(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】水電解装置
(51)【国際特許分類】
C25B 9/00 20210101AFI20230424BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20230424BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C25B9/00 A
C25B1/04
C25B15/08 302
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018156042
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2018-10-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】201710739879.5
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515080294
【氏名又は名称】リン,シン-ユン
【氏名又は名称原語表記】Lin,Hsin-Yung
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】リン,シン-ユン
【合議体】
【審判長】池渕 立
【審判官】宮部 裕一
【審判官】土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-180177(JP,A)
【文献】台湾特許出願公開第201723233(TW,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水電解装置であって、
ユニットであって、前記ユニット内の水槽と、前記ユニットに構成される水素インターフェースと、前記ユニットに構成される酸素インターフェースと、空気供給管
と、前記空気供給管
に接続される空気供給インターフェース
とを備えるユニット、
前記水素インターフェースおよび前記酸素インターフェースを介して前記ユニットと接続し、水の電気分解中に
イオン交換膜型電解器の同一側で水素気体を前記水素インターフェースに
出力し、酸素気体を前記酸素インターフェースに
出力する
イオン交換膜型電解器、及び
前記空気供給インターフェースと接続して前記空気供給インターフェースに空気を吸引し、前記空気供給管で水素気体を希釈させるポンプ、
を備える水電解装置。
【請求項2】
前記空気供給管は第1の流動方向を有し、前記空気供給インターフェースは第2の流動方向を有し、前記第1の流動方向は前記水電解装置の上側部分に向き、前記第2の流動方向は前記空気供給管に向き、前進角は前記第1の流動方向と前記第2の流動方向との間に形成される、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項3】
前記前進角は前記空気供給インターフェースと前記空気供給管との間に形成され、90度未満である、請求項2に記載の水電解装置。
【請求項4】
前記
イオン交換膜型電解器は陽極室及び酸素出力管を更に備え、前記陽極室は陽極導電板を含む陽極、陽極封止板、及び陽極外板を備え、前記
イオン交換膜型電解器が水を電気分解すると、前記陽極室は酸素気体を発生させ、前記酸素出力管は酸素気体を出力させるように構成され、前記酸素出力管は前記陽極外板、前記陽極導電板及び前記陽極封止板を貫通する、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項5】
前記
イオン交換膜型電解器は陰極室及び水素出力管を更に備え、前記水素出力管は水素気体を出力させるように構成され、前記陰極室は陰極導電板を含む陰極、陰極封止板を備え、前記水素出力管は前記陽極外板、前記陽極導電板、前記陽極封止板及び前記陰極封止板を貫通する、請求項4に記載の水電解装置。
【請求項6】
前記
イオン交換膜型電解器は水供給配管を更に備え、前記水供給配管は前記陽極外板、前記陽極導電板及び前記陽極封止板上に構成されてこれらを貫通して前記陽極室及び前記水槽を接続し、前記水槽からの水は前記水供給配管を通って前記陽極室に流入して前記陽極室中の水を補給する、請求項4に記載の水電解装置。
【請求項7】
水位検出装置を更に備え、前記水位検出装置は前記水槽の外側に構成されて前記水槽中の水量を検出する、請求項6に記載の水電解装置。
【請求項8】
前記ポンプが前記空気供給管中に空気を案内するように前記水電解装置の外部環境から空気を吸引するファンを更に備える、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項9】
検出した水素気体体積濃度が第1の所定値よりも高いとき第1の警告信号を発生する、水素濃度検出器、及び、
前記水素濃度検出器に接続された制御器であって、前記第1の警告信号を受信すると起動指令を発生して前記ポンプを始動させる、制御器を更に備える、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項10】
検出した水素体積濃度
が第2の所定値よりも高いとき第2の警告信号を発生する、水素濃度検出器、及び、
前記水素濃度検出器に接続された制御器であって、前記第2の警告信号を受信すると停止指令を発生して前記イオン交換膜型電解器を停止させる、制御器を更に備える、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項11】
前記第1の所定値は4%である、請求項9に記載の水電解装置。
【請求項12】
電源を更に備え、前記電源は
前記イオン交換膜型電解器に接続され電気分解反応に要する電力を供給する高電力出力部
、及び
前記水電解装置の他の非電解用部品に電力を供給する低電力出力部を備え、前記低電力出力部により出力される電力は前記高電力出力部により出力される電力の半分以下であり、
前記高電力出力部は第1の電圧及び第1の電流を出力し、前記低電力出力部は第2の電圧及び第2の電流を出力し、前記第1の電圧は前記第2の電圧未満であり、前記第1の電流は前記第2の電流よりも大きい、請求項1に記載の水電解装置。
【請求項13】
前記空気供給管に接続されて希釈済み水素気体を受容する霧状/揮発性気体混合槽であって、霧状気体を選択的に発生させてそれを希釈済み水素気体と混合させることにより健康に有益な気体を形成し、前記霧状気体は水蒸気、霧状化薬または揮発性芳香油である、霧状/揮発性気体混合槽を更に備える、請求項1に記載の水電解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水電解装置に関し、より具体的には、導管により空気供給管に接続された空気ポンプ及び導管と空気供給管との間に形成され前進角を有する水電解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人々がより多くの関心を健康状態に向けるようになっている中で、医療技術の開発の多くは人間寿命の長寿化に向けた病気の治及を目標とすることが多い。これまでの治療の大部分は受動的であり;すなわち、病気は、起きてから初めて治療され、治療には、手術、投薬治療、放射線療法、または場合によっては癌に対する医療措置が含まれ得る。しかし、近年では、医療専門家による研究の大部分は、健康食品、検診及び遺伝病の防止等の、予防医療法に徐々に向けられつつあり、これにより将来の疾病の発生は積極的に防止されることになる。更に、長寿化への関心から、スキンケア製品及び酸化防止食品/薬剤等の、多くの抗老化及び酸化防止技術が徐々に開発され、一般の人々に採用されつつある。
【0003】
研究により、人体中には遊離基としても公知である不安定酸素種(O+)が存在することが見出されている。通常、疾病、食餌療法、環境及び個人の生活様式に起因して生成される遊離基は、吸入水素との反応により水の形態で排泄され得る。この方法により人体中の遊離基の量は低減可能であり、それにより身体状態は酸性からアルカリ性に回復され、酸化防止、抗老化及び美容健康効果の達成及び、慢性疾患の除去さえも可能となる。更に、高濃度の酸素を長期間に亘って吸入する必要のある患者は肺障害を経験することになり得ることを示す臨床実験も存在するが、こうした状態は水素の吸入によって回復する可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水素の吸入効率を高めるために水素吸入時間を増大させるのは効率を向上させる上で有効な方法である。一般に、従来型水電解装置は比較的嵩高であるため、日常の活動中に従来型水電解装置の傍らで水素気体吸入に十分な時間を確保するのは難しい。したがって、睡眠時間中に水素気体を吸入することは有効な方法であろう。しかし、上述のように、従来型水電解装置は比較的嵩高であり、水電解装置の体積を如何に低減させて十分な水素気体生成を維持するかが解決されるべき課題である。
【0005】
上述の健康管理に加えて、水素気体の利用は加熱または焼成用に酸素炎を発生させるために、または機関の炭素付着物等を除去するためにも使用され得る。一般に、水素気体は電解器中で水を電気分解することにより発生される;しかし、水の電解工程中には高温が容易に発生する。気体の爆発を回避するために、既存の水素酸素電解器はほとんどが空冷式であり;すなわち、冷却にファンが使用される。しかし、ファンに不具合が起きた場合には、水素酸素電解器の温度が上昇して気体爆発の危険に至る。更に、電気分解装置による水の電気分解後に発生した水素酸素混合気体には電解質が通常含まれており、人間による直接の吸入には適さない。同時に、電解工程中の電解質消費の問題も存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は電解器、空気供給管及び空気ポンプを含む水電解装置を提供する。電解器は陰極を含む。陰極は、電解器による水の電気分解中に水素気体を発生させる。空気供給管は、電解器により発生された水素気体を受容するように構成される。空気ポンプは、空気を吸引すると共に空気供給インターフェースを介して空気供給管と接続され、空気供給管中で水素濃度を希釈する。空気供給管は空気供給インターフェースを含む。空気ポンプは導管を含む。前進角が空気供給インターフェースと空気供給管との間の接続位置に形成され、導管から空気供給管中に空気を案内する。
【0007】
本発明の一実施形態では、空気供給管は第1の流動方向を有し、空気供給インターフェースは第2の流動方向を有する。第1の流動方向は水電解装置の上側部分に向いている。第2の流動方向は空気供給管に向いている。前進角が第1の流動方向と第2の流動方向との間に形成される。前進角の範囲は好ましくは25~45度である。前進角を成す接続位置の形状は円弧状前進角とされる。
【0008】
本発明の一実施形態では、電解器は陽極室及び酸素出力管を更に含む。陽極室は陽極、陽極封止板、陽極導電板及び陽極外板を含む。電解器による水の電気分解中に、陽極室は酸素気体を発生させる。酸素出力管は酸素気体を出力させるように構成される。酸素出力管は陽極外板、陽極導電板及び陽極封止板を貫通する。
【0009】
本発明の一実施形態では、電解器は陰極室及び水素出力管を更に含む。水素出力管は水素気体を出力させるように構成される。陰極室は陰極、陰極封止板及び陰極導電板を含む。水素出力管は、陽極外板、陽極導電板、陽極封止板及び陰極封止板を貫通する。酸素気体及び水素気体はイオン交換膜型電解器の同一の側から出力される。
【0010】
本発明の一実施形態では、電解器は水供給配管を更に含む。水供給配管は、陽極外板、陽極導電板及び陽極封止板を貫通して陽極室及び水槽を接続するように構成される。水槽からの水は、水供給配管を通って陽極室に流入して陽極室中の電解に係る水を補給する。
【0011】
本発明の一実施形態では、水電解装置は水位検出装置を更に含む。水位検出装置は水槽の外側に構成されて水槽中の水量を検出する。
【0012】
本発明の一実施形態では、水電解装置はファンを更に含む。ファンは水電解装置の外部環境から水電解装置中に空気を吸引し、空気ポンプがこの空気を吸引してそれを空気供給管中に案内する。
【0013】
本発明の一実施形態では、水電解装置は水素濃度検出器を更に含み、この水素濃度検出器が空気供給管に接続されて空気供給管中の水素気体体積濃度が第1の所定値~第2の所定値の範囲内にあるかどうかを検出する。水素濃度検出器は、検出した水素気体体積濃度が第1の所定値よりも高いと第1の警告信号を発生する。水電解装置は制御器を更に含み、この制御器が水素濃度検出器、空気ポンプ及び電解器に結合される。制御器は、第1の警告信号を受信すると起動指令を発生して空気ポンプを始動させる。
【0014】
本発明の一実施形態では、水素濃度検出器は、検出した水素気体体積濃度が第2の所定値よりも高いと第2の警告信号を発生させる。制御器は、第2の警告信号を受信すると停止指令を発生して電解器を停止させる。
【0015】
本発明の一実施形態では、第1の所定値は4%であり、第2の所定値は6%であり、空気供給管中の検出水素気体体積濃度の範囲は4%~6%である。
【0016】
本発明の一実施形態では、水電解装置は霧状/揮発性気体混合槽を更に含み、この霧状/揮発性気体混合槽が空気供給管に接続されて希釈済み水素気体を受容する。霧状/揮発性気体混合槽は、霧状気体を選択的に発生させてそれを水素気体と混合させることにより健康に有益な気体を形成する。霧状気体は、水蒸気、霧状化薬及び揮発性芳香油から成る群から選択される1種または組合せである。
【0017】
本発明の一実施形態では、水電解装置は電源を更に含む。電源は高電力出力部及び低電力出力部を含む。低電力出力部により出力される電力は、高電力出力部により出力される電力の半分以下である。高電力出力部は第1の電圧及び第1の電流を出力する。低電力出力部は第2の電圧及び第2の電流を出力する。第1の電圧は第2の電圧未満であり、第1の電流は第2の電流よりも大きい。
【0018】
本発明は、電解器、空気供給管及び空気ポンプを含む別の水電解装置を更に提供する。電解器は陰極を含む。陰極は、電解器による水の電気分解中に水素気体を発生させる。空気供給管は、電解器により発生された水素気体を受容するように構成される。空気ポンプは、空気を吸引すると共に空気供給インターフェースにより空気供給管に接続され、空気を受容して空気供給管中の水素濃度を希釈させる。水電解装置の体積は8.5リットル未満である。水電解装置の水素発生率は120ml/分~600ml/分にの範囲にあり得る。ユーザは、水電解装置の操作盤による水電解装置の水素発生率の調節することができる。
【0019】
本発明の一実施形態では、水電解装置はケースを更に含む。ケースは基部及び側壁を含む。電解器はケースの非中央位置に構成される。
【0020】
本発明の一実施形態では、電解器は、第1の側部、第2の側部、イオン交換膜、陽極、酸素出力管及び水素出力管を含む。イオン交換膜は陽極と陰極との間に構成される。電解器による水の電気分解中に、陰極は水素気体を発生させ、陽極は酸素気体を発生させる。酸素出力管は酸素気体を出力させるように構成される。水素出力管は水素気体を出力させるように構成される。第1の側部は側壁の近傍に存在し、酸素気体及び水素気体の両方が電解器の第2の側部から出力される。
【0021】
本発明の一実施形態では、陽極はイオン交換膜と第2の側部との間に構成され、陰極はイオン交換膜と第1の側部との間に構成される。酸素出力管は、イオン交換膜と第2の側部との間の位置から第2の側部に延在して第2の側部を貫通する。水素出力管は、イオン交換膜と第1の側部との間の位置から第2の側部に延在して第2の側部を貫通する。
【0022】
本発明の一実施形態では、陽極はイオン交換膜と第1の側部との間に構成され、陰極はイオン交換膜と第2の側部との間に構成される。酸素出力管は、イオン交換膜と第1の側部との間の位置から第2の側部に延在して第2の側部を貫通する。水素出力管は、イオン交換膜と第2の側部との間の位置から第2の側部に延在して第2の側部を貫通する。
【0023】
水素気体及び酸素気体が同一の側から出力される電解器により、水槽、気体水分離槽、空気供給管等は制限された容積のケース中に構成され、本発明は十分な水素気体生成ならびにファン及び空気ポンプの低騒音を維持しながらもケース中の収納空間を可能な限り広く利用し得る。したがって、本発明によれば有効な空間配置で小体積、低騒音でありユーザの近傍への配置に好適である水電解装置が実際に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】
図1Aは本発明の実施形態に従った水電解装置を示す外観図である。
【
図1B】
図1Bは本発明の実施形態に従ったケースを除去した水電解装置を示す外観図である。
【
図1C】
図1Cは本発明の実施形態に従った水電解装置を示す機能ブロック図である。
【
図2A】
図2Aは本発明の実施形態に従ったイオン交換膜型電解器を示す簡単な断面概略図である。
【
図2B】
図2Bは本発明の別の実施形態に従ったイオン交換膜型電解器を示す簡単な断面概略図である。
【
図3】
図3は本発明の実施形態に従ったイオン交換膜型電解器を示す分解図である。
【
図4】
図4は本発明の実施形態に従った別の視点からの
図3のイオン交換膜型電解器の分解図を示す。
【
図6】
図6は本発明の実施形態に従った水電解装置を示す分解図である。
【
図8A】
図8Aは本発明の実施形態に従った水電解装置を示す上面図である。
【
図10】
図10は本発明の別の実施形態に従った水電解装置を示す概略図である。
【
図11】
図11は本発明の別の実施形態に従った水電解装置を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の利点、趣旨、及び特徴の詳細な説明及び検討を実施形態により図面を参照しながら行うこととする。
【0026】
本発明の利点、趣旨、及び特徴をより容易にかつ明確に理解し得るように、実施形態により図面を参照しながら詳細な説明及び検討を以下に行う。これらの実施形態は本発明の単に代表的な実施形態に過ぎず、特有の方法、装置、条件、材料等は本発明の実施形態または対応する実施形態に限定されることはない。
【0027】
図1A~
図1Cを参照する。
図1Aは本発明の実施形態に従った水電解装置を示す外観図である。
図1Bは本発明の実施形態に従ったケースを除去した水電解装置を示す外観図である。
図1Cは本発明の実施形態に従った水電解装置を示す機能ブロック図である。実施形態では、本発明はケース100及び操作盤102を含む水電解装置1を提供する。ケース100は側壁110及び基部112を含む。ケース100は水槽10及びイオン交換膜型電解器12をその中に含む。水槽10は、イオン交換膜型電解器12による電気分解用の水を提供するように構成され、操作盤102とは反対側のケース100の一の側に構成される。イオン交換膜型電解器12は、操作盤102と水槽10との間のケース100の非中央位置に構成される。イオン交換膜型電解器12は水を電気分解して水素気体を発生させるように構成される。実施形態では、水は高純度水素気体を調製し得るように脱イオン水であり得るが、これに限定はされない。実際の適用には、利用可能な如何なる水も採用可能である。更に、本発明はイオン交換膜型電解器に限定されず、他の型式の電解器も本発明に採用可能である。
【0028】
図2A及び
図2Bを参照する。
図2Aは本発明の実施形態に従ったイオン交換膜型電解器12を示す簡単な断面概略図である。
図2Bは本発明の別の実施形態のイオン交換膜型電解器12を示す簡単な断面概略図である。本節では
図2A及び
図2Bの両方を用いて本発明の主要特徴を簡潔に説明する。
【0029】
図2Aを参照する。イオン交換膜型電解器12は、イオン交換膜120、陰極123、陽極124、第1の側部S1、第2の側部S2、水素出力管21及び酸素出力管22を実質上含む。イオン交換膜120は、第1の側部S1と第2の側部S2との間に構成される。陰極123はイオン交換膜120と第1の側部S1との間に構成される。陽極124はイオン交換膜120と第2の側部S2との間に構成される。第1の側部S1及び陰極123が位置する領域を陰極室1201と呼び、第2の側部S2及び陽極124が位置する領域を陽極室1202と呼ぶこととする。陰極室1201及び陽極室1202に対応する位置をより明確に表すために、これらの位置を
図2A中に破線で示す。水素出力管21は、イオン交換膜120と第1の側部S1との間の位置から第2の側部S2に延在して第2の側部S2を貫通する。酸素出力管22は、イオン交換膜120と第2の側部S2との間の位置から第2の側部S2に延在して第2の側部S2を貫通する。イオン交換膜型電解器12が水を電気分解すると、陰極123は水素気体を発生させると共に陽極124は酸素気体を発生させる。発明の主な特徴は、水の電気分解により発生した水素気体及び酸素気体が水素出力管21及び酸素出力管22をそれぞれ経由してイオン交換膜型電解器12の第2の側部S2から共に出力されることである。本実施形態では、水素出力管21及び酸素出力管22は、イオン交換膜型電解器12の陽極室1202の一の側から共に引出される。
【0030】
しかし、本発明の水素出力管21及び酸素出力管22の位置は上述の実施形態に限定されない。
図2Bを参照する。
図2Bに示すイオン交換膜型電解器12は
図2Aに示すイオン交換膜型電解器と同一の部品を有する。相違は、
図2B中の第1の側部S1及び第2の側部S2の構成位置が
図2A中のこれらの構成位置とは反対側に存在することにある。
図2B中、陽極124はイオン交換膜120と第1の側部S1との間に構成され、陰極123はイオン交換膜120と第2の側部S2との間に構成されることになる。陰極室1201は第2の側部S2及び陰極123を含む。陽極室1202は第1の側部S1及び陽極124を含む。水素出力管21は、イオン交換膜120と第2の側部S2との間の位置から第2の側部S2に延在して第2の側部S2を貫通する。酸素出力管22は、イオン交換膜120と第1の側部S1との間の位置から第2の側部S2に延在して第2の側部S2を貫通する。イオン交換膜型電解器12による水の電気分解中、陰極123は水素気体を発生させると共に陽極124は酸素気体を発生させる。本発明の主な特徴は、水の電気分解により発生した水素気体及び酸素気体が水素出力管21及び酸素出力管22をそれぞれ経由してイオン交換膜型電解器12の第2の側部S2に共に出力されることである。本実施形態では、水素出力管21及び酸素出力管22は、イオン交換膜型電解器12の陰極室1201の一の側から共に引出される。
【0031】
すなわち、水素出力管21及び酸素出力管22は、ユーザの実際の必要性に応じて本発明のイオン交換膜型電解器12のいずれの側面にも構成可能である。
【0032】
図2Cを参照する。
図2Cは
図2Aの実施形態に従ったイオン交換膜型電解器12を示す断面概略図である。
図2Cに示すように、イオン交換膜型電解器12は、イオン交換膜120、陰極室1201及び陽極室1202を含む。陰極室1201は陰極123を含み、陽極室1202は陽極124を含む。イオン交換膜120は陽極室1202と陰極室1201との間に構成される。イオン交換膜型電解器12による水の電気分解中、陰極123は水素気体を発生させると共に陽極124は酸素気体を発生させる。一実施形態では、陽極室1202は水を収容し、陽極室1202中の水はイオン交換膜を通って陰極室1201中に更に流入し得る。加えて、
図2A~
図2Cは、イオン交換膜型電解器の内部構造を説明するための断面概略図であるに過ぎず、イオン交換膜型電解器の実際の内部構造ではない。
図2C中の空白ブロックはイオン交換膜型電解器の外部ケースを示す。
【0033】
図2Cに示すように、イオン交換膜120は、イオン交換膜体1203、陰極触媒層127及び陽極触媒層128を含む。イオン交換膜体1203はプロトン交換膜、好ましくは、Nafion膜であり得る。陰極触媒層127の材料は、Pt、Ir、Pd及びPt合金粉末から成る群から選択される1種または組合せであり得る。陽極触媒層128の材料は、Pt、Ir、Pd、Pt合金粉末及び炭素から成る群から選択される1種または組合せであり得る。一実施形態では、陰極触媒層127または陽極触媒層128の材料は、イオン交換膜の両側面上のスラリ被覆としてそれぞれ構成されて陰極触媒層127及び陽極触媒層128を形成し得る。実際の適用では、水素気体は触媒層上で発生され得るが、これに限定はされない。水素気体もまた電極板上に、場合によってはイオン交換膜と極板との間に発生させ得る。したがって、従来のアルカリ電解器と比べて、本発明で使用するイオン交換膜型電解器12は、槽本体の腐食、環境汚染、不完全濾過及び電解質含有気体の吸入に関する問題を回避可能である。
【0034】
図2A~
図2Cを参照する。陰極室1201は、陰極外板121、陰極123、陰極封止板125及び陰極触媒層127を含む。陽極室1202は、陽極外板122、陽極124、陽極封止板126及び陽極触媒層128を含む。
図2Aに示すように、第1の側部S1及び第2の側部S2は、
図2C中の陰極外板121及び陽極外板122にそれぞれ対応する。他方、
図2Bに示すように、
図2B中の第1の側部S1及び第2の側部S2は、
図2C中の陽極外板122及び陰極外板121にそれぞれ対応する。イオン交換膜型電解器12は、水素出力管21、酸素出力管22及び水供給管路24を含む。酸素出力管22は酸素気体を出力させるように構成され、陰極出力管21は陰極室1201からを発生した水素気体を出力させるように構成される。
図2Cに示すように、水素出力管21は、陰極室1201をイオン交換膜型電解器12の外部環境に接続して水素気体を出力させるように、陰極封止板125、陽極封止板126、陽極124及び陽極外板122(
図2A中の第2の側部S2)を貫通する。酸素出力管22は、陽極室1202から発生した酸素気体を出力させるように構成される。酸素出力管22は、陽極室1202がイオン交換膜型電解器12の外部環境に接続されて酸素気体を出力可能なように、陽極124及び陽極外板122を貫通する。水供給管路24は、陽極124及び陽極外板122を貫通すると共に水槽10に接続され、水槽10から陽極室1202に水を案内してイオン交換膜型電解器12中の電気分解用の水を補給する。酸素出力管21及び水素出力管22の両方共、イオン交換膜型電解器12の同一側に構成される。本実施形態では酸素出力管21、水素出力管22及び水供給管路24の全てが、陽極外板122を貫通してこの上に構成される。しかし、本発明は上述の特徴に限定されない。例えば、酸素出力管21、水素出力管22及び水供給管路24もまた、
図2B中の第2の側部S2に示すように同様の構造中の陰極外板121を貫通してこの上に構成可能である。
【0035】
図3~
図4を参照する。
図3は本発明の実施形態に従ったイオン交換膜型電解器を示す分解図である。
図4は本発明の実施形態に従った別の視点からの
図3のイオン交換膜型電解器12を示す分解図である。イオン交換膜120は、イオン交換膜型電解器中にイオン交換膜体1203、陰極触媒層127及び陽極触媒層128の相対的位置を固定させるためのイオン交換膜外板1204を更に含む。
図3及び
図4に、イオン交換膜型電解器12中の部品の位置関係をより明確に示す。イオン交換膜型電解器12は、
図3及び
図4に示す積重ね順に組立て可能な種々の部品を含む。
【0036】
図3~
図4を引続き参照する。一実施形態では、イオン交換膜外板1204、陰極封止板125及び陽極封止板126を電極板周囲に配置することにより絶縁性及び気密性を達成可能である。イオン交換膜外板1204、陰極封止板125及び陽極封止板126の材料はシリコーンであり得る。しかし、陰極封止板125及び陽極封止板126の構成及び材料は上記の実施形態に限定されない。実際には、陰極封止板及び陽極封止板に対して、絶縁性及び気密性の効果を有する任意の構成及び材料を採用可能である。
【0037】
図3及び
図4に示すように、水素出力管21は、陰極室1201中に発生した水素気体が水素出力管21を経由して陽極外板122が配置された位置から出力可能なように、陰極封止板125、イオン交換膜外板1204、陽極封止板126、陽極124及び陽極外板122を貫通する。酸素出力管22は、陽極室1202中に発生した酸素気体が酸素出力管22及びイオン交換膜外板1204を経由して陽極外板122が配置された位置から出力可能なように、陽極124及び陽極外板122を貫通する。水供給管路24は、陽極124及び陽極外板122を貫通して水槽10に接続し、水槽10から陽極室1202に水を案内してイオン交換膜型電解器12による電気分解用の水を補給する。Oリング25は、水素出力管21、酸素出力管22及び水供給管路24と陽極外板122との間に構成され、水素出力管21、酸素出力管22及び水供給管路24と陽極外板122との間の空間を封止する。
【0038】
図3及び
図4に示すように、陰極123は陰極導電板123-1及び陰極板123-2を含み、陽極124は陽極導電板124-1及び陽極板124-2を含む。一実施形態では、各極板はチタン粉末ダイキャスト薄板であり得るがこれに限定されず、各導電板の材料はチタンであり得るがこれに限定さない。
図3に示すように、実施形態では、陰極板123-2は陰極導電板123-1を用いてイオン交換膜120とイオン交換膜体1203との間に構成し得る。陽極板124-2は陽極導電板124-1を用いてイオン交換膜120とイオン交換膜体1203との間に構成し得る。イオン交換膜型電解器12は、陰極導電板123-1及び陽極導電板124-1経由で外部電源に接続し得る。実施形態では、陽極導電板124-1(
図3)及び陰極導電板123-1(
図4)はそれぞれ流路溝を有する。陰極導電板123-1及び陰極板123-2を相互に積重ねたとき、複数の陰極室123-3が陰極室1201中に形成され得る。陽極導電板124-1及び陽極板124-2を相互に積重ねたとき、複数の陽極室124-3が陽極室1202中に形成され得る。陰極室123-3及び陽極室124-3はその中に気体及び水を循環させるように構成可能である。陽極室124-3は酸素出力管22に接続され、陰極室123-3は水素出力管21に接続される。
【0039】
図5A及び
図5Bを参照する。
図5A及び
図5Bは別の視点からの
図3のイオン交換膜型電解器12を示す組立図である。陰極外板121及び陽極外板122は、イオン交換膜型電解器12の外側二面にそれぞれ構成されてイオン交換膜型電解器12全体を固定及び分離している。陰極外板121及び陽極外板122の材料はステンレス鋼であり得る。実施形態では、イオン交換膜型電解器12の組立後に、係止用部品で係止可能である(
図6に示す)が、係止用部品の数、型式及び係止方法は同図(
図6)に示す数、型式及び係止方法に限定はされない。同図に示すように、イオン交換膜型電解器12の体積は比較的小さい。したがって、水電解装置も本発明ではコンパクトになる。
【0040】
図1C、
図6、及び
図7A~
図7Bを参照する。
図6は本発明の実施形態に従った水電解装置を示す分解図である。
図7A及び
図7Bは、別の視点からの
図6の水電解装置を示す分解図及び組立図である。説明のために、
図6、
図7A及び
図7Bには必要な要素のみを示す。本発明の水電解装置1はまた、上述の水槽10及びイオン交換膜型電解器12に加えて、空気供給管11、空気ポンプ13、ファン15、霧状/揮発性気体混合槽16、水素濃度検出器18、制御器14、気体水分離槽30及び水位検出装置40を含む。
図6に示すように、気体水分離槽30は水槽10中に収納されるが、その詳細構造については追って説明する。本発明の水電解装置1は、水槽10中の水量を検出するように構成された水位検出装置40を更に含む。一実施形態では、水位検出装置40は水位容量検出装置であり、水槽10の外面に構成される。水槽10中の水量は、水槽10中の水と無水領域との間の容量差を測定することにより測定される。
【0041】
図6、
図8A及び
図8Bを参照する。
図8Aは本発明の実施形態に従った水電解装置を示す上面図である。
図8Bは
図8Aの線D―Dに沿う水電解装置を示す断面図である。イオン交換膜型電解器12の水素出力管21は、水素インターフェース211経由で気体水分離槽30と接続及び連通される。酸素出力管22は酸素インターフェース222経由で水槽10と接続及び連通される。水槽10は滅菌器50を含む。本実施形態では、滅菌器50は、気体水分離槽30が位置する側から離反した水槽10中に構成された長手管型紫外線滅菌器である。水供給管路24は水インターフェース242を経由して水槽10中の滅菌器50近傍の側面と直接連通し、水槽10からの滅菌済みの水を受容してイオン交換膜型電解器12による電気分解用の水を補給する。
【0042】
気体水分離槽30は、ばね弁32、浮子34及び水素排出管36を含む。イオン交換膜型電解器12の電気分解により発生した水素気体は、水素出力管21及び水素インターフェース211を経由して気体水分離槽30に案内される。気体水分離槽30中の水素気体がある程度蓄積すると、ばね弁32が水素気体圧力によって開弁し、水素排出管36を経由したフィルタ60への水素の排出を許容して水素気体中の不純物を濾過させる。更に、水素気体がイオン交換膜型電解器12から出力されたとき、少量の残存被電解水が水素気体中に含まれている可能性があるため、残存被電解水は蓄積した液体水により浮子34を浮遊させ得るように気体水分離槽30中に蓄積して液体水を形成する。このとき、浮子34により覆われていたドレン口(図示せず)が開放され、蓄積した液体水はドレン口を通って水槽10中に排出されて再利用に供される。
【0043】
電気分解により発生した酸素気体は酸素出力管22及び酸素インターフェース222を経由して水槽10に直接排出される。酸素気体は水槽10の上側部分から大気環境に排出されることになる。酸素気体がイオン交換膜型電解器12から出力されたとき、少量の残存被電解水が酸素気体中に含まれている可能性があるが、この残存被電解水は水槽10中に直接排出されて再利用に供されることになる。
【0044】
図7A、
図7B、
図8A、及び
図9を共に参照する。
図9は
図8Aの線Q―Qに沿う水電解装置を示す断面図である。先の段落で述べたように、水素気体は水素排出管36経由でフィルタ60に排出されると、フィルタ60のフィルタコア602が水素気体中の不純物を濾過する。濾過済み水素気体は空気供給管11中に更に案内されて希釈された後、霧状/揮発性気体混合槽16中に案内される。空気供給管11はフィルタ60に接続されて濾過済み水素気体を受容すると共に、空気供給管11は空気ポンプ13にも接続される。ファン15は外部環境から水電解装置1中に空気を吸引して空気供給管11中で水素気体を希釈させる。上述の全ての部品はケース100により覆われる。ケース100には複数の小穴が配設されている。ファン15はケース100の小穴を通して外部環境から水電解装置1中に空気を吸引する。吸引された空気は空気ポンプ13により空気供給管11中に案内される。本実施形態では、空気ポンプ13は渦流ファンであり、ファン15により吸引された空気は、空気供給管11中に空気を案内するよう空気ポンプ13の吸引口134を通って空気ポンプ13中に吸引される。
図7B及び
図9に示すように、空気ポンプ13の導管132は空気供給管11の空気供給インターフェース112と接続される。空気供給管11は第1の流動方向D1を有し、空気供給インターフェース112は第2の流動方向D2を有する。第1の流動方向D1は、第1の流動方向D1を表す指示線上の矢印により示されるように霧状/揮発性気体混合槽16に向いているが、この指示線上の矢印は水電解装置上方の位置にも向いている。第2の流動方向D2は、第2の流動方向D2を表す指示線上の矢印により示されるように空気供給管11に向き、空気供給インターフェース112を通った導管132からの空気は空気供給管11中に案内される。前進角Aが第1の流動方向D1と第2の流動方向D2との間に形成される。この前進角Aは90度未満の鋭角であり、好ましくは25~45度である。前進角Aが位置する空気供給管11及び空気供給インターフェース112の接続位置では、接続位置の形状を円弧状前進角にし得る。導管132及び空気供給インターフェース112中の空気は、前進角Aの設計により空気供給管11中に案内されて空気供給管11中で水素気体を希釈させる。
【0045】
図9を引続き参照する。霧状/揮発性気体混合槽16は空気供給管11と接続され、濾過及び希釈済の水素気体を受容して霧状気体を発生させてそれを水素気体と混合させて健康上有益な気体を形成する。この霧状気体は、水蒸気、霧状化薬及び揮発性芳香油から成る群から選択される1種または組合せである。霧状/揮発性気体混合槽16は発振器162を含む。発振器162は、霧状/揮発性気体混合槽16中の水、霧状化薬または揮発性芳香油を振動により霧状化して霧状気体を発生させた後、水素気体を霧状気体と混合させて健康上有益な気体を形成する。霧状/揮発性気体混合槽16はユーザの要求に応じて選択的に開閉可能である。すなわち、霧状/揮発性気体混合槽16は、発振器を作動させることにより活動化されて霧状気体との混合水素気体をユーザに提供し得るか、または、発振器を止めることにより閉鎖され、霧状気体を混合させずに濾過及び希釈させた水素気体をユーザに提供し得る。ユーザに濾過及び希釈済みの水素または健康上有益な気体の吸入を供する手段は、霧状/揮発性気体混合槽16が水素または健康上有益な気体を大気中に直接放出すること、または管路及びマスクを経由して吸入をユーザに提供することを含む。
【0046】
水素濃度検出器18は、空気供給管11と接続されて空気供給管11中の水素濃度を検出する。制御器14は、水素濃度検出器18、空気ポンプ13及びイオン交換膜型電解器12に接続される。実施形態では、水素濃度検出器18は、水素出力管21または水素インターフェース211に接続されて、イオン交換膜型電解器12から空気供給管11に出力された水素気体の体積濃度を検出し得る。水素濃度検出器18は水素体積濃度が第1の所定値~第2の所定値の範囲内にあるかどうかを検出する。例えば、第1の所定値は4%であり、第2の所定値は6%であり、水素濃度検出器18により検出される水素濃度は4%~6%の範囲である。第1の所定値及び第2の所定値は、ユーザの要求に応じて操作盤102を介して調節可能である。本実施形態では、水素濃度検出器18が水素出力管21または水素インターフェース211中の水素気体の体積濃度が第1の所定値4%よりも高いことを検出すると、第1の警告信号が制御器14に対して発生される。制御器14が第1の警告信号を受容すると、起動指令が空気ポンプ13に発生されて空気ポンプ13を起動し、空気供給管11中に空気を吸引して空気供給管11中で水素気体を希釈させる。水素濃度検出器18が水素出力管21または水素インターフェース211中の水素気体の体積濃度が第2の所定値6%よりも高いことを検出すると、第2の警告信号が制御器14に発生され。制御器14が第2の警告信号を受信すると、停止指令が発生され、イオン交換膜型電解器12への電力入力の遮断等の手段によりイオン交換膜型電解器12を停止させるため、この後の過度の水素濃度による気体爆発は回避されることにより安全性全体が改善される。
【0047】
図10を参照する。
図10は本発明の別の実施形態に従った水電解装置を示す断面図である。本発明の別の実施形態では、予熱水槽17が水槽10とイオン交換膜型電解器12との間に更に接続される。予熱水槽17は実質上円筒状または円形である。予熱水槽17は
図10では水槽10よりも大きいが、他の実施形態では、予熱水槽17の容積は水槽10の容積よりも小さくし得る。予熱水槽17は、水槽10下部口10-2に接続された予熱水槽水充填口172、イオン交換膜型電解器12の水供給管路24に接続された被電解水用流入口174、酸素出力管22に接続された酸素受容管176、及び水槽10の上部口10-1に接続された酸素排出管178を含む。予熱水槽17は水槽10とイオン交換膜型電解器12との間に構成される。水槽10中の被電解水は先ず予熱水槽17に流入し、その後被電解水用入口174を通ってイオン交換膜型電解器12中に流入して電気分解に供される。水の電解工程中に発生した酸素気体及び残存被電解水の一部は酸素受容管176経由で予熱水槽17中に排出されるが、残存被電解水の一部は予熱水槽17中に残留することになる。電気分解により発生した酸素気体は酸素排出管178経由で水槽10に排出された後、水電解装置の外部に排出されることになる。
【0048】
水の電解工程によりイオン交換膜型電解器12の温度は上昇するため、被電解水の温度も電解効率と関連付けられることになる。約55~65℃の被電解水の温度により電解効率を向上させ得る。このため、本発明の予熱水槽17は、イオン交換膜型電解器12の酸素出力管22から排出されたより高温の残存被電解水を回収して、予熱水槽17中でイオン交換膜型電解器12に流入する被電解水を、例えば55~65℃の適合温度に予熱する。予熱水槽17中の被電解水の温度を55℃~65℃に維持するよう制御するために、予熱水槽17には複数の冷却フィン171及び第2のファン173を更に含む。複数の冷却フィン171は予熱水槽17の外壁に半径方向パターンに構成される。第2のファン173は、予熱水槽17の一端部に構成され、複数の冷却フィン171と整合することにより、強制対流により予熱水槽17を放熱させる。単純化のために、冷却フィン171は予熱水槽17の外壁の一部のみに示している。他の施形態では、冷却フィン171は予熱水槽17の外壁全体に配列可能である。
【0049】
図11を参照する。
図11は本発明の別の実施形態に従った水電解装置を示す機能ブロック図である。本発明は水槽70、イオン交換膜型電解器72、霧状/揮発性気体混合槽76、空気供給管71、空気ポンプ73、ファン75、制御器74及び予熱水槽77を含む別の水電解装置2を提供する。水電解装置2と水電解装置1との相違は、水電解装置2のイオン交換膜型電解器72、霧状/揮発性気体混合槽76、及び空気供給管71の間の接続関係が水電解装置1のイオン交換膜型電解器12、霧状/揮発性気体混合槽16、及び空気供給管11の接続関係とは異なる点にある。水電解装置2のこれら以外の部品の機能及び接続関係は水電解装置1の部品の機能及び接続関係と同様であるため、本明細書中には説明を行わない。
【0050】
水電解装置2の実施形態では、イオン交換膜型電解器72は、水素出力管を経由して霧状/揮発性気体混合槽76と接続及び連通してイオン交換膜型電解器72により発生された水素気体を受容する。霧状/揮発性気体混合槽76は霧状気体を発生させてそれを水素気体と混合させてことにより健康に有益な気体を形成する。この霧状気体は、水蒸気、霧状化薬及び揮発性芳香油から成る群から選択された1種または組合せである。霧状/揮発性気体混合槽76は発振器を含む。発振器は、霧状/揮発性気体混合槽76中の水、霧状化薬または揮発性芳香油を振動により霧状化させて霧状気体を発生させた後、水素気体をこの霧状気体と混合させることにより健康に有益な気体を形成する。霧状/揮発性気体混合槽76はユーザの要求に応じて選択的に開放または閉鎖され得る。すなわち、霧状/揮発性気体混合槽76は、発振器を作動させることにより作動されることにより霧状気体を混合した水素気体をユーザに提供可能であり、あるいは発振器の停止により閉鎖されて霧状気体を混合させずに濾過及び希釈済の水素気体をユーザに提供可能である。ユーザに濾過及び希釈済みの水素または健康上有益な気体の吸入を供する手段は、霧状/揮発性気体混合槽16が水素または健康上有益な気体を大気中に直接放出すること、または管路及びマスクを経由して吸入をユーザに提供することを含む。
【0051】
水素濃度検出器78は霧状/揮発性気体混合槽76に接続されて霧状/揮発性気体混合槽76中の水素濃度を検出する。制御器74は水素濃度検出器78及びイオン交換膜型電解器72に接続される。一実施形態では、水素濃度検出器78は霧状/揮発性気体混合槽76に接続されてイオン交換膜型電解器72から出力された水素気体の体積濃度を検出し得る。水素濃度検出器78は水素体積濃度が第1の所定値~第2の所定値の範囲内にあるかどうかを検出する。例えば、第1の所定値は4%であり、第2の所定値は6%であり、水素濃度検出器78により検出される水素濃度は4%~6%の範囲である。第1の所定値及び第2の所定値は、ユーザの要求に応じて操作盤102を介して調節可能である。本実施形態では、水素濃度検出器78が霧状/揮発性気体混合槽76中の水素気体の体積濃度が第1の所定値4%よりも高いことを検出すると、第1の警告信号を制御器74に発生する。制御器74が第1の警告信号を受信すると、起動指令が空気ポンプ13に発生されて空気ポンプ13を始動させて、空気供給管11中への空気の吸入により空気供給管11中で水素気体を希釈させる。水素濃度検出器78が水素出力管21または水素インターフェース211中の水素気体の体積濃度が第2の所定値6%よりも高いことを検出すると、第2の警告信号が制御器74に発生される。制御器74が第2の警告信号を受信すると、停止指令が発生されてイオン交換膜型電解器72への電力の遮断等の手段によりイオン交換膜型電解器72が停止され、その後は過度の水素濃度による気体爆発が回避され得ることにより安全性全体が向上する。
【0052】
空気供給管71は霧状/揮発性気体混合槽76に接続され、空気供給管71はファン75及び空気ポンプ73に更に接続されて水電解装置2の外部環境からの空気の吸引により霧状/揮発性気体混合槽76中で水素気体を希釈させる。本発明の水電解装置2は上述の全ての部品を覆うように構成されたケースを含む。複数の小穴がケースに構成される。ファン75はケースの小穴を介して外部環境から水電解装置2中に空気を吸引する。吸入された空気は空気ポンプ73により空気供給管71中に案内される。
【0053】
本発明の目的の一つは、睡眠中でもユーザが水電解装置を使用可能であるように、十分な水素生成を維持しながらも水電解装置の体積及び騒音を低減させることにある。したがって、本出願人は、主目的として電解装置の体積を先ず減少させた。例えば、本願の水電解装置は概ね円筒状である。底部での最大断面長、すなわち直径は少なくとも200mmであり、装置高さは最大で270mmであるため、体積は高々約8、500立方センチメートル、すなわち8.5リットルとなる。しかし、本発明の水電解装置の形状は円筒形に限定されず、水電解装置の形状は他の形状でもよい。例えば、水電解装置は、基部112の底部または最大断面側面長が頂部の最大断面側面長よりも大きく底部から頂部に向けて先細を成す設計に合致する限り、楕円形、正方形または多角形であり得る。水電解装置のケースにより画成される収容空間の有効使用は、ユーザに対して十分な水素生成を維持し得る上で可能な限り広い利用である。例えば、水電解装置は、水素発生率に対して合計で6種類の出力設定を有し、水電解装置の健康上有益な気体の出力率の3種類の対応設定:2L/分、4L/分及び6L/分にそれぞれ対応する空気、水素気体及び霧状気体の混合による健康上有益な気体を出力する水電解装置の水素発生率:120ml/分、240ml/分、360ml/分;及び純水素気体を出力する水電解装置の水素発生率:400ml/分、500ml/分、600ml/分が含まれる。ユーザは、操作盤を介して水電解装置1の水素発生率及び出力気体の種類を調節可能である。本装置はまた騒音を低減させているため、ユーザは本発明を睡眠中ユーザの頭部近傍に配置可能である。
【0054】
図1C及び
図11を参照する。一実施形態では、本発明は、電源本線を240ワットの直流電流出力に切換えて水電解装置1、2に電力を供給するための電源装置80を含む水電解装置1、2を提供する。電源装置80は高電力出力部801及び低電力出力部を含む。高電力出力部801は、イオン交換膜型電解器12、72に接続されて電気分解反応に要する電力を供給する。低電力出力は、空気ポンプ13、制御器14、ファン15、及び水素濃度検出器18等の、水電解装置1、2中の他の非電解用部品に対する電力の供給に好適である。図面内容の簡素化のために、
図1C及び
図11には電源装置80及び高電力出力部801のみを示す。当業者であれば、水電解装置の運転に要する電力を供給するための水電解装置中の低電力出力部の構成を認識し得るに相違ない。
【0055】
電源装置80により供給される240ワットの直流電流中、172ワットは高電力出力部801からイオン交換膜型電解器12、72に出力される。高電力出力部801は第1の電圧及び第1の電流を出力するが、第1の電圧の範囲は3ボルト~6.3ボルトであり第1の電流の出力は10アンペア~27.3アンペアの範囲である。低電力出力部は、60ワットの直流電流を出力して水電解装置の作動に要する電力を供給する。低電力出力部は第2の電圧及び第2の電流を出力するが、第2の電圧はDC電圧24ボルトであり第2の電流は最大2.5アンペアである。別の一実施形態では、第2の電圧は24ボルトから5ボルトに低減可能であり、最大で0.5アンペアの第2の電流を出力可能である。低電力出力部を有する高電力出力部により出力された電力パラメータと比較して、第1の電圧は第2の電圧よりも低いが、第1の電流は第2の電流よりも高い。したがって、高電力出力部は高電流低電圧のDC電力を出力し、低電力出力部は低電流高電圧のDC電力を出力する。
【0056】
上述の実施例及び説明により、本発明は、水素気体及び酸素気体が同一側面から出力されるイオン交換膜型電解器、空気供給管、空気ポンプ、及び霧状/揮発性気体混合槽を含む水電解装置を提供した。イオン交換膜型電解器は、水を電気分解して水素気体を発生させる。空気供給管に入力させた後、空気ポンプは空気を吸引して、この空気を空気供給管に対して前進角を有する空気供給インターフェースを通して空気供給管中に一方向に入力して空気供給管中で水素気体を希釈させた後。空気供給管により希釈済み水素が霧状/揮発性気体混合槽中に導入されて霧状気体と混合されてユーザに供される。
【0057】
水素気体及び酸素気体を同一側から出力させるイオン交換膜型電解器、水槽、気体水分離槽、及びケース中に規定容積内に構成された空気供給管によって、本発明の水電解装置は、十分な水素生成を維持しながらケース中に収容空間を可能な限り広く採用し、水電解装置のファン及び空気ポンプもまた低騒音を基礎に置いている。したがって、本発明によれば、効果的な空間配置で小体積かつ低騒音であってユーザ周囲での配置に好適な水電解装置が実際に提供される。
【0058】
上述の好ましい実施形態の詳細な説明によって本発明の特徴及び趣旨がより明確に説明されたものと思料するが、本発明の適用範囲は以上に開示した好ましい実施形態に限定されない。むしろ、目的は創造的慣例により適用され得る特許出願の適用範囲内の種々の変更例及び均等な配置例も対象としている。本発明を以上の実施形態中に開示したが、本発明を限定する意図はなく、当業者であれば本発明の趣旨及び適用範囲から逸脱しない限り種々の変更及び改良を行い得る。したがって、本発明の保護範囲は添付の特許出願の適用範囲に関する定義に従うことになる。