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特許7266966エピメラーゼ及びベンジルイソキノリンアルカロイドを産生する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】エピメラーゼ及びベンジルイソキノリンアルカロイドを産生する方法
(51)【国際特許分類】
   C12P 17/12 20060101AFI20230424BHJP
   C12N 1/19 20060101ALN20230424BHJP
   C12N 9/90 20060101ALN20230424BHJP
   C12N 15/61 20060101ALN20230424BHJP
【FI】
C12P17/12 ZNA
C12N1/19
C12N9/90
C12N15/61
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017558387
(86)(22)【出願日】2016-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 US2016031506
(87)【国際公開番号】W WO2016183023
(87)【国際公開日】2016-11-17
【審査請求日】2019-04-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-26
(31)【優先権主張番号】62/159,122
(32)【優先日】2015-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/174,475
(32)【優先日】2015-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】スモルク クリスティーナ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ガラニー ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】トレンチャード アイシス
(72)【発明者】
【氏名】ソーディー キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】リ ヤンラン
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】牧野 晃久
【審判官】飯室 里美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/081437(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/066642(WO,A1)
【文献】PloS one,2013年,Vol.8,No.1 e52784,p.1-15
【文献】Phytochemistry,2004年,Vol.65,p.1039-1046
【文献】Nature communications,2011年,Vol.2:326,p.1-8,doi:10.1038/ncomms1327
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12P 1/00- 41/00
Genbank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS/EMBASE/REGISTRY(STN)
Pubmed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子操作された酵母細胞内で、該細胞内で産生された(S)-レチクリンを少なくとも1つの酵素と接触させる工程であって、前記遺伝子操作された酵母細胞内で前記(S)-レチクリンを(R)-レチクリンに変換する、前記工程
を含む、前記遺伝子操作された酵母細胞内で前記(S)-レチクリンを(R)-レチクリンにエピマー化する方法であって、
前記酵素が、SEQ ID NO:9及び10からなる群より選択されるアミノ酸配列に対する少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、オキシダーゼドメイン及びレダクターゼドメインを含むエピメラーゼを含み、
前記オキシダーゼドメインがシトクロムP450オキシダーゼ様ドメインであり、かつ、
前記レダクターゼドメインがコデイノンレダクターゼ様ドメインである、
前記方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの酵素が、前記遺伝子操作された酵母細胞を培養することにより産生される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(R)-レチクリンまたはその誘導体を前記細胞培養物から回収する工程
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(S)-レチクリンが、L-チロシンから始まる代謝経路により、前記遺伝子操作された酵母細胞内で産生される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記エピメラーゼが融合エピメラーゼである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記エピメラーゼが分割エピメラーゼである、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
合衆国法典第35巻119条(e)の下で、本出願は、2015年5月8日に出願された米国仮特許出願番号第62/159,122号及び2015年6月11日に出願された米国仮特許出願番号第62/174,475号の出願日に対する優先権を主張し、これらの出願の開示は、参照により本明細書に組込まれる。
【0002】
加えて、本出願は、US2014-0273109としてここに公開する米国仮特許出願番号第14/211,611号、この出願は、2014年3月14日に出願され、代理人整理番号STAN-1018を有する;WO2014/143744としてここに公開するPCT出願番号PCT/US2014/027833、この出願は、2014年3月14日に出願され、代理人整理番号STAN-1018WOを有する;米国特許出願番号第15/031,618号、この出願は、2016年4月22日に出願され、代理人整理番号STAN-1078を有する;WO2015/066642としてここに公開する出願番号PCT/US2014/063738、この出願は、2014年11月3日に出願され、代理人整理番号STAN-1078WOを有する;米国仮特許出願番号第62/080,610号、この出願は、2014年11月17日に出願され、代理人整理番号STAN-1169PRVを有する;米国仮特許出願番号第62/107,238号、これは2015年1月23日に出願され、代理人整理番号STAN-1169PRV2を有する;出願番号PCT/US2015/060891、この出願は2015年11月16日に出願され、代理人整理番号STAN-1169WOを有する;米国仮特許出願番号第62/156,701号、これは、2015年5月4日に出願され、代理人整理番号STAN-1221PRVを有する;及び出願番号PCT/US2016/030808、この出願は、2016年5月4日に出願され、代理人整理番号STAN-1221WOを有する、に関連し、これらの出願の開示は、参照により本明細書に組込まれる。
【0003】
連邦政府資金による研究に関する記載
本発明は、国立衛生研究所により授与された契約番号AT007886の下で、政府の支援を伴ってなされた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、遺伝子操作された宿主細胞における多様なベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)の産生方法を提供する。本開示は、遺伝子操作された宿主細胞において産生される多様なアルカロイドの組成物をさらに提供する。加えて、本開示は、遺伝子操作された宿主細胞におけるエピメラーゼの産生方法を提供する。特定の場合では、本開示は、遺伝子操作された宿主細胞において、(R)-1-ベンジルイソキノリン(benyzlisoquinoline)アルカロイドへの(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドのエピマー化を通して多様なアルカロイド産物を産生するための方法を提供する。さらに特定の場合では、本開示は、(R)-レチクリンへの(S)-レチクリンのエピマー化を通して多様なアルカロイド産物を産生するための方法を提供する。
【0005】
本発明のある態様は、遺伝子操作していない細胞と比べてチロシンヒドロキシラーゼ活性が増加している遺伝子操作された非植物細胞を提供する。本発明の別の態様は、野生型TyrHを発現する細胞と比べてチロシンヒドロキシラーゼ活性が増加している遺伝子操作された非植物細胞を提供する。本発明の追加の態様は、本明細書に提供するようなチロシンヒドロキシラーゼ活性を増加させる突然変異を伴わない野生型TyrHを発現する細胞と比べてチロシンヒドロキシラーゼ活性が増加している遺伝子操作された非植物細胞を提供する。具体的には、遺伝子操作された非植物細胞は、基質阻害軽減突然変異;生産物阻害軽減突然変異;及び補因子回収促進機構からなる群より選択される、少なくとも1つの改変を有する。
【0006】
本発明の追加の態様は、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドにエピマー化する方法を提供する。該方法は、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させる工程を含む。(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させることが、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換する。
【0007】
本発明の別の態様は、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するエピメラーゼを産生する遺伝子操作された非植物細胞を提供する。エピメラーゼは、表1に記載するような、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
本発明のさらなる態様は、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するためのプロセスであって、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドをエピメラーゼと、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するのに十分な量で接触させる工程を含む、前記プロセスを提供する。
【0009】
本発明の別の態様では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体中心をエピマー化する方法を提供する。該方法は、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させる工程を含む。1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させる工程は、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体中心の立体化学を、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体中心の反対の立体化学へと反転させる。
【0010】
いくつかの例では、遺伝子操作された非植物細胞は、表2に列挙する酵素の群より選択される酵素をそれぞれコードする複数のコード配列を含む。いくつかの例では、異種コード配列は、作動可能に連結してよい。作動可能に連結している異種コード配列は、特定のベンジルイソキノリンアルカロイド産物及び/またはエピメラーゼ産物を産生する、同一の経路内にあってよい。
【0011】
本発明の追加の態様では、ビスベンジルイソキノリンアルカロイドを産生する遺伝子操作された非植物細胞を提供する。ビスベンジルイソキノリンアルカロイドは、遺伝子操作された非植物細胞内に存在するカップリング酵素を使用して産生される。加えて、遺伝子操作された非植物細胞は、遺伝子操作された非植物細胞内で少なくとも1つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーの産生に使用される少なくとも1つの酵素をコードする少なくとも1つの異種コード配列を含む。さらに、少なくとも1つのカップリング酵素は、遺伝子操作された非植物細胞内で2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化し、それによりビスベンジルイソキノリンアルカロイドを形成する。
【0012】
[本発明1001]
(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させる工程であって、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換する、前記工程
を含む、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドにエピマー化する方法。
[本発明1002]
前記少なくとも1つの酵素が、前記少なくとも1つの酵素をコードするためのコード配列を有する遺伝子操作された非植物細胞を培養することにより産生される、本発明1001の方法。
[本発明1003]
(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを細胞培養物に加える工程
をさらに含む、本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドまたはその誘導体を前記細胞培養物から回収する工程
をさらに含む、本発明1003の方法。
[本発明1005]
前記少なくとも1つの酵素がオキシダーゼを含む、本発明1001~1004のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記少なくとも1つの酵素がレダクターゼを含む、本発明1001~1005のいずれかの方法。
[本発明1007]
前記少なくとも1つの酵素がエピメラーゼを含む、本発明1001~1006のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、本発明1007の方法。
[本発明1009]
前記エピメラーゼが、オキシダーゼドメイン及びレダクターゼドメインを含む、本発明1007または1008の方法。
[本発明1010]
前記オキシダーゼドメインがシトクロムP450オキシダーゼ様ドメインである、本発明1009の方法。
[本発明1011]
前記レダクターゼドメインがコデイノンレダクターゼ様ドメインである、本発明1009の方法。
[本発明1012]
前記遺伝子操作された非植物細胞が、遺伝子操作された酵母細胞である、本発明1007~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが(S)-レチクリンである、本発明1001~1012のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが(R)-レチクリンである、本発明1001~1013のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、L-チロシンから始まる代謝経路により、前記遺伝子操作された非植物細胞内で産生される、本発明1001~1014のいずれかの方法。

参照による組込み
本明細書中で言及する全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許または特許出願が具体的に及び個別に参照により組込まれると示されている場合と同じ程度に参照により本明細書に組込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良い理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の発明を実施するための形態及び添付の図面を参照することによって得られるであろう。
図1】本発明の実施形態に係る、テトラヒドロビオプテリンの合成、再循環、及び再生経路の例を示す。
図2】本発明の実施形態に係る、4-HPA、ドパミン、及び3,4-DHPAへのグルコースの変換のための生合成スキームを示す。
図3】本発明の実施形態に係る、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイド形成の概略的な例を示す。
図4】本発明の実施形態に係る、CYP-COR酵素のアミノ酸配列を示す。
図5】本発明の実施形態に係る、ノルコクラウリンを介したレチクリンへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す
図6】本発明の実施形態に係る、ノルラウダノソリンを介したレチクリンへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。
図7】本発明の実施形態に係る、モルフィナンアルカロイドへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。
図8】本発明の実施形態に係る、プロトベルベリン、フタリドイソキノリン、及びベルベリンアルカロイド産物へのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。
図9】本発明の実施形態に係る、ノスカピン、ノスカピノイド、及びフタリドイソキノリンアルカロイド産物へのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。
図10】本発明の実施形態に係る、サンギナリン及びベンゾフェナントリジンアルカロイドへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。
図11A】本発明の実施形態に係る、ノスカピンへのカナジンの変換のための生合成スキームを示す。
図11B】本発明の実施形態に係る、半合成オピオイドの産生のための生合成スキームを示す。
図12】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株における糖からのノルコクラウリン産生を向上させるチロシンヒドロキシラーゼ突然変異体を示す。
図13】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株における糖からのレチクリン産生を向上させるチロシンヒドロキシラーゼ突然変異体を示す。
図14】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株におけるチロシンヒドロキシラーゼによるL-ドパ産生を向上させるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の共発現を示す。
図15図15(A)は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株においてチロシンヒドロキシラーゼによりL-ドパ産生を向上させる培地への抗酸化剤の添加を示す。図15(B)は、本発明の実施形態に係る、BHレベルを増加させる培地への抗酸化剤の添加を示す。
図16図16(A)は、本発明の実施形態に係る、ビスBIAへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。図16(B)は、本発明の実施形態に係る、ビスBIAを生合成するように遺伝子操作された酵母菌株を示す。
図17】本発明の実施形態に係る、シトクロムP450オキシダーゼ-コデイノンレダクターゼ様(CYP-COR)融合体の系統樹を示す。
図18図18(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係る、(S)-レチクリンをサルタリジンに変換するように遺伝子操作された酵母菌株のLC-MS/MS分析を示す。
図19】本発明の実施形態に係る、ラセミノルラウダノソリンを(R)-レチクリンに変換するように遺伝子操作された酵母菌株のキラルLC-MS/MS分析を示す。
図20図20(A)及び(B)は、本発明の実施形態に係る、植物ではなく酵母において異種発現されるときに観察されるタンパク質のN結合型グリコシル化を取り除くサルタリジンシンターゼの遺伝子操作された融合体を示す。
図21図21(A)及び21(B)は、本発明の実施形態に係る、ケイランチホリンシンターゼ-サルタリジンシンターゼ融合設計を示す。
図22】本発明の実施形態に係る、酵母における活性を向上させるサルタリジンシンターゼコドン最適化及び遺伝子操作された融合体を示す。
図23図23(A)及び23(B)は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母がテバインへの(R)-レチクリンの変換及びテバインへのrac-ノルラウダノソリンの変換を触媒する、小規模バッチ発酵のLC-MS/MS分析を示す。
図24】本発明の実施形態に係る、ランダム突然変異誘発及びスクリーニングを通して酵母において増強された活性を呈するCODM酵素バリアントの生成を示す。
図25図25(A)、25(B)、及び25(C)は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母によるテバインへの(R)-レチクリンの変換のための発酵最適化を示す。
図26】本発明の実施形態に係る、L-チロシンからの重要な分岐点中間体であるレチクリンの産生のための酵母プラットフォーム菌株を示す。
図27A】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株におけるテバイン及びヒドロコドン産生を示す。
図27B】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株におけるテバイン及びヒドロコドン産生を示す。
図27C】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株におけるテバイン及びヒドロコドン産生を示す。
図27D】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株におけるテバイン及びヒドロコドン産生を示す。
図28】本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株において2つのコピーから3つのコピーへとNCS遺伝子のコピー数を増加させることによるベンジルイソキノリンアルカロイドレチクリンの増加した産生を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本開示は、遺伝子操作された宿主細胞において多様なベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)を産生するための方法を提供する。本開示は、遺伝子操作された宿主細胞において産生される多様なアルカロイドの組成物をさらに提供する。加えて、本開示は、遺伝子操作された宿主細胞においてエピメラーゼを産生するための方法を提供する。特定の場合では、本開示は、遺伝子操作された宿主細胞において(R)-1-ベンジルイソキノリン(benyzlisoquinoline)アルカロイドへの(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドのエピマー化を通して多様なアルカロイド産物を産生するための方法を提供する。さらに特定の場合では、本開示は、(R)-レチクリンへの(S)-レチクリンのエピマー化を通して多様なアルカロイド産物を産生するための方法を提供する。
【0015】
目的のベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)
目的のBIAを産生する宿主細胞を提供する。いくつかの例では、宿主細胞の遺伝子操作された菌株、例えば、本発明の遺伝子操作された菌株は、目的のベンジルイソキノリンアルカロイドならびに前駆体BIA、ベンジルイソキノリン、プロトベルベリン、プロトピン、ベンゾフェナントリジン、プロモルフィナン、モルフィナン、セコベルベリン、フタリドイソキノリン、アポルフィン、ビスベンジルイソキノリン、及びその他を含むがこれらに限定されない、いくつかの構造的クラスにわたるそれらの改変物を産生するためのプラットフォームを提供する。これらのクラスはそれぞれ、そのクラスのメンバーへと導き得る遺伝子操作された宿主細胞生合成経路の任意の好都合なメンバーの、それらのクラスの生合成前駆体、中間体及び代謝産物を含むと意図される。化合物の非限定的な例を、これらの構造的クラスのそれぞれについて以下に示す。いくつか場合では、所与の例の構造はそれ自身がベンジルイソキノリンアルカロイドとして特徴づけられても、特徴づけられなくてもよい。本化学実体は、単一エナンチオマー、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態、ジアステレオマーの混合物、及び中間体混合物を含む、全ての可能な異性体を含むと意図される。
【0016】
BIA前駆体には、ノルコクラウリン(NC)及びノルラウダノソリン(NL)、ならびにNC及びNL前駆体、例えば、チロシン、チラミン、4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド(4-HPA)、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸(4-HPPA)、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-ドパ)、3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド(3,4-DHPA)、及びドパミンが含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のBIA前駆体は、3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド(3,4-DHPA)及びドパミンである。ある特定の例では、1つまたは複数のBIA前駆体は、4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド(4-HPA)及びドパミンである。具体的には、NL及びNCは、ピクテ・スペングラー縮合反応を介して前駆体分子から、それぞれ合成されてよく、この反応は、自発的に起こり得るかまたは任意の好都合な酵素により触媒され得る。
【0017】
ベンジルイソキノリンには、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、コクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、4’-O-メチルノルラウダノソリン、4’-O-メチル-ラウダノソリン、N-メチルノルコクラウリン、ラウダノソリン、N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、パパベリン、ラウダニン、ラウダノシン、テトラヒドロパパベリン、1,2-ジヒドロパパベリン、及びオリエンタリンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0018】
プロトベルベリンには、スコウレリン、ケイランチホリン、スチロピン、ナンジニン、ジャトロリジン、ステホリジン、ジスクレタミン、シス-N-メチルスチロピン、テトラヒドロコルンバミン、パルマチン、テトラヒドロパルマチン、コルンバミン、カナジン、N-メチルカナジン、1-ヒドロキシカナジン、ベルベリン、N-メチル-オフィオカルピン、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン、及び1-ヒドロキシ-10-O-アセチル-N-メチルカナジンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0019】
プロトピンには、プロトピン、6-ヒドロキシプロトピン、アロクリプトピン、クリプトピン、ムラミン、及びタリクトリシンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0020】
ベンゾフェナントリジンには、ジヒドロサンギナリン、サンギナリン、ジヒドロケイリルビン、ケイリルビン、ジヒドロマルカピン、マルカピン、及びケレリトリンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0021】
プロモルフィナンには、サルタリジン、サルタリジノール、及びサルタリジノール-7-O-アセテートが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0022】
モルフィナンには、テバイン、コデイノン、コデイン、モルヒネ、モルフィノン、オリパビン、ネオピノン、ネオピン、ネオモルフィン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、14-ヒドロキシコデイノン、オキシコドン、14-ヒドロキシコデイン、モルフィノン、ヒドロモルフォン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、エチルモルヒネ、エトルフィン、メトポン、ブプレノルフィン、フォルコジン、ヘテロコデイン、及びオキシモルフォンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0023】
セコベルベリンには、4’-O-デスメチルマクラントアルデヒド、4’-O-デスメチルパパベロキシン、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシン、パパベロキシン、及び3-O-アセテイルパパベロキシンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0024】
フタリドイソキノリンには、ナルコトリンヘミアセタール、ナルコチンヘミアセタール、ナルコトリン、ノスカピン、カプノイジン、アドルミン、(+)または(-)-ビククリン、カプノイジン、カルルミン、コルレジン、コルルミジン、デクンベニン、5’-O-デメチルナルコチン、(+)または(-)-αまたはβ-ヒドラスチン、及びハイパコウミンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0025】
アポルフィンには、マグノフロリン、コリツベリン、アポモルヒネ、ボルジン、イソボルジン、イソテバイン、イソコリツベリン、及びグラウフィンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0026】
ビスベンジルイソキノリンには、ベルバムニン、グアットガウメリン、ダウリシン、及びリエンシニンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の遺伝子操作された菌株により産生され得る他の化合物には、ロエアジン、パビン、イソパビン、及びクラリンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0028】
ある特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作された菌株は、ジヒドロネオプテリン三リン酸、6-ピルボイルテトラヒドロプテリン、5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリン、7,8-ジヒドロビオプテリン、テトラヒドロビオプテリン4a-カルビノールアミン、キノノイドジヒドロビオプテリン、及びビオプテリンを含むがこれらに限定されない、テトラヒドロビオプテリン合成に関連する化合物を産生するためのプラットフォームを提供し得る。
【0029】
宿主細胞
任意の好都合な細胞を、主題の宿主細胞及び方法に使用してよい。いくつかの場合では、宿主細胞は非植物細胞である。いくつかの例では、宿主細胞は、微生物細胞であることを特徴としてよい。ある特定の場合では、宿主細胞は、昆虫細胞、哺乳動物細胞、細菌細胞、または酵母細胞である。任意の好都合なタイプの宿主細胞は、主題のBIA産生細胞の産生において使用してよい。例えば、US2008/0176754、及びUS2014/0273109を参照されたく、これらの開示は、参照によりその全体が組込まれる。目的の宿主細胞には、細菌細胞、例えば、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、大腸菌(Escherichia coli)、ストレプトマイセス属(Streptomyces)、及びネズミチフス菌(Salmonella typhimuium)細胞、昆虫細胞、例えば、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster) S2及びスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda) Sf9細胞、ならびに酵母細胞、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、及びピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、宿主細胞は、酵母細胞または大腸菌(E.coli)細胞である。いくつかの場合では、宿主細胞は、酵母細胞である。いくつかの例では、宿主細胞は、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドなどの目的のBIAを産生するように遺伝子操作された酵母の菌株に由来する。いくつかの例では、宿主細胞は、目的の酵素を産生するように遺伝子操作された酵母の菌株に由来する。いくつかの例では、宿主細胞は、エピメラーゼを産生するように遺伝子操作された酵母の菌株に由来する。エピメラーゼは、オキシダーゼ及びレダクターゼを有してよい。加えて、エピメラーゼは、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換することができ得る。さらに、エピメラーゼは、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドへと変換するために使用されるようにオキシダーゼまたはレダクターゼ活性を保持するより小さい酵素へと分離され得る。
【0030】
Smolke et al.によりUS2008/0176754及びUS2014/0273109にて記載されている宿主細胞はいずれも、主題の細胞及び方法での使用に適用してよい。ある特定の実施形態では、酵母細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(S.セレビシエ)種であってよい。ある特定の実施形態では、酵母細胞は、シゾサッカロミセス・ポンベ種であってよい。ある特定の実施形態では、酵母細胞は、ピキア・パストリス種であってよい。酵母は、宿主細胞として目的の対象であり、それはシトクロムP450タンパク質がそれらの活性が維持されるように小胞体膜内に適切に折り畳まれることができるからである。例では、シトクロムP450タンパク質は、いくつかの目的の生合成経路に関与する。追加の例では、シトクロムP450タンパク質は、目的のBIAの産生に関与する。さらなる例では、シトクロムP450タンパク質は、オキシダーゼ及びレダクターゼを有するエピメラーゼなどの、目的の酵素の産生に関与する。
【0031】
本発明で使用される目的の酵母菌株には、CEN.PK(遺伝子型:MATa/α ura3-52/ura3-52trp1-289/trp1-289 leu2-3_112/leu2-3_112 his3 Δ1/his3 Δ1 MAL2-8C/MAL2-8C SUC2/SUC2)、S288C、W303、D273-10B、X2180、A364A、Σ1278B、AB972、SK1及びFL100が含まれるがこれらに限定されない。ある特定の場合では、酵母株は、S288C(MATα;SUC2 mal mel gal2 CUP1 flo1 flo8-1 hap1)、BY4741(MATα;his3Δ1;leu2Δ0;met15Δ0;ura3Δ0)、BY4742(MATα;his3Δ1;leu2Δ0;lys2Δ0;ura3Δ0)、BY4743(MATa/MATα;his3Δ1/his3Δ1;leu2Δ0/leu2Δ0;met15Δ0/MET15;LYS2/lys2Δ0;ura3Δ0/ura3Δ0)、及びWAT11またはW(R)、W303-B株の誘導体(MATa;ade2-1;his3-11、-15;leu2-3、-112;ura3-1;canR;cyr+)、これらは、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana) NADPH-P450レダクターゼATR1及び酵母NADPH-P450レダクターゼCPR1をそれぞれ発現する、のいずれかである。別の実施形態では、酵母細胞は、W303α(MATα;his3-11、15trp1-1 leu2-3 ura3-1 ade2-1)である。目的の追加の酵母株の同一性及び遺伝子型は、EUROSCARF(web.uni-frankfurt.de/fb15/mikro/euroscarf/col_index.html)で見出され得る。
【0032】
宿主細胞に対する遺伝子改変
宿主細胞は、目的のBIAの産生を提供する1つまたは複数の改変(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多くの改変)を含むように遺伝子操作されてよい。加えてまたはあるいは、宿主細胞は、目的の酵素の産生を提供する1つまたは複数の改変(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多くの改変)を含むように遺伝子操作されてよい。いくつかの場合では、改変は、遺伝子改変、例えば、遺伝子もしくはその断片の突然変異、付加、もしくは欠失、または遺伝子もしくはその断片の転写制御である。本明細書で用いるとき、「突然変異」という用語は、基準配列またはモチーフと比べて、アミノ酸残基またはヌクレオチド残基の欠失、挿入、または置換を指す。突然変異は、元来の遺伝子座での天然型遺伝子に対する定向突然変異として取り込まれてよい。いくつかの場合では、突然変異は、別々の遺伝子座での遺伝子組込みとして導入された遺伝子の追加のコピーとして、またはエピソーマルベクター、例えば2μもしくは動原体プラスミド上の追加のコピーとして取り込まれてよい。ある特定の例では、酵素の基質阻害されたコピーは、天然の細胞転写制御下にある。いくつかの例では、酵素の基質阻害されたコピーは、それを合成のプロモーターの制御下に置くことで、タンパク質発現の遺伝子操作された構成的または動的制御と共に導入される。いくつかの例では、1つまたは複数の改変の対象は、天然型遺伝子であってよい。いくつかの例では、1つまたは複数の改変の対象は、天然でない遺伝子であってよい。いくつかの例では、天然でない遺伝子は、宿主細胞に挿入されてよい。さらなる例では、天然でない遺伝子は、宿主細胞に挿入される前に、1つまたは複数の改変により変異されてよい。
【0033】
遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の目的のBIAを過剰産生し得る。過剰産生とは、対照細胞(例えば、未改変細胞)と比べて、細胞の、目的のBIA分子の産生が向上しているまたは増加していることを意味する。産生の向上または増加とは、対照が目的のBIAを産生しない場合のいくらかの量の目的のBIAの産生、ならびに、対照が目的のBIAをいくらか産生する状況における約10%以上、例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、例えば、2倍以上、例えば、5倍以上、例えば、10倍以上の増加の両方を指す。
【0034】
遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを過剰産生し得る。いくつかの場合では、遺伝子操作された宿主細胞は、対照が(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを産生しない場合にいくらかの量の目的の(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを産生してよく、ならびに対照が目的の(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドをいくらか産生する状況において、約10%以上、例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、例えば、2倍以上、例えば、5倍以上、例えば、10倍以上に増加させて産生してよい。
【0035】
遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドをさらに過剰産生し得る。いくつかの場合では、遺伝子操作された宿主細胞は、対照が(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイド産を産生しない場合にいくらかの量の目的の(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを産生してよく、ならびに対照が目的の(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドをいくらか産生する状況において、約10%以上、例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、例えば、2倍以上、例えば、5倍以上、例えば、10倍以上に増加して産生してよい。遺伝子操作された宿主細胞は、モルフィナン、プロトベルベリン、ノスカピノイド、及びベンゾフェナントリジンアルカロイドのうちの1つまたは複数をさらに過剰産生し得る。
【0036】
いくつかの場合では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の改変(例えば、本明細書に記載のような)を欠く対照宿主細胞と比べて、(R)-レチクリンの量を増加させて産生することができる。ある特定の例では、増加した量の(R)-レチクリンとは、対照宿主細胞と比べて約10%以上、例えば、対照宿主細胞と比べて約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、約2倍以上、約5倍以上、またはさらには約10倍以上である。いくつかの場合では、(R)-レチクリンは、遺伝子操作された宿主細胞内でのエピマー化反応の産物である。これらの場合では、(S)-レチクリンは、エピマー化反応の基質であってよい。
【0037】
加えて、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の目的の酵素を過剰産生し得る。過剰産生とは、対照細胞(例えば、未改変細胞)と比べて、細胞の、目的の酵素の産生が向上しているまたは増加していることを意味する。産生の向上または増加とは、対照が産生しない場合のいくらかの量の目的の酵素の産生、ならびに、対照が目的の酵素をいくらか産生する状況における、約10%以上、例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、例えば、2倍以上、例えば、5倍以上、例えば、10倍以上の増加の両方を指す。
【0038】
遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数のCYP-COR酵素を過剰産生し得る。いくつかの場合では、遺伝子操作された宿主細胞は、対照がCYP-COR酵素を産生しない場合にいくらかの量のCYP-COR酵素を産生してよく、ならびに対照がCYP-COR酵素をいくらか産生する状況において、約10%以上、例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、例えば、2倍以上、例えば、5倍以上、例えば、10倍以上に増加させて産生してよい。
【0039】
遺伝子操作された宿主細胞は、CYP-COR酵素に由来する1つまたは複数の酵素を過剰産生し得る。いくつかの場合では、遺伝子操作された宿主細胞は、対照がCYP-COR酵素に由来する酵素を産生しない場合にいくらかの量のCYP-COR酵素に由来する酵素を産生してよく、ならびに対照がCYP-COR酵素に由来する酵素をいくらか産生する状況において、約10%以上、例えば、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、例えば、2倍以上、例えば、5倍以上、例えば、10倍以上に増加させて産生してよい。
【0040】
加えて、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数のビスベンジルイソキノリンアルカロイド(ビスBIA)を過剰産生し得る。具体的には、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の改変(例えば、本明細書に記載のような)を欠く対照宿主細胞と比べて、ビスベンジルイソキノリンアルカロイド(ビスBIA)の量を増加させて産生することができる。ある特定の例では、増加した量のビスBIAとは、対照宿主細胞と比べて約10%以上、例えば、対照宿主細胞と比べて約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約80%以上、約100%以上、約2倍以上、約5倍以上、またはさらには約10倍以上である。いくつかの場合では、ビスBIAは、遺伝子操作された宿主細胞内でのエピマー化反応の産物である少なくとも1つのBIAモノマー、またはその誘導体から形成される。遺伝子操作された宿主細胞は、セファランチン、ファングキノリン、リエンシニン、ネフェリン、ツボクラリン、ダウリシン、テトランドリン、クリン、ベルバムニン、グアッテガウメリン、2’-ノルベルバムニン、及びベルバミンのうちの1つまたは複数をさらに過剰産生し得る。
【0041】
いくつかの場合では、1つまたは複数(例えば、2つ以上、3つ以上、または4つ以上の)の改変は、生合成酵素遺伝子における基質阻害軽減突然変異;生合成酵素遺伝子における生産物阻害軽減突然変異;補因子回収促進機構;生合成酵素遺伝子におけるフィードバック阻害軽減突然変異;生合成酵素遺伝子の転写調節改変;酵素遺伝子における不活性化突然変異;エピマー化改変;ビスBIA生成改変;及び酵素をコードする異種コード配列から選択してよい。1つまたは複数の改変を含む細胞は、遺伝子操作された細胞と称してよい。
【0042】
基質阻害軽減突然変異
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の基質阻害軽減突然変異(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多く)を細胞の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含む、細胞である。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対して天然である(例えば、未改変細胞中に存在する)。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対して天然でない。本明細書で用いるとき、「基質阻害軽減突然変異」という用語は、細胞の基質阻害制御機構を軽減させる突然変異を指す。
【0043】
基質阻害を軽減する突然変異は、対照細胞と比べて目的の細胞における調節された酵素の阻害を低下させ、調節された化合物またはその下流生合成産物のレベルを増加させる。いくつかの場合では、調節された酵素の阻害の軽減は、阻害のIC50が、2倍以上、例えば、3倍以上、5倍以上、10倍以上、30倍以上、100倍以上、300倍以上、1000倍以上、またはさらに多く増加することを意味する。増加したレベルとは、対照細胞における調節された化合物またはその下流産物のレベルの110%以上である、例えば、120%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、170%以上、180%以上、190%以上、または200%以上、例えば、少なくとも3倍以上、少なくとも5倍以上、少なくとも10倍以上であるまたはさらに多い、遺伝子操作された宿主細胞における調節された化合物またはその下流産物のレベルを意味する。
【0044】
目的のBIA、またはその前駆体のレベルの調節を対象とする遺伝子操作された宿主細胞における様々な基質阻害制御機構及び生合成酵素は、基質阻害軽減の標的とされ得る。遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に1つまたは複数の基質阻害軽減突然変異を含んでよい。1つまたは複数の突然変異は、生合成酵素が調節制御を受ける任意の好都合な生合成酵素遺伝子内に位置してよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、1つまたは複数のチロシンヒドロキシラーゼ酵素をコードする。ある特定の例では、1つまたは複数の基質阻害軽減突然変異は、TyrHである生合成酵素遺伝子内に存在する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の基質阻害軽減突然変異を、表2に記載の遺伝子のうちの1つなどの1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含んでよい。
【0045】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の基質阻害軽減突然変異は、TyrH遺伝子内に存在する。TyrH遺伝子は、チロシンをL-ドパに変換する酵素であるチロシンヒドロキシラーゼをコードする。しかしながら、TyrHは、その基質であるチロシンにより阻害される。ヒトまたはラットにおいてみられるものなどの哺乳類チロシンヒドロキシラーゼ活性は、基質阻害を緩和するTyrH遺伝子に対する突然変異を通して向上することができる。具体的には、チロシンからの基質阻害は、TyrH遺伝子内の点突然変異W166Yにより緩和することができる。TyrH遺伝子内の点突然変異W166Yは、チロシンのL-ドパへの反応を触媒するチロシンヒドロキシラーゼの補助基質である、BHの結合も改善し得る。TyrHの突然変異体は、糖からBIAを産生するように酵母菌株内で発現されるとき(米国仮特許出願番号第61/899,496号に記載されているものなど)、BIAの産生を有意に向上させることができる。
【0046】
任意の好都合な数及び型の突然変異を使用して、基質阻害制御機構を軽減し得る。ある特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作された宿主細胞は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、またさらには15個以上の基質阻害軽減突然変異、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の基質阻害軽減突然変異を、遺伝子操作された宿主細胞内の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含んでよい。
【0047】
補因子回収促進機構
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の補因子回収促進機構(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多く)を細胞の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含む、細胞である。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然である(例えば、未改変細胞中に存在する)。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然でない。本明細書で用いるとき、「補因子回収促進機構」という用語は、細胞の補因子回収制御機構を促進する機構を指す。
【0048】
目的のBIA、またはその前駆体のレベルの調節を対象とする遺伝子操作された宿主細胞における様々な補因子回収制御機構及び生合成酵素は、補因子回収促進の標的とされ得る。遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に1つまたは複数の補因子回収促進機構を含んでよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)をコードする異種コード配列を含んでよい。DHFRが発現されるとき、それは、7,8-ジヒドロビオプテリン(BH)をテトラヒドロビオプテリン(BH)に変換し、それによりBHをTyrH補助基質として回収する。いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の補因子回収促進機構を、表2に記載の遺伝子のうちの1つなどの1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含んでよい。
【0049】
任意の好都合な数及び型の機構を使用して、補因子回収制御機構を促進し得る。ある特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作された宿主細胞は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、またさらには15個以上の補因子回収促進機構、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の補因子回収促進機構を、遺伝子操作された宿主細胞内の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含んでよい。
【0050】
生産物阻害軽減突然変異
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の生産物阻害軽減突然変異(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多く)を細胞の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含む、細胞である。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然である(例えば、未改変細胞中に存在する)。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然でない。本明細書で用いるとき、「生産物阻害軽減突然変異」という用語は、遺伝子操作された宿主細胞の短期及び/または長期生産物阻害制御機構を軽減する突然変異を指す。短期生産物阻害は、補助基質結合部位で競合的結合が生じる細胞の制御機構である。長期生産物阻害は、所望の経路から離れた化合物の不可逆的な結合が生じる細胞の制御機構である。
【0051】
生産物阻害を軽減する突然変異は、対照細胞と比べて目的の細胞における調節された酵素の阻害を低下させ、調節された化合物またはその下流生合成産物のレベルを増加させる。いくつかの場合では、調節された酵素の阻害の軽減は、阻害のIC50が、2倍以上、例えば、3倍以上、5倍以上、10倍以上、30倍以上、100倍以上、300倍以上、1000倍以上、またはさらに多く増加することを意味する。増加したレベルとは、対照細胞における調節された化合物またはその下流産物のレベルの110%以上である、例えば、120%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、170%以上、180%以上、190%以上、または200%以上、例えば、少なくとも3倍以上、少なくとも5倍以上、少なくとも10倍以上であるまたはさらに多い、遺伝子操作された宿主細胞における調節された化合物またはその下流産物のレベルを意味する。
【0052】
目的のBIAのレベルの調節を対象とする遺伝子操作された宿主細胞における様々な生産物阻害制御機構及び生合成酵素は、生産物阻害軽減の標的とされ得る。遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に1つまたは複数の生産物阻害軽減突然変異を含んでよい。突然変異は、生合成酵素が調節制御を受ける任意の好都合な生合成酵素遺伝子内に位置してよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、1つまたは複数のチロシンヒドロキシラーゼ酵素をコードする。ある特定の例では、1つまたは複数の生産物阻害軽減突然変異は、TyrHである生合成酵素遺伝子内に存在する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の生産物阻害軽減突然変異を、表2に記載の遺伝子のうちの1つなどの1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含む。
【0053】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数の生産物阻害軽減突然変異は、TyrH遺伝子内に存在する。TyrH遺伝子は、チロシンをL-ドパに変換する酵素であるチロシンヒドロキシラーゼをコードする。TyrHは、水酸化反応を触媒するために、テトラヒドロビオプテリン(BH)を補助基質として必要とする。いくつかの微生物菌株、例えば、サッカロミセス・セレビシエは、天然にはBHを産生しないが、遺伝子操作してこの基質を、図1に示すように、4つの酵素合成及び再循環経路を通して産生することができる。図1は、本発明の実施形態に係る、テトラヒドロビオプテリンの合成、再循環、及び再生経路の例を示す。図1は、酵素PTPS、ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ;SepR、セピアプテリンレダクターゼ;PCD、プテリン4a-カルビノールアミン脱水酵素;QDHPR、ジヒドロプテリジンレダクターゼ;及びDHFR、ジヒドロ葉酸レダクターゼの使用を提供する。図1に示す酵素のうち、酵母は、内因性GTPシクロヒドロラーゼIを合成する。GTP及びジヒドロネオプテリン三リン酸は、酵母において天然に合成される。加えて、図1の他の代謝産物は、酵母において天然に産生されない。
【0054】
TyrHは、その産物であるL-ドパ、ならびに他のカテコールアミン、特にドパミンにより阻害される。ヒトまたはラットからなどの哺乳類チロシンヒドロキシラーゼ活性は、生産物阻害を緩和する突然変異を通して向上することができる。例えば、短期生産物阻害、例えば、補助基質結合部位での競合的結合は、TyrH遺伝子上の点突然変異W166Yにより緩和することができる。具体的には、TyrH遺伝子上の点突然変異W166Yは、補助基質の結合を改善し得る。加えて、補助基質結合部位での競合的結合を緩和する短期生産物阻害は、TyrH遺伝子上の点突然変異S40Dにより改善され得る。短期生産物阻害は、TyrH遺伝子上のR37E、R38Eの接合突然変異によっても改善され得る。具体的には、R37E、R38E突然変異は、ドパミンの存在下でチロシンヒドロキシラーゼ活性を一緒に特異的に向上し得る。
【0055】
加えて、長期生産物阻害は、TyrH遺伝子上の点突然変異により緩和され得る。長期生産物阻害緩和は、チロシンヒドロキシラーゼ活性の生産物阻害因子として作用するカテコールアミンの存在が少ないように、活性部位におけるカテコールアミンの鉄への不可逆的な結合を含み得る。長期生産物阻害は、TyrH遺伝子内の、それぞれ、突然変異E332D及びY371Fにより緩和することができる。
【0056】
突然変異の組み合わせを作製して(例えば、一度に2つもしくは3つまたはさらに多くの突然変異)複数のタイプの基質及び生産物阻害を緩和して、TyrHの活性をさらに向上させることができる。TyrHの突然変異体は、糖からBIAを産生するように酵母菌株内で発現されるとき(米国仮特許出願番号第61/899,496号に記載されるものなど)、BIAの産生を有意に向上させることができる。
【0057】
任意の好都合な数及び型の突然変異を使用して、生産物阻害制御機構を軽減し得る。ある特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作された宿主細胞は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、またさらには15個以上の生産物阻害軽減突然変異、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の生産物阻害軽減突然変異を、遺伝子操作された宿主細胞の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含んでよい。
【0058】
フィードバック阻害軽減突然変異
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多く)を細胞の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含む、細胞である。いくつかの場合では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然である(例えば、未改変細胞中に存在する)。加えてまたはあるいは、いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然でない。本明細書で用いるとき、「フィードバック阻害軽減突然変異」という用語は、遺伝子操作された宿主細胞のフィードバック阻害制御機構を軽減する突然変異を指す。フィードバック阻害は、調節された化合物の合成経路における酵素が、その化合物がある特定のレベルまで蓄積したときに阻害され、それにより、細胞内の該化合物の量を調整する、細胞の制御機構である。フィードバック阻害を軽減する突然変異は、対照細胞と比べて遺伝子操作された宿主細胞における調節された酵素の阻害を低下させる。このようにして、遺伝子操作された宿主細胞は、調節された化合物またはその下流生合成産物のレベルを増加させる。いくつかの場合では、調節された酵素の阻害の軽減は、阻害のIC50が、2倍以上、例えば、3倍以上、5倍以上、10倍以上、30倍以上、100倍以上、300倍以上、1000倍以上、またはさらに多く増加することを意味する。増加したレベルとは、対照細胞における調節された化合物またはその下流産物のレベルの110%以上である、例えば、120%以上、130%以上、140%以上、150%以上、160%以上、170%以上、180%以上、190%以上、または200%以上、例えば、少なくとも3倍以上、少なくとも5倍以上、少なくとも10倍以上であるまたはさらに多い、宿主細胞における調節された化合物またはその下流産物のレベルを意味する。
【0059】
目的のBIAのレベルの調節を対象とする様々なフィードバック阻害制御機構及び生合成酵素は、宿主細胞における軽減の標的とされ得る。宿主細胞は、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異を、細胞に対しては天然である1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含み得る。1つまたは複数の突然変異は、生合成酵素が調節制御を受ける任意の好都合な生合成酵素遺伝子内に位置してよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、3-デオキシ-d-アラビノース-ヘプツロソン酸-7-リン酸(DAHP)シンターゼ及びコリスミ酸ムターゼから選択される1つまたは複数の酵素をコードしてよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、3-デオキシ-d-アラビノース-ヘプツロソン酸-7-リン酸(DAHP)シンターゼをコードする。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、コリスミ酸ムターゼをコードしてよい。ある特定の例では、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異は、ARO4及びARO7から選択される生合成酵素遺伝子内に存在してよい。ある特定の例では、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異は、ARO4である生合成酵素遺伝子内に存在してよい。ある特定の例では、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異は、ARO7である生合成酵素遺伝子内に存在してよい。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異を、表2に記載の遺伝子のうちの1つなどの1つまたは複数の生合成酵素遺伝子内に含んでよい。
【0060】
任意の好都合な数及び型の突然変異を使用して、フィードバック阻害制御機構を軽減し得る。本明細書で用いるとき、「突然変異」という用語は、基準配列またはモチーフと比べて、アミノ酸残基またはヌクレオチド残基の欠失、挿入、または置換を指す。突然変異は、元来の遺伝子座での天然型遺伝子に対する定向突然変異として取り込まれてよい。いくつかの場合では、突然変異は、別々の遺伝子座での遺伝子組込みとして導入された遺伝子の追加のコピーとして、またはエピソーマルベクター、例えば2μもしくは動原体プラスミド上の追加のコピーとして取り込まれてよい。ある特定の例では、酵素のフィードバック阻害されたコピーは、天然の細胞転写制御下にある。いくつかの例では、酵素のフィードバック阻害されたコピーは、それを合成のプロモーターの制御下に置くことで、タンパク質発現の遺伝子操作された構成的または動的調節と共に導入される。
【0061】
ある特定の実施形態では、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異は、ARO4遺伝子内に存在してよい。目的のARO4突然変異は、位置229でのロイシンとのリジン残基の置換、位置166でのリジン残基とのグルタミン残基の置換、またはHartmann M,et al.((2003)Proc Natl Acad Sci U S A 100(3):862-867)またはFukuda et al.((1992)J Ferment Bioeng 74(2):117-119)により記載されるような突然変異を含むが、これらに限定されない。いくつかの例では、フィードバック阻害を与えるための突然変異は、酵素突然変異体の突然変異誘発ライブラリーから選択されてよい。このような選択肢の例としては、Fukuda et al.((1990)Breeding of Brewing Yeast Producing a Large Amount of Beta-Phenylethyl Alcohol and Beta-Phenylethyl Acetate. Agr Biol Chem Tokyo 54(1):269-271)により記載されるような、過剰チロシンを有する培地におけるo-フルオロ-D,L-フェニルアラニンの増殖またはaro3突然変異酵母菌株の増殖の支援を含んでよい。
【0062】
ある特定の実施形態では、本発明の遺伝子操作された宿主細胞は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、またさらには15個以上のフィードバック阻害軽減突然変異、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個のフィードバック阻害軽減突然変異を、遺伝子操作された宿主細胞内の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子に含んでよい。
【0063】
転写調節改変
宿主細胞は、細胞の1つまたは複数の生合成酵素遺伝子の1つまたは複数の転写調節改変(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多くの改変)を含んでよい。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然である。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、細胞に対しては天然でない。細胞の任意の好都合な生合成酵素遺伝子は、転写調節の標的とされ得る。転写調節とは、改変された細胞における目的の遺伝子の発現が、調節される、例えば、対照細胞(例えば、未改変細胞)と比べて増加または低減、増強または抑制されることを意味する。いくつかの場合では、目的の遺伝子の転写調節には、発現を増加させるまたは増強させることが含まれる。発現を増加させるまたは増強させることは、目的の遺伝子の発現レベルが、対照、すなわち改変されていない同一細胞における発現と比較して(例えば、任意の好都合な遺伝子発現アッセイを使用することにより)、2倍以上、例えば、5倍以上、ときには25、50、または100倍以上及びある特定の実施形態では300倍以上に増加することを意味する。あるいは、細胞中の目的の遺伝子の発現が検出できないほどに低い場合、目的の遺伝子の発現レベルは、発現が容易に検出できるレベルまで増加した場合に、増加していると考えられる。ある特定の例では、目的の遺伝子の転写調節は、発現を低減させるまたは抑制することを含む。発現を低減させるまたは抑制することは、目的の遺伝子の発現レベルが、対照と比較して、1/2以下、例えば、1/5以下、ときには1/25、1/50、または1/100以下及びある特定の実施形態では1/300以下に低減されることを意味する。いくつかの場合では、発現は、検出できないレベルまで低減する。主題の宿主細胞における使用に適応され得る目的の宿主細胞のプロセスの改変は、Smolke et alによる米国特許公開第20140273109号(14/211,611)に記載されており、この開示は参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
【0064】
任意の好都合な生合成酵素遺伝子は、転写的に調節されてよく、図2に記載の生合成酵素を含むがこれらに限定されない。具体的には、図2は、本発明の実施形態に係る、4-HPA、ドパミン、及び3,4-DHPAへのグルコースの変換のための生合成スキームを示す。図2に記載の酵素の例としては、ARO3、ARO4、ARO1、ARO7、TYR1、TYR、TyrH、DODC、MAO、ARO10、ARO9、及びTKLが挙げられる。いくつかの例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、ARO10、ARO9、及びTKLから選択されてよい。いくつかの場合では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、ARO10であってよい。ある特定の例では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、ARO9であってよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子は、TKLであってよい。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、表2に記載の遺伝子のうちの1つなどの1つまたは複数の遺伝子に対する1つまたは複数の転写調節改変を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、転写調節改変は、1つまたは複数の生合成酵素遺伝子の天然型プロモーターに対する強力なプロモーターの置換または強力なプロモーターの制御下にある1つもしくは複数の遺伝子の追加のコピーの発現を含んでよい。目的の遺伝子の発現を推進するプロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであってよいが、プロモーターは宿主細胞中で活性であり得ることが条件である。目的の遺伝子は、それらの天然型プロモーターから発現してよい。加えてまたはあるいは、目的の遺伝子は、天然でないプロモーターから発現されてよい。必須ではないが、かかるプロモーターは、それらが使用される宿主において中から高強度であり得る。プロモーターは、制御されているかまたは構成的であってよい。いくつかの実施形態では、グルコース抑制されていない、または培地中のグルコースの存在により穏やかにのみ抑制されているプロモーターを使用してよい。多くの好適なプロモーターがあり、その例としては、解糖系遺伝子のプロモーター、例えば、B.サブティリス(B.subtilis) tsr遺伝子のプロモーター(フルクトース二リン酸アルドラーゼをコードする)または酵母S.セレビシエ由来のGAPDHプロモーター(グリセルアルデヒド-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする)(Bitter G.A.,Meth.Enzymol.152:673 684(1987))が挙げられる。他の目的の強力なプロモーターには、パン酵母のADHIプロモーター(Ruohonen L.,et al,J.Biotechnol.39:193 203(1995))、リン酸欠乏誘導性プロモーター、例えば、酵母のPHO5プロモーター(Hinnen,A.,et al,in Yeast Genetic Engineering,Barr,P.J.,et al.eds,Butterworths(1989)、B.リケニフォルミス(B.licheniformis)由来のアルカリホスファターゼプロモーター(Lee.J.W.K.,et al.,J.Gen.Microbiol.137:1127 1133(1991))、GPD1、及びTEF1が含まれるが、これらに限定されない。目的の酵母プロモーターには、誘導性プロモーター、例えば、Gal1-10、Gal1、GalL、GalS、抑制性プロモーターMet25、tetO、及び構成的プロモーター、例えば、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(GPD)、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(ADH)、翻訳-伸長因子-1-αプロモーター(TEF)、シトクロムc-オキシダーゼプロモーター(CYC1)、MRP7プロモーター、等が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの例では、強力なプロモーターは、GPD1である。ある特定の例では、強力なプロモーターは、TEF1である。グルココルチコイド、ステロイド、及び甲状腺ホルモンなどのホルモンにより誘導可能なプロモーターを含有する自律複製酵母発現ベクターも公知であり、グルココルチコイド応答エレメント(GRE)及び甲状腺ホルモン応答エレメント(TRE)を含むが、これらに限定されず、例えば、米国特許第7,045,290号に記載のプロモーターを参照されたい。αファクター、アルコールオキシダーゼ、及びPGHなどの構成的または誘導性プロモーターを含有するベクターを使用してよい。加えて、任意のプロモーター/エンハンサー組み合わせ(真核生物プロモーターデータベースEPDBに従う)を使用して目的の遺伝子の発現を推進することもできる。宿主細胞、例えば、大腸菌に特異的な任意の好都合なプロモーターが選択されてよいことが理解される。いくつかの場合では、プロモーター選択を使用して、産生を最大化する一方でエネルギー資源を最小化するように、転写、したがって酵素レベルを最適化してよい。
【0066】
不活性化突然変異
遺伝子操作された宿主細胞は、細胞の酵素に対して1つまたは複数の不活性化突然変異を含んでよい(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多く)。1つまたは複数の不活性化突然変異を含むことは、目的のBIAまたは同じ事象をもたらす所望の酵素もしくは前駆体のレベルを増加させるように遺伝子操作された宿主細胞の合成経路のフラックスを改変し得る。いくつかの例では、1つまたは複数の不活性化突然変異は、細胞に対しては天然である酵素に対するものである。加えてまたはあるいは、1つまたは複数の不活性化突然変異は、細胞に対しては天然でない酵素に対するものである。本明細書で用いるとき、「不活性化突然変異」とは、この突然変異が、目的の遺伝子により発現されるタンパク質の生物学的活性を不活性化する、細胞の遺伝子または調節DNA配列に対する1つまたは複数の突然変異を意味する。いくつかの場合では、遺伝子は、細胞に対しては天然である。いくつかの例では、この遺伝子は、不活性化され、宿主細胞によって産生される目的のBIAの合成経路の一部であるか、またはそれに連結された酵素をコードする。いくつかの例では、不活性化突然変異は、目的の遺伝子を制御する調節DNA配列中に位置する。ある特定の場合では、不活性化突然変異は、遺伝子のプロモーターに対するものである。任意の好都合な突然変異(例えば、本明細書に記載のような)を使用して、目的の遺伝子または調節DNA配列を不活性化させ得る。「不活性化」または「不活性化する」とは、突然変異した遺伝子により発現されるタンパク質の生物学的活性が、突然変異していない対照遺伝子により発現される対照タンパク質と比べて、10%以上、例えば、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、97%以上、または99%以上低下することを意味する。いくつかの場合では、タンパク質は酵素であり、不活性化突然変異は、酵素の活性を低下させる。
【0067】
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、細胞に対しては天然である酵素に不活性化突然変異を含む。任意の好都合な酵素は、不活性化の標的とされ得る。目的の酵素には、遺伝子操作された宿主細胞の合成経路におけるその作用が目的のBIAのレベルを低下させる傾向にある、表2に記載の酵素が含まれ得るが、これらに限定されない。いくつかの場合では、酵素は、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ活性を有する。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ZWF1である。いくつかの場合では、酵素はアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有する。いくつかの実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ADH2、ADH3、ADH4、ADH5、ADH6、ADH7、及びSFA1から選択される。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ADH2である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ADH3である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ADH4である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ADH5である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ADH6である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ADH7である。いくつかの場合では、酵素は、アルデヒドオキシドレダクターゼ活性を有する。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、及びALD6から選択される。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ALD2である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ALD3である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ALD4である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ALD5である。ある特定の実施形態では、不活性化突然変異を含む酵素は、ALD6である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、表2に記載の1つまたは複数の遺伝子に対して1つまたは複数の不活性化突然変異を含む。
【0068】
エピマー化改変
本明細書に記載のいくつかの方法、プロセス、及びシステムは(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドへの、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの変換を記載する。これらの方法、プロセス及びシステムのいくつかは、遺伝子操作された宿主細胞を含んでよい。いくつかの例では、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドへの(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの変換は、多様な範囲のアルカロイドへの基質の変換において重要な工程である。いくつかの例では、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドへの(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの変換は、エピマー化反応を含む。いくつかの場合では、基質アルカロイドのエピマー化は、(S)-基質を対応するシッフ塩基またはイミン中間体へと酸化すること、次いでこの中間体を、図3に提示するように及びスキーム1に概略的に表すように、(R)-産物へと立体特異的に還元することにより行われてよい。スキーム1に提示するように、R、R、R、及びRは、HまたはCHであってよい。Rは、H、OH、またはOCHであってよい。
【0069】
いくつかの例では、(R)-産物への(S)-基質の変換は、少なくとも1つの酸化反応及び少なくとも1つの還元反応を必然的に含んでよい。いくつかの場合では、酸化反応の後に、任意選択的に還元反応があってよい。いくつかの場合では、酸化及び還元反応のうちの少なくとも1つは、酵素の存在下で実行される。いくつかの場合では、酸化及び還元反応のうちの少なくとも1つは、酵素により触媒される。いくつかの場合では、酸化及び還元反応は、両方とも、少なくとも1つの酵素の存在下で実行される。いくつかの場合では、少なくとも1つの酵素は、酸化及び還元反応を触媒するために有用である。酸化及び還元反応は、同一の酵素により触媒されてよい。
【0070】
本明細書に記載のいくつかの方法、プロセス及びシステムでは、酸化反応は、酵素の存在下で行われてよい。いくつかの例では、酵素は、オキシダーゼであってよい。オキシダーゼは、(S)-1-ベンジルイソキノリンを基質として使用してよい。オキシダーゼは、(S)-基質を対応するイミンまたはシッフ塩基誘導体に変換してよい。オキシダーゼは、1,2-デヒドロレチクリンシンターゼ(DRS)と称されてよい。本開示において(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの酸化に好適な酵素の非限定的な例には、シトクロムP450オキシダーゼ、2-オキソグルタル酸依存性オキシダーゼ、及びフラボタンパク質オキシダーゼが挙げられる。例えば、(S)-テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ(STOX、E.C1.3.3.8)は、(S)-ノルレチクリン及び他の(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを、1,2-デヒドロノルレチクリン及び他の対応する1,2-デヒドロ産物へと酸化し得る。いくつかの例では、先行する例のいずれか1つのオキシダーゼドメインを含むタンパク質は酸化を行い得る。いくつかの例では、オキシダーゼは、本明細書に記載の遺伝子操作された宿主細胞などの宿主細胞内で酸化反応を触媒し得る。
【0071】
いくつかの例では、還元反応は、酸化反応の後に生じてよい。還元反応は、酵素により行われてよい。いくつかの例では、レダクターゼは、1-ベンジルイソキノリンに由来するイミンまたはシッフ塩基を基質として使用してよい。レダクターゼは、イミンまたはシッフ塩基誘導体を(R)-1-ベンジルイソキノリンに変換し得る。レダクターゼは、1,2-デヒドロレチクリンレダクターゼ(DRR)と称されてよい。(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに由来するイミンまたはシッフ塩基の還元に好適な酵素の非限定的な例としては、アルド-ケトレダクターゼ(例えば、コデイノンレダクターゼ様酵素(EC1.1.1.247))及び短鎖デヒドロゲナーゼ(例えば、サルタリジンレダクターゼ様酵素(EC1.1.1.248))が挙げられる。いくつかの例では、先行する例のいずれか1つのレダクターゼドメインを含むタンパク質は、還元を行い得る。さらなる実施形態では、還元は、立体特異的である。いくつかの例では、レダクターゼは、本明細書に記載の遺伝子操作された宿主細胞などの宿主細胞内で還元反応を触媒し得る。
【0072】
(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するエピマー化反応を行うことができる酵素の例としては、オキシダーゼドメイン及びレダクターゼドメインを有するエピメラーゼが挙げられる。具体的には、エピメラーゼは、シトクロムP450オキシダーゼ82Y2様ドメインを有してよい。加えて、エピメラーゼは、コデイノンレダクターゼ様ドメインを有してよい。さらに、シトクロムP450オキシダーゼ82Y2様ドメインを有し、コデイノンレダクターゼ様ドメインも有するエピメラーゼは、CYP-COR酵素と称されてよい。具体的には、CYP-COR酵素は、融合酵素であってよい。
【0073】
(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドへの(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの変換を行うために使用されてよいCYP-COR酵素のアミノ酸配列の例を、図4に提供する。具体的には、図4は、本発明の実施形態に係る、CYP-COR酵素のアミノ酸配列を示す。図4に見られるように、下線テキストは、シトクロムP450 CYP82Y2様ドメイン(AFB74617.1に対して59%同一性)を示す。点線下線テキストは、アルド-ケトレダクターゼNADPH依存性コデイノンレダクターゼ様ドメイン(ACM44066.1に対して75%同一性)を示す。CYP-COR酵素の追加のアミノ酸配列を、表1に記載する。(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換する際に使用されるエピメラーゼのアミノ酸配列は、表1に列挙する所与のアミノ酸配列に対して75%以上同一であってよい。例えば、そのようなエピメラーゼのアミノ酸配列は、本明細書に提供するアミノ酸配列に対して、少なくとも75%以上、80%以上、81%以上、82%以上、83%以上、84%以上、85%以上、86%以上、87%以上、88%以上、89%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上同一であるアミノ酸配列を含んでよい。加えて、ある特定の実施形態では、「同一の」アミノ酸配列は、特定のアミノ酸配列に対してアミノ酸レベルで少なくとも80%~99%同一性を含有する。いくつかの場合では、「同一の」アミノ酸配列は、少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、ある特定の場合ではそれ以上、少なくとも95%、96%、97%、98%及び99%同一性を、アミノ酸レベルで含有する。いくつかの場合では、アミノ酸配列は、同一であり得るが、DNA配列は、例えば、宿主生物に関するコドン使用を最適化するように変異される。
【0074】
(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するエピメラーゼを産生する遺伝子操作された宿主細胞であって、エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、前記遺伝子操作された宿主細胞を提供し得る。遺伝子操作された宿主細胞内で産生されるエピメラーゼは、生体触媒を形成するように、回収され、精製されてよい。いくつかの場合では、エピメラーゼは、1つまたは複数の酵素へと分割されてよい。加えて、エピメラーゼを分割することにより産生される1つまたは複数の酵素は、遺伝子操作された宿主細胞から回収され得る。エピメラーゼの分割から生じるこれらの1つまたは複数の酵素を使用して、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドへの(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの変換を触媒してもよい。具体的には、エピメラーゼを産生する遺伝子操作された宿主細胞から回収される1つまたは複数の酵素は、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するためのプロセスにおいて使用されてよい。該プロセスは、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドをエピメラーゼと、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するのに十分な量で接触させる工程を含んでよい。例では、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、十分な量の1つまたは複数の酵素と、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの少なくとも5%が(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換されるように接触してよい。さらなる例では、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、十分な量の1つまたは複数の酵素と、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも84%、少なくとも86%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、または100%が(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換されるように接触してよい。
【0075】
(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するために使用されてよい1つまたは複数の酵素は、インビトロで(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに接触してよい。加えて、またあるいは、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するために使用されてよい1つまたは複数の酵素は、インビボで(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに接触してよい。加えて、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するために使用されてよい1つまたは複数の酵素は、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを中に有する細胞に提供されてよいか、または遺伝子操作された宿主細胞内で産生されてよい。
【0076】
いくつかの例では、該方法は、アルカロイド産物を産生する遺伝子操作された宿主細胞であって、(R)-産物への(S)-基質のエピマー化が、アルカロイド産物の産生における重要な工程を含み得る、前記遺伝子操作された宿主細胞を提供する。いくつかの例では、産生されるアルカロイドは、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドである。なおも他の実施形態では、産生されるアルカロイドは、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに由来し、例えば、4-環プロモルフィナン及び5-環モルフィナンアルカロイドが含まれる。別の実施形態では、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、遺伝子操作された宿主細胞の産物に向かう中間体である。なおも他の実施形態では、アルカロイド産物は、モルフィナン、プロトベルベリン、ノスカピノイド、及びベンゾフェナントリジンアルカロイドからなる群より選択される。
【0077】
いくつかの例では、(S)-基質は、(S)-ノルレチクリン、(S)-レチクリン、(S)-テトラヒドロパパベリン、(S)-ノルコクラウリン、(S)-コクラウリン、(S)-N-メチルコクラウリン、(S)-3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、(S)-ノリソオリエンタリン、(S)-オリエンタリン、(S)-イソオリエンタリン、(S)-ノルプロトシノメニン、(S)-プロトシノメニン、(S)-ノルラウダノソリン、(S)-ラウダノソリン、(S)-4’-O-メチルラウダノソリン、(S)-6-O-メチルノルラウダノソリン、(S)-4’-O-メチルノルラウダノソリンからなる群より選択される(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドである。
【0078】
いくつかの例では、(S)-基質は、式I:
の化合物またはその塩であり、
式中、R、R、R、及びRは、水素及びメチルから独立して選択され;
は、水素、ヒドロキシ、及びメトキシから選択される。
【0079】
いくつかの他の例では、R、R、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、水素である。
【0080】
なおも他の例では、(S)-基質は、式II:
の化合物またはその塩であり、
式中、Rは、水素及びC-Cアルキルから選択され;
及びRは、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、カルボキシアルデヒド、C-Cアシル、C-Cアルキル、及びC-Cアルコキシからそれぞれ独立して選択され;
nは、0、1、2、3、または4であり;
n’は、0、1、2、3、4または5である。
【0081】
結合が環を横切って描かれる場合、これは、非特異的な環原子または位置で置換が生じ得ることを意味する。例えば、上に示す式IIにおいて、6環員中の任意の-CH-の水素は、Rと置換されて、-CR-を形成し得る。
【0082】
いくつかの例では、R及びRは独立して、メチルまたはメトキシである。いくつかの他の例では、n及びn’は独立して、1または2である。なおも他の実施形態では、Rは、水素またはメチルである。
【0083】
いくつかの他の例では、(S)-基質は、式III:
の化合物またはその塩であり、
式中、R及びRは、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、カルボキシアルデヒド、C-Cアシル、C-Cアルキル、及びC-Cアルコキシからそれぞれ独立して選択され;
n及びn’は独立して、0、1、2、3、または4である。
【0084】
いくつかの例では、R及びRは独立して、ヒドロキシ、メチル、またはメトキシである。いくつかの他の例では、n及びn’は独立して、1または2である。なおもさらなる実施形態では、R及びRは独立して、フルオロ、ヒドロキシ、メチル、またはメトキシである。
【0085】
いくつかの例では、該方法は、アルカロイド産物を(S)-レチクリンから産生する遺伝子操作された宿主細胞を提供する。(R)-レチクリンへの(S)-レチクリンのエピマー化は、前駆体からの多様なアルカロイド産物の産生における重要な工程を含み得る。いくつかの例では、前駆体は、L-チロシンまたは糖(例えば、グルコース)である。多様なアルカロイド産物には、モルフィナン、プロトベルベリン、ノスカピノイド、及びベンゾフェナントリジンアルカロイドが含まれることができるが、これらに限定されない。
【0086】
任意の好適な炭素源は、エピマー化した1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに向かう前駆体として使用してよい。好適な前駆体は、単糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース)、オリゴ糖(例えば、ラクトース、スクロース、ラフィノース)、多糖類(例えば、デンプン、セルロース)、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの例では、再生可能供給原料からの未精製混合物を、使用することができる(例えば、コーンスティープリカー、テンサイ糖蜜、オオムギ麦芽、バイオマス加水分解物)。なおも他の実施形態では、炭素前駆体は、一炭素化合物(例えば、メタノール、二酸化炭素)または二炭素化合物(例えば、エタノール)であることができる。また他の実施形態では、他の炭素含有化合物、例えば、メチルアミン、グルコサミン、及びアミノ酸(例えば、L-チロシン)を使用することができる。いくつかの例では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、本発明の遺伝子操作された宿主細胞に直接加えられてよく、それは例えば、ノルラウダノソリン、ラウダノソリン、ノルレチクリン、及びレチクリンである。なおもさらなる実施形態では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、遺伝子操作された宿主細胞に単一のエナンチオマー(例えば、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイド)、またはたとえば、ラセミ混合物を含む、エナチオマーの混合物として加えられてよい。
【0087】
いくつかの例では、該方法は、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドまたはその誘導体の立体中心のエピマー化を提供する。さらなる実施形態では、該方法は、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させる工程を含む。少なくとも1つの酵素は、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドまたはその誘導体の立体中心の立体化学を反対の立体化学に反転させ得る。いくつかの例では、少なくとも1つの酵素は、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換する。少なくとも1つの酵素を使用する(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドへのこの変換のいくつかの例では、(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、(S)-ノルレチクリン、(S)-レチクリン、(S)-テトラヒドロパパベリン、(S)-ノルコクラウリン、(S)-コクラウリン、(S)-N-メチルコクラウリン、(S)-3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、(S)-ノリソオリエンタリン、(S)-オリエンタリン、(S)-イソオリエンタリン、(S)-ノルプロトシノメニン、(S)-プロトシノメニン、(S)-ノルラウダノソリン、(S)-ラウダノソリン、(S)-4’-O-メチルラウダノソリン、(S)-6-O-メチルノルラウダノソリン、及び(S)-4’-O-メチルノルラウダノソリンからなる群より選択される。
【0088】
いくつかの他の例では、少なくとも1つの酵素は、5’R-フタリドイソキノリンアルカロイドを5’S-フタリドイソキノリンアルカロイドに変換する。少なくとも1つの酵素を使用する5’R-フタリドイソキノリンアルカロイドの5’S-フタリドイソキノリンアルカロイドへのこの変換のいくつかの例では、5’R-フタリドイソキノリンアルカロイドは、5’R-ナルコトリンヘミアセタール、5’R-ナルコトリン、5’R-ナルコチンヘミアセタール、及び5’R-ノスカピンからなる群より選択される。
【0089】
いくつかの例では、3S,5’R-フタリドイソキノリンアルカロイドは、式IV:
の化合物またはその塩であり、
式中、Rは、水素及びC-Cアルキルから選択され;
及びRは、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、カルボキシアルデヒド、C-Cアシル、C-Cアルキル、及びC-Cアルコキシからそれぞれ独立して選択され;
10は存在しない、水素、またはC-Cアルキルであり;
2つのR及びそれらが付着する炭素原子は、5から8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を任意選択で形成し;
2つのR及びそれらが付着する炭素原子は、5から8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を任意選択で形成し;
n及びn’は独立して、0、1、2、3、または4である。
【0090】
いくつかの他の例では、少なくとも1つの酵素は、5’R-セコベルベリンアルカロイドを5’S-セコベルベリンアルカロイドに変換する。少なくとも1つの酵素を使用する5’R-セコベルベリンアルカロイドの5’S-セコベルベリンアルカロイドへのこの変換のいくつかの例では、5’R-セコベルベリンアルカロイドは、5’R-4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシン、5’R-3-O-アセチルパパベロキシン、及び5’R-パパベロキシンからなる群より選択される。
【0091】
いくつかの例では、5’R-セコベルベリンアルカロイドは、式V:
の化合物またはその塩であり、
式中、Rは、水素及びC-Cアルキルから選択され;
及びRは、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、カルボキシアルデヒド、C-Cアシル、C-Cアルキル、及びC-Cアルコキシからそれぞれ独立して選択され;
11は、水素及びアルデヒドから選択され;
12は、水素、ヒドロキシル、及びO-メチルから選択され;
13は、ヒドロキシル及びO-メチルから選択され;
2つのR及びそれらが付着する炭素原子は、5から8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を任意選択で形成し;
2つのR及びそれらが付着する炭素原子は、5から8員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル基を任意選択で形成し;
n及びn’は独立して、0、1、2、3、または4である。
【0092】
なおも他の実施形態では、エピマー化される1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、2つ以上の立体中心を含んでよく、2つ以上の立体中心のうちの1つのみが反転されて、基質のジアステレオマーを産生する(例えば、(S,R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、(R,R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換される)。少なくとも1つの酵素と接触したときに1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの1つのみの立体中心が反転される例では、産物は、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドのエピマーと称される。
【0093】
いくつかの例では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、単一の立体異性体として酵素に提供される。いくつかの他の例では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、立体異性体の混合物として酵素に提供される。なおもさらなる実施形態では、立体異性体の混合物は、ラセミ混合物であってよい。いくつかの他の例では、立体異性体の混合物は、別の立体異性体と比較して1つの立体異性体において富化されていてよい。
【0094】
いくつかの例では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドまたはその誘導体が回収される。いくつかの例では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、細胞培養物から回収される。なおもさらなる実施形態では、回収された1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、酵素に提供された1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの元来の混合物と比較して1つの立体異性体においてエナンチオマー富化されている。なおもさらなる実施形態では、回収された1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも84%、少なくとも86%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、または100%のエナンチオマー過剰率を有する。
【0095】
「異性体」は、同一の分子式を有する異なる化合物である。「立体異性体」は、原子の空間配置のみが異なる異性体である。「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である立体異性体の対である。エナンチオマーの対の1:1混合物が、「ラセミ」混合物である。「ジアステレオ異性体」または「ジアステレオマー」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。「エピマー」という用語は、本明細書で用いるとき、同一の化学式を有するが、特定の位置で異なる光学配置を有する化合物を指す。例えば、化合物の(R,S)及び(S,S)立体異性体は、互いのエピマーである。いくつかの例では、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドは、そのエピマー(例えば、エピ-1-ベンジルイソキノリンアルカロイド)に変換される。絶対立体化学は、Cahn-Ingold-PrelogR-Sシステムに従って特定される。化合物が純粋なエナンチオマーであるとき、各キラル炭素での立体化学は、RまたはSのいずれかによって特定することができる。その絶対配置が未知である分解された化合物は、ナトリウムD線の波長で平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(-)で表すことができる。本明細書に記載のある特定の化合物は、1つまたは複数の不斉中心を含み、ゆえに、(R)-または(S)-として、絶対立体化学の観点から定義することができるエナンチオマー、ジアステレオマー及び他の立体異性体を生じることができる。
【0096】
(表1)CYP-COR融合酵素の部分及び完全長アミノ酸配列の例
【0097】
ビスBIA生成改変
本明細書に提供するいくつかの方法、プロセス、及びシステムは、ビスベンジルイソキノリンアルカロイド(ビスBIA)の産生を記載する。ビスBIAは、2つのBIAモノマー間のカップリング反応により形成され得る二量体分子である。例では、ビスBIAは、炭素-酸素カップリング反応により形成されてよい。他の例では、ビスBIAは、炭素-炭素カップリング反応により形成されてよい。いくつかの例では、ビスBIA二量体分子は、2つの同一のBIAモノマーを含むホモ二量体である。例では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つのBIAモノマーを産生し得る。これらの例では、BIAモノマーは、1つまたは複数のカップリング酵素と接触したときにホモ二量体を形成し得る。他の例では、ビスBIA二量体分子は、2つの異なるBIAモノマーを含むヘテロ二量体である。例えば、ビスBIAは、互いのエナンチオマーであるBIAモノマーを含むヘテロ二量体であってよい。いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、2つ以上のBIAモノマーを産生し得る。これらの例では、BIAモノマーは、1つまたは複数のカップリング酵素と接触したときに、ホモ二量体及びヘテロ二量体を形成し得る。
【0098】
ビスBIAの産生を記載するこれらの方法、プロセス、及びシステムのいくつかは、遺伝子操作された宿主細胞を含んでよい。いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞を遺伝子操作して、BIAモノマーを産生してよく、これが今度は、ビスBIAを形成するためのビルディングブロック分子として使用されてよい。ビスBIAを形成するために使用されてよいBIAモノマーの例としては、コクラウリン、N-メチルコクラウリン、ラウダニン、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、6-O-メチル-ノルラウダノソリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、ノルラウダニン、ラウダノシン、及びパパベリンが挙げられる。具体的には、遺伝子操作された宿主細胞は、BIAモノマーを、ノルコクラウリンまたはノルラウダノソリンから、O-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルトランスフェラーゼ、及び3’-ヒドロキシラーゼを含む異種酵素の発現により合成してよい。O-メチルトランスフェラーゼの例としては、タリクトラム・フラブム(Thalictrum flavum)、ネラムボ・ヌシフィラ(Nelumbo nucifera)、ポプルス・ユーフィラティカ(Populus euphratica)、または別の種由来のノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ(6OMT)が挙げられ得る。O-メチルトランスフェラーゼのさらなる例としては、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)、ハツカネズミ(Mus musculus)、ドブネズミ(Rattus norvegicus)、Gorilla gorillaまたは別の種由来のカテコールO-メチルトランスフェラーゼ(COMT)が挙げられ得る。N-メチルトランスフェラーゼのさらなる例としては、T.フラブム、N.ヌシフィラ(N.nucifera)、アリストロキア・フィンブリアタ(Aristolochia fimbriata)、または別の種由来のコクラウリンN-メチルトランスフェラーゼ(CNMT)が挙げられ得る。3’ヒドロキシラーゼの例としては、ハナビシソウ(Eschscholzia californica)、T.フラブム、N.ヌシフィラ、または別の種由来のN-メチルコクラウリン3’-ヒドロキシラーゼ(CYP80B1)が挙げられ得る。
【0099】
遺伝子操作された宿主細胞は、任意の所与のBIAモノマーの(S)または(R)エナンチオマーのいずれかを産生し得る。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞は、両エナンチオマーの混合物を産生し得る。(S)及び(R)エナンチオマーの比率は、BIAモノマーを合成する1つまたは複数の酵素の基質及び産物特異性により決定されてよい。あるいは、存在する各エナンチオマーの量は、上記のように、別の立体異性体への1つの立体異性体のエピマー化を行う追加の1つまたは複数の酵素の発現によって改変されてよい。
【0100】
これらのBIAモノマーは、二量体ビスBIA骨格内に融合されてよい。具体的には、BIAモノマーは、遺伝子操作された宿主細胞により産生される1つまたは複数の酵素を使用して二量体ビスBIA骨格内に融合されてよい。加えてまたはあるいは、BIAモノマーは、遺伝子操作された宿主細胞の外にある供給源からBIAモノマーに提供される1つまたは複数の酵素を使用して二量体ビスBIA骨格内に融合されてよい。1つまたは複数の酵素を使用して、炭素-酸素及び/または炭素-炭素カップリング反応を形成して、2つのBIAモノマーを1つ、2つ、または3つの位置で融合してよい。いくつかの例では、2つのBIAモノマーは、エーテル架橋により連結されてよい。いくつかの例では、直接炭素-炭素結合を使用して、2つのBIAモノマーを接続してよい。いくつかの例では、2つのBIAモノマーを融合することにより形成されるビスBIAは、1つのジフェニルエーテル結合を含んでよい。いくつかの例では、2つのBIAモノマーを融合して、2つのジフェニルエーテル結合を含むビスBIAを形成してよい。いくつかの例では、2つのBIAモノマーから形成されるビスBIAは、3つのジフェニルエーテル結合を含んでよい。いくつかの例では、ビスBIAは、1つのジフェニルエーテル結合及び1つのベンジルフェニルエーテル結合を含んでよい。いくつかの場合では、ビスBIAは、1つのベンジルフェニルエーテル結合及び2つのジフェニルエーテル結合を含んでよい。
【0101】
例では、BIAモノマーは、2つのBIAモノマーを融合するためのカップリング反応を形成するために使用されてよい十分な量の1つまたは複数の酵素と、前記BIAモノマーの少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも82%、少なくとも84%、少なくとも86%、少なくとも88%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.7%、または100%がビスBIAに変換されるように接触してよい。ビスBIAへとBIAモノマーを二量体化するために使用されてよい1つまたは複数の酵素は、インビトロでBIAに接触してよい。加えて、またあるいは、ビスBIAへとBIAモノマーを二量体化するために使用されてよい1つまたは複数の酵素は、インビボでBIAに接触してよい。加えて、1つまたは複数のビスBIA二量体化酵素は、BIAモノマーを産生する宿主細胞において発現されてよい。あるいは、BIAモノマーは、ビスBIA二量体化酵素を発現する遺伝子操作された宿主細胞に提供されてよい。あるいは、1つまたは複数のビスBIA二量体化酵素は、BIAモノマーをその中に有する細胞に提供されてよい。
【0102】
いくつかの例では、ビスベンジルイソキノリンアルカロイドは、式Va~Vu:
のうちのいずれか1つの化合物またはその塩であり、
式中、R1a、R1b、R2a、及びR2bは、水素及びC-Cアルキルから独立して選択され;
3a、R3b、R6a、R6b、R8a、及びR8bは、水素、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、カルボキシアルデヒド、C-Cアシル、C-Cアルキル、及びC-Cアルコキシから独立して選択され;
4a及びR5aは、水素及びC-Cアルキルから独立して選択されるか、またはR4a及びR5aは、一緒になってメチレン架橋を形成し;
4b及びR5bは、水素及びC-Cアルキルから独立して選択されるか、またはR4b及びR5bは、一緒になってメチレン架橋を形成し;
7a、R7b、及びR9aは、水素及びC-Cアルキルから独立して選択される。
【0103】
いくつかの例では、R1a及びR1bはそれぞれ、水素であり;R2a及びR2bはそれぞれ、メチルであり;R3a及びR3bはそれぞれ、水素であり;R4a及びR5aは、独立して水素またはメチルであり;R4b及びR5bは、独立して水素またはメチルであるか、またはR4b及びR5bは、一緒になってメチレン架橋を形成し;R6a、R6b、R8a、及びR8bはそれぞれ、水素であり;R7a、R7b、及びR9aは、独立して水素またはメチルである。
【0104】
上に示すように、式Va、Vb、及びVdのビスBIA化合物は、炭素-酸素カップリング反応を使用して2つのBIAモノマーを融合することにより形成される。加えて、式Vc、Vf、及びVhのビスBIA化合物は、炭素-酸素カップリング反応及び炭素-炭素カップリング反応の両方を使用して2つのBIAモノマーを融合することにより形成される。さらに、式Ve、Vg、Vi、Vj、Vk、Vl、Vm、Vo、Vp、及びVqのビスBIA化合物は、2つの炭素-酸素カップリング反応を使用して2つのBIAモノマーを融合することにより形成される。式VnのビスBIA化合物は、2つの炭素-酸素カップリング反応及び1つの炭素-炭素カップリング反応を使用して2つのBIAモノマーを融合することにより形成される。加えて、式VrのビスBIA化合物は、3つの炭素-酸素カップリング反応を使用して2つのBIAモノマーを融合することにより形成される。
【0105】
カップリング反応を形成するために使用されてよい1つまたは複数の酵素は、公知のシトクロムP450、例えば、ベルベリス・ストロニフェラ(Berberis stolonifera) CYP80A1またはこれらの化合物を天然に合成する他の植物由来の同様のシトクロムP450酵素を含んでよい。あるいは、カップリング反応は、シトクロムP450ではない酵素により行われてよい。カップリング反応を形成するために使用されてよい1つまたは複数の酵素を遺伝子操作して、天然でない基質を受け入れてよい。したがって、カップリング反応を形成するために使用されてよい1つまたは複数の酵素を使用して、非天然ビスBIA分子を生成してよい。例では、1つまたは複数の酵素は、天然BIAモノマーを非天然BIAモノマーと融合させて、非天然ビスBIA分子を産生してよい。他の例では、1つまたは複数の酵素は、2つの非天然BIAモノマーを融合させて、非天然ビスBIA分子を産生してよい。酵素を遺伝子操作する戦略を使用して、ビスBIAを産生するようにBIAモノマーを融合するカップリング反応を形成するために使用されてよい1つまたは複数の酵素を同定してよい。例では、酵素を遺伝子操作する戦略には、部位特異的突然変異誘発、ランダム突然変異誘発及びスクリーニング、DNAシャッフリング、及びスクリーニングが含まれ得る。
【0106】
一度ビスBIAが形成されると、ビスBIAは、さらに誘導体化または改変されてよい。ビスBIAは、遺伝子操作された宿主細胞により産生される1つまたは複数の酵素を使用して誘導体化または改変されてよい。具体的には、ビスBIAは、ビスBIAを遺伝子操作された宿主細胞により産生される1つまたは複数の酵素と接触させることにより誘導体化または改変されてよい。加えてまたはあるいは、ビスBIAは、ビスBIAを遺伝子操作された宿主細胞の外にある供給源からビスBIAに提供される1つまたは複数の酵素と接触させることにより誘導体化または改変されてよい。ビスBIAを誘導体化または改変するために使用されてよい1つまたは複数の酵素を使用して、テーラリング反応を行ってよい。テーラリング反応の例としては、酸化、還元、O-メチル化、N-メチル化、O-脱メチル化、アセチル化、メチレンジオキシ架橋形成、及びO,O-脱メチレン化が挙げられる。ビスBIAは、1つまたは複数のテーラリング反応を使用して誘導体化または改変されてよい。
【0107】
テーラリング反応の例を表3に提供する。いくつかの例では、テーラリング酵素を使用して、ビスBIA、またはその誘導体に行われる炭素-炭素カップリング反応を触媒してよい。炭素-炭素カップリング反応触媒するために使用されてよいテーラリング酵素の例としては、パパヴェル・ソムニフェルム(Papaver somniferum)、ハナビシソウ、キクバオウレン(Coptis japonica)、ベルベリス・ストロニフェラ、タリクトラム・フラブム、または別の種由来のベルベリン架橋酵素(BBE);パパヴェル・ソムニフェルまたは別の種由来のサルタリジンシンターゼ(SalSyn);及びキクバオウレンまたは別の種由来のコリツベリンシンターゼ(CorSyn)が挙げられる。テーラリング酵素により触媒することができる反応の非限定的な例を、スキーム2に示し、ここで、R、R、R、及びRは、水素、ヒドロキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、カルボキシアルデヒド、C-Cアシル、C-Cアルキル、及びC-Cアルコキシから独立して選択される。いくつかの例では、R、R、及びそれらが付着する炭素原子は、炭素環または複素環を任意選択で形成する。いくつかの例では、R、R、及びそれらが付着する炭素原子は、炭素環または複素環を任意で形成する。
【0108】
いくつかの例では、テーラリング酵素を使用して、ビスBIAまたはその誘導体に行われる酸化反応を触媒してよい。酸化反応を触媒するために使用されてよいテーラリング酵素の例としては、キクバオウレン、アザミゲシ(Argemone mexicana)、ベルベリス・ウィルソナエ(Berberis wilsonae)、または別の種由来のテトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ(STOX);パパヴェル・ソムニフェルまたは別の種由来のジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼ(DBOX);パパヴェル・ソムニフェルまたは別の種由来のメチルスチロピンヒドロキシラーゼ(MSH);及びパパヴェル・ソムニフェル、ハナビシソウ、または別の種由来のプロトピン6-ヒドロキシラーゼ(P6H)が挙げられる。
【0109】
テーラリング酵素を使用して、ビスBIAまたはその誘導体に行われるメチレンジオキシ架橋形成反応を触媒してもよい。メチレンジオキシ架橋形成反応を触媒するために使用してよいテーラリング酵素の例としては、パパヴェル・ソムニフェル、ハナビシソウ、アザミゲシ、または別の種由来のスチロピンシンターゼ(StySyn);パパヴェル・ソムニフェル、ハナビシソウ、アザミゲシ、または別の種由来のケイランチホリンシンターゼ(CheSyn);及びタリクトラム・フラブム、トウオウレン(Coptis chinensis)、または別の種由来のカナジンシンターゼ(CAS)が挙げられる。
【0110】
他の例では、テーラリング酵素を使用して、ビスBIAまたはその誘導体に行われるO-メチル化反応を触媒してよい。O-メチル化反応を触媒するために使用してよいテーラリング酵素の例としては、パパヴェル・ソムニフェル、タリクトラム・フラブム、キクバオウレン、パパヴェル・ブラクテアタム(Papaver bracteatum)、または別の種由来のノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ(6OMT);パパヴェル・ソムニフェル、タリクトラム・フラブム、キクバオウレン、トウオウレン、または別の種由来の3’ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4’-O-メチルトランスフェラーゼ(4’OMT);パパヴェル・ソムニフェル、ハナビシソウ、または別の種由来のレチクリン7-O-メチルトランスフェラーゼ(7OMT);及びパパヴェル・ソムニフェル、タリクトラム・フラブム、キクバオウレン、トウオウレン、または別の種由来のスコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ(9OMT)が挙げられる。
【0111】
加えて、テーラリング酵素を使用して、ビスBIAまたはその誘導体に行われるN-メチル化反応を触媒してよい。N-メチル化反応を触媒するために使用してよいテーラリング酵素の例としては、パパヴェル・ソムニフェル、タリクトラム・フラブム、キクバオウレン、または別の種由来のコクラウリンN-メチルトランスフェラーゼ(CNMT);パパヴェル・ソムニフェル、ハナビシソウ、パパヴェル・ブラクテアタム、または別の種由来のテトラヒドロプロトベルベリンN-メチルトランスフェラーゼ(TNMT)が挙げられる。
【0112】
さらに、テーラリング酵素を使用して、ビスBIAまたはその誘導体に行われるO-脱メチル化反応を触媒してよい。O-脱メチル化反応を触媒するために使用してよいテーラリング酵素の例としては、パパヴェル・ソムニフェルまたは別の種由来のテバイン脱メチル化酵素(T6ODM);及びパパヴェル・ソムニフェル、または別の種由来のコデイン脱メチル化酵素(CODM)が挙げられる。
【0113】
テーラリング酵素を使用して、ビスBIAまたはその誘導体に行われる還元反応を触媒してもよい。還元反応を触媒するために使用してよいテーラリング酵素の例としては、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル・ブラクテアタム、または別の種由来のサルタリジンレダクターゼ(SalR);パパヴェル・ソムニフェルまたは別の種由来のコデイノンレダクターゼ(COR);及びハナビシソウまたは別の種由来のサンギナリンレダクターゼ(SanR)が挙げられる。他の例では、テーラリング酵素を使用して、ビスBIA、またはその誘導体上で行われるアセチル化反応を触媒してよい。アセチル化反応を触媒するために使用してよいテーラリング酵素の例としては、パパヴェル・ソムニフェルまたは別の種由来のサルタリジンアセチルトランスフェラーゼ(SalAT)が挙げられる。
【0114】
異種コード配列
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、遺伝子操作された宿主細胞が、例えば、本明細書に記載のような所望の目的の酵素及び/または目的のBIAを産生することを可能にする活性をコードする1つまたは複数の異種コード配列(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上)を有する。本明細書で用いるとき、「異種コード配列」という用語は、宿主生物に通常は存在せず、かつ適切な条件下で宿主細胞において発現され得る、ペプチドまたはタンパク質またはその等価なアミノ酸配列、例えば酵素をコードするかまたは最終的にコードする、任意のポリヌクレオチドを指す。従って、「異種コード配列」は、宿主細胞に通常存在するコード配列の複数のコピーを含み、よって該細胞は、該細胞に通常存在しないコード配列の追加のコピーを発現する。異種コード配列は、RNAもしくはその任意の型、例えばmRNA、DNAもしくはその任意の型、例えばcDNA、またはRNA/DNAのハイブリッドであってよい。目的のコード配列は、コード配列、イントロン、プロモーター領域、3’-UTR及びエンハンサー領域などの特徴を含む完全長の転写単位を含むが、これらに限定されない。
【0115】
例では、遺伝子操作された宿主細胞は、表2に列挙する酵素などの酵素をそれぞれコードする複数の異種コード配列を含んでよい。いくつかの例では、複数の異種コード配列によりコードされる複数の酵素は、互いに別個であってよい。いくつかの例では、複数の異種コード配列によりコードされる複数の酵素のいくつかは、互いに別個であってよく、複数の異種コード配列によりコードされる複数の酵素のいくつかは、重複したコピーであってよい。
【0116】
いくつかの例では、異種コード配列は、作動可能に連結してよい。作動可能に連結する異種コード配列は、特定のベンジルイソキノリンアルカロイド産物及び/またはエピメラーゼ産物を産生する、同一の経路内にあってよい。いくつかの例では、作動可能に連結した異種コード配列は、特定のベンジルイソキノリンアルカロイド産物及び/またはエピメラーゼ産物を産生する経路に沿って、直接配列されてよい。いくつかの例では、作動可能に連結した異種コード配列は、複数の異種コード配列によりコードされる酵素のうちの1つまたは複数の間に1つまたは複数の天然酵素を有してよい。いくつかの例では、異種コード配列は、複数の異種コード配列によりコードされる酵素のうちの1つまたは複数の間に1つまたは複数の異種酵素を有してよい。いくつかの例では、異種コード配列は、複数の異種コード配列によりコードされる酵素のうちの1つまたは複数の間に1つまたは複数の天然でない酵素を有してよい。
【0117】
遺伝子操作された宿主細胞を1つまたは複数の遺伝子変異を有するように改変して、異種コード配列を収容させてもよい。天然型宿主ゲノムの変異には、ゲノムを改変して、所望の経路に干渉し得る特定のタンパク質の発現を低下させるまたは取り除くことを含むが、これに限定されない。かかる天然型タンパク質の存在は、経路の中間体または最終産物のうちの1つを所望の経路において使用可能でない代謝産物または他の化合物へと急速に変換し得る。ゆえに、天然型酵素の活性が低下したまたは完全に存在しない場合、産生された中間体は、所望の産物への取り込みのためにより容易に利用可能であるだろう。
【0118】
異種コード配列は、植物における目的のBIAの産生を通常担う、野生型または同等の配列のいずれかの酵素をコードする配列を含むがこれらに限定されない。いくつかの場合では、異種配列がコードする酵素は、1-BIA経路における酵素のいずれであってもよく、任意の好都合な供給源から得られ得る。特定の合成経路に関して異種コード配列によりコードされる酵素の選択及び数は、所望の産物に基づいて選択されてよい。ある特定の実施形態では、本発明の宿主細胞は、1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上、6個以上、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、またさらには15個以上の異種コード配列、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15個の異種コード配列を含んでよい。
【0119】
本明細書で用いるとき、「異種コード配列」という用語はまた、ペプチドまたは酵素のコード部分、すなわち、ペプチドまたは酵素のcDNAまたはmRNA配列、ならびに、完全長転写単位のコード部分、すなわち、イントロン及びエキソンを含む遺伝子、ならびに、酵素をコードするもしくはその等価なアミノ酸配列をコードする「コドンの最適化された」配列、切断短縮された配列、または他の形態の変異した配列を含み、ただし、この等価なアミノ酸配列は、機能的タンパク質を産生する。このような等価なアミノ酸配列は、1つまたは複数のアミノ酸の欠失を有してよく、この欠失はN末端、C末端または中間である。切断短縮された形態は、それらが本明細書に示された触媒能を有する限り想定される。2種以上の酵素の融合体もまた、触媒活性が維持されている限り、経路における代謝物の転位を促進するために想定される。
【0120】
作動可能な断片、突然変異体、または切断短縮形態は、モデリング及び/またはスクリーニングにより同定され得る。いくつかの場合では、これは、例えば、タンパク質のN末端、C末端、または内部領域を段階的に欠失させ、続いて、元来の配列と比較して所望の反応に関するその活性について、得られた誘導体を分析することによって達成される。当該誘導体がこの能力を発揮する場合、等価な酵素の誘導体の構成は適切であると考えられる。
【0121】
例では、いくつかの異種タンパク質は、組換え宿主において発現されるときに誤って処理される場合を示すことがある。例えば、微生物産生宿主において発現されるシトクロムP450酵素などの植物タンパク質は、誤ったプロセシングを生じ得る。具体的には、サルタリジンシンターゼは、酵母において異種発現されるときにN結合型グリコシル化を受ける場合がある。このN結合型グリコシル化は、植物において観察されない場合があるが、これは、異種微生物宿主における酵素の活性を低下させるための新生SalSyn転写物の誤ったN末端ソーティングの指標であってよい。かかる例では、N結合型グリコシル化パターンを除くために新生転写物の正しいN末端ソーティングを対象とするタンパク質操作は、組換え産生宿主におけるサルタリジンシンターゼ酵素の活性の向上をもたらし得る。これは、以下の実施例10においてさらに説明される。
【0122】
本発明の態様は、様々な酵素の天然型アミノ酸配列に対して等価であるアミノ酸配列をコードする異種コード配列にも関する。「等価」であるアミノ酸配列は、特定のアミノ酸配列と同一ではないが、所望の目的のために使用されるときに、特定のアミノ酸配列の類似の活性と比較して、タンパク質の生物学的活性に本質的に影響を及ぼさない少なくともいくつかのアミノ酸変化(欠失、置換、逆位、挿入、等)をむしろ含有する、アミノ酸配列と定義される。生物学的活性は、エピメラーゼの例においては、その触媒活性を指す。等価な配列はまた、元来のアミノ酸配列とは異なる特性を有するように遺伝子操作された及び/または進化された配列を含むことを意図する。目的の突然変異可能な特性には、触媒活性、基質特異性、選択性、安定性、可溶性、局在性、等が含まれる。
【0123】
いくつかの例では、酵素の各タイプの発現は、追加の遺伝子コピー(すなわち、複数のコピー)を通して増加し、これは、中間体蓄積及び/または目的のBIA産生を増加する。本発明の実施形態は、単一または複数の酵素の複数の種バリアントの同時発現を通した宿主細胞における目的のBIA産生の増加を含む。いくつかの場合では、単一または複数の酵素の追加の遺伝子コピーは、宿主細胞内に含まれる。宿主細胞における酵素の異種コード配列の複数のコピーを含む任意の好都合な方法を使用してもよい。
【0124】
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素の異種コード配列の複数のコピー、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またさらには10以上のコピーを含む。これの例を図28に記載する。具体的には、図28は、遺伝子操作された酵母菌株における2つのコピーから3つのコピーへのNCS遺伝子のコピー数の増加によるベンジルイソキノリンアルカロイドレチクリンの産生の増加を示す。
【0125】
ある特定の実施形態では、遺伝子操作された宿主細胞は、1つまたは複数の酵素の異種コード配列の複数のコピー、例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上等の複数のコピーを含む。いくつかの場合では、酵素の異種コード配列の複数のコピーは、宿主細胞と比べて2つ以上の異なる生物源から得られる。例えば、遺伝子操作された宿主細胞は、1つの異種コード配列の複数のコピーを含んでよく、各コピーは異なる生物源から得られる。従って、各コピーは、異種コード配列によりコードされる目的の酵素の種間の差異に基づいて、顕在配列において幾分のばらつきを含んでよい。
【0126】
遺伝子操作された宿主細胞培地をサンプリングし、目的のBIAの産生について観察してよい。目的のBIAは、任意の好都合な方法を使用して観察及び測定されてよい。目的の方法としては、LC-MS法(例えば、本明細書に記載のような)が挙げられるがこれに限定されず、この方法では、目的の試料は、既知量の標準化合物との比較によって分析される。加えて、目的のBIAを観察及び/または測定し得る他の方法が存在する。BIAを観察及び/または測定する代替の方法の例としては、中でもGC-MS、UV-vis分光法、NMR、LC-NMR、LC-UV、TLC、キャピラリー電気泳動が挙げられる。同一性は、例えば、m/z及びMS/MSフラグメンテーションパターンによって確認され得、該化合物の定量または測定は、既知の保持時間のLCトレースピーク及び/または既知量の標準化合物の対応するLC-MS分析への参照によるEIC MSピーク分析を介して達成され得る。
【0127】
加えて、遺伝子操作された宿主細胞の培養物を、CYP-COR酵素などの目的の酵素の産生のためにサンプリング及び観察してよい。目的の酵素は、任意の好都合な方法を使用して観察及び測定されてよい。目的の方法には、酵素活性アッセイ、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、一酸化炭素分光法、及びウェスタンブロット分析が含まれる。
【0128】
方法
プロセス工程
上記に要約されているように、本発明の態様は、目的のベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)を調製する方法を含む。加えて、本発明の態様は、目的の酵素を調製する方法を含む。従って、本発明の態様は、1つまたは複数の宿主細胞改変(例えば、本明細書に記載のような)が、細胞が目的の出発化合物を目的の生成物酵素及び/またはBIAへと変換するように機能的に発現される条件下で遺伝子操作された宿主細胞を培養することを含む。1つまたは複数の異種コード配列が機能的に発現され、目的の出発化合物を目的の生成物酵素またはBIAへと変換するように、タンパク質産生に好適な条件下で遺伝子操作された宿主細胞を培養する工程を含む方法も提供する。例では、本方法は、遺伝子操作された宿主細胞(例えば、本明細書に記載のような)を培養する工程;出発化合物を細胞培養物に加えること;及びBIAを細胞培養物から回収する工程を含む、ベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)を調製する方法である。いくつかの例では、本方法は、遺伝子操作された宿主細胞(例えば、本明細書に記載のような)を培養する工程;出発化合物を細胞培養物に加える工程;及び酵素を細胞培養物から回収する工程を含む、酵素を調製する方法である。
【0129】
発酵培地は、好適な炭素基質を含有してよい。本開示の方法を行うのに好適な炭素源は、広範な炭素含有基質を包含してよい。好適な基質は、単糖類(例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、キシロース)、オリゴ糖(例えば、ラクトース、スクロース、ラフィノース)、多糖類(例えば、デンプン、セルロース)、またはそれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの場合では、再生可能供給原料からの未精製混合物を使用してよい(例えば、コーンスティープリカー、テンサイ糖蜜、オオムギ麦芽)。いくつかの場合では、炭素基質は、一炭素基質(例えば、メタノール、二酸化炭素)または二炭素基質(例えば、エタノール)であってよい。他の場合では、他の炭素含有化合物、例えば、メチルアミン、グルコサミン、及びアミノ酸を使用してよい。
【0130】
遺伝子操作された宿主細胞を培養する任意の好都合な方法を、目的の酵素及び/またはBIAを産生するために使用してよい。使用される具体的なプロトコルは、例えば、遺伝子操作された宿主細胞、異種コード配列、目的の酵素、目的のBIA等に応じて変動してよい。細胞は、任意の好都合な環境、例えば、細胞が1つまたは複数の機能的な異種酵素を発現することができる環境に存在し得る。いくつかの実施形態では、細胞は、酵素の発現を行える条件下で、インビボで目的の酵素及び/またはBIAの産生を可能とするために利用可能な適切な基質と共に培養される。いくつかの実施形態では、機能的な酵素は、インビトロ条件下での目的の酵素及び/またはBIAの産生のために遺伝子操作された宿主から抽出される。いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、多細胞宿主生物中に戻される。遺伝子操作された宿主細胞は、静止期及びlog増殖期等を含むがこれらに限定されない任意の増殖期にある。さらに、培養それ自体は、連続培養であっても、バッチ培養であってもよい。
【0131】
細胞は、適切な発酵培地にて、14~40℃の間の温度で増殖し得る。細胞は、任意の好都合な速度(例えば、200rpm)で振とうさせた状態で増殖し得る。細胞は、好適なpHで増殖し得る。発酵に好適なpHの範囲は、pH5~9の間であり得る。発酵は、好気性、嫌気性または微好気性の条件下で行われ得る。任意の好適な増殖培地を使用してよい。適切な増殖培地は、合成規定(SD)最小培地または酵母抽出ペプトンデキストロース(YEPD)リッチ培地などの一般的に市販されている培地を含み得るが、これらに限定されない。微生物に適切な任意の他のリッチ、規定、または合成増殖培地を使用してよい。
【0132】
細胞は、本質的に任意のサイズ及び形状の容器内で培養してよい。本開示の方法を実施するのに好適な容器の例としては、マルチウェル振とうプレート、試験管、フラスコ(バッフル付き及びバッフル無し)、及びバイオリアクターが挙げられるが、これらに限定されない。培養物の容量は、10マイクロリットルから10,000リットルを超える範囲であり得る。
【0133】
アルカロイドの産生に望ましい方法で代謝を調節することが知られている増殖培地への薬剤の添加を含んでよい。非限定的な例では、環状アデノシン2’3’-一リン酸を増殖培地に添加して、異化産物抑制を調節してよい。
【0134】
特定の細胞型のための任意の好都合な細胞培養条件が使用されてよい。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の改変を含む宿主細胞は、標準的な細胞培養用培地及び補助物を伴って、標準的または容易に最適化される条件下で培養される。一例として、プラスミド維持のための選択圧が必要とされない場合の標準的な増殖培地は、20g/Lの酵母抽出物、10g/Lのペプトン、及び20g/Lのデキストロース(YPD)を含有し得る。プラスミドを含有する宿主細胞は、増殖及び選択のために必要とされる適切なアミノ酸が補充された、1.7g/Lの酵母窒素塩基、5g/Lの硫酸アンモニウム、及び20g/Lのデキストロースを含有する合成完全(SC)培地中で増殖する。誘導性酵素発現のために有用であり得る代替的な炭素源としては、スクロース、ラフィノース及びガラクトースが含まれるが、これらに限定されない。細胞は、任意の好都合な温度(例えば30℃)で、任意の好都合な速度(例えば200rpm)で振とうさせた状態で、容器中、例えば、試験管またはフラスコ中、1~1000mLまたはそれ以上の範囲の容量で、研究室において増殖する。
【0135】
培養容量は、例えば、工業的プロセスの一部として、より大きな発酵容器中での増殖のために規模を大きくしてよい。工業的発酵プロセスは、閉鎖バッチ、流加バッチ、または連続ケモスタット条件下、または任意の好適な発酵様式で行ってよい。いくつかの場合では、細胞を全細胞触媒として基材上に固定化し、アルカロイド産生のための発酵条件に供してよい。
【0136】
バッチ発酵は、培地の組成が発酵の開始時に設定され、発酵プロセス中に変更されない閉鎖系である。所望の生物は、発酵の開始時に培地に接種される。いくつかの例では、バッチ発酵は、pH及び酸素濃度(但し、炭素ではない)などの因子を制御するためにシステムに対して行われる変更を伴って実行される。このタイプの発酵システムでは、システムのバイオマス及び代謝産物組成は、発酵の過程にわたって連続的に変化する。細胞は、典型的には誘導期を経て対数増殖期(高増殖率)、次に定常期(増殖率が低下または停止)、最終的には死滅期(未処理のままである場合)に進む。
【0137】
連続発酵は、所定の発酵培地がバイオリアクターに連続的に加えられ、同量の発酵培地が処理のために容器から連続的に除去される開放系である。連続発酵システムは、一般に、培地が取り除かれたことによる細胞損失が発酵における増殖速度と釣り合うように、定常状態の増殖条件を維持するように操作される。連続発酵は、一般に、細胞が一定の高い細胞密度にある条件で操作される。連続発酵は、標的生成物濃度及び/または細胞増殖に影響を及ぼす1つまたは複数の因子の調節を可能にする。
【0138】
液体培地は、上記添加成分を有するリッチまたは合成の規定培地を含み得るがこれらに限定されない。培地成分は、水に溶解され、熱、圧力、ろ過、放射線、化学物質、またはそれらの任意の組み合わせによって滅菌され得る。いくつかの培地成分は、別々に調製され、滅菌され、次いで発酵容器中で混合され得る。培地は、発酵全体を通して一定のpHを維持するのを助けるために緩衝化されてよい。
【0139】
温度、溶存酸素、pH、攪拌、通気速度、及び細胞密度を含むプロセスパラメータは、発酵の経過にわたって観察または制御され得る。例えば、発酵プロセスの温度は、培地中に浸漬された温度プローブによって観察され得る。培養温度は、ジャケット温度を調節することによって設定値で制御され得る。水は、外部冷却器で冷却され、次いでバイオリアクター制御塔に流入し、容器内の設定温度を維持するのに必要な温度でジャケットに循環され得る。
【0140】
加えて、気体流パラメータは、発酵プロセスにおいて観察され得る。例えば、気体は、スパージャを通して培地中に流入し得る。本開示の方法に好適な気体は、圧縮空気、酸素、及び窒素を含み得る。気体流は、固定された速度であってよいか、または溶存酸素設定値を維持するように調節されてよい。
【0141】
培地のpHも観察され得る。例では、pHは、容器内の培地に浸漬されたpHプローブによって観察され得る。pH制御が有効な場合、各溶液を必要な速度で培地に添加する酸性及び塩基性ポンプによってpHを調整し得る。pHを制御するために使用される酸溶液は、硫酸または塩酸であってよい。pHを制御するために使用される塩基溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化アンモニウムであってよい。
【0142】
さらに、溶存酸素は、培地中に浸漬された溶存酸素プローブによって培地中で観察され得る。溶存酸素調節が有効な場合、酸素レベルは、攪拌速度を増減することによって調整され得る。溶存酸素レベルは、気体流量を増減することによっても調整され得る。気体は、圧縮空気、酸素または窒素であってよい。
【0143】
攪拌速度も、発酵プロセスにおいて観察され得る。例では、攪拌モータは攪拌器を駆動し得る。撹拌速度は、発酵全体を通して一貫したrpmに設定され得るか、または設定された溶存酸素レベルを維持するように動的に調節され得る。
【0144】
加えて、混濁度は、発酵プロセスにおいて観察され得る。例では、細胞密度は、混濁度プローブを使用して測定され得る。あるいは、細胞密度は、バイオリアクターから試料を採取し、分光光度計でそれらを分析することによって測定され得る。さらに、試料は、滅菌サンプリング装置を通して、時間間隔でバイオリアクターから除去され得る。試料は、宿主細胞により産生されるアルカロイドについて分析され得る。試料は、他の代謝産物及び糖、培地成分の欠失、または細胞の密度についても分析され得る。
【0145】
別の例では、発酵プロセス中に供給原料パラメータが観察され得る。具体的には、外部ポンプを使用して発酵に添加され得る糖及び他の炭素源を含む供給原料、栄養素、ならびに補因子。他の成分も発酵中に添加されてよく、それには、消泡剤、塩、キレート剤、界面活性剤、及び有機液体が含まれるが、これらに限定されない。
【0146】
宿主細胞における異種ポリヌクレオチドの発現を最適化するための任意の好都合なコドン最適化技術を、主題の宿主細胞及び方法における使用のために適応させてよく、例えば、Gustafsson,C.et al.(2004)Trends Biotechnol,22,346-353を参照されたく、これは参照によりその全体が本明細書に組込まれる。
【0147】
主題の方法はまた、出発化合物を細胞培養物に加える工程も含んでよい。任意の好都合な添加法を、主題の方法における使用に適応させてよい。細胞培養物に、十分な量の目的の出発物質(例えば本明細書に記載のもの)、例えばmMからμMの量、例えば、約1~5mMの出発化合物を補充してよい。添加される出発物質の量、添加の時期及び速度、添加される材料の形態等は、様々な因子に応じて変化し得ることが理解されたい。出発物質は、無溶媒で加えられてよく、または好適な溶媒(例えば、細胞培養用培地、水、または有機溶媒)に予め溶解されてよい。出発物質は、添加時の細胞培養用培地の希釈率を最小限とし得るために、濃縮形態(例えば、所望の濃度の10倍以上)で添加されてよい。出発物質は、1つまたは複数のバッチに添加されてよく、または連続添加により長期にわたって(例えば数時間または数日間)添加されてよい。
【0148】
発酵培地から産物を単離するための方法
主題の方法は、細胞培養物から目的の酵素及び/またはBIAを回収する工程も含んでよい。任意の好都合な分離法及び単離法(例えば、クロマトグラフィー法または沈降法)を、主題の方法における使用に適応させて、細胞培養物から目的の酵素及び/またはBIAを回収し得る。ろ過法を使用して、細胞培養物の不溶性画分から可溶性画分を分離し得る。いくつかの場合では、液体クロマトグラフィー法(例えば、逆相HPLC、サイズ排除クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー)を使用して、細胞培養物の他の可溶性成分から目的のBIAを分離し得る。いくつかの場合では、抽出法(例えば、液体抽出、pH系精製、固相抽出、親和性クロマトグラフィー、イオン交換、等)を使用して、細胞培養物の他の成分から目的の酵素及び/またはBIAを分離し得る。
【0149】
産生されたアルカロイドは、当該分野で公知の方法を使用して発酵培地から単離されてよい。所望の産物の最初の回収のために発酵の直後に(またはいくつかの例では、最中に)いくつかの回収工程が行われてよい。これらの工程を通して、アルカロイド(例えば、BIA)は、細胞、細胞デブリ及び廃棄物から分離され得、そして他の栄養素、糖、及び有機分子は、使用済み培地中に残り得る。このプロセスを使用してBIA富化産物が得られ得る。
【0150】
一例では、ベンジルイソキノリンアルカロイド(BIA)産物を有する生成物流は、遺伝子操作された酵母細胞、及び栄養素を含む供給原料、及び水を、バッチ反応器に提供することにより、形成される。具体的には、遺伝子操作された酵母細胞は、少なくとも約5分間にわたってインキュベートすることにより発酵に供して、BIA産物及び細胞物質を含む溶液を生成し得る。一度、遺伝子操作された酵母細胞が発酵に供されると、少なくとも1つの分離装置を使用して、BIA産物を細胞物質から分離して、BIA産物を含む生成物流を提供し得る。具体的には、生成物流は、BIA産物、ならびに追加の成分、例えば、清澄化された酵母培養用培地を含んでよい。加えて、BIA産物は、1つまたは複数の目的のBIA、例えば、1つまたは複数のBIA化合物を含んでよい。
【0151】
異なる方法を使用して、目的の酵素及び/またはBIAを含むバイオリアクター培地から細胞を除去してよい。例では、細胞は、経時的な沈降により除去されてよい。沈降のこのプロセスは、冷却することまたはシリカなどの清澄剤の添加によって促進され得る。次いで、使用済み培地を反応器の頂部から吸い上げるか、または細胞を反応器の基部からデカントしてよい。あるいは、細胞は、フィルター、膜、または他の多孔質材料を通す濾過によって除去されてよい。細胞は、遠心分離、例えば連続流遠心分離によって、または連続抽出器を用いて除去してもよい。
【0152】
いくつかの有益な目的の酵素及び/またはBIAが細胞の内側に存在する場合、細胞を透過化または溶解し、細胞デブリを上記の方法のいずれかによって除去してよい。細胞を透過させるために使用される薬剤には、有機溶媒(例えば、DMSO)または塩(例えば、酢酸リチウム)が含まれるが、これらに限定されない。細胞を溶解する方法は、ドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤の添加、またはビーズ粉砕または超音波処理による機械的破壊を含み得る。
【0153】
目的の酵素及び/またはBIAは、清澄化された使用済み培地から、水性培地と混和しない有機液体の添加による液液抽出を通して抽出してよい。例では、他の処理工程に加えて液液抽出の使用を使用してよい。好適な有機液体の例には、ミリスチン酸イソプロピル、酢酸エチル、クロロホルム、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、オレイン酸メチル、トルエン、オレイルアルコール、酪酸エチルが含まれるが、これらに限定されない。有機液体は、水性培地の容量のわずか10%または多くて100%にて添加してよい。
【0154】
いくつかの場合では、有機液体は、発酵の開始時または発酵中の任意の時に加えてよい。抽出発酵のこのプロセスは、酵素及び/またはBIAを有機相に継続的に除去することにより宿主細胞からの目的の酵素及び/またはBIAの収率を増加させ得る。
【0155】
撹拌によって、有機相は、水性培地とのエマルジョンを形成し得る。2つの相の異なる層への分離を促進する方法には、解乳化剤または核形成剤の添加、またはpHの調整が含まれるが、これらに限定されない。エマルジョンを遠心分離して、例えば、連続円錐プレート遠心分離によって、2つの相を分離してもよい。
【0156】
あるいは、抽出後に物理的に除去され得るように、有機相を水性培地から単離してよい。例えば、溶媒は膜に封入されてよい。
【0157】
例では、目的の酵素及び/またはBIAは、吸着法を使用して発酵培地から抽出されてよい。例では、目的のBIAは、Amberlite(登録商標)XAD4などの樹脂または吸着によってBIAを除去する別の薬剤の添加によって、清澄化した使用済み培地から抽出され得る。次いで、目的のBIAを、有機溶媒を用いて樹脂から放出し得る。好適な有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、酢酸エチル、またはアセトンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
目的のBIAは、ろ過を使用して発酵培地から抽出されてもよい。高pHでは、目的のBIAは、バイオリアクター中で結晶質様沈殿物を形成し得る。この沈殿物は、フィルター、膜または他の多孔性材料を通したろ過により直接除去され得る。沈殿物は、遠心分離及び/またはデカンテーションによって収集されてもよい。
【0159】
上述の抽出法は、生体内(バイオリアクター内)または生体外(例えば、それを通して培地がバイオリアクターから流出し、抽出剤と接触し、容器の中に再循環される外部ループ内)のいずれかで実行されてよい。あるいは、抽出法は、バイオリアクター容器から除去された清澄化培地を使用して発酵が終了した後に行われてよい。
【0160】
アルカロイド富化液から産物を精製するための方法
後続の精製工程は、目的の個別の産物種を高純度に回収するために当該分野で公知の方法を使用して目的のBIA産物を富化した発酵後溶液を処理することを必然的に含む。
【0161】
一例では、有機相にて抽出された目的のBIAを水溶液に移してよい。いくつかの場合では、熱及び/または真空によって有機溶媒を蒸発させ、得られた粉末を好適なpHの水溶液に溶解させてよい。さらなる例では、目的のBIAの水相への抽出を促進する好適なpHでの水溶液の添加によって、目的のBIAを有機相から抽出してよい。次いで、水相を、デカンテーション、遠心分離、または別の方法によって除去してよい。
【0162】
BIA含有溶液は、例えば、好適なキレート剤で処理することによって金属を除去するためにさらに処理してよい。目的のBIA含有溶液は、タンパク質及びDNAなどの他の不純物を沈殿によって除去するためにさらに処理されてよい。一例では、目的のBIA含有溶液を、エタノール、メタノール、アセトンまたはイソプロパノールなどの適切な沈殿剤で処理する。代替的な例では、DNA及びタンパク質は、混入生物学的高分子からより小さなアルカロイドを分離する透析またはサイズ排除の他の方法によって除去し得る。
【0163】
さらなる例では、目的のBIAを含有する溶液は、当該分野で公知の方法を使用して連続クロスフローろ過により高純度に抽出され得る。
【0164】
溶液が、目的のBIAの混合物を含有する場合、その溶液を当該分野で公知の方法を使用して、酸性塩基処理に供して、個別の目的の種のBIAを得てよい。このプロセスでは、水溶液のpHは、個別のBIAを沈殿させるように調整される。
【0165】
高純度小規模調製について、BIAは、液体クロマトグラフィーによる単一の工程において精製され得る。
【0166】
酵母由来アルカロイドAPI対植物由来API
清澄化した酵母培養用培地(CYCM)は、複数の不純物を含有し得る。清澄化した酵母培養用培地は、真空及び/または加熱によって脱水されて、アルカロイド富化粉末が得られ得る。この産物は、ポピーストロー(CPS)またはアヘンの濃縮物に類似しており、これは、ケシを育てている国から輸出され、API製造業者が購入した。本発明の目的のために、CPSは、そこから所望のアルカロイド産物が最終的にさらに精製され得る任意のタイプの精製植物抽出物の代表例である。表4及び表5は、CYCMまたはCPSのいずれかに特異的であり得るかまたは両方に存在し得る、これら2つの産物中の不純物を強調する。一部のBIAには不純物として色素が含まれている場合があるが、他のBIAは色素自体に分類され得る。したがって、これらのBIAは、非色素不純物に基づいて不純物について評価され得る。これらの不純物のサブセットについて未知の起源の産物を分析することにより、当業者は、産物が酵母産生宿主由来であるかまたは植物産生宿主由来であるかを決定し得る。
【0167】
APIグレードの医薬成分は高度に精製された分子である。したがって、APIの植物起源または酵母起源を示すことができる不純物(表4及び表5に記載されているものなど)は、産物のAPI段階では存在しない可能性がある。実際に、本発明の酵母菌株に由来するAPI産物の多くは、従来の植物由来のAPIとほとんど区別できない場合がある。しかしながら、いくつかの場合では、従来のアルカロイド化合物は、化学合成アプローチを用いて化学修飾されてよく、このような化学的修飾を必要とする植物由来産物中の化学的不純物として現れる可能性がある。例えば、化学誘導体化は、化学合成プロセスに関連する不純物のセットをもたらすことがしばしばあり得る。ある特定の状況では、これらの改変は、酵母産生プラットフォームにおいて生物学的に実施され得、それにより、化学的誘導に関連する不純物の一部が酵母由来産物中に存在するのを回避する。具体的には、化学誘導産物からのこれらの不純物は、化学合成プロセスを使用して産生されるAPI産物中には存在し得るが、酵母由来産物を使用して産生されるAPI産物には存在しない場合がある。あるいは、酵母由来の産物を化学的に誘導された産物と混合する場合、得られる不純物は存在してもよいが、化学的に誘導された産物のみまたはこれを主に含むAPIにおいて予想されるものよりも少ない量で存在し得る。この例では、これらの不純物のサブセットについてAPI産物を分析することにより、当業者は、産物が酵母生産宿主に由来するものであるか、または従来の化学誘導体化経路からのものであるかを決定することができる。
【0168】
化学的に誘導体化されたモルフィナンAPI中に存在し得るが、生合成されたAPI中に存在しないだろう不純物の非限定的な例としては、APIコデイン中のコデイン-O(6)-メチルエーテル不純物;APIオキシコドン中の8,14-ジヒドロキシ-7,8-ジヒドロコデイノン;及びAPIヒドロコドン中のテトラヒドロテバインが挙げられる。コデイン-O(6)-メチルエーテルは、モルヒネの化学的な過剰メチル化により形成され得る。APIオキシコドン中の8,14-ジヒドロキシ-7,8-ジヒドロコデイノンは、テバインの化学的な過剰酸化により形成され得る。加えて、APIヒドロコドン中のテトラヒドロテバインは、テバインの化学的な過剰還元により形成され得る。
【0169】
しかしながら、酵母由来の化合物及び植物由来の化合物が両方とも化学合成手法を通して化学的改変を受ける場合、化学合成プロセスに関連する同一の不純物が、産物中に予想され得る。このような状況では、出発物質(例えば、CYCMまたはCPS)は、上述のように分析され得る。
【0170】
宿主細胞を遺伝子操作する方法
目的の酵素及び/またはBIAを産生する目的のために宿主細胞を遺伝子操作する方法も含まれる。DNAを宿主細胞に挿入することは、任意の好都合な方法を使用して達成され得る。該方法を使用して、宿主細胞が酵素を機能的に発現し、目的の出発化合物を目的の酵素及び/またはBIA産物へと変換するように、異種コード配列を遺伝子操作された宿主細胞に挿入する。
【0171】
任意の好都合なプロモーターを、主題の遺伝子操作された宿主細胞及び方法において使用してよい。異種コード配列の発現を推進するプロモーターは、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーターであってよいが、遺伝子操作された宿主細胞においてプロモーターが活性であることが条件である。異種コード配列は、それらの天然型プロモーターから発現され得るか、または天然でないプロモーターが使用され得る。このようなプロモーターは、それらが使用される宿主において低強度から高強度であり得る。プロモーターは、調節され得るかまたは構成的であり得る。ある特定の実施形態では、グルコース抑制されていないか、または培地中のグルコースの存在によってほんの軽度に抑制されているプロモーターが使用される。目的のプロモーターは、解糖系遺伝子のプロモーター、例えば、B.サブティリス tsr遺伝子のプロモーター(フルクトース二リン酸アルドラーゼ遺伝子のプロモーター領域をコードする)またはグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼをコードする酵母S.セレビシエ遺伝子からのプロモーター(GPD、GAPDH、またはTDH3)、パン酵母のADH1プロモーター、リン酸欠乏誘導性プロモーター、例えば、酵母のPHO5プロモーター、B.リケニフォルミスからのアルカリホスファターゼプロモーター、酵母誘導性プロモーター、例えば、Gal1-10、Gal1、GalL、GalS、抑制性プロモーターMet25、tetO、及び構成的プロモーター、例えば、グリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(GPD)、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(ADH)、翻訳-伸長因子-1-αプロモーター(TEF)、シトクロムc-オキシダーゼプロモーター(CYC1)、MRP7プロモーター、等が含まれるが、これらに限定されない。グルココルチコイド、ステロイド及び甲状腺ホルモンなどのホルモンによって誘導可能なプロモーターを含有する自律複製酵母発現ベクターもまた使用され得、これには、グルココルチコイド応答エレメント(GRE)及び甲状腺ホルモン応答エレメント(TRE)が含まれるが、これらに限定されない。これら及び他の例は、米国特許第7,045,290号に記載されており、これは、そこに引用された参考文献を含めて参照により組み入れられる。α因子、アルコールオキシダーゼ及びPGHなどの構成的または誘導性プロモーターを含有する追加のベクターも使用され得る。さらに、任意のプロモーター/エンハンサーの組合せ(真核生物プロモーターデータベースEPDBに従う)もまた遺伝子の発現を推進するために使用され得る。任意の好都合な適切なプロモーターが、宿主細胞、例えば大腸菌のために選択され得る。また、転写物、及び従って酵素レベルを最適化して、エネルギー源を最小限としつつ産生を最大限とするためにプロモーターの選択を使用してよい。
【0172】
任意の好都合なベクターを、主題の遺伝子操作された宿主細胞及び方法に使用してよい。目的のベクターは、酵母及び他の細胞において使用するためのベクターを含む。酵母ベクターの型は、次の4つの一般的な分類に分割され得る:組込み型ベクター(YIp)、自律複製型高コピー数ベクター(YEpまたは2μプラスミド)、自律複製型低コピー数ベクター(YCpまたは動原体プラスミド)、及び大きな断片をクローニングするためのベクター(YAC)。ベクターDNAを、任意の好都合な形質転換またはトランスフェクション技術を介して原核細胞または真核細胞に導入する。別の供給源のDNA(例えば、PCR生成二本鎖DNA産物、または合成二本鎖もしくは一本鎖オリゴヌクレオチド)を使用して、ゲノムへの組込みによって酵母を遺伝子操作してよい。任意の単一の形質転換事象には、宿主細胞を遺伝子改変するために1つまたはいくつかの核酸(ベクター、二本鎖または一本鎖DNA断片)が含まれ得る。
【0173】
有用性
例えば、上記の本発明の遺伝子操作された宿主細胞及び方法は、様々な用途に使用される。目的の用途としては、研究用途及び治療用途が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法は、酵素及び/またはBIAの産生が目的である任意の好都合な用途を含む、様々な異なる用途に使用される。
【0174】
主題の遺伝子操作された宿主細胞及び方法は、様々な治療用途において使用される。目的の治療用途には、BIAを含む医薬品の調製を目的とする用途が含まれる。本明細書に記載の遺伝子操作された宿主細胞は、目的のBIA及び目的の酵素を産生する。レチクリンは、オピオイド産物などの最終産物を産生するための遺伝子操作取り組みを含むBIAの合成における重要な分岐点中間体である。主題の宿主細胞を使用して、目的のBIAを、目的のBIA、例えば、レチクリン、及びBIA最終産物の産生において使用され得る簡易で安価な出発物質から産生し得る。従って、主題の宿主細胞は、治療的に活性な目的のBIAの供給に使用される。
【0175】
いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞及び方法は、これらの化合物の化学合成が低収率であり、大規模生産のための有効な手段ではない場合の、商業的規模の量のBIAの生産において使用される。ある特定の場合では、宿主細胞及び方法は、治療用製品のための目的のBIAの迅速な生産を可能とする、例えば、5,000~200,000リットル容量のバイオリアクター(発酵槽)を含み得る発酵施設において使用される。このような用途は、セルロース、デンプン、及び遊離糖などの発酵可能な炭素源からの目的のBIAの工業規模の生産を含み得る。
【0176】
主題の遺伝子操作された宿主細胞及び方法は、様々な研究用途に使用される。主題の宿主細胞及び方法は、様々な目的の酵素及び/またはBIAの生合成経路上の様々な酵素の作用を分析するために使用され得る。加えて、遺伝子操作された宿主細胞は、まだ明らかとなっていない治療機能における目的の生物活性についての試験に使用される目的の酵素及び/またはBIAを産生するように遺伝子操作され得る。いくつかの場合では、様々な酵素をコードする様々な異種コード配列を含むように宿主細胞を遺伝子操作することは、目的の酵素及び/またはBIAに向けての高収率の生合成経路を解明する。ある特定の場合では、研究用途は、その後所望の産物へとさらに化学的に改変もしくは誘導体化され得る目的の治療用分子のため、または目的の治療活性の増加についてスクリーニングするための目的の酵素及び/またはBIAの産生を含む。いくつかの例では、宿主細胞株は、このような経路において関心対象である酵素活性についてスクリーニングするために使用され、これにより、これらの菌株において産生されたBIA代謝物の変換を介して酵素発見がもたらされ得る。
【0177】
主題の遺伝子操作された宿主細胞及び方法は、植物に特殊化された代謝産物の産生プラットフォームとして使用され得る。主題の宿主細胞及び方法は、薬物ライブラリーの開発ならびに植物酵素の発見のためのプラットフォームとして使用され得る。例えば、主題の遺伝子操作された宿主細胞及び方法は、天然物をベースとする薬物ライブラリーの開発に使用され得、それは、プロトピンなどの関心対象の骨格分子を産生する酵母菌株を採取し、コンビナトリアル生合成を通して化合物の構造をさらに官能基化することによるかまたは化学的手段による。このようにして薬物ライブラリーを産生することによって、あらゆる可能性のある薬物ヒットはすでに、大規模培養及び産生に適用できる産生宿主と関連付けられている。別の例として、これらの主題の遺伝子操作された宿主細胞及び方法は、植物酵素の発見に使用され得る。主題の宿主細胞は、定義された代謝物の明瞭なバックグラウンドを提供して、新規の酵素活性を同定するための植物ESTライブラリーを発現する。主題の宿主細胞及び方法は、酵母における植物酵素の機能的発現及び活性増加のための発現方法及び培養条件を提供する。
【0178】
キット及びシステム
本発明の態様は、キット及びシステムをさらに含み、該キット及びシステムは、本発明の方法に使用された1つまたは複数の構成要素、例えば、本明細書に記載のような、遺伝子操作された宿主細胞、出発化合物、異種コード配列、ベクター、培地等を含み得る。いくつかの実施形態では、主題のキットは、遺伝子操作された宿主細胞(例えば、本明細書に記載のような)、ならびに出発化合物、異種コード配列、及び/またはそれを含むベクター、ベクター、増殖供給原料、発現系における使用に好適な構成要素(例えば、細胞、クローニングベクター、マルチプルクローニングサイト(MCS)、双方向プロモーター、配列内リボソーム進入部位(IRES)、等)、及び培地から選択される1つまたは複数の構成要素を含む。
【0179】
本明細書に記載の構成要素のいずれもがキット中に提供されてよく、それは、例えば、1つまたは複数の改変を含む宿主細胞、出発化合物、培地、等である。異種コード配列、クローニングベクター及び発現系の作製及び使用に使用されるのに好適な様々な構成要素が、主題のキットにおいて使用され得る。キットはまた、チューブ、バッファー等、及び使用説明書も含んでよい。キットの様々な試薬成分は、所望の場合には、別々の容器に存在しても、またはそれらの一部もしくは全てを単一の容器中で試薬混合物中に予め配合してもよい。
【0180】
目的の酵素及び/またはBIAを産生するためのシステムであって、1つまたは複数の改変を含む遺伝子操作された宿主細胞(例えば、本明細書に記載のような)、出発化合物、培地、発酵槽及び発酵設備、例えば、宿主細胞のための増殖条件を維持するのに好適な装置、サンプリング及びモニタリング設備ならびに構成要素等を含み得る、前記システムも提供する。酵母細胞の大規模発酵に使用するのに好適な様々な構成要素は、主題のシステムに使用され得る。
【0181】
いくつかの場合では、該システムは、遺伝子操作された宿主細胞の大規模発酵、ならびに発酵された宿主細胞により産生される酵素及び/またはBIA化合物のモニタリング及び精製のための構成要素を含む。ある特定の実施形態では、1つまたは複数の出発化合物(例えば、本明細書に記載のような)は、発酵槽内の遺伝子操作された宿主細胞が1つまたは複数の所望の目的のBIA産物を産生する条件下で、該システムに加えられる。いくつかの例では、宿主細胞は、目的のBIAを産生する(例えば、本明細書に記載のような)。ある特定の場合では、目的のBIA産物は、オピオイド産物、例えば、テバイン、コデイン、ネオピン、モルヒネ、ネオモルフィン、ヒドロコドン、オキシコドン、ヒドロモルフォン、ジヒドロコデイン、14-ヒドロキシコデイン、ジヒドロモルヒネ、またはオキシモルフォンである。
【0182】
いくつかの場合では、該システムは、主題の宿主細胞によって産生される1つまたは複数の目的の酵素及び/またはBIA化合物をモニタリング及びまたは分析するためのプロセスを含む。例えば本明細書に記載のように、試料を分析し、標準物質に対して比較し得る、例えば、本明細書に記載のLC-MS分析システム、クロマトグラフィーシステム、または任意の好都合なシステム。発酵培地は、発酵前及び発酵中の任意の好都合な時に、サンプリング及び分析によって観察され得る。目的の酵素及び/またはBIA産物への出発化合物の変換が完了すると、発酵は停止され得、BIA産物の精製が行われ得る。従って、いくつかの場合では、主題のシステムは、その中に目的の酵素及び/またはBIA産物が産生される宿主細胞培地から目的の酵素及び/またはBIA産物を精製するのに好適な精製用構成要素を含む。精製用構成要素には、発酵により産生される目的の酵素及び/またはBIA産物を精製するために使用され得る任意の好都合な手段を含み得、それには、シリカクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、HICクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、液体抽出、及びpH抽出法が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの場合では、主題のシステムは、システムへの1つまたは複数の出発化合物の投入後に、酵素及び/またはBIA発酵産物の産生及び単離を提供する。
【0183】
以下の例は、当業者に、本発明をどのように作製及び使用するかの完全な開示及び説明を提供するために示され、本発明者らが彼らの発明として考えるものの範囲を制限する意図はなく、また、以下の実験が実施された全てまたは唯一の実験であることを表すことを意図しない。使用された数字(例えば量、温度等)に関して正確さを確保するための努力がなされているが、幾分の実験誤差及び偏差が考慮されるべきである。特記しない限り、部は重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。
【0184】
酵素リストの考察
宿主細胞を、目的のBIA及び/または目的の酵素の産生を提供する1つまたは複数の改変(例えば、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、またはさらに多くの改変)を含むように遺伝子操作してよい。表2は、遺伝子操作された宿主細胞において目的のBIA及び/または目的の酵素の産生を提供するように1つまたは複数の改変により作用し得る例示的な遺伝子の表を提供する。
【0185】
表2に提供する遺伝子の改変を使用して、目的のBIAを、増殖に必要な最小限の栄養素を含有する培地を補充された遺伝子操作された宿主細胞から産生し得る。この最小培地は、炭素源、窒素源、アミノ酸、ビタミン、及び塩を含有し得る。例えば、表2に提供する遺伝子の改変を使用して、糖を供給された遺伝子操作された宿主細胞から目的のBIAを産生し得る。加えて、表2に提供する1つまたは複数の遺伝子の改変を使用して、薬物産生のために遺伝子操作され得る宿主細胞の生合成プロセスを増強し得る。
【0186】
加えて、遺伝子操作された宿主細胞における目的のBIA及び/または目的の酵素の産生を提供するためのこれらの改変の使用は、遺伝子により産生され得る酵素の単なる同定からは容易に明らかにならない。具体的には、本明細書に記載のような酵母細胞などの宿主細胞において再構築されている合成経路は、単一の生物内で自然には一緒に作用しない様々な酵素を含む。加えて、本明細書に考察する酵素のいくつかは、それらの天然の状況ではBIA生合成のために作用しない。さらに、本明細書に記載の酵素のいくつかは、酵母細胞などの特定の宿主細胞において機能するようには発達しておらず、一緒に機能するように発達していない。これらの場合では、下流BIA最終産物を産生するための経路を通る十分なフラックスを有するために十分な活性を、酵母などの宿主細胞における合成BIA経路の文脈において呈するということは明らかでないだろう。
【0187】
例えば、植物酵素は、酵母などの異種微生物宿主において機能的に発現することが難しい場合が多い。多くの場合では、酵素は、ミスフォールドされる、宿主細胞内で正しく局在化しない、及び/または誤ってプロセシングされる可能性がある。酵母及び植物間のタンパク質翻訳及びプロセシングにおける差異により、これらの酵素は、酵母宿主において検出可能な活性が実質的に低下するまたは検出されなくなり得る。これらの課題は、BIA経路において強く表されるシトクロムP450などの膜内局在化酵素に共通して生じる。低下した酵素活性でさえも、所望のBIA産物の高レベルの蓄積を確実にするために各工程で十分な活性を必要とする、酵母を遺伝子操作して複合BIAを産生することにおいて実質的な課題をもたらし得る。
【0188】
加えて、BIA経路における初期前駆体(すなわち、チロシンからノルコクラウリンへの中間体)の多くで作用し得る、酵母などのいくつかの宿主細胞中に、内因性酵素/経路が存在し、したがって、これらの競合する内因性経路を考慮すると、実質的なBIA産生を達成するために異種経路を通る十分なフラックスが存在し得ることは容易に明らかでない可能性がある。例えば、酵母内のErlich経路(Hazelwood,et al.2008.Appl.Environ.Microbiol.74:2259-66;Larroy,et al.2003.Chem.Biol.Interact.143-144:229-38;Larroy,et al.2002.Eur.J.Biochem.269:5738-45)は、初期BIA経路における中間体の多くを望ましくない産物に変換するように作用し、合成経路からフラックスを反らし得る、主な内因性経路である。
【0189】
さらに、本明細書に考察するような、及び表2に提供するような酵素の多くは、異種酵母宿主に移る際に失われ得る、天然型植物宿主における空間的制御を含む、非常に特異的な制御戦略下で機能し得る。加えて、植物は、pH、酸化還元条件、基質、補助基質、補酵素、補因子の利用可能性を含む、酵素が機能するように進化した酵母細胞とは非常に異なる生化学環境を提示する。天然型宿主及び異種酵母宿主間の生化学環境及び制御戦略における差異を考慮すると、酵母環境上で酵素が実質的な活性を呈し得ることは明らかではなく、それらが一緒に機能して、糖などの単純な前駆体を複雑なBIA化合物へと指向させるかはさらに明らかでない。酵母宿主において酵素の活性を維持することは、経路の多くが、多くの(10工程より多い)反応工程を有するために、特に重要である。これらの工程が有効でない場合、所望の下流産物の蓄積は、期待できないだろう。
【0190】
加えて、天然型植物宿主において、これらの経路中の関連する代謝産物は、異なる細胞及び組織タイプにわたって局在化され得る。いくつかの例では、生合成に特化し得る細胞型及び代謝産物蓄積のために合成され得る細胞型が存在する。このタイプの細胞の特殊化は、異種酵母宿主内で経路を発現するときに失われる可能性があり、細胞に及ぼすこれらの代謝産物の毒性を制御するのに重要な役割を果たす可能性がある。したがって、これらの化合物の毒性に害されることなく、これらの代謝産物を生合成及び蓄積するように酵母がうまく遺伝子操作され得ることは明らかではない。
【0191】
1つの例として、天然型植物宿主では、酵素BBEは、動的な細胞内局在化を有すると報告されている。具体的には、酵素BBEは、ERにて最初始まり、その後、液胞へとソートされる(Bird and Facchini.2001.Planta.213:888-97)。植物におけるBBEのER関連(Alcantara,et al.2005.Plant Physiol.138:173-83)が、BBE活性のために最適な塩基pH(pH約8.8)を提供することが示されている(Ziegler and Facchini.2008.Annu.Rev.Plant Biol.59:735-69)。別の例として、植物細胞内の特殊化した小胞においてサンギナリン生合成が生じることが証明されている(Amann,et al.1986.Planta.167:310-20)が、中間体のうちのいくつかのみが小胞中に蓄積する。これは、それらを他の酵素活性及び/または毒性効果から隔絶するために生じ得る。
【0192】
別の例として、モルフィナン経路枝における生合成酵素は全て、植物の維管束組織の一部である篩部に局在化している。篩部では、経路酵素は、2つの細胞型:全ての植物に共通である篩要素、及び特殊化した二次代謝産物を作製するある特定の植物においてのみ存在する特殊化した細胞型である乳管の間でさらに分割され得る。上流酵素(すなわち、NCSからSalATまで)は、主として篩要素内にあり、下流酵素(すなわち、T6ODM、COR、CODM)は、ほとんどが乳管内にある(Onoyovwe,et al.2013.Plant Cell.25:4110-22)。加えて、ノスカピン生合成経路における最終工程が乳管において発生することが発見された(Chen and Facchini.2014.Plant J.77:173-84)。この区画化は、中間体を単離するまたは追跡すること、最適なpHを提供すること、補因子の供給を増強することにより生合成を制御することにおいて非常に重要であると考えられるが、ケシの乳管微小環境の性質は、まだ調査中である(Ziegler and Facchini.2008.Annu.Rev.Plant Biol.59:735-69)。さらに、酵素のいくつかが、植物二次代謝に共通する多酵素複合体または代謝チャネルとして機能し得ると予期される(Kempe,et al.2009.Phytochemistry.70:579-89;Allen,et al.2004.Nat.Biotechnol.22:1559-66)。生合成酵素が、異なる宿主から組み合わされる及び/または異種酵母細胞において組換えて発現されるとき、これらの複合体またはチャネルが、天然型宿主と同様に形成し得るかは明らかでない。追加の例では、キクバオウレンにおいて、ベルベリンは、根組織において生合成され、次いで、特殊化したATP結合カセット輸送タンパク質の作用を介して根茎内に蓄積される(Shitan,et al.2013.Phytochemistry.91:109-16)。ケシでは、モルフィナンアルカロイドは、ラテックス(乳管細胞の細胞質)内に蓄積する(Martin,et al.1967.Biochemistry.6:2355-63)。
【0193】
さらに、これらを考慮せずとも、本明細書に記載の経路の工程のいくつかに関する植物酵素がまだ特徴決定されていない場合もある。例えば、初期ベンジルイソキノリンアルカロイド骨格ノルコクラウリンへのチロシンの変換は、まだ特徴決定されていない。加えて、(R)-レチクリンへの(S)-レチクリンの変換は、本明細書に記載のようにほんの最近になって特徴決定された。ゆえに、本明細書中に記載される経路の工程のいくつかでは、代替の生合成スキームを、BIAの生合成のために天然には通常一緒に生じない酵素活性を合わせるかまたは再構築された経路において使用するためにゲノム配列情報から新しい酵素活性を同定することにより産生した。
【0194】
例えば、チロシンのドパミンへの2工程変換は、少なくとも5種の哺乳類酵素及び1種の細菌酵素を組み合わせることにより達成され得、これらは、天然には一緒に存在せず、かつこの経路上でまたは植物酵素で機能するようには発達していない。これらの例では、それに対して天然には進化しなかった化合物の生合成のためにこれらの酵素を使用すること及びこれらの酵素が異種微生物宿主及びこの経路上で効果的に機能し得ることは明白でない可能性がある。別の例として、(R)-レチクリンへの(S)-レチクリンの変換を担う酵素は不明であった。本明細書に考察する新規の酵素は、酵母及び合成BIA経路上でこのエピマー化反応を行い得る。これは、新しい酵素の発見を表すため、これらのBIA化合物の合成のための経路上でこの酵素を使用することは明らかではなかっただろう。
【0195】
目的のBIA及び/または目的の酵素を産生するための改変の対象である遺伝子の例を以下に記載する。加えて、遺伝子は、目的のBIA及び/または目的の酵素の生成において使用される経路を示す一連の図に関して記載される。
【0196】
[TLK1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素トランスケトラーゼの発現を改変し得る。トランスケトラーゼは、TKL1遺伝子によりコードされる。例では、トランスケトラーゼは、図2に参照されるように、フルクトース-6-リン酸+グリセルアルデヒド-3-リン酸⇔キシルロース-5-リン酸+エリトロース-4-リン酸の反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTKL1遺伝子の構成的過剰発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTKL1遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、TKL1遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのTKL1遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。TKL1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、TKL1遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0197】
[ZWF1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの発現を改変し得る。グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼは、ZWF1遺伝子によりコードされる。例では、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼは、図2に参照されるように、グルコース-6-リン酸→6-ホスホグルコノラクトンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるZWF1遺伝子のコード領域を欠失させ得る。あるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、不活性化突然変異を導入することなどにより、ZWF1遺伝子の機能性を無効にし得る。
【0198】
[ARO4]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素3-デオキシ-D-アラビノ-ヘプツロソン酸-7-リン酸(DAHP)シンターゼの発現を改変し得る。DAHPシンターゼは、ARO4遺伝子によりコードされる。例では、DAHPシンターゼは、図2に参照されるように、エリトロース-4-リン酸+ホスホエノールピルビン酸→DAHPの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞は、ARO4遺伝子を改変して、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異を取り込み得る。具体的には、フィードバック阻害軽減突然変異(例えば、ARO4FBR)は、元来の遺伝子座での天然型ARO4遺伝子に対する定向突然変異として;別の遺伝子座での遺伝子組込みとして導入される追加のコピーとして;またはエピソーマルベクター、例えば2-μmもしくは動原体プラスミド上の追加のコピーとして、取り込まれ得る。突然変異ARO4FBRにおける識別子「FBR」は、フィードバック耐性突然変異体及び突然変異を指す。DAHPシンターゼ酵素のフィードバック阻害コピーは、天然の酵母転写制御下にあり得、例えば、遺伝子操作された宿主細胞が酵母細胞であるときである。あるいは、DAHPシンターゼ酵素のフィードバック阻害コピーは、それを合成のプロモーターの制御下に置くことで、タンパク質発現の遺伝子操作された構成的または動的制御と共に遺伝子操作された宿主細胞に導入され得る。いくつかの場合では、ARO4遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエに由来し得る。いくつかの場合では、ARO4遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。ARO4遺伝子に対する改変の例としては、フィードバック阻害耐性突然変異、K229L、またはQ166Kが挙げられる。
【0199】
[ARO7]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素コリスミ酸ムターゼの発現を改変し得る。コリスミ酸ムターゼは、ARO7遺伝子によりコードされる。例では、コリスミ酸ムターゼは、図2に参照されるように、コリスミ酸→プレフェナートの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞は、ARO7遺伝子を改変して、1つまたは複数のフィードバック阻害軽減突然変異を取り込み得る。具体的には、フィードバック阻害軽減突然変異(例えば、ARO7FBR)は、元来の遺伝子座での天然型ARO7遺伝子に対する定向突然変異として;別の遺伝子座での遺伝子組込みとして導入される追加のコピーとして;またはエピソーマルベクター、例えば2-μmもしくは動原体プラスミド上の追加のコピーとして取り込まれ得る。突然変異ARO7FBRにおける識別子「FBR」は、フィードバック耐性突然変異体及び突然変異を指す。コリスミ酸ムターゼ酵素のフィードバック阻害コピーは、天然の酵母転写制御下にあり得、例えば、遺伝子操作された宿主細胞が酵母細胞であるときである。あるいは、コリスミ酸ムターゼ酵素のフィードバック阻害コピーは、それを合成のプロモーターの制御下に置くことで、タンパク質発現の遺伝子操作された構成的または動的制御と共に遺伝子操作された宿主細胞に導入され得る。いくつかの場合では、ARO7遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエに由来し得る。いくつかの場合では、ARO7遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。ARO7遺伝子に対する改変の例としては、フィードバック阻害耐性突然変異であるT226Iが挙げられる。
【0200】
[ARO10]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素フェニルピルビン酸デカルボキシラーゼの発現を改変し得る。フェニルピルビン酸デカルボキシラーゼは、ARO10遺伝子によりコードされる。例では、フェニルピルビン酸デカルボキシラーゼは、図2に参照されるように、ヒドロキシフェニルピルビン酸→4-ヒドロキシフェニルアセテート(4HPA)の反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるARO10遺伝子の構成的過剰発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるARO10遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、ARO10遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのARO10遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。ARO10遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、ARO10遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0201】
[ADH2~7、SFA1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、アルコールデヒドロゲナーゼ酵素の発現を改変し得る。アルコールデヒドロゲナーゼ酵素は、ADH2、ADH3、ADH4、ADH5、ADH6、ADH7、及びSFA1遺伝子のうちの1つまたは複数によりコードされ得る。例では、アルコールデヒドロゲナーゼは、4HPA→チロソールの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるADH2、ADH3、ADH4、ADH5、ADH6、ADH7、及びSFA1遺伝子のうちの1つまたは複数のコード領域を欠失させ得る。あるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、不活性化突然変異を導入することなどにより、ADH2、ADH3、ADH4、ADH5、ADH6、ADH7、及びSFA1遺伝子のうちの1つまたは複数の機能を無効とし得る。
【0202】
[ALD2~6]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、アルデヒドオキシダーゼ酵素の発現を改変し得る。アルデヒドオキシダーゼ酵素は、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、及びALD6遺伝子のうちの1つまたは複数によりコードされ得る。例では、アルデヒドオキシダーゼは、4HPA→ヒドロキシフェニル酢酸の反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるALD2、ALD3、ALD4、ALD5、及びALD6遺伝子のうちの1つまたは複数のコード領域を欠失させ得る。あるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、不活性化突然変異を導入することなどにより、ALD2、ALD3、ALD4、ALD5、及びALD6遺伝子のうちの1つまたは複数の機能を無効とし得る。
【0203】
[ARO9]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素芳香族アミノトランスフェラーゼの発現を改変し得る。芳香族アミノトランスフェラーゼは、ARO9遺伝子によりコードされる。例では、芳香族アミノトランスフェラーゼは、図2に参照されるように、ヒドロキシフェニルピルビン酸+グルタミメート→チロシン+α-ケトグルタル酸の反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるARO9遺伝子の構成的過剰発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるARO9遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、ARO9遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのARO9遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。ARO9遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、ARO9遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0204】
[TYR]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素チロシンキナーゼの発現を改変し得る。チロシナーゼは、TYR遺伝子によりコードされる。例では、チロシナーゼは、図2に参照されるように、チロシン→L-ドパの反応を触媒する。他の例では、チロシナーゼは、L-ドパ→ドパキノンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTYR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTYR遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、TYR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのTYR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。TYR遺伝子は、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、アガリクス・ビスプラス(Agaricus bisporus)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、TYR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0205】
[TyrH]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素チロシンヒドロキシラーゼの発現を改変し得る。チロシンヒドロキシラーゼは、TyrH遺伝子によりコードされる。例では、チロシンヒドロキシラーゼは、図2及び図5に参照されるように、チロシン→L-ドパの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTyrH遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTyrH遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、TyrH遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのTyrH遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。TyrH遺伝子は、ホモ・サピエンス、ドブネズミ、ハツカネズミ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、TyrH遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0206】
[DODC]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素L-ドパデカルボキシラーゼの発現を改変し得る。L-ドパデカルボキシラーゼは、DODC遺伝子によりコードされる。例では、L-ドパデカルボキシラーゼは、図2及び図5に参照されるように、L-ドパ→ドパミンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるDODC遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるDODC遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、DODC遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのDODC遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。DODC遺伝子は、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、ドブネズミ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、DODC遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0207】
[TYDC]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素チロシン/ドパデカルボキシラーゼの発現を改変し得る。チロシン/ドパデカルボキシラーゼは、TYDC遺伝子によりコードされる。例では、チロシン/ドパデカルボキシラーゼは、図2に参照されるように、L-ドパ→ドパミンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTYDC遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTYDC遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、TYDC遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのTYDC遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。TYDC遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェルまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、TYDC遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0208】
[MAO]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素モノアミンオキシダーゼの発現を改変し得る。モノアミンオキシダーゼは、MAO遺伝子によりコードされる。例では、モノアミンオキシダーゼは、図2に参照されるように、ドパミン→3,4-DHPAの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるMAO遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるMAO遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、MAO遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのMAO遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、MAO遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。MAO遺伝子は、大腸菌、ホモ・サピエンス、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、MAO遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して77%同様である。
【0209】
[NCS]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ノルコクラウリンシンターゼの発現を改変し得る。ノルコクラウリンシンターゼは、NCS遺伝子によりコードされる。例では、ノルコクラウリンシンターゼは、図5に参照されるように、4HPA+ドパミン→(S)-ノルコクラウリンの反応を触媒する。具体的には、図5は、本発明の実施形態に係る、ノルコクラウリンを介するレチクリンへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。図5は、酵素TyrH、チロシンヒドロキシラーゼ;DODC、ドパデカルボキシラーゼ;本明細書に記載のような、NCS、ノルコクラウリンシンターゼ;6OMT、6-O-メチルトランスフェラーゼ;CNMT、コクラウリンN-メチルトランスフェラーゼ;CYP80B1、シトクロムP450 80B1;CPR、シトクロムP450 NADPHレダクターゼ;4’OMT、3’ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4’-O-メチルトランスフェラーゼ.L-ドパ、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン;及び4-HPA、4-ヒドロキシフェニルアセチルアルデヒドの使用を提供する。図5に示される酵素の中で、4-HPA及びL-チロシンは、酵母において天然に合成される。示される全ての他の代謝産物は、酵母において天然に産生されない。加えて、TyrHは、L-ドパへのL-チロシンの変換を触媒すると示されるが、本明細書に記載のように、他の酵素を使用してこの工程を行ってもよい。例えば、チロシナーゼを使用して、L-ドパへのL-チロシンの変換を行ってもよい。加えて、シトクロムP450オキシダーゼなどの他の酵素を使用して、L-ドパへのL-チロシンの変換を行ってもよい。このような酵素は、L-ドパ及びL-チロシンを含む関連するBIA前駆体化合物上でオキシダーゼ活性を呈し得る。
【0210】
加えて、ノルコクラウリンシンターゼは、図6に参照されるように、3,4-DHPA+ドパミン→(S)-ノルラウダノソリンの反応を触媒する。具体的には、図6は、本発明の実施形態に係る、ノルラウダノソリンを介するレチクリンへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。図6は、酵素TyrH、チロシンヒドロキシラーゼ;DODC、ドパデカルボキシラーゼ;maoA、モノアミンオキシダーゼ;NCS、ノルコクラウリンシンターゼ;6OMT、6-O-メチルトランスフェラーゼ;CNMT、コクラウリンN-メチルトランスフェラーゼ;4’OMT、3’ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4’-O-メチルトランスフェラーゼ.L-ドパ、L-3、4-ジヒドロキシフェニルアラニン;及び3,4-DHPA、3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒドの使用を提供する。図6に示す酵素の中で、L-チロシンは、酵母において天然に合成される。図6に示される他の代謝産物は、酵母において天然に産生されない。
【0211】
遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるNCS遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるNCS遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、NCS遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのNCS遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。加えて、ノルコクラウリンシンターゼは、N末端が切断短縮されていてよい。いくつかの場合では、NCS遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。NCS遺伝子は、キクバオウレン、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル・ブラクテアタム(Papver bracteatum)、タリクトラム・フラブム、コリダリス・サキシコラ(Corydalis saxicola)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、NCS遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して80%同様である。
【0212】
[6OMT]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼの発現を改変し得る。ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼは、6OMT遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼは、図5に参照されるように、ノルコクラウリン→コクラウリンの反応を触媒する。他の例では、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼは、ノルラウダノソリン→3’ヒドロキシコクラウリンの反応、ならびに図6に提示されるものなどの、本明細書に詳述される他の反応を触媒する。加えて、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞における6OMT遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞における6OMT遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、6OMT遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内での6OMT遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。6OMT遺伝子は、P.ソムニフェルム、T.フラブム、キクバオウレン、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、6OMT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0213】
[CNMT]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼの発現を改変し得る。コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼは、CNMT遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼは、図5に参照されるように、コクラウリン→N-メチルコクラウリンの反応を触媒する。他の例では、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ酵素は、3’ヒドロキシコクラウリン→3’ヒドロキシ-N-メチルコクラウリンの反応を触媒し得る。他の例では、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼは、図6に提示されるものなどの、本明細書に詳述される他の反応を触媒し得る。加えて、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCNMT遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCNMT遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CNMT遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCNMT遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。CNMT遺伝子は、P.ソムニフェルム、T.フラブム、キクバオウレン、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CNMT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0214】
[4’OMT]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素4’-O-メチルトランスフェラーゼの発現を改変し得る。4’-O-メチルトランスフェラーゼは、4’OMT遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、4’-O-メチルトランスフェラーゼは、図5に参照されるように、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン→レチクリンの反応を触媒する。他の例では、4’-O-メチルトランスフェラーゼは、図6に提示されるものなどの、本明細書に詳述される他の反応を触媒する。加えて、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞における4’OMT遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞における4’OMT遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、4’OMT遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内での4’OMT遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。4’OMT遺伝子は、P.ソムニフェルム、T.フラブム、キクバオウレン、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、4’OMT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0215】
[CYP80B1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素シトクロムP450 80B1の発現を改変し得る。シトクロムP450 80B1は、CYP80B1遺伝子によりコードされる。例では、シトクロムP450 80B1は、図5に参照されるように、N-メチルコクラウリン→3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるシトクロムP450 80B1遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるシトクロムP450 80B1遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、シトクロムP450 80B1遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのシトクロムP450 80B1遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、CYP80B1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。シトクロムP450 80B1遺伝子は、P.ソムニフェルム、ハナビシソウ(E.californica)、T.フラブム、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、P450 80B1遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して77%同様である。
【0216】
[FOL2]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素GTPシクロヒドロラーゼの発現を改変し得る。GTPシクロヒドロラーゼは、FOL2遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、GTPシクロヒドロラーゼは、図1に参照されるように、GTP→ジヒドロネオプテリン三リン酸の反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるFOL2遺伝子の構成的過剰発現を含んでよい。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、天然制御を含んでもよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるFOL2遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、FOL2遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのFOL2遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。FOL2遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエ、ホモ・サピエンス、ハツカネズミ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、FOL2遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0217】
[PTPS]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素6-ピルボイルテトラヒドロビオプテリン(PTP)シンターゼの発現を改変し得る。ピルボイルテトラヒドロビオプテリンシンターゼは、PTPS遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、6-ピルボイルテトラヒドロビオプテリンシンターゼは、図1に参照されるように、ジヒドロネオプテリン三リン酸→PTPの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるPTPS遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるPTPS遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、PTPS遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのPTPS遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、PTPS遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。PTPS遺伝子は、ドブネズミ、ホモ・サピエンス、ハツカネズミ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、PTPS遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して80%同様である。
【0218】
[SepR]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素セピアプテリンレダクターゼの発現を改変し得る。セピアプテリンレダクターゼは、SepR遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、セピアプテリンレダクターゼは、図1に参照されるように、PTP→BHの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSepR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSepR遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、SepR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのSepR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、SepR遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。SepR遺伝子は、ドブネズミ、ホモ・サピエンス、ハツカネズミ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、SepR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して72%同様であり得る。
【0219】
[PCD]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素4a-ヒドロキシテトラヒドロビオプテリン(プテリン-4α-カルビノールアミン)デヒドラターゼの発現を改変し得る。4a-ヒドロキシテトラヒドロビオプテリンデヒドラターゼは、PCD遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、4a-ヒドロキシテトラヒドロビオプテリンデヒドラターゼは、図1に参照されるように、4a-ヒドロキシテトラヒドロビオプテリン→HO+キノノイドジヒドロプテリジンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるPCD遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるPCD遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、PCD遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのPCD遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、PCD遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。PCD遺伝子は、ドブネズミ、ホモ・サピエンス、ハツカネズミ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、PCD遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して79%同様であり得る。
【0220】
[QDHPR]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素キノノイドジヒドロプテリジンレダクターゼの発現を改変し得る。キノノイドジヒドロプテリジンレダクターゼは、QDHPR遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、キノノイドジヒドロプテリジンレダクターゼは、図1に参照されるように、キノノイドジヒドロプテリジン→BHの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるQDHPR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるQDHPR遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、QDHPR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのQDHPR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、QDHPR遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。QDHPR遺伝子は、ドブネズミ、ホモ・サピエンス、ハツカネズミ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、QDHPR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して75%同様であり得る。
【0221】
[DHFR]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ジヒドロ葉酸レダクターゼの発現を改変し得る。ジヒドロ葉酸レダクターゼは、DHFR遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、ジヒドロ葉酸レダクターゼは、図1に参照されるように、7,8-ジヒドロビオプテリン(BH)→5,6,7,8-テトラヒドロビオプテリン(BH)の反応を触媒する。この反応は、図5に示すように、L-ドパへのチロシンの変換のための補助基質としてBHを回収することにおいて有用であり得る。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるDHFR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるDHFR遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、DHFR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのDHFR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、DHFR遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。DHFR遺伝子は、ドブネズミ、ホモ・サピエンス、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、DHFR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して77%同様である。
【0222】
[CYP-COR]1-BIAのエピマー化に関して上述するように、遺伝子操作された宿主細胞は、BIAエピメラーゼの発現を改変し得る。BIAエピメラーゼは、CYP-COR遺伝子(例えば、CYP82Y2-COR遺伝子)によりコードされる。いくつかの例では、CYP-CORは、DRS-DRRとも称されてよい。いくつかの例では、BIAエピメラーゼは、図7に参照されるように、(S)-1-BIA→(R)-1-BIAの変換を触媒する。具体的には、図7は、本発明の実施形態に係る、モルフィナンアルカロイドへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。図7は、酵素CPR、シトクロムP450レダクターゼ;CYP-COR、シトクロムP450 CYP82Y1様コデイノンレダクターゼ様融合体;SalSyn、サルタリジンシンターゼ;SalR、サルタリジンレダクターゼ;SalAT、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ;T6ODM、テバイン6-O-脱メチル化酵素;COR、コデイノンレダクターゼ;及びCODM、コデイン-O-脱メチル化酵素の使用を提供する。
【0223】
遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP-COR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP-COR遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CYP-COR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCYP-COR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。CYP-COR遺伝子は、パパヴェル・ブラクテアタム、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル・セチゲラム(Papaver setigerum)、ケリドニウム・マジャス(Chelidonium majus)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CYP-COR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して77%同様である。
【0224】
[CPR]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素シトクロムP450レダクターゼの発現を改変し得る。シトクロムP450レダクターゼは、CPR遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、シトクロムP450レダクターゼは、図7に参照されるように、(R)-レチクリン→サルタリジンの反応を触媒する。加えて、シトクロムP450レダクターゼは、本明細書を通して図に記載のものなどの他の反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCPR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCPR遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CPR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCPR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。CPR遺伝子は、ハナビシソウ、P.ソムニフェルム、H.サピエンス(H.sapiens)、S.セレビシエ、シロイヌナズナ(A.thaliana)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CPR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0225】
[SalSyn]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素サルタリジンシンターゼの発現を改変し得る。サルタリジンシンターゼは、SalSyn遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、サルタリジンシンターゼは、図7に参照されるように、(R)-レチクリン→サルタリジンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSalSyn遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSalSyn遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、SalSyn遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのSalSyn遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、SalSyn遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。いくつかの例では、SalSynは、N末端で改変されてよい。SalSyn遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル属(Papaver spp)、ケリドニウム・マジャス、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、SalSyn遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して78%同様であり得る。
【0226】
[SalR]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素サルタリジンレダクターゼの発現を改変し得る。サルタリジンレダクターゼは、SalR遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、サルタリジンレダクターゼは、図7に参照されるように、サルタリジノール→サルタリジンの反応を可逆的に触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSalR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSalR遺伝子の発現を合成的に制御してよい例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、SalR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのSalR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、SalR遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。SalR遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル・ブラクテアタム、パパヴェル属、ケリドニウム・マジャス、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、SalR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して80~100%同様であり得る。
【0227】
[SalAT]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素アセチル-CoA:サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼの発現を改変し得る。アセチル-CoA:サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼは、SalAT遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、アセチル-CoA:サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼは、図7に参照されるように、アセチル-CoA+サルタリジノール→CoA+7-O-アセチルサルタリジノールの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSalAT遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSalAT遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、SalAT遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのSalAT遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、SalAT遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。SalAT遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル・ブラクテアタム、パパヴェル・オリエンタレ(Papaver orientale)、パパヴェル属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、SalAT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して77~80%同様であり得る。
【0228】
[T6ODM]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素テバイン6-O-脱メチル化酵素の発現を改変し得る。テバイン6-O脱メチル化酵素は、T6ODM遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、テバイン6-O-脱メチル化酵素は、図7に参照されるように、テバイン→ネオピノンの反応を触媒する。一度ネオピノンが産生されると、ネオピノンは、コデイノンへと変換され得る。ネオピノン→コデイノンの変換は自然発生的に生じ得る。あるいは、ネオピノン→コデイノンの変換は、触媒された反応の結果として生じ得る。他の例では、T6ODM酵素は、テバイン以外の基質のO-脱メチル化を触媒し得る。例えば、T6ODMは、オリパビンをO-脱メチル化して、モルフィノンを産生し得る。あるいは、T6ODMは、1-ベンジルイソキノリン、プロトベルベリン、またはプロトピンクラス、例えば、それぞれ、パパベリン、カナジン、及びアロクリプトピン内のBIAのO-脱メチル化を触媒し得る。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるT6ODM遺伝子の構成的発現を含んでよい。o加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるT6ODM遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、T6ODM遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのT6ODM遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、T6ODM遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。T6ODM遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、T6ODM遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して76.2%同様であり得る。
【0229】
[COR]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素コデイノンレダクターゼの発現を改変し得る。コデイノンレダクターゼは、COR遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、コデイノンレダクターゼは、図7に参照されるように、コデイノンのコデインへの反応を触媒する。いくつかの場合では、コデイノンレダクターゼは、ネオピノンのネオピンへの反応を触媒することができる。他の例では、CORは、ヒドロコドン→ジヒドロコデイン、14-ヒドロキシコデイノン→14-ヒドロキシコデイン、及びヒドロモルフォン→ジヒドロモルヒネを含む他のモルフィナンの還元を触媒することができる。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCOR遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCOR遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、COR遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCOR遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、COR遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。加えてまたはあるいは、COR遺伝子は、ミトコンドリア、液胞、小胞体、またはそれらの組み合わせに対する標的化配列の付加を用いて改変され得る。COR遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、COR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して76~78%同様であり得る。例では、COR遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して76.8%、77.0%、77.3%、または77.7%同様であり得る。
【0230】
[CODM]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素コデインO-脱メチル化酵素の発現を改変し得る。コデインO-脱メチル化酵素は、CODM遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、コデインO-脱メチル化酵素は、図7に参照されるように、コデインのモルヒネへの反応を触媒する。コデインO-脱メチル化酵素は、ネオピンのネオモルフィンへの反応も触媒することができる。コデインO-脱メチル化酵素は、テバインのオリパビンへの反応も触媒することができる。他の例では、CODMは、1-ベンジルイソキノリン、アポルフィン、及びプロトベルベリンクラス、例えば、それぞれレチクリン、イソコリジン、及びスコウレリン内でBIAのO-脱メチル化を触媒し得る。他の例では、CODM酵素は、O,O-脱メチレン化反応を触媒して、プロトピンにおけるメチレンジオキシ架橋構造を切断し得る。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCODM遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCODM遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CODM遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCODM遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、CODM遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。加えてまたはあるいは、CODM遺伝子は、ミトコンドリアに対する標的化配列の付加を用いて改変され得る。CODM遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CODM遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して75%同様であり得る。例では、CODM遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して75.2%同様であり得る。
【0231】
[BBE]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ベルベリン架橋酵素の発現を改変し得る。ベルベリン架橋酵素は、BBE遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、ベルベリン架橋酵素は、図8に参照されるように、(S)-レチクリン→(S)-スコウレリンの反応を触媒する。図8は、本発明の実施形態に係るプロトベルベリンアルカロイドへの、L-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。具体的には、図8は、酵素BBE、ベルベリン架橋酵素;S9OMT、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ;CAS、カナジンシンターゼ;CPR、シトクロムP450レダクターゼ;及びSTOX、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼの使用を提供する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるBBE遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるBBE遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、BBE遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのBBE遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。BBE遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、アザミゲシ、ハナビシソウ、ベルベリス・ストロニフェラ、タリクトラム・フラブム亜種グラウカム(Thalictrum flavum subsp.glaucum)、キクバオウレン、パパヴェル属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、BBE遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して99%同様であり得る。
【0232】
[S9OMT]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素S-アデノシル-L-メチオニン:(S)-スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼの発現を改変し得る。S-アデノシル-L-メチオニン:(S)-スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼは、S9OMT遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、S-アデノシル-L-メチオニン:(S)-スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼは、図8に参照されるように、S-アデノシル-L-メチオニン+(S)-スコウレリン→S-アデノシル-L-ホモシステイン+(S)-テトラヒドロコルンバミンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるS9OMT遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるS9OMT遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、S9OMT遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのS9OMT遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、S9OMT遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。S9OMT遺伝子は、タリクトラム・フラブム亜種グラウカム、キクバオウレン、トウオウレン、パパヴェル・ソムニフェル、タリクトラム属、オウレン属(Coptis spp.)、パパヴェル属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、S9OMT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。例では、S9OMT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して80%同様である。
【0233】
[CAS]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素(S)-カナジンシンターゼの発現を改変し得る。(S)-カナジンシンターゼは、CAS遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、(S)-カナジンシンターゼは、図8に参照されるように、(S)-テトラヒドロコルンバミン→(S)-カナジンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞においてCAS遺伝子を発現してよい。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCAS遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCAS遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CAS遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCAS遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよいCAS遺伝子は、タリクトラム・フラブム亜種グラウカム、キクバオウレン、タリクトラム属、オウレン属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CAS遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。
【0234】
[STOX]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素(S)-テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼの発現を改変し得る。(S)-テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼは、STOX遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、(S)-テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼは、図8に参照されるように、(S)-テトラヒドロベルベリン+2O→ベルベリン+2Hの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSTOX遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSTOX遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、STOX遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのSTOX遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの例では、STOXは、N末端で改変されてよい。いくつかの場合では、STOX遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。STOX遺伝子は、ベルベリス・ウィルソナエ、キクバオウレン、ベルベリス属(Berberis spp.)、オウレン属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、STOX遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して78%同様であり得る。
【0235】
[TNMT]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼの発現を改変し得る。テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼは、TNMT遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼは、図9に参照されるように、カナジン→N-メチルカナジンの反応を触媒する。図9は、本発明の実施形態に係る、ノスカピン、ノスカピノイド、及びフタリドイソキノリンへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。具体的には、図9は、酵素BBE、ベルベリン架橋酵素;S9OMT、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ;CAS、カナジンシンターゼ;CPR、シトクロムP450レダクターゼ;TNMT、テトラヒドロプロトベルベリンシス-N-メチルトランスフェラーゼ;CYP82Y1、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ;CYP82X2、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ;AT1、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカンジン13-O-アセチルトランスフェラーゼ;CYP82X1、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ;CXE1、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ;NOS(またはSDR1)、ノスカピンシンターゼ;MT2、ナルコトリン-4’-O-メチルトランスフェラーゼ(trasnferase)1;MT3、ナルコトリン-4’-O-メチルトランスフェラーゼ2;及び6OMT、6-O-メチルトランスフェラーゼの使用を提供する。
【0236】
他の例では、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼは、図10に参照されるように、スチロピン→シス-N-メチルスチロピンの反応を触媒する。図10は、本発明の実施形態に係る、サンギナリン及びベンゾフェナントリジンアルカロイドへのL-チロシンの変換のための生合成スキームを示す。具体的には、図10は、酵素BBE、ベルベリン架橋酵素;CFS、ケイランチホリンシンターゼ;STS、スチロピンシンターゼ;TNMT、テトラヒドロベルベリンN-メチルトランスフェラーゼ;MSH、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ;P6H、プロトピン6-ヒドロキシラーゼ;及びDBOX、ジヒドロベンゾフェナントリド(benzophenanthride)オキシダーゼの使用を提供する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTNMT遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるTNMT遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、TNMT遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのTNMT遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、TNMT遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。TNMT遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、ハナビシソウ、パパヴェル・ブラクテアタム、アザミゲシ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、TNMT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。例では、TNMT遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して81%同様であり得る。
【0237】
[CYP82Y1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼの発現を改変し得る。N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼは、CYP82Y1遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼは、図9に参照されるように、N-メチルカナジン→1-ヒドロキシ-N-メチルカナジンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP82Y1遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP82Y1遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CYP82Y1遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCYP82Y1遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、CYP82Y1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。いくつかの例では、CYP82Y1は、N末端で改変されてよい。CYP82Y1遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル属、エダウチオオバコ(Plantago arenaria)、ラウオルフィア・ヘテロフィラ(Rauwolfia heterophylla)、アドルミア・フンゴサ(Adlumia fungosa)、ヒドラスチス・カナデンシス(Hydrastis canadensis)、スティロメコン・ヘテロフィラ(Stylomecon heterophylla)、ヒペコウム属(Hypecoum)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CYP82Y1遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して70~78%同様であり得る。
【0238】
[CYP82X2]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼの発現を改変し得る。1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼは、CYP82X2遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼは、図9に参照されるように、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン→1-ヒドロキシ-N-メチルオフィオカルピン(すなわち1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン)の反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP82X2遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP82X2遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CYP82X2遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCYP82X2遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、CYP82X2遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。いくつかの例では、CYP82X2は、N末端で改変されてよい。CYP82X2遺伝子は、P.ソムニフェルム、パパヴェル属、エダウチオオバコ、ラウオルフィア・ヘテロフィラ、アドルミア・フンゴサ、ヒドラスチス・カナデンシス、スティロメコン・ヘテロフィラ、ダクティリカプノス・トルロサ(Dactylicapnos torulosa)、グラウシウム・フラブム(Glaucium flavum)、ベルベリス・ラウリナ(Berberis laurina)、B.バルガリス(B.Vulgaris)、コリダリス属(Corydalis spp)、フマリア属(Fumaria spp)、ダクティリカプノス属(Dactylicapnos spp.)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CYP82X2遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して70~77%同様であり得る。他の例では、CYP82X2遺伝子は、N末端遺伝子操作を受け得る。例では、N末端遺伝子操作は、N末端切断短縮を含み得る。
【0239】
[CYP82X1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼの発現を改変し得る。4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼは、CYP82X1遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼは、図9に参照されるように、1-ヒドロキシ-13-O-アセチル-N-メチルカナジン→4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンの反応を触媒する。加えて、CYP82X1は、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン→4’-O-デスメチルマクラントアルデヒドの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP82X1遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP82X1遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CYP82X1遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCYP82X1遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、CYP82X1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。いくつかの例では、CYP82X1は、N末端で改変されてよい。CYP82X1遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェル、パパヴェル属、エダウチオオバコ、ラウオルフィア・ヘテロフィラ、アドルミア・フンゴサ、ヒドラスチス・カナデンシス、スティロメコン・ヘテロフィラ、ヒペコウム属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CYP82X1遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して71~77%同様であり得る。他の例では、CYP82X1遺伝子は、N末端遺伝子操作を受け得る。例では、N末端遺伝子操作は、N末端切断短縮を含み得る。
【0240】
[CFS]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ケイランチホリンシンターゼの発現を改変し得る。ケイランチホリンシンターゼは、CFS遺伝子によりコードされる。例では、ケイランチホリンシンターゼは、図10に参照されるように、スコウレリン→ケイランチホリンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCFS遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCFS遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CFS遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCFS遺伝の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。CFS遺伝子は、P.ソムニフェルム、ハナビシソウ、アザミゲシ(A.mexicana)、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CFS遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して77%、78%、または79%同様であり得る。加えて、CFS遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。
【0241】
[STS]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素スチロピンシンターゼの発現を改変し得る。スチロピンシンターゼは、STS遺伝子によりコードされる。例では、スチロピンシンターゼは、図10に参照されるように、ケイランチホリン→スチロピンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSTS遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSTS遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、STS遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのSTS遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。STS遺伝子は、P.ソムニフェルム、ハナビシソウ、アザミゲシ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、STS遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して76%、78%、または79%同様であり得る。加えて、STS遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。
【0242】
[MSH]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼの発現を改変し得る。シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼは、MSH遺伝子によりコードされる。例では、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼは、図10に参照されるように、シス-N-メチルスチロピン→プロトピンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるMSH遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるMSH遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、MSH遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのMSH遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。MSH遺伝子は、P.ソムニフェルムまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、MSH遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して79%同様であり得る。加えて、MSH遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。
【0243】
[P6H]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素プロトピン-6-ヒドロキシラーゼの発現を改変し得る。プロトピン-6-ヒドロキシラーゼは、P6H遺伝子によりコードされる。例では、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼは、図10に参照されるように、プロトピン→6-ヒドロキシプロトピンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるP6H遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるP6H遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、P6H遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCFS遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。P6H遺伝子は、P.ソムニフェルム、ハナビシソウ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、P6H遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して79%同様であり得る。加えて、P6H遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。
【0244】
[DBOX]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼの発現を改変し得る。ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼは、DBOX遺伝子によりコードされる。例では、ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼは、図10に参照されるように、ジヒドロサンギナリン→サンギナリンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるDBOX遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるDBOX遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、DBOX遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのDBOX遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。DBOX遺伝子は、P.ソムニフェルムまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、DBOX遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して100%同様であってよい。加えて、DBOX遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。
【0245】
[AT1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼの発現を改変し得る。1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼは、AT1遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼは、図11Aに参照されるように、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン→1-ヒドロキシ-13-O-アセチル-N-メチルカナジンの反応を触媒する。図11Aは、本発明の実施形態に係る、ノスカピンへのカナジンの変換のための生合成スキームを示す。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるAT1遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるAT1遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、AT1遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのAT1遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、AT1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。AT1遺伝子は、P.ソムニフェルム、パパヴェル属、エダウチオオバコ、ラウオルフィア・ヘテロフィラ、アドルミア・フンゴサ、ヒドラスチス・カナデンシス、スティロメコン・ヘテロフィラ、ヒペコウム・レプトカルプム(Hypecoum leptocarpum)、ダクティリカプノス・トルロサ、グラウシウム・フラブム、ベルベリス・ラウリナ、B.バルガリス、コリダリス属、フマリア属、ダクティリカプノス属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、AT1遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して81%同様である。
【0246】
[CXE1またはCXE2]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ナルコチンヘミアセタールシンターゼの発現を改変し得る。ナルコチンヘミアセタールシンターゼは、CXE1遺伝子によりコードされる。CXE2遺伝子によりコードされる酵素も、ナルコチンヘミアセタールシンターゼとして機能することができる。いくつかの例では、ナルコチンヘミアセタールシンターゼは、図11Aに参照されるように、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシン→ナルコトリンヘミアセタール及び3-O-アセチルパパベロキシン→ナルコチンヘミアセタールの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCXE1またはCXE2遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCXE1またはCXE2遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CXE1またはCXE2遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCXE1またはCXE2遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、CXE1またはCXE2遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。CXE1またはCXE2遺伝子は、P.ソムニフェルム、パパヴェル属、エダウチオオバコ、ラウオルフィア・ヘテロフィラ、アドルミア・フンゴサ、ヒドラスチス・カナデンシス、スティロメコン・ヘテロフィラ、ヒペコウム・レプトカルプム、ダクティリカプノス・トルロサ、グラウシウム・フラブム、ベルベリス・ラウリナ、B.バルガリス、コリダリス属、フマリア属、ダクティリカプノス属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、CXE1遺伝子またはCXE2遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して78%同様であり得る。
【0247】
[SDR1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ノスカピンシンターゼの発現を改変し得る。ノスカピンシンターゼは、SDR1遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、ノスカピンシンターゼは、図11Aに参照されるように、ナルコトリンヘミアセタール→ナルコトリンの反応を触媒する。加えて、ノスカピンシンターゼは、ナルコチンヘミアセタール→ノスカピンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSDR1遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるSDR1遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、SDR1遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのSDR1遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、SDR1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。SDR1遺伝子は、P.ソムニフェルム、パパヴェル属、エダウチオオバコ、ラウオルフィア・ヘテロフィラ、アドルミア・フンゴサ、ヒドラスチス・カナデンシス、スティロメコン・ヘテロフィラ、ヒペコウム・レプトカルプム、ダクティリカプノス・トルロサ、グラウシウム・フラブム、ベルベリス・ラウリナ、B.バルガリス、コリダリス属、フマリア属、ダクティリカプノス属、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、SDR1遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して79%同様であり得る。
【0248】
[MT2及びMT3]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ナルコトリン4’-O-メチラーゼの発現を改変し得る。ナルコトリン4’-O-メチラーゼは、MT2及びMT3遺伝子によりコードされるO-メチルトランスフェラーゼモノマーにより形成されるヘテロ二量体である。いくつかの例では、ナルコトリン4’-O-メチラーゼは、図11Aに参照されるように、ナルコトリン→ノスカピンの反応を触媒する。加えて、ナルコトリン4’-O-メチラーゼは、ナルコトリンネヘミアセタール(narcotolinenehemiacetal)→ナルコチンヘミアセタール及び4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシン→3-O-アセチルパパベロキシンの反応を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるMT2及びMT3遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるMT2及びMT3遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、MT2及びMT3遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのMT2及びMT3遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、MT2及びMT3遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。MT2及びMT3遺伝子は、P.ソムニフェルム、パパヴェル属、フマリア・パルビフローラ(Fumaria parviflora)、エダウチオオバコ、ラウオルフィア・ヘテロフィラ、または別の種に由来し得る。いくつかの例では、MT2及びMT3遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して、それぞれ80%及び79%同様であり得る。
【0249】
[morA]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素モルヒネデヒドロゲナーゼの発現を改変し得る。モルヒネデヒドロゲナーゼは、morA遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、モルヒネデヒドロゲナーゼは、図11Bに参照されるように、モルヒネ→モルフィノンの反応を触媒する。他の例では、モルヒネデヒドロゲナーゼは、図11Bに参照されるように、コデイノン→コデインの反応を触媒する。図11Bは、本発明の実施形態に係る、半合成オピオイドの産生のための生合成スキームを示す。具体的には、図11Bは、morA、モルヒネデヒドロゲナーゼ;及びmorB、モルヒネレダクターゼを取り込むことによる酵母におけるテバインの拡張した形質転換を示す。
【0250】
遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるmorA遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるmorA遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、morA遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのmorA遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、morA遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。morA遺伝子は、シュードモナス・プチダまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、morA遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して73.7%同様であり得る。
【0251】
[morB]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素モルフィノンレダクターゼの発現を改変し得る。モルフィノンレダクターゼは、morB遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、モルフィノンレダクターゼは、図11Bに参照されるように、コデイノン→ヒドロコドンの反応を触媒する。他の例では、モルフィノンレダクターゼは、同じく図11Bに参照されるように、モルフィノン→ヒドロモルフォンの反応を触媒する。他の例では、モルフィノンレダクターゼは、反応14-ヒドロキシコデイノン→オキシコドンを触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるmorB遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるmorB遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、morB遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのmorB遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、morB遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。morB遺伝子は、シュードモナス・プチダまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、morB遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して67.2%同様であり得る。
【0252】
[CYP80A1]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素ベルバムニンシンターゼを発現し得る。ベルバムニンシンターゼは、シトクロムP450酵素80A1(CYP80A1)のための遺伝子によりコードされる。いくつかの例では、CYP80A1は、反応(S)-N-メチルコクラウリン+(R)-N-メチルコクラウリン→ベルバムニンを触媒する。他の例では、CYP80A1は、反応(R)-N-メチルコクラウリン+(R)-N-メチルコクラウリン→グアッテガウメリンを触媒する。他の例では、CYP80A1は、反応(R)-N-メチルコクラウリン+(S)-コクラウリン→2’ノルベルバムニンを触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP80A1遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるCYP80A1遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、CYP80A1遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのCYP80A1遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、CYP80A1遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。CYP80A1遺伝子は、ベルベリス・ストロニフェラまたは別の種に由来し得る。いくつかの例では、CYP80A1遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して76%同様であり得る。
【0253】
[PODA]いくつかの例では、遺伝子操作された宿主細胞は、酵素プロトピンO-デアルキラーゼを発現し得る。プロトピンO-デアルキラーゼは、遺伝子PODAによりコードされる。いくつかの例では、PODAは、カナジン、スチロピン、ベルベリン、クリプトピン、アロクリプトピン、及びプロトピンなどのプロトベルベリン及びプロトピンのO,O-脱メチレン化を触媒する。いくつかの例では、PODAは、テトラヒドロパパベリン、テトラヒドロパルマチン、及びクリプトピンを含むBIAのO-脱メチル化を触媒する。遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるPODA遺伝子の構成的発現を含んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞におけるPODA遺伝子の発現を合成的に制御してよい。例では、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、PODA遺伝子の1つもしくは複数のコピー、または追加のコピーを取り込んでよい。加えてまたはあるいは、遺伝子操作された宿主細胞を改変して、遺伝子操作された宿主細胞内でのPODA遺伝子の過剰発現のための強力なプロモーターエレメントの導入を取り込んでよい。いくつかの場合では、PODA遺伝子は、サッカロミセス・セレビシエにおける発現のためにコドン最適化され得る。PODA遺伝子は、パパヴェル・ソムニフェルまたは他の種に由来し得る。いくつかの例では、PODA遺伝子は、天然に存在する遺伝子に対して70~100%同様であり得る。
【0254】
前述の遺伝子の例は、プラスミド(2μ、ARS/CEN)、YAC、またはゲノムを含む、宿主細胞におけるいくつかの異なるプラットフォームから発現されることができる。加えて、前述の遺伝子配列の例は、天然型であるかまたは所望の異種宿主(例えば、サッカロミセス・セレビシエ)における発現のためにコドン最適化されているかのいずれであることもできる。
【実施例
【0255】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を示す目的のために与えられ、いかなる形でも本発明を限定することを意味しない。示される場合、発現構築物は、好適なプロモーター、遺伝子、及びターミネーター取り込み、それは、使用される正確なターミネーター配列が特定されていない場合も含むと理解される。本実施例は、本明細書に記載される方法と共に、目下好ましい実施形態を表しており、例示的であり、本発明の範囲を限定することを意図しない。特許請求の範囲によって定義される本発明の精神内に包含されるその中の変化及び他の用途は、当業者に想定されるであろう。
【0256】
実施例1:チロシンヒドロキシラーゼ突然変異体は遺伝子操作された酵母菌株におけるノルコクラウリン産生を向上させる
ドブネズミ(R.norvegicus)由来のチロシンヒドロキシラーゼを、酵母コドン最適化し、合成し、低コピープラスミド中にクローニングした。単一の突然変異体(W166Y、E332D、S40D及びR37ER38E)、二重突然変異体(W166Y及びE332D、W166Y及びS40D、W166Y及びR37ER38E)、及び1つの三重突然変異体(W166Y、R37ER38E、及びE332D)を、部位特異的突然変異誘発を通して生成した。各TyrH突然変異体を、中央代謝に以下の突然変異(米国仮特許出願番号第61/899,496号に記載):ARO4FBR、ΔZWF1、及びGPD-TKL1プロモーター置換を含有する酵母菌株中にてGPDプロモーターを有する低コピープラスミドから発現させた。加えて、菌株は、P.プチダ(P.putida)由来のドパデカルボキシラーゼ(DODC)の染色体に組込まれたコピー、補助基質テトラヒドロビオプテリンを生成するドブネズミ由来の4つの染色体に組込まれた遺伝子(ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ、PTPS;セピアプテリンレダクターゼ、SepR;プテリン4a-カルビノールアミン脱水酵素、PCD;ジヒドロプテリジンレダクターゼ、QDHPR)、及びGPDプロモーターを有する低コピープラスミドから発現されるキクバオウレン(C.japonica)由来のノルコクラウリンシンターゼ(NCS)を発現した。TyrH突然変異体を有する菌株を、2%デキストロースを有してチロシンを欠く選択規定培地(YNB)中で96時間にわたって増殖させ、ノルコクラウリンの産生を、トランジション272m/z~107m/zでMRMモードにおいてLC-MS/MSを介して培地中で測定した。図12は、このアッセイの結果を示し、TyrH突然変異体が、野生型TyrHと比較したときにノルコクラウリン産生を、9倍も多く向上させることができることを実証する。このように、図12は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株における糖からのノルコクラウリン産生を向上させるチロシンヒドロキシラーゼ突然変異体を示す。
【0257】
実施例2:チロシンヒドロキシラーゼ突然変異体は遺伝子操作された酵母菌株におけるレチクリン産生を向上させる
ドブネズミ由来のチロシンヒドロキシラーゼを、酵母コドン最適化し、合成し、低コピープラスミド中にクローニングした。単一の突然変異体(W166Y、E332D、S40D及びR37ER38E)、二重突然変異体(W166Y及びE332D、W166Y及びS40D、W166Y及びR37ER38E)、及び1つの三重突然変異体(W166Y、R37ER38E、及びE332D)を、部位特異的突然変異誘発を通して生成した。各TyrH突然変異体は、中央代謝に以下の突然変異(米国仮特許出願番号第61/899,496号に記載):ARO4FBR、ΔZWF1、及びGPD-TKL1プロモーター置換を含有する酵母菌株中にてGPDプロモーターを有する低コピープラスミドから発現させた。加えて、菌株は、P.プチダ由来のドパデカルボキシラーゼ(DODC)の染色体に組込まれたコピー、補助基質テトラヒドロビオプテリンを生成するドブネズミ由来の4つの染色体に組込まれた遺伝子(ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ、PTPS;セピアプテリンレダクターゼ、SepR;プテリン4a-カルビノールアミン脱水酵素、PCD;ジヒドロプテリジンレダクターゼ、QDHPR)、GPDプロモーターを有する低コピープラスミドから発現されるキクバオウレン由来のノルコクラウリンシンターゼ(NCS)、及びノルコクラウリンからのレチクリンの生合成のための5つの遺伝子(P.ソムニフェルム 6-O-メチルトランスフェラーゼ、Ps6OMT;P.ソムニフェルムコクラウリンN-メチルトランスフェラーゼ、PsCNMT;ハナビシソウ シトクロムP450 80B1、EcCYP80B1;P.ソムニフェルムシトクロムP450 NADPHレダクターゼ、PsCPR;及びP.ソムニフェルム 3’ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4’-O-メチルトランスフェラーゼ、Ps4’OMT)を発現した。TyrH突然変異体を有する菌株を、2%デキストロースを有してチロシンを欠く選択規定培地(YNB)中で96時間にわたって増殖させ、レチクリンの産生を、トランジション330m/z~137m/zでMRMモードにおいてLC-MS/MSを介して培地中で測定した。図13は、このアッセイの結果を示し、TyrH突然変異体が、野生型TyrHと比較したときにレチクリン産生を、5倍も多く向上させることができることを実証する。このように、図13は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株における糖からのレチクリン産生を向上させるチロシンヒドロキシラーゼ突然変異体を示す。
【0258】
実施例3:DHFRの発現は遺伝子操作された酵母菌株におけるチロシンヒドロキシラーゼ活性を向上させる
ドブネズミ由来のジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を、酵母コドン最適化し、合成し、GPDプロモーターの制御下で低コピープラスミド中にクローニングした。DHFRを、野生型RnTyrH(GPDプロモーターを有する低コピープラスミド)と、中央代謝に以下の突然変異(米国仮特許出願番号第61/899,496号に記載):ARO4FBR、ΔZWF1、及びGPD-TKL1プロモーター置換を含有する酵母菌株中にて共発現させた。加えて、菌株は、補助基質テトラヒドロビオプテリンを生成するドブネズミ由来の4つの染色体に組込まれた遺伝子(ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ、PTPS;セピアプテリンレダクターゼ、SepR;プテリン4a-カルビノールアミン脱水酵素、PCD;ジヒドロプテリジンレダクターゼ、QDHPR)を発現した。DHFR及び野生型RnTyrHを発現する菌株を、2%デキストロースを有してチロシンを欠く選択規定培地(YNB)中で96時間にわたって増殖させ、L-ドパの産生を、トランジション198m/z~152m/zでMRMモードにおいてLC-MS/MSを介して培地中で測定した。野生型RnTyrHを伴うDHFRの発現は、図14に示すように、L-ドパ産生を1.8倍増加させる。このように、図14は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株におけるチロシンヒドロキシラーゼによるL-ドパ産生を向上させるジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)の共発現を示す。
【0259】
実施例4:増殖培地への抗酸化剤の添加は遺伝子操作された酵母菌株におけるチロシンヒドロキシラーゼ活性を向上させる
中央代謝に以下の突然変異(米国仮特許出願番号第61/899,496号に記載):ARO4FBR、ΔZWF1、及びGPD-TKL1プロモーター置換を含有し、補助基質テトラヒドロビオプテリンを生成するドブネズミ由来の4つの染色体に組込まれた遺伝子(ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ、PTPS;セピアプテリンレダクターゼ、SepR;プテリン4a-カルビノールアミン脱水酵素、PCD;ジヒドロプテリジンレダクターゼ、QDHPR)ならびにGPDプロモーターの制御下で低コピープラスミドから野生型RnTyrHを発現する酵母菌株を、2%ガラクトース及び2mMアスコルビン酸を有してチロシンを欠く選択規定培地(YNB)中で96時間にわたって増殖させた。
【0260】
L-ドパの産生は、トランジション198m/z~152m/zでMRMモードにおいてLC-MS/MSを介して培地中で測定した。2mMアスコルビン酸の添加は、野生型RnTyrHを用いたL-ドパ産生を1.8倍向上させる。加えて、濃縮BH中間体を、以下のトランジション:B、238m/z~178m/z;BH2、240m/z~165m/z及びBH4、242m/z~166m/zで、MRMモードにおいてLC-MS/MSで測定した。アスコルビン酸の添加は、培地中のBHも増加させ、これは、BHのBHへの酸化が防がれたことを示す。
【0261】
したがって、図15は、本発明の実施形態に係る、(A)遺伝子操作された酵母菌株においてチロシンヒドロキシラーゼによりL-ドパ産生を向上させる培地への抗酸化剤の添加及び(B)BHレベルを増加させる培地への抗酸化剤の添加を示す。具体的には、図15Aは、野生型RnTyrH(GPDプロモーターの制御下で低コピープラスミドから発現された)が、中央代謝に以下の突然変異(米国仮特許出願番号第61/899,496号に記載):ARO4FBR、ΔZWF1、及びGPD-TKL1プロモーター置換を含有する酵母菌株中にて発現されたことを示す。加えて、菌株は、補助基質テトラヒドロビオプテリンを生成するドブネズミ由来の4つの染色体に組込まれた遺伝子(ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ、PTPS;セピアプテリンレダクターゼ、SepR;プテリン4a-カルビノールアミン脱水酵素、PCD;ジヒドロプテリジンレダクターゼ、QDHPR)を発現した。野生型RnTyrHを発現する菌株を、2%デキストロースを有してチロシンを欠き、2mMアスコルビン酸(aa)を有するまたは有さない選択規定培地(YNB)中で96時間にわたって増殖させた。L-ドパの産生を、トランジション198m/z~152m/zでMRMモードにおいてLC-MS/MSを介して培地中で測定した。加えて、図15Bは、図15Aに記載のものと同一の菌株において、以下のトランジション:BH、242m/z~166m/zでMRMモードにおいてLC-MS/MSを用いて、2mMアスコルビン酸(aa)を有してまたは有さずに増殖させた菌株の培地中でBH中間体の濃度が測定されたことを示す。
【0262】
実施例5:ビスBIAベルバムニンを産生するように遺伝子操作された酵母菌株
図16は、本発明の実施形態に係る、(A)ビスBIAへのL-チロシンの変換のための生合成スキーム及び(B)ビスBIAを生合成するように遺伝子操作された酵母菌株を示す。具体的には、図16(A)は、ビスBIAベルバムニン及びグアッテガウメリンを産生するために使用される経路を示す。図16は、酵素ARO9、芳香族アミノトランスフェラーゼ;ARO10、フェニルピルビン酸デカルボキシラーゼ(decarboxlase);TyrH、チロシンヒドロキシラーゼ;DODC、ドパデカルボキシラーゼ;NCS、ノルコクラウリンシンターゼ;6OMT、6-O-メチルトランスフェラーゼ;CNMT、コクラウリンN-メチルトランスフェラーゼ;CYP80A1、シトクロムP450 80A1;CPR、シトクロムP450 NADPHレダクターゼの使用を提供する。図16に提供する代謝産物の中で、4-HPA、4-HPP、及びL-チロシンは、酵母において天然に合成される。図16に示される他の代謝産物は、酵母において天然には合成されない。
【0263】
本発明の実施例では、(A)に示す経路を使用して生成されるものなどのビスBIAを産生するビスBIA産生酵母菌株は、単一の構築物を遺伝子座YDR514C中に組込むことにより遺伝子操作される。加えて、図16(B)は、ビスBIAを合成するように遺伝子操作された酵母菌株の例を提供する。Ps6OMT、PsCNMT、PsCPR、及びBsCYP80A1は、酵母ゲノム中に単一の遺伝子座(YDR514C)で組込まれた。各酵素は、構成的プロモーターから発現された。遺伝子発現カセットの配置及び転写方向は、模式図の矢印により示される。これらの菌株は、(R)-及び(S)-ノルコクラウリンをコクラウリンへと、次いで、N-メチルコクラウリンへと変換する。一例では、菌株は、(R)-N-メチルコクラウリンの1分子及び(S)-N-メチルコクラウリンの1分子をコンジュゲートして、ベルバムニンを形成し得る。別の例では、菌株は、(R)-N-メチルコクラウリンの2つの分子をコンジュゲートして、グアッテガウメリンを形成し得る。別の例では、菌株は、(R)-N-メチルコクラウリンの1分子及び(S)-コクラウリンの1分子をコンジュゲートして、2’-ノルベルバムニンを形成し得る。別の実施形態では、菌株は、図5に提示するように、前駆体(R)-及び(S)-ノルコクラウリンをL-チロシンから提供するように、遺伝子操作され得る。
【0264】
構築物は、それらの天然型植物ヌクレオチド配列として発現されたP.ソムニフェルム酵素6OMT及びCNMTのための発現カセットを含む。P.ソムニフェルム由来の第三の酵素であるCPRは、酵母における発現のためにコドン最適化されている。PsCPRは、第4の酵素であるベルベリス・ストロニフェラ CYP80A1の活性を支持し、また酵母における発現のためにコドン最適化されている。発現カセットはそれぞれ、特有の酵母構成的プロモーター及びターミネーターを含む。最後に、組込み構築物は、Creリコンビナーゼによる切除のためにloxP部位に隣接するLEU2選択マーカーを含む。
【0265】
Ps6OMT、PsCNMT、BsCYP80A1、及びPsCPRを発現する酵母菌株は、選的培地中で16時間にわたり、30℃にて振とうさせた状態で培養する。細胞は、遠心分離により回収され、400μL破砕バッファー(100mMトリス-HCl、pH7.0、10%グリセロール、14mM 2-メルカプトエタノール、プロテアーゼ阻害剤カクテル)中に再懸濁される。ガラスビーズ及びボルテックスの添加によって細胞を物理的に破壊する。液体を除去し、以下の基質及び補因子:1mM(R,S)-ノルコクラウリン、10mM S-アデノシルメチオニン、25mM NADPHを添加して反応を開始する。粗細胞溶解物を30℃にて4時間インキュベートし、次いで0.1%酢酸で酸性化したエタノールを1:1で加えることによりクエンチする。反応物を遠心分離し、上清を液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)により分析して、ビスBIA産物ベルバムニン、グアッテガウメリン、及び2’-ノルベルバムニンを、それらの保持及び質量電荷比により検出する。
【0266】
実施例6.エピメラーゼ酵素の同定
本明細書に開示の方法のエピマー化反応を行うために好適なエピメラーゼ酵素を同定するために、シトクロムP450オキシダーゼ82Y1様ドメイン及びコデイノンレダクターゼ様ドメインを、市販の植物トランスクリプトーム中の単一のオープンリーディングフレーム(CYP-COR)において同定した。CYP-COR融合体を、1000 Plants Project(Matasci,et al.2014.Gigascience.3:17)及びPhytoMetaSyn(Facchini,et al.2012.Trends Biotechnol.30:127-31;Xiao,et al.2013.J.Biotechnol.166:122-34)トランスクリプトームのBLAST検索から、レチクリン蓄積をもたらした以前に公開されたCOR-サイレンシングVIGS構築物(Wijekoon and Facchini.2012.Plant J.69: 1052-63)の配列であるクエリーを用いるblastnを使用して、同定した。一度、1つのCYP-COR融合配列がヒットとして観察されると、その配列を翻訳し、そのアミノ酸配列を、tblastnを用いた両データベースの二回目の検索のためのクエリーとして使用した。データベースから同定された、CYP-COR融合酵素の系統樹を図17に提示する。配列は、1000 Plants Project及びPhytoMetaSynトランスクリプトームデータベースからバイオインフォマティック検索に基づいて同定された。加えて、例示的なアミノ酸配列を、上記のように、図4に提示する。加えて、表1は、このCYP-COR酵素に対して同定されたアミノ酸配列の様々な例を列挙し、これらは、パパヴェル・ソムニフェル(ケシ)、パパヴェル・セチゲラム(トロイポピー(poppy of Troy))、パパヴェル・ブラクテアタム(ハカマオニゲシ)、及びケリドニウム・マジャス(クサノオウ)を含む様々な植物に由来する。
【0267】
実施例7.遺伝子操作された非植物宿主細胞における(R)-レチクリンへの(S)-レチクリンのエピマー化
非植物宿主細胞を遺伝子操作して、本明細書に記載の酵素を異種発現させた。例えば、酵母菌株(サッカロミセス・セレビシエ)を遺伝子操作して、実施例6に記載の同定されたエピメラーゼを異種発現させ、この微生物宿主でのそれらの機能を確かめた。部分アミノ酸配列pbr.PBRST1PF_4328及びpbr.PBRST1PF_89405に対する酵母-コドン最適化DNAコード配列を、SSDU-2015634のアミノ酸1~40(表1)の酵母-コドン最適化コード配列とインフレームで合成して、それぞれ、CYP-COR_4328及びCYP-COR_89405を生成した。これらのCYP-CORコード配列を、URA3選択マーカーを有する低コピープラスミド中にクローニングし、TDH3プロモーターから発現させた。プラスミドを、染色体内に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-PsCPRv2)を有する酵母菌株中に形質転換した。2つのプラスミドを有するこれらの酵母菌株を、適切にしたドロップアウト溶液(-Ura-Trp)を有する合成完全培地中で増殖させた。酵母菌株に、(S)-レチクリンを供給し、BIA代謝産物を、LC-MS/MS分析により増殖の72時間後に分析した。
【0268】
実施例8.遺伝子操作された酵母細胞における(S)-レチクリンからのサルタリジンの産生
酵母菌株(サッカロミセス・セレビシエ)を遺伝子操作して、実施例6に記載の同定されたエピメラーゼを異種発現させ、この微生物宿主でのそれらの機能を確認した。部分アミノ酸配列pbr.PBRST1PF_4328及びpbr.PBRST1PF_89405に対する酵母-コドン最適化DNAコード配列を、SSDU-2015634のアミノ酸1~40(表1)の酵母-コドン最適化コード配列とインフレームで合成させて、それぞれ、CYP-COR_4328及びCYP-COR_89405を生成した。これらのCYP-CORコード配列を、URA3選択マーカーを有する低コピープラスミド中にクローニングし、TDH3プロモーターから発現させた。サルタリジンシンターゼ(SalSyn)コード配列を、TRP1選択マーカーを有する低コピープラスミド中にクローニングし、TDH3プロモーターから発現させた。プラスミドを、染色体に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-PsCPRv2)を有する酵母菌株中に形質転換した。2つのプラスミドを有するこれらの酵母菌株を、適切にしたドロップアウト溶液(-Ura-Trp)を有する合成完全培地中で増殖させた。酵母菌株に、(S)-レチクリンを供給し、BIA代謝産物を、LC-MS/MS分析により増殖の72時間後に分析した。分析により、遺伝子操作された酵母細胞は、(S)-レチクリンを(R)-レチクリンへと変換することができ、次いでこれにサルタリジンシンターゼが作用して、サルタリジン、4-環プロモルフィナンアルカロイドを形成することが示された(図7図18)。サルタリジンシンターゼは、(R)-レチクリンに作用し、(S)-レチクリンでの観察可能な活性はないと以前に示されている(Gesell,et al.2009.J.Biol.Chem.284:24432-42)。
【0269】
図7に示すように、CYP-CORは、(R)-レチクリンへの(S)-レチクリンの変換を触媒し、次いでこれに、サルタリジンシンターゼが作用して、プロモルフィナンアルカロイドサルタリジンを作製する。図18(A)は、2つのエピメラーゼバリアント(CYP-COR_89405、CYP-COR_4328)及び標準物に関するレチクリン及びサルタリジンを示すクロマトグラムのトレースを示す。図18(B)はまた、標準物質との共溶出を実証するために再プロットされたものとして、(A)におけるサルタリジンに関する同一のクロマトグラムトレースを示す。この実験では、酵母は、URA3及びTRP1選択マーカーを有する2つの低コピーCEN/ARSプラスミド、TDH3プロモーター、ならびにCYP-COR及びSalSynコード配列を含有する。酵母を、新しく形質転換したコロニーから3mL選択培地中で一晩増殖させ、3.5mL培地中にOD0.8まで希釈し戻し、7時間増殖させ、ペレット化し、次いで、100μM(S)-レチクリン(Specs)を有するpH7.4 HEPESバッファー中に再懸濁した。30℃にてスピナーで16時間後、酵母をペレット化し、バッファー上清をLC-MS/MSにより分析した。各トレースは、2つの代表的な単一の試料からのものである。ピークは、全てのクロマトグラムにおける最大ピークが100%であるように正規化する。
【0270】
実施例9.遺伝子操作された非植物宿主細胞におけるラセミノルラウダノソリンからの(R)-レチクリンの産生
酵母菌株(サッカロミセス・セレビシエ)を遺伝子操作して、実施例6に記載の同定されたエピメラーゼを異種的に発現させ、この微生物宿主におけるそれらの機能を確認した。実施例7に記載の酵母-コドン最適化DNAコード配列CYP-COR_89405を、URA3選択マーカーを有する低コピープラスミド中にクローニングし、TDH3プロモーターから発現させた。このプラスミドを、染色体に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-PsCPRv2)及び3つのメチルトランスフェラーゼ(パパヴェル・ソムニフェル ノルコクラウリン-6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリンN-メチルトランスフェラーゼ、及び3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン4’-O-メチルトランスフェラーゼ、全てPTEF1から発現される)の発現カセットを有する酵母菌株中に形質転換した。プラスミドを有するこの酵母菌株を、適切にしたドロップアウト溶液(-Ura)を有する合成完全培地中で増殖させた。酵母菌株に、ラセミノルラウダノソリンを供給し、BIA代謝産物を、LC-MS/MS分析により増殖の72時間後に分析した。キラルの特徴決定のために、レチクリンを、酵母培地から、5mL酵母培養物をペレット化し、120mg XAD-4樹脂を4mL上清に加え、室温にて回転器上で一晩インキュベーションし、0.5mLメタノールで溶出することにより濃縮した。濃縮物を、0.1%ギ酸を伴う均一溶媒の15%メタノールを用いて5mL/分の流速で6.5分間、40~50μLの注入量で、逆相HPLC(Pursuit XRs-C18、5μm、50mm×10mm)により分画した。ピークベースのフラクションを、おおよそ4.5分で回収した。フラクションを統合し、凍結乾燥させ、0.5mLイソプロパノール中に再懸濁した。濃度に応じて、0.5~5μLをキラルカラム(Phenomenex Luxセルロース-1、3μm、150mm×2mm)に注入し、均一溶媒の72%N-ヘキサン、28%イソプロパノール、0.1%ジエチルアミンを用いて0.3mL/分の流速、及びMSによる検出と250nm UVにより分離した。MS検出は、Agilent 6320イオントラップ質量分析計を用いて、350℃のESI源気体温度、10L/分の気体流、ネブライザー圧40PSI及び幅1.0でm/z330.1の単離で行った。レチクリンピークの保持時間を、真正の(S)-レチクリン及び(R)-レチクリン標準物のそれと比較した。分析により、CYP-CORプラスミドを含有する遺伝子操作された酵母細胞が、ラセミノルラウダノソリンを(R)-レチクリンに変換することができ、一方で空プラスミドを有する遺伝子操作された酵母細胞は、排他的に(S)-レチクリンを産生することが示された(図19)。
【0271】
実施例10:微生物宿主において発現されるときにサルタリジンシンターゼのプロセシング及び活性を向上させるためのサルタリジンシンターゼのタンパク質遺伝子操作
異種タンパク質は、組換え宿主において発現されるときに誤ってプロセシングされる場合があり、それは、例えば、微生物産生宿主において発現されるシトクロムP450酵素などの植物タンパク質である。例えば、サルタリジンシンターゼは、(R)-レチクリンをサルタリジンに変換するが、酵母において異種発現するとき、N結合型グリコシル化を受ける(図20)。サルタリジンシンターゼ上で観察されたN結合型グリコシル化パターンは、酵素が植物において発現される時には観察されず、新生SalSyn転写の誤ったN末端ソーティングを示し、これは、異種微生物宿主における酵素の活性を低下させる。ゆえに、新生転写物のN末端ソーティングを矯正し、それによりN結合型グリコシル化パターンを除去することを目的とするタンパク質遺伝子操作は、組換え産生宿主におけるサルタリジンシンターゼ酵素の活性の向上をもたらすだろう。
【0272】
例えば、ケイランチホリンシンターゼ(CFS)からのN末端αヘリックスを使用して、サルタリジンシンターゼからのN末端αヘリックスを置き換えた(SalSyn、図21)。これらの融合体の接合点は、CFS及びSalSynの二次構造モチーフに基づいて、またはCFS及びSalSynのアミノ酸アラインメントに基づいて、選択された。融合体を、CFSからのN末端断片及びSalSynからのC末端断片を、他の断片と重なる15~40ヌクレオチドで増幅することによりクローニングし、次いで、Gibson assemblyにより、互い及びベクター骨格で組み立て、完全な融合オープンリーディングフレームを形成した(Gibson,et al.2009.Nat Methods.6:343-5)。
【0273】
別の例として、サルタリジンシンターゼからのシトクロムP450ドメインのコード配列を、BM3酵素などの他の安定的に発現されるシトクロムP450のP450コード領域中に直接配置した。例えば、サルタリジンシンターゼの保存されたシトクロムP450ドメイン及びバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium) P450モノオキシゲナーゼCYP102A1(BM3、(Michener and Smolke.2012.Metab.Eng.14:306-16))の遺伝子操作されたバリアントからのシトクロムP450ドメインを、NCBI保存ドメイン検索により同定した。BM3の最初のいくつかのアミノ酸のコード配列をサルタリジンシンターゼのP450ドメインのコード配列に融合し、その後に、P450ドメインのC末端のBM3ドメインのコード配列が続くように、プライマーを設計した。前と同じように、この構築物は、Gibson assemblyを介して組み立てた。
【0274】
遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼタンパク質融合体を、ウェスタンブロット分析により分析して、酵母における完全長発現及びN結合型グリコシル化パターンに対する改変またはそれの消失を確認した(図20)。サルタリジンシンターゼ酵素及びタンパク質融合体を、ヒトインフルエンザヘマグルチニン(HA)エピトープを用いてC末端にタグ付けし、酵母及び植物発現に適切な発現プラスミド中にクローニングした。酵母については、酵素コード配列を、URA3選択マーカーを有する低コピー酵母/大腸菌シャトルベクター中にクローニングし、TDH3プロモーターから発現させた。植物については、配列は、カナマイシン耐性を有する大腸菌/アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)シャトルベクター及びササゲモザイクウイルスRNA-2からの5’及び3’未翻訳領域が隣接するカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)35Sプロモーター中に、アグロバクテリウム・ツメファシエンス浸潤を介する一時的な植物発現のためにクローニングした。サルタリジンシンターゼを発現するように遺伝子操作された酵母は、N結合型グリコシル化を示す横じま模様を呈した。本発明者らは、部位特異的突然変異誘発をグリコシル化部位に行うことによりこのパターンがN結合型グリコシル化に起因すると確認した。対照的に、図20(A)に見られるように、この酵素の植物発現は、N結合型グリコシル化を示す横じま模様をもたらさなかった。図20(B)に見られるにように、N結合型グリコシル化部位が未改変であったが、遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼタンパク質融合体は、酵母において発現されたときN-グリコシル化されなかった。ウェスタンブロット法により、本発明者らは、酵母-発現融合酵素は、植物発現親酵素について観察される発現と同様に、単一のバンドとして存在することを実証し、これは、N結合型グリコシル化をもたらす酵母における新生タンパク質のミスプロセシングは、遺伝子操作された融合体により修復されたことを示した。
【0275】
遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼタンパク質融合体を、酵母において異種発現されたときの酵素活性の向上について分析した。サルタリジンシンターゼ及び遺伝子操作された融合体のコード配列を、URA3選択マーカーを有する低コピープラスミド中にクローニングし、TDH3プロモーターから発現させた。酵母は、TRP1遺伝子座に組込まれたPTEF1-PsCPRv2を有し、URA3選択マーカーを有する単一の低コピープラスミド及びTDH3プロモーターを有するサルタリジンシンターゼコード配列を含有する。酵母を、新しく形質転換したコロニーから1mL選択培地(-Ura)中で一晩増殖させ、10μM(R)-レチクリン(Toronto Research Chemicals)で96ウェルプレートにおいて0.5mL選択培地中に1:20に希釈し戻した。振とう培養器に72~96時間入れた後、酵母をペレット化し、培地上清をLC-MS/MSにより分析した。分析により、遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼ酵素が、酵母において異種発現されるときに野生型配列のそれと比べて向上した活性を呈することが示された(図22)。
【0276】
図22は、本発明の実施形態に係る、酵母における活性を向上させるサルタリジンシンターゼコドン最適化及び遺伝子操作された融合体を示す。図22に見られるように、黒色のバーは、サルタリジンシンターゼに対する天然型野生型配列、PsCYP719B1を示す。黒色の枠を伴う灰色のバーは、パパヴェル・ソムニフェル及びパパヴェル・ブラクテアタムから新しく同定された配列からの酵母コドン最適化バリアントである。斜めにパターン形成されているバーは、最も向上した遺伝子操作された融合体を示し、これは、P.ブラクテアタム配列をベースとする。エラーバーは、少なくとも2つの生物学的反復の範囲を示す。P.ブラクテアタム、P.ソムニフェルム、またはP.セチゲラム(または関連する植物)由来のサルタリジンシンターゼの、天然、合成コドン最適化された、及び/またはタンパク質遺伝子操作されたバリアントは、これらの遺伝子操作された菌株において使用されてよい。
【0277】
遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼタンパク質融合体を、下流ベンジルイソキノリンアルカロイド産物の産生を増加させるために生合成経路で使用することができる。一例では、酵母を遺伝子操作して、遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼ融合体、P.ブラクテアタムサルタリジンレダクターゼ、及びP.ソムニフェルムサルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼをコードする酵母コドン最適化遺伝子を異種発現させた。3つの発現カセット(PTDH3-D94yPsSS、PTPI1-yPbSalR、PTEF1-yPsSalAT)を、TRP1切片マーカーを有する酵母人工染色体(YAC)へと組み立てた。YACを、染色体に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-yPsCPRv2)を有する酵母中に入れた。酵母菌株を、適切にしたドロップアウト溶液(-Trp)を有する合成完全培地において増殖させ、(R)-レチクリンを供給した。BIA代謝産物を、LC-MS/MS分析を通して増殖の96時間後に分析した。分析により、サルタリジンシンターゼ酵素及び他の経路酵素で遺伝子操作された酵母菌株が、モルフィナンアルカロイドテバインを産生することが示され、これは図23の(A)に示される。
【0278】
したがって、図23(A)は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母がテバインへの(R)-レチクリンの変換を触媒する小規模バッチ発酵のLC-MS/MS分析を示す。図23の(A)に提示するように、酵母菌株は、TRP1遺伝子座中に組込まれたPTEF1-ATR1発現カセットを有し、TRP1選択マーカー及び3つの発現カセット:PTDH3-yEcCFS1-83-yPsSS95-505、PTPI1-yPbSalR、及びPTEF1-yPsSalATを有する単一の酵母人工染色体を含有するように遺伝子操作される。酵母を、新しく形質転換したコロニーから3mL選択培地中で一晩増殖させ、100μM(R)-レチクリン(Toronto Research Chemicals)で培養管において0.5mL選択培地(-Trp)中に1:20に希釈し戻した。振とう培養器に72時間入れた後、酵母をペレット化し、培地上清をLC-MS/MSにより分析した。クロマトグラムトレースは、この菌株により産生されたテバインならびに蓄積したサルタリジノール及びサルタリジンを標準物とともに、示す。これらのトレースは、2つの試料の代表である。
【0279】
実施例11:異種微生物宿主からのモルフィナン産物の産生を向上させるための下流モルフィナン分岐における酵素のタンパク質遺伝子操作
本発明の一実施形態では、経路酵素は、遺伝子操作されて、目的のBIAの産生を増加させるための活性の増加を呈す。この例では、突然変異を、Mutazyme IIで増幅させることにより特定の経路酵素のオープンリーディングフレームに導入する(表6を参照されたい)。十分な鋳型DNAを増幅反応に含んで、遺伝子1個あたり、1~4個のヌクレオチド置換の突然変異率をもたらした。突然変異導入ライブラリーを、ギャップリペアにより直接的に酵母においてpYES1Lベクター中にクローニングした。いくつかの例では、ライブラリー発現のために選択された酵母菌株は、突然変異誘発された酵素の基質を生成する遺伝子の組込まれたコピーを含有した。例えば、CODMバリアントのライブラリーを、T6ODM及びCOR1.3の組込まれたコピーを有する菌株中に形質転換し、培地中でテバインを供給した。これらの菌株におけるT6ODM及びCOR1.3の発現は、コデイン及びネオピンが、各導入されたCODMバリアントの基質として利用可能であり得ることを確かにした。個別のコロニーを、96ウェルプレートに接種し、96時間培養し、次いで、液体クロマトグラフ質量分析(LC-MS)によりそれらの産物の産生についてアッセイした。CODMライブラリーの例では、産物を、モルヒネ及びネオモルフィンについてスクリーニングした。各スクリーンでは、BIA産生が増加したバリアントを配列決定し、検証のために再クローニングした。表6は、酵母におけるBIA産生の増加をもたらしたスクリーンを通して同定された突然変異型酵素バリアントの概要を含む。
【0280】
図24は、これらの突然変異体のうちの1つの検証された活性の増強のデータを示す。具体的には、図24は、本発明の実施形態に係る、ランダム突然変異誘発及びスクリーニングを通して酵母において活性の増強を呈するCODM酵素バリアントの生成を示す。CODMバリアントのライブラリーを、エラープローンPCRによりコード領域を突然変異誘発することにより生成した。このライブラリーのスクリーニングにより同定したバリアントであるCODMN35S、G335Vを再クローニングし、T6ODM及びCOR1.3の組込まれたコピーを有する酵母菌株において発現させた。この菌株及び野生型CODMを発現する別の対照菌株を、1mMテバインを有する液体培地において培養した。96時間後、培地をCODM活性についてLC-MSにより分析した。バリアントCODMN35S、G335Vは、野生型CODMを発現する菌株よりも、1.4倍多いモルヒネ及び2.6倍多いネオモルフィンを産生した。
【0281】
実施例12:異種微生物宿主からのベンジルイソキノリンアルカロイド産生を向上させるための発現及び増殖の条件の最適化
遺伝子操作された微生物宿主からのベジルイソキノリンアルカロイド産生は、経路酵素の発現及び増殖条件を最適化することによりさらに向上させることができる。一例では、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼの発現は、酵母において、一連の異なるプロモーターから酵素を発現することにより変えられる。酵母を、異なるプロモーターからのP.ソムニフェルムサルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼをコードする酵母コドン最適化遺伝子を異種発現するように遺伝子操作した(図25の(A)に提示する)。2つの発現カセット(PTPI1-yPbSalR、P-yPsSalAT)を、TRP1切片マーカーを有する酵母人工染色体(YAC)へと組み立てた。YACを、酵母に入れ、細胞を、適切にしたドロップアウト溶液(-Trp)を有する合成完全培地中で増殖させ、サルタリジンを供給した。BIA代謝産物を、LC-MS/MS分析により増殖の72時間後に分析した。経路酵素発現レベルの最適化は、モルフィナンアルカロイドテバインの産生を増加させることができる(図25の(A)に提示する)。
【0282】
糖源、増殖温度、及びpHを含むが、これらに限定されない菌株培養条件の最適化を使用して、遺伝子操作された酵母菌株からのベンジルイソキノリンアルカロイドの産生を増加させることができる(図25の(B)及び(C)に提示する)。一例では、pHを変動させて、遺伝子操作された酵母菌株からのテバイン産生を増加させた。2つの発現カセット(PTPI1-yPbSalR、PTEF1-yPsSalAT)を、TRP1切片マーカーを有する酵母人工染色体(YAC)へと組み立てた。YACを酵母に入れ、細胞を、適切にしたドロップアウト溶液(-Trp)を有する合成培地において増殖させ、pH5.7~9のバッファーに再懸濁し、サルタリジンを供給した。BIA代謝産物を、LC-MS/MS分析によりインキュベーションの16時間後に分析した。4-環プロモルフィナンアルカロイドサルタリジノール及び5-環モルフィナンアルカロイドテバインのレベルは、増加するpHの関数として増加した(図25の(B)に提示する)。
【0283】
別の例では、温度、糖、及び培地バッファー含有率を変動させて、遺伝子操作された酵母菌株からのテバイン産生を増加させた。3つの発現カセット(PTDH3-D94yPsSS、PTPI1-yPbSalR、PTEF1-yPsSalAT)を、TRP1切片マーカーを有する酵母人工染色体(YAC)へと組み立てた。YACを、染色体中に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-yPsCPRv2)を有する酵母に入れた。酵母菌株を、適切にしたドロップアウト溶液(-Trp)を有する合成完全培地において増殖させ、(R)-レチクリンを供給した。BIA代謝産物を、LC-MS/MS分析により増殖の72時間後に分析した。分析により、モルフィナンアルカロイドテバインの微生物産生が、ある特定の培養条件で増加することが示された(30℃でデキストロースを有する干渉培地、図25の(C)に提示する)。
【0284】
したがって、図25は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母によるテバインへの(R)-レチクリンの変換のための発酵最適化を示す。(A)SalATプロモーターバリアント、(B)異なるpH条件下で増殖したSalR及びSalAT菌株、ならびに(C)糖源、増殖温度、及び培地バッファー含有率の最適化の全細胞緩衝アッセイのLC-MS/MS分析。(A)様々なSalATプロモーターを用いた、TRP1選択マーカー及び2つの発現カセット:PTPI1-yPbSalR及びP-yPsSalATを有する単一の酵母人工染色体を含有するように遺伝子操作された酵母菌株。酵母を、新しく形質転換したコロニーから3mL選択培地中で一晩増殖させ、100μMサルタリジン(Specs)で培養管において0.5mL培地中に1:20に希釈し戻した。振とう培養器に72時間入れた後、酵母をペレット化し、培地上清をLC-MS/MSにより分析した。(B)酵母菌株を、TRP1選択マーカー及び2つの発現カセット:PTPI1-yPbSalR及びPTEF1-yPsSalATを有する単一の酵母人工染色体を含有するように遺伝子操作した。酵母を、新しく形質転換したコロニーから3mL選択培地中で一晩増殖させ、OD0.8まで3.5mL培地中に希釈し戻し、7時間増殖させ、ペレット化し、次いで、pH5.7 MOPS、または10μMサルタリジン(Specs)を有するpH7、8、または9のトリスバッファー中に再懸濁した。30℃にてスピナーで16時間後、酵母をペレット化し、バッファー上清をLC-MS/MSにより分析した。エラーバーは、2つの試料の範囲を表す。(C)糖源、増殖温度、及び培地バッファー含有率の最適化。この実験では、酵母菌株を、TRP1遺伝子座中に組込まれたPTEF1-ATR1を有し、TRP1選択マーカー及び3つの発現カセット:PTDH3-yEcCFS1-83-yPsSS95-505、PTPI1-yPbSalR、及びPTEF1-yPsSalATを有する単一の酵母人工染色体を含有するように遺伝子操作した。酵母を、新しく形質転換したコロニーから3mL選択培地中で一晩増殖させ、100μM(R)-レチクリン(Toronto Research Chemicals)で培養管において0.5mL培地中に1:20に希釈し戻した。振とう培養器に72時間入れた後、酵母をペレット化し、培地上清をLC-MS/MSにより分析した。
【0285】
実施例13:初期1-ベンジルイソキノリンアルカロイド骨格からのテバインの産生のために遺伝子操作された酵母
酵母菌株は、初期1-ベンジルイソキノリンアルカロイドからの、モルフィナンアルカロイドテバイン、またはテバインに由来するモルフィナンアルカロイドの産生のために遺伝子操作することができる。一例として、遺伝子操作された酵母菌株は、ラセミもしくは(S)-ノルコクラウリンまたはラセミもしくは(S)-ノルラウダノソリンからモルフィナンアルカロイド産物を産生することができる(図5、6、7、及び23の(B))。酵母菌株を遺伝子操作して、(S)-ノルコクラウリンまたはラセミもしくは(S)-ノルラウダノソリンから(S)-レチクリンを、3つまたは5つの発現カセットを酵母ゲノム中に組込むことにより、産生する。(S)-レチクリンをラセミまたは(S)-ノルラウダノソリンから産生するために、組込まれた発現カセットは、パパヴェル・ソムニフェル ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ(Ps6OMT、EC2.1.1.128)、4’-O-メチルトランスフェラーゼ(Ps4’OMT、EC2.1.1.116)、及びコクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ(CNMT、EC2.1.1.140)をコードし、それぞれTEF1プロモーターを有する(Hawkins and Smolke.2008.Nat.Chem.Biol.4:564-73)。(S)-レチクリンをラセミまたは(S)-ノルコクラウリンから産生するために、菌株は、酵母コドン最適化されたハナビシソウ N-メチルコクラウリン3’-ヒドロキシラーゼ(yEcCYP80B1、EC1.14.13.71)及びTDH3またはTEF1プロモーターから発現されるATR1またはyPsCPRv2シトクロムP450レダクターゼ(CPR、EC1.6.2.4)の組込まれた発現カセットをさらに有する。これらの菌株をさらに遺伝子操作して、エピマー化-触媒酵素(例えば、CYP-COR)、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、及びサルタリジノールアセチルトランスフェラーゼを取り込んで、ラセミもしくは(S)-ノルコクラウリンまたはラセミもしくは(S)-ノルラウダノソリンをモルフィナンアルカロイドテバイン、またはテバイン由来のモルフィナンアルカロイドへと変換する(図7)。エピマー化-触媒酵素の発現の代替として、6OMT、4’OMT、CNMT、及び/またはCYP80B1が、rac-レチクリンがrac-ノルコクラウリンまたはrac-ノルラウダノソリンから産生されるように遺伝子操作され得る。
【0286】
一例では、酵母菌株を遺伝子操作して、rac-ノルラウダノソリンをテバインに変換する。酵母菌株は、それぞれTEF1プロモーターを有する、Ps6OMT、Ps4’OMT、CNMT、及びyPsCPRv2をコードする組込まれた発現カセットを有する。4つの発現カセット(PTDH3-yEcCFS1-83-yPsSS95-505、PTPI1-yPbSalR、PTEF1-yPsSalAT、PHXT7-CYP-COR_89405)を、この菌株においてTRP1選択マーカーを有する酵母人工染色体(YAC)へと組み立てた。YAC及び組込まれたカセットを有する酵母菌株を、適切にしたドロップアウト溶液(-Trp)及び1mM rac-ノルラウダノソリン基質を有する合成完全培地中で増殖させた。96時間増殖させた後、培地を、BIA代謝産物についてLC-MS/MS分析により分析した。ほぼ200nMのテバインが検出された(図23の(B))。他の遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼバリアントもこの菌株において使用してよい(図22、実施例10)。
【0287】
実施例14:L-チロシンからのレチクリンの産生のために遺伝子操作されたプラットフォーム酵母菌株
重要な分岐点BIA中間体(S)-レチクリンをL-チロシンから産生するプラットフォーム酵母菌株を構築した(図5)。具体的には、4つの多重遺伝子発現構築物を酵母菌株のゲノム中に組込んだ。4つの構築物の組成を図26に示す。各構築物は、強力な構成的プロモーターから発現される4つまたは5つの遺伝子の遺伝子からなる。遺伝子は、模式図の上にあるアノテーションに指定するように、プロモーター、遺伝子オープンリーディングフレーム、及びターミネーターを含む完全な発現カセットとして、各遺伝子座に位置する。模式図は、所与の遺伝子を表す矢印の方向により各発現カセットの転写方向を示す。選択可能なマーカーは、アノテーション中でイタリック体としており、模式図では灰色の矢印により表される。各選択マーカーは、遺伝子座からのマーカーの除去を可能にするようにloxP部位に隣接する。加えて、各構築物は、選択可能なマーカーを、Creリコンビナーゼによりそれを除去することができるようにloxP部位に隣接させている。
【0288】
第一の組込み構築物では、ドブネズミ由来の4つの異種遺伝子が、YBR197C遺伝子座に、G418選択マーカー(KanMX)と一緒に組込まれる。RnPTPS、RnSepR、RnPCD、及びRnQDHPRは、テトラヒドロビオプテリン(BH)を酵母内因性葉酸合成経路から合成し、再生する必要がある。各遺伝子は、酵母における発現のためにコドン最適化されている。
【0289】
第二の組込み構築物では、4つの異種遺伝子が、HIS3遺伝子座に、HIS5選択マーカーと一緒に組込まれる。ドブネズミチロシンヒドロキシラーゼ(RnTyrH)は、チロシンをL-ドパへと、先行する組込み構築物により生成された補助基質BHを使用して変換する。RnTyrH遺伝子は、野生型、または活性の増強を与える改善された突然変異体のいずれでもあることができる(例えば、W166Y、R37E、及びR38E、実施例2)。第二のドブネズミ遺伝子であるRnDHFRは、ジヒドロビオプテリン(BHの酸化産物)をBHに還元する酵素をコードし、この方法でこの補助基質の利用可能性を高める。また、第三に構築物に含まれているものは、シュードモナス・プチダ由来のPpDODCであり、L-ドパをドパミンに変換する酵素である。第四の酵素は、キクバオウレン由来のCjNCSであり、これは、4-HPA及びドパミンを縮合させてノルコクラウリンを作製する。各遺伝子は、酵母における発現のためにコドン最適化されている。
【0290】
第三の組込み構築物では、植物由来の5つの異種遺伝子及びLEU2選択マーカーが、遺伝子座YDR514C中に組込まれる。Ps6OMT、Ps4’OMT、及びPsCNMTは、パパヴェル・ソムニフェル由来のメチルトランスフェラーゼであり、天然型植物ヌクレオチド配列として発現される。第四のP.ソムニフェルム遺伝子、yPsCPRv2は、酵母に対してコドン最適化されており、ハナビシソウ由来のシトクロムP450であるEcCYP80A1の活性を支持するレダクターゼをコードする。EcCYP80A1は、その天然型植物ヌクレオチド配列として発現される。この構築物においてコードされる酵素は、2つのO-メチル化、N-メチル化、及び水酸化を行って、先行する組込み構築物により産生されたノルコクラウリンからレチクリンを産生する。
【0291】
最後の組込み構築物では、サッカロミセス・セレビシエ内因性遺伝子の追加のコピーARO4Q166K、ARO7T226I、TKL1、及びARO10が、ARO4遺伝子座に、ヒグロマイシン耐性選択マーカーと一緒に組込まれる。ARO4Q166K及びARO7T226Iは、それぞれが、野生型配列と比べて単一の塩基対置換をコードする、ARO4及びARO10のフィードバック耐性突然変異体である。TKL1及びARO10は、天然型酵母遺伝子に対して同一であるが、強力なプロモーターの後ろで発現する。Aro4p及びAro7pは、チロシンを含む芳香族アミノ酸の生合成における酵素である。フィードバック阻害をこれらの酵素から除去することにより、内因性チロシン生合成の上方制御がもたらされる。Tkl1pの過剰発現は、チロシンの前駆体である、エリトロース4-リン酸(E4P)の供給の増強をもたらすペントースリン酸経路を上方制御する。Aro10pの過剰発現は、4-HPAの産生を増加させる。
【0292】
プラットフォーム酵母菌株は、4つの発現カセットの任意の数で構築することができる。具体的には、プラットフォーム酵母菌株は、組込み構築物1~4及び組込み構築物1~3で構築された。チロシン過剰産生構築物(構築物4)が除外された後者の菌株では、追加のチロシンが、レチクリンの生合成を支持するために培地に供給されてよい。追加の遺伝子改変を、下流BIAの産生を支持し、BIA生合成へのフラックスを増加させるために、プラットフォーム菌株に取り込んでよい。
【0293】
適切にしたアミノ酸ドロップアウト溶液を有する合成完全培地中で25及び30℃にて、酵母菌株を増殖させた。培地上清中のBIA代謝産物を、増殖の48及び96時間後にLC-MS/MS分析により分析した。
【0294】
実施例15:L-チロシンからのテバイン及び他のモルフィナンアルカロイドの産生のために遺伝子操作された酵母
酵母菌株を、チロシンなどの初期前駆体から、モルフィナンアルカロイドテバイン、またはテバイン由来のモルフィナンアルカロイドの産生のために遺伝子操作することができる。一例として、実施例14に記載のプラットフォーム酵母菌株をさらに遺伝子操作して、モルフィナンアルカロイド産物をL-チロシンから産生することができる(図7)。
【0295】
(S)-レチクリンをL-チロシンから産生するプラットフォーム酵母菌株(実施例14の記載を参照されたい)をさらに遺伝子操作して、エピマー化-触媒酵素、例えば、新しく同定されたCYP-COR、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、及びサルタリジノールアセチルトランスフェラーゼを取り込んで、生合成された(S)-レチクリンを、モルフィナンアルカロイドテバイン、またはテバインに由来するモルフィナンアルカロイドへと変換した(図7)。3つの発現カセット(PTDH3-yEcCFS1-26-yPbSS33-504、PTPI1-yPbSalR、PTEF1-yPsSalAT)を、プラットフォーム酵母菌株中に直接TRP1選択マーカーを有する酵母人工染色体(YAC)へと組み立てた。他の遺伝子操作されたサルタリジンシンターゼバリアントも、YACに取り込まれ得る(図22、実施例10)。その結果得られた酵母菌株をまた、URA3選択マーカー、TDH3プロモーター、及びCYP-CORコード配列を有する低コピーCEN/ARSプラスミドで形質転換した。
【0296】
YAC、低コピープラスミド、及び組込まれたカセットを有する酵母菌株を、適切にしたドロップアウト溶液(-Ura-Trp)を有する合成完全培地中で25及び30℃にて増殖させた。96時間の増殖後、培地をBIA代謝産物についてLC-MS/MS分析により分析した。温度、炭素源、pH条件、及び培地組成に関するさらなる培養最適化を行って、BIA産生を向上させた。
【0297】
追加の遺伝子改変を、酵母菌株に導入して、テバインに由来するモルフィナンアルカロイドを産生することができる(図7)。一例では、発現カセットPADH1-T6ODM-TADH1、PHXT7-COR-TPGK1、及びPTEF1-CODM-TCYC1を、直接組み立て、テバイン-産生酵母菌株のtrp1遺伝子座中に組込んだ(Thodey et al.,2014)。別の例では、これらの酵母菌株をさらに遺伝子操作して、発現カセットPGPD-morA-TCYC1、PPGK1-morB-TPHO5を直接組み立て、この構築物を染色体上のura3遺伝子座中に組込むことにより追加のモルヒネアルカロイドを産生することができる(Thodey et al.,2014)。
【0298】
実施例16:L-チロシンからのベルベリン及び他のプロトベルベリンアルカロイドの産生のために遺伝子操作された酵母
酵母菌株を、L-チロシンからの、アルカロイドベルベリンの、ならびにプロトベルベリン、フタリドイソキノリン、及びベルベリンに由来するベルベリンアルカロイドまたはベルベリンの形成に関与する中間体の産生のために遺伝子操作することができる(図5、8)。例えば、3つまたは4つの発現カセット(PPGK1-PsBBE-TPHO5、PTEF1-yPsS9OMT-TCYC1、PTDH3-yCjCAS-TADH1、PTPI1-yBwSTOX-TSTE2を伴うまたは伴わない)を、TRP1切片マーカーを有する酵母人工染色体(YAC)へと組み立てた。YACを、(S)-レチクリンをL-チロシンから産生し(実施例14を参照されたい)、染色体に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-PsCPRv2)を加えて有するプラットフォーム酵母菌株に入れた。PTEF1-S9OMT-TCYC1発現カセットを含有する追加の高コピープラスミドを、この菌株中に形質転換して、下流産物へのフラックスを改善した。
【0299】
酵母菌株を、適切にしたアミノ酸ドロップアウト溶液(-Trp)を有する合成完全培地中で25及び30℃にて増殖させた。培地上清中のBIA代謝産物を、48及び96時間の増殖後にLC-MS/MS分析により分析した。
【0300】
実施例17:L-チロシンからのノスカピン及び他のノスカピノイドアルカロイドの産生のために遺伝子操作された酵母
酵母菌株を、L-チロシンからの、ナルコトリン及びノスカピンなどのフタリドイソキノリンアルカロイド、ノスカピンの形成に関与する中間体、またはその誘導体の産生のために遺伝子操作することができる(図5、9)。
【0301】
例えば、発現カセットPADH1-CAS-TADH1、PHXT7-CYP82Y1-TPGK1、PTEF1-S9OMT-TCYC1、及びPPGK1-BBE-TPHO5を、直接組み立て、(S)-レチクリンをL-チロシンから産生し(実施例14を参照されたい)、染色体に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-PsCPRv2)を加えて有する、プラットフォーム酵母菌株のtrp1遺伝子座中に組込んだ。次いで、発現カセットPGPD-TNMT-TCYC1、PPGK1-PsMT2-TPHO5、PADH1-CYP82X1-TGAP1、及びPPYK1-PsCXE1-TMf1を直接組み立て、酵母菌株のura3遺伝子座中に組込んだ。次いで、発現カセットPHXT7-CYP82X2-TCYC1、PGPD-PsAT1-TADH1、PTPI1-PsSDR1-TSte2、及びPPGK1-PsMT3-TPHO5を直接組み立て、酵母菌株のleu2遺伝子座中に組込んだ。PTEF1-S9OMT-TCYC1発現カセットを含有する追加の高コピープラスミド及びPHXT7-CYP82X2-TCYC1発現カセットを含有する追加の低コピープラスミドをこの酵母菌株中に形質転換して、下流産物のフラックスを改善した。
【0302】
酵母菌株を、適切にしたアミノ酸ドロップアウト溶液(-Trp、Ura)を有する合成完全培地中で25及び30℃にて増殖させた。培地上清中のBIA代謝産物を、48及び96時間の増殖後にLC-MS/MS分析により分析した。
【0303】
実施例18:L-チロシンからのサンギナリン及び他のベンゾフェナントリジンアルカロイドの産生のために遺伝子操作された酵母
酵母菌株を、L-チロシンからの、プロトベルベリン、プロトピン、及び最終産物サンギナリンなどのベンゾフェナントリジンアルカロイド、サンギナリンの形成に関与する中間体、またはその誘導体の産生のために遺伝子操作することができる(図5、10)。
【0304】
例えば、発現カセットPADH1-TNMT-TADH1、PHXT7-EcSTS-TPGK1、PGPD-EcCFS-TCYC1、及びPPGK1-BBE-TPHO5を直接組み立て、(S)-レチクリンをL-チロシンから産生し(実施例14を参照されたい)、染色体に組込まれたシトクロムP450レダクターゼの発現カセット(PTEF1-ATR1またはPTEF1-PsCPRv2)を加えて有する、プラットフォーム酵母菌株のtrp1遺伝子座中に組込んだ。次いで、発現カセットPGPD-PsMSH-TCYC1、PPGK1-PsP6H-TPHO5を直接組み立て、酵母菌株のura3遺伝子座中に組込んだ。
【0305】
酵母菌株を、適切にしたアミノ酸ドロップアウト溶液を有する合成完全培地中で25及び30℃にて増殖させた。培地上清中のBIA代謝産物を、48及び96時間の増殖後にLC-MS/MS分析により分析した。
【0306】
実施例19:L-チロシンからのヒドロコドン及び他のモルフィナンアルカロイドの産生のために遺伝子操作された酵母
酵母菌株を、ヒドロコドンの産生のために遺伝子操作することができる。一例として、実施例15に記載のテバイン産生酵母菌株を、さらに遺伝子操作して、医薬品有効成分ヒドロコドンを産生することができる。図27は、本発明の実施形態に係る、遺伝子操作された酵母菌株におけるテバイン及びヒドロコドン産生を示す。図27Aでは、多重遺伝子構築物は、構築物1~4(図26)を含有する遺伝子操作された酵母菌株中に取り込まれた。図27Bでは、構築物5の組込みは、構築物1~4を含有する菌株と比べてレチクリン力価を増加させた。図27Cでは、構築物6の組込みは、糖からのテバイン産生をもたらす。遺伝子操作された菌株により産生されたテバインを、培地中でLC-MS/MS分析により同定し、市販の基準標準物と比較した。図27Dでは、YACへの構築物7の導入は、糖からのヒドロコドン産生をもたらす。遺伝子操作された菌株により産生されたヒドロコドンを、培地中でLC-MS/MS分析により同定し、市販の基準標準物と比較した。
【0307】
一例では、レチクリンをL-チロシンから産生する酵母菌株(実施例14の記載を参照されたい)を、さらに遺伝子操作して、レチクリン産生を増加させ、次いでさら改変して、実施例15に記載のテバイン産生酵素を取り込み、次いでさらに改変して、テバイン脱メチル化酵素及びモルフィノンレダクターゼを取り込んで、生合成されたテバインをヒドロコドンへと変換した。3つの多重遺伝子発現構築物は、実施例14に記載のレチクリン産生酵母菌株中に取り込まれた;2つを染色体組込みとして、及び3つ目をエピソーマルYAC構築物として。
【0308】
第一の構築物では、遺伝子を取り込んで、実施例14に記載の菌株からの(S)-レチクリンの生合成を増加させた。(S)-レチクリン産生を増加させるために、CjNCS(ドパミンのノルコクラウリンへの取り込みを増加させるため)及びPs4’OMT(3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリンの(S)-レチクリンへの取り込みを増加させるため)の追加のコピーは菌株中に取り込まれた。RnTyrHの追加のコピーも含んで、レチクリン生合成のための異種経路へのチロシンの流入を増加させた。3つの発現カセット(PPGK1-yCjNCS-TPHO5、PTEF1-Ps4’OMT-TCYC1、及びPGPD-RnTyrHWR-TADH1)を、遺伝子座YPL250C中に、フレオマイシン耐性のためのble選択マーカーと一緒に組込んだ(図27A)。その結果得られた酵母菌株は、レチクリン蓄積において4倍の増加を呈した(図27B)。
【0309】
第二の構築物では、遺伝子を取り込んで、テバインを生合成された(S)-レチクリンから産生した。実施例15に記載のテバイン産生のための4つの酵素を、4つの発現カセット(PHXT7-yPbCYP-COR-TCYC1、PGPD-yEcCFS1-83-yPbSalSyn92-504-TADH1、PTPI1-yPbSalR-TSTE2、及びPPGK1-yPsSalAT-TPHO5)として組み立て、選択マーカーKlURA3と遺伝子座TRP1中に組込んだ(図27A)。その結果得られた酵母菌株は、標準酵母培養用培地中で培養されたときにテバインを産生した(図27C)。
【0310】
第三の構築物では、遺伝子を取り込んで、生合成されたテバインからヒドロコドンを産生した。この例では、テバイン脱メチル化酵素活性を、P.ソムニフェルム由来のT6ODM酵素として取り込んで、テバインをネオピノンへと変換し、モルフィノンレダクターゼ活性をP.プチダ由来のmorB酵素として取り込んで、コデイノンをヒドロコドンへと変換した。この例では、コデイノンへのネオピノンの間にある変換は、自発的に生じた。別の例では、イソメラーゼ酵素を含んで、ネオピノンをコデイノンへと酵素的に変換する。T6ODM及びmorB遺伝子は、酵母にコドン最適化され、2つの発現カセット(PGPD-yT6ODM-TADH1及びPPGK1-yPbmorB-TPHO5)として含まれ、TRP1選択マーカーとYACへと組み立てられた(図27A)。この例では、酵母菌株は、T6ODM、2-オキソグルタル酸依存性ジオキシゲナーゼの活性を支持するために、50mM 2-オキソグルタル酸を補充された培地中で培養される。別の例では、酵母宿主細胞を遺伝子操作して、2-オキソグルタル酸を、T6ODM活性を支持するのに十分なレベルで蓄積させる。記載の多重遺伝子構築物を有し、記載の培地中で培養された酵母菌株は、ヒドロコドンをグルコースから生合成した(図27D)。
【0311】
実施例20:経路フラックスにおけるボトルネックを克服するための遺伝子コピー数の増加
いくつかの例では、酵母菌株は、その活性が制限されている酵素に対する遺伝子コピー数を増加させることにより、ベンジルイソキノリンアルカロイドの産生を増強させるように最適化されることができる。
【0312】
一例では、実施例19に記載のレチクリン産生菌株におけるレチクリン産生は、NCSの3つ目の遺伝子コピーを加えることにより最適化された(図28)。この例では、親菌株は、YMR206W遺伝子座で組込まれたNCSの1つのコピー、及びYPL250C遺伝子座に別のコピーを有し、それぞれPGK1プロモーターから発現された。NCSの3つ目のコピー(TDH3プロモーターから発現される)を、BUD9遺伝子座で組込み、この改変は、レチクリン力価において2倍の増加をもたらした。別の例では、経路における他の酵素の追加のコピーを菌株に取り込んで、レチクリン力価をさらに増加させる。
【0313】
(表2)酵素リスト
【0314】
(表3)テーラリング酵素
【0315】
(表4)ポピーストロー(またはアヘン)濃縮物中と清澄化された酵母培養用培地中に存在し得る不純物の比較
【0316】
(表5)清澄化された酵母培養培地(CYCM)に存在する別個の分子群
ポピーストロー(CPS)またはアヘンの濃縮物と異なり、アルカノイドの他のクラスが存在しないように、酵母宿主菌株を遺伝子操作してアルカノイドの所定のクラスの分子を産生し得る(すなわち、菌株1つあたり1経路のみの生合成経路)。それゆえ、このCYCMは、1つまたは2つのカラムにわたる分子のサブセットを含む、単一の生合成経路内での分子を含有し得る一方で、多くのカラムにわたる分子のサブセットを含有し得る。
【0317】
(表6)突然変異誘発スクリーニングにより同定された様々な酵素の有益な突然変異
【0318】
添付の項目にかかわらず、本開示はまた、以下の項目によって定義される。
1.遺伝子操作していない細胞と比べてチロシンヒドロキシラーゼ活性が増加している遺伝子操作された非植物細胞であって、基質阻害軽減突然変異;生産物阻害軽減突然変異;及び補因子回収促進機構からなる群より選択される少なくとも1つの改変を有する、前記遺伝子操作された非植物細胞。
2.前記少なくとも1つの改変が、基質阻害軽減突然変異を含む、項目1に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
3.前記基質阻害軽減突然変異が、点突然変異W166Yを含む、項目2に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
4.前記少なくとも1つの改変が、補助基質結合部位での競合的結合を緩和する少なくとも1つの生産物阻害軽減突然変異を含む、項目1に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
5.前記少なくとも1つの生産物阻害軽減突然変異が、点突然変異S40Dを含む、項目4に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
6.前記少なくとも1つの生産物阻害軽減突然変異が、接合突然変異R37E及びR38Eを含む、項目4に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
7.前記接合突然変異R37E及びR38Eが、ドパミンの存在下でチロシンヒドロキシラーゼ活性を向上させる、項目6に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
8.前記少なくとも1つの改変が、不可逆的な生産物阻害を緩和する生産物阻害軽減突然変異を含む、項目1に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
9.前記生産物阻害軽減突然変異が、点突然変異E332Dを含む、項目8に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
10.前記生産物阻害軽減突然変異が、点突然変異Y371Fを含む、項目8に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
11.前記生産物阻害軽減突然変異が、活性部位でのカテコールアミンの鉄への不可逆的な結合を緩和する、項目8に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
12.前記少なくとも1つの改変が補因子回収促進機構を含む、項目1に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
13.前記補因子回収促進機構が、ジヒドロ葉酸レダクターゼをコードする異種コード配列を含む、項目12に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
14.前記遺伝子操作された非植物細胞により産生されたジヒドロ葉酸レダクターゼが、前記遺伝子操作された非植物細胞内でのテトラヒドロビオプテリンへのジヒドロビオプテリンの変換を触媒する、項目13に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
15.(a)基質阻害軽減突然変異;生産物阻害軽減突然変異;及び補因子回収促進機構からなる群より選択される少なくとも1つの改変を有する遺伝子操作された非植物細胞、及び栄養素を含む供給原料、及び水を、バッチ反応器に提供する工程、
(b)前記バッチ反応器中で、前記遺伝子操作された非植物細胞を少なくとも約5分間にわたってインキュベートすることにより前記遺伝子操作された非植物細胞を発酵に供して、ベンジルイソキノリンアルカロイド産物と細胞物質とを含む溶液を生成する工程;ならびに
(c)少なくとも1つの分離装置を使用して、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を前記細胞物質から分離し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を含む生成物流を提供する工程
を含む、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を有する前記生成物流を形成するための方法。
16.前記バッチ反応器の少なくとも1つのプロセスパラメータが、結果として得られるベンジルイソキノリンアルカロイド産物組成物を変異させるように改変可能である、項目15に記載の方法。
17.改変可能である前記少なくとも1つのプロセスパラメータが、溶存酸素、pH、撹拌速度、通気速度、及び細胞密度のうちの少なくとも1つを含む、項目16に記載の方法。
18.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンジルイソキノリンアルカロイド前駆体を含む、項目15に記載の方法。
19.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド前駆体が、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、チロシン、チラミン、4-ヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、3,4-ジヒドロキシフェニルアセトアルデヒド、及びドパミンの群より選択される、項目18に記載の方法。
20.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンジルイソキノリンアルカロイドを含む、項目15に記載の方法。
21.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ベンジルイソキノリン、プロトベルベリン、プロトピン、ベンゾフェナントリジン、プロモルフィナン、モルフィナン、セコベルベリン、フタリドイソキノリン、アポルフィン、及びビスベンジルイソキノリンの群より選択される構造的クラスを有する、項目20に記載の方法。
22.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、コクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、4’-O-メチルノルラウダノソリン、4’-O-メチル-ラウダノソリン、N-メチルノルコクラウリン、ラウダノソリン、N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、パパベリン、ラウダニン、ラウダノシン、テトラヒドロパパベリン、1,2-ジヒドロパパベリン、及びオリエンタリンの群より選択されるベンジルイソキノリンである、項目21に記載の方法。
23.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、スコウレリン、ケイランチホリン、スチロピン、ナンジニン、ジャトロリジン、ステホリジン、ジスクレタミン、シス-N-メチルスチロピン、テトラヒドロコルンバミン、パルマチン、テトラヒドロパルマチン、コルンバミン、カナジン、N-メチルカナジン、1-ヒドロキシカナジン、ベルベリン、N-メチル-オフィオカルピン、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン、及び1-ヒドロキシ-10-O-アセチル-N-メチルカナジンの群より選択されるプロトベルベリンである、項目21に記載の方法。
24.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、プロトピン、6-ヒドロキシプロトピン、アロクリプトピン、クリプトピン、ムラミン、及びタリクトリシンの群より選択される、プロトピンである、項目21に記載の方法。
25.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ジヒドロサンギナリン、サンギナリン、ジヒドロケイリルビン、ケイリルビン、ジヒドロマルカピン、マルカピン、及びケレリトリンの群より選択されるベンゾフェナントリジンである、項目21に記載の方法。
26.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、サルタリジン、サルタリジノール、及びサルタリジノール-7-O-アセテートの群より選択されるプロモルフィナンである、項目21に記載の方法。
27.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、テバイン、コデイノン、コデイン、モルヒネ、モルフィノン、オリパビン、ネオピノン、ネオピン、ネオモルフィン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、14-ヒドロキシコデイノン、オキシコドン、14-ヒドロキシコデイン、モルフィノン、ヒドロモルフォン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、エチルモルヒネ、エトルフィン、メトポン、ブプレノルフィン、フォルコジン、ヘテロコデイン、及びオキシモルフォンの群より選択されるモルフィナンである、項目21に記載の方法。
28.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、4’-O-デスメチルマクラントアルデヒド、4’-O-デスメチルパパベロキシン、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシン、及び3-O-アセテイルパパベロキシンの群より選択されるセコベルベリンである、項目21に記載の方法。
29.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ナルコトリンヘミアセタール、ナルコチンヘミアセタール、ナルコトリン、及びノスカピンの群より選択されるフタリドイソキノリンである、項目21に記載の方法。
30.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、マグノフロリン、コリツベリン、アポモルヒネ、ボルジン、イソボルジン、イソテバイン、イソコリツベリン、及びグラウフィンの群より選択されるアポルフィンである、項目21に記載の方法。
31.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ベルバムニン、グアットガウメリン、ダウリシン、及びリエンシニンの群より選択されるビスベンジルイソキノリンである、項目21に記載の方法。
32.(a)チロシンヒドロキシラーゼ活性を増加させる突然変異を有さない野生型チロシンヒドロキシラーゼを発現する細胞と比べてチロシンヒドロキシラーゼ活性が増加している遺伝子操作された非植物細胞、栄養素を含む供給原料、及び水を、反応器に提供する工程;
(b)前記反応器中で、前記遺伝子操作された非植物細胞を少なくとも約5分間にわたってインキュベートすることにより前記遺伝子操作された非植物細胞を発酵に供して、細胞物質とベンジルイソキノリンアルカロイド産物とを含む溶液を生成する工程であって、前記溶液が、プロトベルベリン、モルフィナン、イソパビン、アポルフィン、及びビスベンジルイソキノリンの群より選択される分子の1つ以下のクラスを含む、前記工程;ならびに
(c)少なくとも1つの分離装置を使用して、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を前記細胞物質から分離し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を含む生成物流を提供する工程
を含む、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を有する前記生成物流を形成するための方法。
33.前記生成物流が、リグニン、フラボノイド、フェナントレオイド、ラテックス、ルビスコ、メコン酸、プソイドモルヒネ、ナルセイン、テバオール、及び花粉の群より選択される分子を、5ppmを超えて含有しない、項目32に記載の方法。
34.前記生成物流が、メコン酸を、5ppmを超えて含有しない、項目33に記載の方法。
35.前記生成物流が、殺虫剤、殺菌剤、または除草剤からなる群より選択される物質の検出可能な量を含有しない、項目32に記載の方法。
36.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物が、少なくとも液液抽出を使用して前記生成物流から回収される、項目32に記載の方法。
37.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物が、発酵プロセスが完了した直後に回収される、項目36に記載の方法。
38.(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させる工程であって、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換する、前記工程
を含む、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドにエピマー化する方法。
39.前記少なくとも1つの酵素が、前記少なくとも1つの酵素をコードするためのコード配列を有する遺伝子操作された非植物細胞を培養することにより産生される、項目38に記載の方法。
40.(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを細胞培養物に加える工程をさらに含む、項目39に記載の方法。
41.前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドまたはその誘導体を、前記細胞培養物から回収する工程をさらに含む、項目40に記載の方法。
42.前記少なくとも1つの酵素がオキシダーゼを含む、項目38~41のいずれか一項に記載の方法。
43.前記少なくとも1つの酵素がレダクターゼを含む、項目38~42のいずれか一項に記載の方法。
44.前記少なくとも1つの酵素がエピメラーゼを含む、項目38~43のいずれか一項に記載の方法。
45.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目44に記載の方法。
46.前記エピメラーゼが、オキシダーゼドメイン及びレダクターゼドメインを含む、項目44または45に記載の方法。
47.前記オキシダーゼドメインがシトクロムP450オキシダーゼ様ドメインである、項目46に記載の方法。
48.前記レダクターゼドメインがコデイノンレダクターゼ様ドメインである、項目46に記載の方法。
49.前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが(S)-レチクリンである、項目38~48のいずれか一項に記載の方法。
50.前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが(R)-レチクリンである、項目38~49のいずれか一項に記載の方法。
51.前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを4-環プロモルフィナンアルカロイドに変換する工程をさらに含む、項目38~50のいずれか一項に記載の方法。
52.前記4-環プロモルフィナンアルカロイドがサルタリジンである、項目51に記載の方法。
53.前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを5-環モルフィナンアルカロイドに変換する工程をさらに含む、項目38~50のいずれか一項に記載の方法。
54.前記遺伝子操作された非植物細胞内に存在する前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、遺伝子操作された微生物細胞内で産生される、項目38~53のいずれか一項に記載の方法。
55.前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、前記遺伝子操作された非植物細胞内で、L-チロシンから始まる代謝経路により産生される、項目38~54のいずれか一項に記載の方法。
56.前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、前記遺伝子操作された非植物細胞内で、炭水化物及び窒素源から始まる代謝経路により産生される、項目38~54のいずれか一項に記載の方法。
57.前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、(S)-ノルレチクリン;(S)-レチクリン;(S)-テトラヒドロパパベリン;(S)-ノルコクラウリン;(S)-コクラウリン;(S)-N-メチルコクラウリン;(S)-3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン;(S)-ノリソオリエンタリン;(S)-オリエンタリン;(S)-イソオリエンタリン;(S)-ノルプロトシノメニン;(S)-プロトシノメニン;(S)-ノルラウダノソリン;(S)-ラウダノソリン;(S)-4’-O-メチルラウダノソリン;(S)-6-O-メチルノルラウダノソリン;及び(S)-4’-O-メチルノルラウダノソリンからなる群より選択される、項目38~56のいずれか一項に記載の方法。
58.前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、式I:
式I
の化合物である、項目38~57のいずれか一項に記載の方法:
式中、R、R、R、及びRは独立して、水素またはメチルであり;
は、水素、ヒドロキシ、またはメトキシである。
59.(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを遺伝子操作された非植物細胞内に存在する(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドから産生する遺伝子操作された非植物細胞であって、エピメラーゼをコードする異種コード配列を含み、前記エピメラーゼが、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換する、前記遺伝子操作された非植物細胞。
60.サルタリジンシンターゼをコードする異種コード配列をさらに含む、項目59に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
61.前記サルタリジンシンターゼが、前記(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドをサルタリジンに変換する、項目60に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
62.(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するエピメラーゼを産生する遺伝子操作された非植物細胞であって、前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、前記遺伝子操作された非植物細胞。
63.(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するためのプロセスであって、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドをエピメラーゼと、前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換するのに十分な量で接触させる工程を含む、前記プロセス。
64.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目63に記載のプロセス。
65.少なくとも5%の前記(S)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、(R)-1-ベンジルイソキノリンアルカロイドに変換される、項目63に記載のプロセス。
66.1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを少なくとも1つの酵素と接触させる工程であって、前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体中心の立体化学を、前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体中心の反対の立体化学へと反転させる、前記工程
を含む、前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体中心をエピマー化する方法。
67.前記少なくとも1つの酵素が、前記少なくとも1つの酵素をコードするためのコード配列を有する遺伝子操作された非植物細胞を培養することにより産生される、項目66に記載の方法。
68.前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドを細胞培養物に加える工程をさらに含む、項目67に記載の方法。
69.前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの単一立体異性体として存在する、項目66に記載の方法。
70.前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体異性体の混合物として存在する、項目66に記載の方法。
71.前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体異性体の前記混合物が、前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドのエナンチオマーのラセミ混合物である、項目70に記載の方法。
72.前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドの立体異性体またはその誘導体を、細胞培養物から回収する工程をさらに含む、項目67に記載の方法。
73.回収した前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、少なくとも約80%のエナンチオマー過剰率を有する、項目72に記載の方法。
74.回収した前記1-ベンジルイソキノリンアルカロイドが、少なくとも約98%のエナンチオマー過剰率を有する、項目72に記載の方法。
75.前記少なくとも1つの酵素がオキシダーゼを含む、項目66~74のいずれか一項に記載の方法。
76.前記少なくとも1つの酵素がレダクターゼを含む、項目66~75のいずれか一項に記載の方法。
77.前記少なくとも1つの酵素がエピメラーゼを含む、項目66~74のいずれか一項に記載の方法。
78.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、項目77に記載の方法。
79.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15のいずれかに少なくとも75%同一であるアミノ酸配列を含む、項目77に記載の方法。
80.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15のいずれかに少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含む、項目77に記載の方法。
81.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15のいずれかに少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、項目77に記載の方法。
82.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15のいずれかに少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む、項目77に記載の方法。
83.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15のいずれかに少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含む、項目77に記載の方法。
84.前記エピメラーゼが、SEQ ID NO: 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、及び15のいずれかに少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含む、項目77に記載の方法。
85.前記エピメラーゼが、オキシダーゼドメイン及びレダクターゼドメインを含む、項目77~84のいずれかに記載の方法。
86.前記オキシダーゼドメインがシトクロムP450オキシダーゼ様ドメインである、項目85に記載の方法。
87.前記レダクターゼドメインがコデイノンレダクターゼ様ドメインである、項目85に記載の方法。
88.ビスベンジルイソキノリンアルカロイドを、遺伝子操作された非植物細胞内に存在する2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーから産生する遺伝子操作された非植物細胞であって、
少なくとも1つのカップリング酵素をコードする異種コード配列
を含み、
前記少なくとも1つのカップリング酵素が、前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化し、それにより、前記ビスベンジルイソキノリンアルカロイドを形成する、前記遺伝子操作された非植物細胞。
89.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、1つまたは複数の共有結合を形成することにより、前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化する、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
90.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、1つまたは複数の炭素-炭素結合を形成することにより、前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化する、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
91.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、1つまたは複数の炭素-酸素結合を形成することにより、前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化する、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
92.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、同一であるベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化し、それによりホモ二量体を形成する、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
93.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、別個のベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化し、それによりヘテロ二量体を形成する、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
94.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーが互いの立体異性体である、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
95.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーの第一のベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーが、コクラウリン、N-メチルコクラウリン、ラウダニン、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、6-O-メチル-ノルラウダノソリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、ノルラウダニンの群より選択される、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
96.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーの第二のベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーが、コクラウリン、N-メチルコクラウリン、ラウダニン、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、6-O-メチル-ノルラウダノソリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、ノルラウダニンの群より選択される、項目95に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
97.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーのうちの少なくとも1つが、前記遺伝子操作された非植物細胞内で産生される、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
98.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーのうちの少なくとも1つが、前記遺伝子操作された非植物細胞の外側で産生される、項目88に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
99.遺伝子操作された非植物細胞内に存在するカップリング酵素を使用してビスベンジルイソキノリンアルカロイドを産生する、遺伝子操作された非植物細胞であって、
前記遺伝子操作された非植物細胞内での少なくとも1つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーの前記産生において使用される少なくとも1つの酵素をコードする少なくとも1つの異種コード配列
を含み、
少なくとも1つの前記カップリング酵素が、前記遺伝子操作された非植物細胞内で2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化し、それにより前記ビスベンジルイソキノリンアルカロイドを形成する、前記遺伝子操作された非植物細胞。
100.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、1つまたは複数の共有結合を形成することにより、前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化する、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
101.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、1つまたは複数の炭素-炭素結合を形成することにより、前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化する、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
102.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、1つまたは複数の炭素-酸素結合を形成することにより、前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化する、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
103.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、同一であるベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化し、それによりホモ二量体を形成する、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
104.前記少なくとも1つのカップリング酵素が、別個のベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーを二量体化し、それによりヘテロ二量体を形成する、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
105.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーが互いの立体異性体である、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
106.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーの第一のベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーが、コクラウリン、N-メチルコクラウリン、ラウダニン、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、6-O-メチル-ノルラウダノソリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、ノルラウダニンの群より選択される、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
107.前記2つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーの第二のベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーが、コクラウリン、N-メチルコクラウリン、ラウダニン、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、6-O-メチル-ノルラウダノソリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、ノルラウダニンの群より選択される、項目106に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
108.前記カップリング酵素が、前記遺伝子操作された非植物細胞内で産生される、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
109.前記カップリング酵素が、前記遺伝子操作された非植物細胞の外側で産生される、項目99に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
110.(a)少なくとも1つのカップリング酵素をコードする少なくとも1つの異種コード配列を含み、少なくとも1つのベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーの産生において使用された少なくとも1つの酵素をコードする少なくとも1つの異種コード配列をさらに含む遺伝子操作された非植物細胞、栄養素を含む供給原料、及び水を、バッチ反応器に提供する工程;
(b)前記バッチ反応器中で、前記遺伝子操作された非植物細胞を少なくとも約5分間にわたってインキュベートすることにより前記遺伝子操作された非植物細胞を発酵に供して、ビスベンジルイソキノリンアルカロイド産物と細胞物質とを含む溶液を生成する工程;ならびに
(c)少なくとも1つの分離装置を使用して、前記ビスベンジルイソキノリンアルカロイド産物を前記細胞物質から分離し、前記ビスベンジルイソキノリンアルカロイド産物を含む生成物流を提供する工程
を含む、前記ビスベンジルイソキノリンアルカロイド産物を有する前記生成物流を形成するための方法。
111.前記バッチ反応器の少なくとも1つのプロセスパラメータが、結果として得られるビスベンジルイソキノリンアルカロイド産物組成物を変異させるように改変可能である、項目108に記載の方法。
112.改変可能である前記少なくとも1つのプロセスパラメータが、溶存酸素、pH、撹拌速度、通気速度、及び細胞密度のうちの少なくとも1つを含む、項目109に記載の方法。
113.少なくとも1つの前記ベンジルイソキノリンアルカロイドモノマーが、コクラウリン、N-メチルコクラウリン、ラウダニン、ノルコクラウリン、ノルラウダノソリン、6-O-メチル-ノルラウダノソリン、3’-ヒドロキシ-N-メチルコクラウリン、3’-ヒドロキシコクラウリン、レチクリン、ノルレチクリン、ノルラウダニンのうちの少なくとも1つを含む、項目108に記載の方法。
114.炭水化物源を、(S)-レチクリンに由来するベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する、遺伝子操作された非植物細胞。
115.グアノシン三リン酸をテトラヒドロビオプテリンに変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする複数の異種コード配列を有する複数の多重遺伝子発現構築物を含む、項目114に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
116.前記複数の異種コード配列が、ピルボイルテトラヒドロプテリンシンターゼ、セピアプテリンレダクターゼ、プテリン4a-カルビノールアミン脱水酵素、及びジヒドロプテリジンレダクターゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目115に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
117.チロシンをL-ドパに変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする1つまたは複数の異種コード配列をさらに含む、項目115に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
118.1つまたは複数の異種コード配列が、チロシンヒドロキシラーゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目117に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
119.L-ドパを(S)-レチクリンに変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする複数の異種コード配列を有する複数の多重遺伝子発現構築物を含む、項目114に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
120.前記複数の異種コード配列が、L-ドパデカルボキシラーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン-6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及び4’-O-メチルトランスフェラーゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目119に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
121.前記複数の異種コード配列が、L-ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン-6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、及び4’-O-メチルトランスフェラーゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目119に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
122.(S)-レチクリンをモルフィナンアルカロイドに変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする複数の異種コード配列を有する複数の多重遺伝子発現構築物を含む、項目114に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
123.前記複数の異種コード配列が、1-ベンジルイソキノリンアルカロイドエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、シトクロムP450レダクターゼ、サルタリジンレダクターゼ、及びサルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目122に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
124.前記複数の異種コード配列が、テバイン-6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、及びコデイン脱メチル化酵素のうちの少なくとも1つを追加でコードする、項目123に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
125.前記1つまたは複数の酵素を使用して(S)-レチクリンをプロモルフィナンアルカロイドに変換する、項目122に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
126.前記1つまたは複数の酵素を使用して(S)-レチクリンを半合成モルフィナンアルカロイドに変換する、項目122に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
127.(S)-レチクリンをカナジンに変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする複数の異種コード配列を有する複数の多重遺伝子発現構築物を含む、項目114に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
128.前記複数の異種コード配列が、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン-9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、及びシトクロムP450レダクターゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目127に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
129.前記複数の異種コード配列が、カナジンをプロトベルベリン産物に変換するよう1つまたは複数の酵素を追加でコードする、項目128に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
130.前記複数の異種コード配列が、カナジンをフタリドイソキンノリン(isoquinnoline)産物に変換するよう1つまたは複数の酵素を追加でコードする、項目128に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
131.前記複数の異種コード配列が、カナジンをノスカピノイド産物に変換するよう1つまたは複数の酵素を追加でコードする、項目128に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
132.(S)-レチクリンをベルベリンに変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする複数の異種コード配列を有する複数の多重遺伝子発現構築物を含む、項目114に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
133.前記複数の異種コード配列が、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン-9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、シトクロムP450レダクターゼ、及びテトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目132に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
134.前記複数の異種コード配列が、ベルベリンをベルベリン産物に変換するよう1つまたは複数の酵素を追加でコードする、項目133に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
135.(S)-レチクリンをプロトベルベリン産物に変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする複数の異種コード配列を有する複数の多重遺伝子発現構築物を含む、項目114に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
136.前記複数の異種コード配列がベルベリン架橋酵素をコードする、項目138に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
137.(S)-レチクリンをプロトピンに変換するために使用される1つまたは複数の酵素をコードする複数の異種コード配列を有する複数の多重遺伝子発現構築物を含む、項目114に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
138.前記複数の異種コード配列が、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、シトクロムP450レダクターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、及びシス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼのうちの少なくとも1つをコードする、項目137に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
139.前記複数の異種コード配列が、プロトピンをプロトピン産物に変換するよう1つまたは複数の酵素を追加でコードする、項目138に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
140.前記複数の異種コード配列が、プロトピンをベンゾフェナントリジン産物に変換するよう1つまたは複数の酵素を追加でコードする、項目138に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
141.前記複数の異種コード配列が、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼを追加でコードする、項目140に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
142.(a)遺伝子操作された非植物細胞、及び栄養素を含む供給原料、及び水を、バッチ反応器に提供する工程;
(b)前記バッチ反応器中で、前記遺伝子操作された非植物細胞を炭水化物源及び窒素源と接触させ、かつ、前記遺伝子操作された非植物細胞を少なくとも約5分間にわたってインキュベートすることにより前記遺伝子操作された非植物細胞を発酵に供して、レチクリンに由来するベンジルイソキノリンアルカロイド産物と細胞物質とを含む溶液を生成する工程;ならびに
(c)少なくとも1つの分離装置を使用して、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を前記細胞物質から分離して、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を含む生成物流を提供する工程
を含む、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を有する前記生成物流を形成するための方法。
143.前記バッチ反応器の少なくとも1つのプロセスパラメータが、結果として得られるベンジルイソキノリンアルカロイド産物組成物を変異させるように改変可能である、項目139に記載の方法。
144.改変可能である前記少なくとも1つのプロセスパラメータが、溶存酸素、pH、撹拌速度、通気速度、及び細胞密度のうちの少なくとも1つを含む、項目140に記載の方法。
145.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンジルイソキノリンアルカロイドを含む、項目139に記載の方法。
146.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ベンジルイソキノリン、プロトベルベリン、プロトピン、ベンゾフェナントリジン、プロモルフィナン、モルフィナン、セコベルベリン、フタリドイソキノリン、アポルフィン、及びビスベンジルイソキノリンの群より選択される構造的クラスを有する、項目142に記載の方法。
147.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、パパベリン、テトラヒドロパパベリン、1,2-ジヒドロパパベリン、及びオリエンタリンの群より選択されるベンジルイソキノリンである、項目143に記載の方法。
148.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、スコウレリン、ケイランチホリン、スチロピン、ナンジニン、ジャトロリジン、ステホリジン、ジスクレタミン、シス-N-メチルスチロピン、テトラヒドロコルンバミン、パルマチン、テトラヒドロパルマチン、コルンバミン、カナジン、N-メチルカナジン、1-ヒドロキシカナジン、ベルベリン、N-メチル-オフィオカルピン、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン、及び1-ヒドロキシ-10-O-アセチル-N-メチルカナジンの群より選択されるプロトベルベリンである、項目143に記載の方法。
149.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、プロトピン、6-ヒドロキシプロトピン、アロクリプトピン、クリプトピン、ムラミン、及びタリクトリシンの群より選択されるプロトピンである、項目143に記載の方法。
150.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ジヒドロサンギナリン、サンギナリン、ジヒドロケイリルビン、ケイリルビン、ジヒドロマルカピン、マルカピン、及びケレリトリンの群より選択されるベンゾフェナントリジンである、項目143に記載の方法。
151.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、サルタリジン、サルタリジノール、及びサルタリジノール-7-O-アセテートの群より選択されるプロモルフィナンである、項目143に記載の方法。
152.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、テバイン、コデイノン、コデイン、モルヒネ、モルフィノン、オリパビン、ネオピノン、ネオピン、ネオモルフィン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、14-ヒドロキシコデイノン、オキシコドン、14-ヒドロキシコデイン、モルフィノン、ヒドロモルフォン、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロエトルフィン、エチルモルヒネ、エトルフィン、メトポン、ブプレノルフィン、フォルコジン、ヘテロコデイン、及びオキシモルフォンの群より選択されるモルフィナンである、項目143に記載の方法。
153.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、4’-O-デスメチルマクラントアルデヒド、4’-O-デスメチルパパベロキシン、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシン、及び3-O-アセテイルパパベロキシンの群より選択されるセコベルベリンである、項目143に記載の方法。
154.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ナルコトリンヘミアセタール、ナルコチンヘミアセタール、ナルコトリン、及びノスカピンの群より選択されるフタリドイソキノリンである、項目143に記載の方法。
155.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、マグノフロリン、コリツベリン、アポモルヒネ、ボルジン、イソボルジン、イソテバイン、イソコリツベリン、及びグラウフィンの群より選択されるアポルフィンである、項目143に記載の方法。
156.前記ベンジルイソキノリンアルカロイドが、ベルバムニン、グアットガウメリン、ダウリシン、及びリエンシニンの群より選択されるビスベンジルイソキノリンである、項目143に記載の方法。
157.(a)遺伝子操作された非植物細胞、及び栄養素を含む供給原料、及び水を、反応器に提供する工程;
(b)前記反応器中で、前記遺伝子操作された非植物細胞を炭水化物源及び窒素源と接触させ、それにより、細胞物質とレチクリンに由来するベンジルイソキノリンアルカロイド産物とを含む溶液を生成する工程であって、前記溶液が、プロトベルベリン、モルフィナン、イソパビン、アポルフィン、及びビスベンジルイソキノリンの群より選択される1つ以下のクラスの分子を含む、前記工程;ならびに
(c)少なくとも1つの分離装置を使用して、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を前記細胞物質から分離し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を含む生成物流を提供する工程
を含む、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を有する前記生成物流を形成するための方法。
158.前記生成物流が、リグニン、フラボノイド、フェナントレオイド、ラテックス、ルビスコ、メコン酸、プソイドモルヒネ、ナルセイン、テバオール、及び花粉の群より選択される分子を、5ppmを超えて含有しない、項目154に記載の方法。
159.前記生成物流が、メコン酸を、5ppmを超えて含有しない、項目155に記載の方法。
160.前記生成物流が、殺虫剤、殺菌剤、または除草剤からなる群より選択される物質の検出可能な量を含有しない、項目154に記載の方法。
161.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物が、少なくとも液液抽出を使用して前記生成物流から回収される、項目154に記載の方法。
162.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物が、発酵プロセスが完了した直後に回収される、項目158に記載の方法。
163.前記遺伝子操作された非植物細胞が、2つ以上の異種コード配列を含み、前記2つ以上の異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の酵素及び第二の酵素をコードし、前記第一の酵素及び前記第二の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結している、前記項目のいずれかに記載の方法。
164.前記遺伝子操作された非植物細胞が、3つの異種コード配列を含み、前記3つの異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の酵素、第二の酵素及び第三の酵素をコードし、前記第一の酵素、前記第二の酵素、及び前記第三の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結している、前記項目のいずれかに記載の方法。
165.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
166.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
167.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトベルベリン産物である、項目165または166に記載の方法。
168.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
169.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
170.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトピン産物である、項目168または169に記載の方法。
171.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
172.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
173.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンゾフェナントリジン産物である、項目171または172に記載の方法。
174.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
175.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
176.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロモルフィナン産物である、項目174または175に記載の方法。
177.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、モルフィノンレダクターゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
178.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、モルフィノンレダクターゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
179.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がモルフィナン産物である、項目177または178に記載の方法。
180.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
181.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
182.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がセコベルベリン産物である、項目180または181に記載の方法。
183.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、ナルコトリン4’-O-メチラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
184.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、ナルコトリン4’-O-メチラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
185.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がフタリドイソキノリン産物である、項目183または184に記載の方法。
186.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
187.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
188.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がビスベンジルイソキノリン産物である、項目186または187に記載の方法。
189.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
190.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
191.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンジルイソキノリン産物である、項目189または190に記載の方法。
192.前記遺伝子操作された非植物細胞が、2つ以上の追加の異種コード配列を含み、前記2つ以上の追加の異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素及び第二の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素及び前記第二の追加の酵素が、前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の及び第二の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目165~191のいずれかに記載の方法。
193.前記遺伝子操作された非植物細胞が、3つの追加の異種コード配列を含み、前記3つの異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素、第二の追加の酵素、及び第三の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素、前記第二の追加の酵素、及び前記第三の追加の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の酵素、第二の追加の酵素、及び第三の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目165~191のいずれかに記載の方法。
194.2つ以上の異種コード配列を含み、前記2つ以上の異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の酵素及び第二の酵素をコードし、前記第一の酵素及び前記第二の酵素が、前記代謝経路に沿って作動可能に連結している、前記項目のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
195.3つの異種コード配列を含み、前記3つの異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の酵素、第二の酵素、及び第三の酵素をコードし、前記第一の酵素、前記第二の酵素、及び前記第三の酵素が、前記代謝経路に沿って作動可能に連結している、前記項目のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
196.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
197.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
198.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトベルベリン産物である、項目196または197に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
199.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
200.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、プロトピンO-デアルキラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
201.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトピン産物である、項目199または200に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
202.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
203.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、ジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
204.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンゾフェナントリジン産物である、項目202または203に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
205.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
206.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
207.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロモルフィナン産物である、項目205または206に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
208.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、モルフィノンレダクターゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
209.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、モルフィノンレダクターゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
210.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がモルフィナン産物である、項目208または209に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
211.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
212.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
213.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がセコベルベリン産物である、項目211または212に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
214.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、ナルコトリン4’-O-メチラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
215.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、ナルコトリン4’-O-メチラーゼ、及びシトクロムP450レダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
216.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がフタリドイソキノリン産物である、項目214または215に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
217.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
218.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
219.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がビスベンジルイソキノリン産物である、項目217または218に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
220.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
221.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
222.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンジルイソキノリン産物である、項目220または221に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
223.2つ以上の追加の異種コード配列を含み、前記2つ以上の追加の異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素及び第二の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素及び前記第二の追加の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の及び第二の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目196~222のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
224.3つの追加の異種コード配列を含み、前記3つの異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素、第二の追加の酵素、及び第三の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素、前記第二の追加の酵素、及び前記第三の追加の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の酵素、第二の追加の酵素、及び第三の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目196~222のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
225.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
226.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
227.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトベルベリン産物である、項目225または226に記載の方法。
228.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
229.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
230.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトピン産物である、項目228または229に記載の方法。
231.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
232.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
233.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンゾフェナントリジン産物である、項目231または232に記載の方法。
234.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、及びサルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
235.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、及びサルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
236.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロモルフィナン産物である、項目234または235に記載の方法。
237.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、及びモルフィノンレダクターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
238.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、及びモルフィノンレダクターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
239.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がモルフィナン産物である、項目237または238に記載の方法。
240.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、及び1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
241.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、及び1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
242.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がセコベルベリン産物である、項目240または241に記載の方法。
243.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、及びナルコトリン4’-O-メチラーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
244.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、及びナルコトリン4’-O-メチラーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
245.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がフタリドイソキノリン産物である、項目243または244に記載の方法。
246.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
247.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
248.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がビスベンジルイソキノリン産物である、項目246または247に記載の方法。
249.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目163に記載の方法。
250.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目164に記載の方法。
251.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンジルイソキノリン産物である、項目249または250に記載の方法。
252.前記遺伝子操作された非植物細胞が、2つ以上の追加の異種コード配列を含み、前記2つ以上の追加の異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素及び第二の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素及び前記第二の追加の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の及び第二の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目225~251のいずれかに記載の方法。
253.前記遺伝子操作された非植物細胞が、3つの追加の異種コード配列を含み、前記3つの異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素、第二の追加の酵素、及び第三の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素、前記第二の追加の酵素、及び前記第三の追加の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の、第二の追加の、及び第三の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目225~251のいずれかに記載の方法。
254.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
255.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリンオキシダーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
256.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトベルベリン産物である、項目254または255に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
257.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
258.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びプロトピンO-デアルキラーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
259.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロトピン産物である、項目257または258に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
260.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
261.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、ケイランチホリンシンターゼ、スチロピンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、シス-N-メチルスチロピン14-ヒドロキシラーゼ、プロトピン-6-ヒドロキシラーゼ、及びジヒドロベンゾフェナントリジンオキシダーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
262.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンゾフェナントリジン産物である、項目260または261に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
263.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、及びサルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
264.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、及びサルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
265.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がプロモルフィナン産物である、項目263または264に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
266.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、及びモルフィノンレダクターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
267.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、サルタリジンシンターゼ、サルタリジンレダクターゼ、サルタリジノール7-O-アセチルトランスフェラーゼ、テバイン6-O-脱メチル化酵素、コデイノンレダクターゼ、コデインO-脱メチル化酵素、モルヒネデヒドロゲナーゼ、及びモルフィノンレダクターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
268.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がモルフィナン産物である、項目266または267に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
269.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、及び1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
270.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、及び1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
271.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がセコベルベリン産物である、項目269または270に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
272.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、及びナルコトリン4’-O-メチラーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
273.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、ベルベリン架橋酵素、スコウレリン9-O-メチルトランスフェラーゼ、カナジンシンターゼ、テトラヒドロプロトベルベリン-N-メチルトランスフェラーゼ、N-メチルカナジン1-ヒドロキシラーゼ、1-ヒドロキシ-N-メチルカナジン13-ヒドロキシラーゼ、4’-O-デスメチル-3-O-アセチルパパベロキシンシンターゼ、1,13-ジヒドロキシ-N-メチルカナジン13-Oアセチルトランスフェラーゼ、ナルコチンヘミアセタールシンターゼ、ノスカピンシンターゼ、及びナルコトリン4’-O-メチラーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
274.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がフタリドイソキノリン産物である、項目272または273に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
275.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
276.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、BIAエピメラーゼ、及びベルバムニンシンターゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
277.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がビスベンジルイソキノリン産物である、項目275または276に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
278.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一及び第二の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目194に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
279.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一、第二、及び第三の酵素がそれぞれ、チロシンヒドロキシラーゼ、ドパデカルボキシラーゼ、チロシン/ドパデカルボキシラーゼ、モノアミンオキシダーゼ、チロシナーゼ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目195に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
280.前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物がベンジルイソキノリン産物である、項目220または221に記載の遺伝子操作された非植物細胞。
281.2つ以上の追加の異種コード配列を含み、前記2つ以上の追加の異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素及び第二の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素及び前記第二の追加の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の及び第二の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目196~222のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
282.3つの追加の異種コード配列を含み、前記3つの異種コード配列が、基質を前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物に変換する代謝経路に関与する少なくとも第一の追加の酵素、第二の追加の酵素、及び第三の追加の酵素をコードし、前記第一の追加の酵素、前記第二の追加の酵素、及び前記第三の追加の酵素が前記代謝経路に沿って作動可能に連結し、前記ベンジルイソキノリンアルカロイド産物を産生する前記代謝経路に関与する前記第一の追加の、第二の追加の、及び第三の追加の酵素がそれぞれ、ノルコクラウリンシンターゼ、ノルコクラウリン6-O-メチルトランスフェラーゼ、コクラウリン-N-メチルトランスフェラーゼ、4’-O-メチルトランスフェラーゼ、シトクロムP450 80B1、シトクロムP450レダクターゼ、及びBIAエピメラーゼからなる群より選択される、項目196~222のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
283.遺伝子操作された酵母細胞である、前記項目のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
284.遺伝子操作された酵母細胞である、前記項目のいずれかに記載の方法。
285.遺伝子操作された細菌細胞である、項目1~282のいずれかに記載の遺伝子操作された非植物細胞。
286.遺伝子操作された細菌細胞である、項目1~282のいずれかに記載の方法。
【0319】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に示し、記載してきたが、かかる実施形態は単なる例示として提示されていることが、当業者に明らかであるだろう。本発明から逸脱することなく、多くの変形、変更及び置換が当業者に可能であるだろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する様々な代替物が、本発明の実施において採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法及び構造ならびにそれらの等価物がそれによって包括されることが意図される。
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【配列表】
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