(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】部品実装制御装置、部品実装制御方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230424BHJP
【FI】
H05K13/04
(21)【出願番号】P 2018192495
(22)【出願日】2018-10-11
【審査請求日】2021-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】今田 光
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-332955(JP,A)
【文献】特開2017-135296(JP,A)
【文献】国際公開第2015/151246(WO,A1)
【文献】特開2004-006999(JP,A)
【文献】特開2009-117733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの作業位置に異なる品種の基板を搬入する2個の搬送レーンと、複数のノズルがそれぞれに着脱自在に装着された複数のヘッドを有して前記ノズルにより保持した部品を前記作業位置に支持される基板に実装する実装部とを備え、前記2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより前記作業位置に搬入された基板に前記実装部により部品を実装する部品実装を、前記2個の搬送レーンの間で前記対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行することで、所定枚数の部品実装済みの基板を各品種について生産する部品実装機を制御する部品実装制御装置であって、
前記2個の搬送レーンのうち、第1搬送レーンの前記作業位置に搬入された基板に対して前記実装部が部品を実装する前記部品実装である第1部品実装と、第2搬送レーンの前記作業位置に搬入された基板に対して前記実装部が部品を実装する前記部品実装である第2部品実装とを異なるタイプのノズルにより交互に実行する前記交互実装において、前記第1部品実装を実行してから前記第2部品実装を実行するまでの期間および前記第2部品実装を実行してから前記第1部品実装を実行するまでの期間において、前記実装部に装着される前記ノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を実行する演算部を備え、
前記部品実装機は、前記異なるタイプのノズルを前記複数のヘッドに混在させることで前記第1部品実装と前記第2部品実装との間の期間で前記ノズル変更を実行しない非変更モードおよび前記第1部品実装と前記第2部品実装との間の期間で前記ノズル変更を実行する変更モードのいずれかを選択的に用いて前記交互実装を実行可能であり、
前記決定処理は、対象とする前記交互実装を前記非変更モードにより実行した場合に要する時間と、前記変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、前記非変更モードおよび前記変更モードのいずれを、対象とする前記交互実装に用いるかを決定し、
前記演算部は、
前記2個の搬送レーンのうちの一方の搬送レーンに搬入される基板の品種が切り換わった場合に前記変更モードによって前記交互実装を実行して、前記変更モードにより実行中の前記交互実装と並行して当該交互実装を対象とする前記決定処理を実行することで、当該交互実装を前記変更モードにより継続するか、
実行中の前記変更モードと同じ品種の基板に対する当該交互実装を前記非変更モードにより実行するかを決定し、
前記部品実装機は、前記変更モードおよび前記非変更モードのうち、前記演算部が前記決定処理で決定した結果に応じたモードで前記交互実装を実行する部品実装制御装置。
【請求項2】
それぞれの作業位置に異なる品種の基板を搬入する2個の搬送レーンと、複数のノズルがそれぞれに着脱自在に装着された複数のヘッドを有して前記ノズルにより保持した部品を前記作業位置に支持される基板に実装する実装部とを備え、前記2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより前記作業位置に搬入された基板に前記実装部により部品を実装する部品実装を、前記2個の搬送レーンの間で前記対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行することで、所定枚数の部品実装済みの基板を各品種について生産する部品実装機を制御する部品実装制御装置であって、
前記2個の搬送レーンそれぞれの前記作業位置に搬入された基板に対して異なるタイプのノズルにより前記部品実装を実行する前記交互実装で繰り返される前記部品実装の間で、前記実装部に装着される前記ノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を実行する演算部を備え、
前記部品実装機は、前記異なるタイプのノズルを前記複数のヘッドに混在させることで前記部品実装の間で前記ノズル変更を実行しない非変更モードおよび前記部品実装の間で前記ノズル変更を実行する変更モードのいずれかを選択的に用いて前記交互実装を実行可能であり、
前記決定処理は、対象とする前記交互実装を前記非変更モードにより実行した場合に要する時間と、前記変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、前記非変更モードおよび前記変更モードのいずれを、対象とする前記交互実装に用いるかを決定し、
前記演算部は、前記変更モードにより実行中の前記交互実装と並行して当該交互実装を対象とする前記決定処理を実行することで、当該交互実装を前記変更モードにより継続するか、前記非変更モードにより実行するかを決定し、
前記部品実装機は、前記変更モードおよび前記非変更モードのうち、前記演算部が前記決定処理で決定した結果に応じたモードで前記交互実装を実行し、
前記演算部は、実行中の前記交互実装で生産している各品種の少なくとも一つについて、前記決定処理での決定時より後に生産すべき基板の枚数が所定枚数未満であると判断した場合には、前記決定処理での決定結果によらず、前記交互実装を前記変更モードにより継続すると決定する部品実装制御装置。
【請求項3】
それぞれの作業位置に異なる品種の基板を搬入する2個の搬送レーンと、複数のノズルがそれぞれに着脱自在に装着された複数のヘッドを有して前記ノズルにより保持した部品を前記作業位置に支持される基板に実装する実装部とを備え、前記2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより前記作業位置に搬入された基板に前記実装部により部品を実装する部品実装を、前記2個の搬送レーンの間で前記対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行することで、所定枚数の部品実装済みの基板を各品種について生産する部品実装機を制御する部品実装制御装置であって、
前記2個の搬送レーンそれぞれの前記作業位置に搬入された基板に対して異なるタイプのノズルにより前記部品実装を実行する前記交互実装で繰り返される前記部品実装の間で、前記実装部に装着される前記ノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を実行する演算部を備え、
前記部品実装機は、前記異なるタイプのノズルを前記複数のヘッドに混在させることで前記部品実装の間で前記ノズル変更を実行しない非変更モードおよび前記部品実装の間で前記ノズル変更を実行する変更モードのいずれかを選択的に用いて前記交互実装を実行可能であり、
前記決定処理は、対象とする前記交互実装を前記非変更モードにより実行した場合に要する時間と、前記変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、前記非変更モードおよび前記変更モードのいずれを、対象とする前記交互実装に用いるかを決定し、
前記演算部は、前記変更モードにより実行中の前記交互実装と並行して当該交互実装を対象とする前記決定処理を実行することで、当該交互実装を前記変更モードにより継続するか、前記非変更モードにより実行するかを決定し、
前記部品実装機は、前記変更モードおよび前記非変更モードのうち、前記演算部が前記決定処理で決定した結果に応じたモードで前記交互実装を実行し、
複数の部品実装機が直列に配列されて、前記複数の部品実装機に順番に基板が搬入され、前記各部品実装機が搬入された基板に対して前記交互実装を実行し、
前記演算部は、前記複数の部品実装機のうち、前記変更モードによる前記交互実装に要する時間が最長となるボトルネックに対する前記決定処理で前記交互実装を前記変更モードにより継続すると決定した場合は、前記ボトルネック以外の前記部品実装機に対して前記決定処理を実行しない部品実装制御装置。
【請求項4】
前記演算部は、実行中の前記交互実装で生産している一の品種の次に生産予定の次の品種を生産する前記交互実装を対象とする前記決定処理を、実行中の前記交互実装と並行して実行することで、当該次の品種を生産する前記交互実装を前記変更モードおよび前記非変更モードのいずれで実行するかを決定する請求項1ないし3のいずれか一項に記載の部品実装制御装置。
【請求項5】
前記部品実装機では、部品を供給するフィーダーがそれぞれ装着される複数の装着箇所が設けられ、前記変更モードと前記非変更モードとで、前記複数の装着箇所のそれぞれに装着される前記フィーダーが変わらない請求項1ないし4のいずれか一項に記載の部品実装制御装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記決定処理の結果を、前記決定処理の対象となった前記交互実装で生産する各品種と対応付けて決定履歴としてデータベースに保存する請求項1ないし5のいずれか一項に記載の部品実装制御装置。
【請求項7】
それぞれの作業位置に異なる品種の基板を搬入する2個の搬送レーンと、複数のノズルがそれぞれに着脱自在に装着された複数のヘッドを有して前記ノズルにより保持した部品を前記作業位置に支持される基板に実装する実装部とを備え、前記2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより前記作業位置に搬入された基板に前記実装部により部品を実装する部品実装を、前記2個の搬送レーンの間で前記対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行することで、所定枚数の部品実装済みの基板を各品種について生産する部品実装機を制御する部品実装制御装置であって、
前記2個の搬送レーンそれぞれの前記作業位置に搬入された基板に対して異なるタイプのノズルにより前記部品実装を実行する前記交互実装で繰り返される前記部品実装の間で、前記実装部に装着される前記ノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を実行する演算部を備え、
前記部品実装機は、前記異なるタイプのノズルを前記複数のヘッドに混在させることで前記部品実装の間で前記ノズル変更を実行しない非変更モードおよび前記部品実装の間で前記ノズル変更を実行する変更モードのいずれかを選択的に用いて前記交互実装を実行可能であり、
前記決定処理は、対象とする前記交互実装を前記非変更モードにより実行した場合に要する時間と、前記変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、前記非変更モードおよび前記変更モードのいずれを、対象とする前記交互実装に用いるかを決定し、
前記演算部は、前記変更モードにより実行中の前記交互実装と並行して当該交互実装を対象とする前記決定処理を実行することで、当該交互実装を前記変更モードにより継続するか、前記非変更モードにより実行するかを決定し、
前記部品実装機は、前記変更モードおよび前記非変更モードのうち、前記演算部が前記決定処理で決定した結果に応じたモードで前記交互実装を実行し、
前記演算部は、前記決定処理の結果を、前記決定処理の対象となった前記交互実装で生産する各品種と対応付けて決定履歴としてデータベースに保存し、
前記演算部は、前記決定処理において、当該決定処理の対象となる前記交互実装で生産する各品種と対応付けられた前記決定履歴が前記データベースに保存されていることを前記時間差評価演算の実行前に確認すると、前記時間差評価演算を実行せずに、前記変更モードおよび前記非変更モードのうち前記決定履歴が示すモードで前記交互実装を実行すると決定する部品実装制御装置。
【請求項8】
前記データベースは、前記決定処理の結果を、当該決定処理の対象となる前記交互実装で生産する各品種の基板に部品を実装する際の前記実装部の動作に関する実装動作条件とともに前記決定履歴として保存し、
前記演算部は、前記決定処理において、当該決定処理の対象となる前記交互実装で生産する各品種と対応付けられた前記決定履歴が前記データベースに保存されていることを前記時間差評価演算の実行前に確認した場合であっても、当該決定処理の対象となる前記交互実装で生産する各品種の基板に部品を実装する前記実装部の前記実装動作条件が、前記決定履歴に対応付けられた前記実装動作条件と異なる場合には、前記時間差評価演算を実行して決定を行う請求項7に記載の部品実装制御装置。
【請求項9】
前記部品実装機は、前記2個の搬送レーンと前記実装部とを制御することで前記交互実装を実行する制御部をさらに備え、
前記演算部は、前記制御部と別に設けられている請求項1ないし8のいずれか一項に記載の部品実装制御装置。
【請求項10】
前記演算部は、1枚の基板に対する前記部品実装の途中における前記実装部に装着される前記ノズルの変更を許容し、前記非変更モードを実行する場合において前記2個の搬送レーンのうちの一方での部品実装を終了して他方での部品実装を開始する際の前記実装部への前記ノズルの装着態様を、当該装着態様で開始した前記他方での部品実装に要する時間を評価した結果に基づき決定する請求項1ないし9のいずれか一項に記載の部品実装制御装置。
【請求項11】
それぞれの作業位置に異なる品種の基板を搬入する2個の搬送レーンと、複数のノズルがそれぞれに着脱自在に装着された複数のヘッドを有して前記ノズルにより保持した部品を前記作業位置に支持される基板に実装する実装部とを備え、前記2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより前記作業位置に搬入された基板に前記実装部により部品を実装する部品実装を、前記2個の搬送レーンの間で前記対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行することで、所定枚数の部品実装済みの基板を各品種について生産する部品実装機を制御する部品実装制御方法であって、
前記2個の搬送レーンのうち、第1搬送レーンの前記作業位置に搬入された基板に対して前記実装部が部品を実装する前記部品実装である第1部品実装と、第2搬送レーンの前記作業位置に搬入された基板に対して前記実装部が部品を実装する前記部品実装である第2部品実装とを異なるタイプのノズルにより交互に実行する前記交互実装において、前記第1部品実装を実行してから前記第2部品実装を実行するまでの期間および前記第2部品実装を実行してから前記第1部品実装を実行するまでの期間において、前記実装部に装着される前記ノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を演算部により実行する工程と、
前記演算部が前記決定処理で決定した結果に応じたモードで前記部品実装機により前記交互実装を実行する工程と
を備え、
前記部品実装機は、前記異なるタイプのノズルを前記複数のヘッドに混在させることで前記第1部品実装と前記第2部品実装との間の期間で前記ノズル変更を実行しない非変更モードおよび前記第1部品実装と前記第2部品実装との間の期間で前記ノズル変更を実行する変更モードのいずれかを、前記モードとして選択的に用いて前記交互実装を実行可能であり、
前記決定処理は、対象とする前記交互実装を前記非変更モードにより実行した場合に要する時間と、前記変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、前記非変更モードおよび前記変更モードのいずれを、対象とする前記交互実装に用いるかを決定し、
前記演算部は、
前記2個の搬送レーンのうちの一方の搬送レーンに搬入される基板の品種が切り換わった場合に前記変更モードによって前記交互実装を実行して、前記変更モードにより実行中の前記交互実装と並行して当該交互実装を対象とする前記決定処理を実行することで、当該交互実装を前記変更モードにより継続するか、
実行中の前記変更モードと同じ品種の基板に対する当該交互実装を前記非変更モードにより実行するかを決定し、
前記部品実装機は、前記変更モードおよび前記非変更モードのうち、前記演算部が前記決定処理で決定した結果に応じたモードで前記交互実装を実行する部品実装制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、それぞれ基板を搬入可能な2個の搬送レーンを備えた部品実装機で部品実装を実行する技術に関し、特に搬送レーンにより搬入された基板に対する部品実装を2個の搬送レーンに対して交互に繰り返す交互実装を実行する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルにより保持した部品を、搬送レーンにより搬入した基板に実装する部品実装機が知られている。また、特許文献1に記載の部品実装機は、2個の搬送レーンを備え、搬送レーンにより搬入された基板に対する部品実装を2個の搬送レーンに対して交互に繰り返すデュアル生産方式(交互実装)を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ただし、交互実装を実行する部品実装機では、2個の搬送レーンに対して交互に繰り返される部品実装の間で、ノズルを変更するノズル変更を実行する必要が生じる場合がある。そして、このノズル変更に要する時間が、部品実装済みの基板の生産効率を低下させる一因となっていた。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、搬送レーンにより搬入された基板に対する部品実装を2個の搬送レーンに対して交互に繰り返す交互実装を実行する部品実装機において、ノズル変更に伴う基板の生産効率の低下を抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る部品実装制御装置は、それぞれの作業位置に異なる品種の基板を搬入する2個の搬送レーンと、複数のノズルがそれぞれに着脱自在に装着された複数のヘッドを有してノズルにより保持した部品を作業位置に支持される基板に実装する実装部とを備え、2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより作業位置に搬入された基板に実装部により部品を実装する部品実装を、2個の搬送レーンの間で対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行することで、所定枚数の部品実装済みの基板を各品種について生産する部品実装機を制御する部品実装制御装置であって、2個の搬送レーンそれぞれの作業位置に搬入された基板に対して異なるタイプのノズルにより部品実装を実行する交互実装で繰り返される部品実装の間で、実装部に装着されるノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を実行する演算部を備え、部品実装機は、異なるタイプのノズルを複数のヘッドに混在させることで部品実装の間でノズル変更を実行しない非変更モードおよび部品実装の間でノズル変更を実行する変更モードのいずれかを選択的に用いて交互実装を実行可能であり、決定処理は、対象とする交互実装を非変更モードにより実行した場合に要する時間と、変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、非変更モードおよび変更モードのいずれを、対象とする交互実装に用いるかを決定し、演算部は、変更モードにより実行中の交互実装と並行して当該交互実装を対象とする決定処理を実行することで、当該交互実装を変更モードにより継続するか、非変更モードにより実行するかを決定し、部品実装機は、変更モードおよび非変更モードのうち、演算部が決定処理で決定した結果に応じたモードで交互実装を実行する。
【0007】
本発明に係る部品実装制御方法は、それぞれの作業位置に異なる品種の基板を搬入する2個の搬送レーンと、複数のノズルがそれぞれに着脱自在に装着された複数のヘッドを有してノズルにより保持した部品を作業位置に支持される基板に実装する実装部とを備え、2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより作業位置に搬入された基板に実装部により部品を実装する部品実装を、2個の搬送レーンの間で対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行することで、所定枚数の部品実装済みの基板を各品種について生産する部品実装機を制御する部品実装制御方法であって、2個の搬送レーンそれぞれの作業位置に搬入された基板に対して異なるタイプのノズルにより部品実装を実行する交互実装で繰り返される部品実装の間で、実装部に装着されるノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を演算部により実行する工程と、演算部が決定処理で決定した結果に応じたモードで部品実装機により交互実装を実行する工程とを備え、部品実装機は、異なるタイプのノズルを複数のヘッドに混在させることで部品実装の間でノズル変更を実行しない非変更モードおよび部品実装の間でノズル変更を実行する変更モードのいずれかを、モードとして選択的に用いて交互実装を実行可能であり、決定処理は、対象とする交互実装を非変更モードにより実行した場合に要する時間と、変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、非変更モードおよび変更モードのいずれを、対象とする交互実装に用いるかを決定し、演算部は、変更モードにより実行中の交互実装と並行して当該交互実装を対象とする決定処理を実行することで、当該交互実装を変更モードにより継続するか、非変更モードにより実行するかを決定し、部品実装機は、変更モードおよび非変更モードのうち、演算部が決定処理で決定した結果に応じたモードで交互実装を実行する。
【0008】
このように構成された本発明(部品実装制御装置、部品実装制御方法)では、部品実装機は、2個の搬送レーンのうちの対象搬送レーンにより作業位置に搬入された基板に実装部により部品を実装する部品実装を、2個の搬送レーンの間で対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す交互実装を実行する。この際、部品実装機は、異なるタイプのノズルを複数のヘッドに混在させることで部品実装の間でノズル変更を実行しない非変更モードおよび部品実装の間でノズル変更を実行する変更モードを用いて、交互実装を実行できる。これに対して、交互実装で繰り返される部品実装の間で、実装部に装着されるノズルを変更するノズル変更を実行するかを決定する決定処理を実行する演算部が設けられており、演算部は、対象とする交互実装を非変更モードにより実行した場合に要する時間と、変更モードにより実行した場合に要する時間との差を評価する時間差評価演算を実行した結果に基づき、交互実装を実行するモードを決定する。特に、演算部は、変更モードにより実行中の交互実装と並行して当該交互実装を対象とする決定処理を実行することで、当該交互実装を変更モードにより継続するか、非変更モードにより実行するかを決定する。かかる本発明では、変更モードの方が非変更モードより効率的に交互実装を実行できる場合には、変更モードによってノズル変更を実行しつつ交互実装が継続される一方、非変更モードの方が変更モードより効率的に交互実装を実行できる場合には、交互実装を実行するモードが変更モードから非変更モードに切り換わり、以後はノズル変更が実行されない。その結果、ノズル変更に伴う基板の生産効率の低下を抑制することが可能となっている。
【0009】
また、演算部は、実行中の交互実装で生産している各品種の少なくとも一つについて、決定処理での決定時より後に生産すべき基板の枚数が所定枚数未満であると判断した場合には、決定処理での決定結果によらず、交互実装を変更モードにより継続すると決定するように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、以後に生産すべき基板の枚数が少なく、非変更モードに切り換えても十分な効果が得られない場合等には、変更モードで交互実装が継続される。したがって、不要なモード切換が発生するのを抑えて、交互実装を効率的に実行することが可能となっている。
【0010】
また、複数の部品実装機が直列に配列されて、複数の部品実装機に順番に基板が搬入され、各部品実装機が搬入された基板に対して交互実装を実行し、演算部は、複数の部品実装機のうち、変更モードによる交互実装に要する時間が最長となるボトルネックに対する決定処理で交互実装を変更モードにより継続すると決定した場合は、ボトルネック以外の部品実装機に対して決定処理を実行しないように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、ボトルネック以外の部品実装機に対して不要な決定処理が実行されるのを抑止できる。
【0011】
また、演算部は、実行中の交互実装で生産している一の品種の次に生産予定の次の品種を生産する交互実装を対象とする決定処理を、実行中の交互実装と並行して実行することで、当該次の品種を生産する交互実装を変更モードおよび非変更モードのいずれで実行するかを決定するように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、一の品種の次に生産予定の次の品種の基板に対する交互実装を、変更モードおよび非変更モードのうちの適切なモードで速やかに開始することができる。
【0012】
また、部品実装機では、部品を供給するフィーダーがそれぞれ装着される複数の装着箇所が設けられ、変更モードと非変更モードとで、複数の装着箇所のそれぞれに装着されるフィーダーが変わらないように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、変更モードから非変更モードへの切換に伴って、フィーダーを装着する作業を実行する必要がなく、非変更モードでの交互実装を速やかに開始できる。
【0013】
また、演算部は、決定処理の結果を、決定処理の対象となった交互実装で生産する各品種と対応付けて決定履歴としてデータベースに保存するように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、過去に実行された決定処理の結果、すなわち決定履歴を有効利用できる。
【0014】
また、演算部は、決定処理において、当該決定処理の対象となる交互実装で生産する各品種と対応付けられた決定履歴がデータベースに保存されていることを時間差評価演算の実行前に確認すると、時間差評価演算を実行せずに、変更モードおよび非変更モードのうち決定履歴が示すモードで交互実装を実行すると決定するように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、データベースの決定履歴を有効利用することで、決定処理において時間差評価演算を省略でき、決定処理での結果を速やかに得ることができる。
【0015】
また、データベースは、決定処理の結果を、当該決定処理の対象となる交互実装で生産する各品種の基板に部品を実装する際の実装部の動作に関する実装動作条件とともに決定履歴として保存し、演算部は、決定処理において、当該決定処理の対象となる交互実装で生産する各品種と対応付けられた決定履歴がデータベースに保存されていることを時間差評価演算の実行前に確認した場合であっても、当該決定処理の対象となる交互実装で生産する各品種の基板に部品を実装する実装部の実装動作条件が、決定履歴に含まれる実装動作条件と異なる場合には、時間差評価演算を実行して決定を行うように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、適切な実装動作条件で実装部を動作させつつ、交互実装を実行することができる。
【0016】
また、部品実装機は、2個の搬送レーンと実装部とを制御することで交互実装を実行する制御部をさらに備え、演算部は、制御部と別に設けられているように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、交互実装のために搬送レーンおよび実装部を制御する制御部の負荷を抑えつつ、決定処理に要する演算を実行することができる。
【0017】
また、演算部は、1枚の基板に対する部品実装の途中における実装部に装着されるノズルの変更を許容し、非変更モードを実行する場合において2個の搬送レーンのうちの一方での部品実装を終了して他方での部品実装を開始する際の実装部へのノズルの装着態様を、当該装着態様で開始した他方での部品実装に要する時間を評価した結果に基づき決定するように、部品実装制御装置を構成しても良い。かかる構成では、非変更モードを実行する場合において2個の搬送レーンのうちの一方での部品実装を終了して他方での部品実装を開始する際の実装部へのノズルの装着態様が、当該装着態様で開始した他方での部品実装に要する時間を評価した結果に基づき適切化される。したがって、部品実装に要する時間を抑えることができ、基板の生産効率の低下の抑制を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、搬送レーンにより搬入された基板に対する部品実装を2個の搬送レーンに対して交互に繰り返す交互実装を実行する部品実装機において、ノズル変更に伴う基板の生産効率の低下を抑制することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る部品実装制御装置として機能するサーバーコンピューターを備えた部品実装システムの電気的構成を示すブロック図。
【
図2】
図1の部品実装システムが備える部品実装機の構成を模式的に示す平面図。
【
図3】
図2に示す部品実装機で実行される交互実装の一例を模式的に示す図。
【
図4】交互実装におけるヘッドユニットに対するノズルの装着態様の一例を模式的に示す図。
【
図5】部品実装機により実行される基板生産の一例を示すフローチャート。
【
図6】
図5の基板生産と並行してサーバーコンピューターにより実行される最適化処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】
図5および
図6のフローチャートを適用可能な生産計画を模式的に示す図。
【
図8】変更モードから非変更モードへの切り換えに伴う動作を模式的示すタイミングチャート。
【
図9】本発明に係る部品実装制御装置として機能するサーバーコンピューターを備えた部品実装システムの変形例の電気的構成を示すブロック図。
【
図10】
図9の部品実装システムが備えるデータベースが保存するデータの一例を模式的に示す図。
【
図11】
図5の基板生産と並行してサーバーコンピューターにより実行される最適化処理の変形例を示すフローチャート。
【
図12】
図5の基板生産と並行してサーバーコンピューターにより実行される最適化処理のさらなる変形例を示すフローチャート。
【
図13】本発明に係る部品実装制御装置として機能するサーバーコンピューターを備えた部品実装システムのさらなる変形例の電気的構成を示すブロック図。
【
図14】変形例に係る最適化処理での演算内容の一例を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明に係る部品実装制御装置として機能するサーバーコンピューターを備えた部品実装システムの電気的構成を示すブロック図であり、
図2は
図1の部品実装システムが備える部品実装機の構成を模式的に示す平面図である。なお、
図2では、Z方向が鉛直方向であり、X方向およびY方向がそれぞれ水平方向であるXYZ直交座標軸が示されている。
図1に示すように、部品実装システム1は、基板Bに部品Eを実装する部品実装機10と、部品実装機10を制御するサーバーコンピューター9とを備える。
【0021】
サーバーコンピューター9は、演算部91、記憶部92および通信部93を備える。演算部91は、CPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random access memory)で構成されたプロセッサーである。記憶部92は、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、演算部91での演算に利用されるプログラムあるいはデータや、演算部91による演算結果等を記憶する。また、通信部93は、部品実装機10との通信を担う。
【0022】
部品実装機10は、制御部11、記憶部12および通信部13を備える。制御部11は、CPUおよびRAMで構成されたプロセッサーであり、部品実装機10の各部を制御することで基板Bを部品Eに実装する。記憶部12はHDD等で構成され、基板Bへの部品Eの実装手順を規定する生産プログラムや、生産プログラムの実行に要するデータ等を記憶する。また、通信部13は、サーバーコンピューター9の通信部93との通信を担う。
【0023】
図2に示すように、部品実装機10は、Y方向の一方側に設けられた部品供給部2aと、Y方向の他方側に設けられた部品供給部2bとを備える。各部品供給部2a、2bでは、複数の装着箇所20がX方向に並んでおり、各装着箇所20にフィーダー21が着脱可能に装着されている。このように、各部品供給部2a、2bでは、複数のフィーダー21がX方向に並んで取り付けられている。そして、複数のフィーダー21は、それぞれの先端の部品取出部22に部品Eを供給する。なお、部品Eには、半導体集積回路装置、トランジスター、コンデンサーおよび抵抗などの小型の電子部品が含まれる。
【0024】
また、部品実装機10は、部品供給部2aと部品供給部2bとの間で並列に配列された第1搬送レーン3aと第2搬送レーン3bとを備える。こうしてY方向に隣り合う第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのうち、第1搬送レーン3aは部品供給部2a側に配置され、第2搬送レーン3bは、部品供給部2b側に配置されている。これら搬送レーン3a、3bのそれぞれは、基板搬送方向であるX方向にこの順で並ぶコンベアユニット31、コンベアユニット32およびコンベアユニット33で構成され、基板Bをほぼ水平に支持しつつX方向へ搬送する。これらコンベアユニット31、32、33のそれぞれは、Y方向に間隔を空けて並ぶ一対のコンベア35、35を有し、コンベア35、35のY方向の間隔が基板BのY方向への幅に応じて変更可能となっている。
【0025】
この第1搬送レーン3aでは、コンベアユニット31がX方向の上流側から基板Bを搬入すると、コンベアユニット32がこの基板Bをコンベアユニット31から受け取って所定の作業位置A(
図1における基板Bの位置)に搬入・保持する。また、後述するヘッドユニット4aが作業位置Aの基板Bへの部品Eの実装を完了すると、コンベアユニット32が基板Bを作業位置からX方向の下流側へ搬送し、コンベアユニット33がこの基板Bをコンベアユニット32から受け取ってX方向の下流側へ搬出する。こうして、第1搬送レーン3aは、作業位置への基板Bの搬入、作業位置での基板Bの保持、および作業位置からの基板Bの搬出を実行する。同様に第2搬送レーン3bも、作業位置への基板Bの搬入、作業位置での基板Bの保持、および作業位置からの基板Bの搬出を実行する。
【0026】
さらに、部品実装機10は、部品供給部2aに対応して設けられたヘッドユニット4aと、部品供給部2bに対応して設けられたヘッドユニット4bとを備える。また、部品実装機10は、ヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bを支持するために、それぞれX方向に延設された支持ビーム5aおよび支持ビーム5bを備える。支持ビーム5aおよび支持ビーム5bのそれぞれは、X方向に延びるボールネジ51と、ボールネジ51を回転させるX軸モーター52とを有する。そして、支持ビーム5aは、X軸モーター52によりボールネジ51を回転させることでボールネジ51のナット511に取り付けられたヘッドユニット4aをX方向へ駆動し、支持ビーム5bは、X軸モーター52によりボールネジ51を回転させることでボールネジ51のナット511に取り付けられたヘッドユニット4bをX方向へ駆動する。
【0027】
また、支持ビーム5aおよび支持ビーム5bはY軸モーター53(リニアモーター)によってY軸レール54に沿ってY方向に移動可能である。すなわち、支持ビーム5aおよび支持ビーム5bの両端部には、界磁コイルがリニアモータの可動子として取り付けられている。一方、Y軸レール54では、複数の永久磁石がY方向に沿って配列されてリニアモータの固定子として機能する。そして、支持ビーム5aの可動子に電流が供給されると、支持ビーム5aがヘッドユニット4aを伴ってY方向に移動し、支持ビーム5bの可動子に電流が供給されると、支持ビーム5bがヘッドユニット4bを伴ってY方向に移動する。こうして、ヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bのそれぞれは、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bの上方をXY方向に移動可能である。
【0028】
ヘッドユニット4aおよびヘッドユニット4bのそれぞれは、X方向に並ぶ8本の実装ヘッド41を有し、各実装ヘッド41は、その下端に着脱自在に装着されたノズルN(
図4)によって部品Eを吸着・保持する。この際、ヘッドユニット4a、4bのうち、部品供給部2a側のヘッドユニット4aの実装ヘッド41は部品供給部2aが供給する部品Eを吸着して基板Bに実装する一方、部品供給部2b側のヘッドユニット4bの実装ヘッド41は部品供給部2bが供給する部品Eを吸着して基板Bに実装する。
【0029】
なお、ヘッドユニット4a、4bが部品Eを基板Bに実装するためには、次の各動作が実行される。ヘッドユニット4a、4bは、部品取出部22から部品Eを取り出すために、負圧を発生させたノズルNを部品Eに当接させた状態でノズルNを所定の吸着時間だけ静止させてから、所定の上昇速度でノズルNを上昇させる。続いて、ヘッドユニット4a、4bは、ノズルNに部品Eを保持しつつ所定の搬送速度で水平方向に移動することで、基板Bの上方に部品Eを搬送する。そして、ヘッドユニット4a、4bは、所定の下降速度でノズルNを下降させることで部品Eを基板Bに当接させた状態でノズルNを所定の載置時間だけ静止させてから、ノズルNの負圧を解除しつつノズルNを上昇させる。この際、
これら吸着時間、上昇速度、搬送速度、下降速度および載置時間は、実装動作条件として予めプログラムに含まれており、制御部11によって制御される。
【0030】
また、第1搬送レーン3aと部品供給部2aとの間および第2搬送レーン3bと部品供給部2bとの間のそれぞれには、ノズルチェンジャー6が配置されている。ノズルチェンジャー6は、実装ヘッド41からノズルを外して収容したり、収容していたノズルを実装ヘッド41に取り付けたりすることで、ヘッドユニット4a、4bに装着されるノズルを変更するノズル変更を実行する。2個のノズルチェンジャー6のうち、部品供給部2a側のノズルチェンジャー6はヘッドユニット4aに対してノズル変更を実行し、部品供給部2b側のノズルチェンジャー6はヘッドユニット4bに対してノズル変更を実行する。
【0031】
そして、本実施形態では、部品実装機10は、部品Eが実装済みの基板Bを交互実装によって生産する。この交互実装は、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのうちの対象搬送レーンにより作業位置Aに搬入された基板Bにヘッドユニット4a、4bにより部品Eを実装する部品実装を、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bの間で対象搬送レーンを交互に変更しつつ繰り返す。
【0032】
図3は
図2に示す部品実装機で実行される交互実装の一例を模式的に示す図であり、
図4は交互実装におけるヘッドユニットに対するノズルの装着態様の一例を模式的に示す図である。ここでの交互実装の例では、互いに異なるタイプの2個のノズルNa、Nb(
図4)が用いられる。具体的には、第1搬送レーン3aに支持される基板Bへの部品実装は、ノズルNaを用いて実行され、第2搬送レーン3bに支持される基板Bへの部品実装は、ノズルNbを用いて実行される。
図3および
図4に示すように、この交互実装は、ノズル変更を実行する変更モードおよびノズル変更を実行しない非変更モードにより実行することができる。
【0033】
図3の「変更モード」の欄に示すように、変更モードでは、基板生産が開始すると、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bが、それぞれの作業位置Aに基板Bを搬入する(搬入)。そして、ヘッドユニット4a、4bの両方が、第1搬送レーン3a(対象搬送レーン)によって作業位置Aに搬入された1枚の基板Bに対して部品実装を実行する(部品実装)。
図4において「変更モード」と「搬送レーン3a」とで特定される欄に示すように、第1搬送レーン3aにより支持される基板Bへの部品実装時にヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNは全てノズルNaであり、ヘッドユニット4a、4bはノズルNaを用いて当該部品実装を実行する。
【0034】
図3の「変更モード」の欄に示すように、第1搬送レーン3aでの部品実装が完了すると、第1搬送レーン3aは、部品実装が完了した基板Bを作業位置Aから搬出するとともに、次の基板Bを作業位置Aに搬入する(搬出搬入)。この搬出搬入と並行して、ヘッドユニット4a、4bのそれぞれは、ノズルチェンジャー6の上方に移動してノズルの変更を受ける(変更)。
図4において「変更モード」と「搬送レーン3b」とで特定される欄に示すように、第1搬送レーン3aでの部品実装から第2搬送レーン3bでの部品実装に移行する間に実行されるノズル変更により、ヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNは全てノズルNaからノズルNbに変更される。
【0035】
このノズル変更が完了すると、ヘッドユニット4a、4bの両方が、第2搬送レーン3b(対象搬送レーン)によって作業位置Aに搬入された1枚の基板Bに対して部品実装を実行する(部品実装)。上記のようにノズル変更が実行されたことから、第2搬送レーン3bにより支持される基板Bへの部品実装時にヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNは全てノズルNbであり、ヘッドユニット4a、4bはノズルNbを用いて当該部品実装を実行する。
【0036】
図3の「変更モード」の欄に示すように、第2搬送レーン3bでの部品実装が完了すると、第2搬送レーン3bは、部品実装が完了した基板Bを作業位置Aから搬出するとともに、次の基板Bを作業位置Aに搬入する(搬出搬入)。この搬出搬入と並行して、ヘッドユニット4a、4bのそれぞれは、ノズルチェンジャー6の上方に移動してノズルの変更を受ける(変更)。
図4において「変更モード」と「搬送レーン3a」とで特定される欄に示すように、第2搬送レーン3bでの部品実装から第1搬送レーン3aでの部品実装に移行する間に実行されるノズル変更により、ヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNは全てノズルNbからノズルNaに変更される。
【0037】
このノズル変更が完了すると、ヘッドユニット4a、4bの両方が、第1搬送レーン3a(対象搬送レーン)によって作業位置Aに搬入された1枚の基板Bに対して部品実装を実行する(部品実装)。上記のようにノズル変更が実行されたことから、第1搬送レーン3aにより支持される基板Bへの部品実装時にヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNは全てノズルNaであり、ヘッドユニット4a、4bはノズルNaを用いて当該部品実装を実行する。かかる動作が繰り返し実行されることで、交互実装により部品実装済みの基板Bが生産される。
【0038】
図3の「非変更モード」の欄に示すように、非変更モードにおいても、基板生産が開始すると、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bが、それぞれの作業位置Aに基板Bを搬入する(搬入)。そして、ヘッドユニット4a、4bの両方が、第1搬送レーン3a(対象搬送レーン)によって作業位置Aに搬入された1枚の基板Bに対して部品実装を実行する(部品実装)。ただし、
図4において「非変更モード」と「搬送レーン3a」とで特定される欄に示すように、第1搬送レーン3aにより支持される基板Bへの部品実装時にヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNには、ノズルNaとノズルNbとが所定の割合(ここの例では、5:3)で含まれ、ヘッドユニット4a、4bはノズルNa、NbのうちノズルNaのみを用いて当該部品実装を実行する。
【0039】
図3の「非変更モード」の欄に示すように、第1搬送レーン3aでの部品実装が完了すると、第1搬送レーン3aは、部品実装が完了した基板Bを作業位置Aから搬出するとともに、次の基板Bを作業位置Aに搬入する(搬出搬入)。この搬出搬入と並行して、ヘッドユニット4a、4bの両方が、第2搬送レーン3b(対象搬送レーン)によって作業位置Aに搬入された1枚の基板Bに対して部品実装を開始する(部品実装)。この非変更モードでは、ノズル変更が実行されない。したがって、
図4において「非変更モード」と「搬送レーン3b」とで特定される欄に示すように、第2搬送レーン3bにより支持される基板Bへの部品実装時にヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNには、ノズルNaとノズルNbとが所定の割合(ここの例では、5:3)で含まれ、ヘッドユニット4a、4bはノズルNa、NbのうちノズルNbのみを用いて当該部品実装を実行する。
【0040】
図3の「非変更モード」の欄に示すように、第2搬送レーン3bでの部品実装が完了すると、第2搬送レーン3bは、部品実装が完了した基板Bを作業位置Aから搬出するとともに、次の基板Bを作業位置Aに搬入する(搬出搬入)。この搬出搬入と並行して、ヘッドユニット4a、4bの両方が、第1搬送レーン3a(対象搬送レーン)によって作業位置Aに搬入された1枚の基板Bに対して部品実装を開始する(部品実装)。上記と同様に、ヘッドユニット4a、4bはノズルNa、NbのうちノズルNaのみを用いて当該部品実装を実行する。かかる動作が繰り返し実行されることで、交互実装により部品実装済みの基板Bが生産される。
【0041】
上記のように、変更モードでは、非変更モードと比較して、多くのノズルNaをヘッドユニット4a、4bに装着して第1搬送レーン3aでの部品実装を実行できるとともに、多くのノズルNbをヘッドユニット4a、4bに装着して第2搬送レーン3bでの部品実装を実行できる。したがって、第1搬送レーン3a、3bのそれぞれで実行される部品実装に要する時間を抑えることが可能となる。ただし、第1搬送レーン3a、3bのそれぞれでの部品実装の間にノズル変更が実行される。そのため、ノズル変更に要する時間が発生する。
【0042】
これに対して、非変更モードでは、変更モードと異なり、ノズル変更を実行しないため、ノズル変更に要する時間は発生しない。ただし、非変更モードでは、変更モードと比較して、少ないノズルNaをヘッドユニット4a、4bに装着して第1搬送レーン3aでの部品実装を実行し、少ないノズルNbをヘッドユニット4a、4bに装着して第2搬送レーン3bでの部品実装を実行する。そのため、第1搬送レーン3a、3bのそれぞれで実行される部品実装に要する時間が長くなる傾向にある。
【0043】
このように、変更モードと非変更モードはトレードオフの関係にあり、いずれのモードが基板生産に要する時間を短縮できるかは、演算によって予測することができる。ただし、この演算には一定の時間を要するため、この演算を行ってから基板生産を開始する方法では、基板生産を速やかに開始できないおそれがある。そこで、本実施形態では、次のようにして基板生産を実行する。
【0044】
図5は部品実装機により実行される基板生産の一例を示すフローチャートであり、
図6は
図5の基板生産と並行してサーバーコンピューターにより実行される最適化処理の一例を示すフローチャートである。
図5のフローチャートは、部品実装機10の制御部11の制御により実行され、
図6のフローチャートは、サーバーコンピューター9の演算部91の演算により実行される。
【0045】
また、
図7は
図5および
図6のフローチャートを適用可能な生産計画を模式的に示す図である。ここでは、
図7に示す生産計画に
図5および
図6のフローチャートを適用した場合を例示して、説明を行う。
図7に示す基板Bの品種Bk(1)~Bk(5)はそれぞれ異なり、第1搬送レーン3aでは、M(1)枚の品種Bk(1)の基板Bの生産と、M(4)枚の品種Bk(4)の基板Bの生産とを順番に実行し、第2搬送レーン3bでは、M(2)枚の品種Bk(2)の基板Bの生産と、M(3)枚の品種Bk(3)の基板Bの生産と、M(5)枚の品種Bk(5)の基板Bの生産とを順番に実行する。これらの基板生産は交互実装で実行されるため、1枚の基板Bへの部品実装を第1搬送レーン3aで実行してから、1枚の基板Bへの部品実装を第2搬送レーン3bで実行するといった動作を繰り返すことで、品種Bk(1)~Bk(5)の基板Bをそれぞれ所定枚数M(1)~M(5)ずつ生産する。
【0046】
基板生産が開始されると、
図5のステップS101では、第1搬送レーン3a、3bのそれぞれでタイプが異なるノズルNを用いて交互実装を実行するか否かが判断される。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aでの品種Bk(1)の基板Bへの部品実装ではノズルNaが用いられ、第2搬送レーン3bでの品種Bk(2)の基板Bへの部品実装ではノズルNbが用いられる。したがって、ステップS101で「YES」と判断され、部品実装機10の制御部11は、通信部13を介して最適化要求をサーバーコンピューター9に送信するとともに(ステップS102)、第1搬送レーン3aでの品種Bk(1)の基板Bおよび第2搬送レーン3bでの品種Bk(2)の基板Bに対して、変更モードによる交互実装を開始する(ステップS103)。
【0047】
一方、
図6に示すように、サーバーコンピューター9は、部品実装機10からの最適化要求を受信すると(ステップS201で「YES」)、ステップS103での変更モードによる交互実装と並行して、ステップS202~S206を実行する。ステップS202では、現在実行中の交互実装を変更モードで継続した場合に要する時間を示す変更モードサイクルタイムTcが算出される。この変更モードサイクルタイムTcは、変更モードによる交互実装で、1枚の基板Bへの部品実装を完了してから、次の1枚の基板Bへの部品実装を完了するまでの時間に相当する。なお、交互実装では、第1搬送レーン3aでの基板Bへの部品実装を完了してから第2搬送レーン3bでの基板Bへの部品実装を完了するまでの時間と、第2搬送レーン3bでの基板Bへの部品実装を完了してから第1搬送レーン3aでの基板Bへの部品実装を完了するまでの時間との2通りの時間が存在する。そこで、これら2通りの時間の平均値が変更モードサイクルタイムTcとして算出される。
【0048】
ステップS203では、現在実行中の交互実装を非変更モードで実行した場合に要する時間を示す非変更モードサイクルタイムTuが算出される。この非変更モードサイクルタイムTuは、非変更モードによる交互実装で、1枚の基板Bへの部品実装を完了してから、次の1枚の基板Bへの部品実装を完了するまでの時間に相当する。この際、例えば、ヘッドユニット4a、4bに装着するノズルNa、Nbの割合を所定の割合に固定して、これらノズルNa、Nbで非変更モードによる交互実装を実行した場合をシミュレーションした結果に基づき、非変更モードサイクルタイムTuを算出することができる。あるいは、ヘッドユニット4a、4bに装着するノズルNa、Nbの割合を変化させつつ、これらノズルNa、Nbで非変更モードによる交互実装を実行した場合をシミュレーションした結果が示す最短のサイクルタイムを非変更モードサイクルタイムTuとして算出してもよい。なお、上記の変更モードでの交互実装と同様に、当該時間としては、2通りの時間が存在する。そこで、これら2通りの時間の平均値が非変更モードサイクルタイムTuとして算出される。
【0049】
ステップS204では、非変更モードサイクルタイムTuが変更モードサイクルタイムTc未満か否かが判断される。非変更モードサイクルタイムTuが変更モードサイクルタイムTc未満である場合(ステップS204で「YES」の場合)には、交互実装を実行するモードを変更モードから非変更モードへ切り換えることを指示するモード切換指令と、非変更モードで交互実装を実行するためのプログラムがサーバーコンピューター9から部品実装機10に送信される(ステップS205)。一方、非変更モードサイクルタイムTuが変更モードサイクルタイムTc以上である場合(ステップS204で「NO」の場合)には、交互実装を変更モードで継続することを指示するモード継続指令がサーバーコンピューター9から部品実装機10に送信される。
【0050】
図5に示すように、サーバーコンピューター9が最適化処理を実行している期間、部品実装機10は、変更モードで交互実装を実行しつつ(ステップS103)、サーバーコンピューター9から最適化処理の結果を受信したかを確認する(ステップS104)。そして、最適化処理の結果を受信すると(ステップS104)、受信内容に含まれる指令に基づき、モードの切換を行うか否かを判断する(ステップS105)。
【0051】
受信内容に含まれる指令がモード継続指令である場合には、モード切換を行わないと判断し(ステップS105で「NO」)、ステップS108に進む。これによって、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのいずれかで、対象の品種Bkの全基板Bへの部品実装が完了するまで(ステップS108で「YES」)、変更モードで交互実装が継続されることとなる。
図7を用いた例で具体的に説明すると、第1搬送レーン3aで実行中の品種Bk(1)の基板Bに対する部品実装が当該品種Bk(1)の全基板Bについて完了するか、あるいは第2搬送レーン3bで実行中の品種Bk(2)の基板Bに対する部品実装が当該品種Bk(2)の全基板Bについて完了すると、ステップS108で「YES」と判断される。
【0052】
受信内容に含まれる指令がモード切換指令である場合には、モード切換を行うと判断し(ステップS105で「YES」)、ステップS106へ進む。ステップS106では、交互実装に使用するプログラムが、変更モード用のプログラムから非変更モード用へのプログラムに切り換えられる。そして、ステップS107で、非変更モードでの交互実装が開始される。これによって、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのいずれかで、対象の品種Bkの全基板Bへの部品実装が完了するまで(ステップS108で「YES」)、非変更モードで交互実装が実行されることとなる。なお、変更モードと非変更モードとで、複数の装着箇所20に装着されるフィーダー21は共通化されており、モード切換に伴って、作業者は装着箇所20に装着されるフィーダー21を変更する段取り作業を要しない。
【0053】
図8は変更モードから非変更モードへの切り換えに伴う動作を模式的示すタイミングチャートである。同図に示すように、部品実装機10は、第1搬送レーン3aに支持される品種Bk(1)の基板Bと、第2搬送レーン3bに支持される品種Bk(2)の基板Bとに対して、変更モードによる交互実装を時刻t1に開始する。また、時刻t1~t2の期間、部品実装機10における変更モードによる交互実装に並行して、サーバーコンピューター9が最適化処理を実行する。そして、部品実装機10は、時刻t2にモード切換指令をサーバーコンピューター9から受信すると、時刻t2~t3の期間、非変更モードで交互実装を実行する。
【0054】
図5に示すように、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのいずれかで、対象の品種Bkの全基板Bへの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、基板Bの品種が切り換わるか否かが判断される(ステップS109)。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aで支持される品種Bk(1)の基板Bと、第2搬送レーン3bで支持される品種Bk(2)の基板Bとに対して交互実装を実行した結果、第2搬送レーン3bでの品種Bk(2)の基板Bの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、第2搬送レーン3bで部品実装が実行される基板Bの品種が品種Bk(2)から品種Bk(3)に切り換わる。したがって、ステップS109で「YES」と判断され、ステップS101に戻る。
【0055】
ステップS101では、第1搬送レーン3a、3bのそれぞれでタイプが異なるノズルNを用いて交互実装を実行するか否かが判断される。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aで支持される品種Bk(1)の基板Bへの部品実装と、第2搬送レーン3bで支持される品種Bk(3)の基板Bへの部品実装とは、いずれもノズルNaを用いて実行される。したがって、ステップS101で「NO」と判断され、ステップS111で交互実装が実行される。この交互実装でヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNは全てノズルNaである。
【0056】
そして、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのいずれかで、対象の品種Bkの全基板Bへの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、基板Bの品種が切り換わるか否かが判断される(ステップS109)。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aで支持される品種Bk(1)の基板Bと、第2搬送レーン3bで支持される品種Bk(3)の基板Bとに対して交互実装を実行した結果、第1搬送レーン3aでの品種Bk(1)の基板Bの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、第1搬送レーン3aで部品実装が実行される基板Bの品種が品種Bk(1)から品種Bk(4)に切り換わる。したがって、ステップS109で「YES」と判断され、ステップS101に戻る。
【0057】
ステップS101では、第1搬送レーン3a、3bのそれぞれでタイプが異なるノズルNを用いて交互実装を実行するか否かが判断される。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aでの品種Bk(4)の基板Bへの部品実装ではノズルNbが用いられ、第2搬送レーン3bでの品種Bk(3)の基板Bへの部品実装ではノズルNaが用いられる。したがって、ステップS101で「YES」と判断され、部品実装機10の制御部11は、通信部13を介して最適化要求をサーバーコンピューター9に送信するとともに(ステップS102)、第1搬送レーン3aでの品種Bk(1)の基板Bおよび第2搬送レーン3bでの品種Bk(2)の基板Bについて、変更モードで交互実装を開始する(ステップS103)。
【0058】
この最適化要求に応じて、サーバーコンピューター9は、上記と同様にして最適化処理(
図6)を実行して、指令を部品実装機10に送信する。部品実装機10は、最適化処理の結果を受信すると(ステップS104)、上記と同様に、受信内容に含まれる指令に応じてステップS105~S108を適宜実行する。
【0059】
そして、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのいずれかで、対象の品種Bkの全基板Bへの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、基板Bの品種が切り換わるか否かが判断される(ステップS109)。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aで支持される品種Bk(4)の基板Bと、第2搬送レーン3bで支持される品種Bk(3)の基板Bとに対して交互実装を実行した結果、第2搬送レーン3bでの品種Bk(3)の基板Bの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、第2搬送レーン3bで部品実装が実行される基板Bの品種が品種Bk(3)から品種Bk(5)に切り換わる。したがって、ステップS109で「YES」と判断され、ステップS101に戻る。
【0060】
ステップS101では、第1搬送レーン3a、3bのそれぞれでタイプが異なるノズルNを用いて交互実装を実行するか否かが判断される。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aで支持される品種Bk(4)の基板Bへの部品実装と、第2搬送レーン3bで支持される品種Bk(5)の基板Bへの部品実装とは、いずれもノズルNbを用いて実行される。したがって、ステップS101で「NO」と判断され、ステップS111で交互実装が実行される。この交互実装でヘッドユニット4a、4bのそれぞれに装着される8個(複数)のノズルNは全てノズルNbである。
【0061】
そして、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのいずれかで、対象の品種Bkの全基板Bへの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、基板Bの品種が切り換わるか否かが判断される(ステップS109)。
図7の生産計画によれば、第1搬送レーン3aで支持される品種Bk(4)の基板Bと、第2搬送レーン3bで支持される品種Bk(5)の基板Bとに対して交互実装を実行した結果、第1搬送レーン3aでの品種Bk(4)の基板Bの部品実装が完了すると(ステップS108で「YES」)、第1搬送レーン3aで部品実装が実行される基板Bの品種は、これ以上切り換わらない。したがって、第2搬送レーン3bに支持される品種Bk(5)の基板Bに対してのみ部品実装を実行する片側実装が実行され(ステップS110)、
図5の基板生産が終了する。
【0062】
以上に説明した実施形態では、部品実装機10は、異なるタイプのノズルNa、Nbをヘッドユニット4a、4bに装着する複数のノズルNに混在させることで(つまり、ヘッドユニット4a、4bの複数の実装ヘッド41に混在させることで)、部品実装の間でノズル変更を実行しない非変更モードおよび部品実装の間でノズル変更を実行する変更モードを選択的に用いて、交互実装を実行できる。これに対して、交互実装で繰り返される部品実装の間でノズル変更を実行するかを決定する最適化処理(決定処理)を実行する演算部91が設けられており、演算部91は、対象とする交互実装を非変更モードにより実行した場合に要する時間と、変更モードにより実行した場合に要する時間との差(Tu<Tc?)を評価する時間差評価演算(ステップS202~S204)を実行した結果に基づき、交互実装を実行するモードを決定する(ステップS205、S206)。特に、演算部91は、変更モードにより実行中の交互実装と並行して当該交互実装を対象とする決定処理を実行することで(ステップS203~S204、S202~S206)、当該交互実装を変更モードにより継続するか、非変更モードにより実行するかを決定する。かかる実施形態では、変更モードの方が非変更モードより効率的に交互実装を実行できる場合には、変更モードによってノズル変更を実行しつつ交互実装が継続される一方、非変更モードの方が変更モードより効率的に交互実装を実行できる場合には、交互実装を実行するモードが変更モードから非変更モードに切り換わり、以後はノズル変更が実行されない。その結果、ノズル変更に伴う基板の生産効率の低下を抑制することが可能となっている。
【0063】
また、変更モードと非変更モードとで、複数の装着箇所20のそれぞれに装着されるフィーダー21は変わらない。したがって、変更モードから非変更モードへの切換に伴って、フィーダー21を装着する段取り作業を実行する必要がなく、非変更モードでの交互実装を速やかに開始できる。
【0064】
また、部品実装機10は、第1搬送レーン3a、第2搬送レーン3bおよびヘッドユニット4a、4bを制御することで交互実装を実行する制御部11を備える。これに対して、最適化処理を実行する演算部91は、制御部11と別に設けられている。かかる構成では、交互実装のために第1搬送レーン3a、第2搬送レーン3bおよびヘッドユニット4a、4bを制御する制御部11の負荷を抑えつつ、最適化処理に要する演算を実行することができる。
【0065】
図9は本発明に係る部品実装制御装置として機能するサーバーコンピューターを備えた部品実装システムの変形例の電気的構成を示すブロック図であり、
図10は
図9の部品実装システムが備えるデータベースが保存するデータの一例を模式的に示す図であり、
図11は
図5の基板生産と並行してサーバーコンピューターにより実行される最適化処理の変形例を示すフローチャートである。この変形例に係る部品実装システム1は、データベースDBをさらに備える点で、
図1の部品実装システム1と異なる。以下では、上記の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、共通する点については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通する構成を備えることで、同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0066】
図10に示すように、このデータベースDBは、過去に実行された最適化処理の対象となった交互実装で生産した各品種Bk(の組合せ)と対応付けて、最適化処理の結果を決定履歴Hとして保存する。決定履歴Hは、変更モードおよび非変更モードのいずれを実行すると決定したかを示すとともに、非変更モードでの実行を示す決定履歴Hは、当該非変更モードを実行するためのプログラムを含む。また、このプログラムは、非変更モードでヘッドユニット4a、4bに装着するノズルNの個数をタイプ毎に示す。
【0067】
そして、
図11の最適化処理では、データベースDBに保存された決定履歴Hが利用される。つまり、サーバーコンピューター9は、部品実装機10からの最適化要求を受信すると(ステップS201で「YES」)、最適化要求の対象となる交互実装で生産中の品種Bkに対応する決定履歴HがデータベースDBに保存されているかを確認する(ステップS211)。
【0068】
該当する決定履歴HがデータベースDBに保存されている場合(ステップS211で「YES」の場合)には、この決定履歴Hが示すモードでの実行指令が、サーバーコンピューター9から部品実装機10に送信される(ステップS212)。つまり、決定履歴Hが非変更モードを示す場合には、ステップS205と同様にして、モード切換指令とプログラムとが送信される一方、決定履歴Hが変更モードを示す場合には、ステップS206と同様にして、モード継続指令が送信される。
【0069】
一方、該当する決定履歴HがデータベースDBに保存されていない場合(ステップS211で「NO」の場合)には、上記と同様にしてステップS202~S206が実行される。また、ステップS204で非変更モードサイクルタイムTuが変更モードサイクルタイムTc未満と判断されて、ステップS205でモード切換指令とプログラムとがサーバーコンピューター9から部品実装機10に送信された場合には、サーバーコンピューター9は、これらを決定履歴HとしてデータベースDBに保存する(ステップS212)。あるいは、ステップS204で非変更モードサイクルタイムTuが変更モードサイクルタイムTc以上と判断されて、ステップS206でモード継続指令がサーバーコンピューター9から部品実装機10に送信された場合には、サーバーコンピューター9は、これを決定履歴HとしてデータベースDBに保存する(ステップS212)。
【0070】
かかる実施形態では、演算部91は、最適化処理の結果を、当該最適化処理の対象となった交互実装で生産する各品種Bkと対応付けて決定履歴HとしてデータベースDBに保存する。これによって、過去に実行された最適化処理の結果、すなわち決定履歴Hを有効利用することが可能となっている。
【0071】
特に演算部91は、最適化処理において、当該最適化処理の対象となる交互実装で生産する各品種Bkと対応付けられた決定履歴HがデータベースDBに保存されていることを、ステップS202~S204の演算の実行前に確認すると(ステップS211で「YES」)、ステップS202~S204の演算を実行せずに、変更モードおよび非変更モードのうち決定履歴Hが示すモードで交互実装を実行すると決定する。かかる構成では、データベースDBに保存された決定履歴Hを有効利用することで、最適化処理においてステップS202~S204の演算を省略でき、最適化処理での結果を速やかに得ることができる。
【0072】
図12は
図5の基板生産と並行してサーバーコンピューターにより実行される最適化処理のさらなる変形例を示すフローチャートである。以下では、上記の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、共通する点については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、共通する構成を備えることで、同様の効果を奏することは言うまでもない。
【0073】
図12の最適化処理では、サーバーコンピューター9は、部品実装機10から受信した最適化要求の対象となる交互実装で生産中の品種Bkに対応する決定履歴HがデータベースDBに保存されていることを確認すると(ステップS211で「YES」)、実装動作条件が一致するかを確認する(ステップS231)。つまり、この実施形態では、データベースDBは、最適化処理の結果とともに、当該最適化処理の対象となった交互実装での実装動作条件を併せて決定履歴Hとして保存する。そこで、ステップS231では、最適化要求の対象となる交互実装での実装動作条件と、当該交互実装で生産中の品種Bkに対応する決定履歴Hに含まれる実装動作条件とが一致するかが判断される。そして、これらが一致する場合(ステップS231で「YES」の場合)には、ステップS212が実行される一方、これらが一致しない場合(ステップS231で「NO」の場合)には、ステップS202~S206、S212が実行される。
【0074】
かかる実施形態では、データベースDBは、最適化処理の結果を、当該最適化処理の対象となる交互実装で生産する各品種Bkの基板Bに部品Eを実装する際のヘッドユニット4a、4bの動作に関する実装動作条件と対応付けて決定履歴Hとして保存する。そして、演算部91は、最適化処理において、当該最適化処理の対象となる交互実装で生産する各品種Bkと対応付けられた決定履歴HがデータベースDBに保存されていることをステップS202~S04の演算の実行前に確認した場合であっても(ステップS211で「YES」)、当該最適化処理の対象となる交互実装で生産する各品種Bkの基板Bに部品Eを実装するヘッドユニット4a、4bの実装動作条件が、決定履歴Hに含まれる実装動作条件と異なる場合(ステップS231で「NO」の場合)には、ステップS202~S04の演算を実行してモードを決定する。かかる構成では、適切な実装動作条件でヘッドユニット4a、4bを動作させつつ、交互実装を実行することができる。
【0075】
図13は本発明に係る部品実装制御装置として機能するサーバーコンピューターを備えた部品実装システムのさらなる変形例の電気的構成を示すブロック図である。
図13の部品実装システム1では、基板搬送方向であるX方向に3台(複数)の部品実装機10が直列に配列され、これら部品実装機10に順に基板Bが搬送される。そして、各部品実装機10は、X方向の上流側から搬入された基板Bに対して交互実装を実行してから、この基板BをX方向の下流側へ搬出する。
【0076】
そして、サーバーコンピューター9の演算部91は、複数の部品実装機10のそれぞれから最適化要求を受信する。ただし、演算部91はこれら全ての最適化要求に応じて上記の最適化処理を実行するわけではない。つまり、演算部91は、変更モードによる交互実装に要する時間、すなわち変更モードサイクルタイムTcを、複数の部品実装機10のそれぞれについて予め算出する。そして、複数の部品実装機10のうち、変更モードサイクルタイムTcが最長となるボトルネックに対する最適化処理で交互実装を変更モードにより継続すると決定した場合は、ボトルネック以外の部品実装機10に対して最適化処理を実行しない。これによって、ボトルネック以外の部品実装機10に対して不要な最適化処理が実行されるのを抑止できる。
【0077】
このように上記実施形態では、サーバーコンピューター9が本発明の「部品実装制御装置」の一例に相当し、演算部91が本発明の「演算部」の一例に相当し、「最適化処理」が本発明の「決定処理」の一例に相当し、ステップS202~S204が本発明の「時間差評価演算」の一例に相当し、部品実装機10が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bが本発明の「2個の搬送レーン」の一例に相当し、ヘッドユニット4a、4bが本発明の「実装部」の一例に相当し、実装ヘッド41が本発明の「ヘッド」の一例に相当し、制御部11が本発明の「制御部」の一例に相当し、作業位置Aが本発明の「作業位置」の一例に相当し、基板Bが本発明の「基板」の一例に相当し、品種Bkが本発明の「品種」の一例に相当し、ノズルNが本発明の「ノズル」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、フィーダー21が本発明の「フィーダー」の一例に相当し、装着箇所20が本発明の「装着箇所」の一例に相当し、データベースDBが本発明の「データベース」の一例に相当し、決定履歴Hが本発明の「決定履歴」の一例に相当する。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記の実施形態では、サーバーコンピューター9の演算部91は、最適化処理を実行すると、その結果を直ちに部品実装機10に送信する。しかしながら、最適化処理の結果を送信するか否かを、部品実装機10での基板生産の進捗状況に応じてさらに判断するように変更を加えることができる。
【0079】
この変形例では、演算部91は、ステップS104で最適化処理の結果を得ると、部品実装機10で実行中の交互実装で以後に生産すべき基板Bの枚数を、各品種Bk(すなわち、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bそれぞれに支持される基板Bの品種Bk)について判断する。そして、各品種Bkのうち、当該枚数が所定枚数未満である品種Bkが存在する場合には、演算部91は、最適化処理の結果によらず、交互実装を変更モードにより継続すると決定し、この決定内容を部品実装機10に送信する。かかる構成では、以後に生産すべき基板Bの枚数が少なく、非変更モードに切り換えても十分な効果が得られない場合等には、変更モードで交互実装が継続される。したがって、不要なモード切換が発生するのを抑えて、モード切換に伴うプログラムの切換等に要する時間を排除し、交互実装を効率的に実行することが可能となっている。
【0080】
また、上記の実施形態では、基板Bの品種Bkを切り換えて、その交互実装を開始してから、最適化処理が実行される。しかしながら、最適化処理の実行タイミングを適宜変更できる。この変形例では、
図7に示すような生産計画が予め分かっている場合には、例えば品種Bk(1)、Bk(3)の基板Bに対して実行中の交互実装で生産している一の品種Bk(1)の次に生産予定の次の品種Bk(4)を生産する交互実装を対象として、最適化処理が実行される。つまり、品種Bk(1)、Bk(3)の基板Bに対する交互実装と並行して、品種Bk(1)の次の品種Bk(4)を生産する交互実装、すなわち品種Bk(4)、Bk(3)の基板Bに対して実行予定の交互実装を、変更モードおよび非変更モードのいずれで実行するかが決定される。かかる構成では、一の品種Bkの次に生産予定の次の品種Bkの基板Bに対する交互実装を、変更モードおよび非変更モードのうちの適切なモードで速やかに開始することができる。
【0081】
なお、かかる変形例に示す制御は、
図7のように生産計画が予め分かっている場合に限られない。つまり、実行中の交互実装で生産している品種Bkの次に生産する品種Bkが割り込み的に判明した場合に、実行中の交互実装と並行して、次の品種Bkの基板Bを生産する交互実装を、変更モードおよび非変更モードのいずれで実行するかを決定できる。
【0082】
また、上記の非変更モードの例では、
図4に示すように、ヘッドユニット4a、4bに対するノズルNの装着態様(ノズルNa、Nbの割合や位置)が同じである。しかしながら、ヘッドユニット4aとヘッドユニット4bとで、非変更モードでのノズルNの装着態様が異なっていても良い。
【0083】
また、ヘッドユニット4a、4bに装着されるノズルNのタイプは、2種類に限られず、3種類以上であっても構わない。
【0084】
また、上記の実施形態の交換実装において、第1搬送レーン3aおよび第2搬送レーン3bのうちの対象搬送レーンにより作業位置Aに搬入された1枚の基板Bへの部品実装の途中で、ヘッドユニット4a、4bに装着されるノズルNを変更しても良い。かかる部品実装途中のノズル変更は、変更モードの実行時はもちろん、非変更モードの実行時にも可能である。この際、次に示す変形例をさらに実行することができる。
【0085】
図14は変形例に係る最適化処理での演算内容の一例を模式的に示す図であり、特にサーバーコンピューター9の演算部91が最適化処理で実行するシミュレーションの内容を示す。同図の「非変更モードMa」に示すシミュレーションでは、第1搬送レーン3aにおける1枚の基板Bに対する部品実装において3回のノズル変更NCが発生し、第2搬送レーン3bにおける1枚の基板Bに対する部品実装において3回のノズル変更NCが発生する。一方、同図の「非変更モードMb」に示すシミュレーションでは、第1搬送レーン3aにおける1枚の基板Bに対する部品実装において2回のノズル変更NCが発生し、第2搬送レーン3bにおける1枚の基板Bに対する部品実装において2回のノズル変更NCが発生する。
【0086】
第1搬送レーン3aでの部品実装の途中にノズル変更NCが発生する回数は、第2搬送レーン3bでの部品実装で最後に実行されたノズル変更NClによるノズルNの装着態様に依存し、第2搬送レーン3bでの部品実装の途中にノズル変更NCが発生する回数は、第1搬送レーン3aでの部品実装で最後に実行されたノズル変更NClによるノズルNの装着態様に依存する。さらに、第1搬送レーン3aでの部品実装に要する時間Taは、第2搬送レーン3bでの部品実装で最後に実行されたノズル変更NClによるノズルNの装着態様に依存し、第2搬送レーン3bでの部品実装に要する時間Tbは、第1搬送レーン3aでの部品実装で最後に実行されたノズル変更NClによるノズルNの装着態様に依存する。
【0087】
そこで、演算部91は、第1搬送レーン3aでの部品実装における最後のノズル変更NClを、互いに異なる複数のノズルNの装着態様で実行した場合をシミュレーションして、第2搬送レーン3bでの部品実装に要する時間Tbを算出する。そして、演算部91は、複数のノズルNの装着態様のうち、第2搬送レーン3bでの部品実装に要する時間Tbが最短となる装着態様で、第1搬送レーン3aでの部品実装における最後のノズル変更NClでノズルNを装着すると決定する。
【0088】
同様に、演算部91は、第2搬送レーン3bでの部品実装における最後のノズル変更NClを、互いに異なる複数のノズルNの装着態様で実行した場合をシミュレーションして、第1搬送レーン3aでの部品実装に要する時間Taを算出する。そして、演算部91は、複数のノズルNの装着態様のうち、第1搬送レーン3aでの部品実装に要する時間Taが最短となる装着態様で、第2搬送レーン3bでの部品実装における最後のノズル変更NClでノズルNを装着すると決定する。
【0089】
つまり、この変形例では、演算部91は、1枚の基板Bに対する部品実装の途中におけるヘッドユニット4a、4bに装着されるノズルNの変更を許容する。そして、非変更モードを実行する場合において第1・第2搬送レーン3a、3bのうちの一方での部品実装を終了して他方での部品実装を開始する際のヘッドユニット4a、4bへのノズルNの装着態様を、当該装着態様で開始した他方での部品実装に要する時間Ta、Tbを評価した結果に基づき決定する。かかる構成では、ヘッドユニット4a、4bへのノズルNの装着態様が、当該装着態様で開始した部品実装に要する時間Ta、Tbを評価した結果に基づき適切化される。したがって、部品実装に要する時間を抑えることができ、基板の生産効率の低下の抑制を図ることができる。
【0090】
また、2台のヘッドユニット4a、4bを設ける必要はなく、1台のヘッドユニット4aのみを部品実装機10に設けても良い。
【符号の説明】
【0091】
1…部品実装システム
10…部品実装機
11…制御部
20…装着箇所
21…フィーダー
3a…第1搬送レーン(搬送レーン)
3b…第2搬送レーン(搬送レーン)
4a、4b…ヘッドユニット(実装部)
41…実装ヘッド(ヘッド)
9…サーバーコンピューター(部品実装制御装置)
91…演算部
S202~S204…時間差評価演算
A…作業位置
B…基板
Bk…品種
DB…データベース
E…部品
H…決定履歴
N…ノズル