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  • 特許-電子式トルク工具の警告構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】電子式トルク工具の警告構造
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
B25B23/14 620J
B25B23/14 610B
B25B23/14 610K
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021188925
(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公開番号】P2022092583
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】109143722
(32)【優先日】2020-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511314186
【氏名又は名称】優鋼機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】謝 智慶
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-089966(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201113(JP,U)
【文献】登録実用新案第3208466(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0180126(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/00 - 23/159
B25F 5/00
B23P 19/06
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子式トルク工具の警告構造であって、
前端にワークヘッドを有するシャフトを有し、前記シャフトの後端にグリップ端を有する、工具本体と、
検出ユニット、処理ユニット及び少なくとも1つの表示ユニットを含む電子モジュールと、を含み、前記検出ユニットは前記工具本体のシャフトに設置されて、前記電子式トルク工具操作数値を検出することができ、前記処理ユニットは前記検出ユニット及び表示ユニットと電気的に接続され、前記検出ユニットにより検出されたデータが前記処理ユニットに送られた後、前記処理ユニットが操作数値を前記表示ユニットに送り、
各前記表示ユニットは前記操作数値を表示する少なくとも1つの表示セグメントを有し、前記検出ユニットにより検出された数値が所定値に達したとき、前記処理ユニットが回動信号を生成して各前記表示ユニット内の各前記表示セグメントの操作数値所定角度内で繰り返し往復回動させて、警告効果を生じさせる、警告構造。
【請求項2】
各前記表示ユニットは少なくとも2つの表示セグメントを有し、前記表示セグメントは各々が回動する、請求項1に記載の警告構造。
【請求項3】
各前記表示ユニットの前記セグメントの回動方向が同期回動である、請求項2に記載の警告構造。
【請求項4】
各前記表示ユニットの前記セグメントの回動方向が非同期回動である、請求項2に記載の警告構造。
【請求項5】
各前記表示ユニットの前記セグメントの回動方向が異なっている、請求項2に記載の警告構造。
【請求項6】
各前記表示ユニットは固定の表示セグメントをさらに含み、前記固定の表示セグメントは各前記表示ユニットが回動信号を受信したときに位置を保持し、回動することがない、請求項1又は2に記載の警告構造。
【請求項7】
各前記表示ユニットの表示セグメントの回動角度が90°である、請求項1又は2に記載の警告構造。
【請求項8】
各前記表示ユニットの各前記表示セグメントは、文字、又は数字のうちの1種類を表示する、請求項1又は2に記載の警告構造。
【請求項9】
前記シャフトの前端と後端との間の方向は前記シャフトの縦方向と定義され、前記表示セグメントは前記シャフトの縦方向に沿って配列される、請求項2に記載の警告構造。
【請求項10】
前記工具本体の操作数値はトルク値又は角度値である、請求項1に記載の警告構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手工具に関し、特に表示セグメントの角度が交互に切り替わることによって警告効果を増加させる、電子式トルク工具の警告構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示す既知の電子式トルク工具10は、工具11と電子ジュール12を有し、電子モジュール12はセンサ121、処理ユニット122及び表示ユニット123を有する。センサ121は工具11の所定位置に貼設されて工具11の変形量を感知することができ、さらに、センサ121は関連する検出数値を処理ユニット122に送り、表示ユニット123によって表示する。工具10が操作を行う過程中、設定したトルク値などの設定数値を超えた場合には、使用者が操作を続けるのを防ぐために、通常は表示ユニット123によって明度の変化や文字点滅などの警告が表示される。
【0003】
しかし、例えば数値の点滅などの表示ユニット123の表示効果については、通常は同じ文字又はパターンで点滅が繰り返され、点滅の形態が判然としないうえに、点滅の間隔中で数値に変化がなく、数値が点滅警告を行っていることに気づきにくい。そのため、使用者は操作する過程中、気づかないうちに設定したトルク値を超えて操作してしまいやすく、使用において困惑が生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、表示セグメントの表示角度を警告過程中に交互に切り替えることによって警告する構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明は電子式トルク工具の警告構造を提供するが、それは、
前端にワークヘッドを有するシャフトを有し、シャフトの後端にグリップ端を有する、工具本体と、
検出ユニット、処理ユニット及び少なくとも1つの表示ユニットを含む電子モジュールと、を含み、検出ユニットは工具本体のシャフトに設置されて、工具本体の操作数値を検出することができ、処理ユニットは検出ユニット及び表示ユニットと電気的に接続され、検出ユニットにより検出されたデータが処理ユニットに送られた後、処理ユニットが操作数値を各表示ユニットに送り、各表示ユニットは少なくとも1つの表示セグメントを有し、検出ユニットが提供する数値が所定値に達したとき、処理ユニットが回動信号を生成して各表示ユニット内の各表示セグメントに所定角度内で繰り返し往復回動させて、警告効果を生じさせる。
【0006】
好適には、各表示ユニットは、少なくとも2つの表示セグメントを有し、表示セグメントはシャフトの前後端に沿って縦方向に配列して構成され、各表示ユニット内の表示セグメントは各々表示角度が回動する。
【発明の効果】
【0007】
本発明が提供する電子式トルク工具の警告構造は、各表示ユニットの各表示セグメントの表示角度を繰り返し往復回動させることができ、これによって使用者に加力するトルクが設定値に達したことを明確に知らせることができ、良好な警告効果を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
審査官が本発明の目的、特徴及び達成される効果をより理解できるよう、以下では好ましい実施例を2つ挙げ、図面と合わせて詳しく説明する。
【0009】
図1】既知の電子式トルク工具におけるトルク値警告動作の概念図である。
図2】本発明の好ましい実施例の平面図である。
図3】本発明の好ましい実施例における電子モジュールの接続概念図である。
図4】本発明の好ましい実施例における電子式トルク工具の操作概念図である。
図5】本発明の好ましい実施例における電子式トルク工具のトルク値が設定値に達したときの第1警告動作の概念図である。
図6A】本発明の好ましい実施例における電子式トルク工具のトルク値が設定値に達したときの第1警告と第2警告の切り替わり動作の概念図である。
図6B】本発明の好ましい実施例における電子式トルク工具のトルク値が設定値に達したときの第2警告動作の概念図である。
図7A】本発明の好ましい実施例における電子式トルク工具のトルク値が設定値に達したときの別の第2警告動作の概念図である。
図7B】本発明の好ましい実施例における電子式トルク工具のトルク値が設定値に達したときの別の第2警告動作の概念図である。
図8】本発明の好ましい第2実施例における電子式トルク工具のトルク値が設定値に達したときの第1警告動作の概念図である。
図9】本発明の好ましい第2実施例における電子式トルク工具のトルク値が設定値に達したときの第2警告動作の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施例1
図2図5を参照して、本発明の好ましい実施例で提供する電子式トルク工具20は、以下を含む。
【0011】
工具本体30は、シャフト31及びワークヘッド32を有する。シャフト31の前端はワークヘッド32と接続され、シャフト31の後端はグリップ端311を形成している。ワークヘッド32とグリップ端311との間は縦方向として定義される。ワークヘッド32は、シャフト31によりアームに力を加えると生じる回転力作用を提供することができる。本実施例中ではラチェットヘッドであるが、限定されない。ワークヘッド32は既知の構造であり、ここでは説明を省略する。
【0012】
電子モジュール40は、工具本体30上に設置され、検出ユニット41、処理ユニット42及び表示ユニット43を有する。検出ユニット41は本実施例ではひずみゲージであるが、工具本体30のトルクや角度などの関連する操作数値を検出可能なその他の検出器でもよい。検出ユニット41は工具本体30のシャフト31に貼設され、シャフト31が力を受けたときに生じるひずみを検出することができる。処理ユニット42は検出ユニット41及び表示ユニット43と電気的に接続される。処理ユニット42は検出ユニット41の検出信号を受信し、計算後の操作数値(本実施例ではトルク値)を表示ユニット43に送って表示を行うことができる。また、処理ユニット42はさらに設定トルク値を設定することができ、検出ユニット41により検出されたトルク数値が設定トルク値に達したとき、処理ユニット42が回動信号を生成する。表示ユニット43中には3つの表示セグメント431、432、433が含まれており、表示セグメント431、432、433は工具の縦方向に沿って後端のグリップ端311から前端のワークヘッド32の方向に向かって設けられ、且つ指示セグメント436がグリップ端311に近い側に設けられており、表示セグメント431、432、433内にはそれぞれ3つの異なる位のトルク値が表示されており、それぞれ一の位、十の位及び百の位となっている。表示セグメントは、必要に応じてパターン、文字又は符合など様々に変化させて表示することも可能であり、限定されない。
【0013】
図2図4を参照して、工具本体30を使用する際、使用者はシャフト31のグリップ端311を把持し、ワークヘッド32に回転の力を加えることができ、ワークヘッド32に工作物を締結又は緩める動作を行わせることができる。工具本体30が加力する時、シャフト31にひずみが生じるが、検出ユニット41がシャフト31のひずみ量を検出して、検出した数値を処理ユニット42内に送ることができ、処理ユニット42が検出された数値を対応するトルク値に変換して、表示ユニット43内に送り、表示ユニット43の表示セグメント431、432、433が順にトルク値の数値の一の位、十の位及び百の位の数値を表示することにより、使用者が操作過程中に現在のトルク値を知り得るようにし、また指示セグメント436は使用したトルク単位を指示するか、又はその他の機能を指示することができる。
【0014】
図5図6A及び図6Bを参照して、検出ユニット41により検出された工具本体30の加力するトルク値が処理ユニット42の設定値(150N.mなど)に達したとき、処理ユニット42が回動信号を生成して表示ユニット43に与え、回動信号は表示ユニット43内の表示セグメント431、432、433内に表示されるトルク数値に所定角度内で繰り返し往復回動する表示を生じさせる。本実施例では、その回動角度は90°であり、且つ持続的に交互に表示させており、表示セグメント431、432、433に表示される数値が上述の回動角度内で繰り返し往復回動する変化によって警告の効果を生み出し、使用者が警告の効果をはっきりと認め、力を加えるのを止めることができるようにしている。図6Aを併せて参照されたい。表示セグメント431、432、433の回動角度は同期回動でよく、同じ角度位置に同時に回動させる。また、図7A及び図7Bに示す通り、表示セグメント431、433が同じ角度で回動し、もう1つの表示セグメント432は異なった角度を呈し、且つ交互に繰り返し往復回動するように変化させてもよい。
【0015】
実施例2
本発明が提供する電子式トルク工具の好ましい第2実施例である図8及び図9を参照して、その主な構造は前の実施例と同様であり、同一構造には同じ符号を用いており、説明を省略する。
【0016】
表示ユニット43内に表示セグメント434及び固定セグメント435を有しており、本実施例において、表示セグメント434は全てのトルク数値(即ち3桁の数値のトルク値)を表示することができる。固定セグメント435はトルク値が達している設定値のパーセンテージを表示しており、使用者が操作過程中にトルク値とトルク値が達しているパーセンテージを直接読み取れるようにしている。但し、表示セグメント434と固定セグメント435が表示する内容は限定されず、同じ操作数値を表示してもよい。処理ユニット42が受信する検出ユニット41により検出された工具本体30のトルク数値が設定トルク値に達したとき、処理ユニット42が回動信号を生成し、表示ユニット43の表示セグメント434内に表示される全ての操作数値に繰り返し往復回動する表示を生じさせる。同時に、固定セグメント435内に表示されるトルクのパーセンテージは100%と表示され、且つ回動することがなく、使用者に表示ユニット43の表示セグメント434の回動する変化による警告作用を得させるだけでなく、同時に固定セグメント435による数値の明確な読み取り作用を得させることができる。
【0017】
本発明が提供する警告構造は、処理ユニットが受信する検出ユニットにより検出された工具本体の加力する操作数値が設定値に達したとき、表示セグメント内の内容を繰り返し往復回動させることにより明確な警告効果を生じさせる。既知の警告構造の警告効果がランプ信号の変化や文字の点滅など、やや判然としないものに過ぎないのと比べ、本発明の警告作用は比較的大きな範囲で顕著に変化する警告作用を生じさせることができ、使用者が警告の変化作用をはっきりと認められるようにさせる。
【0018】
上述の実施例は本発明の技術手段の説明に過ぎず、限定するものではなく、本発明の等価的修正はすべて本発明の保護範囲に属すると解釈されるべきである。本発明の警告構造は本分野において新規の構造であり、実用的効果の向上を有しており、法に則りここに申請を提出する。
【符号の説明】
【0019】
10 電子式トルク工具
11 工具
12 電子モジュール
121 センサ
122 処理ユニット
123 表示ユニット
20 電子式トルクレンチ
30 工具本体
31 シャフト
311 グリップ端
32 ワークヘッド
40 電子モジュール
41 検出ユニット
42 処理ユニット
43 表示ユニット
431 表示セグメント
432 表示セグメント
433 表示セグメント
434 表示セグメント
435 固定セグメント
436 指示セグメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9