(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】シリンジ型噴出装置
(51)【国際特許分類】
A61M 11/00 20060101AFI20230424BHJP
A61M 15/08 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
A61M11/00 D
A61M15/08
(21)【出願番号】P 2018099752
(22)【出願日】2018-05-24
【審査請求日】2021-04-20
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢部 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】安達 和人
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】角田 貴章
【審判官】倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-114065(JP,A)
【文献】特開2014-140616(JP,A)
【文献】特開2014-140588(JP,A)
【文献】特開2012-111192(JP,A)
【文献】登録実用新案第3059065(JP,U)
【文献】国際公開第2013/080558(WO,A1)
【文献】特開2015-65985(JP,A)
【文献】特表2014-513592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A61M 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するバレルと、
前記バレルに先端が挿入されたプランジャと、
前記プランジャの先端に取付けられたガスケットと、
液体を噴出するための噴出孔が設けられるとともに、前記バレルの先端に接続されたノズルと、
前記バレルと前記ノズルとの間に介在する環状のパッキンと、
少なくともその一部が前記ノズルの内部に配置され、前記ノズルとの間で液体の流路を規定する中込とを備え、
前記バレルの先端には、前記ノズルが接続された筒状の接続部が設けられ、
前記ノズルは、前記接続部の先端面に対向する第1対向面を有する環状の第1対向壁部と、前記接続部の外周面に対向する第2対向面を有する筒状の第2対向壁部とを含み、
前記パッキンは、前記接続部の先端面と前記第1対向面との間に配置され、
前記接続部の外周面には、前記接続部の周方向に沿って延びる環状凹部が設けられ、
前記第2対向面には、前記第2対向壁部の周方向に沿って延びるとともに前記第2対向壁部の径方向内側に向けて突出した第1環状突部が設けられ、
前記環状凹部に前記第1環状突部が係合することにより、前記パッキンが、前記接続部の先端面と前記第1対向面とによって挟み込まれることで軸方向に圧縮され、
前記第1環状突部が設けられた部分よりも前記ノズルの後端側に位置する部分の前記第2対向面には、前記第2対向壁部の周方向に沿って延びるとともに前記第2対向壁部の径方向内側に向けて突出した第2環状突部が設けられ、
前記第2環状突部が、前記接続部の周方向の全域において前記接続部の外周面に押圧されることで変形して当該外周面に圧接触し
、前記環状凹部に対する前記第1環状突部の係合と、前記接続部の外周面に対する前記第2環状突部の圧接触とにより、前記ノズルが前記バレルに固定されている、シリンジ型噴出装置。
【請求項2】
前記第1対向面に対向する前記パッキンの環状の第1主面には、前記パッキンの周方向に沿って延びる突条形状の第1リップ部が設けられ、
前記接続部の先端面に対向する前記パッキンの環状の第2主面には、前記パッキンの周方向に沿って延びる突条形状の第2リップ部が設けられ、
前記接続部の先端面と前記第1対向面とによって前記パッキンが挟み込まれることにより、前記第1リップ部および前記第2リップ部が、いずれも押し潰されている、請求項1に記載のシリンジ型噴出装置。
【請求項3】
前記中込が、前記パッキンに挿通しているとともに、前記接続部の内部に挿入されている、請求項1または2に記載のシリンジ型噴出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジ型噴出装置に関し、特に、バレルの先端に取付けられたノズルの内部に中込が配置されることにより、液体の流路がノズルと中込とによって規定されることで吐出される液体の圧力が高められてなるシリンジ型噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジ型噴出装置は、一般的なシリンジとは異なり、吐出される液体の圧力が相当程度に高められることによって液体を噴出孔から霧状に噴出する装置である。吐出される液体の圧力を高めるためには、噴出孔を含む液体の流路の断面積を十分に小さくすることが有効である。
【0003】
たとえば、特開2001-137344号公報(特許文献1)には、シリンジのバレルの先端にキャップ状のノズルを設け、当該ノズルに微小な噴出孔を設けるとともに、当該ノズルの内部にバルブが収容されてなるシリンジ型噴出装置が開示されている。当該バルブは、液体の流路の断面積を十分に小さくするとともに、十分に圧力が付与されていない液体の通流を防止する機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、シリンジ型噴出装置においては、液体の吐出に際してノズルの内部に高い圧力が発生することになるため、バレルとノズルとが液密にかつ強固に接続されていることが必要である。仮に、この部分の接続が十分に強固に行なわれていない場合には、使用に際して液漏れが発生するのみならず、場合によっては液体の圧力によってノズルがバレルから脱落してしまうおそれもある。
【0006】
したがって、本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成にてバレルの先端にノズルが液密にかつ強固に接続されてなるシリンジ型噴出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に基づくシリンジ型噴出装置は、バレルと、プランジャと、ガスケットと、ノズルと、パッキンと、中込とを備えている。上記バレルは、液体を貯留するものである。上記プランジャは、上記バレルに先端が挿入されており、上記ガスケットは、上記プランジャの先端に取付けられている。上記ノズルは、液体を噴出するための噴出孔が設けられてなるものであり、上記バレルの先端に接続されている。上記パッキンは、環状であり、上記バレルと上記ノズルとの間に介在している。上記中込は、少なくともその一部が上記ノズルの内部に配置されており、上記ノズルとの間で液体の流路を規定している。上記バレルの先端には、上記ノズルが接続された筒状の接続部が設けられている。上記ノズルは、上記接続部の先端面に対向する第1対向面を有する環状の第1対向壁部と、上記接続部の外周面に対向する第2対向面を有する筒状の第2対向壁部とを含んでいる。上記パッキンは、上記接続部の先端面と上記第1対向面との間に配置されている。上記接続部の外周面には、上記接続部の周方向に沿って延びる環状凹部が設けられており、上記第2対向面には、上記第2対向壁部の周方向に沿って延びるとともに上記第2対向壁部の径方向内側に向けて突出した第1環状突部が設けられている。上記パッキンは、上記環状凹部に上記第1環状突部が係合することにより、上記接続部の先端面と上記第1対向面とによって挟み込まれることで軸方向に圧縮されている。上記第1環状突部が設けられた部分よりも上記ノズルの後端側に位置する部分の上記第2対向面には、上記第2対向壁部の周方向に沿って延びるとともに上記第2対向壁部の径方向内側に向けて突出した第2環状突部が設けられている。上記第2環状突部は、上記接続部の周方向の全域において上記接続部の外周面に押圧されることで変形して当該外周面に圧接触し、上記環状凹部に対する上記第1環状突部の係合と、上記接続部の外周面に対する上記第2環状突部の圧接触とにより、上記ノズルが上記バレルに固定されている。
【0008】
上記本発明に基づくシリンジ型噴出装置にあっては、上記パッキンの周方向に沿って延びる突条形状の第1リップ部が、上記第1対向面に対向する上記パッキンの環状の第1主面に設けられていてもよく、また、上記パッキンの周方向に沿って延びる突条形状の第2リップ部が、上記接続部の先端面に対向する上記パッキンの環状の第2主面に設けられていてもよい。その場合には、上記第1リップ部および上記第2リップ部が、上記パッキンが上記接続部の先端面と上記第1対向面とによって挟み込まれることにより、いずれも押し潰されていることが好ましい。
【0009】
上記本発明に基づくシリンジ型噴出装置にあっては、上記中込が、上記パッキンに挿通しているとともに、上記接続部の内部に挿入されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成にてバレルの先端にノズルが液密にかつ強固に接続されてなるシリンジ型噴出装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係るシリンジ型噴出装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すシリンジ型噴出装置の断面図である。
【
図3】
図1に示すシリンジ型噴出装置の分解斜視図である。
【
図5】
図4に示すVA-VA線、VB-VB線およびVC-VC線に沿った断面図である。
【
図7】
図2に示すパッキンの組付構造を示す分解図である。
【
図9】
図1に示すシリンジ型噴出装置の使用時における第1段階が完了した時点での状態を示す断面図である。
【
図10】
図1に示すシリンジ型噴出装置の使用時における第2段階が完了した時点での状態を示す断面図である。
【
図11】
図1に示すシリンジ型噴出装置の使用時における第3段階が完了した時点での状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態は、患者の一対の鼻腔に薬液を投与する経鼻投与デバイスとしてのプレフィルドタイプのシリンジ型噴出装置に本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るシリンジ型噴出装置の斜視図である。
図2は、
図1に示すシリンジ型噴出装置の断面図であり、
図3は、分解斜視図である。まず、これら
図1ないし
図3を参照して、本実施の形態に係るシリンジ型噴出装置1の概略的な構成について説明する。
【0014】
図1ないし
図3に示すように、シリンジ型噴出装置1は、全体として細長の棒状の形状を有しており、バレル10と、プランジャ20と、ガスケット30と、ノズル40と、中込50と、パッキン60と、フィンガーグリップ70と、キャップ80と、薬液100とを主として備えている。
【0015】
バレル10は、軸方向の両端が開放された細長の略円筒状の部材からなり、筒状部11と、接続部12と、フランジ部13とを有している。筒状部11は、軸方向に沿って延びる円筒状の部位からなる。接続部12は、筒状部11の先端に位置しており、筒状部11よりも外径および内径が小さく形成された筒状の縮径部にて構成されている。フランジ部13は、筒状部11の後端に位置しており、筒状部11よりも外径が大きく形成された拡径部にて構成されている。
【0016】
バレル10は、中空円柱状の空間を内部に有しており、当該空間には、ガスケット30が収容されている。また、バレル10の内部に形成された空間のうち、ガスケット30が位置する部分よりもバレル10の先端側の空間には、薬液100が充填されており、ガスケット30が位置する部分よりもバレル10の後端側の空間には、ガスケット30を押し込むためのプランジャ20の先端が挿入されている。
【0017】
バレル10の材質は、薬液100の種類に応じて適宜選択される。バレル10は、好適にはガラスにて構成されるか、あるいは樹脂材料を原料とした射出成形品にて構成される。バレル10は、好ましくは透明または半透明であり、バレル10には、薬液100の残量を示す目盛りが設けられていてもよい。
【0018】
プランジャ20は、細長の棒状の部材からなり、ロッド部21と、カプラー部22と、フランジ部23とを有している。ロッド部21は、軸方向に沿って延びる断面が概ね十字形状の部位からなる。カプラー部22は、ロッド部21の先端からプランジャ20の軸方向に沿って突設されており、その外周面には、雄ネジ22aが設けられている。フランジ部23は、ロッド部21の後端からプランジャ20の軸方向と直交する方向に突出する部分を含む略板状の部位からなる。
【0019】
プランジャ20は、その先端がバレル10の後端からバレル10の内部に挿入されている。プランジャ20は、バレル10に対して相対的に移動するように使用者が押し込み操作を行なうものであり、これによりガスケット30がバレル10内を移動することで薬液100がシリンジ型噴出装置1から噴出されることになる。
【0020】
プランジャ20は、好適には樹脂材料を原料とした射出成形品にて構成される。なお、プランジャ20の軸方向の所定位置には、ロッド部21の周面から突出する第1当接部21aおよび第2当接部21bが設けられているが、これら第1当接部21aおよび第2当接部21bについては、後述することとする。
【0021】
ガスケット30は、略円柱状の部材からなり、その軸方向の後端に軸穴部31を有している。軸穴部31を規定するガスケット30の内周面には、雌ネジ31aが設けられている。
【0022】
ガスケット30の軸穴部31には、プランジャ20のカプラー部22が挿入されている。プランジャ20のカプラー部22の外周面に設けられた雄ネジ22aは、軸穴部31を規定するガスケット30の内周面に設けられた雌ネジ31aに螺合している。これにより、ガスケット30は、プランジャ20の先端に固定されることで当該プランジャ20に取付けられている。
【0023】
ガスケット30は、バレル10の筒状部11に摺動可能に収容されている。より詳細には、ガスケット30の外周面は、バレル10の筒状部11の内周面に摺接するように密着している。これにより、バレル10の内部に充填された薬液100が、プランジャ20側に向けて漏れ出すことが防止されている。
【0024】
ガスケット30の材質は、薬液100の種類に応じて適宜選択される。ガスケット30は、好適にはゴム弾性体にて構成される。当該ゴム弾性体としては、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー、シリコーンエラストマー等が利用できる。
【0025】
ノズル40は、有底略円筒状の部材からなり、ノズル部41と、被接続部42とを有している。ノズル部41は、軸方向に沿って延びる略円筒状の部位と、当該略円筒状の部位の先端を閉塞する底部とを含んでおり、このうちの底部には、微小な開口径の噴出孔41aが設けられている。被接続部42は、ノズル部41の後端に位置しており、ノズル部41よりも外径および内径が大きく形成された拡径部にて構成されている。
【0026】
ノズル40は、中空略円柱状の空間を内部に有しており、当該空間には、バレル10の接続部12、中込50およびパッキン60が収容されている。このうち、接続部12およびパッキン60は、被接続部42の内部に位置しており、中込50は、ノズル部41の内部と被接続部42の内部とに跨って位置している。
【0027】
ノズル40の被接続部42には、その後端側からバレル10の接続部12が挿入されている。これにより、ノズル40は、バレル10の先端に接続されている。具体的には、被接続部42の内径は、接続部12の外径よりも僅かに小さく構成されており、これにより接続部12が被接続部42に圧入されることでノズル40がバレル10に接続されている。なお、バレル10とノズル40とのより詳細な接続構造については、後述することとする。
【0028】
ノズル40は、バレル10に貯留された薬液100を外部に向けて噴出させるためのものであり、使用時において薬液100が通流する流路をその内部に有しているとともに、当該流路を通流した後の薬液100を外部に向けて噴出する上述した噴出孔41aを有している。
【0029】
ここで、詳細については後述するが、ノズル40の内部に中込50が配置されることにより、上述したノズル40の内部に形成された薬液100の流路は、その断面積が十分に小さく構成されている。これにより、使用時においてプランジャ20がバレル10に対して押し込まれることにより、当該流路において薬液100の圧力が高められ、結果としてノズル40に設けられた噴出孔41aから薬液100が霧状に噴出されることになる。
【0030】
ノズル40の材質は、薬液100の種類に応じて適宜選択される。ノズル40は、好適には樹脂材料を原料とした射出成形品にて構成される。
【0031】
中込50は、略円柱状の部材からなり、先端側に位置する大径部51と、後端側に位置する小径部52とを有している。大径部51の外径は、ノズル40のノズル部41の内径とほぼ同等の大きさに構成されており、小径部52の外径は、ノズル40のノズル部41の内径よりも小さく構成されている。
【0032】
大径部51の外周面には、軸方向に沿って延びる第1溝部51aが設けられており、大径部51の先端には、周方向に沿って延びる第2溝部51bが設けられている。第1溝部51aの中込50の先端側の端部は、第2溝部51bに繋がっている。
【0033】
中込50の材質は、薬液100の種類に応じて適宜選択される。中込50は、好適には樹脂材料を原料とした射出成形品にて構成される。
【0034】
中込50は、上述したように、ノズル40の内部に収容されることにより、ノズル40との間で薬液100の流路を規定するためのものであるが、その詳細については後述することとする。
【0035】
パッキン60は、軸方向において貫通する貫通孔61を有する環状の部材からなり、上述したように、ノズル40の被接続部42の内部に収容されている。パッキン60は、バレル10とノズル40との間に介在しており、より詳細には、バレル10の接続部12とノズル40の被接続部42との間に位置している。これにより、パッキン60は、バレル10とノズル40との間から薬液100が漏れ出すことを防止するシール部材として機能する。
【0036】
パッキン60の材質は、薬液100の種類に応じて適宜選択される。パッキン60は、好適にはゴム弾性体にて構成される。当該ゴム弾性体としては、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー、シリコーンエラストマー等が利用できる。また、パッキン60は、ゴム弾性体に代えて、適度な弾性を呈する樹脂製の部材にて構成されていてもよい。
【0037】
なお、パッキン60を含むバレル10とノズル40との接続構造の詳細については、前述のとおり後において詳述する。
【0038】
フィンガーグリップ70は、内部に収容空間71が形成されるとともに、側部にスリット状の開口部が設けられた偏平な箱形状を有している。フィンガーグリップ70は、バレル10の軸方向に沿って位置する一対の壁部を有しており、当該一対の壁部のうちの先端側に位置する壁部には、バレル10の筒状部11が挿通された第1挿通部72aが設けられており、当該一対の壁部のうちの後端側に位置する壁部には、プランジャ20のロッド部21が挿通された第2挿通部72bが設けられている。
【0039】
フィンガーグリップ70は、バレル10のフランジ部13に取付けられている。より詳細には、フィンガーグリップ70は、その側部に設けられたスリット状の開口部を介して上述した収容空間71にフランジ部13が収容されることとなるように、バレル10に対して組付けられている。
【0040】
フィンガーグリップ70は、バレル10に対してプランジャ20を押し込む際に使用者がその手指を掛けるための部位である。なお、フィンガーグリップ70は、たとえば樹脂材料を原料とした射出成形品にて構成される。
【0041】
フィンガーグリップ70の第2挿通部72bには、突出形状のストッパ73が設けられている。当該ストッパ73は、上述したプランジャ20のロッド部21に設けられた第1当接部21aおよび第2当接部21bに当接可能に構成されたものである。
【0042】
ここで、プランジャ20に設けられた第1当接部21aは、断面視十字形状のロッド部21の周方向に位置する4つの壁部のうちの隣り合う一対の壁部間を繋ぐように設けられた扇状の部位からなり、本実施の形態においては、当該第1当接部21aが、ロッド部21の周方向において180°のピッチで一対設けられている。
【0043】
また、プランジャ20に設けられた第2当接部21bは、断面視十字形状のロッド部21の周方向に位置する4つの壁部のうちの隣り合う一対の壁部間を繋ぐように設けられた扇状の部位からなり、本実施の形態においては、当該第2当接部21bが、ロッド部21の周方向において180°のピッチで一対設けられている。
【0044】
一対の第2当接部21bは、一対の第1当接部21aが設けられた部分よりもプランジャ20の後端側の位置に設けられている。また、一対の第2当接部21bは、一対の第1当接部21aに対してロッド部21の軸方向において重ならない位置に設けられている。
【0045】
一方、フィンガーグリップ70に設けられたストッパ73は、第2挿通部72bの縁部から内側に向けて突出しており、当該ストッパ73は、第2挿通部72bの周方向に沿って180°のピッチで一対設けられている。
【0046】
これにより、プランジャ20の軸方向において一対の第1当接部21aと一対のストッパ73とが重なった状態にある場合には、プランジャ20の押し込みに際して一対の第1当接部21aと一対のストッパ73とが当接することになり、これによってプランジャ20の押し込みが停止されることになる。一方で、プランジャ20の軸方向において一対の第1当接部21aと一対のストッパ73とが重なっていない状態にある場合には、プランジャ20の押し込みに際して一対の第1当接部21aと一対のストッパ73とが当接することがなく、プランジャ20の押し込みは停止されない。
【0047】
また、プランジャ20の軸方向において一対の第2当接部21bと一対のストッパ73とが重なった状態にある場合には、プランジャ20の押し込みに際して一対の第2当接部21bと一対のストッパ73とが当接することになり、これによってプランジャ20の押し込みが停止されることになる。一方で、プランジャ20の軸方向において一対の第2当接部21bと一対のストッパ73とが重なっていない状態にある場合には、プランジャ20の押し込みに際して一対の第2当接部21bと一対のストッパ73とが当接することがなく、プランジャ20の押し込みは停止されない。
【0048】
したがって、バレル10にその先端が挿入されたプランジャ20を当該プランジャ20の軸線を中心として周方向に回転させることにより、プランジャ20の移動がフィンガーグリップ70によって制限されたり制限されなくなったりすることになるため、プランジャ20に設けられる第1当接部21aおよび第2当接部21bの位置を適切に調整することにより、1回のプランジャ20の押し込み操作によって投与される薬液100の量を所定の量に調節することができる。
【0049】
キャップ80は、有底略角筒状の形状を有しており、ノズル40に着脱自在に取付けられる。キャップ80は、シリンジ型噴出装置1の未使用時においてノズル40のノズル部41を覆うようにノズル40に取付けられる。これにより、シリンジ型噴出装置1の未使用時においては、ノズル40に設けられた噴出孔41aの近傍が、キャップ80によって清浄な状態に保たれることになる。
【0050】
キャップ80の材質は、薬液100の種類に応じて適宜選択される。キャップ80は、好適にはゴム弾性体にて構成される。当該ゴム弾性体としては、ブチルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー、シリコーンエラストマー等が利用できる。また、キャップ80は、ゴム弾性体に代えて、適度な弾性を呈する樹脂製の部材にて構成されていてもよい。
【0051】
図4は、
図2に示す領域IVの拡大図であり、
図5(A)ないし
図5(C)は、それぞれ
図4に示すVA-VA線、VB-VB線およびVC-VC線に沿った断面図である。次に、これら
図4および
図5を参照して、本実施の形態に係るシリンジ型噴出装置1のノズル40の内部に形成された薬液100の流路の構成について詳説する。なお、
図4および
図5においては、理解を容易とするために、薬液100の図示は省略している。
【0052】
図4に示すように、バレル10とノズル40との間に介在するパッキン60に貫通孔61が設けられることにより、バレル10の内部の空間とノズル40の内部の空間とは、当該貫通孔61を介して連通している。一方で、中込50の後端側に位置する小径部52は、パッキン60に挿通しているとともに、バレル10の接続部12の内部に挿入されている。
【0053】
ここで、パッキン60の内径および接続部12の内径は、いずれも中込50の小径部52の外径よりも大きく構成されている。これにより、中込50の小径部52とパッキン60および接続部12との間には、微小な隙間が形成されることになり、当該隙間によって断面積が十分に小さい薬液100の流路が規定されることになる。
【0054】
また、ノズル40の内部の空間のうち、パッキン60の貫通孔61に隣接する部分の空間であるノズル部41の後端側の空間には、中込50の小径部52が位置している。上述したように、小径部52の外径は、ノズル部41の内径よりも小さく構成されている。これにより、中込50の小径部52とノズル部41との間にも微小な隙間が形成されることになり、当該隙間によって断面積が十分に小さい薬液100の流路が規定されることになる。
【0055】
図4、
図5(A)および
図5(B)に示すように、ノズル40の内部の空間のうち、中込50の大径部51が配置された空間においては、主として大径部51の外周面に設けられた第1溝部51aおよび大径部51の先端に設けられた第2溝部51bによって薬液100の流路が規定されている。
【0056】
より詳細には、上述したように大径部51の外径は、ノズル部41の内径とほぼ同等の大きさに構成されているため、第1溝部51aの表面および第2溝部51bの表面と、これらに対向する部分のノズル部41の内周面とによって断面積が十分に小さい薬液100の流路が規定されることになる。なお、本実施の形態においては、中込50の周方向において180°のピッチで一対の第1溝部51aが設けられている。
【0057】
一方、
図4および
図5(C)に示すように、噴出孔41aが設けられたノズル40の先端(すなわちノズル部41の上述した底部)には、上述した第2溝部51bに連通する放射状に延びる複数の第1流路部41bが設けられている。これら放射状に延びる複数の第1流路部41bの中央部に対応する部分のノズル部41の底部には、円柱状の空間からなる第2流路部41cが設けられており、複数の第1流路部41bの各々は、当該第2流路部41cに連通している。この第2流路部41cは、噴出孔41aにも連通している。
【0058】
ここで、複数の第1流路部41bおよび第2流路部41cは、いずれも十分に微小に構成されており、これらによって断面積が十分に小さい薬液100の流路が規定されることになる。
【0059】
以上のように、本実施の形態に係るシリンジ型噴出装置1においては、ノズル40の内部に中込50が収容されることにより、これらノズル40と中込50とによって規定される薬液100の流路の断面積が十分に小さく構成されることになり、これにより当該流路において薬液100の圧力が高められ、結果として噴出孔41aから薬液100が霧状に噴出されることになる。
【0060】
図6(A)および
図6(B)は、
図2に示すパッキンの斜視図であり、
図7は、当該パッキンの組付構造を示す分解図である。また、
図8は、
図4に示す領域VIIIの拡大図である。次に、これら
図6ないし
図8と前述の
図3および
図4とを参照して、本実施の形態に係るシリンジ型噴出装置1におけるバレル10に対するノズル40の組付構造について詳説する。
【0061】
図6(A)、
図6(B)および
図7に示すように、貫通孔61が設けられてなる環状のパッキン60は、軸方向に位置する一対の主面である第1主面60aおよび第2主面60bを有している。これら第1主面60aおよび第2主面60bは、貫通孔61を取り囲むようにいずれも環状の形状を有している。第1主面60aには、周方向に沿っての延びる突条形状の第1リップ部62aが設けられており、第2主面60bには、周方向に沿って延びる第2リップ部62bが設けられている。
【0062】
図7に示すように、パッキン60は、第1主面60aがノズル40側に配置されるとともに、第2主面60bがバレル10側に配置された状態で、これらノズル40とバレル10とによって挟み込まれることでシリンジ型噴出装置1に組付けられる。より詳細には、パッキン60は、軸方向においてバレル10とノズル40とによって圧縮された状態でこれらバレル10およびノズル40に組付けられる。
【0063】
ここで、
図3、
図4、
図7および
図8に示すように、バレル10の接続部12は、環状の形状を有する先端面12aと、略円筒面からなる外周面12bとを有している。このうち、外周面12bの所定位置には、周方向に沿って延びる環状凹部12cが設けられている。
【0064】
一方で、ノズル40の被接続部42は、ノズル部41の後端に位置する円環板状の第1対向壁部42Aと、当該第1対向壁部42Aの外縁から連続して延びる略円筒状の第2対向壁部42Bとを有している。第1対向壁部42Aは、バレル10の接続部12の先端面12aに対向する第1対向面42aを有しており、第2対向壁部42Bは、バレル10の接続部12の外周面12bに対向する第2対向面42bを有している。
【0065】
第1対向面42aは、環状の形状を有しており、第2対向面42bは、略円筒面からなる。第2対向面42bの所定位置には、周方向に沿って延びるとともに径方向内側に向けて突出した第1環状突部42cが設けられている。また、第1環状突部42cが設けられた部分よりもノズル40の後端側に位置する部分の第2対向面42bには、周方向に沿って延びるとともに径方向内側に向けて突出した第2環状突部42dが設けられている。
【0066】
図7に示すように、バレル10に対するノズル40の接続は、ノズル40の被接続部42にバレル10の接続部12が圧入されることで行なわれる。その際、ノズル40の第1対向面42aとバレル10の先端面12aとの間にパッキン60を介在させることにより、パッキン60がこれら第1対向面42aおよび先端面12aによって挟み込まれるようにする。
【0067】
図8に示すように、組付け後の状態においては、バレル10の接続部12の外周面12bに設けられた環状凹部12cに、ノズル40の被接続部42の第2対向面42bに設けられた第1環状突部42cが係合している。これにより、バレル10とノズル40とが互いに遠ざかる方向に向けて移動することが制限されることになる。
【0068】
このとき、パッキン60の第1主面60aは、ノズル40側に配置され、パッキン60の第2主面60bは、バレル10側に配置される。そのため、組付け後においては、パッキン60の第1主面60aがノズル40の第1対向面42aに当接し、パッキン60の第2主面60bがバレル10の先端面12aに当接する。
【0069】
これにより、パッキン60は、ノズル40の第1対向面42aおよびバレル10の先端面12aから、それぞれ互いに逆向きである図中に示す矢印A1方向および矢印A2方向に向けて力を受け、これによって軸方向に圧縮された状態となる。
【0070】
一方で、圧縮されたパッキン60の復元力を受け、バレル10の環状凹部12cは、ノズル40の第1環状突部42cから図中に示す矢印B方向に向けて(すなわちパッキン60側に向けて)力を受ける。
【0071】
そのため、ノズル40とバレル10とが軸方向において固定されることになり、これによってノズル40がバレル10に対して接続されることになる。
【0072】
なお、その際、パッキン60に設けられた第1リップ部62aおよび第2リップ部62bは、ノズル40の第1対向面42aとバレル10の先端面12aとによってパッキン60が挟まれることにより、いずれも押し潰される。これにより、パッキン60の第1主面60aとノズル40の第1対向面42aとが密着するとともに、パッキン60の第2主面60bとバレル10の先端面12aとが密着することになり、これら部分においてノズル40の内部の空間が外部から液密に封止されることになる。
【0073】
ここで、上述した環状凹部12cと第1環状突部42cとの係合のみによってノズル40をバレル10に固定することとした場合には、上述したようにノズル40とバレル10とが軸方向においてのみ固定されることになるため、当該軸方向と交差する方向に外力が加わった場合に、これらバレル10とノズル40との間に大きながたつきが生じてしまうおそれがある。
【0074】
このがたつきが使用時において発生した場合には、特にノズル40の内部において薬液100の圧力が高まることも相まって、バレル10とノズル40との間から薬液100が漏れ出してしまうおそれがある。また、このがたつきが使用時に発生した場合には、バレル10に対してノズル40が軸ずれを起こすことで薬液100の噴出方向にずれが生じることにも繋がり、狙った位置への薬液100の投与が阻害されてしまうおそれもある。
【0075】
そこで、本実施の形態に係るシリンジ型噴出装置1においては、上述したように、第1環状突部42cが設けられた部分よりもノズル40の後端側に位置する部分の第2対向面42bに、周方向に沿って延びるとともに径方向内側に向けて突出した第2環状突部42dを設けることにより、このがたつきの発生が抑制されている。
【0076】
すなわち、
図8に示すように、バレル10の接続部12の周方向の全域において当該接続部12の外周面12bに圧接触するように、第2対向面42bに第2環状突部42dを設けることにより、接続部12が被接続部42の第2環状突部42dから図中に示す矢印C方向に向けて(すなわち径方向内側に向けて)力を受けることになり、この部分においてノズル40とバレル10とが径方向において固定されることになる。
【0077】
したがって、当該構成を採用することにより、ノズル40とバレル10とが軸方向のみならず径方向においても固定されることになり、ノズル40がバレル10に液密にかつ強固に接続されることになる。そのため、ノズル40またはバレル10に軸方向と交差する方向に外力が加わった場合にも、これらバレル10とノズル40との間に大きながたつきが生じることがなくなり、結果として液漏れの発生が大幅に抑制できることになる。
【0078】
当該効果は、未使用時のみならず、ノズル40の内部において薬液100の圧力が高まることになる使用時においても、これを得ることができる。すなわち、上述した構成を採用することにより、ノズル40がバレル10に液密にかつ強固に接続されため、シリンジ型噴出装置1の使用時において上述した外力が加わった場合にも、液漏れの発生が抑制できることになる。
【0079】
また、上述したシリンジ型噴出装置1とすることにより、上述のとおりバレル10とノズル40との間のがたつきが抑制できるため、バレル10に対するノズル40の軸ずれも未然に防止することができ、結果として薬液100の噴出方向にずれが生じず、狙った位置への薬液100の投与が可能になる効果も得られる。
【0080】
さらには、上述したシリンジ型噴出装置1とすることにより、ノズル40の被接続部42の第2対向面42bに第2環状突部42dを設けるという非常に簡素な構成にて、ノズル40をバレル10に液密にかつ強固に接続することができるため、製造コストが増大することもなく、安価に高性能のシリンジ型噴出装置1を提供することもできる。
【0081】
図9ないし
図11は、
図1に示すシリンジ型噴出装置の使用時における第1段階ないし第3段階が完了した時点でのそれぞれの状態を示す断面図である。次に、これら
図9ないし
図11と前述の
図2とを参照して、本実施の形態に係るシリンジ型噴出装置1の使用方法について説明する。
【0082】
図2に示すように、シリンジ型噴出装置1を使用するに際しては、まず、ノズル40が鉛直上方に配置されかつプランジャ20が鉛直下方に配置されるように、シリンジ型噴出装置1を起立させた姿勢とし、この状態においてキャップ80が取り外される。
【0083】
次に、
図2に示すように、第1段階として、使用者は、プランジャ20を操作し、当該プランジャ20を図中に示す矢印AR1方向(すなわちバレル10側)に向けて押し込む。その際、プランジャ20のロッド部21に設けられた一対の第1当接部21aが、フィンガーグリップ70に設けられた一対のストッパ73に当接することにより、プランジャ20が図中に示す距離D1だけ移動した時点で停止する。
【0084】
この第1段階においては、プランジャ20の上述した距離D1だけの移動に伴い、
図9に示すように、バレル10およびノズル40の内部に含まれる空気と、バレル10に充填された薬液100の余剰分(すなわち、バレル10に充填された薬液100の総量から、一方の鼻腔に投与されるべき薬液100の投与量と、他方の鼻腔に投与されるべき薬液100の投与量と、投与完了後にバレル10およびノズル40の内部に残留する薬液100の量とを差し引いた量)とが、噴出孔41aからシリンジ型噴出装置1の外部に噴出される。これにより、バレル10およびノズル40の内部がすべて薬液100によって満たされた状態となり、薬液100の投与の準備が整うことになる。
【0085】
次に、
図9に示すように、第2段階として、使用者は、プランジャ20を操作し、当該プランジャ20を図中に示す矢印AR2方向に向けて回転させることで上述した一対の第1当接部21aと一対のストッパ73との当接を解除する。その後、使用者は、ノズル40の先端を一方の鼻腔に挿入してプランジャ20を操作し、当該プランジャ20を図中に示す矢印AR3方向(すなわちバレル10側)に向けて押し込む。その際、プランジャ20のロッド部21に設けられた一対の第2当接部21bが、フィンガーグリップ70に設けられた一対のストッパ73に当接することにより、プランジャ20が図中に示す距離D2だけ移動した時点で停止する。
【0086】
この第2段階においては、プランジャ20の上述した距離D2だけの移動に伴い、
図10に示すように、予め定めた一方の鼻腔への投与量に相当する分の薬液100が、噴出孔41aからシリンジ型噴出装置1の外部に噴出される。これにより、一方の鼻腔への薬液100の投与が完了する。
【0087】
次に、
図10に示すように、第3段階として、使用者は、プランジャ20を操作し、当該プランジャ20を図中に示す矢印AR4方向に向けて回転させることで上述した一対の第2当接部21bと一対のストッパ73との当接を解除する。その後、使用者は、ノズル40の先端を他方の鼻腔に挿入してプランジャ20を操作し、当該プランジャ20を図中に示す矢印AR5方向(すなわちバレル10側)に向けて押し込む。その際、ガスケット30の先端がバレル10の接続部12寄りの筒状部11の端部に当接することにより、プランジャ20が図中に示す距離D3だけ移動した時点で停止する。
【0088】
この第3段階においては、プランジャ20の上述した距離D3だけの移動に伴い、
図11に示すように、予め定めた他方の鼻腔への投与量に相当する分の薬液100が、噴出孔41aからシリンジ型噴出装置1の外部に噴出される。これにより、他方の鼻腔への薬液100の投与が完了する。
【0089】
以上により、すべての操作が完了し、患者の一対の鼻腔への薬液100の投与が完了する。このように、本実施の形態に係るシリンジ型噴出装置1とすることにより、使用時において液漏れが発生することを抑制しつつ、予め定めた投与量の薬液100を正確に患者の一対の鼻腔に投与することが可能になる。
【0090】
上述した本発明の実施の形態においては、ノズルの内部に収容される中込に軸方向に延びる一対の第1溝部と先端に設けられた第2溝部とを設けることにより、ノズルの内部に形成される薬液の流路の断面積が十分に小さくなるように構成した場合を例示して説明を行なったが、当該流路は必ずしもこのように構成される必要はない。すなわち、ノズルの内部に中込を収容することでノズルと中込とによって十分に断面積が小さい薬液の流路が形成されるのであれば、当該流路をどのように構成してもよい。
【0091】
また、上述した本発明の実施の形態においては、患者の一対の鼻腔に薬液を投与する経鼻投与デバイスとしてのプレフィルドタイプのシリンジ型噴出装置に本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、本発明は、他の用途に使用されるシリンジ型噴出装置にも当然にその適用が可能である。
【0092】
このように、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0093】
1 シリンジ型噴出装置、10 バレル、11 筒状部、12 接続部、12a 先端面、12b 外周面、12c 環状凹部、13 フランジ部、20 プランジャ、21 ロッド部、21a 第1当接部、21b 第2当接部、22 カプラー部、22a 雄ネジ、23 フランジ部、30 ガスケット、31 軸穴部、31a 雌ネジ、40 ノズル、41 ノズル部、41a 噴出孔、41b 第1流路部、41c 第2流路部、42 被接続部、42A 第1対向壁部、42B 第2対向壁部、42a 第1対向面、42b 第2対向面、42c 第1環状突部、42d 第2環状突部、50 中込、51 大径部、51a 第1溝部、51b 第2溝部、52 小径部、60 パッキン、60a 第1主面、60b 第2主面、61 貫通孔、62a 第1リップ部、62b 第2リップ部、70 フィンガーグリップ、71 収容空間、72a 第1挿通部、72b 第2挿通部、73 ストッパ、80 キャップ、100 薬液。