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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】抗TIM-3抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230424BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230424BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230424BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230424BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230424BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230424BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230424BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230424BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61P35/00
A61P37/04
A61P31/00
A61P43/00 107
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/00 G
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018561979
(86)(22)【出願日】2017-05-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 US2017034645
(87)【国際公開番号】W WO2017205721
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-05-26
(31)【優先権主張番号】62/342,610
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/420,276
(32)【優先日】2016-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515124598
【氏名又は名称】アジェナス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ファン・ダイク
(72)【発明者】
【氏名】エカテリーナ・ウラジーミロヴナ・ブレオウス-ニストロム
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・スチュアート・ウィルソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェレミー・デイル・ワイト
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ジョン・アンダーウッド
【審査官】鈴木 崇之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/117002(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/155607(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102492038(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102490238(CN,A)
【文献】CANCER RESEARCH,2011年11月,Vol. 71, No. 21,pp. 6567-6571
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 16/28
C12P 21/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトTIM-3に特異的に結合する単離された抗体であって、前記抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と、相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含み、
CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3が、それぞれ、配列番号5、2、3、14、21及び22;配列番号1、2、3、14、21及び22;配列番号4、2、3、14、21及び22;配列番号6、2、3、14、21及び22;配列番号7、2、3、14、21及び22;配列番号8、2、3、14、21及び22;配列番号9、2、3、14、21及び22;配列番号10、2、3、14、21及び22;配列番号11、2、3、14、21及び22;または配列番号12、2、3、14、21及び22に記載されているアミノ酸配列を含む、前記単離された抗体。
【請求項2】
CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3が、それぞれ、配列番号5、2、3、14、21、及び22に記載されているアミノ酸配列を含む、
請求項1に記載の単離された抗体。
【請求項3】
(a)前記抗体がヒトTIM-3を発現している細胞に結合する際、内部移行する;または
(b)前記抗体がヒトTIM-3を発現している細胞に結合する際、内部移行し、以下の工程:
(i)ヒトTIM-3を発現している細胞をウェル当たり2×10個にて組織培養プレートに播くことと、
(ii)100μl/ウェルの最終容量で1111ng/mlのαHFc-NC-DM1及び1111ng/mlの前記抗体またはpab1944w(IgG、N297A)もしくはHum11(IgG、S228P)を加えることと、
(iii)37℃及び5%COにて72時間インキュベートすることと、
(iv)前記ヒトTIM-3を発現している細胞の生存を測定することと、
(v)ヒトTIM-3発現を発現している未処理の細胞と比べた細胞生存率を算出すること
とを含むアッセイにて、
前記pab1944w(IgG、N297A)またはHum11(IgG、S228P)の存在下よりも前記抗体の存在下で低い比率の前記ヒトTIM-3を発現している細胞が生存する、
請求項1または2に記載の単離された抗体。
【請求項4】
前記抗体が、
(a)配列番号55のアミノ酸配列、または配列番号24~35から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/または
(b)配列番号56のアミノ酸配列、または配列番号36~47から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%もしくは100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項5】
(a)配列番号24~35から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/もしくは、配列番号36~47から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、
(b)配列番号58、61もしくは65のアミノ酸配列を含む重鎖、及び/または、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖、
(c)重鎖可変領域と軽鎖可変領域であって、それぞれ、配列番号28及び46;24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;もしくは35及び46に記載されているアミノ酸配列を含む、重鎖可変領域と軽鎖可変領域、または
(d)重鎖と軽鎖であって、それぞれ、配列番号61及び69;58及び69もしくは65及び69に記載されているアミノ酸配列を含む、重鎖と軽鎖
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項6】
ヒトIGHV3-23生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、IGKV1-27、IGKV3-11、IGKV3-20、及びIGKV3D-20から成る群から選択されるヒト生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項7】
前記抗体が、
(a)
(i)ヒトIgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAから成る群から選択される、
(ii)野生型ヒトIgG重鎖定常領域の変異体であって、前記変異体ヒトIgG重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域がヒトFcガンマ受容体に結合するよりも低い親和性で前記ヒトFcガンマ受容体に結合する、
(iii)野生型ヒトIgG重鎖定常領域の変異体であって、前記変異体ヒトIgG重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域がFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIから成る群から選択されるヒトFcガンマ受容体に結合するよりも低い親和性で、前記ヒトFcガンマ受容体に結合する、
(iii)EU番号付け方式に従って番号を付けたN297Aの変異を含むIgGである、
(iv)配列番号72のアミノ酸配列を含む、
(v)EU番号付け方式に従って番号を付けたN297Qの変異を含むIgGである、
(vi)非フコシル化IgGである、
(vii)EU番号付け方式に従って番号を付けたS228Pの変異を含むIgGである、もしくは
(viii)配列番号74のアミノ酸配列を含む、
重鎖定常領域、ならびに/または
(b)
(i)ヒトカッパ軽鎖及びラムダ軽鎖から成る群から選択される、及び/もしくは
(ii)配列番号76のアミノ酸配列を含む
軽鎖定常領域、
を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項8】
(a)配列番号79のアミノ酸配列を有する野生型TIM-3タンパク質に対するよりも低い親和性で配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質に特異的に結合する、
(b)配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質に特異的に結合しない、
(c)配列番号79の残基40に結合する、
(d)配列番号93のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(e)配列番号94のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(f)配列番号95のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(g)配列番号96のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(h)配列番号97のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(i)配列番号98のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(j)配列番号99のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(k)配列番号100のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープに結合する、
(l)ヒト抗体である、
(m)ヒトTIM-3に対して拮抗性である、
(n)ヒトTIM-3の活性を失活させる、低減するまたは阻害する、
(o)ヒトTIM-3のホスファチジルセリンへの結合を阻害する、
(p)ブドウ球菌腸毒素A(SEA)によって刺激された末梢血単核細胞(PBMC)によるIFNγの産生を誘導する、
(q)抗CD3抗体及び抗CD28抗体によって刺激された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)によるIFNγもしくはTNFαの産生を誘導する、及び/または
(r)細胞傷害剤、細胞増殖抑制剤、毒素、放射性核種、または検出可能な標識に結合されている、
請求項1~7のいずれか1項に記載の単離された抗体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体と、薬学上許容できるキャリアまたは賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項10】
(a)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、または
(b)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖及び軽
をコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項11】
請求項10に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項12】
(a)請求項10に記載のポリヌクレオチド、
(b)請求項11に記載のベクター、
(c)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖可変領域もしくは重鎖をコードする第一のポリヌクレオチドと、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する軽鎖可変領域もしくは軽鎖をコードする第二のポリヌクレオチド、または
(d)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖可変領域もしくは重鎖をコードする第一のポリヌクレオチドを含む第一のベクターと、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する軽鎖可変領域もしくは軽鎖をコードする第二のポリヌクレオチドを含む第二のベクター
を含む組換え宿主細胞。
【請求項13】
ヒトTIM-3に結合する抗体を作製する方法であって、前記方法は、前記抗体が産生されるように、
(a)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、もしくは重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチド、
(b)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖可変領域もしくは重鎖をコードする第一のポリヌクレオチドと、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する軽鎖可変領域もしくは軽鎖をコードする第二のポリヌクレオチド、
(c)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域、もしくは重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含むベクター、または
(d)請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する重鎖可変領域もしくは重鎖をコードする第一のポリヌクレオチドを含む第一のベクターと、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗体が有する軽鎖可変領域もしくは軽鎖をコードする第二のポリヌクレオチドを含む第二のベクター
を含む宿主細胞を培養することを含む、方法。
【請求項14】
(a)対象にて抗原に応答したT細胞の活性化を高める方法、
(b)対象においてがんを治療する方法、または
(c)対象において感染性疾患を治療する方法、
において使用するための、請求項1から8のいずれか1項に記載の単離された抗体または請求項9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる2016年5月27日に出願された米国仮特許出願番号62/342,610;及び2016年11月10日に出願された米国仮特許出願番号62/420,276の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質、T細胞免疫グロブリン・ムチンドメイン-3(TIM-3)は免疫グロブリン(Ig)のスーパーファミリーにおけるI型膜タンパク質である。それは、細胞外可変Ig様(IgV)ドメインと、細胞外ムチン様ドメインと、6つの保存されたチロシン残基を伴う細胞質ドメインとを有する(Monney,et al.(2002),Nature,415:536-41)。TIM-3は活性化されたTヘルパー1型(Th1)及びCD8T(Tc1)リンパ球、一部のマクロファージ(Monney,et al.(2002),Nature,415:536-41)、活性化されたナチュラルキラー(NK)細胞(Ndhlovu,et al.(2012),Blood,119(16):3734-43)及びIL-17産生Th17細胞(Nakae,et al.(2007),J.Leukoc.Biol.81:1258-68)で発現されている。
【0004】
研究は、TIM-3が、T細胞、骨髄細胞及びNK細胞が介在する応答を阻害し、免疫寛容を促進するように機能することを示している。たとえば、TIM-3リガンドに結合し、中和する、免疫グロブリンドメインに融合させたTIM-3 IgVペプチドは免疫したマウスにてTh1細胞の過剰増殖及びTh1サイトカインの放出を引き起こした(Sabatos,et al.(2003),Nat.Immunol.4:1102-10)。実際、抗TIM-3抗体の生体内投与は多発性硬化症の動物モデルである実験的自己免疫脳脊髄炎の病理学的重症度を高めた(Monney,et al.(2002),Nature,415:536-41)。さらに、TIM-3の発現はがん患者におけるCD8T細胞にて上方調節される。たとえば、進行した黒色腫の患者におけるNY-ESO-1に特異的なCD8T細胞のおよそ30%はTIM-3発現の上方調節を示す(Fourcade,et al.(2010),J.Exp.Med.207:2175-86)。
【0005】
免疫応答を調節することにおけるヒトTIM-3の見かけの役割を考えると、TIM-3のシグナル伝達に拮抗するように設計された治療剤は、TIM-3が介在する免疫抑制を伴う疾患の治療にかなり有望である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つTIM-3の機能、たとえば、TIM-3が介在する免疫抑制に拮抗する抗体を提供する。提供されるのはまた、これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作るための発現ベクター及び宿主細胞、ならびにこれらの抗体を用いて対象を治療する方法である。本明細書で開示されている抗体は、抗原(たとえば、腫瘍抗原または感染症抗原)に応答したT細胞の活性化を高めるのに及び/またはTregが介在する免疫抑制を減らすのに特に有用であるので、対象にてがんを治療するのにまたは対象にて感染性疾患を治療するのに特に有用である。
【0007】
従って、態様の1つでは、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、
(a)CDRH1は、XS(配列番号48)のアミノ酸配列を含み、
配列中、
はR、S、A、G、K、M、またはTであり、
はQ、S、A、G、R、またはTであり、
はN、Y、G、またはQであり、
はAまたはQであり、
はW、M、A、S、またはTであり;
(b)CDRH2はWVSAISGSGGSTY(配列番号2)のアミノ酸配列を含み;
(c)CDRH3はAKGGDYGGNYFD(配列番号3)のアミノ酸配列を含み;
(d)CDRL1はXASQSVXSSYLA(配列番号52)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はRまたはGであり、
は非存在またはSであり;
(e)CDRL2はXASXRAT(配列番号53)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はDまたはGであり
はN、S、またはTであり;
(f)CDRL3はQQYGSSPXT(配列番号54)のアミノ酸配列を含み、配列中、XはLまたはIである。
【0008】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含み、その際、
(a)CDRH1は、XS(配列番号48)のアミノ酸配列を含み、
配列中、
はR、S、A、G、K、M、またはTであり、
はQ、S、A、G、R、またはTであり、
はN、Y、G、またはQであり、
はAまたはQであり、
はW、M、A、S、またはTであり;
(b)CDRH2はWVSAISGSGGSTY(配列番号2)のアミノ酸配列を含み;
(c)CDRH3はAKGGDYGGNYFD(配列番号3)のアミノ酸配列を含み;
(d)CDRL1はXASQSVXSSYLA(配列番号52)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はRまたはGであり、
は非存在またはSであり;
(e)CDRL2はXASXRAT(配列番号53)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はDまたはGであり
はN、S、またはTであり;
(f)CDRL3はQQYGSSPXT(配列番号54)のアミノ酸配列を含み、配列中、XはLまたはIである。
【0009】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を有する重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、該抗体はヒトTIM-3を発現している細胞に結合する際、内部移行し、CDRH3はAKGGDYGGNYFD(配列番号3)のアミノ酸配列を含む。
【0010】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を有する重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を有する軽鎖可変領域とを含み、その際、該抗体はヒトTIM-3を発現している細胞に結合する際、内部移行し、CDRH3はAKGGDYGGNYFD(配列番号3)のアミノ酸配列を含む。
【0011】
特定の実施形態では、
(a)CDRH1は、XS(配列番号48)のアミノ酸配列を含み、
配列中、
はR、S、A、G、K、M、またはTであり、
はQ、S、A、G、R、またはTであり、
はN、Y、G、またはQであり、
はAまたはQであり、
はW、M、A、S、またはTであり;
(b)CDRH2はWVSAISGSGGSTY(配列番号2)のアミノ酸配列を含み;
(c)CDRL1はXASQSVXSSYLA(配列番号52)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はRまたはGであり、
は非存在またはSであり;
(d)CDRL2はXASXRAT(配列番号53)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はDまたはGであり
はN、S、またはTであり;
(e)CDRL3はQQYGSSPXT(配列番号54)のアミノ酸配列を含み、配列中、XはLまたはIである。
【0012】
特定の実施形態では、CDRH1はXNAWS(配列番号49)のアミノ酸配列を含み、配列中:XはRまたはAであり;XはQまたはRである。特定の実施形態では、CDRH1はXGQXS(配列番号50)のアミノ酸配列を含み、配列中:XはK、M、またはGであり;XはAまたはSであり;XはSまたはTである。特定の実施形態では、CDRH1はXQQAS(配列番号51)のアミノ酸配列を含み、配列中:XはS、R、T、またはGであり;XはA、S、T、またはGである。特定の実施形態では、CDRH1は配列番号1及び4~12から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0013】
特定の実施形態では、CDRL1は配列番号13~16から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL2は配列番号17~21から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL3は配列番号22及び23から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2及びCDRH3は、それぞれ配列番号1、2、及び3;4、2、及び3;5、2、及び3;6、2、及び3;7、2、及び3;8、2、及び3;9、2、及び3;10、2、及び3;11、2、及び3;または12、2、及び3に記述されているCDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含む。
【0015】
特定の実施形態では、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は、それぞれ配列番号13、17、及び22;14、17、及び22;15、18、及び22;14、19、及び22;14、20、及び22;14、21、及び22;16、20、及び22;または14、17、及び23に記述されているCDRL1、CDRL2及びCDRL3のアミノ酸配列を含む。
【0016】
特定の実施形態では、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、3、14、21、及び22;4、2、3、14、21、及び22;5、2、3、14、21、及び22;6、2、3、14、21、及び22;7、2、3、14、21、及び22;8、2、3、14、21、及び22;9、2、3、14、21、及び22;10、2、3、14、21、及び22;11、2、3、14、21、及び22;または12、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0017】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0018】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0019】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号5、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0020】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号5、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0021】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号9、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0022】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号9、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0023】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ1、2、3、15、18、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0024】
別の態様では、本開示は、相補性決定領域CDRH1、CDRH2及びCDRH3を含む重鎖可変領域と相補性決定領域CDRL1、CDRL2及びCDRL3を含む軽鎖可変領域とを含む、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3は、それぞれ配列番号1、2、3、15、18、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0025】
特定の実施形態では、抗体はヒトTIM-3を発現している細胞に結合する際、内部移行する。
【0026】
別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、抗体はヒトTIM-3を発現している細胞に結合する際、内部移行する。
【0027】
特定の実施形態では、以下の工程(a)ヒトTIM-3を発現している細胞をウェル当たり2×10個にて組織培養プレートに入れることと、(b)100μl/ウェルの最終容量で1111ng/mlのαHFc-NC-DM1及び1111ng/mlの抗体またはpab1944w(IgG、N297A)を加えることと、(c)37℃及び5%COにて72時間インキュベートすることと、(d)ヒトTIM-3を発現している細胞の生存を測定することと、(e)未処理のヒトTIM-3発現細胞に比べた細胞生存の比率を算出することとを含むアッセイにて、pab1944w(IgG、N297A)の存在下よりも抗体の存在下の方で低い比率のヒトTIM-3発現細胞が生き残る。特定の実施形態では、抗体の存在下での細胞生存の比率はpab1944w(IgG、N297A)の存在下での細胞生存の比率より少なくとも50%低い。特定の実施形態では、ヒトTIM-3を発現している細胞はKasumi-3細胞である。特定の実施形態では、ヒトTIM-3を発現している細胞はKasumi-3細胞(ATCC(登録商標)CRL-2725(商標))である。特定の実施形態では、ヒトTIM-3を発現している細胞は、ヒトTIM-3を発現するように操作されたJurkat細胞である。
【0028】
特定の実施形態では、以下の工程(a)ヒトTIM-3を発現している細胞をウェル当たり2×10個にて組織培養プレートに入れることと、(b)100μl/ウェルの最終容量で1111ng/mlのαHFc-NC-DM1及び1111ng/mlの抗体またはHum11(IgG、S228P)を加えることと、(c)37℃及び5%COにて72時間インキュベートすることと、(d)ヒトTIM-3を発現している細胞の生存を測定することと、(e)未処理のヒトTIM-3発現細胞に比べた細胞生存の比率を算出することとを含むアッセイにて、Hum11(IgG、S228P)の存在下よりも抗体の存在下の方で低い比率のヒトTIM-3発現細胞が生き残る。特定の実施形態では、抗体の存在下での細胞生存の比率はHum11(IgG、S228P)の存在下での細胞生存の比率より少なくとも50%低い。特定の実施形態では、ヒトTIM-3を発現している細胞はKasumi-3細胞である。特定の実施形態では、ヒトTIM-3を発現している細胞はKasumi-3細胞(ATCC(登録商標)CRL-2725(商標))である。特定の実施形態では、ヒトTIM-3を発現している細胞は、ヒトTIM-3を発現するように操作されたJurkat細胞である。
【0029】
特定の実施形態では、抗体は配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号24~35から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%または100%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号24~35から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号25のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号28のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号32のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0030】
特定の実施形態では、抗体は配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号36~47から成る群から選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%または100%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号36~47から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号46のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の軽鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0031】
別の態様では、本開示は、配列番号24~35から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号25のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号28のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号32のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号61のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号70、71、72、73、74または75のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0032】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号24~35から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号25のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号28のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域は配列番号32のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号61のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号70、71、72、73、74または75のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0033】
別の態様では、本開示は、配列番号36~47から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号46のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号76または77のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の軽鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0034】
別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号36~47から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、軽鎖可変領域は配列番号46のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号76または77のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0035】
別の態様では、本開示は重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ、配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ配列番号25及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ配列番号28及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ配列番号32及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられ、及び/または抗体の軽鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0036】
別の態様では、本開示は、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む抗体または単離された抗体を提供し、その際、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号25及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号28及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号32及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。
【0037】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、その際、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ、配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ配列番号25及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ配列番号28及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域はそれぞれ配列番号32及び46に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0038】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含み、その際、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ、配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号25及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号28及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。特定の実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列はそれぞれ配列番号32及び46に記述されているアミノ酸配列から成る。
【0039】
別の態様では、本開示は、配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む抗体または単離された抗体を提供する。
【0040】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0041】
別の態様では、本開示は、配列番号61のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む抗体または単離された抗体を提供する。
【0042】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号61のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0043】
別の態様では、本開示は、配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む抗体または単離された抗体を提供する。
【0044】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0045】
特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられ、及び/または抗体の軽鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0046】
特定の実施形態では、抗体はヒトIGHV3-23生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、IGKV1-27、IGKV3-11、IGKV3-20、及びIGKV3D-20から成る群から選択されるヒト生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0047】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、該抗体は、ヒトIGHV3-23生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域とIGKV1-27、IGKV3-11、IGKV3-20、及びIGKV3D-20から成る群から選択されるヒト生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0048】
特定の実施形態では、抗体は、ヒトIgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAから成る群から選択される重鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、重鎖定常領域はIgGである。特定の実施形態では、IgGのアミノ酸配列はEU番号付け方式に従って番号を付けたN297Aの変異を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号72のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、IgGのアミノ酸配列はEU番号付け方式に従って番号を付けたN297Qの変異を含む。特定の実施形態では、IgGは非フコシル化IgGである。特定の実施形態では、重鎖定常領域はIgGである。特定の実施形態では、IgGのアミノ酸配列はEU番号付け方式に従って番号を付けたS228Pの変異を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0049】
特定の実施形態では、抗体はヒトのIgGκ及びIgGλから成る群から選択される軽鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、軽鎖定常領域はIgGκである。特定の実施形態では、抗体は配列番号76のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、軽鎖定常領域はIgGλである。
【0050】
別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3への結合について本明細書で開示されているような抗体と交差競合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ヒトTIM-3への結合についてそれぞれ配列番号55及び56に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体と交差競合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ヒトTIM-3への結合についてそれぞれ配列番号25及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体と交差競合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ヒトTIM-3への結合についてそれぞれ配列番号28及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体と交差競合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、ヒトTIM-3への結合についてそれぞれ配列番号32及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体と交差競合する抗体または単離された抗体を提供する。
【0051】
別の態様では、本開示は、本明細書で開示されている抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、それぞれ配列番号55及び56に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、それぞれ配列番号25及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、それぞれ配列番号28及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、それぞれ配列番号32及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに結合する抗体または単離された抗体を提供する。
【0052】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、該抗体は配列番号79のアミノ酸配列を有する野生型TIM-3タンパク質に対するよりも低い親和性で配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質に特異的に結合する。
【0053】
別の態様では、本開示は、本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。一実施形態では、抗体は配列番号79のアミノ酸配列を有する野生型TIM-3タンパク質に対するよりも低い親和性で配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質に特異的に結合する。
【0054】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、該抗体は配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質に特異的に結合しない。
【0055】
別の態様では、本開示は、本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。一実施形態では、抗体は配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質に特異的に結合しない。
【0056】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、抗体と配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質との間の結合は、抗体と配列番号79のアミノ酸配列を有する野生型TIM-3タンパク質との間の結合に比べて実質的に弱められる。
【0057】
別の態様では、本開示は本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。一実施形態では、抗体と配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質との間の結合は、抗体と配列番号79のアミノ酸配列を有する野生型TIM-3タンパク質との間の結合に比べて実質的に弱められる。
【0058】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3に特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、配列番号79のアミノ酸配列を有する野生型TIM-3タンパク質への結合に比べて配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質への結合の低下または結合がないことを示す。
【0059】
別の態様では、本開示は本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。一実施形態では、抗体は、配列番号79のアミノ酸配列を有する野生型TIM-3タンパク質への結合に比べて配列番号101のアミノ酸配列を有する変異体TIM-3タンパク質への結合の低下または結合がないことを示す。
【0060】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3のエピトープに結合する、たとえば、特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は配列番号79の残基40に結合する。
【0061】
別の態様では、本開示は本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は配列番号79の残基40に結合する。
【0062】
別の態様では、本開示はヒトTIM-3のエピトープに結合する、たとえば、特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は配列番号93のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号94のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号95のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号96のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号97のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号98のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号99のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号100のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。
【0063】
別の態様では、本開示は本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は配列番号93のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号94のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号95のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号96のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号97のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号98のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号99のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体は配列番号100のアミノ酸配列から成るヒトTIM-3の領域の範囲内に位置するエピトープに結合する。
【0064】
別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号93に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号93に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号94に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号94に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号95に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号95に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号96に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号96に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号97に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号97に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる抗体を提供する。別の態様では、本開示は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号98に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号98に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる抗体を提供する。一部の実施形態では、水素/重水素交換の低下は、たとえば、実施例にて本明細書に記載されているような水素/重水素交換(HDX)を用いて測定される。
【0065】
別の態様では、本開示は本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号93に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号93に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる。特定の実施形態では、抗体は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号94に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号94に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる。特定の実施形態では、抗体は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号95に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号95に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる。特定の実施形態では、抗体は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号96に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号96に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる。特定の実施形態では、抗体は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号97に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号97に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる。特定の実施形態では、抗体は、ヒトTIM-3タンパク質または配列番号102のアミノ酸配列を含むその断片に結合するとき、水素/重水素アッセイによって判定されるように、抗体の非存在下での配列番号98に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換に比べて配列番号98に記述されているアミノ酸配列から成る領域における水素/重水素交換を低下させる。一部の実施形態では、水素/重水素交換の低下は、たとえば、実施例にて本明細書に記載されているような水素/重水素交換(HDX)を用いて測定される。
【0066】
別の態様では、本開示は本発明の抗体とヒトTIM-3の同じエピトープに結合する、たとえば、特異的に結合する抗体または単離された抗体を提供し、その際、該エピトープは、たとえば、実施例に記載されているような水素/重水素交換(HDX)によって、たとえば、実施例に記載されているようなPepscan解析によって、またはたとえば、実施例に記載されているようなアラニン走査によって決定される。
【0067】
特定の実施形態では、抗体は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域の変異体であるヒトIgG重鎖定常領域を含み、その際、変異体ヒトIgG重鎖定常領域は、野生型ヒトIgG重鎖定常領域がヒトFcガンマ受容体に結合するよりも低い親和性でヒトFcガンマ受容体に結合する。特定の実施形態では、ヒトFcガンマ受容体はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIから成る群から選択される。特定の実施形態では、変異体ヒトIgG重鎖定常領域はN297Aの変異を含むIgGの定常領域である。
【0068】
特定の実施形態では、抗体はヒト抗体である。特定の実施形態では、抗体はヒトTIM-3に対して拮抗する。特定の実施形態では、抗体は、ヒトTIM-3の活性を失活させる、低下させるまたは阻害する。特定の実施形態では、抗体はヒトTIM-3のホスファチジルセリンへの結合を阻害する。特定の実施形態では、抗体はブドウ球菌腸毒素(SEA)によって刺激された末梢血単核細胞(PBMC)によるIFNγの産生を誘導する。特定の実施形態では、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で刺激された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)によるIFNγまたはTNFαの産生を誘導する。
【0069】
特定の実施形態では、抗体はヒトTIM-3を発現している細胞に結合する際、内部移行する。
【0070】
別の態様では、本開示は細胞傷害剤に結合された本明細書で開示されているような抗体または単離された抗体を提供する。
【0071】
別の態様では、本開示は細胞増殖抑制剤に結合された本明細書で開示されているような抗体または単離された抗体を提供する。
【0072】
別の態様では、本開示は毒素に結合された本明細書で開示されているような抗体または単離された抗体を提供する。
【0073】
別の態様では、本開示は放射線核種に結合された本明細書で開示されているような抗体または単離された抗体を提供する。
【0074】
別の態様では、本開示は検出可能な標識に結合された本明細書で開示されているような抗体または単離された抗体を提供する。
【0075】
別の態様では、本開示は本明細書で開示されているような抗体と薬学上許容できるキャリアまたは賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0076】
別の態様では、本開示は本明細書で開示されているような抗体の重鎖及び/または軽鎖をコードするポリヌクレオチドまたは単離されたポリヌクレオチドを提供する。別の態様では、本開示はポリヌクレオチドを含むベクターを提供する。別の態様では、本開示はポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞を提供する。別の態様では、本開示はベクターを含む組換え宿主細胞を提供する。別の態様では、本開示は本明細書で開示されているような抗体を作製する方法を提供し、該方法はポリヌクレオチドが発現され、抗体が産生されるように宿主細胞を培養することを含む。一実施形態では、方法は試験管内の方法である。
【0077】
一実施形態では、本発明は、薬物として使用するための本発明の抗体、または本発明の医薬組成物、または本発明のポリヌクレオチド、または本発明のベクター、または本発明の組換え宿主細胞に関する。
【0078】
一実施形態では、本発明は、診断剤として使用するための本発明の抗体、また本は発明の医薬組成物、または本発明のポリヌクレオチド、または本発明のベクター、または本発明の組換え宿主細胞に関する。
【0079】
別の態様では、本開示は対象にて抗原に応答したT細胞の活性化を高める方法を提供し、該方法は本明細書で開示されているような有効量の抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。別の態様では、本開示は対象にてがんを治療する方法を提供し、該方法は本明細書で開示されているような有効量の抗体または医薬組成物を対象に投与することを含む。前述の方法の特定の実施形態では、抗体または医薬組成物は皮下に投与される。前述の方法の特定の実施形態では、抗体または医薬組成物は静脈内に投与される。前述の方法の特定の実施形態では、抗体または医薬組成物は腫瘍内に投与される。前述の方法の特定の実施形態では、抗体または医薬組成物は腫瘍流入領域リンパ節に送達される。前述の方法の特定の実施形態では、抗体または医薬組成物は動脈内に投与される。
【0080】
態様の1つでは、本発明は抗原に応答したT細胞の活性化を高める方法で使用するための本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物に関する。
【0081】
態様の1つでは、本発明は対象にて抗原に応答したT細胞の活性化を高める方法で使用するための本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物に関する。
【0082】
態様の1つでは、本発明は、有効量の本発明のポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物を対象に投与することを含む、対象にて抗原に応答したT細胞の活性化を高める方法で使用するための本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物に関する。
【0083】
態様の1つでは、本発明は、がんの治療方法で使用するための本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物に関する。
【0084】
態様の1つでは、本発明は、対象におけるがんの治療方法で使用するための本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物に関する。
【0085】
態様の1つでは、本発明は、有効量の本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物を対象に投与することを含む、対象におけるがんの治療方法で使用するための本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物に関する。
【0086】
本発明の使用のための抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物の一実施形態では、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物は皮下にまたは静脈内に投与される。本発明の使用のための抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物の別の実施形態では、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物は腫瘍内または動脈内に投与される。
【0087】
特定の実施形態では、前述の方法はさらに、対象に追加の治療剤を投与することを含む。従って、本発明の方法での使用のための抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物の一実施形態では、方法はさらに、対象に追加の治療剤を投与することを含む。
【0088】
態様の1つでは、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物、及び(b)薬物として使用するための追加の治療剤に関する。
【0089】
態様の1つでは、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物、及び(b)がんの治療方法で使用するための追加の治療剤に関する。
【0090】
態様の1つでは、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物と、(b)追加の治療剤とを含む医薬組成物、キットまたはキットオブパーツに関する。
【0091】
特定の実施形態では、追加の治療剤は化学療法剤である。特定の実施形態では、追加の治療剤は放射線治療剤である。
【0092】
特定の実施形態では、追加の治療剤はチェックポイント標的化剤である。特定の実施形態では、チェックポイント標的化剤は、アンタゴニスト抗PD-1抗体、アンタゴニスト抗PD-L1抗体、アンタゴニスト抗PD-L2抗体、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体、アンタゴニスト抗TIM-3抗体、アンタゴニスト抗LAG-3抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アンタゴニスト抗TIGIT抗体、アンタゴニスト抗VISTA抗体、アゴニスト抗GITR抗体、及びアゴニスト抗OX40抗体から成る群から選択される。特定の実施形態では、追加の治療剤は抗PD-1抗体である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はペムブロリズマブである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はニボルマブである。
【0093】
特定の実施形態では、追加の治療剤はインドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害剤である。特定の実施形態では、阻害剤は、エパカドスタット、F001287、インドキシモド及びNLG919から成る群から選択される。特定の実施形態では、阻害剤はエパカドスタットである。特定の実施形態では、阻害剤はF001287である。特定の実施形態では、阻害剤はインドキシモドである。特定の実施形態では、阻害剤はNLG919である。
【0094】
特定の実施形態では、追加の治療剤はワクチンである。特定の実施形態では、ワクチンは、抗原ペプチドと複合体形成した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含む。特定の実施形態では、熱ショックタンパク質はhsc70であり、腫瘍関連抗原性ペプチドと複合体形成する。特定の実施形態では、熱ショックタンパク質はgp96タンパク質であり、腫瘍関連抗原性ペプチドと複合体形成し、その際、HSPPCは対象から得られた腫瘍に由来する。特定の実施形態では、追加の治療剤はTCRを含む。特定の実施形態では、追加の治療剤は可溶性TCRである。特定の実施形態では、追加の治療剤はTCRを発現している細胞である。特定の実施形態では、追加の治療剤はキメラ抗原受容体を発現している細胞である。特定の実施形態では、追加の治療剤はペプチド・MHC複合体に特異的に結合する抗体である。特定の実施形態では、追加の治療剤はアジュバントである。態様の1つでは、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物、及び(b)たとえば、がんの治療方法で使用するための薬物として使用するためのワクチンに関するものであり、その際、任意で、ワクチンは抗原性ペプチドと複合体形成した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含む。態様の1つでは、本発明は、(a)本発明の抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、組換え宿主細胞及び/または医薬組成物と、(b)ワクチンとを含む医薬組成物、キットまたはキットオブパーツに関するものであり、その際、任意で、ワクチンは抗原性ペプチドと複合体形成した熱ショックタンパク質を含む熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】フローサイトメトリーで測定したときの、野生型マウス1624-5細胞またはヒトTIM-3を発現するように操作した1624-5細胞への抗TIM-3抗体pab2085(IgG)及びpab2088(IgG)またはアイソタイプ対照抗体の結合を示すヒストグラムのセットである。
図2】Luminexアッセイで測定したときの、組換えヒトTIM-1 His(rhTIM-1 His)、組換えヒトTIM-4 His(rhTIM-4 His)、組換えヒトTIM-3 His(rhTIM-3 His)、組換えヒトTIM-3 Fc(rhTIM-3 Fc)、及び組換えカニクイザルTIM-3 Fc(rcmTIM-3 Fc)に対する抗TIM-3抗体pab2085(IgG)(図2A)及びpab2088(IgG)(図2B)の結合を示す一対のグラフである。平均蛍光強度(MFI)値は抗体濃度に対してプロットする。
図3】フローサイトメトリーで測定したときの、ヒトTIM-3(図3A及び図3B)またはカニクイザルTIM-3(図3C及び図3D)を発現するように操作したマウス1624-5細胞への抗TIM抗体またはアイソタイプ対照抗体の結合を示すヒストグラムのセットである。この試験で調べた抗TIM-3抗体には、pab2173、pab2174、pab2175、pab2176、pab2177、pab2178、pab2179、pab2180、pab2181、pab2182、pab2183、pab2184、pab2185、pab2186、pab2187、pab2188、pab2189、 pab2190、pab2191、及びpab2192が挙げられ、そのすべてはIgGのFc領域を含有する。
図4】フローサイトメトリーで測定した、抗CD3抗体及び抗CD28抗体で活性化した初代ヒトCD8T細胞に対する抗TIM-3抗体pab2085、軽鎖最適化変異体(pab2184、pab2186、pab2187、pab2188、pab2189、pab2190、pab2191、及びpab2192)、またはアイソタイプ対照抗体の結合を示すグラフである。軽鎖最適化変異体はIgG変異体Fc領域を含有する。調べた一連の抗体濃度に対してMFI値をプロットする。
図5】フローサイトメトリーで測定した、初代カニクイザルCD11b+骨髄細胞に対する抗TIM-3抗体、pab2188(IgG変異体)またはアイソタイプ対照抗体の結合を示すグラフである。MFI値は調べた一連の抗体濃度に対してプロットする。
図6】用量設定した抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体の存在下での放射線照射したホスファチジルセリン発現WR19Lマウスリンパ腫細胞と組換えヒトTIM-3 Fc(図6A)または組換えカニクイザルTIM-3 Fc(図6B)との間の結合のパーセントを示すグラフである。この試験で調べた抗TIM-3抗体はpab2085(IgG)及びpab2188(IgG変異体)である。
図7】ブドウ球菌腸毒素A(SEA)の刺激の際にヒト末梢血単核細胞(PBMC)にて抗PD-1抗体ペムブロリズマブと組み合わせた抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体によって誘導されたIFNγの産生を示す棒グラフである。この試験で調べた抗TIM-3抗体には、軽鎖最適化変異体pab2175(IgG)、pab2176(IgG)、pab2180(IgG)、pab2182(IgG)、pab2183(IgG変異体)、pab2184(IgG変異体)、pab2186(IgG変異体)、pab2187(IgG変異体)、pab2188(IgG変異体)、pab2189(IgG変異体)、pab2190(IgG変異体)、pab2191(IgG変異体)、及びpab2192(IgG変異体)が挙げられる。
図8】SEA刺激の際にヒトPBMCにて抗TIM-3抗体pab2188w(IgG N297A)またはIgGアイソタイプ対照抗体の単独、または抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの組み合わせによって誘導されたIFNγの産生を示す一連の棒グラフである。図8A~8Fで示された試験で使用したプロトコールは図7で示された試験で使用したプロトコールから改変した。
図9】TIM-3を発現している細胞に対する抗TIM-3抗体の結合を示すグラフまたはヒストグラムである。図9A、9B、9E及び9Fでは、調べた抗体の一連の濃度に対してMFI値をプロットする。図9C及び図9DはTIM-3を発現している細胞に対する抗TIM-3抗体の結合を示すヒストグラムのセットである。調べた抗TIM-3抗体には、pab2188w(IgG、N297A)、AM-1(IgG、N297A)、AM-2(IgG、N297A)、AM-3(IgG、N297A)、AM-4(IgG、N297A)、AM-5(IgG、N297A)、AM-6(IgG、N297A)、AM-7(IgG、N297A)、AM-8(IgG、N297A)、及びAM-9(IgG、N297A)が含まれる。調べた細胞は、異所性にTIM-3を発現しているJurkat細胞(図9A)、内在性にTIM-3を発現しているヒト急性骨髄性白血病細胞株であるKasumi-3(図9B)、ブドウ球菌腸毒素A(SEA)で刺激したヒトCD8T細胞(図9C)、SEAで刺激したカニクイザルCD8T細胞(図9D)、及びヒト初代(図9E)及びカニクイザル(図9F)のCD14骨髄細胞だった。
図10】Luminexアッセイで測定した、組換えヒトTIM-3 His(rhTIM-3 His)、組換えカニクイザルTIM-3 Fc(rcmTIM-3 Fc)、組換えマウスTIM-3 Fc(rmTIM-3 Fc)、組換えヒトTIM-1 His(rhTIM-1 His)、組換えヒトTIM-4 His(rhTIM-4 His)、組換えヒトOX40 His(rhOX40 His)、組換えヒトGITR Fc(rhGITR Fc)、組換えヒトDR3 Fc(rhDR3 Fc)、及び組換えヒトCD137 Fc(rhCD137 Fc)に対する抗TIM-3抗体またはIgG N297Aアイソタイプ対照抗体の結合を示すグラフである。抗体濃度に対してMFI値をプロットする。この試験で調べた抗TIM-3抗体には、pab2188w(IgG、N297A)(図10B)、AM-2(IgG、N297A)(図10C)、及びAM-6(IgG、N297A)(図10D)が含まれる。
図11】用量設定した抗TIM-3抗体またはIgG N297Aアイソタイプ対照抗体の存在下でのホスファチジルセリンを発現しているWR19L細胞に対する組換えヒトTIM-3 Fc(図11A)または組換えカニクイザルTIM-3 Fc(図11B)の結合のパーセントを示すグラフである。この試験で調べた抗TIM-3抗体には、pab2188w(IgG、N297A)、AM-2(IgG、N297A)及びAM-6(IgG、N297A)が含まれる。
図12】SEA刺激の際に異なる2人のドナーに由来するヒトPBMCにて抗TIM-3抗体またはIgG N297Aアイソタイプ対照抗体の単独、または抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの組み合わせによって誘導されたIFNγの産生を示す棒グラフである。調べた抗TIM-3抗体には、pab2188w(IgG、N297A)、AM-1(IgG、N297A)、AM-2(IgG、N297A)、AM-3(IgG、N297A)、AM-4(IgG、N297A)、AM-5(IgG、N297A)、AM-6(IgG、N297A)、AM-7(IgG、N297A)、及びAM-8(IgG、N297A)が含まれる。
図13】抗TIM-3抗体またはIgG N297Aアイソタイプ対照抗体の単独、または抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの組み合わせによって誘導された初代腫瘍浸潤リンパ球(TIL)によるIFNγまたはTNFαの産生を示すグラフである。TILは非小細胞肺癌(NSCLC)(図13A及び図13B)、胆嚢腺癌(図13C及び図13D)または乳癌(13E及び13F)から単離し、抗CD3/CD28マイクロビーズで活性化した。この試験で調べた抗TIM-3抗体には、pab2188w(IgG、N297A)、AM-2(IgG、N297A)、及びAM-6(IgG、N297A)が含まれる。
図14】抗TIM-3抗体またはIgG N297Aアイソタイプ対照抗体とのインキュベートの後、未処理の対照群と比べた細胞生存のパーセントを示すグラフである。図14A及び14Bは二次抗体薬剤コンジュゲートαHFc-NC-DM1との組み合わせでの示した抗体による処理を示す。調べた細胞は、TIM-3を過剰発現するように操作したJurkat細胞(図14A)または内在性にTIM-3を発現している急性骨髄性白血病細胞株であるKasumi-3細胞(図14B)だった。図14CはモノメチルアウリスタチンE(MMAE)とのコンジュゲートとして示された抗体による処理を示す。この試験で調べた抗TIM-3抗体には、pab2188w(IgG、N297A)、AM-2(IgG、N297A)、AM-6(IgG、N297A)、及び参照抗体Hum11(IgG、S228P)及びpab1944w(IgG、N297A)が含まれる。
図15】種々の時点(すなわち、0~3.5時間)で生細胞の共焦点蛍光顕微鏡によって判定したとき、10μg/mLの抗TIM-3抗体AM-2またはアイソタイプ対照抗体と共にインキュベートした場合のHaloタグ-TIM-3融合タンパク質を発現しているJurkat細胞におけるTIM-3の内部移行を示す一連のグラフである。黒い点は所与の時点で各条件について観察された平均蛍光レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つTIM-3の機能、たとえば、TIM-3が介在する免疫抑制に拮抗する抗体を提供する。提供されるのはまた、これらの抗体を含む医薬組成物、これらの抗体をコードする核酸、これらの抗体を作るための発現ベクター及び宿主、ならびにこれらの抗体を用いて対象を治療する方法である。本明細書で開示されている抗体は、抗原(たとえば、腫瘍抗原または感染症抗原)に応答したT細胞の活性化を高めるのに特に有用であり、従って対象にてがんを治療するまたは対象にて感染性疾患を治療するもしくは予防するのに特に有用である。本明細書で開示されている「単離された抗体」の例はすべて、単離されてもよいが、単離される必要はない抗体としてさらに熟考される。本明細書で開示されている「単離されたポリヌクレオチド」の例はすべて、単離されてもよいが、単離される必要はないポリヌクレオチドとしてさらに熟考される。本明細書で開示されている「抗体」の例はすべて、単離されてもよいが、単離される必要はない抗体としてさらに熟考される。本明細書で開示されている「ポリヌクレオチド」の例はすべて、単離されてもよいが、単離される必要はないポリヌクレオチドとしてさらに熟考される。
【0097】
6.1 定義
本明細書で使用されるとき、用語「約」及び「およそ」は数値または数的範囲を修正するのに使用される場合、値または範囲を5%~10%上回る(たとえば、5%~10%まで上回る)及び5%~10%下回る(たとえば、5%~10%まで下回る)逸脱が引用された値または範囲の意図される意味の範囲内のままであることを示す。
【0098】
本明細書で使用されるとき、用語「TIM-3」は、ヒトではHAVCR2遺伝子によってコードされているT細胞免疫グロブリン・ムチンドメイン-3(T細胞免疫グロブリン・ムチンドメイン含有-3タンパク質またはA型肝炎ウイルス細胞性受容体2(HAVCR2)としても知られる)を指す。Swiss-Prot受入番号Q8TDQ0-1は例となるヒトTIM-3のアミノ酸配列を提供している。ヒトTIM-3の未成熟のアミノ酸配列は配列番号78として提供されている。ヒトTIM-3の成熟アミノ酸配列は配列番号79として提供されている。本明細書で使用されるとき、用語「ヒトTIM-3」は配列番号79のアミノ酸配列を含むTIM-3を指す。
【0099】
本明細書で使用されるとき、用語「抗体(単数)」及び「抗体(複数)」には、完全長の抗体、完全長の抗体の抗原結合断片、及び抗体のCDR、VH領域またはVL領域を含む分子が含まれる。抗体の例には、モノクローナル抗体、組換えで生産した抗体、単一特異性抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、免疫グロブリン、合成抗体、2つの重鎖と2つの軽鎖の分子を含む四量体抗体、抗体軽鎖単量体、抗体重鎖単量体、抗体軽鎖二量体、抗体重鎖二量体、抗体軽鎖と抗体重鎖のペア、イントラボディ、ヘテロコンジュゲート抗体、抗体・薬剤コンジュゲート、単一ドメイン抗体、一価の抗体、単鎖抗体または単鎖Fv(scFv)、ラクダ化抗体、アフィボディ、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(たとえば、抗抗Id抗体を含む)、及び上記のいずれかの抗原結合断片が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体はポリクローナル抗体の集団を指す。抗体は、免疫グロブリン分子の任意の型(IgG、IgE、IgM、IgD、IgAまたはIgY)、任意のクラス(たとえば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgAまたはIgA)、または任意のサブクラス(たとえば、IgG2aまたはIgG2b)であることができる。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体はIgG抗体またはそのクラス(たとえば、ヒトIgGまたはIgG)またはサブクラスである。具体的な実施形態では、抗体はヒト化モノクローナル抗体である。別の具体的な実施形態では、抗体はヒトモノクローナル抗体である。
【0100】
本明細書で使用されるとき、用語「VH領域」及び「VL領域」はそれぞれ、FR(フレームワーク領域)1、2、3、及び4ならびにCDR(相補性決定領域)1、2及び3を含む単一抗体の重鎖及び軽鎖の可変領域を指す(全体として参照によって本明細書に組み入れられるKabat,et al.,(1991),Sequences of Proteins of Immunological Interest(NIH Publication,No.91-3242,Bethesda)を参照のこと)。
【0101】
本明細書で使用されるとき、用語「CDR」または「相補性決定領域」は重鎖及び軽鎖のポリペプチド双方の可変領域内に見いだされる不連続な抗原結合部位を意味する。これらの特定の領域は、Kabat,et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)及びKabat,et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991),by Chothia,et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987),及びMacCallum,et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)によって記載されており、そのすべては全体として参照によって本明細書に組み入れられ、その際、定義には、互いに対して比べた場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。特定の実施形態では、用語「CDR」はMacCallum,et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)及びMartin,A.“Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains,”in Antibody Engineering,Kontermann and Dubel,eds.,Chapter 31,pp.422-439,Springer-Verlag,Berlin(2001)にて定義されたようなCDRである。特定の実施形態では、用語「CDR」はKabat,et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)及びKabat,et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991)によって定義されたようなCDRである。特定の実施形態では、抗体の重鎖CDR及び軽鎖CDRは異なる慣例を用いて定義される。たとえば、特定の実施形態では、重鎖CDRはMacCallum(上記)に従って定義され、軽鎖CDRはKabat(上記)に従って定義される。CDRH1、CDRH2及びCDRH3は重鎖CDRを示し、CDRL1、CDRL2及びCDRL3は軽鎖CDRを示す。
【0102】
本明細書で使用されるとき、用語「フレームワーク(FR)のアミノ酸残基」は免疫グロブリン鎖のフレームワーク領域におけるそれらのアミノ酸を指す。用語「フレームワーク領域」または「FR領域」は本明細書で使用されるとき、可変領域の一部であるが、CDR(たとえば、CDRのKabatまたはMacCallumの定義を用いた)の部分ではないアミノ酸残基を含む。
【0103】
本明細書で使用されるとき、用語「可変領域」及び「可変ドメイン」は相互交換可能に使用され、当該技術で共通である。可変領域は通常、抗体の一部、一般に軽鎖及び重鎖の一部、通常成熟重鎖におけるアミノ末端のおよそ110~120のアミノ酸または110~125のアミノ酸及び成熟軽鎖におけるおよそ90~115アミノ酸を指し、それは抗体間で配列が広範に異なり、その特定の抗原に対する特定の抗体の結合及び特異性に使用される。配列の多様性は相補性決定領域(CDR)と呼ばれるそれらの領域に集中する一方で、可変領域におけるさらに高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。特定のメカニズムまたは理論に束縛されるのを望まないで、軽鎖及び重鎖のCDRは抗体の抗原との相互作用及び特異性に主として関与すると考えられている。特定の実施形態では、可変領域はヒト可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は齧歯類またはマウスのCDRとヒトのフレームワーク領域(FR)とを含む。特定の実施形態では、可変領域は霊長類(たとえば、非ヒト霊長類)の可変領域である。特定の実施形態では、可変領域は齧歯類またはマウスのCDRと霊長類(たとえば、非ヒト霊長類)のフレームワーク領域(FR)とを含む。
【0104】
用語「VL」及び「VLドメイン」は抗体の軽鎖可変領域を指すのに相互交換可能に使用される。
【0105】
用語「VH」及び「VHドメイン」は抗体の重鎖可変領域を指すのに相互交換可能に使用される。
【0106】
本明細書で使用されるとき、用語「定常領域」及び「定常ドメイン」は相互交換可能であり、当該技術で共通である。定常領域は、抗体の一部であり、たとえば、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、たとえば、Fc受容体(たとえば、Fcガンマ受容体)との相互作用のような種々のエフェクター機能を示すことができる軽鎖及び/または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は一般に免疫グロブリンの可変ドメインに比べてさらに保存されたアミノ酸配列を有する。
【0107】
本明細書で使用されるとき、抗体を参照して使用される場合、用語「重鎖」は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいた任意の異なる型、たとえば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)及びミュー(μ)を指すことができ、それは、IgGのサブクラス、たとえば、IgG,IgG、IgG及びIgGを含む、それぞれ抗体のIgA、IgD、IgE、IgG及びIgMのクラスを生じる。
【0108】
本明細書で使用されるとき、抗体を参照して使用される場合、用語「軽鎖」は定常ドメインのアミノ酸配列に基づいた任意の異なる型、たとえば、カッパ(κ)またはラムダ(λ)を指すことができる。軽鎖のアミノ酸配列は当該技術で周知である。具体的な実施形態では、軽鎖はヒト軽鎖である。
【0109】
本明細書で使用されるとき、「EU番号付け方式」は、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるEdelman,G.M.et al.,Proc.Natl.Acad.USA,63,78-85(1969)及びKabat,et al, Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Dept.Health and Human Services,5th edition,1991に記載されたような抗体の定常領域についてのEU番号付けの慣例を指す。
【0110】
「結合親和性」は一般に、分子(たとえば、抗体)の単結合部位とその結合相手(たとえば、抗原)との間での非共有結合の相互作用の合計の強度を指す。特に指示されない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」は結合ペア(たとえば、抗体と抗原)のメンバー間での1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xのその相手Yについての親和性は一般に解離定数(K)によって表すことができる。親和性は、平衡解離定数(K)及び平衡会合定数(K)を含むが、これらに限定されない当該技術で既知の多数の方法によって測定することができ、及び/または表現することができる。Kは、Koff/Konの商から算出され、KはKon/Koffの商から算出される。Konは、たとえば、抗体の抗原への会合速度の定数を指し、Koffは抗体の抗原に対する解離速度の定数を指す。Kon及びKoffは、当業者に既知の技法、たとえば、BIAcore(登録商標)またはKinExAによって決定することができる。本明細書で使用されるとき、「低親和性」は大きなKを指す。
【0111】
本明細書で使用されるとき、用語「特異的に結合する」、「特異的に認識する」、「免疫特異的に結合する」及び「免疫特異的に認識する」は抗体の文脈で類似する用語であり、そのような結合は当業者によって理解されているので、抗原(たとえば、エピトープまたは免疫複合体)に結合する分子を指す。たとえば、抗原に特異的に結合する分子は、たとえば、免疫アッセイ、BIAcore(登録商標)またはKinExA3000機器(Saoidyne Instruments,Boise,ID)、または当該技術で既知の他のアッセイによって測定されたとき、一般に低い親和性で他のペプチドまたはポリペプチドに結合することができる。具体的な実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、分子が別の抗原に非特異的に結合する場合のKよりも少なくとも2log(たとえば、10の倍数)、2.5log、3log、4log以上のKで抗原に結合する。
【0112】
別の具体的な実施形態では、抗原に特異的に結合する分子は、類似の結合条件下では他のタンパク質と交差反応しない。別の具体的な実施形態では、TIM-3に特異的に結合する分子は他の非TIM-3タンパク質と交差反応しない。具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、別の無関係な抗原よりも高い親和性でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に結合する抗体である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、たとえば、放射性免疫アッセイ、表面プラスモン共鳴または結合平衡除外アッセイによって測定されるとき、別の無関係な抗原よりも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%以上高い親和性でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に結合する抗体である。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3抗体の無関係な非TIM-3タンパク質に対する結合の程度は、たとえば、放射性免疫アッセイによって測定されるとき、TIM-3タンパク質に対する抗体の結合の10%、15%または20%未満である。
【0113】
本明細書で使用されるとき、Fcの文脈における用語「アフコシル化」または「アフコシル化された」は、EU番号付け方式に従って番号を付けた、または非IgGもしくは非ヒトIgGの免疫グロブリンにおける残基に相当するヒトIgG Fc領域の残基297に直接または間接的に共有結合されるフコースの実質的な欠如を指す。従って、複数のアフコシル化された抗体を含む組成物では、抗体の少なくとも70%は抗体のFc領域の残基297にて直接または間接的に(たとえば、介在糖を介して)フコシル化されないであろうし、一部の実施形態では、少なくとも80%、85%、90%、95%または99%がFc領域の残基297にて直接または間接的にフコシル化されないであろう。
【0114】
本明細書で使用されるとき、「エピトープ」は当該技術における用語であり、抗体が特異的に結合することができる抗原の局所領域を指す。エピトープは、たとえば、ポリペプチドの隣接するアミノ酸であることができ(線状のまたは連続するエピトープ)、またはエピトープは、たとえば、ポリペプチド(単数)もしくはポリペプチド(複数)の2以上の不連続の領域から集まることができる(立体構造の、非線状の、非連続的な、または不連続のエピトープ)。特定の実施形態では、抗体が結合するエピトープは、たとえば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分光分析と合わせた水素/重水素交換(たとえば、液体クロマトグラフィエレクトロスプレー質量分光分析)、アレイに基づくオリゴ・ペプチド走査アッセイ(たとえば、不連続なまたは立体構造のエピトープをマッピングするためのCLIPS(足場へのペプチドの化学結合)を用いてペプチドを制限すること)、及び/または変異誘発マッピング(たとえば、部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶学については、結晶化は当該技術で既知の方法のいずれかを用いて達成されてもよい(たとえば、GiegeR.et al.,(1994),Acta Crystallogr D Biol Crystallogr,50(Pt 4):339-350;McPherson,A.(1990),Eur.J.Biochem.189:1-23;Chayen.NE,(1997),Structure,5:1269-1274;McPherson,A.(1976),J.Biol.Chem.251:6300-6303、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる)。抗体:抗原の結晶は周知のX線回折法を用いて研究されてもよいし、たとえば、X-PLOR(Yale University,1992,distributed by Molecular Simulations,Inc.;たとえば、Meth.Enzymol.(1985),volumes 114 & 115,eds,Wyckoff,HW.et al.,;U.S.2004/0014194),及びBUSTER(Bricogne G(1993),Acta.Crystallogr.D Biol.Crystallogr.49(Pt 1):37-60;Bricogne G(1997),Meth.Enzymol.276A:361-423,ed.Carter,CW;Roversi,P.et al.,(2000),Acta.Crystallogr.D Biol.Crystallogr.56(Pt 10):1316-1323を参照のこと、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる)のようなコンピュータソフトウエアを用いて精緻化してもよい。変異誘発マッピングの研究は当業者に既知の方法を用いて達成されてもよい。アラニン走査変異誘発法を含む変異誘発法の記載については、たとえば、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるChampe,M.et al.,(1995),J.Biol.Chem.270:1388-1394及びCunningham,BC.& Wells,JA.(1989),Science,244:1081-1085を参照のこと。CLIPS(足場へのペプチドの化学結合)は、複合体タンパク質ドメインの機能的模倣体として挙動するように構造的に制約された構成で1以上のペプチドを提示する技術である。たとえば、それぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国公開番号US2008/0139407A1及びUS2007/099240A1、及び米国特許第7,972,993号を参照のこと。具体的な実施形態では、抗体のエピトープはアラニン走査変異誘発試験を用いて決定される。具体的な実施形態では、抗体のエピトープは質量分光法と合わせた水素/重水素交換を用いて決定される。具体的な実施形態では、抗体のエピトープはPepscan TherapeuticsのCLIPSエピトープマッピング技術を用いて決定される。
【0115】
本明細書で使用されるとき、特定のアミノ酸配列またはアミノ酸残基のセットから成る「ヒトTIM-3の領域内に位置するエピトープ」は特定された領域のアミノ酸残基の1以上を含むエピトープを指し、その際、特定された領域はヒトTIM-3の領域の最初の特定されたアミノ酸残基と最後の特定されたアミノ酸残基を含む。特定の実施形態では、エピトープは特定された領域内に位置するアミノ酸残基の各1つを含む。特定の実施形態では、特定された領域の外側のヒトTIM-3の1以上の追加のアミノ酸残基は特定された領域内に位置するエピトープと一緒に抗体に結合する。
【0116】
本明細書で使用されるとき、用語「T細胞受容体」及び「TCR」は相互交換可能に使用され、完全長のヘテロ二量体αβまたはγδTCR、完全長TCRの抗原結合断片、及びTCRのCDRまたは可変領域を含む分子を指す。TCRの例には、完全長TCR、完全長TCRの抗原結合断片、膜貫通及び細胞質の領域を欠く可溶性TCR、柔軟なリンカーによって連結されたTCRの可変領域を含有する単鎖TCR、操作されたジスルフィド結合によって連結されたTCR鎖、単一特異性TCR、多重特異性TCR(二重特異性TCRを含む)、TCR融合体、ヒトTCR、ヒト化TCR、キメラTCR、組換えで産生されたTCR、及び合成のTCRが挙げられるが、これらに限定されない。その用語は野生型TCR及び遺伝的に操作されたTCR(たとえば、第1の種のTCRに由来する第1の部分と第2の種のTCRに由来する第2の部分とを含むキメラTCR鎖を含むキメラTCR)を包含する。
【0117】
本明細書で使用されるとき、用語「主要組織適合性複合体」及び「MHC」は相互交換可能に使用され、MHCクラスI分子及び/またはMHCクラスII分子を指す。
【0118】
本明細書で使用されるとき、用語「ペプチド・MHC複合体」はMHCの当該技術で認識されたペプチド結合ポケットにて結合したペプチドを伴ったMHC分子(MHCクラスIまたはMHCクラスII)を指す。
【0119】
本明細書で使用されるとき、用語「治療する」及び「治療」は本明細書に記載されている治療上または予防上の処置を指す。「治療」の方法は、疾患もしくは障害または再発している疾患もしくは障害を予防する、治癒させる、遅延させる、その重症度を軽減する、またはその1以上の症状を改善するために、またはそのような治療の非存在下で予想されるものを超えて対象の生存を延長するために、疾患もしくは障害を有する対象、またはそのような疾患もしくは障害を有する素養がある対象への抗体の投与を採用する。
【0120】
本明細書で使用されるとき、対象への治療法の投与の文脈における用語「有効量」は所望の予防効果または治療効果を達成する治療法の量を指す。
【0121】
本明細書で使用されるとき、用語「対象」には任意のヒトまたは非ヒト動物を含まれる。一実施形態では、対象はヒトまたは非ヒト哺乳類である。一実施形態では、対象はヒトである。
【0122】
2つの配列(たとえば、アミノ酸配列または核酸配列)の間での「パーセント同一性」の決定は数学的なアルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの具体的な非限定例は、それぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるKarlin,S.及びAltschul,SF.(1993),PNAS,90:5873-5877にあるように修正されたKarlin,S.及びAltschul,SF.(1990),PNAS,87:2264-2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、全体として参照によって本明細書に組み入れられるAltschul,SF.et al.,(1990),J.Mol.Biol.215:403のNBLAST及びXBLASTのプログラムに組み込まれている。BLASTのヌクレオチド検索は、NBLASTのヌクレオチドプログラムのパラメータ設定、たとえば、本明細書に記載されている核酸分子に相同性のヌクレオチド配列を得るためのスコア=100、ワード長=12で行うことができる。BLASTのタンパク質検索は、XBLASTのプログラムのパラメータ設定、たとえば、本明細書に記載されているタンパク質分子に相同性のアミノ酸配列を得るためのスコア=50、ワード長=3で行うことができる。比較目的でギャップのある配列比較を得るには、全体として参照によって本明細書に組み入れられるAltschul,SF.et al.,(1997),Nuc.Acids Res,25:3389-3402に記載されたようにギャップのあるBLASTを利用することができる。或いは、PSI BLASTを使用して分子間の距離関係(Id.)を検出する反復検索を行うことができる。BLAST、ギャップがあるBLAST及びPSI Blastプログラムを利用する場合、各プログラムの(たとえば、XBLAST及びNBLASTの)初期設定パラメータを使用することができる(たとえば、ワールドワイドウェブncbi.nlm.nih.govにおける全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)を参照のこと)。配列の比較について利用される数学的アルゴリズムの別の具体的な非限定例は、全体として参照によって本明細書に組み入れられるMyers及びMiller,1988,CABIOS,4:11-17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列の配列比較ソフトウエアのパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。アミノ酸配列を比較するのにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120加重残基表、12のギャップ長ペナルティ及び4のギャップペナルティを使用することができる。
【0123】
2つの配列間のパーセント同一性は、ギャップがあるかどうかにかかわらず、上記に記載されているものに類似する技法を用いて決定することができる。パーセント同一性を算出することにおいて、通常正確な一致のみがカウントされる。
【0124】
本明細書で使用されるとき、用語「内部移行」または「内部移行される」は、細胞の表面で発現されている抗原に抗体が結合する際の、細胞の細胞内区画への抗体の取り込みを指す。
【0125】
6.2 抗TIM-3抗体
態様の1つでは、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つTIM-3の機能に拮抗する抗体を提供する。例となる抗体のアミノ酸配列を本明細書での表1~4に記述する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【0126】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は本明細書の表1に記述されているVHドメインのCDRの1、2または3すべてを含むVHドメインを含む。特定の実施形態では、抗体は表1に記述されているVHドメインの1つのCDRH1を含む。特定の実施形態では、抗体は表1に記述されているVHドメインの1つのCDRH2を含む。特定の実施形態では、抗体は表1に記述されているVHドメインの1つのCDRH3を含む。
【0127】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は本明細書の表1に記述されているVLドメインのCDRの1、2または3すべてを含むVLドメインを含む。特定の実施形態では、抗体は表1に記述されているVLドメインの1つのCDRL1を含む。特定の実施形態では、抗体は表1に記述されているVLドメインの1つのCDRL2を含む。特定の実施形態では、抗体は表1に記述されているVLドメインの1つのCDRL3を含む。
【0128】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、全体として参照によって本明細書に組み入れられるMacCallum,RM.et al.,(1996),J.Mol.Biol.262:732-745に従って決定することができる。たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるMartin,A.“Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains,”in Antibody Engineering,Kontermann and Dubel,eds.,Chapter 31,pp.422-439,Springer-Verlag,Berlin(2001)も参照のこと。特定の実施形態では、抗体の重鎖CDRはMacCallumに従って決定され、抗体の軽鎖CDRは異なる方法に従って決定される。
【0129】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるKabat,et al.,J.Biol.Chem.252,6609-6616(1977)及びKabat,et al.,Sequences of protein of immunological interest.(1991)に従って決定することができる。特定の実施形態では、抗体の軽鎖CDRはKabatに従って決定され、抗体の重鎖CDRはMacCallum(上記)に従って決定される。
【0130】
特定の実施形態では、抗体のCDRはChothiaの番号付けスキームに従って決定することができ、それは免疫グロブリンの構造ループの位置を参照する(たとえば、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられるChothia,C.及びLesk,AM,(1987),J.Mol.Biol.196:901-917;Al-Lazikani,B.et al.,(1997),J.Mol.Biol.273:927-948;Chothia,C.et al.,(1992),J.Mol.Biol.227:799-817;Tramontano,A.et al.,(1990),J.Mol.Biol.215(1):175-82;ならびに米国特許第7,709,226号を参照のこと)。通常、Kabatの番号付けの慣例を使用する場合、ChothiaのCDRH1のループは重鎖アミノ酸26~32、33または34に存在し、ChothiaのCDRH2のループは重鎖アミノ酸52~56に存在し、ChothiaのCDRH3のループは重鎖アミノ酸95~102に存在する一方で、ChothiaのCDRL1のループは軽鎖アミノ酸24~34に存在し、ChothiaのCDRL2のループは軽鎖アミノ酸50~56に存在し、ChothiaのCDRL3のループは軽鎖アミノ酸89~97に存在する。ChothiaのCDRH1のループの末端はKabatの番号付けの慣例を用いて番号を付ける場合、ループの長さに応じてH32~H34の間で変化する(これは、Kabatの番号付けスキームがH35A及びH35Bにて挿入を配置し:35Aも35Bも存在しなければ、ループは32で終了し、35Aだけが存在すればループは33で終了し、35A及び35Bの双方が存在すればループは34で終了するためである)。
【0131】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は本明細書の表1で開示されているVHのChothiaVHのCDRを含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は本明細書の表1で開示されているVLのChothiaVLのCDRを含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は本明細書の表1で開示されている抗体のChothiaVHのCDR及びChothiaVLのCDRを含む。特定の実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体は1以上のCDRを含み、その際、Chothia及びKabatのCDRは同一のアミノ酸配列を有する。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つKabatのCDRとChothiaのCDRの組み合わせを含む単離された抗体を提供する。
【0132】
特定の実施形態では、抗体のCDRは、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるLefranc M-P,(1999),The Immunologist,7:132-136及びLefranc M-P,et al.,(1999),Nucleic Acids Res.27:209-212に記載されているようなIMGT番号付け方式に従って決定することができる。IMGT番号付けスキームによれば、CDRH1は26位~35位にあり、CDRH2は51位~57位にあり、CDRH3は93位~102位にあり、CDRL1は27位~32位にあり、CDRL2は50位~52位にあり、CDRL3は89位~97位にある。
【0133】
特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ、たとえば、Lefranc,M-P,(1999)上記及びLefranc,M-P,et al.,(1999)上記に記載されているようなIMGT番号付け方式によって決定されるような、表1で開示されている抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0134】
特定の実施形態では、抗体のCDRはAbM番号付けスキームに従って決定することができ、それはAbM超可変領域を参照し、それはKabatのCDRとChothiaの構造ループの間での妥協を表し、全体として参照によって本明細書に組み入れられるOxford MolecularのAbM抗体モデル化ソフトウエア(Oxford Molecular Group,Inc.)によって使用されている。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ、AbM番号付けスキームによって決定されるような、本明細書の表1で開示されている抗体のCDRを含む抗体を提供する。
【0135】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35に記述されているVHドメインのCDRH1、CDRH2及びCDRH3領域のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47に記述されているVLドメインのCDRL1、CDRL2及びCDRL3領域のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含み、各CDRはMacCallumの定義、Kabatの定義、Chothiaの定義、Kabatの定義とChothiaの定義の組み合わせ、IMGTの番号付け方式、またはCDRのAbMの定義に従って定義される。
【0136】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は以下を含む:
(a)CDRH1は、XS(配列番号48)のアミノ酸配列を含み、
配列中、
はR、S、A、G、K、M、またはTであり、
はQ、S、A、G、R、またはTであり、
はN、Y、G、またはQであり、
はAまたはQであり、
はW、M、A、S、またはTであり;
(b)CDRH2はWVSAISGSGGSTY(配列番号2)のアミノ酸配列を含み;
(c)CDRH3はAKGGDYGGNYFD(配列番号3)のアミノ酸配列を含み;
(d)CDRL1はXASQSVXSSYLA(配列番号52)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はRまたはGであり、
は非存在またはSであり;
(e)CDRL2はXASXRAT(配列番号53)のアミノ酸配列を含み
配列中、
はDまたはGであり
はN、S、またはTであり;
(f)CDRL3はQQYGSSPXT(配列番号54)のアミノ酸配列を含み、配列中、XはLまたはIである。
【0137】
特定の実施形態では、CDRH1はXNAWS(配列番号49)のアミノ酸配列を含み、配列中、XはRまたはAであり;XはQまたはRである。特定の実施形態では、CDRH1はXGQXS(配列番号50)のアミノ酸配列を含み、配列中、XはK、M、またはGであり;XはAまたはSであり;XはSまたはTである。特定の実施形態では、CDRH1はXQQAS(配列番号51)のアミノ酸配列を含み、配列中、XはS、R、T、またはGであり;XはA、S、T、またはGである。特定の実施形態では、CDRH1は配列番号1及び4~12から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL1は配列番号13~16から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL2は配列番号17~21から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、CDRL3は配列番号22及び23から成る群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0138】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、それぞれ配列番号1、2、及び3;4、2、及び3;5、2、及び3;6、2、及び3;7、2、及び3;8、2、及び3;9、2、及び3;10、2、及び3;11、2、及び3;または12、2、及び3に記述されているCDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、それぞれ配列番号1、2、及び3に記述されているCDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、それぞれ配列番号5、2、及び3に記述されているCDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、それぞれ配列番号9、2、及び3に記述されているCDRH1、CDRH2及びCDRH3のアミノ酸配列を含むVHドメインを含む。
【0139】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、それぞれ配列番号13、17、及び22;14、17、及び22;15、18、及び22;14、19、及び22;14、20、及び22;14、21、及び22;16、20、及び22;または14、17、及び23に記述されているCDRL1、CDRL2及びCDRL3のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、それぞれ配列番号14、21及び22に記述されているCDRL1、CDRL2及びCDRL3のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0140】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、CDRH1、CDRH2及びCDRH3の領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域を含む軽鎖可変領域とを含み、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域はそれぞれ、配列番号1、2、3、14、21、及び22;4、2、3、14、21、及び22;5、2、3、14、21、及び22;6、2、3、14、21、及び22;7、2、3、14、21、及び22;8、2、3、14、21、及び22;9、2、3、14、21、及び22;10、2、3、14、21、及び22;11、2、3、14、21、及び22;または12、2、3、14、21、及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、CDRH1、CDRH2及びCDRH3の領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域を含む軽鎖可変領域とを含み、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域はそれぞれ配列番号1、2、3、14、21及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、CDRH1、CDRH2及びCDRH3の領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域を含む軽鎖可変領域とを含み、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域はそれぞれ配列番号5、2、3、14、21及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、該抗体は、CDRH1、CDRH2及びCDRH3の領域を含む重鎖可変領域と、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域を含む軽鎖可変領域とを含み、その際、CDRH1、CDRH2、CDRH3、CDRL1、CDRL2及びCDRL3の領域は配列番号9、2、3、14、21及び22に記述されているアミノ酸配列を含む。
【0141】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35に記述されているアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(たとえば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号24に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号25に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号26に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号27に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号28に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号29に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号30に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号31に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号32に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号33に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号34に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号35に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0142】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47に記述されているアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(たとえば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号36に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号37に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号38に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号39に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号40に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号41に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号42に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号43に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号44に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号45に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号46に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、配列番号47に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の軽鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0143】
特定の実施形態では、本開示は、配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示は、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35に記述されているアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(たとえば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47に記述されているアミノ酸配列に対して少なくとも75%、80%、85%、90%、95%、または100%(たとえば、少なくとも86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体は、配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、または35に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、または47に記述されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び36に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び38に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号26及び42に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び42に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び43に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号26及び43に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号26及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号26及び41に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び41に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び39に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号24及び47に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び40に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号26及び47に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び37に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び45に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び44に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び42に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び41に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び43に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号25及び47に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号27及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号28及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号29及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号30及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号31及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号32及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号33及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号34及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、抗体は、それぞれ配列番号35及び46に記述されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられ、及び/または抗体の軽鎖可変領域のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0144】
特定の実施形態では、本開示は、ヒトIGHV3-23生殖細胞系列の配列(たとえば、配列番号84のアミノ酸配列を有するIGHV3-2304)に由来するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1及びCDRH2から選択される1以上の領域(たとえば、これらの領域の2、3、4または5)はヒトIGHV3-23生殖細胞系列の配列(たとえば、配列番号84のアミノ酸配列を有するIGHV3-2304)に由来することができる。一実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRH1及びCDRH2はすべてヒトIGHV3-23生殖細胞系列の配列(たとえば、配列番号84のアミノ酸配列を有するIGHV3-2304)に由来する。
【0145】
特定の実施形態では、本開示は、IGKV1-27(たとえば、配列番号85のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV1-2701)、IGKV3-11(たとえば、配列番号86のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-1101)、IGKV3-20(たとえば、配列番号87のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-2001)、及びIGKV3D-20(たとえば、配列番号88のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3D-2001)から成る群から選択されるヒト生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1及びCDRL2から選択される1以上の領域(たとえば、これらの領域の2、3、4または5)は、IGKV1-27(たとえば、配列番号85のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV1-2701)、IGKV3-11(たとえば、配列番号86のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-1101)、IGKV3-20(たとえば、配列番号87のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-2001)、及びIGKV3D-20(たとえば、配列番号88のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3D-2001)から成る群から選択されるヒト生殖細胞系列の配列に由来することができる。一実施形態では、フレームワーク1、フレームワーク2、フレームワーク3、CDRL1及びCDRL2はすべてIGKV1-27(たとえば、配列番号85のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV1-2701)、IGKV3-11(たとえば、配列番号86のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-1101)、IGKV3-20(たとえば、配列番号87のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-2001)、及びIGKV3D-20(たとえば、配列番号88のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3D-2001)から成る群から選択されるヒト生殖細胞系列の配列に由来する。
【0146】
特定の実施形態では、本開示は、ヒトIGHV3-23生殖細胞系列の配列(たとえば、配列番号84のアミノ酸配列を有するIGHV3-2304)に由来するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、IGKV1-27(たとえば、配列番号85のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV1-2701)、IGKV3-11(たとえば、配列番号86のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-1101)、IGKV3-20(たとえば、配列番号87のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3-2001)、及びIGKV3D-20(たとえば、配列番号88のアミノ酸配列を有する、たとえば、IGKV3D-2001)から成る群から選択されるヒト生殖細胞系列の配列に由来するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供する。
【0147】
特定の実施形態では、本開示は、それぞれ配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体とTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)への結合について交差競合する単離された抗体を提供する。
【0148】
特定の実施形態では、本開示は、本明細書に記載されている抗体、たとえば、それぞれ配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体と同じTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)のエピトープまたはTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)のそれと重複するエピトープに結合する単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、抗体のエピトープは、たとえば、NMR分光法、表面プラスモン共鳴(BIAcore(登録商標))、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分光分析と合わせた水素/重水素交換(たとえば、液体クロマトグラフィエレクトロスプレー質量分光分析)、アレイに基づくオリゴ・ペプチド走査アッセイ、及び/または変異誘発マッピング(たとえば、部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶学については、結晶化は当該技術で既知の方法のいずれかを用いて達成されてもよい(たとえば、Giege R.et al.,(1994),Acta Crystallogr D Biol Crystallogr,50(Pt 4):339-350;McPherson,A.(1990),Eur.J.Biochem.189:1-23;Chayen.NE,(1997),Structure,5:1269-1274;McPherson,A.(1976),J.Biol.Chem.251:6300-6303、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる)。抗体:抗原の結晶は周知のX線回折法を用いて研究されてもよいし、たとえば、X-PLOR(Yale University,1992,distributed by Molecular Simulations,Inc.;たとえば、Meth.Enzymol.(1985),volumes 114 & 115,eds,Wyckoff,HW.et al.,;U.S.2004/0014194),及びBUSTER(Bricogne G(1993),Acta.Crystallogr.D Biol.Crystallogr.49(Pt 1):37-60;Bricogne G(1997),Meth.Enzymol.276A:361-423,ed.Carter,CW;Roversi,P.et al.,(2000),Acta.Crystallogr.D Biol.Crystallogr.56(Pt 10):1316-1323を参照のこと、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる)のようなコンピュータソフトウエアを用いて精緻化してもよい。変異誘発マッピングの研究は当業者に既知の方法を用いて達成されてもよい。アラニン走査変異誘発法を含む変異誘発法の記載については、たとえば、Champe,M et al., (1995),上記ならびのCunningham,BC.及びWells,JA.(1989),上記を参照のこと。具体的な実施形態では、抗体のエピトープはアラニン走査変異誘発試験を用いて決定する。加えて、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の同じエピトープまたは重複するエピトープを認識し、結合する抗体は、免疫アッセイのような日常の技法を用いて、たとえば、別の抗体の標的抗原への結合を阻止する抗体の能力を示すことによって、すなわち、競合結合アッセイによって特定することができる。競合結合アッセイを用いて2つの抗体がエピトープについて類似の結合特異性を有するかどうかを判定することができる。競合結合は、たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)のような共通の抗原に対する参照抗体の特異的な結合を試験のもとでの免疫グロブリンが阻害するアッセイにて判定することができる。多数の競合結合アッセイ、たとえば、すべて全体として参照によって本明細書に組み入れられる、固相の直接または間接放射性免疫アッセイ(RIA)、固相の直接または間接酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli,C.et al.、(1983),Methods Enzymol.9:242-253を参照のこと);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland,TN.et al.、(1986),J.Immunol.137:3614-9を参照のこと);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow,E.及びLane,D.(1988),Antibodies:A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Pressを参照のこと);I-125標識を用いた固相直接標識RIA(Morel,GA.et al.、(1988),Mol.Immunol.25(1):7-15を参照のこと);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung,RC.et al.,(1990),Virology,176:546-52を参照のこと);及び直接標識RIA(Moldenhauer,G.et al.,(1990),Scand.J.Immunol.32:77-82を参照のこと)が知られている。通常、そのようなアッセイには、これらのいずれかを持つ固体表面または細胞に結合させた精製抗原(たとえば、ヒトTIM-3のようなTIM-3)、未標識の試験免疫グロブリン、及び標識した参照免疫グロブリンの使用が関与する。競合阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面または細胞に結合する標識の量を割り出すことによって測定することができる。普通、試験免疫グロブリンは過剰に存在する。普通、競合抗体が過剰に存在する場合、それは共通抗原への参照抗体の特異的結合を少なくとも50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%以上阻害するであろう。競合結合アッセイは、標識した抗原または標識した抗体のいずれかを用いて多数の異なる形式で構成することができる。このアッセイの共通版では、抗原を96穴プレートに不動化する。次いで、放射活性がある標識または酵素の標識を用いて、標識した抗体の抗原への結合を阻止する未標識の抗体の能力を測定する。さらなる詳細については、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる、たとえば、Wagener,C.et al.,(1983),J.Immunol.130:2308-2315;Wagener,C.et al.,(1984),JImmunol Methods,68:269-274;Kuroki,M.et al.,(1990),Cancer Res.50:4872-4879;Kuroki,M.et al.,(1992),Immunol.Invest.21:523-538;Kuroki,M.et al.,(1992)Hybridoma,11:391-407及びAntibodies:A Laboratory Manual,Ed Harlow E & Lane D editors,上記,pp.386-389を参照のこと。
【0149】
特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、または68に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号57に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号58に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号59に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号60に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号61に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号62に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号63に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号64に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号65に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号66に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号67に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体は配列番号68に記述されているアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0150】
特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号69に記述されているアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の軽鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0151】
特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号57のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号58のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号60のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号61のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号62のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号63のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号65のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号66のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号67のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号68のアミノ酸配列を含む重鎖と、配列番号69のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されているような抗体の重鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられ、及び/または抗体の軽鎖のN末端グルタミン酸(E)残基はピログルタミン酸(pE)残基で置き換えられる。
【0152】
本明細書で開示されている抗体にて任意のIg定常領域を使用することができる。特定の実施形態では、Ig領域はヒトIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意のクラス(たとえば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgA)、または任意のサブクラス(たとえば、IgG2a及びIgG2b)である。
【0153】
特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号70、71、72、73、74または75のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、本開示は、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号76または77のアミノ酸配列を含む軽鎖定常領域を含む。
【0154】
特定の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けた、本明細書に記載されている抗体のFc領域(たとえば、CH2ドメイン(ヒトIgGの残基231~340)及び/またはCH3ドメイン(ヒトIgGの残基341~447)及び/またはヒンジ領域に1、2以上の変異(たとえば、アミノ酸置換)を導入して、たとえば、血清半減期、補体結合、Fc受容体の結合及び/または抗原依存性細胞傷害のような抗体の1以上の機能的特性を変える。
【0155】
特定の実施形態では、全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,677,425号に記載されているように、ヒンジ領域におけるシステイン残基の数を変える(たとえば、増やすまたは減らす)ように1、2以上の変異(たとえば、アミノ酸置換)をFc領域(CH1ドメイン)のヒンジ領域に導入する。CH1ドメインのヒンジ領域におけるシステイン残基の数を変えて、たとえば、軽鎖及び重鎖の構築を促してもよいし、または抗体の安定性を変えて(たとえば、高めてまたは低めて)もよい。
【0156】
具体的な実施形態では、1、2以上のアミノ酸の変異(たとえば、置換、挿入または欠失)をIgGの定常領域またはそのFcRn結合断片(好ましくはFcまたはヒンジ・Fcドメインの断片)に導入して生体内での抗体の半減期を変える(たとえば、減らすまたは増やす)。たとえば、生体内での抗体の半減期を変える(たとえば、減らすまたは増やす)変異の例については、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる国際公開番号WO02/060919;WO98/23289;及びWO97/34631;及び米国特許第5,869,046号、同第6,121,022号、同第6,277,375号、及び同第6,165,745を参照のこと。一部の実施形態では、1、2以上のアミノ酸の変異(たとえば、置換、挿入または欠失)をIgGの定常領域またはそのFcRn結合断片(好ましくはFcまたはヒンジ・Fcドメインの断片)に導入して生体内での抗体の半減期を減らす。他の実施形態では、1、2以上のアミノ酸の変異(たとえば、置換、挿入または欠失)をIgGの定常領域またはそのFcRn結合断片(好ましくはFcまたはヒンジ・Fcドメインの断片)に導入して生体内での抗体の半減期を増やす。具体的な実施形態では、抗体は、EU番号付け方式に従って番号を付けた、第2の定常(CH2)ドメイン(ヒトIgGの残基231~340)及び/または第3の定常(CH3)ドメイン(ヒトIgGの残基341~447)にて1以上のアミノ酸の変異(たとえば、置換)を有してもよい。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体のIgGの定常領域は、EU番号付け方式に従って番号を付けた、252位でのメチオニン(M)からチロシン(Y)への置換、254位でのセリン(S)からスレオニン(T)への置換、及び256位でのスレオニン(T)からグルタミン酸(E)への置換を含む。全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第7,658,921号を参照のこと。「YTE突然変異体」と呼ばれるこの型の突然変異体は同じ抗体の野生型と比べると4倍長い半減期を呈することが示されている(全体として参照によって本明細書に組み入れられているDall’Acqua,WF.et al.,(2006),J.Biol.Chem.281:23514-24を参照のこと)。特定の実施形態では、抗体は、EU番号付け方式に従って番号を付けた、251~257位、285~290位、308~314位、385~389位、及び428~436位にてアミノ酸残基の1、2、3以上のアミノ酸置換を含むIgGの定常ドメインを含む。
【0157】
一部の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けた、本明細書に記載されている抗体のFc領域(たとえば、CH2ドメイン(ヒトIgGの残基231~340)及び/またはCH3ドメイン(ヒトIgGの残基341~447)及び/またはヒンジ領域に1、2以上の変異(たとえば、アミノ酸置換)を導入して、エフェクター細胞の表面にてFc受容体(たとえば、活性化Fc受容体)についての抗体の親和性を高めるまたは低下させる。Fc受容体についての抗体の親和性を低下させるまたは高める抗体のFc領域における変異及びそのような変異をFc受容体またはその断片に導入する技法は当業者に既知である。Fc受容体についての抗体の親和性を変えるように作ることができる抗体のFc受容体における変異の例は、たとえば、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられるSmith,P.et al.,(2012),PNAS,109:6181-6186,米国特許第6,737,056号及び国際公開番号WO02/060919;WO98/23289;及びWO97/34631に記載されている。
【0158】
さらなる実施形態では、1、2以上のアミノ酸置換をIgGの定常ドメインのFc領域に導入して抗体のエフェクター機能(複数可)を変える。たとえば、抗体がエフェクターリガンドについて変化した親和性を有するが、親抗体の抗原結合能を保持するように、EU番号付け方式に従って番号を付けたアミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320及び322から選択される1以上のアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。親和性が変化するエフェクターリガンドは、たとえば、Fc受容体または補体のC1成分であることができる。このアプローチは、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,624,821号及び同第5,648,260号にさらに詳細に記載されている。一部の実施形態では、定常領域ドメインの欠失または不活化(点突然変異または他の手段を介した)は循環している抗体のFc受容体結合を減らし、それによって腫瘍の局在化を増やしてもよい。たとえば、定常ドメインを欠失させ、または不活化し、それによって腫瘍の局在化を増やす変異の記載については、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,585,097号及び同第8,591,886号を参照のこと。特定の実施形態では、1以上のアミノ酸置換を、本明細書に記載されている抗体のFc領域に導入してFc領域における潜在的なグリコシル化部位を取り除いてもよく、それはFc受容体の結合を減らしてもよい(たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるShields,RL.et al., (2001),J.Biol.Chem.276:6591-604を参照のこと)。種々の実施形態では、本明細書に記載されている抗体の定常領域における以下の変異:EU番号付け方式に従って番号を付けた、N297A置換;N297Q置換;L235A置換及びL237A置換;L234A置換及びL235A置換;E233P置換;L234V置換;L235A置換;C236の欠失;P238A置換;D265A置換;A327Q置換;またはP329A置換の1以上が行われてもよい。特定の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けたD265A、P329A及びそれらの組み合わせから成る群から選択される変異が、本明細書に記載されている抗体の定常領域で作り出されてもよい。
【0159】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、EU番号付け方式に従って番号を付けたN297QまたはN297Aのアミノ酸置換を伴うIgGの定常ドメインを含む。一実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、EU番号付け方式に従って番号を付けたD265A、P329A及びそれらの組み合わせから成る群から選択される変異を伴うIgGの定常ドメインを含む。別の実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、EU番号付け方式に従って番号を付けたL234A、L235A及びそれらの組み合わせから成る群から選択される変異を伴うIgGの定常ドメインを含む。特定の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けた、ヒトIgG重鎖におけるL234位、L235位及びD265位に相当する位置での本明細書に記載されている抗体の定常領域のアミノ酸残基はそれぞれ、L、L及びDではない。このアプローチは、全体として参照によって本明細書に組み入れられる国際公開番号WO14/108483に詳細に記載されている。特定の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けた、ヒトIgG重鎖におけるL234位、L235位及びD265位に相当するアミノ酸はそれぞれ、F、E及びAまたはA、A及びAである。
【0160】
特定の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けた、本明細書に記載されている抗体の定常領域におけるアミノ酸残基329,331及び322から選択される1以上のアミノ酸は、抗体が変化したC1qの結合及び/または低下したもしくは破壊された補体依存性細胞傷害性(CDC)を有するように、異なるアミノ酸残基で置き換えることができる。このアプローチは、全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,194,551号(Idusogie,et al.)にさらに詳細に記載されている。一部の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けた、本明細書に記載されている抗体のCH2ドメインのN末端領域におけるアミノ酸の231位~238位の範囲内での1以上のアミノ酸残基を変え、それによって補体を結合する抗体の能力を変える。このアプローチは、全体として参照によって本明細書に組み入れられる国際公開番号WO94/29351にさらに記載されている。特定の実施形態では、EU番号付け方式に従って番号を付けた以下の位置:238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、328、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、または439で1以上のアミノ酸を変異させる(たとえば、アミノ酸置換を導入する)ことによって、本明細書に記載されている抗体のFc領域を修飾し、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)に介在する抗体の能力を高め、及び/またはFcγ受容体についての抗体の親和性を高める。このアプローチは、全体として参照によって本明細書に組み入れられる国際公開番号WO00/42072にさらに記載されている。
【0161】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体はIgG抗体の定常領域を含み、EU番号付け方式に従って番号を付けた重鎖のアミノ酸残基228でのセリンはプロリンで置換される。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、該抗体は配列番号75のアミノ酸配列を含む重鎖定常領域を含む。
【0162】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている定常領域の変異または修飾のいずれかを、2つの重鎖定常領域を有する本明細書に記載されている抗体の一方または双方の重鎖定常領域に導入することができる。
【0163】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つアンタゴニストとして機能する単離された抗体を提供する。
【0164】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ本明細書に記載されている方法及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴ったTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の活性に比べて、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の活性を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低下させる単離された抗体を提供する。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ本明細書に記載されている方法及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴ったTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の活性に比べて、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の活性を少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低下させる単離された抗体を提供する。TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の活性の非限定例には、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)のシグナル伝達、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)リガンド(たとえば、ホスファチジルセリン)へのTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の結合、及びサイトカイン(たとえば、IFN-γ及び/またはTNF-α)産生の阻害を挙げることができる。特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の活性を失活させる、低下させるまたは阻害する単離された抗体を提供する。具体的な実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の活性の低下は以下の実施例に記載されているように評価される。
【0165】
具体的な実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴ったそのリガンド(たとえば、ホスファチジルセリン)に対するTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の結合に比べて、そのリガンドに対するTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の結合を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低下させる単離された抗体を提供する。具体的な実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴ったそのリガンド(たとえば、ホスファチジルセリン)に対するTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の結合に比べて、そのリガンドに対するTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の結合を少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低下させる単離された抗体を提供する。
【0166】
具体的な実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴ったサイトカイン(たとえば、IFNγ及び/またはTNFα)の産生に比べて、サイトカインの産生を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%高める単離された抗体を提供する。具体的な実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴ったサイトカイン(たとえば、IFNγ及び/またはTNFα)の産生に比べて、サイトカインの産生を少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍高める単離された抗体を提供する。
【0167】
具体的な実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ単独でまたは抗PD-1抗体(たとえば、ペムブロリズマブまたはニボルマブ)との併用で、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴った、ブドウ球菌腸毒素A(SEA)の刺激に応答したヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるIFNγの産生に比べてIFNγの産生を少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍高める単離された抗体を提供する。
【0168】
特定の実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する本明細書に記載されている抗体の存在下にてブドウ球菌腸毒素(SEA)で刺激されたヒト末梢血単核細胞(PBMC)は、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、抗体を伴わないまたは無関係な抗体(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合しない抗体)を伴ったSEAのみで刺激されたPBMCに比べてIFNγの産生を少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍高めている。
【0169】
具体的な実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つ単独でまたは抗PD-1抗体(たとえば、ペムブロリズマブまたはニボルマブ)との併用で、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体を伴わない、抗CD3抗体及び抗CD28抗体の刺激に応答した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)におけるIFNγ及び/またはTNFαの産生に比べて少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍IFNγ及び/またはTNFαの産生を高める。一実施形態では、TILは非小細胞肺癌(NSCLC)の腫瘍に由来する。別の実施形態では、TILは胆嚢腺癌の腫瘍に由来する。別の実施形態では、TILは乳癌の腫瘍に由来する。
【0170】
特定の実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する本明細書に記載されている抗体の存在下にて抗CD3抗体及び抗CD28抗体で刺激された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体を伴わずに抗CD3抗体及び抗CD28抗体だけで刺激されたTILに比べてIFNγ及び/またはTNFαの産生を少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍高めている。一実施形態では、TILは非小細胞肺癌(NSCLC)の腫瘍に由来する。別の実施形態では、TILは胆嚢腺癌の腫瘍に由来する。別の実施形態では、TILは乳癌の腫瘍に由来する。
【0171】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合し、且つTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、内部移行する単離された抗体を提供する。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)または当業者に既知の方法によって評価されたとき、本明細書に記載されている抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、内部移行する。特定の実施形態では、以下の工程:
(a)組織培養プレートにてウェル当たり2×10個の細胞でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞を播くことと、
(b)100μl/ウェルの最終容量にて同じ濃度のαHFc-NC-DM1及び本明細書に記載されている抗体または参照の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体(たとえば、1.5ng/ml、4.6ng/ml、13.7ng/ml、41.2ng/ml、123.5ng/ml、370ng/ml、1111ng/ml、または3333ng/ml)を加えることと、
(c)37℃及び5%COにて72時間インキュベートすることと、
(d)TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞の生存を測定することと、
(e)TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している未処理の細胞と比べた細胞の生存の比率を算出することとを含むアッセイにて、
参照の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の存在下よりも本明細書に記載されている抗体の存在下の方がTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞の低い比率が生き残る。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体の存在下での細胞存在の比率は、参照の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の存在下での細胞存在の比率よりも少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%低い。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体の存在下での細胞存在の比率は、参照の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の存在下での細胞存在の比率よりも少なくとも約1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍低い。特定の実施形態では、参照の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体はpab1944w(IgG、N297A)である。特定の実施形態では、参照の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体はHum11(IgG、S228P)である。特定の実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞はKasumi-3細胞である。特定の実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞はKasumi-3細胞(ATCC(登録商標)CRL-2725(商標))である。特定の実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現するように操作されたJurkat細胞である。
【0172】
特定の実施形態では、以下の工程:
(a)組織培養プレートにてウェル当たり2×10個の細胞でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞を播くことと、
(b)100μl/ウェルの最終容量にて同じ濃度のαHFc-NC-DM1及び本明細書に記載されている抗体(たとえば、1.5ng/ml、4.6ng/ml、13.7ng/ml、41.2ng/ml、123.5ng/ml、370ng/ml、1111ng/ml、または3333ng/ml)を加えることと、
(c)37℃及び5%COにて72時間インキュベートすることと、
(d)TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞の生存を測定することと、
(e)TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している未処理の細胞と比べた細胞の生存の比率を算出することとを含むアッセイにて、
TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している未処理の細胞と比べて、本明細書に記載されている抗体の存在下でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞の多くても50%が生き残る。特定の実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している未処理の細胞と比べて、本明細書に記載されている抗体の存在下でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞の多くても10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%が生き残る。特定の実施形態では、1111ng/mlの濃度でαHFc-NC-DM1及び本明細書に記載されている抗体が添加され、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している未処理の細胞と比べて、本明細書に記載されている抗体の存在下でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞の多くても10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%が生き残る。特定の実施形態では、1111ng/mlの濃度でαHFc-NC-DM1及び本明細書に記載されている抗体が添加され、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している未処理の細胞と比べて、本明細書に記載されている抗体の存在下でTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞の多くても50%が生き残る。
【0173】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体はXS(配列番号48)のアミノ酸配列を含むCDRH1を含み
配列中、
はR、S、A、G、K、M、またはTであり、
はQ、S、A、G、R、またはTであり、
はN、Y、G、またはQであり、
はAまたはQであり、
はW、M、A、S、またはTである。
【0174】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、XNAWS(配列番号49)のアミノ酸配列を含むCDRH1を含み、
配列中、
はRまたはAであり;
はQまたはRである。
【0175】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、XGQXS(配列番号50)のアミノ酸配列を含むCDRH1を含み、
配列中:
はK、M、またはGであり;
はAまたはSであり;
はSまたはTである。
【0176】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、抗体は、XQQAS(配列番号51)のアミノ酸配列を含むCDRH1を含み、
配列中:
はS、R、T、またはGであり;
はA、S、T、またはGである。
【0177】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、WVSAISGSGGSTY(配列番号2)のアミノ酸配列を含むCDRH2を含む。
【0178】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、AKGGDYGGNYFD(配列番号3)のアミノ酸配列を含むCDRH3を含む。
【0179】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、XASQSVXSSYLA(配列番号52)のアミノ酸配列を含むCDRL1を含み、
配列中、
はRまたはGであり、
は非存在またはSである。
【0180】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、XASXRAT(配列番号53)のアミノ酸配列を含むCDRL2を含み、
配列中、
はDまたはGであり
はN、S、またはTである。
【0181】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、QQYGSSPXT(配列番号54)のアミノ酸配列を含むCDRL3を含み、
配列中、XはLまたはIである。
【0182】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)への結合について、それぞれ、配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体と交差競合する。
【0183】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は、本明細書に記載されている抗体、たとえば、それぞれ、配列番号24及び36;24及び38;26及び42;24及び42;24及び46;24及び43;26及び43;26及び46;26及び41;24及び41;25及び39;24及び47;25及び40;26及び47;25及び37;25及び45;25及び44;25及び46;25及び42;25及び41;25及び43;25及び47;27及び46;28及び46;29及び46;30及び46;31及び46;32及び46;33及び46;34及び46;または35及び46に記述されている重鎖及び軽鎖の可変領域のアミノ酸配列を含む抗体と同じまたは重複する、TIM-3のエピトープ(たとえば、ヒトTIM-3のエピトープ)に結合する。
【0184】
特定の実施形態では、本開示はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する単離された抗体を提供し、その際、本明細書に記載されている方法(以下の実施例を参照)及び/または当業者に既知の方法によって評価されたとき、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している細胞に結合する際、抗体の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%が内部移行し、その際、抗体は野生型ヒトIgGの重鎖定常領域の変異体であるヒトIgGの重鎖定常領域を含み、変異体ヒトIgGの重鎖定常領域は、野生型ヒトIgGの重鎖定常領域がヒトFcガンマ受容体に結合するより低い親和性でヒトFcガンマ受容体に結合する。特定の実施形態では、ヒトFcガンマ受容体はFcγRI、FcγRII及びFcγRIIIから成る群から選択される。特定の実施形態では、変異体ヒトIgGの重鎖定常領域は、EU番号付け方式に従って番号を付けたN297A変異を含むIgG定常領域である。
【0185】
6.3 医薬組成物
本明細書で提供されているのは、生理的に許容できるキャリア、賦形剤または安定剤にて所望の程度の純度を有する本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を含む組成物である(RemingtonのPharmaceutical Sciences,(1990),Mack Publishing Co.,Easton,PA)。許容できるキャリア、賦形剤または安定剤は採用される投与量及び濃度にてレシピエントにとって非毒性であり、それには、たとえば、リン酸塩、クエン酸塩及び他の有機酸のような緩衝液;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(たとえば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルアルコールまたはベンジルアルコール;たとえば、メチルパラベンまたはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール及びm-クレゾール);低分子量(10残基未満)ポリペプチド;たとえば、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;たとえば、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;たとえば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンまたはリシンのようなアミノ酸;単糖類、二糖類、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の糖質;たとえば、EDTAのようなキレート剤;たとえば、スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールのような糖;たとえば、ナトリウムのような塩形成性の対イオン;金属錯体(たとえば、Zn・タンパク質錯体);及び/またはたとえば、TWEEN(標識)、PLURONICS(標識)またはポリエチレングリコール(PEG)のような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0186】
具体的な実施形態では、医薬組成物は薬学上許容できるキャリアにて本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体と、任意で1以上の追加の予防剤または治療剤とを含む。具体的な実施形態では、医薬組成物は薬学上許容できるキャリアにて有効量の本明細書に記載されている抗体と、任意で1以上の追加の予防剤または治療剤とを含む。一部の実施形態では、抗体は医薬組成物に含まれる唯一の有効成分である。本明細書に記載されている医薬組成物はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)活性を阻害し、がんまたは感染性疾患のような状態を治療するのに有用であることができる。一実施形態では、本発明は薬物として使用するための本発明の抗TIM-3抗体を含む本発明の医薬組成物に関する。別の実施形態では、本発明はがんまたは感染性疾患の治療方法で使用するための本発明の医薬組成物に関する。別の実施形態では、本発明はがんまたは感染性疾患を治療するために薬物を調製するための本発明の医薬組成物の使用に関する。
【0187】
非経口製剤で使用される薬学上許容できるキャリアには、水性溶剤、非水性溶剤、抗菌剤、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤またはキレート剤、及び他の薬学上許容できる物質が挙げられる。水性溶剤の例には、塩化ナトリウム注射剤、リンガー注射剤、等張デキストロース注射剤、無菌水注射剤、デキストロース及び乳酸加リンガー注射剤が挙げられる。非水性非経口溶剤には、植物起源の固定油、綿実油、コーン油、ゴマ油及びピーナツ油が挙げられる。フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムを含む静菌または静真菌の濃度での抗菌剤を複数回用量の容器に包装される非経口製剤に加えることができる。等張剤には塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。緩衝液にはリン酸塩及びクエン酸塩が挙げられる。抗酸化剤には重硫酸ナトリウムが挙げられる。局所麻酔剤にはプロカイン塩酸塩が挙げられる。懸濁剤及び分散剤にはナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。乳化剤にはポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)が挙げられる。金属イオン封鎖剤または金属イオンのキレート剤にはEDTAが挙げられる。医薬キャリアにはまた、水混和性溶剤用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール;ならびにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸も挙げられる。
【0188】
医薬組成物は対象への投与の経路のために製剤化されてもよい。投与の経路の具体例には、鼻内、経口、肺、経皮、皮内及び非経口が挙げられる。皮下、筋肉内または静脈内の注射を特徴とする非経口投与も本明細書で熟考される。注射剤は、液体の溶液または懸濁液としての従来の形態で、注射に先立つ液体での溶液または懸濁液に好適な固体形態で、またはエマルションとして調製することができる。注射剤、溶液及びエマルションも1以上の賦形剤を含有する。好適な賦形剤には、たとえば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロールまたはエタノールが挙げられる。加えて、所望であれば、投与される医薬組成物は、軽微な量の非毒性補助剤物質、たとえば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、可溶性増強剤、及び他のそのような作用物質、たとえば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノオレイン酸、オレイン酸トリエタノールアミン及びシクロデキストリンも含有することができる。
【0189】
抗体の非経口投与用の製剤には、注射の準備済みの無菌溶液、たとえば、皮下の錠剤を含む、使用直前に溶媒と組み合わせる準備ができている凍結乾燥粉剤のような無菌の無水可溶性製品、注射の準備済みの無菌の懸濁液、使用直前に溶剤と組み合わせる準備ができている無菌の無水不溶性製品及び無菌のエマルションが挙げられる。溶液は水性であってもまたは非水性であってもよい。
【0190】
静脈内に投与されるのであれば、好適なキャリアには、生理的な生理食塩水またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)、ならびに、たとえば、グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール及びそれらの混合物のような増粘剤と可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
【0191】
抗体を含む局所混合物は局所投与及び全身性投与について記載されているように調製される。得られる混合物は溶液、懸濁液、エマルション等であることができ、クリーム、ジェル、軟膏、エマルション、溶液、エリキシル、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、泡状物、エアロゾル、洗浄剤、スプレー、坐薬、包帯剤、皮膚貼付剤、または局所投与に好適な任意の他の製剤として製剤化することができる。
【0192】
本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、吸入によるような局所投与のためにエアロゾルとして製剤化することができる(たとえば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルを記載し、全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号及び同第4,364,923号を参照のこと)。気道への投与のためのこれらの製剤は、単独でまたはラクトースのような不活性キャリアとの併用で、吸入器用のエアロゾルもしくは溶液の形態で、または吹送用の微細粉末としての形態であることができる。そのような場合、製剤の粒子は、一実施形態では、50ミクロン未満の直径を有し、一実施形態では、10ミクロン未満の直径を有する。
【0193】
本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、部分的適用または局所適用のために、たとえば、ジェル、クリーム及びローションの形態で、たとえば、皮膚及び粘膜への、たとえば、眼における局所適用のために、ならびに眼への適用のために、または嚢内のもしくは脊髄内の適用のために製剤化することができる。局所投与は、経皮送達のために、及び眼もしくは粘膜への投与のために、または吸入療法のために熟考される。単独での、または他の薬学上許容できる賦形剤との組み合わせでの抗体の点鼻液も投与することができる。
【0194】
イオン導入装置及び電気泳動装置を含む経皮貼付剤は当業者に周知であり、抗体を投与するのに使用することができる。たとえば、そのような貼付剤は、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010,715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、及び同第5,860,957にて開示されている。
【0195】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体を含む医薬組成物は凍結乾燥した粉末であり、それは溶液、エマルション及び他の混合物として投与するために再構成することができる。それはまた再構成され、固体またはゲルとして製剤化されてもよい。凍結乾燥した粉末は、本明細書に記載されている抗体または薬学上許容できるその誘導体を好適な溶媒に溶解することによって調製される。一部の実施形態では、凍結乾燥した粉末は無菌である。溶媒は、粉末または粉末から調製される再構成溶液の安定性または他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含有してもよい。使用されてもよい賦形剤には、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の好適な作用物質が挙げられるが、これらに限定されない。溶媒は、一実施形態では、ほぼ中性のpHでの、たとえば、クエン酸塩、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウムのような緩衝液、または当業者に既知の他のそのような緩衝液も含有してもよい。当業者に既知の標準条件下での溶液のその後の無菌濾過とそれに続く凍結乾燥によって所望の製剤が提供される。一実施形態では、得られた溶液は凍結乾燥のためのバイアルに分配されるであろう。各バイアルは単回投与量または複数回投与量の化合物を含有するであろう。凍結乾燥した粉末は、たとえば、約4℃~室温のような適当な条件下で保存することができる。この凍結乾燥した粉末の注射用水による再構成によって非経口投与で使用する製剤が提供される。再構成については、凍結乾燥した粉末を無菌水または他の好適なキャリアに加える。正確な量は選択した化合物に左右される。そのような量は経験的に決定することができる。
【0196】
本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体及び本明細書に記載されている他の組成物が治療される対象の特定の組織、受容体または身体の他の領域を標的とするようにそれらを製剤化することもできる。多数のそのような標的化する方法は当業者に周知である。そのような標的化する方法はすべて本組成物での使用のために本明細書で熟考される。標的化する方法の非限定例については、たとえば、それらのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、及び同第5,709,874号を参照のこと。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体は腫瘍に対して標的指向化される。
【0197】
生体内投与のために使用される組成物は無菌であることができる。これは、たとえば、無菌の濾過膜を介した濾過によって容易に達成される。
【0198】
6.4 使用方法及び使用
別の態様では、本開示は本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を用いて対象を治療する方法を提供する。TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)機能の阻害から利益が得られる対象における任意の疾患または障害は、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を用いて治療することができる。本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は腫瘍に対する免疫系の寛容を阻害するのに特に有用であるので、がんを伴う対象に免疫療法として使用することができる。たとえば、特定の実施形態では、本開示は対象にて抗原に応答したT細胞の活性化を高める方法を提供し、該方法は本明細書で開示されているような、有効量の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその医薬組成物を対象に投与することを含む。特定の実施形態では、本開示は対象にてがんを治療する方法を提供し、該方法は本明細書で開示されているような、有効量の抗体またはその医薬組成物を対象に投与することを含む。特定の実施形態では、本開示はがんまたは感染性疾患の治療方法で使用するための本明細書で開示されているような抗体またはその医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、本開示は薬物として使用するための本明細書で開示されているような抗体またはその医薬組成物を提供する。別の実施形態では、本開示はがんまたは感染性疾患を治療するための薬物を調製するために本明細書で開示されているような抗体またはその医薬組成物を提供する。
【0199】
本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体または医薬組成物で治療することができるがんには限定しないで、固形腫瘍、血液癌(たとえば、白血病、リンパ腫、骨髄腫、たとえば、多発性骨髄腫)及び転移病変が挙げられる。一実施形態では、がんは固形腫瘍である。固形腫瘍に例には、種々の臓器系の悪性腫瘍、たとえば、肉腫及び癌腫、たとえば、腺癌、たとえば、肺、乳腺、卵巣、リンパ、消化管(たとえば、結腸)、肛門、生殖器及び尿生殖路(たとえば、腎臓、尿路上皮、膀胱細胞、前立腺)、咽頭、CNS(たとえば、脳、神経またはグリア細胞)、頭頚部、皮膚(たとえば、黒色腫)及び膵臓を冒すもの、と同様に、たとえば、結腸癌、直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺癌(たとえば、非小細胞肺癌または小細胞肺癌)、小腸の癌及び食道の癌のような悪性腫瘍を含む腺癌が挙げられる。がんは、早期、中期、末期または転移癌であってもよい。特定の実施形態では、がんは上昇したPD-1活性(たとえば、上昇したPD-1の発現)に関連する。
【0200】
一実施形態では、がんは、肺癌(たとえば、肺腺癌または非小細胞肺癌(NSCLC)(たとえば、扁平上皮組織構造及び/または非扁平上皮組織構造を伴うNSCLC、またはNSCLC腺癌))、黒色腫(たとえば、進行した黒色腫)、腎臓癌(たとえば、腎細胞癌)、肝臓癌(たとえば、肝細胞癌腫)、骨髄腫(たとえば、多発性骨髄腫)、前立腺癌、乳癌(たとえば、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体またはHer2/neuの1、2またはすべてを発現しない乳癌、たとえば、トリプルネガティブ乳癌)、卵巣癌、結腸直腸癌、膵臓癌、頭頚部の癌(たとえば、頭頚部の扁平上皮癌(HNSCC)、肛門癌、胃食道癌(たとえば、食道扁平上皮癌腫)、中皮腫、鼻咽頭癌、甲状腺癌、子宮頸癌、上皮癌、腹膜癌、またはリンパ増殖性疾患(たとえば、移植後リンパ増殖性疾患)から選択される。一実施形態では、がんはNSCLCである。一実施形態では、がんは腎細胞癌である。一実施形態では、がんは卵巣癌である。具体的な実施形態では、卵巣癌はプラチナ製剤不応性の卵巣癌である。
【0201】
一実施形態では、がんは血液癌、たとえば、白血病、リンパ腫または骨髄腫である。一実施形態では、がんは白血病、たとえば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、急性骨髄芽球性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、慢性リンパ性白血病(CLL)またはヘアリー細胞白血病である。一実施形態では、がんはリンパ腫、たとえば、B細胞リンパ腫、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、活性化B細胞様(ABC)びまん性大B細胞リンパ腫、胚中心B細胞(GCB)びまん性大B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、再発性非ホジキンリンパ腫、難治性非ホジキンリンパ腫、再発性濾胞性非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、小リンパ性リンパ腫、濾胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、または節外性辺縁帯リンパ腫である。一実施形態では、がんは骨髄腫、たとえば、多発性骨髄腫である。
【0202】
別の実施形態では、がんは癌腫(たとえば、進行したまたは転移した癌腫)、黒色腫または肺癌腫、たとえば、非小細胞肺癌腫から選択される。
【0203】
一実施形態では、がんは肺癌、たとえば、肺腺癌、非小細胞肺癌または小細胞肺癌である。
【0204】
一実施形態では、がんは、黒色腫、たとえば、進行した黒色腫である。一実施形態では、がんは他の治療法に応答しない進行したまたは切除不能の黒色腫である。他の実施形態では、がんはBRAF変異(たとえば、BRAF V600変異)を持つ黒色腫である。さらに他の実施形態では、BRAF阻害剤(たとえば、ベムラフェニブまたはダブラフェニブ)の有無にかかわらず抗CTLA-4抗体(たとえば、イピリムマブ)で治療した後に本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体または医薬組成物が投与される。
【0205】
別の実施形態では、がんは肝細胞癌、たとえば、ウイルス感染、たとえば、慢性ウイルス性肝炎の有無にかかわらず、進行した肝細胞癌である。
【0206】
別の実施形態では、がんは前立腺癌、たとえば、進行した前立腺癌である。
【0207】
さらに別の実施形態では、がんは骨髄腫、たとえば、多発性骨髄腫である。
【0208】
さらに別の実施形態では、がんは腎臓癌、たとえば、腎細胞癌(RCC)(たとえば、転移RCC、明細胞腎細胞癌(CCRCC)または腎乳頭細胞癌)である。
【0209】
さらに別の実施形態では、がんは肺癌、黒色腫、腎臓癌、乳癌、結腸直腸癌、白血病、またはがんの転移病変から選択される。
【0210】
特定の実施形態では、本開示は、対象における感染性疾患を予防するまたは治療する方法を提供し、該方法は本明細書で開示されているような、有効量の抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその医薬組成物を対象に投与することを含む。一実施形態では、本明細書で提供されるのは、感染(たとえば、ウイルス感染、細菌感染、真菌感染、原虫感染または寄生虫感染)を防ぐ及び/または治療する方法である。方法に従って予防される及び/または治療される感染は本明細書で特定される感染性因子によって引き起こされ得る。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその組成物は対象に投与される唯一の活性剤である。一部の実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその組成物は感染性疾患の治療のために抗感染性介入(たとえば、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗真菌剤、または抗蠕虫剤)との併用で使用される。従って、一実施形態では、本発明は、感染性疾患を予防する及び/または治療する方法で使用するための本発明の抗体及び/または医薬組成物に関するものであり、任意でその際、抗体もしくは医薬組成物は対象に投与される唯一の活性剤であり、または抗体もしくは医薬組成物は抗感染性介入との併用で使用される。
【0211】
本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体または医薬組成物によって治療する及び/または予防することができる感染性疾患は、細菌、寄生虫、真菌、原虫及びウイルスを含む感染性因子が原因で生じる。具体的な実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体または医薬組成物によって治療され及び/または予防すされる感染性疾患はウイルスが原因で生じる。本明細書に記載されている方法に従って予防する及び/または治療することができるウイルス性疾患またはウイルス性感染症には、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、インフルエンザ(たとえば、A型インフルエンザまたはB型インフルエンザ)、水痘、アデノウイルス、I型単純ヘルペス(HSV-I)、II型単純ヘルペス(HSV-II)、牛疫、リノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス、アルボウイルス、ハンターウイルス、コクサッキーウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、天然痘、エプスタインバーウイルス、ヒト免疫不全ウイルスI型(HIV-I)、ヒト免疫不全ウイルスII型(HIV-II)、及び、たとえば、ウイルス性髄膜炎、脳炎、デング熱または天然痘のようなウイルス性疾患の病原体によって引き起こされるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0212】
予防する、及び/または治療することができる細菌性感染症には、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Staphylococcus aureus、Enterococcus faecalis、Proteus vulgaris、Staphylococcus viridans、及びPseudomonas aeruginosaによって引き起こされる感染症が挙げられる。本明細書に記載されている方法に従って予防し、及び/または治療することができる細菌(たとえば、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Staphylococcus aureus、Enterococcus faecalis、Proteus vulgaris、Staphylococcus viridans、及びPseudomonas aeruginosa)によって引き起こされる細菌性疾患には、マイコバクテリウムリケッチア症、マイコプラズマ、ナイセリア、S.pneumonia、Borrelia burgdorferi(ライム病)、Bacillus antracis(炭疽病)、破傷風、Streptococcus、Staphylococcus、マイコバクテリウム、百日咳、コレラ、腺ペスト、ジフテリア、クラミジア、S.aureus及びレジオネラが挙げられるが、これらに限定されない。
【0213】
本明細書に記載されている方法に従って予防する、及び/または治療することができる原虫によって引き起こされる原虫性疾患または原虫感染症には、リーシュマニア、コクシジウム症、トリパノソーマ症、住血吸虫症、またはマラリアが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されている方法に従って予防する、及び/または治療することができる寄生虫によって引き起こされる寄生虫性疾患または寄生虫感染症には、クラミジア症及びリケッチア症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
本明細書に記載されている方法に従って予防する、及び/または治療することができる真菌によって引き起こされる真菌性疾患または真菌感染症には、Candida感染、接合菌症、Candida乳腺炎、潜在的トリコスポロン血症を伴った進行性播種性トリコスポロン症、播種性カンジダ症、肺パラコクシジオイデス症、肺アスペルギルス症、 Pneumocystis carinii肺炎、クリプトコックス髄膜炎、コクシジオイデス髄膜脳炎及び脳脊髄血管炎、Aspergillus niger感染、 Fusarium角膜炎、副鼻腔真菌症、Aspergillus fumigatus心内膜炎、脛骨の軟骨発育不全症、Candida glabrata膣炎、口腔咽頭カンジダ症、X連鎖慢性肉芽腫性疾患、足白癬、皮膚カンジダ症、真菌性胎盤炎、播種性トリコスポロン症、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、真菌性角膜炎、Cryptococcus neoformans感染、真菌性腹膜炎、Curvularia geniculata感染、ブドウ球菌性眼内炎、スポロトリクム症、及び皮膚糸状菌症によって引き起こされるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
特定の実施形態では、これらの方法はさらに、対象に追加の治療剤を投与することを含む。特定の実施形態では、追加の治療剤は化学療法剤、放射線治療剤、またはチェックポイント標的化剤である。特定の実施形態では、化学療法剤は低メチル化剤(たとえば、アザシチジン)である。特定の実施形態では、チェックポイント標的化剤は、アンタゴニスト抗CTLA-4抗体、アンタゴニスト抗PD-L1抗体、アンタゴニスト抗PD-L2抗体、アンタゴニスト抗PD-1抗体、アンタゴニスト抗TIM-3抗体、アンタゴニスト抗LAG-3抗体、アンタゴニスト抗CEACAM1抗体、アゴニスト抗CD137抗体、アンタゴニスト抗TIGIT抗体、アンタゴニスト抗VISTA抗体、アゴニスト抗GITR抗体、及びアゴニスト抗OX40抗体から成る群から選択される。
【0216】
一実施形態では、本発明は本発明の方法で使用するための本発明の抗体及び/または医薬組成物に関するものであり、その際、該方法は対象に追加の治療剤を投与することを含む。一実施形態では、本発明は、(a)本発明の抗体及び/または医薬組成物と(b)薬物として使用するための追加の治療剤とに関する。一実施形態では、本発明は、(a)本発明の抗体及び/または医薬組成物と(b)がんの治療方法で使用するための追加の治療剤とに関する。さらなる実施形態では、本発明は(a)本発明の抗体及び/または医薬組成物と(b)追加の治療剤とを含む医薬組成物、キットまたはキットインパーツに関する。一実施形態では、追加の治療剤は化学療法剤、放射線治療剤、またはチェックポイント標的化剤である。
【0217】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている方法にて抗PD-1抗体が使用される。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はBristol-Myers Squibbによって開発されたBMS-936558またはMDX1106としても知られるニボルマブである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はMerck & Coによって開発されたラムブロリズマブまたはMK-3475としても知られるペムブロリズマブである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はCureTechによって開発されたCT-011としても知られるピジリズマブである。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はMedimmuneによって開発されたMEDI0680(AMP-514としても知られている)である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はNovartis Pharmaceuticalsによって開発されたPDR001である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はRegeneron Pharmaceuticalsによって開発されたREGN2810である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はPfizerによって開発されたPF-06801591である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はBeiGeneによって開発されたBGB-A317である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はAnaptysBio and Tesaroによって開発されたTSR-042である。特定の実施形態では、抗PD-1抗体はHengruiによって開発されたSHR-1210である。
【0218】
本明細書で開示されている治療方法で使用されてもよい抗PD-1抗体のさらなる非限定例は、そのすべてがあらゆる目的で全体として参照によって本明細書に組み入れられる以下の特許及び特許出願:米国特許第6,808,710号;米国特許第7,332,582号;米国特許第7,488,802号;米国特許第8,008,449号;米国特許第8,114,845号;米国特許第8,168,757号;米国特許第8,354,509号;米国特許第8,686,119号;米国特許第8,735,553号;米国特許第8,747,847号;米国特許第8,779,105号;米国特許第8,927,697号;米国特許第8,993,731号;米国特許第9,102,727号;米国特許第9,205,148号;U.S.公開番号US2013/0202623A1;U.S.公開番号US2013/0291136A1;U.S.公開番号US2014/0044738A1;U.S.公開番号US014/0356363A1;U.S.公開番号US2016/0075783A1;及びPCT公開番号WO2013/033091A1;PCT公開番号WO2015/036394A1;PCT公開番号WO2014/179664A2;PCT公開番号WO2014/209804A1;PCT公開番号WO2014/206107A1;PCT公開番号WO2015/058573A1;PCT公開番号WO2015/085847A1;PCT公開番号WO2015/200119A1;PCT公開番号WO2016/015685A1;及びPCT公開番号WO2016/020856A1にて開示されている。
【0219】
特定の実施形態では、抗PD-L1抗体は本明細書で開示されている方法にて使用される。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体はGenentechによって開発されたアテゾリズマブである。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体はAstraZeneca、Celgene及びMedimmuneによって開発されたデュルバルマブである。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体はMerck Serono及びPfizerによって開発されたMSB0010718Cとしても知られるアベルマブである。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体はBristol-Myers Squibbによって開発されたMDX-1105である。特定の実施形態では、抗PD-L1抗体はAmplimmune及びGSKによって開発されたAMP-224である。
【0220】
本明細書で開示されている治療方法で使用されてもよい抗PD-L1抗体の非限定例は、そのすべてがあらゆる目的で全体として参照によって本明細書に組み入れられる以下の特許及び特許出願:米国特許第7,943,743号;米国特許第8,168,179号;米国特許第8,217,149号;米国特許第8,552,154号;米国特許第8,779,108号;米国特許第8,981,063号;米国特許第9,175,082号;U.S.公開番号US2010/0203056A1;U.S.公開番号US2003/0232323A1;U.S.公開番号US2013/0323249A1;U.S.公開番号US2014/0341917A1;U.S.公開番号US2014/0044738A1;U.S.公開番号US2015/0203580A1;U.S.公開番号US2015/0225483A1;U.S.公開番号US2015/0346208A1;U.S.公開番号US2015/0355184A1;及びPCT公開番号WO2014/100079A1;PCT公開番号WO2014/022758A1;PCT公開番号WO2014/055897A2;PCT公開番号WO2015/061668A1;PCT公開番号WO2015/109124A1;PCT公開番号WO2015/195163A1;PCT公開番号WO2016/000619A1;及びPCT公開番号WO2016/030350A1にて開示されている。
【0221】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、たとえば、IDO(インドールアミン-(2,3)-ジオキシゲナーゼ)及び/またはTDO(トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ)のような免疫調節酵素(複数可)を標的とする化合物との併用で対象に投与される。従って、一実施形態では、追加の治療剤は免疫調節酵素(複数可)を標的とする化合物、たとえば、インドールアミン-(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)の阻害剤である。特定の実施形態では、そのような化合物は、エパカドスタット(Incyte Corp;たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるWO2010/005958を参照のこと)、F001287(Flexus Biosciences/Bristol-Myers Squibb)、インドキシモド(NewLink Genetics)、及びNLG919(NewLink Genetics)から成る群から選択される。一実施形態では、化合物はエパカドスタットである。別の実施形態では、化合物はF001287である。別の実施形態では、化合物はインドキシモドである。別の実施形態では、化合物はNLG919である。具体的な実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体はがんを治療するためにIDO阻害剤との併用で対象に投与される。がんを治療するのに使用するために本明細書に記載されているIDO阻害剤は、たとえば、錠剤、丸薬またはカプセル剤のような、医薬組成物の固形剤形で存在し、その際、医薬組成物はIDO阻害剤及び薬学上許容できる賦形剤を含む。そのようなものとして、本明細書に記載されているような抗体及び本明細書に記載されているようなIDO阻害剤は、別々の剤形として別々に、順次、または同時に投与することができる。一実施形態では、抗体は非経口で投与され、IDO阻害剤は経口で投与される。特定の実施形態では、阻害剤は、エパカドスタット(Incyte Corp)、F001287(Flexus Biosciences/Bristol-Myers Squibb)、インドキシモド(NewLink Genetics)、及びNLG919(NewLink Genetics)から成る群から選択される。エパカドスタットは、あらゆる目的で全体として参照によって本明細書に組み入れられるPCT公開番号WO2010/005958に記載されている。一実施形態では、阻害剤はエパカドスタットである。別の実施形態では、阻害剤はF001287である。別の実施形態では、阻害剤はインドキシモドである。別の実施形態では、阻害剤はNLG919である。
【0222】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体はワクチンとの併用で対象に投与される。ワクチンは、たとえば、ペプチドワクチン、DNAワクチンまたはRNAワクチンであることができる。特定の実施形態では、ワクチンは熱ショックタンパク質に基づく腫瘍ワクチンまたは熱ショックタンパク質に基づく病原体ワクチンである。特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、全体として参照によって本明細書に組み入れられるWO2016/183486に記載されたようなワクチン(たとえば、対象に由来するがんに存在するがん特異的な変異を含む少なくとも1つの合成ペプチドを含むワクチン)との併用で対象に投与される。特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、熱ショックタンパク質に基づく腫瘍ワクチンとの併用で対象に投与される。熱ショックタンパク質(HSP)はあらゆる種にわたって普遍的に見いだされる高度に保存されたタンパク質のファミリーである。その発現は、熱ショックまたは毒素への曝露、酸化的ストレスまたはグルコース枯渇を含む他の形態のストレスの結果、はるかに高いレベルに強力に誘導することができる。分子量に従って5つのファミリー:HSP-110、-90、-70、-60及び-28が分類されている。HSPはマクロファージ及び樹状細胞(DC)のような抗原提示細胞(APC)における交差提示経路を介して免疫原性のペプチドを送達し、T細胞の活性化をもたらす。HSPは腫瘍特異的な免疫を誘導することができる複合体を形成する腫瘍関連抗原ペプチドのシャペロンキャリアとして機能する。死にかけている腫瘍細胞からの放出の際、HSP・抗原複合体は抗原提示細胞(APC)に取り込まれ、抗原はMHCクラスI及びクラスIIの分子に結合するペプチドに処理され、抗腫瘍CD8+及びCD4+のT細胞の活性化をもたらす。腫瘍調製物に由来するHSP複合体によって引き出される免疫は各対象のがんが発現する独特の抗原ペプチドのレパトアに特異的に向けられる。従って、一実施形態では、本発明は(a)本発明の抗体及び/または医薬組成物と、(b)薬物として使用するための、たとえば、がんの治療方法で使用するためのワクチンとに関する。一実施形態では、本発明は、(a)本発明の抗体及び/または医薬組成物と、(b)ワクチンとを含む医薬組成物、キットまたはキットオブパーツに関する。一実施形態では、ワクチンは熱ショックタンパク質に基づく腫瘍ワクチンである。一実施形態では、ワクチンは熱ショックタンパク質に基づく病原体ワクチンである。
【0223】
熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)は抗原ペプチドと非共有結合で複合体形成した熱ショックタンパク質から成るタンパク質ペプチド複合体である。HSPPCは先天性の及び適応的な免疫応答の双方を引き出す。具体的な実施形態では、抗原ペプチド(複数可)は治療されるがんに対して抗原性を示す。HSPPCは膜受容体(主としてCD91)またはToll様受容体を介して効率的にAPCによって捕捉される。HSPPCの内部移行はケモカイン及びサイトカインの産生を伴うAPCの機能的成熟を生じ、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性化、単球及びTh1及びTh2が介在する免疫応答をもたらす。特定の実施形態では、本明細書で開示されている方法にて使用されるHSPPCは抗原ペプチドと複合体形成したストレスタンパク質のhsp60、hsp70またはhsp90ファミリーに由来する1以上の熱ショックタンパク質を含む。特定の実施形態では、HSPPCはhsc70、hsp70、hsp90、hsp110、grp170、gp96、カルレチクリンまたはそれらの2以上の組み合わせを含む。
【0224】
具体的な実施形態では、熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)は組換え抗原ペプチドと複合体形成した組換え熱ショックタンパク質(たとえば、hsp70またはhsc70)またはそのペプチド結合ドメインを含む。組換え熱ショックタンパク質は、組換えDNA技術によって、たとえば、それぞれ全体として参照によって本明細書に組み入れられるDworniczak及びMirault,Nucleic Acids Res.15:5181-5197(1987)ならびにGenBank受入番号P11142及び/またはY00371に記載されているヒトhsc70を用いて作製することができる。特定の実施形態では、Hsp70の配列は、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるHunt及びMorimoto,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82(19),6455-6459(1985)ならびにGenBank受入番号P0DMV8及び/またはM11717に記載されたとおりである。抗原性ペプチドも当該技術で既知の組換えDNA法によって調製することができる。
【0225】
特定の実施形態では、抗原性ペプチドは修飾されたアミノ酸を含む。特定の実施形態では、修飾されたアミノ酸は翻訳後修飾を含む。特定の実施形態では、修飾されたアミノ酸は翻訳後修飾の模倣体を含む。特定の実施形態では、修飾されたアミノ酸は側鎖のヒドロキシルまたはアミンでリン酸化されているTyr、Ser、Thr、Arg、Lys、またはHisである。特定の実施形態では、修飾されたアミノ酸は側鎖のヒドロキシルまたはアミンでリン酸化されているTyr、Ser、Thr、Arg、Lys、またはHisの模倣体である。
【0226】
具体的な実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体はがんを治療するために熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)、たとえば、熱ショックタンパク質ペプチド複合体-96(HSPPC-96)との併用で対象に投与される。HSPPC-96は抗原性ペプチドと複合体形成した96kDaの熱ショックタンパク質(HSP)であるgp96を含む。HSPPC-96は対象の腫瘍から製造されるがんの免疫療法であり、がんの抗原性「指紋」を含有する。特定の実施形態では、この指紋は特定の対象の特有のがん細胞にのみ存在する独特の抗原を含有し、ワクチンの注射は特有のがんの指紋を持つ細胞を認識し、攻撃するように対象の免疫系を刺激するように意図される。従って、一実施形態では、本発明は、薬物として使用するための及び/またはがんの治療方法で使用するための熱ショックタンパク質ペプチド複合体(HSPPC)との併用での本発明の抗体及び/または医薬組成物に関する。
【0227】
特定の実施形態では、HSPPC、たとえば、HSPPC-96は対象の腫瘍組織から作製される。具体的な実施形態では、HSPPC(たとえば、HSPPC-96)は治療されるがんの種類またはその転移の腫瘍から作製される。別の具体的な実施形態では、HSPPC(たとえば、HSPPC-96)は治療される対象にとって自己である。特定の実施形態では、腫瘍組織は壊死性ではない腫瘍組織である。特定の実施形態では、少なくとも1グラム(たとえば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10グラム)の壊死性ではない腫瘍組織を使用してワクチン投与計画を作製する。特定の実施形態では、外科的切除の後、ワクチン調製で使用するのに先立って壊死性ではない腫瘍組織を凍結する。一部の実施形態では、HSPPC、たとえば、HSPPC-96は精製法によって腫瘍組織から単離され、濾過され、注射用ワクチンに調製される。特定の実施形態では、対象は6~12用量のHSPPC、たとえば、HSPPC-96を投与される。そのような実施形態では、HSPPC、たとえば、HSPPC-96は最初の4用量については毎週投与され、次いで追加の2~8用量については2週に1回投与される。
【0228】
本明細書に記載されている方法に従って使用されてもよいHSPPCのさらなる例は、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる以下の特許及び特許出願:米国特許第6,391,306号、同第6,383,492号、同第6,403,095号、同第6,410,026号、同第6,436,404号、同第6,447,780号、同第6,447,781号、及び同第6,610,659号にて開示されている。
【0229】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3抗体はアジュバントとの併用で対象に投与される。治療の背景に応じて種々のアジュバントを使用することができる。適当なアジュバントの非限定例には、完全フロイントアジュバント(CFA)、不完全フロイントアジュバント(IFA)、モンタニドISA(不完全Seppicアジュバント)、Ribiアジュバント系(RAS)、Titer Max、ムラミルペプチド、 Syntexアジュバント製剤(SAF)、カリミョウバン(水酸化アルミニウム及び/またはリン酸アルミニウム)、アルミニウム塩アジュバント、Gerbu(登録商標)アジュバント、ニトロセルロース吸収抗原、内包または封入抗原、3 De-O-アシル化モノホスホリル脂質A(3 D-MPL)、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、トール様受容体(TLR)リガンド、マンナン結合レクチン(MBL)リガンド、STINGアゴニスト、サポニンのような免疫刺激複合体、Quil A、QS-21、QS-7、ISCOMATRIX、等が挙げられるが、これらに限定されない。他のアジュバントには、CpGオリゴヌクレオチド及びポリ(A)やポリ(C)のような二本鎖RNA分子が挙げられる。上記アジュバントの組み合わせが使用されてもよい。たとえば、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,645,495号;同第7,029,678号;及び同第7,858,589号を参照のこと。一実施形態では、本明細書で使用されるアジュバントはQS21STIMULONである。
【0230】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3抗体は、TCRを含む追加の治療剤との併用で対象に投与される。特定の実施形態では、追加の治療剤は可溶性TCRである。特定の実施形態では、追加の治療剤はTCRを発現している細胞である。従って、一実施形態では、本発明は、薬物として使用するための及び/またはがんの治療方法で使用するためのTCRを含む追加の治療剤との併用での本発明の抗体及び/または医薬組成物に関する。
【0231】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3抗体は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現している細胞との併用で対象に投与される。特定の実施形態では、細胞はT細胞である。
【0232】
特定の実施形態では、本明細書で開示されている抗TIM-3抗体は、TCR模倣抗体との併用で対象に投与される。特定の実施形態では、TCR模倣抗体はペプチド・MHC複合体に特異的に結合する抗体である。TCR模倣抗体の非限定例については、たとえば、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第9,074,000号及び米国公開番号US2009/0304679A1及びUS2014/0134191A1を参照のこと。
【0233】
抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体及び追加の治療剤(たとえば、化学療法剤、放射線治療剤、チェックポイント標的化剤、IDO阻害剤、ワクチン、アジュバント、可溶性TCR、TCRを発現している細胞、キメラ抗原受容体を発現している細胞、及び/またはTCR模倣抗体)は、別の剤形として別々に、順次、または同時に投与することができる。一実施形態では、抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は非経口で投与され、IDO阻害剤は経口で投与される。
【0234】
本明細書に記載されている抗体または医薬組成物は種々の経路によって対象に送達されてもよい。これらには、非経口、鼻内、気管内、経口、皮内、局所、筋肉内、腹腔内、経皮、静脈内、クモ膜下、腫瘍内、結膜、動脈内、及び皮下の経路が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、抗体または医薬組成物は静脈内に送達される。たとえば、吸入具または吸入器、及びスプレーとしての使用のためのエアロゾル化剤による製剤の使用によって肺への投与を採用することもできる。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体または医薬組成物は皮下にまたは静脈内に送達される。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体または医薬組成物は動脈内に送達される。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体または医薬組成物は腫瘍内に送達される。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体または医薬組成物は腫瘍流入領域リンパ節に送達される。
【0235】
状態の治療及び/または予防に有効であろう抗体または組成物の量は疾患の性質に左右されるであろうが、標準の臨床的な技法によって決定することができる。
【0236】
組成物で採用される正確な用量は、投与の経路及びそれが原因で生じる感染または疾患の重症度にも左右されるであろうが、主治医の判断及び各対象の環境に従って決定されるべきである。たとえば、有効な用量は、投与の手段、標的部位、患者の生理的な状況(年齢、体重及び身体の状態を含む)、患者がヒトであるか、または動物であるか、投与される他の薬物、または処置が予防上であるか、または治療上であるかに応じても変化してもよい。普通、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳類を含む非ヒト哺乳類も治療することができる。治療の投与量は安全性及び有効性を最適化するように最適に用量設定される。
【0237】
たとえば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫沈降、またはウエスタンブロットのような免疫アッセイを含む、当業者に既知の従来の免疫組織学的な方法を用いて生体試料にてTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)タンパク質のレベルをアッセイするのに本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を使用することができる。好適な抗体アッセイの標識は当該技術で既知であり、それには、たとえば、グルコースオキシダーゼのような酵素標識、たとえば、ヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(H)、インジウム(121In)、及びテクネチウム(99Tc)のような放射性同位元素、たとえば、ルミノールのような発光標識、及び、たとえば、フルオレセイン及びローダミンのような蛍光標識、ならびにビオチンが挙げられる。そのような標識を用いて本明細書に記載されている抗体を標識することができる。或いは、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を認識する二次抗体を標識し、抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体と組み合わせて使用してTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)タンパク質のレベルを検出することができる。従って、一実施形態では、本発明は生体試料におけるTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)タンパク質の試験管内検出のための本発明の抗体の使用に関する。さらなる実施形態では、本発明は、試験管内での生体試料にてTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)タンパク質のレベルをアッセイし、及び/または検出するための本発明の抗TIM-3抗体の使用に関するものであり、任意でその際、抗TIM-3抗体は放射性核種または検出可能な標識に結合され、及び/または本明細書に記載されている標識を持ち、及び/または免疫組織学的な方法が使用される。
【0238】
TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)タンパク質の発現レベルをアッセイすることは、第1の生体試料にて直接(たとえば、絶対的なタンパク質レベルを測定するまたは推定することによって)または相対的に(たとえば、第2の生体試料における疾患関連のタンパク質レベルと比較することによって)TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)タンパク質のレベルを質的にまたは量的に測定するまたは推定することを含むように意図される。第1の生体試料におけるTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)ポリペプチドの発現レベルを測定し、または推定し、及び標準のTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)タンパク質のレベルと比較することができ、標準は、疾病を有していない個体から得られる第2の生体試料から取り出され、または疾病を有していない個体の集団に由来するレベルを平均することによって決定される。当該技術で十分に理解されるように、いったん「標準」のTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)ポリペプチドのレベルが知られると、それを比較のための標準として繰り返し使用することができる。従って、さらなる実施形態では、本発明は、免疫組織学的な方法によって生体試料におけるTIM-3タンパク質、たとえば、ヒトTIM-3タンパク質のレベルを質的にまたは量的に測定するまたは推定することを含む、生体試料にてTIM-3タンパク質のレベル、たとえば、ヒトTIM-3タンパク質のレベルをアッセイする及び/または検出する試験管内の方法に関する。
【0239】
本明細書で使用されるとき、用語「生体試料」は、潜在的にTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を発現している対象、細胞株、組織または細胞の他の供給源から得られる生体試料を指す。動物(たとえば、ヒト)から組織生検及び体液を得る方法は当該技術で周知である。生体試料には末梢血単核細胞が含まれる。
【0240】
本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、技量のある熟練者に周知であり、標準である、且つ本記載に基づいた試験管内及び生体内での適用を含む、予後診断、診断、モニタリング及びスクリーニングの適用に使用することができる。免疫系の状況及び/または免疫応答の試験管内でのアセスメント及び評価のための予後診断、診断、モニタリング及びスクリーニングのアッセイ及びキットを利用して、免疫系の機能障害を有することが知られているもしくは有すると疑われるものを含む、または予想されるもしくは所望の免疫系の応答、抗原反応もしくはワクチン反応に関して患者試料を評価するように予測し、診断し、且つモニターしてもよい。免疫系の状況及び/または免疫応答のアセスメント及び評価は、薬剤の臨床試験について、または異なる作用物質または抗体に対比させてその組み合わせを含む、特定の化学療法剤、放射線治療剤もしくは抗体の投与について、患者の好適性を判定することにおいても有用である。この種の予後診断上及び診断上のモニタリング及びアセスメントは乳癌におけるHER2タンパク質に対する抗体を利用してすでに実践中であり(HercepTest(商標)、Dako)、アッセイも用いてHerceptin(登録商標)を用いた抗体療法について患者を評価する。生体内の適用には、有向細胞療法及び免疫系の調節及び免疫応答の放射線画像解析が挙げられる。従って、一実施形態では、本発明は、診断剤として使用するための本発明の抗TIM-3抗体及び/または医薬組成物に関する。一実施形態では、本発明は、免疫系の機能障害を有するまたは有すると疑われる対象を、及び/または予想されるまたは所望の免疫系の応答、抗原反応またはワクチン反応に関して対象を予測する、診断する及び/またはモニタリングする方法で使用するための本発明の抗TIM-3抗体及び/または医薬組成物に関する。別の実施形態では、本発明は、試験管内で対象の生体試料にてヒトTIM-3タンパク質のレベルをアッセイする及び/または検出することによって免疫系の機能障害を有するまたは有すると疑われる対象を、及び/または予想されるまたは所望の免疫系の応答、抗原反応またはワクチン反応に関して対象を予測する、診断する及び/またはモニタリングするための本発明の抗TIM-3抗体の使用に関する。
【0241】
一実施形態では、抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は生検試料の免疫組織化学法で使用することができる。一実施形態では、方法は試験管内の方法である。別の実施形態では、抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を用いてTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)のレベルまたはその膜表面上にTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を含有する細胞のレベルを検出することができ、次いでそのレベルを特定の疾患の症状に結び付けることができる。本明細書に記載されている抗TIM-3抗体は検出可能なまたは機能的な標識を持ってもよく、及び/または放射性核種または検出可能な標識に結合されてもよい。蛍光標識が使用される場合、当該技術で既知の現在利用できる顕微鏡及び蛍光活性化細胞選別解析(FACS)、または双方の方法手順の組み合わせを利用して特異的な結合メンバーを特定し、定量してもよい。本明細書に記載されている抗TIM-3抗体は蛍光標識を持ってもよく、またはそれに結合されてもよい。例となる蛍光標識には、たとえば、反応性で且つ結合されるプローブ、たとえば、アミノクマリン、フルオレセイン及びテキサスレッド、アレクサフルオル色素、Cy色素及びDyLight色素が挙げられる。抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、放射活性標識または放射性核種、たとえば、同位元素H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、90Y、99Tc、111In、117Lu、121I、124I、125I、131I、198Au、211At、213Bi、225Ac及び186Reを持ってもよいし、またはそれに結合されてもよい。放射活性標識が使用される場合、現在利用可能な当該技術で既知の計数手段を利用してTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)への抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の特異的な結合を特定し、定量してもよい。標識が酵素である場合、現在利用されている当該技術で知られるような比色法、分光光度法、蛍光分光光度法、電流測定法、または気体定量法のいずれかによって検出が達成されてもよい。これは、抗体とTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)との間で複合体の形成が可能である条件下で試料または対照試料を抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体と接触させることによって達成することができる。抗体とTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)との間で形成される複合体を検出し、試料及び対照にて比較する。TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)について本明細書に記載されている抗体の特異的な結合という観点から、抗体を用いて細胞の表面上におけるTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)の発現を特異的に検出することができる。本明細書に記載されている抗体を用いて免疫親和性精製を介してTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を精製することができる。本明細書に含められるのはまた、たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)またはTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)/TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)リガンドの複合体の存在の程度の定量的解析のために試験キット、キットまたはキットオブパーツの形態で調製されてもよいアッセイシステムである。システム、試験キット、キットまたはキットオブパーツは標識された成分、たとえば、標識された抗体と1以上の追加の免疫化学試薬とを含んでもよい。
【0242】
6.5 ポリヌクレオチド、ベクター及び抗TIM-3抗体を作製する方法
別の態様では、本明細書で提供されるのは、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原に特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその断片(たとえば、軽鎖可変領域及び/または重鎖可変領域)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、及びベクター、たとえば、宿主細胞(たとえば、E.coli及び哺乳類細胞)での組換え発現のためにそのようなポリヌクレオチドを含むベクターである。本明細書で提供されるのは、本明細書で提供される抗体のいずれかの重鎖及び/または軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、と同様にそのようなポリヌクレオチド配列を含むベクター、たとえば、宿主細胞、たとえば、哺乳類細胞での効率的な発現のための発現ベクターである。
【0243】
本明細書で使用されるとき、「単離された」ポリヌクレオチドまたは核酸分子は、核酸分子の天然の供給源にて(たとえば、マウスまたはヒトにて)存在する他の核酸分子から分離されるものである。さらに、「単離された」核酸分子、たとえば、cDNA分子は、組換え法で生産された場合、他の細胞性物質もしくは培養培地を実質的に含まなくてもよく、または化学合成された場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。たとえば、言語「実質的に含まない」は、約15%、10%、5%、2%、1%、0.5%または0.1%未満の(特に約10%未満の)他の物質、たとえば、細胞性物質、培養培地、化学的前駆体及び/または他の化学物質を有するポリヌクレオチドまたは核酸分子の調製を含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体をコードする核酸分子(複数可)は単離され、精製される。
【0244】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)ポリペプチドに特異的に結合し、且つ本明細書に記載されているようなアミノ酸配列を含む抗体、と同様にTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)ポリペプチドへの結合についてそのような抗体と競合する(たとえば、用量依存性に)、またはそのような抗体と同じエピトープに結合する抗体をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。
【0245】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体の軽鎖または重鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。ポリヌクレオチドは、本明細書に記載されている抗体のVLのFR及びCDRを含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列(たとえば、表1を参照のこと)、または本明細書に記載されている抗体のVHのFR及びCDRを含む重鎖をコードするヌクレオチド配列(たとえば、表1を参照のこと)を含むことができる。
【0246】
本明細書で提供されるのはまた、たとえば、コドン/RNAの最適化、異種シグナル配列による置き換え及びmRNA不安定要素の除去によって最適化される抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体をコードするポリヌクレオチドである。コドンの変更を導入し、及び/またはmRNAにて阻害領域を除去することによって組換え発現のために最適化された、抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体をコードする核酸またはその断片(たとえば、軽鎖、重鎖、VHドメインまたはVLドメイン)を生成する方法は、適切に、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる、たとえば、米国特許第5,965,726号;同第6,174,666号;同第6,291,664号;同第6,414,132号;及び同第6,794,498号に記載された最適化法を適応させることによって実施することができる。たとえば、核酸配列によってコードされているアミノ酸を変化させることなくRNA内での潜在的なスプライス部位及び不安定要素(たとえば、A/TまたはA/Uが豊富な要素)を変異させて組換え発現についてのRNAの安定性を高めることができる。変化は、たとえば、同一アミノ酸についての代替コドンを用いる遺伝子コードの縮重を利用する。一部の実施形態では、保存的変異、たとえば、元々のアミノ酸と類似の化学構造及び特性及び/または機能を持つ類似のアミノ酸をコードするように1以上のコドンを変化させることが望ましい可能性がある。そのような方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによってコードされる抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の発現に比べて抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片の発現を少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、または100倍以上高めることができる。
【0247】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片(たとえば、VLドメインまたはVHドメイン)をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列を、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片(たとえば、VLドメインまたはVHドメイン)をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンス(たとえば、相補性の)ポリヌクレオチドとハイブリッド形成させることができる。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は高度にストリンジェントな条件下で本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドとハイブリッド形成する。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片をコードする最適化されたポリヌクレオチド配列は、高度に、中程度に、または低度にストリンジェントな条件下で本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片をコードする最適化されていないポリヌクレオチド配列のアンチセンスポリヌクレオチドとハイブリッド形成する。ハイブリッド形成の条件に関する情報は記載されており、たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許出願番号US2005/0048549(段落72~73)を参照のこと。
【0248】
当該技術で既知の方法によってポリヌクレオチドを得ることができ、ポリヌクレオチドの配列を決定することができる。本明細書に記載されている抗体、たとえば、表1に記載されている抗体及びこれら抗体の修飾型をコードするヌクレオチド配列は当該技術で周知の方法を用いて決定することができ、すなわち、特定のアミノ酸をコードすることが知られるヌクレオチドのコドンは、抗体をコードする核酸を生成するような方法で構築される。抗体をコードするそのようなポリヌクレオチドは化学的に合成されたオリゴヌクレオチド(たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるKutmeier,G.et al.,(1994),BioTechniques,17:242-6に記載されたような)から構築することができ、手短には、それには抗体をコードする配列の部分を含有する重複するオリゴヌクレオチドの合成、それらオリゴヌクレオチドのアニーリング及びライゲーション、その後ライゲーションしたオリゴヌクレオチドのPCRによる増幅が関与する。
【0249】
或いは、本明細書に記載されている抗体をコードするポリヌクレオチドは当該技術で周知の方法(たとえば、PCR及び他の分子クローニング法)を用いて好適な供給源(たとえば、ハイブリドーマ)に由来する核酸から生成することができる。たとえば、既知の配列の3’及び5’末端にハイブリッド形成可能な合成プライマーを用いたPCR増幅は対象とする抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られるゲノムDNAを用いて実施することができる。そのようなPCR増幅法を用いて抗体の軽鎖及び/または重鎖をコードする配列を含む核酸を得ることができる。そのようなPCR増幅法を用いて抗体の軽鎖可変領域及び/または重鎖可変領域をコードする配列を含む核酸を得ることができる。増幅した核酸を宿主細胞における発現のために及びさらなるクローニングのためにベクターにクローニングし、たとえば、キメラ抗体及びヒト化抗体を生成することができる。
【0250】
特定の抗体をコードする核酸を含有するクローンは入手できないが、抗体分子の配列が分かっているのであれば、免疫グロブリンをコードする核酸は、化学的に合成することができ、または配列の3’及び5’末端にハイブリッド形成可能な合成プライマーを用いたPCR増幅によって、もしくは特定の遺伝子配列に特異的なオリゴヌクレオチドプローブを用いてクローニングして、たとえば、抗体をコードするcDNAクローンをcDNAライブラリから特定することによって、好適な供給源(たとえば、本明細書に記載されている抗体を発現するように選択されたハイブリドーマ細胞のような抗体を発現している組織または細胞から生成される抗体cDNAライブラリまたはcDNAライブラリ、またはそれから単離される核酸、好ましくはポリA+RNA)から得ることができる。PCRによって生成された増幅した核酸は、次いで当該技術で周知の方法を用いて複製可能なクローニングベクターにクローニングすることができる。
【0251】
本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体をコードするDNAは、従来の手順(たとえば、抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)を用いて容易に単離し、配列決定することができる。ハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの供給源として役立つことができる。いったん単離されると、DNAを発現ベクターに入れることができ、次いで、たとえば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(たとえば、CHO GSシステム(商標)(Lonza)に由来するCHO細胞)、またはそうでなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない骨髄腫細胞のような宿主細胞に形質移入し、組換え宿主細胞にて抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の合成を得る。
【0252】
全抗体を生成するには、VH及びVLのヌクレオチド配列、制限部位及び制限部位を保護する隣接配列を含むPCRプライマーを用いてscFvクローンにてVH及びVLの配列を増幅することができる。当業者に既知のクローニング法を利用して、PCRで増幅したVHドメインを重鎖定常領域、たとえば、ヒトガンマ4定常領域を発現しているベクターにクローニングすることができ、PCRで増幅したVLドメインを軽鎖定常領域、たとえば、ヒトカッパまたはラムダ定常領域を発現しているベクターにクローニングすることができる。特定の実施形態では、VHまたはVLのドメインを発現するためのベクターはEF-1αプロモータと分泌シグナルと可変領域のためのクローニング部位と、定常ドメインとネオマイシンのような選択マーカーとを含む。VH及びVLのドメインは必要な定常領域を発現している1つのベクターにクローニングすることもできる。次いで、当業者に既知の技法を用いて、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを細胞株に同時形質移入し、完全長の抗体、たとえば、IgGを発現する安定なまたは一時的な細胞株を生成する。
【0253】
たとえば、マウスの配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖の定常領域のコーディング配列を代用することによって、または非免疫グロブリンポリペプチドのコーディング配列の全部または一部を免疫グロブリンのコーディング配列に共有結合することによってDNAを修飾することもできる。
【0254】
提供されるのはまた、高度に、中程度にまたは低度にストリンジェントなハイブリッド形成の条件下で、本明細書に記載されている抗体をコードするポリヌクレオチドとハイブリッド形成するポリヌクレオチドである。具体的な実施形態では、本明細書に記載されているポリヌクレオチドは、高度に、中程度にまたは低度にストリンジェントなハイブリッド形成の条件下で、本明細書で提供されるVHドメイン及び/またはVLドメインをコードするポリヌクレオチドとハイブリッド形成する。
【0255】
ハイブリッド形成の条件は当該技術に記載されており、当業者に既知である。たとえば、ストリンジェントな条件下でのハイブリッド形成には、約45℃での6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)におけるフィルター結合のDNAへのハイブリッド形成、その後の約50~65℃での0.2×SSC/0.1%SDSにおける1回以上の洗浄が関与することができ;高度にストリンジェントな条件下でのハイブリッド形成には、約45℃での6×SCCにおけるフィルター結合の核酸へのハイブリッド形成、その後の約68℃での0.1×SSC/0.2%SDSにおける1回以上の洗浄が関与することができる。他のストリンジェントなハイブリッド形成の条件下でのハイブリッド形成は当業者に既知であり、記載されており、たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるAusubel,FM.et al.,eds.,(1989),Current Protocols in Molecular Biology,Vol.I,Green Publishing Associates,Inc.及びJohn Wiley & Sons,Inc.,New Yorkの6.3.1-6.3.6ページ及び2.10.3を参照のこと。
【0256】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する本明細書に記載されている抗体を発現している(たとえば、組換えで)細胞(たとえば、宿主細胞)、及び関連するポリヌクレオチド及び発現ベクターである。本明細書で提供されるのは、宿主細胞、好ましくは哺乳類細胞での組換え発現のための抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(たとえば、発現ベクター)である。本明細書で提供されるのはまた、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体(たとえば、ヒト抗体またはヒト化抗体)を組換えで発現するためのそのようなベクターを含む宿主細胞である。特定の態様では、本明細書で提供されるのは、宿主細胞から本明細書に記載されている抗体を発現させることを含む、そのような抗体を作製する方法である。
【0257】
TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する本明細書に記載されている抗体(たとえば、本明細書に記載されている完全長の抗体、抗体の重鎖及び/または軽鎖、または単鎖抗体)の組換え発現には、抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築が関与する。抗体分子をコードするポリヌクレオチド、抗体の重鎖及び/または軽鎖、または本明細書に記載されているその断片(たとえば、重鎖及び/または軽鎖の可変領域)がいったん得られていると、当該技術で周知の技法を用いた組換えDNA技術によって抗体分子の作製のためのベクターを作製することができる。従って、抗体または抗体断片(たとえば、軽鎖または重鎖)をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製する方法が本明細書に記載されている。当業者に周知である方法を用いて抗体または抗体断片(たとえば、軽鎖または重鎖)のコーディング配列ならびに適当な転写及び翻訳の制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、たとえば、試験管内の組換えDNA法、合成法及び生体内の遺伝子組換えが挙げられる。提供されるのはまた、プロモータに操作可能に連結された、本明細書に記載されている抗体分子、抗体の重鎖または軽鎖、抗体の重鎖または軽鎖の可変領域またはその断片、または重鎖または軽鎖のCDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターである。そのようなベクターには、たとえば、抗体分子の定常領域をコードするヌクレオチド配列を挙げることができ(たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられる国際公開番号WO86/05807及びWO89/01036;及び米国特許第5,122,464号を参照のこと)、抗体の可変領域は、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖及び軽鎖双方の全体の発現のためにそのようなベクターにクローニングすることができる。
【0258】
発現ベクターは従来の技法によって細胞(たとえば、宿主細胞)に移すことができ、得られた細胞を次いで従来の技法によって培養し、本明細書に記載されている抗体またはその断片を産生させることができる。従って、本明細書で提供されるのは、宿主細胞でそのような配列を発現させるためにプロモータに操作可能に連結された、本明細書に記載されている抗体またはその断片、またはその重鎖または軽鎖またはその断片、または本明細書に記載されている単鎖抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞である。特定の実施形態では、二本鎖抗体の発現については、重鎖及び軽鎖の双方を個々にコードするベクターを、以下で詳述するように、免疫グロブリン分子全体の発現のために宿主細胞にて同時発現させることができる。特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載されている抗体の重鎖及び軽鎖の双方またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する。具体的な実施形態では、宿主細胞は、2つの異なるベクター、本明細書に記載されている抗体の重鎖または重鎖可変領域またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に記載されている抗体の軽鎖または軽鎖可変領域またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを含有する。他の実施形態では、第1の宿主細胞は本明細書に記載されている抗体の重鎖または重鎖可変領域またはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターを含み、第2の宿主細胞は本明細書に記載されている抗体の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。具体的な実施形態では、第1の細胞によって発現された重鎖/重鎖可変領域は第2の細胞の軽鎖/軽鎖の可変領域と会合して本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を形成する。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、そのような第1の宿主細胞とそのような第2の宿主細胞を含む宿主細胞の集団である。
【0259】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の軽鎖/軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体の重鎖/重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを含むベクターの集団である。
【0260】
種々の宿主・発現ベクター系を利用して本明細書に記載されている抗体分子を発現させることができる(たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第5,807,715号を参照のこと)。そのような宿主・発現ベクター系は、対象とするコーディング配列が産生され、その後精製され得る媒介物を表すが、適当なヌクレオチドコーディング配列で形質転換または形質移入されると、その場で本明細書に記載されている抗体分子を発現することができる細胞も表す。これらには、抗体のコーディング配列を含有する組換えのバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNAの発現ベクターによって形質転換される細菌(たとえば、E.coli及びB.subtilis);抗体のコーディング配列を含有する組換え酵母発現ベクターによって形質転換される酵母(たとえば、Saccharomyces Pichia)のような微生物;抗体のコーディング配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(たとえば、バキュロウイルス)を感染させる昆虫細胞系;抗体のコーディング配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(たとえば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)を感染させる、もしくは組換えプラスミド発現ベクター(たとえば、Tiプラスミド)で形質転換される植物細胞系(たとえば、Chlamydomonas reinhardtiiのような緑藻類);または哺乳類細胞のゲノムに由来するプロモータ(たとえば、メタロチオネインプロモータ)もしくは哺乳類のウイルスに由来するプロモータ(たとえば、アデノウイルス後期プロモータ;ワクシニアウイルス7.5Kプロモータ)を含有する組換え発現構築物を内部に持つ哺乳類細胞系(たとえば、COS(たとえば、COS1またはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20及びBMT10細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体を発現させるための細胞はCHO細胞、たとえば、CHO GSシステム(商標)(Lonza)に由来するCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体を発現させるための細胞はヒト細胞、たとえば、ヒト細胞株である。具体的な実施形態では、哺乳類の発現ベクターはpOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に組換えの全抗体分子の発現のためのEscherichia coliのような細菌細胞または真核細胞(たとえば、哺乳類細胞)は組換え抗体分子の発現に使用される。たとえば、ヒトのサイトメガロウイルスに由来する主要中間初期遺伝子プロモータ要素のようなベクターを併せたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞は抗体のための効果的な発現系である(そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるFoecking,MK.及びHofstetter,H.(1986),Gene,45:101-5;ならびにCockett,MI.et al.,(1990),Biotechnology,8(7):662-7)。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体はCHO細胞またはNS0細胞によって産生される。具体的な実施形態では、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する本明細書に記載されている抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモータ、誘導性プロモータまたは組織特異的プロモータによって調節される。
【0261】
細菌の系では、発現される抗体分子について意図される使用に応じて多数の発現ベクターを有利に選択することができる。たとえば、大量のそのような抗体が作製されるべきである場合、抗体分子の医薬組成物の生成については、精製しやすい高レベルの融合タンパク質生成物を指向するベクターが望ましい可能性がある。そのようなベクターには、融合タンパク質が生産されるようにlacZコーディング領域とのインフレームで抗体のコーディング配列を個々にベクターにライゲーションすることができるE.coli発現ベクターpUR278(Ruether,U.及びMueller-Hill,B.(1983),EMBO J.2:1791-1794);pINベクター(Inouye,S.及びInouye,M.(1985),Nuc.Acids Res.13:3101-3109;Van Heeke,G.及びSchuster,SM.(1989),J.Biol.Chem.24:5503-5509)、等が挙げられるが、これらに限定されず、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる。たとえば、pGEXベクターを使用してグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現することもできる。一般に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、マトリクスグルタチオンアガロースビーズへの吸着及び結合とその後の遊離のグルタチオンの存在下での溶出によって溶解した細胞から容易に精製することができる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出され得るようにトロンビンまたは第Xa因子のプロテアーゼ切断部位を含むように設計される。
【0262】
昆虫の系では、たとえば、核多角体病ウイルスであるAutographa californica(AcNPV)をベクターとして用いて外来遺伝子を発現させることができる。ウイルスはSpodoptera frugiperdaの細胞にて増殖する。抗体のコーディング配列をウイルスの非必須領域(たとえば、ポリヘドリン遺伝子)に個々にクローニングし、AcNPVプロモータ(たとえば、ポリヘドリンプロモータ)の制御下に置くことができる。
【0263】
哺乳類の宿主細胞では、多数のウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合、対象とする抗体のコーディング配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、たとえば、後期プロモータ及び3分節リーダー配列にライゲーションすることができる。次いで、試験管内のまたは生体内の組換えによってこのキメラ遺伝子をアデノウイルスのゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(たとえば、領域E1またはE3)での挿入は感染させた宿主にて生存でき、抗体分子を発現することができる組換えウイルスを生じるであろう(たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるLogan,J.及びShenk,T.(1984),PNAS,81(12):3655-9を参照のこと)。挿入された抗体のコーディング配列の効率的な翻訳には特定の開始シグナルも必要とされ得る。これらのシグナルにはATG開始コドン及び隣接配列が挙げられる。さらに、開始コドンは所望のコーディング配列のリーディングフレームと同相であって挿入物全体の翻訳を保証しなければならない。これらの外来性の翻訳制御シグナル及び開始コドンは種々の起源のものであることができ、天然及び合成双方であることができる。発現の効率は適当な転写エンハンサ要素、転写ターミネータを含むことによって高めることができる(たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるBitter,G.et al.,(1987),Methods Enzymol.153:516-544を参照のこと)。
【0264】
加えて、挿入した配列の発現を調節し、または所望の特定の方法で遺伝子産物を修飾し、プロセシングする宿主細胞株を選択することができる。タンパク質生成物のそのような修飾(たとえば、グリコシル化)及びプロセシング(たとえば、切断)はタンパク質の機能に重要であり得る。様々な宿主細胞がタンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び修飾について特徴的で且つ特異的なメカニズムを有する。適当な細胞株または宿主系を選択して、発現される外来タンパク質の正しい修飾及びプロセシングを保証することができる。この目的で、一次転写物の適正なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化及びリン酸化について細胞機構を持つ真核宿主細胞を使用することができる。そのような哺乳類宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(どの免疫グロブリン鎖も内在性に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(たとえば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10及びHsS78Bst細胞が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体は、たとえば、CHO細胞のような哺乳類細胞にて産生される。
【0265】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体は低いフコース含量を有するまたはフコース含量を有さない。そのような抗体は当業者に既知の技法を用いて作製することができる。たとえば、抗体はフコシル化する能力を欠損するまたは欠く細胞にて発現させることができる。具体例では、α1,6-フコシルトランスフェラーゼの双方の対立遺伝子をノックアウトした細胞株を用いてフコース含量が低下した抗体を作製することができる。Potelligent(登録商標)システム(Lonza)は、フコース含量が低下した抗体を作製するのに使用することができるそのようなシステムの例である。
【0266】
組換えタンパク質の長期間で高収率の生産について、安定的な発現細胞を生成することができる。たとえば、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体を安定して発現する細胞株を操作することができる。具体的な実施形態では、本明細書で提供される細胞は、会合して本明細書に記載されている抗体を形成する軽鎖/軽鎖可変領域及び重鎖/重鎖可変領域を安定して発現する。
【0267】
特定の態様では、ウイルスの複製開始点を含有する発現ベクターを使用するのではなく、適当な発現制御要素(たとえば、プロモータ、エンハンサ、配列、転写ターミネータ、ポリアデニル化部位等)によって制御されるDNA及び選択可能なマーカーで宿主細胞を形質転換することができる。外来性のDNA/ポリヌクレオチドの導入に続いて、操作された細胞を強化培地にて1~2日間増殖させ、次いで選択培地に交換することができる。組換えプラスミドにおける選択可能なマーカーは選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドを安定して染色体に組み込むようにし、その後クローン化し、細胞株に増殖することができる増殖巣に増殖させる。この方法を有利に使用して本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体またはその断片を発現する細胞株を操作することができる。そのような操作された細胞株は抗体分子と直接または間接的に相互作用する組成物のスクリーニング及び評価で特に有用であることができる。
【0268】
それぞれtk-、hgprt-またはaprt-細胞における単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ(Wigler,M.et al.,(1977),Cell,11(1):223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska,EH.及びSzybalski,W.(1962),PNAS,48(12):2026-2034)及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,I.et al.,(1980),Cell,22(3):817-23)の遺伝子を含むが、これらに限定されない多数の選択系を使用することができ、そのすべては全体として参照によって本明細書に組み入れられる。また、以下の遺伝子:メソトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler,M.et al.,(1980),PNAS,77(6):3567-70;O’Hare,K.et al.,(1981)PNAS,78:1527-31);ミコフェノール酸に対する耐性を付与するgpt(Mulligan,RC.及びBerg,P.(1981),PNAS,78(4):2072-6);アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Wu,GY.及びWu,CH.(1991),Biotherapy,3:87-95;Tolstoshev P,(1993),Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol.32:573-596;Mulligan RC,(1993),Science,260:926-932;及びMorgan,RA.及びAnderson,WF.(1993),Ann.Rev.Biochem,62:191-217;Nabel,GJ.及びFelgner,PL.(1993),Trends Biotechnol,11(5):211-5);及びハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Santerre,RF.et al.,(1984),Gene,30(1-3):147-56)について選択の基礎として代謝拮抗物質耐性も使用することができ、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる。組換えDNA技術の技術分野で一般に知られる方法を日常的に適用して所望の組換えクローンを選択することができ、そのような方法は、たとえば、Ausubel,FM.et al.,(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler,M.,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);ならびにin Chapters 12及び13,Dracopoli,NC.et al.,(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colbere-Garapin,F.et al.,(1981),J.Mol.Biol.150:1-14に記載されており、そのすべては全体として参照によって本明細書に組み入れられる。
【0269】
抗体分子の発現レベルはベクターの増幅によって高めることができる(概説については、全体として参照によって本明細書に組み入れられるBebbington,CR.及びHentschel,CCG,The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells in DNA cloning,Vol.3(Academic Press,NewYork,1987を参照のこと)。抗体を発現するベクター系におけるマーカーが増幅可能である場合、宿主細胞の培養物に存在する阻害剤のレベルの上昇はマーカー遺伝子のコピー数を増やすであろう。増幅される領域は抗体遺伝子に関連するので、抗体の産生も増えるであろう(全体として参照によって本明細書に組み入れられるCrouse,GF.et al.,(1983),Mol.Cell Biol.3:257-66)。
【0270】
宿主細胞は本明細書に記載されている2以上の発現ベクターで同時形質移入することができ、第1のベクターは重鎖に由来するポリペプチドをコードし、第2のベクターは軽鎖に由来するポリペプチドをコードする。2つのベクターは、重鎖及び軽鎖のポリペプチドの均等な発現を可能にする同一の選択可能なマーカーを含有することができる。宿主細胞は異なる量の2以上の発現ベクターで同時形質移入することができる。たとえば、以下:1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:12、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、または1:50の第1の発現ベクターと第2の発現ベクターの比率のいずれか1つで形質移入することができる。
【0271】
或いは、重鎖及び軽鎖のポリペプチド双方をコードし、且つ発現することができる単一のベクターを使用することができる。そのような状況では、軽鎖を重鎖の前に配置して過度の毒性の遊離の重鎖を回避するべきである(そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるProudfoot,NJ.(1986),Nature,322:562-565;及びKohler,G.(1980),PNAS,77:2197-2199)。重鎖及び軽鎖のコーディング配列はcDNAまたはゲノムDNAを含むことができる。発現ベクターは、モノシストロン性またはマルチシストロン性であることができる。マルチシストロン性の核酸構築物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10以上の、または2~5、5~10もしくは10~20の範囲での遺伝子/ヌクレオチド配列をコードすることができる。たとえば、2シストロン性の核酸構築物は以下の順で、プロモータ、第1の遺伝子(たとえば、本明細書に記載されている抗体の重鎖)、及び第2の遺伝子(たとえば、本明細書に記載されている抗体の軽鎖)を含むことができる。そのような発現ベクターでは、双方の遺伝子の転写はプロモータによって推進することができるのに対して、第1の遺伝子に由来するmRNAの翻訳はキャップ依存性の走査メカニズムによることができ、第2の遺伝子に由来するmRNAの翻訳はキャップ非依存性のメカニズム、たとえば、IRESによることができる。
【0272】
いったん、本明細書に記載されている抗体が組換え発現によって産生されると、免疫グロブリン分子の精製について当該技術で既知の方法によって、たとえば、クロマトグラフィ(たとえば、イオン交換、アフィニティ、特にプロテインAの後での特異抗原についてのアフィニティ、及びサイジングカラムクロマトグラフィ)、遠心分離、差次的溶解性、またはタンパク質の精製についての他の標準的な技法によってそれを精製することができる。さらに、本明細書に記載されている抗体を本明細書に記載されているまたはさもなければ当該技術で既知の異種ポリペプチド配列に融合させて精製を円滑にすることができる。
【0273】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体は単離され、精製される。一般に、単離された抗体は、単離された抗体とは異なる抗原特異性を持つ他の抗体を実質的に含まないものである。たとえば、特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体の調製物は細胞性の物質及び/または化学的前駆体を実質的に含まない。言語「細胞性の物質を実質的に含まない」には、それが単離されるまたは組換えで産生される細胞の細胞成分から抗体が分離されている抗体の調製物が含まれる。従って、細胞性の物質を実質的に含まない抗体には、約30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.5%または0.1%(乾燥重量で)未満の異種タンパク質(本明細書では「混入タンパク質」とも呼ばれる)及び/または抗体の変異体、たとえば、抗体の様々な翻訳後修飾形態または抗体の他の様々な型(たとえば、抗体断片)を有する抗体の調製物が含まれる。抗体が組換えで産生される場合、それも一般に培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容量の約20%、10%、2%、1%、0.5%または0.1%未満を表す。抗体が化学合成で作製される場合、それは一般に、化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、それはタンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離されている。従って、抗体のそのような調製物は、対象とする抗体以外の約30%、20%、10%または5%(乾燥重量で)未満の化学的前駆体または成分を有する。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体は単離され、精製される。
【0274】
TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体またはその断片は抗体の合成について当該技術で既知の方法によって、たとえば、化学合成によって、または組換え発現法によって作製することができる。本明細書に記載されている方法は、指示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子解析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチドの合成及び修飾、核酸のハイブリッド形成、及び当該技術の技量の範囲内での関連する分野における従来の技法を採用している。これらの技法は、たとえば、本明細書で引用されている参考文献に記載されており、文献にて十分に説明されている。たとえば、そのすべては全体として参照によって本明細書に組み入れられるManiatis,T.et al.,(1982),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook,J.et al.,(1989),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Sambrook,J.et al.,(2001),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel,FM.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates);Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates),Gait(ed.)(1984),Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein(ed.)(1991),Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press;Birren,B.et al.,(eds.)(1999),Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照のこと。
【0275】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、たとえば、DNA配列の合成、遺伝子操作を介した創製が関与する手段によって調製され、発現され、作り出され、または単離される抗体(たとえば、組換え抗体)である。特定の実施形態では、そのような抗体は動物または哺乳類(たとえば、ヒト)の生体内での抗体の生殖細胞系列のレパトアの範囲内に天然に存在しない配列(たとえば、DNA配列またはアミノ酸配列)を含む。
【0276】
態様の1つでは、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている細胞または宿主細胞を培養することを含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体を作る方法である。一実施形態では、方法は試験管内で実施される。特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている細胞または宿主細胞(たとえば、本明細書に記載されている抗体をコードするポリヌクレオチドを含む細胞または宿主細胞)を用いて抗体を発現させること(たとえば、組換えで発現させること)を含む、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する抗体を作る方法である。特定の実施形態では、細胞は単離された細胞である。特定の実施形態では、外来性のポリヌクレオチドが細胞に導入されている。特定の実施形態では、方法はさらに、細胞または宿主細胞から得られた抗体を精製する工程を含む。
【0277】
ポリクローナル抗体を作製する方法は当該技術で既知である(たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるChapter 11 in:Short Protocols in Molecular Biology,(2002),5th Ed.,Ausubel,FM.et al.,eds.,John Wiley and Sons,New Yorkを参照のこと)。
【0278】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術、組換え技術及びファージディスプレイ技術の使用、またはそれらの組み合わせを含む当該技術で既知の多種多様な技法を用いて調製することができる。たとえば、モノクローナル抗体は、当該技術で既知のもの、及び、たとえば、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるHarlow,E.及びLane,D.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988);Hammerling,GJ.et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas,563 681(Elsevier,N.Y.,1981)にて教示されたものを含むハイブリドーマ法を用いて作製することができる。用語「モノクローナル抗体」は本明細書で使用されるとき、ハイブリドーマ技術を介して作製される抗体に限定されない。たとえば、モノクローナル抗体は、本明細書に記載されている抗体またはその断片、たとえば、そのような抗体の軽鎖及び/または重鎖を外来性に発現している宿主細胞から組換えで作製することができる。
【0279】
具体的な実施形態では、「モノクローナル抗体」は本明細書で使用されるとき、単一細胞(たとえば、ハイブリドーマまたは組換え抗体を産生している宿主細胞)によって産生される抗体であり、その際、抗体は、たとえば、当該技術で既知のELISAまたは他の抗原結合または競合結合アッセイによって、または本明細書で提供される実施例にて判定されるように、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合する。特定の実施形態では、モノクローナル抗体はキメラ抗体またはヒト化抗体であることができる。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は一価の抗体または多価(たとえば、二価)の抗体である。特定の実施形態では、モノクローナル抗体は単一特異的なまたは多重特異的な抗体(たとえば、二重特異性抗体)である。本明細書に記載されているモノクローナル抗体は、たとえば、全体として参照によって本明細書に組み入れられるKohler,G.及びMilstein,C.(1975),Nature,256:495に記載されたようなハイブリドーマ法によって作ることができ、または、たとえば、本明細書に記載されているような技法を用いてファージライブラリから単離することができる。クローン性細胞株及びそれによって発現されるモノクローナル抗体の調製のための他の方法は当該技術で周知である(たとえば、Chapter 11 in:Short Protocols in Molecular Biology,(2002),5th Ed.,Ausubel,FM.et al.,上記を参照のこと)。
【0280】
ハイブリドーマ技術を用いて特定の抗体を作製し、それについてスクリーニングする方法は当該技術で日常的であり、既知である。たとえば、ハイブリドーマ法では、マウス、または、たとえば、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、ラットもしくはマカクザルのような適当な宿主動物を免疫し、免疫に用いたタンパク質(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合するであろう抗体を産生するまたは産生することができるリンパ球を導き出す。或いは、リンパ球は試験管内で免疫されてもよい。次いで、たとえば、ポリエチレングリコールのような好適な融合剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(全体として参照によって本明細書に組み入れられるGoding,JW.(Ed),Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。さらに、RIMMS(反復免疫多重部位)法を用いて動物を免疫することができる(全体として参照によって本明細書に組み入れられるKilpatrick,KE.et al.,(1997),Hybridoma,16:381-9)。
【0281】
一部の実施形態では、マウス(または、たとえば、ラット、サル、ロバ、ブタ、ヒツジ、ハムスターまたはイヌのような他の動物)を抗原(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3))で免疫することができ、いったん免疫応答が検出されると、たとえば、マウスの血清にて抗原に特異的な抗体が検出されると、マウスの脾臓を採取し、脾細胞を単離する。次いで周知の技法によって脾細胞を、好適な骨髄腫細胞、たとえば、アメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC(登録商標))(Manassas,VA)から入手できる細胞株SP20に由来する細胞と融合させてハイブリドーマを形成する。限界希釈によってハイブリドーマを選択し、クローニングする。特定の実施形態では、免疫したマウスのリンパ節を採取し、NS0骨髄腫細胞と融合させる。
【0282】
好ましくは、融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1以上の物質を含有する好適な培養培地にて、こうして調製されたハイブリドーマ細胞を播き、増殖させる。たとえば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠くのであれば、ハイブリドーマ用の培養培地は通常、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含むであろう(HAT培地)、それらの物質はHGPRT欠損の細胞の増殖を妨げる。
【0283】
具体的な実施形態は、効率的に融合し、選択される抗体産生細胞による抗体の安定で高レベルの産生を支え、HAT培地のような培地に感応性である骨髄腫細胞を採用する。これらの骨髄腫細胞株の中では、たとえば、NS0細胞株またはMOPC-21に由来するもの及びSalk Institute Cell Distribution Center,San Diego,CA,USAから入手できるMPC-11マウス腫瘍、及びアメリカンタイプカルチャーコレクション、Rockville,MD,USAから入手できるSP-2またはX63-Ag8.653細胞のようなマウスの骨髄腫株である。ヒト骨髄腫細胞株及びマウス・ヒトのヘテロ骨髄腫細胞株もヒトのモノクローナル抗体の産生について記載されている(そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるKozbor,D.(1984),J.Immunol.133:3001-5;Brodeur,et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0284】
TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に対して向けられたモノクローナル抗体の産生について、ハイブリドーマ細胞が増殖している培養培地をアッセイする。ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、当該技術で既知の方法、たとえば、免疫沈降によって、または、たとえば、放射性免疫アッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のような試験管内結合アッセイによって判定される。
【0285】
所望の特異性、親和性及び/または活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定された後、限界希釈法によってクローンをサブクローニングし、常法によって増殖させてもよい(Goding,JW.(Ed),Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,上記)。この目的に好適な培養培地には、たとえば、D-MEM培地またはRPMI1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は動物における腹水腫瘍として生体内で増殖させてもよい。
【0286】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製法、たとえば、プロテインAセファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ、ゲル電気泳動、透析またはアフィニティクロマトグラフィによって培養培地、腹水液、または血清から好適に分離される。
【0287】
本明細書に記載されている抗体はTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)を特異的に認識する抗体断片を含み、当業者に既知の技法によって生成することができる。たとえば、本明細書に記載されているFab及びF(ab’)の断片は、たとえば、パパイン(Fab断片を作製するための)またはペプシン(F(ab’)断片を作製するための)ような酵素を用いた免疫グロブリンのタンパク分解切断によって作製することができる。Fab断片は、抗体分子の2つの同一のアームの一方に相当し、重鎖のVHドメイン及びCH1ドメインと対合した完全な軽鎖を含有する。F(ab’)断片はヒンジ領域におけるジスルフィド結合によって連結された抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0288】
さらに、本明細書に記載されている抗体は当該技術で既知の種々のファージディスプレイ法を用いて生成することもできる。ファージディスプレイ法では、機能的な抗体ドメインがそれをコードするポリヌクレオチド配列を運ぶファージ粒子の表面上で提示される。特に、VHドメイン及びVLドメインをコードするDNA配列を動物のcDNAライブラリ(たとえば、冒された組織のヒトまたはマウスのcDNAライブラリ)から増幅する。VHドメイン及びVLドメインをコードするDNAはPCRによってscFvリンカーと一緒に組み換えられ、ファージミドベクターにクローニングされる。ベクターをエレクトロポレーションでE.coliに導入し、E.coliにヘルパーファージを感染させる。これらの方法で使用されるファージは通常、fd及びM13を含む線状ファージであり、VHドメイン及びVLドメインは普通、組換えでファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIに融合される。特定の抗原に結合する抗原結合ドメインを発現しているファージは、抗原によって、たとえば、標識された抗原または固形表面もしくはビーズに結合されたもしくは捕捉された抗原を用いて選択し、特定することができる。本明細書に記載されている抗体を作るのに使用することができるファージディスプレイ法の例には、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられるBrinkman,U.et al.,(1995),J.Immunol.Methods,182:41-50;Ames,RS.et al.,(1995),J.Immunol.Methods,184:177-186;Kettleborough,CA.et al.,(1994),Eur.J.Immunol.24:952-958;Persic,L.et al.,(1997),Gene,187:9-18;Burton,DR.及びBarbas,CF.(1994),Advan.Immunol.57:191-280;PCT出願番号PCT/GB91/001134;国際公開番号WO90/02809,WO91/10737,WO92/01047,WO92/18619,WO93/11236,WO95/15982,WO95/20401,及びWO97/13844;ならびに米国特許第5,698,426号、同第5,223,409号、同第5,403,484号、同第5,580,717号、同第5,427,908号、同第5,750,753号、同第5,821,047号、同第5,571,698号、同第5,427,908号、同第5,516,637号、同第5,780,225号、同第5,658,727号、同第5,733,743号、及び同第5,969,108号にて開示されたものが挙げられる。
【0289】
上記の参考文献に記載されているように、ファージの選択の後、ファージに由来する抗体のコーディング領域を単離することができ、それを用いてヒト抗体、または他の所望の抗原結合断片を含む全抗体を生成することができ、たとえば、以下に記載されているような哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母及び細菌を含む所望の宿主にてそれを発現させることができる。そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられるPCT公開番号WO92/22324;Mullinax,RL.et al.,(1992),BioTechniques,12(6):864-9;Sawai,H.et al.,(1995),Am.J.Reprod.Immunol.34:26-34;及びBetter,M.et al.,(1988),Science,240:1041-1043にて開示されたもののような当該技術で既知の方法を用いて、Fab、Fab’及びF(ab’)の断片のような抗体断片を組換えで作製する技法も採用することができる。
【0290】
特定の実施形態では、全抗体を生成するために、VHまたはVLのヌクレオチド配列、制限部位及び制限部位を保護するための隣接配列を含むPCRプライマーを用いて鋳型、たとえば、scFvのクローンからVHまたはVLの配列を増幅することができる。当業者に既知のクローニング法を利用して、PCRで増幅したVHドメインを、VH定常領域を発現しているベクターにクローニングすることができ、PCRで増幅したVLドメインを、VL定常領域、たとえば、ヒトのカッパまたはラムダの定常領域を発現しているベクターにクローニングすることができる。必要な定常領域を発現している1つのベクターにVHドメイン及びVLドメインをクローニングすることもできる。次いで、当業者に既知の技法を用いて、重鎖変換ベクター及び軽鎖変換ベクターを細胞株に同時形質移入して完全長の抗体、たとえば、IgGを発現する安定なまたは一時的な細胞株を生成する。
【0291】
キメラ抗体は抗体の様々な部分が様々な免疫グロブリン分子に由来する分子である。たとえば、キメラ抗体は、ヒト抗体の定常領域に融合されたマウスまたはラットのモノクローナル抗体の可変領域を含有することができる。キメラ抗体を作製する方法は当該技術で既知である。たとえば、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられるMorrison,SL.(1985),Science,229:1202-7;Oi,VT.及びMorrison,SL.(1986),BioTechniques,4:214-221;Gillies,SD.et al.,(1989),J.Immunol.Methods,125:191-202;及び米国特許第5,807,715号、同第4,816,567号、同第4,816,397号、及び同第6,331,415号を参照のこと。
【0292】
ヒト化抗体は所定の抗原に結合することができ、且つヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク領域と、非ヒト免疫グロブリン(たとえば、マウスの免疫グロブリン)のアミノ酸配列を実質的に有するCDRとを含む。特定の実施形態では、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部(Fc)、通常、ヒト免疫グロブリンのそれも含む。抗体は、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3及びCH4の領域も含むことができる。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む任意のクラス、ならびにIgG、IgG、IgG及びIgGを含む任意のアイソタイプから選択することができる。ヒト化抗体は、CDR-移植(欧州特許第EP239400号;国際公開番号WO91/09967;及び米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、及び同第5,585,089号)、ベニア化または再表面化(欧州特許第EP592106号、及び同第EP519596号;Padlan,EA.(1991),Mol.Immunol.28(4/5):489-498;Studnicka,GM.et al.,(1994),Prot.Engineering,7(6):805-814;及びRoguska,MA.et al.,(1994),PNAS,91:969-973)、鎖シャッフリング(米国特許第5,565,332号)、及び、たとえば、米国特許第6,407,213号、米国特許第5,766,886号、国際公開番号WO93/17105;Tan,P.et al.,(2002),J.Immunol.169:1119-25;Caldas,C.et al.,(2000),Protein Eng.13(5):353-60;Morea,V.et al.,(2000),Methods,20(3):267-79;Baca,M.et al.,(1997),J.Biol.Chem.272(16):10678-84;Roguska,MA.et al.,(1996),Protein Eng.9(10):895,904;Couto,JR.et al.,(1995),Cancer Res.55(23,Supp):5973s-5977s;Couto,JR.et al.,(1995),Cancer Res.55(8):1717-22;Sandhu,JS.(1994),Gene,150(2):409-10及びPedersen,JT.et al.,(1994),J.Mol.Biol.235(3):959-73にて開示された技法を含むが、これらに限定されない当該技術で既知の種々の技法を用いて作製することができ、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる。全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国出願公開番号US2005/0042664A1(2005年2月24日)も参照のこと。
【0293】
多重特異性抗体(たとえば、二重特異性抗体)を作る方法は記載されており、たとえば、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第7,951,917号;同第7,183,076号;同第8,227,577号;同第5,837,242号;同第5,989,830号;同第5,869,620号;同第6,132,992号;及び同第8,586,713号を参照のこと。
【0294】
単一ドメイン抗体、たとえば、軽鎖を欠く抗体は当該技術で周知の方法によって作製することができる。そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられるRiechmann,L.及びMuyldermans,S.(1999),J.Immunol.231:25-38;Nuttall,SD.et al.,(2000),Curr.Pharm.Biotechnol.1(3):253-263;Muyldermans,S.(2001),J.Biotechnol.74(4):277-302;米国特許第6,005,079;及び国際公開番号WO94/04678、WO94/25591及びWO01/44301を参照のこと。
【0295】
さらに、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原に特異的に結合する抗体を同様にして利用して当業者に周知の技法を用いて抗原を「模倣する」抗イディオタイプ抗体を生成することができる。たとえば、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるGreenspan,NS.及びBona,CA.(1989),FASEB J.7(5):437-444;ならびにNissinoff,A.(1991),J.Immunol.147(8):2429-2438を参照のこと。
【0296】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗体と同じTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)のエピトープに結合する本明細書に記載されている抗体はヒト抗体である。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体のいずれか1つをTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)への結合から競合的に阻止する(たとえば、用量依存性に)本明細書に記載されている抗体はヒト抗体である。ヒト抗体は当該技術で既知の方法を用いて作製することができる。たとえば、機能的な内在性の免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを使用することができる。特に、ヒトの重鎖及び軽鎖の免疫グロブリン遺伝子の複合体を無作為にまたは相同組換えによってマウスの胚性幹細胞に導入することができる。或いは、ヒトの重鎖及び軽鎖の遺伝子に加えて、ヒトの可変領域、定常領域及び多様性領域をマウスの胚性幹細胞に導入することができる。相同組換えによるヒト免疫グロブリン遺伝子座の導入とは別にまたはそれと同時に、マウスの重鎖及び軽鎖の免疫グロブリン遺伝子を非機能性にすることができる。特にJ領域のホモ接合体欠失は内在性の抗体産生を妨げる。修飾した胚性幹細胞を増殖させ、胚盤胞に微量注入してキメラマウスを作製する。次いでキメラマウスを交配してヒト抗体を発現するホモ接合体の子孫を生じる。通常の方法にてトランスジェニックマウスを選択した抗原、たとえば、抗原(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3))の全部または一部で免疫する。抗原に対して向けられたモノクローナル抗体は、免疫したトランスジェニックマウスから従来のハイブリドーマ技術を用いて得ることができる。トランスジェニックマウスが内部に持つヒトの免疫グロブリンの導入遺伝子は、B細胞分化の間に再構成し、その後クラススイッチ及び体細胞変異を受ける。従って、そのような技法を用いて治療上有用なIgG、IgA、IgM及びIgEの抗体を作製することが可能である。ヒト抗体を作製するためのこの技術の概説については、全体として参照によって本明細書に組み入れられるLonberg,N.及びHuszar,D.(1995),Int.Rev.Immunol.13:65-93を参照のこと。ヒト抗体及びヒトモノクローナル抗体を作製するためのこの技術ならびにそのような抗体を作製するためのプロトコールの詳細な考察については、たとえば、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる国際公開番号WO98/24893、WO96/34096及びWO96/33735;及び米国特許第5,413,923号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,569,825号、同第5,661,016号、同第5,545,806号、同第5,814,318号、及び同第5,939,598を参照のこと。ヒト抗体を産生することができるマウスの例には、そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられるXenomouse(商標)(Abgenix,Inc.;米国特許第6,075,181号及び同第6,150,184号)、HuAb-Mouse(商標)(Mederex,Inc./Gen Pharm;米国特許第5,545,806号及び同第5,569,825号)、Trans Chromo Mouse(商標)(Kirin)及びKM Mouse(商標)(Medarex/Kirin)が挙げられる。
【0297】
TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合するヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを用いた上述のファージディスプレイ法を含む当該技術で既知の種々の方法によって作ることができる。そのすべてが全体として参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第4,444,887号、同第4,716,111号、同第5,885,793号;及び国際公開番号WO98/46645、WO98/50433、WO98/24893、WO98/16654、WO96/34096、WO96/33735、及びWO91/10741も参照のこと。
【0298】
一部の実施形態では、ヒト抗体はマウス・ヒトハイブリドーマを用いて作製することができる。たとえば、エプスタインバーウイルス(EBV)で形質転換したヒト末梢血リンパ球をマウス骨髄腫細胞と融合させてヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス・ヒトハイブリドーマを作製することができ、これらのるマウス・ヒトハイブリドーマをスクリーニングして標的抗原(たとえば、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を分泌するものを決定することができる。そのような方法は既知であり、当該技術で記載されており、たとえば、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み入れられるShinmoto,H.et al.,(2004),Cytotechnology,46:19-23;Naganawa,Y.et al.,(2005),Human Antibodies,14:27-31を参照のこと。
【0299】
6.6 キット
提供されるのはまた、本明細書に記載されている1以上の抗体、またはその医薬組成物またはコンジュゲートを含むキットである。具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、たとえば、本明細書で提供される1以上の抗体のような、本明細書に記載されている医薬組成物の成分の1以上で満たされる1以上の容器を含む医薬パックまたはキットである。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載されている医薬組成物と、本明細書に記載されているもののような任意の予防剤または治療剤とを含有する。特定の実施形態では、キットは、たとえば、植物性血球凝集素(PHA)及び/またはホルボールミリスチン酸アセテート(PMA)のようなT細胞分裂促進因子、または、たとえば、抗CD3抗体や抗CD28抗体のようなTCR複合体を刺激する抗体を含有してもよい。任意で、そのような容器(複数可)に関連付けられるのは、医薬品または生物製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関によって指示された形態での通知書であり、その通知書はヒトへの投与についての製造、使用または販売の当局による認可を反映する。
【0300】
提供されるのはまた、上記方法で使用することができるキットである。一実施形態では、キットは1以上の容器にて本明細書に記載されている抗体、好ましくは精製された抗体を含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載されているキットは対照として実質的に単離されているTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原を含有する。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されているキットはさらに、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原と反応しない対照抗体を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されているキットは、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原への抗体の結合を検出するための1以上の要素を含有する(たとえば、抗体は、たとえば、蛍光化合物、酵素基質、放射性化合物または発光性化合物のような検出可能な基質に結合することができ、または一次抗体を認識する二次抗体を検出可能な基質に結合するこことができる)。具体的な実施形態では、本明細書で提供されるキットは、組換えで作製されたまたは化学的に合成されたTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原を含むことができる。キットにて提供されるTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原を固体支持体に結合することもできる。さらに具体的な実施形態では、上記に記載されているキットの検出手段には、TIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原が結合されている固体支持体が含まれる。そのようなキットは、非結合性のレポーター標識した抗ヒト抗体または抗マウス・ラット抗体を含むことができる。この実施形態では、抗体のTIM-3(たとえば、ヒトTIM-3)抗原への結合は前記レポーター標識した抗体の結合によって検出することができる。一実施形態では、本発明は生体試料にてTIM-3抗原(たとえば、ヒトTIM-3)を試験管内でアッセイする及び/または検出するための本発明のキットの使用に関する。
【実施例
【0301】
このセクション(すなわち、セクション7)における実施例は限定の目的ではなく、説明の目的で提供されている。
【0302】
7.1 実施例1:ヒトTIM-3に対する新規の抗体の生成及び性状分析
この実施例はヒトのT細胞免疫グロブリン・ムチンドメイン-3(TIM-3)に結合する抗体の生成及び性状分析を記載している。特に、この実施例はヒトTIM-3に特異的に結合し、且つヒトTIM-3の機能を阻害するヒト抗体の生成を記載している。
【0303】
以下に記載されている試験の一部では、本発明の抗TIM-3抗体の活性を参照抗TIM-3抗体、pab1944wまたはHum11の活性と比較した。抗体pab1944wは米国特許第8,552,156号(全体として参照によって本明細書に組み入れられる)にて提供された抗体8213HV0LV0の可変領域に基づいて生成された。pab1944wの配列を表7に示す。抗体pab1944wは、EU番号付け方式に従って番号を付けたFc領域におけるN297Aの変異を含むIgG抗体として発現された。抗体Hum11は、米国特許公開番号US2015/0218274(全体として参照によって本明細書に組み入れられる)で提供された抗体ABTIM3-hum11の可変領域に基づいて生成された。Hum11の配列を表7に示す。抗体Hum11は、EU番号付け方式に従って番号を付けたFc領域におけるS228Pの変異を含むIgG抗体として発現された。
【表7】
【0304】
7.1.1 Retrocyte Display(商標)技術を用いた抗TIM-3抗体の生成
Retrocyte Display(商標)ライブラリの生成は本明細書に記載されている。ライブラリ挿入物の生成については、FACSで選別したCD19陽性ヒトBリンパ球からフェノール/クロロホルムを介して全RNAを抽出した。Fermentas(カタログ番号(Cat#)K1621及びK1622)に由来するRevertAid First Strand cDNA合成キットを用いて第1の鎖のcDNAの合成に全RNAを使用した。抗体の可変領域をcDNAからPCRによって増幅し、レトロウイルス発現ベクター(pCMA)にクローニングした。続いてこれらの構築物を使用し、Retrocyte Display(商標)技術を用いてマウス前B細胞に形質導入し、表面上で抗体を発現させた。
【0305】
上記に記載されているように生成したRetrocyte Display(商標)ライブラリを組換えヒトTIM-3及び組換えカニクイザルTIM-3に対してスクリーニングし、pab2085及びpab2088と名付けた2つの抗体の特定に至った。pab2085及びpab2088の可変領域の配列情報を表4にて要約する。抗体pab2085及びpab2088はIgG抗体として発現され、以下に記載されているアッセイで解析された。
【0306】
7.1.2 TIM-3を発現している細胞への抗TIM-3抗体の結合
フローサイトメトリーを用いて、TIM-3を発現している細胞への結合について抗体pab2085及びpab2088を調べた。手短には、野生型マウス1624-5細胞またはヒトTIM-3を発現するように操作した1624-5細胞をマウスのFc受容体ブロック(BD Pharmingen,Cat#553142)と共にインキュベートして非特異的な結合を減らした。洗浄の後、細胞を抗TIM-3抗体またはアイソタイプ対照抗体で染色し、FACSCalibur(BD Biosciences)を用いて解析した。pab2085及びpab2088は双方ともヒトTIM-3を発現している1624-5細胞への結合を示したが、野生型1624-5細胞への結合を示さなかった(図1)。
【0307】
7.1.3 抗TIM-3抗体についての選択性アッセイ
サスペンションアレイ技術を用いてTIM-3についてのpab2085及びpab2088の選択性をファミリーメンバーTIM-1及びTIM-4に対して評価した。COOHビーズ表面とのアミンカップリングを介して、Luminex(登録商標)ミクロスフェアを、組換えヒトTIM-3のFc(R&D Systems、Cat#2365-TM)、組換えヒトTIM-3のHis(Sino Biological、Cat#10390-H08H)、組換えカニクイザルTIM-3のFc(R&D Systems、Cat#7914-TM)、組換えヒトTIM-1のHis(R&D Systems、Cat#1750-TM)、または組換えヒトTIM-4のHis(R&D、Cat#2929-TM)にカップリングした。精製したpab2085、pab2088及びIgGアイソタイプ対照抗体をアッセイ緩衝液(Roche,Cat#11112589001)で10ng/ml、100ng/ml及び1000ng/mlに希釈した。96ハーフウェルのフィルタープレート(Millipore,Cat#MABVN1250)にて5μlのアッセイ緩衝液中の1500Luminex(登録商標)ミクロスフェアと共に各希釈液(25μl)を暗所(20℃、650rpm)で1時間インキュベートした。1:3の連続希釈(0.08~540ng/ml)によるヒトIgGカッパ標準(Sigma,Cat#15154)の25μlの2つ組を用いて標準曲線を生成した。R-PE(2.5μg/ml;Jackson ImmunoResearch,Cat#109-116-097)で標識したヤギ抗ヒトIgG F(ab)60μl及びさらに1時間のインキュベート時間(20℃、650rpm)を用いて検出を行った。Luminex(登録商標)200システム(Millipore)を用いてプレートを解析した。48μlの試料容量にてウェル当たり合計100のビーズを計数した。PEのMFI値を用いて、上記で言及した組換えタンパク質への特異的なまたは非特異的な結合を判定した。
【0308】
pab2085(図2A)及びpab2088(図2B)は双方ともヒト及びカニクイザルのTIM-3への特異的な結合を示し、TIM-1またはTIM-4への有意な結合は調べた濃度では観察されなかった。
【0309】
7.1.4 Retrocyte Display(商標)技術を用いた抗TIM-3抗体の最適化
抗体pab2085及びpab2088は同じ重鎖を共有している。追加の抗TIM-3抗体を得るために、pab2085及びpab2088の重鎖に基づいて重鎖Retrocyte Display(商標)サブライブラリを生成し、さらに多様な軽鎖ライブラリと組み合わせた。この新しいRetrocyte Display(商標)ライブラリを組換えヒトTIM-3及び組換えカニクイザルTIM-3に対してさらにスクリーニングして軽鎖を最適化した変異体:pab2173、pab2174、pab2175、pab2176、pab2177、pab2178、pab2179、pab2180、pab2181、pab2182、pab2183、pab2184、pab2185、pab2186、pab2187、pab2188、pab2189、pab2190、pab2191、及びpab2192の特定に至った。これらの軽鎖を最適化した変異体の可変領域の配列情報を表4にてリストにする。軽鎖を最適化した変異体は野生型IgGのFc領域またはIgG変異体のFc領域を含有する抗体として発現された。このIgG変異体のFc領域はFc領域のエフェクター機能に影響を及ぼさない。
【0310】
軽鎖を最適化した抗体pab2188は、軽鎖定常ドメインにてKabatに従って番号を付けたT109S置換(野生型配列に比べて109位でスレオニンのセリンによる置換)を含有する抗体であり、それはインフレームでの可変領域の定常領域へのクローニングを円滑にする。この変異は抗体の結合または機能に影響を及ぼさない保存的な修飾である。pab2188wと名付けられ、Kabatに従って番号を付けた軽鎖の109位にてスレオニンを含有する野生型対応物も生成した。抗体pab2188wはIgG N297AのFc領域を含有する抗体として発現された。
【0311】
7.1.5 TIM-3を発現している細胞への抗TIM-3抗体の結合
上記に記載されているものに類似するフローサイトメトリーアッセイにてヒトまたはカニクイザルのTIM-3を発現している細胞への結合について軽鎖を最適化した変異体を評価した。変異体はすべてヒトTIM-3(図3A及び3B)またはカニクイザルTIM-3(図3C及び3D)を発現するように操作されたマウス1624-5細胞への結合を示したが、野生型のマウス1624-5細胞への結合は示さなかった(データは示さず)。
【0312】
軽鎖を最適化した変異体の初代ヒトT細胞への結合を親抗体pab2085のそれと比較した。手短には、健常ドナーのバフィーコート(Research Blood Components,LLC)からフィコール勾配によって単離した末梢血単核細胞(PBMC)を、磁気ビーズ分離(Miltenyi Biotec)を用いて接触していない汎T細胞について濃縮した。次いで、10%熱非働化FBSで補完したRPMI培地にてTリンパ球の濃縮した集団をプレートに結合した抗CD3抗体(SP34、3μg/ml)及び可溶性抗CD28抗体(CD28.1、2μg/ml)によって37℃及び5%COで3日間活性化した。活性化に続いて、細胞をヒトFc受容体ブロックと共に室温で15分間インキュベートして非特異的な結合を低減した(FcRブロック、Biolegend)。抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体(12点の用量設定、10,000ng/ml~0.06ng/ml)を個々の試料に加え、4℃で30分間インキュベートした。試料を2回洗浄し、すべて2.5μg/mlでFITCを結合した抗カッパ抗体と同様に抗CD3(BV711、OKT3)、抗CD4(BV605、OKT4)及び抗CD8a(PE、RPA-T8)を含有する抗体カクテルを緩衝液(PBS、2mMのEDTA、0.5%のBSA、pH7.2)で希釈し、各試料に加え、4℃で30分間インキュベートした。試料を2回洗浄し、LSRFortessaフローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて解析した。FACS DIVAのWEHI Weaselソフトウエアとの組み合わせを用いてフローサイトメトリーのプロットを解析した。
【0313】
図4に示すように、この試験で調べた軽鎖を最適化した変異体はすべて親抗体pab2085よりも活性化ヒトCD8+T細胞への強力な結合を示した。
【0314】
次に、初代カニクイザル細胞への結合について抗TIM-3抗体pab2188を調べた。カニクイザルから単離された凍結保存したPBMC(Worldwide Primates,Inc.)を解凍し、洗浄し、次いでフローサイトメトリー解析に供した。抗体のインキュベートに先立って、室温にて10%カニクイザル血清(Abcam)で細胞を15分間処理して非特異的な結合を低減した。抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体(10点の用量設定、20,000ng/ml~0.6ng/ml)を個々の試料に加え、4℃で30分間インキュベートした。試料を2回洗浄し、緩衝液(PBS、2mMのEDTA、0.5%のBSA、pH7.2)で希釈した2.5μg/mlでのFITCを結合した抗カッパ抗体と同様に抗CD11b(BV785,M1/70)を含有する抗体カクテルを各試料に加え、4℃で30分間インキュベートした。試料を2回洗浄し、LSRFortessaフローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて解析した。FACS DIVAのWEHI Weaselソフトウエアとの組み合わせを用いてフローサイトメトリーのプロットを解析した。
【0315】
図5に示すように、抗TIM-3抗体pab2188は用量依存性に初代カニクイザル骨髄細胞を結合した。
【0316】
7.1.6 抗TIM-3抗体のリガンド阻止活性
放射線照射したWR19Lマウスリンパ腫細胞によって発現されるホスファチジルセリンへの組換えヒトまたはカニクイザルTIM-3の結合を阻止する能力について抗TIM-3抗体を調べた。抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体(ヒトについての9点の用量設定、20,000ng/ml~70ng/ml;またはカニクイザルについての6点の用量設定、20,000ng/ml~625ng/ml)を、1×アネキシン-V結合緩衝液(pH7.4に調整した10mMのHepes,140mMのNaCl及び2.5mMのCaCl)にて調製した組換えヒトTIM-3 Fc(R&D Systems,#2365-TM)または組換えカニクイザルTIM-3 Fc(R&D Systems,#7914-TM)(10,000ng/ml)と共に室温にて30分間インキュベートした。20Gyで放射線照射し、1×アネキシン-V結合緩衝液に再浮遊させたWR19L細胞を1×10個/mlの最終密度で抗TIM-3:TIM-3-Fcのカクテルに加え、室温で45分間インキュベートした。試料を1回洗浄し、1×アネキシン-V結合緩衝液で希釈したPE結合の抗Fc抗体(1:100希釈)と同様に生存染色(Biolegend,NIRチャンネル;1:1000希釈)を含有する抗体カクテルを各試料に加え、室温で20分間インキュベートした。次いで1×アネキシン-V結合緩衝液で試料を1回洗浄し、150μlの緩衝液(PBS、2mMのEDTA、0.5%のBSA、pH7.2)に再浮遊させ、LSRFortessaフローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて解析した。FACS DIVAを用いてフローサイトメトリーのプロットを解析した。
【0317】
抗TIM-3抗体pab2085及びpab2188は、組換えヒトTIM-3(図6A)及び組換えカニクイザルTIM-3(図6B)のホスファチジルセリンへの結合を阻止した。
【0318】
7.1.7 ブドウ球菌腸毒素A(SEA)の刺激の際のヒトPBMCに対する抗TIM-3抗体の効果
初代ヒトPBMCに対する軽鎖を最適化した変異体の機能的な活性をブドウ球菌腸毒素A(SEA)の刺激に続いて評価した。手短には、96穴NUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))にてNormocin(商標)(Invivogen #ant-nr)及び10%熱非働化FBS(Gibco,Invitrogen Corporation)で補完したRPMI1640に凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components)を1×10個/ウェルで入れた。5μg/mlの抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(ロット7002688300、Myoderm)、抗TIM-3抗体(10μg/ml)、及びSEAスーパー抗原(100ng/ml、Toxin Technologies)の存在下で37℃及び5%COにて細胞を6日間培養した。細胞を含まない上清を回収し、分析まで-80℃で保存した。AlphaLISA(Perkin Elmer)を用いてIFNγのレベルを測定した。
【0319】
抗PD-1抗体ペムブロリズマブと組み合わせた場合、軽鎖を最適化した変異体はこの初代ヒトPBMCアッセイにてIFNγの産生を高めた(図7)。
【0320】
改変したプロトコールを用いてSEA刺激アッセイにてpab2188wの機能的な活性を解析した。96穴NUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))にてNormocin(商標)(Invivogen #ant-nr)及び10%熱非働化FBS(Gibco,Invitrogen Corporation)で補完したRPMI1640に凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components)を1×10個/ウェルで入れた。5μg/mlの抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(ロット7002688300、Myoderm)、抗TIM-3抗体(10μg/ml)、及びSEAスーパー抗原(100ng/ml、Toxin Technologies)の存在下で37℃及び5%COにて細胞を9日間培養した。次いで細胞を1回洗浄し、新しいSEAと抗体で2日間再刺激した。細胞を含まない上清を回収し、分析まで-80℃で保存した。AlphaLISA(Perkin Elmer)を用いてIFNγのレベルを測定した。
【0321】
図8A~8Fに示すように、抗TIM-3抗体pab2188w(IgG、N297A)は単独でまたは抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用で、このSEA刺激アッセイにおける複数のドナーに由来するヒトPBMCにてIFNγの産生を高めた。
【0322】
7.2 実施例2:CDR変異誘発を用いた抗TIM-3抗体の最適化
結合親和性を改善するために、重鎖及び軽鎖の可変領域のCDR残基の定方向変異誘発を用いて抗TIM-3抗体pab2188wを修飾した。手短には、それぞれNNK縮重コドン無作為化を用いて修飾したCDRHまたはCDRLの領域を含有する6つのFabファージディスプレイライブラリを親抗体pab2188wに基づいて生成した。Fabファージライブラリを組換えヒトTIM-3及び組換えカニクイザルTIM-3抗原に対する親和性駆動選択に供した。AM-1、AM-2、AM-3、AM-4、AM-5、AM-6、AM-7、AM-8、及びAM-9と名付けられた9つのクローンを結合及び解離速度の測定に基づいて選択した。これら9つのクローンの可変領域の配列情報を表4にて要約する。これらの変異体はすべてpab2188wの軽鎖を共有するが、重鎖CDR1に変異を含有する。AM-1~AM-9はIgG、N297AのFc領域を含有する完全長の抗体として発現され、以下に記載されている実験で解析された。
【0323】
7.2.1 TIM-3を発現している細胞への抗TIM-3抗体の結合
ヒトTIM-3を異所性に発現しているJurkat細胞への抗体AM-1~AM-9の結合をフローサイトメトリー解析にて親抗体pab2188wのそれと比較した。図9Aに示すように、変異体はすべてTIM-3を発現しているJurkat細胞に結合し、AM-2及びAM-6は親抗体pab2188wよりも強力な結合を示した。内在性にTIM-3を発現しているヒト急性骨髄性白血病細胞株であるKasumi-3(ATCC(登録商標)、CRL-2725(商標)(図9B)と同様にブドウ球菌腸毒素A(SEA)で刺激したヒトCD8+T細胞(図9C)及びSEAで刺激したカニクイザルCD8+T細胞(図9D)を用いたフローサイトメトリーによってAM-2及びAM-6の結合をさらに解析した。ヒトCD8+T細胞への結合については、健常ドナーのバフィーコート(Research Blood Components,LLC)からフィコール勾配によって単離したヒトPBMCを、10%熱非働化FBSで補完したRPMI培地にて37℃及び5%COでSEA(100ng/ml)により8日間活性化した。活性化に続いて、細胞をヒトFc受容体ブロックと共に室温で15分間インキュベートして非特異的な結合を低減した(FcRブロック、Biolegend)。抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体(12点の用量設定、10,000ng/ml~0.06ng/ml)を個々の試料に加え、4℃で30分間インキュベートした。同様に、カニクイザルCD8+T細胞への結合については、単離したカニクイザルPBMCを凍結ストック(Worldwide Primates Inc.)から解凍し、10%熱非働化FBSによって補完したRPMI培地にて37℃及び5%COでSEA(100ng/ml)により5日間活性化した。活性化したカニクイザルPBMCをヒトFc受容体ブロック(FcRブロック、Biolegend)とカニクイザル血清(Abcam)の組み合わせと共に室温で15分間インキュベートして非特異的な結合を低減した。それぞれ2.5μg/mlでの、フィコエリスリンを結合したAM-2抗体またはアイソタイプ対照抗体(Biolegend、PE結合、6点の用量設定、10,000ng/ml~41ng/ml)と、抗CD4抗体(BV605、OKT4)及び抗CD8a抗体(PE、SK1)のカクテルとを緩衝液(PBS、2mMのEDTA、0.5%のBSA、pH7.2)で希釈し、各試料に加え、4℃にて30分間インキュベートした。試料を2回洗浄し、すべて2.5μg/mlでFITCを結合した抗カッパ抗体と同様に抗CD3(BV711,OKT3)、抗CD4(BV605,OKT4)及び抗CD8a(PE,RPA-T8)を含有する抗体カクテルを緩衝液(PBS、2mMのEDTA、0.5%のBSA、pH7.2)で希釈し、各試料に加え、4℃にて30分間インキュベートした。試料を2回洗浄し、LSRFortessaフローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて解析した。FACS DIVAのWEHI Weaselソフトウエアとの組み合わせを用いてフローサイトメトリーのプロットを解析した。AM-2及びAM-6は双方ともKasumi-3細胞(図9B)及び活性化ヒトCD8+T細胞(図9C)への結合を示した。AM-2は活性化カニクイザルCD8+T細胞(図9C)への結合も示した(図9D)。
【0324】
次に、類似のアッセイにて、フィコエリスリン(PE)を結合したpab2188w抗体、AM-2抗体、またはアイソタイプ対照抗体を用いたフローサイトメトリーによってヒト及びカニクイザルの初代CD14+骨髄細胞への結合を解析した。手短には、ヒトまたはカニクイザル(Worldwide Primates Inc.)から単離した凍結保存したPBMCを解凍し、洗浄し、次いでフローサイトメトリー解析に供した。抗体とのインキュベートに先立って、細胞を10%カニクイザル血清(Abcam、Cat#ab155109)によって室温で15分間処理し、非特異的な結合を低減した。PEを結合した抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体(12点の用量設定、ヒトPBMCについては10,000ng/ml~0.05ng/ml及びカニクイザルPBMCについては100,000ng/ml~0.5ng/ml)を、抗CD14抗体(APC,M5E2)及びZombie Green(商標)固定できる生存能力マーカーを含有する抗体カクテルにおける個々の試料に加え、次いで4℃で30分間インキュベートした。追加の試料は、単染色補償対照(CD45-FITC、CD45-PE、及びCD45-APC;クローンMB4-6D6、Miltenyi)のために取っておいた。試料を緩衝液で2回洗浄し、LSRFortessaフローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて解析した。FACS DIVAのWEHI Weaselソフトウエアとの組み合わせを用いてフローサイトメトリーのプロットを解析した。AM-2は親抗体pab2188wよりも強い、ヒト(図9E)及びカニクイザル(図9F)のCD14+骨髄細胞に対する結合を示した。
【0325】
7.2.2 抗TIM-3抗体についての選択性アッセイ
サスペンションアレイ技術を用いてTIM-3についてのAM-2及びAM-6の選択性を評価した。COOHビーズ表面とのアミンカップリングを介してLuminex(登録商標)ミクロスフェアを組換えヒトTIM-3のHis(Sino Biological、#10390-H08H)、組換えカニクイザルTIM-3のFc(Sino Biological、#90312-C02H)、組換えマウスTIM-3のFc(R&D Systems、#1529-TM)、組換えヒトTIM-1のHis(R&D Systems、#1750-TM)、組換えヒトTIM-4のHis(R&D、#2929-TM)、組換えヒトOX40のHis(Sino Biological、#10481-H08H)、組換えヒトGITRのFc(R&D Systems、#689-GR)、組換えヒトDR3のFc(R&D Systems、#943-D3)、及び組換えヒトCD137のFc(社内製造物質)とカップリングさせた。精製したpab2188w(IgG、N297A)、AM-2(IgG、N297A)、AM-6(IgG、N297A)、及びIgG1、N297Aアイソタイプ対照抗体をアッセイ緩衝液(Roche 11112589001)で10000ng/ml~0.1ng/mlの用量設定に希釈した。96ハーフウェルフィルタープレート(Millipore,MABVN1250)にて各希釈物(25μl)を暗所(20℃、650rpm)で5μlのアッセイ緩衝液中の1500Luminex(登録商標)ミクロスフェアと共に1時間インキュベートした。検出は、R-PE(2.5μg/ml;JIR109-116-097)で標識した60μlのヤギ抗ヒトIgGF(ab)及びさらに1時間のインキュベート時間(20℃、650rpm)を用いて実施した。Luminex(登録商標)200システム(Millipore)を用いてプレートを解析した。48μlでの試料容量でのウェル当たり合計100のビーズを数えた。PEのMFI値を用いて組換えタンパク質への特異的なまたは非特異的な結合を判定した。
【0326】
抗TIM-3抗体pab2188w(図10B)、AM-2(図10C)、及びAM-6(図10D)は、 showed specific binding to ヒト及びカニクイザルのTIM-3に対する特異的な結合を示したが、マウスTIM-3、ヒトTIM-1、ヒトTIM-4、ヒトOX40、ヒトGITR、ヒトDR3、またはヒトCD137に対しては調べた濃度で有意な結合を検出しなかった。
【0327】
7.2.3 抗TIM-3抗体のリガンド阻止活性
ホスファチジルセリンのヒトまたはカニクイザルTIM-3への結合を阻止する能力について抗TIM-3抗体AM-2及びAM-6をさらに解析した。手短には、抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体(10点の用量設定、40,000ng/ml~1000ng/ml)を、1×アネキシン-V結合緩衝液(pH7.4に調整した10mMのHepes,140mMのNaCl及び2.5mMのCaCl)にて調製した組換えヒトTIM-3 Fc(R&D Systems,#2365-TM)または組換えカニクイザルTIM-3 Fc(R&D Systems,#7914-TM)(10,000ng/ml)と共に室温にて30分間インキュベートした。20Gyで放射線照射し、1×アネキシン-V結合緩衝液に再浮遊させたWR19L細胞を1×10個/mlの最終密度で抗TIM-3:TIM-3-Fcのカクテルに加え、室温で45分間インキュベートした。試料を1回洗浄し、1×アネキシン-V結合緩衝液で希釈したPE結合の抗Fc抗体(1:100希釈)と同様に生存染色(Biolegend,NIRチャンネル;1:1000希釈)を含有する抗体カクテルを各試料に加え、室温で20分間インキュベートした。次いで1×アネキシン-V結合緩衝液で試料を1回洗浄し、LSRFortessaフローサイトメータ(BD Biosciences)を用いて解析した。FACS DIVAを用いてフローサイトメトリーのプロットを解析した。
【0328】
図11A及び11Bに示すように、抗TIM-3抗体pab2188w、AM-2及びAM-6はホスファチジルセリンを発現している細胞へのヒトまたはカニクイザルのTIM-3の結合を効果的に阻止した。
【0329】
7.2.4. ブドウ球菌腸毒素A(SEA)の刺激の際のヒトPBMCに対する抗TIM-3抗体の効果
ブドウ球菌腸毒素A(SEA)によって刺激した初代ヒトPBMCを用いてpab2188wの変異体の機能的活性を解析した。手短には、96穴NUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))にてNormocin(商標)(Invivogen #ant-nr)及び10%熱非働化FBS(Gibco,Invitrogen Corporation)で補完したRPMI1640に凍結保存したヒトPBMC(Research Blood Components)を1×10個/ウェルで入れた。5μg/mlの抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(ロット7002688300、Myoderm)、抗TIM-3抗体(10μg/ml)、及びSEAスーパー抗原(100ng/ml、Toxin Technologies)の存在下で37℃及び5%COにて細胞を9日間培養した。次いで細胞を1回洗浄し、新しいSEAと抗体とで2日間再刺激した。細胞を含まない上清を回収し、分析まで-80℃で保存した。AlphaLISA(Perkin Elmer)を用いてIFNγのレベルを測定した。
【0330】
図12A及び12Bに示すように、pab2188wの多数の変異体は単独で、または抗PD-1抗体ペムブロリズマブとの併用で2人の異なるドナーに由来するヒトPBMCにてIFNγの産生を高めた。
【0331】
7.2.5 腫瘍浸潤リンパ球のサイトカイン産生に対する抗TIM-3抗体の効果
活性化した初代腫瘍浸潤リンパ球(TIL)のサイトカイン産生を刺激する能力について、抗TIM-3抗体を単独で、または抗PD-1抗体との併用でさらに評価した。新鮮な非小細胞肺癌(NSCLC)(ステージII)、胆嚢腺癌(ステージIV)または乳癌(ステージII)の腫瘍(UMass Medical School,Worcester,MA)から機械的な顕微切断を介して単個細胞浮遊液を分離した。場合によっては、線維化のレベルに応じて酵素消化が必要だった(リベラーゼ及びDNA分解酵素I,Roche)。96穴NUNCLONデルタ表面プレート(NUNC(商標))にてNormocin(商標)(Invivogen #ant-nr)、組換えヒトIL-2(20U/ml、R&D Systems)及び10%熱非働化FBS(Gibco,Invitrogen Corporation)で補完したRPMI1640に5×10個/ウェルで細胞を1日間置いた。翌日、試料を遠心分離し、対象とする抗体(20μg/mlでの抗TIM-3抗体及び5μg/mlでの抗PD-1抗体ペムブロリズマブ)及び抗CD3/CD28マイクロビーズ(1:1のビーズ:細胞の比)を含有する新しい培養培地を100μlの最終容量で加え、37℃及び5%COにて3日間インキュベートした。細胞を含まない上清を回収し、分析まで-80℃で保存した。AlphaLISA(Perkin Elmer)を用いてIFNγ及びTNFαのレベルを測定した。
【0332】
図13A~13Fに示すように、抗TIM-3抗体は、NSCLC、胆嚢腺癌または乳癌の腫瘍に由来する活性化した初代TILによるIFNγ及びTNFαの産生を高めた。
【0333】
7.2.6 結合の際の抗TIM-3抗体の内部移行
この実施例では、抗TIM-3抗体の細胞内への内部移行を解析した。第1の設定の実験では、αHFc-NC-DM1(非切断性リンカーによってメイタンシノイドDM1に結合された抗ヒトIgG Fc抗体、Moradec LLC)を用いて抗TIM-3抗体の内部移行を評価した。この二次抗体薬剤のコンジュゲートαHFc-NC-DM1は試験抗体(たとえば、抗TIM-3抗体)に結合し、内部移行の際、細胞の細胞質への細胞傷害性ペイロードDM1の放出を生じる。第2の設定の実験では、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)に直接結合させた抗TIM-3抗体pab2188w(IgG、N297A)及びHum11(IgG、S228P)を用いて内部移行を評価した。各抗体が類似の薬剤・抗体の比(DAR;アイソタイプ対照=3.5、pab2188w=4.0、Hum11=3.0)を示したということは、内部移行の際の同等レベルの薬剤・抗体のコンジュゲート(ADC)の送達を支持している。第3の設定の実験では、細胞不浸透性の蛍光色素で標識したTIM-3タンパク質の細胞内局在によって内部移行を評価した。
【0334】
手短には、内在性にTIM-3を発現している急性骨髄性白血病細胞株であるKasumi-3(ATCC(登録商標)、CRL-2725(商標))及びTIM-3を発現するように操作したJurkat細胞株をウェル当たり2×10個の密度で白底組織培養プレートに入れた。二次抗体薬剤のコンジュゲートαHFc-NC-DM1を用いた第1の設定の実験については、αHFc-NC-DM1(一次抗体との1:1)と協調して8点用量設定(3,333ng/ml~1ng/ml)の抗TIM-3抗体またはIgGアイソタイプ対照抗体を100μl/ウェルの最終容量で細胞に加えた。一次抗体及び二次抗体薬剤のコンジュゲートと共に細胞を37℃及び5%COにて72時間インキュベートした。
【0335】
広い範囲の抗体濃度にわたる細胞生存の大きな低下によって証拠付けられたように、抗TIM-3抗体pab2188w(IgG、N297A)、AM-2(IgG、N297A)、及びAM-6(IgG、N297A)はαHFc-NC-DM1実験にて、参照の抗TIM-3抗体Hum11(IgG、S228P)及びpab1944w(IgG、N297A)よりも効果的に、Jurkat細胞(図14A)及びKasumi-3細胞(図14B)で発現されたTIM-3を内部移行させた。
【0336】
第2の設定の実験については、抗体pab2188w(IgG1、N297A)及びHum11(参照、IgG4、S228P)を類似の濃度のMMAEに直接結合させ、抗体の異なるFc領域に結合する二次薬剤コンジュゲート(αHFc-NC-DM1)の傾向での潜在的な差異を説明した。9点の用量設定(6,666ng/ml~1ng/ml)のMMAEを結合した抗TIM-3抗体またはMMAEを結合したIgGアイソタイプ対照抗体を100μl/ウェルの最終濃度で細胞に加えた。結合した抗体と共に37℃及び5%COで細胞を72時間インキュベートした。インキュベートに続いて90μlの再構成したCell Titer Glo(Promega)を各ウェルに加え、細胞を室温で5分間インキュベートした。Envision機器(Perkin Elmer)を用いて、得られた発光を記録した。
【0337】
図14Cに示すように、抗体pab2188w(IgG1、N297A)が抗体Hum11(参照、IgG4、S228P)よりも細胞生存の大きな低下を誘導したということは、二次抗体薬剤コンジュゲートによって観察された効果(図14Aに示すような)は各TIM-3抗体の内部移行能に起因し得たことを示している。
【0338】
第3の設定の実験では、抗TIM-3抗体の内部移行は生細胞の共焦点蛍光顕微鏡によって解析した。Haloタグ-TIM-3融合タンパク質を発現しているJurkat細胞を先ず、1μMのバイオレット増殖色素450(BD)と共に37℃及び5%COで30分間インキュベートした。インキュベートの後、細胞をPBSで洗浄し、細胞培養培地に再浮遊させた。TIM-3の細胞外ドメインを検出するために、Jurkat Haloタグ-TIM-3細胞を膜不浸透性Haloタグアレクサフルオル488リガンド(Promega、1μM)によって37℃及び5%COで15分間染色した。次いで細胞を新しい培養培地に再浮遊させ、抗TIM-3抗体AM-2(IgG、N297A)またはアイソタイプ対照(10μg/mlでの各抗体)と共に384穴顕微鏡プレート(15,000個/ウェル)に入れた。環境制御下(37℃及び5%CO)にてImageXpress微細共焦点ハイコンテンツ顕微鏡(Molecular Devices)を用いてライブ画像を収集し、3.5時間の経過の間30分ごとに画像を取得した。MetaXpress解析ソフトウエア(Molecular Devices)を用いて画像解析を行った。Jurkat細胞はDAPIチャンネル(バイオレット増殖色素450)から特定され、内部移行したTIM-3シグナルの量はFITCチャンネル(Haloタグアレクサフルオル488)から定量した。
【0339】
図15に示すように、TIM-3の内部移行の経時的な増加は、アイソタイプ対照抗体と共にインキュベートした細胞に比べて抗TIM-3抗体AM-2と共にインキュベートした細胞について観察された。特に、3.5時間後、AM-2抗体処理は、アイソタイプ対照抗体で処理したTIM-3陽性細胞に比べてTIM-3内部移行を示すTIM-3陽性細胞の比率の2倍を生じた(すなわち、それぞれ15.1%の内部移行に対して7.2%の内部移行)。さらに、AM-2抗体で処理した細胞について観察された内部移行シグナルはアイソタイプ対照抗体で処理した細胞よりも3.5時間で有意に高かった(p=0.00027、片側t検定)。0時間の時点では統計的な有意差はなかった(p=0.91、片側t検定)。
【0340】
7.3 実施例3:抗TIM-3抗体のエピトープマッピング
この実施例では、抗TIM-3抗体pab2188(IgG変異体)、pab2187(IgG変異体)、及びAM-2(IgG、N297A)のエピトープを特徴付けた。
【0341】
7.3.1 アラニン走査を用いた抗TIM-3抗体のエピトープマッピング
抗TIM-3抗体pab2188(IgG変異体)及びpab2187(IgG変異体)の結合特性をアラニン走査によって評価した。手短には、Agilent Technologies(Cat#G5901A)のQuikChangeHTタンパク質操作システムを用いて細胞外ドメインにアラニン置換を持つヒトTIM-3の突然変異体を生成した。レトロウイルス形質導入を用いてマウス1624-5プレB細胞の表面にヒトTIM-3突然変異体を発現させた。ヒトTIM-3を発現している細胞の形質導入効率または比率を5%未満に保ってほとんどの細胞が2以上の異なるTIM-3突然変異体を発現しないことを保証した。
【0342】
フローサイトメトリーにてポリクローナル抗TIM-3抗体(R&D Systems,Cat#AF2365)への結合によって証拠付けられたように、正しく折り畳まれたヒトTIM-3突然変異体を発現している細胞は、モノクローナル抗TIM-3抗体pab2188(IgG変異体)またはpab2187(IgG変異体)に結合しないヒトTIM-3突然変異体を発現している亜集団についてさらに選択された。特異的な抗体結合を示す細胞を分離用高速FACS(FACSAriaII,BD Biosciences)によって非結合細胞集団から分離した。抗体反応性または非反応性の細胞プールを組織培養で再び増殖させ、明瞭に検出可能な抗TIM-3抗体(pab2188(IgG変異体)またはpab2187(IgG変異体))非反応性細胞集団が得られるまで抗体指向の細胞選別及び組織培養増殖のサイクルを繰り返した。この抗TIM-3抗体(pab2188(IgG変異体)またはpab2187(IgG変異体))非反応性細胞集団を最終的な単個細胞選別工程またはバルク選別工程に供した。細胞増殖の数日後、単個細胞選別した細胞またはバルク選別した細胞を再びポリクローナル抗TIM-3抗体への結合及びモノクローナル抗体pab2188(IgG変異体)またはpab2187(IgG変異体)への非結合についてフローサイトメトリーによって調べた。
【0343】
表現型を遺伝子型と結び付けるために、ヒトTIM-3突然変異体を発現しているバルク選別した細胞でNGS配列決定を行った。配列解析は、ポリクローナル抗TIM-3抗体に反応性であるが、モノクローナル抗TIM-3抗体pab2188(IgG変異体)またはpab2187(IgG変異体)に反応性ではない細胞は配列番号79に従って番号付けした40位がPheからAlaに変異したヒトTIM-3突然変異体を発現していることを示した。
【0344】
7.3.2 水素・重水素交換(HDX)質量分光分析を用いた抗TIM-3抗体のエピトープマッピング
第1の試験では、水素・重水素交換(HDX)質量分光分析を用いてpab2188(IgG変異体)のヒトTIM-3との相互作用を検討した。
【0345】
脱グリコシル化処理については、250μgの組換えヒトTIM-3/Fcキメラ(R&D Systems,Cat#2365-TM)を4μlのPNGaseFと共に37℃で3時間インキュベートした。ヒトTIM-3/FcキメラはヒトIgGに融合した配列番号102のアミノ酸配列を含む。
【0346】
ペプシン消化については、115μlの4Mの塩酸グアニジン、0.85MのTCEP緩衝液(最終pH2.5)を加え、混合物を10℃で3分間インキュベートすることによって、115μlの対照緩衝液(50mMのリン酸塩、100mMの塩化ナトリウム、pH7.4)における6.9μgのネイティブの、または脱グリコシル化したヒトTIM-3/Fcキメラを変性させた。次いで社内で詰めたペプシンカラムを用いたオンカラムでのペプシン消化に混合物を供し、得られたペプチドを、Q Exactive(商標)Hybrid Quadrupole-Orbitrap質量分析計(Thermo)に繋いだWaters Acquity UPLCで構成されるUPLC-MSシステムを用いて解析した。ペプチドを、2~32%の溶媒B(アセトニトリル中0.1%ギ酸)の20.5分の勾配によって50mm×1mmのC8カラムで分離した。ペプチドの特定は、MascotソフトウエアによるヒトTIM-3配列に対するMS/MSデータを検索することを介して行った。前駆体の質量許容差及び生成物イオンはそれぞれ20ppm及び0.05Daだった。
【0347】
10μlのネイティブのまたは脱グリコシル化したヒトTIM-3/Fcキメラ(6.9μg)、10μlのネイティブのヒトTIM-3/Fcキメラと抗体との混合物(6.9μg:12.9μg)、または10μlの脱グリコシル化したヒトTIM-3/Fcキメラと抗体との混合物(6.9μg:12.9μg)を105μlの酸化重水素標識緩衝液(50mMのリン酸塩、100mMの塩化ナトリウム、pD7.4)と共に0秒間、60秒間、300秒間、1800秒間、7200秒間、14400秒間、及び28800秒間インキュベートした。重水素交換は、ネイティブヒトTIM-3/Fcキメラ及び抗体とのその複合体については10℃にて、または脱グリコシル化したヒトTIM-3/Fcキメラ及び抗体とのその複合体については4℃にて行った。115μlの4Mの塩酸グアニジン、0.85MのTCEP緩衝液(最終pH2.5)を加えることによって重水素交換を止めた。それに続いて、反応を止めた試料を上述のようなオンカラムのペプシン消化及びLC-MS解析に供した。質量スペクトルはMSのみのモードで記録した。重水素の取り込みの算出については、所与のペプチドについての質量スペクトルを抽出されたイオンクロマトグラムのピークにわたって組み合わせ、加重平均m/zを算出した。ネイティブペプチド(0分)の質量から加重平均された質量までの質量の増加は重水素取り込みのレベルに相当する。
【0348】
ネイティブの及び脱グリコシル化したヒトTIM-3について達成された配列包括度はそれぞれ71.6%及び98.4%だった。ほとんどのヒトTIM-3ペプチドは抗ヒトTIM-3抗体の有無にかかわらず同一のまたは類似する重水素レベルを示した一方で、幾つかのペプチド断片は抗体結合の際、有意に低い重水素の取り込みを有することが見いだされた。ネイティブの及び脱グリコシル化したヒトTIM-3は双方とも配列番号94(VCWGKGACPVFECGNVVL)のアミノ酸配列から成る領域及び配列番号95(RIQIPGIMND)のアミノ酸配列から成る領域にて抗ヒトTIM-3抗体pab2188(IgG変異体)に結合する際、重水素取り込みの有意な低下を示した。重水素取り込みの最強の低下は配列番号93(PVFECGN)のアミノ酸配列から成る領域で観察された。
【0349】
次に、AM-2(IgG、N297A)のヒトTIM-3との相互作用を上記に記載されているものに類似するHDX質量分光分析試験にて検討した。手短には、脱グリコシル化したヒトTIM-3/Fcキメラを酸化重水素にて単独で、または抗ヒトTIM-3抗体AM-2(IgG、N297A)との複合体でインキュベートした。重水素交換を10℃にて0秒間、60秒間、300秒間、1800秒間、7200秒間、及び14400秒間行った。交換反応を低pHによって止め、反応を止めた試料を、上記に記載されているようなオンカラムのペプシン/プロテアーゼXIIIまたはプロテアーゼXVIIIの消化及びLC-MS解析に供した。H/D交換MSデータの解析のためのHDX WorkBenchソフトウエア(全体として参照によって本明細書に組み入れられるJ.Am.Soc.Mass Spectrom.2012,23(9),1512-1521)を用いて生のMSデータを処理した。重水素化ペプチドとそのネイティブな形態(t)との間での平均質量の差異を用いて重水素のレベルを算出した。
【0350】
脱グリコシル化したヒトTIM-3について100%の配列包括度が達成された。抗TIM-3抗体AM-2(IgG、N297A)はpab2188(IgG、変異体)によって示されるものと類似する結合パターンを示した。2つの領域、配列番号94(VCWGKGACPVFECGNVVL)のアミノ酸配列から成る一方と配列番号96(RIQIPGIMNDEKFNLKL)のアミノ酸配列から成る他方は、脱グリコシル化したヒトTIM-3が抗TIM-3抗体AM-2(IgG、N297A)に結合した場合、強力な重水素保護を経験した。最強の低下は配列番号93(PVFECGN)のアミノ酸配列から成る領域で観察された。
【0351】
7.3.3 Pepscan解析を用いた抗TIM-3抗体のエピトープマッピング
抗TIM-3抗体pab2188(IgG、変異体)の結合は、チップに結合するペプチドアレイとして調製された合成のTIM-3関連のペプチド断片に対して測定した。オランダ、LelystadのPepscan Presto BVによって解析を行った。手短には、ヒトTIM-3のエピトープを再構築するために、ペプチドのライブラリを合成した。アミノ官能化ポリプロピレン支持体は、独自仕様の親水性ポリマー製剤でグラフトすること、その後のN-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)と共にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いたt-ブチルオキシカルボニル-ヘキサメチレンジアミン(BocHMDA)との反応、及びそれに続くトリフルオロ酢酸(TFA)を用いたBoc基の切断によって得られた。標準のFmocペプチド合成を用いてアミノ官能化固体支持体にて特注改変したJANUS液体処理ステーション(Perkin Elmer)によってペプチドを合成した。構造的模倣体の合成は、足場上のPepscanの独自仕様の化学結合したペプチド(CLIPS)の技術を用いて行った。CLIPSの技術によってペプチドを単一ループ、二重ループ、三重ループ、シート様の折り畳み、らせん様の折り畳み、及びそれらの組み合わせに構造化することが可能になる。合成したペプチドそれぞれに対する抗体の結合はPEPSCANに基づいたELISAで調べた。ペプチドアレイを一次抗体の溶液と共に4℃で一晩インキュベートした。洗浄した後、ペプチドアレイをヤギ抗ヒトHRPコンジュゲート(Southern Biotech,Cat#2010-05)と共に25℃にて1時間インキュベートした。洗浄した後、ペルオキシダーゼの基質2,2’-アジノ-ジ-3-エチルベンズチアゾリンスルホネート(ABTS)及び2μl/mlの3%Hを加えた。1時間後、発色を測定し、電荷結合素子(CCD)-カメラ及び画像処理システムによって定量した。
【0352】
Pepscan試験は、抗TIM-3抗体pab2188(IgG、変異体)が配列番号99(GKGACPVFE)のアミノ酸配列から成る領域及び配列番号100(DFTAAFPR)のアミノ酸配列から成る領域を含むヒトTIM-3の区間を認識することを示した。
【0353】
本発明は、本明細書に記載されている具体的な実施形態による範囲にて限定されるべきではない。実際、記載されているものに加えて本発明の種々の改変が前述の記載及び添付の図面から当業者に明らかになるであろう。そのような改変は添付のクレームの範囲内に入るように意図される。
【0354】
本明細書で引用されている参考文献(たとえば、出版物または特許または特許出願)はすべて各個々の参考文献(たとえば、出版物または特許または特許出願)が具体的に且つ個々にあらゆる目的で全体として参照によって組み入れられるように指示されたかのような同じ程度にあらゆる目的で全体として参照によって本明細書に組み入れられる。
【0355】
他の実施形態は以下のクレームの範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図10
図11
図12A
図12B
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図14-1】
図14-2】
図15
【配列表】
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