(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ネブライザおよびそのノズルアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
(21)【出願番号】P 2020536502
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 US2018050033
(87)【国際公開番号】W WO2019051282
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2021-04-13
(32)【優先日】2017-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520079223
【氏名又は名称】エイチシーメッド イノベーションズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HCMED INNOVATIONS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Rm.B,10F.,No.319,Sec.2,Dunhua S.Rd.,Taipei City,106(TW)
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,ウェン-ユ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,チー-ション
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,チェン-シェン
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02119465(EP,A1)
【文献】特開2014-83446(JP,A)
【文献】特開2000-107154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 13/00
A61M 15/00
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネブライザ装置であって、
主要本体であり、
制御入力に応答して、前記主要本体内に保存された流体を微粒化するように動作可能なアトマイザ、
前記主要本体のケーシング上に
配された
検出開口部の空気圧を読み取るセンサ、
前記空気圧を受容し、空気圧の変化に少なくとも部分的に基づいて、前記アトマイザの前記制御入力を調整するように構成されたコントローラ、を有する前記主要本体、及び、
前記主要本体に機械的に取り付け可能な複数ピースのノズルアセンブリであり、
(1)前記微粒化された流体をユーザピースに誘導するように構成された主要導管部分と、
(2)前記主要本体の前記ケーシング上
に配された前記検出開口部から前記センサに接続された接続開口部へと空気が流れて通ることが可能な空気圧ダクト部分であって、ダクトと
前記ダクトから分離可能なリングとを含む
前記空気圧ダクト部分と、を有する前記複数ピースのノズルアセンブリ、
を含む、ネブライザ装置。
【請求項2】
前記空気圧ダクト部分が、前記ノズルアセンブリを有さない場合と比較して、前記センサによって検出可能な空気圧変化の最小量を増加させるように形状決めされるように、前記ノズルアセンブリの前記空気圧ダクト部分の主要部品よりも小さい断面積を有するネック部品を少なくとも有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ネック部品の前記断面積が、所定の液体が前記ネック部品に入る場合に前記所定の液体が仕様内で蒸発することを可能にする最小値よりも大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記所定の液体が、水、または前記ノズルアセンブリを清浄化するために指定された別の清浄化液体である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記空気圧ダクト部分の前記主要部品の断面積が、15mm
2~96mm
2の範囲内である、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記主要導管部分の断面積が、前記空気圧ダクト部分の前記主要部品の断面積よりも少なくとも3倍大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記空気圧ダクト部分の前記主要部品の断面積が、前記空気圧ダクト部分の前記ネック部品の断面積よりも少なくとも1.3倍大きい、請求項2に記載の装置。
【請求項8】
前記空気圧変化の絶対値が閾値を超過する場合、前記コントローラが、前記制御入力を調整する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記空気圧変化が、負の値である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記閾値が、10mbar~50mbarである、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラが、
構成モード中に、前記閾値への調整を受信するようにさらに構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラは、前記コントローラが前記センサから十分に大きな空気圧変化を検知することに応答して、前記アトマイザを自動的に起動して、前記流体を分注するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記コントローラが前記十分に大きな空気圧変化をもはや検知しないことに応答して、前記アトマイザを自動的に起動解除して、前記流体の前記分注を停止するようにさらに構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記十分に大きな空気圧変化は、ユーザが前記ユーザピースを通して吸入することから生じる負の空気圧である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記主要本体へのノズルアセンブリの前記機械的取り付けが、実質的に気密である、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記ユーザピースをさらに備え、前記ユーザピースが、前記ノズルアセンブリに機械的に取り付け可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記ユーザピースをさらに備え、前記ユーザピースが、前記ノズルアセンブリの一部分として一体的に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記ユーザピースが、ユーザの吸入に好適なユーザに面する開口部と、前記ノズルアセンブリの前記主要導管部分および前記空気圧ダクト部分の両方を被覆するように構成されている、ネブライザに面する開口部と、を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記ユーザピースが、マウスピースまたはマスクであり、前記流体が、治療薬である、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医療用デバイスに関し、具体的には、ネブライザおよびそのノズルアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
医療用ネブライザは、主に、患者の呼吸器系を通して患者に医薬を投与する際に用いられる。ネブライザは、各々がある特定の粒子サイズを有する小さな液体液滴として液体医薬を微粒化し、その結果、患者は微粒化された医薬を、呼吸を通じて呼吸器系に吸入することができる。治療を達成するために、経鼻および経口投与によって、薬物を患者の循環系にうまく投与することができる。
【0003】
従来のネブライザは、ネブライザが作動し始めるときに患者の呼吸数および肺活量を考慮に入れずに、各々が同一の微粒化量を有する微粒化された液体として医薬を継続的に微粒化するように設計されている。しかしながら、かかる様式は、患者が吸入する医薬の量に影響を与え得る。さらに、患者がエアロゾル吸入によって治療される場合、各々が同一の微粒化量を有する継続的に噴霧された微粒化された液体は、薬物の生物学的利用能が低く、患者のそれぞれの呼吸数のために患者に不便をもたらすことになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
上で論じられたように、従来の医療用ネブライザは、薬物の生物学的利用能が低いという欠点を有し、各個人の患者の異なる呼吸数に適応する能力に欠けている。したがって、本明細書では、ネブライザ、ならびに主要導管開口部の空気圧変化を検出し、検出された圧力変化に応答して、より効率のよい微粒化を達成するように、ネブライザを自動的に制御してオンまたはオフにすることができる、ノズルアセンブリを紹介する。
【0005】
本明細書ではさらに、ノズルアセンブリの主要導管の空気圧変化を検出するための直接の解決策は、センサを主要導管に、およびユーザが吸入するユーザピース(例えば、マウスピースまたはマスク)の近くに配置することであることが観察される。しかしながら実際には、かかるセンサの位置により、センサが水またはその他の水分による影響を受けやすくなり、それによって、信頼性の問題が生じる。センサを防水方式でノズルアセンブリに埋め込むと、ノズルアセンブリのコストが望ましくない程度まで増加する見込みが極めて高くなり、消費者が購入および/または保守するにはユニット全体が高価になりすぎる。さらに、実際には、機械は、ユーザによって(例えば、水、または水石けん混合物などの他の清浄剤で)定期的に清浄化されることになる。手頃な価格で、信頼性が高く、耐久性があり、清浄化が簡単な自動ネブライザを有することが望ましい。
【0006】
したがって、本明細書で開示されるのは、主要導管および空気圧ダクトを含むノズルアセンブリを利用するネブライザデバイスである。主要導管は、ネブライザに取り付けることができ、内面および外面を有する。主要導管は、微粒化開口部を有し、微粒化された流体をユーザに(ユーザピース、例えば、マウスピースまたはマスクを通して)誘導する。いくつかの実施形態では、空気圧ダクトは、主要導管の内面または外面上に配設することができ、ダクトは、センサに接続された接続開口部と、露出し、微粒化開口部に隣接する検出開口部と、を有する。本開示によれば、センサは、ネブライザの内側に配設することができ、センサは、検出開口部の圧力を検出することによって、微粒化開口部の圧力変化を判定する。さらに、ネブライザは、微粒化モジュールと、微粒化モジュールおよびセンサに電気的に接続された制御モジュールと、を含み、制御モジュールは、センサによって検出された微粒化開口部の圧力変化に従って、微粒化モジュールをオンにすべきかどうかを判定する。
【0007】
本開示の別の態様によれば、本明細書に開示されるノズルアセンブリは、主要導管および空気圧ダクトを含む。主要導管は内面および外面を有し、主要導管は微粒化開口部を有する。空気圧ダクトは、主要導管の内面および外面上にあってもよい。さらに、空気圧ダクトは、センサに接続された接続開口部と、露出し、微粒化開口部に隣接する検出開口部と、を有し、センサは、検出開口部の圧力を検出することによって、微粒化開口部の圧力変化を判定する。
【0008】
本明細書に開示される実施形態により、ネブライザおよびそのノズルアセンブリは、従来のネブライザの前述の欠点を解決する。本開示の様々な実施形態は、図面に関して以下でより詳細に記載される。本開示の技法、手段、および効果をさらに理解するために、以下の詳細な説明および添付の図面は、本開示の目的、特徴、および態様が徹底的かつ具体的に理解され得るように参照され、ならびに以下の詳細な説明および添付の図面を通じて、本開示の目的、特徴、および態様が徹底的かつ具体的に理解され得るが、添付の図面は、本開示を限定するために使用されるいかなる意図も含まずに、単に参照および例示のために提供されている。
【0009】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する。図面は、本開示の例示的な実施形態を例示しており、説明と一緒に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の外面上に配設されているノズルアセンブリの概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の外面上に配設されているノズルアセンブリの断面図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の内面上に配設されているノズルアセンブリの概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の内面上に配設されているノズルアセンブリの断面図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の外面上に配設されているネブライザのノズルアセンブリの機能図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の外面上に配設されているネブライザのノズルアセンブリの概略図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の内面上に配設されているネブライザのノズルアセンブリの機能図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、空気圧ダクトが主要導管の内面上に配設されているネブライザのノズルアセンブリの概略図である。
【
図9】本開示の一実施形態による、ネブライザのノズルアセンブリの概略図である。
【
図10】
図9の実施形態による、ネブライザのノズルアセンブリの分解図である。
【
図11】
図9の実施形態による、ネブライザの(線XI-XI’に沿った)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本明細書に開示される技術の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記述されている。他の実施形態では、これらの具体的な詳細なしで、本明細書に紹介される技法を実践することができる。他の例では、本開示を不必要に曖昧にすることを回避するために、具体的な製造技法などの周知の特徴は詳細には記載されない。この説明における「一実施形態(an embodiment)」、「一実施形態(one embodiment)」などへの参照は、記載される特定の特徴、構造、材料、または特性が本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書内でのかかる語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指すとは限らない。一方、かかる参照は必ずしも相互に排他的でもない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性を、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わせることができる。また、図に示される様々な実施形態は、単に例示的な表現であり、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを理解されたい。
【0012】
「連結された」および「接続された」という用語は、それらの派生語と共に、構成要素間の構造的関係を説明するために本明細書において使用されることがある。これらの用語は相互の同義語として意図されていないことを理解されたい。むしろ、特定の実施形態では、「接続された」は、2つ以上の要素が互いに直接接触していることを示唆するために使用されることがある。文脈において特に明確にされていない限り、「連結された」という用語は、2つ以上の要素が直接または(それらの要素の間に介在する他の要素と共に)間接的にかのいずれかで互いに接触していること、あるいは2つ以上の要素が(例えば、原因と結果の関係において)互いにもしくは両方とも協働または相互作用すること、を示唆するために使用されることがある。
【0013】
以下に記載される本開示のいくつかの実施形態は、プログラム可能なコンピュータまたはコントローラによって実行されるルーチンを含む、コンピュータまたはコントローラ実行可能命令の形態をとることができる。関連技術分野の当業者は、紹介される技法が、以下に図示および記載されるもの以外のコンピュータまたはコントローラシステムで実践され得ることを理解するであろう。本明細書に紹介される技法は、以下に記載されるコンピュータ実行可能命令のうちの1つ以上を実施するように具体的にプログラム、構成、または構築される専用コンピュータもしくはデータプロセッサで具現化することができる。したがって、本明細書で概して使用される場合、「コンピュータ」および「コントローラ」という用語は、任意のデータプロセッサを指し、インターネット対応機器およびハンドヘルドデバイス(パームトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、セルラーもしくはモバイル電話、マルチプロセッサシステム、プロセッサベースのもしくはプログラム可能な家庭用電化製品、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータなどを含む)を含み得る。これらのコンピュータおよびコントローラで取り扱われる情報を、液晶ディスプレイ(LCD)または発光ダイオード(LED)ディスプレイを含む、任意の好適なディスプレイ媒体で提示することができる。コンピュータまたはコントローラ実行可能タスクを実施するための命令を、ハードウェア、ファームウェア、またはハードウェアとファームウェアとの組み合わせを含む、任意の好適なコンピュータ可読媒体の中または上に記憶することができる。
【0014】
図1は、本開示による、空気圧ダクトが主要導管の外面上に配設されているノズルアセンブリの概略図であり、
図2は、本開示による、空気圧ダクトが主要導管の外面上に配設されているノズルアセンブリの断面図である。
【0015】
図1および2に示されるように、本開示による、ノズルアセンブリN、およびノズルアセンブリNを含むネブライザDは、主要導管1および空気圧ダクト2を含む。主要導管1は、内面100、外面102、および微粒化開口部11を有する。空気圧ダクト2は、主要導管1の内面100および外面102のうちの一方上に配設される。さらに、空気圧ダクト2は、接続開口部22および検出開口部21を有する。接続開口部22はセンサSに接続されており、検出開口部21は、露出し、主要導管1の微粒化開口部11に隣接している。センサSは、検出開口部21の圧力を介して微粒化開口部11の圧力変化を判定する。
【0016】
本開示は、
図1および2に示されるように、主要導管1および空気圧ダクト2を含むノズルアセンブリNを提供する。主要導管1は、内面100および外面102を有する。外観によれば、本開示の主要導管1は、本体から開口部まで滑らかにテーパー状になる円錐形状を示す円錐部分1aを有することができ、微粒化開口部11は、限定されるものではないが、円錐部分1aの狭い位置上に配設される。微粒化開口部11は、液滴、ミスト、液体、気体、またはそれらの組み合わせを送達するために使用される。
【0017】
空気圧ダクト2は、主要導管1の外面102上に配設され、好ましくは、空気圧ダクト2は、主要導管1の外面102に配設され、そこにしっかりと取り付けられるが、実践上の必要性に応じて、それを修正することができる。空気圧ダクト2は、その両端部にそれぞれ2つの開口部を有し、一方の端部は接続開口部22であり、反対側の端部は検出開口部21である。より具体的には、接続開口部22および検出開口部21を、空気圧ダクト2の両端部にそれぞれ配設することができ、空気圧ダクト2は、限定されるものではないが、導電体として形成され得る。換言すれば、本開示の空気圧ダクト2は、単一ピースであっても、複数ピースであってもよい。本実施形態では、空気圧ダクト2は、例示のために単一ピースである。空気圧ダクト2の内部空間と主要導管1の内部空間とは、互いに分離され隔離されていることに留意されたい。空気圧ダクト2の検出開口部21は、露出し、主要導管1の微粒化開口部11に隣接している。空気圧ダクト2の検出開口部21は、主要導管1の微粒化開口部11と位置合わせされている。
【0018】
一方、空気圧ダクト2の接続開口部22は、ノズルアセンブリNの外部に配設されたセンサSに接続されている。したがって、センサSは、検出開口部21を介して圧力変化を検出する。より具体的には、ユーザが自身の唇をノズルアセンブリNの周囲で閉じると、検出開口部21の周囲の気圧は圧力変化を発生させる。空気は、空気圧ダクト2を通って、接続開口部22に接続されたセンサSに流れることができ、それにより、センサSは、空気圧ダクト2を介して空気圧の変化を検出することができる。
【0019】
空気圧ダクト2の検出開口部21が主要導管1の微粒化開口部11に隣接しているため、微粒化開口部11および検出開口部21は、センサSによって検出される検出開口部21の圧力変化が微粒化開口部11のものと等しくなるように、同じ気圧を有する。ユーザが自身の唇をノズルアセンブリNの周囲で閉じると、唇は微粒化開口部11および検出開口部21の両方を囲む。ユーザが吸入すると、検出開口部21および微粒化開口部11に負圧が発生する。微粒化開口部11内の空気圧の変化は検出開口部21内の空気圧の変化と等しいので、センサSによって検出される検出開口部21の圧力変化は、ノズルアセンブリNの微粒化開口部11の圧力変化とみなすことができる。
【0020】
図3および4は、本開示の別の実施形態によるノズルアセンブリNを示している。
図3および4に例示されるノズルアセンブリNと、
図1および2に例示されるノズルアセンブリNとの違いは、空気圧ダクト2が主要導管1の内面100上に配設されていることである。空気圧ダクト2が主要導管1の内面100または外面200上に配設されていても、層流の粘度は影響を受けない。本開示のノズルアセンブリNでは、空気圧ダクト2の検出開口部21が微粒化開口部11に近く、そのため、センサSは、検出開口部21を介して主要導管1の圧力変化を検出することができる。
【0021】
本開示によれば、ネブライザDが提供される。ネブライザDは、主要アセンブリB、収容アセンブリA、および本開示のノズルアセンブリNを含む。主要アセンブリBは、第1のケーシング3、制御モジュールC、およびセンサSを含み、制御モジュールCおよびセンサSはいずれも第1のケーシング3内に配設されている。収容アセンブリAは、主要アセンブリB上に取り外し可能に配設され、収容アセンブリAは、第2のケーシング4および微粒化モジュールEを含む。ノズルアセンブリNは、収容アセンブリA上に取り外し可能に配設される。
【0022】
図5~8は、本開示によるノズルアセンブリNを含むネブライザDを示している。
図5および6は、ノズルアセンブリNの空気圧ダクト2が主要導管1の外面102上に配設されていることを例示しており、
図7および8は、ノズルアセンブリNの空気圧ダクト2が主要導管1の内面100上に配設されていることを例示している。
【0023】
より具体的には、本開示のネブライザDは、前述のノズルアセンブリNを利用し、ネブライザDは、主要アセンブリB、収容アセンブリA、および前述のノズルアセンブリNを含む。
【0024】
主要アセンブリBは、第1のケーシング3、制御モジュールC、およびセンサSを含み、制御モジュールCおよびセンサSはいずれも第1のケーシング3内に配設されている。制御モジュールCとセンサSとは、互いに電気的に接続される。
【0025】
収容アセンブリAは、主要アセンブリB上に取り外し可能に配設され、収容アセンブリAと主要アセンブリBとは、互いに取り外し可能であっても、一緒に組み立てられてもよい。収容アセンブリAは、第2のケーシング4と、その中に配設された微粒化モジュールEと、を含む。同様に、微粒化モジュールEは、第2のケーシング4内に取り外し可能に配設され、制御モジュールCに電気的に接続され得る。
【0026】
ノズルアセンブリNは、収容アセンブリA上に取り外し可能に配設され、ノズルアセンブリNは、主要導管1および空気圧ダクト2を含む。空気圧ダクト2は、主要導管1の外面102または内面100上に配設され得る。主要導管1および空気圧ダクト2の説明は上に例示されており、簡潔にするために本明細書では省略される。
【0027】
上述のように、ネブライザDのノズルアセンブリNの空気圧ダクト2は、接続開口部22および検出開口部21を有する。同様に、本開示の空気圧ダクト2の接続開口部22は、主要アセンブリB内に配設されたセンサSに接続され、検出開口部21は、主要導管1の微粒化開口部11に隣接している。ユーザが自身の唇をネブライザDのノズルアセンブリNの周囲で閉じて吸入すると、微粒化開口部11および検出開口部21の周囲に負圧が発生する。主要アセンブリN内に配設されたセンサSは、空気圧ダクト2内の層流を介して、検出開口部21内の空気圧の変化を検出することができる。微粒化開口部11内の空気圧の変化は検出開口部21内の空気圧の変化と等しいので、センサSによって検出される検出開口部21の圧力変化は、ノズルアセンブリNの微粒化開口部11の圧力変化とみなすことができる。
【0028】
センサSは、主要アセンブリBの第1のケーシング3内に配設され、本実施形態によるネブライザDの制御モジュールCに電気的に接続されていることに留意されたい。したがって、ノズルアセンブリNの空気圧ダクト2が主要導管1の内面100または外面102に配設されても、空気圧ダクト2の本体は主要アセンブリBの内部に延在する。換言すれば、空気圧ダクト2は、収容アセンブリAの第2のケーシング4を通過しないが、主要アセンブリBの第1のケーシング3を通過するため、接続開口部22を主要アセンブリB内のセンサSに接続することができる。収容アセンブリAは、薬剤を収容するために使用され、収容アセンブリA内の微粒化モジュールEは、それをユーザが清浄化することができるように取り外し可能であり得る。したがって、上記構成により、本開示のネブライザDの空気圧ダクト2が収容アセンブリAを通過せず、それによって、使いやすい性質を高める。
【0029】
上述のように、本開示のネブライザDのノズルアセンブリNは、空気圧ダクト2を有し、その接続開口部22は、主要アセンブリB内のセンサSに接続されている。検出開口部21における圧力変化は、空気圧ダクト2を介してセンサSによって検出され、検知信号に変換され、その後、検知信号は主要アセンブリB内に配設された制御モジュールCに伝送される。その後、制御モジュールCが制御信号を送信し、それによって、収容アセンブリAの微粒化モジュールEが微粒化するようにオンにされる。実際には、ネブライザDは、最初はオンになっていない。ユーザが自身の唇をノズルアセンブリNの周囲で閉じて患者が吸入すると、ノズルアセンブリNの内部の空気(微粒化開口部11および検出開口部21を含む)は、ノズルアセンブリNの外部に対して負の圧力を生成するように、ユーザの口に向かって流れる。センサSは、負の圧力を検出して、負の圧力信号を発生し、負の圧力信号を制御モジュールCに伝送する。次いで、制御モジュールCは、負の圧力信号に基づいて、開始信号を生成し、開始信号を微粒化モジュールEに伝送する。開始信号を受信した後、微粒化モジュールEは、収容アセンブリA内の液体薬剤の微粒化を開始する。微粒化された薬物は、微粒化モジュールEによってユーザの身体内へ能動的に投与されても、吸入によってユーザの身体内へ受動的に投与されてもよい。
【0030】
一方、ユーザが吸入を停止するか、またはユーザの唇がノズルアセンブリNから離れると、内部の空気の流れが停止するため、センサSはいかなる圧力変化も検知することを停止する。したがって、制御モジュールCは、いかなる負の圧力信号も受信せず、停止信号を微粒化モジュールEに提供し、それにより、微粒化モジュールEは停止信号を受信した後に微粒化を停止する。
【0031】
上記構成により、本開示のネブライザDは、ユーザの呼吸数に基づいて、微粒化された薬剤の制御された量をユーザに提供することができ、その結果、ユーザが呼吸をすると、薬剤の微粒化が瞬時に停止される。結果として、ユーザまたは患者にある量の薬剤をより正確に投与することができ、生物学的利用能を改善することができる。
【0032】
図9~11を参照すると、
図9~11は、本開示の一実施形態によるネブライザDを示している。ネブライザDのノズルアセンブリNは、主要導管1および空気圧ダクト2を含む。
【0033】
上述のように、ネブライザの開示される実施形態は、防水が懸念されるため、戦略的に、(例えば、ユーザの吸入を検出するために使用される)空気センサを主要本体内に留置する。実施形態は、清浄化を容易にするために取り外すことができるノズルアセンブリを利用し、ノズルアセンブリ内の空気圧ダクト部分は、主要本体内のセンサが空気圧変化(例えば、負の空気圧)を検出することを可能にし得る。
【0034】
さらに、本明細書では、空気圧ダクトのサイズおよび形状が空気圧センサの感度(概して言えば、感度は空気圧ダクトのサイズに反比例する)に影響を与える場合がある。したがって、
図9~11に示される実施形態では、空気圧ダクト部分は、ノズルアセンブリなしの場合と比較して、センサによって検出可能な空気圧変化の最小量を増加させるように形状決めされている。
図11に示されるように、空気圧ダクト部分は、少なくとも、ノズルアセンブリNの空気圧ダクト部分の主要部品よりも小さい断面積を有する、ネック部品を含む。いくつかの実施形態では、主要導管部分の断面積は、空気圧ダクト部分の主要部品の断面積よりも少なくとも3倍大きい。さらに、いくつかの実装例によれば、空気圧ダクト部分の主要部品の断面積は、空気圧ダクト部分のネック部品の断面積よりも少なくとも30%大きい(または、1.3倍大きい)。1つ以上の実施形態では、ネブライザDの主要本体へのノズルアセンブリNの機械的な取り付けは、(本明細書に開示される実施形態における成功裏の検出には気密性が必要ではない場合があるが)実質的に気密である。
【0035】
一方、ネブライザを定期的に使用する場合、ノズルアセンブリは取り外し可能であり、簡単に清浄化されるべきであることが観察される。空気圧ダクトが狭すぎる場合、水または他の液体が内側に蓄積することがあり、カビまたは細菌を成長させることがある。したがって、1つ以上の実施形態では、ネック部品の断面積は、所定の液体(例えば、水、またはノズルアセンブリを清浄化するために指定された別の清浄化液体)がネック部品に入る場合に所定の液体が仕様内で蒸発することを可能にする、最小値よりも大きい。正確な仕様は、実際の用途および展開される環境によって異なる。例えば、具体的な用途環境(例えば、高齢者住宅)の場合、仕様は、ネック内の水が自然な様式で、通常の温度および圧力(つまり、摂氏20度、1気圧)下で、1時間以内に完全に蒸発することができることを提供し得る。他の用途では、異なる仕様が必要になる場合がある。ある特定の実施形態によれば、空気圧ダクト部分の主要部品の断面積は、15mm2~96mm2の範囲内である。
【0036】
図9~11に示されるように、ノズルアセンブリNは、ユーザピース(例えば、主要導管1を援用する
図10に示されるマウスピース、またはマスク(図示せず))をさらに含み得る。実装例に応じて、ユーザピースは、ノズルアセンブリNに機械的に取り付け可能であっても、ノズルアセンブリNの一部分として一体的に形成されてもよい。マウスピースは、ユーザの吸入に好適なユーザに面する開口部と、ノズルアセンブリNの主要導管部分および空気圧ダクト部分の両方を被覆するように構成されている、ネブライザに面する開口部と、を有する。
【0037】
図10は、主要導管1および空気圧ダクト2を示す分解斜視図であり、本開示の空気圧ダクト2は、複数ピースとして主要導管1の外面102上に配設されている。より具体的には、空気圧ダクト2は、リング2aおよびダクト2bから構成されている。リング2aは、円形になるように、主要導管1の外面102に沿って配設されている。ダクト2bは、一方の端部がリング2aに接続され、反対側の端部が主要アセンブリBを貫通する導電体として形成されている。
図10および11を参照すると、
図11は、
図9の線XI-XI’に沿った断面図である。空気圧ダクト2は、微粒化開口部11に隣接する検出開口部21と、センサ(図示せず)を接続するように延在する接続開口部22と、を有し、検出開口部21と接続開口部22との間の空間は接続されている。ユーザが吸引すると、空気圧ダクト2内に空気が流れ、それにより、検出開口部21の周囲の空気圧が変化し、センサが圧力変化を検出して、検知信号を主要アセンブリB内の制御モジュール(図示せず)に伝送し、それによって、ネブライザを制御してオンにする。同様に、使用の利便性を高めるために、空気圧ダクト2は収容アセンブリAを通過しない。
【0038】
換言すれば、コントローラは、コントローラがセンサから十分に大きな空気圧変化を検知することに応答して、アトマイザを自動的に起動して、流体を分注するように構成することができ、コントローラが十分に大きな空気圧変化をもはや検知しないことに応答して、アトマイザを自動的に起動解除して、流体の分注を停止するようにさらに構成され得る。十分に大きな空気圧変化は、ユーザがユーザピースを通して吸入することから生じる負の空気圧であり得る。いくつかの実施形態では、空気圧変化の絶対値が閾値を超過する場合、コントローラは、制御入力を(例えば、オン/オフすることによって)調整する。アトマイザのオン/オフの切り替えに加えて、またはその代替として、コントローラの一部の実施形態は、アトマイザが(例えば、検出された気圧変化に基づいて)治療用液体を微粒化し、分注する量/速度などを調整することができる。1つ以上の実施形態では、空気圧変化は負の値であるが、代替的に、トリガー側の空気圧変化(triggering air pressure change)は正の値であり得る(例えば、ユーザが息を吐くとき)。しかしながら、ユーザが息を吐くときにコントローラがトリガーされ得る実装例では、微粒化された流体の分注がユーザに不快感を与えないことを確実にするように、(例えば、分注タイミングまたは分注機構)の調整が行われる必要があることに留意されたい。いくつかの実装例では、閾値は35ミリバール(mbar)である。
【0039】
多くの実施形態では、ネブライザがオンになっているときの用途環境の違いにより、ネブライザシステムは、センサを自動的に(例えば、時期および場所の大気圧に等しい)中立のゼロ状態に較正することができる。
【0040】
さらに、異なる環境(例えば、異なる標高)ならびに各個々のユーザ(例えば、子供対年配者)の違いにより、空気圧トリガー閾値が調整可能であることが望ましい場合がある。1つ以上の実施形態では、コントローラCは、(例えば、ユーザが、簡略化のために示されない、ネブライザの主要本体上のボタンを起動することによって)構成モードに入り、構成モード中に、ネブライザ内の治療用液体の自動微粒化および分注をトリガーする閾値への調整を受信することができるようにさらに構成されている。いくつかの実装例によれば、調整可能な範囲は、10mbar~50mbarであり得る。本明細書では、典型的には、成人女性の場合、トリガー値は約35mbarであり、幼児の場合は10mbar、年配者の場合は20mbarであることが留意される。
【0041】
(上に記載される)空気圧変化を検知することに加えて、またはその代替として、コントローラの一部の実装例は、絶対空気圧読み取り値に基づいて、アトマイザをいかに制御するかを判定することができる。
【0042】
開示されるネブライザおよびそのノズルアセンブリは、上に紹介された様式で、薬物の生物学的利用能が低く、各個人の患者の異なる呼吸数に適応する能力に欠けるという従来のネブライザの欠点に取り組む。
【0043】
本明細書に例示される説明は、単に本開示のいくつかの例示的な実施形態を記述しているが、本開示の特徴は決してそれに制限されるものではない。当業者によって都合よく考慮されるすべての変更、改変、または修正は、添付の特許請求の範囲によって叙述される本発明の範囲内に包含されるとみなされる。