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特許7266751ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-20
(45)【発行日】2023-04-28
(54)【発明の名称】ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20230421BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20230421BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20230421BHJP
【FI】
H01F1/057
H01F1/057 130
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022513460
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2020100588
(87)【国際公開番号】W WO2021098225
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】201911150984.0
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】フージャン チャンティン ゴールデン ドラゴン レア-アース カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】付剛
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
(72)【発明者】
【氏名】黄吉祥
(72)【発明者】
【氏名】ケン キ チェン
【審査官】秋山 直人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103366918(CN,A)
【文献】特開平06-302417(JP,A)
【文献】特開平06-112026(JP,A)
【文献】特開平08-273914(JP,A)
【文献】特表2018-536278(JP,A)
【文献】国際公開第2008/139559(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/057
H01F 41/02
C22C 38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物であって、質量百分率で下記の含有量の成分を含み、
R’:29.5~32.8%、前記R’に、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、
Al:≧0.5%、
B:0.90~1.2%、
Fe:60~68%、
前記R’は、RHをさらに含み、前記RHは、重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であり、
前記RHの種類は、Dy及び/又はTbであり、ここで、前記RHの種類がTbである場合、前記Tbの含有量は、0.5~2%であり、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物。
【請求項2】
前記Prの含有量は、17.15~30%であり、及び/又は、
前記Ndと前記R’の総質量との比は、0.5未満であり、及び/又は、
前記Ndの含有量は、15%以下であり、及び/又は、
前記Alの含有量は、0.5~3wt.%であり、及び/又は、
前記Bの含有量は、0.95~1.2%であり、及び/又は、
前記Feの含有量は、60~67.515%であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Cuがさらに含まれ、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Gaがさらに含まれ、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Nがさらに含まれ、前記Nの種類は、Zr、Nb、Hf又はTiを含み、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Coがさらに含まれ、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Oがさらに含まれ、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Zn、Ag、In、Sn、V、Cr、Mo、Ta及びWのうちの1種又は複数種がさらに含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の原料組成物。
【請求項3】
前記RH及び前記R’の質量比は、0.253未満であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Cuがさらに含まれ、前記Cuの含有量は、0.1~1.2%であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Gaがさらに含まれ、前記Gaの含有量は、0.45wt.%以下であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Zrがさらに含まれ、前記Zrの含有量は、0.05~0.5%であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Coがさらに含まれ、前記Coの含有量は、0.5~3%であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Oがさらに含まれ、前記Oの含有量は、0.13%以下であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Znがさらに含まれ、前記Znの含有量は、0.01~0.1%であり、及び/又は、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Moがさらに含まれ、前記Moの含有量は、0.01~0.1%である、
ことを特徴とする請求項2に記載の原料組成物。
【請求項4】
前記RH及び前記R’の質量比は、0~0.08であり、及び/又は、
前記RHにDyが含まれる場合、前記Dyの含有量は、0.5wt.%以下であ
ことを特徴とする請求項3に記載の原料組成物。
【請求項5】
質量百分率で下記の含有量の成分を含み、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Cu:≦1.2%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項1に記載の原料組成物。
【請求項6】
前記Prの含有量は17.15~30%であり、及び/又は、
前記Alの含有量は0.5~3%であり、及び/又は、
前記Cuの含有量は0.35~1.2%であり、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項5に記載の原料組成物。
【請求項7】
質量百分率で下記の含有量の成分を含み、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Ga:≦0.42%、Cu:≦1.2%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項1に記載の原料組成物。
【請求項8】
前記Prの含有量は17.15~30%であり、及び/又は、
前記Alの含有量は0.5~3%であり、及び/又は、
前記Cuの含有量は0.35~1.2%であり、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する、
ことを特徴とする請求項7に記載の原料組成物。
【請求項9】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法であって、請求項1~のいずれか1項に記載の原料組成物を使用して製造し、
前記製造方法は、以下のステップを含み、請求項1~のいずれか1項に記載の原料組成物の溶融液を溶解製錬鋳造、水素破砕、成形、焼結、時効処理する、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法。
【請求項10】
前記焼結の後、前記時効処理の前に、粒界拡散処理をさらに行う、
ことを特徴とする請求項に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的に、ネオジム鉄ホウ素磁石材料(ネオジム磁石材料とも呼ばれる)、原料組成物及び製造方法、並びに応用に関する。
【背景技術】
【0002】
NdFe14Bを主成分とするネオジム鉄ホウ素(NdFeB)磁石材料は、高い残留磁束密度(remanence、Brと略称する)、保磁力、最大エネルギー積(maximum energy product、BHmaxと略称する)を有し、総合的な磁気特性が優れており、風力発電、新エネルギー自動車、周波数変換器搭載家電等の面で応用されている。現在、従来技術では、ネオジム鉄ホウ素磁石材料における希土類成分は一般的にネオジムを主な成分とし、少量のプラセオジムのみを含む。従来技術では、一部のネオジムをプラセオジムで置き換えることで磁石材料の性能を改善することができるといういくつかの報道があるが、改善の程度は限られており、依然として顕著な改善は示されていない。一方、従来技術では、保磁力と残留磁束密度の両方の性能が優れたネオジム鉄ホウ素磁石材料には、重希土類元素の大量添加をさらに必要とし、コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、先行技術で、ネオジム鉄ホウ素磁性体材料におけるネオジムの一部をプラセオジムに置き換えたとしても、磁性体材料の保磁力及び残留磁気が著しく向上できず、しかも多量の重希土類元素を添加しなければ磁性体材料の性能に優れないとの欠陥を克服し、ネオジム鉄ホウ素磁性体材料、原料組成物及び製造方法並びに応用を提供することである。本発明のネオジム鉄ホウ素磁性体材料は、重希土類元素を添加しない前提下でも、依然としてネオジム鉄ホウ素磁性体材料の性能を著しく向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、以下の技術考案により上記の技術的課題を解決する。
【0005】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物が提供され、質量百分率で下記の成分を含み、
R’:29.5~32.8%、前記R’に、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、
Al:≧0.5%、
B:0.90~1.2%、
Fe:60~68%、
パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0006】
本発明において、前記Prの含有量は、好ましくは17.15~30%であり、例えば、17.15%、18.15%、19.15%、20.15%、21.15%、22.85%、23.15%、24.15%、25.15%、26.5%、27.15%または30%であり、より好ましくは21~26.5%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0007】
本発明において、前記Ndと前記R’の総質量との比は、0.5未満であることが好ましく、より好ましくは0.04~0.44であり、例えば、0.04、0.07、0.12、0.14、0.15、0.18、0.2、0.21、0.22、0.27、0.36、0.37、0.38、0.4、0.41又は0.44である。
【0008】
本発明において、前記Ndの含有量は、好ましくは15%以下であり、より好ましくは1.5~14%であり、例えば、1.5%、2.45%、3.85%、4.05%、4.55%、4.85%、5.85%、6.65%、6.85%、8.35%、11.65%、11.85%、12.85%又は13.85%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0009】
本発明において、前記R’は、RHをさらに含むことが好ましく、前記RHは、重希土類元素であり、前記RHの種類は、好ましくはDy、Tb及びHoのうちの1種又は複数種を含み、より好ましくはDy及び/又はTbである。
【0010】
ここで、前記RHと前記R’との質量比は、好ましくは、0.253未満であり、より好ましくは0~0.08であり、例えば、1/30.5、1/32、1.5/31.85、2.3/31.9、1/31、1.2/30.2、1.4/30.4、1.7/30.7、1.9/31.9、2.1/31.8、2.3/31.5、1/30.5、1.7/31.7、1.2/31.2、1.4/31.4、1.7/31.7、0.5/31.5、0.5/31.3、1/30.5、または2.7/32.7である。
【0011】
ここで、前記RHの含有量は、好ましくは0.5~2.7%であり、例えば、0.5%、1%、1.2%、1.4%、1.5%、1.7%、1.9%、2.1%、2.3%又は2.7%であり、より好ましくは1~2.5%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0012】
前記RHにTbが含まれる場合、前記Tbの含有量は、好ましくは0.5~2wt.%であり、例えば、0.5%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、1.2%、1.5%、1.6%、1.8%又は2%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0013】
前記RHにDyが含まれる場合、前記Dyの含有量は、好ましくは0.5wt.%以下であり、例えば、0.1%、0.2%、0.3%又は0.5%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0014】
前記RHにHoが含まれる場合、前記Hoの含有量は、本分野における通常の含有量であることができ、一般的に0.8~2.0%であり、例えば、1%である。
【0015】
本発明において、前記Alの含有量は、好ましくは0.5~3wt.%であり、例えば、0.5%、0.6%、0.8%、0.9%、1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.5%、2.7%、2.8%、2.9%又は3%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0016】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは0.95~1.2%であり、例えば、0.95%、0.96%、0.98%、0.985%、0.99%、1%、1.1%又は1.2%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0017】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは60~67.515%であり、例えば、60.03%、62.76%、62.96%、63.145%、63.735%、63.885%、63.935%、64.04%、64.265%、64.315%、64.57%、64.735%、64.815%、64.865%、64.97%、64.985%、65.015%、65.065%、65.115%、65.135%、65.265%、65.315%、65.365%、65.385%、65.515%、65.56%、65.665%、65.715%、65.765%、65.815%、65.85%、65.985%、65.915%、65.9655%、65.995%、66.065%、66.115%、66.165%、66.215%、66.315%、66.465%、66.515%、66.665%、66.715%、66.75%、66.815%、66.915%、67.115%、67.215%、67.315%、67.4%、67.415%、67.515%又は67.615%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0018】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Cuがさらに含まれることが好ましい。
【0019】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは0.1~1.2%であり、例えば、0.1%、0.35%、0.4%、0.45%、0.48%、0.5%、0.55%、0.6%、0.65%、0.7%、0.75%、0.8%、0.85%、0.9%、1%又は1.1%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0020】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Gaがさらに含まれることが好ましい。
【0021】
本発明において、前記Gaの含有量は、好ましくは0.45wt.%以下であり、例えば、0.05%、0.1%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%又は0.42%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0022】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Nがさらに含まれることが好ましく、前記Nの種類は、好ましくはZr、Nb、Hf又はびTiを含む。
【0023】
ここで、前記Zrの含有量は、好ましくは0.05~0.5%であり、例えば、0.1%、0.2%、0.25%、0.28%、0.3%、又は0.35%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0024】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、Coがさらに含まれることが好ましい。
【0025】
本発明において、前記Coの含有量は、好ましくは0.5~3%であり、例えば、1%又は3%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0026】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、一般的にOがさらに含まれる。
【0027】
ここで、前記Oの含有量は、好ましくは0.13%以下であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0028】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物には、本分野における通常の他の元素、例えば、Zn、Ag、In、Sn、V、Cr、Mo、Ta、及びWのうちの1種又は複数種がさらに含まれてもよい。
【0029】
ここで、前記Znの含有量は、本分野における通常の含有量であることができ、好ましくは、0.01~0.1%であり、例えば、0.02%又は0.05%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0030】
ここで、前記Moの含有量は、本分野における通常の含有量であることができ、好ましくは、0.01~0.1%であり、例えば、0.02%又は0.05%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0031】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Cu:≦1.2%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.35~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0032】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0033】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Cu:≦1.2%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.35~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0034】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Ga:≦0.42%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0035】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Ga:≦0.42%、Cu:≦1.2%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.35~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0036】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Ga:≦0.42%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0037】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.5~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.15%、Al:≧0.5%、Ga:≦0.42%、Cu:≦1.2%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.35~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、前記RHの種類は、Dy及び/又はTbであることが好ましく、ここで、前記Tbの含有量は、0.5~2%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0038】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法がさらに提供され、それは、上記のプラセオジムとアルミニウムを含むネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物を使用して製造する。
【0039】
本発明において、前記の製造方法は、以下のステップを含むことが好ましく、上記のネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の溶融液を溶解製錬鋳造、水素破砕、成形、焼結、時効処理すればよい。
【0040】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の溶融液を本分野における通常の方法で製造することができ、例えば、高周波真空誘導溶解炉で溶解製錬すればよい。前記溶解炉の真空度は、5×10-2Paであってもよい。前記溶解製錬の温度は、1500℃以下であってもよい。
【0041】
本発明において、前記鋳造の操作及び条件は、本分野における通常の操作及び条件であることができ、例えば、Arガス雰囲気(例えば5.5×10PaのArガス雰囲気下)において、10℃/秒~10℃/秒の速度で冷却すればよい。
【0042】
本発明において、前記水素破砕の操作及び条件は、本分野における通常の操作及び条件であることができ、例えば、水素吸収、脱水素、冷却処理を経ていればよい。
【0043】
ここで、前記水素吸収は、水素ガス圧力0.15MPaの条件下で行うことができる。
【0044】
ここで、前記脱水素は、真空引きしながら昇温する条件で行うことができる。
【0045】
本発明において、前記水素破砕を行った後、本分野における通常の手段で粉砕を行うこともできる。前記粉砕の工程は、本分野における通常の粉砕工程であることができ、例えば、ジェットミル粉砕である。前記ジェットミル粉砕は、酸化ガス含有量が150ppm以下の窒素ガス雰囲気下で行うことが好ましい。前記酸化ガスは、酸素または水分の含有量を意味する。前記ジェットミル粉砕の粉砕室圧力は、0.38MPaとすることが好ましい。前記ジェットミル粉砕の時間は、3時間とすることが好ましい。
【0046】
ここで、前記粉砕を行った後、本分野における通常の方法で粉体に潤滑剤、例えば、ステアリン酸亜鉛を添加することができる。前記潤滑剤の添加量は、混合後の粉末重量の0.10~0.15%、例えば0.12%とすることができる。
【0047】
本発明において、前記成形の操作及び条件は、本分野における通常の操作及び条件であることができ、例えば、磁場成形法又はホットプレス熱間成形法である。
【0048】
本発明において、前記焼結の操作及び条件は、本分野における通常の操作及び条件であることができる。例えば、真空条件下(例えば5×10-3Paの真空条件下)で予熱、焼結、冷却を経ていればよい。
【0049】
ここで、前記予熱の温度は、一般的に300~600℃である。前記予熱の時間は、一般的に1~2hである。前記予熱は、300℃及び600℃の温度でそれぞれ1時間予熱することが好ましい。
【0050】
ここで、前記焼結の温度は、1030~1080℃であることが好ましく、例えば、1040℃である。
【0051】
ここで、前記焼結の時間は、本分野における通常の時間であることができ、例えば2hである。
【0052】
ここで、前記冷却の前に、ガス圧が0.1MPaに達するようにArガスを導入することができる。
【0053】
本発明において、前記焼結の後、前記時効処理の前に、粒界拡散処理をさらに行うことが好ましい。
【0054】
ここで、前記粒界拡散処理の操作及び条件は、本分野における通常の操作及び条件であることができる。例えば、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の表面に、Tbを含有する物質及び/又はDyを含有する物質を蒸着、塗布、又はスパッタ付着させて、拡散熱処理すればよい。
【0055】
前記Tbを含有する物質は、Tb金属、Tbを含有する化合物、例えば、Tbを含有するフッ化物又は合金であってもよい。
【0056】
前記Dyを含有する物質は、Dy金属、Dyを含有する化合物、例えば、Dyを含有するフッ化物又は合金であってもよい。
【0057】
前記拡散熱処理の温度は、800~900℃、例えば850℃であってもよい。
【0058】
前記拡散熱処理の時間は、12~48h、例えば24hであってもよい。
【0059】
本発明において、前記時効処理では、二次時効処理の温度は、550~650°Cであることが好ましく、例えば550°Cである。
【0060】
本発明において、前記二次時効処理では、温度が550~650°Cまで上昇した昇温速度は、3~5°C/minとすることが好ましく、前記昇温の開始点は室温とすることができる。
【0061】
本発明において、前記室温は、25℃±5℃である。
【0062】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料がさらに提供され、それは、上記の製造方法で製造されている。
【0063】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料がさらに提供され、質量百分率で下記の含有量の成分を含み、
R’:29.4~32.8%、前記R’に、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、
Al:≧0.48%、
B:0.90~1.2%、
Fe:60~68%、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0064】
本発明において、前記Prの含有量は、好ましくは17.12~30%であり、例えば、17.12%、17.13%、17.14%、17.15%、18.13%、18.14%、18.15%、18.16%、19.12%、19.14%、20.05%、20.13%、20.14%、21.12%、21.13%、21.14%、21.15%、21.16%、23.11%、23.12%、23.13%、13.15%、24.16%、25.12%、25.13%、25.14%、25.16%、25.17%、26.52%、27.15%、又は30%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0065】
本発明において、前記Ndの含有量は、好ましくは15%以下であり、より好ましくは1.5~14%であり、例えば、1.5%、2.45%、3.83%、3.84%、3.86%、3.89%、4.03%、4.52%、4.82%、4.83%、4.84%、4.86%、4.87%、5.84%、6.82%、6.83%、6.84%、6.86%、8.33%、8.34%、8.35%、8.36%、11.55%、11.63%、11.64%、11.66%、11.85%、12.82%、12.83%、12.84%、12.85%、12.89%、13.81%、13.82%、13.84%、又は13.85%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0066】
本発明において、前記R’は、RHをさらに含むことが好ましく、前記RHは、重希土類元素であり、前記RHの種類は、好ましくはDy、Tb及びHoのうちの1種又は複数種を含み、より好ましくはDy及び/又はTbである。
【0067】
ここで、前記RHと前記R’との質量比は、好ましくは、0.253未満であり、より好ましくは、0~0.08である。
【0068】
ここで、前記RHの含有量は、好ましくは、3%以下であり、より好ましくは、0.4~3%であり、例えば、0.48%、0.51%、0.56%、1%、1.02%、1.03%、1.04%、1.19%、1.21%、1.25%、1.42%、1.43%、1.52%、1.7%、1.71%、1.72%、1.91%、2.13%、2.33%、2.69%、又は2.71%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0069】
前記RHにTbが含まれる場合、前記Tbの含有量は、好ましくは0.5~2.1%であり、例えば、0.51%、0.56%、0.69%、0.71%、0.81%、0.83%、0.88%、0.9%、1%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.2%、1.21%、1.5%、1.58%、1.59%、1.6%、1.8%、2.01%、又は1.02%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0070】
前記RHにDyが含まれる場合、前記Dyの含有量は、好ましくは0.51%以下であり、より好ましくは0.1~0.51%、例えば、0.11%、0.12%、0.13%、0.19%、0.21%、0.22%、0.23%、0.29%、0.31%、0.32%、0.48%、0.49%、又は0.51%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0071】
前記RHにHoが含まれる場合、前記Hoの含有量は、本分野における通常の含有量であることができ、一般的に0.8~2%であり、例えば、1%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0072】
本発明において、前記Alの含有量は、好ましくは0.48~3%であり、例えば、0.48%、0.49%、0.58%、0.6%、0.61%、0.8%、0.82%、0.83%、0.89%、0.9%、0.91%、0.92%、1.01%、1.02%、1.03%、1.04%、1.09%、1.21%、1.22%、1.23%、1.31%、1.42%、1.49%、1.51%、1.52%、1.53%、1.62%、1.63%、1.7%、1.79%、1.81%、1.82%、1.9%、1.91%、1.92%、2.01%、2.02%、2.03%、1.12%、2.21%、2.3%、2.31%、2.52%、2.71%、2.91%、又は2.98%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0073】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは0.95~1.2%であり、例えば、0.951%、0.962%、0.981%、0.982%、0.983%、0.984%、0.985%、0.986%、0.99%、0.998%、1.03%、又は1.11%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0074】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは59.9~67.7%であり、例えば、59.932%、62.8%、62.88%、63.136%、63.896%、64.029%、64.234%、64.266%、64.566%、64.799%、64.897%、64.915%、64.985%、64.987%、65.084%、65.096%、65.146%、65.264%、65.299%、65.309%、65.327%、65.347%、65.385%、65.514%、65.524%、65.548%、65.664%、65.665%、65.689%、65.779%、65.829%、65.867%、65.877%、65.896%、65.944%、66.019%、66.047%、66.174%、66.236%、66.249%、66.327%、66.386%、66.496%、66.534%、66.964%、66.699%、66.73%、66.847%、66.917%、67.029%、67.088%、67.115%、67.216%、67.224%、67.315%、67.426%、67.45%、67.526%、67.587%、又は67.607%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0075】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Cuがさらに含まれることが好ましい。
【0076】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは、1.2%以下であり、例えば、0.11%、0.34%、0.35%、0.4%、0.41%、0.45%、0.5%、0.51%、0.55%、0.6%、0.63%、0.65%、0.72%、0.75%、0.81%、0.85%、0.91%、1.02%、1.03%、1.04%又は1.11%であり、より好ましくは、0.34~1.3%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0077】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Gaがさらに含まれることが好ましい。
【0078】
本発明において、前記Gaの含有量は、好ましくは0.42%以下であり、例えば、0.05%、0.1%、0.2%、0.23%、0.25%、0.251%、0.31%、0.34%、0.36%、0.41%、0.42%、0.43%、又は0.44%であり、より好ましくは0.25~0.42%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0079】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Nがさらに含まれることが好ましく、前記Nの種類は、好ましくは、Zr、Nb、Hf、又はTiを含む。
【0080】
ここで、前記Zrの含有量は、好ましくは0.05~0.5%であり、例えば、0.1%、0.11%、0.2%、0.22%、0.24%、0.25%、0.27%、0.28%、0.3%、0.31%、0.32%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、又は0.38%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0081】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Coがさらに含まれることが好ましい。
【0082】
ここで、前記Coの含有量は、好ましくは0.5~3.5%であり、例えば、1%又は3.03%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0083】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、一般的にOがさらに含まれる。
【0084】
ここで、前記Oの含有量は、好ましくは、0.13%以下であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0085】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、本分野における通常の他の元素、例えば、Zn、Ag、In、Sn、V、Cr、Nb、Mo、Ta、及びWのうちの1種又は複数種をさらに含んでもよい。
【0086】
ここで、前記Znの含有量は、本分野における通常の含有量であることができ、好ましくは0.01~0.1%であり、例えば、0.03%又は0.04%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0087】
ここで、前記Moの含有量は、本分野における通常の含有量であることができ、好ましくは、0.01~0.1%であり、例えば、0.02%又は0.06%であり、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0088】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.4~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、Al:≧0.48%、Cu:≦1.2%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.12~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.48~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.34~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0089】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.4~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、Al:≧0.48%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.12~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.48~3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0090】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.4~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、Al:≧0.48%、Cu:≦1.2%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.12~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.48~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.34~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0091】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.4~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、Al:≧0.48%、Ga:≦0.44%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.12~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.48~3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0092】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.4~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、Al:≧0.48%、Ga:≦0.44%、Cu:≦1.2%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.15~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.48~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.34~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0093】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.4~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、Al:≧0.48%、Ga:≦0.44%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.12~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.48~3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0094】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、質量百分率で下記の含有量の成分を含むことが好ましく、R’:29.4~32.8%、前記R’は、希土類元素であり、前記R’には、Pr及びNdが含まれ、ここで、前記Pr:≧17.12%、Al:≧0.48%、Ga:≦0.44%、Cu:≦1.2%、Zr:0.25~0.3%、B:0.90~1.2%、Fe:60~68%であり、より好ましくは、前記Prの含有量は17.12~30%であり、より好ましくは、前記Alの含有量は0.5~3%であり、より好ましくは、前記Cuの含有量は0.34~1.3%であり、より好ましくは、前記R’には、RHがさらに含まれ、前記RHは重希土類元素であり、前記RHの含有量は、1~2.5%であることが好ましく、前記RHの種類は、Dy及び/又はTbであることが好ましく、ここで、前記Tbの含有量は、0.5~2%であることが好ましく、パーセントとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味する。
【0095】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料が提供され、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の結晶粒間三角領域において、Pr及びAlの総質量とNd及びAlの総質量との比は、1.0以下であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界において、Pr及びAlの総質量とNd及びAlの総質量との比は、0.1以上であり、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の成分は、上述したネオジム鉄ホウ素磁石材料の成分である。
【0096】
本発明において、前記粒界とは、2つの結晶粒の間の境界を意味し、前記結晶粒間三角領域は、3つ以上の結晶粒によって形成される空隙を意味する。
【0097】
本発明には、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料がモーターにおいて電子部品としての応用がさらに提供される。
【0098】
本分野の周知常識に準拠したうえで、上記の各々の好ましい条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各々の好適な実施例を得ることができる。
【0099】
本発明に使用されている試薬および原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0100】
本発明の積極的な進歩的効果は、従来技術において、ネオジム鉄ホウ素磁石材料にプラセオジムとアルミニウムを添加すると、保磁力を向上させるが、同時に残留磁束密度を低下させてしまうという点にある。
【0101】
発明者らは、多数の実験により、特定の含有量のプラセオジムとアルミニウムを配合することで相乗効果を生み出すことができ、つまり、特定の含有量のプラセオジムとアルミニウムを同時に添加することで、ネオジム鉄ホウ素の保磁力をより著しく向上させると共に、残留磁束密度をわずかに低下させることを発見した。また、本発明における磁石材料は、重希土類元素を添加しなくても、その保磁力及び残留磁束密度が依然として高い。
【図面の簡単な説明】
【0102】
図1図1は、実施例11におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の元素の分布図である。
図2図2は、実施例11におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界における元素の分布図であり、図において、1は、粒界における定量分析用の点である。
図3図3は、実施例11におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の結晶粒間三角領域の元素の分布図であり、図において、1は、結晶粒間三角領域における定量分析用の点である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
以下、実施例の態様により本発明をさらに説明するが、本発明を実施例の範囲に制限するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されない実験方法は、通常の方法及び条件に従って、または商品仕様書に応じて選択される。以下の表において、wt.%とは、成分の前記R-T-B系永久磁石材料の原料組成物における質量百分率を意味する。「/」は、当該元素が添加されていないことを表す。「Br」は、残留磁束密度であり、「Hcj」は、保磁力(intrinsic coercivity)である。各実施例1~45及び比較例46~49におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の成分を下記の表1に示す。
【0104】
表1 ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の成分(wt.%)
【0105】
実施例1
プラセオジムとアルミニウムを含むネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法は以下の通りである。
【0106】
(1)溶解製錬鋳造:表1に示される各実施例及び比較例の原料組成物の成分に従って、調製した原料をアルミナ製の坩堝に入れ、高周波真空誘導溶解炉において5×10-2Paの真空中で1500℃以下の温度で真空溶解製錬する。真空誘導溶解製錬した後の溶解炉にArガスを導入し、気圧を5.5万Paにした後に鋳造し、10℃/秒~10℃/秒の冷却速度で急冷合金を得る。
【0107】
(2)水素破砕:急冷合金を置く溶解炉を室温で真空引きした後、純度99.9%の水素ガスを水素破砕用炉内に導入して水素ガス圧力を0.15MPaに維持する。水素吸収を十分に行った後、真空引きしながら昇温し、十分に脱水素する。その後、冷却し、水素破砕した粉末を取り出す。
【0108】
(3)ジェットミル工程:水素破砕した粉末を、酸化ガス含有量150ppm以下の窒素ガス雰囲気下及び粉砕室圧力0.38MPaの条件下で3時間のジェットミル粉砕し、微粉を得る。酸化ガスは、酸素または水分を指す。
【0109】
(4)ジェットミル粉砕した後の粉末にステアリン酸亜鉛を添加し、ステアリン酸亜鉛の添加量を混合後の粉末重量の0.12%として、Vブレンダーで十分に混合した。
【0110】
(5)磁場成形の工程:上記のステアリン酸亜鉛を添加した粉末を、直角配向型の磁場成形機を用いて、1.6Tの配向磁場中及び0.35ton/cmの成形圧力で、一辺が25mmの立方体に一次成形し、一次成形後、0.2Tの磁場で減磁する。一次成形後の成形体を空気に触れさせないように、それをシールし、その後、二次成形機(静水圧成形機)を用いて、1.3ton/cmの圧力で二次成形を行う。
【0111】
(6)焼結の工程:各成形体を焼結炉に搬送して焼結し、5×10-3Paの真空下且つ300℃及び600℃の温度でそれぞれ1時間を保持し、その後、1040℃の温度で2時間焼結し、そして、Arガスを導入して0.1MPaまでガス圧を到達させた後、室温まで冷却して、焼結体を取得する。
【0112】
(7)時効処理の工程:焼結体を高純度のArガス中且つ600℃の温度で3時間の熱処理を行った後、室温まで冷却して取り出して、550℃まで昇温する昇温速度は、3℃/minである。
【0113】
実施例1~45及び比較例46~49の製造工程は、選択して用いた原料組成物の配合が異なるほか、製造工程中のパラメータが実施例1の製造工程と同じであった。
【0114】
実施例50
実施例1の原料組成物をDy粒界拡散法で処理し、実施例50のネオジム鉄ホウ素磁石材料を得る。その製造プロセスは以下の通りである。
【0115】
表1における番号1について、実施例1の焼結体の製造に従って、まず焼結体を製造して取得し、次いで粒界拡散を行い、その後、時効処理を行う。ここで、時効処理の工程は、実施例1と同じであり、粒界拡散の処理工程は以下の通りである。
【0116】
焼結体を直径20mm、シート厚さ3mm未満の磁石に加工し、厚さ方向を磁場配向方向とし、表面を清浄化した後、Dyフッ化物により調製された原料を用いて、磁石に全面噴霧してコーティングし、コーティングした磁石を乾燥し、高純度のArガス雰囲気で、磁石の表面にDy元素の金属をスパッタ付着させ、850℃の温度で24時間拡散熱処理する。室温まで冷却すればよい。
【0117】
実施例51
実施例1の原料組成物をDy粒界拡散法で処理し、実施例51のネオジム鉄ホウ素磁石材料を得る。その製造プロセスは以下の通りである。
【0118】
表1における番号1について、実施例1の焼結体の製造に従って、まず焼結体を製造して取得し、次いで粒界拡散を行い、その後、時効処理を行う。ここで、時効処理の工程は、実施例1と同じであり、粒界拡散の処理工程は以下の通りである。
【0119】
焼結体を直径20mm、シート厚さ7mm未満の磁石に加工し、厚さ方向を磁場配向方向とし、表面を清浄化した後、それぞれTbフッ化物により調製された原料を用いて、磁石に全面噴霧してコーティングし、コーティングした磁石を乾燥し、高純度のArガス雰囲気で、磁石の表面にTb元素の金属をスパッタ付着させ、850℃の温度で24時間拡散熱処理する。室温まで冷却された。
【0120】
[効果実施例]
各実施例及び比較例で得られたネオジム鉄ホウ素磁石材料の磁気特性及び成分を測定し、その磁性体の結晶構造をFE-EPMAで観察した。
【0121】
(1)磁気特性の評価:中国計量院のNIM-10000H型BH大塊希土類永久磁石非破壊測定システムを用いて磁石材料の磁気特性検出を行った。以下の表2は、磁気特性検出の結果を示している。
【0122】
表2 磁気特性検出の結果
【0123】
(2)成分の測定:各成分に対して、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)を用いて測定した。以下の表3に示すのは、各実施例及び比較例のネオジム鉄ホウ素磁石材料の成分検出の結果である。
【0124】
表3、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の成分検出の結果(wt.%)
【0125】
(3)FE-EPMAによる検出:実施例11のネオジム鉄ホウ素磁石材料を、電界放出電子プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA)(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で検出した。磁石材料におけるPr、Nd、Al、Zr及びO元素を分析し、且つ、粒界及び結晶粒間三角領域における元素を定量分析する。ここで、粒界とは、2つの結晶粒の間の境界を意味し、結晶粒間三角領域は、3つ以上の結晶粒によって形成される空隙を意味する。
【0126】
図1から見られるように、Pr、Nd元素は主に主相に分布し、粒界においても一部の希土類が出現し、元素Alは主相に分布し、元素Zrは粒界に分布している。図2に示されるように、実施例11のネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界における元素の分布図であり、図2中の番号1で示した点を選択して粒界における元素を定量分析した結果を下記の表4に示す。
【0127】
表4
【0128】
以上のデータから分かるように、PrとNdは、希土類リッチ相及び酸化物の形で粒界に存在し、それぞれα-Prとα-Nd、Pr、Nd、及びNdOであり、Alは、主相に加えて、粒界において約0.2wt.%の特定の含有量、例えば、本実施例では0.19wt.%を占める。Zrは、高融点元素として全領域にわたって分散的に分布する。
【0129】
図3に示されるように、結晶粒間三角領域における元素の分布図であり、図3中の番号1で示した点を選択して結晶粒間三角領域における元素を定量分析した結果を下記の表5に示す。
【0130】
表5
【0131】
表5から分かるように、Pr及びNd元素が結晶粒間三角領域に分布しており、本実施例の成分では、結晶粒間三角領域において、Prの含有量がNdの含有量よりも明らかに低く、希土類の一部がここに豊富に集まっているが、Prの集まっている程度はNdの集まっている程度よりも低く、これも、高PrとAlの共同作用でHcjを向上させる原因の1つであることが明らかになる。同時に、ここにOとZrの一部が分布している。
図1
図2
図3