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  • 特許-イヤホンのイヤーピース 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】イヤホンのイヤーピース
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
H04R1/10 104A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022017492
(22)【出願日】2022-02-07
(65)【公開番号】P2022122274
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2022-02-09
(31)【優先権主張番号】110105096
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522051328
【氏名又は名称】香港吉承貿易有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100185270
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】黄 承宏
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-021600(JP,U)
【文献】特開2016-082553(JP,A)
【文献】特開平09-261788(JP,A)
【文献】特開2008-048303(JP,A)
【文献】特開2018-042243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱状の中央支柱部と、中央支柱部を覆う傘状部を有し、傘状部が第一部品および第二部品を有し、第一部品の硬度が第一硬度であり、第二部品の硬度が第一硬度よりも小さい第二硬度であり、第一部品の上端が前記中央支柱部の頂端と連接し、第一部品の下端及び第二部品の上端が重なって切り替え区域を形成し、切り替え区域において第一部品の厚みが上部から下部にかけて徐々に減少しかつ第二部品の厚みが上部から下部にかけて徐々に増加し、切り替え区域の幅が傘状部の厚みの二倍から三倍であるイヤーピース。
【請求項2】
請求項1のイヤーピースにおいて、第一部品の下端と第二部品の上端の接触面が斜面であるイヤーピース。
【請求項3】
請求項1のイヤーピースにおいて、切り替え区域において、第一部品の下端が第二部品の上端の外側に位置するイヤーピース。
【請求項4】
請求項1のイヤーピースにおいて、切り替え区域において、第一部品の下端が第二部品の上端の内側に位置するイヤーピース。
【請求項5】
請求項1のイヤーピースにおいて、第一部品の下端が第二部品の上端と接続するイヤーピース。
【請求項6】
請求項1のイヤーピースにおいて、第二部品が内側に表面が凸状の強化構造を有するイヤーピース。
【請求項7】
柱状の中央支柱部と、中央支柱部を覆う傘状部を有し、傘状部の上部の硬度が第一硬度であり、傘状部の下部の硬度が第一硬度よりも小さい第二硬度であり、前記傘状部が上部と下部間に切り替え区域を有し、切り替え区域の硬度が第一硬度と第二硬度の中間であり、傘状部が第一部分と第二部分を有し、第一部品が前記傘状部の上部であり第一硬度を有し、第二部分が前記傘状部の下部であり第二硬度を有し、前記切り替え区域において第一部品の厚みが上部から下部にかけて徐々に減少し、第二部品の厚みが上部から下部にかけて徐々に増加し、切り替え区域の幅が傘状部の厚みの二倍から三倍であるイヤーピース。
【請求項8】
請求項7のイヤーピースにおいて、切り替え区域の硬度が上部から下部にかけて徐々に変化するイヤーピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイヤホンのイヤーピースに関し、より具体的には、素材の硬度が変化することを特徴としたイヤホンのイヤーピースに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホンのイヤーピース(以下、イヤーピースとする。)とは通常イヤホンの先端を覆うカバーのことを指し、その設計の目的は使用者の装着感をより快適なものにするためであり、かつイヤーピースを使用することで外部の騒音をより吸収でき、使用者の試聴時の体験をより向上させることができる。イヤーピースの材料は通常シリコン等の柔らかい素材が採用されるが、イヤホンとの接続のために、一定の硬度を保つ必要があるが、そのような硬度では使用者の一部(特に外耳道が湾曲しており、細く狭い傾向があるアジア人や女性等)に対して不快感を与える可能性がある。一方でより柔らかい素材を採用した場合、イヤーピースが自身の構造を維持できずに形崩れを起こす可能性が高く、更にイヤーピースが柔らかすぎると、使用者にイヤホンが落ちる不安感を与える可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、素材の硬度が変化することを特徴としたイヤーピースを提供することで、従来のイヤーピースが抱える種々の課題の解決方法を提供することである。
【0004】
本発明は、柱状の中央支柱部と、中央支柱部を覆う傘状部を有し、傘状部が第一部品および第二部品を有し、第一部品の硬度が第一硬度であり、第二部品の硬度が第一硬度よりも小さい第二硬度であり、第一部品の上端が前記中央支柱部の頂端と連接し、第一部品の下端と第二部品の上端が重なって切り替え区域を形成するイヤーピースに関する。
【0005】
本発明の実施例において、切り替え区域において、第一部品の厚みは上端から下端にかけて徐々に減少し、第二部品の厚みは上端から下端にかけて徐々に増加する。
【0006】
本発明の実施例において、第一部品の下端及び第二部品の上端の接触面は斜面である。
【0007】
本発明の実施例において、切り替え区域において、第一部品の下端は第二部品の上端の外側に位置する。
【0008】
本発明の実施例において、切り替え区域において、第一部品の下端は第二部品の上端の内側に位置する。
【0009】
本発明の実施例において、切り替え区域の幅は傘状部の厚みの二倍から三倍である。
【0010】
本発明の実施例において、第一部品の下端は第二部品の上端と接続する。
【0011】
本発明の実施例において、第二部品は内側に表面が凸状の強化構造を有する。
【0012】
本発明は、柱状の中央支柱部と、中央支柱部を覆う傘状部を有し、傘状部の上部の硬度が第一硬度であり、傘状部の下部の硬度が第一硬度よりも小さい第二硬度であり、前記傘状部が上部と下部間に切り替え区域を有し、切り替え区域の硬度が第一硬度と第二硬度の中間であるイヤーピースに関する。
【0013】
本発明の実施例において、切り替え区域の硬度は上端から下端にかけて徐々に変化する。
【0014】
本発明で提案するイヤーピースは数々の従来の技術上の課題を克服するものであり、イヤーピースの強度を維持すると同時に、柔軟性の高い第二部品が中耳道にフィットすることによって使用者の装着時に快適感を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1におけるイヤーピースの外観図である。
図2】本発明の実施例1におけるイヤーピースの断面図である。
図3】本発明の実施例2における傘状部の断面図である。
図4】本発明の実施例3における傘状部の断面図である。
図5】本発明の実施例4におけるイヤーピースの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を十分に理解するために、本発明の具体的な実施例を図面を用いて示すことで、本発明を更に詳細に説明する。本領域の技術者であれば本書で公開された内容を通して本発明の目的や特徴、効果を理解することが可能である。また、留意すべきこととして、本発明で説明されるものとは異なる実施例を通して本発明を実施または応用することが可能であり、また本発明の技術を説明する各項目は異なる観点に基づいて応用することが可能であり、また本発明の精神を逸脱しない限りいかなる改変を加えても良い。ここで記載されている実施例は、本発明を詳細に解釈するためのものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものではない。
【0017】
図1は本発明の実施例1におけるイヤーピース100であり、中央支柱部1と、傘状部2を有する。
【0018】
図2に示すように、中央支柱部1は柱状であり、実施例1においては円柱状であるが、四角柱や多角柱、あるいはその他の形状の柱体を採用することも可能であり、中央支柱部1はイヤーピース100を支える為の構造であり、その構造を中空とすることでイヤホン本体(図中未表記)に包むように装着することができ、また、イヤホン本体との装着に適した構造であれば、上記以外の形状を採用することも可能である。その他の実施例においては、中央支柱部1は中空構造でなくとも良く、耳栓として単独で使用することも可能である。
【0019】
実施例1において、傘状部2は中央支柱部1を覆うように設置され、傘状部2は第一部品21と、第二部品22を有し、第一部品21と第二部品22は異なる硬度のシリコンであり、第一部品21の硬さは第一硬度とし、第二部品22の硬さは第一硬度より小さい第二硬度とする。本発明はこれに限らず、その他の材料を用いることも可能である。実施例1において、第一部品21の硬度はHS40であり、第二部品22の硬度はHS20であり、第一部品21の硬度をHS40にすることによってイヤーピース100の構造を維持することができ、第二部品の硬度をHS20にすることによって皮膚にフィットし、使用者の着用感を軽減することができる。また、本発明はこれに限らず、材料の硬度を状況に合わせて変更することが可能である。
【0020】
実施例1において、第一部品21の上端211は中央支柱部1の頂端と接続され、第一部品21の下端212は第二部品22の上端221と重なり切り替え区域23を形成する。
【0021】
実施例1において、傘状部2の厚みTが変化しないという前提において、切り替え区域23は同時に第一部品21と第二部品22を有し、そのため切り替え区域23の硬度は異なる硬度の二種の素材によって中和され、実際の硬度は第一硬度と第二硬度の間の値となる。
【0022】
実施例1において、切り替え区域が設置される位置はイヤホン装着時の使用者の中耳道壁Gに該当し、切り替え区域は適度な硬度かつ比較的小範囲を以って中耳道壁Gに当接し、使用者の耳に硬度故の不快感を与えることはなく、一方で使用者の耳に触れない部位である第一部分21は一定の硬度を確保でき、このことによって実施例1のイヤーピース100の構造を維持することが可能になる。また、切り替え区域23の硬度は第一硬度と第二硬度の中間の値であるため、使用時の触感をある程度おさえ、使用者に快適感を与えることができ、残りの第二部品22は中耳道Gにフィットすることで使用時の快適感を向上させる。
【0023】
本発明のイヤーピース100は、イヤーピース100の強度を維持し、同時に使用者に与える快適感を向上し、装着時に安心感を与えることができ、従来の多々ある技術的な課題を克服した。
【0024】
さらに詳細には、図2の示すように、実施例1における切り替え区域23において、第一部品21の厚みは上部から下部にかけて減少し、第二部品22の厚みは上部から下部にかけて増加する。言い換えると、切り替え区域の厚みにおける第一部品21の占有比率は上部から下部にかけて減少し、第二部品の占有比率は上部から下部にかけて増加し、このことによって切り替え区域23の硬度は上部から下部にかけて徐々に変化する。
【0025】
実施例1において、第一部品21の下端212と第二部品22の上端221の当接面は斜面Fであり、斜面Fの傾斜角はθであり、傾斜角θは15度から40度間の角度が最も良いとされ、厳密には20度から25度間の角度が最も良いとされる。
【0026】
実施例1において、切り替え区域23の幅は傘状部2の厚みTの二倍から三倍である。厚みTは0.4mmから0.45mmであるのが最もよく、その場合切り替え区域23の高さは1mmとなる。
【0027】
実施例1における切り替え区域23において、第一部品21の下端212は第二部品22の上端221の外側に位置する。本発明はこれに限らず、図3に示されるように、実施例2における切り替え区域23において、第一部品21の下端212は第二部品22の上端221の内側に位置する。上記の異なる二種類の方法はどちらも切り替え区域23の硬度を変化させることができるが、本発明では方法をこれらのみに限定しない。
【0028】
実施例3において、傘状部を図4の示すように変更することが可能であり、第一部品21の下端212を第二部品22の上端221に組み合わせることができ、言い換えると、本発明の第一部品21の下端212と第二部品22の上端221の接続方法は斜面Fの形式に限らず、その他の接続構造を選択することも可能である。
【0029】
さらに詳細には、実施例1において、図2の示すように、第二部品22は内側に表面が凸状の強化構造223を有する。強化構造223の構造は図2のように三段またはより多段(五段等)の円環であり、あるいはリブ状のクロスや、突起の排列でもよい。強化構造223は硬度が低めである第二部品22の萎縮を防ぐことができ、またこれにより第二部品22の形状を帯状に維持することで第一部品21の下端212と接続する。
【0030】
図5の示すように、実施例4において、イヤーピース100aは中央支柱部1及び傘状部3を有する。中央支柱部1と実施例における中央支柱部1とは同一であるため説明を省略する。
【0031】
図5の示すように、実施例4において、傘状部3は中央支柱部1を覆い、傘状部3の上部21は第一硬度を有し、傘状部3の下部32は第一硬度より小さい第二硬度を有し、傘状部3は上部31と下部32間に切り替え区域33を有し、切り替え区域33の硬度は第一硬度と第二硬度の中間である。切り替え区域33は他実施例における切り替え区域の構造を採用することができ、また第一硬度と第二硬度の中間の硬度の材料を用いて製造することで硬度を第一硬度と第二硬度の中間にすることも可能である。切り替え区域33の硬度は上部から下部にかけて徐々に変えても、階段のように段階的に変化しても、あるいは硬度に変化がなくてもよい。
【0032】
例えば、切り替え区域33の硬度の変化において、上方から下方にかけてHS39、HS38、HS37のように徐々に減少させ、最終的に硬度がHS20にする方法を採用することが可能である。また、切り替え区域33において硬度が異なるように複数の区分を設け、上方から下方にかけてHS35、HS30、HS25と段階的に変化させる方法を採用することも可能である。また、切り替え区域33全体の硬度をHS30とする方法を採用することも可能である。
【0033】
本発明のイヤーピース100aによる効果はイヤーピース100による効果と同様であり、本発明のイヤーピース100aによって、イヤーピース100の強度と、装着時の快適感及び安心感を使用者に与えることができる。
【0034】
本発明で提案した実施例は本発明を具体的に説明するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。本考案の構想に依拠して改変を行う場合、それによって生み出される効果が本考案の明細書及び図面の内含する精神から逸脱しない限り、本考案の範囲内に留まる。また、本発明の保護範囲は、特許出願の範囲に規定されたとおりとする。
【符号の説明】
【0035】
100…イヤーピース、100a…イヤーピース、1…中央支柱部、2…傘状部、21…第一部品、211…第一部品の上端、212…第一部品の下端、22…第二部品、221…第二部品の上端、23…切り替え区域、3…傘状部、31…上部、32…下部、33…切り替え区域、F…斜面、G…外耳道壁、T…厚み、θ…傾斜角
図1
図2
図3
図4
図5