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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】サニタリーショーツ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/74 20060101AFI20230424BHJP
   A61F 13/70 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61F13/74 100
A61F13/70
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022176582
(22)【出願日】2022-11-02
【審査請求日】2022-11-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305013297
【氏名又は名称】森本 敏子
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100222324
【弁理士】
【氏名又は名称】西野 千明
(72)【発明者】
【氏名】森本 敏子
(72)【発明者】
【氏名】村上 靖子
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-328201(JP,A)
【文献】特開2003-171802(JP,A)
【文献】特開2006-212064(JP,A)
【文献】特開2002-330996(JP,A)
【文献】特表平07-509163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/66-13/82
A61F5/44
A41B9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショーツ本体のクロッチ部の内側に、吸収性物品装着用のクロッチ片を有するサニタリーショーツであって、前記クロッチ片は前端のみが前記ショーツ本体に固着され、前記クロッチ片を前記クロッチ部に倒した状態において、前記クロッチ片の後端が前記クロッチ部上におよそ位置することを特徴とするサニタリーショーツ。
【請求項2】
前記クロッチ片は、左右略中央で前後方向に延在して吸収性物品の所定位置を隆起させる立体部を有することを特徴とする請求項1に記載のサニタリーショーツ。
【請求項3】
前記クロッチ片は、前記クロッチ部と対向する裏面に滑り止め部を有することを特徴とする請求項2に記載のサニタリーショーツ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のサニタリーショーツに吸収性物品を装着する方法であって、前記サニタリーショーツのクロッチ片の後側を引き上げた状態で、前記クロッチ片に吸収性物品を付着し、前記クロッチ片と吸収性物品をともにショーツ本体に近接させることを特徴とするサニタリーショーツの吸収性物品装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性物品を装着するサニタリーショーツに関する。
【背景技術】
【0002】
生理用ナプキン等の吸収性物品を装着するショーツとして、例えば特許文献1は、ショーツ本体のクロッチ部(外側股下布)の内側に、ショーツ本体に前後端を縫合したクロッチ片(内側股下布)を備えるショーツであり、クロッチ部とクロッチ片の間でクロッチ片の裏面にナプキンのウイング部を止着できる。
特許文献2は、クロッチ部とクロッチ片の間に立体片を配置した状態で左右両側縁も互いに縫合してあり、クロッチ片上に吸収性物品を装着してショーツを着用すると、立体片により吸収性物品がショーツ着用者の身体形状にフィットしやすいものである。
【0003】
従来のショーツは、特許文献1、2に開示するように、クロッチ部にほぼ平行な状態のクロッチ片に吸収性物品を装着する。
すなわち、ショーツ着用者が便座に座った状態などで、ショーツの底部に位置するクロッチ片及びクロッチ部に向かって大きく上半身を前方に傾け、ショーツの底部まで手を伸ばして吸収性物品の取り付けや、取り外しをしなければならない。
そのため、身体機能に不自由があったり、年齢などによっては、ショーツ着用者が自分で吸収性物品の装着や除去が困難であった。
また、ショーツの底部は目の位置からも離れているために見づらく、狭い個室トイレなどでは上半身を傾けた自身の影でショーツの底部が暗くなり、吸収性物品をショーツの適正な位置に貼り付けられない場合や、交換などに時間を要する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3818871号公報
【文献】特許第3986302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ショーツ着用者が吸収性物品の装着や交換、除去をしやすいサニタリーショーツの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るサニタリーショーツは、ショーツ本体のクロッチ部の内側に、吸収性物品装着用のクロッチ片を有するサニタリーショーツであって、前記クロッチ片は前端のみが前記ショーツ本体に固着されていることを特徴とする。
このようにクロッチ片の前端のみがショーツ本体に固着されていることで、クロッチ片の後側を引き上げることができる。
これにより、クロッチ片をショーツの底部からショーツ着用者の上半身に近づけることができ、クロッチ片に吸収性物品を取り付けやすくなる。
また、クロッチ片とクロッチ部の間に手を入れてクロッチ片を持ち上げることで、取り付けた吸収性物品も一緒にショーツ着用者の上半身に近づくため、クロッチ片からの取り外しもしやすい。
【0007】
本発明において、前記クロッチ片は、左右略中央で前後方向に延在して吸収性物品の所定位置を隆起させる立体部を有することが好ましい。
クロッチ片の左右略中央で前後方向に延在した立体部が、ショーツ着用者の身体中心線に沿うように吸収性物品を隆起させることで、ショーツ着用者の身体形状に吸収性物品がフィットしやすいだけでなく、クロッチ片の前後左右の位置ずれを防止しやすい。
【0008】
本発明において、前記クロッチ片は、前記クロッチ部と対向する裏面に滑り止め部を有するものであってもよい。
クロッチ片の裏面に滑り止め機能を設けることで、よりクロッチ片が対向するクロッチ部から位置ずれを起しにくい。
【0009】
本発明の一態様として、上記サニタリーショーツに吸収性物品を装着する方法であって、前記サニタリーショーツのクロッチ片の後側を引き上げた状態で、前記クロッチ片に吸収性物品を付着し、前記クロッチ片と吸収性物品をともにショーツ本体に近接させることを特徴とするサニタリーショーツの吸収性物品装着方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来のショーツに比べて、ショーツ着用者が吸収性物品を装着等する体勢に無理を生じにくく、吸収性物品の取り付けや取り外しがしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るサニタリーショーツの構造例を示す。
図2】(a)は前記ショーツの要部平面図であり、(b)はその横断面図である。
図3】(a)~(c)は前記ショーツに吸収性物品を装着する手順例を示す。
図4】(a)~(c)は前記ショーツから吸収性物品を除去する手順例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
図1に、サニタリーショーツ1の構造例を斜視図で示し、図2(a)に、このショーツを展開し内側からクロッチ片5をみた平面図を、図2(b)に、その横断面図を示す。
【0013】
サニタリーショーツ1(単に「ショーツ」と略することもある)は、図1に示すように、前身頃2、後身頃3及びクロッチ部4を備えるショーツ本体と、このショーツ本体のクロッチ部4の内側に、生理用ナプキンや失禁パッド等の吸収性物品を装着するためのクロッチ片5を有する。
ショーツ本体は、前身頃2、後身頃3及び前身頃と後見頃との間に位置するクロッチ部4の各布が、互いに縫合されてショーツ本体を構成している。
各布は肌触りが良く、通気性及び吸湿性が高いことが好ましい。
なお、後身頃及びクロッチ部が、一枚の生地から形成されていてもよい。
【0014】
図2(a)に示すように、クロッチ片5は、その前端5aのみがショーツ本体に縫合されて固着されており、縫合位置は、クロッチ部4が前身頃2と縫合される位置と同じである。
クロッチ部4の内側に配置されるクロッチ片5は、その左右両端縁がクロッチ部4の左右両端縁よりも側方に延出していないことが好ましい。
例えば、クロッチ片5は、前後幅の最も長い部分(クロッチ片の左右略中央)が約8~13cm、左右幅の最も短い部分(クロッチ片の前後略中央)が約4~6cm等の略長方形状であってもよい。
クロッチ片5は、図2(b)に示すように表布51、裏布52及び厚みのある立体部53を備える。
立体部53は、クロッチ片5の左右略中央で前後方向に延在するように表布51と裏布52との間に配置され、位置ずれしないように表布及び/又は裏布に縫合、あるいは立体部の両脇で表布と裏布を縫合等してある。
立体部53がショーツにおける身体中心線に沿って配置されることで、表布51上に取り付けた吸収性物品は、その立体部に対応する位置が隆起する。
これにより、ショーツを着用すると、ショーツ着用者の身体形状に吸収性物品がフィットしやすいだけでなく、ショーツ本体に後端を縫合していないクロッチ片5が、ショーツ着用者の身体、吸収性物品及びクロッチ部4と隙間を減らして層を形成しやすく、クロッチ片5が前後左右に位置ずれしにくい。
例えば、立体部53は、前後幅の最も長い部分が約7~13cm(ただし、クロッチ片の前後幅の最も長い部分を超えて長さを有しない)、左右幅の最も長い部分が約1.5~3cm、上下厚みの最も厚い部分が約5~10mm等であってもよく、ショーツ着用者の体圧に抗して潰れない程度の剛性を有することが好ましく、例えば、ポリウレタンやシリコン等を素材としてもよい。
本実施例は、図2(b)に示すように裏布52のクロッチ部4と対向する裏面に滑り止め部54をさらに備え、この滑り止め部によってもクロッチ片5の位置ずれを防止する。
滑り止め部54は、その形状や大きさ、クロッチ片の裏面に設ける位置等に特に制限はなく、例えば、裏布52の裏面後端側に2~3箇所に分けてシート状の滑り止め部が固着されてあっても、裏布52の裏面に滑り止め加工や滑り止め剤の塗工等を施してあってもよい。
表布51と裏布52は同素材であっても、異素材であってもよく、例えば、肌触りが良く、通気性及び吸湿性が高い素材で非伸縮性のものが好ましい。
【0015】
図3に、吸収性物品NPをショーツ1に装着する手順例を示す。
ショーツ着用者は、例えば、便座に座った状態で膝に位置するショーツ1の内側に手を入れ、図3(a)に示すようにクロッチ片5の後側をショーツ本体に固着された前端5aを支点に引き上げ、ショーツの底部に位置するクロッチ部4からショーツ着用者の上半身にクロッチ片5を近づける。
このようにクロッチ部4に対して斜めに立ち上がったクロッチ片5の表面(表布51上)に、図3(b)に示すように吸収性物品NPを貼り付ける。
この際、クロッチ片5を目で確認しやすく、吸収性物品NPをクロッチ片5に取り付ける位置の確認もしやすい。
前端5aを支点に、吸収性物品NPとともにクロッチ片5をクロッチ部4に倒す。
吸収性物品NPの後側がクロッチ片5から露出することで、図3(c)に示すようにクロッチ部4及び/又はクロッチ部と連結する後身頃3に吸収性物品NPの後側を止着できる。
このようにクロッチ片とショーツ本体に跨がって吸収性物品を付着することでも、クロッチ片とショーツ本体の位置ずれを防止できる。
なお、吸収性物品NPが左右両側にウイング部を有する場合には、クロッチ片5の後側を引き上げた状態で、クロッチ片5の表面に吸収性物品NPを貼り付け、さらに吸収性物品のウイング部をクロッチ片5の裏面に止着してもよい。
【0016】
図4に、ショーツ1から吸収性物品NPを除去する手順例を示す。
図4(a)の平面図に示すように、ショーツ着用者はクロッチ片5とクロッチ部4の間に手Hを入れ、クロッチ片5を持ち上げることで、図4(b)に示すように前端5aを支点に、吸収性物品NPとクロッチ片5をショーツ着用者の上半身に近づけることができる。
図4(c)に示すように吸収性物品NPを前方に向かって折り畳むようにクロッチ片5から取り外すことで、ショーツ1から吸収性物品NPを除去できる。
従来のショーツに比べて、吸収性物品を目で確認しながら取り外すことができ、交換時等でショーツや着衣を汚しにくい。
【符号の説明】
【0017】
1 サニタリーショーツ
2 前身頃
3 後身頃
4 クロッチ部
5 クロッチ片
5a 前端
51 表布
52 裏布
53 立体部
54 滑り止め部
NP 吸収性物品
【要約】
【課題】ショーツ着用者が吸収性物品の装着や交換、除去をしやすいサニタリーショーツの提供を目的とする。
【解決手段】ショーツ本体のクロッチ部の内側に、吸収性物品装着用のクロッチ片を有するサニタリーショーツであって、前記クロッチ片は前端のみが前記ショーツ本体に固着されていることを特徴とする。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4