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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】露光装置及び露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20230424BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20230424BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230424BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G03F9/00 Z
G03F7/20 501
H01L21/68 N
H01L21/68 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019133870
(22)【出願日】2019-07-19
(65)【公開番号】P2021018324
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】張 尚敦
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 祥平
(72)【発明者】
【氏名】大墳 秀人
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-034331(JP,A)
【文献】特開平08-227840(JP,A)
【文献】特開2010-219445(JP,A)
【文献】特開平05-055111(JP,A)
【文献】特開2005-322710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20
G03F 9/00
H01L 21/683
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して露光を行う露光装置であって、
略水平な載置面に前記基板が載置される略板状のステージと、
前記ステージを水平面に略沿った第1方向に移動させる第1駆動部と、
前記ステージの上方に設けられており、描画処理時に光を照射する光照射部と、
前記光照射部に隣接して又は前記光照射部に設けられた読取部と、
前記光照射部及び前記読取部を鉛直方向に移動させる第2駆動部と、
前記載置面の前記第1方向と略直交する第2方向に沿った2つの辺のうちの少なくとも一方の近傍に設けられた被読取部であって、複数の認識マークを含む被読取部と、
を備え、
前記被読取部は、前記第1方向の位置により高さが異なるリブであって、前記第1方向に沿って設けられたリブを有し、
前記リブの底面は前記載置面に設けられており、
前記リブの前記底面と反対側の上面には、複数の前記認識マークが前記第1方向に沿って設けられている
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記リブは、前記第2方向に沿って隣接して設けられた第1リブ及び第2リブを有し、
前記第1リブの上面及び前記第2リブの上面は、傾きが略同じであり、
前記第1リブの最も高い位置における高さと、前記第2リブの最も低い位置における高さとが略同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記第1駆動部は、前記ステージを前記第2方向に移動させ、
前記光照射部は、前記第2方向に沿って隣接して設けられた第1光照射部と第2光照射部とを有し、
前記読取部は、前記第1光照射部に隣接して又は前記第1光照射部に設けられた第1読取部と、前記第2光照射部に隣接して又は前記第2光照射部に設けられた第2読取部とを有し、
前記被読取部は、前記第2方向の位置が前記第1読取部と前記第2読取部との間に位置する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記被読取部は、前記ステージの前記第2方向に沿った2つの辺の近傍に設けられている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記認識マークは、前記読取部の開口数に基づいた大きさで前記リブに設けられる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記基板には、アライメントマークが設けられており、
前記第1駆動部により前記ステージを前記第1方向に移動させて前記読取部の視野内に前記アライメントマークを配置し、前記第2駆動部により前記基板の高さに合わせて前記光照射部及び前記読取部を鉛直方向に移動して、前記読取部で前記アライメントマークを読み取り、かつ、前記第1駆動部により前記ステージを前記第1方向に移動させて前記読取部の視野内に前記認識マークを配置し、前記読取部で前記認識マークを読み取る処理と、前記アライメントマーク及び前記認識マークを読み取った結果に基づいて前記光照射部から前記基板に光を照射する描画処理と、を行う制御部を備えた
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記認識マークは、略5μm以上の厚みであり、略直交する4方向に突出する突起部を有する平面視略十字形状であり、
前記突起部の断面形状は、前記リブ側が広く、前記リブの反対側が狭い略台形形状であり、
前記突起部の両側の側面である第1側面及び第2側面は、前記上面に対して傾斜する傾斜面であり、前記第1側面の前記上面に対する傾斜角度の絶対値と、前記第2側面の前記上面に対する傾斜角度の絶対値との差が略1度以内であり、
前記制御部は、前記読取部を鉛直方向に移動させながら前記認識マークを読み取る
ことを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項8】
前記ステージに着脱可能に設けられる略板状の交換式被読取部を備え、
前記認識マークは、略数10nmから略1μmの厚みであり、
前記交換式被読取部には、略5μm以上の厚みであり、略直交する4方向に突出する突起部を有する平面視略十字形状の台形型認識マークが設けられており、
前記突起部の断面形状は、前記交換式被読取部を前記載置面に載置したときに、前記ステージ側が広く、前記ステージの反対側が狭い略台形形状であり、
前記突起部の両側の側面である第1側面及び第2側面は、前記交換式被読取部を前記載置面に載置したときに前記載置面に対して傾斜する傾斜面であり、前記第1側面の前記載置面に対する傾斜角度の絶対値と、前記第2側面の前記載置面に対する傾斜角度の絶対値との差が略1度以内であり、
前記制御部は、前記読取部を鉛直方向に移動させながら前記台形型認識マークを読み取る
ことを特徴とする請求項6に記載の露光装置。
【請求項9】
第1方向に沿って移動可能に設けられたステージの上方に設けられた光照射部を用いて
基板に露光を行う露光方法であって、
前記ステージの略水平な面に前記基板を載置するステップと、
前記光照射部と、前記光照射部に隣接して又は前記光照射部に設けられた読取部とを前記基板の高さに合わせて鉛直方向に移動して、前記基板を前記読取部で読み取るステップと、
前記ステージの前記第1方向と略直交する第2方向に沿った2つの辺のうちの少なくとも一方の近傍に設けられた被読取部であって、前記ステージに設けられた前記第1方向の位置により高さが異なるリブの上面に前記第1方向に沿って複数設けられている認識マークを前記読取部で読み取るステップと、
前記基板の読取結果と、前記認識マークの読取結果とに基づいて、前記ステージを前記第1方向に移動させながら前記光照射部から前記基板に光を照射するステップと、
を含むことを特徴とする露光方法。
【請求項10】
前記基板を前記読取部で読み取るステップでは、前記基板に設けられたアライメントマークを前記読取部で読み取り、
前記光照射部から前記基板に光を照射するステップでは、前記アライメントマークの読取結果と、前記認識マークの読取結果とに基づいて前記基板に光を照射する
ことを特徴とする請求項9に記載の露光方法。
【請求項11】
前記ステージに前記基板を載置する前に行う校正ステップを有し、
前記校正ステップは、
前記読取部を前記ステージに近づける方向及び前記ステージから遠ざける方向に移動させながら、厚さが略5μm以上で平面視略十字形状の台形型認識マークであって、前記ステージ側が広く上面側が狭い略台形形状の断面形状を有する台形型認識マークを前記読取部で読み取るステップと、
前記台形型認識マークの読取結果に基づいて前記読取部の光軸の傾きを検知するステップと、
を含み、
前記光照射部から前記基板に光を照射するステップでは、前記読取部の光軸の傾きに基づいて描画位置を調整する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステージ上に配された基板に露光ヘッドによって画像を露光する露光装置において、アライメントマークと基準スケールとに基づいてアライメントセンサの校正を行う露光装置が開示されている。この露光装置では、基板が配される第1のステージと、基準スケールが固定される第2のステージとがそれぞれ独立に昇降自在である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-337873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、基準スケールの厚みと基板の厚みとが異なる場合、第2のステージを昇降させて基準スケールの高さを露光基準面の高さに一致させなければならず、装置の構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、複雑な機構を用いることなく、厚みの異なる様々な種類の基板や組み立て誤差等による高さ方向のばらつきに対応することができる露光装置及び露光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る露光装置は、例えば、基板に対して露光を行う露光装置であって、略水平な載置面に前記基板が載置される略板状のステージと、前記ステージを水平面に略沿った第1方向に移動させる第1駆動部と、前記ステージの上方に設けられた光照射部と、前記光照射部に隣接して又は前記光照射部に設けられた読取部と、前記光照射部及び前記読取部を鉛直方向に移動させる第2駆動部と、前記載置面の前記第1方向と略直交する第2方向に沿った2つの辺のうちの少なくとも一方の近傍に設けられた被読取部であって、複数の認識マークを含む被読取部と、を備え、前記被読取部は、高さが変化するリブであって、前記第1方向に沿って設けられたリブを有し、前記リブの底面は前記載置面に設けられており、前記リブの前記底面と反対側の上面には、複数の前記認識マークが前記第1方向に沿って設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る露光装置によれば、マスクが載置されるステージの上面には、高さが変化するリブであって、第1方向に沿ったリブが設けられており、リブの底面と反対側の上面には複数の認識マークが第1方向に沿って設けられている。これにより、マスクの厚みが異なる場合においても、1つの認識マークの高さをアライメントマークの高さと略一致させることができる。したがって、複雑な機構を用いることなく、様々な厚みの基板に対応することができる。また、組み立て誤差による読取部の高さ方向のばらつきに対応することができる。なお、リブの高さは徐々に変化してもよいし、リブが階段状であってもよい。
【0008】
ここで、前記リブは、前記第2方向に沿って隣接して設けられた第1リブ及び第2リブを有し、前記第1リブの上面及び前記第2リブの上面は、傾きが略同じであり、前記第1リブの最も高い位置における高さと、前記第2リブの最も低い位置における高さとが略同じであってもよい。これにより、ステージの第1方向の長さを短くすることができる。なお、3本以上のリブは2本のリブ(第1リブ及び第2リブ)の組み合わせで考えることができる。
【0009】
ここで、前記第1駆動部は、前記ステージを前記第2方向に移動させ、前記光照射部は、前記第2方向に沿って隣接して設けられた第1光照射部と第2光照射部とを有し、前記読取部は、前記第1光照射部に隣接して又は前記第1光照射部に設けられた第1読取部と、前記第2光照射部に隣接して又は前記第2光照射部に設けられた第2読取部とを有し、前記被読取部は、前記第2方向の位置が前記第1読取部と前記第2読取部との間に位置してもよい。これにより、隣接する2つ読取部で同じ被読取部を読むことができる。その結果、読取部間の相対位置を測定し、光照射部が複数あるマルチヘッド露光機を用いて描画を行うことができる。なお、3つ以上の光照射部は2つの光照射部(第1光照射部及び第2光照射部)の組み合わせで考えることができ、3つ以上の読取部は2つの読取部(第1読取部及び第2読取部部)の組み合わせで考えることができる。
【0010】
ここで、前記被読取部は、前記ステージの前記第2方向に沿った2つの辺の近傍に設けられていてもよい。これにより、ステージが第1方向に沿って真っ直ぐに移動しているか、ステージが第2方向に湾曲しながら第1方向に移動しているか等を検知することができる。
【0011】
ここで、前記認識マークは、前記読取部の開口数に基づいた大きさで前記リブに設けられていてもよい。これにより、認識マークの大きさを、1つの認識マークにのみ焦点が合い、複数の認識マークに焦点が合わないような大きさにすることができる。
【0012】
ここで、前記基板には、アライメントマークが設けられており、前記第1駆動部により前記ステージを前記第1方向に移動させて前記読取部の視野内に前記アライメントマークを配置し、前記第2駆動部により前記基板の高さに合わせて前記光照射部及び前記読取部を鉛直方向に移動して、前記読取部で前記アライメントマークを読み取り、かつ、前記第1駆動部により前記ステージを前記第1方向に移動させて前記読取部の視野内に前記認識マークを配置し、前記読取部で前記認識マークを読み取る処理と、前記アライメントマーク及び前記認識マークを読み取った結果に基づいて前記光照射部から前記基板に光を照射する描画処理と、を行う制御部を備えてもよい。これにより、時間の経過に伴って温度変化等によりステージや基板の高さが変化したとしても、読取部の高さをアライメントマークに合わせた状態でアライメントマークと認識マークを読み取ることができる。
【0013】
ここで、前記認識マークは、略5μm以上の厚みであり、略直交する4方向に突出する突起部を有する平面視略十字形状であり、前記突起部の断面形状は、前記リブ側が広く、前記リブの反対側が狭い略台形形状であり、前記突起部の両側の側面である第1側面及び第2側面は、前記上面に対して傾斜する傾斜面であり、前記第1側面の前記上面に対する傾斜角度の絶対値と、前記第2側面の前記上面に対する傾斜角度の絶対値との差が略1度以内であり、前記制御部は、前記読取部を鉛直方向に移動させながら前記認識マークを読み取ってもよい。これにより、読取部の高さに関わらず、読取部が台形型認識マークの中心を正しく読むことができる。その結果、読取部の光軸の傾きを検知し、高精度の描画が可能となる。
【0014】
ここで、前記ステージに着脱可能に設けられる略板状の交換式被読取部を備え、前記認識マークは、略数10nmから略1μmの厚みであり、前記交換式被読取部には、略5μm以上の厚みであり、略直交する4方向に突出する突起部を有する平面視略十字形状の台形型認識マークが設けられており、前記突起部の断面形状は、前記交換式被読取部を前記載置面に載置したときに、前記ステージ側が広く、前記ステージの反対側が狭い略台形形状であり、前記突起部の両側の側面である第1側面及び第2側面は、前記交換式被読取部を前記載置面に載置したときに前記載置面に対して傾斜する傾斜面であり、前記第1側面の前記載置面に対する傾斜角度の絶対値と、前記第2側面の前記載置面に対する傾斜角度の絶対値との差が略1度以内であり、前記制御部は、前記読取部を鉛直方向に移動させながら前記台形型認識マークを読み取ってもよい。これにより、読取部の光軸の傾きを検知し、高精度の描画が可能となる。また、台形型認識マークを認識マークと別にして認識マークを薄くすることで、読取部が認識マークを正確に読み取ることができ、高精度の描画が可能となる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明に係る露光方法は、例えば、第1方向に沿って移動可能に設けられたステージの上方に設けられた光照射部を用いて基板に露光を行う露光方法であって、前記ステージの略水平な面に前記基板を載置するステップと、前記光照射部と、前記光照射部に隣接して又は前記光照射部に設けられた読取部とを前記基板の高さに合わせて鉛直方向に移動して、前記基板を前記読取部で読み取るステップと、前記ステージの前記第1方向と略直交する第2方向に沿った2つの辺のうちの少なくとも一方の近傍に設けられた被読取部であって、前記ステージに設けられた高さが変化するリブの上面に前記第1方向に沿って複数設けられている認識マークを前記読取部で読み取るステップと、前記基板の読取結果と、前記認識マークの読取結果とに基づいて、前記ステージを前記第1方向に移動させながら前記光照射部から前記基板に光を照射するステップと、含むことを特徴とする。これにより、複雑な機構を用いることなく、位置決め用の認識マークを様々な厚みの基板に対応させることができる。
【0016】
ここで、前記基板を前記読取部で読み取るステップでは、前記基板に設けられたアライメントマークを前記読取部で読み取り、前記光照射部から前記基板に光を照射するステップでは、前記アライメントマークの読取結果と、前記認識マークの読取結果とに基づいて前記基板に光を照射してもよい。これにより、読取部の高さをアライメントマークに合わせた状態でアライメントマークと認識マークを読み取ることができる。
【0017】
ここで、前記ステージに前記基板を載置する前に行う校正ステップを有し、前記校正ステップは、前記読取部を前記ステージに近づける方向及び前記ステージから遠ざける方向に移動させながら、厚さが略5μm以上で平面視略十字形状の台形型認識マークであって、前記ステージ側が広く上面側が狭い略台形形状の断面形状を有する台形型認識マークを前記読取部で読み取るステップと、前記台形型認識マークの読取結果に基づいて前記読取部の光軸の傾きを検知するステップと、を含み、前記光照射部から前記基板に光を照射するステップでは、前記読取部の光軸の傾きに基づいて描画位置を調整してもよい。これにより、読取部の光軸の傾きを検知し、高精度の描画を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複雑な機構を用いることなく、厚みの異なる様々な種類の基板や組み立て誤差等による高さ方向のばらつきに対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係る露光装置1の概略を示す斜視図である。
図2】露光装置1の概略を示す平面図である。
図3】被読取部25の概略構成を示す斜視図である。
図4】枠体15の支持部15aの概略を示す斜視図であり、背面側(-x側)から見た図である。
図5】光照射部30aの概略を示す要部透視図である。
図6】読取部60aの概略を示す斜視図であり、要部を透視した図である。
図7】光照射部30aの取付構造を模式的に示す図である。
図8】露光装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
図9】台形型認識マーク41を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)のC-C断面図である。
図10】読取部60を上下動させたときの様子を示す図であり、(A)は読取部60の光軸が傾いていない場合であり、(B)は読取部60の光軸が傾いている場合である。
図11】読取部60で被読取部25を読み取るときの読取部60の視野を模式的に示す図である。
図12】被読取部25-1の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、略水平方向に保持した感光性基板(例えば、ガラス基板)を走査方向に移動させながらレーザ等の光を照射してフォトマスクを生成する露光装置に適用した実施の形態を例に、図面を参照して詳細に説明する。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、重複する部分については説明を省略する。
【0021】
感光性基板としては、例えば、熱膨張率が非常に小さい(例えば、約5.5×10-7/K程度)石英ガラスが用いられる。感光性基板は、様々な大きさのものがあり、400mm×400mm程度のものから、一辺が例えば1mを超える(例えば、1400mm×1220mm)大型のものまである。また、感光性基板は、大きさに応じて厚みが異なり、例えば7.5mm~16mmである。
【0022】
露光装置により生成されるフォトマスクは、例えば液晶表示装置用の基板を製造するために用いられる露光用マスクである。フォトマスクは、略矩形形状の基板上に、1個または複数個のイメージデバイス用転写パターンが形成されたものである。以下、加工前、加工中及び加工後の感光性基板を包括してマスク100という用語を使用する。
【0023】
ただし、本発明の露光装置は、マスク製造装置に限定されない。本発明の露光装置は、略水平方向に保持した基板を走査方向に移動させながら光(レーザ、UV、偏光光等を含む)を照射する様々な装置を含む概念である。
【0024】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る露光装置1の概略を示す斜視図である。露光装置1は、主として、定盤11と、板状部12と、レール13、14と、枠体15と、ステージ20と、光照射部30と、レーザ干渉計50と、読取部60と、を有する。なお、図1においては、一部の構成について図示を省略している。また、露光装置1は、装置全体を覆う図示しない温度調整部により、一定温度に保たれている。
【0025】
以下、水平面に略沿った方向をx方向及びy方向とし、x方向及びy方向と略直交する方向(鉛直方向)をz方向とする。また、x方向とy方向とは略直交する。
【0026】
定盤11は、略直方体形状(厚板状)の部材であり、例えば、石(例えば、花崗岩)や低膨張率の鋳物(例えば、ニッケル系の合金)で形成される。定盤11は、上側(+z側)に略水平(xy平面と略平行)な上面11aを有する。
【0027】
定盤11は、設置面(例えば、床)上に載置された複数の除振台(図示せず)の上に載置される。これにより、定盤11が除振台を介して設置面上に載置される。除振台はすでに公知であるため、詳細な説明を省略する。なお、除振台は必須ではない。定盤11の+x側には、マスク100をステージ20に設置するローダ(図示せず)が設けられる。
【0028】
レール13は、セラミック製の細長い板状の部材であり、定盤11の上面11aに、長手方向がx方向に沿うように固定される。レール13のローダ側(+x側)の、端が上面11aの端部に配置され、レール13の反ローダ側(-x側)は、端が上面11aの端部より内側に配置される。3本のレール13は、高さ(z方向の位置)が略同一であり、上面が高精度及び高平坦度で形成される。
【0029】
板状部12は、レール13の上に載置される。板状部12は、セラミック製の略板状の部材であり、全体として略矩形形状である。板状部12の下面(-z側の面)には、長手方向がx方向に沿うようにガイド部(図示せず)が設けられる。これにより、板状部12がx方向以外に移動しないように板状部12の移動方向が規制される。
【0030】
板状部12の上面12aには、レール14が設けられる。レール14は、長手方向がy方向に沿うように固定される。レール14は、高さが略同一であり、上面が高精度及び高平坦度で形成される。
【0031】
レール14の上には、ステージ20が載置される。言い換えれば、ステージ20は、板状部12及びレール13、14を介して上面11aに設けられる。
【0032】
ステージ20は、平面視略矩形形状の略板状であり、熱膨張係数が略0.5~1×10-7/Kの低膨張性セラミックや熱膨張係数が略5×10-8/Kの超低膨張性ガラスセラミックを用いて形成される。これにより、ステージ20の変形を防止することができる。なお、ステージ20をマスク100と同様に伸び縮みする材料で形成してもよい。
【0033】
ステージ20の下面には、長手方向がy方向に沿うようにガイド部(図示せず)が設けられる。これにより、ステージ20、すなわち板状部12がy方向以外に移動しないようにステージ20の移動方向が規制される。このように、ステージ20(板状部12)は、レール13に沿ってx方向に移動可能に設けられ、ステージ20は、レール14に沿ってy方向に移動可能に設けられる。
【0034】
ステージ20は、上面11aと対向する面と反対側の面である略水平な上面20aを有する。上面20aは、複数のアライメントマーク101が設けられたマスク100(図2参照)が載置される載置面である。また、上面20aには、被読取部25(図2参照、後に詳述)が設けられている。アライメントマーク101及び被読取部25は、読取部60によって読み取られ、ステージ20すなわちマスク100の位置決めが行われる(後に詳述)。
【0035】
なお、ステージ20は、x方向及びy方向のみでなく、z方向にも移動可能に構成されていてもよい。
【0036】
露光装置1は、駆動部81、82(図1では図示せず、図8参照)を有する。駆動部81、82は、例えばリニアモータである。駆動部81はステージ20(板状部12)をレール13に沿ってx方向に移動させ、駆動部82はステージ20をレール14に沿ってy方向に移動させる。駆動部81、82が板状部12やステージ20を移動させる方法は、既に公知の様々な方法を用いることができる。
【0037】
また、露光装置1は、ステージ20の位置を測定するレーザ干渉計50を有する。レーザ干渉計50は、枠体15の-y側に設けられた柱に設けられたレーザ干渉計51と、定盤11の+x側の側面に設けられたレーザ干渉計(図示省略)を有する。レーザ干渉計50を用いてステージ20の位置を測定する方法は、既に公知の様々な方法を用いることができる。
【0038】
定盤11には、枠体15が設けられる。枠体15には、例えば低膨張率の鋳物(例えば、ニッケル系の合金)が用いられる。枠体15は、支持部15aと、支持部15aを両端で支える2本の柱15cと、を有する。枠体15は、ステージ20の上方(+z方向)に光照射部30を保持する。支持部15aには、光照射部30が取り付けられる。枠体15については後に詳述する。
【0039】
光照射部30は、マスク100に光(本実施の形態では、レーザ光)を照射する。光照射部30は、y方向に沿って一定間隔(例えば、略200mmおき)で設けられる。本実施の形態では、7個の光照射部30a、光照射部30b、光照射部30c、光照射部30d、光照射部30e、光照射部30f、光照射部30gを有する。移動機構161(図4参照)は、光照射部30a~30gの焦点位置がマスク100の上面に合うように、光照射部30a~30g全体を10mm程度の範囲でz方向に移動させる。また、駆動部39(39a~39g、後に詳述)は、光照射部30a~30gの焦点位置の微調整のため、光照射部30a~30gを30μm(マイクロメートル)程度の範囲でz方向に微動させる。光照射部30については後に詳述する。
【0040】
読取部60は、マスク100に形成されたアライメントマーク101(図2参照)や認識マーク25e(図3参照)を読み取る。アライメントマーク101及び認識マーク25eは、マスク100の位置決め(キャリブレーション、アライメント等)に用いられるマークである。読取部60は、7個の読取部60a、読取部60b、読取部60c、読取部60d、読取部60e、読取部60f、読取部60gを有する。読取部60a~60gは、それぞれ光照射部30a~30gに隣接するように、光照射部30a~30gに設けられる。なお、読取部60a~60gは、それぞれ光照射部30a~30gに設けられていてもよい。本実施の形態では、読取部60として、倍率が略50倍、焦点深度が1μm以下の顕微鏡を用いる。読取部60については後に詳述する。
【0041】
次に、被読取部25について説明する。図2は、露光装置1の概略を示す平面図である。図2では、主要構成のみ図示し、その他の構成については図示を省略している。
【0042】
被読取部25は、ステージ20の平面視において略平行な2つの辺20b、20cの近傍に設けられている。辺20b、20cは、y方向に沿っている。被読取部25は、辺20b、20cに沿って複数設けられている。
【0043】
被読取部25は、y方向に隣接する2つの読取部60a~60gの間に配置されている。なお、2つの読取部60a~60gの間に設けられる被読取部25の数は限定されず、2つの読取部60a~60gの間に被読取部25が少なくとも1つ設けれていればよい。図2に示す例では、読取部60aと読取部60bとの間、読取部60bと読取部60cとの間、及び読取部60dと読取部60eとの間には1つの被読取部25が設けられており、読取部60cと読取部60dとの間、及び読取部60eと読取部60fとの間には2つの被読取部25が設けられている。
【0044】
被読取部25をy方向に隣接する2つの読取部60の間に配置することで、隣接する2つ読取部60(例えば、読取部60aと読取部60b)で同じ被読取部25を読むことができる。光照射部30が複数あるマルチヘッド露光機を用いて描画を行うときには読取部60間の相対位置を測る必要があり、被読取部25をy方向に隣接する2つの読取部60の間に配置することは描画のための必須の構成である。
【0045】
また、被読取部25は、読取部60a~60gとx方向の位置が同じであってもよい。図2に示す例では、読取部60bのx方向の位置と被読取部25のx方向の位置とが略同じである。
【0046】
図3は、被読取部25の概略構成を示す斜視図である。被読取部25は板状部材21を介してステージ20に設けられているが、板状部材21は必須ではない。ステージ20の上面20aは、板状部材21の上面を含むものとする。
【0047】
被読取部25は、主として、リブ25A、25Bを有する。リブ25A、25Bは、それぞれ、高さが徐々に変化するリブであり、x方向に沿って設けられている。なお、本実施の形態では、リブ25A、25Bは、-x側の端が高く、+x側の端が低くなるように高さが徐々に変化しているが、-x側の端が低く、+x側の端が高くなってもよい。
【0048】
リブ25A、25Bは、y方向に沿って隣接して設けられている。リブ25A、25Bの底面は、上面20aに設けられている。
【0049】
リブ25A、25Bは、それぞれ、ガラス等の透明部材で形成された土台部25a、25bと、複数の認識マーク25eが形成された板状部25dと、を有する。板状部25dでは、リブ25A、25Bの上面(底面と反対側の面)である。板状部25dは、土台部25a、25bの上側(+z側)に、接着部25cにより貼着又は接着されている。
【0050】
板状部25dは、ガラス等の透明部材で形成されており、上面(+z側の面)には複数の認識マーク25eがx方向に沿って設けられている。認識マーク25eは、金属製の薄膜であり、平面視略十字形状である。認識マーク25eの高さ(厚さ)は、一般的には略数10nm~略100nmであるが、略10nm~略1μmであればよい。また、認識マーク25eの高さは、略10nm~略300nmであることが好ましく、略100nm~略200nmであることがさらに好ましい。
【0051】
認識マーク25eは、リブ25A、25Bにそれぞれ1列ずつ設けられていてもよいし、複数列ずつ設けられていてもよい。リブ25A、25Bのそれぞれに認識マーク25eが複数列設けられてる場合には、認識マーク25eが千鳥配置されていることが望ましい。
【0052】
リブ25Aに設けられた板状部25dの傾きと、リブ25Bに設けられた板状部25dの傾きとは略同一である。リブ25Aの最も高い位置(-x側の端)における高さと、リブ25Bの最も低い位置(+x側の端)における高さとが略同じである。これにより、認識マーク25eを異なる高さに配置しつつ、認識マーク25eの高さの差を連続させることができる。
【0053】
リブ25A、25Bの板状部25dの傾き(傾斜角度)は、ステージ20に載置されるマスク100の厚みや読取部60の特性に基づいた大きさに基づいて決定される。ここで、読取部60の特性とは、開口数(NA)、視野(FOV)、焦点深度(DOF)等を含む。本実施の形態では、ステージ20に様々な厚み(7.5mm~16mm程度)のマスク100が載置されるため、リブ25Aの最も低い位置(+x側の端)における高さと、リブ25Bの最も高い位置(-x側の端)における高さとの差を、ステージ20に載置され得るマスク100の厚みの最大値と最小値との差以上とする。例えば、ステージ20に略8mm(最小値)~略16mm(最大値)のマスク100が載置される場合には、ステージ20に載置されるマスク100の厚みの最大値と最小値との差が略8mmであり、リブ25A、25Bの長さが200mmであるとすると、リブ25A、25Bの板状部25dの傾きは4/100mmである。
【0054】
また、認識マーク25eは、リブ25A、25Bの板状部25dの傾きや読取部60の特性に基づいた大きさで設けられる。本実施の形態では、認識マーク25eの大きさは、読取部60の視野に複数の認識マーク25eが含まれ、そのうちの1つの認識マーク25eに焦点が合うような(2つ以上の認識マーク25eに焦点が合わないような)大きさである。
【0055】
次に、枠体15について説明する。図4は、枠体15の支持部15aの概略を示す斜視図であり、背面側(+x側)から見た図である。図4は、説明のため、支持部15aと柱15cとを少し離して図示しているが、実際は支持部15aと柱15cとは隣接している。
【0056】
支持部15aは、断面形状が略矩形形状の略棒状であり、内部は空洞である。支持部15aは、長手方向がy方向に沿うように設けられる。支持部15aは、主として、底板151と、支持板153と、底板151及び支持板153の両側に設けられた側板152、154と、仕切り壁159とを有する。底板151及び支持板153は略水平に設けられ、側板152、154は略鉛直に設けられる。板状の仕切り壁159は、支持部15aの内部の補強であり、仕切り壁159が設けられた位置においては支持部15aの振動や変形(撓み、捩れ等)が防止される。
【0057】
底板151及び支持板153には、それぞれ、y方向に沿って丸孔155a~155g、156a~156gが形成される。丸孔155a~155g、156a~156gは、それぞれ底板151及び支持板153を略鉛直方向に貫通する孔であり、平面視略円形である。平面視において、丸孔155a~155gの中心の位置と、丸孔156a~156gの中心の位置とは略一致する。
【0058】
丸孔155a~155g、156a~156gには、それぞれ、丸孔155a~155g、156a~156gを覆うように設けられたガイド部材70、70A(後に詳述)を介して、光照射部30a~30gが取り付けられる。ガイド部材70と丸孔155a~155gとは略同心円状に配置され、ガイド部材70Aと丸孔156a~156gとは略同心円状に配置される。また、ガイド部材70、70Aと光照射部30a~30gとは略同心円状に配置される。光照射部30a~30gを枠体15に取り付ける取付構造については後に詳述する。
【0059】
また、底板151には、丸孔155a~155gに隣接して丸孔157a~157gが形成される。丸孔157a~157gには、読取部60の鏡筒601(後に詳述)が挿入される。
【0060】
側板152、154には、それぞれ、鋳造時に鋳砂を排出して内部空間を形成するための鋳抜き穴として用いられる孔が形成される。これらの孔は、丸孔157a~157gへ読取部60を取り付けるのに用いられる。
【0061】
枠体15は、支持部15aを柱15cに沿ってz方向に移動させる移動機構161を有する。移動機構161は、支持部15aをz方向に10mm程度の範囲で移動させる。例えば、移動機構161として、ラック161a、ピニオン161b及びピニオン161bを回転駆動するアクチュエータ161c(図8参照)を用いることができる。
【0062】
また枠体15は、柱15cに設けられた2つの永電磁石163を有する。永電磁石163は、永久磁石と電磁石とを有する永電磁式であり、着脱時のみ電磁石のコイルに電流を流し、内蔵されている永久磁石のON-OFFを行う。永電磁石163は、電磁石のコイルに電流を流すことで支持部15aを吸着する。
【0063】
支持部15aの端には、柱15cに沿って弾性部材160が設けられている。図4では、-y側の端に設けられた弾性部材160についてのみ表示し、+y側の端に設けられた弾性部材160については図示を省略している。弾性部材160は、支持部15aの下側に設けられており、支持部15aの上下動にともなって弾性部材160が伸縮可能となる。このように、支持部15aの両端に設けられた弾性部材160が支持部15aの重さを支える。
【0064】
次に、光照射部30について説明する。図5は、光照射部30aの概略を示す要部透視図である。光照射部30aは、主として、DMD31aと、対物レンズ32aと、光源部33aと、AF処理部34aと、筒状部35aと、フランジ36aと、取付部37a、38aと、駆動部39aと、を有する。光照射部30b~光照射部30gは、それぞれDMD31b~31gと、対物レンズ32b~32gと、光源部33b~33gと、AF処理部34b~34gと、筒状部35b~35gと、フランジ36b~36gと、取付部37b~37g、38b~38gと、駆動部39b~39gとを有する。光照射部30b~光照射部30gは、光照射部30aと同一の構成であるため説明を省略する。
【0065】
DMD31aは、デジタルミラーデバイス(Digital Mirror Device、DMD)であり、面状のレーザ光が照射可能である。DMD31aは、多数の可動式のマイクロミラー(図示省略)を有し、1枚のマイクロミラーから1画素分の光が照射される。マイクロミラーは、大きさが略10μmであり、2次元状に配置されている。DMD31aには光源部33aから光が照射され、光は各マイクロミラーで反射される。マイクロミラーは、その対角線と略平行な軸を中心に回転可能であり、ON(マスク100に向けて光を反射させる)とOFF(マスク100に向けて光を反射させない)との切り替えが可能である。DMD31aはすでに公知であるため、詳細な説明を省略する。なお、基板に結像させる像を形成するデバイスは、DMD31aに限られず、DMD31a以外の2次元光空間変調器や1次元光空間変調器、例えばGLVを用いてもよい。また、DMD31aに代えて、LCDやフォトマスクを用いてもよい。
【0066】
対物レンズ32aは、DMD31aの各マイクロミラーで反射されたレーザ光をマスク100の表面に結像させる。描画時には、光照射部30a~光照射部30gのそれぞれから光が照射され、この光がマスク100上で結像することにより、マスク100にパターンが描画される。光源部33aは、主として、光源331と、レンズ332と、フライアイレンズ333と、レンズ334、335と、ミラー336と、を有する。光源331は、例えばレーザダイオードであり、光源331から出射された光は、光ファイバ等を介してレンズ332に導かれる。
【0067】
光は、レンズ332からフライアイレンズ333に導かれる。フライアイレンズ333は複数枚のレンズ(図示せず)を2次元状に配置したものであり、フライアイレンズ333において多数の点光源が作られる。フライアイレンズ333を通過した光は、レンズ334、335(例えば、コンデンサレンズ)を通って平行光となり、ミラー336でDMD31aに向けて反射される。
【0068】
AF処理部34aは、マスク100へ照射される光の焦点をマスク100に合わせるものであり、主として、AF用光源341と、コリメータレンズ342と、AF用シリンドリカルレンズ343、ペンタプリズム344、345と、レンズ346と、AFセンサ347、348と、を有する。AF用光源341から照射された光はコリメータレンズ342で平行光となり、AF用シリンドリカルレンズ343で線状の光となり、ペンタプリズム344で反射されてマスク100の表面に結像する。マスク100で反射した光は、ペンタプリズム345で反射され、レンズ346で集光されて、AFセンサ347、348に入射する。ペンタプリズム344、345は、略97度の曲げ角度で光を曲げる。なお、ペンタプリズム344、345の代わりにミラーを用いてもよいが、ミラーの角度ズレにより焦点ボケを起こすため、ペンタプリズムを用いることが望ましい。AF処理部34aは、AFセンサ347、348で受光された結果に基づいて合焦位置を求めるオートフォーカス処理を行う。なお、このような光テコ式によるオートフォーカス処理はすでに公知であるため、詳細な説明を省略する。
【0069】
光照射部30aは、内部に光学系(対物レンズ32aを含む)が設けられた略円筒形状の筒状部35aを有する。筒状部35aの上側の端には、フランジ36aが設けられる。フランジ36aは、上側にレンズ332、フライアイレンズ333及びレンズ334、335を保持する。また、筒状部35aには、取付部37a、38aが設けられる。取付部37a、38aは、枠体15への取り付けに用いられる。取付部37aは、フランジ36aの近傍に設けられ、取付部38aは、筒状部35aの下端近傍に設けられる。取付部37aには、取付部38aの外径より大きい直径を有する中空部372が形成される。これにより、筒状部35aが上方に引き抜き可能となる。
【0070】
取付部37a(すなわち、光照射部30a)は、駆動部39aにより鉛直方向(z方向)に移動される。駆動部39aは、電圧を印加することで変位が生じる固体アクチュエータである圧電素子を有する。圧電素子が伸びると光照射部30aが+z方向に移動し、圧電素子391が縮むと光照射部30aが-z方向に移動する。駆動部39aによる光照射部30aの移動量は略30μmである。
【0071】
次に、読取部60について説明する。読取部60a~読取部60gは、同一の構成であるため、以下、読取部60aについて説明する。
【0072】
図6は、読取部60aの概略を示す斜視図であり、要部を透視した図である。読取部60aは、高倍率顕微鏡光学系であり、主として、対物レンズが内部に設けられた鏡筒601と、対物レンズへ光(ここでは、可視光)を照射する光源ユニット602と、チタン、ジルコニア等の低熱伝導体で形成された鏡筒603と、鏡筒603の内部に設けられたチューブレンズ604と、光源ユニット602からの光を透過させると共に、対物レンズから導かれた光を反射するハーフミラー605と、を有する顕微鏡と、顕微鏡により取得されたパターンを結像するカメラ606と、を有する。
【0073】
光源ユニット602は、可視光線(例えば、波長が略450~600nmの光)を照射する部材であり、面光源状の光を照射する。光源ユニット602は、遠方に設置された光源621と、光源621からの光を導く光バンドルファイバ622と、光ファイバの端面近傍に設置された拡散板623と、拡散板623に隣接して設けられるコリメータレンズ624と、を有する。
【0074】
光源621は、例えば白色LEDであり、可視光域の光を照射する。光源621は発熱するため、光源621は読取部60aから離れた位置に設けられる。光源621から照射された光は、光バンドルファイバ622を用いて導光される。拡散板623は、光バンドルファイバ622により導光されて、光バンドルファイバ622の端面から放射される光を広げ均一に変換した後、コリメータレンズ624は、その光を対物レンズに導く。
【0075】
光源ユニット602から照射された光は、対物レンズを通り、パターンP等で反射して、再び対物レンズへ導かれる。対物レンズは、倍率が略100倍の高倍率、開口数(NA、numerical aperture)が略0.8、作動距離が略2mmの特性を有する可視光レンズである。チューブレンズ604は、無限遠補正された対物レンズからの光を結像させるレンズであり、焦点距離が略200mmである。
【0076】
カメラ606は、解像度がUXGA(1600×1200画素)程度であり、大きさが2/3インチ程度であり、消費電力が3W程度である。カメラ606は、パターンPの像を取得する。カメラ606は、水冷用ウオータージャケットで囲まれている。カメラ606は、制御部201a(図8参照)により、超低速度スキャンが可能であり、したがってマスク100に描画された細かいパターンを正確に読み取ることができる。
【0077】
読取部60aは、図示しない取付部を介して筒状部35aに固定される。これにより、読取部60aは、光照射部30aと共にz方向に移動する。
【0078】
次に、光照射部30a~30gを枠体15に取り付ける取付構造について説明する。図7は、光照射部30aの取付構造を模式的に示す図である。なお、光照射部30b~光照射部30gの取付構造は、光照射部30aの取付構造と同一の構成であるため説明を省略する。
【0079】
ガイド部材70、70Aは、それぞれ、ガイド部本体71、71Aと、押さえリング72、72A、73、73Aと、を有する。ガイド部本体71、71Aは、略薄板状であり、平面視略円板形状である。ガイド部本体71、71Aは、変形しやすいように、厚さが略0.1mm程度の金属で形成される。金属としては、ステンレス鋼、リン青銅等を用いることができるが、より均質なリン青銅を用いることが望ましい。
【0080】
ガイド部本体71、71Aには、それぞれ、略中央に取付孔74、74Aが形成される。取付孔74、74Aには、筒状部35aが挿入される。筒状部35aが取付孔74、74Aに挿入された状態では、光軸axが取付孔74、74Aの中心と略一致する。
【0081】
押さえリング72、72A、73、73Aは、厚さが略3mm程度であり、ガイド部本体71と同じ材料で形成される。押さえリング72、72Aは、略環状であり、ガイド部本体71、71Aの外周に略沿って設けられる。押さえリング73、73Aは、略環状であり、取付孔74、74Aに略沿って設けられる。押さえリング72、72A、73、73Aを介してガイド部材70、70Aを枠体15及び筒状部35aに固定することで、ガイド部本体71、71Aの変形を防止することができる。
【0082】
ガイド部本体71には、孔75、76が設けられている孔75、76は、AF用光源341から下向きに照射された光及びマスク100での反射光が通過できるように、それぞれAF用光源341及びAFセンサ347、348と水平方向の位置が一致する。言い換えれば、孔75、76の位置は、それぞれ平面視においてAF用光源341及びAFセンサ347、348の位置と重なる。このように、孔75、76を形成することで、ガイド部材70、70Aを用いた場合においても光照射部30aのAF処理が可能となる。
【0083】
駆動部39aは、押さえリング73Aを介して取付部37aを押し上げる。駆動部39aが重心Gの近くで光照射部30aを押し上げることで、光照射部30aの上下動が安定する。
【0084】
なお、光照射部30aの上下動に伴い、光照射部30aに設けられた読取部60a(図7では図示省略)も上下動する。読取部60aの鏡筒601が丸孔157a(図4等参照)に挿入されており、鏡筒601は丸孔157aに固定されていないため、鏡筒601の上下動により不具合は生じない。
【0085】
図8は、露光装置1の電気的な構成を示すブロック図である。露光装置1は、CPU(Central Processing Unit)201と、RAM(Random Access Memory)202と、ROM(Read Only Memory)203と、入出力インターフェース(I/F)204と、通信インターフェース(I/F)205と、メディアインターフェース(I/F)206と、を有し、これらは光照射部30、レーザ干渉計50、読取部60、駆動部81、82等と互いに接続されている。
【0086】
CPU201は、RAM202、ROM203に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。CPU201には、レーザ干渉計50、読取部60等から信号が入力される。CPU201から出力された信号は、駆動部81、82、光照射部30等に出力される。
【0087】
RAM202は、揮発性メモリである。ROM203は、各種制御プログラム等が記憶されている不揮発性メモリである。CPU201は、RAM202、ROM203に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。また、ROM203は、露光装置1の起動時にCPU201が行うブートプログラムや、露光装置1のハードウェアに依存するプログラム、マスク100への描画データなどを格納する。また、RAM202は、CPU201が実行するプログラム及びCPU201が使用するデータなどを格納する。
【0088】
CPU201は、入出力インターフェース204を介して、キーボードやマウス等の入出力装置211を制御する。通信インターフェース205は、ネットワーク212を介して他の機器からデータを受信してCPU201に送信すると共に、CPU201が生成したデータを、ネットワーク212を介して他の機器に送信する。
【0089】
メディアインターフェース206は、記憶媒体213に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM202に格納する。なお、記憶媒体213は、例えば、ICカード、SDカード、DVD等である。
【0090】
なお、各機能を実現するプログラムは、例えば、記憶媒体213から読み出されて、RAM202を介して露光装置1にインストールされ、CPU201によって実行される。
【0091】
CPU201は、入力信号に基づいて露光装置1の各部を制御する制御部201aの機能を有する。制御部201aは、CPU201が読み込んだ所定のプログラムを実行することにより構築される。制御部201aが行う処理については、後に詳述する。
【0092】
図8に示す露光装置1の構成は、本実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、例えば一般的な情報処理装置が備える構成を排除するものではない。露光装置1の構成要素は、処理内容に応じてさらに多くの構成要素に分類されてもよいし、1つの構成要素が複数の構成要素の処理を実行してもよい。
【0093】
このように構成された露光装置1の作用について説明する。以下の処理は、主として制御部201aによって行われる。
【0094】
制御部201aは、描画処理を行う前に、略板状の交換式被読取部(図示省略)に設けられた台形型認識マーク41を読み取る。図9は、台形型認識マーク41を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)のC-C断面図である。
【0095】
台形型認識マーク41は、図9(A)に示すように、直交する4方向に突出する突起部41aを有する平面視略十字形状である。台形型認識マーク41は、図9(B)に示すように厚肉であり、厚みは略5μm以上である。なお、台形型認識マーク41の厚みは、略5μm以上から略1mmであることが好ましく、略5μmから略100μmであることがより好ましく、略5μm以上から略30μmであることがさらに好ましい。
【0096】
突起部41aの断面形状は、底面側が広く、底面の反対側(上面)が狭い略台形形状である。突起部41aの高さtは、読取部60の焦点深度の数倍以上であり、本実施の形態では略5μmである。底面41bの幅wは、高さtよりも大きく、本実施の形態では略8μm~10μmである。
【0097】
底面41b及び上面41eは、交換式被読取部をステージ20の上面20aに載置したときに、上面20aと略平行である。突起部41aの両側の側面41c、41dは、底面41b及び上面41eに対して傾斜する傾斜面である。図9(B)に示す断面視において、側面41c、41dは、略左右対称である。そして、側面41cの底面41bに対する傾斜角度の絶対値と、側面41dの底面41bに対する傾斜角度の絶対値との差は、略1度以内であることが望ましい。
【0098】
例えば、底面41bに対する傾斜角度の絶対値が60度である場合、側面41cの傾きと側面41dの傾きが1度異なる場合の中心位置のずれは、略44nm(=5μm×(sin60°-sin59°))となる。本実施の形態の露光装置の精度は略60nmであり、側面41c、41dの傾斜角度の差異が1度以下とすることで露光装置の精度を満足させることができる。
【0099】
なお、断面視において側面41c、41dを左右対称にするためには、ウェットエッチングにより台形型認識マーク41を形成することが望ましい。
【0100】
台形型認識マーク41は、交換式被読取部に二次元配置されている。交換式被読取部は、被読取部25とは別に設けられるものであり、ステージ20に対して着脱可能である。ここでは、交換式被読取部は、ステージ20の上面20aに載置される。制御部201aは、ステージ20に交換式被読取部を載置した状態で、駆動部39や移動機構161により読取部60をステージ20に近づける方向及びステージ20から遠ざける方向に移動させながら、台形型認識マーク41を読み取る。
【0101】
読取部60の光軸が傾いている場合には、読取部60を上下動させることで読取部60の視野がx方向又はy方向にずれる。図10は、読取部60を上下動させたときの様子を示す図であり、(A)は読取部60の光軸が傾いていない場合であり、(B)は読取部60の光軸が傾いている場合である。
【0102】
図10(A)に示すように、読取部60の光軸が傾いていない場合は、読取部60のz方向の位置が変化しても、光軸とステージ20(又はマスク100)が交差する位置は変化せず、読取部60の視野も変化しない。
【0103】
それに対し、図10(B)に示すように、読取部60の光軸が傾いている場合は、読取部60のz方向の位置が変化すると、光軸とステージ20(又はマスク100)が交差する位置が図10における横方向に変化し、読取部60の視野も変化する。
【0104】
したがって、制御部201aは、描画処理の前に、読取部60をステージ20に近づける方向及びステージ20から遠ざける方向に移動させながら台形型認識マーク41を読み取り、台形型認識マーク41の読取結果に基づいて読取部60の特性、特に光軸の傾きを検知する。
【0105】
また、読取部60が台形型認識マーク41を読み取るため、読取部60を上下動させたとしても、台形型認識マーク41の側面41c、41dのどこかに焦点をあわせることができる。側面41c、41dは、略左右対称であるため、側面41c、41dの低い位置(底面41bの近傍)に焦点が合った場合も、側面41c、41dの高い位置(上面41eの近傍)に焦点が合った場合も、読取部60が台形型認識マーク41の中心Oを正しく読むことができる。
【0106】
その後、制御部201aは処理を描画処理に進める。描画処理は、ステージ20から交換式被読取部を取り外し、ステージ20の上面20aにマスク100を載置し、その後数時間経過してから行なわれる。
【0107】
まず、制御部201aは、駆動部81、82によりステージ20をx方向やy方向に移動させて読取部60の視野内にアライメントマーク101を配置し、駆動部39や移動機構161により読取部60をマスク100の高さに合わせてx方向に移動させ、読取部60でマスク100のアライメントマーク101を読み取る。読取部60の焦点深度は浅いため、アライメントマーク101に合焦させるため、駆動部39や移動機構161により読取部60をマスク100の高さに合わせる必要がある。
【0108】
その後、制御部201aは、駆動部81、82によりステージ20をx方向やy方向に移動させて読取部60の視野内に辺20b近傍に設けられた被読取部25を配置し、読取部60で認識マーク25eを読み取る。
【0109】
高さが徐々に変化するリブ25A、25Bの板状部25dに認識マーク25eが設けられているため、読取部60の位置がマスク100の高さ、すなわちアライメントマーク101の高さに合わせて調整されていたとしても、1つの認識マーク25eの高さをアライメントマーク101の高さと略一致させ、1つの認識マーク25eに焦点を合わせることができる。
【0110】
そして、様々な厚みのマスク100を上面20aに載置したとしても、複数の認識マーク25eのうちの1つの認識マーク25eの高さをアライメントマーク101の高さと略一致させることができる。
【0111】
図11は、読取部60で被読取部25を読み取るときの読取部60の視野を模式的に示す図である。図11の点線Aで囲む領域が読取部60の視野であり、図11の点線Bで囲む領域が読取部60の合焦領域である。
【0112】
読取部60は焦点深度が浅く、ステージ20に載置されるマスク100の厚みの最大値と最小値との差(ここでは、略8mm程度)を吸収することはできない。本実施の形態では、読取部60の視野に含まれる認識マーク25eの高さはすべて異なるため、マスク100の高さに合わせて読取部60の高さを調整していたとしても、読取部60が合焦する認識マーク25eが1つ存在する。そして、読取部60が合焦した認識マーク25eを読み取ることで、制御部201aがステージ20の位置を検知することができる。
【0113】
制御部201aは、アライメントマーク101及び認識マーク25eの読取結果に基づいてステージ20、すなわちマスク100のx方向及びy方向の位置を検知する。
【0114】
制御部201aは、検知したマスク100のx方向及びy方向の位置に基づいて、ステージ20をx方向移動させつつ、光照射部30の下側をマスク100が通過するときに光照射部30から光を照射して、マスク100に対して描画処理を行う。
【0115】
制御部201aは、台形型認識マーク41の読取結果に基づいて求められた読取部60の光軸の傾きに基づいて、描画位置を調整する。そして、制御部201aは、補正後の描画位置に基づいて、光照射部30a~30gからマスク100へ光を照射する。具体的には、制御部201aは、x方向については光照射部30a~30gへ光を照射する信号(水平同期信号)のタイミングを変え、y方向については描画データを位置ずれ分だけy方向に移動させることで描画位置を調整する。
【0116】
また、制御部201aは、ステージ20をx方向移動させるときに、辺20b近傍に設けられた認識マーク25e及び辺20c近傍に設けられた認識マーク25eを読取部60で読み取る。これにより、ステージ20がx方向に沿って真っ直ぐに移動しているか、ステージ20がy方向に湾曲しながらx方向に移動しているか等を検知するすることができる。この場合、制御部201aは、検知したステージ20のy方向への湾曲に基づいて描画位置を調整する。
【0117】
制御部201aは、描画しつつステージ20を+x端まで移動させたら、ステージ20を-x端まで戻す。そして、制御部201aは、再度ステージ20を+x端まで移動させつつ描画を行う。時間の経過に伴い、温度変化等によりステージ20やマスク100の高さが変化するため、ステージ20を-x端まで戻す度に、制御部201aは、読取部60の高さをアライメントマーク101に合わせた状態でアライメントマーク101と認識マーク25eを読み取り、その読取結果に基づいて次の描画を行う。
【0118】
本実施の形態によれば、高さが徐々に変化するリブ25A、25Bの板状部25dに認識マーク25eが設けられているため、マスク100(アライメントマーク101)の高さが異なる場合においても、1つの認識マーク25eの高さをアライメントマーク101の高さと略一致させ、1つの認識マーク25eに焦点を合わせることができる。
【0119】
例えば、ステージ20に認識マーク25eが直接設けられている場合には、様々な厚みのマスク100を上面20aに載置すると、読取部60の高さをアライメントマーク101の高さに合わせると認識マーク25eに合焦させることができない。また、マスク100の厚みに合わせて認識マーク25eを上下動させるとすると、装置構成が複雑になってしまう。
【0120】
それに対し、本実施の形態のように、高さの異なる複数の認識マーク25eを設けておくことで、複雑な機構を用いることなく、様々な厚みの基板に対応することができる。また、高さの異なる複数の認識マーク25eを設けておくことで、組み立て誤差等による読取部60のz方向の位置のばらつきに対応することができる。
【0121】
また、本実施の形態によれば、平行な2つの辺20b、20c近傍に被読取部25を設けることで、ステージ20の移動特性、すなわちステージ20がx方向に沿って真っ直ぐに移動しているか、ステージ20がy方向に湾曲しながらx方向に移動しているか等を検知するすることができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、描画処理の前に、読取部60を上下方向に移動させながら台形型認識マーク41を読み取ることで、読取部60の特性、特に光軸の傾きを検知することができる。また、台形型認識マーク41の側面41c、41dが略左右対称であるため、読取部60の高さ方向の位置によらず、読取部60が台形型認識マーク41の中心Oを正しく読むことができる。
【0123】
また、本実施の形態によれば、描画処理で用いる認識マーク25eの厚みを読取部60の焦点深度より薄くする点に特徴がある。高精度の描画(精度が略60nm)を行う場合には、読取部60の1ピクセル(略100nm)より小さいため、高精度に認識マーク25eを読み取る必要があるが、認識マーク25eを薄くして認識マーク25eに確実に合焦させることで、読取部60が認識マーク25eを正確に読み取ることができる。
【0124】
なお、本実施の形態では、辺20b、20cの近傍に被読取部25が設けられていたが、ステージ20やマスク100のx方向及びy方向の位置を検知するためには、辺20b、20cのうちの少なくとも一方の近傍に被読取部25が設けられていればよい。ただし、ステージ20の移動特性を検知するためには、辺20b、20cの近傍に被読取部25を設けることが望ましい。
【0125】
また、本実施の形態では、光照射部30及び読取部60をy方向に沿って複数設けたため、被読取部25もy方向に沿って複数設けたが、光照射部30及び読取部60が1つずつである場合には、被読取部25も1つでよい。
【0126】
また、本実施の形態では、隣接して2本のリブ25A、25Bを設けたが、リブの数はこれに限られない。例えば、ステージ20や板状部材21のx方向の長さに制限が無ければ、x方向に沿った長いリブ(リブ25A、25Bの長さの倍の長さのリブ)を1本設ければよい。また、例えば、ステージ20や板状部材21のx方向の長さに余裕がなければ、3本以上のリブをy方向に沿って並べればよい。
【0127】
また、本実施の形態では、高さが徐々に変化するリブ25A、25Bを用いて高さの異なる複数の認識マーク25eを設けたが、高さの異なる複数の認識マーク25eを設ける形態はこれに限られない。例えば、高さが階段状に変化するリブを用い、踏面に相当する部分にそれぞれ認識マーク25eを設けることで、高さの異なる複数の認識マーク25eを設けてもよい。
【0128】
また、本実施の形態では、交換式被読取部は着脱可能(交換式)であり、ステージ20の上面20aに載置されるが、交換式被読取部の形態はこれに限られない。例えば、交換式被読取部が交換式でなく、交換式被読取部をステージ20の端面部に設けておいてもよい。
【0129】
また、本実施の形態では、マスク100にアライメントマーク101を設けたが、アライメントマーク101は必須ではない。アライメントマーク101が設けられていない場合には、制御部201aは、マスク100上に存在する任意のパターン等を読み取ってもよいし、制御部201aは、マスク100の角部へ辺部を読み取ってもよい。また、制御部201aは、マスク100の高さから計算される認識マーク25eを読み取ってもよい。
【0130】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、台形型認識マークを被読取部に設ける形態である。以下、第2の実施の形態の露光装置2について説明する。第1の実施の形態の露光装置1と、第2の実施の形態の露光装置2との差異は被読取部のみであるため、以下、第2の実施の形態の露光装置における被読取部についてのみ説明する。また、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0131】
露光装置2は、ステージ20-1を有する。ステージ20-1には、板状部材21-1を介して被読取部25-1が設けられている。図12は、被読取部25-1の概略構成を示す斜視図である。
【0132】
被読取部25-1は、主として、リブ25A-1、25B-1を有する。リブ25A-1、25B-1は、それぞれ、ガラス等の透明部材で形成された土台部25a、25bと、複数の台形型認識マーク41が形成された板状部25fと、を有する。板状部25fは、リブ25A-1、25B-1の上面であり、土台部25a、25bの上側(+z側)に接着部25cにより貼着又は接着されている。
【0133】
台形型認識マーク41の底面41b及び上面41eは、板状部25fと略平行である。台形型認識マーク41の側面41c、41dは、板状部25fに対して傾斜する傾斜面である。
【0134】
このように構成された露光装置2の作用について説明する。以下の処理は、主として制御部201aによって行われる。
【0135】
制御部201aは、描画処理を行う前に、駆動部39や移動機構161により読取部60をステージ20に近づける方向及びステージ20から遠ざける方向に移動させながら、被読取部25-1に設けられた台形型認識マーク41を読み取る。制御部201aは、台形型認識マーク41の読取結果に基づいて読取部60の特性、特に光軸の傾きを検知する。
【0136】
その後、制御部201aは処理を描画処理に進める。制御部201aは、ステージ20の上面20aにマスク100を載置して数時間経過した後で、読取部60でマスク100のアライメントマーク101を読み取る。また、制御部201aは、読取部60で辺20b近傍に設けられた被読取部25の台形型認識マーク41を読み取る。制御部201aは、アライメントマーク101及び台形型認識マーク41の読取結果に基づいてステージ20、やマスク100のx方向及びy方向の位置を検知する。
【0137】
制御部201aは、検知したマスク100のx方向及びy方向の位置に基づいて、ステージ20をx方向移動させつつ、光照射部30の下側をマスク100が通過するときに光照射部30から光を照射して、マスク100に対して描画処理を行う。
【0138】
本実施の形態によれば、台形型認識マーク41を被読取部25-1に設けることで、台形型認識マーク41が設けられた交換式被読取部を用いることなく読取部60の特性を検知することができる。
【0139】
なお、本実施の形態では、被読取部25-1に台形型認識マーク41のみを設けたが、被読取部25-1に1つだけ台形型認識マーク41を設け、その他は認識マーク25eを設けるようにしてもよい。
【0140】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。当業者であれば、実施形態の各要素を、適宜、変更、追加、変換等することが可能である。
【0141】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略水平とは、厳密に水平の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、略10μmとは、10μmに限らず、例えば1~3μm程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合において、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、Aの近傍という場合に、Aの近くのある範囲の領域であって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0142】
1、2 :露光装置
11 :定盤
11a :上面
12 :板状部
12a :上面
13、14 :レール
15 :枠体
15a :支持部
15c :柱
20、20-1:ステージ
20a :上面
20b、20c:辺
21、21-1:板状部材
25、25-1:被読取部
25A、25A-1、25B、25B-1:リブ
25a、25b:土台部
25c :接着部
25d、25f:板状部
25e :認識マーク
30(30a~30g):光照射部
32a~32g:対物レンズ
33a~33g:光源部
34a~34g:AF処理部
35a~35g:筒状部
36a~36g:フランジ
37a~37g:取付部
38a~38g:取付部
39(39a~39g):駆動部
41 :台形型認識マーク
41a :突起部
41b :底面
41c、41d:側面
41e :上面
50、51:レーザ干渉計
60(60a~60g):読取部
70、70A:ガイド部材
71、71A:ガイド部本体
72、72A、73、73A:押さえリング
74、74A:取付孔
75、76 :孔
81、82 :駆動部
100 :マスク
101 :アライメントマーク
151 :底板
152 :側板
153 :支持板
154 :側板
155a~155g、156a~156g、157a~157g:丸孔
159 :仕切り壁
160 :弾性部材
161 :移動機構
161a :ラック
161b :ピニオン
161c :アクチュエータ
163 :永電磁石
201 :CPU
201a :制御部
202 :RAM
203 :ROM
204 :入出力インターフェース
205 :通信インターフェース
206 :メディアインターフェース
211 :入出力装置
212 :ネットワーク
213 :記憶媒体
331 :光源
332 :レンズ
333 :フライアイレンズ
334、335:レンズ
336 :ミラー
341 :AF用光源
342 :コリメータレンズ
343 :AF用シリンドリカルレンズ
344、345:ペンタプリズム
346 :レンズ
347、348:センサ
372 :中空部
391 :圧電素子
601 :鏡筒
602 :光源ユニット
603 :鏡筒
604 :チューブレンズ
605 :ハーフミラー
606 :カメラ
621 :光源
622 :光バンドルファイバ
623 :拡散板
624 :コリメータレンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12