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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ドライアイス製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 32/55 20170101AFI20230424BHJP
【FI】
C01B32/55
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019029343
(22)【出願日】2019-02-21
(65)【公開番号】P2020132481
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591158324
【氏名又は名称】大阪ガスリキッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】池田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 典士
(72)【発明者】
【氏名】福本 祐介
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-007808(JP,A)
【文献】特開昭58-074516(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00433018(GB,A)
【文献】米国特許第06244069(US,B1)
【文献】特開2000-119013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型室の内部を往復動する押圧体にて、前記成型室の内部のドライアイススノーを圧縮してブロック状ドライアイスを成型するドライアイス製造方法であって、
前記成型室の内部の前記ドライアイススノーを前記押圧体にて圧縮して前記ブロック状ドライアイスを成型しかつ成型した前記ブロック状ドライアイスを前記成型室から排出する成型工程と、ドライアイススノー生成箇所にて液化炭酸ガスを噴出して、前記ブロック状ドライアイスを成型する前記ドライアイススノーを生成するドライアイススノー生成工程とを、並行して行い、次に、
前記成型工程の終了後の前記成型室に、予め作成した設定供給量の前記ドライアイススノーを供給する供給工程を行うことを繰り返し、
前記ドライアイススノー生成箇所を形成する密閉状容器の底部の出口と前記成型室の供給口とを接続する傾斜状の搬送筒が設けられ、前記供給工程を、前記搬送筒の内部に貯留した設定供給量の前記ドライアイススノーを重力により移動させて行うドライアイス製造方法。
【請求項2】
前記液化炭酸ガスの噴出量が、前記ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定されている請求項1記載のドライアイス製造方法。
【請求項3】
原料としての炭酸ガスを処理して前記液化炭酸ガスを製造する液化設備からの前記液化炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずに前記ドライアイススノー生成箇所に供給し、
前記ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずに前記液化設備に戻す請求項1又は2に記載のドライアイス製造方法。
【請求項4】
成型室の内部を往復動する押圧体にて、前記成型室の内部のドライアイススノーを圧縮してブロック状ドライアイスを成型するドライアイス製造装置であって、
前記成型室の内部の前記ドライアイススノーを前記押圧体にて圧縮して前記ブロック状ドライアイスを成型しかつ成型した前記ブロック状ドライアイスを前記成型室から排出する成型工程を行う成型部と、
ドライアイススノー生成箇所にて液化炭酸ガスを噴出して、前記ブロック状ドライアイスを成型するために前記成型室に供給する前記ドライアイススノーを生成するドライアイススノー生成工程を行うドライアイススノー生成部と、
前記成型室に、予め作成した設定供給量の前記ドライアイススノーを供給する供給工程を行う供給部と、が設けられ、
前記成型工程と前記ドライアイススノー生成工程とを並行して実行し、且つ、前記成型工程の終了後に前記供給工程を実行することを繰り返すように、前記成型部、前記ドライアイススノー生成部、及び、前記供給部を作動させる制御部が設けられ
前記供給部に、前記ドライアイススノー生成箇所を形成する密閉状容器の底部の出口と前記成型室の供給口とを接続する傾斜状の搬送筒が設けられ、前記供給工程を、前記搬送筒の内部に貯留した設定供給量の前記ドライアイススノーを重力により移動させて行うドライアイス製造装置。
【請求項5】
前記液化炭酸ガスの噴出量が、前記ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定され、
原料としての炭酸ガスを処理して前記液化炭酸ガスを製造する液化設備からの前記液化炭酸ガスを前記ドライアイススノー生成箇所に供給する供給路が、バッファタンクを備えない状態で設けられ、
前記ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスを前記液化設備に戻す回収路が、バッファタンクを備えない状態で設けられている請求項に記載のドライアイス製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型室の内部を往復動する押圧体にて、前記成型室の内部のドライアイススノーを圧縮してブロック状ドライアイスを成型するドライアイス製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるドライアイスを製造する製造方法の従来例として、液体炭酸ガスを成型室の内部に噴出して、ドライアイススノーを成型室の内部に生成する工程と、成型室の内部のドライアイススノーを押圧体にて圧縮してブロック状ドライアイスを成型しかつ成型したブロック状ドライアイスを成型室から排出するドライアイスの成型工程とを繰り返すようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来のドライアイス製造方法を実行する従来のドライアイス製造装置について説明を加えると、図6に示すように、原料路6Aを通して供給される原料としての炭酸ガスを処理して液体炭酸ガスを製造する液化設備Lが設けられ、当該液化設備Lにて製造された液体炭酸ガスの一部を成形室Aに設けた噴出ノズル31に供給する供給路32が、供給用のバッファタンク33を備える状態で設けられている。尚、供給路32における液化設備Lと供給用のバッファタンク33との間には、液体炭酸ガスの圧力を調整する圧力調整弁34が配設され、供給路32における供給用のバッファタンク33と噴出ノズル31との間には、液体炭酸ガスの供給を制御する開閉弁35が設けられている。
【0004】
そして、ドライアイススノーを生成する工程においては、開閉弁35を開いて、噴出ノズル31から成型室Aの内部に液体炭酸ガスを噴出して、噴出された液体炭酸ガスを断熱膨張させてドライアイススノーを生成するように構成されている。
ちなみに、液化設備Lには、製造した液化炭酸ガスを製品として排出する製品路6Bが設けられている。
【0005】
また、成型室Aには、ドライアイススノーNを生成する際に発生する高圧の炭酸ガスを回収して液化設備Lに供給するガス回収路Fが接続されている。そして、ガス回収路Fには、回収する炭酸ガスの圧力を設定する回収圧力制御弁36、当該回収圧力制御弁36にて圧力調整された炭酸ガスを回収する回収用のバッファタンク37、当該回収用のバッファタンク37から排出される炭酸ガスの圧力を設定する排出圧力制御弁38、及び、炭酸ガスの圧力を高圧に昇圧する圧縮機39が設けられ、成型室Aから回収された炭酸ガスが高圧に調整された後に、液化設備Lに戻されるように構成されている。
【0006】
つまり、従来のドライアイス製造装置においては、液化設備Lにて連続的に製造される液体炭酸ガスを成型室Aに対して間欠的に供給することになるため、液化設備Lにて製造された液体炭酸ガスの一部を成形室Aに供給する供給路32が、供給用のバッファタンク33を備える状態で設けられ、加えて、成型室Aから回収される炭酸ガスの回収量が繰り返し変動するのに対して、回収された炭酸ガスを液化設備Lに戻す量を定量に維持するために、ガス回収路Fが、回収用のバッファタンク37を備える状態で設けられていた。
尚、図6において、1は、ブロック状ドライアイスを成型するために昇降する押圧体、2は、ブロック状ドライアイスを取出すために昇降する底部枠、3は、ブロック状ドライアイスを底部枠2から払い出す押出具である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10‐236814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来では、ドライアイススノーを生成する工程が、液体炭酸ガスを成型室の内部に噴出して行われるものであり、成型室がドライアイススノーを生成する工程と、ブロック状ドライアイスの成型工程とに用いられるため、ドライアイスの生産能率が低いという問題がある。
【0009】
つまり、液体炭酸ガスを噴出することにより、噴出された液体炭酸ガスを断熱膨張させてドライアイススノーを生成するには、液体炭酸ガスの単位時間当たりの噴出量を適正な量にする必要があるため、所要の大きさのブロック状ドライアイスを成型するために必要とする量のドライアイススノーを生成するのに要する時間が、例えば、ブロック状ドライアイスの成型工程に要する時間と同等になる等、かなりの時間を要することになる。
【0010】
このように、ドライアイススノーを生成する工程を行うために成型室が使用される時間が長くなる結果、ブロック状ドライアイスの生産能率を向上できないものであり、改善が望まれるものであった。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであって、その目的は、ブロック状ドライアイスの生産能率の向上を図ることができるドライアイス製造方法を提供する点にある。
また、本発明の別の目的は、ブロック状ドライアイスの生産能率の向上を図ることができるドライアイス製造装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のドライアイス製造方法は、成型室の内部を往復動する押圧体にて、前記成型室の内部のドライアイススノーを圧縮してブロック状ドライアイスを成型するものであって、その特徴構成は、
前記成型室の内部の前記ドライアイススノーを前記押圧体にて圧縮して前記ブロック状ドライアイスを成型しかつ成型した前記ブロック状ドライアイスを前記成型室から排出する成型工程と、ドライアイススノー生成箇所にて液炭酸ガスを噴出して、前記ブロック状ドライアイスを成型する前記ドライアイススノーを生成するドライアイススノー生成工程とを、並行して行い、次に、
前記成型工程の終了後の前記成型室に、予め作成した設定供給量の前記ドライアイススノーを供給する供給工程を行うことを繰り返し、
前記ドライアイススノー生成箇所を形成する密閉状容器の底部の出口と前記成型室の供給口とを接続する傾斜状の搬送筒が設けられ、前記供給工程を、前記搬送筒の内部に貯留した設定供給量の前記ドライアイススノーを重力により移動させて行う点を特徴とする。
【0013】
すなわち、成型室の内部のドライアイススノーを押圧体にて圧縮してブロック状ドライアイスを成型しかつ成型したブロック状ドライアイスを成型室から排出する成型工程を行うときに、それと並行して、成型室とは別のドライアイススノー生成箇所にて液炭酸ガスを噴出して、ブロック状ドライアイスを成型するために成型室に供給するドライアイススノーを生成するドライアイススノー生成工程が行われる。
【0014】
次に、成型工程が終了すると、成型工程の終了後の成型室に、ドライアイススノー生成工程により予め作成した設定供給量のドライアイススノーを供給する供給工程が行われることになる。
つまり、成型工程とドライアイススノー生成工程とを並行して行い、次に、供給工程を行うことを繰り返すことにより、ブロック状ドライアイスを製造することになる。
【0015】
予め作成した設定供給量のドライアイススノーを成型室に供給する供給工程は、作成済みのドライアイススノーを一挙に成型室に送り込むものであるから、供給工程に要する時間は、液炭酸ガスを成型室内に噴出しながら、設定供給量のドライアイススノーを作成する時間よりも十分に短くなる。
その結果、単位時間当たりに、成型室にて成型工程を行う回数を増加させることができることになり、ブロック状ドライアイスの生産能率を向上させることができる。
【0016】
要するに、本発明のドライアイス製造方法の特徴構成によれば、ブロック状ドライアイスの生産能率の向上を図ることができる。
また、予め作成した設定供給量のドライアイススノーを成型室に供給する供給工程において、ドライアイススノーが、その重力により移動しながら、成型室に供給されることになる。
このように、ドライアイススノーを、その重力により移動させながら成型室に供給するものであるから、ドライアイススノーを成型室に供給するための設備の簡素化を図ることができる。
要するに、本発明のドライアイス製造方法の特徴構成によれば、ドライアイススノーを成型室に供給するための設備の簡素化を図ることができる。
【0017】
本発明のドライアイス製造方法の更なる特徴構成は、前記液炭酸ガスの噴出量が、前記ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定されている点を特徴とする。
尚、この記載において、ドライアイススノー生成工程を連続して行うとは、予め作成した設定供給量のドライアイススノーを成型室に供給する供給工程を含めて、ドライアイススノー生成箇所にて液炭酸ガスを噴出することが、継続して行われることを意味する。
【0018】
すなわち、ドライアイススノー生成箇所にて液炭酸ガスを噴出しながらドライアイススノーを生成する際には、高圧の炭酸ガスが発生することになるが、ドライアイススノー生成工程が連続して行われるから、高圧の炭酸ガスも連続して発生することになるため、発生する炭酸ガスを回収しながら、回収した炭酸ガスを液炭酸ガスに再生処理することを連続して安定的に行うことができ、回収した炭酸ガスを液炭酸ガスとして再利用することを良好に行えるのである。
【0019】
要するに、本発明のドライアイス製造方法の更なる特徴構成によれば、ドライアイススノー生成箇所にて発生する高圧の炭酸ガスを回収して液炭酸ガスとして再利用することを良好に行うことができる。
【0020】
本発明のドライアイス製造方法の更なる特徴構成は、原料としての炭酸ガスを処理して前記液炭酸ガスを製造する液化設備からの前記液炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずに前記ドライアイススノー生成箇所に供給し、
前記ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずに前記液化設備に戻す点を特徴とする。
【0021】
すなわち、ドライアイススノー生成工程における液炭酸ガスの噴出量が、ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定されて、液化設備から連続して供給される液炭酸ガスをドライアイススノー生成箇所に定量ずつ連続的に供給する形態でドライアイススノー生成工程が行われるから、液化設備からの液炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずにドライアイススノー生成箇所に供給するようにする。
【0022】
また、液化設備から連続して供給される液炭酸ガスをドライアイススノー生成箇所に定量ずつ連続的に供給する形態でドライアイススノー生成工程が行われることにより、ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスの排出量が定量となる状態を継続するものとなるから、ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずに液化設備に戻すようにする。
【0023】
要するに、本発明のドライアイス製造方法の更なる特徴構成によれば、液化設備からドライアイススノー生成箇所に供給される液炭酸ガスに対するバッファタンク、及び、ドライアイススノー生成箇所から液化設備に戻す炭酸ガスに対するバッファタンクを省略して、本方法を実施する構成の簡素化を図ることができる。
【0030】
本発明のドライアイス製造装置は、成型室の内部を往復動する押圧体にて、前記成型室の内部のドライアイススノーを圧縮してブロック状ドライアイスを成型するものであって、その特徴構成は、
前記成型室の内部の前記ドライアイススノーを前記押圧体にて圧縮して前記ブロック状ドライアイスを成型しかつ成型した前記ブロック状ドライアイスを前記成型室から排出する成型工程を行う成型部と、
ドライアイススノー生成箇所にて液炭酸ガスを噴出して、前記ブロック状ドライアイスを成型するために前記成型室に供給する前記ドライアイススノーを生成するドライアイススノー生成工程を行うドライアイススノー生成部と、
前記成型室に予め作成した設定供給量の前記ドライアイススノーを供給する供給工程を行う供給部と、が設けられ、
前記成型工程と前記ドライアイススノー生成工程とを並行して実行し、且つ、前記成型工程の終了後に前記供給工程を実行することを繰り返すように、前記成型部、前記ドライアイススノー生成部、及び、前記供給部を作動させる制御部が設けられ
前記供給部に、前記ドライアイススノー生成箇所を形成する密閉状容器の底部の出口と前記成型室の供給口とを接続する傾斜状の搬送筒が設けられ、前記供給工程を、前記搬送筒の内部に貯留した設定供給量の前記ドライアイススノーを重力により移動させて行う点にある。
【0031】
すなわち、成型室の内部のドライアイススノーを押圧体にて圧縮してブロック状ドライアイスを成型しかつ成型したブロック状ドライアイスを成型室から排出する成型工程を行うときに、それと並行して、成型室とは別のドライアイススノー生成箇所にて液炭酸ガスを噴出して、ブロック状ドライアイスを成型するために成型室に供給するドライアイススノーを生成するドライアイススノー生成工程とが行われように、成型部とドライアイススノー生成部とが作動される。
【0032】
次に、成型工程が終了すると、供給部が作動されて、成型工程の終了後の成型室に、予め作成した設定供給量のドライアイススノーが供給される。
つまり、成型工程とドライアイススノー生成工程とを並行して行い、次に、供給工程を行うことを繰り返すように、成型部、ドライアイススノー生成部、及び、供給部を制御部にて作動されて、ブロック状ドライアイスを製造することになる。
【0033】
予め作成した設定供給量のドライアイススノーを成型室に供給する供給工程は、作成済みのドライアイススノーを一挙に成型室に送り込むものであるから、供給工程に要する時間は、液炭酸ガスを成型室内に噴出しながら、設定供給量のドライアイススノーを作成する時間よりも十分に短くなる。
その結果、単位時間当たりに、成型室にて成型工程を行う頻度を増加させることができることになり、ブロック状ドライアイスの生産能率を向上させることができる。
【0034】
要するに、本発明のドライアイス製造装置の特徴構成によれば、ブロック状ドライアイスの生産能率の向上を図ることができる。
【0035】
本発明のドライアイス製造装置の更なる特徴構成は、前記液炭酸ガスの噴出量が、前記ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定され、
原料としての炭酸ガスを処理して前記液炭酸ガスを製造する液化設備からの前記液炭酸ガスを前記ドライアイス生成箇所に供給する供給路が、バッファタンクを備えない状態で設けられ、
前記ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスを前記液化設備に戻す回収路が、バッファタンクを備えない状態で設けられている点にある。
【0036】
すなわち、ドライアイススノー生成工程における液炭酸ガスの噴出量が、ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定されて、液化設備から連続して供給される液炭酸ガスをドライアイススノー生成箇所に定量ずつ連続的に供給する形態でドライアイススノー生成工程が行われるから、液化設備からの液炭酸ガスをドライアイス生成箇所に供給する供給路に、バッファタンクを備えさせないようにする。
【0037】
また、液化設備から連続して供給される液炭酸ガスをドライアイススノー生成箇所に定量ずつ連続的に供給する形態でドライアイススノー生成工程が行われることにより、ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスの排出量が定量となる状態を継続するものとなるから、ドライアイススノー生成箇所から排出される炭酸ガスを液化設備に戻す回収路に、バッファタンクを備えさせないようにする。
【0038】
要するに、本発明のドライアイス製造装置の更なる特徴構成によれば、液化設備からドライアイススノー生成箇所に供給される液炭酸ガスに対するバッファタンク、及び、ドライアイススノー生成箇所から液化設備に戻す炭酸ガスに対するバッファタンクを省略して、全体構成の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】圧縮状態のドライアイス製造装置の概略図
図2】排出状態のドライアイス製造装置の概略図
図3】供給工程のドライアイス製造装置の概略図
図4】制御構成を示すブロック図
図5】別実施形態のドライアイス製造装置の概略図
図6】ドライアイス製造装置の従来例を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0040】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、上述の従来例における構成部材と同様な構成部材には同じ符号を付して説明する。
(ドライアイス製造装置の全体構成)
図1図3に示すように、ドライアイス製造装置は、成型室Aの内部を往復動する押圧体1にて、成型室Aの内部のドライアイススノーNを圧縮してブロック状ドライアイスDを成型するように構成されている。
【0041】
すなわち、ドライアイス製造装置は、成型部P、ドライアイススノー生成部Q、及び、供給部Rを備えている。
そして、図4に示すように、ドライアイス製造装置の運転を制御する制御部Hが設けられ、当該制御部Hが、操作部Sにて運転開始指令が指令されると、成型部P、ドライアイススノー生成部Q、及び、供給部Rの作動を制御して、ブロック状ドライアイスDを製造するように構成されており、その詳細は後述する。
【0042】
〔成型部の詳細〕
成型部Pは、成型室Aの内部のドライアイススノーNを押圧体1にて圧縮してブロック状ドライアイスDを成型しかつ成型したブロック状ドライアイスDを成型室Aから排出する成型工程を行うように構成されている。
すなわち、図3に示すように、押圧体1を上方の待機位置に位置させた状態で、設定供給量のドライアイススノーNが成型室Aに供給されると、図1に示すように、押圧体1を下降させてドライアイススノーNを圧縮して、ブロック状ドライアイスDを成型するように構成されている。
【0043】
ブロック状ドライアイスDの成型が終了すると、図2に示すように、成型室Aの底部を形成する底部枠2を、ブロック状ドライアイスDを載置した状態で下降させて、ブロック状ドライアイスDを成型室Aの下方に移動させ、その状態において、水平方向に往復動する押出具3によって、ブロック状ドライアイスDを底部枠2から払い出すように構成されている。
そして、ブロック状ドライアイスDの払い出しが終了すると、押圧体1を上方の待機位置に上昇させ、且つ、底部枠2を成型室Aの底部を形成する上昇位置に復帰移動させるように構成され、また、押出具3を成型室Aの横側部の退避位置に復帰移動させるように構成されている。
【0044】
ちなみに、図示は省略するが、押圧体1、底部枠2、押出具3の夫々は、油圧シリンダ等の駆動装置によって往復駆動されるように構成され、また、底部枠2から払い出されたブロック状ドライアイスDは、傾斜案内部等にて案内されながら回収部に回収されように構成されている。
【0045】
また、成型室Aには、ドライアイススノーNの一部が気化して発生する低圧の炭酸ガスを外部に排気する排ガス路4が設けられており、後述如く、ドライアイススノーNを成型室Aに供給する際等に発生する低圧の炭酸ガスを外部に排気するように構成されている。
【0046】
〔ドライアイススノー生成部の詳細〕
ドライアイススノー生成部Qは、図1図3に示すように、ドライアイススノー生成箇所Bにて液炭酸ガスを噴出して、ブロック状ドライアイスDを成型するために成型室Aに供給するドライアイススノーNを生成するドライアイススノー生成工程を行うように構成されている。
【0047】
すなわち、円筒状等の密閉状容器5が設けられて、その内部空間にてドライアイススノー生成箇所Bが形成されている。
原料路6Aを通して供給される原料としての炭酸ガスを処理して液炭酸ガスを製造する液化設備Lが設けられ、当該液化設備Lにて製造された液炭酸ガスの一部を密閉状容器5の側壁に設けた噴出ノズル8に供給する供給路7が、バッファタンクを備えない状態で設けられている。そして、噴出ノズル8から密閉状容器5の内部に液炭酸ガスを噴出することにより、噴出された液炭酸ガスを断熱膨張させてドライアイススノーNを生成するように構成されている。
尚、液化設備Lにおける液炭酸ガスを製造するための処理は、炭酸ガス中の不純物を除去する処理や炭酸ガスを乾燥する処理を行ない、その後、炭酸ガスを冷却して液炭酸ガスにする処理である。
ちなみに、液化設備Lには、製造した液化炭酸ガスを製品として排出する製品路6Bが設けられている。
【0048】
供給路7には、噴出ノズル8にて噴出する液炭酸ガスの噴出量を制御する流量制御弁9が設けられて、噴出ノズル8にて噴出する噴出量が、ドライアイススノー生成工程を連続して行うようにする噴出量に設定されており、その詳細は後述する。
【0049】
密閉状容器5には、ドライアイススノーNを生成する際に発生する高圧の炭酸ガスを回収するガス回収路10が接続され、そのガス回収路10には、回収する炭酸ガスの圧力を設定する圧力制御弁11が設けられている。
そして、ガス回収路10を通して回収された炭酸ガスが、圧縮機12にて高圧に調整さされた後、戻り路14を通して液化設備Lに戻されるように構成されている。
【0050】
尚、本実施形態においては、ガス回収路10と戻り路14とから、ドライアイススノー生成箇所Bから排出される炭酸ガスを液化設備Lに戻す回収路Eが構成されることになり、この回収路Eが、バッファタンクを備えない状態で設けられることになる。
ちなみに、圧縮機12を液化設備Lに装備して、回収路Eには圧縮機12を設けないように構成してもよい。
【0051】
〔供給部の詳細〕
供給部Rは、成型室Aに、予め作成した設定供給量のドライアイススノーNを供給する供給工程を行うように構成されている。
本実施形態においては、供給工程が、設定供給量のドライアイススノーNを重力により移動させて行うように構成されている。
【0052】
すなわち、密閉状容器5の底部の出口5Aと成型室Aの供給口15とを接続する傾斜状の搬送筒16が設けられ、密閉状容器5の内部にて生成されたドライアイススノーNが、密閉状容器5の内部の炭酸ガスの圧力により搬送筒16の内部に移動し、搬送筒16の内部に貯留された設定供給量のドライアイススノーNが重力により搬送筒16の内部を落下移動して、成型室Aの内部に供給されるように構成されている。
【0053】
搬送筒16の上流側には、当該搬送筒16の内部に出退して、密閉状容器5の内部で生成されたドライアイススノーNが搬送筒16の内部に流動するのを断続する上流側開閉体17が設けられ、搬送筒16の下流側には、当該搬送筒16の内部に出退して、搬送筒16の内部のドライアイススノーNが成型室Aに向けて流動するのを断続する下流側開閉体18が設けられている。
【0054】
そして、図1及び図2に示すように、下流側開閉体18を閉じ状態とし且つ上流側開閉体17を開き状態にすると、密閉状容器5の内部にて生成されたドライアイススノーNが搬送筒16の内部に流動するドライアイススノー貯留状態となり、また、図3に示すように、下流側開閉体18を開き状態とし且つ上流側開閉体17を閉じ状態にすると、搬送筒16の内部に貯留された設定供給量のドライアイススノーNが成型室Aに流動するドライアイススノー供給状態となるように構成されている。
【0055】
尚、図示は省略するが、搬送筒16には、ドライアイススノー貯留状態において、ドライアイススノーNと共に搬送筒16の内部に流動する炭酸ガスを外部に排出する排気口が開口されている。
また、上流側開閉体17及び下流側開閉体18は、流体圧シリンダ等の駆動装置により開閉操作されることになる。
【0056】
ちなみに、本実施形態においては、下流側開閉体18の閉じ状態において貯留されるドライアイススノーNの貯留量が、上流側開閉体17の設置箇所に達する程度になると、ブロック状ドライアイスDを成型するために必要となる設定供給量のドライアイススノーNを貯留した状態となるように構成されている。
【0057】
〔運転制御の詳細〕
制御部Hが、成型工程とドライアイススノー生成工程とを並行して実行し、且つ、成型工程の終了後に供給工程を実行することを繰り返すように、成型部P、ドライアイススノー生成部Q、及び、供給部Rを作動させるように構成されている。
【0058】
本実施形態においては、噴出ノズル8からドライアイススノー生成箇所Bに噴出する液炭酸ガスの噴出量が、ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定されている。
つまり、ドライアイススノー生成工程が、順次行われる成型工程及び供給工程と並行して、連続して実行されるように構成されている。
【0059】
説明を加えると、図1及び図2に示すように、成型工程においては、供給部Rがドライアイススノー貯留状態となり、成型工程の末期には、図2に示すように、搬送筒16の内部に、設定供給量のドライアイススノーNが貯留されることになる。
【0060】
そして、図3に示すように、供給工程においては、供給部Rがドライアイススノー供給状態となり、搬送筒16の内部に貯留されている設定供給量のドライアイススノーNが、成型室Aに供給されることになる。
【0061】
また、供給工程においても、ドライアイススノー生成部Qにおいて、噴出ノズル8から液炭酸ガスをドライアイススノー生成箇所Bに噴出する状態が継続され、生成されたドライアイススノーNが密閉状容器5の内部に貯留する形態で、ドライアイススノー生成工程が継続される。
【0062】
そして、成型工程に移行して、供給部Rがドライアイススノー貯留状態になると、密閉状容器5の内部に貯留されているドライアイススノーNが搬送筒16の内部に流動し、その後、密閉状容器5の内部(ドライアイススノー生成箇所B)にて順次生成されるドライアイススノーNが搬送筒16の内部に流動することになる。
【0063】
すなわち、噴出ノズル8からドライアイススノー生成箇所Bに噴出する液炭酸ガスの噴出量が、ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定されているとは、噴出ノズル8からドライアイススノー生成箇所Bに液炭酸ガスを定量ずつ連続して噴出する形態で、ドライアイススノー生成工程を行いながら、成型工程及び供給工程とを順次行うことを意味するものである。
【0064】
ちなみに、本実施形態のドライアイス製造装置は、成型工程とドライアイススノー生成工程とを、並行して行い、次に、供給工程を行うことを繰り返すドライアイス製造方法を実施することになる。
但し、本実施形態のドライアイス製造装置は、具体的には、ドライアイススノー生成工程を、順次行う成型工程及び供給工程と並行して連続して実行する、換言すれば、ドライアイススノー生成工程を連続して行いながら、成型工程及び供給工程とを順次行うことを繰り返すドライアイス製造方法を実施することになる。
【0065】
さらに、本実施形態のドライアイス製造装置は、原料としての炭酸ガスを処理して液炭酸ガスを製造する液化設備Lからの液炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずにドライアイス生成箇所に供給し、加えて、ドライアイススノー生成箇所Bから排出される炭酸ガスを、バッファタンクを経由せずに液化設備Lに戻すドライアイス製造方法を実施することになる。
【0066】
〔別実施形態〕
次に、本発明の参考の実施形態である別実施形態を説明するが、この別実施形態は、供給部Rの別実施形態を示すものであって、その他の構成は上記実施形態と同様であるので、上記実施形態と異なる部分についてのみ説明して、上記実施形態と同様な部分については、上記実施形態と同様な符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0067】
この別実施形態においては、供給工程が、ドライアイススノーNを搬送機器Gにより移動させて行うように構成されている。
すなわち、図5に示すように、搬送機器Gとして、筒体19の内部に搬送用螺旋体20を装備したスクリューコンベヤが設けられている。
【0068】
そして、上流側開閉体17が、密閉状容器5の下端部の出口部を開閉する状態に設けられて、密閉状容器5の内部で生成されたドライアイススノーNが筒体19の内部に流動するのを断続するように構成され、下流側開閉体18が、筒体19の下流側箇所を開閉する状態に設けられて、筒体19の内部のドライアイススノーNが成型室Aに向けて流動するのを断続するように構成されている。
【0069】
そして、搬送用螺旋体20を駆動させながら、下流側開閉体18を閉じ状態とし且つ上流側開閉体17を開き状態にすると、密閉状容器5の内部にて生成されたドライアイススノーNが筒体19の内部に貯留されるドライアイススノー貯留状態となり、また、搬送用螺旋体20を駆動させながら、下流側開閉体18を開き状態とし且つ上流側開閉体17を閉じ状態にすると、搬送筒16の内部に貯留されたドライアイススノーNが成型室Aに流動するドライアイススノー供給状態となるように構成されている。
【0070】
尚、図示は省略するが、筒体19には、ドライアイススノー貯留状態において、ドライアイススノーNと共に搬送筒16の内部に流動する炭酸ガスを外部に排出する排気口が開口されている。
【0071】
ちなみに、本実施形態においては、下流側開閉体18の閉じ状態において貯留されるドライアイススノーNの貯留量が、筒体19の上流側箇所に達する程度になると、ブロック状ドライアイスDを成型するために必要となる設定供給量のドライアイススノーNを貯留した状態となるように構成されている。
【0072】
したがって、上記実施形態と同様に、成型工程においては、供給部Rをドライアイススノー貯留状態とし、供給工程においては、供給部Rをドライアイススノー供給状態として、筒体19の内部に貯留されている設定供給量のドライアイススノーNを、成型室Aに供給するように構成されている。
【0073】
また、供給工程においても、ドライアイススノー生成部Qにおいて、噴出ノズル8から液炭酸ガスをドライアイススノー生成箇所Bに噴出する状態が継続され、生成されたドライアイススノーNを密閉状容器5の内部に貯留する形態で、ドライアイススノー生成工程が継続される。
【0074】
そして、成型工程に移行して、供給部Rがドライアイススノー貯留状態になると、密閉状容器5の内部に貯留されているドライアイススノーNが筒体19の内部に流動され、その後、密閉状容器5の内部(ドライアイススノー生成箇所B)にて順次生成されるドライアイススノーNが筒体19の内部に流動することになる。
【0075】
すなわち、この別実施形態においても、噴出ノズル8からドライアイススノー生成箇所Bに噴出する液炭酸ガスの噴出量が、ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定されており、噴出ノズル8からドライアイススノー生成箇所Bに液炭酸ガスを連続して噴出する形態で、ドライアイススノー生成工程を行いながら、成型工程及び供給工程を順次行うように構成されている。
【0076】
〔その他の別実施形態〕
以下、その他の別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態及び別実施形態においては、噴出ノズル8からドライアイススノー生成箇所Bに噴出する液炭酸ガスの噴出量を、ドライアイススノー生成工程を連続して行う噴出量に設定する場合を例示したが、液炭酸ガスの噴出量を、供給工程においては液炭酸ガスの噴出を停止する噴出量に設定する形態で実施してもよい。
【0077】
(2)上記別実施形態においては、搬送機器Gとして、スクリューコンベヤを例示したが、搬送機器Gとしては、炭酸ガス等の搬送気体にて押圧移動させる形態の機器、往復移動する押圧体にて押圧移動させる機器、ロータリバルブにて押出し移動させる機器等の種々の形態の機器を用いることができる。
【0078】
(3)上記実施形態及び別実施形態においては、ドライアイススノー生成箇所Bを、円筒状等の密閉状容器5の内部空間にて形成する場合を例示したが、ドライアイススノー生成箇所Bを、底部が開放した円筒状体の内部に形成する等、ドライアイススノー生成箇所Bの具体構成は各種変更でき、それに応じて、供給部Rの具体構成も各種変更できる。
【0079】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 押圧体
7 供給路
A 成型室
D ブロック状ドライアイス
E 回収路
H 制御部
N ドライアイススノー
P 成型部
Q ドライアイススノー生成部
R 供給部
L 液化設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6