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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】高所作業車
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/06 20060101AFI20230424BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
B66F9/06 W
B66F11/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019025081
(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公開番号】P2020132318
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】391033115
【氏名又は名称】株式会社カナモト
(73)【特許権者】
【識別番号】000213851
【氏名又は名称】朝日機材株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519052466
【氏名又は名称】株式会社相互
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】永田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】山添 大樹
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康如
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 豊樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 道信
(72)【発明者】
【氏名】浜田 一路
(72)【発明者】
【氏名】武田 俊彦
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2015-0081503(KR,A)
【文献】特開2001-171989(JP,A)
【文献】特開平07-010486(JP,A)
【文献】特開2009-184826(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0283229(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00-11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降する作業床と、
前記作業床が昇降する方向に対して直交する方向に沿っている回動軸と、
揚重対象を前記作業床の上方に揚重する揚重手段であり、前記作業床の側部に設けられている前記揚重手段であって、前記回動軸を基準に回動可能な前記揚重手段と、を備え、
前記揚重手段は、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して立設されて利用可能となり、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して横設されて収納され、
前記作業床は、立設されて利用可能となっている前記揚重手段と直交する方向の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっている、
高所作業車。
【請求項2】
昇降する作業床と、
前記作業床が昇降する方向に対して直交する方向に沿っている回動軸と、
揚重対象を前記作業床の上方に揚重する揚重手段であり、前記作業床の側部に設けられている前記揚重手段であって、前記回動軸を基準に回動可能な前記揚重手段と、を備え、
前記揚重手段は、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して立設されて利用可能となり、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して横設されて収納され、
前記揚重手段は、前記作業床における一方の側部又は他方の側部の内の前記一方の側部に取り付けられており、
前記揚重手段の一部は、前記揚重手段が立設されて利用可能となった場合に、前記作業床よりも上方に設けられている、
高所作業車。
【請求項3】
前記揚重手段は、前記回動軸に対して直交する方向に延在している第1部分と、前記回動軸に対して平行な方向に延在している第2部分と、を備え、
前記揚重手段の前記第1部分は、前記作業床の前記一方の側部に設けられており、
前記揚重手段の前記第2部分は、前記第1部分の一方の端部から前記作業床の前記他方の端部側に向かって延在している、
請求項2に記載の高所作業車。
【請求項4】
前記揚重手段は、前記揚重対象を保持する保持具を備えており、
前記保持具は、前記揚重手段が立設されて利用可能となっている場合に、前記揚重手段における前記作業床と対向する側とは反対側の外面に沿って移動可能となっている、
請求項1から3の何れか一項に記載の高所作業車。
【請求項5】
前記保持具は、前記揚重手段に対して着脱可能となっている、
請求項4に記載の高所作業車。
【請求項6】
前記作業床が昇降する方向における、前記作業床に対する前記揚重手段の相対位置が調整可能となっている、
請求項1から5の何れか一項に記載の高所作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的高い位置で作業を行うための装置として、高所作業車が知られていた。この高所作業車においては、作業員が乗る作業床を上昇させて高所に移動させることにより、比較的高い位置での作業を可能にしていた。
【0003】
ところで、当該作業において設備用材料(単管又は天井パネル等の機材を含む)を揚重することも想定され、当該機材を揚重するための技術として、作業床上に伸縮する油圧シリンダを含む揚重部を設けて、当該揚重部を用いて機材を揚重する技術が提案されていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-2899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術においては、機材を揚重する必要がない場合、揚重部が邪魔になり高所作業車で行う作業の作業効率が低下したり、又は、安全性が低下したりする可能性があった。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みなされたもので、作業効率及び安全性を向上させることを可能にする高所作業車を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の高所作業車は、昇降する作業床と、前記作業床が昇降する方向に対して直交する方向に沿っている回動軸と、揚重対象を前記作業床の上方に揚重する揚重手段であり、前記作業床の側部に設けられている前記揚重手段であって、前記回動軸を基準に回動可能な前記揚重手段と、を備え、前記揚重手段は、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して立設されて利用可能となり、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して横設されて収納され、前記作業床は、立設されて利用可能となっている前記揚重手段と直交する方向の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっている。
【0008】
請求項2に記載の高所作業車は、昇降する作業床と、前記作業床が昇降する方向に対して直交する方向に沿っている回動軸と、揚重対象を前記作業床の上方に揚重する揚重手段であり、前記作業床の側部に設けられている前記揚重手段であって、前記回動軸を基準に回動可能な前記揚重手段と、を備え、前記揚重手段は、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して立設されて利用可能となり、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して横設されて収納され、前記揚重手段は、前記作業床における一方の側部又は他方の側部の内の前記一方の側部に取り付けられており、前記揚重手段の一部は、前記揚重手段が立設されて利用可能となった場合に、前記作業床よりも上方に設けられている。
【0009】
請求項3に記載の高所作業車は、請求項2に記載の高所作業車において、前記揚重手段は、前記回動軸に対して直交する方向に延在している第1部分と、前記回動軸に対して平行な方向に延在している第2部分と、を備え、前記揚重手段の前記第1部分は、前記作業床の前記一方の側部に設けられており、前記揚重手段の前記第2部分は、前記第1部分の一方の端部から前記作業床の前記他方の端部側に向かって延在している。
【0010】
請求項4に記載の高所作業車は、請求項1から3の何れか一項に記載の高所作業車において、前記揚重手段は、前記揚重対象を保持する保持具を備えており、前記保持具は、前記揚重手段が立設されて利用可能となっている場合に、前記揚重手段における前記作業床と対向する側とは反対側の外面に沿って移動可能となっている。
【0011】
請求項5に記載の高所作業車は、請求項4に記載の高所作業車において、前記保持具は、前記揚重手段に対して着脱可能となっている。
請求項6に記載の高所作業車は、請求項1から5の何れか一項に記載の高所作業車において、前記作業床が昇降する方向における、前記作業床に対する前記揚重手段の相対位置が調整可能となっている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の高所作業車によれば、揚重手段は、回動軸を基準に回動されて作業床に対して立設されて利用可能となり、回動軸を基準に回動されて作業床に対して横設されて収納されることによれば、例えば、揚重手段は利用しない場合に収納されるので、揚重手段が邪魔になることを防止することができ、作業効率及び安全性を向上させることが可能となる。また、例えば、揚重対象と作業員が一緒(共)に昇降されるので、作業員による上向き作業の安全性を確保し、作業効率・工程短縮・複数重機のレンタル抑制(1台で兼用)等が可能となる。
また、作業床は、立設されて利用可能となっている揚重手段と直交する方向の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっていることによれば、例えば、作業対象となる現場又は作業内容に適した作業スペースを確保することができるので、作業効率を向上させることが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の高所作業車によれば、揚重手段は、回動軸を基準に回動されて作業床に対して立設されて利用可能となり、回動軸を基準に回動されて作業床に対して横設されて収納されることによれば、例えば、揚重手段は利用しない場合に収納されるので、揚重手段が邪魔になることを防止することができ、作業効率及び安全性を向上させることが可能となる。また、例えば、揚重対象と作業員が一緒(共)に昇降されるので、作業員による上向き作業の安全性を確保し、作業効率・工程短縮・複数重機のレンタル抑制(1台で兼用)等が可能となる。
【0016】
請求項5に記載の高所作業車によれば、揚重対象を保持する保持具が着脱可能となっていることによれば、例えば、保持具を用いて揚重対象を確実に保持することができるので、安全性を向上させることが可能となる。また、揚重対象の構成(例えば、形状又は材質)に応じて保持具を交換することができるので、あらゆる構成の揚重対象を保持して揚重することが可能となる。
請求項6に記載の高所作業車によれば、作業床に対する揚重手段の相対位置が調整可能となっていることによれば、例えば、作業床上で作業する作業員の身長に合わせて作業床に対する揚重手段の相対位置を調整することができるので、利便性又は汎用性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係る高所作業車を示す斜視図である。
図2】高所作業車を示す図である。
図3】高所作業車のブロック図である。
図4】作業床の平面図である。
図5】揚重対象を保持している状態の高所作業車を示す図である。
図6】揚重アームが収納された状態の高所作業車を示す図である。
図7】作業床が上昇された状態の高所作業車を示す図である。
図8】作業床が拡張された状態の高所作業車を示す側面図である。
図9】揚重対象が揚重された状態の高所作業車の一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る高所作業車の実施の形態を詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、高所作業車に関する。
【0020】
ここで、「高所作業車」とは、高所で作業を行うための装置であり、具体的には、昇降する作業床を有する装置であり、例えば、建設現場等を含む任意の場所で利用される装置であり、一例としては、作業床、回動軸、及び揚重手段を備える。
【0021】
「作業床」とは、高所で作業を行うための床であり、例えば、作業員(ユーザ)、機材、又は工具等が載せられて昇降するものであり、例えば、立設されて利用可能となっている揚重手段と直交する方向の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっているもの等を含む概念である。
【0022】
「回動軸」とは、作業床が昇降する方向に対して直交する方向に沿っている軸等を含む概念である。
【0023】
「揚重手段」とは、揚重対象を作業床の上方に揚重する手段であり、作業床の側部に設けられている手段であって、回動軸を基準に回動可能な手段であり、具体的には、回動軸を基準に回動されて作業床に対して立設されて利用可能となり、回動軸を基準に回動されて作業床に対して横設されて収納されるもの等を含む概念である。また、「揚重手段」とは、例えば、揚重対象を保持する保持具を備えるもの等を含む概念であり、また、作業床が昇降する方向における、作業床に対する揚重手段の相対位置が調整可能となっているもの等を含む概念である。
【0024】
「保持具」とは、揚重対象を保持する保持手段であり、例えば、揚重手段に対して着脱可能となっているもの等を含む概念であり、また、立設されて利用可能となっている揚重手段において昇降可能となっているもの等を含む概念である。
【0025】
「揚重対象」とは、揚重手段にて揚重される対象であり、例えば、建設現場等を含む任意の場所で利用される機材等を含む任意の物であり、一例としては、単管等の長尺部材、及びパネル体等の平板部材等を含む概念である。
【0026】
そして、以下に示す実施の形態では、「揚重対象」が単管である場合について説明する。
【0027】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0028】
(構成)
まず、本実施の形態に係る高所作業車の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る高所作業車を示す斜視図であり、図2(a)は、高所作業車を示す正面図であり、図2(b)は、高所作業車を示す側面図であり、図3は、高所作業車のブロック図である。なお、図1及び図2に示すX―Y―Z方向が互いに直交する方向であり、具体的には、Z方向が鉛直方向であって、X方向及びY方向が鉛直方向に対して直交する水平方向であるものとして、例えば、Z方向を高さ方向と称し、+Z方向を上側又は上方(平面)と称し、-Z方向を下側又は下方(底面)と称し、また、-X方向を正面側と称し、+X方向を背面側と称して説明する。
【0029】
高所作業車100は、例えば、図2の作業床1、昇降アーム2、回動機構3、揚重アーム4、保持部5、図3の操作部61、記録部62、及び制御部63を備える。
【0030】
(構成-作業床)
図4は、作業床の平面図であり、(a)は、縮められた状態の図であり、(b)は、伸ばされた状態の図である。図1及び図2の作業床1は、高所で作業を行うための床であり、具体的には、立設されて利用可能となっている揚重アーム4と直交する方向(X軸方向)の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっているものである。作業床1の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図4(b)に示すように、第1床部材11、第2床部材12、及び第3床部材13を備える。
【0031】
(構成-作業床-床部材)
第1床部材11は、昇降アーム2に固定されている部材であり、例えば、全体としては略長方形形状の部材である。
【0032】
第2床部材12は、第1床部材11の両側に設けられている2個の部材であり、例えば、正面側(-X方向)及び背面側(+X方向)に向かってスライド可能に第1床部材11の上側(+Z方向)に公知のスライド機構を用いて設けられている部材である。
【0033】
第3床部材13は、第1床部材11の両側に第2床部材12を介して設けられている2個の部材であり、例えば、正面側(-X方向)に向かってスライド可能に当該正面側(-X方向)の第2床部材12の上側(+Z方向)に公知のスライド機構を用いて設けられている部材、及び背面側(+X方向)に向かってスライド可能に当該背面側(+X方向)の第2床部材12の上側(+Z方向)に公知のスライド機構を用いて設けられている部材である。
【0034】
そして、このように、作業床1が第1床部材11、第2床部材12、及び第3床部材13を備えることにより、例えば、作業床1は、第2床部材12及び第3床部材13をスライドさせることにより、当該第2床部材12及び第3床部材13に対応する2段階分伸縮可能となっている。
【0035】
(構成-昇降アーム)
図1及び図2の昇降アーム2は、作業床1を昇降させる昇降手段である。昇降アーム2の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、図2(a)に示すように、高所作業車100における一方の側部側(+Y方向)に設けられているものであり、また、高さ方向(Z軸方向)に沿って立設しているものであり、また、伸縮する多重管構造のものである。
【0036】
(構成-回動機構)
図2の回動機構3は、作業床1が昇降する方向(Z軸方向)に対して直交する方向(Y軸方向)に沿っている回動軸である。この回動機構3の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、昇降アーム2に回動可能に取付られているものである。
【0037】
(構成-揚重アーム)
図5(a)は、揚重対象を保持している状態の高所作業車を示す正面図であり、図5(b)は、揚重対象を保持している状態の高所作業車を示す側面図である。
【0038】
図1及び図2の揚重アーム4は、図5の単管である揚重対象101を作業床1の上方(+Z方向)に揚重する揚重手段であり、作業床1の側部(+Y方向)に設けられている手段であって、回動機構3を基準に回動可能な手段であり、具体的には、回動機構3を基準に回動されて作業床1に対して立設されて利用可能となり、回動機構3を基準に回動されて作業床1に対して横設されて収納されるものである。この揚重アーム4の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、揚重対象101を保持する保持部5を備えるものであり、また、作業床1が昇降する方向(Z軸方向)における、作業床1に対する揚重アーム4の相対位置が調整可能となっているものである。また、揚重アーム4は、例えば、図2(a)に示すように、揚重アーム側取付部301及び回動機構3を介して昇降アーム2に取り付けられているものであり、また、第1部分41、及び第2部分42を備えるものである。
【0039】
「揚重アーム側取付部」301とは、揚重アーム4を昇降アーム2に取り付ける取付手段であり、例えば、回動機構3に固定されており、当該回動機構3と共に回動するものである。そして、図2(a)の揚重アーム4は、第1部分41の高さ方向(Z軸方向)における任意の位置(例えば、予め定められている複数の取付候補位置のうちの1つの位置)に任意の取付手法(例えば、ボルトとナットを用いる手法等)を用いて、揚重アーム側取付部301を取り付けて固定可能となっている。このような構成により、作業床1が昇降する方向(Z軸方向)における、作業床1に対する揚重アーム4の相対位置が調整可能となる。
【0040】
(構成-揚重アーム-第1部分、第2部分)
第1部分41は、例えば、揚重アーム側取付部301及び回動機構3を介して昇降アーム2に取り付けられている部分であり、また、図2(a)に示すように、揚重アーム4が立設されて利用可能となっている場合に高さ方向(Z軸方向)に延在している部分である。第2部分42は、例えば、第1部分41から作業床1側(図2(a)の-Y方向)に曲げられて延在している部分である。
【0041】
そして、これらの第1部分41及び第2部分42には、保持部5を第1部分41及び第2部分42が延在する方向に沿って連続的に移動させる不図示の移動機構が設けられている。なお、ここでの移動機構の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、モーター、滑車、及びチェーン等を用いて構成されるもの等を用いてもよい。
【0042】
(構成-保持部)
図5の保持部5は、揚重対象101を保持するものである。この保持部5の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、保持具51、及び保持具側取付部52を備えるものである。
【0043】
(構成-保持部-保持具)
保持具51は、揚重対象101を保持する保持手段であり、例えば、保持具側取付部52を介して揚重アーム4に取り付けられているものであり、また、保持具側取付部52に対して着脱可能となっているものであり、また、揚重対象101の外形に対応するように湾曲しているものであり、また、当該揚重対象101と接触する内面には摩擦係数が比較的大きなゴム等を用いて構成される滑り止めが設けられているものである。
【0044】
(構成-保持部-保持具側取付部)
保持具側取付部52は、保持具51を着脱可能に揚重アーム4に取り付ける取付手段であり、例えば、揚重アーム4の不図示の移動機構にて、第1部分41及び第2部分42に沿って移動可能となるように揚重アーム4に取り付けられているものである。そして、このように、保持具側取付部52に対して保持具51が着脱可能となっているので、保持具51は揚重アーム4に対して着脱可能となる。また、保持具側取付部52が第1部分41及び第2部分42に沿って移動可能となっているので、保持具51は立設されて利用可能となっている揚重アーム4において昇降可能となる。
【0045】
(構成-操作部)
図3の操作部61は、高所作業車100を操作する操作手段である。この操作部61の具体的な種類や構成は任意であるが、例えば、押しボタン等を備えて構成することができる。
【0046】
(構成-記録部)
図3の記録部62は、高所作業車100の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段である。この記録部62は、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0047】
(構成-制御部)
図3の制御部63は、高所作業車100を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。なお、制御部63の各部による具体的な処理については、後述する。
【0048】
(処理)
次に、このように構成される高所作業車100の処理について説明する。ここでは、例えば、揚重対象101を揚重する揚重処理、及び揚重アーム4を収納する収納処理について説明する。図6(a)は、揚重アームが収納された状態の高所作業車を示す正面図であり、図6(b)は、揚重アームが収納された状態の高所作業車を示す側面図であり、図7は、作業床が上昇された状態の高所作業車を示す側面図であり、図8は、作業床が拡張された状態の高所作業車を示す側面図であり、図9(a)は、揚重対象が揚重された状態の高所作業車の一部を示す正面図であり、図9(b)は、揚重対象が揚重された状態の高所作業車の一部を示す側面図である。
【0049】
(処理-揚重処理)
まず、図6に示すように、揚重アーム4が横設されて収納された状態において、ユーザが操作部61を介して、揚重アーム4を利用可能とするための操作入力を行う。この場合、制御部63は、当該操作入力を受け付けた後に、図6(b)の回動機構3を反時計回りに回動することにより、図2に示すように、揚重アーム4を立設させて利用可能とする。
【0050】
次に、作業員が作業床1に乗り込んだ後に、図5に示すように、揚重対象101を保持具51にて保持し、この後、ユーザが操作部61を介して、作業床1を上昇させるための操作入力を行う。なお、揚重対象101を保持具51にて保持する場合、揚重対象101をより確実に保持できるように、固定用の紐等にて当該揚重対象101を保持具51に固定してもよい。この場合、制御部63は、当該操作入力を受け付けた後に、図7に示すように、昇降アーム2を伸ばすことにより作業床1を上昇させる。
【0051】
次に、作業床1に乗り込んでいる作業員が、作業床1を2段階分伸ばして、図8に示すように、当該作業床1を拡張する。
【0052】
次に、ユーザが操作部61を介して、保持部5を上昇させるための操作入力を行う。この場合、制御部63は、当該操作入力を受け付けた後に、図9に示すように、揚重アーム4の不図示の移動機構を用いて、保持部5を揚重アーム4の上側(+Z方向)に移動させることにより、揚重対象101を揚重する。このようにして、揚重対象101を作業床1の上側(+Z方向)に揚重することができるので、作業床1に乗り込んでいる作業員が、当該揚重対象101を天井側に容易に設置することが可能となる。
【0053】
(処理-収納処理)
次に、図9の揚重対象101を保持部5から外して天井側に設置した後、作業員が作業床1を縮め、この後、ユーザが操作部61を介して、保持部5を降下させるための操作入力を行う。この場合、制御部63は、当該操作入力を受け付けた後に、揚重アーム4の不図示の移動機構を用いて、保持部5を揚重アーム4の下側(-Z方向)に移動させる。
【0054】
次に、ユーザが操作部61を介して、作業床1を降下させるための操作入力を行う。この場合、制御部63は、当該操作入力を受け付けた後に、図2に示すように、昇降アーム2を縮めることにより作業床1を降下させる。
【0055】
次に、作業員が作業床1から降りた後に、ユーザが操作部61を介して、揚重アーム4を収納するための操作入力を行う。この場合、制御部63は、当該操作入力を受け付けた後に、図2(b)の回動機構3を時計回りに回動することにより、図6に示すように、揚重アーム4を横設させて収納する。これにて、高所作業車100の処理の説明を終了する。
【0056】
(本実施の形態の効果)
本実施の形態によれば、揚重アーム4は、回動機構3を基準に回動されて作業床1に対して立設されて利用可能となり、回動機構3を基準に回動されて作業床1に対して横設されて収納されることによれば、例えば、揚重アーム4は利用しない場合に収納されるので、揚重アーム4が邪魔になることを防止することができ、作業効率及び安全性を向上させることが可能となる。また、例えば、揚重アーム4と作業員が一緒(共)に昇降されるので、作業員による上向き作業の安全性を確保し、作業効率・工程短縮・複数重機のレンタル抑制(1台で兼用)等が可能となる。
【0057】
また、揚重対象101を保持する保持具51が着脱可能となっていることによれば、例えば、保持具51を用いて揚重対象101を確実に保持することができるので、安全性を向上させることが可能となる。また、揚重対象の構成(例えば、形状又は材質)に応じて保持具を交換することができるので、あらゆる構成の揚重対象を保持して揚重することが可能となる。
【0058】
また、保持具51は昇降可能となっていることによれば、例えば、保持具51を昇降させることにより、作業床1上で作業する作業員に対する揚重対象101の高さ又は位置を調整することができるので、作業効率を向上させることが可能となる。
【0059】
また、作業床1に対する揚重アーム4の相対位置が調整可能となっていることによれば、例えば、作業床1上で作業する作業員の身長に合わせて作業床1に対する揚重アーム4の相対位置を調整することができるので、利便性又は汎用性を向上させることが可能となる。
【0060】
また、作業床1は、立設されて利用可能となっている揚重アーム4と直交する方向の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっていることによれば、例えば、作業対象となる現場又は作業内容に適した作業スペースを確保することができるので、作業効率を向上させることが可能となる。
【0061】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0062】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0063】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。また、本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。
【0064】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0065】
(保持具について)
また、図5に示す単管である揚重対象101を保持する保持具51以外に、パネル体である不図示の揚重対象を保持する保持具(例えば、パネル体を四方から挟んで保持する保持具)を用意して、揚重対象の種類に対応する保持具を用いてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態においては、保持具51が着脱可能であるものと説明したが、これに限らず、保持具51を保持具側取付部52と一体的に形成し、着脱不可能としてもよい。
【0067】
(付記)
付記1の高所作業車は、昇降する作業床と、前記作業床が昇降する方向に対して直交する方向に沿っている回動軸と、揚重対象を前記作業床の上方に揚重する揚重手段であり、前記作業床の側部に設けられている前記揚重手段であって、前記回動軸を基準に回動可能な前記揚重手段と、を備え、前記揚重手段は、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して立設されて利用可能となり、前記回動軸を基準に回動されて前記作業床に対して横設されて収納される。
【0068】
付記2の高所作業車は、付記1に記載の高所作業車において、前記揚重手段は、前記揚重対象を保持する保持具を備えており、前記保持具は、前記揚重手段に対して着脱可能となっている。
【0069】
付記3の高所作業車は、付記2に記載の高所作業車において、前記保持具は、立設されて利用可能となっている前記揚重手段において昇降可能となっている。
【0070】
付記4の高所作業車は、付記1から3の何れか一項に記載の高所作業車において、前記作業床が昇降する方向における、前記作業床に対する前記揚重手段の相対位置が調整可能となっている。
【0071】
付記5の高所作業車は、付記1から4の何れか一項に記載の高所作業車において、前記作業床は、立設されて利用可能となっている前記揚重手段と直交する方向の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっている。
【0072】
(付記の効果)
付記1に記載の高所作業車によれば、揚重手段は、回動軸を基準に回動されて作業床に対して立設されて利用可能となり、回動軸を基準に回動されて作業床に対して横設されて収納されることによれば、例えば、揚重手段は利用しない場合に収納されるので、揚重手段が邪魔になることを防止することができ、作業効率及び安全性を向上させることが可能となる。また、例えば、揚重対象と作業員が一緒(共)に昇降されるので、作業員による上向き作業の安全性を確保し、作業効率・工程短縮・複数重機のレンタル抑制(1台で兼用)等が可能となる。
【0073】
付記2に記載の高所作業車によれば、揚重対象を保持する保持具が着脱可能となっていることによれば、例えば、保持具を用いて揚重対象を確実に保持することができるので、安全性を向上させることが可能となる。また、揚重対象の構成(例えば、形状又は材質)に応じて保持具を交換することができるので、あらゆる構成の揚重対象を保持して揚重することが可能となる。
【0074】
付記3に記載の高所作業車によれば、保持具は昇降可能となっていることによれば、例えば、保持具を昇降させることにより、作業床上で作業する作業員に対する揚重対象の高さ又は位置を調整することができるので、作業効率を向上させることが可能となる。
【0075】
付記4に記載の高所作業車によれば、作業床に対する揚重手段の相対位置が調整可能となっていることによれば、例えば、作業床上で作業する作業員の身長に合わせて作業床に対する揚重手段の相対位置を調整することができるので、利便性又は汎用性を向上させることが可能となる。
【0076】
付記5に記載の高所作業車によれば、作業床は、立設されて利用可能となっている揚重手段と直交する方向の両側に向かって複数段階分伸縮可能となっていることによれば、例えば、作業対象となる現場又は作業内容に適した作業スペースを確保することができるので、作業効率を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
1 作業床
2 昇降アーム
3 回動機構
4 揚重アーム
5 保持部
11 第1床部材
12 第2床部材
13 第3床部材
41 第1部分
42 第2部分
51 保持具
52 保持具側取付部
61 操作部
62 記録部
63 制御部
100 高所作業車
101 揚重対象
301 揚重アーム側取付部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9