IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社シマノの特許一覧

特許7266987人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法
<>
  • 特許-人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法 図1
  • 特許-人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法 図2
  • 特許-人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法 図3
  • 特許-人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法 図4
  • 特許-人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20230424BHJP
【FI】
B62M6/45
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018196973
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020062997
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】勝木 琢也
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149863(JP,A)
【文献】特開2017-007599(JP,A)
【文献】特開平10-203467(JP,A)
【文献】特開2013-043528(JP,A)
【文献】特開2018-027753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/40- 6/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車は、
人力駆動力によって回転可能なクランクと、
前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を含み、
前記制御装置は、
前記クランクの回転速度に関するパラメータが、予め定める条件を満たす場合、前記モータを駆動または停止するように構成される制御部、を含み、
前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて前記予め定める条件を変更するように構成され、
前記クランクの回転速度に関するパラメータは、前記クランクの回転速度を含み、
前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つは、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動車のバッテリの残量、前記人力駆動車のバッテリの消費電力に関する制限、前記人力駆動車の加速度、前記人力駆動車の操作装置の操作、前記人力駆動車の制御モード、前記人力駆動車の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つ、を含む、制御装置。
【請求項2】
前記予め定める条件は、第1条件を含み、
前記制御部は、
前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第1条件を満たす場合、前記モータを停止するように構成され、
前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第1条件を変更するように構成され、
前記第1条件は、
前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが第1値以下の状態になる場合、または、
前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第1値以下の状態が、第1時間以上継続する場合に満たされ、
前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第1値および前記第1時間の少なくとも1つを変更するように構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
人力駆動車用の制御装置であって、
前記人力駆動車は、
人力駆動力によって回転可能なクランクと、
前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を含み、
前記制御装置は、
前記クランクの回転速度に関するパラメータが、予め定める条件を満たす場合、前記モータを駆動または停止するように構成される制御部、を含み、
前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて前記予め定める条件を変更するように構成され、
前記クランクの回転速度に関するパラメータは、前記クランクの回転速度、または、前記モータの回転速度を含み、
前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つは、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動車のバッテリの残量、前記人力駆動車のバッテリの消費電力に関する制限、前記人力駆動車の加速度、前記人力駆動車の操作装置の操作、前記人力駆動車の制御モード、前記人力駆動車の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つ、を含み、
前記予め定める条件は、第1条件を含み、
前記制御部は、
前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第1条件を満たす場合、前記モータを停止するように構成され、
前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第1条件を変更するように構成され、
前記第1条件は、
前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが第1値以下の状態になる場合、または、
前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第1値以下の状態が、第1時間以上継続する場合に満たされ、
前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第1値および前記第1時間の少なくとも1つを変更するように構成される、制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記人力駆動車の前記走行速度が増加すると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる、請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記人力駆動車の前記走行抵抗が増加すると、前記第1値を減少させる、前記第1時間を増加させる、または、前記第1値を減少させかつ前記第1時間を増加させる、請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記人力駆動車の前記バッテリの残量が低下すると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる、請求項2からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記人力駆動車の前記バッテリの消費電力が小さくなるように前記バッテリの電力の使用が制限されると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる、請求項2からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記人力駆動車の前記加速度が負の値かつ減少すると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる、請求項2からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第1検出部は、前記クランクの回転速度に応じた信号を出力するように構成される第1センサ、を含む、請求項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記第1検出部は、前記モータの回転速度に応じた信号を出力するように構成される第2センサ、を含む、請求項または10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記予め定める条件に関する情報を記憶する記憶部、をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得するように構成される速度検出部、をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
人力駆動車の制御方法であって、
前記人力駆動車は、
人力駆動力によって回転可能なクランクと、
前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を含み、
前記制御方法は、
前記クランクの回転速度に関するパラメータが、予め定める条件を満たす場合、前記モータを駆動または停止させるステップと、
前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて前記予め定める条件を変更するステップと、を含み、
前記クランクの回転速度に関するパラメータは、前記クランクの回転速度を含み、
前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つは、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動車のバッテリの残量、前記人力駆動車のバッテリの消費電力に関する制限、前記人力駆動車の加速度、前記人力駆動車の操作装置の操作、前記人力駆動車の制御モード、前記人力駆動車の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つ、を含む、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されている人力駆動車用の制御装置は、クランク回転数が所定値以上の場合に人力駆動車の推進をアシストするモータを駆動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-121797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、モータを好適に制御できる人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、人力駆動力によって回転可能なクランクと、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を含み、前記制御装置は、前記クランクの回転速度に関するパラメータが、予め定める条件を満たす場合、前記モータを駆動または停止するように構成される制御部、を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて前記予め定める条件を変更するように構成される。
第1側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の状態、および、人力駆動車の環境の少なくとも1つに好適な、クランクの回転速度に関する予め定める条件に応じて、モータを駆動または停止させることができる。このため、モータを好適に制御できる。
【0006】
本開示の第1側面に従う第2側面の人力駆動車用の制御装置において、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つは、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動車のバッテリの残量、前記人力駆動車のバッテリの消費電力に関する制限、前記人力駆動車の加速度、前記人力駆動車の操作装置の操作、前記人力駆動車の制御モード、前記人力駆動車の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つ、を含む。
第2側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行速度、人力駆動車の走行抵抗、人力駆動車のバッテリの残量、人力駆動車のバッテリの消費電力に関する制限、人力駆動車の加速度、人力駆動車の操作装置の操作、人力駆動車の制御モード、人力駆動車の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つに応じて、モータを好適に駆動または停止させることができる。
【0007】
本開示の第2側面に従う第3側面の人力駆動車用の制御装置において、前記予め定める条件は、第1条件を含み、前記制御部は、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第1条件を満たす場合、前記モータを停止するように構成され、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第1条件を変更するように構成される。
第3側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の状態および人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて、モータを好適に停止できる。
【0008】
本開示の第3側面に従う第4側面の人力駆動車用の制御装置において、前記第1条件は、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが第1値以下の状態になる場合、または、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第1値以下の状態が、第1時間以上継続する場合に満たされ、前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第1値および前記第1時間の少なくとも1つを変更するように構成される。
第4側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の状態、および、人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて変更される第1値および第1時間の少なくとも1つに応じて、モータを停止できる。
【0009】
本開示の第4側面に従う第5側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記走行速度が増加すると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる。
第5側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行速度が大きい場合には、クランクの回転速度の低下に応じてモータが停止しやすい。このため、人力駆動車の走行速度が大きい場合において、ペダリングを停止するときに、モータが停止するまでの時間を、第1値および第1時間を変更しない場合にモータが停止するまでの時間と比較して、短くできる。
【0010】
本開示の第4または第5側面に従う第6側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記走行抵抗が増加すると、前記第1値を減少させる、前記第1時間を増加させる、または、前記第1値を減少させかつ前記第1時間を増加させる。
第6側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行抵抗が大きい場合には、クランクの回転速度が低下してもモータが停止しにくい。このため、人力駆動車の走行抵抗が大きい場合に、好適に人力駆動車に推進力を付与できる。
【0011】
本開示の第4から第6側面のいずれか1つに従う第7側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記バッテリの残量が低下すると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる。
第7側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車のバッテリの残量が小さい場合には、クランクの回転速度の低下に応じてモータが停止しやすい。このため、人力駆動車のバッテリの電力消費を抑制できる。
【0012】
本開示の第4から第7側面のいずれか1つに従う第8側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記バッテリの消費電力が小さくなるように前記バッテリの電力の使用が制限されると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる。
第8側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車のバッテリの消費電力が小さくなるようにバッテリの電力の使用が制限された場合、クランクの回転速度の低下に応じてモータが停止しやすい。このため、人力駆動車のバッテリの電力消費を抑制できる。
【0013】
本開示の第4から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記加速度が負の値かつ減少すると、前記第1値を増加させる、前記第1時間を減少させる、または、前記第1値を増加させかつ前記第1時間を減少させる。
第9側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の加速度が負の値かつ減少する場合、クランクの回転速度の低下に応じてモータが停止しやすい。このため、人力駆動車が減速する場合において、ペダリングを停止するときに、モータが停止するまでの時間を、第1値および第1時間を変更しない場合にモータが停止するまでの時間と比較して、短くできる。
【0014】
本開示の第10側面に従う人力駆動車用の制御装置は、人力駆動車用の制御装置であって、前記人力駆動車は、人力駆動力によって回転可能なクランクと、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を含み、前記制御装置は、前記クランクの回転速度に関するパラメータ、および、前記人力駆動力に関するパラメータが予め定める条件を満たす場合、前記モータを駆動または停止するように構成される制御部、を含み、前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて前記予め定める条件を変更するように構成される。
第10側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の状態、および、人力駆動車の環境の少なくとも1つに好適な、クランクの回転速度および人力駆動力に関する予め定める条件よって、モータを駆動または停止させることができる。このため、モータを好適に制御できる。
【0015】
本開示の第10側面に従う第11側面の人力駆動車用の制御装置において、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つは、前記人力駆動車の走行速度、前記人力駆動車の走行抵抗、前記人力駆動車のバッテリの残量、前記人力駆動車のバッテリの消費電力に関する制限、前記人力駆動車の加速度、前記人力駆動車の操作装置の操作、前記人力駆動車の制御モード、前記人力駆動車の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つ、を含む。
第11側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の走行速度、人力駆動車の走行抵抗、人力駆動車のバッテリの残量、人力駆動車のバッテリの消費電力に関する制限、人力駆動車の加速度、人力駆動車の操作装置の操作、人力駆動車の制御モード、人力駆動車の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つに応じて、モータを好適に駆動または停止させることができる。
【0016】
本開示の第11側面に従う第12側面の人力駆動車用の制御装置において、前記予め定める条件は、第2条件を含み、前記制御部は、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータ、および、前記人力駆動力に関するパラメータが前記第2条件を満たす場合、前記モータを駆動するように構成され、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第2条件を変更するように構成される。
第12側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の状態および人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて、モータを好適に駆動できる。
【0017】
本開示の第12側面に従う第13側面の人力駆動車用の制御装置において、前記第2条件は、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが第2値以上の状態が、第2時間以上継続し、かつ、前記人力駆動力に関する前記パラメータが第3値以上の状態が、第3時間以上継続する場合、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第2値以上の状態になり、かつ、前記人力駆動力に関する前記パラメータが前記第3値以上の状態が、前記第3時間以上継続する場合、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが前記第2値以上の状態が、前記第2時間以上継続し、かつ、前記人力駆動力に関する前記パラメータが前記第3値以上の状態になる場合、または、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータが第2値以上の状態になり、かつ、前記人力駆動力に関する前記パラメータが第3値以上の状態になる場合に満たされ、前記制御部は、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の前記少なくとも1つに応じて前記第2値、前記第2時間、前記第3値、前記第3時間の少なくとも1つを変更するように構成される。
第13側面の人力駆動車用の制御装置によれば、人力駆動車の状態、および、人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて変更される第2値、第2時間、第3値、および、第3時間の少なくとも1つに応じて、モータを駆動できる。
【0018】
本開示の第13側面に従う第14側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記走行速度が増加すると、前記第2値、前記第2時間、前記第3値、および、前記第3時間の少なくとも1つを増加させる。
第14側面の人力駆動車用の制御装置によれば、走行速度が大きい場合、クランクの回転速度が増加するときにモータを駆動させにくくなる。このため、バッテリの消費電力を低減できる。
【0019】
本開示の第13側面に従う第15側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記走行速度が増加すると、前記第2値、前記第2時間、前記第3値、および、前記第3時間の少なくとも1つを減少させる。
第15側面の人力駆動車用の制御装置によれば、走行速度が大きい場合、クランクの回転速度が増加するときにモータを駆動させやすくなる。このため、人力駆動車の走行速度が大きい場合において、ペダリングを開始するときに、モータが駆動するまでの時間を、第2値、第2時間、第3値、および、第3時間を変更しない場合にモータが駆動するまでの時間と比較して、短くできる。
【0020】
本開示の第13から第15側面のいずれか1つに従う第16側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記走行抵抗が増加すると、前記第2値、前記第2時間、前記第3値、および、前記第3時間の少なくとも1つを減少させる。
第16側面の人力駆動車用の制御装置によれば、走行抵抗が大きい場合、クランクの回転速度が増加するときにモータを駆動させやすくなる。このため、人力駆動車の走行抵抗が大きい場合において、ペダリングを開始するときに、モータが駆動するまでの時間を、第2値、第2時間、第3値、および、第3時間を変更しない場合にモータが駆動するまでの時間と比較して短くできる。
【0021】
本開示の第13から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記バッテリの残量が低下すると、前記第2値、前記第2時間、前記第3値、および、前記第3時間の少なくとも1つを増加させる。
第17側面の人力駆動車用の制御装置によれば、バッテリの残量が小さい場合、クランクの回転速度が増加するときにモータを駆動させにくくなる。このため、バッテリの消費電力を低減できる。
【0022】
本開示の第13から第17側面のいずれか1つに従う第18側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記バッテリの消費電力が小さくなるように前記バッテリの電力の使用が制限されると、前記第2値、前記第2時間、前記第3値、および、前記第3時間の少なくとも1つを増加させる。
第18側面の人力駆動車用の制御装置によれば、バッテリの消費電力が小さくなるようにバッテリの電力の使用が制限されると、クランクの回転速度が増加するときにモータを駆動させにくくなる。このため、バッテリの消費電力を低減できる。
【0023】
本開示の第13から第18側面のいずれか1つに従う第19側面の人力駆動車用の制御装置において、前記制御部は、前記人力駆動車の前記加速度が増加すると、前記第2値、前記第2時間、前記第3値、および、前記第3時間の少なくとも1つを減少させる。
第19側面の人力駆動車用の制御装置によれば、加速度が増加する場合、クランクの回転速度が増加するときにモータを駆動させやすくなる。このため、ペダリングを開始して、人力駆動車の加速度が増加する場合に、モータが駆動するまでの時間を、第2値、第2時間、第3値、および、第3時間を変更しない場合にモータが駆動するまでの時間と比較して短くできる。
【0024】
本開示の第1から第19側面のいずれか1つに従う第20側面の人力駆動車用の制御装置において、前記クランクの回転速度に関する前記パラメータを検出するように構成される第1検出部、をさらに含む。
第20側面の人力駆動車用の制御装置によれば、第1検出部によってクランクの回転速度に関するパラメータを好適に検出できる。
【0025】
本開示の第20側面に従う第21側面の人力駆動車用の制御装置において、前記第1検出部は、前記クランクの回転速度に応じた信号を出力するように構成される第1センサ、を含む。
第21側面の人力駆動車用の制御装置によれば、第1センサによってクランクの回転速度を検出できる。
【0026】
本開示の第20または第21側面に従う第22側面の人力駆動車用の制御装置において、前記第1検出部は、前記モータの回転速度に応じた信号を出力するように構成される第2センサ、を含む。
第22側面の人力駆動車用の制御装置によれば、第2センサによってモータの回転速度を検出できる。
【0027】
本開示の第1から第22側面のいずれか1つに従う第23側面の人力駆動車用の制御装置において、前記予め定める条件に関する情報を記憶する記憶部、をさらに含む。
第23側面の人力駆動車用の制御装置によれば、記憶部によって予め定める条件に関する情報を記憶できる。
【0028】
本開示の第1から第23側面のいずれか1つに従う第24側面の人力駆動車用の制御装置において、前記人力駆動車の走行速度に関する情報を取得するように構成される速度検出部、をさらに含む。
第24側面の人力駆動車用の制御装置によれば、速度検出部によって、人力駆動車の走行速度に関する情報を好適に取得できる。
【0029】
本開示の第25側面に従う人力駆動車用の制御方法は、人力駆動車の制御方法であって、前記人力駆動車は、人力駆動力によって回転可能なクランクと、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を含み、前記制御方法は、前記クランクの回転速度に関するパラメータが、予め定める条件を満たす場合、前記モータを駆動または停止させるステップと、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて前記予め定める条件を変更するステップと、を含む。
第25側面の人力駆動車用の制御方法によれば、人力駆動車の状態、および、人力駆動車の環境の少なくとも1つに好適な、クランクの回転速度に関する予め定める条件に応じて、モータを駆動または停止させることができる。このため、モータを好適に制御できる。
【0030】
本開示の第26側面に従う人力駆動車用の制御方法は、人力駆動車用の制御方法であって、前記人力駆動車は、人力駆動力によって回転可能なクランクと、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を含み、前記制御方法は、前記クランクの回転速度に関するパラメータ、および、前記人力駆動力に関するパラメータが予め定める条件を満たす場合、前記モータを駆動または停止させるステップと、前記人力駆動車の状態、および、前記人力駆動車の環境の少なくとも1つに応じて前記予め定める条件を変更するステップと、を含む。
第26側面の人力駆動車用の制御方法によれば、人力駆動車の状態、および、人力駆動車の環境の少なくとも1つに好適な、クランクの回転速度および人力駆動力に関する予め定める条件に応じて、モータを駆動または停止させることができる。このため、モータを好適に制御できる。
【発明の効果】
【0031】
本開示の人力駆動車用の制御装置および人力駆動車用の制御方法は、モータを好適に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施形態の人力駆動車用の制御装置を含む人力駆動車の側面図。
図2】実施形態の人力駆動車用の制御装置の電気的な構成を示すブロック図。
図3図2の制御部によって実行されるモータを停止する処理のフローチャート。
図4図2の制御部によって実行されるモータを駆動する処理のフローチャート。
図5】変形例の人力駆動車用の制御装置の電気的な構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1図4を参照して、実施形態の人力駆動車用の制御装置50および人力駆動車用の制御方法について説明する。以後、人力駆動車用の制御装置50を、単に制御装置50と記載する。制御装置50は、人力駆動車10に設けられる。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力Hによって駆動することができる車両である。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車両も含む。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。自転車は、電気モータによって駆動力が与えられる電動自転車(E-bike)を含む。電動自転車は、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、実施の形態において、人力駆動車10を、2つの車輪を有する自転車として説明する。
【0034】
人力駆動車10は、従動輪12Aと、人力駆動力Hおよびモータ42の駆動力が伝達される駆動輪12Bとを含む。人力駆動車10は、クランク14、および、車体16を備える。車体16は、フレーム18およびステアリング部20を備える。クランク14には、人力駆動力Hが入力される。クランク14は、フレーム18に対して回転可能なクランク軸14Aと、クランク軸14Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられるクランクアーム14Bとを含む。各クランクアーム14Bには、一対のペダル22が個別に連結される。駆動輪12Bは、クランク14が回転することによって駆動される。駆動輪12Bは、フレーム18に支持される。クランク14と駆動輪12Bとは、駆動機構24によって連結される。駆動機構24は、クランク軸14Aに結合される第1回転体26を含む。クランク軸14Aと第1回転体26とは、一体に回転するように結合されていてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して結合されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク14が前転した場合に、第1回転体26を前転させ、クランク14が後転した場合に、第1回転体26を後転させないように構成される。第1回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構24は、第2回転体28と、連結部材30とをさらに含む。連結部材30は、第1回転体26の回転力を第2回転体28に伝達する。連結部材30は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0035】
第2回転体28は、駆動輪12Bに連結される。第2回転体28は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体28と駆動輪12Bとの間には、第2ワンウェイクラッチが設けられていることが好ましい。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体28が前転した場合に、駆動輪12Bを前転させ、第2回転体28が後転した場合に、駆動輪12Bを後転させないように構成される。人力駆動車10は、クランク軸14Aの回転速度に対する駆動輪12Bの回転速度を変更するために用いられる変速機46を含んでいてもよい。変速機46は、例えばフロントディレイラ、リアディレイラ、および、内装変速機の少なくとも1つを含む。本実施形態では、第1回転体26および第2回転体28の少なくとも1つは、複数のスプロケットを含む。ディレイラは、第1回転体26が複数のフロントスプロケットを含む場合、フロントディレイラを含み、第2回転体28が複数のフロントスプロケットを含む場合、リアディレイラを含む。本実施形態では、第1回転体26は、1枚のスプロケットを含み、第2回転体28は、複数のスプロケットを含み、変速機46はリアディレイを含む。変速機46が内装変速機を含む場合、内装変速機は、例えば、駆動輪12Bのハブに設けられる。
【0036】
人力駆動車10は、前輪および後輪を含む。フレーム18には、ステアリング部20を介して前輪が取り付けられている。ステアリング部20は、フロントフォーク32およびハンドル部34を含む。ハンドル部34は、ステム36およびハンドルバー38を含む。フロントフォーク32には、ハンドルバー38がステム36を介して連結されている。以下の実施形態では、前輪を従動輪12A、後輪を駆動輪12Bとして説明するが、前輪が駆動輪12B、後輪が従動輪12Aであってもよい。
【0037】
人力駆動車10は、バッテリ40をさらに含む。バッテリ40は、1または複数のバッテリセルを含む。バッテリセルは、充電池を含む。バッテリ40は、人力駆動車10に設けられ、バッテリ40と電気的に接続されている他の電気部品、例えば、制御装置50に電力を供給する。バッテリ40は、制御装置50と有線または無線によって通信可能に接続されている。バッテリ40は、例えば電力線通信(PLC;power line communication)またはUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信、または、CAN(Controller Area Network)通信によって制御装置50と通信可能である。バッテリ40は、フレーム18の外部に取り付けられてもよく、少なくとも一部がフレーム18の内部に収容されてもよい。
【0038】
人力駆動車10は、モータ42および駆動回路44をさらに含む。駆動回路44は、インバータ回路を含む。モータ42は、駆動回路44と同一のハウジングに設けられることが好ましい。駆動回路44は、バッテリ40からモータ42に供給される電力を制御する。駆動回路44は、制御装置50と有線または無線によって通信可能に接続されている。駆動回路44は、例えばシリアル通信によって制御装置50の制御部52と通信可能である。駆動回路44は、制御装置50の制御部52からの制御信号に応じてモータ42を駆動させる。駆動回路44は、制御装置50に含まれていてもよい。
【0039】
モータ42は、電気モータを含む。モータ42は、ペダル22から後輪までの人力駆動力Hの動力伝達経路、または、前輪に回転を伝達するように設けられる。モータ42は、人力駆動車10のフレーム18、後輪、または、前輪に設けられる。本実施形態では、モータ42は、クランク軸14Aから第1回転体26までの動力伝達経路に結合される。モータ42とクランク軸14Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、クランク軸14Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク14の回転力によってモータ42が回転しないようにワンウェイクラッチが設けられる。モータ42および駆動回路44が設けられるハウジングには、モータ42および駆動回路44以外の構成が設けられてもよく、例えばモータ42の回転を減速して出力する減速機が設けられてもよい。
【0040】
制御装置50は、人力駆動力Hによって回転可能なクランク14と、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ42と、を含む。制御装置50は、制御部52を含む。制御部52は、予め定められる制御プログラムを実行する演算処理装置を含む。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。制御部52は、1または複数のマイクロコンピュータを含んでいてもよい。制御部52は、複数の場所に離れて配置される複数の演算処理装置を含んでいてもよい。制御部52は、例えばモータ42が設けられるハウジングに設けられる。
【0041】
制御装置50は、記憶部54をさらに含むことが好ましい。記憶部54は、予め定める条件に関する情報を記憶する。記憶部54には、各種の制御プログラムおよび各種の制御処理に用いられる情報が記憶される。記憶部54は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶部54は、例えばモータ42が設けられるハウジングに設けられる。記憶部54は、制御部52と電気的に接続され、制御部52によって制御するように構成される。
【0042】
制御装置50は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPを検出するように構成される第1検出部56、をさらに含むことが好ましい。第1検出部56は、クランク14の回転速度Nに応じた信号を出力するように構成される第1センサ56A、を含むことが好ましい。パラメータPは、クランク14の回転速度Nであることが好ましい。
【0043】
第1センサ56Aは、人力駆動車10のクランク14の回転速度Nを検出するために用いられる。第1センサ56Aは、例えば人力駆動車10のフレーム18またはモータ42が設けられるハウジングに取り付けられる。第1センサ56Aは、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。磁気センサは、例えばホール素子または磁気抵抗センサを含む。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク軸14Aまたはクランク軸14Aから第1回転体26までの間の動力伝達経路に設けられる。第1センサ56Aは、制御部52と有線または無線によって通信可能に接続されている。第1センサ56Aは、クランク14の回転速度Nに応じた信号を制御部52に出力する。第1センサ56Aは、クランク軸14A、または、クランク軸14Aから第1回転体26までの人力駆動力Hの動力伝達経路において、クランク軸14Aと一体に回転する部材に設けられてもよい。例えば、第1センサ56Aは、クランク軸14Aと第1回転体26との間に第1ワンウェイクラッチが設けられない場合、第1回転体26に設けられてもよい。第1センサ56Aは、人力駆動車10の走行速度Vを検出するために用いられてもよい。この場合、制御部52は、第1センサ56Aによって検出されるクランク14の回転速度Nと、変速比とに応じて、駆動輪12Bの回転速度を演算して、人力駆動車10の走行速度Vを検出する。変速比に関する情報は、記憶部54に予め記憶されている。
【0044】
人力駆動車10に変速比を変更するための変速機46が設けられる場合、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vと、クランク14の回転速度Nとに応じて、変速比を演算してもよい。この場合、駆動輪12Bの周長、駆動輪12Bの直径、または、駆動輪12Bの半径に関する情報が記憶部54に予め記憶されている。制御装置50は、変速センサを含んでいてもよい。変速センサは、例えば、変速機46に設けられる。この場合、変速センサは、制御部52に電気的に接続される。変速センサは、変速機46の現在の変速ステージを検出する。変速ステージと変速比との関係は、記憶部54に予め記憶されている。これによって制御部52は、変速センサの検出結果から、現在の変速比を検出することができる。制御部52は、駆動輪12Bの回転速度を変速比で除算することによって、クランク14の回転速度Nを演算できる。この場合、車速センサ58Aおよび変速センサを第1センサ56Aとして用いてもよい。変速センサは、変速機46ではなく、変速操作部に設けられてもよく、変速ワイヤに設けられてもよい。
【0045】
制御装置50は、人力駆動車10の走行速度Vに関する情報を取得するように構成される速度検出部58、をさらに含むことが好ましい。速度検出部58は、車速センサ58Aを含むことが好ましい。車速センサ58Aは、車輪の回転速度を検出するために用いられる。車速センサ58Aは、有線または無線によって制御部52と電気的に接続されている。車速センサ58Aは、制御部52と有線または無線によって通信可能に接続されている。車速センサ58Aは、車輪の回転速度に応じた信号を制御部52に出力する。制御部52は、車輪の回転速度に基づいて人力駆動車10の走行速度Vを演算する。制御部52は、走行速度Vが所定値以上になると、モータ42を停止する。所定値は、例えば時速25Km、または、時速45Kmである。車速センサ58Aは、例えば、リードスイッチを構成する磁性体リード、または、ホール素子を含む。車速センサ58Aは、フレーム18のチェーンステイ、シートステイ、または、リアエンドに取り付けられ、後輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよく、フロントフォーク32に設けられ、前輪に取り付けられる磁石を検出する構成としてもよい。別の例では、車速センサ58Aは、GPS受信部を含む。制御部52は、GPS受信部によって取得したGPS情報と、記憶部54に予め記録されている地図情報と、時間とに応じて、人力駆動車10の走行速度Vを検出してもよい。制御部52は、時間を計るための計時回路を含むことが好ましい。
【0046】
制御装置50は、人力駆動力Hを検出するためのトルクセンサ60をさらに含むことが好ましい。トルクセンサ60は、人力駆動力HのトルクTHを検出するために用いられる。トルクセンサ60は、例えば、モータ42が設けられるハウジングに設けられる。トルクセンサ60は、クランク14に入力される人力駆動力HのトルクTHを検出する。トルクセンサ60は、例えば、動力伝達経路に第1ワンウェイクラッチが設けられる場合、第1ワンウェイクラッチよりも動力伝達経路の上流側に設けられる。トルクセンサ60は、歪センサまたは磁歪センサなどを含む。歪センサは、歪ゲージを含む。トルクセンサ60が歪センサを含む場合、歪センサは、好ましくは、動力伝達経路に含まれる回転体の外周部に設けられる。トルクセンサ60は、無線または有線の通信部を含んでいてもよい。トルクセンサ60の通信部は、制御部52と通信可能に構成される。トルクセンサ60が磁歪センサを含む場合、好ましくは、動力伝達経路に含まれる回転体の外周部に磁歪素子が設けられ、磁歪センサは磁歪素子の周囲に設けられる。
【0047】
制御部52は、例えば、人力駆動力Hに対して、モータ42によるアシスト力が所定の比率Aになるように、モータ42を制御する。制御部52は、人力駆動車10の人力駆動力HのトルクTHに対する、モータ42によるアシスト力の出力トルクTMが所定の比率Aになるように、モータ42を制御してもよい。人力駆動車10の人力駆動力HのトルクTHに対するモータ42の出力トルクTMのトルク比率ATを、比率Aと記載する場合がある。制御部52は、例えば、人力駆動力Hの仕事率WH(ワット)に対して、モータ42の仕事率WM(ワット)が所定の比率Aになるように、モータ42を制御してもよい。制御部52は、人力駆動力Hに対するモータ42の出力の比率Aの異なる複数の制御モードでモータ42を制御する。人力駆動車10の人力駆動力Hの仕事率WHに対するモータ42の出力の仕事率WMの比率AWを、比率Aと記載する場合がある。人力駆動力Hの仕事率WHは、人力駆動力Hとクランク14の回転速度Nとの乗算によって算出される。モータ42の出力が減速機を介して人力駆動力Hの動力経路に入力される場合は、減速機の出力を、モータ42の出力とする。制御部52は、人力駆動力Hの仕事率WHまたはトルクTHに応じて、制御指令をモータ42の駆動回路44に出力する。制御指令は、例えばトルク指令値を含む。
【0048】
制御部52は、モータ42の出力の最大値MXが所定値以下になるようにモータ42を制御する。モータ42の出力は、モータ42の出力トルクTMを含む。モータ42の出力は、モータ42の仕事率WMを含んでいてもよい。この場合、制御部52は、モータ42の仕事率WMが所定値WM1以下になるようにモータ42を制御する。所定値WM1は、一例では、500ワットである。所定値WM1は、別の例では、300ワットである。制御部52は、トルク比率ATが所定トルク比率AT1以下になるようにモータ42を制御してもよい。所定トルク比率AT1は、一例では、300%である。
【0049】
複数の制御モードのそれぞれにおいて、比率Aおよびモータ42の出力の最大値MXの少なくとも1つが異なっていてもよい。複数の制御モードのそれぞれにおいて、比率Aのみ、最大値MXのみ、または、比率Aおよび最大値MXの両方が異なっていてもよい。この場合、制御部52は、モータ42の出力が選択されているモータ42の制御モードにおいて規定される比率A以下、かつ、所定値以下になるようにモータ42を制御する。
【0050】
制御部52は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが、予め定める条件を満たす場合、モータ42を駆動または停止するように構成される。制御部52は、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて予め定める条件を変更するように構成される。
【0051】
人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つは、人力駆動車10の走行速度V、人力駆動車10の走行抵抗R、人力駆動車10のバッテリ40の残量B、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力に関する制限、人力駆動車10の加速度D、人力駆動車10の操作装置の操作、人力駆動車10の制御モード、人力駆動車10の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つ、を含む。本開示において人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つは、人力駆動車10の状態のみ、人力駆動車10の環境のみ、または、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の両方、を含む。本開示において、人力駆動車10の走行速度V、人力駆動車10の走行抵抗R、人力駆動車10のバッテリ40の残量B、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力に関する制限、人力駆動車10の加速度D、人力駆動車10の操作装置の操作、人力駆動車10の制御モード、人力駆動車10の走行路の傾斜、および、風速の少なくとも1つは、人力駆動車10の走行速度Vのみ、人力駆動車10の走行抵抗Rのみ、人力駆動車10のバッテリ40の残量Bのみ、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力に関する制限のみ、人力駆動車10の加速度Dのみ、人力駆動車10の操作装置の操作のみ、人力駆動車10の制御モードのみ、人力駆動車10の走行路の傾斜のみ、または、人力駆動車10の走行速度V、人力駆動車10の走行抵抗R、人力駆動車10のバッテリ40の残量B、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力に関する制限、人力駆動車10の加速度D、人力駆動車10の操作装置の操作、人力駆動車10の制御モード、人力駆動車10の走行路の傾斜、および、風速のうちの任意の組合せを含む。
【0052】
制御装置50は、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つを検出する第2検出部62をさらに含むことが好ましい。第2検出部62は、走行速度検出部62A、走行抵抗検出部62B、バッテリ残量検出部62C、バッテリ制限状態検出部62D、加速度検出部62E、操作検出部62F、制御モード検出部62G、傾斜検出部62H、および、風検出部62Jの少なくとも1つを含む。第2検出部62は、制御部52に有線または無線によって電気的に接続される。第2検出部62は、走行速度検出部62Aのみ、走行抵抗検出部62Bのみ、バッテリ残量検出部62Cのみ、バッテリ制限状態検出部62Dのみ、加速度検出部62Eのみ、操作検出部62Fのみ、制御モード検出部62Gのみ、傾斜検出部62Hのみ、風検出部62Jのみ、または、走行速度検出部62A、走行抵抗検出部62B、バッテリ残量検出部62C、バッテリ制限状態検出部62D、加速度検出部62E、操作検出部62F、制御モード検出部62G、傾斜検出部62H、および、風検出部62Jのうちの任意の組合せを含む。
【0053】
制御部52が走行速度Vに応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、走行速度検出部62Aを含むことが好ましい。制御部52が走行抵抗Rに応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、走行抵抗検出部62Bを含むことが好ましい。制御部52がバッテリ40の残量Bに応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、バッテリ残量検出部62Cを含むことが好ましい。制御部52がバッテリ40の消費電力に関する制限に応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、バッテリ制限状態検出部62Dを含むことが好ましい。制御部52が加速度Dに応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、加速度検出部62Eを含むことが好ましい。制御部52が操作装置の操作に応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、操作検出部62Fを含むことが好ましい。制御部52が制御モードに応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、制御モード検出部62Gを含むことが好ましい。制御部52が走行路の傾斜に応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、傾斜検出部62Hを含むことが好ましい。制御部52が風速に応じて予め定める条件を変更する場合、第2検出部62は、風検出部62Jを含むことが好ましい。
【0054】
走行速度検出部62Aは、速度検出部58の車速センサ58Aと同様に構成される。第2検出部62が走行速度検出部62Aを含む場合、速度検出部58を省略してもよい。第2検出部62が走行速度検出部62Aを含む場合、車速センサ58Aを走行速度検出部62Aとして用いてもよい。走行速度検出部62Aは、車速センサ58Aと各別に構成されてもよい。
【0055】
走行抵抗検出部62Bは、走行抵抗Rを検出するために用いられる。走行抵抗検出部62Bは、例えば、人力駆動力Hの仕事率WHと、モータ42の仕事率WMと、人力駆動車10の走行速度Vと、に応じて走行抵抗Rを演算する。走行抵抗検出部62Bは、演算処理部を含む。走行抵抗検出部62Bは、制御部52に含まれる演算処理部によって構成されてもよい。走行抵抗検出部62Bは、人力駆動力Hの仕事率WHと、モータ42の仕事率WMと、人力駆動車10の走行速度Vと、に応じて走行抵抗Rを演算するのではなく、走行抵抗Rに関連するパラメータを検出するための走行抵抗検出用センサを含んで、走行抵抗検出用センサの検出結果に応じて走行抵抗Rを演算してもよい。走行抵抗Rに関連するパラメータは、人力駆動車10の空気抵抗、人力駆動車10の車輪の転がり抵抗、人力駆動車10の走行路の勾配抵抗、人力駆動車10の加速抵抗、人力駆動車10の空気抵抗を算出するためのパラメータ、人力駆動車10の車輪の転がり抵抗を算出するためのパラメータ、および、人力駆動車10の走行路の勾配抵抗を算出するためのパラメータ、および、人力駆動車10の加速抵抗を検出するためのパラメータの少なくとも1つを含む。走行抵抗検出用センサは、傾斜センサ、風速センサ、および、加速度センサ、の少なくとも1つを含む。傾斜センサ、風速センサ、および、加速度センサ、の少なくとも1つは、傾斜センサのみ、風速センサのみ、加速度センサのみ、または、傾斜センサ、風速センサ、および、加速度センサの全てを含む。人力駆動車10の走行路の勾配抵抗は、傾斜センサの検出結果から演算することができる。人力駆動車10の空気抵抗は、風速センサの検出結果から演算することができる。人力駆動車10の加速抵抗は、加速度センサの検出結果から演算することができる。制御部52は、例えば、人力駆動車10の空気抵抗、人力駆動車10の車輪の転がり抵抗、人力駆動車10の走行路の勾配抵抗、および、人力駆動車10の加速抵抗のうちの、いずれか1つ、任意の2つ、任意の3つ、または、全部を加算した値を走行抵抗Rとして用いる。走行抵抗Rは、好ましくは、傾斜抵抗および空気抵抗を含む。走行抵抗検出用センサに含まれる傾斜センサは、傾斜検出部62Hと同様の構成である。第2検出部62が、傾斜検出部62Hを含む場合、走行抵抗検出用センサが傾斜センサは省略できる。走行抵抗検出用センサに含まれる風速センサは、風検出部62Jと同様の構成である。第2検出部62が、風検出部62Jを含む場合、走行抵抗検出用センサの風速センサは省略できる。
【0056】
バッテリ残量検出部62Cは、バッテリ40の残量Bを検出するために用いられる。バッテリ残量検出部62Cは、バッテリ40に設けられてもよく、バッテリ40から出力されるバッテリ40の残量Bに関する情報を含む信号を取得する受信部であってもよい。バッテリ残量検出部62Cは、制御部52に含まれていてもよい。
【0057】
バッテリ制限状態検出部62Dは、バッテリ40の電力の使用の制限を検出するために用いられる。バッテリ制限状態検出部62Dは、バッテリ40に設けられてバッテリ40の電力の使用の制限状態を検出してもよく、制御部52がバッテリ40に出力する電力の使用の制限状態に関する指令を検出してもよい。バッテリ制限状態検出部62Dは、制御部52に含まれていてもよい。制御部52は、例えば、比率Aの高い制御モードから比率Aの低い制御モードに変更される場合にバッテリ40の電力の使用を制限してもよく、目的地までの距離が遠い場合にバッテリ40の電力の使用を制限してもよく、利用者が予め定める操作部を操作することによってバッテリ40の電力の使用を制限してもよい。バッテリ40は、残量Bが予め定める値BX以下になった場合に電力の使用を制限してもよく、バッテリ40に不具合があった場合に電力の使用を制限してもよい。制御部52は、バッテリ40の電力の使用の制限状態に関する情報を、例えば記憶部54に記憶させてもよい。バッテリ40は、バッテリ40の電力の使用の制限状態に関する情報を、例えばバッテリ40に設けられる記憶部に記憶させてもよい。バッテリ制限状態検出部62Dは、記憶部54およびバッテリ40に設けられる記憶部などに記憶されているバッテリ40の電力の使用の制限状態に関する情報を取得し、制御部52に通知するように構成されてもよい。制御部52は、バッテリ制限状態検出部62Dの検出結果によって、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されているか否かを判断できる。
【0058】
加速度検出部62Eは、人力駆動車10の加速度Dを検出するために用いられる。人力駆動車10を水平面に前輪および後輪を接地させて直立させた状態における人力駆動車10の前後方向の加速度を検出する。
【0059】
操作検出部62Fは、操作装置の操作を検出するために用いられる。操作装置は、一例では、第1条件および第2条件の少なくとも一方を変更するための操作部を含む。第1条件および第2条件の少なくとも一方は、第1条件のみ、第2条件のみ、または、第1条件および第2条件の両方を含む。操作装置は、第1条件および第2条件の少なくとも一方に含まれる閾値を変更するように構成されてもよい。閾値の例は、第1値PX、第2値PY、および、第3値QXである。操作装置は、例えば操作スイッチおよびタッチパネルの少なくとも一方を含む。操作検出部62Fは、例えば操作装置に設けられる。操作装置は、別例では、モータ42の動作モードを変更するための操作部を含む。操作検出部62Fは、操作装置の操作を検出するセンサを含んでいてもよく、操作部からの信号を検出するように構成されていてもよい。操作検出部62Fが操作部からの信号を検出する場合は、操作検出部62Fは、制御部52に含まれる演算処理部によって構成されてもよい。
【0060】
制御モード検出部62Gは、人力駆動車10の制御モードを検出するために用いられる。人力駆動車10の制御モードは、例えば、モータ42の動作モードを含む。制御モード検出部62Gは、制御部52が設定するモードの変更指令を検出してもよく、制御モードを変更するための操作部の操作を検出してもよい。制御モード検出部62Gは、制御部52に含まれる演算処理部によって構成されてもよい。
【0061】
傾斜検出部62Hは、人力駆動車10の走行路の傾斜を検出するために用いられる。傾斜検出部62Hは、例えば、人力駆動車10のピッチ角度を検出する。傾斜検出部62Hは、例えば、傾斜センサを含む。傾斜センサは、車体16の傾斜角度を検出する。傾斜センサは、例えば、ジャイロセンサを含む。ジャイロセンサは、好ましくは、3軸ジャイロセンサを含む。ジャイロセンサは、好ましくは、車体16のヨー角度、車体16のロール角度、および、車体16のピッチ角度を検出可能に構成される。ジャイロセンサの3軸は、好ましくは、人力駆動車10を水平面に前輪および後輪を接地させて直立させた状態における人力駆動車10の前後方向、左右方向、および、上下方向に沿うように人力駆動車10に設けられる。ジャイロセンサは、1軸ジャイロセンサ、または2軸ジャイロセンサを含んでいてもよい。制御部52は、傾斜センサによって検出された人力駆動車10のピッチ角度を人力駆動車10の走行路の傾斜として用いる。傾斜検出部62Hは、加速度センサを含んでいてもよい。傾斜検出部62Hの加速度センサは、加速度検出部62Eの加速度センサと同様に構成されるが、好ましくは、加速度検出部62Eの加速度センサとは検出する加速度の方向が異なる。加速度検出部62Eの加速度センサを傾斜検出部62Hとして用いる場合、車速センサ58Aの出力を用いて、加速度センサから人力駆動車10の速度の変化による影響を除く処理を行うことが好ましい。傾斜検出部62Hは、加速度検出部62Eの加速度センサと各別に構成されてもよい。
【0062】
風検出部62Jは、例えば、風速および風圧の少なくとも1つを検出するために用いられる。風検出部62Jは、風速センサおよび風圧センサの少なくとも1つを含む。風検出部62Jは、例えば、人力駆動車10のハンドルバー38に設けられる。風検出部62Jは、人力駆動車10が前方に走行する場合の向かい風および追い風の少なくとも1つを検出可能に構成されることが好ましい。
【0063】
予め定める条件は、第1条件を含み、制御部52は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが第1条件を満たす場合、モータ42を停止するように構成され、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて第1条件を変更するように構成される。
【0064】
第1条件は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが第1値PX以下の状態になる場合、または、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが第1値PX以下の状態が、第1時間T1以上継続する場合に満たされる。制御部52は、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更するように構成される。本開示において、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つは、第1値PXのみ、第1時間T1のみ、または、第1値PXおよび第1時間T1の両方を含む。
【0065】
第1条件に関する第1例では、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vに応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、走行速度Vと、第1値PX、および、第1時間T1の少なくとも1つとを関連付けた第1情報を記憶することが好ましい。第1情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。本開示において、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つは、テーブルのみ、マップのみ、グラフのみ、関数のみ、または、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の任意の組合せを意味する。制御部52は、第1情報に応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第1値PXを増加させる、第1時間T1を減少させる、または、第1値PXを増加させかつ第1時間T1を減少させることが好ましい。この場合、第1情報において、走行速度Vが第1走行速度V1の場合の第1値PXは、第1走行速度V1よりも小さい第2走行速度V2の場合の第1値PXよりも大きい。第1情報において、走行速度Vが第1走行速度V1の場合の第1時間T1は、第2走行速度V2の場合の第1時間T1よりも短い。第1情報において、第1値PXは、走行速度Vが大きくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第1情報において、第1時間T1は、走行速度Vが大きくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。
【0066】
第1例において、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第1値PXを減少させる、第1時間T1を増加させる、または、第1値PXを減少させかつ第1時間T1を増加させてもよい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第1値PXを減少させる場合、第1情報において、走行速度Vが第1走行速度V1の場合の第1値PXは、第2走行速度V2の場合の第1値PXよりも小さい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第1時間T1を増加させる場合、第1情報において、走行速度Vが第1走行速度V1の場合の第1時間T1は、第2走行速度V2の場合の第1時間T1よりも長い。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第1値PXを減少させる場合、および、人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第1時間T1を増加させる場合では、走行速度Vが大きい場合、クランク14の回転速度Nが低下してもモータ42を停止させにくくなるため、モータ42による人力駆動車10への推進力の付与が途切れにくくなる。このため、好適にモータ42を制御できる。
【0067】
第1条件に関する第2例では、制御部52は、人力駆動車10の走行抵抗Rに応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、走行抵抗Rと、第1値PX、および、第1時間T1の少なくとも1つとを関連付けた第2情報を記憶することが好ましい。第2情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第2情報に応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第1値PXを減少させる、第1時間T1を増加させる、または、第1値PXを減少させかつ第1時間T1を増加させることが好ましい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第1値PXを減少させる場合、第2情報において、走行抵抗Rが第1走行抵抗R1の場合の第1値PXは、第1走行抵抗R1よりも小さい第2走行抵抗R2の場合の第1値PXよりも小さい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第1時間T1を増加させる場合、第2情報において、走行抵抗Rが第1走行抵抗R1の場合の第1時間T1は、第2走行抵抗R2の場合の第1時間T1よりも長い。第2情報において、第1値PXは、走行抵抗Rが大きくなるほど、直線的または段階的に小さくなっていてもよい。第2情報において、第1時間T1は、走行抵抗Rが大きくなるほど、直線的または段階的に長くなっていてもよい。
【0068】
第2例において、制御部52は、人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第1値PXを増加させる、第1時間T1を減少させる、または、第1値PXを増加させかつ第1時間T1を減少させてもよい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第1値PXを増加させる場合、第2情報において、走行抵抗Rが第1走行抵抗R1の場合の第1値PXは、第2走行抵抗R2の場合の第1値PXよりも大きい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第1時間T1を減少させる場合、第2情報において、走行抵抗Rが第1走行抵抗R1の場合の第1時間T1は、第2走行抵抗R2の場合の第1時間T1よりも短い。
【0069】
第1条件に関する第3例では、制御部52は、バッテリ40の残量Bに応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、バッテリ40の残量Bと、第1値PX、および、第1時間T1の少なくとも1つとを関連付けた第3情報を記憶することが好ましい。第3情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第3情報に応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の残量Bが低下すると、第1値PXを増加させる、第1時間T1を減少させる、または、第1値PXを増加させかつ第1時間T1を減少させることが好ましい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第1値PXを増加させる場合、第3情報において、バッテリ40の残量Bが第1残量B1の場合の第1値PXは、第1残量B1よりも大きい第2残量B2の場合の第1値PXよりも大きい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第1時間T1を減少させる場合、第3情報において、バッテリ40の残量Bが第1残量B1の場合の第1時間T1は、第2残量B2の場合の第1時間T1よりも短い。第3情報において、第1値PXは、バッテリ40の残量Bが小さくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第3情報において、第1時間T1は、バッテリ40の残量Bが小さくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。
【0070】
第3例において、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の残量Bが低下すると、第1値PXを減少させる、第1時間T1を増加させる、または、第1値PXを減少させかつ第1時間T1を増加させてもよい。人力駆動車10のバッテリ40の残量Bが低下すると、第1値PXを減少させる場合、第3情報において、バッテリ40の残量Bが第1残量B1の場合の第1値PXは、第2残量B2の場合の第1値PXよりも小さい。人力駆動車10のバッテリ40の残量Bが低下すると、第1時間T1を増加させる場合、第3情報において、バッテリ40の残量Bが第1残量B1の場合の第1時間T1は、第2残量B2の場合の第1時間T1よりも長い。
【0071】
第1条件に関する第4例では、制御部52は、バッテリ40の制限に応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、バッテリ40の制限状態と、第1値PX、および、第1時間T1の少なくとも1つとを関連付けた第4情報を記憶することが好ましい。第4情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第4情報に応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第1値PXを増加させる、第1時間T1を減少させる、または、第1値PXを増加させかつ第1時間T1を減少させることが好ましい。バッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第1値PXを増加させる場合、第4情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第1値PXは、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第1値PXよりも大きい。バッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第1時間T1を減少させる場合、第4情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第1時間T1は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第1時間T1よりも短い。第4情報において、第1値PXは、バッテリ40の電力の使用の制限が大きくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第4情報において、第1時間T1は、バッテリ40の電力の使用の制限が大きくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。
【0072】
第4例において、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第1値PXを減少させる、第1時間T1を増加させる、または、第1値PXを減少させかつ第1時間T1を増加させてもよい。バッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第1値PXを減少させる場合、第4情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第1値PXは、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第1値PXよりも小さい。バッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第1時間T1を増加させる場合、第4情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第1時間T1は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第1時間T1よりも長い。
【0073】
第1条件に関する第5例では、制御部52は、人力駆動車10の加速度Dに応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、加速度Dと、第1値PX、および、第1時間T1の少なくとも1つとを関連付けた第5情報を記憶することが好ましい。第5情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第5情報に応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の加速度Dが負の値かつ減少すると、第1値PXを増加させる、第1時間T1を減少させる、または、第1値PXを増加させかつ第1時間T1を減少させることが好ましい。人力駆動車10の加速度Dが負の値かつ減少すると、第1値PXを増加させる場合、第5情報において、人力駆動車10の加速度Dが負の値の第1加速度D1の場合の第1値PXは、第1加速度D1よりも大きい第2加速度D2の場合の第1値PXよりも大きい。人力駆動車10の加速度Dが負の値かつ減少すると、第1時間T1を減少させる場合、第5情報において、第1加速度D1の場合の第1時間T1は、第2加速度D2の場合の第1時間T1よりも短い。第2加速度D2は、0以上の値であってもよい。第5情報において、第1値PXは、加速度Dが負の値かつ小さくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第5情報において、第1時間T1は、加速度Dが負の値かつ小さくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。
【0074】
第5例において、制御部52は、人力駆動車10の加速度Dが負の値かつ減少すると、第1値PXを減少させる、第1時間T1を増加させる、または、第1値PXを減少させかつ第1時間T1を増加させてもよい。人力駆動車10の加速度Dが負の値かつ減少すると、第1値PXを減少させる場合、第5情報において、人力駆動車10の加速度Dが負の値の第1加速度D1の場合の第1値PXは、第2加速度D2の場合の第1値PXよりも小さい。人力駆動車10の加速度Dが負の値かつ減少すると、第1時間T1を増加させる場合、第5情報において、加速度Dが第1加速度D1の場合の第1時間T1は、第2加速度D2の場合の第1時間T1よりも長い。
【0075】
制御部52は、第1条件に関する第1例、第2例、第3例、第4例、および、第5例のうちの1つに応じて、または、第1条件に関する第1例、第2例、第3例、第4例、および、第5例のうちの複数を組み合わせに応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更してもよい。この場合、例えば、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報、および、第5情報に、それぞれ第1値PXの重み付けに関する情報、および、第1時間T1の重み付けに関する情報の少なくとも1つを含ませ、制御部52は、各情報から得られる重み付けに関する情報を用いる予め定める演算式によって、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを算出してもよい。第1値PXの重み付けに関する情報、および、第1時間T1の重み付けに関する情報の少なくとも1つは、第1値PXの重み付けに関する情報のみ、第1時間T1の重み付けに関する情報のみ、または、第1値PXの重み付けに関する情報、および、第1時間T1の重み付けに関する情報の両方を含む。例えば、制御部52は、所定の条件に応じて、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報、および、第5情報のうちの1つ、または、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報、および、第5情報のうちの任意の組合せを選択して、選択した情報を用いて第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを変更してもよい。
【0076】
人力駆動車10の制御方法は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが、予め定める条件を満たす場合、モータ42を駆動または停止させるステップと、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて予め定める条件を変更するステップと、を含む。本実施形態では、人力駆動車10の制御方法は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが、第1条件を満たす場合、モータ42を停止させるステップを含む。
【0077】
図3を参照して、モータ42を停止する処理について説明する。制御部52は、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して図3に示すフローチャートのステップS11に移行する。制御部52は、図3のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS11からの処理を繰り返す。図3に示すフローチャートは、制御部52が、モータ42によって人力駆動車10の推進をアシストする動作モードの場合にのみ、実行されてもよい。
【0078】
制御部52は、ステップS11において、モータ42が駆動しているか否かを判定する。制御部52は、モータ42が駆動している場合、処理を終了する。制御部52は、モータ42が駆動していない場合、ステップS12に移行する。
【0079】
制御部52は、ステップS12において、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて第1条件を変更し、ステップS13に移行する。具体的には、制御部52は、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて、第1値PXおよび第1時間T1の少なくとも1つを、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報、および、第5情報の少なくとも1つに応じて設定する。本開示において、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報、および、第5情報の少なくとも1つは、第1情報のみ、第2情報のみ、第3情報のみ、第4情報のみ、第5情報のみ、または、第1情報、第2情報、第3情報、第4情報、および、第5情報のうちの任意の組合せを含む。
【0080】
制御部52は、ステップS13において、第1条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、制御部52は、パラメータPが、ステップS12において変更した第1条件に含まれる第1値PX以下の状態になる場合、または、パラメータPがステップS12において変更した第1条件に含まれる第1値PX以下の状態が、ステップS12において変更した第1条件に含まれる第1時間T1以上継続する場合、第1条件が成立していると判定する。制御部52は、第1条件が成立していない場合、処理を終了する。制御部52は、第1条件が成立している場合、ステップS14に移行する制御部52は、ステップS14において、モータ42を停止し、処理を終了する。
【0081】
表1は、ステップS13において用いられる第1条件と、ステップS12において変更される第1条件に含まれる値との組み合わせの例を示す。制御部52は、表1に示す組み合わせの例を用いて、図3の処理を行うことができる。
【0082】
【表1】
【0083】
制御部52は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータP、および、人力駆動力Hに関するパラメータQが予め定める条件を満たす場合、モータ42を駆動または停止するように構成される。制御部52は、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて予め定める条件を変更するように構成される。パラメータQは、人力駆動力Hであることが好ましい。パラメータQは、人力駆動力HのトルクTHであってもよく、人力駆動力Hの仕事率WHであってもよい。
【0084】
予め定める条件は、第2条件を含む。制御部52は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPおよび人力駆動力Hに関するパラメータQが第2条件を満たす場合、モータ42を駆動するように構成され、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて第2条件を変更するように構成される。制御部52は、第2条件を満たす場合、モータ42の動作モード、人力駆動力H、クランク14の回転速度N、および、走行速度V等に応じて、モータ42を制御する。例えば、制御部52は、第2条件を満たす場合、人力駆動力Hが選択されている動作モードに対応する比率Aになるようにモータ42を駆動し、人力駆動力Hが所定駆動力以下の場合、モータ42を停止させる。
【0085】
第2条件は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが第2値PY以上の状態が、第2時間T2以上継続し、かつ、人力駆動力Hに関するパラメータQが第3値QX以上の状態が、第3時間T3以上継続する場合、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが第2値PY以上の状態になり、かつ、人力駆動力Hに関するパラメータQが第3値QX以上の状態が、第3時間T3以上継続する場合、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが第2値PY以上の状態が、第2時間T2以上継続し、かつ、人力駆動力Hに関するパラメータQが第3値QX以上の状態になる場合、または、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPが第2値PY以上の状態になり、かつ、人力駆動力Hに関するパラメータQが第3値QX以上の状態になる場合に満たされる。制御部52は、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて第2値PY、第2時間T2、第3値QX、第3時間T3の少なくとも1つを変更するように構成される。本開示において、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つは、第2値PYのみ、第2時間T2のみ、第3値QXのみ、第3時間T3のみ、または、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3のうちの任意の組合せを含む。
【0086】
第2条件に関する第1例では、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vに応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、走行速度Vと、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つとを関連付けた第6情報を記憶することが好ましい。第6情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第6情報に応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを増加させることが好ましい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第2値PYを増加させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第2値PYは、第3走行速度V3よりも小さい第4走行速度V4の場合の第2値PYよりも大きい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第2時間T2を増加させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第2時間T2は、第4走行速度V4の場合の第2時間T2よりも長い。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第3値QXを増加させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第3値QXは、第4走行速度V4の場合の第3値QXよりも大きい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第3時間T3を増加させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第3時間T3は、第4走行速度V4の場合の第3時間T3よりも長い。第6情報において、第2値PYは、走行速度Vが大きくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第6情報において、第2時間T2は、走行速度Vが大きくなるほど、直線的または段階的に長くなっていてもよい。第6情報において、第3値QXは、走行速度Vが大きくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第6情報において、第3時間T3は、走行速度Vが大きくなるほど、直線的または段階的に長くなっていてもよい。
【0087】
第1例において、制御部52は、人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを減少させてもよい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第2値PYを減少させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第2値PYは、第4走行速度V4の場合の第2値PYよりも小さい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第2時間T2を減少させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第2時間T2は、第4走行速度V4の場合の第2時間T2よりも短い。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第3値QXを減少させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第3値QXは、第4走行速度V4の場合の第3値QXよりも小さい。人力駆動車10の走行速度Vが増加すると、第3時間T3を減少させる場合、第6情報において、走行速度Vが第3走行速度V3の場合の第3時間T3は、第4走行速度V4の場合の第3時間T3よりも短い。
【0088】
第2条件に関する第2例では、制御部52は、人力駆動車10の走行抵抗Rに応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、走行抵抗Rと、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つとを関連付けた第7情報を記憶することが好ましい。第情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第7情報に応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを減少させることが好ましい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第2値PYを減少させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第2値PYは、第3走行抵抗R3よりも小さい第4走行抵抗R4の場合の第2値PYよりも小さい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第2時間T2を減少させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第2時間T2は、第4走行抵抗R4の場合の第2時間T2よりも短い。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第3値QXを減少させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第3値QXは、走行抵抗Rが第4走行抵抗R4の場合の第3値QXよりも小さい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第3時間T3を減少させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第3時間T3は、第4走行抵抗R4の場合の第3時間T3よりも短い。第7情報において、第2値PYは、走行抵抗Rが大きくなるほど、直線的または段階的に小さくなっていてもよい。第7情報において、第2時間T2は、走行抵抗Rが大きくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。第7情報において、第3値QXは、走行抵抗Rが大きくなるほど、直線的または段階的に小さくなっていてもよい。第7情報において、第3時間T3は、走行抵抗Rが大きくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。
【0089】
第2例において、制御部52は、人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを増加させてもよい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第2値PYを増加させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第2値PYは、第4走行抵抗R4の場合の第2値PYよりも大きい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第2時間T2を増加させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第2時間T2は、第4走行抵抗R4の場合の第2時間T2よりも長い。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第3値QXを増加させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第3値QXは、第4走行抵抗R4の場合の第QXよりも大きい。人力駆動車10の走行抵抗Rが増加すると、第3時間T3を増加させる場合、第7情報において、走行抵抗Rが第3走行抵抗R3の場合の第2時間T2は、第4走行抵抗R4の場合の第2時間T2よりも長い。
【0090】
第2条件に関する第3例では、制御部52は、バッテリ40の残量Bに応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、バッテリ40の残量Bと、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つとを関連付けた第8情報を記憶することが好ましい。第8情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第8情報に応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の残量Bが低下すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを増加させることが好ましい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第2値PYを増加させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第2値PYは、第3残量B3よりも大きい第4残量B4の場合の第2値PYよりも大きい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第2時間T2を増加させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第2時間T2は、第4残量B4の場合の第2時間T2よりも長い。バッテリ40の残量Bが低下すると、第3値QXを増加させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第3値QXは、第4残量B4の場合の第3値QXよりも大きい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第3時間T3を増加させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第3時間T3は、第4残量B4の場合の第3時間T3よりも長い。第8情報において、第2値PYは、バッテリ40の残量Bが小さくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第8情報において、第2時間T2は、バッテリ40の残量Bが小さくなるほど、直線的または段階的に長くなっていてもよい。第8情報において、第3値QXは、バッテリ40の残量Bが小さくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第8情報において、第3時間T3は、バッテリ40の残量Bが小さくなるほど、直線的または段階的に長くなっていてもよい。
【0091】
第3例において、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の残量Bが低下すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを減少させてもよい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第2値PYを減少させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第2値PYは、第4残量B4の場合の第2値PYよりも小さい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第2時間T2を減少させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第2時間T2は、第4残量B4の場合の第2時間T2よりも短い。バッテリ40の残量Bが低下すると、第3値QXを減少させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第3値QXは、第4残量B4の場合の第3値QXよりも小さい。バッテリ40の残量Bが低下すると、第3時間T3を減少させる場合、第8情報において、バッテリ40の残量Bが第3残量B3の場合の第3時間T3は、第4残量B4の場合の第3時間T3よりも短い。
【0092】
第2条件に関する第4例では、制御部52は、バッテリ40の制限に応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、バッテリ40の制限状態と、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つとを関連付けた第9情報を記憶することが好ましい。第9情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第9情報に応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを増加させることが好ましい。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第2値PYを増加させる場合、第9情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第2値PYは、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第2値PYよりも大きい。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第2時間T2を増加させる場合、第9情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第2時間T2は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第2時間T2よりも長い。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第3値QXを増加させる場合、場合、第9情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第3値QXは、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第3値QXよりも大きい。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第3時間T3を増加させる場合、第9情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第3時間T3は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第3時間T3よりも長い。第9情報において、第2値PYは、バッテリ40の電力の使用の制限が大きくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第9情報において、第2時間T2は、バッテリ40の電力の使用の制限が大きくなるほど、直線的または段階的に長くなっていてもよい。第9情報において、第3値QXは、バッテリ40の電力の使用の制限が大きくなるほど、直線的または段階的に大きくなっていてもよい。第9情報において、第3時間T3は、バッテリ40の電力の使用の制限が大きくなるほど、直線的または段階的に長くなっていてもよい。
【0093】
第4例において、制御部52は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを減少させてもよい。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第2値PYを減少させる場合、第9情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第2値PYは、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第2値PYよりも小さい。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第2時間T2を減少させる場合、場合、第9情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第2時間T2は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第2時間T2よりも短い。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第3値QXを減少させる場合、第9情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第3値QXは、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第3値QXよりも小さい。人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限されると、第3時間T3を増加させる場合、第情報において、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるようにバッテリ40の電力の使用が制限された場合の第3時間T3は、人力駆動車10のバッテリ40の消費電力が小さくなるように制限されていない場合の第3時間T3よりも短い。
【0094】
第2条件に関する第5例では、制御部52は、人力駆動車10の加速度Dに応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。記憶部54は、加速度Dと、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つとを関連付けた第10情報を記憶することが好ましい。第10情報は、例えば、テーブル、マップ、グラフ、および、関数の少なくとも1つを含む。制御部52は、第10情報に応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更する。例えば、制御部52は、人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを減少させることが好ましい。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第2値PYを減少させる場合、第10情報において、人力駆動車10の加速度Dが正の値の第3加速度D3の場合の第2値PYは、第3加速度D3よりも小さい第4加速度D4の場合の第2値PYよりも小さい。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第2時間T2を減少させる場合、第10情報において、第3加速度D3の場合の第2時間T2は、第4加速度D4の場合の第2時間T2よりも短い。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第3値QXを減少させる場合、第10情報において、加速度Dが第3加速度D3の場合の第3値QXは、第4加速度D4の場合の第3値QXよりも小さい。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第3時間T3を減少させる場合、第10情報において、加速度Dが第3加速度D3の場合の第3時間T3は、第4加速度D4の場合の第3時間T3よりも短い。第10情報において、第2値PYは、加速度Dが大きくなるほど、直線的または段階的に小さくなっていてもよい。第10情報において、第2時間T2は、加速度Dが大きくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。第10情報において、第3値QXは、加速度Dが大きくなるほど、直線的または段階的に小さくなっていてもよい。第10情報において、第3時間T3は、加速度Dが大きくなるほど、直線的または段階的に短くなっていてもよい。
【0095】
第5例において、制御部52は、人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを増加させてもよい。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第2値PYを増加させる場合、第10情報において、人力駆動車10の加速度Dが第3加速度D3の場合の第2値PYは、第4加速度D4の場合の第2値PYよりも大きい。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第2時間T2を増加させる場合、第10情報において、加速度Dが第3加速度D3の場合の第2時間T2は、第4加速度D4の場合の第2時間T2よりも長い。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第3値QXを増加させる場合、第10情報において、加速度Dが第3加速度D3の場合の第3値QXは、第4加速度D4の場合の第3値QXよりも大きい。人力駆動車10の加速度Dが増加すると、第3時間T3を増加させる場合、第10情報において、加速度Dが第3加速度D3の場合の第3時間T3は、第4加速度D4の場合の第3時間T3よりも長い。
【0096】
制御部52は、第2条件に関する第1例、第2例、第3例、第4例、および、第5例のうちの1つに応じて、または、第1条件に関する第1例、第2例、第3例、第4例、および、第5例のうちの複数を組み合わせに応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更してもよい。この場合、例えば、第6情報、第7情報、第8情報、第9情報、および、第10情報に、それぞれ第2値PYの重み付けに関する情報、第2時間T2の重み付けに関する情報、第3値QXの重み付けに関する情報、および、第3時間T3の重み付けに関する情報の少なくとも1つを含ませ、制御部52は、各情報から得られる重み付けに関する情報を用いる予め定める演算式によって、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを算出してもよい。例えば、制御部52は、所定の条件に応じて、第6情報、第7情報、第8情報、第9情報、および、第10情報のうちの1つ、または、第6情報、第7情報、第8情報、第9情報、および、第10情報のうちの任意の組合せを選択して、選択した情報を用いて第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを変更してもよい。
【0097】
人力駆動車10用の制御方法は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータP、および、人力駆動力Hに関するパラメータQが予め定める条件を満たす場合、モータ42を駆動または停止させるステップと、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて予め定める条件を変更するステップと、を含む。本実施形態では、人力駆動車10用の制御方法は、クランク14の回転速度Nに関するパラメータP、および、人力駆動力Hに関するパラメータQが第2条件を満たす場合、モータ42を停止させるステップを含む。
【0098】
図4を参照して、モータ42を駆動する処理について説明する。制御部52は、制御部52に電力が供給されると、処理を開始して図4に示すフローチャートのステップS21に移行する。制御部52は、図4のフローチャートが終了すると、電力の供給が停止されるまでは、所定周期後にステップS21からの処理を繰り返す。図4に示すフローチャートは、制御部52が、モータ42によって人力駆動車10の推進をアシストする動作モードの場合にのみ、実行されてもよい。
【0099】
制御部52は、ステップS21において、モータ42が停止しているか否かを判定する。制御部52は、モータ42が停止している場合、処理を終了する。制御部52は、モータ42が停止していない場合、ステップS22に移行する。
【0100】
制御部52は、ステップS22において、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて第2条件を変更し、ステップS23に移行する。具体的には、制御部52は、人力駆動車10の状態、および、人力駆動車10の環境の少なくとも1つに応じて、第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを、第6情報、第7情報、第8情報、第9情報、および、第10情報の少なくとも1つに応じて変更する。本開示において、第6情報、第7情報、第8情報、第9情報、および、第10情報の少なくとも1つは、第7情報のみ、第8情報のみ、第9情報のみ、第10情報のみ、または、第6情報、第7情報、第8情報、第9情報、および、第10情報のうちの任意の組合せを含む。
【0101】
制御部52は、ステップS23において、第2条件が成立しているか否かを判定する。具体的には、制御部52は、ステップS22において変更した第2値PY、第2時間T2、第3値QX、および、第3時間T3の少なくとも1つを含む第2条件を用いて、ステップS23の判定を行う。制御部52は、パラメータPが第2値PY以上の状態が、第2時間T2以上継続し、かつ、パラメータQが第3値QX以上の状態が、第3時間T3以上継続する場合、パラメータPが第2値PY以上の状態になり、かつ、パラメータQが第3値QX以上の状態が、第3時間T3以上継続する場合、パラメータPが第2値PY以上の状態が、第2時間T2以上継続し、かつ、パラメータQが第3値QX以上の状態になる場合、または、パラメータPが第2値PY以上の状態になり、かつ、パラメータQが第3値QX以上の状態になる場合、第2条件が成立していると判定する。制御部52は、第2条件が成立していない場合、処理を終了する。制御部52は、第2条件が成立している場合、ステップS24に移行する制御部52は、ステップS24において、モータ42を駆動し、処理を終了する。制御部52は、モータ42の動作モード、人力駆動力H、クランク14の回転速度N、および、走行速度V等に応じて、モータ42を制御する。
【0102】
表2は、ステップS23において用いられる第2条件と、ステップS22において変更される第2条件に含まれる値との組み合わせの例を示す。制御部52は、表2に示す組み合わせの例を用いて、図4の処理を行うことができる。
【0103】
【表2】
【0104】
(変形例)
実施形態に関する説明は、本発明に従う人力駆動車用の制御装置および制御方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う人力駆動車用の制御装置および制御方法は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0105】
・第1センサ56Aは、磁気センサに代えて、光学式のセンサを含んで構成されてもよい。例えば、第1センサ56Aは、クランク軸14Aのフレーム18に対する回転角度を検出するロータリエンコーダを含む。
【0106】
図5に示されるとおり、第1検出部56は、モータ42の回転速度に応じた信号を出力するように構成される第2センサ56B、を含んでいてもよい。第1検出部56は、第1センサ56Aに代えて、第2センサ56Bを含んでいてもよい。この場合、パラメータPは、モータ42の回転速度であることが好ましい。第2センサ56Bは、モータ42の出力軸の回転速度を検出してもよく、モータ42の出力軸と、人力駆動力Hの動力伝達経路との間に減速機がある場合は、減速機に含まれる回転体の回転速度を検出してもよい。第2センサ56Bは、レゾルバを含むことが好ましい。レゾルバは、磁気センサであってもよく、光学式のセンサであってもよい。クランク14が回転して、モータ42が駆動されている場合、クランク14と、モータ42の回転軸および減速機に含まれる回転体とは、予め定める比率で比例して回転し、モータ42の回転速度および減速機に含まれる回転体の回転速度と、クランク14の回転速度とは比例する。したがって、第1センサ56Aに代えて、第2センサ56Bを用いても、モータ42を停止させる場合には、制御部52は第1センサ56Aを用いる場合と同様にモータ42を制御できる。図5に示される変形例において、モータ42と人力駆動力Hの動力伝達経路との間には、ワンウェイクラッチが設けられなくてもよい。この場合、第1センサ56Aに代えて、第2センサ56Bを用いても、モータ42を停止させる場合に加えて、モータ42を駆動させる場合においても、制御部52は第1センサ56Aを用いる場合と同様にモータ42を制御できる。
【0107】
・制御部52は、図3のフローチャートに示すモータの停止処理と、図4のフローチャートに示すモータの駆動処理との両方を実行するように構成されてもよいが、図3のフローチャートに示すモータ42を停止する処理を実行しないように構成されてもよく、図4のフローチャートに示すモータ42を駆動する処理を実行しないように構成されてもよい。
【0108】
・制御部52は、人力駆動力Hが0の場合であっても、クランク14の回転速度Nに関するパラメータPに応じてモータ42を駆動して、モータ42によって人力駆動車10に推進力を付与するように構成されてもよい。
【0109】
・制御部52は、人力駆動車10のピッチ角度、風速、および、風圧の少なくともいずれか1つに応じて、予め定める条件を変更してもよい。人力駆動車10のピッチ角度、風速、および、風圧は、走行抵抗Rに類似する。このため、制御部52は、走行抵抗Rに応じて予め定める条件を変更する処理において、走行抵抗Rを、ピッチ角度、風速、および、風圧の少なくともいずれか1つに置き換えることによって、走行抵抗Rに応じて予め定める条件を変更する処理の場合と同様に予め定める条件を変更することができる。
【符号の説明】
【0110】
10…人力駆動車、14…クランク、40…バッテリ、42…モータ、50…制御装置、52…制御部、54…記憶部、56…第1検出部、56A…第1センサ、56B…第2センサ、58…速度検出部。
図1
図2
図3
図4
図5