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特許7266931固体電解質、その製造方法、及びそれを含んだリチウム電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】固体電解質、その製造方法、及びそれを含んだリチウム電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0562 20100101AFI20230424BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230424BHJP
   H01M 4/134 20100101ALI20230424BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20230424BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20230424BHJP
   C04B 35/48 20060101ALI20230424BHJP
   C04B 35/50 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H01M10/0562
H01M10/052
H01M4/134
H01B1/06 A
H01B13/00 Z
C04B35/48
C04B35/50
【請求項の数】 37
(21)【出願番号】P 2018147491
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2019033081
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】10-2017-0099079
(32)【優先日】2017-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0090059
(32)【優先日】2018-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】金 柱植
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・バディング・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】金 ▲ヒョン▼錫
(72)【発明者】
【氏名】ゼン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】▲ユ▼ 太煥
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-059843(JP,A)
【文献】特開2020-017535(JP,A)
【文献】特開2015-138741(JP,A)
【文献】特許第5772533(JP,B2)
【文献】特開2017-168396(JP,A)
【文献】特開2017-168395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0562
H01M 10/052
H01M 4/134
H01B 1/06
H01B 13/00
C04B 35/48
C04B 35/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機リチウムイオン伝導体膜と、
前記無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面に配置された非晶質膜と、を含み、
前記非晶質膜は、無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面にレーザを照射して得られた照射生成物である固体電解質。
【請求項2】
前記非晶質膜は、表面にパターンが配置され、表面にパターンが配置された非晶質膜の表面積が、表面にパターンが配置された非晶質膜下部の無機リチウムイオン伝導体膜の表面積対比で、200ないし500%に増大することを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項3】
前記無機リチウムイオン伝導体膜でパターンが配置されていない表面上部に、セラミック膜及びセラミックガラス膜のうち選択された1以上の膜を含むことを特徴とする請求項2に記載の固体電解質。
【請求項4】
前記非晶質膜のパターンは、複数本の垂直線、複数本の平行線、またはその組み合わせ物のうち選択された形態を有することを特徴とする請求項2に記載の固体電解質。
【請求項5】
前記パターンの面積は、1cmないし900cmで、前記垂直線または平行線のパターン間隔は、10ないし30μmであることを特徴とする請求項4に記載の固体電解質。
【請求項6】
前記無機リチウムイオン伝導体膜と非晶質膜との間に半結晶質膜がさらに含まれ、
前記半結晶質膜は、前記非晶質膜の厚みに比べ、薄い厚みを有するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項7】
前記半結晶質膜と非晶質膜との間に、結晶質膜がさらに含まれることを特徴とする請求項6に記載の固体電解質。
【請求項8】
前記無機リチウムイオン伝導体膜は、ガーネット型化合物、アルジロダイト型化合物、LISICON(lithium super-ion-conductor)化合物、NASICON(Na super ionic conductor-like)化合物、窒化リチウム、水素化リチウム、ペロブスカイト及びハロゲン化リチウムからなる群から選択された1以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項9】
前記無機リチウムイオン伝導体膜は、ガーネット系セラミックスLi3+xLa12(0≦x≦5、M=Te、NbまたはZr)、Li1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0<x<2、0≦y<3)、BaTiO、Pb(Zr,Ti)O(PZT)、Pb1-xLaZr1-yTi(PLZT)(0≦x<1、0≦y<1)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O-PbTiO(PMN-PT)、リン酸リチウム(LiPO)、リチウムチタンホスフェート(LiTi(PO、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LiAlTi(PO、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、Li1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)、リチウムランタンチタネート(LiLaTiO、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LiGe、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、窒化リチウム(LiNy、0<x<4、0<y<2)、SiS(LiSi、0≦x<3、0<y<2、0<z<4)系ガラス、P(Li、0≦x<3、0<y<3、0<z<7)系ガラス、Li3xLa2/3-xTiO(0≦x≦1/6)、LiLaZr12、Li1+yAlTi2-y(PO(0≦y≦1)、Li1+zAlGe2-z(PO(0≦z≦1)、LiO、LiF、LiOH、LiCO、LiAlO、LiO-Al-SiO-P-TiO-GeO系セラミックス、LiLaZr12、Li10GeP12、Li3.25Ge0.250.75、LiPS、LiPSBr、LiPSCl、LiPS、LiPSI、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiTi(PO、LiGe(PO、LiHf(PO、LiZr(PO、LiNH、Li(NHI、LiBH、LiAlH、LiNH、Li0.34La0.51TiO2.94、LiSrTiNbO、Li0.06La0.66Ti0.93Al0.03、Li0.34Nd0.55TiO、LiCdCl、LiMgCl、LiZnI、LiCdIからなる群から選択された1以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項10】
前記無機リチウムイオン伝導体膜が、下記化学式1または化学式1aで表示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質:
[化学式1]
Li7-x La3-a Zr2-b 12
[化学式1a]
Li7-xLa3-a Zr2-b 12
化学式1で、Mは、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された1以上であり、
化学式1及び1aで、Mは、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Ce)及びバリウム(Ba)からなる群から選択された1以上であり、
は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)及びタンタル(Ta)からなる群から選択された1以上であり、
0≦x<3、0≦a≦3、0≦b<2である。
【請求項11】
前記無機リチウムイオン伝導体膜の結晶性が、非晶質膜から距離が遠くなるほど、漸進的に上昇することを特徴とする請求項10に記載の固体電解質。
【請求項12】
前記非晶質膜の厚みが5nmないし5μmであることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項13】
前記固体電解質の60℃でのイオン伝導度が、5X10-4S/cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項14】
前記固体電解質は、前記無機リチウムイオン伝導体膜と非晶質膜との間に結晶質膜がさらに含まれ、
前記化学式1及び1aの化合物において、ドーパントは、MないしMのうちから選択された1以上であり、化学式1aの化合物において、ドーパントは、M及びMのうちから選択された1以上であり、非晶質膜において、ドーパントの総含量は、結晶質膜でのドーパントの総含量に比べて少ないことを特徴とする請求項10に記載の固体電解質。
【請求項15】
前記化学式1及び1aの化合物において、ドーパントは、MないしMのうちから選択された1以上であり、化学式1aの化合物において、ドーパントは、M及びMのうちから選択された1以上であり、非晶質膜において、ドーパントの含量は、非晶質膜100モル%を基準にして、1モル%以下であることを特徴とする請求項10に記載の固体電解質。
【請求項16】
前記化学式1で表示される化合物は、LiLaZr1.70.312、Li4.9La2.5Ca0.5Zr1.7Nb0.312、Li4.9Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.6)、Li6.4LaZr1.70.312、LiLaZr1.50.512、LiLa2.75Ca0.25Zr1.75Nb0.2512、LiLaZr1.5Nb0.512、LiLaZr1.5Ta0.512、LiLa2.75Ca0.25Zr1.75Nb0.2512、Li6.272LaZr1.70.312、Li5.39Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.11)、Li5.39Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.11)、またはその混合物のうちから選択されることを特徴とする請求項10に記載の固体電解質。
【請求項17】
前記無機リチウムイオン伝導体膜は、結晶粒界を含む結晶質膜であり、前記無機リチウムイオン伝導体膜と非晶質膜との厚み比は1:0.001ないし1:0.2の範囲を有することを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項18】
前記固体電解質の25℃でのイオン伝導度は、1×10-7Scm-1ないし5×10-3Scm-1であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項19】
前記固体電解質は、30%以下の気孔度を有する液体非透過性緻密膜であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項20】
前記固体電解質の厚みは、1ないし300μmであることを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項21】
前記非晶質膜が、前記無機リチウムイオン伝導体膜の一面上に、離隔されて配置された複数のグルーブ、及び前記グルーブ間に配置された突出部を含むことを特徴とする請求項1に記載の固体電解質。
【請求項22】
前記グルーブの底が、平面、または曲率半径を有する曲面であることを特徴とする請求項21に記載の固体電解質。
【請求項23】
前記グルーブが、周期的に配置されることを特徴とする請求項21に記載の固体電解質。
【請求項24】
負極と、
正極と、
請求項1ないし23のうちいずれか1項に記載の固体電解質と、を含むリチウム電池。
【請求項25】
前記固体電解質の非晶質膜は、負極に隣接するように配置されることを特徴とする請求項24に記載のリチウム電池。
【請求項26】
前記固体電解質の非晶質膜は、正極に隣接するように配置されることを特徴とする請求項24に記載のリチウム電池。
【請求項27】
前記負極は、リチウム金属またはリチウム金属合金を含むリチウム金属負極であり配置された中間層をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のリチウム電池。
【請求項28】
前記中間層の厚みは、1ないし10μmであることを特徴とする請求項27に記載のリチウム電池。
【請求項29】
前記中間層は、ポリエチレンオキシド、金(Au)、酸化アルミニウム(Al)、リチウムアルミネート(LiAlO)、亜鉛(Zn)、シリコン(Si)、リン酸リチウムのうちから選択された1以上であることを特徴とする請求項27に記載のリチウム電池。
【請求項30】
前記負極は、リチウム金属またはリチウム金属合金を含むリチウム金属負極であることを特徴とする請求項24に記載のリチウム電池。
【請求項31】
前記リチウム金属負極は、保護膜をさらに含むことを特徴とする請求項30に記載のリチウム電池。
【請求項32】
前記負極がリチウム金属負極であり、前記リチウム金属負極と固体電解質との界面抵抗は、10ないし500Ω・cmであることを特徴とする請求項30に記載のリチウム電池。
【請求項33】
無機リチウムイオン伝導体膜を形成する段階と、
前記無機リチウムイオン伝導体膜にレーザを照射し、無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面に非晶質膜を配置する段階と、を含む請求項1ないし23のうちいずれか1項に記載の固体電解質を製造する固体電解質の製造方法。
【請求項34】
前記レーザの照射過程において、レーザビームのパワーは、0.5ないし15Wであり、レーザ波長は、300ないし3,000nmであり、レーザビームサイズは、10ないし10,000μmであることを特徴とする請求項33に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項35】
前記非晶質膜を配置する前記段階において、レーザが照射された後の無機リチウムイオン伝導体膜の表面積が、レーザ照射する以前の無機リチウムイオン伝導体膜の表面積対比で、10ないし1,000%増大するようにレーザを照射し、無機リチウムイオン伝導体膜にパターンを形成することを特徴とする請求項34に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項36】
前記無機リチウムイオン伝導体膜を形成する段階が、
無機リチウムイオン伝導体粉末をプレスし、膜状の生成物を製造する段階と、
前記膜状の生成物を、700ないし1,500℃で熱処理する段階と、を含むことを特徴とする請求項34に記載の固体電解質の製造方法。
【請求項37】
前記膜状の生成物を700ないし1,500℃で熱処理する段階以前に、膜状の生成物に、無機リチウムイオン伝導体粉末を供給する段階をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の固体電解質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電解質、その製造方法、及びそれを含んだリチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム金属電池に利用される固体電解質は、イオン伝導度にすぐれ、熱的に安定しながら、電極と固体電解質との副反応が抑制されなければならない。すなわち、該固体電解質は、電極に対して、化学的及び電気化学的に安定した特性を有していなければならない。
【0003】
前記固体電解質としては、リチウムランタンジルコニウム酸化物系膜などが知られている。ところで、そのような固体電解質は、リチウム金属負極との界面抵抗が高く、イオン伝導度が十分ではなく、リチウム金属電池の高電流密度駆動時、リチウムランタンジルコニウム酸化物系膜のグレインバウンダリー(grain boundary)において、リチウムデンドライトの浸透が発生し、それに対する改善が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、固体電解質及びその製造方法を提供することである。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、また、前述の固体電解質を含むリチウム電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面により、無機リチウムイオン伝導体膜と、前記無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面に配置された非晶質膜(amorphous film)と、を含み、前記非晶質膜は、無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面にレーザを照射して得られた照射生成物(irradiation product)である固体電解質が提供される。
【0007】
他の側面により、負極と、正極と、前述の固体電解質と、を含むリチウム電池が提供される。
【0008】
さらに他の側面により、無機リチウムイオン伝導体膜を形成する段階と、前記無機リチウムイオン伝導体膜にレーザを照射し、無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面に非晶質膜を配置する段階と、を含む前述の固体電解質を製造する固体電解質の製造方法が提供される。
【0009】
さらに他の側面により、リチウムイオン伝導性ガーネット層(garnet layer)と、前記ガーネット層の非晶質リチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZO)表面と、を含む固体電解質が提供される。
【発明の効果】
【0010】
一具現例による固体電解質は、レーザ表面処理によって活性面積が増大し、固体電解質の少なくとも一表面に非晶質膜が形成され、それを利用すれば、固体電解質とリチウム金属負極との界面抵抗が低下し、リチウムが固体電解質に成長して伝播することを効率的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一具現例による固体電解質を採用したリチウム電池の構造を示した図面である。
図2A】一具現例による固体電解質の表面を概略的に示した図面である。
図2B】一具現例による電解質の断面を概略的に示した図面である。
図2C】一具現例による電解質の断面を概略的に示した図面である。
図2D】一具現例による電解質の結晶状態を示した図面である。
図2E】一具現例による電解質の結晶状態を示した図面である。
図3A】実施例4によって製造された固体電解質のSEM(scanning electron microscope)写真を示したイメージである。
図3B】実施例4によって製造された固体電解質のSEM(scanning electron microscope)写真を示したイメージである。
図3C】実施例4によって製造された固体電解質のSEM(scanning electron microscope)写真を示したイメージである。
図4A】実施例5によって製造された固体電解質のSEM写真を示したイメージである。
図4B】実施例5によって製造された固体電解質のSEM写真を示したイメージである。
図4C】実施例5によって製造された固体電解質のSEM写真を示したイメージである。
図4D】実施例7によって製造された固体電解質のSEM写真を示したイメージである。
図5A】実施例4によって製造された固体電解質に係わるTEM(transmission electron microscope)/EDX(energy dispersive X-ray spectrometer)分析結果を示したイメージである。
図5B】実施例4によって製造された固体電解質に係わるTEM(transmission electron microscope)/EDX(energy dispersive X-ray spectrometer)分析結果を示した図面である。
図5C】実施例4によって製造された固体電解質に係わるTEM(transmission electron microscope)/EDX(energy dispersive X-ray spectrometer)分析結果を示したイメージである。
図6A】実施例4によって製造された固体電解質の透過電子顕微鏡(TEM)分析結果を示したイメージである。
図6B】実施例4によって製造された固体電解質の透過電子顕微鏡(TEM)分析結果を示したイメージである。
図6C】実施例4によって製造された固体電解質の透過電子顕微鏡(TEM)分析結果を示したイメージである。
図6D】実施例4によって製造された固体電解質の透過電子顕微鏡(TEM)分析結果を示したイメージである。
図7A】実施例14によって製造されたリチウム対称セルの電気化学的性能テスト結果を示した図面である。
図7B】比較例4によって製造されたリチウム対称セルの電気化学的性能テスト結果を示した図面である。
図8】他の一具現例によるリチウム金属電池の構造を概略的に示した図面である。
図9A】実施例9によって製造されたリチウム金属電池における界面抵抗特性を示した図面である。
図9B】比較例3によって製造されたリチウム金属電池における界面抵抗特性を示した図面である。
図10A】実施例9によって製造されたリチウム金属電池(ハイブリッド電解質セル)において、容量による電極ポテンシャル変化特性を示した図面である。
図10B】比較例3によって製造されたリチウム金属電池(ハイブリッド電解質セル)において、容量による電極ポテンシャル変化特性を示した図面である。
図11】実施例9によって製造されたリチウム金属電池に係わる容量変化及び効率特性を示した図面である。
図12】比較例2によって製造された固体電解質のTEM写真を示した図面である。
図13】比較例2によって製造された固体電解質のSEM写真を示した図面である。
図14】実施例15によって製造されたリチウム金属電池において、容量による電極ポテンシャル変化特性を示した図面である。
図15】実施例15によって製造されたリチウム金属電池に係わる容量変化及び効率特性を示した図面である。
図16】ペレット中の1つの破断断面SEMイメージ(fractured cross-sectional SEM image)を示した図面である。
図17】熱処理されたLLZOテープ(厚み:60μm)の断面SEMイメージを示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、例示的な具現例による固体電解質、その製造方法、及び前記固体電解質を含むリチウム電池について、さらに詳細に説明する。
【0013】
無機リチウムイオン伝導体膜、及び前記無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面に非晶質膜(patterned amorphous film)が配置され、前記非晶質膜は、無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面にレーザを照射して得られた照射生成物(irradiation product)である固体電解質が提供される。
【0014】
前記非晶質膜の表面には、パターンが配置される。このように、非晶質膜の表面にパターンが形成されれば、表面にパターンが配置された非晶質膜の表面積は、パターン化された非晶質膜の下部無機リチウムイオン伝導体膜の表面積対比で、200ないし500%に増大する。このように、固体電解質の表面積が増大すれば、固体電解質とリチウム金属負極との活性面積が増大し、固体電解質とリチウム金属負極との界面抵抗が低下する。そのような固体電解質を、負極及び正極のうちから選択された1以上の電極と隣接するように配置すれば、固体電解質と電極との界面抵抗が低下するという効果を得ることができる。
【0015】
リチウム電池に利用される固体電解質として、リチウムランタンジルコニウム酸化物系膜が利用される。ところで、該リチウムランタンジルコニウム酸化物系膜を固体電解質として利用すれば、リチウム金属負極との界面抵抗が高く、イオン伝導度が十分ではなく、特に、高電流密度駆動時、リチウムが、固体電解質のグレインバウンダリー(GB:grain boundary)に浸透して成長することにより、リチウム電池の短絡(short)が発生する。
【0016】
そのために、本発明者らは、多大な研究の末に、固体電解質を構成する無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面に非晶質膜を配置し、リチウムランタンジルコニウム酸化物系膜のグレインバウンダリー(GB)に、リチウムが浸透して成長するることが抑制された固体電解質を提供する。前記非晶質膜は、無機リチウムイオン伝導体膜の両面に配置されもし、固体電解質の非晶質膜は、リチウム電池の製造時、正極及び負極のうち少なくとも一つに隣接するように配置される。また、前記非晶質膜の表面には、パターンを形成することができる。
【0017】
前述のように、無機リチウムイオン伝導体膜の表面に、非晶質相が形成されれば、固体電解質表面において、グレインバウンダリーを除去する効果を得ることができる。そして、リチウムが固体電解質に成長して伝播(propagation)することが抑制され、充放電過程において、リチウムによる短絡を防止することができる。
【0018】
一具現例による固体電解質を利用すれば、固体電解質とリチウム金属との界面抵抗が低下し、律速性能が改善されながら、リチウムによる短絡発生が抑制され、寿命が改善されたリチウム電池を製造することができる。
【0019】
前記非晶質膜は、無機リチウムイオン伝導体膜にレーザを照射して形成することができる。該無機リチウムイオン伝導体膜にレーザを照射すれば、無機リチウムイオン伝導体膜の表面に非晶質相膜が形成されながら、その表面が物理的にエッチングされる。
【0020】
LLZO(ガーネット(garnet)層の非晶質リチウムランタンジルコニウム酸化物)表面は、周囲雰囲気(ambient atmosphere)において不安定であり、表面に炭酸リチウムの抵抗層(resistive layer)を形成する。そのような炭酸リチウム抵抗層は、セル性能を低下させる。しかし、一具現例より、無機リチウムイオン伝導体膜の表面を、前述のように物理的にエッチングすれば、炭酸リチウム抵抗層を除去することができる。一具現例による固体電解質の無機リチウムイオン伝導体膜は、グレインバウンダリーが最小限に形成されるように製造される。
【0021】
図1は、一具現例によるリチウム電池用固体電解質を採用したリチウム電池の構造を概略的に示したものである。前記リチウム電池は、例えば、リチウム金属負極を採用したリチウム金属電池であってよい。
【0022】
正極11上部に、固体電解質12が配置されており、固体電解質12上部に、リチウム金属負極10が配置されている。固体電解質12は、無機リチウムイオン伝導体膜12aの少なくとも一面に、非晶質膜12bがリチウム金属負極10に隣接するように配置された構造を有する。図1においては、非晶質膜12bが固体電解質の一面にのみ形成されているが、固体電解質の両表面にも形成される。
【0023】
固体電解質の非晶質膜12bの表面には、図2Aないし図2Cに図示されているように、パターンが形成される。該パターンは、非晶質膜12bの一部または全体に形成される。図1において、グレインバウンダリーは、無機リチウムイオン伝導体膜のグレインバウンダリーを示す。
【0024】
前記パターンのサイズ(size)及び形状は、特別に制限されるものではなく、固体電解質の表面積を増大させ、固体電解質を採用したリチウム電池の動作後、体積膨脹を効果的に抑制するものであるならば、全て使用可能である。該パターンは、規則的または不規則的な形状を有する。
【0025】
一具現例によるパターンの形状は、非制限的な例として、複数本の垂直線(a plurality of perpendicular lines)、複数本の平行線(parallel lines)、またはその組み合わせ物のうち選択された形態を有する。前記垂直線は、例えば、メッシュ(mesh)型を有することができ、該平行線は、例えば、ライン(line)型を有することができる。
【0026】
前記パターンの面積(area)は、1cmないし900cmであり、前記垂直線または平行線のパターン間隔(pattern width)は、10ないし30μmであってよい。
【0027】
図2Aにおいて、参照番号a,bは、パターンのサイズ及びパターン間隔(pattern width)をそれぞれ示す。該パターンのサイズaは、パターン線幅を示し、それは、レーザビームサイズによって異なる。該パターンのサイズは、例えば、10ないし10,000μmであり、パターン間隔bは、パターン周期またはパターン幅(pattern width)を示し、例えば、1ないし150μm、例えば、1ないし50μm、例えば、10ないし30μmである。前記パターンサイズ及びパターン間隔が、前述の範囲であるとき、固体電解質の表面積の増大により、固体電解質と、正極及び負極のうち選択された1以上との界面抵抗が効果的に低減され、該固体電解質のグレインバウンダリーにリチウムイオンが移動し、リチウム金属が成長されることを抑制し、デンドライト成長を効果的に防ぐことができる。
【0028】
該パターンのサイズ及びパターン間隔は、レーザビームのサイズなどの影響を受ける。
【0029】
図2Bを参照し、該パターンは、無機リチウムイオン伝導体膜12aの表面に存在する非晶質膜12b全体に形成され、図2Cに図示されているように、非晶質膜12bの表面だけに局所的に形成されることが可能である。
【0030】
該パターンは、図2Bに図示されているように、複数の線形状のグルーブ120により、パターンが形成される。前記グルーブは、レーザ工程条件により、その形成範囲及び深みが異なる。前記グルーブ120は、レーザ工程条件により、その形成範囲と深みが異なる。一具現例によれば、グルーブの深みcは、0.1μmないし20μmであり、グルーブの間隔dは、1μmないし200μmである。
【0031】
前記非晶質膜は、前記無機リチウムイオン伝導体膜の一面上に、離隔されて配置された複数のグルーブ、及び前記グルーブ間に配置された突出部を含む。前記グルーブの底は、平面、または曲率半径を有する曲面であってよい。
【0032】
前記グルーブは、周期的に(periodically)にも配置される。
【0033】
一具現例によれば、非晶質膜の表面にパターンが配置された固体電解質の表面積が、非晶質膜の表面にパターンが配置されていない固体電解質の表面積対比で、200%ないし500%、例えば、300%ないし450%、例えば、350%ないし400%である。他の一具現例によれば非晶質膜の比表面積は、35cm/cmないし1X10cm/cmである。そのような表面積特性を有する固体電解質を利用すれば、電極と固体電解質との活性面積が増大し、律速性能が改善されたリチウム電池を製造することができる。
【0034】
一具現例による固体電解質において、無機リチウムイオン伝導体膜の表面が配置されていない表面(非パターン化された表面)上部に、セラミック膜及びセラミックガラス膜のうち選択された1以上の膜を含んでもよい。ここで、該セラミック膜は、結晶質膜を示し、セラミックガラス膜は、半結晶質膜を示す。
【0035】
本明細書において、「半結晶質」は、結晶質と非晶質との混合相を意味し、例えば、ガラス・セラミックスを含む用語と解釈される。
【0036】
前記固体電解質において、非晶質膜のグレインバウンダリー数が減少する。
【0037】
一具現例による固体電解質において、無機リチウムイオン伝導体膜と非晶質膜との間には、半結晶質膜がさらに含まれてもよい。そのような半結晶質膜は、メルトケンチング(melt quenching)によって形成され、該半結晶質膜は、前記非晶質膜の厚みに比べ、打薄い厚みを有するように配置される。前記半結晶質膜と非晶質膜との間に、結晶質膜がさらに含まれてもよい。該半結晶質膜と該非晶質膜との間において、該結晶質膜は、無機リチウムイオン伝導体膜の結晶質膜と同一であるか、それとは異なる結晶質膜であってよい。例えば、該無機リチウムイオン伝導体膜は、第1結晶質膜であり、前記半結晶質膜と非晶質膜との間に存在する結晶質膜は、第2結晶質膜であってよい。
【0038】
図2D及び図2Eは、それぞれ一具現例による固体電解質の結晶状態を示した概路図である。図2Dを参照し、該固体電解質は、第1結晶質膜、半結晶質膜及び非晶質膜が順次に配置された構造体を有する。図2Eの固体電解質は、第1結晶質膜、半結晶質膜、第2結晶質膜及び非晶質膜が順次に配置された構造体を有する。該固体電解質において、非晶質膜、半結晶質膜及び結晶質膜の存在は、TEM/SAED(selected area electron diffraction)を介して確認可能である。例えば、TEM/SAED分析を介して、固体電解質の無機リチウムイオン伝導体膜が、LiLaZr1.7W0.312のようなリチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZO)系膜である場合、固体電解質において、非晶質相の形成を確認することができ、非晶質相と結晶質相との間に、半結晶質相が存在するということを確認することができる。そして、LLZO膜の結晶構造であるガーネット構造を確認することができる。TEM/SAEDを介して、結晶質膜、非晶質膜及び半結晶膜の混合比を直接的及び間接的に確認可能である。
【0039】
該非晶質膜の厚みは、例えば、5nmないし5μm、例えば、50nmないし5μm、または50ないし300nm、例えば、5nm~100nmであり、該半結晶質膜の厚みは、該非晶質膜の厚みに比べて薄く形成され、2nmないし3μm、例えば、3nmないし2μm、または3nmないし50nmに形成される。
【0040】
他の一具現例によれば、非晶質膜と半結晶質膜は、例えば、1:0.2ないし1:0.8の厚比を有するように形成される。
【0041】
さらに他の具現例によれば、例えば、非晶質膜の厚みが約200nmである場合には、半結晶質膜の厚みは、例えば、100ないし150nm範囲に形成される。他の一具現例によれば、非晶質膜の厚みが2μmであれば、半結晶質膜の厚みは、1μm以下である。
【0042】
一具現例による固体電解質において、無機リチウムイオン伝導体膜は、他の方法によって付加的な非晶質膜を形成した場合と比較して、非晶質膜から距離が遠くなるほど、結晶性が漸進的に増大する特性を有している。そして、そのような非晶質膜の厚みは、他の方法によって付加的な非晶質膜を形成した場合と比較して薄く、非晶質膜の厚みは、例えば、5ないし10nmであってよい。
【0043】
また、一具現例による固体電解質は、60℃でのイオン伝導度が、5×10-4S/cm以上と優秀である。
【0044】
該無機リチウムイオン伝導体膜は、ガーネット型化合物、アルジロダイト(argyrodite)型化合物、LISICON(lithium super-ion-conductor)化合物、NASICON(Na super ionic conductor-like)化合物、窒化リチウム(Li nitride)、水素化リチウム(Li hydride)、ペロブスカイト(perovskite)及びハロゲン化リチウム(lithum halide)からなる群から選択された1以上を含む膜である。
【0045】
前記無機リチウムイオン伝導体膜は、例えば、ガーネット系セラミックス(Li3+xLa12(0≦x≦5、M=Te、NbまたはZr)、ドーピングされたガーネット系セラミックス(Li3+xLa12(0≦x≦5、M=Te、NbまたはZr)、Li1+x+yAlTi2-xSi3-y12(0<x<2、0≦y<3)、BaTiO、Pb(Zr,Ti)O(PZT)、Pb1-xLaZr1-yTi(PLZT)(0≦x<1、0≦y<1)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O-PbTiO(PMN-PT)、リン酸リチウム(LiPO)、リチウムチタンホスフェート(LiTi(PO、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LiAlTi(PO、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、Li1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2-xSi3-y12(0≦x≦1、0≦y≦1)、リチウムランタンチタネート(LiLaTiO、0<x<2、0<y<3)、リチウムゲルマニウムチオホスフェート(LiGe、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、窒化リチウム(Li、0<x<4、0<y<2)、SiS(LiSi、0≦x<3、0<y<2、0<z<4)系ガラス、P(Li、0≦x<3、0<y<3、0<z<7)系ガラス、Li3xLa2/3-xTiO(0≦x≦1/6)、LiLaZr12、Li1+yAlTi2-y(PO(0≦y≦1)、Li1+zAlGe2-z(PO(0≦z≦1)、LiO、LiF、LiOH、LiCO、LiAlO、LiO-Al-SiO-P-TiO-GeO系セラミックス、LiLaZr12、Li10GeP12、Li3.25Ge0.250.75、LiPS、LiPSBr、LiPSCl、LiPS、LiPSI、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、LiTi(PO、LiGe(PO、LiHf(PO、LiZr(PO、LiNH、Li(NHI、LiBH、LiAlH、LiNH、Li0.34La0.51TiO2.94、LiSrTiNbO、Li0.06La0.66Ti0.93Al0.03、Li0.34Nd0.55TiO、LiCdCl、LiMgCl、LiZnI及びLiCdIからなる群から選択された1以上を含む。
【0046】
前記無機リチウムイオン伝導体膜は、例えば、下記化学式1または化学式1aに表示される化合物を含む。
[化学式1]
Li7-x La3-a Zr2-b 12
[化学式1a]
Li7-xLa3-a Zr2-b 12
【0047】
化学式1で、Mは、ガリウム(Ga)及びアルミニウム(Al)からなる群から選択された1以上であり、
化学式1及び1aで、Mは、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、セシウム(Ce)及びバリウム(Ba)からなる群から選択された1以上であり、
は、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、ニオブ(Nb)及びタンタル(Ta)からなる群から選択された1以上であり、
0≦x<3、0≦a≦3、0≦b<2である。
【0048】
一具現例によれば、化学式1及び1aでxは、例えば、0.01ないし2.1である。
【0049】
他の一具現例によれば、化学式1及び1aでxは、0.01ないし0.99であり、例えば、0.1ないし0.9、例えば、0.2ないし0.8である。
【0050】
化学式1でaは、0.1ないし2.8、例えば、0.5ないし2.75である。そして、化学式1でbは、0.1ないし1、例えば、0.25ないし0.5である。
【0051】
化学式1で表示される化合物は、例えば、LiLaZr1.70.312、Li4.9La2.5Ca0.5Zr1.7Nb0.312Li4.9Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.6)、Li6.4LaZr1.70.312、LiLaZr1.50.512、LiLa2.75Ca0.25Zr1.75Nb0.2512、LiLaZr1.5Nb0.512、LiLaZr1.5Ta0.512、LiLa2.75Ca0.25Zr1.75Nb0.2512、Li6.272LaZr1.70.312、Li5.39Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.11)、Li5.39Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.11)、またはそれらの混合物がある。
【0052】
前記化学式1で表示される化合物において、ドーパントは、MないしMのうちから選択された1以上であり、前記化学式1aで表示される化合物において、該ドーパントは、M及びMのうち選択された1以上である。
【0053】
前記非晶質膜において、ドーパントの含量は、熱処理のみを介して得た非晶質膜でのドーパントの含量対比で、50%以下、例えば、30%以下、例えば、10%以下に減少する。
【0054】
一具現例によれば、該非晶質膜において、ドーパントの総含量は、結晶質膜でのドーパントの総含量に比べて少ない。該結晶質膜でのドーパントの含量と、非晶質膜でのドーパントの含量との差は、0.5原子%以上、例えば、1.0原子%以上、例えば、2.0ないし3.0原子%である。
【0055】
該非晶質膜において、ドーパントの含量は、30モル%以下、例えば、5モル%以下、例えば、0.1モル%以下、例えば、0.05モル%である。
【0056】
一具現例によれば、レーザ処理工程中、該非晶質表面層の形成を促進するように、化学成分を付加し、表面化学(surface chemistry)を意図的に改質することができる。例えば、表面にボロン酸化物を付加すれば、リチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZO)表面に、非晶質膜の形成を促進させることができる。
【0057】
前記固体電解質は、結晶質膜と半結晶質膜との上部に配置された非晶質膜を含み、前記化学式1及び1aの化合物において、ドーパントは、MないしMのうちから選択された1以上であり、前記化学式1aの化合物において、ドーパントは、M及びMのうちから選択された1以上である。ここで、該非晶質膜において、ドーパントの総含量は、結晶質膜でのドーパントの総含量に比べて少ない。そして、無機リチウムイオン伝導体膜の無機リチウムイオン伝導体は、化学量論的な組成を満足する主成分(major component)である第1相化合物と、副成分(minor component)である第2相化合物との混合物を有することができる。前記非晶質膜において、ドーパントの含量は、非晶質膜100モル%を基準にして、1モル%以下である。
【0058】
無機リチウムイオン伝導体が、前述の化学式1の化合物(第1相)と、化学式1aの化合物(第2相)との混合物を含む場合、第2相の含量は、第1相と第2相との総重量100重量部を基準にして、0.1ないし10重量部、例えば、0.5ないし5重量部である。
【0059】
該非晶質膜は、無機リチウムイオン伝導体膜に、レーザを照射してパターニングして得た結果物である。そして、該非晶質膜の厚みは、50nmないし5μm、例えば、10nmないし500nmである。そして、前記無機リチウムイオン伝導体膜は、結晶粒界(crystal grain boundary)を含む結晶質膜であり、前記無機リチウムイオン伝導体膜と非晶質膜との厚さ比は、1:0.001.ないし1:0.2範囲であり、例えば、1:0.002ないし1:0.1であり、例えば、1:0.004である。
【0060】
一具現例による無機リチウムイオン伝導体膜は、例えば、ドーピングされたLLZOを含む。無機リチウムイオン伝導体膜において、LLZOグレーンは、結晶質膜であり、結晶質膜の結晶粒界でドーピングされたLLZOのドーパント含量が相対的に高い。
【0061】
前記固体電解質の常温(25℃)でのイオン伝導度は、1×10-7Scm-1ないし5×10-3Scm-1、例えば、1×10-4Scm-1ないし1×10-3Scm-1である。そして、前記固体電解質は、30%以下の気孔度を有する液体非透過性緻密膜(dense layer)である。該固体電解質の気孔度は、例えば、25%以下、例えば、22%以下、例えば、10%以下、例えば、5%以下、例えば、1%以下、例えば、0.1%ないし0.5%である。ここで、気孔度は、全体総面積対比で気孔が占める面積の比率を示す。該気孔度は、電子走査顕微鏡分析またはBET法などを介して断面を観察して求めることができる。該気孔度は、例えば、固体電解質断面を撮影した電子走査顕微鏡のイメージを利用して評価することができる。
【0062】
該固体電解質の厚みは、1ないし300μm、例えば、2ないし100μm、例えば、30ないし60μmである。
【0063】
以下、一具現例によるリチウム電池用固体電解質の製造方法について述べる。
【0064】
該固体電解質は、無機リチウムイオン伝導体膜を形成する第1段階と、前記無機リチウムイオン伝導体膜にレーザを照射し、無機リチウムイオン伝導体膜の少なくとも一面に非晶質膜を配置する第2段階と、を含む。
【0065】
前記第2段階において、レーザが照射された後の無機リチウムイオン伝導体膜の表面積が、レーザ照射する以前の無機リチウムイオン伝導体膜の表面積対比で、10%ないし1,000%、例えば、10ないし500%増大するようにレーザを照射し、無機リチウムイオン伝導体膜にパターンを形成することができる。
【0066】
前記無機リチウムイオン伝導体膜を形成する段階は、無機リチウムイオン伝導体粉末をプレスし、膜状に製造する段階と、前記膜状の生成物を熱処理する段階を含む。前記熱処理は、700ないし1,500℃で実施することができる。
【0067】
前述の条件によれば、無機リチウムイオン伝導体膜を、グレインバウンダリーが最小化された状態で製造することができる。
【0068】
前述の膜状に製造された生成物に、無機リチウムイオン伝導体粉末を供給してから熱処理する段階を実施することができる。このように、該無機リチウムイオン伝導体粉末を供給する段階を経れば、膜製造過程において、膜を構成するリチウムイオン伝導体の組成変化を抑制することができる。
【0069】
他の一具現例によれば、前記リチウムイオン伝導体膜を形成する段階は、無機リチウムイオン伝導体粉末を、700ないし1,500℃でのホットプレス(hot press)工程であってよい。さらに他の一具現例によれば、前記リチウムイオン伝導体膜を形成する段階は、無機リチウムイオン伝導体粉末、溶媒、可塑剤、バインダ及び分散剤を含んだ組成物をテープキャスティング(tape casting)し、それを25ないし1,200℃で熱処理する工程によって実施することができる。
【0070】
前記溶媒としては、エタノール、ブタノール、プロピレングリコール、またはそれらの混合物を利用する。そして、前記可塑剤としてあは、ジブチルフタレートなどを利用し、バインダとしては、ポリビニルブチラルなどを利用する。そして、分散剤としては、ポリカルボン酸のアルキルアムモニウム塩溶液を利用し、商品名Anti-terra 202(Palmer Holland)から入手可能である。
【0071】
前記レーザの照射過程において、レーザとしては、例えば、UV-laserを利用し、レーザビームのパワーは、0.5ないし15W、例えば、0.7ないし1Wであり、前記レーザビーム波長は、300~3,000nmであり、前記レーザビーム周波数は、100~1,000kHz、例えば、57Hzであるソフトエッチングを行う。そして、レーザビームサイズは、10ないし10,000μm、例えば、20ないし50μm、例えば、30μmである。そして、レーザパルス反復率(pulse repetition rate)は、1ないし100kHzであり、例えば、70kHzである。用語「レーザビームサイズ」は、レーザビーム径を示す。
【0072】
前記レーザの照射段階においては、ガス(gas)媒質またはソリッド・ステート(solid-state)媒質を使用することができる。前記ガス媒質としては、He-Ne、CO、Ar及びエキシマレーザのうちから選択して使用し、前記ソリッド・ステート媒質としては、Nd:YAG、Nd:YVO4及びYtterbium fiberのうち選択して使用することができる。
【0073】
レーザビームを使用し、レーザビームの波長により、多様なサイズの線幅を形成することができる。パターンの線幅は、一般的に、レーザビームで直接パターンすることができる最小線幅まで具現可能であり、レーザ装備によっては、最小線幅は、サブμmまで、最大線幅は、数百μmまで可能である。また、レーザビームの出力エネルギーを調節すれば、パターンの形状を自由に調節することができる。レーザビームの使用時、ビームの形態をパターンに有利に調節するために、光学回折素子やマスクを部分的に使用してパターンを形成することができる。
【0074】
前述のレーザ照射過程において、非晶質膜表面にパターンを形成した後、別途の洗浄工程及びエアブローイング(air blowing)工程を追加することができる。
【0075】
該固体電解質がLi6.4LaZr1.70.312(LLZO)によって形成された場合、前述のように、固体電解質表面にレーザが印加されれば、瞬間的に温度が高くなっていて、すぐに25℃に維持される。そのような表面ケンチング(surface quenching)効果により、非晶質膜の表面のLLZOは、キュービック(cubic)構造結晶相から非晶質(amorphous)に結晶構造変化が起きる。パターンの間隔を、レーザスポットサイズ(laser spot size)と同じであるか、あるいはそれより小さくし、固体電解質表面全体がレーザ処理されるようにする。実際、レーザ処理されたLLZO断面のTEM(transmission electron microscope)結果を見れば、表面に非晶質膜が形成されるということが分かる。かように、LLZOの表面に形成された非晶質膜は、リチウム金属と反応性が大きいグレインバウンダリーがなく、固体電解質へのLi伝播及び成長が抑制される。該固体電解質のEDX(energy dispersive X-ray spectrometer)分析を介して、無機固体電解質のグレインバウンダリーに主に存在するドーパントの含量が、レーザ処理された部分において、相対的に少なく観察されるということが分かる。従って、かようにレーザの照射で表面処理されたLLZO膜を、リチウム電池の固体電解質として適用すれば、短絡なしに長期的な駆動が可能になる。
【0076】
他の側面により、正極、負極、及び一具現例による固体電解質を含むリチウム電池が提供される。前記リチウム電池は、全固体電池であってよい。
【0077】
前記負極は、例えば、リチウム金属またはリチウム金属合金を含むリチウム金属負極であってよい。そのような負極を採用したリチウム電池は、リチウム金属電池である。
【0078】
前記負極は、リチウム電池において、一般的に利用可能な負極活物質を含んでもよい。
【0079】
以下、負極として、リチウム金属負極を利用したリチウム金属電池について説明する。
【0080】
前記固体電解質の非晶質膜は、リチウム金属負極または正極に隣接するように配置される。一具現例によれば、該固体電解質の非晶質膜は、例えば、リチウム金属負極に隣接するように配置される。
【0081】
負極は、リチウム金属負極であってよい。該負極は、リチウム金属またはリチウム金属合金を含むリチウム金属負極であり、前記リチウム金属負極と固体電解質との間に配置された中間層(interlayer)をさらに含んでもよい。該中間層は、リチウム金属負極と固体電解質との接着力を増大させる役割も行い、負極を保護する役割も行うことができる。該中間層の厚みは、1ないし10μm、例えば、1ないし2μmである。
【0082】
前記中間層は、ポリエチレンオキシド、金(Au)、酸化アルミニウム(Al)、リチウムアルミネート(LiAlO)、亜鉛(Zn)、シリコン(Si)、リン酸リチウムのうちから選択された1以上である。
【0083】
一具現例によるリチウム金属電池は、リチウム金属負極の保護膜がさらに含まれてもよい。該リチウム金属負極の保護膜は、当該技術分野で一般的に使用されるものであるならば、全て使用可能である。例えば、該リチウム金属負極保護膜として、ポリ(オキシエチレンメタクリレート)(POEM)膜を使用することができる。
【0084】
該リチウム金属負極保護膜がPOEM膜であるとき、中間層として、ポリエチレンオキシド(PEO)膜を共に使用すれば、固体電解質とリチウム金属負極との界面抵抗減少において有利である。
【0085】
前記リチウム金属負極と固体電解質との界面抵抗は、10Ω・cmないし500Ω・cm、例えば、50ないし100Ω・cmである。
【0086】
一具現例による固体電解質は、ハイブリッド電解質のアノライト(anolyte)として活用可能である。該ハイブリッド電解質は、正極電解質として、液体(または、ゲル)電解質を使用し、負極電解質として、固体電解質を使用する二重構造電解質をいう。
【0087】
図8は、他の一具現例によるリチウム金属電池の構造を概略的に示したものである。
【0088】
それを参照すれば、正極集電体24上部に、正極活物質層21が積層されて正極が形成され、該正極上部には、両表面にパターンが形成された構造を有する一具現例による固体電解質22aが積層されている。固体電解質22a上部には、リチウム金属負極20a及び銅集電体23が積層されている。
【0089】
固体電解質22aとリチウム金属負極20aとの間には、中間層22bが介在されており、それら間の接着を良好に維持する。そして、図8に図示されているように、正極と固体電解質との間には、イオン性液体カソライト(IL catholyte)が充填されており、参照番号25は、電池ケースを示す。
【0090】
前記中間層22bは、例えば、ポリ酸化エチレン膜または金(Au)膜であってよい。
【0091】
前記イオン性液体カソライトは、例えば、イオン性液体、高分子イオン性液体、リチウム塩及び有機溶媒のうち選択された1以上を含む。
【0092】
該イオン性液体は、当該技術分野において、一般的に使用されるものであるならば、全て使用可能である。
【0093】
前記ILカソライトに付加されるイオン性液体は、常温(25℃)以下の融点を有しているし、イオンだけから構成される、25℃で液体状態の塩、または常温溶融塩をいう。該イオン性液体は、i)アンモニウム系、ピロリジニウム系、ピリジニウム系、ピリミジニウム系、イミダゾリウム系、ピペリジニウム系、ピラゾリウム系、オキサゾリウム系、ピリダジニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、トリアゾリウム系、及びそれらの混合物のうち選択された1以上の陽イオンと、ii)BF 、PF 、AsF 、SbF 、AlCl 、HSO 、ClO 、CHSO 、CFCO 、Cl、Br、I、BF 、SO 、CFSO 、(FSO、(CSO、(CSO)(CFSO)N及び(CFSOのうちから選択された1種以上の陰イオンと、を含む化合物のうち選択された一つである。
【0094】
該イオン性液体は、例えば、N-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N-ブチル-N-メチルピロリジニウムビス(3-トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド及び1-エチル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドからなる群から選択された1以上である。
【0095】
前記ILカソライトに付加される該高分子イオン性液体は、イオン性液体モノマーを重合して得たものを使用することも可能であり、高分子型に得られた化合物を利用することができる。そのような高分子イオン性液体は、有機溶媒に対する溶解性が高く、電解質に付加すれば、イオン伝導度をさらに改善させることができるという利点がある。
【0096】
前述のイオン性液体モノマーを重合して高分子イオン性液体を得る場合には、重合反応が完了した結果物に対する洗浄過程及び乾燥過程を経た後、陰イオン置換反応を介して、有機溶媒に対する溶解度を付与することができる適切な陰イオンを有するように製造される。
【0097】
一具現例による高分子イオン性液体は、i)アンモニウム系、ピロリジニウム系、ピリジニウム系、ピリミジニウム系、イミダゾリウム系、ピペリジニウム系、ピラゾリウム系、オキサゾリウム系、ピリダジニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、トリアゾリウム系、及びそれらの混合物のうち選択された1以上の陽イオンと、ii)BF 、PF 、AsF 、SbF 、AlCl 、HSO 、ClO 、CHSO 、CFCO 、(CFSO、(FSO、Cl、Br、I、SO 、CFSO 、(CSO、(CSO)(CFSO)N、NO 、AlCl 、(CFSO、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF 、(CFPF、(CF、SFCFSO 、SFCHFCFSO 、CFCF(CFCO、(CFSOCH、(SF、(O(CF(CFO)POのうちから選択された1以上の陰イオンと、を含む反復単位を含んでもよい。
【0098】
他の一具現例によれば、該高分子イオン性液体は、イオン性液体モノマーを重合しても製造される。該イオン性液体モノマーは、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタアクリレート基などと重合可能な官能基を有しており、アンモニウム系、ピロリジニウム系、ピリジニウム系、ピリミジニウム系、イミダゾリウム系、ピペリジニウム系、ピラゾリウム系、オキサゾリウム系、ピリダジニウム系、ホスホニウム系、スルホニウム系、トリアゾリウム系、及びそれらの混合物のうち選択された1以上の陽イオンと、前述の陰イオンと、を有することができる。前記イオン性液体モノマーの例としては、1-ビニル-3-エチルイミダゾリウムブロミド、下記化学式2または3で表示される化合物がある。
【化1】
【化2】
【0099】
前述の高分子イオン性液体の例としては、下記化学式4で表示される化合物、または化学式5で表示される化合物がある。
【0100】
【化3】
前記化学式4で、R及びRは、互いに独立して、水素、置換もしくは非置換のC-C30アルキル基、置換もしくは非置換のC-C30アルケニル基、置換もしくは非置換のC-C30アルキニル基、置換もしくは非置換のC-C30アリール基、置換もしくは非置換のC-C30ヘテロアリール基、置換もしくは非置換のC-C30炭素環式基である。前記化学式4でRは、単に化学結合を示すか、あるいはC-Cアルキレン基、C-C30アリーレン基、C-C30ヘテロアリーレン基またはC-C30炭素環式基を示し、Xは、イオン性液体の陰イオンを示し、nは、500ないし2,800である。
【0101】
【化4】
前記化学式5でYは、化学式4のXと同一に定義され、nは、500ないし2,800である。化学式5でYは、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TFSI)、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミド、BFまたはCFSOである。
【0102】
該高分子イオン性液体は、例えば、ポリ(1-ビニル-3-アルキルイミダゾリウム)、ポリ(1-アリル-3-アルキルイミダゾリウム)、ポリ(1-(メタクリロイルオキシ-3-アルキルイミダゾリウム)のうちから選択された陽イオンと、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(CFSO、(FSO、(CFSO、(CFCFSO、CSO 、CCOO及び(CFSO)(CFCO)Nのうちから選択された陰イオンと、を含む。
【0103】
前記化学式5で表示される化合物は、ポリジアリルジメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを有することができる。
【0104】
さらに他の一具現例によれば、高分子イオン性液体は、低分子量高分子、熱的に安定したイオン性液体、及びリチウム塩を含んでもよい。該低分子量高分子は、エチレンオキシド鎖を有することができる。該低分子量高分子は、グライムであってよい。ここで、該グライムは、例えば、ポリエチレングリコールジメチルエーテル(ポリグライム)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)がある。
【0105】
さらに他の側面により、リチウムイオン伝導性ガーネット層(garnet layer)は、非晶質LLZO表面を含む固体電解質が提供される。前記非晶質LLZO表面において、炭酸リチウムによって直接カバーされた面積が10%未満であり、前記ガーネット層は、結晶質ガーネットを含む。
【0106】
前記固体電解質は、シート(sheet)タイプであり、前記非晶質LLZO表面は、シートの主表面積の90%以上をカバーすることができる。そして、前記ガーネット層と非晶質LLZOとの界面(interface)は、界面の結晶性が、非晶質LLZO表面から距離が遠くなるほど増大するように配置される。該結晶性界面に隣接した非晶質表面の深さ(depth)は、例えば、50nm以上である。
【0107】
一具現例による固体電解質を含んだリチウム電池を構成する各構成要素、及びそのような構成要素を有するリチウム電池の製造方法について、さらに詳細に説明すれば、次の通りである。
【0108】
正極を製造するための正極活物質として、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物、リチウム鉄リン酸化物及びリチウムマンガン酸化物からなる群から選択された1以上を含んでもよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で利用可能な全ての正極活物質が使用されもする。
【0109】
例えば、Li1-bB’(前記式で、0.90≦a≦1.8及び0≦b≦0.5である);Li1-bB’2-c(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiE2-bB’4-c(前記式で、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05である);LiNi1-b-cCoB’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cCoB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α≦2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi1-b-cMnB’2-αF’α(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.5、0≦c≦0.05、0<α<2である);LiNi(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0.001≦d≦0.1である);LiNiCoMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5、0.001≦e≦0.1である);LiNiG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiCoG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMnG(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);LiMn(前記式で、0.90≦a≦1.8、0.001≦b≦0.1である);QO;QS;LiQS;V;LiV;LiI’O;LiNiVO;Li3-f(PO(0≦f≦2);Li3-fFe(PO(0≦f≦2);LiFePOの化学式のうちいずれか一つで表現される化合物を使用することができる。
【0110】
前記化学式において、Aは、Ni、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、B’は、Al、Ni、Co、Mn、Cr、Fe、Mg、Sr、V、希土類元素、またはそれらの組み合わせであり、Dは、O、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Eは、Co、Mn、またはそれらの組み合わせであり、F’は、F、S、P、またはそれらの組み合わせであり、Gは、Al、Cr、Mn、Fe、Mg、La、Ce、Sr、V、またはそれらの組み合わせであり、Qは、Ti、Mo、Mn、またはそれらの組み合わせであり、I’は、Cr、V、Fe、Sc、Y、またはそれらの組み合わせであり、Jは、V、Cr、Mn、Co、Ni、Cu、またはそれらの組み合わせである。
【0111】
前記正極活物質は、例えば、下記化学式6ないし9で表示される化合物のうち選択された一つが利用されもする。
[化学式6]
LiNiCoMn
前記化学式6で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5である。
[化学式7]
LiMnO
[化学式8]
LiMO
前記化学式8で、Mは、Mn、Fe、CoまたはNiである。
[化学式9]
LiNiCoAldO
前記化学式9で、0.90≦a≦1.8、0≦b≦0.9、0≦c≦0.5、0≦d≦0.5で、0<b+c+d≦1である。
【0112】
下記方法により、正極が準備される。
【0113】
正極活物質、結合剤及び溶媒が混合された正極活物質組成物が準備される。
【0114】
正極活物質組成物には、導電剤がさらに付加されてもよい。
【0115】
前記正極活物質組成物が、金属集電体上に直接コーティングされ乾燥され、正極板が製造される。代案として、前記正極活物質組成物が、別途の支持体上にキャスティングされた後、前記支持体から剥離されたフィルムが、金属集電体上にラミネーションされて正極が製造される。
【0116】
前記バインダは、活物質と、導電剤などとの結合、及び集電体との結合に一助となる成分である。そのようなバインダの非制限的な例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。その含量は、正極活物質の総重量100重量部を基準にして、1ないし50重量部、例えば、2ないし5重量部を使用する。該バインダの含量が前記範囲であるとき、集電体に対する活物質層の結着力が良好である。
【0117】
前記導電剤としては、当該電池に化学的変化を誘発せずに、導電性を有したものであるならば、特別に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボン系物質;炭素ファイバや金属ファイバなどの導電性ファイバ;フッ化カーボン;アルミニウム粉末、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカ;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用される。
【0118】
前記導電剤の含量は、正極活物質の総重量100重量部を基準にして、1ないし10重量部、例えば、2ないし5重量部を使用する。該導電剤の含量が前記範囲であるとき、最終的に得られた電極の伝導度特性が優秀である。
【0119】
前記溶媒の非制限的な例として、N-メチルピロリドンなどを使用する。
【0120】
前記溶媒の含量は、正極活物質100重量部を基準にして、100ないし2,000重量部を使用する。該溶媒の含量が前記範囲であるとき、活物質層を形成するための作業が容易である。
【0121】
前記正極活物質、導電剤、結合剤及び溶媒の含量は、リチウム電池で一般的に使用するレベルである。リチウム金属電池の用途及び構成により、前記導電剤、結合剤及び溶媒のうち1以上が省略されもする。
【0122】
該負極は、リチウム金属薄膜またはリチウム金属合金薄膜であってよい。リチウム金属合金は、リチウム、及びリチウムと合金可能な金属/準金属を含んでもよい。例えば、前記リチウムと合金可能な金属/準金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)などであってよい。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせであってよい。
【0123】
該負極は、リチウム電池で一般的に使用される負極活物質を含んでもよい。そのような負極活物質としては、炭素系材料、シリコン、シリコン酸化物、シリコン系合金、シリコン・炭素系材料複合体、スズ、スズ系合金、スズ・炭素複合体、金属酸化物、またはその組み合わせを使用する。
【0124】
前記炭素系材料は、結晶質炭素、非晶質炭素、またはそれらの混合物であってよい。前記結晶質炭素は、無定形、板状、鱗片状(flake)、球形またはファイバ型の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛であってよく、前記非晶質炭素は、ソフトカーボン(soft carbon:低温焼成炭素)またはハードカーボン(hard carbon)、メゾ相ピッチ(mesophase pitch)炭化物、焼成されたコークス、グラフェン、カーボンブラック、フラーレンスート(fullerene soot)、カーボンナノチューブ、及び炭素ファイバでなどであってよいが、必ずしもそれらに限定されるものではなく、当該技術分野で使用されるものであるならば、いずれも可能である。
【0125】
前記負極活物質は、Si、SiO(0<x<2、例えば、0.5ないし1.5)、Sn、SnOまたはシリコン含有金属合金、及びそれらの混合物からなる群から選択されるものを使用することができる。前記シリコン含有金属合金は、例えば、シリコンと、Al、Sn、Ag、Fe、Bi、Mg、Zn、in、Ge、Pb及びTiのうち1以上と、を含む。
【0126】
前記負極活物質は、リチウムと合金可能な金属/準金属、それらの合金、またはその酸化物を含んでもよい。例えば、前記リチウムと合金可能な金属/準金属は、Si、Sn、Al、Ge、Pb、Bi、Sb、Si-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Siではない)、Sn-Y合金(前記Yは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、13族ないし16族元素、遷移金属、希土類元素、またはそれらの組み合わせ元素であり、Snではない)、MnO(0<x≦2)などであってよい。前記元素Yとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、またはそれらの組み合わせであってよい。例えば、前記リチウムと合金可能な金属/準金属の酸化物は、リチウムチタン酸化物、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物、SnO、SiO(0<x<2)などであってよい。例えば、前記負極活物質は、元素周期律表の13族ないし16族元素からなる群から選択された1以上の元素を含んでもよい。例えば、前記負極活物質は、Si、Ge及びSnからなる群から選択された1以上の元素を含んでもよい。
【0127】
該負極は、前述の正極製造過程において、正極活物質の代わりに、負極活物質を使用したことを除いては、ほぼ同一方法によって実施して得ることができる。
【0128】
該電解質としては、一具現例による固体電解質を使用する。
【0129】
前記固体電解質の非晶質膜は、負極または正極に隣接するように配置される。例えば、該固体電解質の非晶質膜は、例えば、負極に隣接するように配置される。
【0130】
前記負極と固体電解質との間に中間層をさらに配置する。該中間層は、負極と固体電解質との接着力を増大させる役割を行う。
【0131】
該中間層以外に、負極上部に保護膜をさらに含んでもよい。一具現例によるリチウム金属電池において、前述の固体電解質以外に、リチウム金属電池で一般的に使用されるセパレータ及び/またはリチウム塩含有非水電解質がさらに使用される。
【0132】
該セパレータは、高いイオン透過度と機械的強度とを有する絶縁性の薄膜が使用される。該セパレータの気孔径は、一般的に、0.01~10μmであり、厚みは、一般的に、5~20μmである。そのようなセパレータとしては、例えば、ポリプロピレンなどのオレフィン系高分子、グラスファイバまたはポリエチレンなどで作られたシートや不織布などが使用される。該電解質として、固体高分子電解質が使用される場合には、固体高分子電解質がセパレータを兼ねることもできる。
【0133】
前記セパレータの具体的な例としては、はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、またはそれらの2層以上の多層膜が使用され、ポリエチレン/ポリプロピレン2層セパレータ、ポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレン3層セパレータ、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層セパレータのような混合多層膜を有することができる。
【0134】
前記リチウム塩含有非水電解質は、非水電解質とリチウム塩とからなる。
【0135】
非水電解質としては、非水電解液、有機固体電解質または無機固体電解質が使用される。
【0136】
前記非水電解液は、有機溶媒を含む。そのような有機溶媒は、当該技術分野において、有機溶媒として使用されるものであるならば、いずれも使用される。例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、ベンゾニトリル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ガンマブチロラクトン、1,3-ジオキソラン、4-メチルジオキソラン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、スルホラン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、ジエチレングリコール、ジメチルエーテル、またはそれらの混合物などである。そして、前記リチウム塩の例としては、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiClO、LiCFSO、Li(CFSON、Li(FSON、LiCSO、LiAlO、LiAlCl、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ただし、x及びyは、自然数である)、LiCl、LiI、またはそれらの混合物がある。
【0137】
そして、非水系電解質には、充放電特性、難燃性などの改善を目的に、例えば、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n-グライム、ヘキサメチルホスホルアミド(hexamethyl phosphoramide)、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されてもよい。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含めることもできる。
【0138】
一具現例によるリチウム電池は、容量及び寿命の特性にすぐれ、小型デバイスの電源として使用される電池セルに使用されるだけではなく、中大型デバイスの電源として使用される多数の電池セルを含む中大型電池パックまたは電池モジュールにおいて、単位電池としても使用される。
【0139】
前記中大型デバイスの例としては、電気自動車(EV:electric vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:hybrid electric vehicle)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV:plug-in hybrid electric vehicle)などを含む電気車;電気自転車(E-bike)、電気スクータ(E-scooter)を含む電気二輪車、電動工具、電力保存装置などを挙げることができるが、それらに限定されるものではない。
【実施例
【0140】
以下、下記実施例を挙げ、さらに詳細に説明するが、下記実施例にだけ限定されることを意味するものではない。
【0141】
〔実施例1:LLZO膜の製造〕
Li6.4LaZr1.70.312(W-doped LLZO)粉末に対して、約200MPaの圧力で、一軸圧縮(uniaxial-pressed)を実施し、ペレット(pellet)状にした。次に、前記ペレット上に、マザーパウダー(mother powder)(Li6.4LaZr1.70.312)で覆った後、1,200℃で4時間熱処理を実施した。熱処理で得られたペレットの表面をポリッシング(polishing)し、LLZO膜(厚み:約500μm)を製造した。
【0142】
〔実施例2:LLZO膜の製造〕
Li6.4LaZr1.70.312(W-doped LLZO)粉末に対して、約20MPaの圧力、1,150℃で2時間ホットプレス(hot-pressed)を実施し、ペレット状にした。次に、得られたペレットに対して、350μm厚を有するディスクでワイヤ・ソー・スライス(wire-saw-sliced)を実施した。ディスク中の一部をポリッシングし、厚みが150μmまたは250μmであるディスクを作った。前記ペレットに対して、ヘキサンを利用した超音波洗浄を実施し、流体(fluid)とほこりとを除去した。最終的に、前記ペレットを、レーザを利用してカットする。厚みが約60μmであるLLZO膜を製造した。
【0143】
図16は、前記過程により、ホットプレスを実施して得られたLLZOペレットの破断断面SEMイメージを示したものである。
【0144】
〔実施例3:LLZO膜の製造〕
Li4.9Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.6)膜を、後述するテープキャスティング法によって製造した。Li4.9Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.6)粉末を、下記表1にリストされた他の成分と混合し、テープキャスティングスラーリを製造した。前記スラーリを薄膜上部にキャスティングした後、乾燥を実施してフィルムを得た。前記フィルムを、30%過量のリチウムを含んだLi4.9Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.6)粉末が入っているPtボックスに入れ、LLZOテープを製造した。かように得られたテープを、フラット粉末(flat powder bed)上部に配置した後、さらに多くのLi4.9Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.6)粉末をテープ上部に覆った。テープが込められたボックスを、下記工程によって熱処理した。
【0145】
25℃から1,050℃に加熱、昇温速度300℃/hr、1,050℃で2時間維持、及び1,050℃ないし25゜C、昇温速度200℃/hr
【0146】
図17は、焼成された(fired)LLZOテープ、すなわち、テープキャスティングによって製造された破断LLZO膜(厚み:約60μm)の断面SEMイメージを示したものである。
【0147】
【表1】
【0148】
〔実施例3a:LLZO膜の製造〕
Li6.4LaZr1.70.312(W-doped LLZO)粉末の代わりに、Li4.9La2.5Ca0.5Zr1.7Nb0.312(Ca、Nb-doped LLZO)粉末を使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、LLZO膜を製造した。
【0149】
〔実施例3b:LLZO膜の製造〕
Li6.4LaZr1.70.312(W-doped LLZO)粉末の代わりに、Li4.9Ga0.5+δLa2.5Zr1.7Nb0.312(0≦δ≦1.6)(Ga、Nb-doped LLZO)粉末を使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、LLZO膜を製造した。
【0150】
〔実施例3c:LLZO膜の製造〕
Li6.4LaZr1.70.312(W-doped LLZO)粉末の代わりに、Li6.272LaZr1.70.312(W-doped LLZO)粉末を使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、LLZO膜を製造した。
【0151】
〔実施例3d:LLZO膜の製造〕
Li6.4LaZr1.70.312(W-doped LLZO)粉末の代わりに、Li5.39Ga0.5+δLaZr1.70.312(0≦δ≦1.11)(Ga、W-doped LLZO)粉末を使用したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、LLZO膜を製造した。
【0152】
〔実施例3e:LLZO膜の製造〕
実施例1と比較し、1,140℃で2時間熱処理を実施したことを除いては、実施例1と同一方法によって実施し、LLZO膜を得た。
【0153】
〔実施例4:固体電解質の製造〕
LLZO膜の厚みを、約350μmになるように調節したことを除いては、実施例1と同一に実施し、LLZO膜(厚み:約350um)を得た。このLLZO膜に、UV-laser(Nd:YAG laser)を照射し、LLZOの上部及び下部を表面処理し、上部及び下部の表面に、パターン間隔が約50μmであり、メッシュ型またはグリッド型のパターンを有し、面積が1cmX1cmである固体電解質を形成した。
【0154】
メッシュ型またはグリッド型のパターンは、約50μmのレーザ線(center-on-center)の空間間隔(spacing interval)、約20μmのレーザ線(edge-to-edge)の空間間隔(spacing interval)、約30μmのレーザサイズまたは線厚を有する。
【0155】
固体電解質と空気中水分との表面反応を最小化させるために、レーザ照射を利用した表面処理は、ドライエア(dry-air)雰囲気で行い、固体電解質を製造した。
【0156】
UVレーザの照射条件は、下記表2の通りである。
【0157】
【表2】
【0158】
〔実施例4a及び4b〕
実施例1によって得たLLZO膜の代わりに、実施例3aによって得たLLZO膜、及び実施例3bによって得たLLZO膜をそれぞれ利用したことを除いては、実施例4と同一方法によって実施し、固体電解質を製造した。
【0159】
〔実施例5:固体電解質の製造〕
両表面に、パターン間隔が約150μmであるメッシュ型パターンが形成された固体電解質を製造することができるように、レーザの照射条件を変化させたことを除いては、実施例4と同一方法によって実施し、固体電解質を製造した。該メッシュ型パターンは、対応する固体電解質の上部領域及び下部領域に形成された。
【0160】
〔実施例6:固体電解質の製造〕
両表面に、パターン間隔が約30μmであるメッシュ型パターンが形成された固体電解質を製造することができるように、レーザの照射条件を変化させたことを除いては、実施例4と同一方法によって実施し、固体電解質を製造した。
【0161】
〔実施例7:固体電解質の製造〕
一表面にパターン間隔が約30μmであるメッシュ型パターンが形成された固体電解質を製造することができるように、レーザの照射条件を変化させたことを除いては、実施例4と同一方法によって実施し、固体電解質を製造した。
【0162】
〔実施例8:固体電解質の製造〕
実施例1のLLZO膜(厚み:約350μm)の代わりに、実施例2のLLZO膜(厚み:約60μm)を利用したことを除いては、実施例5と同一方法によって実施し、上部及び下部の表面に、パターン間隔が約50μmであり、面積が1cmX1cmであるメッシュ型パターンが形成された固体電解質を形成した。
【0163】
〔実施例9:リチウム金属電池の製造〕
まず、正極を下記過程によって製作した。
LiCoO(LCO)、導電剤(Super-P、Timcal Ltd)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)及びN-メチルピロリドンを混合し、正極活物質層形成用組成物を得た。該正極活物質層形成用組成物において、LCO、導電剤及びPVDFの混合重量比は、97:1.5:1.5であり、N-メチルピロリドンの含量は、LCO 97gであるとき、約137gを使用した。
【0164】
前記正極活物質層形成用組成物を、アルミニウムホイル(厚み:約15μm)上部にコーティングし、25℃で乾燥させた後、乾燥された結果物を、真空、約110℃で乾燥させ、正極を製造した。
【0165】
前記過程によって得た正極は、イオン性液体であるN-メチル-N-プロピルピロリジニウムビス(フルオロスルホニル)イミド)(PYR13FSI:N-methyl-N-propyl pyrrolidinium bis(fluorosulfonyl)imide)(PYR13+cationの構造は、後述する通りである)に含浸した後、該正極上部に、金(Au)膜を約1.5μm厚に積層し、その上部に、前記実施例4によって製造された固体電解質、リチウム金属負極(厚み:約20μm)及び集電体(銅ホイル)を積層し、図8に図示された積層構造を有するリチウム金属電池を製造した。
【化5】
【0166】
前記正極とリチウム金属負極との間には、液体電解質を付加し、リチウム金属電池を製造した。該液体電解質としては、2:8体積比の1.2-ジメトキシエタン(DME)及び1,1,2,2-テトラフルオロエチル 2,2,3,3-テトラフルオロプロピルエーテル(TTE:1,1,2,2-tetrafluoroethyl 2,2,3,3-tetrafluoropropyl ether)の混合溶媒に、1.0M LiN(SOF)(以下、LiFSI)が溶解された電解液を利用した。
【0167】
〔実施例10ないし13:リチウム金属電池の製造〕
実施例4の固体電解質の代わりに、実施例5ないし8の固体電解質をそれぞれ使用したことを除いては、実施例9と同一方法によって実施し、リチウム金属電池を製造した。
【0168】
〔実施例14:リチウム対称セルの製造〕
実施例5の固体電解質の両面にAuをスパッタリングし、Au膜を形成した。次に、前記Au膜上部に、リチウム金属負極を積層し、それを約200℃で熱処理し、該温度で20分間維持し、溶融(molten)LiがLLZO固体電解質に接着されるようにし、リチウム対称セルを製造した。溶融Liの表面反応物形成を最小化させることができるように、アルゴンガス雰囲気のグローブボックスで行った。
【0169】
〔実施例15:リチウム金属電池の製造〕
Au層の代わりに、ポリエチレン膜を積層したことを除いては、実施例9と同一方法によって実施し、リチウム金属電池を製造した。
【0170】
〔比較例1:固体電解質の製造〕
実施例1によって製造されたLi6.4LaZr1.70.312に対して、ワイヤ・ソー・スライスを実施し、厚み500μmを有するディスクを製造した。その後、該ディスクの両表面に、スパッタリング法を利用し、LiLaZr12非晶質酸化物膜(平均厚:0.5μm)を成膜させ、固体電解質構造体を得た。
【0171】
該固体電解質構造体を2枚のステンレス板で挟ませ、インピーダンスアナライザに接続し、交流インピーダンスを測定した。その結果、固体電解質のリチウムイオン伝導度は、1×10-6S/cmであった。
【0172】
比較例1によって実施すれば、非晶質LLZO相が固体電解質の内部にも存在し、リチウムイオン伝導を妨害し、実施例4の場合と比較し、低いイオン伝導島を示した。
【0173】
〔比較例2:固体電解質の製造〕
前駆体LiOH・HO、Al、GeO及びNHPOは、3gのセラミックス材料を製造するための化学量論的条件下で、秤量及び混合した。その次に、該混合物は、白金るつぼに入れ、2時間500℃で熱処理を実施した。その後、獲得された粉末は、ゲートボールで、ボールミルにおいて1時間乾式破砕された。次に、該粉末は、白金るつぼで2時間900℃に熱処理された後、前述の条件下でさらに破砕され、LAGP(lithium aluminum germanium phosphate)粉末を得た。前記LAGP粉末1gをモールドに挿入させ、4トンの圧力下で一軸プレスを実施してペレットを得て、該ペレットを950℃で2時間熱処理し、85%の緻密度及び700μm厚を有するLAGP膜を形成した。
【0174】
前記過程を反復的に実施し、3個のLAGP膜を得て、前記3個のLAGP膜のイオン伝導度を、それぞれ3種条件(レーザビーム照射前、レーザビームの照射後、または比較例2によって製造された膜状態に対するTEM分析及びSEM分析を実施し、その結果を図12及び図13に示した。
【0175】
それを参照すれば、比較例2のように、結晶質LLZO粒子または前駆体で膜を製造した後、高温熱処理(1,000℃以上)なしにレーザだけにより溶かし、最終固体電解質膜を製造すれば、緻密な非晶質膜を製造し難い。結晶質LLZO粒子を、トルエン/エタノール溶媒と混合してスラーリを製造し、該スラーリに対して、テープキャスティングを行った。テープキャスティングされた結果物にレーザを照射すれば、気孔度が22%以下である緻密な膜を製造することができず、そして粒子間結合力が弱く、レーザ印加時に溶ける前に、粒子間結合が分解され、液体非透過性非晶質LLZO膜を製造することができなかった。従って、hybrid構造電解質セルに適用し難く、また、評価例8に示されているように、前記固体電解質は、10-6S/cm未満の非常に低いイオン伝導度を示した。
【0176】
〔比較例3:リチウム金属電池の製造〕
実施例4によって製造された固体電解質の代わりに、比較例1によって製造された固体電解質を使用したことを除いては、実施例9と同一方法によって実施し、リチウム金属電池を製造した。
【0177】
〔比較例4,5:リチウム対称セルの製造〕
実施例5によって製造された固体電解質の代わりに、比較例1及び2によって製造された固体電解質をそれぞれ使用したことを除いては、実施例14と同一方法によって実施し、リチウム対称セルを製造した。
【0178】
〔評価例1:電子走査顕微鏡〕
1)実施例4及び5
実施例4及び5によって製造された固体電解質に係わるSEM分析を実施した。
走査電子顕微鏡(SEM)は、Hitachi社のSU-8030を利用した。実施例4によって製造された固体電解質のSEM写真は、図3Aないし図3Cに示し、実施例5によって製造された固体電解質のSEM写真を、図4Aないし図4Cに示した。
それらを参照すれば、LLZO固体電解質に対して、レーザの照射によって表面処理することにより、表面積が増大するということを確認することができた。従って、そのようなLLZO固体電解質は、リチウム金属負極との接触時、活性面積が増大するということが分かった。
【0179】
2)実施例7
実施例7によって製造された固体電解質に係わるSEM分析を、実施例4及び5と同一条件で実施した。SEM分析結果を図4Dに示した。
図4Dを参照しれば、固体電解質表面が不規則的な表面形状を観察することができた。
【0180】
〔評価例2:EDAX/TEM分析〕
実施例4によって製造された固体電解質に係わるTEM/EDX分析を実施した。実施例4によって得た固体電解質のEDS Spot 1及びEDS Spot 2(図5A)における非晶質膜のEDAX/TEM分析を、それぞれ図5B及び図5Cに示した。
それらを参照すれば、実施例4の固体電解質は、非晶質相でドーパントであるタングステンの含量が約1原子%以下に低下した。そのような固体電解質を利用すれば、リチウム金属電池の耐久性が上昇する。
【0181】
〔評価例3:TEM分析〕
1)実施例4
実施例4によって製造された固体電解質の状態を、透過電子顕微鏡(TEM)を利用して分析した。前記TEM分析時、分析機として、FEI社のTitan cubed 60-300を利用し、分析結果は、図6Aないし図6Dに図示されている通りである。
図6Bないし図6Dは、図6AのA1,A2及びA3領域を抜粋して拡大して示したものである。図6Aに図示されているように、固体電解質の表面には、非晶質膜が形成され、その内部には、ガーネット構造の結晶質相膜が配置され(図6C)、非晶質膜と結晶質相膜との間には、半結晶質相膜が存在するということが分かった(図6B)。
【0182】
〔評価例4:電気化学的性能〕
実施例14及び比較例4によって製造されたリチウム対称セルに対して、定電流方法で1時間ずつ、Li deposition/strippingテストを行った。電流密度を0.2mA/cmから1.8mA/cmまで段階的に(stepwise)上昇させ、電気化学的性能をテストした。該テスト結果を図7A及び図7Bに示した。
それを参照すれば、比較例4(unpatterned-LLZO)の場合、0.6mA/cmで短絡(shortage)信号が観察された。一方、実施例14(laser-patterned LLZO)の場合、ショート(short)に対してさらに安定しており、1.8mA/cmまで短絡なしに進められるということが分かった。
【0183】
〔評価例5:界面抵抗〕
実施例9及び比較例3によって製造されたリチウム金属電池に対して、インピーダンス分析機(Solartron1260A Impedance/Gain-Phase Analyzer)を使用し、2-プローブ(probe)法により、25において抵抗を測定した。振幅±10mV、周波数範囲は、0.1Hzないし1MHzであった。実施例9及び比較例3によって製造されたリチウム金属電池の製造後、経過時間が24時間であるとき、インピーダンス測定結果に対するナイキストプロット(Nyguist plot)をそれぞれ図9A及び図9Bに示した。
それを参照すれば、インピーダンス測定結果、セルの全体界面抵抗(overall interfacial resistance)は、レーザパターニング(laser patterning)時、約100Ωcmから25Ωcmに低下することが分かった。そのような結果は、レーザパターニングによるLi deposition/stripping反応に対する活性面積(active area)が増大して起因したものと見られる。
【0184】
〔評価例6:充放電特性1)実施例9及び比較例3〕
実施例9及び比較例3によって製造されたリチウム金属電池に係わる充放電特性を、下記方法によって評価した。下記充放電サイクルは、電流密度0.3mA/cmで駆動した。
実施例9で製造されたリチウム金属電池に対して、最初充放電は、0.1Cの電流で、4.1Vに逹するまで定電流充電した後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、0.1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。2回目充放電サイクルは、0.2Cの電流で、4.1Vに逹するまで定電流充電を行った後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、0.2Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を行った。
【0185】
寿命評価は、1Cの電流で、4.1Vに逹するまで定電流充電を行った後、0.05Cの電流に逹するまで定電圧充電を実施した。充電が完了したセルは、約10分間の休止期間を経た後、1Cの電流で、電圧が3Vに至るまで定電流放電を実施するサイクルを反復的に実施して評価した。
【0186】
前記充放電特性評価を、図10A図10B及び図11に示した。図10A及び図10Bは、それぞれ実施例9及び比較例3によって製造されたリチウム金属電池に係わる容量による電極ポテンシャル変化を示したものである。
【0187】
図11は、実施例9によって製造されたリチウム金属電池に係わる容量変化及び効率特性を示したものである。
【0188】
図10Bを参照すれば、0.3mA/cmの電流密度で、定電流方法(galvanostatic)での充放電時、レーザ処理を実施していないLLZOを使用したセル(比較例3)の場合、最初及び2回目のサイクル充電中、Li shortageによる電圧のノイズ(noise)が観察された。
【0189】
一方、レーザ表面処理されたLLZOを使用したセル(実施例9)の場合は、図10Aに図示されているように、リチウム浸透による短絡なしに、充放電サイクルが駆動されるということが分かった。そして、図11に図示されているように、50サイクル以上の充放電時、高い容量維持率及び効率特性を示した。それは、レーザパターニング(laser patterning)によって形成された表面非晶質膜が、充放電中、グレインバウンダリーを介したLi成長及び伝播を効果的に防止したからである。
【0190】
2)実施例15
実施例15によって製造されたリチウム金属電池の充放電特性を、実施例9によって製造されたリチウム金属電池に係わる充放電特性評価方法と同一に実施して評価した。充放電サイクルは、電流密度0.5mA/cmで駆動した。
【0191】
評価結果は、図14及び図15に図示されている通りである。
【0192】
図14は、実施例15によって製造されたリチウム金属電池に係わる容量による電極ポテンシャル変化を示したものであり、図15は、実施例15によって製造されたリチウム金属電池で容量変化及び効率特性を示したものである。
【0193】
それらを参照すれば、0.5mA/cmの電流密度で、実施例15によって製造されたリチウム金属電池の電極ポテンシャル、容量維持率、効率特性が優秀であるということが分かった。
【0194】
〔評価例7:イオン伝導度〕
1)常温(25℃)でのイオン伝導度
実施例4及び比較例1によって製造された固体電解質の常温(25℃)でのイオン伝導度を調べた。前記固体電解質を2枚のステンレス板で挟み、インピーダンスアナライザに接続し、交流インピーダンスを測定した。その結果、リチウムイオン伝導度を下記表3に示した。
【0195】
【表3】
【0196】
表3を参照すれば、実施例4によって製造された固体電解質は、比較例1の場合と比較し、常温(25℃)でのイオン伝導度が改善されるということが分かった。
【0197】
2)高温(60℃)でのイオン伝導度
実施例4、実施例4a及び実施例4bによって製造された固体電解質の高温(60℃)でのイオン伝導度を調べた。前記固体電解質を2枚のステンレス板で挟み、インピーダンスアナライザに接続し、交流インピーダンスを測定した。その結果、リチウムイオン伝導度を下記表4に示した。
【0198】
【表4】
【0199】
表4を参照すれば、実施例4、実施例4a及び実施例4bによって製造された固体電解質は、60℃でイオン伝導度にすぐれるということが分かった。
【0200】
〔評価例8〕
実施例3cないし3eによって得たLLZO膜に対するX線回折分析を実施した。
各LLZO膜に対するX線回折分析結果、各相の混合比を調べ、その結果を下記表5に示した。
【0201】
【表5】
【0202】
以上では、図面及び実施例を参照し、一具現例について説明したが、それらは、例示的者に過ぎず、当該技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の具現例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決められるものである。
【産業上の利用可能性】
【0203】
本発明の、固体電解質、その製造方法、及びそれを含んだリチウム電池は、例えば、電源関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【符号の説明】
【0204】
10 負極
11 正極
12 固体電解質
12a 非晶質膜
12b 無機リチウムイオン伝導体膜
20a リチウム金属負極
21 正極活物質層
22a 固体電解質
22b 中間層
23 銅集電体
24 正極集電体
25 電池ケース
120 グルーブ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17