(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】リング状製品集合体の製造装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
B25J 15/08 20060101AFI20230424BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B25J15/08 Z
B25J15/00 A
(21)【出願番号】P 2023040626
(22)【出願日】2023-03-15
【審査請求日】2023-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518153346
【氏名又は名称】株式会社ウエーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】白子 善久
(72)【発明者】
【氏名】白子 なおみ
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-121137(JP,A)
【文献】特開平10-116035(JP,A)
【文献】特開2019-198971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリング状製品を商品台紙により束ねてリング状製品の集合体を製造する装置であって、
前記商品台紙は、台紙本体と、前記台紙本体の一端側から突出するフック片と、前記台紙本体の他端側に形成されたスリットとを備え、前記台紙本体を二つ折りして、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込むことができるように構成されており、
前記台紙本体の少なくとも一端側を水平に維持しながら前記商品台紙を水平方向に搬送する搬送装置と、
供給位置に搬送された前記商品台紙に対し、起立状態の前記フック片に向けて複数の前記リング状製品を供給することにより、前記フック片を複数の前記リング状製品に挿通させる供給装置と、
前記供給位置よりも搬送方向下流側の折曲位置に搬送された前記商品台紙に対し、前記台紙本体の一端側を保持部材により保持した状態で、前記台紙本体の他端側を押圧部材により押圧して折り曲げることにより前記スリットを前記フック片の先端部に接近させる折曲装置と、
前記押圧部材の押圧による前記台紙本体の他端側の折り曲げ状態を維持しながら、多関節ロボットのアーム先端に設けられた把持部により前記フック片を把持して、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込む差込装置とを備えるリング状製品集合体の製造装置。
【請求項2】
前記フック片の先端部は、前記スリットの幅方向長さよりも幅広になるように拡幅されており、
前記差込装置は、前記スリットに対して傾斜する方向に前記フック片の先端部の一部を差し込んだ後、前記スリットに対して直交する方向に向きを変えながら前記フック片の先端部全体を差し込むように前記把持部を作動させる請求項1に記載のリング状製品集合体の製造装置。
【請求項3】
前記供給位置よりも搬送方向上流側の起立位置に全体が水平な状態で搬送された前記商品台紙に対し、前記台紙本体の他端側および前記フック片を下方から押し上げて起立させる起立装置を更に備える請求項1に記載のリング状製品集合体の製造装置。
【請求項4】
前記起立位置と前記折曲位置との間の押込位置に搬送された前記商品台紙に対し、前記台紙本体の他端側を一対の挟持部材により挟持して起立状態を維持しながら、前記スリットの上方部分を押込部材により前記フック片に向けて押し込むことにより前記スリットの隙間を広げる押込装置を更に備える請求項3に記載のリング状製品集合体の製造装置。
【請求項5】
前記リング状製品はヘアゴムである請求項1に記載のリング状製品集合体の製造装置。
【請求項6】
複数のリング状製品を商品台紙により束ねてリング状製品の集合体を製造する方法であって、
前記商品台紙は、台紙本体と、前記台紙本体の一端側から突出するフック片と、前記台紙本体の他端側に形成されたスリットとを備え、前記台紙本体を二つ折りして、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込むことができるように構成されており、
起立状態の前記フック片に向けて複数の前記リング状製品を供給することにより、前記フック片を複数の前記リング状製品に挿通させる供給工程と、
前記台紙本体の一端側を保持部材により保持した状態で、前記台紙本体の他端側を押圧部材により押圧して折り曲げることにより前記スリットを前記フック片に接近させる折曲工程と、
前記押圧部材の押圧による前記台紙本体の他端側の折り曲げ状態を維持しながら、多関節ロボットのアーム先端に設けられた把持部により前記フック片を把持して、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込む差込工程とを備えるリング状製品集合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアゴム等のリング状製品を複数束ねて集合体を製造するリング状製品集合体の製造装置および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
髪をまとめるのに使用される環状のヘアゴムは、
図8に示すような商品台紙100を用いて、複数束ねた状態で販売することが従来から行われている。商品台紙100は、矩形状の台紙本体101と、台紙本体101の長手方向一端側から突出するフック片102と、台紙本体101の長手方向他端側に形成されたスリット103とを備えており、台紙本体101を折り線104で長手方向に二つ折りした後、フック片102の先端部102aを複数のヘアゴムに挿通してスリット103に差し込むことにより、ヘアゴムの集合体を製造することができる。
【0003】
このような「フラット状の商品台紙100を折り曲げる折り作業」、「規定数の環状のヘアゴムにフック片102を通す作業」、「フック片102の先端部102aをスリット103に差し込む作業」、および、「完成したヘアゴム集合体を袋又は箱に詰める作業」という一連の作業は、従来は手作業で行われていたが、加工工程が複数存在することに加えて、特にフック片102の先端部102aをスリット103に差し込む作業が困難であった。すなわち、吊り下げて陳列されるヘアゴム集合体が、時間の経過と共にスリット103からフック片102が抜け落ちることで落下するのを防ぐため、スリット103の幅をフック片102の先端部102aの幅よりも狭くする必要があるが、これによってスリット103へのフック片102の差し込みが困難になっていた。また、ヘアゴム集合体の主な販路が100円均一ショップ等であるという商品の性質上、商品台紙100をなるべく安価に製造することが求められていることから、スリット103の寸法精度が不十分になり易いためにスリット103がほとんど開口していない商品台紙100が少なからず存在することも、フック片102の差し込みを困難にする要因となっていた。また、スリット103の差し込みの際に無理に力を加えると、フック片102やスリット103を損壊したり、台紙本体101に商品価値を損なう傷がついたりしてしまうため、手作業であっても非常に神経を使って時間を掛けて行う必要があった。このように、従来においては、複数の加工工程を実行しながら、スリット103へのフック片102の差し込みに大変な時間と手間を要しており、更には近年加速している内職者減少の流れもあって、作業の自動化が求められていた。
【0004】
リング状製品を取り扱う装置としては、例えば、特許文献1に開示されているように、搬送されるOリングをハンド部により保持して、給紙ローラ等の外周面に装着する構成が知られている。ところが、このような装置を上記のヘアゴム集合体の製造に用いたとしても、ヘアゴムへのフック片102の挿通を自動化できるに留まり、特に煩雑な作業であるスリット103へのフック片102の差し込みを自動化することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、リング状製品の集合体を効率よく製造することができるリング状製品集合体の製造装置および製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の前記目的は、複数のリング状製品を商品台紙により束ねてリング状製品の集合体を製造する装置であって、前記商品台紙は、台紙本体と、前記台紙本体の一端側から突出するフック片と、前記台紙本体の他端側に形成されたスリットとを備え、前記台紙本体を二つ折りして、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込むことができるように構成されており、前記台紙本体の少なくとも一端側を水平に維持しながら前記商品台紙を水平方向に搬送する搬送装置と、供給位置に搬送された前記商品台紙に対し、起立状態の前記フック片に向けて複数の前記リング状製品を供給することにより、前記フック片を複数の前記リング状製品に挿通させる供給装置と、前記供給位置よりも搬送方向下流側の折曲位置に搬送された前記商品台紙に対し、前記台紙本体の一端側を保持部材により保持した状態で、前記台紙本体の他端側を押圧部材により押圧して折り曲げることにより前記スリットを前記フック片の先端部に接近させる折曲装置と、前記押圧部材の押圧による前記台紙本体の他端側の折り曲げ状態を維持しながら、多関節ロボットのアーム先端に設けられた把持部により前記フック片を把持して、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込む差込装置とを備えるリング状製品集合体の製造装置により達成される。
【0008】
前記フック片の先端部は、前記スリットの幅方向長さよりも幅広になるように拡幅されていることが好ましく、前記差込装置は、前記スリットに対して傾斜する方向に前記フック片の先端部の一部を差し込んだ後、前記スリットに対して直交する方向に向きを変えながら前記フック片の先端部全体を差し込むように前記把持部を作動させることが好ましい。
【0009】
上記のリング状製品集合体の製造装置は、前記供給位置よりも搬送方向上流側の起立位置に全体が水平な状態で搬送された前記商品台紙に対し、前記台紙本体の他端側および前記フック片を下方から押し上げて起立させる起立装置を更に備えることが好ましい。また、前記起立位置と前記折曲位置との間の押込位置に搬送された前記商品台紙に対し、前記台紙本体の他端側を一対の挟持部材により挟持して起立状態を維持しながら、前記スリットの上方部分を押込部材により前記フック片に向けて押し込むことにより前記スリットの隙間を広げる押込装置を更に備えることが好ましい。
【0010】
前記リング状製品はヘアゴムを好ましく例示することができる。
【0011】
また、本発明の前記目的は、複数のリング状製品を商品台紙により束ねてリング状製品の集合体を製造する方法であって、前記商品台紙は、台紙本体と、前記台紙本体の一端側から突出するフック片と、前記台紙本体の他端側に形成されたスリットとを備え、前記台紙本体を二つ折りして、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込むことができるように構成されており、起立状態の前記フック片に向けて複数の前記リング状製品を供給することにより、前記フック片を複数の前記リング状製品に挿通させる供給工程と、前記台紙本体の一端側を保持部材により保持した状態で、前記台紙本体の他端側を押圧部材により押圧して折り曲げることにより前記スリットを前記フック片に接近させる折曲工程と、前記押圧部材の押圧による前記台紙本体の他端側の折り曲げ状態を維持しながら、多関節ロボットのアーム先端に設けられた把持部により前記フック片を把持して、前記フック片の先端部を前記スリットに差し込む差込工程とを備えるリング状製品集合体の製造方法により達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明のリング状製品集合体の製造装置および製造方法によれば、リング状製品の集合体を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るリング状製品集合体の製造装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すリング状製品集合体の製造装置を他の方向から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示すリング状製品集合体の製造装置の要部を示す平面図である。
【
図4】
図1に示すリング状製品集合体の製造装置の他の要部を示す平面図である。
【
図5】
図1に示すリング状製品集合体の製造装置を用いた製造方法の一工程を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示すリング状製品集合体の製造装置を用いた製造方法の他の工程を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示すリング状製品集合体の製造方法の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るリング状製品集合体の製造装置の斜視図であり、
図2は、
図1に示すリング状製品集合体の製造装置を他の方向から見た斜視図である。
図1および
図2に示すリング状製品集合体の製造装置1(以下、単に「製造装置1」という)は、
図8に示す商品台紙100を用いて、複数のリング状製品110を束ねてリング状製品集合体120を製造する装置であり、搬送装置10、供給装置20、折曲装置30、差込装置40、起立装置50および押込装置60を備えている。リング状製品110は、髪を束ねるのに使用するヘアゴムを好ましく例示することができるが、リング状に形成された他の製品であってもよい。
【0015】
図3は、
図1および
図2に示す製造装置1の要部を示す平面図である。
図1から
図3に示すように、搬送装置10は、平坦状に形成された複数の商品台紙100を積層状態で収容する収容部11と、収容部11の下部から送出ローラ13により抜き出された商品台紙100を搬送する複数のベルトコンベア12とを備えている。複数のベルトコンベア12は、互いに平行に配置されており、商品台紙100の台紙本体101の一端側101aから突出するフック片102の基端側と、台紙本体101の他端側101bとをそれぞれ支持して、商品台紙100を水平方向に搬送する。搬送装置10は、後述する起立位置P1、供給位置P2、押込位置P3および折曲位置P4において商品台紙100が一時停止するように、商品台紙100を間欠搬送する。
【0016】
起立装置50は、収容部11から起立位置P1に全体が水平な状態で搬送された商品台紙100の長手方向両側を同時に押し上げるプッシャ51,52を備えている。
図3に示すように、一方のプッシャ51は、台紙本体101の長手方向中央の折り線104よりも他端側101bを押し上げることにより、台紙本体101を折り線104で直角に折り曲げて、他端側101bを起立させる。他方のプッシャ52は、フック片102の先端部102a側を押し上げることにより、フック片102を中央付近で折り曲げて先端部102a側を起立させる。起立位置P1を通過した商品台紙100は、台紙本体101の一端側101aが水平に維持された状態で搬送される。
【0017】
図4は、
図1および
図2に示す製造装置1の他の要部を示す平面図である。
図1から
図4に示すように、供給装置20は、起立位置P1から供給位置P2に商品台紙100が搬送されると、先端部102a側が起立状態のフック片102に向けて複数のリング状製品110を供給することにより、フック片102を複数のリング状製品110に挿通させる。製造装置1の全体構成の理解を容易にするため、供給装置20の概略構成を
図1および
図4に破線で示し、他の図においては供給装置20の図示を省略している。供給装置20の構成は特に限定されるものではなく、例えば、複数のリング状製品110を重ね合わせた状態でベルトコンベア等によりフック片102の直上に搬送し、起立状態のフック片102に向けて落下させる構成、あるいは、上記特許文献1に開示されたハンド部や多関節ロボット等を用いて複数のリング状製品110を把持し、フック片102に向けて搬送する構成等を挙げることができる。本実施形態の製造装置1は、リング状製品110を6個ずつ束ねるように構成しているが、商品台紙100により束ねることが可能な個数であれば、必ずしも6個に限定されない。
【0018】
押込装置60は、供給位置P2から押込位置P3に商品台紙100が搬送されると、台紙本体101の他端側101bの両面を挟持する一対の挟持部材61,61と、他端側101bにおけるスリット103の上方部分を押し込む押込部材62とを備えており、台紙本体101の他端側101bを一対の挟持部材61,61により挟持して起立状態を維持しながら押込部材62を作動させることにより、スリット103の隙間を広げることができる。
【0019】
折曲装置30は、押込位置P3から折曲位置P4に商品台紙100が搬送されると、台紙本体101の一端側101aを水平な状態に保持する保持部材31と、台紙本体101の他端側101bを押圧して折り曲げることによりスリット103をフック片102の先端部102aに接近させる押圧部材32とを備えている。
【0020】
差込装置40は、複数のアームが関節を介して回動自在に連結された多軸(例えば4軸から7軸)構造の多関節ロボット41と、多関節ロボット41のアーム先端の回転機構部に装着された把持部42とを備えている。差込装置40は、折曲位置P4において、押圧部材32による台紙本体101の他端側101bの折り曲げ状態を維持しながら、把持部42によりフック片102を把持して、フック片102の先端部102aをスリット103に差し込むことにより、リング状製品集合体120を製造する。
【0021】
次に、上記の構成を備える製造装置1を用いたリング状製品集合体120の製造方法を説明する。まず、商品台紙100を全体が水平な状態で収容部11から起立位置P1に搬送し、起立位置P1で一時停止させた後、起立装置50を作動させて、プッシャ51,52を上昇させる起立工程を行う。この起立工程により、台紙本体101の他端側101b、および、フック片102の先端部102a側が、台紙本体101の一端側101aに対して略垂直に起立する。台紙本体101の一端側101aに対して他端側101bおよびフック片102を予め起立させた商品台紙100を使用する場合には、起立装置50および起立工程を備えない構成にすることもできるが、この場合は、手動または別の装置で台紙本体101の一端側101aに対して他端側101bおよびフック片102を予め起立させ、その状態を保ったまま後述する供給位置P2に供給する必要があるため、複数の工程をなるべく自動化する上でも、本実施形態のように起立装置50および起立工程を備えることが望ましい。
【0022】
ついで、商品台紙100を、起立位置P1から供給位置P2に搬送し、供給位置P2で一時停止させた後、供給装置20を作動させて複数のリング状製品110を供給する供給工程を行う。この供給工程により、フック片102が複数のリング状製品110に挿通される。
【0023】
次に、商品台紙100を、供給位置P2から押込位置P3に搬送し、押込位置P3で一時停止させた後、押込装置60を作動させてスリット103の隙間を広げる押込工程を行う。この押込工程を、
図5に示す工程斜視図により説明する。
【0024】
まず、
図5(a)に示すように、押込位置P3に商品台紙100が搬送された後、押込装置60の一対の挟持部材61,61を矢示のように鉛直面に沿って回動させることにより、
図5(b)に示すように、台紙本体の他端側101bの上部を、一対の挟持部材61,61により挟持する。ついで、
図5(a)に示す台紙本体の他端側101bに形成されたスリット103の上方部分Uに向けて、押込部材62を、
図5(b)の矢示方向に進出させることにより、
図5(c)に示すように、帯板状に形成された押込部材62の先端面で、スリット103の上方部分を押圧する。これにより、スリット103の上方部分と下方部分との間に段差を生じさせて、スリット103の隙間を広げることができる。この構造が、吊り下げて陳列されるヘヤゴム集合体が時間経過とともにフック片102がスリット103から抜け落ちることにより落下するのを防ぐためにスリット103の幅がフック片102の幅より必ず狭く、またヘヤゴム集合体の主な販路が100均であるため台紙が出来るだけコストを抑えて製造されており自動化に適したスリット穴の質を満たしていないため、もしスリット穴がほとんど開いていない台紙を排除すると納品された台紙数に対しての完成品歩留まりがかなり下がるくらいスリット穴がほとんど開いていない台紙が少なからず存在し、差し込み工程で無理に力を加えると、フック片102やスリット103を損壊したり、台紙本体に商品価値を損なう傷がついたりしてしまうため、手作業であっても非常に神経を使って時間を掛けて行う必要がある、という本工程の自動化を阻んできた壁が取り払われる大きなポイントである。
【0025】
上記の押込工程の後、商品台紙100を押込位置P3から折曲位置P4に搬送し、折曲位置P4で一時停止させた後に折曲装置30を作動させて、台紙本体101の他端側101bを一端側101aに対して折り曲げる折曲工程を行う。そして、折曲工程による他端側101bの折り曲げ状態を維持しながら、差込装置40を作動させて、フック片102の先端部102aをスリット103に差し込む差込工程を行う。この折曲工程および差込工程を、
図6に示す工程斜視図により説明する。
【0026】
まず、
図6(a)に示すように、折曲位置P4に商品台紙100が搬送された後、折曲装置30の保持部材31を商品台紙100の両側から水平面に沿って回動させて、先端部31aを台紙本体101の一端側101aの上方に進出させることにより、一端側101aを保持部材31により保持する。保持部材31は、鉛直面に沿って上下に回動する構成であってもよい。ついで、折曲装置30の押圧部材32を、
図6(a)の矢示方向に進出させることにより、
図6(b)に示すように、台紙本体101の他端側101bを押圧部材32により押圧し、スリット103がフック片102の先端部102aよりも下方に位置するように他端側101bを折り曲げる。
【0027】
そして、折曲装置30の作動による台紙本体101の他端側101bの折曲状態を維持しながら、差込装置40を作動させて、把持部42が備える円柱状ロッド42aおよび帯板42bによりフック片102を把持し、フック片102の先端部102aをスリット103に向けて移動させることにより、
図6(c)に示すように、先端部102aをスリット103に差し込むことができる。こうして、商品台紙100により複数のリング状製品110を束ねたリング状製品集合体120を、連続的に製造することができる。製造されたリング状製品集合体120は、例えば、複数をビニル袋等に収容して、開口部を折り曲げて封止した後、次工程に搬送することができる。
【0028】
本実施形態の製造装置1およびこれを用いたリング状製品集合体の製造方法によれば、折曲工程において、折曲装置30により台紙本体101の他端側を折り曲げてスリット103をフック片の先端部102aに接近させると共に、差込工程において、差込装置40によりフック片の先端部102aをスリット103に差し込むことにより、スリット103へのフック片102の差し込みを容易かつ確実に行うことができるので、リング状製品集合体120を効率よく製造することができる。
【0029】
図7(a)に示すように、本実施形態のフック片102の先端部102aは、スリット103の幅方向長さLよりも幅Wが広くなるように拡幅されており、スリット103に差し込む際には、スリット103に対して傾斜する方向(
図7(a)の矢示方向)にフック片102の先端部102aの一部を差し込んだ後、
図7(b)に示すように、スリット103に対して直交する方向に向きを変えながら更に差し込むことで、
図7(c)に示すように、フック片102の先端部102aの全体をスリット103に差し込むことができる。差込工程において、差込装置40の把持部42をこのように作動させることで、フック片102の先端部102aの損傷を防止しつつ先端部102aをスリット103に容易に差し込むことができ、且つ、差し込まれた先端部102aがスリット103から不意に抜けるのを確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0030】
1 リング状製品集合体の製造装置
10 搬送装置
20 供給装置
30 折曲装置
31 保持部材
32 押圧部材
40 差込装置
41 多関節ロボット
42 把持部
50 起立装置
60 押込装置
61 挟持部材
62 押込部材
100 商品台紙
101 台紙本体
102 フック片
102a 先端部
103 スリット
110 リング状製品
120 リング状製品集合体
P1 起立位置
P2 供給位置
P3 押込位置
P4 折曲位置
【要約】
【課題】 リング状製品の集合体を効率よく製造することができるリング状製品集合体の製造装置を提供する。
【解決手段】 複数のリング状製品110を商品台紙100により束ねてリング状製品集合体120を製造する装置1であって、供給位置P1に搬送されたフック片102に向けて複数のリング状製品110を供給する供給装置20と、折曲位置P2に搬送された商品台紙100に対し台紙本体101の一端側を保持部材31により保持した状態で台紙本体101の他端側を押圧部材32により押圧して折り曲げることによりスリット103をフック片102の先端部に接近させる折曲装置30と、押圧部材32の押圧による台紙本体101の他端側の折り曲げ状態を維持しながら多関節ロボット41のアーム先端41aに設けられた把持部42によりフック片102を把持して先端部をスリット103に差し込む差込装置40とを備える。
【選択図】
図1