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特許72667033レベルブースト回路、多出力並列システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】3レベルブースト回路、多出力並列システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20230421BHJP
【FI】
H02M3/155 F
H02M3/155 W
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021556942
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 CN2019130012
(87)【国際公開番号】W WO2020248583
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2021-09-29
(31)【優先権主張番号】201910501039.4
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517112122
【氏名又は名称】陽光電源股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161883
【弁理士】
【氏名又は名称】北出 英敏
(72)【発明者】
【氏名】王 騰飛
(72)【発明者】
【氏名】荘 加才
(72)【発明者】
【氏名】徐 君
(72)【発明者】
【氏名】藩 年安
【審査官】町田 舞
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108923632(CN,A)
【文献】国際公開第2012/140781(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109039061(CN,A)
【文献】特開2014-036491(JP,A)
【文献】国際公開第2013/140611(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3レベルブースト回路であって、
入力コンデンサ、インダクタ、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第1のフライホィールダイオード、第2のフライホィールダイオード、フライングコンデンサ、バランスコンデンサ、充電ダイオード、クランプダイオード、放電ダイオード、及び出力直列コンデンサバンクを含み、
前記出力直列コンデンサバンクは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、内部に第1のノード及び第2のノードを有し、前記第1のノードの電位は、前記充電ダイオードのカソードの電位よりも高く、前記第2のフライホィールダイオードのカソードと前記第2のノードの電位差は、前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えず、
前記入力コンデンサは、入力電源と並列に接続され、前記入力コンデンサの負極は、前記出力直列コンデンサバンクの低電位端に接続され、前記入力コンデンサの正極は、前記インダクタの第1の端、前記インダクタの第2の端、前記第1のフライホィールダイオードのアノード、前記第1のフライホィールダイオードのカソード、前記第2のフライホィールダイオードのアノード、前記第2のフライホィールダイオードのカソードを順次に介して、前記出力直列コンデンサバンクの高電位端に接続され、
前記インダクタの第2の端は、前記第1のスイッチの第1の端、前記第1のスイッチの第2の端、前記第2のスイッチの第1の端、前記第2のスイッチの第2の端を順次に介して、前記入力コンデンサの負極に接続され、
前記第1のフライホィールダイオードのカソードは、前記フライングコンデンサの一端、前記フライングコンデンサの他端、前記充電ダイオードのアノード、前記充電ダイオードのカソード、前記バランスコンデンサの一端、前記バランスコンデンサの他端を順次に介して、前記入力コンデンサの負極に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端は、前記充電ダイオードのアノードに接続され、
前記クランプダイオードのカソードは、前記第2のフライホィールダイオードのアノードに接続され、前記クランプダイオードのアノードは、前記第2のノードに接続され、
前記放電ダイオードのカソードは、前記第1のノードに接続され、前記放電ダイオードのアノードは、前記充電ダイオードのカソードに接続され、
前記フライングコンデンサと前記バランスコンデンサの容量の差は、プリセット値を超えず、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチは、交互にオンになり、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチのデューティ比Dは、同じであり、
前記デューティ比Dの大きさは、入力電圧Vinと必要に応じて確立される出力電圧Voutとの間の、Vout=Vin/(1-D)という関係に従って決定されることを特徴とする3レベルブースト回路。
【請求項2】
3レベルブースト回路であって、
入力コンデンサ、インダクタ、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第1のフライホィールダイオード、第2のフライホィールダイオード、フライングコンデンサ、バランスコンデンサ、充電ダイオード、クランプダイオード、放電ダイオード、及び出力直列コンデンサバンクを含み、
前記出力直列コンデンサバンクは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、内部に第1のノード及び第2のノードを有し、前記第1のノードの電位は、前記充電ダイオードのカソードの電位よりも高く、前記第2のフライホィールダイオードのカソードと前記第2のノードの電位差は、前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えず、
前記入力コンデンサは、入力電源と並列に接続され、前記入力コンデンサの負極は、前記出力直列コンデンサバンクの低電位端に接続され、前記入力コンデンサの正極は、前記インダクタの第1の端、前記インダクタの第2の端、前記第1のフライホィールダイオードのアノード、前記第1のフライホィールダイオードのカソード、前記第2のフライホィールダイオードのアノード、前記第2のフライホィールダイオードのカソードを順次に介して、前記出力直列コンデンサバンクの高電位端に接続され、
前記インダクタの第2の端は、前記第1のスイッチの第1の端、前記第1のスイッチの第2の端、前記第2のスイッチの第1の端、前記第2のスイッチの第2の端を順次に介して、前記入力コンデンサの負極に接続され、
前記第1のフライホィールダイオードのカソードは、前記フライングコンデンサの一端、前記フライングコンデンサの他端、前記充電ダイオードのアノード、前記充電ダイオードのカソード、前記バランスコンデンサの一端、前記バランスコンデンサの他端を順次に介して、前記入力コンデンサの負極に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端は、前記充電ダイオードのアノードに接続され、
前記クランプダイオードのカソードは、前記第2のフライホィールダイオードのアノードに接続され、前記クランプダイオードのアノードは、前記第2のノードに接続され、
前記放電ダイオードのカソードは、前記第1のノードに接続され、前記放電ダイオードのアノードは、前記充電ダイオードのカソードに接続され、
前記フライングコンデンサと前記バランスコンデンサの容量の差は、プリセット値を超えず、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチは、交互にオンになり、
前記出力直列コンデンサバンクは、出力正極と出力負極の間に順番に直列に接続された第1の出力コンデンサ、第2の出力コンデンサ、第3の出力コンデンサ、及び第4の出力コンデンサを含み、前記第1の出力コンデンサ、前記第2の出力コンデンサ、前記第3の出力コンデンサ、及び前記第4の出力コンデンサの容量値は等しく、
前記第1のノードは、前記第1の出力コンデンサの正極又は前記第2の出力コンデンサの正極であり、前記第2のノードは、前記第4の出力コンデンサの正極であることを特徴とする3レベルブースト回路。
【請求項3】
3レベルブースト回路であって、
入力コンデンサ、インダクタ、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第1のフライホィールダイオード、第2のフライホィールダイオード、フライングコンデンサ、バランスコンデンサ、充電ダイオード、クランプダイオード、放電ダイオード、及び出力直列コンデンサバンクを含み、
前記出力直列コンデンサバンクは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、
内部に第1のノード及び第2のノードを有し、前記第1のノードの電位は、前記充電ダイオードのアノードの電位よりも低く、前記第2のノードと前記第2のフライホィールダイオードのアノードの電位差は、前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えず、
前記入力コンデンサは、入力電源と並列に接続され、前記入力コンデンサの正極は、前記出力直列コンデンサバンクの高電位端に接続され、前記入力コンデンサの負極は、前記インダクタの第1の端、前記インダクタの第2の端、前記第1のフライホィールダイオードのカソード、前記第1のフライホィールダイオードのアノード、前記第2のフライホィールダイオードのカソード、前記第2のフライホィールダイオードのアノードを順次に介して、前記出力直列コンデンサバンクの低電位端に接続され、
前記インダクタの第2の端は、前記第1のスイッチの第1の端、前記第1のスイッチの第2の端、前記第2のスイッチの第1の端、前記第2のスイッチの第2の端を順次に介して、前記入力コンデンサの正極に接続され、
前記第1のフライホィールダイオードのアノードは、前記フライングコンデンサの一端、前記フライングコンデンサの他端、前記充電ダイオードのカソード、前記充電ダイオードのアノード、前記バランスコンデンサの一端、前記バランスコンデンサの他端を順次に介して、前記入力コンデンサの正極に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端は、前記充電ダイオードのカソードに接続され、
前記クランプダイオードのアノードは、前記第2のフライホィールダイオードのカソードに接続され、前記クランプダイオードのカソードは、前記第2のノードに接続され、
前記放電ダイオードのアノードは、前記第1のノードに接続され、前記放電ダイオードのカソードは、前記充電ダイオードのアノードに接続され、
前記フライングコンデンサと前記バランスコンデンサの容量の差は、プリセット値を超えず、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチは、交互にオンになり、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチのデューティ比Dは、同じであり、
前記デューティ比Dの大きさは、入力電圧Vinと必要に応じて確立される出力電圧Voutとの間の、Vout=Vin/(1-D)という関係に従って決定されることを特徴とする3レベルブースト回路。
【請求項4】
3レベルブースト回路であって、
入力コンデンサ、インダクタ、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第1のフライホィールダイオード、第2のフライホィールダイオード、フライングコンデンサ、バランスコンデンサ、充電ダイオード、クランプダイオード、放電ダイオード、及び出力直列コンデンサバンクを含み、
前記出力直列コンデンサバンクは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、
内部に第1のノード及び第2のノードを有し、前記第1のノードの電位は、前記充電ダイオードのアノードの電位よりも低く、前記第2のノードと前記第2のフライホィールダイオードのアノードの電位差は、前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えず、
前記入力コンデンサは、入力電源と並列に接続され、前記入力コンデンサの正極は、前記出力直列コンデンサバンクの高電位端に接続され、前記入力コンデンサの負極は、前記インダクタの第1の端、前記インダクタの第2の端、前記第1のフライホィールダイオードのカソード、前記第1のフライホィールダイオードのアノード、前記第2のフライホィールダイオードのカソード、前記第2のフライホィールダイオードのアノードを順次に介して、前記出力直列コンデンサバンクの低電位端に接続され、
前記インダクタの第2の端は、前記第1のスイッチの第1の端、前記第1のスイッチの第2の端、前記第2のスイッチの第1の端、前記第2のスイッチの第2の端を順次に介して、前記入力コンデンサの正極に接続され、
前記第1のフライホィールダイオードのアノードは、前記フライングコンデンサの一端、前記フライングコンデンサの他端、前記充電ダイオードのカソード、前記充電ダイオードのアノード、前記バランスコンデンサの一端、前記バランスコンデンサの他端を順次に介して、前記入力コンデンサの正極に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端は、前記充電ダイオードのカソードに接続され、
前記クランプダイオードのアノードは、前記第2のフライホィールダイオードのカソードに接続され、前記クランプダイオードのカソードは、前記第2のノードに接続され、
前記放電ダイオードのアノードは、前記第1のノードに接続され、前記放電ダイオードのカソードは、前記充電ダイオードのアノードに接続され、
前記フライングコンデンサと前記バランスコンデンサの容量の差は、プリセット値を超えず、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチは、交互にオンになり、
前記出力直列コンデンサバンクは、出力負極と出力正極の間に順番に直列に接続された第1の出力コンデンサ、第2の出力コンデンサ、第3の出力コンデンサ、及び第4の出力コンデンサを含み、前記第1の出力コンデンサ、前記第2の出力コンデンサ、前記第3の出力コンデンサ、及び前記第4の出力コンデンサの容量値は等しく、
前記第1のノードは、前記第1の出力コンデンサの負極又は前記第2の出力コンデンサの負極であり、
前記第2のノードは、前記第4の出力コンデンサの負極であることを特徴とする3レベルブースト回路。
【請求項5】
多出力並列システムであって、
請求項1から4のいずれか1項に記載の3レベルブースト回路を複数含み、各3レベルブースト回路の入力は独立しており、出力は並列に接続されていることを特徴とする多出力並列システム。
【請求項6】
各3レベルブースト回路には、独立した出力直列コンデンサバンクがあるか、少なくとも2つの3レベルブースト回路は、1つの出力直列コンデンサバンクを共用し、
前記多出力並列システムは、前記出力直列コンデンサバンクごとに、1つの過電圧保護装置を設置し、
前記出力直列コンデンサバンクが位置する3レベルブースト回路では、前記過電圧保護装置の一端が前記出力直列コンデンサバンクと前記第2のフライホィールダイオードとの接続点に接続され、他端が前記第2のノードに接続され、前記過電圧保護装置は、直列に接続された抵抗及び第3のスイッチを含み、前記第3のスイッチは、前記接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値が前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えないように、予め設定されたスイッチング制御戦略に従って動作することを特徴とする請求項5に記載の多出力並列システム。
【請求項7】
前記スイッチング制御戦略は、前記電位差の絶対値がP1よりも大きい場合、前記第3のスイッチを閉じ、前記電位差の絶対値がP2よりも小さい場合、前記第3のスイッチを開くことであり、P1、P2は、プリセット電圧値であり、P1>P2であることを特徴とする請求項6に記載の多出力並列システム。
【請求項8】
出力電圧Voutが確立された後、動作していない3レベルブースト回路がVin≧2*V4を満たす場合、前記動作していない3レベルブースト回路の制御戦略は、第1のスイッチと第2のスイッチを交互にオンになるように制御することであり、
Vinは、入力電源電圧であり、V1は、前記出力直列コンデンサバンクと前記入力コンデンサとの接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値を示し、V4=Vout-V1であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の多出力並列システム。
【請求項9】
出力電圧Voutが確立された後、
動作していない3レベルブースト回路の入力電圧Vinが予め設定された最小入力電圧Vinminよりも小さい場合、前記動作していない3レベルブースト回路は動作を開始せず、
動作していない3レベルブースト回路がVinmin≦Vin<2V4を満たす場合、前記動作していない3レベルブースト回路の制御戦略は、最初に第2のスイッチをオフのままにし、第1のスイッチのオン/オフを繰り返し、Vc1≧V4の場合、第1のスイッチと第2のスイッチを交互にオンになるように制御することであり、
Vc1は、フライングコンデンサの電圧であり、V1は、前記出力直列コンデンサバンクと前記入力コンデンサとの接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値を示し、V4=Vout-V1であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の多出力並列システム。
【請求項10】
出力電圧Voutが確立された後、動作していない3レベルブースト回路が入力短絡から入力電圧Vinカットインに変化したが、V4<Vin<予め設定された最小入力電圧Vinminの場合、前記動作していない3レベルブースト回路の制御戦略は、第1のスイッチと第2のスイッチを交互にオンになるように制御することであり、
V1は、前記出力直列コンデンサバンクと前記入力コンデンサとの接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値を示し、V4=Vout-V1であることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の多出力並列システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年06月11日に中国専利局に提出した、出願番号が201910501039.4であって、発明の名称が「3レベルブースト回路、多出力並列システム」である中国特許出願の優先権を主張し、その全内容を援用により本出願に組み込む。
【技術分野】
【0002】
本出願は、パワーエレクトロニクス技術の分野に関し、より具体的に、3レベルブースト回路、多出力並列システムに関する。
【背景技術】
【0003】
パワーエレクトロニクスコンバータシステムの電圧が上昇するにつれて、関連するスイッチデバイスの耐電圧要件が徐々に増加している。しかし、半導体プロセスの性能などの影響により、費用効果の高いデバイスの開発には一定の遅れがあり、短期間で関連する耐電圧要件を満たすことができないため、低電圧デバイスを使用して高電圧の電力変化を低コストで実現する方法は、研究のホットスポットになる。マルチレベル技術の提案によって、この問題をよりよく解決することができる。
【0004】
前記電力変化は、ブースト変換、バック変換、バックブースト変換などを含み、本出願は、ブースト変換を実行する際のスイッチデバイスへの過電圧損傷の防止のみを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、これに鑑みて、スイッチデバイスへの過電圧損傷を防ぐための3レベルブースト回路、多出力並列システムを提供している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
3レベルブースト回路であって、入力コンデンサ、インダクタ、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第1のフライホィールダイオード、第2のフライホィールダイオード、フライングコンデンサ、バランスコンデンサ、充電ダイオード、クランプダイオード、放電ダイオード、及び出力直列コンデンサバンクを含み、
前記出力直列コンデンサバンクは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、内部に第1のノード及び第2のノードを有し、前記第1のノードの電位は、前記充電ダイオードのカソードの電位よりも高く、前記第2のフライホィールダイオードのカソードと前記第2のノードの電位差は、前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えず、
前記入力コンデンサは、入力電源と並列に接続され、前記入力コンデンサの負極は、前記出力直列コンデンサバンクの低電位端に接続され、前記入力コンデンサの正極は、前記インダクタの第1の端、前記インダクタの第2の端、前記第1のフライホィールダイオードのアノード、前記第1のフライホィールダイオードのカソード、前記第2のフライホィールダイオードのアノード、前記第2のフライホィールダイオードのカソードを順次に介して、前記出力直列コンデンサバンクの高電位端に接続され、
前記インダクタの第2の端は、前記第1のスイッチの第1の端、前記第1のスイッチの第2の端、前記第2のスイッチの第1の端、前記第2のスイッチの第2の端を順次に介して、前記入力コンデンサの負極に接続され、
前記第1のフライホィールダイオードのカソードは、前記フライングコンデンサの一端、前記フライングコンデンサの他端、前記充電ダイオードのアノード、前記充電ダイオードのカソード、前記バランスコンデンサの一端、前記バランスコンデンサの他端を順次に介して、前記入力コンデンサの負極に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端は、前記充電ダイオードのアノードに接続され、
前記クランプダイオードのカソードは、前記第2のフライホィールダイオードのアノードに接続され、前記クランプダイオードのアノードは、前記第2のノードに接続され、
前記放電ダイオードのカソードは、前記第1のノードに接続され、前記放電ダイオードのアノードは、前記充電ダイオードのカソードに接続され、
前記フライングコンデンサと前記バランスコンデンサの容量差は、プリセット値を超えず、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチは、交互にオンになる。
【0007】
任意選択で、前記出力直列コンデンサバンクは、出力正極と出力負極の間に順番に直列に接続された第1の出力コンデンサ、第2の出力コンデンサ、第3の出力コンデンサ、及び第4の出力コンデンサを含み、前記第1の出力コンデンサ、前記第2の出力コンデンサ、前記第3の出力コンデンサ及び前記第4の出力コンデンサの容量値は等しく、
前記第1のノードは、前記第1の出力コンデンサの正極又は前記第2の出力コンデンサの正極であり、前記第2のノードは、前記第4の出力コンデンサの正極である。
【0008】
3レベルブースト回路であって、入力コンデンサ、インダクタ、第1のスイッチ、第2のスイッチ、第1のフライホィールダイオード、第2のフライホィールダイオード、フライングコンデンサ、バランスコンデンサ、充電ダイオード、クランプダイオード、放電ダイオード、及び出力直列コンデンサバンクを含み、
前記出力直列コンデンサバンクは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、内部に第1のノード及び第2のノードを有し、前記第1のノードの電位は、前記充電ダイオードのアノードの電位よりも低く、前記第2のノードと前記第2のフライホィールダイオードのアノードの電位差は、前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えず、
前記入力コンデンサは、入力電源と並列に接続され、前記入力コンデンサの正極は、前記出力直列コンデンサバンクの高電位端に接続され、前記入力コンデンサの負極は、前記インダクタの第1の端、前記インダクタの第2の端、前記第1のフライホィールダイオードのカソード、前記第1のフライホィールダイオードのアノード、前記第2のフライホィールダイオードのカソード、前記第2のフライホィールダイオードのアノードを順次に介して、前記出力直列コンデンサバンクの低電位端に接続され、
前記インダクタの第2の端は、前記第1のスイッチの第1の端、前記第1のスイッチの第2の端、前記第2のスイッチの第1の端、前記第2のスイッチの第2の端を順次に介して、前記入力コンデンサの正極に接続され、
前記第1のフライホィールダイオードのアノードは、前記フライングコンデンサの一端、前記フライングコンデンサの他端、前記充電ダイオードのカソード、前記充電ダイオードのアノード、前記バランスコンデンサの一端、前記バランスコンデンサの他端を順次に介して、前記入力コンデンサの正極に接続され、
前記第1のスイッチの第2の端は、前記充電ダイオードのカソードに接続され、
前記クランプダイオードのアノードは、前記第2のフライホィールダイオードのカソードに接続され、前記クランプダイオードのカソードは、前記第2のノードに接続され、
前記放電ダイオードのアノードは、前記第1のノードに接続され、前記放電ダイオードのカソードは、前記充電ダイオードのアノードに接続され、
前記フライングコンデンサと前記バランスコンデンサの容量差は、プリセット値を超えず、
前記第1のスイッチと前記第2のスイッチは、交互にオンになる。
【0009】
任意選択で、前記出力直列コンデンサバンクは、出力負極と出力正極の間に順番に直列に接続された第1の出力コンデンサ、第2の出力コンデンサ、第3の出力コンデンサ、及び第4の出力コンデンサを含み、前記第1の出力コンデンサ、前記第2の出力コンデンサ、前記第3の出力コンデンサ、及び前記第4の出力コンデンサの容量値は等しく、
前記第1のノードは、前記第1の出力コンデンサの負極又は前記第2の出力コンデンサの負極であり、
前記第2のノードは、前記第4の出力コンデンサの負極である。
【0010】
多出力並列システムであって、複数の上記に開示された任意の3レベルブースト回路を含み、各3レベルブースト回路の入力は独立しており、出力は並列に接続されることを特徴とする。
【0011】
任意選択で、各3レベルブースト回路には、独立した出力直列コンデンサバンクがあるか、少なくとも2つの3レベルブースト回路は、1つの出力直列コンデンサバンクを共用し、
前記多出力並列システムは、前記出力直列コンデンサバンクごとに、1つの過電圧保護装置を設置し、
前記出力直列コンデンサバンクが位置する3レベルブースト回路では、前記過電圧保護装置の一端が前記出力直列コンデンサバンクと前記第2のフライホィールダイオードとの接続点に接続され、他端が前記第2のノードに接続され、前記過電圧保護装置は、直列に接続された抵抗及び第3のスイッチを含み、前記第3のスイッチは、前記接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値が前記第2のフライホィールダイオードの耐電圧値を超えないように、予め設定されたスイッチング制御戦略に従って動作する。
【0012】
任意選択で、前記スイッチング制御戦略は、前記電位差の絶対値がP1よりも大きい場合、前記第3のスイッチを閉じ、前記電位差の絶対値がP2よりも小さい場合、前記第3のスイッチを開くことであり、P1、P2は、プリセット電圧値であり、P1>P2である。
【0013】
任意選択で、出力電圧Voutが確立された後、動作していない3レベルブースト回路がVin≧2*V4を満たす場合、前記動作していない3レベルブースト回路の制御戦略は、第1のスイッチと第2のスイッチを交互にオンになるように制御することであり、
Vinは、入力電源電圧であり、V1は、前記出力直列コンデンサバンクと前記入力コンデンサとの接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値を示し、V4=Vout-V1である。
【0014】
任意選択で、出力電圧Voutが確立された後、
動作していない3レベルブースト回路の入力電圧Vinが予め設定された最小入力電圧Vinminよりも小さい場合、前記動作していない3レベルブースト回路は、動作を開始せず、
動作していない3レベルブースト回路がVinmin≦Vin<2V4を満たす場合、前記動作していない3レベルブースト回路の制御戦略は、最初に第2のスイッチをオフのままにし、第1のスイッチのオン/オフを繰り返し、Vc1≧V4の場合、第1のスイッチと第2のスイッチを交互にオンになるように制御することであり、
Vc1は、フライングコンデンサの電圧であり、V1は、前記出力直列コンデンサバンクと前記入力コンデンサとの接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値を示し、V4=Vout-V1である。
【0015】
任意選択で、出力電圧Voutが確立された後、動作していない3レベルブースト回路が入力短絡から入力電圧Vinカットインに変化したが、V4<Vin<予め設定された最小入力電圧Vinminの場合、前記動作していない3レベルブースト回路の制御戦略は、第1のスイッチと第2のスイッチを交互にオンになるように制御することであり、
V1は、前記出力直列コンデンサバンクと前記入力コンデンサとの接続点と前記第2のノードの電位差の絶対値を示し、V4=Vout-V1である。
【発明の効果】
【0016】
上記の技術案から分かるように、3レベルブースト回路の出力電圧が確立されていない場合、フライングコンデンサC1、バランスコンデンサC2の分圧電圧は等しく、動作時間の累積とともに上昇し、C1、C2の電圧がVout/2近くまで上昇すると、充電ダイオードD11が逆遮断され、出力電圧Voutが確立され、出力電圧Voutが確立された後、C1はVoutに従って変化し、C2の電圧はVout/2の近くで安定し、C2は、電圧サポートの役割のみを果たし、電流はC2に流れなく、C1とC2の容量値が等しいことを保証する必要があるだけで、高電圧が入力された場合、C1とC2の分圧が基本的に等しいことを保証し、第1のスイッチK1及び第2のスイッチK2への過電圧損傷を避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
以下は、本出願の実施例又は先行技術における技術案をより明確に説明するために、実施例又は先行技術の記述に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明に使用する図面は、本出願の実施例にすぎない。当業者にとって、創造的な作業なしに、提供された図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本出願の実施例で開示された3レベルブースト回路の概略構造図
図2図1に示した3レベルブースト回路におけるK1、K2のタイミング図
図3】a、b、cはそれぞれ、出力電圧が確立されていないときの3つの異なるモードにおける図1に示される回路の電流傾向の概略図。
図4】a、bは、出力電圧が確立された後の2つの異なるモードにおける図1に示される回路の電流傾向の概略図
図5】本出願の実施例で開示された別の3レベルブースト回路の概略構造図
図6】本出願の実施例で開示された別の3レベルブースト回路の概略構造図
図7】本出願の実施例で開示された別の3レベルブースト回路の概略構造図
図8】本出願の実施例で開示された多出力並列システムの概略構造図
図9】本出願の実施例で開示された、b個の回路が動作せず、入力が短絡しているか又は電圧が非常に低い3レベルブースト回路で構成される抵抗・容量分圧等価回路
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本出願の実施例における図面に基づいて、本出願の実施例における技術案を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施例は、全ての実施例ではなく、本出願の実施例の一部にすぎない。本出願における実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られた他の全ての実施例は、本出願の保護の範囲に属する。
【0019】
図1を参照し、本出願の実施例は、3レベルブースト回路を開示し、入力コンデンサCin、インダクタL1、第1のスイッチK1、第2のスイッチK2、第1のフライホィールダイオードD1、第2のフライホィールダイオードD2、フライングコンデンサC1、バランスコンデンサC2、充電ダイオードD11、クランプダイオードD12、放電ダイオードD13、及び出力直列コンデンサバンクCo(符号「Co」は図1に示されない)を含み、
出力直列コンデンサバンクCoは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、内部に第1のノードP1、及び第2のノードP2を有し、第1のノードP1の電位は、D11のカソードの電位よりも高く、D2のカソードと第2のノードP2の電位差は、D2の耐電圧値を超えなく(図1では、出力直列コンデンサバンクCoが、出力正極と出力負極の間に順番に直列に接続された第1の出力コンデンサCo1、第2の出力コンデンサCo2、第3の出力コンデンサCo3、及び第4の出力コンデンサCo4を含むことを例として、且つ、Co1=Co2=Co3=Co4に設置すると、第1のノードP1は、Co1の正極として設置でき、第2のノードP2は、Co4の正極として設置できる)、
Cinは、入力電源と並列に接続され、Cinの負極は、出力直列コンデンサバンクCoの低電位端に接続され、Cinの正極は、L1の第1の端、L1の第2の端、D1のアノード、D1のカソード、D2のアノード、D2のカソードを順次に介して、出力直列コンデンサバンクCoの高電位端に接続され、出力直列コンデンサバンクCoの高電位端と低電位端の電位差は、出力電圧Voutであり、
L1の第2の端は、K1の第1の端、K1の第2の端、K2の第1の端、K2の第2の端を順次に介して、Cinの負極に接続され、
D1のカソードは、C1の一端、C1の他端、D11のアノード、D11のカソード、C2の一端、C2の他端を順次に介して、Cinの負極に接続され、
K1の第2の端は、D11のアノードに接続され、
D12のカソードは、D2のアノードに接続され、D12のアノードは、第2のノードP2に接続され、
D13のカソードは、第1のノードP1に接続され、D13のアノードは、D11のカソードに接続され、
C1とC2の容量値の差は、C1とC2の容量値が等しい又は略等しいことを保証するように、プリセット値を超えず、
K1とK2は、交互にオンになる。
【0020】
図1に示す回路の動作原理は、次のとおりである。
K1とK2は交互にオンになり、それらのデューティ比は同じであり、いずれもDであり、0<D<0.5と仮定すると、K1、K2のタイミング図は、図2に示すように、1つのスイッチング期間Tで、0<t<D*Tの場合、K1がオンになり、K2がオフになり、D*T<t<0.5*T及び0.5*T+D*T<t<Tの場合、K1、K2がオフになり、0.5*T<t<0.5*T+D*Tの場合、K2がオンになり、K1がオフになる。
【0021】
図1に示す回路が起動するが、出力電圧がまだ確立されていない場合、図1に示す回路は、1つのスイッチング期間Tで、次のモード1~モード3を順次に実行する。
モード1:K1がオンで、K2がオフであり、この場合、ループの電流傾向は、図3aに示すように、Cin→L1→K1→D11→C2→Cinであり、C2が充電される。
モード2:K1、K2がオフであり、この場合、ループの電流傾向は、図3bに示すように、Cin→L1→D1→C1→D11→C2→Cinであり、C1、C2が同時に充電される。
モード3:K2がオンで、K1がオフであり、この場合、ループの電流傾向は、図3cに示すように、Cin→L1→D1→C1→K2→Cinであり、C1が充電される。
【0022】
1つのスイッチング期間Tで、K1、K2の導通時間は、同じであり、いずれもD*Tであるため、図1に示す回路が起動するが、出力電圧がまだ確立されていない場合、C1、C2の分圧電圧は等しく、動作時間tの累積とともに上昇する。
【0023】
C1、C2の電圧がVout/2に上昇した瞬間、モード1が実行され、C2が充電され、C2の電圧はVout/2よりわずかに高くなり、C1の負極の電圧はVout/2のままなので、D11は逆遮断される。つまり、D11が逆遮断された場合、図1に示す回路の出力電圧が確立される。
【0024】
図1に示す回路の出力電圧が確立された後、図1に示す回路は、1つのスイッチング期間Tで、次のモード4~モード6を順番に実行する。
モード4:K1がオンで、K2がオフであり、この場合、ループの電流傾向は、図4aに示すように、Cin→L1→K1→C1→D2→Co→Cinであり、C1が放電され、ダイオード、スイッチの順方向電圧降下、及びコンデンサの電圧変動を無視すると、このとき、インダクタL1の両端の電圧はVin+Vc1-Voutであり、Vinは入力電源の電圧を示し、Vc1はC1の電圧を示し、Voutは出力電圧を示す。
【0025】
モード5:K1、K2がオフであり、この場合、ループの電流傾向は、図4bに示すように、Cin→L1→D1→D2→Co→Cinであり、ダイオード、スイッチの順方向電圧降下、及びコンデンサの電圧変動を無視すると、このとき、インダクタL1の両端の電圧はVin-Voutである。
【0026】
モード6:K2がオンで、K1がオフであり、この場合、ループの電流傾向は、図3cに示すように、Cin→L1→D1→C1→K2→Cinであり、C1が充電され、ダイオード、スイッチの順方向電圧降下、及びコンデンサの電圧変動を無視すると、このとき、インダクタL1の両端の電圧はVin-Vc1である。
【0027】
モード4~モード6に基づいて、ボルト秒バランスの原理に従って、
(Vin+Vc-Vout)*D*T+(Vin-Vout)*(0.5-D)=0である。
これにより、
【数1】
が計算され、ブースト変換が実現された。
【0028】
1つのスイッチング期間Tで、K1、K2の導通時間は、同じであり、いずれもD*Tであり、インダクタL1の平均電流値は、固定されているため、Vin+Vc1-Vout=Vin-Vc1であり、Vc1=Vout/2が計算された。このようにして、出力電圧が確立された後、K1とK2の電圧ストレスは、いずれもVout/2である。
【0029】
以上の説明に基づいて、図1に示す回路の出力電圧が確立されていない場合、C1とC2の分圧電圧は等しく、動作時間tの累積とともに上昇し、C1、C2の電圧がVout/2近くまで上昇すると、D11が逆遮断され、出力電圧が確立され、出力電圧が確立された後、C1はVoutに従って変化し、C2は電圧サポートの役割のみを果たし、電流はC2に流れない。C1とC2の容量値が等しいことを保証する必要があるだけで、高電圧が入力された場合、C1とC2の分圧が基本的に等しいことを保証し、K1とK2への過電圧損傷を避けることができ、即ち、C1とC2の分圧がひどく不均一であることに起因してK1又はK2が過電圧によって損傷することを避ける。
【0030】
以上では、0<D<0.5のみを例として分析したが、0.5<D<1の場合、分析結果も同じである(即ち、回路内の各コンポーネントの電圧が変化することはない)ため、ここで、繰り返して説明しない。
【0031】
なお、図1に示す回路は、出力電圧が変動した場合でも、K1、K2への過電圧損傷を回避することができる。具体的な分析は、次のとおりである。
出力電圧Voutが最初にVo1で安定していると仮定すると、次の段階では、出力電圧VoutはVo2で安定しており、Vo1<Vo2であり、このとき、Vc1=Vc2=Vo2/2であり、Vc2はC2の電圧を示し、次の段階では、出力電圧Voutは、Vo1で再び安定しており、このとき、Vc1=Vo1/2であり、C2は、ほとんど放電されないため、Vc2はVo2/2のままであり、次の段階では、出力電圧VoutはVo2で再び安定しており、Vc1は、出力の変化に従いVo2/2まで上昇し、C2の電圧は、Vo2/2+(Vo2-Vo1/2-Vo2/2)/2=3*Vo2/4-Vo1/4に上昇して、次の段階では、出力電圧Voutは、Vo1で再び安定しており、・・・・・・、このように循環して、C2の電圧は、徐々に上昇し、最終的にVo2-Vo1/2で安定する。このことから、C2の電圧が無制限に上昇することはなく、高耐電圧コンデンサを選択することで、C2が過電圧によって損傷しないように保証することができる。また、このとき、C2の電圧は高くなるが、C1の電圧は、直ちに出力電圧Vout/2に従って変化でき、D11は、オフ状態であるため、C2の高電圧は、K2に印加されず、K1とK2の電圧ストレスはいずれもVout/2のままであり、過電圧による損傷のリスクはない。
【0032】
最後に、図1に示す回路では、第1のノードP1の位置は、回路がパワーダウンする場合のみ、D13がC2に放電経路を提供し、それ以外の場合、C2がD13を介して放電しない機能を実現することを保証するように選択される。従って、図5に示すように、D13のカソードの接続は、図1に示すようにCo1の正極に接続できる以外、Co2の正極に変更することもできる。第2のノードP2の位置は、D12がオンになった後にD2への過電圧損傷を引き起こさないことを保証するように選択される。勿論、図1及び図5は、出力直列コンデンサバンクCoが4つの出力コンデンサCo1~Co4からなることを例とし、D13、D12の機能を確実に実現する前提の下で、他の数や他の容量値の複数の出力コンデンサを使用してCoを構成してもよく、図1図5に限定されない。そして、このとき対応して得られた、異なるCo構造を有する3レベルブースト回路の動作原理は同じであるため、ここで、繰り返して説明しない。
【0033】
図6を参照し、本出願の実施例は、図1と鏡像関係にある別の3レベルブースト回路をさらに開示する。入力コンデンサCin、インダクタL1、第1のスイッチK1、第2のスイッチK2、第1のフライホィールダイオードD1、第2のフライホィールダイオードD2、フライングコンデンサC1、バランスコンデンサC2、充電ダイオードD11、クランプダイオードD12、放電ダイオードD13、及び出力直列コンデンサバンクCoを含み、
出力直列コンデンサバンクCoは、複数の出力コンデンサを直列に接続して形成され、内部に第1のノードP1、及び第2のノードP2を有し、第1のノードP1の電位は、D11のアノードの電位よりも低く、第2のノードP2とD2のアノードの電位差は、D2の耐電圧値を超えず(図1では、出力直列コンデンサバンクCoが、出力負極と出力正極の間に順番に直列に接続された第1の出力コンデンサCo1、第2の出力コンデンサCo2、第3の出力コンデンサCo3、及び第4の出力コンデンサCo4を含むことを例として、且つ、Co1=Co2=Co3=Co4に設置すると、第1のノードP1をCo1の負極に設置し、第2のノードP2をCo4の負極に設置する)、
Cinは、入力電源と並列に接続され、Cinの正極は、出力直列コンデンサバンクCoの高電位端に接続され、Cinの負極は、L1の第1の端、L1の第2の端、D1のカソード、D1のアノード、D2のカソード、D2のアノードを順次に介して、出力直列コンデンサバンクCoの低電位端に接続され、
L1の第2の端は、K1の第1の端、K1の第2の端、K2の第1の端、K2の第2の端を順次に介して、Cinの正極に接続され、
D1のアノードは、C1の一端、C1の他端、D11のカソード、D11のアノード、C2の一端、C2の他端を順次に介して、Cinの正極に接続され、
K1の第2の端は、D11のカソードに接続され、
D12のアノードは、D2のカソードに接続され、D12のカソードは、第2のノードP2に接続され、
D13のアノードは、第1のノードP1に接続され、D13のカソードは、D11のアノードに接続され、
C1とC2の容量値は、C1とC2の容量値が等しい又は略等しいことを保証するように、プリセット値を超えず、
K1とK2は、交互にオンになる。
【0034】
図6に示す回路の動作原理は、図1に示す回路の分析を参照することによって得られることができ、ここで、繰り返して説明しない。
【0035】
図6に示す回路では、第1のノードP1の位置は、回路がパワーダウンする場合のみ、D13がC2に放電経路を提供し、それ以外の場合、C2がD13を介して放電しない機能を実現することを保証するように選択される。従って、図7に示すように、D13のアノードの接続は、図6に示すようにCo1の負極に接続できる以外、Co2の負極に変更することもできる。第2のノードP2の位置は、D12がオンになった後にD2への過電圧損傷を引き起こさないことを保証するように選択される。勿論、図6図7は、出力直列コンデンサバンクCoが4つの出力コンデンサCo1~Co4からなることを例とし、D13、D12の機能を確実に実現する前提の下で、他の数や他の容量値の複数の出力コンデンサを使用してCoを構成してもよく、図6図7に限定されない。そして、このとき対応して得られた、異なるCo構造を有する3レベルブースト回路の動作原理は同じであるため、ここで、繰り返して説明しない。
【0036】
任意選択で、上記に開示された実施例のいずれかでは、K1、K2は、機械的スイッチ又は逆導通トランジスタであってもよく、これに限定されない。
【0037】
図8を参照し、本出願の実施例は、多出力並列システムをさらに開示し、n個の3レベルブースト回路を含み、n≧2であり、各3レベルブースト回路の入力は独立しており、出力は並列に接続され、前記3レベルブースト回路は、上記に開示された3レベルブースト回路のいずれかである。図8では、n個の図1に示す3レベルブースト回路を含むことを例とする。
【0038】
任意選択で、上記に開示された任意の3レベルブースト回路を有する多出力並列システムでは、各3レベルブースト回路は、それぞれに独立する出力直列コンデンサバンクCoを有してもよく、少なくとも2つの3レベルブースト回路は、1つの出力直列コンデンサバンクCoを共用してもよい。図8では、全ての3レベルブースト回路が1つの出力直列コンデンサバンクCoを共用することを例とする。
【0039】
しかし、上記に開示された任意の3レベルブースト回路を有する多出力並列システムは、特定の動作条件で、D2に過電圧のリスクがある。当該特定の動作条件は、a個の3レベルブースト回路が正常に動作し、b個の3レベルブースト回路が動作せず、入力が短絡しているか又は電圧が非常に低い(a≧1、b≧1、a+b≦n)ことである。
【0040】
図8を例として、当該特定の動作モードで、実際の適用では、Co1~Co4、C1及びC2がそれぞれ電圧均等化抵抗と並列に接続されているため、これらのb個の3レベルブースト回路では、Co4は、D12を介してC1及びC2を充電し、簡略化された等価回路を図9に示す。これらのb個の3レベルブースト回路では、Co4の電圧は、Co1電圧均等化抵抗Ro1、Co2電圧均等化抵抗Ro2、Co3電圧均等化抵抗Ro3、Co4電圧均等化抵抗Ro4、C1電圧均等化抵抗R1*b、C2電圧均等化抵抗R2*bによって決定される。通常の状況では、Ro1=Ro2=Ro3=Ro4、R1=R2であり、この場合、
【数2】
である。これらのb個の3レベルブースト回路におけるD2の耐電圧は、Vout-Vco4>3/4Voutであり、D2に損傷を与えやすいため、D2が過電圧によって損傷しないように、追加の過電圧保護装置を追加する必要がある。引き続き図8を参照し、当該過電圧保護装置は、Co1の正極とCo4の正極の間に接続され、直列に接続された抵抗R0及び第3のスイッチK0を含み、Vout-Vco4がD2の耐電圧値を超えないように第3のスイッチK0のオンとオフを制御する。当該第3のスイッチK0のオンオフ制御戦略は、例えば、Vout-Vco4>P1を満たす(P1がプリセット電圧である)場合、第3のスイッチK0を閉じてVco4を増加させ、これらのb個の3レベルブースト回路のD2への過電圧損傷を回避し、Vout-Vco4<P2の場合(P2がプリセット電圧であり、P1>P2である)、第3のスイッチK0を開き、Vco4を低減し、同時に回路損失を低下することである。
【0041】
図8に適用した当該過電圧保護装置を、上記に開示された任意の3レベルブースト回路を有する多出力並列システムに適用して拡張すると、対応する方案は次のとおりである。Coごとに1つの過電圧保護装置を設置し、当該Coが位置する3レベルブースト回路では、前記過電圧保護装置の一端が当該CoとD2との接続点に接続され、他端が第2のノードP2に接続され、その内部に、直列に接続された抵抗R0及び第3のスイッチK0を含み、前記接続点と第2のノードP2との間の電位差の絶対値がD2の耐電圧値を超えないように、第3のスイッチK0のオンとオフを制御する。当該第3のスイッチK0のオンオフ制御戦略は、例えば、前記電位差の絶対値がP1よりも大きい(P1がプリセット電圧である)場合、第3のスイッチK0を閉じ、前記電位差の絶対値がP2よりも小さい(P2がプリセット電圧であり、P1>P2である)場合、第3のスイッチK0を開くことであってもよい。
【0042】
任意選択で、上記に開示された任意の3レベルブースト回路を有する多出力並列システムでは、K0は、機械式スイッチ又は逆導通トランジスタであってもよく、これに限定されない。
【0043】
任意選択で、上記に開示された任意の3レベルブースト回路を有する多出力並列システムでは、出力電圧Voutが既に確立された(即ち、少なくとも1つの3レベルブースト回路が正常に動作する)場合、以下の動作モードで動作を開始していない3レベルブースト回路の制御戦略は、次のとおりである。
動作モード1:動作していない回路がVin≧2*V4を満たす(V1は、CoとCinとの接続点とP2の電位差の絶対値を示し、V4=Vout-V1である)場合、K1及びK2を交互にオンになるように制御する。図8では、V4は、Co4の電圧である。
【0044】
動作条件2:動作していない回路がVin<2*V4及びVc1=Vc2=Vin/2を満たす場合、動作していない回路では、Vc1=Vin/2<V4であり、K1とK2を交互にオンになるように直接制御すると、K2がオンになる場合、V4の電圧がC1の電圧よりも高いため、V4の電圧は、D12-C1-K2のループを介してC1を充電する。当該ループのインピーダンスは非常に小さく、非常に大きな電流が流れてD11及びK2に損傷を与える。そのため、最初にC1を充電する必要があり、C1の電圧がV4の電圧よりも高くなった後でのみ、K1及びK2を交互にオンになるように制御する。次に、C1を充電することを分析する。
K2をオフのままにし、K1のオン/オフを繰り返す。具体的に、K1がオンになった瞬間、C1+C2の電圧は、出力電圧Voutよりも低くなり、入力電流は、L1-K1-D11-C2のループを介してC2を充電し、C2の電圧は上昇する。K1がオフになった瞬間、入力電流は、L1-D1-C1-D11-C2のループを介してC1及びC2を同時に充電し、C1及びC2の電圧は、同時に上昇する。K1が繰り返してオン/オフになることに従って、C1及びC2の電圧は、上昇し続け、C2の電圧が入力電圧Vinまで上昇すると、K1がオンになり、インダクタ電流がC2に流れず、次に、K1がオフになり、C1を充電するためのインダクタ電流がC1に流れず、C1の電圧が上昇しなくなる。従って、K1のオンとオフを繰り返し、最終的に次のいずれかの結果が得られる。1)Vc1>V4、Vc2<Vinであり、2)Vc1<V4、Vc2=Vinである。結果1)の場合、K1及びK2を交互にオンになるように制御する。結果2)の場合、回路は通常の起動条件に到達せず、起動しない。
【0045】
以上の結果1)及び結果2)に基づいて、本実施例は、最小入力電圧Vinminを予め設定し、入力電圧Vinが予め設定された最小入力電圧Vinmin(一般に、図8を例として、Vinmin=1.43*V4)よりも小さい場合、結果2)があり、このとき、回路は動作を開始しない。Vinmin≦Vin<2V4の場合、結果1)があり、このとき、最初にK2をオフのままにし、K1のオン/オフを繰り返し、Vc1≧V4の場合、K1及びK2を交互にオンになるように制御する。
【0046】
任意選択で、Vc1≧V4の場合、すぐにK1とK2を交互にオンになるように制御する代わりに、他の制御戦略を挿入することもできる。例えば、最初にK2を常にオンに保ち、K1のオン/オフを繰り返し、C1を一定の電圧まで充電し続け、次にK1及びK2を交互にオンになるように制御する。
【0047】
動作モード3:動作モード3は非常に特殊な状況であり、この動作モードで、入力電圧がVinminより低くても起動できることを実現することができる。当該動作モードは、次のように説明される。動作していない回路が入力短絡から入力電圧Vinカットインに変化し、V4<Vin<Vinminである。Vinがカットインする前に、V4の電圧は、D12-C1-K1-L1を介してC1をV4に充電し、C2は、短絡し、電圧が0になり、即ち、Vc1=V4、Vc2=0である。Vinがカットインした後、C1及びC2が充電され、C1及びC2の電圧はそれぞれ、Vc1=(Vin-V4)/2+V4、Vc2=(Vin-V4)/2であり、この場合、Vc1>V4であり、K1及びK2を交互にオンになるように制御することができる。
【0048】
本明細書の各実施例は漸進的に説明され、各実施例では主に他の実施例との違いを説明し、各実施例間の同じ又は類似の部分について互いに参照することができる。実施例に開示された装置について、実施例に開示された方法に対応するため、説明は比較的簡単であり、関連部分について、方法部分の説明を参照すればよい。
【0049】
この明細書では、例えば、「第1の」及び「第2の」などの関係用語は、ある主体又は操作を別の主体又は操作から区別するためにのみ使用され、これらの主体又は操作の間にそのような実際の関係又は順序があることを必ずしも必要又は暗示するものではない。また、「含む」及び「有する」という用語及びそれらの変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しているので、一連の要素を含むプロセス、方法、製品又はデバイスは、それらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素、又はこのプロセス、方法、製品又はデバイスに固有の要素も含む。これ以上の制限がない場合、「1つの…を含む」という文で制限される要素は、その要素を含むプロセス、方法、製品、又はデバイスに他の同じ要素があることを排除しない。
【0050】
開示された実施例の前述の説明は、当業者が本出願を実施又は使用することを可能にする。これらの実施例に対する様々な修正は、当業者にとって明らかである。本明細書で定義される一般原理は、本出願の実施例の精神又は範囲から逸脱することなく、他の実施例で実現することができる。従って、本出願の実施例は、本明細書に示されるこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示される原理及び新規の特徴と一致する最も広い範囲に準拠する必要がある。
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