(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ノックダウン式のテーブルまたはカウンター
(51)【国際特許分類】
A47B 7/00 20060101AFI20230424BHJP
A47B 13/04 20060101ALI20230424BHJP
A47B 96/20 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A47B7/00 A
A47B13/04
A47B96/20 F
(21)【出願番号】P 2018181793
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-08-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】村上 智一
(72)【発明者】
【氏名】江島 尚
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 保紀
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-131742(JP,U)
【文献】実開昭52-166645(JP,U)
【文献】特開2002-065364(JP,A)
【文献】特表2017-512112(JP,A)
【文献】米国特許第05983420(US,A)
【文献】独国特許発明第04139780(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 55/00
A47B 77/00
A47B 13/04
A47B 7/00
A47B 96/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独で運搬可能なユニットである支持構造体と、この支持構造体に支持される家具機能要素とを備えた
ノックダウン式のテーブルまたはカウンターであって、
前記支持構造体は、枠材により構成された枠部と、面材により構成された面板部と、この面板部に前記枠部の複数個所を剛結する連結部とを具備して
なり、
前記枠材は、非金属材料を主体に構成されたものであるノックダウン式のテーブルまたはカウンター。
【請求項2】
前記枠材は、断面長方形の角材であり、前記枠部は、共通の角材を用いて構成されている請求項1記載の
ノックダウン式のテーブルまたはカウンター。
【請求項3】
単独で運搬可能なユニットである支持構造体と、この支持構造体に支持される家具機能要素とを備えたノックダウン式のテーブルまたはカウンターであって、
前記支持構造体は、枠材により構成された枠部と、面材により構成された面板部と、この面板部に前記枠部の複数個所を剛結する連結部とを具備してなり、
前記面材は、対をなす外面板間に空間形成用のコアを介在させたフラッシュ構造をなすものであるノックダウン式のテーブルまたはカウンター。
【請求項4】
前記連結部が、一端を前記枠部に結合し且つ他端を前記面板部に結合した枠材及び面材の少なくとも一方を用いて構成されたものである請求項1、2又は3記載の
ノックダウン式のテーブルまたはカウンター。
【請求項5】
単独で運搬可能なユニットである支持構造体と、この支持構造体に支持される家具機能要素とを備えたノックダウン式のテーブルまたはカウンターであって、
前記支持構造体は、枠材により構成された枠部と、面材により構成された面板部と、この面板部に前記枠部の複数個所を剛結する連結部とを具備してなり、
前記支持構造体と前記家具機能要素とを連結する連結ブラケットを備え、この連結ブラケットにオプションを取付けるためのオプション取付部が設けられているノックダウン式のテーブルまたはカウンター。
【請求項6】
前記家具機能要素が、天板である請求項1、2、3、4又は5記載の
ノックダウン式のテーブルまたはカウンター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現地で組み立てて構築されるノックダウン式のテーブルまたはカウンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の家具として、例えば、単独で運搬可能な支持構造体と、この支持構造体上に取り付けられて支持される天板と、前記支持構造体の側面に着脱可能に取り付けられる幕板等を備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このような家具は、前記支持構造体、天板及び幕板等が、それぞれ独立した状態で梱包され保管されており、それぞれを現場に運搬し搬入して組み立てるようになっている。
【0004】
ところで、従来の支持構造体は、基本的に枠構造をなすものであるため、全体形状にゆがみが生じ易い。そのため、従来のものはアングル材やチャンネル材と称される金属材料を溶接等により剛結して運搬時や使用時等にゆがみが発生するのを抑えている。
【0005】
ところが、鋼材等の金属材料により作られた支持構造体は、比較的重量が大きくなる傾向があり、運搬や現場搬入に多大な労力を要することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、軽量化を図りつつ支持構造体自体の剛性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係るノックダウン式のテーブルまたはカウンターは、単独で運搬可能なユニットである支持構造体と、この支持構造体に支持される家具機能要素とを備えたノックダウン式のテーブルまたはカウンターであって、前記支持構造体は、枠材により構成された枠部と、面材により構成された面板部と、この面板部に前記枠部の複数個所を剛結する連結部とを具備してなり、前記枠材は、非金属材料を主体に構成されたものである。
【0010】
請求項2記載の発明に係るノックダウン式のテーブルまたはカウンターは、請求項1記載のものにおいて、前記枠材が、断面長方形の角材であり、前記枠部が、共通の角材を用いて構成されているものである。
【0011】
請求項3記載の発明に係るノックダウン式のテーブルまたはカウンターは、単独で運搬可能なユニットである支持構造体と、この支持構造体に支持される家具機能要素とを備えたノックダウン式のテーブルまたはカウンターであって、前記支持構造体は、枠材により構成された枠部と、面材により構成された面板部と、この面板部に前記枠部の複数個所を剛結する連結部とを具備してなり、前記面材が、対をなす外面板間に空間形成用のコアを介在させたフラッシュ構造をなすものである。
【0012】
請求項4記載の発明に係るノックダウン式のテーブルまたはカウンターは、請求項1、2又は3記載のものにおいて、前記連結部が、一端を前記枠部に結合し且つ他端を前記面板部に結合した枠材及び面材の少なくとも一方を用いて構成されたものである。
【0013】
請求項5記載の発明に係るノックダウン式のテーブルまたはカウンターは、単独で運搬可能なユニットである支持構造体と、この支持構造体に支持される家具機能要素とを備えたノックダウン式のテーブルまたはカウンターであって、前記支持構造体は、枠材により構成された枠部と、面材により構成された面板部と、この面板部に前記枠部の複数個所を剛結する連結部とを具備してなり、前記支持構造体と前記家具機能要素とを連結する連結ブラケットを備え、この連結ブラケットにオプションを取付けるためのオプション取付部が設けられているものである。
【0014】
請求項6記載の発明に係るノックダウン式のテーブルまたはカウンターは、請求項1、2、3、4又は5記載のものにおいて、前記家具機能要素が、天板であるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、軽量化を図りつつ支持構造体自体の剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る
テーブルを示す全体斜視図。
【
図6】同実施形態に係る枠材を拡大して示す断面図。
【
図8】同実施形態に係る
テーブルを示す分解斜視図。
【
図13】同実施形態の支持構造体を含む主要部を拡大して示す斜視図。
【
図14】本発明の第二実施形態に係る
カウンターを示す全体斜視図。
【
図15】同実施形態に係る
カウンターを示す分解斜視図。
【
図16】同実施形態に係る支持構造体、天板及び側板の接続部を示す分解斜視図。
【
図17】同実施形態の支持構造体を拡大して示す斜視図。
【
図18】同実施形態の支持構造体間の接続部を拡大して示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第一実施形態>(
図1~
図13)
この実施形態は、本発明を家具であるテーブルTに適用した場合のものである。
【0018】
このテーブルTは、
図1~
図5及び
図7~
図8に示すように、直列に連結された2組の支持構造体1A、1Bと、これら支持構造体1A、1B上に配設された家具機能要素である天板2と、支持構造体1A、1Bの外方端にそれぞれ配設された家具機能要素である側板3と、各支持構造体1A、1Bに着脱可能に装着された家具機能要素である幕板4とを具備している。
【0019】
支持構造体1A、1Bは、
図4、
図7、
図8及び
図13に示すように、いずれも単独で運搬可能なユニットであり、枠材により構成された枠部5と、面材29により構成された面板部6と、この面板部6に前記枠部5の複数個所を剛結する連結部7~9とを具備してなる。
【0020】
枠部5は、
図7、
図8、
図10、
図12及び
図13に示すように、アジャスタ21aを備えた下の枠材21と、下の枠材21の両端部に立設された端の枠材23と、下の枠材21の中間部に立設された中間の枠材25と、これら中間の枠材25及び端の枠材23上に架設された上の枠材27とを相互に剛結したものである。各枠材21、23、25、27は、それぞれ非金属材料、具体的には木材を主体に構成されたものである。これらの枠材21、23、25、27は、断面長方形の角材である。この枠部5は、共通の角材Nを用いて構成されている。この実施形態では、各枠材21、23、25、27を構成する角材Nは、例えば、
図6に示すように、断面において30mm×50mmの単板積層材(LVL)にラッピング処理を施したものである。換言すれば、この角材Nは、木目を同一方向にそろえた複数の層N1を有したものであり、その外面にラッピング材N2が巻装されたものである。各枠材21、23、25、27は、図示しないダボと接着剤を用いて相互に剛結されている。
【0021】
面板部6は、
図7、
図8、
図10、
図12及び
図13に示すように、前述した枠部5の外形に対応した外形を有する1枚の面材29により構成されている。この面材29は、対をなす外面板31間に空間形成用のコア33を介在させたフラッシュ構造をなすものであり、外面板31の周縁部同士は補強芯材35により結合されている。面板29の下面には、アジャスタ29aが備えられている。なお、補強芯材35は周縁部のみならず、補強が必要な箇所に配されており、枠材と同じく木製のものである。
【0022】
以上説明した枠部5と面板部6とは、下の連結部7と中間の連結部8と上の連結部9とによって相互に連結されている。
【0023】
下の連結部7は、
図7、
図8及び
図13に示すように、一端を枠部5に結合し且つ他端を面板部6に結合した面材37を用いて構成されたものである。この面材37は、上面板39と下面板41との間に空間形成用のコア43を介在させたフラッシュ構造をなすものであり、上面板39及び下面板41の周縁部同士は補強芯材45により結合されている。下の連結部7と枠部5との結合、及び下の連結部7と面板部6との結合は、それぞれ図示しないダボと接着剤とを用いて行われている。
【0024】
中間の連結部8は、
図7、
図8、
図10、
図12及び
図13に示すように、一端を枠部5の端の枠材23又は中間の枠材25に結合し且つ他端を面板部6に結合した複数本の連結枠材47、49を用いて構成されたものである。端の連結枠材47は、配線挿通用の半円弧状をなす凹陥部47xを備えたもので、その上面に当該支持構造体1A、1Bと天板2とを結合するための金属製の上下連結用の連結ブラケット10の下の水平取付片10aが図示しないネジを用いてネジ止めされている。なお、この実施形態においては、一方の支持構造体1Aは、側板3側の端部のみに連結ブラケット10が設けられており、他方の支持構造体1Bは、両端部に連結ブラケット10が設けられている。各連結枠材47、49と枠部5との結合、及び各連結枠材47、49と面板部6との結合は、それぞれ図示しないダボと接着剤とを用いて行われている。
【0025】
上の連結部9は、
図7、
図8、
図10、
図12及び
図13に示すように、一端を枠部5の上の枠材27に結合し且つ他端を面板部6に結合した複数本の連結枠材51を用いて構成されたものである。上の連結部9の各連結枠材51の両端近傍部には、天板2取付用のネジが挿通されるネジ挿通孔51aがそれぞれ設けられている。各連結枠材51と枠部5との結合は、それぞれ図示しないダボと接着剤とを用いて行われている。ここで、中間の連結部8及び上の連結部9を構成する各連結枠材47、9、51は、枠部5を構成する各枠材21、23、25、27と同一の角材を用いて形成されている。
【0026】
この実施形態では、
図13に示すように、2組の支持構造体1A、1Bがボルト状のネジB1、B2を用いて直列に横連結され、2枚の天板2を支持している。23aは、枠部5の端の枠材23に設けられたネジ挿通孔であり、これらのネジ挿通孔23aに挿通させたネジB1により両支持構造体1A、1Bの枠部5同士が横連結されている。6cは、面板部6の接合端面6aと凹陥部6bの内面との間に形成されたネジ挿通孔であり、これらのネジ挿通孔6cに挿通させたネジB2により両支持構造体1A、1Bの面板部6同士が横連結されている。
【0027】
前述した連結ブラケット10は、板金製のもので、扁平なチャンネル状をなしており、
図13に示すように、その上下方向中間位置にオプション取付部であるネジ挿通孔10xが設けられている。また、連結ブラケット10の上下両端部には、
図10及び
図13に示すように、水平取付片10a、10bが一体に形成されている。下の水平取付片10aは、支持構造体1A、1Bの中間の連結部8上に載設されており、その中間の連結部8を構成する端の連結枠材47に図示しないネジを用いて止着されている。上の水平取付片10bは、天板2の下面に添設されており、天板2に図示しないネジを用いて止着されている。このように支持構造体1A、1Bと天板2とは、前述のように直接上下連結されているだけでなく、これら連結ブラケット10を介して上下連結されてもいる。
【0028】
天板2は、前後両端を使用端としたもので、
図1、
図4及び
図7に示すように、その前後方向中央部分が支持構造体1A、1Bにより支持されている。この天板2は木製板状のもので、
図7に示すように、下面における両端近傍部に横連結用の凹陥部2xを備えている。そして、当該天板2の接合端面2aと凹陥部2xの内面との間にはネジ挿通孔2yが形成されており、そのネジ挿通孔2yに挿通させたボルト状のネジB3を用いて隣接する天板2同士が横連結されている。また、天板2の下面における前述した支持構造体1A、1Bの上の連結部9を構成する連結枠材51に設けられた各ネジ挿通孔51aに対応する部位には、鬼目ナット等と称される図示しない埋設ナットが設けられており、
図7に示すように、連結枠材51のネジ挿通孔51aに下から挿通させたネジB4を対応する埋設ナットに螺着することによって天板2が支持構造体1A、1B上に固定されている。なお、天板2の下面における連結ブラケット10に対応する部位にも図示しない埋設ナットが設けられており、連結ブラケット10の上の水平取付片10bに設けられた、
図10及び
図12に示すようなネジ挿通孔10yに挿通させて図示しないネジを天板2の図示しない埋設ナットに螺着することによって、天板2が連結ブラケット10上にも固定されている。また、天板2の前後方向中央における左右両端には、後述するオプション11を取付けるための角形をなす切欠部2zが形成されている。
【0029】
側板3は、支持構造体1A、1B及び天板2の開放端面を塞ぐもので、天板2の奥行寸法に対応する幅を有した厚板状のものである。側板3の支持構造体1A、1Bに対応する部位、及び天板2に対応する部位には、図示しない埋設ナットが設けられており、
図10に示すような支持構造体1A、1Bの開放端面1nに開口させたネジ挿通孔23a、6c及び天板2の開放端面2bに開口させたネジ挿通孔2yを通して埋設ナットに螺着した図示しないネジによって、この側板3が、支持構造体1A、1Bの開放端面1nと天板2の開放端面2bに取り付けられている。なお、
図8に示すように、天板2の切欠部2zに対応する側板3の内面側には、オプションを取付けるための竪溝3xが形成されている。また、この側板3の下面における前後両端部には、アジャスタ3aが備えられている。
【0030】
幕板4は、
図1、
図2、
図7及び
図8に示すように、平板状のもので、下端部内面に左、右対をなす掛止部53が設けられているとともに、上端部内面に左右対をなす取付金具55が取着されている。掛止部53は、突起57の先端に垂下金具59を止着してなる鉤形のもので、枠部5における下の枠材21に上から掛止し得るようになっている。
図7における61は、幕板4の本体に突起57を位置決め固定するためのダボであり、63は、突起57及び垂下金具59を幕板4の本体に止着するための止着具である。取付金具59は、ボルト挿通孔59aを有する上端を幕板4の上端よりも上方に延出させた状態で、当該幕板4に止着されたもので、前面側からボルト挿通孔59aに挿通させたボルトを枠部5における上の枠材27に埋設された埋設ナット27xに螺着することにより、幕板4の上端側を着脱可能に取り付けることができるようになっている。なお、上の枠材27の前面の長手方向両端部には、取付金具が遊嵌し得る凹陥部27aがそれぞれ形成されており、各凹陥部27aに埋設ナット27xが配されている。
【0031】
オプション11は、例えば、やぐらタイプのもので、
図1~
図3、
図5及び
図8に示すように、天板2と側板3との接合部分に立設された端のポスト71と、天板2同士の接合部分に立設された中間のポスト73と、中間のポスト73と端のポスト71の上端間に架設されたビーム75とを備えたものである。詳述すれば、
図1に示すように、天板2と側板3との接合部分には、天板2に形成された切欠部2zと側板3に形成された竪溝3xとによって平面視四角形をなす取付け孔Hが形成されており、この取付け孔Hに端のポスト71の下端部を上から挿入するようになっている。端のポスト71は、角柱パイプ状をなすアルミ押出材製のもので、取付け孔Hに上から差し込んで嵌合させることができるようになっている。取付け孔Hに嵌合させたポスト71の下端は支持構造体1A、1Bの中間の連結部8を構成する端の連結枠材47上に当接して係止されるものであり、その係止状態でポスト71の下端部が連結ブラケット10に添接する。すなわち、
図10に示すように、ポスト71の下端部には、ネジ挿通孔71xが形成されており、係止状態でそのネジ挿通孔71xが連結ブラケット10のオプション取付部であるネジ挿通孔10xに合致するように設定されている。しかして、合致したネジ挿通孔71x、10xに挿通させたネジB5によりポスト71が連結ブラケット10に緊締固着されている。また、天板2同士の接合部分には、
図1及び
図12に示すように、両天板2に形成された切欠部2zによって平面視四角形をなす取付け孔Hが形成されており、この取付け孔Hに中間のポスト73の下端部を上から挿入するようになっている。中間のポスト73も角柱パイプ状のもので、前述した端のポスト71に準じた構成により連結ブラケット10に緊締固着されている。ビーム75は、ポスト71、73よりも幅広なアルミ押出材製のもので、下面にポスト71、73の幅に対応する図示しない下向き溝を備えており、その下向きの端部にポスト71、73の上端部を嵌合させた上で両者をねじ止めして結合している。下向き溝のポスト71、73間に位置する部位には、図示しない配線ダクト等が収容されている。77はこの配線ダクトに関連する電源プラグ、79は、支持構造体1A、1Bの内部空間からビーム内を通して外部あるいは配線ダクト等に導かれる電力系のケーブル、81は通信系のケーブルである。
【0032】
以上説明した第一実施形態の構成によれば、各支持構造体1A、1Bが、枠材により構成された枠部5だけではなく、面材29により構成された面板部6と、この面板部6に前記枠部5の複数個所を剛結する連結部7~9とを備えている。そのため、枠構造の一部に枠の変形を阻止する面材29が存在することになり、全体としてひずみが生じにくい高剛性の構造体が出来上がっている。その結果、枠材21、23、25、27を強度の高い金属製のものにすることなしに運搬等の際に変形しにくい支持構造体1A、1Bを得ることができる。したがって、支持構造体1A、1B自体を軽量化することが容易になり、運搬や現場への搬入に多大な労力を要するという従来の問題を解消することができる。
【0033】
<第二実施形態>(
図14~
図18)
この実施形態は、本発明を家具であるカウンターKに適用した場合のものである。
【0034】
このカウンターKは、
図14及び
図15に示すように、3組の支持構造体1C、1D、1Eと、これら支持構造体1C、1D、1E上に配設された家具機能要素である天板2C、2D、2Eと、支持構造体1C、1D、1Eの外方端にそれぞれ配設された家具機能要素である側板3と、各支持構造体1C、1D、1Eに着脱可能に装着された家具機能要素である幕板3C、3D、3Eとを具備している。
【0035】
3組の支持構造体1C、1D、1Eの内、2組の支持構造体1C、1Dは相互に直交配置された直線タイプのものであり、1組の支持構造体1Eはこれら直線タイプの支持構造体1C、1D間に介在させた屈曲タイプのものである。
【0036】
直線タイプの支持構造体1C、1Dは、
図15、
図17及び
図18に示すように、第一実施形態の一方の支持構造体1Aに準じた構成のものであり、同一又は相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。この支持構造体1C、1Dが第一実施形態の一方の支持構造体1Aと異なっている点を説明すれば次のとおりである。
【0037】
この直線タイプの支持構造体1C、1Dにおいては、
図15及び
図17に示すように、面板部6の面材29の上縁部に配線導出入口29xが設けられおり、その配線導出入口29xには蓋体101が開閉可能に配されている。そして、この配線導出入口29xに対応する支持構造体1C、1Dの内部には、配線受け103が水平な姿勢で配されている。この面板部29の側板3に対する横連結は、L状に屈曲する連結金具105を介して行われるようになっており、横連結用のボルトを挿入するための凹陥部は備えていない。この面板部6の隣接する支持構造体1Eの面板部6に対する横連結は、
図18に示すように、平板状の連結金具107を介して行われるようになっている。B6はこの連結金具の両端部を各面板部6に螺着するためのネジである。
【0038】
屈曲タイプの支持構造体1Eは、単独で運搬可能なユニットであり、
図15及び
図18に示すように、枠材21、23、25、27により構成された枠部5と、面材29により構成された面板部6と、この面板部6に前記枠部5の複数個所を剛結する連結部7~9とを具備してなる。
【0039】
枠部5は、アジャスタ21aを備えた2本の下の枠材21と、下の枠材21のそれぞれの端部に立設された端の枠材23と、下の枠材21の中間部に立設された中間の枠材25と、これら中間の枠材25及び端の枠材23上に架設された2本の上の枠材27とを相互に剛結したものである。なお、2本の下の枠材21同士、及び2本の上の枠材27同士は、それぞれ直角に配した状態で剛結されている。各枠材21、23、25、27は、第一実施形態のものと同じであるため、説明を省略する。
【0040】
面板部6は、直角に剛結させた2枚の面材29により構成されている。これらの面材29は、第一実施形態のものと同じくフラッシュ構造をなすものであり、両面材29同士は、ダボと接着剤を用いて剛結されている。
【0041】
以上説明した枠部5と面板部6とは、下の連結部7と中間の連結部8と上の連結部9とによって相互に連結されている。
【0042】
下の連結部7は、一端を枠部5に結合し且つ他端を面板部6に結合した2枚の面材37を用いて構成されたものである。これらの面材37は、第一実施形態のものと同じくフラッシュ構造をなすものである。
【0043】
中間の連結部8は、一端を枠部5の端の枠材23に結合し且つ他端を面板部6に結合した2本の連結枠材47と、外側縁側を枠部5の中間の枠材25に結合するとともに内縁側を面板部6の両面材29に結合した水平面材91を用いて構成されたものである。水平面材91は、配線挿通用の円形孔91aを備えたもので、その上面に当該支持構造体1Eと天板2Eとを結合するための金属製の上下連結ブラケット10の下の水平取付片10aが図示しないネジを用いてネジ止めされている。各連結枠材47及び水平面材91と枠部5との結合、及び各連結枠材47及び水平面材91と面板部6との結合は、それぞれ図示しないダボと接着剤とを用いて行われている。
【0044】
上の連結部9は、一端を枠部5の上の枠材27に結合し且つ他端を面板部6に結合した複数本の連結枠材51を用いて構成されたものである。上の連結部9の各連結枠材51の両端近傍部には、天板取付用のネジが挿通されるネジ挿通孔51aがそれぞれ設けられている。各連結枠材51と枠部5との結合は、それぞれ図示しないダボと接着剤とを用いて行われている。ここで、各連結部7~9を構成する各連結枠材47、51は、枠部4の各枠材21、23、25、27と同一の角材Nを用いて構成されている。なお、52は2本の上の枠材27が交わる隅部に設けられた枠材であり、天板取付用のネジが挿通されるネジ挿通孔52aが設けられている。
【0045】
天板2C、2D、2Eは、前端を使用端2pとしたもので、
図15に示すように、反使用端2q側の片半部分が支持構造体1C、1D、1Eにより支持されている。すなわち、直線タイプの支持構造体1C、1D上に設けられる各天板(以下、「直線タイプの天板」という)2C、2Dは、対応する支持構造体1C、1Dの横幅寸法に対応した横幅を有する平面視長方形状の木製品であり、第一実施形態の支持構造体1A、1Bに準じた位置に図示しない連結用の凹陥部と横連結用ネジ挿通孔2yが設けられている。天板2C、2Dの下面における前述した支持構造体1C、1Dの上の連結枠材51に設けられた各ネジ挿通孔51aに対応する部位には、図示しない埋設ナットが設けられており、連結枠材51のネジ挿通孔51aに下から挿通させた図示しないネジを対応する埋設ナットに螺着することによって天板2C、2Dが対応する支持構造体1C、1D上に固定されている。なお、天板2C、2Dの下面にける連結ブラケット10に対応する部位にも埋設ナットが設けられており、連結ブラケット10の上の水平取付片10bに設けられたネジ挿通孔10yに挿通させた図示しないネジを図示しない埋設ナットに螺着することによって、天板2C、2Dが連結ブラケット10上にも固定されている。なお、天板2C、2Dの側板側の端面2nには、後述するオプション11を取付けるための切欠部2zが形成されている。
【0046】
一方、屈曲タイプの支持構造体1E上に設けられる天板(以下、「屈曲タイプの天板」という)2Eは、その支持構造体1Eに対応して屈曲する平面視形状を有する木製品であり、その一端に一方の直線タイプの天板2Cが横連結されるとともに、他端に他方の直線タイプの天板2Dが横連結されている。この屈曲タイプの天板2Eも、端部付近における直線タイプの天板2C、2Dに準じた位置に図示しない連結用の凹陥部と図示しない横連結用ネジ挿通孔が設けられている。天板2Eの下面における前述した支持構造体1Eの上の連結枠材51に設けられた各ネジ挿通孔51aに対応する部位には、図示しない埋設ナットが設けられており、連結枠材51のネジ挿通孔51aに下から挿通させたネジを対応する埋設ナットに螺着することによってこの天板2Eが対応する屈曲タイプの支持構造体1E上に固定されている。なお、天板2Eの下面にける連結ブラケット10に対応する部位にも図示しない埋設ナットが設けられており、連結ブラケット10の上の水平取付片10bに設けられたネジ挿通孔10yに挿通させたネジを埋設ナットに螺着することによって、天板2Eが連結ブラケット10上にも固定されている。
【0047】
側板3は、第一実施形態の側板3に準じた構成のものであり、同一又は相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。これらの側板3が第一実施形態の側板3と異なっている点としては、
図14及び
図15に示すように、奥行寸法がカウンター用の天板2C、2Dの奥行に対応させて短くなっていることや、支持構造体1C、1Dの面板部6との横連結構造が異なっていることに起因して埋設ナットの位置が異なっていること等を挙げることができる。
【0048】
幕板4C~4Eは、第一実施形態の幕板4と同じ基本構造をなすものであるため、詳細な説明は省略する。なお、屈曲タイプの支持構造体1Eに装着される幕板4Eは、中央で直角に屈曲しているため、直線タイプの支持構造体1C、1Dに装着される幕板4C、4Dと外観が異なっているが、基本構造は同じである。しかして、この幕板4C~4Eも下端部内面に設けた鉤形をなす掛止部31を支持構造体1Eの下の枠材21に上から掛止した上で取付け金具33を支持構造体1Eにネジ止めすることにより、当該屈曲タイプの支持構造体1Eに着脱可能に装着されている。
【0049】
オプション11は、第一実施形態に準じた構成をなすやぐらタイプのものであり、同一又は対応する部分に同一の符号を付して詳細な説明を省略する。このオプション11が第一実施形態のオプション11と異なっている点を説明すれば次のとおりである。
【0050】
このオプション11も、
図14及び
図15に示すように、天板2C、2Dと側板3との接合部分に立設された端のポスト71と、中間のポスト73と、中間のポスト73と端のポスト71の上端間に架設されたビーム75とを備えたものであるが、この実施形態のものは、中間のポスト73を屈曲タイプの天板2Eの中央に立設している。すなわち、屈曲タイプの天板2Eには平面視四角形をなす取付け孔Hが形成されており、この取付け孔Hに中間のポスト73の下端部を上から挿入するようになっている。取付け孔Hに挿入された中間のポスト73の下端は支持構造体1Eの水平面材91上に当接して係止される。ポスト73の下端部には、ネジ挿通孔73xが形成されており、係止状態でそのネジ挿通孔73xが連結ブラケット10の取付け部に形成されたネジ挿通孔10xに合致するように設定されている。しかして、合致したネジ挿通孔10xに挿通させたネジによりポスト73が連結ブラケット10に緊締固着されている。なお、ポスト73を連結ブラケット10に取り付けた状態では、ポスト73の四角形をなす下端開口部が水平面材91に穿設された円形孔91yに対応することになり、ポスト73内の空間が、円形孔91yを介して支持構造体1Eの内部空間1sと連通するようになっている。各支持構造体1C、1D、1Eの内部空間1sは相互に連通しており、配線ダクト等として機能させることができる。
【0051】
このオプション11には、各種のサブオプションをビーム75に支持させて取り付けることができるが、この実施形態では、サブオプションとして棚ユニット12と、パーティクルボードを主体にした間仕切ユニット13が装着されている。
【0052】
以上説明した第二実施形態の構成によれば、各支持構造体1C、1D、1Eが、枠材21、23、25、27により構成された枠部5だけではなく、面材29により構成された面板部6と、この面板部6に前記枠部5の複数個所を剛結する連結部7~9とを備えている。そのため、枠構造の一部に枠部5の変形を阻止する面材29が存在することになり、全体としてひずみが生じにくい高剛性の構造体が出来上がっている。その結果、枠材21、23、25、27を強度の高い金属製のものにすることなしに運搬等の際に変形しにくい支持構造体を得ることができる。
【0053】
すなわち、直線タイプの支持構造体1C、1Dは、前面、背面、左右の側面、上面、及び底面を有する枠構造体をなすが、その背面が面材29により補強されるため、枠構造全体の歪みを効果的に抑えることができる。一方、屈曲タイプの支持構造体1Eは、直交する2つの前面、直交する2つの背面、左右の側面、上面、及び底面を有する枠構造体をなすが、その2つの背面が直交状態で剛結された2枚の面材29により補強されるため、枠構造全体の歪みをより効果的に抑えることができる。したがって、各支持構造体1C、1D、1E自体を軽量化することが容易になり、運搬や現場への搬入に多大な労力を要するという従来の問題を解消することができる。
【0054】
<他の実施形態>
以上説明した第一実施形態においては、支持構造体が枠構造の一面のみに面材を配した場合について説明したが、2面以上に面材を配したものにしてもよい。第二実施形態は、枠構造の二面に面材を配置した一例を示しているが、隣接しない2面に面材を配したり、3面以上に面材を配してもよい。
【0055】
また、第一実施形態では、2組の支持構造体を横連結したテーブルについて説明したが、1組、あるいは3組以上の支持構造体を連結したテーブルにも本発明を適用することができる。
【0056】
さらに、第二実施形態では、2組の直線タイプの支持構造体と、1組の屈曲タイプの支持構造体を組み合わせて平面視L形となるカウンターについて説明したが、屈曲タイプの支持構造体を無くして直線タイプの支持構造体のみを複数横連結して真っすぐなカウンターを構築したり、屈曲タイプの支持構造体を2組使用するとともに直線タイプの支持構造体を増加させて平面視コ字状をなすカウンターを構築したりする等、種々変形が可能である。
【0057】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々変形してよい。
【符号の説明】
【0058】
T…家具(テーブル)
K…家具(カウンター)
1、1C~1E…支持構造体
2、2C~2E…家具機能要素(天板)
3…家具機能要素(側板)
4、4C~4E…家具機能要素(天板)
5…枠部
6…面板部
7~9…連結部