(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-21
(45)【発行日】2023-05-01
(54)【発明の名称】測定システム
(51)【国際特許分類】
G01D 9/00 20060101AFI20230424BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20230424BHJP
G08C 15/00 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
G01D9/00 A
G08C15/06 G
G08C15/00 E
(21)【出願番号】P 2019040123
(22)【出願日】2019-03-06
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】宮田 雄作
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 浩一
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-40487(JP,A)
【文献】特開2017-207327(JP,A)
【文献】特表2017-507432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-25/04
H04Q 9/00- 9/16
G01D 9/00- 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め規定された被測定量を予め規定された測定周期で測定して各測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データを生成可能に構成されると共に、通信ネットワークを介して外部装置に当該測定値データを送信可能に構成されたN台(Nは、2以上の自然数)の測定器と、
前記通信ネットワークを介して前記各測定器から送信された前記測定値データを受信して記録可能に構成されたデータ処理装置とを備えた測定システムであって、
前記各測定器は、
前記データ処理装置から取得した時刻情報に基づいて内部時計を補正して当該内部時計の計時時刻を当該データ処理装置の現在時刻と一致させる時刻補正処理を実行可能に構成されると共に、前記被測定量の測定時に予め規定された第1の時間分の最新の前記測定値を保持可能に構成され、
前記各測定器のうちのM台(Mは、N以下の自然数)の当該測定器は、予め規定された保存条件が満たされたときに、当該保存条件が満たされた
時点における前記内部時計の計時時刻を特定可能に当該保存条件が満たされたことを前記データ処理装置に報知する第1処理と、前記第1の時間分の測定値のうちの当該保存条件が満たされた時点を含む予め規定された第2の時間分の当該測定値を前記測定時刻に関連付けて記録して前記測定値データを生成し、生成した当該測定値データを前記データ処理装置に送信する第2処理とを実行可能に構成され、
前記データ処理装置は、前記M台の測定器のうちの1台の当該測定器によって前記第1処理が実行されて前記保存条件が満たされたことが報知されたときに、当該1台の測定器を除くLa台(Laは、(N-1))の前記測定器のうちの予め規定されたLb台(Lbは、La以下の自然数)に対して、当該1台の測定器において前記保存条件が満たされた時点を含む前記第2の時間分の当該測定値を前記測定時刻に関連付けて記録した前記測定値データの送信を要求する第3処理を実行可能に構成され、
前記Lb台の測定器は、前記データ処理装置による前記第3処理によって要求された前記測定値データを生成して当該データ処理装置に送信する第4処理を実行可能に構成されている測定システム。
【請求項2】
予め規定された被測定量を予め規定された測定周期で測定して各測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データを生成可能に構成されると共に、通信ネットワークを介して外部装置に当該測定値データを送信可能に構成されたN台(Nは、2以上の自然数)の測定器と、
前記通信ネットワークを介して前記各測定器から送信された前記測定値データを受信して記録可能に構成されたデータ処理装置とを備えた測定システムであって、
前記各測定器は、
前記データ処理装置から取得した時刻情報に基づいて内部時計を補正して当該内部時計の計時時刻を当該データ処理装置の現在時刻と一致させる時刻補正処理を実行可能に構成されると共に、前記被測定量の測定時に予め規定された第1の時間分の最新の前記測定値を保持可能に構成され、かつ前記データ処理装置から要求された前記測定値データを生成して当該データ処理装置に送信可能に構成され、
前記各測定器のうちのM台(Mは、N以下の自然数)の当該測定器は、予め規定された保存条件が満たされたときに、当該保存条件が満たされた
時点における前記内部時計の計時時刻を特定可能に当該保存条件が満たされたことを前記データ処理装置に報知する処理Aを実行可能に構成され、
前記データ処理装置は、前記M台の測定器のうちの1台の当該測定器によって前記処理Aが実行されて前記保存条件が満たされたことが報知されたときに、前記各測定器に対して、当該1台の測定器において前記保存条件が満たされた時点を含む予め規定された第2の時間分の当該測定値を前記測定時刻に関連付けて記録した前記測定値データの送信を要求する処理Bを実行可能に構成されている測定システム。
【請求項3】
前記データ処理装置は、前記各測定器から送信された前記各測定値データを、記録されている前記各測定値に関連付けられた前記測定時刻を一致させるように結合して結合済測定値データを生成可能に構成されている請求項1または2記載の測定システム。
【請求項4】
前記通信ネットワークとしての第1通信ネットワークとは異なる通信ネットワークである第2通信ネットワークを介して前記データ処理装置が接続可能に配設されたデータ記録装置を備え、
前記データ処理装置は、生成した前記結合済測定値データを、前記第2通信ネットワークを介して前記データ記録装置に送信して記録させるデータ送信処理を実行可能に構成されている請求項3記載の測定システム。
【請求項5】
前記通信ネットワークとしての第1通信ネットワークとは異なる通信ネットワークである第2通信ネットワークを介して前記データ処理装置が接続可能に配設されたデータ記録装置を備え、
前記データ処理装置は、前記各測定器から送信された前記測定値データを、前記第2通信ネットワークを介して前記データ記録装置に送信して記録させるデータ送信処理を実行可能に構成されている請求項1または2記載の測定システム。
【請求項6】
前記データ記録装置は、前記データ処理装置から送信された前記各測定値データを、記録されている前記各測定値に関連付けられた前記測定時刻を一致
させるように結合して結合済測定値データを生成可能に構成されている請求項5記載の測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の測定器を備えて構成された測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、下記の特許文献には、電気設備などの測定対象による使用電力を測定して測定値のデータ(以下、「測定値データ」ともいう)を生成可能に構成された電子式電力量計(以下、単に「電力量計」ともいう)が開示されている。この場合、測定対象が複数存在するときには、各測定対象毎に電力量計を設置すると共に、各電力量計によって生成されるデータをパソコンによってデータ管理する。この際に、この電力量計では、各電力量計からパソコンに測定値データを取り込ませる処理として、次の2種類の処理方式による処理が想定されている。
【0003】
1つめの処理方式では、任意のタイミングで電力量計の設置場所(すなわち、測定対象が存在する場所)にノートパソコンなどの携帯型のパソコンを携行して電力量計に接続し、接続した電力量計から任意の測定値データを選択して取り込む(以下、「随時処理方式」ともいう)。また、2つめの処理方式では、遠隔地に設置したデスクトップ型のパソコンを電力量計に通信路を介して常時接続した状態で電力量計からパソコンにすべての測定値データを逐次出力させる(以下、「常時処理方式」ともいう)。
【0004】
このように、この電力量計では、随時処理方式および常時処理方式のいずれかで電力量計からパソコンに測定値データを取り込むことにより、取り込んだ測定値データに基づく測定結果(測定値)をパソコンの表示部に表示させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-326156号公報(第3頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記の特許文献に開示の電力量計には、以下のような解決すべき問題点が存在する。具体的には、上記の電力量計では、随時処理方式および常時処理方式のいずれかの処理方式でパソコンに測定値データを取り込ませる使用形態が想定されている。
【0007】
この場合、上記の電力量計のような測定器による測定結果の分析時には、1つの測定対象、または、関連する複数の測定対象について、複数台の測定器による測定結果(測定値)を、測定時刻を一致させた状態で比較することがある。このような分析を行おうとしたときに、上記の電力量計から随時処理方式でパソコンに測定値データを取り込む場合には、電力量計とパソコンとの接続、パソコンへの測定値データの取込み、および電力量計とパソコンとの接続解除の一連の作業を、使用している各電力量計に対して順に実施する必要がある。このため、各電力量計からパソコンへの測定値データの取込みに関する利用者の負担が非常に大きいという問題点がある。
【0008】
また、上記の電力量計から常時処理方式でパソコンに測定値データを取り込む場合には、各電力量計からパソコンに測定値データがそれぞれ送信されるため、通信路の種別(通信能力)や、使用する電力量計の台数によっては、通信路が輻輳状態に陥って各電力量計からの測定値データを正常に送受信できない状態となるおそれがある。また、常時処理方式では、測定対象において分析すべき変化が生じているか否かを問わず、すべての測定値データが電力量計からパソコンに送信される。このため、従量制課金方式の移動体通信網などを介して電力量計をパソコンに接続したときには、分析の必要がない測定値データを含む大量の測定値データの送受信によって通信費が高騰し、運用コストの低減が困難になるという問題点がある。
【0009】
さらに、各電力量計が別個独立して測定処理を行って測定値データを生成しているため、各電力量計から取り込んだ各測定値データ内の最先の測定値の測定時刻や最新の測定値の測定時刻は一致していない。このため、随時処理方式および常時処理方式のいずれの処理方式で測定値データを取り込んだとしても、取り込んだ測定値データ内の測定値について各測定時刻を一致させた状態で比較するには、各測定値データ内の測定値の測定時刻をそれぞれ特定して同じ測定時刻の測定値を見付ける作業が必要となる。したがって、特にこの種の測定値データの取り扱いに不慣れな者にとっては、測定値の比較が困難となっているという問題点もある。
【0010】
本発明は、かかる解決すべき問題点に鑑みてなされたものであり、複数台の測定器からの測定値データの取得に要する利用者の負担を十分に軽減しつつ運用コストを十分に低減し得る測定システムを提供することを主目的とする。また、複数の測定値データを容易に比較可能とする測定システムを提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の測定システムは、予め規定された被測定量を予め規定された測定周期で測定して各測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データを生成可能に構成されると共に、通信ネットワークを介して外部装置に当該測定値データを送信可能に構成されたN台(Nは、2以上の自然数)の測定器と、前記通信ネットワークを介して前記各測定器から送信された前記測定値データを受信して記録可能に構成されたデータ処理装置とを備えた測定システムであって、前記各測定器は、前記データ処理装置から取得した時刻情報に基づいて内部時計を補正して当該内部時計の計時時刻を当該データ処理装置の現在時刻と一致させる時刻補正処理を実行可能に構成されると共に、前記被測定量の測定時に予め規定された第1の時間分の最新の前記測定値を保持可能に構成され、前記各測定器のうちのM台(Mは、N以下の自然数)の当該測定器は、予め規定された保存条件が満たされたときに、当該保存条件が満たされた時点における前記内部時計の計時時刻を特定可能に当該保存条件が満たされたことを前記データ処理装置に報知する第1処理と、前記第1の時間分の測定値のうちの当該保存条件が満たされた時点を含む予め規定された第2の時間分の当該測定値を前記測定時刻に関連付けて記録して前記測定値データを生成し、生成した当該測定値データを前記データ処理装置に送信する第2処理とを実行可能に構成され、前記データ処理装置は、前記M台の測定器のうちの1台の当該測定器によって前記第1処理が実行されて前記保存条件が満たされたことが報知されたときに、当該1台の測定器を除くLa台(Laは、(N-1))の前記測定器のうちの予め規定されたLb台(Lbは、La以下の自然数)に対して、当該1台の測定器において前記保存条件が満たされた時点を含む前記第2の時間分の当該測定値を前記測定時刻に関連付けて記録した前記測定値データの送信を要求する第3処理を実行可能に構成され、前記Lb台の測定器は、前記データ処理装置による前記第3処理によって要求された前記測定値データを生成して当該データ処理装置に送信する第4処理を実行可能に構成されている。
【0012】
請求項2記載の測定システムは、予め規定された被測定量を予め規定された測定周期で測定して各測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データを生成可能に構成されると共に、通信ネットワークを介して外部装置に当該測定値データを送信可能に構成されたN台(Nは、2以上の自然数)の測定器と、前記通信ネットワークを介して前記各測定器から送信された前記測定値データを受信して記録可能に構成されたデータ処理装置とを備えた測定システムであって、前記各測定器は、前記データ処理装置から取得した時刻情報に基づいて内部時計を補正して当該内部時計の計時時刻を当該データ処理装置の現在時刻と一致させる時刻補正処理を実行可能に構成されると共に、前記被測定量の測定時に予め規定された第1の時間分の最新の前記測定値を保持可能に構成され、かつ前記データ処理装置から要求された前記測定値データを生成して当該データ処理装置に送信可能に構成され、前記各測定器のうちのM台(Mは、N以下の自然数)の当該測定器は、予め規定された保存条件が満たされたときに、当該保存条件が満たされた時点における前記内部時計の計時時刻を特定可能に当該保存条件が満たされたことを前記データ処理装置に報知する処理Aを実行可能に構成され、前記データ処理装置は、前記M台の測定器のうちの1台の当該測定器によって前記処理Aが実行されて前記保存条件が満たされたことが報知されたときに、前記各測定器に対して、当該1台の測定器において前記保存条件が満たされた時点を含む予め規定された第2の時間分の当該測定値を前記測定時刻に関連付けて記録した前記測定値データの送信を要求する処理Bを実行可能に構成されている。
【0013】
請求項3記載の測定システムは、請求項1または2記載の測定システムにおいて、前記データ処理装置は、前記各測定器から送信された前記各測定値データを、記録されている前記各測定値に関連付けられた前記測定時刻を一致させるように結合して結合済測定値データを生成可能に構成されている。
【0014】
請求項4記載の測定システムは、請求項3記載の測定システムにおいて、前記通信ネットワークとしての第1通信ネットワークとは異なる通信ネットワークである第2通信ネットワークを介して前記データ処理装置が接続可能に配設されたデータ記録装置を備え、前記データ処理装置は、生成した前記結合済測定値データを、前記第2通信ネットワークを介して前記データ記録装置に送信して記録させるデータ送信処理を実行可能に構成されている。
【0015】
請求項5記載の測定システムは、請求項1または2記載の測定システムにおいて、前記通信ネットワークとしての第1通信ネットワークとは異なる通信ネットワークである第2通信ネットワークを介して前記データ処理装置が接続可能に配設されたデータ記録装置を備え、前記データ処理装置は、前記各測定器から送信された前記測定値データを、前記第2通信ネットワークを介して前記データ記録装置に送信して記録させるデータ送信処理を実行可能に構成されている。
【0016】
請求項6記載の測定システムは、請求項5記載の測定システムにおいて、前記データ記録装置は、前記データ処理装置から送信された前記各測定値データを、記録されている前記各測定値に関連付けられた前記測定時刻を一致させるように結合して結合済測定値データを生成可能に構成されている。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の測定システムでは、N台の測定器のうちのM台が、予め規定された保存条件が満たされたときに、保存条件が満たされた時刻を特定可能に保存条件が満たされたことをデータ処理装置に報知する第1処理と、第1の時間分の測定値のうちの保存条件が満たされた時点を含む予め規定された第2の時間分の測定値を測定時刻に関連付けて記録して測定値データを生成し、生成した測定値データをデータ処理装置に送信する第2処理とを実行可能に構成され、データ処理装置が、M台の測定器のうちの1台によって第1処理が実行されて保存条件が満たされたことが報知されたときに、その1台の測定器を除くLa台の測定器のうちの予め規定されたLb台に対して、1台の測定器において保存条件が満たされた時点を含む第2の時間分の測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データの送信を要求する第3処理を実行可能に構成され、Lb台の測定器が、データ処理装置による第3処理によって要求された測定値データを生成してデータ処理装置に送信する第4処理を実行可能に構成されている。
【0021】
また、請求項2記載の測定システムでは、N台の測定器が、予め規定された被測定量を予め規定された測定周期で測定して各測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データを生成可能に構成されると共に、通信ネットワークを介して外部装置に測定値データを送信可能に構成され、N台の測定器のうちのM台が、予め規定された保存条件が満たされたときに、保存条件が満たされた時刻を特定可能に保存条件が満たされたことをデータ処理装置に報知する処理Aを実行可能に構成され、データ処理装置が、M台の測定器のうちの1台によって処理Aが実行されて保存条件が満たされたことが報知されたときに、各測定器に対して、その1台の測定器において保存条件が満たされた時点を含む予め規定された第2の時間分の測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データの送信を要求する処理Bを実行可能に構成されている。
【0022】
したがって、請求項1または2記載の測定システムによれば、いずれかの測定器において保存条件が満たされたときに、通信ネットワークを介してデータ処理装置に接続されている複数の測定器において生成された測定値データが各測定器からデータ処理装置に自動的に送信されるため、測定対象の状態の分析に必要な各測定値データの取得時における利用者の負担を十分に軽減することができる。また、いずれかの測定器において保存条件が満たされたときに、条件が満たされた時点を含む第2の時間分の測定値だけが記録された測定値データが各測定器からデータ処理装置に送信されるため、保存条件が満たされていないときに測定された測定値などの不要な測定値データが送信されない分だけ、通信ネットワークが輻輳状態に陥る事態を好適に回避して、測定値データを正常の送受信可能な状態を維持することができる。さらに、不要な測定値の測定値データが送信されないため、測定器とデータ処理装置との間に従量制課金方式の移動体通信網などを介在させて通信ネットワークを構成しても、通信費が高騰する事態を回避して、その運用コストを十分に低減することができる。
【0023】
請求項3記載の測定システムによれば、データ処理装置が、各測定器から送信された各測定値データを、記録されている各測定値に関連付けられた測定時刻を一致させるように結合して結合済測定値データを生成することにより、各測定器において生成された測定値データの測定値を、測定時刻を一致させた状態で比較可能に相互に関連付ける作業が不要となるため、この種の測定システムの使用(複数台の測定器を使用した複数の測定値データの利用)に不慣れな者であっても、各測定値データに記録されている測定値を容易に比較して測定対象の状態を確実かつ容易に把握することができる。
【0024】
請求項4記載の測定システムによれば、測定器およびデータ処理装置間の通信に使用される第1通信ネットワークとは異なる通信ネットワークである第2通信ネットワークを介してデータ処理装置が接続可能に配設されたデータ記録装置を備え、データ処理装置が、生成した結合済測定値データを、第2通信ネットワークを介してデータ記録装置に送信して記録させるデータ送信処理を実行することにより、データ処理装置からデータ記録装置に送信した結合済測定値データについてはデータ処理装置から削除することができるため、データ処理装置の記憶部として大容量の記憶媒体を搭載していなくても、順次送信される測定値データや、それらに基づいて生成される結合済測定値データの記憶領域が不足する事態を好適に回避することができる。これにより、データ処理装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0025】
請求項5記載の測定システムによれば、測定器およびデータ処理装置間の通信に使用される第1通信ネットワークとは異なる通信ネットワークである第2通信ネットワークを介してデータ処理装置が接続可能に配設されたデータ記録装置を備え、データ処理装置が、各測定器から送信された測定値データを、第2通信ネットワークを介してデータ記録装置に送信して記録させるデータ送信処理を実行することにより、データ処理装置からデータ記録装置に送信した測定値データについてはデータ処理装置から削除することができるため、データ処理装置の記憶部として大容量の記憶媒体を搭載していなくても、順次送信される測定値データの記憶領域が不足する事態を好適に回避することができる。これにより、データ処理装置の製造コストを十分に低減することができる。
【0026】
請求項6記載の測定システムによれば、データ記録装置が、データ処理装置から送信された各測定値データを、記録されている各測定値に関連付けられた測定時刻を一致させるように結合して結合済測定値データを生成することにより、各測定器において生成された測定値データの測定値を、測定時刻を一致させた状態で比較可能に相互に関連付ける作業が不要となるため、この種の測定システムの使用(複数台の測定器を使用した複数の測定値データの利用)に不慣れな者であっても、各測定値データに記録されている測定値を容易に比較して測定対象の状態を確実かつ容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】測定システム100の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、測定システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0033】
図1に示す測定システム100は、「測定システム」の一例であって、複数の測定器1a,1b・・1n、ゲートウェイ2およびデータサーバ3を備えて構成されている。
【0034】
測定器1a,1b・・1n(以下、区別しないときには「測定器1」ともいう)は、「N台の測定器」の一例であって、測定対象Xについての「予め規定された被測定量(電流値、電圧値、抵抗値、電力値、位相、温度、湿度、歪み、輝度(光度)、照度、雨量および流量等の各種のパラメータ)」を「予め規定された測定周期」で測定して各測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データDm(「測定値データ」の一例)を生成可能に構成されると共に、「通信ネットワーク」を介して外部装置に測定値データDmを送信可能に構成されている。なお、本例の測定システム100では、一例として、N=M台の測定器1を備えて構成されている(「N台の測定器」のすべてを「M台の測定器」で構成した例)。
【0035】
この測定器1は、
図2に示すように、測定部11、通信部12、操作部13、表示部14、処理部15、記憶部16および内部時計17を備えている。
【0036】
測定部11は、処理部15の制御に従って測定対象Xについての「被測定量」を測定する「測定処理」を実行する。通信部12は、LAN5(「通信ネットワークとしての第1通信ネットワーク」の一例)に接続可能なネットワークアダプタで構成され、処理部15の制御に従ってゲートウェイ2等のネットワーク機器に接続して各種のデータを送受信する。操作部13は、測定器1の動作条件の設定操作や、上記の「測定処理」の開始/停止を指示する操作が可能な操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部15に出力する。表示部14は、処理部15の制御に従って動作条件の設定画面や測定結果の表示画面など(いずれも図示せず)を表示する。
【0037】
処理部15は、測定器1を総括的に制御する。具体的には、処理部15は、一例としてゲートウェイ2から取得した時刻情報(ゲートウェイ2の後述する内部時計27による計時時刻を特定可能な情報)に基づき、内部時計17の現在時刻を補正する「時刻補正処理(内部時計17の計時時刻をゲートウェイ2の現在時刻と一致させる処理)」を実行する。また、処理部15は、測定部11を制御して「測定処理」を実行させると共に、その測定結果(測定値)を記憶部16に記憶させる。この場合、本例の測定器1では、処理部15が、予め規定された(設定された)「第1の時間」分の最新の測定値を記憶部16に記憶させて保持する構成が採用されている。
【0038】
さらに、処理部15は、予め規定された(設定された)「保存条件(トリガ条件)」を満たす測定値が測定されたときに、「保存条件」が満たされた時点における内部時計17の計時時刻(測定時刻:トリガ発生時刻)を特定可能にトリガ発生時刻データDtを生成してゲートウェイ2に送信する(「保存条件が満たされたことを報知する第1処理」の一例)。また、処理部15は、上記の「第1の時間」分の測定値のうちの「保存条件」が満たされた時点を含む予め規定された「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録して測定値データDmを生成し、生成した測定値データDmを記憶部16に記憶させると共に、通信部12からLAN5を介してゲートウェイ2に送信する(「第2処理」の一例)。
【0039】
さらに、処理部15は、後述するように、ゲートウェイ2から「他の測定器1におい保存条件が満たされた時点」を含む「第2の時間」分の測定値データDmの送信を要求されたときに、記憶部16に記憶されている測定値のうちから「第2の時間」分の測定値を抽出して測定時刻に関連付けて測定値データDmを生成し、生成した測定値データDmを記憶部16に記憶させると共に、通信部12からLAN5を介してゲートウェイ2に送信する(「第4処理」の一例)。
【0040】
記憶部16は、処理部15の動作プログラム、測定部11による「測定処理」の測定結果(測定値)、処理部15による各種演算処理の演算結果、および処理部15によって生成される測定値データDmやトリガ発生時刻データDtなどを記憶する。内部時計17は、現在時刻を計時する。この場合、本例の測定器1では、前述のように処理部15による「時刻補正処理」によって内部時計17の計時時刻がゲートウェイ2の現在時刻と一致させられる。これにより、本例の測定システム100では、LAN5を介してゲートウェイ2に接続されたすべての測定器1の現在時刻が同期された状態となる。
【0041】
ゲートウェイ2は、「データ処理装置」の一例であって、各測定器1と共に測定現場に設置されてLAN5を介して測定器1から送信されたトリガ発生時刻データDtや測定値データDmを受信して記録すると共に、移動体通信網6を介してインターネット7に接続し、インターネット7に接続されているデータサーバ3などのネットワーク機器に接続して後述の測定結果データDr等を送信して記録させる処理を実行可能に構成されている。なお、本例では、移動体通信網6およびインターネット7が相俟って「第1通信ネットワークとは異なる通信ネットワーク」である「第2通信ネットワーク」に相当する。このゲートウェイ2は、
図3に示すように、通信部21,22、操作部23、表示部24、処理部25、記憶部26および内部時計27を備えている。
【0042】
通信部21は、測定器1の測定部11と同様にしてLAN5に接続可能なネットワークアダプタで構成され、処理部25の制御に従って測定器1などのネットワーク機器に接続して各種のデータを送受信する。通信部22は、一例として、移動体通信網6に接続可能な移動体通信モジュールで構成され、処理部25の制御下で、移動体通信網6を介してゲートウェイ2をインターネット7(インターネット7に接続されている各種ネットワーク機器)に接続させる。操作部23は、ゲートウェイ2の動作条件の設定操作などを実行可能な複数の操作スイッチ(図示せず)を備え、スイッチ操作に応じた操作信号を処理部25に出力する。表示部24は、処理部25の制御下でゲートウェイ2の動作状態を示す各種の情報を表示する。
【0043】
処理部25は、ゲートウェイ2を総括的に制御する。この処理部25は、通信部22、移動体通信網6およびインターネット7を介してNTPサーバに接続して、時刻補正用の正確な時刻情報を取得すると共に、取得した時刻情報に基づいて内部時計27の現在時刻を補正する。また、処理部25は、一例として、測定器1(処理部15)からの要求に応じて内部時計27の現在時刻を特定可能な時刻情報を通信部21からLAN5を介して測定器1に送信する。これにより、前述のように測定器1(内部時計17)の現在時刻がゲートウェイ2(内部時計27)の現在時刻と一致させられて各測定器1の現在時刻が同期された状態となる。
【0044】
また、処理部25は、いずれかの測定器1(「M台の測定器のうちの1台の測定器」の一例)からLAN5を介して送信されたトリガ発生時刻データDtが通信部21によって受信されたときに(「第1処理が実行されて保存条件が満たされたことが報知されたとき」の一例)、トリガ発生時刻データDtに記録されている時刻を、トリガ発生時刻データDtを送信した測定器1において「保存条件」を満たす測定値が測定された測定時刻(トリガ発生時刻)として特定する。さらに、処理部25は、一例として、稼働中の各測定器1のうちのトリガ発生時刻データDtを送信した測定器1を除くすべての測定器1(「La台の測定器のうちの予め規定されたLb台」の一例:この例では、La=Lb台)に対して、トリガ発生時刻データDtに記録されている測定時刻(「1台の測定器において保存条件が満たされた時点」の一例)を含む「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データDmの送信を要求する(「第3処理」の一例)。
【0045】
また、処理部25は、トリガ発生時刻データDtを送信した測定器1から前述のように送信される測定値データDmや、上記の「第3処理」によって送信要求した測定器1から送信される測定値データDmが通信部21によって受信されたときに、それらの測定値データDmを記憶部16に記憶させる。さらに、処理部25は、各測定器1から送信されて記憶部16に記憶させた測定値データDmを、それぞれに記録されている測定値の測定時刻を一致させるように相互に関連付けて測定結果データDrを生成し(「記録されている各測定値に関連付けられた測定時刻を一致させるように結合して」との処理の一例)、生成した測定結果データDr(「結合済測定値データ」の一例)を記憶部26に記憶させる。
【0046】
また、処理部25は、一例として、測定結果データDrの生成が完了したときに、生成した測定結果データDrを通信部22から移動体通信網6およびインターネット7を介してデータサーバ3に送信して記録させる「データ送信処理」を実行する。なお、処理部25による上記の各処理の具体的な内容については、後に詳細に説明する。記憶部26は、処理部25の動作プログラム、通信部21によって受信されたトリガ発生時刻データDtや測定値データDm、および処理部25によって生成される測定結果データDrなどを記憶する。内部時計27は、現在時刻を計時する。この場合、本例のゲートウェイ2では、前述のように処理部25による時刻補正処理によって内部時計27の計時時刻がNTPサーバから取得した正確な時刻に補正された状態となっている。
【0047】
データサーバ3は、「データ記録装置」の一例であって、上記のようにゲートウェイ2から移動体通信網6およびインターネット7を介して送信される測定結果データDrを図示しない記録装置(ハードディスクドライブ等の大容量記録媒体)に記録して保存する。また、データサーバ3は、任意の情報処理端末(例えば、後述のデータ処理端末T)からの要求に応じてインターネット7を介して測定結果データDrを送信する。
【0048】
次に、測定システム100の使用形態の一例について説明する。
【0049】
この測定システム100の使用に際しては、各測定器1およびゲートウェイ2を測定対象Xが存在する測定現場に設置する。具体的には、まず、各測定器1の測定用センサを測定対象Xに装着すると共に、LAN5を構成するネットワークケーブルを介して(必要に応じてスイッチングハブを介して)各測定器1の通信部12をゲートウェイ2の通信部21に接続する。なお、各測定器1の動作条件やゲートウェイ2の動作条件については、測定現場に設置する以前に実施したり、設置作業のうちの1つの作業として測定現場において実施したりする。また、ゲートウェイ2の操作部23を操作することにより、移動体通信網6およびインターネット7を介してデータサーバ3に接続可能な状態とする。
【0050】
この場合、実際には、設置作業の開始に先立ち、データサーバ3を使用する権限を有する者のユーザ登録(認証用のIDおよびパスワードの発行)や、移動体通信網6への接続を許容するゲートウェイ2(ゲートウェイ2に装着される図示しないsimカード等)の登録を行うが、「データ処理装置」および「測定システム」の構成に関する理解を容易とするために、これらの登録作業や、登録結果に基づく認証処理に関する説明を省略する。
【0051】
次いで、上記のように各測定器1やゲートウェイ2の設置、および通信可能状態への移行が完了したときに、ゲートウェイ2における内部時計27の時刻補正処理や、測定器1における内部時計17の時刻補正処理を手動で実行させる。これにより、測定システム100の使用開始に先立ち、各測定器1およびゲートウェイ2の現在時刻が同期した状態となる。以上により、測定システム100を使用する準備作業が完了する。この場合、本例の測定システム100では、電源を投入された状態の測定器1やゲートウェイ2において、時刻補正処理が予め規定されたタイミングで定期的に実行される。これにより、この測定システム100では、各測定器1およびゲートウェイ2の時刻が同期された状態が維持される。
【0052】
次いで、各測定器1およびゲートウェイ2による処理を開始させる。この際に、各測定器1では、前述したように「測定処理」が実行されて測定部11が処理部15の制御下で測定対象Xについての予め規定された被測定量を予め設定された測定周期で測定する。これにより、各測定器1において、測定対象Xについての最新の「第1の時間」分の測定値が記憶部16にそれぞれ記憶される。また、各測定器1では、処理部15が、測定部11から測定値が出力される都度、その測定値が「保存条件」を満たす測定値であるか否かを判別する。
【0053】
この場合、「保存条件」としては、測定システム100の使用目的(測定対象Xについて分析すべき事項)に応じて、「測定値が、予め設定された設定値を超えたとき」や「測定値が、予め設定された設定値を下回ったとき」などの各種の条件のうちから任意の条件が設定されている。また、この「保存条件」に関しては、各測定器1毎に個別に設定したり、複数台またはすべての測定器1に対して共通の条件を設定したりすることができる。
【0054】
また、「保存条件」を満たす測定値が測定されたと判別したときに、処理部15は、その測定値が測定された時点における内部時計17の計時時刻(その測定値の測定時刻)を記録したトリガ発生時刻データDtを生成して記憶部16に記憶させる。さらに、処理部15は、生成したトリガ発生時刻データDtを通信部12からLAN5を介してゲートウェイ2に送信させる(「第1の処理」の実行)。
【0055】
ゲートウェイ2では、測定器1から送信されたトリガ発生時刻データDtが通信部21によって受信されたときに(「保存条件が満たされたことが報知されたとき」の一例)、処理部25が、まず、トリガ発生時刻データDtに記録されている時刻を特定する。次いで、処理部25は、トリガ発生時刻データDtを送信した測定器1を除く稼働中の他のすべての測定器1(「La台の測定器のうちの予め規定されたLb台」の一例)に対して、トリガ発生時刻データDtを送信した測定器1において「保存条件」が満たされた時点(トリガ発生時刻データDtに記録されていた時刻の時点)を含む「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データDmの送信を要求する(「第3処理」の一例)。
【0056】
一方、前述のように「保存条件」を満たす測定値が測定されて生成したトリガ発生時刻データDtをゲートウェイ2に送信した測定器1ではトリガ発生時刻データDtの生成および送信の後に、また、それ以外の稼働中の測定器1ではゲートウェイ2からの送信要求が受信されたときに、「第1の時間」分の測定値を記録した測定値データDmの生成、および生成した測定値データDmのゲートウェイ2への送信が行われる。
【0057】
具体的には、トリガ発生時刻データDtを送信した測定器1では、処理部15が、「保存条件」を満たす測定値が測定された時点以前に測定された測定値を含む予め設定された時間(数秒から数十秒:一例として、「保存条件」を満たした時点以前の5秒前から、「保存条件」を満たした時点から15秒が経過するまでの20秒間)内の測定値を記録した測定値データDmを生成して記憶部16に記憶させる。また、処理部15は、生成した測定値データDmを通信部12からLAN5を介してゲートウェイ2に送信する(「第2処理」の一例)。
【0058】
さらに、ゲートウェイ2からの送信要求があった測定器1では、処理部15が、ゲートウェイ2から指定された時刻(他の測定器1において「保存条件」が満たされた時刻)の時点以前に測定された測定値を含む予め設定された時間(数秒から数十秒:一例として、上記の例と同じ20秒間)内の測定値を記録した測定値データDmを生成して記憶部16に記憶させる。また、処理部15は、生成した測定値データDmを通信部12からLAN5を介してゲートウェイ2に送信する(「第4処理」の一例)。
【0059】
また、ゲートウェイ2では、処理部25が、各測定器1から送信されて通信部21によって受信された測定値データDmを記憶部26に記憶させる。次いで、処理部25は、トリガ発生時刻データDtを送信した測定器1からの測定値データDm、および上記の「第3処理」において送信要求をした各測定器1からの測定値データDmのすべてが受信されて記憶部26に記憶されたときに、各測定値データDmに記録されている各測定値にそれぞれ関連付けられている測定時刻を一致させるように各測定値を結合して(各測定値を比較可能に関連付けた状態として)測定結果データDrを生成し、生成した測定結果データDrを記憶部26に記憶させる。
【0060】
次いで、処理部25は、通信部22からデータサーバ3に移動体通信網6およびインターネット7を介して測定結果データDrを送信して記録させる(「データ送信処理」の一例)。また、データサーバ3では、ゲートウェイ2から送信された測定結果データDrが、その測定結果データDrを送信したゲートウェイ2に関連付けられた状態で記録装置に記録される。これにより、利用者が、必要に応じてデータ処理端末T等を操作してデータサーバ3にアクセスし、記録装置に記録されている測定結果データDrをデータサーバ3からダウンロードすることにより、その測定結果データDrを分析することで測定対象Xの状態を詳細に把握することが可能となる。
【0061】
このように、この測定システム100では、N台の測定器1のうちのM台が、予め規定された「保存条件」が満たされたときに、「保存条件」が満たされた時刻を特定可能に「保存条件」が満たされたことをゲートウェイ2に報知する「第1処理」と、「第1の時間」分の測定値のうちの「保存条件」が満たされた時点を含む予め規定された「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録して測定値データDmを生成し、生成した測定値データDmをゲートウェイ2に送信する「第2処理」とを実行可能に構成され、ゲートウェイ2が、M台の測定器1のうちの1台によって「第1処理」が実行されて「保存条件」が満たされたことが報知されたときに、その1台の測定器1を除くLa台の測定器1のうちの予め規定されたLb台に対して、1台の測定器1において「保存条件」が満たされた時点を含む「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データDmの送信を要求する「第3処理」を実行可能に構成され、Lb台の測定器1が、ゲートウェイ2による「第3処理」によって要求された測定値データDmを生成してゲートウェイ2に送信する「第4処理」を実行可能に構成されている。
【0062】
したがって、この測定システム100によれば、いずれかの測定器1において「保存条件」が満たされたときに、LAN5を介してゲートウェイ2に接続されている複数の測定器1において生成された測定値データDmが各測定器1からゲートウェイ2に自動的に送信されるため、測定対象Xの状態の分析に必要な各測定値データDmの取得時における利用者の負担を十分に軽減することができる。また、いずれかの測定器1において「保存条件」が満たされたときに、条件が満たされた時点を含む「第2の時間」分の測定値だけが記録された測定値データDmが各測定器1からゲートウェイ2に送信されるため、「保存条件」が満たされていないときに測定された測定値などの不要な測定値データDmが送信されない分だけ、LAN5が輻輳状態に陥る事態を好適に回避して、測定値データDmを正常の送受信可能な状態を維持することができる。
【0063】
また、この測定システム100によれば、ゲートウェイ2が、各測定器1から送信された各測定値データDmを、記録されている各測定値に関連付けられた測定時刻を一致させるように結合して測定結果データDrを生成することにより、各測定器1において生成された測定値データDmの測定値を、測定時刻を一致させた状態で比較可能に相互に関連付ける作業が不要となるため、この種の「測定システム」の使用(複数台の「測定器」を使用した複数の「測定値データ」の利用)に不慣れな者であっても、各測定値データDmに記録されている測定値を容易に比較して測定対象Xの状態を確実かつ容易に把握することができる。
【0064】
さらに、この測定システム100によれば、測定器1およびゲートウェイ2間の通信に使用されるLAN5とは異なる通信ネットワークである移動体通信網6およびインターネット7を介してゲートウェイ2が接続可能に配設されたデータサーバ3を備え、ゲートウェイ2が、生成した測定結果データDrを、移動体通信網6およびインターネット7を介してデータサーバ3に送信して記録させる「データ送信処理」を実行することにより、ゲートウェイ2からデータサーバ3に送信した測定結果データDrについてはゲートウェイ2から削除することができるため、ゲートウェイ2の記憶部26として大容量の記憶媒体を搭載していなくても、順次送信される測定値データDmや、それらに基づいて生成される測定結果データDrの記憶領域が不足する事態を好適に回避することができる。これにより、ゲートウェイ2の製造コストを十分に低減することができる。
【0065】
なお、「データ処理装置」および「測定システム」の構成は、上記のゲートウェイ2および測定システム100の構成の例に限定されない。例えば、各測定器1から送信された測定値データDmに基づきゲートウェイ2の処理部25が「結合済測定値データ」の一例である測定結果データDrを生成してデータサーバ3に送信する構成を例に挙げて説明したが、測定結果データDrの生成(「測定値データ」の結合)については、データサーバ3などの「データ記録装置」において実行する構成を採用することもできる。
【0066】
具体的には、一例として、上記の測定システム100におけるゲートウェイ2およびデータサーバ3の構成を改変し、ゲートウェイ2において測定結果データDrを生成せずに、データサーバ3において測定結果データDrを生成する構成を採用することができる。より具体的には、トリガ発生時刻データDtを出力した測定器1、およびその他の稼働中の測定器1から測定値データDmが送信されたときに、ゲートウェイ2の処理部25が、それらの測定値データDmを記憶部16に記憶させた後に、各測定値データDmを通信部22から移動体通信網6およびインターネット7を介してデータサーバ3に送信させる(「データ送信処理」の他の一例)。
【0067】
また、データサーバ3では、ゲートウェイ2から送信された各測定値データDmの記録装置への記録が完了したときに、前述の例においてゲートウェイ2の処理部25が実行した処理と同様にして、各測定値データDmに基づいて測定結果データDrを生成し、生成した測定結果データDrを記録装置に記録させる。これにより、前述の構成の例と同様にして、利用者が、必要に応じてデータ処理端末T等を操作してデータサーバ3にアクセスし、記録装置に記録されている測定結果データDrをデータサーバ3からダウンロードすることにより、その測定結果データDrを分析することで測定対象Xの状態を詳細に把握することが可能となる。
【0068】
このように、測定器1およびゲートウェイ2間の通信に使用されるLAN5とは異なる通信ネットワークである移動体通信網6およびインターネット7を介してゲートウェイ2が接続可能に配設されたデータサーバ3を備え、ゲートウェイ2が、各測定器1から送信された測定値データDmを、移動体通信網6およびインターネット7を介してデータサーバ3に送信して記録させる「データ送信処理」を実行する測定システム100によれば、ゲートウェイ2からデータサーバ3に送信した測定値データDmについてはゲートウェイ2から削除することができるため、ゲートウェイ2の記憶部26として大容量の記憶媒体を搭載していなくても、順次送信される測定値データDmの記憶領域が不足する事態を好適に回避することができる。これにより、ゲートウェイ2の製造コストを十分に低減することができる。
【0069】
また、ゲートウェイ2から送信された各測定値データDmを、記録されている各測定値に関連付けられた測定時刻を一致させるように結合して測定結果データDrを生成可能に構成されたデータサーバ3を備えた測定システム100によれば、各測定器1において生成された測定値データDmの測定値を、測定時刻を一致させた状態で比較可能に相互に関連付ける作業が不要となるため、この種の「測定システム」の使用(複数台の「測定器」を使用した複数の「測定値データ」の利用)に不慣れな者であっても、各測定値データDmに記録されている測定値を容易に比較して測定対象Xの状態を確実かつ容易に把握することができる。
【0070】
また、「測定処理」によって「保存条件」を満たす測定値が測定されて、その測定時刻を記録したトリガ発生時刻データDtをゲートウェイ2に送信した測定器1において、処理部15が、ゲートウェイ2からの送信要求の有無によらず、予め規定された「第2の時間」分の測定値を記録した測定値データDmを生成して通信部12からLAN5を介してゲートウェイ2に送信する構成を例に挙げて説明したが、「保存条件」が満たされた測定器1を含むすべての測定器1において、ゲートウェイ2からの送信要求に応じて測定値データDmの生成およびゲートウェイ2への送信を実行する構成を採用することもできる。
【0071】
なお、このような構成を採用した測定システム100においては、「保存条件」を満たす測定値が測定された測定器1において、処理部15が、その測定値の測定時刻(「保存条件」を満たす測定値が測定された時点における内部時計17の計時時刻)を記録したトリガ発生時刻データDtを生成してゲートウェイ2に送信する処理が「保存条件が満たされた時刻を特定可能に保存条件が満たされたことをデータ処理装置に報知する処理A」に相当する。また、このような構成を採用した測定システム100においては、いずれかの測定器1からトリガ発生時刻データDtが送信されて(「処理A」が実行されて)「保存条件」が満たされたことが報知されたときに、ゲートウェイ2の処理部25が、トリガ発生時刻データDtを送信した測定器1を含む稼働中のすべての測定器1に対して、「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録した測定値データDmの送信を要求する処理が「処理B」に相当する。
【0072】
このように、各測定器1(処理部15)が「処理A」を実行可能に構成され、かつゲートウェイ2(処理部25)が「処理B」を実行可能に構成された測定システム100によれば、前述の構成の例と同様にして、いずれかの測定器1において「保存条件」が満たされたときに、LAN5を介してゲートウェイ2に接続されている複数の測定器1において生成された測定値データDmが各測定器1からゲートウェイ2に自動的に送信されるため、測定対象Xの状態の分析に必要な各測定値データDmの取得時における利用者の負担を十分に軽減することができる。また、いずれかの測定器1において「保存条件」が満たされたときに、条件が満たされた時点を含む「第2の時間」分の測定値だけが記録された測定値データDmが各測定器1からゲートウェイ2に送信されるため、「保存条件」が満たされていないときに測定された測定値などの不要な測定値データDmが送信されない分だけ、LAN5が輻輳状態に陥る事態を好適に回避して、測定値データDmを正常の送受信可能な状態を維持することができる。
【0073】
一方、上記の各構成の例に代えて、LAN5などの「通信ネットワーク」を介して相互に通信可能に構成された複数の測定器のうちの少なくとも1台を、上記の測定システム100におけるゲートウェイ2のような「データ処理装置」と同様に機能させて「測定システム」を構築することもできる。
【0074】
具体的には、一例として、「測定システム」を構成するN台の「測定器」を、いずれかの「測定器(データ処理装置と同様に機能させる即的)」から「測定値データ」の送信を要求されたときに、要求された「測定値データ」を生成して、送信要求した「測定器」に対して送信可能に構成する。また、N台の「測定器」のうちのM台(少なくとも1台)を、予め規定された「保存条件」が満たされたときに、「第1の時間」分の測定値のうちの「保存条件」が満たされた時点を含む予め規定された「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録して「測定値データ」を生成し、かつ上記の「いずれかの測定器」として動作して、他のLa台の「測定器」のうちの予め規定されたLb台に対して、「保存条件」が満たされた時点を含む「第2の時間」分の測定値を測定時刻に関連付けて記録した「測定値データ」の送信を要求する処理を実行可能に構成する。
【0075】
このような、構成の「測定システム」によれば、いずれかの「測定器」において「保存条件」が満たされたときに、「通信ネットワーク」を介してその「測定器」に接続されている他の複数の「測定器」において生成された「測定値データ」が各「測定器」から「保存条件」が満たされた「測定器」に自動的に送信されるため、「測定対象」の状態の分析に必要な各「測定値データ」の取得時における利用者の負担を十分に軽減することができる。また、いずれかの「測定器」において「保存条件」が満たされたときに、条件が満たされた時点を含む「第2の時間」分の測定値だけが記録された「測定値データ」が各「測定器」から「保存条件」が満たされた「測定器」に送信されるため、「保存条件」が満たされていないときに測定された測定値などの不要な「測定値データ」が送信されない分だけ、「通信ネットワーク」が輻輳状態に陥る事態を好適に回避して、「測定値データ」を正常の送受信可能な状態を維持することができる。
【0076】
また、いずれかの「測定器」を「データ処理装置と同様に機能させるように構成した「測定システム」において、M台の「測定器」を、自身が生成した「測定値データ」、およびLb台の「測定器」から送信された各「測定値データ」を、記録されている各測定値に関連付けられた測定時刻を一致させるように結合して「結合済測定値データ」を生成可能に構成することにより、各「測定器」において生成された「測定値データ」の測定値を、測定時刻を一致させた状態で比較可能に相互に関連付ける作業が不要となるため、この種の「測定システム」の使用(複数台の「測定器」を使用した複数の「測定値データ」の利用)に不慣れな者であっても、各「測定値データ」に記録されている測定値を容易に比較して「測定対象」の状態を確実かつ容易に把握することができる。
【0077】
さらに、いずれかの「測定器」を「データ処理装置と同様に機能させるように構成した「測定システム」において、各「測定器」間の通信に使用される「第1通信ネットワーク」とは異なる通信ネットワークである「第2通信ネットワーク」を介してM台の「測定器」が接続可能に配設された「データ記録装置」を備え、生成した「結合済測定値データ」を、「第2通信ネットワーク」を介して「データ記録装置」に送信して記録させる「データ送信処理」を実行可能にM台の「測定器」を構成したことにより、「保存条件」を満たした「測定器」からの送信要求に応じて送信した「測定値データ」については、その「測定器」から削除することができるため、「測定器」の記憶部として大容量の記憶媒体を搭載していなくても、順次出力される測定値や順次送信される「測定値データ」の記憶領域が不足する事態を好適に回避することができる。これにより、「測定器」の製造コストを十分に低減することができる。
【0078】
また、「N台の測定器」のすべてを「M台の測定器」として動作可能に構成した例について説明したが、使用する「N台の測定器」のうちの数台だけが「第1処理」や「処理A」を実行可能に構成し、他の「測定器」については、「第1処理」や「処理A」を実行できないように構成することもできる。さらに、N台の測定器1のうちの1台がトリガ発生時刻データDtを生成してゲートウェイ2に送信したときに、ゲートウェイ2が、「第3処理」として、トリガ発生時刻データDtを送信した1台の測定器1を除くLa台の測定器1のすべて(La=Lb台の測定器1)に対して「第2の時間」分の測定値データDmの送信を要求する構成を例に挙げて説明したが、「第3処理」においてLa≠Lb台(つまり、Lb台は、1台からLa台までの範囲内の任意の台数でよい)の測定器1に対して「第2の時間」分の測定値データDmの送信を要求する構成を採用することもできる。
【0079】
また、処理部25がゲートウェイ2における内部時計27の時刻をNTPサーバから取得した時刻情報に基づいて時刻補正し、処理部15が測定器1における内部時計17の時刻をゲートウェイ2から取得して時刻情報(内部時計27の計時時刻の情報)に基づいて時刻補正することで、各測定器1の時刻およびゲートウェイ2の時刻を同期させる構成を例に挙げて説明したが、各「測定器」および「データ処理装置」の時刻を同期させるための構成は、上記の構成の例に限定されない。
【0080】
例えば、前述の測定システム100におけるデータサーバ3が十分に正確な時刻情報を出力可能な構成の場合には、ゲートウェイ2の処理部25が、NTPサーバに代えてデータサーバ3から時刻情報を取得して内部時計27を時刻補正する構成を採用することもできる。また、NTPサーバやデータサーバ3などのネットワーク機器に代えて、ゲートウェイ2の処理部25がGPS信号に基づいて特定される時刻情報を利用して内部時計27を時刻補正する構成を採用することもできる。さらに、各測定器1の処理部15が、NTPサーバ、正確な時刻情報を出力可能なデータサーバ3などから時刻情報を直接取得して内部時計17を時刻補正する構成を採用したり、GPS信号に基づいて特定される時刻情報を利用して内部時計17を時刻補正する構成を採用したりすることもできる。
【0081】
さらに、上記のゲートウェイ2のような通信管理機器に代えて、測定器1と共にLAN5に接続したパーソナルコンピュータなどの情報処理端末を「データ処理装置」として機能させて、前述の例におけるゲートウェイ2と同様の各種処理を実行可能に構成することもできる。また、LAN5を介して各測定器1をゲートウェイ2に接続する構成を例に挙げて説明したが、このような構成に代えて、ブルートゥース(登録商標)等の近距離無線通信規格に準じた通信路で構成した通信ネットワークを「通信ネットワークとしての第1通信ネットワーク」として利用して各「測定器」を「データ処理装置」に接続することもできる(図示せず)。
【0082】
さらに、移動体通信網6およびインターネット7を介してゲートウェイ2をデータサーバ3に接続させる構成を例に挙げて説明したが、例えば、「データ処理装置」にブロードバンドルータ機能を搭載することで「データ処理装置」をインターネット7に対して直接接続させたり、「データ処理装置」に外部機器としてのブロードバンドルータを接続してブロードバンドルータを介して「データ処理装置」をインターネット7に対して接続させたりして「データ記録装置」に接続させる構成を採用することもできる。
【0083】
また、移動体通信網6およびインターネット7を介して接続可能なデータサーバ3を「データ記録装置」としてゲートウェイ2から測定結果データDrを送信して記録させる構成を例に挙げて説明したが、「データ記録装置」はこれに限定されず、例えば、各測定器1と共にLAN5に接続した「ネットワークハードディスクドライブ」などの記録装置(図示せず)を「データ記録装置」としてゲートウェイ2から測定結果データDrを送信して記録させる構成や、ゲートウェイ2に対して信号ケーブルを介して直接接続された記録装置(図示せず)を「データ記録装置」としてゲートウェイ2から測定結果データDrを送信して記録させる構成を採用することができる。
【0084】
さらに、各「測定器」と「データ処理装置」とを「通信ネットワークとしての移動体通信網」を介して相互に接続する構成を採用することもできる。具体的には、「測定器」や「データ処理装置」に前述のゲートウェイ2における通信部22のような通信モジュールを搭載したり、「測定器」や「データ処理装置」に「移動体通信網接続用の通信モデム」を接続したりして、「移動体通信網」を介して「測定器」と「データ処理装置」とを接続可能とすることができる。この場合、上記の各例のような構成を採用することで、不要な測定値の「測定値データ」が「測定器」と「データ処理装置」との間で送信されないため、「測定器」と「データ処理装置」との間に従量制課金方式の「移動体通信網」などを介在させても、通信費が高騰する事態を回避して、その運用コストを十分に低減することができる。
【符号の説明】
【0085】
100 測定システム
1a~1n 測定器
2 ゲートウェイ
3 データサーバ
5 LAN
6 移動体通信網
7 インターネット
11 測定部
12,21,22 通信部
13,23 操作部
14,24 表示部
15,25 処理部
16,26 記憶部
17,27 内部時計
Dm 測定値データ
Dr 測定結果データ
Dt トリガ発生時刻データ
T データ処理端末
X 測定対象