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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】MEMSパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B81B 7/02 20060101AFI20230424BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20230424BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230424BHJP
   G02B 26/02 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B81B7/02
H01L23/02 C
B81B3/00
G02B26/02 E
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021516936
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019053104
(87)【国際公開番号】W WO2020069089
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】62/737,084
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521005487
【氏名又は名称】IGNITE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】イシイ フサオ
(72)【発明者】
【氏名】ビクター ストーン
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 俊敬
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/147940(WO,A1)
【文献】特開2018-520893(JP,A)
【文献】特開2007-511790(JP,A)
【文献】特開2002-139679(JP,A)
【文献】特開2006-300976(JP,A)
【文献】米国特許第6661090(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0173812(US,A1)
【文献】国際公開第2008/108413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 3/00 - 7/06
B81C 1/00 - 99/00
H01L 23/02
G02B 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路が形成される基板を含むMEMS装置と、
前記電子回路を囲み、フレーム接着層によって前記基板に固定されるフレームと、
カバー接着層を用いて前記フレームに取り付けられ、前記電子回路を前記フレーム内に封入するカバーとを備え、前記フレーム接着層および前記カバー接着層のそれぞれが、少なくとも2つの金属接着層の間にはんだ層を含み、前記はんだ層がリフローされたはんだボールを含んでいる、
ことを特徴とする、微小電気機械システム(MEMS)パッケージ。
【請求項2】
請求項1において、
前記基板上に実装され、前記電子回路と共に封入された吸湿材料の層をさらに含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記電子回路に電気的に接続され、前記フレームの外側に実装されたパッドをさらに含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記MEMS装置はMEMS装置の配列を備えており、
各MEMS装置は、
前記基板上の電子回路と、
前記電子回路に電気的に接続された電極と、
可動素子であって、前記電極と前記可動素子との間に電圧を印加することにより制御される可動素子とを備える、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項5】
請求項1において、
前記カバーは紫外線を吸収するガラスを含んでいる、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項6】
請求項1または5において、
前記フレームは、ガラス、コバール、重量比が20%を超えるニッケルを含む鋼、またはこれら材料の組み合わせを含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項7】
請求項1または5において、
前記基板の少なくとも表面は、AlN、AlSO、シリコン、HfO、またはこれらの組み合わせが含まれている、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項8】
請求項1または2において、
前記金属接着層のそれぞれが、Ti、Ni、Pt、Au、Cr、またはこれらの組み合わせを含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項9】
請求項8において、
前記金属接着層のうちの少なくともいくつかは、Tiからなる第1の層と、Ptからなる第2の層と、Auからなる第3の層との3層を含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項10】
請求項1または2において、
前記はんだ層は5ミクロンよりも厚い、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項11】
請求項10において、
前記はんだ層は、Au、Sn、InSn、またはInの少なくとも1つを含む合金で形成される、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項12】
請求項1または2において、
前記はんだ層は、はんだボールを噴射した後、リフローすることにより形成される、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項13】
請求項12において、
前記はんだボールの高さは50ミクロンより大きい、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項14】
請求項1または2において、
前記カバーは、少なくとも400nm~700nmの波長の最小反射を有する反射防止層でコーティングされているガラスを含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項15】
請求項1または2において、
前記カバーは、赤外線および紫外線用の反射層でコーティングされているガラスを含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項16】
請求項2において、
前記吸湿材料は、アパタイト、ゼオライト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、チタニア、二酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、金属有機構造体、またはシリカゲルのうちの少なくとも1つを含む、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項17】
請求項1または2において、
前記カバー、前記フレーム、および前記基板は、N、および/または、不活性ガスで充填された封入空間を形成する、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項18】
請求項17において、
前記封入空間内の圧力が1気圧未満である、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項19】
請求項1または2において、
前記基板の底面に固定された吸熱源をさらに備える、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。
【請求項20】
請求項1または2において、
前記カバーは、前記基板表面に対して5度より大きく傾斜している、
ことを特徴とする、MEMSパッケージ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月26日に出願された米国仮特許出願第62/737084号に基づく優先権を主張するものであり、その開示内容をここに援用する。
【0002】
本開示は、微小電気機械システム(MEMS)装置を封入するためのパッケージに関する。
【背景技術】
【0003】
1または複数の機械的可動素子を有するMEMS装置は、乾燥雰囲気の確保を目的として、封入パッケージ内にパッケージ化されることが望ましい。場合によっては(例えば、機械的可動素子がストッパなどの別の表面に接触する場合)付着(stiction)のない動作を実現するために付着防止コーティング(anti-stiction coating)が必要とされることがある。また、冷却装置が含まれることもある。これらの要件を満たすパッケージは、高度で複雑なシステムになり得る。
【発明の概要】
【0004】
微小電気機械システム(MEMS)パッケージは、電子回路が実装される基板を含むMEMS装置と、前記電子回路を囲み、フレーム接着層によって前記基板に固定されるフレームと、カバー接着層によって、前記フレームに固定されたカバーとを備える。前記カバーは、前記電子回路を前記フレーム内に封入し、前記フレーム接着層および前記カバー接着層のそれぞれが、少なくとも2つの金属接着層の間にはんだ層を含んでいる。前記はんだ層は、リフローされたはんだボールを含んでいる。
【0005】
本明細書に教示される実施形態とこれらの実施形態および他の実施形態の変形例を、図を参照して以下に詳細に説明する。
【0006】
本開示は、添付の図面と併せて読まれるとき、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的プラクティスによれば、図面の種々の特徴が実寸大ではないことを強調しておく。それどころか、様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大または縮小されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本明細書に教示されるMEMSパッケージの第一実施例を示す側面図である。
図2図1のMEMSパッケージの斜視図である。
図3】本明細書に教示されるMEMSパッケージの製造におけるはんだ付けステップの結果を示す図である。
図4図3に示すはんだ付けステップの後に発生するリフローステップの結果を示す図である。
図5図1に示すMEMSパッケージの側面図であって、投影レンズに関する反射光を示す図である。
図6】本明細書に教示されるMEMSパッケージの第二実施例を示す側面図であって、投影レンズに対する反射光を示す図である。
図7図6のMEMSパッケージの斜視図である。
図8】吸熱源を含む図1のMEMS装置を示す側面図である。
図9】本明細書において記載されるMEMSパッケージに収容可能なMEMS装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
MEMS装置用のパッケージ(ここではMEMSパッケージとも称す)内において乾燥雰囲気を確保する方法の1つは、気密封止を利用することである。揮発性の有機化合物(VOC)を避けるために、気密封止には金属シールが含まれていてもよい。薬剤による金属化、真空蒸発、または、スパッタリングによって金属シール用の金属接着層を設けてもよい。シール表面の平面度は、緊密なシール形成のために、金属接着層の厚みよりも小さくならなければならない。しかしながら、金属接着層の厚みは5ミクロン(例えば1~2ミクロン)の場合がある。金属接着層の厚みより小さい平坦シール表面を形成するのは困難であり、コストがかかる。本明細書の教示内容には、低コストで製造可能な、比較的粗い表面の気密封止を可能にするMEMSパッケージが記載される。
【0009】
図1は、本明細書に教示されるMEMSパッケージ1000の第一実施例を示す側面図であり、図2は、図1のMEMSパッケージ1000の斜視図である。全体として、MEMS装置(MEMS基板1010とも称す)のカバー1001、フレーム1003、半導体基板1010は、接着層1002、1007によって気密封止され、1または複数の電子回路用の封入空間を形成する。封入空間は、Nまたは不活性ガスで満たされていてもよい。封入空間内の圧力は、1気圧(atm)未満であってもよい。
【0010】
MEMS装置1009は、MEMS基板1010上に形成される。MEMS基板1010は、MEMS装置1009の1または複数の駆動回路を支持する相補形金属酸化膜半導体(CMOS)基板であってもよい。MEMS装置1009は、ディスプレイに形成されるMEMS装置の配列を備えていてもよい。可能な実装形態の数、および個々の構成部品の相対的なサイズによって、図1にはMEMS装置1009が詳細には図示されていない。MEMS装置1009の実施例については、図9のMEMS装置101を参照して説明する。
【0011】
MEMS装置101は、基板111を有する。基板111には、少なくとも1つの電子回路が実装されており、本実施例において前記電子回路は1または複数のトランジスタ116、117である。また、基板111には、層間誘電体112、113、114が形成されている。具体的には、層間誘電体112は、基板111および電子回路の一部(ここではトランジスタ116、117)に形成されている。層間誘電体113は、層間誘電体112上に形成され、層間誘電体114は層間誘電体113上に形成されている。層間誘電体の数はこれよりも多くても少なくてもよい。本明細書において、層間誘電体を絶縁層と称することもある。層間誘電体114上、すなわち基板から最も遠い層(例えば、トップ)には、エッチング停止層115が形成されている。基板の少なくとも表面には、窒化アルミニウム(AIN)、アルミナ(AISO)、シリコンまたは酸化ハフニウム(HfO)が含まれていてもよい。
【0012】
MEMS装置101は、層間誘電体112、113、114間の電気配線用に、金属層136、137、138、139、140、141と、電極121、122、123とを有する。また、MEMS装置101は、電気配線と電極とを接続するビア127、128、129、130、131、131、132、133、134、135を有する。つまり、MEMS装置101は、エッチング停止層115に実装された1または複数の電極を有しており、これら電極は、層間誘電体によって絶縁された金属層とビアを介して、MEMS装置101の1または複数の電子回路と電気的に接続される。本明細書に教示されるMEMS装置における電極、金属層、ビアの数はMEMS装置101内の電子回路およびこれらの配置に基づいて変更可能である。
【0013】
図1に示すように、ビア127は、エッチング停止層115上に形成される電極121から、層間誘電体114を通って、層間誘電体114上に形成される金属層136への導電経路を提供する。ビア128は、層間誘電体114上に形成される金属層136から、層間誘電体113を通って、層間誘電体112上に形成される金属層137への導電経路を提供する。ビア129は、層間誘電体112上に形成される金属層137から、層間誘電体112を通って、基板111への導電経路を提供する。ビア127、128、129、金属層136、137、および電極121は、基板111、層間誘電体113、および層間誘電体114の接点を介して電子回路へ電気的に配線または接続されていてもよい。
【0014】
同様に、ビア130は、エッチング停止層115上に形成される電極122から、層間誘電体114を通って、層間誘電体114上に形成される金属層138への導電経路を提供する。ビア131は、層間誘電体114上に形成される金属層138から、層間誘電体113を通って、層間誘電体112上に形成される金属層139への導電経路を提供する。ビア132は、層間誘電体112上に形成される金属層139から、層間誘電体112を通って、基板111への導電経路を提供する。ビア130、131、132、金属層138、139、および電極122は、基板111、層間誘電体113、および層間誘電体114の接点を介して電子回路へ電気的に配線または接続されていてもよい。
【0015】
ここで、図1には、電極と電子回路との接続として、電極123と1または複数のトランジスタ116、117の接点との接続が示されている。ビア133は、エッチング停止層115上に形成される電極123から、層間誘電体114を通って、層間誘電体114上に形成される金属層140への導電経路を提供する。ビア134は、層間誘電体114上に形成される金属層140から、層間誘電体113を通って、層間誘電体112上に形成される金属層141への導電経路を提供する。ビア135は、層間誘電体112上に形成される金属層141から、層間誘電体112を通って、1または複数のトランジスタ116、117それぞれへの導電経路を提供する。ビア133、134、135、および金属層140、141を介して、電極123は、層間誘電体113、および層間誘電体114の接点において電子回路と電気的に配線または接続することができる。
【0016】
さらに、MEMS装置101は、電極122に直接実装された、或いは、電極122に実装された別の導電性支持構造に形成されたヒンジ152を有する。導電性支持構造は、本実施例を示す各図に示すように、電極122と同じ材料から形成されていてもよい。MEMS装置101は、ヒンジ152の上側に形成されたミラー素子151を有する。本実施例において、ミラー素子151は、MEMS装置に組み込まれ得る可動素子である。一方、ヒンジ152の下部には機械的ストッパ153、154が形成されている。図示される機械的ストッパ153、154は、ヒンジ152と同一の材料から一体的に形成されており、ヒンジ152は、既定の、または非励起位置にあるミラー素子151と平行であり、基板111の実装面および各層に対して平行に延在する。
【0017】
基板111は、単結晶シリコンまたは別の基板材料で形成されている。本実施例において、トランジスタ116、117はCMOSトランジスタであるが、他の電子回路であってもよい。層間誘電体112、113、114は、二酸化シリコン(SiO)または他の適切な絶縁性材料を含む層間絶縁膜である。
【0018】
金属層136、137、138、139、140、141は、例えば、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、またはアルミニウム銅合金(Al-Cu)からなる。
【0019】
電極121、122、123は、タングステン(W)またはビアと同じ材料からなる。各ビア127、128、129、130、131、131、132、133、134、135は、MEMS装置101の少なくとも一層を貫通して延在する貫通孔として形成されており、導電性材料(本実施例ではタングステン(W))が充填されている。さらに、製造中に、ビア127、130、133、およびエッチング停止層115との間にはギャップ124、125、126が形成されることがある。これらギャップは、後に使用されるエッチング液がこれらギャップに浸透し構造に損傷を与える可能性があり問題となる。この問題を軽減するために、ビア127の半径をrとした場合、エッチング停止層115が、電極121によって覆われる距離xが、rの2倍を超えていることが望ましい。エッチング停止層上に実装される各電極についても、エッチング停止層を貫通するビアの半径rとエッチング停止層に実装される電極の長さ、または距離xとの関係が同様であることが望ましい。
【0020】
電極122などの電極がエッチング停止層115などのエッチング停止層に実装されている構造において、その関係は、上述のとおり電極がエッチング停止層を覆う距離xがrの2倍を超えている。電極は当該電極が実装される表面に沿った長さ、サイズまたは寸法(例えば、長さ、幅、半径)が、当該電極が電気的に接続されるビアの半径の少なくとも2倍であると言うこともできる。
【0021】
すなわち、例えば、エッチング停止層115を覆う電極121、122、123は、それぞれが接続されるビアの半径の2倍以上の大きさを有することが望ましい。これにより、エッチング液の蒸気が、(i)電極121、122、123およびエッチング停止層115を貫通すること、および(ii)ギャップ124、125、126を通して層間誘電体114を侵食することを防止する。
【0022】
ヒンジ152は、ミラー素子151を支持する変形可能な部材である。ヒンジ152は、例えば、非晶質シリコンやポリシリコンなどの材料で形成される。
【0023】
ミラー素子151は、光源からの光を反射可能な部材である。ミラー素子151は、チタン(Ti)、タングステン(W)等からなる支持層と、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)等の反射率の良い材料、またはこれらの組み合わせからなるミラー層とを有する。
【0024】
ミラー素子151は電極123に静電吸着され、ヒンジ152は、変形することによりミラー素子151のオン位置に傾斜する。これは、基板111上に形成された電子回路(例えば、トランジスタ116、117)および一般的にその他の場所に実装される電圧源によって、可動素子(例えば、ミラー素子151)と電極123との間に電圧を印加することから生じ得る。電圧によって吸着力が発生する。ミラー素子151は、ストッパ153と接触することによって、絶縁層で覆われていない電極123と接触しないようになっている。すなわち、ヒンジ152の変形によってミラー素子151が電極123と接触することのないように、機械的ストッパ153、154は、電極121、123上方(高さ)に実装され、充分なサイズ(例えば長さ)を有する。例えば、機械的ストッパ153、154の長さは、ミラー素子151が傾いた際に、ミラー素子151に接触し、MEMS装置のその他の部位にミラー素子151が接触することを防止する長さとなっている。ヒンジ152の変形により、ミラー素子151が電極123に接触することを防止する。これにより、電気的な短絡を防止することができる。本実施例において、機械的ストッパ153、154は、ヒンジ152と同じ材料から形成されているため、わずかに変形する。しかし、当該変形は無視してもよく、或いは、機械的ストッパ153、154の長さや実装高さを決定する際に考慮してもよい。電圧の印加がされなくなると、ヒンジ152は、図9に示すミラー素子151のオフ位置に戻る。
【0025】
図9には、MEMSパッケージ1000に封入されるMEMS装置の一例として、単一の可動素子を有するMEMS装置101が示されており、基板111は図1の基板1010に対応する。しかしながら、本明細書に記載されるMEMS装置は、複数の可動素子を含んでいてもよい。例えば、MEMS装置が表示装置で使用され、可動素子がミラーである場合、MEMS装置1009が数多くのミラー(例えば、100万個)を含み、それぞれが、相互に接続された1または複数の基板111に配列されたMEMS装置101と同様な構造で電気的接続されていてもよい。
【0026】
また、別の実施形態によるMEMS装置101がMEMS装置1009に組み込まれていてもよい。例えば、エッチング停止層115は、電極121、122、123の下ではなく、電極121、122、123の上に形成されていてもよい。これにより、ヒンジ152の変形によるミラー素子151の傾きが、AlNまたは酸化アルミニウム(Al)からなり電気的短絡を防止可能な絶縁膜であるエッチング停止層115に接触することで制限され、図9に示す機械的ストッパ153、154を任意で省略することができる。機械的ストッパを含む場合、機械的ストッパ153、154とは異なる形状、数、配置としてもよい。例えば、1または複数のストッパは、ヒンジ152の変形によって、ミラー素子151が、電極またはエッチング停止層115或いはその両方と接触することを防止するのに充分な高さまで、エッチング停止層115を介して基板111上面から、直角に延在していてもよい。
【0027】
MEMS装置1009は、MEMS装置101について記載した構成と同一のまたは異なる構造の組み合わせを有し、ディスプレイに形成されるMEMS装置の配列を備えていてもよい。
【0028】
再度図1および図2を参照すると、フレーム1003は、MEMS装置1009を囲み、接着層1007によってMEMS装置1009のMEMS基板1010に封止される少なくとも1つの壁を有する。MEMS基板1010の表面には、吸湿材料からなる1または複数のストリップ(以下、ゲッタ1008と称す)が堆積されていてもよい。ゲッタ1008は、MEMS装置1009から離れて形成されていてもよい。吸湿材料は、アパタイト、ゼオライト、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、チタニア、二酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、金属有機構造体、またはシリカゲルのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0029】
図2の実施例から分かるように、フレーム1003は、矩形管状に形成されていてもよい。フレーム1003の形状は、四角形の管、シリンダ、またはその他の形状であってもよく、MEMS装置1009、および(ある場合は)ゲッタ1008を囲むのに充分な大きさ(例えば、幅)を有していてもよい。フレーム1003は、例えば、約20mm×16mmであってもよい。フレーム1003の壁は、少なくとも、MEMS装置1009の動作の如何なる段階においても、MEMS装置1009の構成部品がカバー1001に接触しない高さとなっている。例えば、MEMS装置がMEMS装置101の配列を有する場合、フレーム1003の壁は、ミラー素子151がオン状態位置に傾斜した際に、ミラー素子151の縁部がカバー1001に接触することのない充分な高さとなっている。高さは、少なくとも5ミクロンであり、より好ましくは10ミクロンを超えた高さである。
【0030】
カバー1001は、透明または半透明の材料で作られてもよい。いくつかの実装形態において、カバー1001はガラスを含み、強化ガラスであってもよい。ガラスは紫外線(UV)を吸収するものであってもよい。ガラスは、少なくとも400nm~700nmの波長の最小反射を有する反射防止層でコーティングされてもよい。ガラスは、赤外線(IR)および紫外線(UV)用の反射層でコーティングされてもよい。カバー1001は、平面シートであってもよい。いくつかの実装形態において、カバー1001は、厚さ約1mmであってもよい。カバー1001は、フレーム1003の形状に合わせた形状とすることができる。例えば、カバー1001は、長方形、正方形、円形、またはその他の形状をしていてもよい。カバー1001は、フレーム1003の上部開口部全体を覆うのに充分な大きさであってもよく、接着層1002を使ってフレーム1003とともに封止するリップを提供してもよい。カバー1001の外形寸法は、フレーム1003の外形寸法より大きくてもよい。フレーム1003の材料に求められることは、カバー1001を支持できる強度と、カバー1001およびMEMS基板1010にシール面を提供できる充分な幅のみである。しかしながら、フレーム1003は、緊密なシール性を維持するためにカバー1001と同様の熱膨張係数を有する材料からなることが好ましい。したがって、カバー1001がガラスからなる例において、フレーム1003は金属またはコバール等の金属合金で形成されていてもよい。フレーム1003はまた、重量比で20%を超えるニッケルを含有するガラスもしくは鋼、またはこれらの材料の組合せを含むことができる。フレーム1003の幅に関しては、少なくとも塗布されるはんだ(後述)と同じ幅であるべきであり、例えば、約200~300ミクロンである。
【0031】
MEMS装置1009の電子回路(例えば、CMOS)の複数のパッド1005は、フレーム1003の外側に配置されている。したがって、パッド1005はシールの外側に位置する。図1および図2では、MEMS基板1010に直接固定されているが、パッド1005は、ソケットによって接続されていてもよく、或いは、はんだバンプ1004によってPCボードやフレキシブルPCボードに直接はんだ付けされていてもよい。はんだバンプ1004、および以下に説明するものは、Au、Sn、InSn、またはInの少なくとも1つを含む合金から形成されていてもよい。複数のパッド1005は、MEMS基板1010に実装された配線部分、および、電子回路制御用にMEMSパッケージ1000外部の電圧源および/または電流源に接続されていてもよい。例えば、MEMS装置1009が、MEMS装置101を含むMEMSの配列である場合、配線部分は、MEMS装置101それぞれのトランジスタ116、117に信号を送るMEMS基板の表面に配列を形成してもよい。複数のパッド1005は、ミラー素子151および電極に電圧を印加するために配線部分やMEMSパッケージ1000外部の電圧源に接続されていてもよい。
【0032】
ここで図3および図4を参照すると、本明細書に教示されるMEMSパッケージのある製造ステップが示されている。具体的には、接着層1007の形成が示されている。接着層1002、1007のそれぞれは、はんだ層を挟む少なくとも2つの金属接着層を含む少なくとも3つの層を含む。
【0033】
図3は、MEMSパッケージ1000等のMEMSパッケージの製造における、はんだ付けステップの結果を示す図である。具体的には、パッケージされるMEMS装置用のMEMS基板3001に、金属接着層3002を塗布する。金属接着層3002は、フレーム1003等のフレームの壁の形状に合わせて形成される。本実施例では、金属接着層3002は長方形の外形を形成するように塗布される。薬剤による金属化、真空蒸発、または、スパッタリングによって金属接着層3002を設けてもよい。金属接着層3002の厚みは5ミクロン(例えば、1~2ミクロン)であってもよい。その後、はんだ付けステップでは、はんだボールを塗布して、金属接着層3002の表面にはんだバンプ3003を形成する。はんだボールは、例えば、インクジェットプリンタからの噴射によって形成されてもよい。本実施例において、形成されるはんだバンプ3003は、厚さが約50~100ミクロンであってもよい。これ以外の厚さも可能である。
【0034】
図4は、MEMSパッケージの製造における、リフローステップの結果を示す図である。リフローステップは、はんだ付けステップの後に行われる。すなわち、図3のはんだバンプ3003は、加熱(例えば、溶融)により、リフローされてはんだ層4003を形成する。はんだ層4003は、平坦で連続していることが好ましい。一実施例において、はんだ層4003は厚さが5ミクロンである。別の実施例において、はんだ層4003はより厚く、厚さ数十ミクロンである。リフローの後、はんだ層4003は、例えば、10~30ミクロンであってもよい。
【0035】
リフローステップの後、はんだ層4003および金属接着層3002の露出した部分に、別の金属接着層を塗布してもよい。その後、フレーム1003等のフレームは、比較的厚みのある接着層に実装され、MEMS基板3001に封止される。カバーをフレームに封止する接着層も同様に形成してよい。例えば、接着層1002は、金属接着層3002と同様に、第1の金属接着層を塗布することによって、フレーム1003の上方に面する縁部(すなわち、MEMS基板1010とは反対の方向に面する縁部)に形成され、その後図3を参照して記載したはんだ付けステップを行ってもよい。形成されたはんだバンプを、リフローすることにより接着層1002のはんだ層が形成されてもよい。最後に第2の金属接着層を形成して接着層1002を仕上げてもよい。その後、カバーを比較的厚みのある接着層に実装して、フレームに固定させてもよい。
【0036】
場合によっては、接着層1002、1007の第1の金属層および第2の金属層のそれぞれは個別の層から形成されてもよい。含まれる層の数に関わらず、接着層1002、1007を形成する金属接着層とはんだ層の材料は、これらが接触する材料と確実に接着するものを選択するべきである。はんだは、共晶金錫(AuSn)などの金合金とすることができる。接着層1002、1007の第1の金属層および第2の金属層はそれぞれ、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、金(Au)、クロム(Cr)、またはこれらの混合材料から形成されていてもよい。一実装形態において、第1の金属層および/または第2の金属層は、2層または3層で形成されていてもよい。例えば、2層で形成する場合、第1の層はCrで形成され、第2の層はAuで形成されていてもよい。得られた第1の金属層および/または第2の金属層は、以下Cr/Auで形成されていると表現することがある。
【0037】
接着層1002が3層からなる場合、第1の層はTi等、カバー1001の材料(例えば、ガラス)と良好な接着力を有する材料で形成され、第3の層はAu等、はんだ層4003と良好な接着力を有する材料で形成され、第2の層はPt等、第1および第3の層と良好な接着力を有する材料で形成されていてもよい。得られた第1の金属層および/または第2の金属層は、以下Ti/Pt/Auで形成されていると表現することがある。
【0038】
接着層1007の材料および構造は、接着層1002の材料および構造と同じであるが、パッケージによっては、接着層1007の材料が接着層1002の材料と異なるものであってもよい。接着層1007は、MEMS基板1010、3001の表面の材質によって異なっていてもよい。例えば、接着層1007が3層からなる場合、MEMS基板1010、3001に隣接する層が異なっていてもよい。MEMS基板1010、3001がAlN、Al、またはシリコンの場合、隣接する層の材料はTiとすることができる。接着層1007の第1の金属層、および/または接着層1007の第2の金属層は、Ti/Pt/Auで形成されていてもよく、上述した、3層からなる接着層1002の場合の層と同様である。
【0039】
上述のMEMSパッケージ1000の構造では、金属接着層の上部に、比較的厚みのあるはんだ層が使用されており、別の金属接着層との間に挟持される。この構造により、低コストで、比較的粗い表面の気密封止を実現することができる。この構造はまた、少なくとも2つの金属接着層を含むことにより、VOCを除去する。
【0040】
上述のMEMSパッケージ1000の構造によって多くの利点がもたらされる一方で、本明細書の教示による代替構造も可能である。例えば、まず図5を参照して代替構造について説明する。図5は、投影レンズ5013を介してスクリーンに画像を投射するMEMSディスプレイとして利用されるMEMSパッケージ1000が示されている。この構成において、カバー1001の表面は基板1010と平行である。
【0041】
入射光ビーム5011が、MEMSパッケージ1010内に実装されるMEMS装置1009の表面に投射される。本実施例において、MEMS装置1009はピクセル配列を備える。結果として(例えば、ミラー素子151の切り替えから)得られる反射画像は、矢印5014の方向に伝達される。MEMS装置1009はまた、入射光ビーム5011の一部を矢印5015の方向に回折する。入射光ビーム5011は、MEMS装置1009の表面に到達するために、カバー1001にも投射される。カバー1001は、透明であったとしても、入射光の一部を概ね矢印5012の方向に反射する。これは、表面が1または複数の反射防止層でコーティングされていても発生する。例えば、反射防止コーティングがされていても、0.3%~0.6%の範囲の反射率となる場合がある。これによって、画像のコントラストが低下する。中には、1万対1、または2万対1のコントラスト比を主張する製造業者もいる。入射光の0.3%、すなわち反射された光全体が投影レンズ5013に入射すると、コントラスト比は300対1にまで低減し得る。
【0042】
図6は、本明細書に教示されるMEMSパッケージ6000の第二実施例を示す側面図であり、カバー6001による不要な反射を削減する構成が示されている。図7は、図6のMEMSパッケージ6000の斜視図である。MEMSパッケージ6000の構造は、MEMSパッケージ1000と実質的に同様であってもよい。
【0043】
すなわち、MEMS装置(以下、MEMS基板6010とも称す)のカバー6001、フレーム6003、および半導体基板6010は、接着層6002、6007によって気密封止される。カバー6001の材料および構造は、カバー1001について記載したものと同一であってもよく、接着層6002、6007の構造および材料は、接着層1002、1007について記載したものと同一であってもよい。フレーム6003は、以下に詳述するように、フレーム1003と同一の材料からなり、フレーム1003と実質的に同様の構造を有していてもよい。
【0044】
MEMS装置6009は、MEMS基板6010上に形成される。MEMS基板6010は、MEMS装置6009の1または複数の駆動回路を支持するCMOS基板であってもよい。MEMS基板6010の構造と材料は、MEMS基板1010について記載したものと同一のものであってもよい。MEMS装置6009は、図9のMEMS装置101および図1のMEMS装置1009について上述した実施例等のMEMS装置の1つまたは配列を含んでいてもよい。
【0045】
フレーム6003内のMEMS基板6010の表面には、1または複数の吸湿材料からなるストリップ(以下、ゲッタ6008と称す)が堆積され、ゲッタ6008は、MEMS装置6009とともに気密封止されていてもよい。ゲッタ6008の構造と材料は、ゲッタ1008について記載したものと同一のものであってもよい。
【0046】
MEMS装置6009の電子回路(例えば、CMOS)の複数のパッド6005は、フレーム6003外部のMEMS基板6010にそれぞれはんだバンプ6004を用いて直接固定されていてもよい。パッド6005およびはんだバンプ6004の構造と材料は、パッド1005およびはんだバンプ1004について記載したものと同一のものであってもよい。すなわち、例えば、パッド6005は、ソケットによって接続されていてもよく、或いは、はんだバンプ6004によってPCボードやフレキシブルPCボードに直接はんだ付けされていてもよい。複数のパッド6005は、MEMSパッケージ1000に関する記載と同様に、MEMS基板6010に実装された配線部分、および、電子回路制御用にMEMSパッケージ6000外部の電圧源および/または電流源に接続されていてもよい。
【0047】
フレーム1003と同様に、フレーム6003は、MEMS装置6009と任意でゲッタ6008とを囲み、接着層6007によってMEMS装置6009のMEMS基板6010に封止され、接着層6002によってカバー6001に封止される少なくとも1つの壁を有する。フレーム6003の形状は、四角形の管、シリンダ、またはその他の形状であってもよく、MEMS装置6009、および(ある場合は)ゲッタ6008を囲むのに充分な大きさ(例えば、幅)を有していてもよい。フレーム6003の壁は、少なくとも、MEMS装置6009の動作の如何なる段階においても、MEMS装置6009の構成部品がカバー6001に接触しない高さとなっている。例えば、MEMS装置が、図9に示されるようにMEMS装置101の配列を有する場合、フレーム6003の壁は、ミラー素子151がオン状態位置に傾斜した際に、ミラー素子151の縁部がカバー6001に接触しない最小高さとなっている。
【0048】
フレーム1003とは異なり、フレーム6003は、カバーがMEMS基板の表面と平行になるように同じ高さまで延在していない。この違いは、MEMSパッケージ6000の、矩形管状のフレーム6003の例を示す図6および図7を再度参照することにより理解できるであろう。矩形管は、最小高さである第1の縁部と、これに対向し最大高さを有する第2の縁部とを有し、対向する傾斜した縁部が第1の縁部と第2の縁部との間に延在する。
【0049】
図5に示されるように、MEMSパッケージ6000は、投影レンズ6013を介してスクリーンに画像を投射するMEMSディスプレイとして利用されてもよい。入射光ビーム6011が、MEMSパッケージ6010内に実装されるMEMS装置6009の表面に投射される。本実施例において、MEMS装置6009は、ピクセル配列を備える。例えば、ピクセル配列は、図9のMEMS装置101に関して説明したように、複数のミラー素子151およびこれらに関連する電子機器を備えていてもよい。ミラー素子151をオン位置とオフ位置とで切り替えることによって得られる反射画像は矢印6014の方向に伝達される。MEMS装置6009は、依然入射光ビーム6011の一部を矢印6015の方向に回折する。
【0050】
入射光ビーム6011は、MEMS装置6009の表面に到達するために、カバー6001にも投射される。カバー1001のように、カバー6001は、入射光の一部を概ね矢印6012の方向に反射する。しかし、本実施例では、矢印6012の方向は、カバー6001の角度(例えば、スロープ、傾斜等)により、図5に示す矢印5012の方向とは異なる。具体的に、カバー6001の傾斜角度は、反射光の方向を投影レンズ6013から離れる方向にする。すなわち、反射光の方向は、殆どが投影レンズ6013から離れる方向となる。これによって、いくつかの実装形態におけるMEMSパッケージ1000と比較して、コントラスト比が向上する。
【0051】
カバー6001の斜面または傾斜角は平行より上であり、つまりフレーム6003の寸法は、MEMS装置6009の構造に依存する。例えば、MEMS装置101の配列を利用するMEMS装置6009の一実装形態において、カバー6001はミラー素子151の傾斜角まで、但し、反対方向に傾斜してもよい。図6および図9を参照して、図9に示される方向のMEMS装置101は、図6に示される方向のMEMSパッケージ6000内に実装されており、ミラー素子151のオン位置は、ミラー素子151がストッパ153、154の一つに接触する位置である。本実施例では、ミラー素子151の傾斜は、図6の右側に向かって下がり、オン位置のストッパ153と接触するようになっている。したがって、カバー6001の傾斜は図6の左側となる。カバーは、基板表面に対して5度より大きく傾斜することが好ましい。
【0052】
図8には、本明細書に教示されるMEMSパッケージの別の変形例が示されている。MEMS装置の従来のパッケージは、冷却が困難な場合がある。そのようなパッケージは、例えば、シリコンMEMSチップとの接続のためのセラミック基板と、MEMSチップの電子機器を制御するプリント回路基板(PCB)が備える場合が多い。内部回路を有するセラミック基板は、コストが高い場合が多い。また、熱伝導度が金属ほど良くない。本明細書に記載されるMEMSパッケージは、このような設計において、コストを抑えつつ熱伝導度を改善することができる。
【0053】
図8に示す実施例のように、熱伝導性接着剤8002は、吸熱源8004をMEMS基板1010に固定する。これは、MEMS基板1010の裏面に対して直接取り付けられている。裏面は、MEMS基板1010の上面(例えば、実装面)とは反対側、または底面と称されることもある。上面は、MEMS基板1010のカバー1001に対向する表面である。カバー1001とフレーム1003は、MEMS基板1010に直接封止されており、電気的接続用のパッド1005が気密封止の外側に露出しているため、吸熱源8004を直接取り付けることが可能となる。この構造によって、MEMS装置1009を直接吸熱源8004に接触させることが可能になる。これにより、セラミック基板を有するパッケージよりも高い熱流が確保される。
【0054】
図8では、吸熱源8004が、MEMSパッケージ1000の一部としてMEMS基板1010に取り付けられているが、吸熱源8004は、本明細書に教示する如何なるMEMSパッケージに取り付けられていてもよい。例えば、熱伝導性接着剤8002によって吸熱源8004をMEMS基板6010に固定してもよい。
【0055】
特定の実施形態に基づいて本発明を説明してきたが、この開示を限定として解釈されるべきでないことを理解されたい。様々な変更形態や修正形態は、本開示に係る当業者にとって明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にあるすべての変更および修正を包含するものと解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9