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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20230424BHJP
   B65D 47/40 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B65D47/20 111
B65D47/40 100
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017126966
(22)【出願日】2017-06-29
(65)【公開番号】P2019011067
(43)【公開日】2019-01-24
【審査請求日】2020-01-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】桑原 和仁
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】田合 弘幸
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-30872(JP,A)
【文献】特開2013-233984(JP,A)
【文献】特開2016-222309(JP,A)
【文献】特開昭63-46175(JP,A)
【文献】特開2006-206161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20
B65D 47/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装されるとともに弾性変形可能な外容器を備える容器本体と、
前記容器本体の口部に装着され、天壁部に内容物を吐出する吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ノズルと、
前記吐出ノズル内に配設され、前記吐出孔と前記内容器内とを連通する連通孔が形成された中栓と、
前記中栓における前記連通孔の開口周縁部上に、上方に向けて離反自在に配設され、前記連通孔を開放自在に閉塞する弁部を有する弁体と、を備え、
前記吐出ノズルの天壁部には、上方に向けて突出する集液部が形成され、
前記集液部は、上端部が他よりも上方に位置する集液頂部を有し、
前記吐出孔から吐出されて前記天壁部の上面に至った内容物が、前記容器本体の口部が下方に位置し、かつ前記容器本体の底部が上方に位置する姿勢において、前記集液部を伝って前記集液頂部に集められ、滴となって落下し、
前記集液部の一部は、前記天壁部における前記吐出孔の開口周縁部に配置され、
前記集液頂部は、前記天壁部において前記吐出孔の開口周縁部から離れた部分に配置され、
前記集液部は、前記一部から前記集液頂部に向かうに従い漸次、上方に向けて延び、
前記集液部は、前記天壁部において、この天壁部の上面視で前記吐出孔の中心を通る第1基準線より一方側に位置する部分の全域にわたって形成されるとともに、前記第1基準線から前記第1基準線に直交する方向に離れるに従い漸次、上方に向けて延び、
前記天壁部は上面視円形状を呈し、
前記集液頂部は、前記天壁部の外周縁部に形成されるとともに、上方に向けて突の曲面状に形成され、
前記天壁部の外周縁部は全周にわたって上方に向けて突の曲面状に形成され、
前記吐出ノズルの中心軸に沿う縦断面視において、前記天壁部の外周縁部における曲率半径は、前記集液頂部から周方向に離れるに従い漸次、大きくなっており、
前記吐出孔は、前記天壁部の中央部に形成されていることを特徴とする吐出容器。
【請求項2】
前記集液頂部は、前記天壁部の上面視において、前記吐出孔を通り前記第1基準線に直交する第2基準線上に配置され、
前記天壁部は、前記集液頂部の位置する周方向に沿う部分から周方向に離れるに従い漸次、下方に向けて延びていることを特徴とする請求項1に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および内容器が内装されるとともに弾性変形可能な外容器を備える容器本体と、容器本体の口部に装着され、天壁部に内容物を吐出する吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ノズルと、吐出ノズル内に配設され、吐出孔と内容器内とを連通する連通孔が形成された中栓と、中栓における連通孔の開口周縁部上に、上方に向けて離反自在に配設され、連通孔を開放自在に閉塞する弁部を有する弁体と、を備える吐出容器が知られている。この種の吐出容器として、例えば下記特許文献1に示されるような、天壁部の上面における吐出孔の開口周縁部に窪み部が形成された構成が知られている。
この吐出容器では、外容器を径方向の内側に向けて弾性変形させると、弁体の弁部が、中栓における連通孔の開口周縁部から上方に離反することで、内容器内と吐出孔とが連通孔を通して連通し、内容物が吐出孔から吐出される。その後、弁体の弁部が、中栓における連通孔の開口周縁部上に当接するとともに、外容器が復元変形すると、外容器に形成された外気導入孔を通して、外容器と内容器との間に外気が導入され、内容器が減容変形したままの状態に保たれる。これにより、吐出孔から内容器内に向けて外気が導入されることが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-222309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の吐出容器では、吐出孔から内容器内に向けて外気が導入されることがないので、天壁部上に残存した内容物が吐出孔から内容器内に向けて吸い込まれることがない上に、天壁部の上面における吐出孔の開口周縁部に窪み部が形成されているため、内容物が天壁部上に残存しやすいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物が吐出ノズルの天壁部上に残存するのを抑制することができる吐出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る吐出容器は、内容物の減少に伴い減容変形する内容器、および前記内容器が内装されるとともに弾性変形可能な外容器を備える容器本体と、前記容器本体の口部に装着され、天壁部に内容物を吐出する吐出孔が形成された有頂筒状の吐出ノズルと、前記吐出ノズル内に配設され、前記吐出孔と前記内容器内とを連通する連通孔が形成された中栓と、前記中栓における前記連通孔の開口周縁部上に、上方に向けて離反自在に配設され、前記連通孔を開放自在に閉塞する弁部を有する弁体と、を備え、前記吐出ノズルの天壁部には、上方に向けて突出する集液部が形成され、前記集液部は、上端部が他よりも上方に位置する集液頂部を有し、前記吐出孔から吐出されて前記天壁部の上面に至った内容物が、前記容器本体の口部が下方に位置し、かつ前記容器本体の底部が上方に位置する姿勢において、前記集液部を伝って前記集液頂部に集められ、滴となって落下し、前記集液部の一部は、前記天壁部における前記吐出孔の開口周縁部に配置され、前記集液頂部は、前記天壁部において前記吐出孔の開口周縁部から離れた部分に配置され、前記集液部は、前記一部から前記集液頂部に向かうに従い漸次、上方に向けて延び、前記集液部は、前記天壁部において、この天壁部の上面視で前記吐出孔の中心を通る第1基準線より一方側に位置する部分の全域にわたって形成されるとともに、前記第1基準線から前記第1基準線に直交する方向に離れるに従い漸次、上方に向けて延び、前記天壁部は上面視円形状を呈し、前記集液頂部は、前記天壁部の外周縁部に形成されるとともに、上方に向けて突の曲面状に形成され、前記天壁部の外周縁部は全周にわたって上方に向けて突の曲面状に形成され、前記吐出ノズルの中心軸に沿う縦断面視において、前記天壁部の外周縁部における曲率半径は、前記集液頂部から周方向に離れるに従い漸次、大きくなっており、前記吐出孔は、前記天壁部の中央部に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、吐出ノズルの天壁部に集液部が形成されているので、吐出孔から吐出されて天壁部の上面に至った内容物が、集液部を伝って集液頂部に集められ、滴となって落下する。これにより、例えば、天壁部の上面における吐出孔の開口周縁部に窪み部が形成された構成と比べて、滴下後に天壁部上に残存する内容物を低減することができる。
なお、天壁部に前記窪み部が形成され、かつ容器本体の口部に着脱自在に装着されて吐出孔を開放可能に閉塞するキャップを備える構成において、前記窪み部に内容物が溜まると、キャップを容器本体の口部に装着し、キャップの天壁に形成された突部を前記窪み部に進入させたときに、前記窪み部内の内容物が溢れる不具合が生ずるが、本発明では、このような不具合が生ずることがない。
【0009】
液部の一部が、天壁部における吐出孔の開口周縁部に位置しているので、吐出孔を通して天壁部の上面に至った内容物が、即座に集液部の前記一部に到達する。そして、集液部が、前記一部から集液頂部に向かうに従い漸次、上方に向けて延びているので、集液部の前記一部に到達した内容物は、円滑に集液頂部に導かれる。
以上より、吐出孔から吐出された内容物が、天壁部上に拡散して付着するのを抑制することが可能になり、天壁部上に残存する内容物を確実に低減することができる。
【0011】
液部が、天壁部において、前記第1基準線より一方側に位置する部分の全域にわたって形成されるとともに、前記第1基準線から前記第1基準線に直交する方向に離れるに従い漸次、上方に向けて延びているので、集液頂部の上端部が、前記第1基準線の延びる方向の幅を有することとなり、この部分が鋭利に尖るのを抑えることが可能になり、使用者がこの吐出容器の使用時に不安感を抱くのを防ぐことができる。
【0012】
また、前記集液頂部は、前記天壁部の上面視において、前記吐出孔を通り前記第1基準線に直交する第2基準線上に配置され、前記天壁部は、前記集液頂部の位置する周方向に沿う部分から周方向に離れるに従い漸次、下方に向けて延びてもよい。
【0013】
この場合、吐出孔が天壁部の中央部に形成され、集液頂部が前記第2基準線上に配置されているので、吐出孔から吐出されて集液部の前記一部に至った内容物が、天壁部上を拡散せずに集液頂部に向けて直進しやすくなり、内容物を円滑に滴下することができるとともに、天壁部上に残存する内容物をより一層確実に低減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐出容器によれば、内容物が吐出ノズルの天壁部上に残存するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る吐出容器の縦断面図である。
図2図1に示す吐出ノズルの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、吐出容器1は、内容物の減少に伴い減容変形する内容器4、および内容器4が内装されるとともに弾性変形可能な外容器6を備える容器本体2と、容器本体2の口部3に装着され、天壁部11に内容物を吐出する吐出孔12が形成された有頂筒状の吐出ノズル10と、吐出ノズル10内に配設され、吐出孔12と内容器4内とを連通する連通孔21が形成された中栓20と、連通孔21を開放自在に閉塞する弁体30と、容器本体2の口部3に着脱自在に装着されて吐出孔12を開放可能に閉塞するキャップ8と、を備える。
【0017】
容器本体2は有底筒状に形成されるとともに、キャップ8は有頂筒状に形成され、これら容器本体2およびキャップ8が共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸を中心軸Oといい、中心軸Oに沿う方向を上下方向という。また、上下方向に沿う容器本体2の底部側を下方、上下方向に沿う容器本体2の口部3側を上方という。また、上下方向から見た平面視において、中心軸Oに直交する方向を径方向といい、中心軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
容器本体2は、内容器4の外表面と外容器6の内表面とが積層されてなる、いわゆるデラミ容器である。容器本体2は、口部3と、図示しない肩部、胴部および底部と、を備えるとともに、これらが上側から下側に向けてこの順に連設された有底筒状に形成されている。外容器6のうち少なくとも前記胴部に位置する部分は、容器本体2の内側に向けて弾性変形可能(スクイズ変形可能)とされている。内容器4は、外容器6のスクイズ変形に伴って減容変形する。
【0019】
口部3は、内容器4の口部5と外容器6の口部7とが積層された構成である。内容器4の口部5の上端部には、径方向の外側に突出する環状の折り返し部が形成され、この折り返し部が外容器6の口部7の上端開口縁上に配置されている。
ここで、外容器6には、外容器6を貫通する不図示の外気導入孔が形成されている。外気導入孔は、外容器6の内表面と、外容器6から剥離して減容変形する内容器4の外表面と、の間に外気を導入する。外気導入孔は外容器6の胴部に形成されており、内容物を吐出する際に、指で外気導入孔を閉塞した状態で、外容器6の胴部をスクイズ変形させる。
なお、外気導入孔は、外容器6の口部7、肩部、若しくは底部等に設けることができ、形成位置は問わない。また、外気導入孔を開閉する逆止弁を配設してもよい。
【0020】
吐出ノズル10は、天壁部11と、天壁部11の外周縁から下方に向けて延びる周壁部13と、を備え、それぞれが中心軸Oと同軸に配置されている。
周壁部13は、容器本体2の口部3内に液密に嵌合されたシール筒部14と、シール筒部14の上端縁から径方向の外側に向けて突出するとともに周方向に延びる環状の鍔部15と、シール筒部14の上端縁から上方に向けて延び、天壁部11の外周縁部に接続する接続筒部16と、を備える。
【0021】
シール筒部14の内周面は、下部が上部よりも僅かに拡径するように形成されている。シール筒部14の内周面における下端部には、径方向の内側に向けて突出する第1係合突起が形成されている。
鍔部15は、口部3の上端開口縁上に配置されている。
接続筒部16は、シール筒部14の上端縁から上方に向かうに従い漸次、縮径した下部16aと、下部16aの上端縁から上方に向けて真直ぐ延び、天壁部11の外周縁に接続した上部16cと、を備える。下部16aの内径は、シール筒部14の上部の内径と同じになっている。上部16cの内周面は、下部16aの内周面より径方向の内側に位置し、上下方向に真直ぐ延びている。
【0022】
天壁部11における径方向の中央部に、天壁部11を上下方向に貫通する吐出孔12が形成されている。吐出孔12は、中心軸Oと同軸に配置されている。吐出孔12の上部の内径は、上下方向の全域にわたって同等とされ、吐出孔12の下部の内径は、上方から下方に向かうに従い漸次、小さくなっている。
天壁部11の下面には、下方に向けて突出する膨出部17が形成されている。膨出部17は、中心軸Oと同軸に位置する逆円錐台状に形成されている。天壁部11の下面には、突リブ18が周方向に間隔をあけて複数形成されている。突リブ18は、逆円錐台状をなす膨出部17の周面から、径方向の外側に向かって突出している。膨出部17の下端面に吐出孔12が開口している。
【0023】
中栓20は、中心軸Oと同軸に配置された筒状に形成されている。中栓20は、吐出ノズル10における接続筒部16の上部16c内に嵌合された上筒部22と、上筒部22の下方に配置されるとともに吐出ノズル10のシール筒部14内に嵌合され、上筒部22より大径に形成された下筒部23と、を備える。
上筒部22の上端開口縁は、吐出ノズル10の天壁部11の下面のうち膨出部17よりも径方向の外側に位置する部分に当接している。上筒部22の上端部の内周面には、径方向の内側に向けて突出する環状の弁座24が形成されている。弁座24の上面は、中栓20の上端開口縁よりも下方に位置している。弁座24の内側が、上述の連通孔21となっている。上筒部22の内周面は、弁座24を挟んだ上下両側において互いに同径で上下方向に真直ぐ延びている。
【0024】
中栓20の下筒部23の内周面は、上下方向に真直ぐ延びている。下筒部23の下端部における内周面には、径方向の内側に向けて突出する第2係合突起が形成されている。下筒部23の下端部における外周面には、径方向の外側に向かって突出するとともに周方向に延びる環状の係合環部23bが形成されている。係合環部23bの下端は、吐出ノズル10のシール筒部14の第1係合突起の上端に係止されている。
【0025】
中栓20の内周面には、上筒部22と下筒部23との接続部分から下方に向けて突出する支持板部26が形成されている。支持板部26は表裏面が周方向を向く板状に形成されている。支持板部26のうち下方を向く下端縁の外周部には、上方に向かって窪む窪み部が形成されている。支持板部26は、中栓20の内周面に周方向に間隔をあけて複数形成されている。
下筒部23の上部の内周面には、支持板部26の下端縁から下方に向けて延びる第1縦リブ27が形成されている。第1縦リブ27は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。支持板部26および第1縦リブ27それぞれの周長は、互いに同じになっている。第1縦リブ27は、支持板部26の下端縁の外周部において、窪み部より径方向の外側に位置する部分に接続されている。
【0026】
弁体30は、その上方(吐出孔12側)から下方(内容器4側)への流体の流れを制限する一方、その逆方向の流れは許可する逆止弁となっている。弁体30は、例えばニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、エラストマー、およびウレタン等の弾性変形可能な軟材質で形成されている。
弁体30は、中栓20における弁座24の上面(連通孔21の開口周縁部上)に、上方に向けて離反自在に配設され、連通孔21を開放自在に閉塞する弁部31と、弁部31から下方に向けて延びる有頂筒状の本体部33と、本体部33の下端部から径方向の外側に向けて突出し、中栓20内に固定された脚部32と、を備え、これらが一体に形成されている。
【0027】
弁部31は、中心軸Oと同軸に配置された円板状の中央部34と、中央部34の外周縁から径方向の外側に向かうに従い漸次、上方に向けて延びる円環状の周縁部35と、を備える。弁部31の上面は、下方に窪む凹状に形成されている。
中央部34の上面は、吐出ノズル10の膨出部17の下端面に上下方向の隙間をあけて対向している。中央部34の上面の外径は、膨出部17の下端面の外径と同等になっている。
【0028】
周縁部35は、上方に向けて弾性変形可能とされ、弁座24の上面に上方に向けて離間可能に着座している。周縁部35は、上方に向けて弾性変形した状態で弁座24に着座することで、弾性復元力により下面を弁座24の上面に密接させている。このとき、弁部31の上面のうち、周縁部35が位置する部分は、天壁部11の突リブ18に対して下方に離間しているとともに、外周縁部が膨出部17の下端面よりも上方に位置している。このように、弁部31の上面は、吐出ノズル10の天壁部11に対して下方に離れつつ、弁部31の上面の内側に、膨出部17が入り込んだ状態とされている。
【0029】
本体部33の頂壁部は、弁部31の中央部34と一体に形成されている。本体部33の頂壁部の外周面は、下方から上方に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けて延びている。本体部33の周壁部における上端部の外周面は、下方から上方に向かうに従い漸次、径方向の内側に向けて延び、頂壁部の外周面と段差なく滑らかに連なっている。本体部33の周壁部における下端部の内周面は、下端縁から上方に向かうに従い漸次、縮径した突曲面状に形成されている。本体部33の周壁部の内周面は、下端部を除く全域にわたって上下方向に真直ぐ延びている。
【0030】
脚部32は、中栓20の下筒部23の上端部内に配置されている。脚部32の外径は、中栓20の上筒部22の内径よりも大きく、かつ中栓20の下筒部23の内径よりも小さくなっている。脚部32の上面における外周部には、上方に向けて突出する突部が形成されており、この突部が、中栓20における支持板部26の下端縁の外周部に形成された窪み部に入り込んでいる。これにより、脚部32の上面が、中栓20における支持板部26の下端縁に密接するとともに、脚部32の径方向の内側に向けた変形が規制されている。
【0031】
弁体30は、中栓20内において弁体30より下方に位置する部分に嵌合された押さえ筒部材40により、下方への移動が規制されている。押さえ筒部材40は有底筒状に形成されている。押さえ筒部材40の上端開口縁は、弁体30の本体部33の下端開口縁に当接している。
【0032】
押さえ筒部材40の下端部には、径方向の外側に向かって突出する支持突起41が周方向に間隔をあけて複数形成されている。支持突起41の上面は、中栓20の下端開口縁に当接している。押さえ筒部材40の周壁部の外周面には、径方向の外側に向かって突出する第3係合突起が形成されている。第3係合突起の下端は、中栓20の下端部の内周面に形成された第2係合突起の上端に係止されている。これにより、押さえ筒部材40が脱落を抑制された状態で中栓20内に嵌合されている。押さえ筒部材40の外周面には、上下方向に延びる第2縦リブ42が周方向に間隔をあけて複数形成されている。第2縦リブ42、第3係合突起、および支持突起41は同じ周方向位置に配置され、第2縦リブ42は第3係合突起と支持突起41とを連結している。
第2縦リブ42の上端縁と、中栓20の第1縦リブ27の下端縁と、の間に、上下方向の隙間が全周にわたって配設されている。
【0033】
キャップ8は、有頂筒状に形成されている。キャップ8の周壁8aは、内周面に、外容器6の口部7の外周面に形成された雄ねじ部に螺着する雌ねじ部が形成された大径部8cと、大径部8cの上端部から上方に向けて延びるとともに、大径部8cより内径および外径が小さい小径部8dと、を備える。キャップ8の天壁8bにおける中央部には、下方に向けて突出する栓突部8eが形成されている。栓突部8eは、吐出孔12内に着脱可能に嵌合されている。
【0034】
そして、本実施形態では、吐出ノズル10の天壁部11に、上方に向けて突出する集液部25が形成されている。集液部25は、上端部が他よりも上方に位置する集液頂部25aを有する。
集液部25の一部25bは、天壁部11における吐出孔12の開口周縁部に配置され、集液頂部25aは、天壁部11において吐出孔12の開口周縁部から離れた部分に配置されている。集液頂部25aは、天壁部11の外周縁部に配置されている。なお、天壁部11は上面視円形状を呈する。
集液部25は、前記一部25bから集液頂部25aに向かうに従い漸次、上方に向けて延びている。集液部25は、前記一部25bから集液頂部25aに向かうに従い漸次、上方に向けて直線状に延びている。なお、集液部25の全体を、天壁部11において吐出孔12の開口周縁部から離れた位置に配置してもよい。
【0035】
集液部25は、図2に示されるように、天壁部11において、この天壁部11の上面視で吐出孔12の中心を通る第1基準線L1より一方側に位置する部分の全域にわたって形成されるとともに、第1基準線L1から第1基準線L1に直交する直交方向に離れるに従い漸次、上方に向けて延びている。図示の例では、集液部25の前記一部25bは、集液部25において、前記直交方向に沿う集液頂部25aの反対側の端部における、第1基準線L1の延びる方向の中央部となっている。集液頂部25aおよび前記一部25bは、天壁部11の上面視において、吐出孔12を通り第1基準線L1に直交する第2基準線L2上に配置されている。
【0036】
集液頂部25aは、上方に向けて突の曲面状に形成されている。天壁部11の外周縁部は全周にわたって上方に向けて突の曲面状に形成されている。中心軸Oに沿う縦断面視において、天壁部11の外周縁部の曲率半径は、集液頂部25aから周方向に離れるに従い漸次、大きくなっている。
天壁部11において、この天壁部11の上面視で第1基準線L1より他方側に位置する部分は、第1基準線L1から前記直交方向に離れるに従い漸次、下方に向けて延びている。天壁部11の上面のうち、前記他方側に位置する部分は、集液部25と段差なく連なっている。
天壁部11は、集液頂部25aの位置する周方向に沿う部分から周方向に離れるに従い漸次、下方に向けて延びている。天壁部11の上面は、全域にわたって単一の傾斜平面となっている。なお、天壁部11の上面のうち、前記他方側に位置する部分は、例えば中心軸Oに直交する方向に延びる平坦面にする等適宜変更してもよい。
【0037】
以下、本実施形態の吐出容器1の作用について説明する。
吐出容器1から内容物を吐出させる際には、まず、容器本体2の口部3からキャップ8を取り外して、吐出孔12を露出させ、その後、吐出容器1を口部3が下方に位置し、かつ容器本体2の底部(不図示)が上方に位置する倒立姿勢または傾斜姿勢とする。この状態で、外気導入孔を指で閉塞し、かつ容器本体2の外容器6をスクイズ変形させると、内容器4が外容器6とともに変形して減容される。この減容変形に伴い内容器4の内圧が正圧となり、この正圧によって弁部31の周縁部35が弾性変形し、連通孔21が開放され、吐出孔12と内容器4の内部とが連通される。
【0038】
このように弁部31が開かれると、内容器4内の内容物が、中栓20の内周面と、押さえ筒部材40および脚部32の各外周面と、の間を通過した後、連通孔21を通過する。連通孔21を通過した内容物は、弁部31の上面と吐出ノズル10の天壁部11の下面との間の空間に流れ込み、吐出孔12から吐出される。この際、吐出孔12から吐出されて天壁部11の上面に至った内容物は、集液部25を伝って集液頂部25aに集められ、滴となって落下する。
【0039】
内容物の吐出後、内容器4の内圧が低下すると、弁部31の周縁部35が弁座24の上面に着座して、吐出孔12と内容器4の内部との連通が遮断される。このように弁部31が閉じられることにより、内容器4が密封され、さらに手指による外気導入孔の閉塞、およびスクイズ変形を解除すると、外容器6は復元変形しようとする。このとき、内容器4が密封されているため、外容器6と内容器4との間に負圧が発生する。すると、外容器6の上述した外気導入孔を通して外気が外容器6と内容器4との間に導入される。このように、外容器6と内容器4との間に外気が導入されることにより、内容器4の減容形状が保持される。
以上により吐出容器1を用いた内容物の吐出動作が完了する。
【0040】
以上詳述したように、本実施形態の吐出容器1では、内容物が、集液頂部25aから滴となって落下することから、例えば、吐出ノズル10の天壁部11の上面における吐出孔12の開口周縁部に窪み部が形成された構成と比べて、滴下後に天壁部11上に残存する内容物を低減することができる。
【0041】
また、集液部25の前記一部25bが、天壁部11における吐出孔12の開口周縁部に位置しているので、吐出孔12を通して天壁部11の上面に至った内容物が、即座に集液部25の前記一部25bに到達する。そして、集液部25が、前記一部25bから集液頂部25aに向かうに従い漸次、上方に向けて延びているので、集液部25の前記一部25bに到達した内容物は、円滑に集液頂部25aに導かれる。
以上より、吐出孔12から吐出された内容物が、天壁部11上に拡散して付着するのを抑制することが可能になり、天壁部11上に残存する内容物を確実に低減することができる。
【0042】
また、集液部25が、天壁部11において、第1基準線L1より一方側に位置する部分の全域にわたって形成されるとともに、第1基準線L1から前記直交方向に離れるに従い漸次、上方に向けて延びているので、集液頂部25aの上端部が、第1基準線L1の延びる方向の幅を有することとなり、この部分が鋭利に尖るのを抑えることが可能になり、使用者がこの吐出容器1の使用時に不安感を抱くのを防ぐことができる。
また、吐出孔12が天壁部11の中央部に形成され、集液頂部25aが第2基準線L2上に配置されているので、吐出孔12から吐出されて集液部25の前記一部25bに至った内容物が、天壁部11上を拡散せずに集液頂部25aに向けて直進しやすくなり、内容物を円滑に滴下することができるとともに、天壁部11上に残存する内容物をより一層確実に低減することができる。
【0043】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0044】
例えば、前記実施形態では、集液頂部25aとして、上方に向けて突の曲面状に形成された構成を示したが、吐出孔12から吐出されて天壁部11の上面に至った内容物が集められ滴となって落下する構成であれば、これに限らず適宜変更してもよい。また、集液頂部25aの、天壁部11における配設位置は、前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。
前記実施形態では、集液部25の前記一部25bが、天壁部11における吐出孔12の開口周縁部に配置され、集液部25が、前記一部25bから集液頂部25aに向かうに従い漸次、上方に向けて直線状に延びた構成を示したが、例えば、集液部25が、前記一部25bから集液頂部25aに向かうに従い漸次、上方に向けて段階的に延びる構成を採用する等適宜変更してもよい。
前記実施形態では、天壁部11として上面視円形状を呈する構成を示したが、例えば上面視矩形状を呈する構成を採用する等適宜変更してもよい。
前記実施形態では、集液部25として、天壁部11において、この天壁部11の上面視で吐出孔12の中心を通る第1基準線L1より一方側に位置する部分の全域にわたって形成された構成を示したが、例えば、表裏面が周方向を向き、かつ天壁部11における吐出孔12の開口周縁部から集液頂部25aに向かうに従い漸次、上方に向けて延びる板状に形成された構成を採用する等適宜変更してもよい。
【0045】
前記実施形態では、中栓20に弁座24が形成され、弁部31の周縁部35が、弁座24の上面に当接した構成を示したが、中栓20に弁座24を形成せず、中栓20の上端開口縁に、弁部31の周縁部35を当接させてもよい。
前記実施形態では、容器本体2として、いわゆるデラミ容器を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、内容器4の外表面と外容器6の内表面とが、内容物を吐出する前の当初から離間した二重容器であってもよい。
また、容器本体2は、内容器4と外容器6との間に接着層を設けた形態でもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 吐出容器
2 容器本体
3 口部
4 内容器
6 外容器
10 吐出ノズル
11 天壁部
12 吐出孔
20 中栓
21 連通孔
25 集液部
25a 集液頂部
25b 一部
30 弁体
31 弁部
L1 第1基準線
L2 第2基準線
図1
図2