る。
【0132】
逆に、障壁相46、例えば油が液滴44よりも低い密度を有する場合、液滴は、容器40の底部に「沈む(sink)」ことができ、その結果、液滴のない障壁相の残留領域120は液滴の上に「浮遊する」(液滴の上に「浮遊する」残留領域は、
図9には図示していない)。
【0133】
図10は、一実施形態によるデジタル-分析-生成-及び-分析キット130の図である。キット130、ポータブルコンピュータ(例えば、ラップトップ、タブレット、スマートフォン)、及び
図5~8に関連して上述したアルゴリズムの内の一つ以上の組合せは、安価で、現場で、高速なデジタル分析42の生成を提供し、未知であり得る異なる体積の液滴44を有する多分散デジタル分析にもかかわらず、ソース12(
図3)中の標的10(
図3)の安価で、現場で、高速なバルク濃度λ
Tの推定を提供する。例えば、キット130は、約$30~$100の費用がかかり得、各デジタル分析42を生成するために必要とされる障壁相46の額は、約$1以下の費用がかかり、キット130及びコンピュータ54の合計重量は、約3ポンド(lbs.)~10lbs.であり、総試験時間(試料14の収集から、コンピュータ54が推定バルク濃度
【0134】
【0135】
を与えるまで)は、約20分~80分であり得る。
【0136】
容器40及び液滴分析器52に加えて、キット130は、容器ストッパ132、障壁相46の再開閉可能なパッケージ(例えば、スクリュートップボトル)134、試薬の再開閉可能な任意のパッケージ(例えば、スクリュートップボトル)136、ドロッパー138、及び非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体140を含む。ストッパ132は、多分散デジタル分析42を形成するための容器の振とうを可能にするために、容器40の開口部に液密シールを形成するように構成されている。ドロッパー138は、技術者が障壁相46及び試薬をそれぞれのパッケージ134及び136から容器40に移送することを可能にし、技術者がソース(例えば、リザーバ)から液体試料(例えば、水)を獲得し、試料を容器に移送することを可能にする。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ポータブルコンピュータによって実行されるとき、コンピュータに
図5~8に関連して上述したアルゴリズムの内の一つを実装させるプログラム命令を格納する適切な不揮発性メモリである。
【0137】
更に
図10を参照すると、キット130の代替の実施形態が考えられる。例えば、キット130は、他のシステム構成要素の全てを保管し、運搬することができる運搬ケースを含むことができる。さらに、
図1~9に関連して上述し、
図11に関連して以下に説明する実施形態は、キット130に適用可能であり得る。
【0138】
図11は、一実施形態による、
図4のコンピュータ54のブロック図である。
【0139】
コンピュータ54は、計算回路150、一つ以上の入力デバイス152、一つ以上の出力デバイス154、及び一つ以上のデータ記憶デバイス156を含む。
【0140】
計算回路150は、
図3~8及び10に関連して上述した機能及び動作といった、様々な機能及び動作を実行するように構成された回路を含む。例えば、計算回路150は、上述の機能及び動作を実行するために、ファームウェアで組み込まれている又は構成されているか、又はソフトウェアを実行するマイクロプロセッサ又はマイクロコントローラを含む。
【0141】
一つ以上の入力デバイス152は、オペレータ又はデバイスがデータ又は他の情報又は信号をコンピュータ54に提供することを可能にするように構成されている。入力デバイス152の例は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、可聴又は音声認識の構成要素、液滴分析器52(
図4)などを含む。
【0142】
一つ以上の出力デバイス154は、計算回路150からデータを適切な形態でオペレータ又は装置に提供するように、又は計算回路150の制御下で機能又は動作を実行するように構成されている。出力デバイス154の例は、プリンタ、ビデオディスプレイ、音声出力の構成要素、液滴分析器52(
図4)などを含む。
【0143】
一つ以上のデータ記憶デバイス156は、揮発性又は不揮発性記憶媒体(図示せず)上にデータを格納するか、又はそこからデータを取り出すように構成されている。データ記憶デバイス156の例は、磁気ディスク、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM、SRAM、DRAM、USB「スティック(stick)」)などの他のタイプのソリッドステートメモリ、フェロ電気メモリ、テープドライブ、コンパクトディスクといった光ディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)等を含む。
【0144】
更に
図11を参照すると、コンピュータ54の別の実施例が考えられる。例えば、コンピュータ54は、上述した装置の内の一つ以上を省略してもよく、一つ以上の他の装置を含んでもよい。
【0145】
〔式(1)及び(2)の導出及び説明〕
〔一般的な定義と仮定〕
デジタル分析において、バルク試料中の標的(分子、細胞など)は、多くの仕切りにランダムに分配される。一つ以上の標的をもつ仕切りは、信号(例えば、核酸増幅後の蛍光強度)を与え、「オン」仕切りと呼ばれる。標的をもたない仕切りは、信号を与えず、「オフ」仕切りと呼ばれる。標的は、ポアソン分布に従って仕切りに分配される。
図4のシステム50のような分析システムは、「オン」仕切りの数を検出し、カウントすることができる(しかし、仕切り当たりの標的の数は検出しない)。
【0146】
各分析について、バルク濃度は、特定の推論方法を使用して計算される必要がある。デジタル-可変-体積(DVV)及びデジタル-可変-体積-近似(DVVA)方法は、最大尤度推定に基づいており、濃度推定は、特定の実験結果を観測する尤度を最大化するものである。最大尤度推定の選択は、多体積デジタルPCR(各分析が少数の所定の、正確に制御された体積を利用する)において、その使用によってもたらされ、これは微生物計数のための限界希釈分析によってもたらされた。特に重要な特徴は、異なる体積からの結果が尤度を乗算することによって容易に組み合わされることである。以下に、最大尤度フレームワークを使用して濃度推定値及び標準誤差を計算するために使用される式を導出する。DVV及びDVVA方法の説明に関連する用語を表1に記載する。
【0147】
【0148】
体積及びバルク濃度(式(a))が与えられるとき、特定の仕切りが「オン」になる確率を計算することから始める。これは、
【0149】
【0150】
の平均を持つポアソン分布に基づいて、仕切り内に一つ以上の標的が存在する可能性と同じである。この確率は、後続の導出ステップにおいて有用である。
【0151】
【0152】
〔デジタル可変体積(DVV)〕
ある分析結果、すなわち、関連する体積を有する「オン」及び「オフ」仕切りの特定の数(それぞれ、a及びb)を観察する尤度l(λT)は、式(a)を使用して計算された個々の尤度の積である。
【0153】
【0154】
次に、l(λT)を最大化するλTの値が求められる。標準誤差を簡便に計算し、陽性濃度を求めるためには、濃度の自然対数
【0155】
【0156】
と対数尤度関数
【0157】
【0158】
を用いる。また、λTよりもΛの方が、Λの分布の歪みが少ないため、標準誤差の計算に適切である。したがって、目標は、L(Λ)を最大にするΛ値を見つけることである。L(Λ)及び一次及び二次誘導体の式を以下に示す。
【0159】
【0160】
【0161】
を計算するために、一次微分の根(式(d))を決定する、すなわち、以下に繰り返す式(1)を解く。
【0162】
【0163】
L’(Λ)=0を式(e)に代入すると、L’’(Λ)<0となる。式(1)を用いて求めたΛ値は、実際にL(Λ)を最大にする。また、Λにおける導関数を用いて、観察されたフィッシャー情報
【0164】
【0165】
を用いてΛの標準誤差を計算することもできる。
【0166】
【0167】
この
【0168】
【0169】
は、信頼区間を計算するために使用することができる。期待されるフィッシャー情報を用いて
【0170】
【0171】
を計算することは、体積分布が未知であるため実行不可能である。実際、DVV技術を実装するために、体積分布は必要ではなく、一実験毎に同じである必要はない。
【0172】
〔デジタル可変容量近似(DVVA)〕
一般に、仕切りがオンになる確率は、体積分布(確率密度関数f(v)によって指定される)を使用し、計算することができる。
【0173】
【0174】
以前に、f(v)は、ガンマ分布又は切り捨て正規分布に従うように選択されていた。しかしながら、実際には、f(v)は、単純な関数によって記述されなくてもよい。そして、それが真である場合でさえ、f(v)を特徴付けるために、一組の予め測定された体積(表1におけるようなM)は、依然として実験的に得られる必要がある。したがって、DVVA技術のために、f(v)の代わりに、別々に測定された体積Mのセットが使用される。
【0175】
【0176】
次いで、尤度関数は、二項分布を用いて得ることができる(pon(λ)の確率であるn個の仕切りの内のa個のON仕切りの場合)。
【0177】
【0178】
上述した動機付けのように、対数尤度関数は、変数
【0179】
【0180】
、続いて、その一次及び二次導関数の変化を用いて計算することができる。
【0181】
【0182】
L(Λ)を最大にするために、L’(Λ)の根が見出され(以下に繰り返される式(2))、二次導関数(式(m))の符号をチェックすることによって、それが最大に対応することが検証される。興味深い観察は、式(2)がa/nを用いて、pON(λT)を推定することができることである。
【0183】
【0184】
次に、
【0185】
【0186】
は、期待フィッシャー情報
【0187】
【0188】
を用いて計算する。2次導関数
【0189】
【0190】
は、
【0191】
【0192】
((式(2))の線形関数である。
【0193】
【0194】
は、式(k)に代入することができ、後続の結果を式(l)に代入して、以下の式を
【0195】
【0196】
のために得ることができる。
【0197】
【0198】
この特定の場合において、観測されたフィッシャー情報
【0199】
【0200】
を用いて計算された標準誤差も、
【0201】
【0202】
において評価された、式(n)と同じである。これは、
【0203】
【0204】
を、
【0205】
【0206】
に代入することによって検証することができる。
【0207】
〔実施例の例〕
実施例1は、試料の仕切りを生成するように構成されているデバイスであって、仕切りの内の少なくとも一つが、各仕切りの内の別の少なくとも一つのそれぞれの体積とは異なるそれぞれの体積を有する、デバイス、それぞれが標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの数を決定するように構成されている検出器、及び仕切りの決定された数に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている電子回路を備えるシステムを含む。
【0208】
実施例2は、実施例1のシステムを含み、デバイスは、容器の移動に応じて、障壁相において試料の仕切りを生成するように構成されている容器を含む。
【0209】
実施例3は、実施例1~2のいずれかのシステムを含み、デバイスは、容器の振とうに応じて、液体中に試料の仕切りを生成するように構成されている容器を含む。
【0210】
実施例4は、実施例1~3のいずれかのシステムを含み、デバイスは、容器の振とうに応じて、油中の試料の液滴として試料の仕切りを生成するように構成されている容器を含む。
【0211】
実施例5は、容器の振とうに応じて、障壁相中の試料の液滴としての試料の仕切りを生成するように構成されている容器を含み、それぞれの液滴が粘度を有し、液滴の粘度よりも大きい粘度を有する障壁相である、実施例1~4のいずれかのシステムを含む。
【0212】
実施例6は、実施例1~5のいずれかのシステムを含み、検出器は、前記数の仕切りの各々が発光する電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの、数を決定するように構成されている。
【0213】
実施例7は、実施例1~6のいずれかのシステムを含み、検出器は、前記数の仕切りの各々が吸収する電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの、数を決定するように構成されている。
【0214】
実施例8は、実施例1~7のいずれかのシステムを含み、検出器は、前記数の仕切りの各々が通過する電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの、数を決定するように構成されている。
【0215】
実施例9は、実施例1~8のいずれかのシステムを含み、検出器は、前記数の仕切りの各々がブロックする電磁気エネルギーの波長に応じて、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの、数を決定するように構成されている。
【0216】
実施例10は、実施例1~9のいずれかのシステムを含み、電子回路は、前記数の仕切りの各々の測定された各体積に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0217】
実施例11は、実施例1~10のいずれかのシステムを含み、電子回路は、仕切りの各々の測定された各体積の合計に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0218】
実施例12は、実施例1~11のいずれかのシステムを含み、電子回路は、仕切りの数に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0219】
実施例13は、実施例1~12のいずれかのシステムを含み、電子回路は、他の仕切りの数に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0220】
実施例14は、実施例1~13のいずれかのシステムを含み、電子回路は、他の各仕切りの測定された各体積に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0221】
実施例15は、実施例1~14のいずれかのシステムを含み、電子回路は、他の仕切りの数及び他の仕切りの各々の測定されたそれぞれの体積に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0222】
実施例16は、実施例1~15のいずれかのシステムを含み、電子回路は、仕切り体積の確率密度関数に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するように構成されている。
【0223】
実施例17は、障壁相液体、障壁相液体を受け取り、標的を含んでいる試料を受け取り、容器の振とうに応じて、障壁相液体中に懸濁された試料の仕切りを生成するように構成されており、少なくとも一つの仕切りは、少なくとも別の仕切りのそれぞれの体積とは異なる体積を有する、容器、及び標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する各仕切りの数を決定するように構成されている検出器を含む、システムを含む。
【0224】
実施例18は、障壁相液体が油を含む、実施例17のシステムを含む。
【0225】
実施例19は、容器が透明な管を含む、実施例17~18のいずれかのシステムを含む。
【0226】
実施例20は、検出器が電子検出器を含む、実施例17~19のいずれかのシステムを含む。
【0227】
実施例21は、検出器が仕切りの数を決定するように構成されている、実施例17~20のいずれかのシステムを含む。
【0228】
実施例22は、標的を含んでいるソースから試料を得るように構成されている装置を更に含む、実施例17~21のいずれかのシステムを含む。
【0229】
実施例23は、命令を格納するコンピュータ読み取り可能媒体を更に備え、計算回路によって実行されたとき、計算回路に、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する、仕切りの数に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定させる、実施例17~22のいずれかのシステムを含む。
【0230】
実施例24は、少なくとも別の一つの各仕切りの各体積とは異なる各体積を有する仕切りの内の少なくとも一つである、試料の仕切りを生成するステップ、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの数を決定するステップ、及び仕切りの数に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するステップを含む方法を含む。
【0231】
実施例25は、実施例24の方法を含み、仕切りを生成するステップは、試料及び障壁相を含む容器を振とうすることによって、障壁相中に懸濁された仕切りを生成するステップを含む。
【0232】
実施例26は、実施例24~25のいずれかの方法を含み、仕切りを生成するステップは、試料及び液体を含む容器を振とうすることによって、液体中に懸濁された液滴を生成するステップを含む。
【0233】
実施例27は、実施例24~26のいずれかの方法を含み、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの数を決定するステップは、前記数の仕切りの各々が発光する電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの数を決定するステップを含む。
【0234】
実施例28は、実施例24~27のいずれかの方法を含み、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの数を決定するステップは、前記数の仕切りの各々が吸収する電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの数を決定するステップを含む。
【0235】
実施例29は、実施例24~28のいずれかの方法を含み、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの数を決定するステップは、前記数の仕切りの各々が通過する電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの数を決定するステップを含む。
【0236】
実施例30は、実施例24~29のいずれかの方法を含み、各々が標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する仕切りの数を決定するステップは、前記数の仕切りの各々がブロックする電磁気エネルギーの波長に応じて、仕切りの数を決定するステップを含む。
【0237】
実施例31は、実施例24~30のいずれかの方法を含み、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するステップは、前記数の仕切りの各々の、測定されたそれぞれの体積に応じて、バルク濃度を決定するステップを含む。
【0238】
実施例32は、実施例24~31のいずれかの方法を含み、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するステップは、各々の仕切りの測定されたそれぞれの体積の合計に応じて、バルク濃度を決定するステップを含む。
【0239】
実施例33は、実施例24~32のいずれかの方法を含み、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するステップは、仕切りの数に応じて、バルク濃度を決定するステップを含む。
【0240】
実施例34は、実施例24~33のいずれかの方法を含み、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するステップは、他の仕切りの数に応じて、バルク濃度を決定するステップを含む。
【0241】
実施例35は、実施例24~34のいずれかの方法を含み、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するステップは、他の仕切りの各々の測定されたそれぞれの体積に応じて、バルク濃度を決定するステップを含む。
【0242】
実施例36は、実施例24~35のいずれかの方法を含み、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定するステップは、他の仕切りの数及び他の仕切りの各々の測定されたそれぞれの体積に応じて、バルク濃度を決定するステップを含む。
【0243】
実施例37は、実施例24~36のいずれかの方法を含み、試料のソース中の標的のバルク濃度を測定するステップは、仕切りの体積の確率密度関数に応じて、バルク濃度を測定するステップを含む。
【0244】
実施例38は、計算回路によって実行されるとき、計算回路に、各々が、標的の閾値数よりも大きいそれぞれの数の標的を有する試料の仕切りの数を決定させ、各々の仕切りの少なくとも別の一つのそれぞれの体積と異なる、それぞれの体積を有する仕切りの少なくとも一つであり、仕切りの決定した数に応じて、試料のソース中の標的のバルク濃度を決定させる、命令を格納する実体のある非一時的なコンピュータ読み取り可能媒体を含む。
【0245】
上記から、特定の実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正がなされてもよいことが理解されるであろう。更に、特定の実施形態について代替案が開示される場合、この代替案は、具体的に述べられていなくても、他の実施形態にも適用することができる。更に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアの任意の二つ以上の組み合わせで、記述された任意の構成部品又は動作を実装/実行することができる。例えば、上述の動作及び機能のうちの任意の一つ、複数、又は全ては、一つ以上の動作又は機能を実行するように構成され、一つ以上の動作又は機能を実行するようにプログラム命令を実行するように構成され、ファームウェアで構成され、又はそうでなければ構成され、一つ以上の動作又は機能を実行するように構成され、又は前述の構成の内の二つ以上の組合せで構成されている、組み込みである電子回路によって実行することができる。例えば、
図11のコンピュータ54の構成要素の内の一つ又は複数は、そのような電子回路を含むことができる。更に、説明された装置又はシステムの一つ以上の構成要素は明確さ又は別の理由のために、説明から省略されていることがある。更に、説明に含まれた説明された装置又はシステムの一つ以上の構成要素は、装置又はシステムから省略され得る。更に、説明された方法の一つ以上のステップは明確さ又は別の理由のために、説明から省略されていることがある。更に、説明に含まれてきた説明された方法の一つ以上のステップは、方法から省略され得る。
【図面の簡単な説明】
【0246】
【
図1】
図1は、ソース中の標的のバルク濃度を決定するためのアナログ技術を示す図である。
【
図2】
図2は、ソース中の標的のバルク濃度を決定するための二つのデジタル技術を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による、ソース中の標的のバルク濃度を決定するためのデジタル技術を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態による、
図3に示すデジタル技術を実装するように構成されたシステムの図である。
【
図5】
図5は、一実施形態による、
図3によって示され、
図4のシステムによって実装されるデジタル技術のフローチャートである。
【
図6】
図6は、別の実施形態による、
図3によって示され、
図4のシステムによって実装されるデジタル技術のフローチャートである。
【
図7】
図7は、一実施形態による、
図3~4の多分散デジタル分析を特徴付けるための技術のフローチャートである。
【
図8】
図8は、更に別の実施形態による、
図3によって示され、
図4によって実装されるデジタル技術のフローチャートである。
【
図9】
図9は、一実施形態による、多分散デジタル分析及び残留した障壁相の図である。
【
図10】
図10は、一実施形態による、
図3によって示されるデジタル技術を使用して、ソース中の標的のバルク濃度の決定するためのポータブルキットの図である。