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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】塗布装置及び塗布方法
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20230424BHJP
   B05C 5/02 20060101ALI20230424BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/02
B05D1/26 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022071452
(22)【出願日】2022-04-25
(65)【公開番号】P2022169465
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】横山 雅樹
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0057201(US,A1)
【文献】特開2021-109156(JP,A)
【文献】特開2004-063620(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0039902(KR,A)
【文献】特開2020-097000(JP,A)
【文献】特開2004-358311(JP,A)
【文献】特開2004-313874(JP,A)
【文献】国際公開第2017/139219(WO,A1)
【文献】ファインテック・ジャパン2018出展のご案内,株式会社飯沼ゲージ製作所,https://iinuma-gauge.co.jp/wp/wp-content/uploads/2018/11ファインテックジャパン2018.pdf
【文献】塗布幅可変スリットコーター,製品紹介,株式会社飯沼ゲージ製作所,https://iinuma-gauge.co.jp/products/691.php
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布用ノズルにおける塗液収容部内に供給された塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を通して被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口を通して前記の塗液収容部内における塗液を被塗布体に塗布する幅を調整する塗布幅調整手段を設けると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、前記の塗布方向と交差する方向に相対的に移動させる交差方向移動手段を設け、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを前記の塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させるにあたり、前記の塗布幅調整手段により、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体に塗布する塗液の幅を調整すると共に、前記の交差方向移動手段により塗布用ノズルと被塗布体とを前記の塗布方向と交差する方向に相対的に移動させて、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体に塗布する塗液の位置を塗布方向と交差する方向に移動させることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置において、前記の塗布幅調整手段として、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口に導く所定のパターン形状になった案内凹部が外周面に設けられた円柱状の塗液供給体を、前記のスリット状吐出口の上に位置するようにして回転可能に設け、前記の塗液供給体をスリット状吐出口の上で回転させて、塗液収容凹部内における塗液を前記の案内凹部を通して前記のスリット状吐出口に導くことを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項1に記載の塗布装置において、前記の塗布幅調整手段として、前記のスリット状吐出口におけるスリット幅を調整するスリット幅調整部材を設けたことを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の塗布装置を用いて、被塗布体の表面に塗液を塗布することを特徴とする塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に供給された塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を通して被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置及びこのような塗布装置を用いた塗布方法に関するものである。特に、前記のような塗布装置において、被塗布体に対して塗液を塗布する塗布幅や塗布位置を変化させながら、塗液を様々なパターンになるようにして被塗布体の表面に塗布させることが簡単に行えるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体デバイスや液晶パネル等では、ガラスやフィルムに薬液や塗料などを塗布する工程が存在している。そして、薬液や塗料などを塗布する塗布パターンとしては、従来は、一般に四角形状や円形状に塗布するようにしていたが、近年においては、商品が多様化し、様々な形状に塗布することが必要になっている。
【0003】
ここで、従来においては、特許文献1、2に示されるように、スリット状吐出口を備えた塗布ノズルを用い、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置が使用されている。
【0004】
しかし、特許文献1、2に示されるものにおいては、塗布用ノズルと被塗布体とを被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させながら、スリット状吐出口全体から塗液を被塗布体の表面に塗布させるようにしていたため、被塗布体の表面に塗液を四角形状に塗布させることはできるが、被塗布体に対して塗液を塗布する塗布幅や塗布位置を変化させながら、塗液を様々なパターンになるようにして被塗布体の表面に塗布させることはできなかった。
【0005】
また、特許文献3においては、塗液収容部内における塗液をスリット状吐出口に導く所定のパターン形状になった案内凹部が外周面に設けられた円柱状の塗液供給体を、前記のスリット状吐出口の上に位置するようにして回転可能に設け、前記の塗液供給体をスリット状吐出口の上で回転させて、塗液収容凹部内における塗液を前記の案内凹部を通して前記のスリット状吐出口に導いて、被塗布体の表面に塗布させるようにしたものが示されている。
【0006】
そして、この特許文献3においては、楕円形状の案内凹部が設けられた塗液供給体をスリット状吐出口の上で回転させて、被塗布体の表面に塗液を円形状に塗布させるようにしたものや、塗液供給体に設ける案内凹部の形状を変更した塗液供給体をスリット状吐出口の上で回転させて、被塗布体の表面に塗液を異なった形状になるように塗布させるようにしたものが示されている。
【0007】
しかし、この特許文献3においては、被塗布体の表面に塗液を異なった形状になるように塗布させるためには、塗液供給体に設ける案内凹部の形状を変更したものを多く準備して、その都度、案内凹部が目的とする形状になった塗液供給体を用いることが必要になり、コストが高くつくと共に、塗液収容部内における塗液供給体を交換させる作業が非常に面倒になり、被塗布体に対して塗液を塗布する塗布幅や塗布位置を変化させながら、塗液を様々なパターンになるようにして被塗布体の表面に塗布させることはできなかった。
【0008】
また、特許文献4においては、円筒状のノズル体に軸方向に沿った長い吐出スリットを設けると共に、このノズル体内に台形状の切欠孔が設けられた円筒状の調整内筒を回転可能に嵌挿させ、ノズル体における吐出スリットに対して、この調整内筒に設けられた切欠孔を合わせる位置を調整して、被塗布体の表面に塗布する塗液の幅を調整するようにしたものが示されている。
【0009】
しかし、この特許文献4に示されるものにおいても、前記の特許文献1~3のものと同様に、被塗布体に対して塗液を塗布する塗布幅や塗布位置を変化させながら様々なパターンになった塗液の塗布させることはできなかった。
【0010】
また、特許文献5においては、下端に吐出口が設けられたノズル部を、被塗布体の移動方向と交差する方向に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するようにしたものが示されており、さらに特許文献6においては、スリットノズルを長手方向に移動可能に設け、このスリットノズルを片側の位置にセットして、このスリットノズルから被塗布体の表面の片側の部分に塗液を塗布させた後、このスリットノズルを長手方向に移動させて反対側の位置にセットして、このスリットノズルから被塗布体の表面の反対側の部分に塗液を塗布させて、被塗布体の表面全体に塗液を塗布するようにしたものが示されている。
【0011】
しかし、前記の特許文献5,6に示されるものにおいても、前記の特許文献1~4のものと同様に、被塗布体に対して塗液を塗布する塗布幅や塗布位置を変化させながら、塗液を様々なパターンになるようにして被塗布体の表面に塗布させることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特許第6326315号公報
【文献】特許第4260199号公報
【文献】特許第6847560号公報
【文献】特開平10-192762号公報
【文献】特開2003-224066号公報
【文献】特開2004-63620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に収容させた塗液を塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布するようにした塗布装置における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0014】
すなわち、本発明においては、前記のような塗布装置において、被塗布体に対して塗液を塗布する塗布幅や塗布位置を変化させながら、塗液を様々なパターンになるようにして被塗布体の表面に塗布させることが簡単に行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る塗布装置は、前記のような課題を解決するため、塗布用ノズルにおける塗液収容部内に供給された塗液を、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を通して被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布する塗布装置において、前記のスリット状吐出口を通して前記の塗液収容部内における塗液を被塗布体に塗布する幅を調整する塗布幅調整手段を設けると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、前記の塗布方向と交差する方向に相対的に移動させる交差方向移動手段を設け、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを前記の塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させるにあたり、前記の塗布幅調整手段により、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体に塗布する塗液の幅を調整すると共に、前記の交差方向移動手段により塗布用ノズルと被塗布体とを前記の塗布方向と交差する方向に相対的に移動させて、前記のスリット状吐出口を通して被塗布体に塗布する塗液の位置を塗布方向と交差する方向に移動させることを特徴とするものである。
【0016】
そして、本発明に係る塗布装置においては、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を通して被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させるにあたり、前記の塗布幅調整手段によって、スリット状吐出口を通して塗液収容部内における塗液を被塗布体に塗布する幅を調整すると共に、前記の交差方向移動手段によって、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、前記の塗布方向と交差する方向に相対的に移動させるようにしたため、被塗布体の表面に塗布させる塗液の幅や、塗液を塗布させる被塗布体における幅方向の位置を簡単に変更でき、様々なパターンに塗液を塗布することが行えるようになる。
【0017】
ここで、本発明に係る塗布装置においては、前記の塗布幅調整手段として、前記の塗液収容部内における塗液を前記のスリット状吐出口に導く所定のパターン形状になった案内凹部が外周面に設けられた円柱状の塗液供給体を、前記のスリット状吐出口の上に位置するようにして回転可能に設け、前記の塗液供給体をスリット状吐出口の上で回転させて、塗液収容凹部内における塗液を前記の案内凹部を通して前記のスリット状吐出口に導くようにし、或いは、前記のスリット状吐出口におけるスリット幅を調整するスリット幅調整部材を設け、このスリット幅調整部材により、スリット状吐出口を通して被塗布体の表面に導かれるスリット幅を調整することができる。
【0018】
また、本発明に係る塗布方法においては、前記の塗布装置を用いて、被塗布体の表面に塗液を塗布するようにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明における塗布装置においては、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口を通して被塗布体に吐出させると共に、前記の塗布用ノズルと被塗布体とを、被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に相対的に移動させて、被塗布体の表面に塗液を塗布させるにあたり、前記のように塗布幅調整手段によって、スリット状吐出口を通して塗液収容部内における塗液を被塗布体に塗布する幅を調整させると共に、前記の交差方向移動手段によって、塗布用ノズルと被塗布体とを塗布方向と交差する方向に相対的に移動させるようにした。
【0020】
この結果、本発明における塗布装置においては、被塗布体に対して塗液を塗布する塗布幅や塗布位置を変化させながら、被塗布体の表面に、様々なパターンになった塗液の塗布が簡単に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る塗布装置において、固定テーブルの上に載置された被塗布体の表面に塗布用ノズルから塗液を塗布させる状態を示し、(A)は部分概略平面図、(B)は概略正面図である。
図2】前記の実施形態に係る塗布装置において、塗液が供給される塗布用ノズルにおける塗液収容部内に回転可能に設ける塗液供給体の外周面に平面形状が略三角形状になった案内凹部を設けた状態を示し、(A)は案内凹部を設けた塗液供給体の概略正面図、(B)は案内凹部を設けた塗液供給体の外周面の展開図である。
図3】前記の実施形態に係る塗布装置において、前記の塗布用ノズルにおける塗液収容部内に、前記の塗液供給体をスリット状吐出口の上に位置するようにして回転可能に設けた状態を示し、(A)は塗布用ノズルの長手方向の概略断面説明図、(B)は塗布用ノズルの長手方向と交差する方向の概略断面説明図である。
図4】前記の実施形態に係る塗布装置において、(A),(B)は塗液収容部内に設けた前記の塗液供給体をスリット状吐出口の上で回転させて、スリット状吐出口と連通される案内凹部の幅を変更させて、被塗布体の表面に塗布される塗液の幅を変更させる状態を示した概略断面説明図である。
図5】前記の実施形態に係る塗布装置において、塗布用ノズルを被塗布体に塗液を塗布する塗布方向に移動させると共に、前記の塗布方向と交差する方向に移動させ、さらに被塗布体の表面に塗布させる塗液の幅を調整して、被塗布体の表面に様々な平面形状になるように塗液を塗布する状態を示した概略平面図である。
図6】前記の実施形態に係る塗布装置において、塗布幅調整手段として、スリット状吐出口の開閉状態を調整する一対のスリット幅調整部材を設けた変更例を示し、(A),(B)はこのスリット幅調整部材により被塗布体の表面に塗布させる塗液の幅を調整する状態を示した塗布用ノズルの長手方向の概略断面説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置及び塗布方法を、添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明における塗布装置及び塗布方法は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0023】
この実施形態における塗布装置においては、図1(A),(B)に示すように、固定テーブル10の上に被塗布体Wを載置させ、この被塗布体Wの幅方向の両側に、それぞれ被塗布体Wに塗液pを塗布する塗布方向である被塗布体Wの長手方向に沿った走行用レール11を敷設し、この両側の走行用レール11の上に、一対の支柱21間に梁22がかけ渡されて門型状になった走行台車20をセットすると共に、この走行台車20に塗布用ノズル30を取り付け、この走行台車20を前記の走行用レール11に沿って被塗布体Wの長手方向に沿って走行させるようにしている。
【0024】
また、この実施形態の塗布装置においては、前記の塗布用ノズル30を、走行台車20における梁22の下に設けた案内レール23に移動可能に保持させ、この塗布用ノズル30を、交差方向移動手段40により前記の塗布方向と交差する被塗布体Wの幅方向に移動させるようにしている。また、前記の梁22は、前記の支柱21に設けた昇降機構(図示せず)によって、上下方向に昇降できるようになっている。
【0025】
ここで、この実施形態の塗布装置においては、前記の交差方向移動手段40として、前記の走行台車20にモーター41と長尺のおねじ42とを設け、モーター41により前記のおねじ42を回転させて、前記の塗布用ノズル30に設けたねじブロック43を介して、塗布用ノズル30を塗布方向と交差する被塗布体Wの幅方向に移動させるようにしている。
【0026】
そして、前記の塗布用ノズル30においては、塗液供給装置(図示せず)における塗液供給管34に設けた開閉バルブ35を開けて、塗液pを塗液収容部32内に供給し、この塗液収容部32内に供給された塗液pを、塗布用ノズル30の先端部におけるスリット状吐出口33を通して被塗布体Wに塗布させるようにしている。
【0027】
また、この実施形態の塗布装置においては、前記の塗布用ノズル30における塗液収容部32内に供給された塗液pを、前記のスリット状吐出口33を通して被塗布体Wに吐出させて、被塗布体Wの表面に塗布させる幅を調整する塗布幅調整手段50として、図2(A),(B)に示すように、平面形状が略三角形状になった案内凹部51aが外周面に設けられた円柱状の塗液供給体51を用い、図3(A),(B)に示すように、この塗液供給体51を、前記の塗液収容部32内において前記のスリット状吐出口33の上に位置するようにして回転可能に設け、この塗液供給体51における回転軸51bを、回転装置52によって回転させるようにしている。なお、この実施形態においては、円柱状の塗液供給体51の外周面に平面形状が略三角形状になった案内凹部51aを設けたが、案内凹部51aの形状は特に限定されず、例えば、楕円形状や台形状等の様々な形状にすることができる。
【0028】
ここで、前記の昇降装置(図示せず)により梁22と共に塗布用ノズル30を下降させ、スリット状吐出口33と被塗布体Wの表面との間隔が所定の距離になったところで塗布用ノズル30の下降を停止させ、前記の塗液供給管34に設けた開閉バルブ35を開けて、塗液pを塗液収容部32内に供給する。
【0029】
そして、この状態で、前記の回転装置52により、前記の塗液供給体51を前記のスリット状吐出口33の上で回転させて、塗液供給体51の外周面に設けられた前記の案内凹部51aを前記のスリット状吐出口33の位置に導くと、前記の塗液収容部32内に供給された塗液pが、この案内凹部51aと連通されたスリット状吐出口33を通して被塗布体Wの表面に供給されるようになり、図4(A),(B)に示すように、塗液供給体51を回転させることによって、スリット状吐出口33と連通される前記の案内凹部51aの幅を調整し、スリット状吐出口33と連通される案内凹部51aの幅に対応した幅の塗液pが、前記の案内凹部51aからスリット状吐出口33を通して被塗布体Wの表面に塗布されるようになる。
【0030】
なお、被塗布体Wの表面に対する塗液pの塗布が終了した場合には、前記の前記の塗液供給管34に設けた開閉バルブ35を閉じて、前記の昇降装置(図示せず)により梁22と共に塗布用ノズル30を上昇させて、元の位置に戻すようにする。
【0031】
そして、この実施形態の塗布装置において、図5に示すように、被塗布体Wの表面に様々な平面形状になるように塗液pを塗布するにあたっては、前記のように走行台車20を前記の走行用レール11に沿って被塗布体Wの長手方向に沿って走行させて、前記の塗布用ノズル30を被塗布体Wに塗液pを塗布する塗布方向に移動させると共に、走行台車20に設けられた前記のモーター41により長尺のおねじ42を回転させて、前記の塗布用ノズル30を前記の塗布方向と交差する方向に移動させるようにして、塗布用ノズル30から被塗布体Wの表面に塗液pを塗布させる位置を塗布方向と交差する方向にずらせるようにし、さらに前記の塗液収容部32内において前記の塗液供給体51を回転させて、塗液供給体51の外周面に設けられた案内凹部51aが前記のスリット状吐出口33と連通される幅を調整し、被塗布体Wの表面に塗液pを塗布させる幅を変更させるようにしている。
【0032】
ここで、図5においては、前記の塗液供給体51の外周面に設けた案内凹部51aが左右対称の三角形状になっているため、案内凹部51aの幅方向の中心の軌跡Lの左右に、塗液pが同じ幅になって塗布されるようになる。
【0033】
そして、この実施形態のものにおいて、被塗布体Wの表面に塗液pを所望のパターンに塗布するにあたっては、前記の塗液供給体51を回転させて、スリット状吐出口33を通して供給される塗液pの幅を所望の塗布幅に変更させながら、塗布用ノズル30を塗布方向に移動させ、塗布幅の中心とスリット状吐出口33の中心を合わせるように制御装置(図示せず)により、塗布用ノズル30を塗布方向と交差する方向に移動させることにより、今までできなかった様々なパターンの塗布が行えるようになる。
【0034】
なお、塗液供給体51の外周面に設けた案内凹部51aが左右対称でない場合には、案内凹部51aの中心の軌跡Lの左右に塗布される塗液pの幅は異なるようになる。
【0035】
また、この実施形態における塗布装置においては、前記のスリット状吐出口33を通して被塗布体Wに塗布させる幅を調整する塗布幅調整手段50として、前記のように平面形状が略三角形状になった案内凹部51aが外周面に設けられた円柱状の塗液供給体51を、塗液pが供給された塗液収容部32内においてスリット状吐出口33の上に位置するようにして回転可能に設けたが、塗布幅調整手段50はこのようなものに限定されない。
【0036】
例えば、前記の塗液収容部32内に塗液供給体51を設けないようにし、図6(A),(B)に示すように、塗布幅調整手段50として、前記のスリット状吐出口33の下に、スリット状吐出口33の長手方向の開閉状態を調整する一対のスリット幅調整部材53を設け、この一対のスリット幅調整部材53を、スライド装置(図示せず)によりスリット状吐出口33の長手方向に近接・離間するように移動させて、一対のスリット幅調整部材53間の間隔を調整し、塗液収容部32内における塗液pを前記のスリット状吐出口33からこの一対のスリット幅調整部材53間を通して被塗布体Wに塗布させるようにすることもできる。
【0037】
また、この実施形態における塗布装置においては、塗布用ノズル30と被塗布体Wとを、被塗布体Wに塗液pを塗布する塗布方向に相対的に移動させるにあたって、走行台車20に塗布用ノズル30をセットし、この走行台車20を前記の走行用レール11に沿って被塗布体Wの長手方向の塗布方向に走行させるようにしたが、塗布用ノズル30と被塗布体Wとを、前記の塗布方向に相対的に移動させる方法はこのようなものに限定されない。
【0038】
例えば、図示していないが、塗布用ノズル30を前記の塗布方向に移動させないようにして設ける一方、前記の固定テーブル10の上に塗布方向に移動する移動ステージ(図示せず)を設け、この移動ステージの上に被塗布体Wをセットして、この移動ステージにより被塗布体Wを塗布方向に移動させるようにすることもできる。
【0039】
また、この実施形態における塗布装置においては、塗布用ノズル30と被塗布体Wとを、前記の塗布方向と交差する方向に相対的に移動させるにあたって、前記のように塗布用ノズル30を走行台車20に設けられた案内レール23に移動可能に保持させ、この塗布用ノズル30を、前記の交差方向移動手段40により塗布方向と交差する被塗布体Wの幅方向に移動させるようにしたが、塗布用ノズル30と被塗布体Wとを、塗布方向と交差する方向に相対的に移動させる方法はこのようなものに限定されない。
【0040】
例えば、図示していないが、塗布用ノズル30が被塗布体Wの幅方向に移動しないようにして、塗布用ノズル30を走行台車20に取り付ける一方、交差方向移動手段40として、前記の固定テーブル10の上に、塗布方向と交差する被塗布体Wの幅方向に移動する移動ステージ(図示せず)を設け、被塗布体Wをこの移動ステージの上にセットし、この移動ステージにより被塗布体Wを塗布方向と交差する被塗布体Wの幅方向に移動させるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0041】
10 :固定テーブル
11 :走行用レール
20 :走行台車
21 :支柱
22 :梁
23 :案内レール
30 :塗布用ノズル
32 :塗液収容部
33 :スリット状吐出口
34 :塗液供給管
35 :開閉バルブ
40 :交差方向移動手段
41 :モーター
42 :おねじ
43 :ねじブロック
50 :塗布幅調整手段
51 :塗液供給体
51a :案内凹部
51b :回転軸
52 :回転装置
53 :スリット幅調整部材
L :軌跡
W :被塗布体
p :塗液
図1
図2
図3
図4
図5
図6